(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】透明性と印刷性に優れた収縮ラベル用フィルム
(51)【国際特許分類】
G09F 3/04 20060101AFI20241114BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20241114BHJP
C08L 57/02 20060101ALI20241114BHJP
B32B 7/028 20190101ALI20241114BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20241114BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20241114BHJP
C09J 145/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G09F3/04 C
C08L23/00
C08L57/02
B32B7/028
B32B27/32 E
C09J7/30
C09J145/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529396
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2022014912
(87)【国際公開番号】W WO2023096140
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163638
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ、ソン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ ヌ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ユ ナ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK02A
4F100AK02C
4F100AK03B
4F100AK07B
4F100AK62B
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4F100BA07
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4F100JA04B
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4J002BA012
4J002BB053
4J002BB124
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4J002GG00
4J004AA07
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4J004CC03
4J004EA06
4J004FA01
4J040DA021
4J040DA111
4J040DK001
4J040LA02
4J040NA06
4J040PA30
4J040PB18
(57)【要約】
非接着式ポリオレフィン系素材を利用した収縮ラベル用フィルムにおいて、透明性と剛性が向上された収縮ラベル用フィルムが開示される。本発明はスキン層と、コア層と、シール層とを含む収縮ラベル用フィルムであって、前記スキン層及びシール層は環状オレフィン樹脂70乃至90重量部、及び線形低密度ポリエチレン10乃至30重量部を含み、前記コア層は環状オレフィン樹脂5乃至25重量部、プロピレン共重合体60乃至85重量部、及び改質剤1乃至20重量部を含む収縮ラベル用フィルムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキン層と、コア層と、シール層とを含む収縮ラベル用フィルムであって、
前記スキン層及びシール層は環状オレフィン樹脂を含み、
前記コア層は、プロピレンとエチレンまたはα-オレフィンのうちから選択される2種のオレフィンとの三元共重合体40乃至90重量部と、軟化点が120乃至140℃の石油樹脂5乃至30重量部と、ポリオレフィンエラストマー5乃至30重量部とを含む収縮ラベル用フィルム。
【請求項2】
前記環状オレフィン樹脂はガラス転移温度(Tg)が60乃至75℃であることを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項3】
前記スキン層及びシール層は線形低密度ポリエチレンを含まないことを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項4】
前記三元共重合体は融点(Tm)が123乃至138℃、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が2乃至10g/10minであり、前記2種のオレフィンはエチレン及び1-ブテンであることを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項5】
前記エチレン及び1-ブテンは、前記三元共重合体のうちそれぞれ1乃至5重量%含まれることを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項6】
前記ポリオレフィンエラストマーは、密度が0.85乃至0.9g/cm
3、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が0.5乃至10g/10minであるプロピレン-エチレンゴム(PER)またはプロピレン-ブテンゴム(PBR)であることを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項7】
前記コア層はプロピレン単独重合体を0.1乃至20重量部更に含むことを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項8】
前記プロピレン単独重合体は溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が1乃至10g/10minであることを特徴とする請求項7に記載の収縮ラベル用フィルム。
【請求項9】
前記フィルムは密度が1g/cm
3未満で、下記方法によって測定された収縮率が40%以上で、剛性(stiffness)が4.5gf/50μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の収縮ラベル用フィルム:
[収縮率の測定方法]
横方向(TD)に延伸されたフィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、100℃の温水槽に各10秒間浸漬した後、寸法を測定し、下記数式(1)によって横方向(TD)収縮率を計算し平均収縮率として示す。
【数1】
[剛性(stiffness)の測定方法]
LOOP STIFFNESS TESTER(TOYOSEIKI社製)を利用し、延伸されたフィルムを25mm×150mmのサイズに切断して、試験機の左右クランプ(フィルム固定装置)の間隔を50mmにして固定した後、両クランプの外にはみ出ている部分は切り取って、クランプの間隔がなくなるようにフィルムを曲げて形成されたLOOP状の試片の端部分がRecoder(荷重装置)で60mm/minの速度で押される際にかかる荷重(gf)を測定する。
【請求項10】
前記フィルムはヘイズ(ASTM D1003、厚さ50μm)が8%未満で、下記方法によって測定された縦方向(MD)の引張強度が250乃至500kgf/cm
2で、横方向(TD)の伸び率が30%以上であることを特徴とする請求項9に記載の収縮ラベル用フィルム:
[測定方法]
製造された紙片(ASTM D638 Type IV規格)に対し、ASTM D638に従って万能材料試験機を利用して50mm/minの条件下で縦方向(MD)の引張強度を測定し、前記引張強度の測定と同じ条件でフィルムが破綻するまでの横方向(TD)の伸び率を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収縮ラベル用フィルムに関し、より詳しくは、透明性と印刷性に優れた収縮ラベル用フィルムに関する。
【0002】
本出願は2021年11月24日付けで出願された韓国特許出願第10-2021-0163638号に対する優先権及び利益を主張し、この出願はその全文が本願に参照として含まれる。
【背景技術】
【0003】
PETボトルなど、各種プラスチック容器には一般に外面に印刷層が形成されたラベルが取り付けられている。このようなラベルの種類としては接着式ラベルと非接着式ラベルがあり、これは容器とラベルとの間の接着剤の使用有無によって区分される。
【0004】
接着式ラベルの場合は通常ポリプロピレン資材を使用して製造され、非接着式ラベルの場合はポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどを主に使用して製造される。ラベルが取り付けれているポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)などの容器は、使用後粉砕されてペレット化された後、リサイクル工程を経て容器としてリサイクルされる。この際、リサイクル工程はペレット化された容器を水に投入し、比重差によって分類される。
【0005】
一方、環境部は包装材のリサイクル容易性の等級基準を施行(環境部告示第2019-255号、19.12.30.施行)しており、それによると比重が1未満の非接着式ラベルを最優秀リサイクル容易性等級として区分しているため、比重が1未満の非接着式ラベルの開発が求められている。
【0006】
非接着式ラベルの物性において、従来のPS、PET、ポリ塩化ビニル(PVC)などの場合は比重が大きいため、比重が1未満のポリオレフィン素材の使用を考慮し得るが、ポリオレフィン素材のフィルムは収縮性及びシーミング(seaming)性を与えることが難しく、環状オレフィン樹脂(Cyclic Olefin Copolymer、COC)を添加してフィルムを成形している。
【0007】
一方、ラベルの場合は生産されたフィルムにグラビア(Gravure)印刷を行うが、この際、フィルムの縦方向(MD)の引張強度が低ければロール(Roll)にかかるテンション(Tension)が低く、印刷の際に生産性が低下する。また、印刷の際にフィルムのヘイズ(Haze)が高ければ、印刷された製品の外観の鮮明度及び審美的な部分において製品性が落ちてしまう。
【0008】
日本特許公報第6268136号は、環状オレフィン系樹脂及びエチレン系樹脂を含む表裏層と、オレフィン系樹脂と可塑性樹脂とを含む中間層で構成される熱収縮性多層フィルムを開示しているが、フィルムのヘイズが高く、縦方向(MD)の引張強度が低いため、印刷の際にテンションを調節することが難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はポリオレフィン系素材を利用した収縮ラベル用フィルムにおいて、比重が1未満の非接着式ラベルとして向上されたシーミング特性、剛性、及び収縮性を維持しながらも、透明性と印刷性が向上された収縮ラベル用フィルムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、スキン層と、コア層と、シール層とを含む収縮ラベル用フィルムであって、前記スキン層及びシール層は環状オレフィン樹脂を含み、前記コア層は、プロピレンとエチレンまたはα-オレフィンのうちから選択される2種のオレフィンとの三元共重合体40乃至90重量部と、軟化点が120乃至140℃の石油樹脂5乃至30重量部と、ポリオレフィンエラストマー5乃至30重量部とを含む収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0011】
また、前記環状オレフィン樹脂はガラス転移温度(Tg)が60乃至75℃であることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0012】
また、前記三元共重合体は融点(Tm)が123乃至138℃、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が2乃至10g/10minであり、前記2種のオレフィンはエチレン及び1-ブテンであることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0013】
また、前記エチレン及び1-ブテンは、前記三元共重合体のうちそれぞれ1乃至5重量%含まれることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0014】
また、前記ポリオレフィンエラストマーは、密度が0.85乃至0.9g/cm3、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が0.5乃至10g/10minであるプロピレン-エチレンゴム(PER)またはプロピレン-ブテンゴム(PBR)であることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0015】
また、前記コア層はプロピレン単独重合体を0.1乃至20重量部更に含むことを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0016】
また、前記プロピレン単独重合体は溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が1乃至10g/10minであることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0017】
また、前記フィルムは密度が1g/cm
3未満で、下記方法によって測定された収縮率が40%以上で、剛性(stiffness)が4.5gf/50μm以上であることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
[収縮率の測定方法]
横方向(TD)に延伸されたフィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、100℃の温水槽に各10秒間浸漬した後、寸法を測定し、下記数式(1)によって横方向(TD)収縮率を計算し平均収縮率として示す。
【数1】
[剛性の測定方法]
LOOP STIFFNESS TESTER(TOYOSEIKI社製)を利用し、延伸されたフィルムを25mm×150mmのサイズに切断して、試験機の左右クランプ(フィルム固定装置)の間隔を50mmにして固定した後、両クランプの外にはみ出ている部分は切り取って、クランプの間隔がなくなるようにフィルムを曲げて形成されたLOOP状の試片の端部分がRecoder(荷重装置)で60mm/minの速度で押される際にかかる荷重(gf)を測定する。
【0018】
また、前記フィルムはヘイズ(ASTM D1003、厚さ50μm)が8%未満で、下記方法によって測定された縦方向(MD)の引張強度が250乃至500kgf/cm2で、横方向(TD)の伸び率が30%以上であることを特徴とする収縮ラベル用フィルムを提供する。
[測定方法]
製造された紙片(ASTM D638 Type IV規格)に対し、ASTM D638に従って万能材料試験機を利用して50mm/minの条件下で縦方向(MD)の引張強度を測定し、前記引張強度の測定と同じ条件でフィルムが破綻するまでの横方向(TD)の伸び率を測定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、スキン層と、コア層と、シール層とを含む収縮ラベル用フィルムにおいて、スキン層及びシール層に従来の線形低密度ポリエチレンを使用せず、コア層をプロピレン三元共重合体、石油樹脂、及びポリオレフィンエラストマーで組成し、更にポリプロピレン単独重合体を含ませて、比重が1未満の非接着式ラベルとして向上されたシーミング特性、剛性、及び収縮性を維持しながらも、透明性と印刷性が向上された収縮ラベル用フィルムを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】収縮ラベル用フィルムを利用したラベリング工程(Shooting及び収縮)とスリーブ(Sleeve)製造工程を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の試験例におけるフィルムの接着有無を確認する部位を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、好ましい実施例を介して本発明を詳細に説明する。その前に、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常的であるか辞書的な意味に限って解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るとの原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。よって、本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願の時点において、これらを代替し得る多様な均等物と変形例が存在し得るということを理解すべきである。
【0022】
本発明は、スキン層と、コア層と、シール層とを含む収縮ラベル用フィルムであって、前記スキン層及びシール層は環状オレフィン樹脂を含み、前記コア層は、プロピレンとエチレンまたはα-オレフィンのうちから選択される2種のオレフィンとの三元共重合体40乃至90重量部と、軟化点が120乃至140℃の石油樹脂5乃至30重量部と、ポリオレフィンエラストマー5乃至30重量部とを含む収縮ラベル用フィルムを開示する。
【0023】
本発明は、比重が1未満の非接着式ラベルとして向上されたシーミング特性、剛性、及び収縮性を維持しながらも、透明性と印刷性が向上された収縮ラベル用フィルムを提供する。
【0024】
図1は、収縮ラベル用フィルムを利用したラベリング工程(Shooting及び収縮)とスリーブ製造工程を説明するための模式図である。
図1に示したように、前記シーミング特性はスリーブを製造する際にフィルムの間を接着するための必須的な物性であり、前記剛性はラベルをボトルに挿入するための工程(Shooting工程)が円滑に行われるようにするために、フィルムに一定値(約4.5gf)以上求められる剛性(Loop Stiffness)であり、前記透明性はフィルムに印刷する際にフィルムの外観に影響を及ぼし、前記収縮(TD方向)はラベルシューティング(Shooting)の後、熱収縮トンネルを通過する際にフィルムをボトル容器などに密着させるために必要な物性である。
【0025】
本発明において、スキン層及びシール層にそれぞれ使用される前記環状オレフィン樹脂は、基本的にポリプロピレン素材の収縮性及びシーミング性を与えるために使用される成分であって、ガラス転移温度(Tg)が60乃至75℃のものが使用され得るが、好ましくは62乃至68℃のものが使用され得る。前記ガラス転移温度が60℃未満であれば低温収縮が発生し、夏場に大気温度が上昇したら収縮ラベル用フィルムの寸法安定性が低下し得、75℃を超過すれば収縮ラベル用フィルムの製造工程のうち延伸工程で延伸方向への延伸温度が高くならなければならないため、フィルムの熱収縮性が低下し得る。
【0026】
前記環状オレフィン樹脂は環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであって、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィンであれば特に限らないが、例えば、前記環状オレフィン樹脂は環状オレフィンの重合体またはその水素添加物、環状オレフィンとα-オレフィンの共重合体またはその水素添加物などであり得る。また、これらの重合体に親水性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/または共重合させたものであり得る。これらの環状オレフィン樹脂は単独で使用されてもよく、2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
【0027】
ここで、従来は前記スキン層及びシール層にフィルムの比重を下げるために線形低密度ポリエチレンを混合していたが、線形低密度ポリエチレンによる透明性の低下を防止するために、本発明では前記スキン層及びシール層に線形低密度ポリエチレンを排除し、コア層の組成を変化させることでフィルムの比重が1未満を満足するようにした。つまり、従来の収縮ラベル用フィルムの場合はスキン層及びシール層に線形低密度ポリエチレンを含有すれば10%以上のヘイズを示したが、それを排除することでヘイズが4.5%以下の水準まで透明性を改善し得る。
【0028】
本発明において、前記コア層は、前記スキン層及びシール層に環状オレフィン樹脂を使用することで向上された物性が低下しない限度内でフィルムの比重を下げると共に、フィルムの優れた剛性、収縮性、及びシーミング性を維持するという側面から、プロピレンとエチレンまたはα-オレフィンのうちから選択される2種のオレフィンとの三元共重合体と、石油樹脂と、ポリオレフィンエラストマーとを含むことが最も適合していると確認された。
【0029】
前記三元共重合体として、好ましくはエチレン-プロピレン-α-オレフィン三元共重合体であり得、α-オレフィンは炭素数4乃至10であって、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル1-ペンテン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどであり得るが、好ましくは1-ブテンであり得る。エチレン-プロピレン-α-オレフィン三元共重合体の場合、エチレン及びα-オレフィンの含量はそれぞれ1乃至5重量%であり得る。
【0030】
また、前記三元共重合体は融点(Tm)が123乃至138℃、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が2乃至10g/10minのものが好ましく使用され得るが、より好ましくは融点(Tm)が126乃至135℃、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が4乃至8g/10minであり得る。
【0031】
本発明において、前記コア層を構成する石油樹脂はフィルムの透明性を改善すると共に剛性を向上させるために混合される改質剤である。前記石油樹脂はナフタなどの高温熱分解油の中にある高級不飽和炭化水素を原料にし、酸性触媒で重合させて得られる分子量2,000g/mol以下の淡黄色または黒褐色の熱可塑性樹脂であって、本発明では剛性向上の観点から軟化点が120乃至140℃、好ましくは120乃至130℃の石油樹脂が使用され得る。
【0032】
石油樹脂として、芳香族石油樹脂の場合、主な成分はスチレンビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデンの共重合体であり得、脂肪族石油樹脂の場合はナフタの分解工程のうちオレフィン工程で生産される油分のうちC5油分を原料にして製造される樹脂であって、主な成分はイソプレン、ピぺリレン-2-メチルブテン-1などの共重合体であり得る。また、脂肪族石油樹脂はジシクロペンタジエンを原料にして製造される石油樹脂を含み得る。また、水素添加石油樹脂の場合は前記芳香族石油樹脂と前記脂肪族石油樹脂に水素を添加して形成される樹脂であって、ジシクロペンタジエンを原料にして製造され、水素が添加された石油樹脂を含み得る。
【0033】
本発明において、前記コア層には構成成分間の相溶性を増加させることで分散及び流動性を改善すると共に、特に横方向(TD)の伸び率を増大させるためにポリオレフィンエラストマー(POE)を含む。つまり、収縮フィルムの横方向(TD)の伸び率(Elongation)が低ければ炭酸飲料などの製品のラベルに適用する際にラベルが裂ける現象が発生し得るが、本発明ではコア層にポリオレフィンエラストマーを混合することで、従来に比べ横方向(TD)の伸び率を50%以上の水準まで向上させ得る。
【0034】
このような目的を考慮して、前記ポリオレフィンエラストマーは密度が0.85乃至0.9g/cm3、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が0.5乃至10g/10minであり得るが、好ましくは密度が0.86乃至0.89g/cm3、及び溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が2乃至8g/10minであり得る。
【0035】
前記ポリオレフィンエラストマーはプロピレンとエチレンまたはα-オレフィンのうちから選択されるオレフィンとの共重合体であり得るが、好ましくはプロピレンと5乃至20重量%含量のエチレンが共重合されたエチレン-プロピレンゴムであるか、プロピレンと10乃至30重量%含量のブテンが共重合されたエチレン-ブテンゴムであり得、より好ましくはプロピレンと10乃至20重量%含量のエチレンが共重合されたエチレン-プロピレンゴムであり得る。
【0036】
本発明において、前記コア層にはプロピレン単独重合体を更に含むことで縦方向(MD)の引張強度を向上させる。つまり、収縮ラベル用フィルムを印刷する際、縦方向(MD)の引張強度が低ければロールテンション(Roll Tension)の調節が難しいため印刷速度が減少するようになるが、コア層の組成としてプロピレン単独重合体を0.1乃至20重量部、好ましくは1乃至10重量部混合してフィルムの縦方向(MD)の引張強度を改善することで印刷速度を向上させ得る。
【0037】
また、このような縦方向(MD)の引張強度を改善するという目的を考慮し、前記プロピレン単独重合体は溶融指数(230℃、2.16kg荷重)が1乃至10g/10minであり得るが、好ましくは2乃至5g/10minであり得る。
【0038】
本発明では前記成分の組み合わせの各層で一定範囲の成分の含量比によって収縮ラベル用フィルムとして目的とする向上されたシーミング性、剛性、及び収縮性を維持すると共に、透明性と印刷性を向上させる具現を可能にする。そのために、前記コア層では前記三元共重合体が40乃至90重量部、前記石油樹脂が5乃至30重量部、及び前記ポリオレフィンエラストマーが5乃至30重量部の含量範囲で含まれる。好ましくは、前記三元共重合体が50乃至80重量部、前記石油樹脂が5乃至25重量部、及び前記ポリオレフィンエラストマーが10乃至25重量部の含量範囲で含まれ得る。
【0039】
前記コア層において前記三元共重合体の含量が40重量部未満であれば延伸の際に透明性が低下し、90重量部を超過すればフィルムの収縮性が低下する。また、前記石油樹脂の含量が30重量部を超過すればフィルムの収縮性が低下する。また、前記ポリオレフィンエラストマーの含量が10重量部未満であればフィルムの収縮性及び伸び率が低下し、30重量部を超過すればフィルムの剛性、透明性、及び引張強度が低下する。
【0040】
一方、本発明において、前記環状オレフィン樹脂とポリオレフィンとの粘度差による流れのむらが発生し得るが、そのような問題点を解決するために、スキン層、コア層、及びシール層はそれぞれ溶融混錬(melt blend)された組成物からなるようにし得、それぞれの組成物をラミネートしてフィルムを製造し得る。それによって、各層の原料の流動性の差によるフィルム延伸前の溶融混錬によって、分散性を向上させると共にフィルム成形後に円滑な延伸工程が行われるようにし得る。
【0041】
本発明による収縮ラベル用フィルムを構成する各層の樹脂組成は本発明を目的を損なわない限り、必要によって各種添加剤、例えば、酸化防止剤、触媒中和剤、顔料、分散剤、耐候剤、帯電防止剤、UV安定剤、タルクなどを1種以上更に含有し得る。このような添加剤の使用量は、それぞれ本発明による収縮ラベル用フィルムの特性に影響を及ぼさずにそれを製造するのに使用可能なものとして知られている範囲内で全体の製造量及び製造工程などを考慮して調節し得る。
【0042】
本発明において、前記成分を利用したフィルムの製造は当業界に知られている通常の方法により得る。例えば、各層を構成する前記成分をそれぞれ必要な量でミキサに投入し混合した後、押出器を利用して180乃至240℃でペレット状に製造し、多層フィルム成形機によって溶融成形してフィルム(film)化することで収縮ラベル用フィルムを製造し得る。
【0043】
この際、多層フィルム成形機を利用して、スキン層:コア層:シール層の厚さの比率を、例えば1:5乃至10:0.5乃至1.5に構成し、厚さ175乃至200μmのシート状に成形した後、延伸部80乃至85℃、予熱部95乃至100℃、及び熱固定部75乃至80℃の条件で延伸比3.5乃至5倍に延伸された最終厚さ50μm水準のフィルムを製造し得る。
【0044】
以上の本発明による収縮ラベル用フィルムは、比重が1未満の非接着式ラベルとして向上されたシーミング特性、剛性、及び収縮性を維持しながらも、透明性と印刷性が向上された収縮ラベル用フィルムを提供し得るが、詳しくは、本発明による収縮ラベル用フィルムは、密度が1g/cm
3未満で、下記方法によって測定された収縮率が40%以上、好ましくは45%以上で、剛性が4.5gf/50μm以上、好ましくは5gf/50μm以上であり得、ヘイズ(ASTM D1003、厚さ50μm)が8%未満、好ましくは4.5以下で、下記方法によって測定された縦方向(MD)の引張強度が250乃至500kgf/cm
2、好ましくは260乃至400kgf/cm
2で、横方向(TD)の伸び率が30%以上、好ましくは35%以上であり得る。
[収縮率の測定方法]
横方向(TD)に延伸されたフィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、100℃の温水槽に各10秒間浸漬した後、寸法を測定し、下記数式(1)によって横方向(TD)収縮率を計算し平均収縮率として示す。
【数2】
[剛性の測定方法]
LOOP STIFFNESS TESTER(TOYOSEIKI社製)を利用し、延伸されたフィルムを25mm×150mmのサイズに切断して、試験機の左右クランプ(フィルム固定装置)の間隔を50mmにして固定した後、両クランプの外にはみ出ている部分は切り取って、クランプの間隔がなくなるようにフィルムを曲げて形成されたLOOP状の試片の端部分がRecoder(荷重装置)で60mm/minの速度で押される際にかかる荷重(gf)を測定する。
[引張強度及び伸び率の測定方法]
製造された紙片(ASTM D638 Type IV規格)に対し、ASTM D638に従って万能材料試験機を利用して50mm/minの条件下で引張強度を測定し、前記引張強度の測定と同じ条件でフィルムが破綻するまでの横方向(TD)の伸び率を測定する。
【実施例】
【0045】
以下、具体的な実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。実施例及び比較例に使用された成分の仕様を下記表1にまとめて示しており、物性の測定方法は以下のようである。
[測定方法]
-密度:ASTM D1505の密度勾配管法によって測定した。
-溶融指数:ASTM D1238の規格に従って、190℃または230℃で荷重2.16kgの条件で測定した。
-融点(Tm):ASTM D3418の規格に従って測定した。示差走査熱量計(DSC、TA Instruments社製)を使用し、窒素ガス大気下で220℃で5分間試片10mgを予備溶融した後、温度を10℃/minの減温速度で40℃に降下した。次に、温度を10℃/minの昇温速度で上昇させ、収得した溶融吸熱曲線の最大ピークのピーク温度を融点(Tm)として定義した。
-ガラス転移温度(Tg):ASTM D3418の規格に従って測定した。示差走査熱量計(DSC、TA Instruments社製)を使用し、窒素ガス大気下で220℃で5分間試片10mgを予備溶融した後、温度を10℃/minの減温速度で-80℃に降下した。次に、温度を10℃/minの昇温速度で上昇させながら、ガラス転移の転換開始地点と終了地点の高さの中間値をガラス転移温度(Tg)と算出し定義した。
-軟化点(VICAT):ASTM D1525の規格(石油樹脂の場合はASTM E28の規格)に従って測定した。浸透型試験で厚さ3mmの試片に1kgまたは5kgの荷重を加え、50℃/hrの速度で均一に昇温させながら、表面積が1mm
2の標準針が紙片を1mm浸透した際の温度を軟化点と定義した。
【表1】
【0046】
<実施例及び比較例>
下記表2の組成で各層別に溶融混合物(2軸スクリュー押出器を使用)を準備した後、各層別の混合物を多層フィルム成形機を利用してスキン層、コア層、及びシール層の厚さの比率を1:8:1または1.5:7.1:5に構成し、厚さ175乃至200μmのシート状に成形した後、成形後延伸部80乃至85℃、予熱部98℃、及び熱固定部78℃の条件で延伸比3.8乃至4.8倍に延伸して、最終厚さ50μmのフィルムを製造した。
【0047】
<試験例>
前記製造されたフィルムに対して下記方法で物性を測定し、その結果を下記表2に示した。
[物性の測定方法]
-収縮率::横方向(TD)に延伸されたフィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、100℃の温水槽に各10秒間浸漬した後、寸法を測定し、下記数式(1)によって横方向(TD)収縮率を計算し平均収縮率として示した。
【数3】
-シーミング:Solvent(トルエン、クロロホルム、リモネン、またはα-ピネン)を綿棒につけ、延伸されたフィルムの外面と背面の接着有無を確認した(
図2を参照)。
-ヘイズ:ASTM D1003の規格に従って測定した。
-剛性:LOOP STIFFNESS TESTER(TOYOSEIKI社製)を利用し、延伸されたフィルムを25mm×150mmのサイズに切断して、試験機の左右クランプ(フィルム固定装置)の間隔を50mmにして固定した後、両クランプの外にはみ出ている部分は切り取って、クランプの間隔がなくなるようにフィルムを曲げて形成されたLOOP状の試片の端部分がRecoder(荷重装置)で60mm/minの速度で押される際にかかる荷重(gf)を測定した。
-引張強度及び伸び率::製造された紙片(ASTM D638 Type IV規格)に対し、ASTM D638に従って万能材料試験機を利用して50mm/minの条件下で縦方向(MD)の引張強度を測定し、前記引張強度の測定と同じ条件でフィルムが破綻するまでの横方向(TD)の伸び率を測定した。
【表2】
【0048】
表2を参照すると、本発明によってスキン層及びシール層に環状オレフィン樹脂を適用し、コア層をプロピレン三元共重合体、石油樹脂、及びポリオレフィンエラストマーで組成すれば、大体良好な収縮特性、シーミング性、及び剛性を維持しながらも、透明性と引張強度を向上させたが、但し、コア層にポリオレフィンエラストマーとしてPERを使用するか(実施例5乃至9)、プロピレン単独重合体を更に混合する場合(実施例2乃至6、8及び9)は、このような効果が著しく向上されることが分かる。
【0049】
それに対し、スキン層及びシール層に線形低密度ポリエチレンを混合する場合(比較例1及び2)は透明性が著しく低下し、伸び率も多少低下することが分かる。
【0050】
これまで本発明の好ましい実施例を詳細に説明した。本発明の説明は例示のためのものであって、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずとも他の具体的な形態に容易に変更し得ることを理解できるはずである。
【0051】
よって、本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。
【国際調査報告】