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特表2024-543525鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   C21B 13/02 20060101AFI20241114BHJP
   F27B 1/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C21B13/02
F27B1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529472
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 SE2022050976
(87)【国際公開番号】W WO2023101585
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】2151459-1
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522429011
【氏名又は名称】ハイブリット ディベロップメント アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルオナ,トミー
【テーマコード(参考)】
4K012
4K045
【Fターム(参考)】
4K012DC03
4K012DC05
4K012DC09
4K012DC10
4K045AA02
4K045BA02
4K045GB15
(57)【要約】
鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステムは、直接還元シャフト(1)を備え、この還元シャフト(1)は、還元シャフト(1)内でその動作中に発生する圧力に耐えるように構成された外壁(2)、及び外壁(2)を、熱から保護すると共に、還元シャフト(1)内で還元される鉄鉱石との直接接触から保護するように構成された、耐熱性の内壁(3)であって、外壁(2)の内側に配設されて、鉄鉱石の還元が行われる処理室(4)を画定する内壁(3)を含む。処理室(4)内に還元ガスを導入するための装置(5)は、外壁(2)と内壁(3)とを貫通する複数の還元ガス入口(6)を含み、各入口(6)には、還元ガスをそれぞれの入口(6)に導くためのそれぞれのガスライン(7)が設けられており、各ガスライン(7)には、外壁(2)の外側に配設されて、還元ガスがそれぞれの入口(6)を通り処理室(4)に入る前に、それぞれのガスライン(7)内の還元ガスを加熱するように構成されている、それぞれのヒータデバイス(8)が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステムにおいて、
直接還元シャフト(1)であって、
前記還元シャフト(1)内でその動作中に発生する圧力に耐えるように構成された外壁(2)、及び
前記外壁(2)を、熱から保護すると共に、前記還元シャフト(1)内で還元される前記鉄鉱石との直接接触から保護するように構成された、耐熱性の内壁(3)であって、前記外壁(2)の内側に配設されて、前記鉄鉱石の前記還元が行われる処理室(4)を画定する内壁(3)を含む、直接還元シャフト(1)と、
前記外壁(2)及び前記内壁(3)を通り前記外壁(2)の外側から前記処理室(4)中に還元ガスを導入するための装置(5)と
を備えるシステムであって、
前記処理室(4)内に還元ガスを導入するための前記装置(5)が、前記外壁(2)と前記内壁(3)とを貫通する複数の還元ガス入口(6)を含み、
各入口(6)には、還元ガスを前記それぞれの入口(6)に導くためのそれぞれのガスライン(7)が設けられており、
各ガスライン(7)には、前記外壁(2)の外側に配設されて、前記還元ガスが前記それぞれの入口(6)を通り前記処理室(4)に入る前に、前記それぞれのガスライン(7)内の前記還元ガスを加熱するように構成されている、それぞれのヒータデバイス(8)が設けられていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
各ヒータデバイス(8)が電気ヒータデバイス(8)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各ヒータデバイス(8)が、前記それぞれのガスライン(7)の一部を形成し、その中で前記還元ガスを導くように構成されたチャネル内に配設された、電気抵抗エレメントを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各ヒータデバイス(8)が、前記それぞれのガスライン(7)の一部を形成し、その中の前記還元ガスを導くように構成されたチャネル内に配設された、1つまたは複数の電気抵抗エレメントを含み、各抵抗エレメントは、その長手方向を概して垂直方向にして延びており、各ヒータデバイス(8)は、水平方向におけるその最大延長よりも実質的に大きい、前記垂直方向における延長を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヒータデバイス(8)が、前記外壁(2)の外周のまわりに均等に分布している、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記それぞれのヒータデバイス(8)は、前記ヒータデバイス(8)を流れる前記還元ガスを、前記還元ガスが前記処理室(4)に入るときに持つべき要求温度まで加熱するように、構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
各ガスライン(7)には、前記入口(6)と前記ガスヒータデバイス(8)との間の、前記ガスヒータデバイス(8)の下流に設けられた第1のバルブ(9)が設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
各ガスライン(7)には、前記ガスヒータデバイス(8)の上流に配設された第2のバルブ(10)が設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
還元ガスを導入するための前記装置(5)は、一端で還元ガス源(12)に接続されると共に、前記それぞれの入口(6)に関連づけられた前記それぞれのガスライン(7)の各々に接続されている、主還元ガスライン(11)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記メインガスライン(11)は、前記外壁(2)の外周のまわりに円周方向に延びるリングチャネル(13)を形成し、ここで、前記ガスライン(7)の各々は、前記メインガスライン(11)の前記リングチャネル(13)と一端で連通しており、前記メインガスライン(11)は、一端が前記リングチャネル(13)と接続され、他端が前記還元ガス源(12)と接続されている、メインチャネル(14)を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
還元ガスを導入するための前記装置(5)は、前記ガス源(12)を備える、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記還元ガス源(12)は、少なくとも80体積%の水素、好ましくは少なくとも90体積%の水素を含む、還元ガスを送達するように構成されたガス源である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記直接還元シャフト(1)は、前記シャフト(1)の頂部に鉄鉱石入口(15)を備え、前記処理室(4)に前記還元ガスを導入するための前記還元ガス入口(6)は、前記鉄鉱石入口(15)より実質的に下のレベルに位置し、前記還元ガス入口(6)の前記レベルより上のレベルに設けられた少なくとも1つのオフガス出口(16)があり、前記還元ガス入口(6)の前記レベルより下のレベルにスポンジ鉄出口(17)が設けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記直接還元シャフト(1)は、50~150メートルの範囲の高さと、4~10メートルの範囲の直径とを有し、各ヒータデバイス(8)は、5~15メートルの領域の高さと、2~5メートルの最大幅とを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステムに関し、このシステムは、
直接還元シャフトであって、
還元シャフト内でその動作中に発生する圧力に耐えるように構成された外壁、及び
外壁を熱から保護すると共に、還元シャフト内で還元される鉄鉱石との直接接触から保護するように構成された、耐熱性の内壁であって、外壁の内側に配設されて、鉄鉱石の還元が行われる処理室を画定する(defining)内壁を含む、直接還元シャフトと、
外壁及び内壁を通り外壁の外側から処理室中に、還元ガスを導入するための装置と
を備える。
【背景技術】
【0002】
鉄鉱石のスポンジ鉄への還元のためのシステムは、還元ガスを処理室に導入するための装置を備える。還元シャフトは、通常は鋼製の外圧容器と、耐熱材料、耐火材料で作られた内壁を含む。内壁の内側には処理室がある。還元ガスは、処理室に入るときに所定の温度を有するものとする。従来技術では、このことは、還元ガスが、還元ガス源から直接還元シャフトに導かれるメインガスラインにおいて、還元ガスを予熱することによって解決される。予熱装置は大きく、その設置面積(footprint)とも呼ばれる、かなりの面積を占有する。予熱装置は室を備えてもよく、室においては、(管を含む)メインガスラインが、蛇行経路をたどり、化石燃料が使用されるバーナ装置によって加熱される。代替案として、化石燃料バーナヒータに代わる電気ヒータが提案されている。メインガスラインは予熱装置から延びると共に、圧力容器の壁を通る単一の入口を通って延びている。圧力容器の内部では、メインガスラインがリング形になり、内壁の外周に配設されたリング形の耐熱材料の本体内で、内壁の外周のまわりを走っている。リング形ガスラインの内周上に配設された、内壁を貫通する複数の出口を通り、高温の還元ガスは、最終的に直接還元シャフトの処理室に導入される。
【0003】
そのかなりの大きさ、すなわち設置面積のために、予熱装置はしばしば直接還元シャフトからある程度の距離に配設され、高温ガスは予熱装置から直接還元シャフトまでメインガスラインを経由してかなりの距離を搬送されなければならない。
【0004】
リング形の本体は、直接還元シャフトの耐熱性の内壁に局部的にかなりの厚みを加える。リング形本体が存在するため、外壁はリング形本体の区域で過度に大きい内径を有する必要があり、リング形本体の領域では外壁と内壁との間にかなりのガス充填空間が残される。
【0005】
熱損失及び/または空間の過度の占有につながる高温の不活性ガスの量を低減することは、解決すべき一般的な問題である。これは、鉄の直接還元またはスポンジ鉄への直接還元のためのシステムにおいて各瞬間に存在する、高温還元ガスに関連している。この問題の解決は、外壁(圧力容器)または耐熱性の内壁などのシャフトの大きな構成要素の設計を複雑にすることなく、また反応室の有効容積を低減することなく行うことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決する設計を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、鉄鉱石のスポンジ鉄への直接還元のためのシステムを用いて解決され、このシステムは、
直接還元シャフトであって、
還元シャフト内でその動作中に発生する圧力に耐えるように構成された外壁、及び
外壁を、熱から保護すると共に、還元シャフト内で還元される鉄鉱石との直接接触から保護するように構成された、耐熱性の内壁であって、外壁の内側に配設されて、鉄鉱石の還元が行われる処理室を画定する内壁を含む、直接還元シャフトと、
外壁及び内壁を通り外壁の外側から処理室中に還元ガスを導入するための装置と
を備え、システムは次のことを特徴とする:
処理室内に還元ガスを導入するための装置が、外壁と内壁とを貫通する複数の還元ガス入口を含み、
各入口には、還元ガスをそれぞれの入口に導くためのそれぞれのガスラインが設けられており、
各ガスラインには、外壁の外側に配設されて、還元ガスがそれぞれの入口を通り処理室に入る前に、それぞれのガスライン内の還元ガスを加熱するように構成されている、それぞれのヒータデバイスが設けられている。
【0008】
外壁を通る個別の入口を有することにより、外壁と内壁との間に設けられたリング形本体を介する還元の分配が不要となる。これにより、不活性ガスによって占められる外壁と内壁との間の過度の間隔を避けることができ、外壁、内壁の設計は、還元ガス入口の領域において複雑にならずに済むようにすることができる。一実施形態によれば、外壁は、還元ガス入口の領域において内壁と概ね平行であり、還元ガス入口の領域から離れた外壁と内壁との間の距離に対応する、内壁までの距離を有する。また、各入口にヒータデバイスを専用にすることで、ヒータと入口との距離を低減することが可能となり、システム内の加熱された不活性還元ガスの総量の低減に貢献する。
【0009】
一実施形態によれば、それぞれのヒータデバイスの各々は、電気ヒータデバイスを備える。電気ヒータデバイスは、コンパクトで、設置面積を比較的小さくできるため、必要なスペースの点で互いに干渉することなく、外壁の近くにかなり多数を配置することができる。
【0010】
一実施形態によれば、それぞれのヒータデバイスの各々は、それぞれのガスラインの一部を形成し、内部に還元ガスを導くように構成された、チャネル内に配設された電気抵抗エレメントを備える。これにより、各ヒータデバイスは、水平方向の最大延長よりも実質的に大きい垂直方向の延長を有することが可能となる。これによって、外壁の外周まわりに壁に近接して多数のヒータを配設することができる。
【0011】
一実施形態によれば、各ヒータデバイスは、それぞれのガスラインの一部を形成し、内部に還元ガスを導くように構成された、チャネル内に配設された1つまたは複数の電気抵抗エレメントを備え、ここで、各抵抗エレメントは、その長手方向軸を概ね垂直方向にして延びており、各ヒータデバイスは、水平方向におけるその最大延長よりも実質的に大きい垂直方向における延長を有する。これにより、各ヒータデバイスの設置面積は、ヒータデバイスの出力に比べて相対的に小さくなる。これによって、外壁の外周まわりに壁面に対して近距離に多数のヒータを配設することができる。
【0012】
一実施形態によれば、ヒータデバイスは、外壁の外周まわりに均等に分布している。
【0013】
一実施形態によれば、それぞれのヒータデバイスは、ヒータデバイスを流れる還元ガスを、還元ガスが処理室に入るときに有すべき要求温度まで加熱するように構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、各ガスラインには、入口とガスヒータデバイスとの間のガスヒータデバイスの下流側に設けられた第1のバルブが設けられている。このようにして、欠陥のあるヒータをシャフトの内部から個別に切り離すことが可能になる。
【0015】
一実施形態によれば、各ガスラインには、ガスヒータデバイスの上流に配設された第2のバルブが設けられている。このようにして、欠陥のあるヒータをシャフトの内部から個別に切り離すことが可能になる。
【0016】
一実施形態によれば、還元ガスを導入するための装置は、メイン還元ガスラインを含み、このガスラインは、一端で還元ガス源に接続され、他端でそれぞれの入口に関連付けられたそれぞれのガスラインの各々に接続されている。
【0017】
一実施形態によれば、メインガスラインは、外壁の外周のまわりに円周方向に延びるリングチャネルを形成し、ここで、前述のガスラインの各々は、メインガスラインの前述のリングチャネルと一端で連通しており、メインガスラインは、一端がリングチャネルと接続され、他端が還元ガス源と接続されている、メインチャネルを含む。
【0018】
一実施形態によれば、還元ガスを導入するための装置は、前述の還元ガス源を備える。
【0019】
一実施形態によれば、還元ガス源は、少なくとも80体積%の水素、好ましくは少なくとも90体積%の水素を含む、還元ガスを送達するように構成されたガス源である。このガス源は、新鮮な水素ガスを供給する電気分解ユニット(electrolyser unit)を備えていてもよい。また、直接還元シャフトからの調節された水素を含有するオフガスを含む、ラインを備えていてもよい。
【0020】
一実施形態によれば、直接還元シャフトは、シャフトの頂部に鉄鉱石入口を備え、処理室に還元ガスを導入するための還元ガス入口は、鉄鉱石入口より実質的に下のレベルに位置し、還元ガス入口のレベルより上のレベルに設けられた少なくとも1つのオフガス出口があり、還元ガス入口のレベルより下のレベルにスポンジ鉄出口が設けられている。シャフトは、垂直軸と平行な長手方向を有する。還元ガス入口及びヒータデバイスは、直接還元が行われる処理室の部分の下端に対応するレベルに配置される。直接還元シャフトの処理室が、直接還元が行われる処理室の部分の直下に、浸炭室(carburization chamber)を備える場合には、そのようなレベルは、地面からかなり上のレベルであってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、直接還元シャフトは、50~150メートルの範囲の高さと、4~10メートルの範囲の直径とを有し、各ヒータデバイスは、5~15メートルの領域の高さと、2~5メートルの最大幅とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態によるシステムの概略側面図である。
図2図1に開示されたシステムの上方からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2を参照する。このシステムは、鉄鉱石をスポンジ鉄に直接還元するためのシステムである。
【0024】
このシステムは、還元シャフトの運転時にその中に発生する圧力に耐えられるように構成された外壁2と、外壁2を、熱から保護すると共に、還元シャフト1内で還元される鉄鉱石との直接接触から保護するように構成された耐熱性の内壁3とを含む、直接還元シャフト1を備える。この内壁3は、外壁2の内側に配設され、鉄鉱石の還元が行われる処理室4を画定する。
【0025】
このシステムは、外壁2の外側から、外壁2と内壁3とを通って処理室4中に、還元ガスを導入するための装置5をさらに備える。
【0026】
処理室4中に還元ガスを導入するための装置5は、外壁2と内壁3とを通って延びる、複数の還元ガス入口6を含む。各入口6には、還元ガスをそれぞれの入口6に導くための、それぞれのガスライン7が設けられている。各ガスライン7には、外壁2の外側に配設されて、還元ガスがそれぞれの入口6を通って処理室4に入る前に、それぞれのガスライン7内の還元ガスを加熱するように構成されている、それぞれのヒータデバイス8が設けられている。
【0027】
それぞれのヒータデバイス8の各々は、電気ヒータデバイスを備え、それぞれのヒータデバイスの各々は、それぞれのガスラインの一部を形成し、内部に還元ガスを導くように構成されたチャンネル内に配設された、電気抵抗エレメント(図示せず)を備える。このようなヒータは、ガス流ヒータと呼ばれることがある。より正確には、各ヒータデバイスは、それぞれのガスラインの一部を形成し、その内部に還元ガスを導くように構成されたチャネル内に配設された、複数の電気抵抗エレメントを備える。各抵抗エレメントは、その長手方向軸を概して垂直方向にして延びており、各ヒータデバイス8は、水平方向におけるその最大延長よりも実質的に大きい、垂直方向における延長を有している。各ヒータデバイス8は、ヒータデバイス8を流れる還元ガスを、還元ガスが処理室4に入るときに有すべき要求温度まで加熱するように、構成されている。
【0028】
ヒータデバイス8は、外壁7の外周のまわりに均等に分布している。
【0029】
各ガスライン7には、ガス流方向から見てガスヒータデバイス8の下流側に設けられた第1のバルブ9が、入口6とガスヒータデバイス8との間に設けられている。また、各ガスライン7には、ガスヒータデバイス8の上流側に配設された第2のバルブ10が設けられている。第1及び第2のバルブ9,10は、制御可能なバルブである。
【0030】
還元ガスを導入するための装置5は、一端が還元ガス源12に接続されると共に、それぞれの入口6に関連付けられたそれぞれのガスライン7の各々に接続されている、主還元ガスライン11を備える。図示の実施形態では、メインガスライン11は、外壁の外周のまわりを円周方向に延びると共に、ヒータデバイス8の群の外側を円周方向に延びる、リングチャネル13を形成している。ガスライン7の各々は、メインガスライン11の前述のリングチャネル13と一端で連通している。メインガスライン11は、一端がリングチャネル13と接続され、他端が還元ガス源12と接続されたメインチャネル14を含む。
【0031】
還元ガスを導入するための装置5は、前述の還元ガス源12を備える。還元ガス源12は、少なくとも90体積%の水素を含む還元ガスを送達するように構成されたガス源である。ガス源12は、新鮮な水素ガスを提供する加水分解ユニットを含む。ガス源12はまた、直接還元シャフトからの調節された水素を含有するオフガスとつながるライン(図示せず)も含む。
【0032】
直接還元シャフト1は、シャフトの頂部に鉄鉱石入口15を備え、処理室内に還元ガスを導入するための還元ガス入口6は、鉄鉱石入口15より実質的に下に位置する。シャフト1の頂部、すなわち還元ガス入口6より上には、オフガス出口16が設けられている。シャフト1の底部、すなわち還元ガス入口6のレベルよりも下のレベルにスポンジ鉄出口17が設けられている。シャフト1は、長手方向と、垂直軸と平行な長手軸とを有する。還元ガス入口6及びヒータデバイス8は、処理室4の直接還元が行われる部分の下端に相当するレベルに配置されている。
【0033】
一実施形態によれば、直接還元シャフトは、高さが100メートルで直径が7メートルであり、各ヒータデバイスは、高さが10メートルで最大幅が3メートルである。
図1
図2
【国際調査報告】