(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】蛍光体、蛍光体混合物、蛍光体を製造するための方法、及び放射線放出部品
(51)【国際特許分類】
C09K 11/62 20060101AFI20241114BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20241114BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20241114BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20241114BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C09K11/62
C09K11/64
C09K11/08 B
C09K11/08 J
H01L33/50
G02B5/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529664
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022084487
(87)【国際公開番号】W WO2023104749
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132004.6
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルストホーフ マーク
(72)【発明者】
【氏名】ストール クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ビヒラー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バウマン ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ フラウク
(72)【発明者】
【氏名】ダルマイヤー サイモン
【テーマコード(参考)】
2H148
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA19
4H001CA02
4H001CA05
4H001CF02
4H001XA03
4H001XA07
4H001XA08
4H001XA13
4H001XA31
4H001XA38
4H001XA56
4H001YA63
5F142BA32
5F142CE02
5F142CG04
5F142CG05
5F142DA13
5F142DA14
5F142DA44
5F142DA53
(57)【要約】
蛍光体、蛍光体の混合物、蛍光体を製造するための方法、及び放射線放出部品。本発明は、一般式:Sr1-bBabLi3Al1-xGaxO4-yNy:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する蛍光体(1)に関する。また本発明は、蛍光体混合物、蛍光体を製造するための方法、及び放射線放出部品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式、Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)で表される蛍光体(1)。
【請求項2】
三斜晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項3】
単斜晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項4】
正方晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項5】
400nm~500nmの範囲に吸収最大値を有する吸収スペクトルを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項6】
510nm~580nmの範囲の波長に少なくとも1つの発光ピークを含む発光スペクトルを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項7】
前記発光スペクトルは、540nm~580nmの範囲から選択される主波長を有する、請求項6に記載の蛍光体(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発光ピークは半値全幅が75nm未満である、請求項6または7に記載の蛍光体(1)。
【請求項9】
Euの濃度がSr及びBaの合計含有量に対して10モル%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項10】
Sr
1Li
3Ga
1O
4:Eu、
Sr
1Li
3Ga
1O
3,75N
0,25:Eu、
Sr
1Li
3Al
0,8Ga
0,2O
3,75N
0,25:Eu、
Sr
1Li
3Al
0,8Ga
0,2O
4:Eu、
Sr
0,6Ba
0,4Li
3Ga
1O
4:Eu、
Sr
0,5Ba
0,5Li
3Al
0,5Ga
0,5O
3,75N
0,25:Euの組成のうちのいずれか1つを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項11】
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、三斜晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、単斜晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、正方晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
からなる群から選択される少なくとも2つの蛍光体を含む、蛍光体混合物(1’)。
【請求項12】
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する蛍光体(1)を製造するための方法であって、
Sr、Ba、Li、Al、及びGaそれぞれの、酸化物、窒化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、及び水酸化物、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される反応物の混合物を用意するステップと、
前記反応物を均一に混合するステップと、
前記反応物を600℃~1000℃の範囲から選択される温度まで加熱するステップと、を含む、前記方法。
【請求項13】
前記温度は750℃~850℃の範囲から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
反応物として、SrO、BaO、BaGa
2O
4、Ga
2O
3、Li
2O、SrAl
2O
4、SrGa
2O
4、GaN、Sr
3Al
2N
4、及びEu
2O
3の群のうちの少なくとも1つを選択する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱をフォーミングガス雰囲気中で行う、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱を2.5時間~6時間の間行う、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱を常圧で行う、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
放射線放出部品(100)であって、
動作時には、放射線出口面(11)から第1の波長範囲の電磁放射を放出する半導体チップ(10)と、
前記放射線出口面(11)上の変換要素(20)であって、前記第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する請求項1~10のいずれか1項に記載の蛍光体(1)、または前記第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する請求項11に記載の蛍光体混合物(1’)を含む、前記変換要素(20)と、を含む、前記放射線放出部品(100)。
【請求項19】
さらなる蛍光体が無い、請求項18に記載の放射線放出部品(100)。
【請求項20】
前記変換要素(20)内に少なくとも1つのさらなる蛍光体が存在する、請求項18に記載の放射線放出部品(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蛍光体、蛍光体混合物、蛍光体を製造するための方法及び放射線放出部品が開示される。
【発明の概要】
【0002】
少なくとも1つの実施形態の課題は、特性が改善された蛍光体を提供することである。少なくとも1つのさらなる実施形態の課題は、特性が改善された蛍光体混合物を開示することである。少なくとも1つのさらなる実施形態の課題は、特性が改善された蛍光体を製造するための方法を開示することである。少なくとも1つのさらなる実施形態の課題は、特性が改善された放射線放出部品を開示することである。これらの課題は、独立請求項に記載の蛍光体、蛍光体混合物、方法、及び放射線放出部品によって解決される。
【0003】
蛍光体が開示される。少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は一般式、Sr1-bBabLi3Al1-xGaxO4-yNy:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する。特に、0<y≦1が適用される場合があり、たとえば0<y≦0.25である。
【0004】
用語「蛍光体」は、ここで及び以下では、波長変換物質、すなわち、電磁放射を吸収及び放出するように設定された材料を意味するものと理解される。特に、蛍光体は、蛍光体によって放出される電磁放射とは異なる波長最大値を有する電磁放射を吸収する。たとえば、蛍光体は、発光最大値よりも短い波長に波長最大値を有する放射線を吸収し、それにより、赤色の方にシフトした発光最大値を有する放射線を放出する。この場合、純粋な散乱または純粋な吸収は波長変換とはみなされない。
【0005】
ここで及び以下では、蛍光体は合計式によって説明する。与えられた式により、蛍光体が、たとえば汚染物質の形態のさらなる要素を含むことが可能であり、これらの汚染物質は全体として、蛍光体中に最大5モル%、特に最大1モル%、好ましくは最大0.1モル%の割合で存在する。
【0006】
蛍光体は、蛍光体中にイオン(すなわち陰イオンまたは陽イオン)として存在する元素からなる。ここで及び以下では、蛍光体の成分、Sr、Ba、Li、Al、Ga、O、N及びEuは、元素とも、イオン(陽イオンまたは陰イオン)とも言う。明瞭にするために、特定の元素が必ずしもそれらの電荷とともに示されるわけではない。特に、Sr、Ba、Li、Al、Ga、及びEuは陽イオンとして存在し、一方でO及びNは陰イオンとして存在する。特にEuは、2倍の正電荷を有するため、Eu2+と指定することもできる。
【0007】
蛍光体は見た目には帯電していない可能性がある。これは、蛍光体の外側上で正電荷と負電荷との間の完全な電荷バランスが存在する可能性があることを意味する。他方では、蛍光体が、形式的には、完全な電荷バランスをわずかに保っていない可能性もある。
【0008】
特に、蛍光体は、活性化元素としてEuが組み込まれた結晶性(たとえばセラミック)のホスト材料を有することができる。蛍光体は、たとえばセラミック材料である。
【0009】
活性化元素Euは、第1の波長範囲の電磁放射を蛍光体が吸収できるように、ホスト材料の電子構造を変化させる。このいわゆる一次放射は、蛍光体中の電子遷移を励起することができ、第2の波長範囲の電磁放射を放出することによって基底状態に戻ることができる。これは、二次放射としても知られている。したがって、ホスト材料中に導入される活性化元素は、蛍光体の波長変換特性に関与する。
【0010】
ここで説明する蛍光体は、たとえば、青色またはUVスペクトル範囲からの一次放射線によって励起されると、黄色または黄緑色のスペクトル範囲の二次放射線を放出することができる。したがって、これは特に、半導体チップが青色の一次放射線を放出し、それが蛍光体によって二次放射線に部分的に変換される白色発光LED(LED:発光ダイオード)などの放射線放出部品において使用できる。代替的に、ここで説明する蛍光体は、たとえば、LEDにおける黄色または黄色/緑色の完全変換にも使用できる。これは、たとえばディスプレイまたはプロジェクタでの使用にも適している。
【0011】
従来使用されている、YAG(Y3Al5O12:Ce3+)などの黄色または緑黄色発光蛍光体と比較して、ここで説明する蛍光体にはいくつかの利点がある。たとえば、半値全幅(FWHM)は、YAGの100nmを超える半値全幅(通常は110nm~125nm)よりも小さい。ここで及び以下では、半値全幅は、発光ピークまたは発光バンドの最大値の半分の高さにおけるスペクトル幅であると理解される。従来技術と比較して半値全幅が小さいため発光効率を向上でき、ほとんどの変換用途にとって有利である。従来の蛍光体と比較して視覚効率が向上することが、ここで説明する蛍光体の低いFWHMから得られる可能性もある。
【0012】
さらに、ここで説明した蛍光体において、放出される放射線の色度座標を、第1にAl/Ga比を変更し、第2にSrの割合をBaの割合と比較して増加または減少させることによって、シフトさせることができる。たとえば、放出されるスペクトルは、Ga及び/またはBaの含有量が増加すると、黄色から緑色のスペクトル範囲にシフトする。
【0013】
さらに、ここで説明する蛍光体の構造に窒素を組み込みと、さらなる安定化が得られる。これにより、たとえば、第2の発光バンド(存在する場合)を抑制することができ、結果として得られる単一の発光バンドは、2つの重ね合わせたバンドよりも大幅に狭いことを意味する。発光は、窒素の存在によってさらに調整することもできる。
【0014】
ここで説明する蛍光体の利点は、変換要素(たとえばLED)内で単独で使用する場合と、他の蛍光体と組み合わせて使用する場合の両方において発揮される。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は三斜晶系結晶構造で結晶化する。特に、蛍光体は三斜晶系空間群
【数1】
で結晶化する。これは、たとえば、単結晶X線回折によって判定できる。少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、三斜晶系空間群
【数2】
で結晶化し、その格子定数は以下の範囲を有する。570pm≦a≦590pm、725pm≦b≦750pm、970pm≦c≦990pm、75°≦α≦95°、65°≦β≦85°、70°≦γ≦90°である。
【0016】
蛍光体が三斜晶系空間群
【数3】
で結晶化する場合、Li(O,N)
4四面体と、混合(Ga,Al)(O,N)
4四面体の両方が存在し、それぞれ共通の辺及び/または角を有する。Li(O,N)
4四面体は、共通の辺及び/または角を介して互いに結合することもできるが、Ga/Al(O,N)
4四面体はそうではない。四面体はそれぞれ、4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つ窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。LiまたはGa及び/またはAlは、結果として得られる四面体のギャップ内に配置される。Sr及び/またはBa(それぞれ8配位である)は、四面体によって形成されたチャネル内に配置される。Sr及び/またはBaが無いチャネルも存在する。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は単斜晶系結晶構造で結晶化する。特に、蛍光体は単斜晶系空間群C2/mで結晶化する。これは、たとえば、単結晶X線回折によって判定できる。少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、単斜晶系空間群C2/mで結晶化し、その格子定数は以下の範囲を有する。1585pm≦a≦1605pm、635pm≦b≦655pm、790pm≦c≦805pm、βは約90°である。たとえば、a=1596(1)、b=647(1)、c=797(1)pm、及びβ=90.00(1)°である。この実施形態では、セル体積は、たとえば、0.8238(5)nm3とすることができる。
【0018】
蛍光体が単斜晶系空間群C2/mで結晶化する場合、Ga(O,N)4四面体と、(Ga,Li)(O,N)4四面体の両方が存在し、Gaサイトは、その代わりにまたはそれに加えて、Alによって占有される可能性がある。四面体はそれぞれ、共通の辺及び/または角を有し、2つの(Ga,Li)(O,N)4四面体も、互いに共通の辺を有することができる。四面体はそれぞれ、4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つの窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。LiまたはGa及び/またはAlは、結果として得られる四面体のギャップ内に配置される。Ba及び/またはSr(それぞれ8配位である)は、四面体によって形成されたそれぞれのチャネル内に配置される。Sr及び/またはBaが無いチャネルも存在する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は正方晶系結晶構造で結晶化する。特に、蛍光体は正方晶系空間群I4/mで結晶化する。これは、たとえば、単結晶X線回折によって判定できる。
【0020】
蛍光体が正方晶系空間群I4/mで結晶化する場合、(Li,Ga,Al)(O,N)4四面体が存在し、これらは角及び/または辺で結合されている。四面体はそれぞれ、4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つの窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。四面体は、SrまたはBa原子が配置されたチャネル、またはBaまたはBa原子が無いチャネルを形成する。
【0021】
発明者らは、本明細書に記載の蛍光体は異なる空間群で結晶化できることを認識した。したがって、前述の三斜晶系、単斜晶系、または正方晶系空間群のいずれかで結晶化できるか、または蛍光体の少なくとも2つの異なる結晶化、すなわち蛍光体がそれぞれの場合において異なる結晶化状態で存在する異なる相を含む蛍光体混合物またはバッチを形成することができる。異なる相は、粉末X線回折によって区別することができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、400nm~500nmの範囲(特に、400nm~460nmの範囲)に吸収最大値を有する吸収スペクトルを有する。したがって、蛍光体は、青色またはUV放射によって励起されることができ、特にそのような励起により黄色または黄緑色の光を放出することができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、510nm~580nmの範囲の波長に少なくとも1つの発光ピークを含む発光スペクトルを有する。ここで及び以下では、発光ピークは、最大強度を有する発光を意味するものと理解され、それにより、これは局所的最大値とすることもできる。少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体の発光スペクトルは、510nm~580nmの範囲に正確に1つの発光ピークまたは正確に2つの発光ピークを有する。2つの発光ピークが存在する場合、それらを重ね合わせて共通の発光バンドを形成することができる。したがって、蛍光体は、特に青色またはUV範囲からの放射線によって励起された場合、黄色または黄緑色の放射線を放出する。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体の発光スペクトルは、540nm~580nmの範囲(特に、545nm~575nmの範囲)から選択される主波長を有する。主波長は、放出される放射線の色の印象を特徴付けるために使用される。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの発光ピークは、半値全幅が75nm未満、特に60nm未満、たとえば50nm未満である。これにより、特に狭帯域発光を有する蛍光体が提供される。これは、従来の黄色または黄緑色を発光する蛍光体と比較してその半値全幅が大幅に低減され、したがって、たとえば効率が向上している。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体中の活性化物質Euの濃度は、Sr及びBaの合計含有量に対して、10モル%以下、特に5モル%以下、たとえば2モル%以下、特に1モル%以下である。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光体は、Sr1Li3Ga1O4:Eu、Sr1Li3Ga1O3,75N0,25:Eu、Sr1Li3Al0,8Ga0,2O3,75N0,25:Eu、Sr1Li3Al0,8Ga0,2O4:Eu、Sr0,6Ba0,4Li3Ga1O4:Eu、Sr0,5Ba0,5Li3Al0,5Ga0,5O3,75N0,25:Euの組成のうちの1つを含む。最初の4つの組成では、b=0であるため、蛍光体中にBaは存在しない。第1、第2、及び第5の組成では、x=1であるため、蛍光体中にAlは存在しない。第1、第4、及び第5の組成では、y=0であるため、蛍光体中にNは存在しない。
【0028】
蛍光体混合物が、さらに開示される。蛍光体混合物は、特に、前述した実施形態による蛍光体を含む。したがって、蛍光体に関連して開示したすべての特徴及び実施形態は、蛍光体混合物にも適用され、逆もまた同様である。
【0029】
一実施形態によれば、蛍光体混合物は、一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、三斜晶系結晶構造(特に三斜晶系空間群
【数4】
)で結晶化する蛍光体と、一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、単斜晶系結晶構造(特に単斜晶系空間群C2/m)で結晶化する蛍光体と、一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、正方晶系結晶構造(特に正方晶系空間群I/4m)で結晶化する蛍光体とからなる群から選択される少なくとも2つの蛍光体を含む。
【0030】
蛍光体混合物には、同じ組成を有しその結晶構造のみが異なる2つまたは3つの蛍光体、またはその組成及びその結晶構造の両方が異なる2つまたは3つの蛍光体が含まれ得る。異なる結晶構造、すなわち、蛍光体混合物中の蛍光体によって形成される異なる相は、蛍光体混合物中のすべての蛍光体が同じ組成を有する場合であっても、粉末X線回折または単結晶X線回折によって互いに区別することができる。
【0031】
たとえば、三斜晶系結晶構造で結晶化する蛍光体は、蛍光体混合物中の主相を形成することができる。蛍光体は、正方晶系結晶構造で結晶化する場合、蛍光体混合物中に5~10重量%の割合の二次相として存在することができる。ただし、この蛍光体については、約75重量%の割合、特に最大で65重量%も考えられる。蛍光体は、単斜晶系結晶構造で結晶化する場合、さらに二次相を形成できる。
【0032】
一実施形態によれば、蛍光体混合物は、三斜晶系空間群
【数5】
で結晶化する式(Sr,Ba)Li
3(Al,Ga)O
4:Eu
2+の蛍光体と、単斜晶系空間群C2/mで結晶化する蛍光体(Sr,Ba)(Li,Ga)
3Ga(O,N)
4:Eu
2+とを含んでいてもよいし、またはこれらの蛍光体からなっていてもよい。
【0033】
蛍光体を製造するための方法が、さらに開示される。特に、本方法は、前述した蛍光体または前述した蛍光体混合物を形成するために使用できる。したがって、蛍光体または蛍光体混合物に関連して開示したすべての特徴及び実施形態は、本方法にも適用され、逆もまた同様である。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、一般式Sr1-bBabLi3Al1-xGaxO4-yNy:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する蛍光体を用意するために使用される。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、Sr、Ba、Li、Al、Ga、及びEuそれぞれの酸化物、窒化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、及び水酸化物、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される反応物の混合物を用意するステップと、反応物を均一に混合するステップと、反応物を600℃~1000℃の範囲から選択された温度まで加熱するステップと、を含む。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、加熱中、温度は750℃~850℃の範囲、たとえば800℃から選択される。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、反応物として、SrO、BaO、BaGa2O4、Ga2O3、Li2O、SrAl2O4、SrGa2O4、GaN、Sr3Al2N4、及びEu2O3のうちの少なくとも1つを選択する。たとえば、Li2O、SrGa2O4、SrO、及びEu2O3は、組成Sr1Li3Ga1O4:Euの蛍光体を生成するための反応物として選択され、反応物Li2O、Ga2O3、、GaN、SrO、及びEu2O3は、組成Sr1Li3Ga1O3,75N0,25:Euの蛍光体を生成するために選択され、反応物Li2O、SrAl2O4、SrGa2O4、、Sr3Al2N4、SrO、及びEu2O3は、組成Sr1Li3Al0,8Ga0,2O3,75N0,25:Euの蛍光体を生成するために選択され、反応物SrO、Li2O、SrAl2O4、SrGa2O4、及びEu2O3は、組成Sr1Li3Al0,8Ga0,2O4:Euの蛍光体を生成するために選択され、反応物SrO、BaO、Li2O、BaGa2O4、SrGa2O4及びEu2O3は、組成Sr0,6Ba0,4Li3Ga1O4:Euの蛍光体を生成するために選択され、反応物SrO、BaO、Li2O、SrAl2O4、SrGa2O4、BaGa2O4、Sr3Al2N4及びEu2O3は、組成Sr0,50Ba0,50Li3Al0,50Ga0,50O3,75N0,25:Euの蛍光体を生成するために選択される。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、加熱はフォーミングガス雰囲気中で行う。一実施形態によれば、フォーミングガス雰囲気は、91%のN2及び9%のH2からなる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、加熱は、2.5時間~6時間、特に3.5時間~4.5時間、たとえば4時間の間行う。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、加熱は常圧で行う。これは、エネルギー及びコストを削減する方法で実行できるため、従来の方法と比較して簡略化された方法である。
【0041】
加熱中、反応物が反応して蛍光体が形成される。
【0042】
一実施形態によれば、本方法は、加熱ステップの後にポストアニーリングステップを含む。一実施形態によれば、ポストアニーリングは、600℃~800℃の範囲の温度で実行する。一実施形態によれば、ポストアニーリングは、600℃未満の温度でH2雰囲気中で実行する。ポストアニーリングにより、存在する任意の緑色発光バンドを抑制して、蛍光体内のより長波長の発光バンドを優先することができる。さらに、蛍光体が結晶化する所望の結晶構造の割合を、目標とした方法で増加させることができる。蛍光体中のEu3+及びEu2+の割合も、ポストアニーリングによって下げることができる。
【0043】
放射線放出部品が、さらに開示される。少なくとも1つの実施形態によれば、放射線放出部品は、動作時には、放射線出口面から第1の波長範囲の電磁放射を放出する半導体チップと、放射線出口面上の変換要素であって、第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する本明細書に記載の蛍光体を含むか、または第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する本明細書に記載の蛍光体混合物を含む、変換要素と、を含む。
【0044】
前述した蛍光体または蛍光体混合物は特に適しており、放射線放出部品での使用を意図している。したがって、蛍光体、蛍光体混合物、及び/または本蛍光体を製造するための方法に関連して説明した特徴及び実施形態は、放射線放出部品にも適用され、逆もまた同様である。
【0045】
第1の波長範囲の電磁放射は、半導体チップの発光スペクトルを形成し、一次放射とも言われる。
【0046】
半導体チップは、たとえば、発光ダイオードチップまたはレーザーダイオードチップである。したがって、部品は発光ダイオード(LED)またはレーザとすることができる。好ましくは、半導体チップは、電磁放射を生成するのに適した活性ゾーンを備えたエピタキシャル成長させた半導体層シーケンスを有する。たとえば、活性ゾーンは、このために、pn接合部、二重ヘテロ構造、単一量子井戸、または多重量子井戸構造を有する。
【0047】
動作中、半導体チップは、たとえば紫外線スペクトル範囲から、及び/または可視スペクトル範囲から、特に青色スペクトル範囲から電磁放射を放出することができる。したがって、一次放射線の波長は、たとえば、400nm~500nm、特に400nm~460nmの範囲である。
【0048】
変換要素は、放射線出口面上に配置され、特に半導体チップのビーム経路内に位置するため、半導体チップによって放出される放射線の少なくとも一部は変換要素に当たる。
【0049】
変換要素中の蛍光体または蛍光体混合物は、第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する。第2の波長範囲の電磁放射は、蛍光体または蛍光体混合物の発光スペクトルを形成し、二次放射とも言われる。
【0050】
第2の波長範囲の電磁放射は、第1の波長範囲とは少なくとも部分的に異なる。変換要素に含まれるか、または変換要素が作られる蛍光体または蛍光体混合物は、変換要素に波長変換特性を付与する。たとえば、変換要素は、半導体チップの電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に部分的にのみ変換し、一方で半導体チップの電磁放射のさらなる部分は、変換要素によって透過される。この場合、放射線放出部品は、第1の波長範囲の電磁放射と第2の波長範囲の電磁放射とからなる混合光を放出する。混合光としては、たとえば白色光が挙げられる。一次放射線が変換要素によって完全に変換され、及び/または変換要素による一次放射線の透過がない場合、これは完全変換と言われる。この場合、放射線放出部品は、変換要素によって放出された二次放射線を、特に黄色または黄緑色のスペクトル範囲から放出する。
【0051】
ここで説明する蛍光体の性質、したがって、それを含む蛍光体混合物の性質により、部品には従来の部品と比べて利点がある。たとえば、蛍光体または蛍光体混合物のスペクトルの半値全幅が低いため、発光効率が大幅に増加し、部品の効率の向上に寄与する。これは、蛍光体または蛍光体混合物のみが変換要素中に存在する場合、及び蛍光体または蛍光体混合物が他の蛍光体とともに変換要素中に存在する場合に、部分的または完全変換用途の両方に適用される。前者の場合、発光効率の向上は効率向上に直接的対応し、後者の場合、効率向上の正確な大きさは他方の蛍光体と混合比にも依存する。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、変換要素にはさらなる蛍光体が無い。この場合、蛍光体または蛍光体混合物のみが変換要素中に存在し、蛍光体または蛍光体混合物の発光効率に直接対応する効率の向上がある。このような部品を、たとえば、黄色または黄緑色の光を生成するための完全変換に使用できる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる蛍光体が変換要素中に存在する。特に、さらなる蛍光体は、蛍光体または蛍光体混合物とは異なり、第1の波長範囲の電磁放射を第3の波長範囲の電磁放射に変換する。一実施形態によれば、第3の波長範囲は、第1及び第2の波長範囲とは少なくとも部分的に異なる。たとえば、さらなる蛍光体は、赤色スペクトル範囲からまたは緑色スペクトル範囲から選択された電磁放射を放出し得る。たとえば、さらなる蛍光体は、ガーネット、SCASN、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8、またはCASNから選択され得る。したがって、本明細書に記載の蛍光体または蛍光体混合物とさらなる蛍光体とは、一次放射線を全体的または部分的に変換する蛍光体の混合物を形成する。このような部品は、たとえば、白色光を生成するための完全または部分的な変換に使用でき、変換要素中に存在する蛍光体または蛍光体混合物により効率が向上する。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によれば、変換要素は変換層としてデザインされる。変換層は、直接または間接接触によって半導体チップの放射線出口面に適用することができる。間接接触の場合、それは、たとえば接着層によって放射線出口面に適用することができるか、またはポッティングを放射線出口面と変換要素との間に適用することができる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によれば、変換要素は回転可能な蛍光体ホイールとしてデザインされる。この場合、変換要素は、回転軸を中心に回転できるように半導体チップから離間に配置される。変換要素は円形とすることができる。この実施形態では、半導体チップはレーザーダイオードとすることができる。そして部品は、レーザ励起型リモート蛍光体(LARP)システムと言うことができ、プロジェクタ及びディスプレイでの使用に特に適している。
【0056】
さらなる実施形態によれば、半導体チップ、変換層、及び該当する場合は接着層もすべて、ポッティングによって囲むことができる。たとえば、半導体チップ、変換要素、及び可能性として接着層はその場合、ポッティングも配置されているハウジングの凹部内に配置される。
【0057】
ポッティングは、一次放射線及び/または二次放射線及び/または存在する他の蛍光体によって放出される放射線に対する透過率が、少なくとも85%、好ましくは95%とすることができる。さらに、ポッティングは、たとえば、シリコーンまたはエポキシ樹脂から作ることができる。
【0058】
少なくとも1つの実施形態によれば、変換要素中の蛍光体または蛍光体混合物は、セラミックとして存在する。そのような場合、変換層は、セラミックを形成する蛍光体または蛍光体混合物からなることができる。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によれば、変換要素中の蛍光体または蛍光体混合物は、マトリックス内に埋め込まれる。特に、蛍光体または蛍光体混合物はその場合、粒子の形で存在する。存在し得る任意の他の蛍光体も、特に粒子の形で、マトリックス内に埋め込むことができる。一実施形態によれば、蛍光体または蛍光体混合物は、粒子の形で、特に500nm~50μmの粒径で存在する。
【0060】
マトリックスは、たとえば、ポリマー及びガラスを含む群から選択される材料を含み得る。ポリマーは、たとえば、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリシラザン、PMMA、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニル、シリコーン樹脂、シリコーン、エポキシ樹脂、及び透明な合成ゴムから選択され得る。たとえば、シリケート、水ガラス、及び石英ガラスを、ガラスとして選択することができる。
【0061】
放射線放出部品の使用も開示される。一実施形態によれば、本明細書に記載の放射線放出部品は、ディスプレイ、車両ヘッドライト、及びプロジェクタにおいて、特に演色評価数(CRI)が低い白色光を生成するために使用することができる。
【0062】
部品及び方法のさらなる有利な実施形態及びさらなる実施形態は、図と併せて以下に説明する典型的な実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】典型的な実施形態による放射線放出部品の概略断面図である。
【
図2】典型的な実施形態による放射線放出部品の概略断面図である。
【
図3】典型的な実施形態による蛍光体の結晶構造である。
【
図4】典型的な実施形態による蛍光体の結晶構造である。
【
図5A】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図5B】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図5C】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図5D】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図5E】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図5F】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図6】種々の典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【
図7】典型的な実施形態による蛍光体の分割発光スペクトルを示す図である。
【
図8A】典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを比較例と比較して示す図である。
【
図8B】典型的な実施形態による蛍光体の発光スペクトルを比較例と比較して示す図である。
【
図10】典型的な実施形態による蛍光体の結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
同一の要素、類似の要素、または同じ効果を有する要素には、図中で同じ参照符号が付けられている。図及び図に示した要素の比率は、一定の割合であると考えてはならない。むしろ、個々の要素、特に層の厚さは、より良く可視化及び/またはより良く理解するために、誇張した大きさで示す場合がある。
【0065】
図1に、典型的な実施形態による放射線放出部品の概略断面図を示す。放射線放出部品100は半導体チップ10を有する。動作中、半導体チップ10は、放射線出口面11から第1の波長範囲の電磁放射(一次放射)を放出する。半導体チップ10は、電磁放射を生成するのに適した活性ゾーン12を備えたエピタキシャル成長させた半導体層シーケンスを有する。一次放射線の波長は、たとえば、青色及び/または紫外領域にある。
【0066】
さらに、部品は変換要素20を有する。変換要素20は、蛍光体1(特に、蛍光体1の粒子)が埋め込まれたマトリックスを含むか、または変換要素20は、蛍光体1から形成されたセラミックを有するかまたはこのセラミックからなる。代替的に、変換要素20は、蛍光体混合物1’(特に蛍光体混合物1’の粒子)が埋め込まれたマトリックスを含むか、または変換要素20は、蛍光体混合物1’から形成されたセラミックを有するかまたはこのセラミックスからなる。
【0067】
蛍光体1または蛍光体混合物1’は、一般式Sr1-bBabLi3Al1-xGaxO4-yNy:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する。実施形態によれば、蛍光体1または蛍光体混合物1’は、表1に示す実施形態A1~A6である。
【0068】
【0069】
蛍光体1が、たとえば、これらの実施形態のうちの1つであるか、または一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)の範囲内の任意の他の組成である場合、三斜晶系空間群
【数6】
単斜晶系空間群C2/m、または正方晶系空間群I4/mで結晶化する。したがって、蛍光体1は1つ結晶構造でのみ結晶化する。
【0070】
蛍光体混合物1’の場合、それは2つまたは3つの蛍光体を含み、それらはたとえば、互いに独立に実施形態A1~A6のうちの1つを含むか、または一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)の範囲内の任意の他の組成を含む場合があり、蛍光体混合物1’中の各蛍光体は、異なる結晶構造を有し、その結果、2つまたは3つの異なる結晶構造が蛍光体混合物1’中に存在する。結晶構造は、三斜晶系空間群
【数7】
単斜晶系空間群C2/m、及び正方晶系空間群I4/mから選択される。したがって、蛍光体混合物1’は、少なくともその結晶構造が互いに異なり、可能性として蛍光体の正確な組成も異なるいくつかの相を有する。
【0071】
加えて、少なくとも1つのさらなる蛍光体が、変換要素20中に存在し、本明細書に記載の蛍光体1または蛍光体混合物1’と蛍光体の混合物を形成し得る。
【0072】
変換要素20が、蛍光体1、蛍光体混合物1’または任意選択で蛍光体の混合物が埋め込まれたマトリックスを有する場合、マトリックスは、ポリマー、たとえば、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリシラザン、PMMA、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニル、シリコーン樹脂、シリコーン、エポキシ樹脂、及び透明な合成ゴム、及びガラス、たとえば、シリケート、水ガラス、及び石英ガラスから選択される材料を有する。
【0073】
動作中、蛍光体1または蛍光体混合物1’は、第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射(二次放射)に変換する。典型的な実施形態A1~A6では、二次放射線は、特に青色またはUV範囲の一次放射線によって励起された場合、黄色から黄緑色の範囲にある。一次放射線が変換要素によって完全に変換されない場合、部品は混合光を放出する。混合光は、一次放射線と、二次放射線と、さらなる蛍光体が変換要素20中に存在する場合はこれらのさらなる蛍光体の放出放射線とからなる。このような部品100は、たとえば白色光を放出する。
【0074】
変換要素20は、ここでは変換層としてデザインされるが、半導体チップ10に直接適用することも、たとえば接着層(ここでは明示しない)によって半導体チップ10に取り付けることもできる。蛍光体ホイールとして形成することも考えられる。
【0075】
変換要素20が配置された半導体チップ10は、ハウジング30の凹部内に配置される。ハウジング30は、半導体チップ10に向かって斜めにカットされた側面を有し、反射性とすることができる。半導体チップ10及び変換要素20は、ここに示すように、ハウジング30内でポッティング40によって囲んでもよい。ただし、ポッティング40の存在は絶対に必要というわけではない。ポッティングは、たとえばシリコーンまたはエポキシ樹脂から形成することができ、活性ゾーン12の電磁放射に対する透過率は少なくとも85%、好ましくは95%である。
【0076】
代替的に、ハウジング30は、側壁も、したがって凹部もなくすることができ、キャリア(ここでは図示せず)としてデザインすることもできる。
【0077】
図2に、放射線放出部品の別の典型的な実施形態を示す。
図1を参照して行った説明は、同じ参照符号を有する要素に適用される。この典型的な実施形態では、変換要素20は、半導体チップ10上に直接配置されるのではなく、半導体チップ10から離れる方向を向くポッティング40の側に、半導体チップ10から間隔を置いて配置される。ここでも、変換要素20は変換層として再び形成されている。
【0078】
図1及び2に示した部品は、たとえばLEDである。明瞭にするために、電気コンタクトなどのさらなる要素は
図1及び2には示していない。
【0079】
以下では、蛍光体1を製造するための方法について、典型的な実施形態A1~A6を参照して説明する。以下の説明は、蛍光体混合物1’が、同じ組成で異なる結晶構造を有する異なる蛍光体を含むという条件で、蛍光体混合物1’に同様に適用される。
【0080】
表2に、典型的な実施形態A1~の調製に使用した反応物A6と、それぞれの重量(g)を示す。これらは、理論上の化合物に対する重量であり、電気的に中性であるために、結果として得られる最終生成物に必ずしも対応しない。
【0081】
【0082】
それぞれの蛍光体1または蛍光体混合物1’を生成するために、フラックスを反応混合物に添加することもできる。フラックス、たとえば、Li2BO4、であり、その0.3g(典型的な実施形態A2及びA6の場合)または0.6g(典型的な実施形態A1及びA3~A5の場合)を反応混合物に添加する。
【0083】
合成するために、化学量論的混合物を、それぞれの反応物から調製し、均一に混合してから加熱する。加熱は、チャンバー炉内のニッケル坩堝内で、フォーミングガス雰囲気(91%のN2/9%のH2)下で、800℃で4時間行う。反応物は反応し、結果として得られる生成物には、それぞれの蛍光体1または蛍光体混合物1’が含まれる。
【0084】
典型的な実施形態の構造は、単結晶X線回折によって特徴付けられる。典型的な実施形態A2のX線回折測定の格子定数、結晶学的データ、及び基本品質パラメータを、表3に示す。表では、別の例を右側の列に示し、これを使用して、蛍光体の一般式内でAl及びGaを交換できることを示すことができる。
【0085】
【0086】
典型的な実施形態A2の微細な構造の結晶学的位置パラメータを、表4にまとめる。
【0087】
【0088】
図3に、三斜晶系結晶構造を有する蛍光体1の結晶構造を概略的に示す。構造は、すでに知られているSr[LiAl
3N
4]:Eu(Pust,P.et al.,Nat.Mater,13,891-896(2014)に記載)の構造と同形である。
図3において、ハッチングされた円はSrまたはBaを表し、密にハッチングされた四面体はLiO
4四面体を表し、広くハッチングされた四面体は(Al,Ga)O
4四面体を表す。四面体はそれぞれ、共通の辺及び/または角を有する。LiO
4四面体も共通の辺を介して互いに結合できるが、GaO
4四面体はそうではない。四面体はそれぞれ、4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つの窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。LiまたはGaまたはAlは、結果として得られる四面体のギャップ内に配置される。SrまたはBa(8配位である)は、四面体によって形成されたチャネル内に配置される。それらが無いチャネルも存在する。
【0089】
表5に、三斜晶系結晶構造で結晶化する典型的な実施形態A1~A6の最も重要な結晶学的データを、X線粉末回折データから得たものを示す。
【0090】
【0091】
表5は、典型的な実施形態A1~A6により異なる組成が形成され、その結果、格子定数が変化したことを示す。
【0092】
図4に、単斜晶系(Sr,Ba)(Li,Ga)
3Ga(O,N)
4:Euの結晶b軸に沿った結晶構造を示す。Ba及びSr層は、図示では、ハッチングされた円であり、Ga(O,N)
4四面体は広くハッチングされ、(Ga,Li)(O,N)
4四面体は、狭くハッチングされている。この典型的な実施形態は、空間群C2/mで結晶化し、格子定数はa=1596(1)、b=647(1)、c=797(1)pm、及びβ=90.00(1)°、及びセル体積は0.8238(5)nm
3である四面体はそれぞれ、共通の辺及び/または角を有し、それによって、2つの(Ga,Li)(O,N)
4四面体も互いに共通の辺を有することができる。四面体はそれぞれ、4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つの窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。Li及び/またはGaは、結果として得られる四面体のギャップ内に配置される。Ba及び/またはSr(それぞれ8配位である)は、四面体によって形成されたそれぞれのチャネル内に配置される。Ba及び/またはSrが無い空のチャネルも存在する。
【0093】
図10は、正方晶系結晶構造で結晶化する蛍光体1の結晶構造の概略図を示す。円はSrまたはBa層を表し、ハッチングされた領域は(Li,Ga,Al)(O,N)
4四面体を表し、これらは角及び辺で結合されている。四面体はそれぞれ4つの酸素原子によって、または3つの酸素原子と1つの窒素原子によって、または2つの酸素原子と2つの窒素原子によって、または1つの酸素原子と3つの窒素原子によって、または4つの窒素原子によって張られている。四面体は、SrまたはBa原子が配置されたチャネル、またはSrまたはBa原子が無いチャネルを形成する。この実施形態では、蛍光体1は、空間群I4/mで結晶化する。
【0094】
発光スペクトルは、典型的な実施形態A1~A6からも記録される。それぞれのスペクトルを
図5A~5Fに示す。励起は、各場合において460nmで行った。
【0095】
図5~8に示すスペクトルでは、波長λはnmで示し、強度Iは%で示している。
【0096】
典型的な実施形態A1による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、主波長λ
dom=561nmを有する黄色光を放出する。発光のスペクトル半値全幅は、49nmと極めて狭い(
図5A)。
【0097】
典型的な実施形態A2による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、主波長λ
dom=560nmを有する黄色光を放出する。発光のスペクトル半値全幅は、43nmと極めて狭い(
図5B)。
【0098】
典型的な実施形態A3による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、主波長λ
dom=573nmを有する黄色光を放出する。発光のスペクトル半値全幅は、44nmと極めて狭い(
図5C)。
【0099】
典型的な実施形態A4による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、黄緑色の光を放出する(
図5D)。これは、2つの個別の発光からなり、その相対的な強度は、正確な合成条件によって調整することができる。典型的な実施形態4の2つの個別の発光の位置を、
図7に詳細に示す。ここで、実線は総発光を表し、点線は個別の短波発光を表し、破線は個別の長波発光を表す。短波単一発光の最大発光は約524nmであり、長波長単一発光の最大発光は約567nmである。短波単一発光の個々の半値全幅は約44nmであり、長波長のそれは約46nmである。発光バンド全体の半値全幅は、個々の発光を重ね合わせることによって作成され、73nmである。
【0100】
典型的な実施形態A5による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、主波長λ
dom=549nmを有する黄緑色の光を放出する。発光の最大値はλ
max=538nmである(
図5E)。59nmでは、発光のスペクトル半値全幅は、たとえば一般的な組成(Y,Lu)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
3+の既知の黄緑色発光ガーネット蛍光体のそれよりも59nm狭い。
【0101】
典型的な実施形態A6による蛍光体1または蛍光体混合物1’は、青色放射線によって励起されると、主波長λ
dom=558nmを有する黄緑色の光を放出する(
図5F)。58nmでは、発光のスペクトル半値全幅は、一般的な組成(Y,Lu)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
3+の既知の黄緑色放出ガーネット蛍光体のそれよりも58nm狭い。
【0102】
図6に、典型的な実施形態のすべての発光スペクトルを互いに重ね合わせて示す。一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Euの蛍光体の組成を変えることによって、正確な発光位置を変更し、したがって、それぞれの用途に適応させられることが分かる。
【0103】
蛍光体1または蛍光体混合物1’は、それらのスペクトルの半値全幅が低いため、すでに知られている蛍光体と比べて明らかな利点を有する。(Y,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce3+型の市販のガーネット蛍光体(以下、B1と言う)を、以下では比較例として使用する。これは、主波長λdomによって測定した、蛍光体1と同等の色の印象を有する。
【0104】
表6では、比較例B1を典型的な実施形態A1及びA4と比較している。主波長、半値全幅FWHM、及び相対発光効率を列挙している。
【0105】
【0106】
典型的な実施形態は両方とも、スペクトルの半値全幅が比較例よりも大幅に低い。どちらの場合も、このより狭い半値全幅によって、表6に示す相対発光効率
【数8】
から分かるように、発光効率が大幅に高くなる。この約24%の発光効率の増加は、ほとんどの変換用途にとって直接的に有利である。部品の変換要素内の唯一の蛍光体として使用する場合、この発光効率の向上は、蛍光体1または蛍光体混合物1’として使用した場合の変換解の効率向上に対応する。
【0107】
たとえば白色発光ダイオードにおいて、蛍光体1または蛍光体混合物1’に加えて他の蛍光体を用いた変換解の一部としても、蛍光体1または蛍光体混合物1’による効率向上は大幅な改善をもたらす可能性がある。ただし、混合物における効率向上の正確な大きさは、混合物内の他の蛍光体にも依存する。
【0108】
図では、比較例B1と比較した典型的な実施形態A1(
図8A)及びA4(
図8B)を、その発光スペクトルの形で再び示している。実線は典型的な実施形態の発光スペクトルを表し、点線は比較例の発光スペクトルを表す。典型的な実施形態の発光スペクトルの半値全幅が比較例と比較して大幅に減少していることが、明確に認識できる。
【0109】
図9に、単斜晶系(中央の回折図形)、三斜晶系(上の回折図形)、及び正方晶系(下の回折図形)相に対する単結晶データから計算した粉末X線回折図形を示す。回折角2θは、強度に対して「°」でプロットしている。これは、蛍光体混合物1’が、蛍光体の結晶化が異なる相を有し、蛍光体混合物1’の相は互いに区別できることを示している。
【0110】
図に関連して説明した特徴及び典型的な実施形態は、さらなる典型的な実施形態により互いに組み合わせることが、たとえすべての組み合わせが明示的に説明されてはいなくても可能である。さらに、図に関連して説明した典型的な実施形態は、その代わりにまたはそれに加えて、概要部分で説明したようなさらなる特徴を有し得る。
【0111】
本発明は、典型的な実施形態に基づく説明に限定されない。むしろ、特に特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含む任意の新しい特徴ならびに特徴の任意の組み合わせは、たとえこの特徴または組み合わせ自体が特許請求の範囲または典型的な実施形態に明示的に記載されていなくても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1 蛍光体
1’ 蛍光体混合物
10 半導体チップ
11 放射線出口領域
12 活性ゾーン
20 変換要素
30 ハウジング
40 ポッティング
100 放射線放出部品
λ 波長
I 強度
A1 典型的な実施形態1
A2 典型的な実施形態2
A3 典型的な実施形態3
A4 典型的な実施形態4
A5 典型的な実施形態5
A6 典型的な実施形態6
B1 比較例
2θ 回折角
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式、Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)で表される蛍光体(1)。
【請求項2】
三斜晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項3】
単斜晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項4】
正方晶系結晶構造で結晶化する、請求項1に記載の蛍光体(1)。
【請求項5】
400nm~500nmの範囲に吸収最大値を有する吸収スペクトルを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項6】
510nm~580nmの範囲の波長に少なくとも1つの発光ピークを含む発光スペクトルを有する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項7】
前記発光スペクトルは、540nm~580nmの範囲から選択される主波長を有する、請求項6に記載の蛍光体(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発光ピークは半値全幅が75nm未満である、請求項
6に記載の蛍光体(1)。
【請求項9】
Euの濃度がSr及びBaの合計含有量に対して10モル%以下である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項10】
Sr
1Li
3Ga
1O
4:Eu、
Sr
1Li
3Ga
1O
3,75N
0,25:Eu、
Sr
1Li
3Al
0,8Ga
0,2O
3,75N
0,25:Eu、
Sr
1Li
3Al
0,8Ga
0,2O
4:Eu、
Sr
0,6Ba
0,4Li
3Ga
1O
4:Eu、
Sr
0,5Ba
0,5Li
3Al
0,5Ga
0,5O
3,75N
0,25:Euの組成のうちのいずれか1つを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)。
【請求項11】
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、三斜晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、単斜晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有し、正方晶系結晶構造で結晶化する蛍光体(1)と、
からなる群から選択される少なくとも2つの蛍光体を含む、蛍光体混合物(1’)。
【請求項12】
一般式Sr
1-bBa
bLi
3Al
1-xGa
xO
4-yN
y:Eu(0≦b≦1、0<x≦1、及び0≦y≦1)を有する蛍光体(1)を製造するための方法であって、
Sr、Ba、Li、Al、及びGaそれぞれの、酸化物、窒化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、及び水酸化物、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される反応物の混合物を用意するステップと、
前記反応物を均一に混合するステップと、
前記反応物を600℃~1000℃の範囲から選択される温度まで加熱するステップと、を含む、前記方法。
【請求項13】
前記温度は750℃~850℃の範囲から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
反応物として、SrO、BaO、BaGa
2O
4、Ga
2O
3、Li
2O、SrAl
2O
4、SrGa
2O
4、GaN、Sr
3Al
2N
4、及びEu
2O
3の群のうちの少なくとも1つを選択する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱をフォーミングガス雰囲気中で行う、請求項12
または13に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱を2.5時間~6時間の間行う、請求項12
または13に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱を常圧で行う、請求項12
または13に記載の方法。
【請求項18】
放射線放出部品(100)であって、
動作時には、放射線出口面(11)から第1の波長範囲の電磁放射を放出する半導体チップ(10)と、
前記放射線出口面(11)上の変換要素(20)であって、前記第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する請求項1~
4のいずれか1項に記載の蛍光体(1)、または前記第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する請求項11に記載の蛍光体混合物(1’)を含む、前記変換要素(20)と、を含む、前記放射線放出部品(100)。
【請求項19】
さらなる蛍光体が無い、請求項18に記載の放射線放出部品(100)。
【請求項20】
前記変換要素(20)内に少なくとも1つのさらなる蛍光体が存在する、請求項18に記載の放射線放出部品(100)。
【国際調査報告】