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特表2024-543522ピペットチップ、及びピペットチップの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ピペットチップ、及びピペットチップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/02 20060101AFI20241114BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20241114BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20241114BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B01L3/02 D
G01N35/10 G
G01N1/00 101K
B29C45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529250
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081851
(87)【国際公開番号】W WO2023088850
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021129888.1
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506001044
【氏名又は名称】リッター ジイエムビイエイチ
【氏名又は名称原語表記】Ritter GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラフラー アンニカ
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ウォルファート ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フィニス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ケルツシャー セバスチャン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
4F206
4G057
【Fターム(参考)】
2G052BA14
2G052CA18
2G052CA22
2G052CA28
2G052CA33
2G052JA03
2G052JA07
2G052JA09
2G058EB01
2G058ED21
2G058ED35
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM06
4F206JQ81
4G057AB18
(57)【要約】
ピペットチップは、内部空間(S)を画定する壁(W)と、内部空間の上端及び下端にそれぞれ配置された第1の上側開口部(O1)及び第2の下側開口部(O2)と、上側開口部(O1)に隣接する第1の区画(1)と、第1の区画に隣接する第2の区画(2)と、第2の区画(2)に隣接する第3の区画(3)と、第3の区画に隣接する第4の区画(4)と、第4の区画(4)に隣接して下側開口部内に開口する第5の区画(5)と、第1の区画(1)と第2の区画(2)の間の第1の移行領域(U1)と、第2の区画(2)と第3の区画(3)の間の第2の移行領域(U2)と、第3の区画(3)と第4の区画(4)の間の第3の移行領域(U3)を含み、上側開口部(O1)は下側開口部(O2)の直径(D8)よりも大きな直径(D1)を有し、内部空間(S)は少なくとも部分的に円柱状及び/又は上から下に向かって先細の区画及び/又は移行領域を有し、内部空間(S)は、アンダーカットが形成されるように上から下に広がる少なくとも1個の区画及び/又は移行領域を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(S)を画定する壁(W)と、
各々が前記内部空間の上端と下端に配置されている第1の上側開口部(O1)と第2の下側開口部(O2)と、
前記上側開口部(O1)に隣接する第1の区画(1)と、
前記第1の区画に隣接する第2の区画(2)と、
前記第2の区画(2)に隣接する第3の区画(3)と、
前記第3の区画に隣接する第4の区画(4)と、
前記第4の区画(4)に隣接し、前記下側開口部で終端する第5の区画(5)と、
前記第1区画(1)と前記第2の区画(2)の間の第1の移行領域(U1)と、
前記第2の区画(2)と前記第3の区画(3)の間の第2の移行領域(U2)と、
前記第3の区画(3)と前記第4の区画(4)の間の第3の移行領域(U3)と、
を含み、
前記上側開口部(O1)の直径(D1)が前記下側開口部(O2)の直径(D8)よりも大きく、
前記内部空間(S)が、少なくとも円柱状の区画及び/又は上から下に向かって先細の区画及び/又は移行領域を有し、
前記内部空間(S)が、アンダーカットが形成されるように上から下に広がる少なくとも1個の区画及び/又は移行領域を有している、
ピペットチップ。
【請求項2】
前記第1の区画(1)が前記上側開口部(O1)の直径に対応する上側直径D1と、D1よりも小さい直径を有する丸く膨らんで内側に延出した下側領域を有し、前記第1の区画(1)の下側領域が、前記第1の区画(1)の下側領域の直径よりも大きい直径D2を有する前記第1の移行領域(U1)に移行することにより、前記第1の移行領域(U1)が第1のアンダーカットを形成する、請求項1に記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記第1の移行領域(U1)に隣接する前記第2の区画(2)が、円柱状及び/又は上から下に向かって先細の円錐状の内輪郭を有している、請求項1又は2に記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記第2の区画(2)に隣接する前記第2の移行領域(U2)が、円錐状に先細である、及び/又は半径方向内側に延出した段差を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記第2の移行領域の直上の前記第2の区画(2)の直径D3が、前記第2の移行領域の直下の前記第3の区画(U2)の直径D4よりも大きい、請求項1~4のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項6】
前記第2の移行領域(U2)が、軸方向上向きに延出した、又は軸方向延在成分を有する1個以上の突起又は歯を有し、前記突起又は歯が周方向に延在するか又は周方向に互いに間隔を空けて配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項7】
前記第3の区画(3)が、円柱状の、及び/又は上から下に円錐状に広がる内輪郭を有している、請求項1~6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項8】
前記第4の区画(4)が、円柱状の、及び/又は上から下に円錐状に広がる内輪郭を有している、請求項1~7のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項9】
前記第3の区画(3)と前記第4の区画の間の前記第3の移行領域(U3)が少なくとも1個の内側に延出した突起を有し、前記第3の移行領域(U3)の最小直径が前記第3の移行領域(U3)の直上の前記第3の区画(3)の直径D5よりも小さく、前記第3の移行領域(U3)の直下の前記第4の区画(4)の直径D6よりも小さい、請求項1~8のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項10】
前記第3の移行領域(U3)の直上の前記第3の区画(3)の直径D5が、前記第3の移行領域(U3)の直下の前記第4の区画(4)の直径D6よりも小さい、請求項1~9のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項11】
前記第3の移行領域(U3)の直上の前記第3の区画(3)の直径D5が、前記第3の移行領域(U3)の直下の前記第4の区画(4)の直径D6よりも大きい、請求項1~10のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項12】
前記第3の区画(3)が、上から下に広がって第3のアンダーカットを形成する少なくとも1個の領域を有する内輪郭を有している、請求項1~11のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項13】
前記第2の区画(2)が、上から下に広がる少なくとも1個の領域を有する内輪郭を有している、請求項1~12のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項14】
前記第3の移行領域が、1個以上の突起(V31、V32、V33)を含み、前記突起が、第1の半径(R1)を有する第1の側面と、第2の半径(R2)を有する前記内部空間(S)の中心軸に向かって半径方向に突出する先端と、第3の半径(R3)を有する第2の側面を含み、半径R1、R2、R3がR1=R2=R3、又はR1=R2<R3、又はR1=R3>R2、又はR2=R3>R1、又はR1<R2<R3、又はR1>R2<R3の条件を満たす、請求項1~13のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項15】
前記ピペットチップがプラスチックから一体的に製造される、請求項1~14のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項16】
前記第3の区画(3)において前記内部空間(S)が円柱状である、及び/又は円錐状に先細であり、前記第4の区画(4)において円錐状に先細であり、前記第4の区画(4)の断面縮小が前記第3の区画(3)の断面縮小よりも大きく、前記第3の移行領域(U3)が角として形成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項17】
前記第3の移行領域(U3)がエッジ又は湾曲の形式で連続的に形成されている、請求項16に記載のピペットチップ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のピペットチップを製造する射出成形工程であって、内側コア及び外側スリーブにより形成されていてピペットチップの壁輪郭に対応する射出成形キャビティを設けるステップと、前記キャビティ内に液体プラスチックを導入するステップと、前記プラスチックを固化させるステップと、前記ピペットチップが前記内側コアに残っている間に前記ピペットチップの外輪郭から前記外側スリーブを取り外すステップと、前記内側コアから軸方向に前記ピペットチップを取り外すステップを含む射出成形工程。
【請求項19】
前記外側スリーブを取り外すステップが、前記外側スリーブ又は前記外側スリーブの部品を半径方向に又は半径方向成分を有する方向に移動させるステップを含んでいる、請求項18に記載の射出成形工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、使い捨てピペットチップ、特にプラスチック製のピペットチップ、及びピペットチップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分注機は様々な分析用途で液体の移送に用いられる。使い捨てピペットチップはこれらの機械で用いられる。使い捨てピペットチップは通常、上から下に円錐形状であって把持及び密封のため特別に整形された区画を有していてよい。
【0003】
ピペットチップの壁の外側又は内側を確実に把持したい場合がある。この目的のため、ロック可能又は拡張可能な把持装置が用いられてよい。ピペットチップは外側又は内側に、把持装置の接触断面形状を補完してピペットチップが閉じた把持装置から滑り落ちたり引き離されるのを防ぐように設計された対応する把持面形状を有していてよい。例えば、ピペットチップの壁の内側又は外側で上側領域に溝又は隆起が設けられていてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002094302号明細書
【特許文献2】米国特許第4748859号明細書
【特許文献3】独国特許第19917375号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3115110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピペットチップの内部空間に貫入する自動分注機のマンドレルとピペットチップとの密封は、例えばOリングにより行われてよく、当該Oリングはピペットチップの内部に形成された段差に載置されていてよく、内部空間は当該段差により先細になっている。
【0006】
一般に、従来のピペットチップの内輪郭は、射出成形金型の内側コアからピペットチップが簡単に取り外せるように射出成形工程で簡単に製造できるよう、断面が円柱状、円錐状、又は先細になっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に基づき、本発明の目的は、自動分注機の確実な把持を保証すると同時にピペットチップと自動分注機のマンドレルを確実に密封できるピペットチップ及び当該ピペットチップの製造方法を提供することである。
【0008】
上述の課題は、請求項1に記載のピペットチップ及び請求項18に記載の方法により解決される。従属請求項の特徴は本発明の好適な実施形態を参考にしている。
【0009】
本発明の目的は、内部空間を画定する壁と、内部空間の上端及び下端にそれぞれ配置された第1の上側開口部及び第2の下側開口部と、上側開口部に隣接する第1の区画と、第1の区画に隣接する第2の区画と、第2の区画に隣接する第3の区画と、第3の区画に隣接する第4の区画と、第4の区画に隣接して下側開口部で終端する第5の区画と、第1の区画と第2の区画の間の第1の移行領域と、第2の区画と第3の区画の間の第2の移行領域と、第3の区画と第4の区画の間の第3の移行領域とを含み、これらの区画及び移行領域は本発明の以下の記述に従い内輪郭又は内部形状或いは形式を有する(使い捨て)ピペットチップである。
【0010】
用語「最上部」(「上方」)は、ピペットチップの保持及び密封を意図して自動分注機の保持/密封マンドレルが貫入する第1の上側開口部に近い方のピペットチップの壁又は内部空間の領域を指す。用語「最下部」(「下方」)は、操作中に分注液を吸引又は分注すべく意図された第2の下側開口部に近い方のピペットチップの壁又は内部空間の領域を指す。上側開口部は通常、下側開口部よりも大きい。
【0011】
方向「上から下に」は上側開口部から下側開口部への軸方向を意味する。「軸方向」はピペットチップの上端及び/又は下端により画定される平面に垂直な方向である。「半径方向」はピペットチップの上端及び/又は下端により画定される平面に平行な、すなわち「軸方向」に垂直な方向を意味する。上から下に断面が先細又は縮小とは、第1の開口部に近い方の位置の断面が、第2の開口部に近い方の位置の断面よりも大きいことを意味する。断面の拡幅又は増大は、第1の開口部に近い方の位置の断面が、第2の開口部に近い方の位置の断面よりも小さい場合に生じる。これは、ピペットチップの断面及び移行領域の両方に成立する。
【0012】
ピペットチップの壁又は内部空間の区画は軸方向に、及び任意選択的に半径方向にも延在する。いくつかの実施形態において、ピペットチップの壁又は内部空間の移行領域は、軸方向に延在及び/又は半径方向に延在していてよい。しかし、他の実施形態では、軸方向/半径方向に延在しない連続的な移行として、例えばエッジとして形成されていてよい。
【0013】
アンダーカット又は先太が存在するのは、上述のように、(上側開口部を通して下側開口部の方向に内部空間を見た場合に)断面が拡幅又は増大している場合である。アンダーカットは、軸方向に延在する又はしない連続的な移行であってよい。本発明によるピペットチップは、内部空間を画定する壁と、内部空間の上端及び下端にそれぞれ位置する第1の上側開口部及び第2の下側開口部と、上側開口部に隣接する第1の区画と、第1の区画に隣接する第2の区画と、第2の区画に隣接する第3の区画と、第3の区画に隣接する第4の区画と、第4の区画に隣接して下側開口部で終端する第5の区画と、第1の区画と第2の区画の間の第1の移行領域と、第2の区画と第3の区画の間の第2の移行領域と、第3の区画と第4の区画の間の第3の移行領域とを含み、上側開口部の直径が下側開口部の直径よりも大きく、内部空間が少なくとも複数の区画に、円柱状の区画及び/又は上から下に向かって先細の区画及び/又は移行領域を有し、内部空間が、アンダーカットが形成されるように上から下に向かって広がる少なくとも1個の区画及び/又は1個の移行領域を有している。
【0014】
好適な一実施形態において、第1の区画は、上側開口部の直径に対応する上側直径D1と、D1よりも小さい直径を有する、内側に延出した膨らんだ下側領域とを含み、第1の区画の下側領域は、第1の移行領域が第1のアンダーカットを形成するように、第1の区画の下側領域の直径よりも大きい直径D2を有する第1の移行領域に移行する。
【0015】
特に、第1の移行領域に隣接する第2の区画は、円柱状及び/又は上から下に向かって先細の円錐状の内輪郭を有している。第2の区画の内部空間はしたがって円柱状又は漏斗状である。
【0016】
第2の区画に隣接する第2の移行領域は、円錐状に先細の、及び/又は半径方向内側に延出する段差(半径方向表面を有する)を有していてよく、第3の区画は第2の移行領域の下方で隣接する。
【0017】
第2の移行領域の真上の第2の区画の直径D3は特に、第2の移行領域の真下の第3の区画の直径D4よりも大きい。
【0018】
第2の移行領域は、半径方向表面または半径方向延在成分を有する表面に、1本以上の軸方向又は(軸方向成分を有する)斜め上方に延出した突起又は歯を有し、これらの突起又は歯は周方向に延在するか又は周方向に互いに間隔を空けて配置されていてよい。
【0019】
突起の形状は任意である。これらの突起はエッジフィレット、丸みを帯びた半球、四角錐等として製造されてよい。これらの突起は、例えば第2の移行領域が止め具又は密封材として設けられていれば第2の移行領域の減衰要素として設けられてよい。これらの突起はピペットチップの壁と共に、密封又は減衰要素、例えばOリングを挿入できる環状溝を画定することができる。
【0020】
好適な一実施形態において、第3の区画は円柱状及び/又は上から下に広がる円錐状の内輪郭を有している。
【0021】
第4の区画は円柱状及び/又は上から下に広がる円錐状の内輪郭を有していてよい。輪郭が広がっている場合、第2のアンダーカットが第3の移行領域に形成される。
【0022】
第3の区画と第4の区画の間の第3の移行領域は、少なくとも1個の内側に延出した突起を有していてよいため、第3の移行領域の最小直径は、第3の移行領域の真上の第3の区画の直径D5よりも小さく、第3の移行領域の真下の第4の区画の直径D6よりも小さい。第3の移行領域はしたがって(場合によっては第4の移行領域と共に)第2のアンダーカットを形成する。
【0023】
特に、第3の移行領域の真上の第3の区画の直径D5は、第3の移行領域の真下の第4の区画の直径D6よりも小さい。
【0024】
代替的に、第3の移行領域の真上の第3の区画の直径D5は、第3の移行領域の真下の第4の区画の直径D6よりも大きくてよい。しかし、第3の移行領域の最小直径は、第3の移行領域の真下の第4の区画の直径D6よりも小さくてよく、及び/又は第3の移行領域の真上の第3の区画の直径D5よりも小さくてよい。
【0025】
特に、本発明の好適な一実施形態において、第3の区画は、第3のアンダーカットを形成すべく上から下に広がる少なくとも1個の領域を有する内輪郭を有している。
【0026】
第2の区画は、上から下に広がる少なくとも1個の領域を有する内輪郭を有していてよい。
【0027】
第3の移行領域は、1個以上の突起を有していてよく、突起は、第1の半径(R1)を有する第1の側面と、第2の半径(R2)を有する内部空間(S)の中心軸に向かって半径方向に突出する先端と、第3の半径(R3)を有する第2の側面とを含み、半径R1、R2、R3は以下の条件、すなわちR1=R2=R3、又はR1=R2<R3、又はR1=R3>R2、又はR2=R3>R1、又はR1<R2<R3、又はR1>R2<R3を満たす。複数の突起がある場合、これらの半径は異なっていてよく、上述の条件の異なるものを満たす。半径は、突起の側面の立ち上がりの急峻さ、内側に突出するピークの形状、側面の落ち込みの急峻さを決定する。要するに、突起(群)の個数及び形状は、アンダーカットの個数及び形状を決定し、したがって外側型が取り外された場合にピペットチップが成形コアに付着する力、又はピペットチップを内側コアから引き抜くのに必要な力を決定する。本発明の文脈では、ピペットチップの内側領域に複数のアンダーカットが設けられていることが好適なため、ピペットチップが内側コアから取り外された際に強制的に脱型することにより内輪郭が損なわれることなくピペットチップをコアに確実に接着することができる。
【0028】
特に、ピペットチップは使い捨て製品として、好適にはプラスチック製の一体成形又は単体として製造される。
【0029】
内部空間は、第3の区画において円柱状及び/又は円錐状に先細で第4の区画において円錐状に先細であってよいため、第4の区画の断面減少が第3の区画の断面減少よりも大きく、したがって第3の移行領域は角張らせて設計されている。
【0030】
特に、第3の移行領域は、エッジ又は湾曲の形態で連続していてよい。第4の区画は、自動分注機の密封要素の接触面として機能することができる。
【0031】
上述のようなピペットチップを製造するための本発明による射出成形工程は、内側コア及び外側スリーブにより形成され、且つピペットチップの壁輪郭に対応する射出成形キャビティを設けるステップと、キャビティ内に液体プラスチックを導入するステップと、プラスチックを固化させるステップと、ピペットチップがコア上に残っている間にピペットチップの外輪郭から外側スリーブを取り外しするステップと、ピペットチップをコアから軸方向に引き抜く工程とを含んでいる。
【0032】
特に、外側スリーブの取り外しは、スリーブ又はスリーブの一部の半径方向又は半径方向成分を有する方向への移動を含んでいてよい。当該工程を行う、本発明による固化したピペットチップは、壁の特別な内輪郭に起因して、特に1個以上のアンダーカットの形成に起因して射出成形工具の内核に確実に付着する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の更なる特徴及び利点が、図面を参照しながら以下の記述から明らかになろう。
【0034】
図1】本発明によるピペットチップの基本構造の断面図である。
図2】本発明の第1の特定の実施形態を示す図である。
図3】本発明の第2の特定の実施形態を示す図である。
図4】本発明の第3の特定の実施形態を示す図である
図5】本発明の第4の特定の実施形態を示す図である。
図6】本発明の第5の特定の実施形態を示す図である。
図7】本発明の第6の特定の実施形態を示す図である。
図8】本発明の第7の特定の実施形態を示す図である。
図9】本発明の第8の特定の実施形態を示す図である。
図10】本発明の第8の特定の実施形態を示す図である。
図11】本発明の第8の特定の実施形態を示す図である。
図12】本発明の第9の特定の実施形態を示す図である。
図13】本発明の第10の特定の実施形態を示す図である。
図14】本発明の第11の特定の実施形態を示す図である。
図15】本発明の第12の特定の実施形態を示す図である。
図16】本発明の第13の特定の実施形態を示す図である。
図17】本発明の第14の特定の実施形態を示す図である。
図18】本発明の第15の特定の実施形態を示す図である。
図19】本発明の第16の特定の実施形態を示す図である。
図20】本発明の第17の特定の実施形態を示す図である。
図21】本発明の第18の特定の実施形態を示す図である。
図22】本発明の第19の特定の実施形態を示す図である。
図23】本発明の第20の特定の実施形態を示す図である。
図24】本発明の第21の特定の実施形態を示す図である。
図25】本発明の第22の特定の実施形態を示す図である。
図26】本発明の第20及び第21の実施形態の詳細事項の変形例を示す図である。
図27】本発明の第20及び第21の実施形態の詳細事項の更なる変形例を示す図である。
図28】本発明の第20及び第21の実施形態の詳細事項の更なる変形例を示す図である。
図29】本発明の第23の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に、本発明によるピペットチップPの基本構造の断面図を示す。
【0036】
ピペットチップPは、第1の上側(又は近位)開口部O1及び第2の下側(又は遠位)開口部O2を有している。壁Wは、開口部O1とO2の間の内部空間Sを囲んでいる。
【0037】
上側開口部O1は第1の直径D1を有している。上側開口部O1には第1の内輪郭を有する第1の区画1が隣接している。第1の区画1の上端は上側開口部O1の直径に対応している。第1の区画1の下端は直径D2を有している。
【0038】
第1の区画1は、第2の内輪郭を有する第2の区画2につながっている。第2の区画2の上端は直径D2を有している。第2の区画2の下端は直径D3を有している。
【0039】
第2の区画2は、第3の内輪郭を有する第3の区画3につながっている。第3の区画3の上端は直径D4を有している。第3の区画3の下端は直径D5を有している。
【0040】
第3の区画3は、第4の内輪郭を有する第4の区画4につながっている。第4の区画4の上端は直径D6を有する。第4の区画4の下端は直径D7を有している。
【0041】
第4の区画4は、第5の内輪郭を有する第5の区画5につながっている。第5の区画5の上端は直径D7を有している。第5の区画5の下端は第2の下側(遠位)開口部O2で終端し、第5の区画5の下端の直径は下側開口部O2の直径D8に対応している。
【0042】
異なる区画は互いに直接隣接していてよい。これは特に、ある区画の下端の直径が後続又は隣接する区画の上端の直径に対応する場合に該当する。隣接する各区画間に移行領域U1、U2、U3又はU4が形成されている。移行領域は延在していない場合があり、すなわち、各々の区画1~5の間の連続的な移行として形成されていてよい。移行領域は急勾配を有するか又はエッジとして形成されていてよい。しかし、移行領域、すなわちその内輪郭はまた、軸方向及び/又は半径方向に延在していてよい。これは、移行領域の内輪郭が、円柱、傾斜、段差、先細(内輪郭の断面縮小)及び/又は内輪郭の拡幅として設計されていてよいことを意味する。しかし、移行領域の内輪郭はまた、複数の段差又は上述の内輪郭の組み合わせを有していてもよい。
【0043】
本開示の範囲において、以下に述べる複数の実施形態の全ての特徴を組み合わせることが可能である。特に、これは、ピペットチップの区画間の上述の移行領域又は止め具が本発明の開示の任意の組み合わせの範囲に含まれることを意味する。
【0044】
内輪郭及び移行領域の特定の例について以下の特定の実施形態に関して説明する。それぞれのケースにおいて、ピペットチップの上部区画のみを示している。第4の区画4は、ほぼ円柱又は円錐台(すなわち先細)の形状、又はこれらの組み合わせを有していてよい。第5の区画5は円錐台状(すなわち先細)であって第2の開口部O2に達している。
【0045】
図2に、本発明の第1の特定の実施形態を示す。
【0046】
第1の区画1は、半径方向内側に突出するビードとして設計されている。第2の区画2は(本質的に)下向きに先細の円錐台状区画として設計されている。移行領域U1(詳細図x)は連続的な移行領域である。直径D1は移行領域U1における直径D2よりも大きい。直径D3は直径D2よりも小さい。
【0047】
移行領域U2(詳細図y)は、本質的に半径方向に延在する連続的な移行領域である。本質的に、移行領域U2は半径方向内側に延出した段差として設計され、当該段差が止め部を形成する。段差U2は、段差内側を周方向に沿って延在する連続的又は断続的突起A2を有するため、第2の区画2の下端と突起A2の間に溝N2が形成される。しかし、移行領域U2は突起または突起群A2が無いほぼ平坦な段差として形成されていてもよい。
【0048】
第3の区画3は、下向きに広がる円錐台状区画の形状で内輪郭を有している。直径D2は直径D3よりも大きい。直径D3は直径D4よりも大きい。直径D4は直径D5よりも小さい。
【0049】
移行領域U3(詳細図z)は、本質的に半径方向に延在する連続的な移行領域である。本質的に、移行領域U3は、半径方向内側に延出した段差として形成されており、第3の区画3の下端への移行領域は丸みを帯び、第4区画4の上端への移行領域はエッジを形成する。
【0050】
第4の区画4は、円柱状又は僅かに下向きに先細の円錐台状区画の形状で内輪郭を有している。直径D5は直径D6よりも大きい。直径D6は直径D7よりも大きいか又は等しい。直径D7は下側(第2の)開口部O2の直径D8よりも大きい。
【0051】
以下の変形例の説明では、第1の特定の実施形態又は先に説明した複数の特定の実施形態との各変形例の差異のみを説明する。
【0052】
図3に、本発明の第2の特定の実施形態を示す。第1の特定の実施形態とは対照的に、移行領域U1(詳細図x)は軸方向に延在している。移行領域U1は、周方向に延在する半径方向の溝N1として設計されている。
【0053】
また、移行領域U3(詳細図z)は異なるように設計されている。第3の区画3に続いて、下向きに先細の円錐台状区画の形式で先細の内輪郭を有している。第4区画4への移行領域において、移行領域U3は周方向に延在する半径方向の溝N3を有している。
【0054】
本実施形態において、第3の区画3は本質的に円柱状である。直径D4は直径D5に対応している。
【0055】
図4に、本発明の第3の特定の実施形態を示す。第2の特定の実施形態とは対照的に、移行領域U3(詳細図z)は、半径方向内側に延びた段差として段階的に形成されている。段差U3は、段差内側に周方向に沿って延在する連続的又は断続的な隆起A3を有するために、第3の区画3の下端と隆起A3の間に周方向に沿って延在する溝N3が形成されている。
【0056】
図5に、本発明の第4の特定の実施形態を示す。第1区画1と第2の区画2の間の移行領域U1は、第1区画1のビード(丸く膨らんだ隆起)の後方に、第2の区画2と同じ直径D2で滑らかに移行するアンダーカット(彫り込み)を形成する。溝は設けられていない。
【0057】
第1の特定の実施形態とは対照的に、第3の区画3は、下向きに先細の円錐台状区画K3の形式で先細の内輪郭を有する移行領域U3(詳細図z)に接続している。第4の区画4への移行領域において、移行領域U3は、円柱状区画Z3と、第4の区画4に向かって内側に延びている段差S3とを有している。
【0058】
区画3は本質的に円柱状である。
【0059】
図6に、本発明の第5の特定の実施形態を示す。区画1、2、及び移行領域U1、U2はそれぞれ第1及び第4の実施形態に対応している。区画3は本質的に円柱状であるが、外側に向かって僅かに窪んで湾曲している。D4はD5とほぼ同じ大きさである(詳細図z)。
【0060】
移行領域U3(詳細図z)は、円錐台状区画の形式で傾斜した内側に先細の表面として設計されている。区画4は先細の円錐状である。
【0061】
図7に、本発明の第6の特定の実施形態を示す。区画1、2、及び移行領域U1、U2は第1の実施形態に対応している。区画3は先に説明した複数の実施形態よりも短い。区画3は下向きに先細の円錐台状区画の形状を有している。移行領域U3は、直径D5及びD6よりも小さい内径DA3を有する周方向に沿って延在する突起A3を有している。第4区画4は、少なくとも上側領域において、先細の円錐台状区画の形状を有し、その勾配は、区画3の先細の円錐台状区画の勾配に対応している。直径D3~D8の関係はD3>D4>D5>D6>D7>D8である。
【0062】
図8に、本発明の第7の特定の実施形態を示す。移行領域U1は、第2の実施形態の移行領域U1と同様に設計されているが、隣接する第2の区画2の半径D2がビード1の最内点の半径D11にほぼ一致し、第2の区画2が本質的に円柱状(D2=D3)である点が異なる。
【0063】
移行領域U2は、2個の連続する半径方向段差S21とS22の形式である。段差21と段差22の間の移行は約90°にわたり延在する弧である。区画3は円柱状である(D3>D4=D5>D6)。
【0064】
移行領域U3は(上から下に見たとき隠れる)窪みR3、及びこれに直接隣接する円錐環状面K3を有し、(上面から見て)斜め内側に区画4まで延びている。直径D6は直径D5よりも小さい。
【0065】
図9~11に、本発明の第8の特定の実施形態を示す。
【0066】
図11に、ピペットチップの上側区画を示す。区画1と区画2は同じ直径D2を有する円柱状である。第1の移行領域U1は外側に延出した窪んだ溝として形成されている。しかし、上述の実施形態とは異なり、溝U1は、図8図9から分かるように、同じ(軸方向の)幅Bで周方向に沿って連続的には形成されておらず、幅は最小幅(ゼロまで)と最大幅Bの間で周方向に沿って周期的に変化する。ピペットチップは、上側開口領域O1及び区画3において周方向に沿って直径が非連続的な同様の構造を有している。
【0067】
移行領域U2は半径方向の段差として設計されている。
【0068】
区画3は、(上から下に見て)円錐状に内側に延出した領域31と、円柱状(又は円錐状に外側に延出した)領域32を有している。これらの領域、特に領域31の直径は、周期的に配置された内側に延出した膨らみ又は突起を設けることにより周方向に沿って変化し得る。
【0069】
移行領域U3は、(上から下に見て)内側に先細の円錐内輪郭を有している。
【0070】
図12に、本発明の第9の特定の実施形態を示す。区画/移行領域1、U1、2、U2は第1の実施形態に対応している。しかし、第9の実施形態において、第3の区画3は円柱状である(D4=D5)。これは半径方向内側に突出して軸方向に間隔が空けられたリップ又は周方向に沿って延在する突起30、31、32を有している。
【0071】
移行領域U3は、半径方向内側に突出する段差として設計されている。
【0072】
図13に、本発明の第10の特定の実施形態を示す。領域1とU1は第1の実施形態にほぼ対応している。区画2は、ほぼ中央で内向きに丸く膨らんで湾曲した円柱状である。移行領域U2は、区画3への丸みを帯びた移行領域を有する、内側に突出した段差である。区画3も円柱状で、ほぼ中央で内側に向かって丸く膨らんで湾曲している。区画3は丸められて移行領域U3に移行し、移行領域U3は内側に延出してエッジを介して円柱状区画4に移行する。関係D4=D5>D6が成立する。
【0073】
図14に、本発明の第11の特定の実施形態を示す。領域1、U1、及び2(詳細図x)は第10の実施形態に対応している。
【0074】
移行領域U2(詳細図y)は本質的に、区画2、3への丸みを帯びた移行領域を有する段差として設計されている。半径方向内側に突出した段差面の中央には突起A2が形成され、突起A2は軸方向上向きに突出し、その2個の側面の間に台状の表面を有している。外側の側面と区画2の間には溝N2が形成されている。突起A2の内側側面と区画3の間に環状の段差面F2が形成されている。
【0075】
区画3及び移行領域U3は湾曲している。区画3の内輪郭は、(上から下に見て)外側に延びる第1の曲線と、区画4に移行する内側に延びる第2の曲線を有している。
【0076】
図15に、本発明の第12の特定の実施形態を示す。本実施形態が第10の実施形態と異なる点は、移行領域U2に溝N2が形成され、溝N2は周方向に延在しており、半径方向に延在した環状の台状部A2Pを有する環状の軸方向突起A2により内側が仕切られている点である。
【0077】
移行領域U3は、区画3とU3の間に丸みを帯びた移行領域と、U3と区画4の間にエッジを有する段差として設計されている。
【0078】
図16に、本発明の第13の特定の実施形態を示す。本実施形態は、領域1、U1及び2(詳細図x)において、第11の実施形態(図14)にほぼ対応している。
【0079】
移行領域U2(詳細図y)は区画2から半径方向内側に延出した段差S2を有している。段差S2の(半径方向)内側領域に、四分円の窪みR2が断面形状に形成され、その内部に密封リング(OリングOR)が配置されている。
【0080】
区画3は、移行領域U3に移行する内側に延出する膨らみを有している。膨らみの曲率は移行領域U3に向かって増大する。移行領域U3(詳細図z)は、内側に(場合によっては半径方向に)突出した突起V3と、隣接する環状溝N3を有している。移行領域U3は区画4移行にする。
【0081】
図17に、本発明の第14の特定の実施形態を示す。本実施形態が先行する実施形態と主に異なるのは、移行領域U2が段差として形成され、移行領域U3(詳細図z)が一連の複数の小さな段差として形成される点である。
【0082】
図18に、本発明の第15の特定の実施形態を示す。
【0083】
区画1、2及び移行領域U1は、上述の実施形態を参照しながら説明したように設計することができる。例えば、区画1がビードとして、区画2が僅かに下向きに先細の区画として設計されていてよい。
【0084】
区画2と区画3の間の移行領域U2は本実施形態の特別な特徴である。原則として、移行領域は段差S2として設計されている。しかし、段差の内縁には、隆起K2が周方向に連続的又は不連続的に分布するように配置され、隆起K2は第1の開口部O1の向きに軸方向上向きに延出している。隆起K2は互いに間隔を空けて配置されている。例えば、これらは小型のピン又はピラミッド形式で、ガウス曲線等の(半)球形であってよい。隆起K2は、例えば、自動分注機のプランジャ又はマンドレル(図示せず)が接触した際に減衰機能を発揮してよく、又は当該隆起を押圧するプランジャに弾性反力が作用するように、ある程度の弾性を有していてよい。
【0085】
区画3は、内側に延出した丸く膨らんだ中央領域B3を有している。
【0086】
移行領域U3は僅かに先細(断面減少)である。代替的に、領域3、4が共に同じ直径(D5=D6)の円柱状であるように断面の縮小無しに形成されていてもよい。
【0087】
図19に本発明の第16の特定の実施形態を示す。
【0088】
区画1、2、及び移行領域U1、U2は、上述の実施形態の任意の一つと同様に形成されていてよい。しかし、これらの区画及び領域の構成は、本発明との関連で説明した特徴の範囲内で変化し得る。
【0089】
本実施形態において、移行領域U3は、(同じ直径(D5=D6)を有する)区画3と区画4の間に配置されて内側に(半径方向又は斜めに)延出した環状の突起又は膨らみV31、V32、V33を有している。突起V31、V32、V33は本実施形態では3個の突起であって全内周の回りに延在しているが、異なる断面を有している。膨らみの大きさは底面に向かって(開口部O2向きに)増大する。上側の膨らみV31は自身の下方にある中央の膨らみV32よりも高さが低く(したがって、内側への延出が小さく)、軸方向の長さが短い。中央の膨らみV32は自身の下方にある下側の膨らみV33よりも高さが低く(したがって内側への延出が小さく)軸方向の長さが短い。したがって、膨らみを1個ずつ下向きに辿るに従い高さ及び軸方向の長さが増大する。
【0090】
(内側に膨らんだ)突起V31、V32、V33の形状は(半径方向の)隆起であり、軸方向に延出した部分が急峻な前側面をなし、平坦すなわち軸方向に整列した上側面を有する台状部、及び軸方向に延出した部分がより平坦な後側面をなしている。
【0091】
半径方向内側に延出し、且つ後ろ向きに軸方向下向きに滑らかに傾斜する膨らみ(例:リップ又はリブの形状)により、例えば膨らみと接触している自動分注機のマンドレルの密封部を引き抜くことが容易になる。すなわち、密封部が引っ掛かるのを防止することによりピペットチップの排出が確実に行える。
【0092】
本実施形態において、区画3、4は円柱状である。移行領域U3もまた、内側に延出した3個のリング状膨らみV31、V32、V33を有して本質的に円柱状である。
【0093】
図20に、本発明の第17の特定の実施形態を示す。
【0094】
区画1、2、及び移行領域U1は上述の実施形態と同様に設計されている。しかし、これらの区画及び領域の構成は本発明との関連で説明した特徴の範囲内で変化し得る。
【0095】
区画2と区画3の間の移行領域U2は基本的に、S2と区画3の間の丸みを帯びた移行領域を有する段差S2として設計されている。段差S2には、突起K21、K22、K23のグループが、周方向に連続的又は不連続的に配置されていて軸方向上向き/逆向きに延出している。突起群K21、K22、K23は、それぞれ段差S2の周方向に円状に配置されている。突起K21は直径DK21の環状線上に、突起K22は直径DK22の環状線上に、突起K23は直径DK23の環状線上にそれぞれ配置されているため、D3>DK21>DK22>DK23<D4である。一方、最内側の突起K23の軸方向の延出(段差面に対する高さ)は、高さがほぼ同じであるが高さが異なり得る2個の外側突起K22、K21の軸方向の延出よりも大きい。代替的に突起K21、K22及びK23は全て同じ高さであってもよい。突起K21、K22、K23のグループの個数は3個よりも多くても少なくてもよい。
【0096】
グループに属する突起K21、K22、K23はそれぞれ周方向に互いに間隔を空けて配置されている。断面形状は、小型のピン又はピラミッド形状で、ガウス曲線等の(半)球状であってよい。突起K21、K22、K23は、例えば、減衰機能を提供したり、それらを押圧するパンチが弾性反力を受けるようにある程度の弾性を有していてよい。
【0097】
移行領域U3は、上述の実施形態とほぼ同様に形成されている。移行領域U3は区画3と区画4の間で内側に(半径方向又は斜め方向に)延出した環状の突起又は膨らみV31、V32、V33を有し、これらの突起は同じ直径(D5=D6)を有している。突起V31、V32、V33は、この場合3個の突起であって全内周に沿って延在している。これらの断面は本質的に同一であり、すなわちほぼ同じサイズと形状を有している。しかし、個数、大きさ、形状は異なっていてよい。
【0098】
(内側に膨らんだ)突起V31、V32、V33の形状は、前側面と後側面を有する湾曲した隆起である。
【0099】
本実施形態において、区画3及び4は円柱状である。内側に延出した3個のリング状膨らみV31、V32、V33を担持する移行領域U3もまた本質的に円柱状である。移行領域U3の上端の直径D5は、移行領域U3の下端での直径D6よりも小さいか又は等しくてよい。
【0100】
図21~23に、本発明の更なる実施形態を示し、そのいくつかは上述の実施形態の特徴の組み合わせであり、いくつかは新たな特徴を導入している。特に議論された詳細の任意の組み合わせも、本開示の範囲に含まれるものとする。
【0101】
図21の詳細部分Yは図19の詳細部分Yにほぼ対応している。区画3は、下端で移行領域U3を介して区画4に連続的に移行する内側に丸く膨らんだビードB3で形成される。区画4は(先細の)円錐又は円柱であってよい。したがって「D5はD6以下」が成り立つ。
【0102】
図22の詳細部分Zは、図22に示す実施形態では突起V31、V32、V33の半径方向の高さが異なるという事実を除いて図20に示す実施形態の対応する詳細部分とほぼ同等である。詳細部分Yの更なる特性について図20との関連で説明する。特に、突起の個数を1個に減らしてよく、又は更なる突起を追加してもよいことに注意されたい。
【0103】
図23の実施形態は、詳細部分Zの領域以外は図22の実施形態に対応している。図23では、半径方向突起V31が1個だけ設けられて円柱状区画3と円錐状区画4の間に位置しているため、突起V31の上端に直接位置する領域、及び突起V31の下端に位置する領域の直径はほぼ等しく、又は区画4の突起V31の下端の直径D6は区画3の突起V31の上端の直径D5よりも大きい。
【0104】
図24に、本発明の第21の特定の実施形態を示す。ここでは、(第2の開口部O2に向かって)下向きに広がる円錐状区画2(D2<D3)、平坦な段差面を有する段差状移行領域U2、及び円柱状又は下向きに広がる円錐状区画3が設けられている(D3>D4、D4=D5又はD4<D5)。区画4もまた円柱状又は下向きに広がる円錐状区画である(D6=D7又はD6<D7)。
【0105】
移行領域U3は、周方向に連続する低く内側に延出した突起を有している。直径DVはD5及びD6よりも小さい。D5<D6が成り立つ場合がある。
【0106】
本実施形態の例において、第4の区画4と第5の区画5の間の移行領域U4は特別に設計されている。移行領域U4は、内側に延出した半径方向の段差と、段差の内縁に隣接して第5の区画5に移行する円錐状区画を有している。本実施形態は充填量が少ないピペットチップに有用である。
【0107】
図25に、本発明の第22の特定の実施形態を示す。本実施形態は、(第2の開口部O2の方向に)円錐状に広がる第1の区画1及び第2の区画2(D2<D3)を有している。移行領域U2は図24のものに対応している。移行領域U3には本実施形態で円柱状(D4=D5)の第3の区画3が隣接している。第3の区画3と第4区画4の間の移行領域U3は連続している。移行領域U3はエッジである。第4の区画4は先細コーンとして設計されていて第3の区画3に直接隣接している。第3の区画の下端、すなわち第4の区画4と第5の区画5の間の移行領域U4に、同じく円錐状の先細区画5が直接かつ連続的に接続されている。第5の区画の円錐は第5の区画のものよりも平坦である。
【0108】
図26に、例えば図22、23に示すような突起V31の半径R1、R2及びR3の異なる変形例を示す。図26のa.~f.において、第3の区画3及び第4の区画4は各々円柱状であるため、突起V31の上端(第3の区画)及び下端(第4の区画)の直径D5及びD6に対してD5=D6又はD5<D6が成り立つ。
【0109】
図27、28に、図26と同様であるが図27では突起V31の下端で第4の区画4が円錐状に先細である点が異なる変形例を示す。しかし、円錐状に広がるように設計されていてもよい。図28において、突起V31の上端で第3の区画3が先細である。しかし、円錐状に広がるように設計されていてもよい。円錐状及び円柱状の区画3、4の組み合わせと、突起V31の半径R1、R2、R3の条件を所望の仕方で組み合わせてもよい。
【0110】
図29に、本発明の更なる実施形態を示すが、第1の実施形態に良く対応しているため詳細な説明は省略する。
【0111】
第1の実施形態とは異なり、当該ピペットチップPは第3の移行領域U3を有し、その断面は図26~28に示す実施形態に対応していてよい。特に、第3の移行領域U3の直下の直径D6は第3の移行領域U3の直上の直径D5よりも大きい。
【0112】
第2の区画2は上から下に円錐状に広がっており、D2はD3よりも小さい。第3の区画3は本質的に直径D5の円柱状である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26a
図26b
図26c
図26d
図26e
図26f
図27a
図27b
図27c
図28a
図28b
図28c
図29
【国際調査報告】