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特表2024-543531二酸化炭素から燃料を合成するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素から燃料を合成するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C10G 2/00 20060101AFI20241114BHJP
   C01B 32/40 20170101ALI20241114BHJP
   C01B 3/36 20060101ALI20241114BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20241114BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 13/07 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 9/09 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 11/032 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 11/043 20210101ALI20241114BHJP
   C25B 11/042 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
C10G2/00
C01B32/40
C01B3/36
B01D53/14 220
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B1/23
C25B13/04 301
C25B13/07
C25B9/09
C25B11/032
C25B9/23
C25B11/081
C25B11/043
C25B11/042
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529651
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022082632
(87)【国際公開番号】W WO2023089177
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,444
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518273633
【氏名又は名称】カーボン・エンジニアリング・ユーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケントン・ロバート・ハイデル
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ウェイン・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】ジョブ・ヴァン・デ・パンネ
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン・ジウォン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハイ・ミン・ライ
(72)【発明者】
【氏名】パワンジョット・コール・ギル
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン・アン・リッチー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・テムケ
【テーマコード(参考)】
4D020
4G140
4G146
4H129
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA08
4D020BA09
4D020BA16
4D020BA18
4D020BA19
4D020BB03
4D020BC06
4D020CB25
4D020CC09
4D020CC12
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB32
4G140EB42
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC01
4G146JC22
4G146JC36
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129BC44
4H129BC45
4H129BC46
4H129KA15
4H129KD18X
4H129KD19X
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129NA22
4K011AA11
4K011AA15
4K011AA16
4K011AA30
4K011BA07
4K011BA08
4K011DA11
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA01
4K021BA02
4K021BA17
4K021CA09
4K021DB18
4K021DB19
4K021DB21
4K021DB53
4K021DC03
(57)【要約】
合成燃料を製造する方法は、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素(CO2)を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と;水素含有供給原料から水素(H2)を抽出し、水素供給流を製造する工程と:CO2還元反応器に電位を印加すること、及び少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること、によって回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成燃料を製造する方法であって:
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素(CO2)を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と;
水素含有供給原料から水素(H2)を抽出し、水素供給流を製造する工程と;
CO2還元反応器に電位を印加すること;及び
少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること;によって
回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と:
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、合成燃料を製造する工程と、を含む方法。
【請求項2】
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程が:
大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させて、CO2低含有気体及び炭酸塩に富む捕捉溶液を形成する工程と;
炭酸塩に富む捕捉溶液を水酸化カルシウム流と反応させて、少なくとも一部のCO2捕捉溶液を形成し、炭酸カルシウム固体を沈殿させる工程と;
少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程が、大気の流れ中の二酸化炭素を水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つと反応させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程が、天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程が、少なくとも一部の水素供給流を燃焼させる工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程が、炭酸カルシウム固体を電気加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が:
フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程と;
FT粗製物流を精製して、ナフサを含む精製粗製物流を形成する工程とを含み;
少なくとも一部のナフサを燃焼させて、熱エネルギーを生成する工程を更に含み、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程が、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体を該熱エネルギーでか焼する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
水素含有供給原料から水素を抽出する工程が、水を電気分解して、水素供給流及び電解槽酸素流を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
水素含有供給原料から水素を抽出する工程が、水蒸気-メタン改質して、水素供給流を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する工程であって、一酸化炭素流のみをCO2還元反応器からフィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスへと運搬する工程を含む、工程;及び
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が、FTプロセスにおいて、CO2還元反応器から運搬された一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、FT粗製物流を形成する工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一部の可燃性ガスを、CO2還元反応器からの酸素流を使用して自己熱改質器中で酸化して、合成ガス流を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給と反応させる工程が、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、FT粗製物流及びFTテールガス流を形成する工程を含み;
FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を製造する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも一部の可燃性ガスを酸化する工程が、FTテールガス流、精製テールガス流、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを酸化する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、自己熱改質器からの合成ガス流、一酸化炭素流及び水素供給流を反応させて、FT粗製物流及びFTテールガス流を形成する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が:
FT粗製物流を精製して、精製粗製物流及び精製テールガス流を形成する工程と;
精製粗製物流を蒸留して、合成燃料を形成する工程であって、合成燃料が、液体燃料流及び化学物質流を含む、工程と、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
水素供給原料中の水素化合物から水素を抽出して水素供給流を製造する工程が:
CO2還元反応器において、触媒上で水流を解離させて、水素供給流及び別の部分の酸素流を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程が:
フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスを介して、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FTテールガス流及びFT粗製物流を形成する工程と;
FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を形成する工程と;
少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程であって、FTテールガス流又は精製テールガス流のうちの少なくとも1つを燃焼させる工程を含む、工程と;
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
回収二酸化炭素供給流が、過剰酸素を含み;
回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程が:
少なくとも一部の過剰酸素を燃料と共に燃焼させる工程であって、燃料の過剰酸素に対するモル比が、燃焼化学量論比と等しいか又はそれより大きい、工程を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程が:
少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化して、二酸化炭素及び水を含む触媒酸化生成物流を形成する工程と;
触媒酸化生成物流の二酸化炭素を回収二酸化炭素供給流と合わせる工程とを含み、
可燃性ガスが、天然ガス、フィッシャー-トロプシュテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化する工程が:
可燃性ガスの自己着火温度で、少なくとも一部の過剰酸素を可燃性ガスと共に燃焼させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
回収二酸化炭素供給流を液化する工程と;
回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、少なくとも一部の液化された二酸化炭素供給流を液体貯蔵タンクに維持する工程と
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
回収二酸化炭素供給流を液化する工程が、極低温蒸留装置、膜分離装置、又は水ノックアウト装置のうちの少なくとも1つにおいて、回収二酸化炭素供給流から混入物を分離する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、熱を生成する工程であって;
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程に、少なくとも一部の熱を移動させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程が、少なくとも一部の熱を用いて炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程が、少なくとも一部の熱をCO2捕捉溶液に移動させる工程と、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程とを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程が:
回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、固体の炭酸カルシウム又は固体の酸化カルシウムのうちの少なくとも1つを固体緩衝貯蔵タンクに維持する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
シングル圧縮機アセンブリを作動させることによって気体状プロセス流を圧縮し、気体状プロセス流が、回収二酸化炭素供給流、蒸気、一酸化炭素、水素、フィッシャー-トロプシュテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
合成燃料を製造する方法であって:
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と;
CO2還元反応器に電位を印加すること;及び
少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること;によって
回収二酸化炭素供給流を二酸化炭素(CO2)還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と:
CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素(H2)流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む方法。
【請求項31】
合成燃料を製造するシステムであって:
吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を製造するように構成された二酸化炭素(CO2)捕捉サブシステムと;
水素含有供給原料から水素を抽出し、水素供給流を製造するように構成された水素製造サブシステムと;
回収二酸化炭素供給流を処理し、一酸化炭素(CO)流を製造するように構成された、CO2還元反応器を含む炭化水素製造サブシステムとを含み、
炭化水素製造サブシステムが、水素供給流をCO2還元反応器からの一酸化炭素流と反応させて、合成燃料を製造するように構成されている、システム。
【請求項32】
吸着材料が、CO2捕捉溶液を含み;
CO2捕捉サブシステムが、か焼炉に流体連結されたペレット反応器を含み、ペレット反応器が、CO2捕捉溶液を反応させて炭酸カルシウム固体を沈殿させるように構成され、か焼炉が、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
CO2捕捉溶液が、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
か焼炉が、天然ガス又は水素燃料のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させるように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
燃料が、水素燃料を含み、水素燃料が水素供給流の一部である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
か焼炉が、電気ヒータを含む、請求項32又は33に記載のシステム。
【請求項37】
水素製造サブシステムが、水素供給流及び酸素流を形成するように構成された水電解槽を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項38】
水素製造サブシステムが、水素供給流及び酸素流を形成するように作動可能な水蒸気-メタン改質器を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項39】
炭化水素製造サブシステムが、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を受け取るようにCO2還元反応器に流体連結されたフィッシャー-トロプシュ(FT)反応器を含み、該FT反応器が、FT粗製物流を形成するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項40】
CO2還元反応器が、ジルコニア含有電解質及びニッケル又は白金を含む電極を含む固体酸化物型電解セルを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項41】
CO2還元反応器が、炭酸塩含有電解質及びチタン又は黒鉛を含む電極を含む溶融炭酸塩電解セルを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項42】
CO2還元反応器が、アルカリ水溶液又は固体膜のうちの少なくとも1つを含むポリマー電解質膜燃料セルを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
CO2還元反応器が、ガス拡散電極及び白金又は非貴金属を含む触媒を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項44】
CO2還元反応器が、CO2捕捉サブシステムに流体連結され;
炭化水素製造サブシステムが、フィッシャー-トロプシュ(FT)反応器に流体連結された自己熱改質器を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項45】
自己熱改質器が、FT反応器からのFTテールガス、精製テールガス、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを含む可燃性ガスを受け取るように構成された反応物注入口を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
FT反応器が、自己熱改質器からの合成ガス流を受け取るように構成された合成ガス注入口を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
FT反応器が、ニッケル、コバルト、鉄、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含むFT触媒を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
CO2還元反応器が、自己熱改質器に流体連結された酸素放出口及びFT反応器に流体連結された一酸化炭素放出口を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
FT反応器が、触媒を含有する反応器容積及びFTテールガスを自己熱改質器に流すように構成された少なくとも1つの放出口並びにFT粗製物流を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
FT反応器が、固定充填床反応器、多管式固定床反応器、流動床反応器、及びスラリー相反応器のうちの1つである、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
炭化水素製造サブシステムが、精製装置に流体連結された自己熱改質器を含み、精製装置が蒸留装置に流体連結され、精製装置が精製テールガスを自己熱改質器に流すように、且つ精製粗製物を蒸留装置に流すように構成された少なくとも1つの放出口を含み、蒸留装置が、精製粗製物を合成燃料に分画するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項52】
精製粗製物が、ナフサを含み;
CO2捕捉サブシステムが、ナフサを燃焼させるように作動可能なバーナーを含むか焼炉を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
CO2捕捉サブシステムが、可燃性ガスを燃焼させて、炭酸カルシウム固体をか焼するための熱エネルギーを提供するように構成されたか焼炉を含み、可燃性ガスが、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項54】
吸着材料が、CO2捕捉溶液を含み;
CO2捕捉サブシステムが、可燃性ガスを燃焼させて、CO2捕捉溶液を加熱するための熱エネルギーを提供するように構成されたバーナーを含み、可燃性ガスが、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項55】
回収二酸化炭素供給流が、過剰酸素を含み;
CO2捕捉サブシステムに連結された触媒酸化反応器を更に含み、該触媒酸化反応器が、少なくとも一部の過剰酸素を除去するように作動可能であり、該触媒酸化反応器が:
白金含有触媒を含有する触媒酸化反応器容積;及び
回収二酸化炭素供給流中の過剰酸素を受け取るように、且つ天然ガス、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む可燃性ガスを受け取るように構成された少なくとも1つの注入口を含み、
触媒酸化反応器容積が、過剰酸素を可燃性ガスと白金含有触媒上で反応させるように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項56】
CO2還元反応器が、ジルコニア含有電解質及びニッケル又は白金を含有する電極を含む固体酸化物型電解セルを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
CO2還元反応器が、炭酸塩含有電解質及びチタン又は黒鉛を含有する電極を含む溶融炭酸塩電解セルを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項58】
CO2還元反応器が、アルカリ水溶液又は固体膜のうちの少なくとも1つを含むポリマー電解質膜燃料セルを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項59】
CO2還元反応器が、ガス拡散電極及び白金又は非貴金属を含む触媒を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項60】
10バール~65バールの範囲の圧力に加圧されるように構成された液体緩衝貯蔵タンクに流体連結されたCO2浄化及び圧縮システムを更に含み、CO2捕捉サブシステムが、該CO2浄化及び圧縮システム並びに液体緩衝貯蔵タンクによって、炭化水素サブシステムに流体連結されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項61】
CO2浄化及び圧縮システムが、極低温蒸留装置、膜分離装置、又は水ノックアウト装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
炭化水素製造サブシステムが、CO2捕捉サブシステムに熱的に連結されたフィッシャー-トロプシュ(FT)反応器を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項63】
CO2捕捉サブシステムが、か焼炉、か焼炉に熱的に連結されたFT反応器を含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
CO2捕捉サブシステムが、炭酸カルシウム又は酸化カルシウムのうちの少なくとも1つを貯蔵するように構成された少なくとも1つの固体緩衝貯蔵タンクに流体連結されたか焼炉を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項65】
CO2捕捉サブシステム及び炭化水素製造サブシステムに流体連結されたシングル圧縮機アセンブリを更に含み、該シングル圧縮機アセンブリが、シングルモータ軸に連結された多段圧縮機-モータ又は少なくとも2つの圧縮機を含む、請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般に、二酸化炭素(CO2)から燃料を合成するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
CO2排出を低減するための世界的なインセンティブが勢いを増している。二酸化炭素(CO2)を大気から捕捉することは、直接空気回収技術(DAC)としても公知であり、温室効果ガス排出を緩和し、気候変動を遅らせる1つの手法である。しかしながら、工業施設の煙道ガスなどの点源からのCO2捕捉のために設計された多くの技術は、CO2濃度が著しく低く、且つ処理に必要とされる大気の体積が大きいことに起因して、大気中からCO2を捕捉することは一般に効率的ではない。近年、直接的に大気からCO2を捕捉するのにより適した技術の発見に進歩が見られた。これらの技術は、大気のような希薄な供給源からCO2を抽出し、回収するための固体吸着剤及び液体吸着剤の使用を含む。CO2が捕捉されて回収された後の、いくつかの魅力的な利用経路がある。高く奨励されているいくつかの使用は、大気のCO2を供給源とする炭素を使用する、輸送用燃料などの低炭素強度の燃料及び化学物質を合成することである。
【0003】
輸送部門における排出低減は特に困難であり、費用を要することが認識されている。自動車、船舶、航空機、及び列車を含む車両の大多数は、高エネルギー密度の炭化水素燃料を燃焼し、これらの燃料を製造、流通、及び消費するために、およそ50兆ドルの社会基盤が世界的に存在する。DACは、従来の燃料と同様に高エネルギー密度を有するが、既に排出された炭素原子を使用して製造されるため、比較的低い炭素強度を有する合成炭化水素燃料の製造経路を提供する。再生可能なエネルギー源及び最適化された熱統合を組み込んだ場合、これらの合成燃料は、低炭素強度又はゼロ炭素強度を有しうる。これらの合成燃料は、大気のCO2及び水素などのクリーンな供給原料から製造されるため、化石燃料よりクリーンな燃焼燃料製品を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第16/472,379号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、燃料に対する需要及び排出低減に対する必要性は、DACに基づく合成燃料及び化学物質によって、両方とも対処されうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実装例では、合成燃料を製造する方法は、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素(CO2)を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と;水素含有供給原料から水素(H2)を抽出し、水素供給流を製造する工程と;CO2還元反応器に電位を印加すること;及び少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること;によって回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む。
【0007】
本実装例と組み合わせ可能な態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させて、CO2低含有気体及び炭酸塩に富む捕捉溶液を形成する工程と;炭酸塩に富む捕捉溶液を水酸化カルシウム流と反応させて、少なくとも一部のCO2捕捉溶液を形成し、炭酸カルシウム固体を沈殿させる工程と;少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程とを含む。
【0008】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程は、大気の流れ中の二酸化炭素を水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つと反応させる工程を含む。
【0009】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程を含む。
【0010】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程は、少なくとも一部の水素供給流を燃焼させる工程を含む。
【0011】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、炭酸カルシウム固体を電気加熱する工程を含む。
【0012】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は:フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、ナフサを含む精製粗製物流を形成する工程とを含み;本方法は、少なくとも一部のナフサを燃焼させて、熱エネルギーを生成する工程を更に含み、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体を熱エネルギーでか焼する工程を含む。
【0013】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素含有供給原料から水素を抽出する工程は、水を電気分解して、水素供給流及び電解槽酸素流を形成する工程を含む。
【0014】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素含有供給原料から水素を抽出する工程は、水蒸気-メタン改質して、水素供給流を形成する工程を含む。
【0015】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程を含む。
【0016】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する工程であって、一酸化炭素流のみをCO2還元反応器からフィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスへと運搬する工程を含む、工程;及びCO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、FTプロセスにおいて、CO2還元反応器から運搬された一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、FT粗製物流を形成する工程を含む。
【0017】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、少なくとも一部の可燃性ガスを、CO2還元反応器からの酸素流を使用して自己熱改質器中で酸化して、合成ガス流を形成する工程を更に含む。
【0018】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給と反応させる工程は、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、FT粗製物流及びFTテールガス流を形成する工程を含み;本方法は、FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を製造する工程を更に含む。
【0019】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の可燃性ガスを酸化する工程は、FTテールガス流、精製テールガス流、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを酸化する工程を含む。
【0020】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、自己熱改質器からの合成ガス流、一酸化炭素流及び水素供給流を反応させて、FT粗製物流及びFTテールガス流を形成する工程を含む。
【0021】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は:FT粗製物流を精製して、精製粗製物流及び精製テールガス流を形成する工程と;精製粗製物流を蒸留して、合成燃料を形成する工程であって、合成燃料が、液体燃料流及び化学物質流を含む、工程を含む。
【0022】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素供給原料中の水素化合物から水素を抽出して水素供給流を製造する工程は、CO2還元反応器において、触媒上で水流を解離させて、水素供給流及び別の部分の酸素流を形成する工程を更に含む。
【0023】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は:フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスを介して、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FTテールガス流及びFT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を形成する工程とを含み;少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程は、FTテールガス流又は精製テールガス流のうちの少なくとも1つを燃焼させる工程を含む。
【0024】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流は、過剰酸素を含み;本方法は、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程を更に含む。
【0025】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程は、少なくとも一部の過剰酸素を燃料と共に燃焼させる工程であって、燃料の過剰酸素に対するモル比は、燃焼化学量論比と等しいか又はそれより大きい、工程を含む。
【0026】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程は:少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化して、二酸化炭素及び水を含む触媒酸化生成物流を形成する工程と;触媒酸化生成物流の二酸化炭素を回収二酸化炭素供給流と合わせる工程とを含み、可燃性ガスは、天然ガス、フィッシャー-トロプシュテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化する工程は:可燃性ガスの自己着火温度で、少なくとも一部の過剰酸素を可燃性ガスと共に燃焼させる工程を含む。
【0028】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、回収二酸化炭素供給流を液化する工程と;回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、少なくとも一部の液化された二酸化炭素供給流を液体貯蔵タンクに維持する工程とを更に含む。
【0029】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流を液化する工程は、極低温蒸留装置、膜分離装置、又は水ノックアウト装置のうちの少なくとも1つにおいて、回収二酸化炭素供給流から混入物を分離する工程を含む。
【0030】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、熱を生成し;本方法は、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程に、少なくとも一部の熱を移動させる工程を更に含む。
【0031】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、少なくとも一部の熱を用いて炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程を含む。
【0032】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、少なくとも一部の熱をCO2捕捉溶液に移動させる工程と、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程とを含む。
【0033】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程は:回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、固体の炭酸カルシウム又は固体の酸化カルシウムのうちの少なくとも1つを固体緩衝貯蔵タンクに維持する工程を含む。
【0034】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、シングル圧縮機アセンブリを作動させることによって気体状プロセス流を圧縮し、気体状プロセス流が、回収二酸化炭素供給流、蒸気、一酸化炭素、水素、フィッシャー-トロプシュテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、工程を更に含む。
【0035】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程は:大気の流れ中の二酸化炭素を金属酸化物又は金属水酸化物のうちの少なくとも1つを含む固体吸着剤と反応させて、炭酸塩含有固体を形成する工程と;少なくとも一部の炭酸塩含有固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程とを含む。
【0036】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスを通して、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FTテールガス流及びFT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を形成する工程とを含み、少なくとも一部の炭酸塩含有固体をか焼する工程は、FTテールガス流又は精製テールガス流のうちの少なくとも1つを燃焼させる工程を含む。
【0037】
別の実装例では、合成燃料を製造する方法は:吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と;水素含有供給原料から水素を抽出し、水素供給流を製造する工程と:一部の水素供給流及び少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器に運搬し;CO2還元反応器に熱エネルギーを投入し、一部の水素供給流を回収二酸化炭素供給流とCO2還元反応器中で触媒上で反応させて、一酸化炭素流及び水流を製造することによって;回収二酸化炭素供給流を二酸化炭素(CO2)還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む。
【0038】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させて、CO2含有率の低い気体及び炭酸塩に富む捕捉溶液を形成する工程と;炭酸塩に富む捕捉溶液を水酸化カルシウム流と反応させて、少なくとも一部のCO2捕捉溶液を形成し、炭酸カルシウム固体を沈殿させる工程と;少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程とを含む。
【0039】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程は、大気の流れ中の二酸化炭素を水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つと反応させる工程を含む。
【0040】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程を含む。
【0041】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、炭酸カルシウム固体を電気加熱する工程を含む。
【0042】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、天然ガス又は水素のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させる工程は、少なくとも一部の水素供給流を含む。
【0043】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は:フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、ナフサを含む精製粗製物流を形成する工程とを含み;本方法は、少なくとも一部のナフサを燃焼させて、熱エネルギーを生成する工程を更に含み、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼する工程は、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体を熱エネルギーでか焼する工程を含む。
【0044】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素含有供給原料から水素を抽出する工程は、水を電気分解して、水素供給流及び電解槽酸素流を形成する工程を含む。
【0045】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素含有供給原料から水素を抽出する工程は、水蒸気-メタン改質して、水素供給流を形成する工程を含む。
【0046】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスにおいて、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FT粗製物流を形成する工程を含む。
【0047】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、熱エネルギーを投入し、少なくとも一部の水素供給流と回収CO2供給流とをCO2還元反応器中で反応させる工程は、逆水性ガスシフト反応を実行する工程を含む。
【0048】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素含有供給原料から水素を抽出する工程は、水を電気分解して、水素供給流及び電解槽酸素流を形成する工程を含み;本方法は、少なくとも一部の可燃性ガスを、電解槽酸素流を使用して自己熱改質器中で酸化して、合成ガス流を形成する工程を更に含み、可燃性ガスは、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス流、精製テールガス流、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを含む。
【0049】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、熱エネルギーをCO2還元反応器に投入する工程は、熱エネルギーを投入して、CO2還元反応器中で、自己熱改質器からの合成ガス流を反応させて、一酸化炭素流及び水流を形成する工程を含む。
【0050】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、FTプロセスにおいて、一酸化炭素流を少なくとも一部の水素供給流と反応させて、FT粗製物流及びFTテールガス流を形成する工程を含む。
【0051】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、FT粗製物流を精製して、精製粗製物流及び精製テールガス流を形成する工程と;精製粗製物流を蒸留して、合成燃料を形成する工程であって、合成燃料は、液体燃料流及び化学物質流を含む、工程と;を、更に含む。
【0052】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は:フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスを介して、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FTテールガス流及びFT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を形成する工程と;少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程であって、FTテールガス流又は精製テールガス流のうちの少なくとも1つを燃焼させる工程を含む、工程と;を含む。
【0053】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流は、過剰酸素を含み;本方法は、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程を更に含む。
【0054】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程は、少なくとも一部の過剰酸素を燃料と共に燃焼させる工程であって、燃料の過剰酸素に対するモル比は、燃焼化学量論比と等しいか又はそれより大きい、工程を含む。
【0055】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流中の少なくとも一部の過剰酸素を除去する工程は:少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化して、二酸化炭素及び水を含む触媒酸化生成物流を形成する工程を含み:可燃性ガスは天然ガス、FTテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含み;触媒酸化生成物流の二酸化炭素を回収二酸化炭素供給流と合わせる工程を含む。
【0056】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも一部の過剰酸素を用いて可燃性ガスを触媒的に酸化する工程は:可燃性ガスの自己着火温度で、少なくとも一部の過剰酸素を可燃性ガスと共に燃焼させる工程を含む。
【0057】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、回収二酸化炭素供給流を液化する工程と;回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、少なくとも一部の液化された二酸化炭素供給流を液体貯蔵タンクに維持する工程とを更に含む。
【0058】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流を液化する工程は、極低温蒸留装置、膜分離装置、又は水ノックアウト装置のうちの少なくとも1つにおいて、回収二酸化炭素供給流から混入物を分離する工程を含む。
【0059】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、熱を生成し;本方法は、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程に、少なくとも一部の熱を移動させる工程を更に含む。
【0060】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程を含み;本方法は、少なくとも一部の熱を炭酸カルシウム固体に移動させる工程を更に含む。
【0061】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出して、回収二酸化炭素供給流を形成する工程は、大気の流れ中の二酸化炭素をCO2捕捉溶液と反応させる工程を含み;本方法は、少なくとも一部の熱をCO2捕捉溶液に移動させる工程を更に含む。
【0062】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程は:回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理する前に、固体の炭酸カルシウム又は固体の酸化カルシウムのうちの少なくとも1つを固体緩衝貯蔵タンクに維持する工程を含む。
【0063】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、シングル圧縮機アセンブリを作動させることによって気体状プロセス流を圧縮し、気体状プロセス流は、回収二酸化炭素供給流、蒸気、一酸化炭素、水素、フィッシャー-トロプシュテールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む、工程を更に含む。
【0064】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、大気の流れから二酸化炭素を抽出する工程は:大気の流れ中の二酸化炭素を金属酸化物又は金属水酸化物のうちの少なくとも1つを含む固体吸着剤と反応させて、炭酸塩含有固体を形成する工程と;少なくとも一部の炭酸塩含有固体をか焼して、回収二酸化炭素供給流を抽出する工程とを含む。
【0065】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素供給流と反応させる工程は、FTプロセスを介して、水素供給流と一酸化炭素流とを反応させて、FTテールガス流及びFT粗製物流を形成する工程と;FT粗製物流を精製して、精製テールガス流及び精製粗製物流を形成する工程とを含み、少なくとも一部の炭酸塩含有固体をか焼する工程は、FTテールガス流又は精製テールガス流のうちの少なくとも1つを燃焼させる工程を含む。
【0066】
別の実装例では、合成燃料を製造する方法は:吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を形成する工程と:CO2還元反応器に電位を印加すること;及び少なくとも一部の回収二酸化炭素供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること;によって回収二酸化炭素供給流を二酸化炭素(CO2)還元反応器中で処理し、一酸化炭素(CO)流を製造する工程と;CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素(H2)流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む。
【0067】
別の実装例では、合成燃料を製造する方法は:CO2還元反応器に電位を印加すること;及び少なくとも一部のCO2供給流を触媒上で還元して、一酸化炭素流及び酸素(O2)流を形成すること;によって大気からCO2を捕捉することによって生成されたCO2供給流を、二酸化炭素(CO2)還元反応器中で処理して一酸化炭素(CO)流を製造する工程と;CO2還元反応器からの一酸化炭素流を水素流と反応させて、合成燃料を製造する工程とを含む。
【0068】
別の実装例では、合成燃料を製造するシステムは:吸着材料を用いて大気の流れから二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流を製造するように構成された二酸化炭素(CO2)捕捉サブシステムと;水素含有供給原料から水素を抽出し、水素供給流を製造するように構成された水素製造サブシステムと;回収二酸化炭素供給流を処理し、一酸化炭素(CO)流を製造するように構成された、CO2還元反応器を含む炭化水素製造サブシステムとを含み、炭化水素製造サブシステムは、水素供給流をCO2還元反応器からの一酸化炭素流と反応させて、合成燃料を製造するように構成されている。
【0069】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料はCO2捕捉溶液を含み;CO2捕捉サブシステムは、か焼炉に流体連結されたペレット反応器を含み、ペレット反応器は、CO2捕捉溶液を反応させて炭酸カルシウム固体を沈殿させるように構成され、か焼炉は、少なくとも一部の炭酸カルシウム固体をか焼するように構成されている。
【0070】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2捕捉溶液は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0071】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、か焼炉は、天然ガス又は水素燃料のうちの少なくとも1つを含む燃料を燃焼させるように構成されている。
【0072】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、燃料は水素燃料を含み、水素燃料は水素供給流の一部である。
【0073】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、か焼炉は、電気ヒータを含む。
【0074】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素製造サブシステムは、水素供給流及び酸素流を形成するように構成された水電解槽を含む。
【0075】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素製造サブシステムは、水素供給流及び酸素流を形成するように作動可能な水蒸気-メタン改質器を含む。
【0076】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、炭化水素製造サブシステムは、CO2還元反応器からの一酸化炭素流を受け取るようにCO2還元反応器に流体連結されたフィッシャー-トロプシュ(FT)反応器を含み、FT反応器は、FT粗製物流を形成するように構成されている。
【0077】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、ジルコニア含有電解質及びニッケル又は白金を含む電極を含む固体酸化物型電解セルを含む。
【0078】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、炭酸塩含有電解質及びチタン又は黒鉛を含む電極を含む溶融炭酸塩電解セルを含む。
【0079】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、アルカリ水溶液又は固体膜のうちの少なくとも1つを含むポリマー電解質膜燃料セルを含む。
【0080】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、ガス拡散電極及び白金又は非貴金属を含む触媒を含む。
【0081】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、CO2捕捉サブシステムに流体連結され;炭化水素製造サブシステムは、フィッシャー-トロプシュ(FT)反応器に流体連結された自己熱改質器を含む。
【0082】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、自己熱改質器は、FT反応器からのFTテールガス、精製テールガス、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを含む可燃性ガスを受け取るように構成された反応物注入口を含む。
【0083】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、FT反応器は、自己熱改質器からの合成ガス流を受け取るように構成された合成ガス注入口を含む。
【0084】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、FT反応器は、ニッケル、コバルト、鉄、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含むFT触媒を含む。
【0085】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、自己熱改質器に流体連結された酸素放出口及びFT反応器に流体連結された一酸化炭素放出口を含む。
【0086】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は:熱エネルギー源;回収二酸化炭素供給流、一部の水素供給流、及び自己熱改質器からの合成ガス流を受け取るように構成された少なくとも1つの反応物注入口;一酸化炭素流をFT反応器に流すように構成された放出口;並びにコバルト、鉄、銅、亜鉛、又はアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む触媒を含む。
【0087】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、固定床反応器又は多管式固定床反応器である。
【0088】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、水素製造サブシステムは、水素供給流をCO2還元反応器に提供するように構成され且つ酸素流を自己熱改質器に提供するように構成された水電解槽を含み、自己熱改質器は:複数の反応物を受け取るように構成された複数の注入口を含み、複数の反応物は、可燃性ガス及び水電解槽からの酸素流を含み、可燃性ガスは、FT反応器からのFTテールガス、精製テールガス、又は天然ガス流のうちの少なくとも1つを含み;放出口は、CO2還元反応器の少なくとも1つの反応物注入口に流体連結され、該放出口は合成ガス流をCO2還元反応器に流すように構成され;改質炉は、ニッケルを含む触媒を担持し、該改質炉は少なくとも一部の可燃性ガスを酸素流で酸化させて、合成ガス流を形成するように構成されている。
【0089】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、FT反応器は、触媒を含有する反応器容積及びFTテールガスを自己熱改質器に流すように構成された少なくとも1つの放出口並びにFT粗製物流を含む。
【0090】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、FT反応器は、固定充填床反応器、多管式固定床反応器、流動床反応器、及びスラリー相反応器のうちの1つである。
【0091】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、炭化水素製造サブシステムは、精製装置に流体連結された自己熱改質器を含み、精製装置は蒸留装置に流体連結され、該精製装置は精製テールガスを自己熱改質器に流すように且つ精製粗製物を蒸留装置に流すように構成された少なくとも1つの放出口を含み、蒸留装置は、精製粗製物を合成燃料に分画するように構成されている。
【0092】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、精製粗製物はナフサを含み;CO2捕捉サブシステムは、ナフサを燃焼させるように作動可能なバーナーを含むか焼炉を含む。
【0093】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2捕捉サブシステムは、可燃性ガスを燃焼させて、炭酸カルシウム固体をか焼するための熱エネルギーを提供するように構成されたか焼炉を含み、可燃性ガスは、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、吸着材料は、CO2捕捉溶液を含み;CO2捕捉サブシステムは、可燃性ガスを燃焼させて、CO2捕捉溶液を加熱するための熱エネルギーを提供するように構成されたバーナーを含み、可燃性ガスは、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0095】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、回収二酸化炭素供給流は過剰酸素を含み;本システムは、CO2捕捉サブシステムに連結された触媒酸化反応器を更に含み、触媒酸化反応器は少なくとも一部の過剰酸素を除去するように作動可能であり、触媒酸化反応器は:白金含有触媒を含有する触媒酸化反応器容積;及び回収二酸化炭素供給流中の過剰酸素を受け取るように、且つ天然ガス、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス、又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを含む可燃性ガスを受け取るように構成された少なくとも1つの注入口を含み、触媒酸化反応器容積は、過剰酸素を可燃性ガスと白金含有触媒上で反応させるように構成されている。
【0096】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、ジルコニア含有電解質及びニッケル又は白金を含有する電極を含む固体酸化物型電解セルを含む。
【0097】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、炭酸塩含有電解質及びチタン又は黒鉛を含有する電極を含む溶融炭酸塩電解セルを含む。
【0098】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、アルカリ水溶液又は固体膜のうちの少なくとも1つを含むポリマー電解質膜燃料セルを含む。
【0099】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は、ガス拡散電極及び白金又は非貴金属を含む触媒を含む。
【0100】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2還元反応器は:CO2還元触媒を担持するCO2還元反応容器に熱的に連結された熱エネルギー源を含み;少なくとも1つの反応物注入口は、反応物を受け取るように構成され、反応物は回収二酸化炭素供給流、一部の水素供給流、及び合成ガス流を含み;放出口は、生成物を流すように構成され、生成物は、一酸化炭素流を含み、CO2還元反応容器は、反応物をCO2還元触媒上で反応させるように構成され、CO2還元触媒は、コバルト、鉄、銅、亜鉛、又はアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0101】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、10バール~65バールの範囲の圧力に加圧されるように構成された液体緩衝貯蔵タンクに流体連結されたCO2浄化及び圧縮システムを更に含み、CO2捕捉サブシステムは、CO2浄化及び圧縮システム並びに液体緩衝貯蔵タンクによって、炭化水素サブシステムに流体連結されている。
【0102】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2浄化及び圧縮システムは、極低温蒸留装置、膜分離装置、又は水ノックアウト装置のうちの少なくとも1つを含む。
【0103】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、炭化水素製造サブシステムは、CO2捕捉サブシステムに熱的に連結されたフィッシャー-トロプシュ(FT)反応器を含む。
【0104】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2捕捉サブシステムは、か焼炉、か焼炉に熱的に連結されたFT反応器を含む。
【0105】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2捕捉サブシステムは、炭酸カルシウム又は酸化カルシウムのうちの少なくとも1つを貯蔵するように構成された少なくとも1つの固体緩衝貯蔵タンクに流体連結されたか焼炉を含む。
【0106】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、CO2捕捉サブシステム及び炭化水素製造サブシステムに流体連結されたシングル圧縮機アセンブリを更に含み、シングル圧縮機アセンブリは、シングルモータ軸に連結された多段圧縮機-モータ又は少なくとも2つの圧縮機を含む。
【0107】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、CO2捕捉サブシステムの吸着材料は、金属酸化物又は金属水酸化物のうちの少なくとも1つを含む固体吸着剤であり、CO2捕捉サブシステムは:大気の流れ中の二酸化炭素を固体吸着剤と反応させることによって、炭酸塩含有固体を形成するように構成された反応器;及び少なくとも一部の炭酸塩含有固体をか焼するように作動可能なか焼炉を含む。
【0108】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、炭化水素製造サブシステムは:フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス及びFT粗製物流を形成するように作動可能なFT反応器を含み;精製装置は、FT反応器に流体連結され、該精製装置は、精製テールガス及び精製粗製物流を形成するように作動可能であり;か焼炉は、FTテールガス又は精製テールガスのうちの少なくとも1つを燃焼させるように構成されている。
【0109】
本開示に記載された主題の1つ又は複数の実装の詳細は、添付の図及び以下の記載に明示される。本主題の他の特色、態様、及び利点は、本記載、図、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】本開示による、CO2捕捉サブシステム、水素製造サブシステム、及び合成燃料製造サブシステムを含む、水素及び二酸化炭素から合成燃料を製造するシステム例の概略ブロック図である。
図2】電極触媒CO2還元反応器及び自己熱改質器を利用する、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図3】熱触媒CO2還元反応器及び自己熱改質器を利用する、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図4】電極触媒CO2還元反応器を利用し、FTテールガス及び精製テールガスをCO2捕捉サブシステムに再循環させる、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図5】熱触媒CO2還元反応器を利用し、フィッシャー-トロプシュ(FT)テールガス及び精製テールガスをCO2捕捉サブシステムに再循環させる、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図6】緩衝容量及びシステム内での液体合成燃料の再循環を利用する、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図7】回収CO2流から少なくとも一部の過剰酸素を除去するための触媒酸化反応器及びか焼炉燃焼制御システムを含む、システム例の概略図である。
図8】水素流及びCO流を製造するCO2還元反応器を利用する、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例の概略図である。
図9A】例示的な電極触媒CO2還元反応器の概略図である。
図9B】例示的な電極触媒CO2還元反応器の概略図である。
図10A】例示的な熱触媒CO2還元反応器の概略図である。
図10B】例示的な熱触媒CO2還元反応器の概略図である。
図11A】例示的な水素製造サブシステムの概略図である。
図11B】例示的な水素製造サブシステムの概略図である。
図12】液体吸着剤を含む、CO2捕捉サブシステム例の概略図である。
図13】固体吸着剤を含む、CO2捕捉サブシステム例の概略図である。
図14】水素及び二酸化炭素から合成燃料を製造するシステムのための、制御システム(又は制御器)の概略図である。
図15】合成燃料を製造するために電極触媒CO2還元反応器を利用する方法例のフローチャートである。
図16】合成燃料を製造するために熱触媒CO2還元反応器を利用する方法例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0111】
本開示は、希薄なCO2源、例えば、約1v/v%未満のCO2含有量を有する大気又は別の流体源からなどのCO2源から燃料(「合成燃料」)を合成するためのシステム及び方法を記載する。大気中のCO2濃度は、現在、400~420百万分率(「ppm」)又はおよそ0.04~0.042%v/v、及び1%v/v未満の範囲であるという点で希薄である。これらのCO2の大気中濃度は、煙道ガスなどの点源排出におけるCO2濃度より少なくとも1桁低く、点源排出は、排出源に応じて5~15%v/vの範囲のCO2濃度を有しうる。
【0112】
炭素捕捉と組み合わせて、再生可能なエネルギーを使用して又は従来の水蒸気-メタン改質を使用して作製された水素を組み合わせる場合、大気からのCO2捕捉が、今日の燃料及び輸送の社会基盤と互換性があるガソリン、ディーゼル、及び航空タービン燃料のようなカーボンニュートラルな合成燃料の製造を可能とする。これらの合成燃料はまた、例えば供給原料の安全、規模の制限、燃料ブレンドの制約、土地の使用、及び食用作物の置き換えを含む、油脂及びバイオマスをベースとするバイオ燃料の現在の制限のいくつかを克服する可能性もある。更に、本明細書に記載の方法を通して製造される合成燃料は、例えば、より高いエネルギー含有量、より高いセタン値、より低いNOx排出、及び硫黄の無含有のうちの1つ又は複数を有しうるという点で、他の再生可能なディーゼル選択肢と有利に比較することができる。本明細書に記載の方法を通して製造される、高セタン合成ディーゼルは、より低品質の化石貯蔵とのブレンドを可能としうる。
【0113】
本システムが、システムを作動させるためにCO2供給原料として大気を使用し、且つ再生可能なゼロ及び/又は低炭素の動力源を使用する場合、合成燃料の炭素強度は特に低減されうる。トラック、航空機、船舶、及び列車を含む長距離輸送車両に動力を供給するなどの、電力、バイオ燃料又は他の低炭素選択肢が実用的でない場合、そのような低炭素強度の合成燃料を使用することによって、輸送用途における排出低減を可能とすることができる。更に、本明細書に記載の方法を通して製造される低炭素強度の合成燃料は、LCFS、RIN、及びREDプログラムからのものを含む、多数の政策収入及び/又はクレジット制度の資格を与えられることが有望である。
【0114】
製造される合成燃料の炭素強度に対する、例えば酸素燃焼式機器に使用される再生可能な電気及び燃料の影響が、Table 1(表1)に示される例を通して実証された。簡単化するために、合成燃料製造システムの燃料及び電気の需要が、システムの直接的及び間接的な排出の主要な誘因であると仮定した。システムにおいて酸素燃焼式機器に使用される燃料の燃焼からもたらされる排出が直接的排出を占めて、一方、燃料/電気の製造、回収又は輸送/分配に関連する排出が間接的な排出を占める。製造される合成燃料の1メガジュール(MJ)に対して、合成燃料製造システムにおける酸素燃焼プロセスが0.4MJのエネルギーを利用し、且つシステム内の他の作動に0.6KWhの電気が使用されると仮定した。
【0115】
Table 1(表1)中の値は、石炭火力発電所における発電は炭素集約的であり、合成燃料の炭素強度を著しく増加させる一方、水力発電、太陽光発電及び風力発電などの再生可能なものを使用することは、燃料の炭素強度を著しく低減することができ、場合によっては10g未満のCO2e/MJ燃料まで低減することができることを明白に示している。
【0116】
【表1】
【0117】
代替的バイオディーゼルの炭素強度は、バイオディーゼルで30~70gCO2e/MJの範囲であり、従来のガソリン及びディーゼルに対する90~100gCO2e/MJと同じ高さである。本明細書に記載のように製造された合成燃料は、典型的なバイオ燃料の半分未満である炭素強度を有しえて、これらの合成燃料が、市場ベースの排出プログラムから高収入を得ることを意味する。
例えばディーゼル及びガソリン製品のような合成燃料は、現在の社会基盤及びエンジンとドロップイン互換性があり、バッテリーより約30倍までの高さのエネルギー密度を有しえて、同様にバイオ燃料より約100倍まで低い土地/水の使用の影響を有しうる。合成燃料システム内に記載された全ての装置ではないにしても大部分の装置に市販の機器が選択されているために、これらのシステムは高度に拡張可能であり、したがって輸送燃料市場を含む範囲の市場に適用可能でありうる。
【0118】
図1を参照すると、図1に示されるシステム例10は、3つのサブシステム、すなわち、CO2供給原料からCO2分子を抽出するためのCO2捕捉サブシステム11(本明細書では「直接空気回収システム」又は「DACシステム」とも称される)、水素供給原料から水素分子を抽出するための水素製造サブシステム13、並びに水素製造サブシステム13によって製造された水素分子と、CO2捕捉サブシステム11によって製造されたCO2分子からの炭素とを使用して合成燃料を製造するための炭化水素製造サブシステム12を含む。「Method and system for synthesizing fuel from dilute carbon dioxide source」という表題の米国特許出願第16/472,379号を参照することができ、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
図1を参照すると、CO2捕捉サブシステム11は、大気などの希薄な供給源からCO2を抽出し、空気接触器、気-液接触器、又は気体スクラバー、噴霧塔、若しくは気体を捕捉溶液若しくは吸着剤と接触させる任意の他の設計の形態の気-液接触器などの機器を含みうる。本明細書で使用される場合、「吸着剤」は、標的種の収着を起こす材料を指す。本明細書で使用される場合、「収着」は、物理的、化学的又は両方の組合せのプロセスを指し、それによって、1つの物質がある期間、別の物質に付着する。特定の範疇の収着の例は、吸着(イオン及び/又は分子の、別の材料の表面への物理的接着又は結合)、吸収(1つの状態-気体、液体、固体-におけるある物質の、異なる状態の別の物質への組込み)並びにイオン交換(電解質間又は電解質溶液と錯体の間のイオンの交換)を含みうる。CO2捕捉サブシステム11は、図12を参照して、より詳細が以下に記載されるように、液体吸着剤(本明細書では「CO2捕捉溶液」とも称される)を用いて作動することができる。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム11は、図13を参照して、より詳細が以下に記載されるように、固体吸着剤を用いて作動することができる。
【0120】
水素製造サブシステム13は、水素含有供給原料から水素分子を製造する。水素含有供給原料は、水、メタン、又は短鎖炭化水素などの水素化合物を含みえて、典型的には流体状態である。一部の実装では、図11Aを参照して、より詳細が以下に記載されるように、水素は、電解質に電位を印加して、水素分子を抽出する水電解槽中で電気分解を使用して製造されうる。アルカリ電気分解、水素イオン交換膜(ポリマー電解質膜(PEM)としても公知)、電気分解水素製造及び燃料電池技術、並びに固体酸化物型電解セル(SOEC)電気分解などの、電気分解用の多くの水素製造経路が存在する。一部の実装では、図11Bを参照して、より詳細が以下に記載されるように、水素は、メタン含有供給原料又は可燃性ガスの水蒸気-メタン改質によって製造されうる。水蒸気-メタン改質は、改質装置中で吸熱反応を介して、メタンと水との反応を利用して、水素、一酸化炭素、及びCO2を製造する。CO2生成物は、CO2捕捉サブシステム11を介して捕捉され、合成燃料の製造、隔離、又はオイル回収の増進のような使用のために下流で処理されうる。
【0121】
炭化水素製造サブシステム12は、水素製造サブシステム13によって製造された水素と、CO2捕捉サブシステム11によって大気から抽出されたCO2からの炭素から、合成燃料を製造する。本明細書で使用される場合、「合成燃料」は、輸送燃料又は石油化学物質などの高品質の石油製品を含む。用語「合成燃料(synthetic fuel)」、「燃料合成製品」、「フィッシャー-トロプシュ(FT)燃料」、「合成燃料(synfuel)」、及び「太陽光燃料」は、本開示において互換的に使用される。
【0122】
炭化水素製造サブシステム12は、水素と、大気中のCO2を供給源とする炭素との反応に関連する燃料合成技術(本明細書で「経路」とも称される)を利用し、この構成における大気は、炭素含有供給原料である。一部の経路は、合成ガス(一酸化炭素(CO)と水素(H2)の混合物)などの中間体を使用して、粗軽油の組成と同様である「フィッシャー-トロプシュ(FT)粗製物」を製造する。本明細書で使用される場合、合成ガスは、COとH2ガスの混合物を指すが、少量のCO2、メタン、及び水蒸気、並びに他の微量気体を含有する可能性がある。炭化水素製造サブシステム12は、電極触媒又は熱触媒でありえて、大気から抽出された回収CO2からCOを製造するCO2還元反応器を含む。CO2還元反応器は、図9Aから図10Bを参照して、より詳細が以下に記載される。FT粗製物は、精製されて、合成天然ガス、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ジェット燃料、航空機用タービン燃料、又はディーゼルなどの最終的な市販の合成燃料をもたらすことができる。精製工程では、精製テールガス及び精製粗製物が製造される。精製テールガス及び精製粗製物を反応物として、又は可能な場合は、システム10の他の装置で熱エネルギーを生成するために使用することが有益でありうる。炭化水素製造サブシステム12は、図2から図5を参照して、より詳細が以下に記載されるように、CO2捕捉サブシステム11に流体連結され、本明細書に開示される一部の構成では、水素製造サブシステム13にも流体連結されて、合成燃料を製造する。場合によっては、水素は、水素製造サブシステム13の外部の別の供給源(例えば、水素パイプライン)を通して、炭化水素製造サブシステム12に提供されうる。
【0123】
場合によっては、特定のプロセス流から水を除去して、下流装置に対する水の影響を低減するか、又はプロセス流の濃度若しくは純度を向上させることが有益でありうる。流れから水を除去することは、化学的又は物理的な手法を介して、又はこれらの手法の組合せを介して達成されうる。水を除去するための例示的な化学的手法は、ガス状流(例えば、合成ガス生成流、か焼炉生成物ガス)と、例えばCaOのような、水と反応してCa(OH)2などの別の生成物を形成しうる材料、又はある種類の乾燥剤とを接触させることである。水を除去するための別の例示的な化学的手法は、水素製造装置の一部として、水をH2及びO2に分解することである。水を抽出するための例示的な物理的手法は、冷却、凝縮、濾過、又は膜分離を含む。水導管は、蒸気などの水を含む生成物導管の形態として機能し、CO、H2、CO2及びO2などの付加的な気体種を含みうる。1つのサブシステムで製造された材料の別のサブシステムへの、又はサブシステム内の装置間での移動は、材料移動連結として機能しうる。材料移動連結の例は、水導管、酸化剤導管又は燃料導管を通した材料の移動を含む。
【0124】
図1に示される炭化水素製造サブシステム12の実装が、合成ガスの生成に関連する、CO2から燃料を合成する経路を使用する一方、炭化水素製造サブシステム12は、再生可能又は低炭素のエネルギー源、例えば太陽光、風力、水力、地熱、原子力、又はこれらの要素の組合せを使用して、CO2から燃料を合成する経路を含む、他の経路を使用して燃料を合成することができる。これらの経路の多くはまた、中間成分として合成ガスも利用する。しかしながら、合成燃料はまた、合成ガスからのメタノール合成、続いてメタノールからガソリンへの(MTG)変換を使用して作り出されうる。MTGプロセスは、およそ400℃及び10~15バールで、ゼオライト触媒を使用する。メタノールは、最初にジ-メチルエーテル(DME)に変換され、次に軽質オレフィンのブレンドに変換される。次に、これらは反応し、炭化水素分子のブレンドを製造する。
【0125】
炭化水素製造サブシステム12はまた、合成燃料が、メタノールからオレフィンへの(MTO)プロセスを使用して作り出される経路を使用することもでき、これはMTGプロセスと同様であるが、最初にオレフィンを製造するように最適化されている。次に、これらは、Mobilのオレフィンからガソリン及び蒸留物へのプロセス(MOGD)のような別のゼオライト触媒プロセスに供給され、ガソリンを製造する。本明細書で使用される場合、頭字語「MTO」は、MTO及びMOGDの組合せを指す。MTG及びMTOは、それらのより選択的な触媒に起因して、フィッシャー-トロプシュよりタイトな分布の炭素鎖長を製造する。この選択性は、後処理/アップグレードの必要を低減させ、よりエネルギー効率の高い変換経路を作製しうる。
【0126】
炭化水素製造サブシステム12はまた、合成燃料が直接的水素化によって作り出される経路を使用することもできる。ここでは、メタノールはCO2及び水素から直接的に合成され、MTG変換へと続く。メタノール合成プロセスが使用される場合、次に、合成燃料は、メタノールからガソリンへ(MTG)又はメタノールからオレフィンへ(MTO)などのプロセスを使用して製造されうる。また更なる実装では、希薄な供給源捕捉からの二酸化炭素は、水素化プロセスに直接的に供給され、水素と結合され、次にメタノールをベースとする燃料合成プロセスに供給されうる。上記の例は例示的なものであり、本明細書に記載の空気から燃料へのプロセスの実装例を規定するものではない。
【0127】
Table 2(表2)は、CO2捕捉プロセス、H2製造プロセス、及び炭化水素製造プロセスで起こりうるいくつかの例示的な化学反応を、およその反応熱と共に例示している。これらの経路は、熱エネルギー及び/又は材料が、これらのプロセスを実施するサブシステム11、12及び13の間でどのように交換されうるかを示唆する。
【0128】
【表2A】
【0129】
【表2B】
【0130】
1つのサブシステムによって使用されるエネルギー(図1で黒い矢印で示される)の少なくとも一部及び/又は流体(図1で白い矢印で示される)の少なくとも一部は、別のサブシステムから得ることができる。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム11によって、及び/又は炭化水素製造サブシステム12によって製造された水は、水素供給原料として水素製造サブシステム13によって使用される。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム11によって製造された熱エネルギーは、炭化水素製造サブシステム12又は水素製造サブシステム13におけるプロセスで使用される。一部の実装では、炭化水素製造サブシステム12によって製造された熱エネルギーは、CO2捕捉サブシステム11を通って流れる材料流を予熱するために使用される。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム11内で起きる反応は、炭化水素製造サブシステム12中の材料流から水を除去するために使用される。一部の実装では、水素製造サブシステム13によって製造された熱及び酸素は、炭化水素製造サブシステム12及び/又はCO2捕捉サブシステム11内の燃焼プロセスに使用される。
【0131】
これらの実装のそれぞれでは、1つのサブシステムが、外部の供給源からエネルギー及び/又は流体を得るのではなく、別のサブシステムによって製造されたエネルギー及び/又は流体を使用することによって、全般的システムの対費用効果、作動効率、及び作動柔軟性のうちの1つ又は複数が改善されうることが期待される。また、本システムは、水が乏しい位置などの、そのようなエネルギー及び/又は流体の外部の供給源を提供することが困難な可能性がある用途で使用されうる。更に、本システムは、従来の化石燃料と比較して、製造された合成燃料の炭素強度を潜在的に低減することができる。
【0132】
上述のように、1つのサブシステム11、12、13からの熱エネルギーは、別のサブシステム11、12、13によって投入エネルギーとして使用されうる。炭化水素製造サブシステム12は、燃料合成(例えば、フィッシャー-トロプシュ約250~350℃)を実施しながら、中程度の熱を生成することができ、これはシステム10における様々な機械によって使用されうる。例えば、炭化水素製造サブシステム12は、ボイラー供給水を予熱するCO2還元反応器及び反応器供給流を予熱するフィッシャー-トロプシュ反応器を含みうる。CO2捕捉サブシステム11はまた、他のプロセス装置で使用されうる高程度の熱(例えば、か焼炉-約850~950℃)を生成することもできる。例えば、CO2捕捉サブシステム11は、供給流を予熱するか焼炉及び消和反応で蒸気を製造する消和器を含みうる。この中程度及び高程度の熱はまた、動力を生成し、同様に下流の精製及び蒸留システムのための蒸気熱を提供するためにも使用されうる。
【0133】
同様に、1つのサブシステム11、12、13によって製造されるか又は放出される流体は、別のサブシステムにおける供給原料として又は他のプロセスのために使用されうる。例えば、炭化水素製造サブシステム12は蒸気を生成し(例えば、CO2還元反応器及びフィッシャー-トロプシュ反応器によって)、CO2捕捉サブシステム11は水を生成し(例えば、か焼炉における燃焼反応によって)、これらはシステム10における様々な機械によって使用されうる。例えば、サブシステム11、12、13のうちの1つ又は複数によって製造された水は、蒸発による水損失の代わりを補い、消石灰のようなプロセス材料を製造し、ペレットを洗浄してアルカリ含有物を除去し、吸着剤再生装置において吸着剤を再生させてCO2を放出し、水素製造サブシステム13において水素供給原料として機能するか、又はこれらの組合せに使用されうる。
【0134】
図2は、大気204中のCO2から合成燃料を製造するためのシステム例200の概略図である。システム200は、電極触媒CO2還元反応器222及び自己熱改質器(ATR)220を利用する。場合によっては、システム200は、大気以外のガス混合物を供給源とするCO2から合成燃料を製造することができ、他のガス混合物は、約1vol%未満のCO2含有量を有する。システム200は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム280、水素製造サブシステム225、及び炭化水素製造サブシステム282を含む。CO2捕捉サブシステム280は、大気204からCO2を抽出し、CO2を濃縮し、燃料合成のための下流の炭化水素製造サブシステムで使用される回収CO2流254を製造する。水素製造サブシステム225は、炭化水素合成のための水素供給原料202から水素分子を抽出する。一部の実装では、炭化水素製造サブシステム282は、水素製造サブシステム225の代わりに又はこれに加えて、水素源(例えば、水素パイプライン)に流体連結されうる。炭化水素製造サブシステム282は、水素製造サブシステム225によって製造された水素258と、CO2捕捉サブシステム280によって製造された回収CO2254とを使用して、合成燃料を製造する。
【0135】
図2を参照すると、CO2捕捉サブシステム280は、CO2捕捉溶液246を吸着材料として利用して、大気からCO2を捕捉する空気接触器212を含む。CO2捕捉溶液の非限定的な例は、アルカリ水溶液(例えば、KOH、NaOH、又はこれらの組合せ)、アミノ酸塩水溶液、アミンの非水溶液、炭酸塩及び/又は重炭酸塩の水溶液、フェノキシド/フェノキシド塩、イオン性液体、非水性溶媒、又はこれらの組合せを含む。場合によっては、CO2捕捉溶液246は、CO2取込み率を増加させる促進剤及び/又は添加剤を含んでよい。促進剤の非限定的な例は、炭酸脱水酵素、アミン(第一級、第二級、第三級)、及びホウ酸を含む。添加剤の非限定的な例は、クロリド、スルフェート、アセテート、ホスフェート、界面活性剤を含む。
【0136】
図2を参照すると、CO2捕捉溶液246は、大気からCO2を捕捉するためのアルカリ水溶液を含む。CO2捕捉溶液246を再生させ、下流使用のためのCO2を回収するために、CO2捕捉サブシステム280は、ペレット反応器214、消和器216、及びか焼炉218を含む再生システムを有する。この例では、空気接触器212への投入物は、空気204(例えば、大気、外気)及びペレット反応器214からのCO2捕捉溶液246を含む。CO2捕捉溶液246は、水酸化物に富む(例えば、KOHに富む)場合がある。空気接触器212からの排出物は、ペレット反応器214へ流れるCO2含有溶液240及び空気流204より低いCO2濃度を有するCO2低含有空気206を含む。CO2含有溶液240は、炭酸塩(例えば、K2CO3)に富む場合がある。この例では、ペレット反応器214への投入物は、空気接触器212からのCO2含有溶液240及び消和器216からの水酸化カルシウム(Ca(OH)2)流244を含む。ペレット反応器214からの排出物は、か焼炉218へ流れる炭酸カルシウム(CaCO3)流242及び空気接触器212へ流れるCO2捕捉溶液246を含む。この例では、消和器216への投入物は、水流202及びか焼炉218からの酸化カルシウム(CaO)流248を含む。消和器216からの排出物は、ペレット反応器214へ流れる水酸化カルシウム(Ca(OH)2)流244を含む。システム200のこの例では、か焼炉218への投入物は、天然ガス流210、水素製造サブシステム225からの酸素(O2)流230a、ペレット反応器214からのCaCO3242、及び任意選択で、水素製造サブシステム225からの水素(H2)燃料流258を含む。か焼炉218からの排出物は、CaO248を含み、これは消和器216、及び回収CO2流254に提供される。場合によっては、酸素流230aは、水電解槽によって製造された電解槽酸素流である。
【0137】
一部の実装では、CO2捕捉サブシステム280は、複数の空気接触器212、複数のペレット反応器214、及び/又は複数の消和器216を含み、それぞれの装置の列/アセンブリを形成する場合がある。CO2捕捉サブシステム280の例示的実装で起きる作動及び反応は、例えば図12を参照して、より詳細が以下に記載される。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム280の空気接触器212は、大気からCO2を捕捉するための異なる吸着剤、及び/又は回収CO2流254としてCO2を回収するための異なる再生装置を含むか又は利用することができる。CO2捕捉サブシステム280の他の構成が可能である。代替的CO2捕捉サブシステム280のいくつかの実施形態例は、より詳細が以下に記載される。
【0138】
前述の装置のそれぞれは、図2中のCO2捕捉サブシステム280の要素であるとして模式的に示されているが、一部の態様では各装置は独立しており、別の装置の相対的に近く又は相対的に遠くに配置されうる。例えば、か焼炉218を、炭化水素製造サブシステム282の構成要素である特定の装置の近くに配置することが有益な場合もある。一部の態様では、装置間の距離が小さいほど、ガス圧縮のためのエネルギー必要性を低減し、且つ流動する熱交換媒体(例えば、流れ、冷却水システム等)の摩擦又は熱損失を低減することができるため、特定の要素又は装置を互いに相対的に近くに配置することから、相乗的及び予期されなかった結果がもたらされる場合がある。一部の実装では、別の要素又は装置との間の距離が約250メートル以下である場合、要素又は装置は相対的に近い。エネルギーの必要性及び損失における低減は、作動費用を著しく低減することができる。
【0139】
図2に示される例の一部の実装では、回収CO2流254は、炭化水素製造サブシステム282へ流れる前に、CO2浄化及び圧縮装置238に送られる。一部の態様では、1つ又は複数のCO2浄化及び圧縮装置238は、CO2捕捉サブシステム280のバッテリー限界内部、補助プロセス領域内、CO2捕捉サブシステム280と炭化水素製造サブシステム282との間、又は炭化水素製造サブシステム282のバッテリー限界内に位置してよい。バッテリー限界は、特定のシステムの装置が位置する境界を定義する領域である。例示的実装では、CO2浄化及び圧縮装置238は、回収CO2流254をCO2捕捉サブシステム280から受け取ることができる。CO2浄化及び圧縮装置238は、少なくとも一部の不純物を回収CO2流254から除去して、混入物を実質的に含まない回収CO2供給流256を達成するように機能する。場合によっては、回収CO2供給流は、少なくとも99wt%のCO2である。不純物の例は、酸素、不活性ガス(窒素及びアルゴン等)、水蒸気、又はこれらの組合せを含みうる。場合によっては、CO2浄化及び圧縮装置238によって、回収CO2供給流254から除去された水蒸気は、水処理施設又は投入流として水を必要とする別の装置に送られうる。CO2浄化及び圧縮装置238は、圧力振動吸収器、極低温蒸留装置、膜分離装置、単段圧縮又は多段圧縮列及び水ノックアウト、又はこれらの組合せを含みうる。回収CO2供給流256は、炭化水素製造サブシステム282に送られる。
【0140】
水素は、本開示による合成燃料を製造するために必要である。例示的実装では、水素製造サブシステム225は、水202を電気分解して、電解酸素230a(本明細書では簡単に「酸素流230a」と称される)及び水素流258を形成する水電解槽を含むか、又は水電解槽である。少なくとも一部の酸素流230aは、酸素燃焼を介してか焼用の熱エネルギーを生成するためのか焼炉218に送られうる。別の可能な実装では、水素製造サブシステム225は、メタンCH4と水とを吸熱反応で反応させて合成ガスを製造し、且つ水性ガスシフト反応を利用して主に水素258を製造する水蒸気-メタン改質器を含むか、又は水蒸気-メタン改質器である。水素製造サブシステム225の実施形態例は、図11A及び図11Bを参照して、より詳細が以下に記載される。例示的実装では、水素製造サブシステム225の水電解槽によって製造された少なくともの一部の酸素230a及び水素258は、炭化水素製造サブシステム282に送られる。水電解槽からの一部の酸素230aは圧縮され、自己熱改質器220に送られる。一部の実装では、水202は、水電解槽又はシステム200中の他の装置に供給される蒸気流を含むか、又は蒸気流である。
【0141】
例示的実装では、CO2捕捉サブシステム280はか焼炉218を含み、水素製造サブシステム225は、水電解槽を含む。一部の例では、水電解槽は、ポリマー電解質膜(PEM)又は固体酸化物型電解セル(SOEC)を含みうる。一部の態様では、システム200は、か焼炉218を酸素燃焼させるために、水電解槽からの酸素O2流230aを利用することができる。例えば、水電解槽からの酸素230aは圧縮されて、か焼炉218への供給流として使用されうる。一部の態様では、CO2捕捉サブシステム280及びか焼炉218は酸素燃焼式でありえて、水電解槽から得られた実質的に純粋な酸素を燃焼に使用することによって、より効率的に作動することができる。
【0142】
一部の態様では、システム200は、か焼炉218用の燃料として、天然ガス210をH2又はH2-混合物で部分的又は完全に置き換えることを利用できる。水素製造サブシステム225からの水素258の一部は、か焼炉218における酸素230aとの反応によって、熱エネルギーを提供するために使用されうる。例えば、水素258の一部は、天然ガス210とブレンドされ、か焼炉218中で酸素230aと共に燃焼されて、か焼反応用の熱を生成しうる。例えば、水素258のみの流れは、か焼炉218中で酸化され、熱を生成しうる。水素258をか焼炉218の燃料に使用することによって、天然ガス210の必要性は低減又は排除され、これはシステム200の全般的な炭素強度を低減することができる。
【0143】
図2に示されるシステム200では、炭化水素製造サブシステム282は、互いに流体連結される、電極触媒CO2還元反応器222、自己熱改質器220、フィッシャー-トロプシュ(FT)反応器224、精製装置226、及び蒸留装置228を含む。CO2捕捉サブシステム280の装置と同様に、前述の装置は、炭化水素製造サブシステム282の要素として模式的に示されるが、別の装置の相対的に近くに配置されることから、エネルギー必要性及び摩擦又は熱の損失を低減し、それによって作動費用を低減させるという利益を得ることができる。
【0144】
一酸化炭素(CO)は、合成燃料を組み立てる炭化水素を形成するのに必要な炭素原子を提供するため、炭化水素製造サブシステムにおける主要な反応物である。市販のFT反応器は、CO2を直接的に炭化水素に変換するのに適さないため、CO2が最初にCOなどの重合されうる分子に変換されることを必要とする。一部の電極触媒CO2還元反応器は高温で作動して、効率的に機能する。CO2からCO及び/又は合成ガスを形成するための従来の手法と異なり、電極触媒反応器を実装する電気化学的手法は、電気的に動力を供給され、バーナーを使用せず、したがって、化石燃料を燃焼させて反応器をその作動温度まで加熱する必要を回避する。したがって、電極触媒CO2還元反応器の炭素強度は、燃焼を必要とする従来の反応器の炭素強度より低くなりうる。
【0145】
電極触媒CO2還元反応器222は、回収CO2供給流256をCO2捕捉サブシステム280から受け取る。電極触媒CO2還元反応器222は、回収CO2供給流256中でCO2に電気化学的還元反応(CO2→CO+1/2O2)を触媒上で実施することによって、一酸化炭素(CO)262及び酸素230bを製造する。場合によっては、電極触媒CO2還元反応器222は、Table 2(表2)に記載の反応のうちの1つ又は複数を利用することができる(電極触媒CO2還元反応器に関して列挙された反応を参照のこと)。一部の実装では、電極触媒CO2還元反応器222は、固体酸化物型電解セル、溶融炭酸塩電解セル、ポリマー電解質膜燃料セル、低温電気分解セル、又はこれらの組合せを含みうる。電極触媒CO2還元反応器222のいくつかの可能な構成は、図9A及び図9Bを参照して、より詳細が以下に記載される。電極触媒CO2還元反応器222によって製造された酸素230bは、自己熱改質器220で使用されえて、これは空気分離装置(ASU)などの他の酸素源に関する必要性を低減又は排除することができる。一部の態様では、システム200は、水電解槽及び/又はCO2還元反応器222からの酸素O2流230aを利用して、か焼炉218を酸素燃焼させるために使用されうる。
【0146】
図2を参照すると、FT反応器224は、電極触媒CO2還元反応器222からのCO流262及び水素製造サブシステム225からの水素流258を受け取る。FT反応器224はまた、ATR220から合成ガス260(主にCO及び水素からなる)も受け取る。FT反応器224は、供給流中で水素とCOを重合反応で反応させ(「FT合成」とも称される)、FTテールガス264及びFT粗製物268流を形成し、これは組み合わせられ、気体、液体及びワックスの範囲にわたる直鎖状及び分岐状の炭化水素並びに酸素化生成物の多成分混合物を含む。一部の実装では、FT反応器224は、200℃~350℃及び10バール~60バールで作動しうる。FT合成プロセスは、以下に定義される軽質末端炭化水素及び重質末端炭化水素の組合せを製造する。一部の態様では、FTテールガス264及びFT粗製物268の一部は、低芳香族性を有し、且つ低含有からゼロ含有の硫黄を有しうる。FT反応器224の生成物はまた、直鎖状のパラフィン及びオレフィン、すなわち:水素及び低分子量の炭化水素(C1~C4)、中分子量の炭化水素(C4~C13)並びに高分子量の炭化水素(C13+)も含みうる。水素及び低分子量の炭化水素は、燃焼燃料、ポリマー、及びファインケミカルを作製するために使用されうる。例えばガソリンと同様の組成を有する中分子量の炭化水素は、滑沢剤及びディーゼル燃料用の供給原料として使用されうる。高分子量の炭化水素は、ワックス又はパラフィンであり、滑沢剤用の供給原料でありえて、更に精製又は水素化分解されて、ディーゼル燃料となりうる。
【0147】
一般に、FTテールガス流264は主に軽質末端炭化水素を構成し、FT粗製物流268は主に重質末端炭化水素を構成する。FT反応器224はまた、FT合成反応の生成物として水236も製造することができる。水236の一部又は全ては水処理施設で処理され、及び/又はシステム200内の他の装置での使用のために再循環されうる。
【0148】
軽質末端炭化水素は、標準的な室温及び圧力下で、気相に存在する炭化水素と考えられてよい。軽質末端炭化水素は、典型的には、相対的に低い分子量を有する短鎖炭化水素(C1~C4)を含む。例えば、メタン、ブタン、及びプロパンは、軽質末端炭化水素と考えられる。場合によっては、軽質末端炭化水素を含有する気体状の合成燃料流は、水素を含んでよい。水素は膜を使用して分離され、供給原料として他の装置、例えばFT反応器224に別々に再循環されうる。精製後、軽質末端炭化水素から形成されうる一部の合成燃料製品は、合成天然ガス及び液化石油ガス(LPG)を含む。
【0149】
FT反応器224はまた、重質末端炭化水素も製造する。重質末端炭化水素は、標準的な室温及び圧力下で、液相(例えば、ナフサ、蒸留物)又は固相(例えば、ワックス)に存在する炭化水素と考えられてよい。重質炭化水素は、典型的には、中分子量を有する中鎖炭化水素(C4~C13)及び高分子量を有する長鎖炭化水素(C13+)を含む。精製後、重質末端炭化水素から形成されうる一部の合成燃料製品は、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、航空機用タービン燃料、及びワックスを含む。本明細書に記載のフィッシャー-トロプシュ燃料合成製品は、ある燃料標準(例えば、ASTMによって指示された燃料に関する標準仕様)の必要条件を満足する特定の燃料種に更に精製されうる。場合によっては、合成燃料は、プラスチック又はポリマーなどの石油化学物質又は石油製品に更に精製されうる。
【0150】
図2を参照すると、FTテールガス264は、主に気体状の軽質末端炭化水素(C1~C4)を含み、これらは反応を実行するために燃焼又は酸化を必要とする装置への有用な投入物でありうる。そのような装置の1つはATR220である。ATR220は、バーナー、燃焼チャンバ及び触媒反応領域を収容する容器を含む。ATR220は、可燃性ガス、酸素230、及び蒸気202を受け取る少なくとも1つの注入口を含みうる。可燃性ガスは、FTテールガス264などのメタン含有供給原料でありうる。可燃性ガスは、バーナー中で蒸気202と酸素を混合することによって予熱されえて、反応はATR220の燃焼チャンバ中で開始されうる。触媒反応領域は、反応物を合成ガスに変換するニッケル含有触媒を担持する触媒床を含みうる。
【0151】
例示的実装では、ATR220は、FTテールガス264及び精製テールガス266を合成ガス260に変換するように機能する。ATR220は、FTテールガス264、蒸気202、及び酸素流230a、230bを受け取る。一部の実装では、図2に示されるように、ATR220は、電極触媒CO2還元装置222と水素製造サブシステム225の両方から酸素流230a、230bを受け取る。場合によっては、ATR220は、電極触媒CO2還元装置222又は水素製造サブシステム225のうちの1つのみから酸素230を受け取ってよい。ATR220は、蒸気202の存在下で、FTテールガス264を酸素230a、230bを用いて酸化させ、FT反応器224中で、Table 2(表2)に記載される改質及びシフト反応を介して、FT合成用の合成ガス260を製造する。一部の実装では、FTテールガス264の他の軽質末端成分は、ATR220の燃焼チャンバ中でメタンに部分的に変換され、次にATR220の触媒反応領域中で合成ガス260に改質されうる。合成ガス260はFT反応器224に送られ、FT粗製物268及びFTテールガス264を製造することによって、FTテールガス再循環ループを閉じることができる。
【0152】
図4及び図5のシステム400及び500などの他の構成では、それぞれ、FTテールガス及び/又は精製テールガスは代わりにか焼炉に送られ、次に燃焼されてCO2となる。場合によっては、炭化水素製造サブシステムからCO2捕捉サブシステムに(か焼炉を介して)送られるテールガスから生じる付加的なCO2を調整するために、水素製造サブシステムの容量増加が必要となる場合がある。場合によっては、ATRを介して再循環テールガスを炭化水素製造サブシステムに戻して合成ガスを製造することが、水素製造サブシステムの容量が影響を受ける可能性が低いため、経済的である可能性がある。
【0153】
FT粗製物268は、液体又は固体である重質末端炭化水素を主に含む。図2の例示された実装では、FT粗製物268は、複数の精製装置226及び/又は蒸留装置228を含む精製施設又は精製所に送られ、そこでFT粗製物268に精製及び分離が施される。精製装置226は、水素化分解、水素処理、水素異性化、流体触媒分解、熱分解、改質、オリゴマー化、又はこれらの組合せなどのプロセスを実施し、石油製品を得る。精製施設を組み立てるプロセス装置の非限定的な例(すなわち、精製装置226及び蒸留カラム228)は、常圧蒸留装置、真空蒸留装置、水素化分解器、熱分解器、触媒分解器、改質器、水素処理器、コーカー、ビスブレーカ、又はアルキル化装置を含むプロセス装置を含む。これらのプロセス装置は、FT粗製物268を複数の精製生成物270及び精製テールガス266に変換する。FTテールガス264と同様に、精製テールガス266は、メタン及び他の軽質末端を含み、したがってATR220中で酸化されて合成ガスを製造することができる。精製生成物270は、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、基油、ワックス及び他の化学物質などの主に液体及び固体の石油製品を含みうる。精製生成物270は蒸留装置228に送られ、そこで蒸留を通して、液体燃料232及び化学物質234などの個々の生成物又はブレンドされた生成物に分離される。液体燃料232の非限定的な例は、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、燃料油、又はこれらの組合せを含みうる。
【0154】
図2の炭化水素製造サブシステム282の実装では、FT粗製物268は、精製装置226に送られ、そこから蒸留装置228に送られる。他の可能な実装では、FT粗製物268は、精製装置226中で精製プロセスを受ける前に、分離のために最初に蒸留装置228に送られる場合がある。例えば、FT粗製物268は、常圧蒸留装置228に送られ、FT粗製物268を精製テールガス266、ナフサ、蒸留物、及び残留物/ワックスに分離することができる。ナフサ、蒸留物、及び残留物/ワックスは、次に水素異性化、流体触媒分解、熱分解、改質、オリゴマー化、又はこれらの組合せなどの精製プロセスを受け、液体燃料232及び化学物質234を含む合成燃料製品を製造することができる。精製テールガス266はATR220へ流動しえて、ATR220は、蒸気202の存在下で、酸素230流を使用して、精製テールガス266中のメタンCH4を酸化して、FT合成用の合成ガス260を製造することができる。
【0155】
FT反応器224からのFTテールガス264及び精製装置226からの精製テールガス266をATR220中で使用すると、使用されない場合は大気に放出されたであろう炭素原子を再循環させてシステム200に戻すことによって、炭素排出を低減する助けとなる。更に、一部の態様では、FTテールガス264及び精製テールガス266の焼却及び放散が低減又は排除されえて、これはシステム200の全般的な炭素強度を低減する。FTテールガス264及び精製テールガス266(本明細書では「テールガス」と称される)は、主にC1~C4の範囲の気体状炭化水素を含み、自己熱改質器220中で酸素及び蒸気を使用して改質され、合成ガス260を製造することができる。一部の実装では、ATR220は、蒸気202及びCO2の両方の存在下で、酸素230を使用してFTテールガス264及び/又は精製テールガス266中のメタンを酸化させ、合成ガス260を製造することができる。例えば、回収CO2供給流256の一部はATR220に送られえて、ATR220は、回収CO2供給流256及び蒸気202の存在下でテールガスを酸化させ、合成ガス260を製造することができる。
【0156】
炭化水素製造サブシステム282は、液体燃料232及び化学物質234を製造する。液体燃料232の非限定的な例は、ジェット燃料、航空機用タービン燃料、ディーゼル、又はガソリンを含みうる。従来の化石燃料から製造された同様の製品と比較して、液体燃料232はクリーンに燃焼する(微粒子状物質及び危険な汚染物質の生成が少ない)パラフィンを主に含むため、液体燃料232は、硫黄、SOx、NOx、芳香族炭化水素及び微粒子状物質などの汚染物質の含有量が低減する傾向がある。システム200の液体燃料232は比較的純粋であるため、輸送燃料源としてより望ましい。更に、システム200によって製造されうるものなどの、大気源のCO2に由来する合成燃料は、大気のCO2が、天然ガス、バイオマス又は石炭などの従来的な炭素源と同じ不純物を有することが一般的にないため、中間処理工程で扱う不純物がより少ない傾向がある。
【0157】
一部の態様では、システム200は、CO2捕捉サブシステム280と炭化水素製造サブシステム282との間で、熱統合を利用することができる。例えば、FT反応器224及び/又は精製装置226から生成された蒸気は、CO2捕捉サブシステム280で使用されうる。一部の態様では、炭化水素製造サブシステム282は、CO2捕捉サブシステム280で利用されうる高圧蒸気及び/又は中圧蒸気を製造することができる。例えば、FT反応器224は、高圧蒸気を製造することができる。蒸気はプロセス流を加熱し、プロセス流から水を蒸発させ、凍結防止を提供し、CO2捕捉サブシステム280中で材料(例えば、CaCO3固体又はCaO固体)を予熱及び/又は乾燥させるために、直接的又は間接的に(例えば、廃熱回収法を使用することによって)使用されうる。廃熱を利用することによって、システム200、並びに液体燃料232及び化学物質234などのその生成物の炭素強度を低減することができる。熱統合は、エネルギー必要性と関連する費用を低減することによって、プロセスの経済性を改善することができる。
【0158】
一部の態様では、熱統合はまた、特定のプロセス装置及び材料の機能性を改善することもできる。例えば、CO2捕捉溶液246を加熱することによって、捕捉動力学を改善し、それによって所与の空気速度で空気接触器212を通って流れる大気からより多くのCO2が捕捉されることを可能にしうる。例えば、ペレット反応器214の放出物を加熱することによって、遠心分離及び濾過装置などの下流分離装置の性能を改善することができる。一部の実施形態では、これは、ペレット反応器放出流、ペレット反応器214若しくは濾過器/清澄器からのスリップ流、及び/又は濾過器/清澄器への供給流を加温するために、廃熱を使用することによって達成されうる。例えば、温水は、液体の特性(密度、粘度)と固体の沈降速度とを関連付ける以下のストークスの法則によって示されるように、より速い沈降特性、すなわちより低い密度及び粘度を可能にする特徴を有する:
【0159】
【数1】
【0160】
式中、Vは、球状粒子が懸濁液から沈降する速度であり、ρpは流体球状粒子の質量密度(kg・m-3)であり、ρfは流体の質量密度(kg・m-3)であり、gは重力加速度(m・秒-1)であり、Rは粒子の半径(m)であり、μは流体の粘度(kg・m-1・秒-1)である。
【0161】
一部の態様では、システム200は、冷却水システム及びCO2捕捉サブシステム280からのプロセス流を利用して、システム200内の他の装置を冷却することができる。例えば、水素製造サブシステム225及び炭化水素製造サブシステム282内の装置は熱を生成し、この熱は、閉じた冷却水ループを構成する冷却水まで移動されうる。冷却水ループは、CO2捕捉サブシステム280、水素製造サブシステム225、及び/又は炭化水素製造サブシステム282にわたる複数の装置に共通であり、それによって、システム200の冷却必要性に役立つ統合された手法を提供することができる。例えば、空気接触器212領域から流れるCO2含有捕捉溶液240は、熱交換器に送られ、そこで熱は冷却水からCO2含有捕捉溶液240に移動されうる。CO2含有捕捉溶液240は、次にペレット反応器214へ流動することができる。したがって、一部の態様では、CO2捕捉サブシステム280作動は、システム200を構成するサブシステムにおける冷却需要を満足する機会を提供することができる。これは、特定のサブシステム(例えば、CO2捕捉サブシステム)の外部の装置作動用の冷却システムが典型的には独立している従来の熱管理手法とは異なる。システム200にわたる冷却システムを統合することによって、資本及び作動費用、同様にシステム200の炭素強度が低減されうる。
【0162】
一部の態様では、寒冷な気候では、か焼炉618、CO2還元反応器、自己熱改質器、FT反応器、精製装置、又はこれらの組合せなどの、システム600中の他の装置からの廃熱を利用することによって、捕捉溶液(流れ646、流れ640)に補助加熱が提供されうる。熱は、1つのプロセス装置から別の装置へ、共通の冷却水システムを介して移動されうる。
【0163】
一部の態様では、システム200は、炭化水素製造サブシステム282からの廃熱を使用して、電気/エネルギーを生成することができる。例えば、炭化水素製造サブシステム282からの廃熱は、熱エネルギーを使用して蒸気を製造し、蒸気タービン発電機で使用されて電気を製造する熱回収蒸気発生器などの装置を利用することによって、動力生成に使用されうる。電気を製造するプロセスからの廃熱を使用することによって、プロセスのための輸入電気の必要が低減され、それによって、資本及び作動費用、同様にシステム200の炭素強度が低減されうる。
【0164】
一部の態様では、システム200は、CO2捕捉サブシステム280と水素製造サブシステム225との間の熱統合を利用することができる。例えば、水素製造サブシステム225は、熱を生じる水電解槽又は水蒸気-メタン改質器を含みえて、これはCO2捕捉サブシステム280で使用されうる。CO2捕捉サブシステム280は、プロセス流を加熱し、プロセス装置の性能を改善するためなどの低グレードの廃熱を使用する複数の用途を有する。例えば、スラリー流を加熱することによって、濾過器及び/又は遠心分離の性能を改善することができる。水素製造サブシステム225からの廃熱を使用することによって、システム200の炭素強度を低減することができる。
【0165】
一部の態様では、システム200は、水素製造サブシステム225及びCO2捕捉サブシステム280のための水処理をまとめることができる。一部の態様では、水素製造サブシステム225は水電解槽を含みえて、水源(例えば、生活用水、地下水、廃水等)は、水電解槽に供給される前に、水処理施設又は浄化システムで浄化される。浄化プロセスは、水電解槽の付着物又は劣化を低減しうる。例えば、浄化プロセスは、塩化物イオンを除去し、副生成物としてブラインを製造しうる。ブライン副生成物は次に回収され、CO2捕捉サブシステム280でプロセス水構成物として使用されうる。例えば、ブラインは、消和器216を介して、CO2捕捉サブシステム280に導入されうる。副生成物ブラインを使用することによって、CO2捕捉サブシステム280及び水素製造サブシステム225のための水処理をまとめながら、プロセスの正味の水需要を低減し、水廃棄費用を低減することができる。
【0166】
一部の態様では、システム200は、CO2捕捉サブシステム280中でFT反応器224によって製造された水236を利用することができる。FT反応器224からの製造水236の少なくとも一部は回収され、CO2捕捉サブシステム280に関する水質必要条件を満足するように処理されうる。例えば、処理後、水236は、CO2捕捉サブシステム280で水構成物として再使用されえて、そこで消和器216において消和反応に使用され、及び/又はペレット反応器214から放出された炭酸カルシウムCaCO3固体を洗浄するために使用されうる。
【0167】
一部の態様では、システム200は、FT反応器224によって製造された水236を、水素製造サブシステム225中で利用することができる。例えば、FT反応器224からの製造水236の少なくとも一部は回収され、水素製造サブシステム225の水電解槽に関する水質必要条件を満足するように処理されうる。処理後、水236は、水202の代わりに又は水202に加えて、水電気分解を通して水素258及び酸素230を製造するための供給原料として使用されうる。製造された水236をシステム200中の他の場所で使用することによって、システム200の全般的水需要を低減し、水廃棄費用を低減することができる。
【0168】
一部の態様では、か焼炉218排気流からの高温排気流は、CO2還元反応器222に供給される回収CO2供給流256を予熱することができる。例えば、高温のガスからガスへの熱交換器が、か焼炉218の排気流とCO2還元反応器222に供給される回収CO2供給流256との間の熱を交換するために使用されうる。場合によっては、水素製造サブシステム225(水蒸気-メタン改質器を含みうる)、CO2還元反応器222、ATR220、又はこれらの組合せからの廃熱は、回収CO2供給流256を予熱するために使用されてよい。
【0169】
一部の電極触媒CO2還元反応器222は、これらの反応器の特定の電気化学的特性(例えば、電流密度、セル電位等)が高温において望ましいため、高温(例えば、約600℃~900℃)で作動する。高温で作動するこれらの電極触媒CO2還元反応器222に関して、回収CO2供給流256を、電極触媒CO2還元反応器222に供給される前に予熱することによって(例えば、か焼炉218から熱移動され)、電極触媒CO2還元反応器222から必要とされるエネルギー負荷を低減することができる。例えば、回収CO2供給流256は室温から100℃でありえて、次に、熱交換器を使用する予熱工程を介して、漸進的に加熱されうる。
【0170】
一部の態様では、システム200は、CO2還元反応器222の生成ガス(例えば、CO262及び酸素230)からの熱を回収し、回収CO2供給流256を予熱することができる。例えば、少なくとも1段階の熱交換又は少なくとも1つの熱交換器が、回収CO2供給流256の予熱に使用されうる。第1段階は、より冷温で作動する金属熱交換器を含みえて、第2段階は、熱合成ガス及び/又はCO262を扱う場合に起こりうるメタルダスティングに起因して、セラミック熱交換器を含みうる。セラミック熱交換器は、プロセス流と接触する金属を低減又は排除し、したがってメタルダスティングを排除することができる。一部の態様では、熱合成ガス及び/又はCO262からの熱を回収し、回収CO2供給流256を予熱することによって、システム200のエネルギー需要及び作動費用を低減することができる。
【0171】
一部の態様では、システム200は、CaO248からの熱を回収し、CO2還元反応器222に供給される回収CO2供給流256を予熱することができる。例えば、回収CO2供給流256は、CaO248と接触して、か焼炉218の冷却列中で熱を交換し、それによってCaO248を冷却しながら、回収CO2供給流256を予熱することができる。一部の態様では、か焼炉218の下流に設置された高温バッグハウスは、か焼炉218からCO2還元反応器222に持ち越されるダストの量を低減することができる。回収CO2供給流256とCaO248多段ループの圧力との間の大きな圧力差を管理するために、流体床にわたる圧力降下を介して圧力差が生じるように、シールが利用されうる。冷却CaO248からの熱を回収し、回収CO2供給流256を予熱することによって、また、システム200のエネルギー需要及び費用を低減することができる。CO2還元反応器222のような改質装置は、典型的には、CO2還元反応が起きる温度で固体を排出するか焼炉218などの別のプロセス装置と共同設置されていないため、そのような統合効率は、典型的には従来のシステムでは得られない。
【0172】
一部の態様では、システム200は、プロセス施設レイアウト設計を利用して、熱及び材料の統合を促進することができる。例えば、炭化水素製造サブシステム282の土地フットプリントは、CO2捕捉サブシステム280の土地フットプリントと比較して、より小規模にすることができる。システム200のプロセス装置は戦略的に位置され、熱及び材料の統合の利益を享受し、全般的な施設フットプリントを低減することができる。例えば、同様の高温範囲(800~950℃)で両方とも作動するCO2還元反応器222とか焼炉218は、共同設置(例えば、危険な位置における電気設備に関する法的必要条件によって許可された最短距離までおよそ250m以内などの相対的に近く)することによって、密接な熱統合並びに熱損失及び圧力降下の最小化を可能にすることができる。か焼炉218と炭化水素製造サブシステム282の共同設置は、DAC及び燃料合成プロセスの統合のため、実現可能である。
【0173】
一部の態様では、システム200は、多機能の圧縮機を利用することによって、1つ又は複数のサブシステムの圧縮必要性を組み合わせることができる。例えば、炭化水素製造サブシステム282のFT再循環圧縮は、CO2圧縮及び浄化装置238と組み合わせられうる。ATR220から流れる合成ガス260、CO2捕捉サブシステム280から流れる回収CO2流254、及び水素製造サブシステム225から流れる水素258は、それらのそれぞれの下流装置に流れる前に、それぞれ圧縮されることが必要な場合がある。これらの流れのそれぞれを圧縮するために別個の圧縮機を利用する代わりに、シングル圧縮機アセンブリ239が使用されうる。シングル圧縮機アセンブリ239は、複数の段階を有しうる。例えば、電極触媒CO2還元反応器222は、回収CO2供給流256の一部をCO262に変換しうるのみである。場合によっては、未変換のCO2は、電極触媒CO2還元反応器222の注入口に再循環されえて、圧縮されることが必要な場合がある。CO2再循環は、圧縮機アセンブリ239に供給され、適切な圧縮機段階で回収CO2供給流256と組み合わせることができる。圧縮が必要とされる流れが回収CO2供給流256から分離されたままである実装では、圧縮機アセンブリ239は一体型ギア式圧縮機を含みえて、それらは一体型ギア式圧縮機の別々の段階で圧縮されうる。流れが回収CO2供給流256から分離されたままである別の実装では、圧縮機アセンブリ239は、第1の圧縮機が第2の圧縮機(例えば、主要CO2圧縮機)と同じモータ用軸によって駆動される多段圧縮機アセンブリを含みえて、回収CO2供給流256は第1の圧縮機で圧縮され、一方、他の流れは第2の圧縮機で圧縮される。場合によっては、これは、1台の大型圧縮機が、2台の個々のより小型の圧縮機より低費用でありうるため、より低い資本費用となりうる。
【0174】
大気中のCO2から合成燃料を製造するシステムの他の構成が可能である。場合によっては、電極触媒CO2還元反応器222の代わりに熱触媒CO2還元反応器が使用されえて、図2のシステム200と比較して、プロセス流の流れにいくらかの差異を必要とする場合がある。一部の実装では、熱触媒CO2還元反応器は、合成ガスをFT反応器に送って合成炭化水素を製造する前に、逆水性ガスシフト(RWGS)として公知のプロセスを通して、CO2及び水素を合成ガスに変換することができる、気体から液体への改良型プラットフォームを利用しうる。これは、DAC(例えばCO2捕捉サブシステム280)と、発達したFT技術との統合を可能とし、システムのより容易な規模拡大及びDAC由来のCO2源から合成燃料を製造する方法へつながりうる。
【0175】
図3は、熱触媒CO2還元反応器322及び自己熱改質器320を利用する、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステム例300の概略図である。システム300は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム380、水素製造サブシステム325、及び炭化水素製造サブシステム382を含む。図2のシステム200のCO2捕捉サブシステム280、水素製造サブシステム225、炭化水素製造サブシステム282、及び他の要素の、上で提供された記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図3のシステム300のCO2捕捉サブシステム380、水素製造サブシステム325、炭化水素製造サブシステム382、及び他の同様の要素に、それぞれ準用される。
【0176】
図3のシステム300の例示的実装では、水素製造サブシステム325は、水素流358を、熱触媒CO2還元反応器322及びFT反応器324に流動させる。熱触媒CO2還元反応器322は、水素、CO2、メタン、天然ガス、酸素、蒸気、軽質末端炭化水素、及びバイオメタンを含むがこれらに限定されない多様な供給原料を反応させて、合成ガスを製造することができる。場合によっては、熱触媒CO2還元反応器322は、Table 2(表2)に記載される反応(熱触媒CO2還元反応器に関して列挙された反応を参照のこと)のうちの1つ又は複数を利用することができる。図3を参照すると、熱触媒CO2還元反応器322は、水素358及びCO2捕捉サブシステム380からの回収CO2供給流357に関して、RWGS反応(CO2+H2⇔CO+H2O)を実施することによって、CO流362及び蒸気336を製造する。一部の実装では、熱触媒CO2還元反応器322は、充填床反応器、多管式固定床反応器、又はこれらの組合せにおける触媒床を含む。一部の実装では、CO2熱触媒還元反応器322は、上記Table 2(表2)に記載の反応のうちの1つ又は複数を介してCO及びH2を生成しえて、供給原料として炭化水素(例えば、メタン)流を受け取りうる。熱触媒CO2還元反応器322は、例えば500℃超のような高温で作動しえて、大気圧又は200バールまでのより高い圧力のいずれかで作動しえて、主要な反応に関与するための多様な触媒を組み込んでよい。熱触媒CO2還元反応器322の実施形態は、図10A及び図10Bを参照して、より詳細が以下に記載される。電極触媒CO2還元反応器と対照的に、熱触媒CO2還元反応器322は、酸素の代わりに蒸気336(すなわち、水)を製造する。
【0177】
一部の態様では、システム300は、熱触媒CO2還元反応器322からの水336を、CO2捕捉サブシステム380におけるプロセス水構成物として利用することができる。水336は、CO2捕捉サブシステム380で使用される前に、回収及び処理されうる。水処理は、溶解種(気体又は微粒子)を除去し、酸性度の平衡を保つことを含みうる。一部の態様では、製造された水336をシステム300中の他の場所で再使用することによって、全般的な水需要及び水廃棄費用を低減することができる。
【0178】
熱触媒CO2還元反応器322は、CO362をFT反応器324に流動させる。FT反応器324は、水素製造サブシステム325から水素358を受け取り、CO362と水素358とを重合反応で反応させて、FTテールガス364及びFT粗製物368を形成する。FT粗製物368は精製装置326へ流れて、そこでFT粗製物368を、精製テールガス366及び複数の精製生成物370に加工する。図2を参照して、上で提供されたFT反応器224、FTテールガス264、FT粗製物268、精製装置226、精製テールガス266、精製生成物270、液体燃料232、及び化学物質234の記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図3のFT反応器324、FTテールガス364、FT粗製物368、精製装置326、精製テールガス366、精製生成物370、液体燃料332、及び化学物質334に、それぞれ準用される。
【0179】
場合によっては、軽質炭化水素が供給物を汚染している場合、熱触媒CO2還元反応器322は、コークス形成の影響を受けやすい場合がある。コークス形成は、水素原子が炭化水素から除去され、元素状炭素の層を形成する場合に起こりうる。コークス形成は、熱触媒CO2還元反応器322中の触媒床の活性面積を低減し、それによって合成ガスへのCO2変換効率を低減しうるため、問題となる。コークスを形成しうる反応例は、3C2H4→2C+2C2H6である。
【0180】
場合によっては、ATR320は、熱触媒CO2還元反応器322中のコークス形成を低減し、付加的な合成ガス(すなわち、水素製造サブシステム325によって形成された水素358及び熱触媒CO2反応器322によって形成されたCO362に加えて)を製造することができる。FTテールガス364及び精製テールガス366(本明細書では簡単に「テールガス364、366」と称される)は、主に軽質末端炭化水素(C1~C4)を含み、ATR320に流れる。ATR320では、蒸気302及び酸素330の存在下で、テールガス364、366の少なくともの一部は、合成ガス361に改質され(CH4+1/2xO2+yCO2+(1-x-y)H2O←→(y+1)CO+(3-x-y)H2)、それによって付加的な合成ガスを製造することができる。合成ガス361は、次に、熱触媒CO2還元反応器322に流れうる。ATR320に関して、テールガス364、366を反応させて合成ガス361を形成し、合成ガス361を熱触媒CO2還元反応器322に流動させることは任意であるが、コークス形成をもたらす場合がある熱触媒CO2還元反応器322にテールガスを直接的に送るか、又はテールガス364、366を大気中に焼却/放散することが代替でありうる。付加的に、テールガス364、366中の軽質末端炭化水素は、一般に液体燃料332のような標的生成物より価値が低い石油製品であるが、これは、中間工程として合成ガス形成を介して、間接的に液体燃料へ潜在的に処理されることを可能とする。場合によっては、合成ガス361は、ATR320からFT反応器324に直接的に流れ、それによって、熱触媒CO2還元反応器322を迂回することができる。
【0181】
熱触媒CO2還元反応器322は、電気加熱から又は燃料の燃焼によって、熱エネルギー投入を受け取ることができる。例えば、熱エネルギーは、水素358、天然ガス310、又はこれらの組合せを燃焼させることから生成されうる。
【0182】
一部の態様では、熱触媒CO2還元反応器322は、中間圧力範囲(約50~400psi)で作動し、反応器設計及び作動を単純化することができる。例えば、熱触媒CO2還元反応器322への供給物を高圧範囲(約400~500psi)まで圧縮し、炭化水素製造サブシステム382を同様に高圧で作動させる代わりに、FT反応器324及び熱触媒CO2還元反応器322への供給流は、中間圧力まで圧縮することができる。圧力は、熱触媒CO2還元反応器の冶金的制限に関連する難題を低減することによって、機器の資本費用を低減するほど十分に低くなりうるが、依然として、合理的な土地フットプリントを維持しながらも、十分な反応速度論を達成するほど十分に高くありうる。熱触媒CO2還元反応器322及び/又は自己熱改質器320は、中間圧力範囲で作動されうる。
【0183】
熱触媒CO2還元反応器322を中間圧力範囲で作動させることによって、他の利点を有しうる。場合によっては、熱触媒CO2還元反応器322から流れるCO流362は、圧縮され(中間圧力範囲まで)、残留物でありうる少なくとも一部の水蒸気をノックアウトし、次に、FT反応器324に必要とされる、中間圧力範囲より高い供給圧力まで圧縮されうる。高温(およそ900℃)及び高圧力の作動が、改質管及び/又は触媒を担持する管の冶金に関する難題をもたらす可能性があるため、これは、熱触媒CO2還元反応器322及び/又は自己熱改質器320の資本費用を低減させることができる。中間圧力範囲は、設計応力、降伏応力、及び最大引張り強度(UTS)などの、熱触媒CO2還元反応器322及び/又は自己熱改質器320の得ることができる反応器構築材料パラメータを判定することによって選択されうる。例えば、中間圧力範囲は、熱触媒CO2還元反応器322を形成するより低グレードの鋼材が、設計応力の降伏応力及び/又はUTSに対するほぼ同じ比を保ちながら、安全に機能し且つ危険性及び作動可能性の研究から許容しうると考えられる圧力を評価することによって選択されうる。一部の態様では、中間圧力範囲又はより低い作動圧力は、熱触媒CO2還元反応器322及び/又は自己熱改質器320の構築のために、高価な材料(例えば、ステンレス鋼)に対するものとして、より低費用の材料(例えば、一部の鋼合金)の使用を可能とする。
【0184】
熱触媒CO2還元反応器322及び/又はATR320の改質管は相対的に大きく、これは典型的にその費用を増加させる。上述のように、作動圧力を低減することによって、改質管の材料における費用削減を可能としえて、サイズの大きさに関連する費用増大の一部を相殺することができる。場合によっては、自己熱改質器320は、これらの中間圧力が改質反応の生成物に好ましいため、中間圧力範囲内で作動される。
【0185】
図2を参照して、上述の熱統合手法に加えて、熱触媒CO2還元反応器322から生成された蒸気は、CO2捕捉サブシステム380で使用されうる。例えば、熱触媒CO2還元反応器322は、ATR220で使用されうる高圧蒸気を製造することができる。CO2捕捉サブシステム380と炭化水素製造サブシステム382との間の熱統合の別の例は、か焼炉318で生成された熱の回収CO2流354への移動である。一部の態様では、か焼炉318は、ダスト(例えば、CaCO3及びCaO粒子)を除去するセラミックバッグハウスに流体連結されうる。セラミックバッグハウスは、か焼炉318の第2のサイクロンの放出時に使用され、これは約900℃で作動し、回収CO2流354からダストを除去しうる。ダストが除去されて、回収CO2流354は、冷却及び再加熱を必要とすることなく、熱触媒CO2還元反応器322に直接的に送られ、したがって、熱エネルギー必要性を低減又は排除し、プロセスエネルギー効率を改善することができる。貯蔵及び送達用に、CO2流を900℃から50℃まで冷却し、次に熱触媒CO2還元反応器322に供給するためにCO2流を約900℃まで再加熱することが必要とされうる従来の設計と、これは対照的である。従来設計においては、これらの変動する温度必要条件を満足するためにCO2流を処理することによって、エネルギーの非効率をもたらしうる。
【0186】
大気中のCO2から合成燃料を製造するシステムの更に他の構成が可能である。場合によっては、炭化水素製造サブシステム中のテールガスは、CO2捕捉サブシステムで使用されうる。例えば、テールガスは、か焼炉のバーナー中で燃焼され、か焼反応に必要とされる熱エネルギーの少なくとも一部を生成することができる。テールガスがか焼炉に送られた場合、次に自己熱改質器は必要とされない可能性がある。か焼炉でテールガスを使用することは、この手法が排出の原因となるのではなく、炭素をシステム内の別のプロセス装置に再循環させるため、テールガスの大気中への放散又は焼却に対する代替でありうる。図4及び図5は、テールガスが放散される代わりにか焼炉で使用され、それによって、製造された合成燃料の一装置当たりのシステムからの炭素排出量を低減する(すなわち、炭素強度を低減させる)システム例を示す。付加的に、テールガスを炭化水素製造サブシステムからか焼炉へ流動させることが、自己熱改質器の排除を可能にしうるため、資本費用削減の可能性がある。
【0187】
図4は、電極触媒CO2還元反応器422を利用し、FTテールガス464及び精製テールガス466をCO2捕捉サブシステム480に再循環させるシステム例400の概略図である。システム400は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム480、水素製造サブシステム425、及び炭化水素製造サブシステム482を含む。図2及び図3のシステム200、300のCO2捕捉サブシステム280、380、水素製造サブシステム225、325、炭化水素製造サブシステム282、382、及び他の要素の、上に提供された記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図4のシステム400のCO2捕捉サブシステム480、水素製造サブシステム425、炭化水素製造サブシステム482、及び他の同様の要素にそれぞれ準用される。
【0188】
図4を参照すると、FTテールガス464及び/又は精製テールガス466(本明細書では「テールガス464、466」と称される)は、CO2捕捉サブシステム480のか焼炉418における利用のために、それぞれ、FT反応器424及びFT精製装置426から流れる。テールガス464、466は、主にC1~C4の範囲の気体状炭化水素を含み、酸素流430aを用いてか焼炉418中で燃焼されうる。場合によっては、か焼炉418は、天然ガス410流とテールガス464、466の両方を、酸素430aを用いて燃焼することができる。場合によっては、酸素流430aは電解槽酸素流である。
【0189】
テールガス464、466は、か焼炉418におけるか焼反応用の熱エネルギーを提供し、電極触媒CO2還元反応器422に供給するための回収CO2流454を得る。テールガス464、466を燃焼させることによって、か焼炉418への天然ガス410の供給の少なくとも一部を置き換えて、それによって関連する化石燃料ベースのCO2排出を低減し、一方、電極触媒CO2還元反応器422によって必要とされるCO2供給の仕様を依然として満足することができる。これによって、システム400及びシステム400によって製造された液体燃料432又は化学物質434の炭素強度を低減することができる。
【0190】
大気中のCO2から合成燃料を製造するシステムの更に他の構成が可能である。FTテールガス及び精製テールガス(本明細書では「テールガス」と称される)をか焼炉において再使用する上述の手法はまた、熱触媒CO2還元反応器を含む実装にも適用することができる。テールガスが、自己熱改質器の代わりにか焼炉に送られた場合、テールガス中の軽質末端炭化水素が、熱触媒CO2還元反応器でコークス形成を起こす危険性がないため、自己熱改質器は必要とされない可能性がある。これは、テールガスが、熱触媒CO2還元反応器中で改質反応を経て合成ガスを製造するのではなく、か焼炉中で燃焼を経て熱エネルギーを生成するためである。
図5は、熱触媒CO2還元反応器522を利用して、FTテールガス564及び精製テールガス566をCO2捕捉サブシステム580に再循環させるシステム例500の概略図である。システム500は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム580、水素製造サブシステム525、及び炭化水素製造サブシステム582を含む。図4における、FTテールガス464及び精製テールガス466の、FT反応器424及び精製装置426からCO2捕捉サブシステム480のか焼炉418への流れと同様の構成で、FTテールガス564及び精製テールガス566は、それぞれ、FT反応器524及び精製装置526から、CO2捕捉サブシステム580のか焼炉518に流れる。炭化水素製造サブシステム582は、図3の熱触媒CO2還元反応器322と同様の熱触媒CO2還元反応器522を含む。熱触媒CO2還元反応器の例は、図10A及び図10Bを参照して記載される。図2から図4のシステム200、300、400のCO2捕捉サブシステム280、380、480、水素製造サブシステム225、325、425、炭化水素製造サブシステム282、382、482及び他の要素の、上に提供された記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図5のシステム500のCO2捕捉サブシステム580、水素製造サブシステム525、炭化水素製造サブシステム582、及び他の同様の要素にそれぞれ準用される。
【0191】
作動柔軟性及び材料の統合は、DACをベースとする燃料製造システムに重要な設計上の考慮事項である。特定の装置が、他の装置が作動しないか又はそれらの設計容量未満で作動している間に、作動を継続できるような緩衝容量を実装することは有益でありうる。例えば、第1のプロセス装置は、緩衝装置を介して第2のプロセス装置に連結されうる。第2のプロセス装置は、変更又は整備のためにオフラインにすることが必要な場合があるが、緩衝装置が、第1のプロセス装置によって製造された材料を貯蔵する容量を有する限り、第1のプロセス装置は作動を継続できる。緩衝容量は、プロセス不調の場合に、システムが定常状態の作動を継続し且つ装置を切り離すことによって、オフライン装置の上流又は下流にある装置への影響を低減することを可能にする。
【0192】
図6は、緩衝容量及びシステム内での液体合成燃料の再循環を利用するシステム例600の概略図である。システム600は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム680、水素製造サブシステム625、及び炭化水素製造サブシステム682を含む。上に提供された図2から図5の水素製造サブシステム225、325、425、525、CO2浄化及び圧縮装置238、338、438、538、並びに炭化水素製造サブシステム282、382、482、582の記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図6の水素製造サブシステム625、CO2浄化及び圧縮装置638、並びに炭化水素製造サブシステム682にそれぞれ準用される。
【0193】
図6を参照すると、システム600のCO2捕捉サブシステム680は、か焼炉618に流体連結された少なくとも1つの固体緩衝貯蔵タンク690を含む。固体緩衝貯蔵タンク690は、か焼炉618の上流及び/又は下流の装置(例えば、空気接触器612、ペレット反応器614、及び消和器616)の作動を切り離す緩衝容量を提供することができる。例えば、ペレット反応器614及びか焼炉618に流体連結された固体緩衝貯蔵タンク690は、炭酸カルシウムCaCO3を収集して、か焼炉618が低減した容量で作動するか又はオフラインにする必要がある場合、ペレット反応器614、及びペレット反応器614の上流装置が作動を継続することを可能にしうる。例えば、か焼炉618及び消和器616に流体連結された固体緩衝貯蔵タンク690は、酸化カルシウムCaOを収集して、消和器616及び/又は空気接触器612が低減した容量で作動するか又はオフラインにする必要がある場合、ペレット反応器614及びか焼炉618が作動を継続することを可能にしうる。固体緩衝貯蔵タンク690は、システム600内の個々の装置作動の供給需要と中間製造との間のギャップを低減することができる。結果として、各プロセス装置は、システム600における他の装置による影響を最低限とするか影響しない、それぞれの設計に最適である条件で作動させることができる。
【0194】
一部の態様では、システム600は、システムの湿式及び乾式のループを作動させる独特の様式を可能にしうる。一部の実施形態では、CO2捕捉サブシステム680は、統合された湿式及び乾式のプロセスループを含む。例えば、空気接触器612、ペレット反応器614、及び消和器616は、捕捉溶液646を利用及び/又は再生させ、温度変動に影響されやすい装置作動である。低室温の空気がプロセス溶液温度を-5℃未満まで低下させる冬季などの長期の寒冷期中に、これらの装置は作動上の難題を経験する場合があり、一方、か焼炉218及び炭化水素製造サブシステム682は、温度の影響を受けにくい。固体緩衝貯蔵タンク690を組み込むことによって、炭酸カルシウムCaCO3又は酸化カルシウムCaOを保持することができ、空気接触器612、ペレット反応器614、及び消和器616のうちの1つ又は複数が低減した容量又はオフラインである場合、か焼炉618は作動を継続することができる。
【0195】
流体に関する緩衝容量は、固体に関する緩衝容量と等しく同じくらい重要であり、同様の利点を有することができる。システム600は、CO2浄化及び圧縮装置638並びに炭化水素製造サブシステム682に流体連結された液体緩衝貯蔵タンク692を含む。液体緩衝貯蔵タンク692は、CO2浄化及び圧縮装置638中で液化された回収CO2流656を受け取ることができる。液化されたCO2は、「CO2ランダウン」と称されることもありうる。例えば、CO2浄化及び圧縮装置638は、CO2を液化する極低温蒸留装置を含みえて、CO2ランダウンは、液体緩衝貯蔵タンク692に流動しうる。液体緩衝貯蔵タンク692は加圧される。液体緩衝貯蔵タンク692は、CO2捕捉サブシステム680と炭化水素製造サブシステム682との間に一時的な緩衝を提供することができる。
【0196】
材料の統合に関して、場合によっては、CO2捕捉サブシステム680と適合性がありうる炭化水素製造サブシステム682中で形成された特定の非気体状炭化水素がある。
【0197】
一部の態様では、システム600は、炭化水素製造サブシステム682からCO2捕捉サブシステム680のか焼炉618への、ナフサ流684の再循環を含みうる。例えば、炭化水素製造サブシステム682のFT反応器及び精製装置は、FT粗製物及び精製生成物流をそれぞれ製造することができ、これらの流れのそれぞれはナフサを含みうる(例えば、ナフサ流684)。ナフサの化学組成は、それが形成されたプロセス条件に応じて変化しうるが、典型的には、C5~C10炭化水素鎖を含み、液体相である。FT粗製物では、ナフサは直鎖状アルケン及び酸素化物を主に含みうる。精製装置によって精製生成物に処理された後、ナフサは分岐鎖状炭化水素を含みえて、実質的に酸素化物を含まない可能性がある。ナフサは、直鎖状アルケン、酸素化物、分岐鎖状炭化水素、又はこれらの組合せを含みうる。ナフサ流684は、利用のために炭化水素製造サブシステム682からCO2捕捉サブシステム680に流動しうる。例えば、ナフサ流684は、FT反応器及び/又は精製装置からか焼炉618に流れ、燃焼されうる。
【0198】
ナフサ流684は、酸素630を用いた燃焼を通して、か焼反応用の熱エネルギーを提供することができ、これによってCO2還元反応器に供給するための回収CO2流654を得る。か焼炉618はバーナーシステムを含み、これはナフサ流684を燃料として使用するために改良を必要とする場合がある。例えば、か焼炉618のバーナーシステムは、バーナーに連結された噴霧器を含みえて、該噴霧器は燃料(例えば、ナフサ684)を液体燃料液滴に霧化し、それをか焼炉618のバーナーに送達しうる。ナフサ流684を燃焼することによって、か焼炉618で燃焼される少なくとも一部の天然ガスと置き換えることができ、それによって、関連する化石燃料ベースのCO2排出並びにシステム600及びそれによって製造される炭化水素生成物の炭素強度を低減することができる。
【0199】
安全性及び製品の質を考慮して、CO2生成サブシステムによって製造された回収CO2流が、不純物又は残留ガス(例えば、過剰酸素、水蒸気、不活性ガス等)を実質的に含まないことが重要でありうる。例えば、回収CO2流の標的生成物組成は、少なくとも99wt%のCO2からなる場合がある。回収CO2流が、貯蔵、輸送及び合成ガス製造における使用のためのCO2の質の必要条件を満足するように、これらの不純物又は残留ガスを除去することが可能である。
【0200】
図7は、回収CO2流754を含むか焼炉排気流740から少なくとも一部の過剰酸素を除去するための触媒酸化反応器741及びか焼炉燃焼制御システム720を含む、システム例700の概略図である。一部の実装では、触媒酸化反応器741又はか焼炉燃焼制御システム720の一方又は両方が含まれる。システム700は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム780、水素製造サブシステム725、及び炭化水素製造サブシステム782を含む。上に提供された図2から図6のCO2捕捉サブシステム280、380、480、580、680、水素製造サブシステム225、325、425、525、625、CO2浄化及び圧縮装置238、338、438、538、638、並びに炭化水素製造サブシステム282、382、482、582、682の記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図7のCO2捕捉サブシステム780、水素製造サブシステム725、CO2浄化及び圧縮装置738、並びに炭化水素製造サブシステム782にそれぞれ準用される。
【0201】
一部の態様では、か焼炉排気流740は、回収CO2流754、過剰酸素745、及び不活発性物質755を含みうる。過剰酸素745は、か焼炉718における燃焼反応から未反応で残った酸素を含む。不活発性物質755の非限定的な例は、窒素、水蒸気、及びアルゴンを含みうる。過剰酸素745及び不活発性物質755は、回収CO2755と混合され、か焼炉718からか焼炉排気流740として放出されうる。
【0202】
システム700は、制御システム999及びか焼炉718中のバーナー719と通信可能に連結されたか焼炉燃焼制御システム720を含む。か焼炉燃焼制御システム720は、温度指示計、流量指示計、流量発信器、流量比指示計、及びか焼炉バーナー719に流れるプロセス流を運ぶパイプに連結された他の計測器を含みうる。例えば、天然ガス、空気、酸素、流体化ガス、又はこれらの組合せを運ぶパイプは、制御システム999と通信する温度指示計及び流量発信器と流体伝達されうる。か焼炉燃焼制御システム720はまた、バーナー又はバーナー719内の火炎用の燃焼指示計、差圧指示計も含みうる。場合によっては、スイッチ、警報機器、及び圧力タップノズルもまた、か焼炉燃焼制御システム720に含まれてよい。か焼炉燃焼制御システム720は、か焼炉排気流740中の過剰酸素745の量を低減することによって、炭化水素製造サブシステム782へ流れる回収CO2流754中の過剰酸素745の量を低減する。例えば、か焼炉燃焼制御システム720は、か焼炉718に連結されたバーナー719及び流量制御システムに信号を送り、燃料に富み、酸素不足の状態でか焼炉718を作動させる。燃料に富み、酸素不足の方式は、供給ガスモル比(例えば、燃料の酸素に対するモル比)が、燃焼反応に必要とされる化学量論比と等しいか又はそれより大きい方式である。燃焼に必要とされる酸素含有量より低い酸素含有量があるため(すなわち、過剰の燃料がある)、か焼炉排気流740中の過剰酸素745の量は低減される(燃焼に必要とされる化学量論比より低い供給ガスモル比で作動するか焼炉と比較して)。この手法で作動させることによって、CO2浄化及び圧縮装置738に対する需要は低減又は排除される。
【0203】
一部の実装では、システム700は触媒酸化反応器741を含みうる。触媒酸化反応器741は、触媒酸化反応器容積内の触媒床及び可燃性ガス、酸素、CO2、水、又はこれらの組合せを受け取る注入口を含みうる。場合によっては、触媒床は、白金を含む触媒を担持する。か焼炉排気流740は、触媒酸化反応器741に入り、可燃性ガス742(例えば、天然ガス又は炭化水素製造サブシステム782からのテールガス743)と、触媒床上で反応する。か焼炉排気流740中の過剰酸素745は、可燃性ガス742又はテールガス743と反応して、CO2及び水736を形成することができる。触媒酸化反応器741を実装することによって、CO2浄化及び圧縮装置738に対する需要は低減又は排除されうる。これによって、CO2捕捉サブシステム780からのCO2生成物と、炭化水素製造サブシステム782の供給ガスの仕様の質とを橋渡しする効率的な手段を提供することができる。
【0204】
一部の態様では、システム700の触媒酸化反応器741は、炭化水素製造サブシステム782で製造されたFTテールガス及び/若しくは精製テールガス(本明細書では「テールガス743」と称される)、又は低値可燃性生成物(すなわち、標的生成物ではない可燃性炭化水素)を利用して、か焼炉排気流740中の過剰酸素745を消費することができる。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム780は、燃料の酸素に対する比が、燃焼に必要とされる化学量論比より低い(すなわち、酸素745が過剰にある)方式で作動されうる。か焼炉排気流740中の過剰酸素745を除去するために(CO2還元反応器に供給される回収CO2生成物供給流756が、必要とされる仕様を満足するように)、少なくとも一部のテールガス743又は他の低値可燃性生成物が燃焼されうる。一部の実装では、過剰のテールガス743及び低値可燃性生成物は、触媒酸化反応器741に供給され、過剰酸素745は反応中に確実に消費されうる。一部の実装では、少なくともの一部の供給ガスは、か焼炉排気流740及びテールガス743又は低値可燃性ガスを含み、テールガス及び/又は他の可燃性ガスの自己着火温度より高い温度まで予熱される。供給ガスを予熱することによって、CO2還元反応器の性能を改善し、それによって作動費用を低減することができる。
【0205】
一部の態様では、システム700は、不活性物質の蓄積を管理するための手法を利用することができる。炭化水素製造サブシステム782は、閉じたガスループを含みえて、そこで、FT反応器及び/又は精製装置からのテールガス743(C1~C4)は、CO及びH2への変換のために、CO2還元反応器又は自己熱改質器に戻される。炭化水素製造サブシステム782中のテールガス743は、CO2還元反応器、フィッシャー-トロプシュ合成、及びそれに続く精製工程において反応しない、窒素及びアルゴンなどの不活性ガス746を含有しうる。閉じたガスループ設計のために、不活発性物質755はプロセス流に蓄積し、反応物と置き換わることによって、製造速度を低下させる場合がある。不活発性物質の蓄積に対処する従来の手法は、システムからのテールガス及び不活性ガスを定期的にパージすることである。大気中への放散を介した定期的なパージ(焼却を伴うか又は伴わない)は、従来の化学的プロセスで慣例であるが、テールガスは炭化水素を含有するため、パージはシステムの排出及び炭素強度を増加させうる。
【0206】
一部の態様では、炭素-排出パージサイクルに対する必要を低減又は排除するために、テールガス743及び不活発性物質755を含有するプロセス流は、代わりに触媒酸化反応器741に送られ、及び/又はか焼炉718を介してCO2捕捉サブシステム780に再循環されえて、そこでテールガス743は燃焼されてCO2を製造することができる。場合によっては、燃焼されたCO2は捕捉されうる。不活性ガス743は、触媒酸化反応器741及び/又はか焼炉718からのCO2と共に持ち越され、CO2浄化及び圧縮システム738で除去されうる。除去された不活性ガス746は、炭素をほとんど含有しないか全く含有せず、システム700の炭素強度の誘因となることなく、その後に大気中に放散されうる。
【0207】
大気中のCO2から合成燃料を製造するシステムの更に他の構成が可能である。水素及び一酸化炭素の両方を製造しうるCO2還元反応器がシステムに実装される場合、水素製造サブシステムは必要ではない場合がある。複数のプロセス装置の統合を必要とするのではなく、合成ガスが単一装置で製造されうるため、これはまた自己熱改質器に対する必要を排除することができる。これによって、資本費用を低減し、且つシステムの作動を単純化することができる。
【0208】
図8は、水素858流及びCO862流を製造するCO2還元反応器822を利用するシステム例800の概略図である。システム800は、互いに流体連結されたCO2捕捉サブシステム880及び炭化水素製造サブシステム882を含む。図2図7のCO2捕捉サブシステム280、380、480、580、680、780、水素製造サブシステム225、325、425、525、625、725、及びシステム200、300、400、500、600、700の他の要素の、上に提供された記載、特色、参照番号、及び関連する利点は、図8のCO2捕捉サブシステム880、炭化水素製造サブシステム882、及びシステム800の他の同様の要素にそれぞれ準用される。
【0209】
炭化水素製造サブシステム882は、水流802と回収CO2供給流856とを反応させて、水素858、CO862、及び酸素流830を形成するCO2還元反応器822を含む。一部の実装では、CO2還元反応器822は、固体酸化物型電解セル(SOEC)を含み、したがって本明細書に開示される電極触媒CO2還元反応器の可能な構成である。SOECは、固体材料を電解質として利用することができ、およそ800℃の高温で作動することができる電気化学的装置である。SOECは、水を電気分解し、触媒上でCO2を還元することによって水素858及びCO862を製造する。場合によっては、触媒はジルコニアを含む。SOECの実施形態は、図9Aを参照して、より詳細が以下に記載される。一部の実装では、CO2還元反応器822は、FT反応器824に供給するのに十分な量の合成ガス(すなわち、水素858、CO862)を製造する。
【0210】
FT反応器824及び複数の精製装置826は、それぞれ、FTテールガス864及び精製テールガス866を形成することができる。一部の態様では、FTテールガス864及び精製テールガス866(本明細書では「テールガス」と称される)は、炭化水素製造サブシステム882からCO2捕捉サブシステム880のか焼炉818に流れる。一部の実装では、自己熱反応器は必要とされず、したがってテールガスは、代わりにか焼炉818中で使用されうる。
【0211】
CO2をCOに還元する電気化学的手法は、大気中のCO2から合成燃料を製造するシステムにおいて使用されうる。例えば、再生可能又は低炭素排出のエネルギー源が、DACから燃料へのシステムに電気化学的CO2還元を実装するのに使用されうる場合、システムの全般的な炭素強度が低減されうる。
【0212】
図9A及び図9Bは、アノード902、カソード904、及び電解質906を含む電極触媒CO2還元反応器の例900、901の概略図である。一般に、アノード902及び/又はカソード904は、起きる還元反応を促進する触媒材料を担持する。
【0213】
図9Aを参照すると、電極触媒CO2還元反応器900は、電解質906によってカソード904に流体連結及び電気的連結されたアノード902を含む。一部の実装では、電極触媒CO2還元反応器900は、およそ800℃の温度で作動することができる。
【0214】
場合によっては、電極触媒CO2還元反応器900は、固体酸化物型電解セル(SOEC)であってよく、電解質906は、カソード側で電極触媒CO2還元反応器900に入ることができる、CO2捕捉サブシステム280、480、680、780、880の回収CO2供給流256、456、656、756、856からの固体CO2を含む。アノード902及びカソード904(本明細書では「電極」と称される)に電位が印加され、CO2は還元されてCO分子及び酸素イオンとなる。一部の実装では、印加される電位は、0.95V~1.35Vの範囲の電圧を含みうる。次に、酸素イオンは、アノード902側で酸化されて酸素分子となる。場合によっては、水素はまた、固体酸化物型電解セルにおいて、カソード904で水を水素分子と酸素イオンに分解することによっても製造されうる。一部の実装では、電解質906はジルコニアを含みうる。一部の実装では、アノード902及び/又はカソード904は、ニッケル又は白金を含みうる。
【0215】
場合によっては、電極触媒CO2還元反応器900は、溶融炭酸塩電解セルであってよく、電解質906は炭酸塩を含む。CO2捕捉サブシステムの回収CO2供給流からのCO2は、電解質906中の炭酸イオンを補充するために使用されうる。アノード902及びカソード904に電位が印加され、電解質906からの炭酸イオンは還元されてCO分子及び酸素イオンとなる。次に、酸素イオンは、アノード902側で酸化されて酸素分子となる。一部の実装では、アノード902及び/又はカソード904は、チタン又は黒鉛を含みうる。
【0216】
図9Bを参照すると、電極触媒CO2還元反応器901は、電解質906によってカソード904に流体連結及び電気的連結されたアノード902を含む。電極は、反応物及び生成物が、電極触媒CO2還元反応器901へ流動し且つそこから流動することを可能にする流体チャネル910によって挟まれうる。一部の実装では、電極触媒CO2還元反応器901は、100℃より低い温度で作動することができる。
【0217】
場合によっては、電極触媒CO2還元反応器901は低温度電気分解セル又はポリマー電解質膜セルでありえて、電解質906は水溶液又は膜を含み、流体チャネル910a、910bは液体電解質を流動させうる。例えば、電解質906は、アルカリ性の液体電解質、カチオン交換ポリマー膜、又はアニオン交換ポリマー膜でありうる。アノード902及びカソード904に電位が印加され、回収CO2供給流からのCO2は還元されてCO分子及び酸素イオンとなる。酸素イオンは、電解質906を通ってアノード902側に動きえて、そこで酸化されて酸素分子となる。電解質906は、水酸化物OH-イオンのような電荷担体のカソード904からアノード902への動き又は移動を可能にし、CO及び酸素の製造を可能にしうる。場合によっては、アノード902又はカソード904は、ガス拡散電極であってよい。例えば、カソード904は、COが反応器の外へ拡散することを可能にするガス拡散電極でありうる。そのような場合は、流体チャネル910bは、CO2の流入及びCOの流出を可能にするガスチャネルでありうる。場合によっては、CO2還元反応器901は、鉄、白金、非貴金属、又はこれらの組合せを含む触媒を含んでよい。
【0218】
一部の実装では、電極触媒CO2還元反応器900、901のいずれも、本明細書に記載のいずれかの要素と組み合わせ可能である。例えば、図2図4及び図8のシステム200、400、800は、図9A及び図9Bの電極触媒CO2還元反応器900、901を含みうる。
【0219】
CO2からCOを生成する熱触媒手法は、大気中のCO2から合成燃料を製造することが可能である。場合によっては、熱触媒手法は、従来のFT合成プロセスから改造された改良技術に基づくため、電気化学的手法より発達している場合がある。例えば、熱触媒手法は、CO2からCOを製造するための、Table 2(表2)に記載されるようなRWGS反応(CO2+H2⇔CO+H2O)を実装しうる。
【0220】
図10A及び図10Bは、熱触媒CO2還元反応器の例1000、1001の概略図である。熱触媒CO2還元反応器1000、1001は、それぞれ、CO2還元触媒1006が担持されるCO2還元反応容器を含む。CO2還元反応容器は、注入口と放出口の組合せを形成する複数の開口部を有する。熱触媒CO2還元反応器1000、1001は、大気から回収されたCO2及び水素を含む供給ガス混合物1002を流動させうる反応物注入口1008、並びにCO及び水を含む生成混合物1004を流動させうる生成物放出口1010を含む。場合によっては、供給ガス混合物1002の構成要素は混合され、次に、反応物注入口1008に流れる前に予熱される。一部の実装では、それぞれの気体種を受け取る2つ以上の反応物注入口1008が存在する場合がある。供給ガス混合物1002は、CO2還元反応容器に入り、CO2還元触媒1006上で反応し、生成ガス混合物1004を製造することができる。一部の実装では、触媒1006は、コバルト、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、又はこれらの組合せを含みうる。RWGS反応は、天然ガスバーナー、電気ヒータ、熱交換器、又はこれらの組合せなどの冷却/加熱システムの一部を構成する熱エネルギー源1012から製造された熱エネルギーを必要としうる。場合によっては、供給ガス混合物1002は、CO2還元反応容器に入る前に、熱エネルギー源1012によって予熱されてよい。場合によっては、水蒸気又は窒素などの熱移動媒体が、熱エネルギー源1012から供給ガス混合物1002に熱を移動させるために(直接的又は間接的のいずれかで)使用されてよい。場合によっては、熱移動媒体は、CO2還元反応容器の外部シェルを収容する加熱ジャケットであってよい。熱移動媒体は、熱エネルギー投入口1014を通って熱触媒CO2還元反応器1000、1001に入り、熱エネルギー排出口1016を通って出ることができる。
【0221】
図10Aを参照すると、熱触媒CO2還元反応器1000は、充填床反応器の例である。CO2還元触媒1006は、CO2還元反応容器内の固定触媒床に充填されうる。触媒床は、熱エネルギー源1012によって、十分な反応温度(例えば、触媒に応じて180℃~850℃の範囲)に加熱される。大気から回収されたCO2を含む供給ガス混合物1002が、CO2還元反応容器の空洞及び触媒1006上を通って流れる際に、COを含む生成混合物1004が製造され、反応器から放出される。
【0222】
図10Bを参照すると、熱触媒CO2還元反応器1001は、多管式固定床反応器の例である。CO2還元触媒1006は、CO2還元反応容器内の触媒床を形成する触媒管1018の束を満たしうる。触媒床は、熱エネルギー源1012によって、十分な反応温度(例えば、触媒に応じて180℃~850℃の範囲)に加熱される。場合によっては、熱エネルギー源1012から熱を運搬する熱移動媒体は、CO2還元反応容器の空洞(すなわち、熱触媒反応器1001の「シェル」側)を通って流れうる。大気から回収されたCO2を含む供給ガス混合物1002は、触媒管1018の束に流入し、触媒管1018の長さを通って流れる際に、生成混合物1004を形成する。COを含む生成混合物1004は、反応器から排出される。
【0223】
一部の実装では、熱触媒CO2還元反応器1000、1001のいずれも、本明細書に記載の任意の要素と組み合わせ可能である。例えば、図3及び図5のシステム300、500は、図10A及び図10Bの熱触媒CO2還元反応器1000、1001を含みうる。
【0224】
水素は、合成燃料を製造するために必要とされる。水素を製造するために使用されうる種々の供給原料がある。そのような供給原料の非限定的な例は、水、メタン、及び軽質炭化水素を含む。大気のCO2から合成燃料を製造するシステムに関する炭素強度を低下させるために、再生可能なエネルギーによって電力が供給される、及び/又は炭素捕捉システムに連結される水素製造法を使用することが可能である。
【0225】
図11A及び図11Bは、水素製造サブシステム例1100、1101の概略図である。水素は、電気化学的手法、炭素捕捉と組み合わされた改質手法、又はこれらの組合せを使用して製造されうる。これらの手法は、水素製造産業において、一般にそれぞれ「グリーン水素」及び「ブルー水素」と称される。
【0226】
図11Aを参照すると、水素製造サブシステム1100は、アノード1102とカソード1104の間に配置された膜1106を含む水電解槽でありうる。膜1106は、水素イオン(プロトン)に対して透過性及び伝導性であり、ポリマー電解質膜を含みうる。水電解槽に水が供給され、アノード1102及びカソード1104に電位が印加される。電位差によって、水が酸素及びプロトンに分解される。膜1106は、プロトンをカソード1104側に伝導し、そこでプロトンから水素分子が発生する。次に、水素は炭化水素製造サブシステムに送られて合成燃料を製造することができ、酸素はシステム中の他のプロセス装置で利用されうる。
【0227】
図11Bを参照すると、水素製造サブシステム1101は、改質炉1120内の複数の改質管1114に熱的に連結されたバーナー1112を含む水蒸気-メタン改質器でありうる。バーナーは、天然ガス及び酸素を含むガス混合物1110を受け取り、燃焼させて熱エネルギーを生成する。メタン及び蒸気を含む供給ガス1108は、蒸気のメタンに対する比が3~5の範囲で改質管1114に流入し、熱エネルギーが移動されて、Table 2(表2)に記載される水蒸気-メタン改質反応(CH4+H2O←→CO+3H2)が開始される。改質管1114は、ニッケルを含む触媒を担持しうる。例えば、触媒はNi/MgAl2O4を含みうる。反応が管1114長さに沿って起きる際に、水素流1116が製造され、水蒸気-メタン改質器から放出される。水蒸気-メタン改質器は、600℃~950℃の範囲の温度で作動しうる。場合によっては、製造される水素量を増加させるために、他の反応及び装置作動が実装されてよい。例えば、水性ガスシフト反応(CO+H2O←→CO2+3H2)及び圧力振動吸収器が実装されてよい。圧力振動吸収器は、少なくとも一部のCO2及び不純物を除去することによって、相対的に純粋な水素流を得る。バーナー1112によって開始された燃焼反応からのCO2は、立て管1122を通って流動しうる。一部の実装では、立て管1122は、CO2を抽出、圧縮及び冷却して超臨界流体とし、それを永久貯蔵場所(例えば、塩水層、枯渇貯留層等)に注入する炭素捕捉及び隔離システム1124に流体連結される。これは、水素製造サブシステム1101の炭素強度を低下させることができる。
【0228】
一部の実装では、水素製造サブシステム1101は、バイオマス、石炭、又はコークスを処理するガス化装置を含みえて、ガス化装置は、炭素捕捉及び隔離システム1124に流体連結される。一部の実装では、水素製造サブシステム1100、1101は、液体又は気体状の水素を流動させる水素パイプラインを含みうる。場合によっては、水素パイプラインは、CO2捕捉サブシステム及び炭化水素製造サブシステムのバッテリー限界外部に位置する供給源からの水素を流動させうる。
【0229】
一部の実装では、図11Aの水素製造サブシステム1100は、本明細書に記載の要素のいずれかと組み合わせ可能である。例えば、図2のシステム200は、図11Aの水素製造サブシステム1100を含みうる。図11Bの水素製造サブシステム1101が含まれる一部の実装では、反応物として酸素を必要とする装置作動に供給するために、酸素源が必要とされる場合がある。例えば、酸素源は、空気分離装置、酸素を提供する電気分解セル、又はこれらの組合せを含みうる。場合によっては、酸素源は、CO2捕捉サブシステム及び炭化水素製造サブシステムのバッテリー限界外部に位置してよい。
【0230】
一部の実装では、CO2源から燃料を合成するシステムのCO2捕捉サブシステムは、大気と、大気からCO2を抽出する液体吸着剤とを接触させることによって機能しうる。例えば、液体吸着剤は、炭酸脱水酵素などの促進剤を含有するか又は含有せず、アルカリ水溶液、アミン水溶液、アミノ酸水溶液、炭酸塩及び/又は重炭酸塩の水溶液を含みうる。図12は、液体吸着剤(本明細書で「CO2捕捉溶液」とも称される)を利用するCO2捕捉サブシステム例1200を示す。CO2捕捉サブシステム1200は、システム100と同様に、大気などの希薄なCO2源から燃料を合成するシステム(及び関連するプロセス)中で作動されうる。
【0231】
CO2捕捉サブシステム1200は、空気接触器1204の使用の非限定的な例によると、大気1202から直接的にCO2を抽出するCO2捕捉溶液1212を利用する空気接触器1204を含みうる。空気接触器1204は、CO2捕捉溶液1212を使用して、大気1202からCO2の一部を吸収し、CO2に富む溶液1208を形成する。一部の実装では、CO2捕捉溶液1212は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、又はこれらの組合せの溶液を含みうる。水酸化物含有CO2捕捉溶液は、大気からのCO2と反応し、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、又はこれらの組合せの溶液を含む、CO2に富む溶液1208を形成しうる。
【0232】
CO2捕捉溶液1212は、CO2に富む捕捉溶液1208から再生されることが必要な場合があり、これはCO2捕捉サブシステム1200の一部としての再生システム1230で実行されうる。再生システム1230は、CO2に富む捕捉溶液1208(例えば、使用済み捕捉溶液)を処理して、CO2に富む捕捉溶液1208に含まれるCO2含有物を回収及び/又は濃縮するように機能する。
【0233】
再生システム例1230では、CO2に富む溶液1208は、空気接触器1204からCO2捕捉サブシステム1200のペレット反応器1210に流れる。ペレット反応器1210は、流動床反応性結晶化装置などの機器を含みうる。水酸化カルシウム(Ca(OH)2)1224が、ペレット反応器1210に注入される。CO2に富む溶液と水酸化カルシウム1224との反応が、ペレット反応器1210中で起きる。水酸化カルシウム1224からのCa2+は、CO2に富む溶液1208からのCO3 2-とペレット反応器1210中で反応し、炭酸カルシウム(CaCO3)固体及びCO2捕捉溶液としての水酸化物溶液を形成することによって、CO2捕捉溶液1212を再生する。例えば、K2CO3は、Ca(OH)2と反応して、CaCO3及びKOHを形成することによって、KOHを含むCO2捕捉溶液1212を再生する。
【0234】
CO2に富む溶液とCa(OH)2との反応によって、ペレット反応器1210中で炭酸カルシウム粒子上にCaCO3の沈殿が起こり、炭酸カルシウム固体1214を成長させる。濾過、洗浄、脱水又は乾燥を含むがこれらに限定されない、炭酸カルシウム固体1214の更なる処理が行われてよい。炭酸カルシウム固体1214は、ペレット反応器1210からCO2捕捉サブシステム1200のか焼炉1216に輸送される。
【0235】
か焼炉1216は、ペレット反応器1210からの炭酸カルシウム固体1214をか焼し、気体状CO21218の流れ(本明細書で「回収二酸化炭素供給流」とも称される)を回収し、酸化カルシウム(CaO)1220を形成する。か焼反応は、高温(典型的には、約550~1150℃の範囲)で実施される。か焼に必要とされる熱エネルギーは、か焼炉1216における燃料源の酸素燃焼によって生成されうる。一部の実装では、か焼用の熱エネルギーは、電気的に生成されえて、及び/又はか焼炉1216は、電気ヒータに熱的に連結されうる。回収CO2流1218は、圧縮及び浄化システムなどの下流装置において処理される。回収CO21218は、本開示の炭化水素製造サブシステムなどの炭化水素製造サブシステムで、燃料を合成するために使用されうる。酸化カルシウム(CaO)流1220は、CO2捕捉サブシステム1200の消和器1222において、水を用いて水和反応を介して消和され、ペレット反応器1210に提供される水酸化カルシウム1224を製造する。消和器1222は、留置消和器、高温水和器、蒸気消和器、ペースト消和器、石灰水和器、又はこれらの組合せを含みうる。CO2捕捉サブシステム1200は、空気接触器1204の列/アセンブリを構成する複数の空気接触器1204を含みうる。CO2捕捉サブシステム1200はまた、材料流から水及び/又は不純物を除去する固体除去及びクリーンアップ装置も含みえて、バッグハウス、静電気沈殿器、冷却器、熱交換器、凝縮器、又はこれらの組合せを含みうる。
【0236】
一部の実装では、CO2捕捉溶液1212は、種々の再生システムを使用して再生されうる。再生システム1230は、空気接触器1204の一部又は空気接触器とは別個のものであってよい。再生システム1230の例では、CO2に富む溶液1208は、1つ又は複数の膜の組、及び電極の組を含みうるセルスタックを含む電気化学的システムに流動しうる。電気化学的システムは、CO2に富む溶液1208を含む電解質に電位を印加することによって、CO2に富む溶液1208からCO2捕捉溶液1212を再生することができる。電位差がイオン交換を起こすことによって、回収CO21218を形成し、CO2捕捉溶液1212を再生する。再生システム1230の例では、CO2に富む溶液1208は、蒸気を利用してCO2に富む溶液1208からCO2を脱着させる熱ストリッピングカラムに流動しえて、それによって回収CO2流1218を形成し、CO2捕捉溶液(例えば、CO2-低含有液体)を再生する。
【0237】
再生システム1230は、液体分配管、固体運搬機器、濾過システム、貯蔵容器のような中間要素、及び/又は協同的に機能してCO2捕捉溶液1212を再生させる要素のアセンブリを含みうる。再生システム1230はまた、再生システム1230へ且つ再生システム1230から液体を流動させるポンプも含む。
【0238】
一部の実装では、図12のCO2捕捉サブシステム1200は、本明細書に開示されるCO2捕捉サブシステムのいずれかと組み合わせ可能であるか又はそれらと置き換え可能である。
【0239】
固体吸着剤は、大気からCO2を抽出するために使用されうる。固体吸着剤に関する捕捉機構は、一部の液体吸着剤の捕捉機構とは異なる場合がある。CO2を脱着/回収する手法、及び固体吸着剤を再生させる手法は、異なる化学物質及び装置作動を利用することができる。一部の非限定的な固体吸着剤の例を以下に記載する。
【0240】
図13は、固体吸着剤を含むCO2捕捉サブシステム例1300の概略図である。CO2含有空気1302(例えば、大気)は、固体吸着剤を担持する空気接触器1304に流入しうる。CO2含有空気1302は、吸収又は吸着を介して固体吸着剤に少なくとも一部のCO2を移動させ、CO2低含有空気流1306を形成することができ、これは空気接触器1304の外部に放出される。空気接触器1304は、CO2を回収CO2流1320として脱着させ、且つ固体吸着剤を再生させる再生システム1318に流体連結されうる。可能な一実装では、再生システム1318はか焼炉を含み、回収CO2流1320を製造し、固体吸着剤を再生させる。回収CO2流1320は、次に炭化水素製造サブシステムのCO2還元反応器に送られ、上述のように合成燃料に処理されうる。
【0241】
複数の固体吸着剤が、図13に例示される。固体吸着剤は、一般に互いに独立して使用されるが、場合によっては、CO2捕捉サブシステム1300は、複数の吸着剤の組合せを使用してよい。一部の実装では、CO2捕捉サブシステム1300の空気接触器1304は、大気1302と固体吸着材料とを接触させえて、固体吸着材料は、非炭素質起源(ゼオライト1316、シリカ、金属有機構造体1314及び多孔質ポリマー、アルカリ金属、並びに金属酸化物炭酸塩)、並びに炭素質起源(活性炭及び/又は炭素繊維、グラフェン、規則性多孔質炭素、繊維)、セルロースを伴うか又は伴わない機能性アミン系材料1308を含む化学的吸着材料を有する固体構造物、ポリエチレンイミンシリカを含む固体ポリマー系材料、イオン交換樹脂1312、又は上記のいずれかの組合せを含むが、これらに限定されない。一部の実装では、CO2捕捉サブシステムの再生システム1318は、熱スイング脱着装置、圧力スイング脱着装置、湿度スイング脱着装置、真空ポンプ、熱又は蒸気のストリッパー、か焼炉、電気化学的セル、又はこれらの組合せを含みうる。例えば、CO2含有空気1302は、酸化カルシウムCaO又は水酸化カルシウムCa(OH)2を含む固体吸着剤と空気接触器1304中で接触し、中間材料として炭酸カルシウムCaCO3を形成することができる。CaCO3は、次に、再生システム1318中のか焼炉に流れ、か焼反応を受けることによって、CO2捕捉サブシステム1300から放出される回収CO2流1320を形成することができる。回収CO2流1320は、次に、炭化水素製造サブシステムを介して合成燃料へと処理されうる。
【0242】
一部の実装では、図13のCO2捕捉サブシステム1300は、本明細書に開示されるCO2捕捉サブシステムのいずれかと組み合わせ可能であるか又はそれらと置き換え可能である。
【0243】
システム200、300、400、500、600、700、800はまた、それぞれのシステム200、300、400、500、600、700、800の1つ又は複数の要素と統合され、及び/又はそれらと通信可能に連結された制御システム(又は流量制御システム)999も含みうる。例えば、システム200におけるプロセス流は、システム200全体に実装された1つ又は複数の流量制御システム(例えば、制御システム999)を使用して流動されうる。流量制御システムは、プロセス流を動かす1つ又は複数の流動ポンプ、ファン、送風機、又は固体運搬機、プロセス流が流される1つ又は複数の流動パイプ、及びパイプを通る流れの流量を調節する1つ又は複数のバルブを含みうる。本明細書に記載の構成のそれぞれは、少なくとも1つの液体流量を制御しうる、それぞれのポンプに連結された少なくとも1つの可変周波数ドライブ(VFD)を含みうる。一部の実装では、液体流量は、少なくとも1つの流量制御バルブによって制御される。
【0244】
一部の実施形態では、流量制御システムは、手動で作動されうる。例えば、操作者が、各ポンプ又は移動機器に関する流量を設定し、バルブの開閉位置を設定して、流量制御システムにおけるパイプを通るプロセス流の流れを調節することができる。いったん、操作者が、システム全体に分布する全流量制御システムに関する流量及びバルブの開閉位置を設定すると、流量制御システムは、一定の流動条件、例えば、一定の体積流量又は他の流動条件下で流れを流動させうる。流動条件を変更するために、操作者は、例えば、ポンプ流量又はバルブの開閉位置を変更することによって、流量制御システムを手動で作動させることができる。
【0245】
一部の実施形態では、流量制御システムは、自動で作動されうる。例えば、流量制御システムは、コンピュータ又は制御システム(例えば、制御システム999)に接続され、流量制御システムを作動させることができる。制御システムは、1つ又は複数のプロセッサによって実行できる命令(流量制御命令及び他の命令等)を記憶したコンピュータ可読媒体を含み、作動(流量制御作動等)を実施することができる。操作者は、制御システムを使用して、施設全体に分布する全流量制御システムに関する流量及びバルブの開閉位置を設定することができる。そのような実施形態では、操作者は、制御システムを通して投入物を提供することによって、流動条件を手動で変更することができる。また、そのような実施形態では、制御システムは、例えば、制御システムに接続されたフィードバックシステムを使用して、自動で(すなわち、手動介入を用いることなく)流量制御システムのうちの1つ又は複数を制御することができる。例えば、センサ(圧力センサ、温度センサ又は他のセンサ等)が、プロセス流が流動するパイプに接続されうる。センサは、プロセス流の流動条件(圧力、温度、又は他の流動条件等)を、監視し且つ制御システムに提供することができる。閾値(圧力閾値、温度閾値、又は他の閾値等)を超えた流動条件に応答して、制御システムは自動で作動することができる。例えば、パイプ中の圧力又は温度がそれぞれ圧力閾値又は温度閾値を超えた場合、制御システムは、流量を低減するためのポンプへの信号、圧力を軽減するためにバルブを開く信号、プロセス流の流動を停止する信号、又は他の信号を送ることができる。
【0246】
図14は、図2に示されるシステム200などの、合成燃料を製造するシステムに関する制御システム(又は制御器)1400の概略図である。システム1400は、例えば制御システム999若しくは本明細書に記載の他の制御器として、又はこれらの一部として、これまでに記載されたコンピュータ実装方法のいずれかと関連して記載される作動に使用されうる。
【0247】
システム1400は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを含むことが意図される。システム1400はまた、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティング機器などのモバイル機器も含みうる。付加的に、本システムは、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどの携帯用記憶媒体を含みうる。例えば、USBフラッシュドライブは、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションを記憶しうる。USBフラッシュドライブは、ワイヤレストランスミッター又は別のコンピューティング機器のUSBポートに挿入しうるUSBコネクタなどの入力/出力コンポーネントを含みうる。
【0248】
システム1400は、プロセッサ1410、メモリ1420、記憶機器1430、及び入力/出力機器1440を含む。コンポーネント1410、1420、1430、及び1440のそれぞれは、システムバス1450を使用して相互接続される。プロセッサ1410は、システム1400内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサは、多数のアーキテクチャのいずれかを使用して設計されうる。例えば、プロセッサ1410は、CISC(複合命令セットコンピュータ)プロセッサ、RISC(縮小命令セットコンピュータ)プロセッサ、又はMISC(最小命令セットコンピュータ)プロセッサでありうる。
【0249】
一実装では、プロセッサ1410は、シングルスレッドプロセッサである。一部の実装では、プロセッサ1410は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ1410は、メモリ1420又は記憶機器1430に記憶された命令を処理し、入力/出力機器1440上のユーザーインターフェイス用のグラフィカル情報を表示することが可能である。
【0250】
メモリ1420は、システム1400内の情報を記憶する。一実装では、メモリ1420はコンピュータ可読媒体である。一実装では、メモリ1420は揮発性メモリ装置である。一部の実装では、メモリ1420は不揮発性メモリ装置である。
【0251】
記憶機器1430は、システム1400に大容量記憶を提供することができる。一実装では、記憶機器1430はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装では、記憶機器1430は、フロッピーディスク機器、ハードディスク機器、光ディスク機器、又はテープ機器であってよい。
【0252】
入力/出力機器1440は、システム1400に入力/出力作動を提供する。一実装では、入力/出力機器1440は、キーボード及び/又はポインティング機器を含む。一部の実装では、入力/出力機器1440は、グラフィカルユーザーインターフェイスを表示するディスプレイ装置を含む。
【0253】
図15を参照すると、合成燃料を製造するための方法1500が開示される。1501では、方法1500は、吸着材料を用いて大気の流れ(例えば、それぞれ図2及び図4の流れ204、404)から二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流(例えば、それぞれ図2及び図4の回収二酸化炭素供給流256、456)を形成する工程を含む。1502では、方法1500は、水素含有供給原料から水素を抽出して、水素供給流(例えば、それぞれ図2及び図4の水素供給流258、458)を製造する工程を含む。方法1500は、回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理し、電極触媒CO2還元反応器を使用することによって、CO流を製造する工程を含む。1504では、方法1500は、CO2還元反応器(例えば、それぞれ図2及び図4のCO2還元反応器222、422)に電位を印加する工程を含む。1506では、方法1500は、回収CO2供給流の少なくとも一部を触媒上で還元し、CO流(例えば、それぞれ図2及び図4のCO流262、462)並びに酸素流(例えば、それぞれ図2及び図4の酸素流230、430)を形成する工程を含む。1508では、方法1500は、CO2還元反応器からのCO流と水素供給流とを反応させて、合成燃料を製造する工程を含む。
【0254】
図16を参照すると、合成燃料を製造するための方法1600が開示される。1601では、方法1600は、吸着材料を用いて大気の流れ(例えば、それぞれ図3及び図5の流れ304、504)から二酸化炭素を抽出し、回収二酸化炭素供給流(例えば、それぞれ図3及び図5の回収二酸化炭素供給流356、556)を形成する工程を含む。1602では、方法1600は、水素含有供給原料から水素を抽出して、水素供給流(例えば、それぞれ図3及び図5の水素供給流358、558)を製造する工程を含む。方法1600は、回収二酸化炭素供給流をCO2還元反応器中で処理し、熱触媒CO2還元反応器を使用することによって、CO流を製造する工程を含む。1604では、方法1600は、一部の水素供給流をCO2還元反応器(例えば、それぞれ図3及び図5のCO2還元反応器322、522)に運搬する工程を含む。1606では、方法1600は、CO2還元反応器に熱エネルギーを投入し、一部の水素供給流と回収CO2供給流とをCO2還元反応器中で触媒上で反応させて、CO流(例えば、それぞれ図3及び図5のCO流362、562)及び水流(例えば、図3及び図5の水流336、536)を製造する工程を含む。1608では、方法1600は、CO2還元反応器からのCO流と水素供給流とを反応させて、合成燃料を製造する工程を含む。
【0255】
記載された特定の特色は、デジタル電子回路、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、若しくはこれらの組合せで実装されうる。本装置は、プログラム可能プロセッサによる実行のための、例えば機械可読記憶機器のような情報担体において、有形に具体化されたコンピュータプログラム製品に実装されえて;方法工程は、入力データに対して作動し、出力データを生成することによって、記載された実装の機能を実施するための命令のプログラムを実行するプログラム可能プロセッサによって実施されうる。記載された特色は、データ記憶システム、少なくとも1つの入力機器、及び少なくとも1つの出力機器からデータ及び命令を受信し、データ及び命令を送信するように連結された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを含むプログラム可能システム上で実行可能な1つ又は複数のコンピュータプログラムにおいて有利に実装されうる。コンピュータプログラムは、コンピュータで直接的又は間接的に使用されうる命令の集合体であり、ある活動を実施するか、又はある結果をもたらす。コンピュータプログラムは、コンパイラ言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述されえて、スタンドアローンプログラムとして又はモジュール、コンポーネント、サブルーチンとして、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他の装置を含む任意の形態で配備されうる。
【0256】
命令のプログラムの実行に好適なプロセッサは、一例として、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサ、及びあらゆる種類のコンピュータの単独プロセッサ又は複数プロセッサの1つを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその両方からの命令及びデータを受け取る。コンピュータの主要な要素は、命令を実行するプロセッサ並びに命令及びデータを記憶する1つ又は複数のメモリである。一般に、コンピュータはまた、データファイルを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶機器も含むか、又はそれらと通信するように作動可能に連結され;そのような機器は、内蔵ハードディスク及び取り外し可能ディスク;光磁気ディスク;及び光ディスクなどの磁気ディスクを含む。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に具体化するのに好適な記憶機器は、一例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ機器などの半導体メモリ機器;内蔵ハードディスク及び取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む全ての形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサ及びメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補充されるか又はASICに組み込まれうる。
【0257】
ユーザとの相互作用を提供するために、該特色は、ユーザに情報を表示するCRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ機器、並びにユーザがコンピュータに入力するキーボード及びマウス又はトラックボールなどのポインティング機器を有するコンピュータに実装されうる。加えて、このような活動は、タッチスクリーンフラットパネルディスプレイ及び他の適切な機構を介して実装されうる。
【0258】
該特色は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含む制御システム、又はアプリケーションサーバ若しくはインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含む制御システム、又はグラフィカルユーザーインターフェイス若しくはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含む制御システム、又はこれらの任意の組合せに実装されうる。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって接続されうる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ピアツーピアネットワーク(アドホック又はスタティックメンバーを有する)、グリッドコンピューティングインフラ、及びインターネットを含む。
【0259】
本記載で使用される用語「連結する」並びに「連結した」、「連結する(couples)」及び「連結している」などのその変形は、別段の指示がない限り、間接的及び直接的な接続を含むことを意図する。例えば、第1の機器が第2の機器に連結された場合、その連結は、直接的な接続を通して、又は他の機器及び接続を介した間接的な接続を通したものであってよい。同様に、第1の機器が第2の機器に通信可能に連結された場合、通信は、直接的な接続を通して、又は他の機器及び接続を介した間接的な接続を通したものであってよい。詳細には、流体連結とは、流体連結された2つの機器間を流れる流体に、直接的又は間接的な経路が提供されることを意味する。また、熱連結とは、熱連結された機器間を流れる熱エネルギーに、直接的又は間接的な経路が提供されることを意味する。
【0260】
本明細書は、多くの特有の実装の詳細を含有するが、これらは、あらゆる発明又は特許請求されうるものの範囲を限定すると解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実装に特有の特色の記載と解釈されるべきである。本明細書に、別々の実装の文脈で記載される特定の特色は、単一の実装に組み合わせて実装される場合もある。逆に、単一の実装の文脈に記載される様々な特色は、複数の実装に別々に又は任意の好適な部分的組合せで実装される場合もある。その上、特色は、特定の組合せで作用すると上述され、最初はそのように特許請求される場合さえありうるが、特許請求された組合せからの1つ又は複数の特色は、場合によっては組合せから取り除かれてよく、特許請求された組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形へと向けられる場合もある。
【0261】
同様に、作動は図中に特定の順序で示されるが、これは、望ましい結果を達成するように、そのような作動が示された特定の順序で若しくは連続的な順序で実施されるか又は例示された全ての作動が実施されることが要求されていると理解されるべきではない。特定の状況においては、複数のタスクを行うこと及び並行して処理することが有利な場合もある。その上、上述の実装における様々なシステムコンポーネントの分離は、そのような分離が全ての実装において要求されていると理解されるべきではなく、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に単一のソフトウェア製品又はパッケージ化された複数のソフトウェア製品に共に統合されうると理解されるべきである。
【0262】
多くの実装が記載されてきた。それにもかかわらず、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われうることを理解されたい。例えば、本明細書に記載の作動、方法、又はプロセスの例は、記載されたものより多くの工程又はより少ない工程を含みうる。更に、そのような作動、方法、又はプロセスの例における工程は、図に記載されるか又は例示されたものとは異なる連続で実施されてよい。したがって、他の実装は以下の特許請求の範囲内である。
【符号の説明】
【0263】
11 CO2捕捉サブシステム
12 炭化水素製造サブシステム
13 水素製造サブシステム
202 水素供給原料
204 大気
220 自己熱改質器(ATR)
222 電極触媒CO2還元反応器
224 フィッシャー-トロプシュ(FT)反応器
225 水素製造サブシステム
232 液体燃料
238 CO2浄化及び圧縮装置
246 CO2捕捉溶液
254 回収CO2
258 水素
280 CO2捕捉サブシステム
282 炭化水素製造サブシステム
318 か焼炉
320 自己熱改質器
322 熱触媒CO2還元反応器
324 FT反応器
325 水素製造サブシステム
332 液体燃料
338 CO2浄化及び圧縮装置
358 水素流
380 CO2捕捉サブシステム
382 炭化水素製造サブシステム
418 か焼炉
422 電極触媒CO2還元反応器
424 FT反応器
425 水素製造サブシステム
432 液体燃料
438 CO2浄化及び圧縮装置
458 水素供給流
480 CO2捕捉サブシステム
482 炭化水素製造サブシステム
518 か焼炉
522 熱触媒CO2還元反応器
524 FT反応器
525 水素製造サブシステム
538 CO2浄化及び圧縮装置
558 水素供給流
580 CO2捕捉サブシステム
582 炭化水素製造サブシステム
618 か焼炉
625 水素製造サブシステム
638 CO2浄化及び圧縮装置
680 CO2捕捉サブシステム
682 炭化水素製造サブシステム
690 固体緩衝貯蔵タンク
718 か焼炉
719 バーナー
720 か焼炉燃焼制御システム
725 水素製造サブシステム
738 CO2浄化及び圧縮装置
741 触媒酸化反応器
780 CO2捕捉サブシステム
782 炭化水素製造サブシステム
818 か焼炉
822 CO2還元反応器
880 CO2捕捉サブシステム
882 炭化水素製造サブシステム
902 アノード
904 カソード
906 電解質
910 流体チャネル
999 制御システム
1000 熱触媒CO2還元反応器
1001 熱触媒CO2還元反応器
1006 CO2還元触媒
1018 触媒管
1100 水素製造サブシステム
1101 水素製造サブシステム
1102 アノード
1104 カソード
1106 膜
1120 改質炉
1124 炭素捕捉及び隔離システム
1200 CO2捕捉サブシステム
1204 空気接触器
1210 ペレット反応器
1216 か焼炉
1230 再生システム
1300 CO2捕捉サブシステム
1304 空気接触器
1318 再生システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】