(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コーティングされた肥料顆粒組成物
(51)【国際特許分類】
C05G 5/30 20200101AFI20241114BHJP
C05C 9/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C05G5/30
C05C9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529902
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022051126
(87)【国際公開番号】W WO2023101919
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】コサノビッチ、アレックス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル、プラビーン
(72)【発明者】
【氏名】メディナ、フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ、ヤスミン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】コタンダ サンタパウ、マリア ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、イー
【テーマコード(参考)】
4H061
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061AA02
4H061BB15
4H061DD18
4H061EE35
4H061EE51
4H061FF08
4H061FF15
4H061HH03
(57)【要約】
本開示の実施形態は、3つのポリウレタン層及び2つのワックス層を含む、コーティングされた肥料顆粒組成物を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされた肥料顆粒組成物であって、
肥料顆粒と接触する第1のポリウレタン層であって、第1のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第1のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第1のポリウレタン層と、
前記第1のポリウレタン層と接触する第1のワックス層と、
前記第1のワックス層と接触する第2のポリウレタン層であって、第2のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第2のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第2のポリウレタン層と、
前記第2のポリウレタン層と接触する第2のワックス層と、
前記第2のワックス層と接触する第3のポリウレタン層であって、第3のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、ヒマシ油と第3のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第3のポリウレタン層と、
を備える、コーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項2】
前記第1のポリウレタン層イソシアネート、前記第2のポリウレタン層イソシアネート、及び前記第3のポリウレタン層イソシアネートが、メチレンビフェニルジイソシアネートを含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートであり、前記第1のポリウレタン層三級アミン触媒、前記第2のポリウレタン層三級アミン触媒、及び前記第3のポリウレタン層三級アミン触媒が、トリエタノールアミンである、請求項1に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項3】
エチレンオキシドが、前記高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80~100重量%であり、前記高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、2~4の名目ヒドロキシル官能価、240~300mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有し、前記高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記ヒマシ油、及びメチレンビフェニルジイソシアネートを含有する前記ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの組み合わせの総重量に基づいて、9~18重量パーセントである、請求項2に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項4】
プロピレンオキシドが、前記高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの前記全アルキレンオキシド含有量の80~100重量%であり、前記高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、2~4の名目ヒドロキシル官能価、210~650mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有し、前記高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記ヒマシ油、及びメチレンビフェニルジイソシアネートを含有する前記ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの組み合わせの前記総重量に基づいて、9~18重量パーセントである、請求項3に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項5】
前記ヒマシ油が、前記高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、前記ヒマシ油、及びメチレンビフェニルジイソシアネートを含有する前記ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの組み合わせの前記総重量に基づいて、11~20重量パーセントである、請求項4に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項6】
前記第1のポリウレタン層、前記第2のポリウレタン層、及び前記第3のポリウレタン層の組み合わせが、前記コーティングされた肥料顆粒組成物の総重量に基づいて、2.0~3.5重量パーセントである、請求項5に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項7】
前記第1のワックス層と前記第2のワックス層との組み合わせが、前記コーティングされた肥料顆粒組成物の前記総重量に基づいて、0.2~0.8重量パーセントである、請求項6に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項8】
前記第1のポリウレタン層が、前記肥料顆粒から前記第1のワックス層を分離し、前記第1のワックス層が、前記第2のポリウレタン層から前記第1のポリウレタン層を分離し、前記第2のポリウレタン層が、前記第2のワックス層から前記第1のワックス層を分離し、前記第2のワックス層が、前記第3のポリウレタン層から前記第2のポリウレタン層を分離する、請求項1に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項9】
前記肥料顆粒が、尿素を含む、請求項1に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のコーティングされた肥料顆粒組成物を製造する方法であって、
前記第1のポリウレタン層を形成した後に、前記第1のワックス層を形成することと、
前記第1のワックス層を形成した後に、前記第2のポリウレタン層を形成することと、
前記第2のポリウレタン層を形成した後に、前記第2のワックス層を形成することと、
前記第2のワックス層を形成した後に、前記第3のポリウレタン層を形成することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、コーティングされた肥料顆粒組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
肥料上のコーティングは、肥料の制御された放出のために使用されてきた。肥料の制御された放出は、肥料の効率を増加させ、施肥に関連する労働コストを低下させ、かつ/又は施肥される肥料の量を減少させることができる。いくつかのコーティングされた肥料について、水への曝露は、肥料の早期及び/又は意図しない放出を引き起こし得る。新たなコーティングされた肥料及びコーティングされた肥料を製造する新たな方法が、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、コーティングされた肥料顆粒組成物を提供し、そのコーティングされた肥料顆粒組成物は、肥料顆粒と接触する第1のポリウレタン層であって、第1のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第1のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第1のポリウレタン層と、第1のポリウレタン層と接触する第1のワックス層と、第1のワックス層と接触する第2のポリウレタン層であって、第2のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第2のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第2のポリウレタン層と、第2のポリウレタン層と接触する第2のワックス層と、第2のワックス層と接触する第3のポリウレタン層であって、第3のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、ヒマシ油と第3のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第3のポリウレタン層と、を含む。
【0004】
本開示の上記の概要は、各開示された実施形態を説明するようにも、本開示の全ての実施態様を説明するようにも意図されていない。より具体的に示す本明細書は、例示的な実施形態を例示するものである。本出願全体にわたるいくつかの場所では、例のリストを通じて指針が提供され、これらの例は、様々な組み合わせで使用することができる。どの場合も、列挙されたリストは、代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
コーティングされた肥料顆粒組成物が、本明細書に開示される。コーティングされた肥料顆粒組成物は、5つの層、すなわち、3つのポリウレタン層及び2つのワックス層を含んでいると言及され得る。実施形態は、5つの層が互いに対して同心状であることを規定する。コーティングされた肥料顆粒組成物は、肥料顆粒と接触する第1のポリウレタン層であって、第1のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第1のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第1のポリウレタン層と、第1のポリウレタン層と接触する第1のワックス層と、第1のワックス層と接触する第2のポリウレタン層であって、第2のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルと第2のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第2のポリウレタン層と、第2のポリウレタン層と接触する第2のワックス層と、第2のワックス層と接触する第3のポリウレタン層であって、第3のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、ヒマシ油と第3のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される、第3のポリウレタン層と、を含む。有利なことに、本明細書に開示されるコーティングされた肥料顆粒組成物は、改善された、すなわち低減された肥料放出を提供することができる。
【0006】
本明細書に開示されるコーティングされた肥料顆粒組成物は、肥料顆粒を含む。肥料顆粒は、尿素供給源、窒素供給源、リン供給源、又はカリウム供給源を含み得るが、それらには、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝硫酸アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カルシウムアンモニウム、尿素-ホルムアルデヒド、リン酸第一アンモニウム、リン酸第二アンモニウム、ポリリン酸化合物、リン鉱石、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はそれらの組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、肥料顆粒は尿素を含む。例えば、肥料顆粒は、46:0:0の、窒素:リン:カリウムの比を有し得る。肥料顆粒に含まれる窒素供給源、リン供給源又はカリウム供給源の量は、意図される最終用途に基づいて変化し得るが、肥料顆粒の総重量に基づいて、各成分について0~60重量%であり得る。
【0007】
更に、硫酸マグネシウム及び1つ以上の微量元素の供給源、すなわち微量栄養素が含まれてもよく、例えば、ホウ素、カルシウム、塩素、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、亜鉛、又はそれらの組み合わせが存在してもよい。これらの栄養素は、元素形態又は塩の形態、例えば硫酸塩、硝酸塩、又はハロゲン化物として供給され得る。微量栄養素の量は、意図される最終用途に依存し、変化し得る。例えば、微量栄養素の量は、肥料顆粒の総重量に基づいて、0.1~5重量パーセント(重量%)であり得る。
【0008】
肥料顆粒において、充填剤を利用することができ、例えば、ベントナイト、方解石、酸化カルシウム、硫酸カルシウム(無水又は半水和物)、ドロマイト、タルク、砂、又はそれらの組み合わせを利用してもよい。
【0009】
肥料顆粒の他の成分としては、例えば、界面活性剤、核形成剤、又は核形成剤供給源として作用し得る再生肥料粒子、核形成土壌調整剤、例えば炭酸カルシウム、活性炭、元素硫黄、殺生物剤、例えば殺虫剤、除草剤、又は殺真菌剤、ウィッキング剤、湿潤剤、熱安定剤、接着剤、例えばセルロース、ポリビニルアルコール、脂肪、油、アラビアゴム、ビニリデン紫外線安定剤、抗酸化剤、還元剤、着色剤、結合剤、すなわち有機塩化物、ゼイン、ゼラチン、キトサン、ポリエチレンオキシドポリマー、並びにアクリルアミドポリマー及びコポリマーなど、並びにそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0010】
肥料顆粒は、それらの意図された用途に望ましい任意の形状又はサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、肥料顆粒は実質的に球状である。肥料顆粒は、0.5~6.0ミリメートル(mm)の平均粒径を有し得る。0.5~6.0mmの、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、肥料顆粒は、0.5、1.0、又は1.5mm(下限)~6.0、5.5、又は5.0mm(上限)の平均粒径を有し得る。いくつかの実施形態において、肥料顆粒の少なくとも90重量%は、2.0~4.0mmの粒径を有する。粒径は、肥料粒径を求めるために使用される一般的かつ国際的に承認された方法である、国際肥料開発センター(International Fertilizer Development Center、IFDC)によって発行された「Size Analysis-Sieve Method」IFDC S-107に従って求めることができる。
【0011】
コーティングされた肥料顆粒組成物は、肥料顆粒と接触する、例えば肥料顆粒をコーティングする、第1のポリウレタン層を含む。本明細書で使用される場合、コーティングするとは、肥料顆粒の表面積、例えば最外部面積の、90%~100%を覆うこと、例えばその上に形成されることを指す。90%~100%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第1のポリウレタン層は、肥料顆粒の表面積の90、95、又は96%(下限)~100、99、又は98%(上限)を覆うことができる。
【0012】
実施形態は、第1のポリウレタン層が、第1のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールと第1のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製されることを規定する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール」は、エチレンオキシドと、任意に別のアルキレンオキシド及び開始剤との重合によって生成されるポリエーテルポリオールを指し、エチレンオキシドは、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80重量%以上である。利用され得る他のアルキレンオキシドの例としては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態は、エチレンオキシドが、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80~100重量%であることを規定する。80~100重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、エチレンオキシドは、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80、90、又は95重量%(下限)~100、99、98、又は97重量%(上限)であり得る。1つ以上の実施形態は、エチレンオキシドが、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の100重量%である(すなわち、他のアルキレンオキシドは利用されない)ことを規定する。開始剤の例としては、水、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、2~4の官能価を有し得る。
【0014】
高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、2~4の名目(例えば、平均)ヒドロキシル官能価を有する。2~4の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、2.0、2.5、又は2.8(下限)~4.0、3.5、又は3.2(上限)の平均官能価を有し得る。1つ以上の実施形態は、3の名目ヒドロキシル官能価を有する高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールを規定する。
【0015】
高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、既知の装置、反応条件、及び反応成分を用いて調製することができる。高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、商業的に入手することができる。市販の高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)IP625などのVORANOL(商標)の商品名で販売されている高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、240~300mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有し得る。240~300mgKOH/gの、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、240、250、又は265mgKOH/g(下限)~300、290、又は285mgKOH/g(上限)の平均ヒドロキシル価を有し得る。KOHとしての平均ヒドロキシル価は、ASTMのD4274に従って求めることができる。1つ以上の実施形態は、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、270mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有することを規定する。
【0017】
コーティングされた肥料顆粒組成物は、第1のポリウレタン層と接触する、例えば第1のポリウレタン層をコーティングする、第1のワックス層を含む。第1のワックス層は、第1のポリウレタン層の表面積、例えば最外部面積の、90%~100%を覆う、例えば、その上に形成することができる。90%~100%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第1のワックス層は、第1のポリウレタン層の表面積の90、95、又は96%(下限)~100、99、又は98%(上限)を覆うことができる。第1のポリウレタン層は、肥料顆粒から第1のワックス層を分離する。言い換えれば、第1のポリウレタン層及び第1のワックス層は互いに別個のものである。
【0018】
本明細書で更に論じられる、第1のワックス層及び第2のワックス層に利用され得るワックスの例としては、例えば蜜蝋などの昆虫及び動物ワックス、例えばキャンデリラ、カルナバ、モクロウ、オリキュリーワックス、ベイマツ樹皮ワックス、ライスブランワックス、ホホバ、カスターワックス、及びシロヤマモモ果実ロウなどの植物ワックス、モンタン蝋、ピート蝋、オゾケライト蝋及びセレシン蝋、及び石油ワックス、例えばパラフィンワックス、微結晶ワックス、半結晶ワックス、及び合成ワックス、例えばポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン、プロピレン及び/又はアクリル酸のコポリマーワックス、及び石油ワックスとエチレン-酢酸ビニルコポリマーとの混合物が挙げられる。1つの実施形態群において、石油ワックス及び/又は合成ワックスが使用される。1つ以上の実施形態は、ワックスがアルファオレフィンワックスであることを規定する。アルファオレフィンワックスは、20~30個の炭素を有する直鎖炭化水素であってもよい。
【0019】
複数の実施形態は、第1のワックス層及び第2のワックス層に利用されるワックスが、同じワックスであることを規定する。複数の実施形態は、第1のワックス層及び第2のワックス層に利用されるワックスが、異なるワックスであることを規定する。
【0020】
コーティングされた肥料顆粒組成物は、第1のワックス層と接触する、例えば、第1のワックス層をコーティングする、第2のポリウレタン層を含む。第2のポリウレタン層は、第1のワックス層の表面積、例えば最外部面積の、90%~100%を覆う、例えば、その上に形成することができる。90%~100%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第2のポリウレタン層は、第1のワックス層の表面積の90、95、又は96%(下限)~100、99、又は98%(上限)を覆うことができる。第1のワックス層は、第2のポリウレタン層から第1のポリウレタン層を分離する。言い換えれば、第1のポリウレタン層、第1のワックス層、及び第2のポリウレタン層は、互いに別個のものである。
【0021】
実施形態は、第2のポリウレタン層が、第2のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルと第2のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製されることを規定する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「高プロピレンオキシド含有量ポリエーテル」は、プロピレンオキシドと、任意に別のアルキレンオキシド及び開始剤との重合によって生成されるポリエーテルポリオールを指し、プロピレンオキシドは、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80重量%以上である。利用され得る他のアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態は、プロピレンオキシドが、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80~100重量%であることを規定する。80~100重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、プロピレンオキシドは、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の80、90、又は95重量%(下限)~100、99、98、又は97重量%(上限)であり得る。1つ以上の実施形態は、プロピレンオキシドが、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの全アルキレンオキシド含有量の100重量%である(すなわち、他のアルキレンオキシドは利用されない)ことを規定する。開始剤の例としては、水、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、2~4の官能価を有し得る。
【0023】
高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、2~4の名目(例えば、平均)ヒドロキシル官能価を有する。2~4の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、2.0、2.5、又は2.8(下限)~4.0、3.5、又は3.2(上限)の平均官能価を有し得る。1つ以上の実施形態は、3の名目ヒドロキシル官能価を有する高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールを規定する。高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、既知の装置、反応条件、及び反応成分を用いて調製することができる。高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、商業的に入手することができる。市販の高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールの例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)230~238などのVORANOL(商標)の商品名で販売されている高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、210~650mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有し得る。210~650mgKOH/gの、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、210、215、又は225mgKOH/g(下限)~650、600、550、500、450、400、350、300、265、260、又は250mgKOH/g(上限)の平均ヒドロキシル価を有し得る。KOHとしての平均ヒドロキシル価は、ASTMのD4274に従って求めることができる。1つ以上の実施形態は、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、240mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有することを規定する。
【0025】
コーティングされた肥料顆粒組成物は、第2のポリウレタン層と接触する、例えば第2のポリウレタン層をコーティングする、第2のワックス層を含む。第2のワックス層は、第2のポリウレタン層の表面積、例えば最外部面積の、90%~100%を覆う、例えば、その上に形成することができる。90%~100%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第2のワックス層は、第2のポリウレタン層の表面積の90、95、又は96%(下限)~100、99、又は98%(上限)を覆うことができる。第2のポリウレタン層は、第2のワックス層から第1のワックス層を分離する。言い換えれば、第2のポリウレタン層、第1のワックス層、及び第2のワックス層は、互いに別個のものである。
【0026】
コーティングされた肥料顆粒組成物は、第2のワックス層と接触する、例えば第2のワックス層をコーティングする、第3のポリウレタン層を含む。第3のポリウレタン層は、第2のワックス層の表面積、例えば最外部面積の、90%~100%を覆う、例えば、その上に形成することができる。90%~100%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第3のポリウレタン層は、第2の層の表面積の90、95、又は96%(下限)~100、99、又は98%(上限)を覆うことができる。第2のワックス層は、第3のポリウレタン層から第2のポリウレタン層を分離する。言い換えれば、第2のポリウレタン層、第2のワックス層、及び第3のポリウレタン層は、互いに別個のものである。
【0027】
第3のポリウレタン層は、第3のポリウレタン層三級アミン触媒の存在下で、ヒマシ油と第3のポリウレタン層イソシアネートとを反応させることによって作製される。ヒマシ油は、ヒドロキシル官能価を有するバイオベースのポリオールである。
【0028】
ヒマシ油は商業的に入手することができる。市販のヒマシ油の例としては、Sigma Aldrich社によって販売されているヒマシ油が挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
上述のように、第1のポリウレタン層イソシアネートは、第1のポリウレタン層を作製するために利用され、第2のポリウレタン層イソシアネートは、第2のポリウレタン層を作製するために利用され、第3のポリウレタン層イソシアネートは、第3のポリウレタン層を作製するために利用される。第1のポリウレタン層用イソシアネート、第2のポリウレタン層用イソシアネート、及び第3のポリウレタン層用イソシアネートは、同じイソシアネートであってもよく、又は異なるイソシアネートであってもよい。
【0030】
好適なイソシアネートは、ポリイソシアネートを含み、そのポリイソシアネートは、1分子あたり平均して1.0を超えるイソシアネート基を有する。好適なイソシアネートの例としては、特に、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン2,4-/2,6-ジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トリイソシアナトノナン(TIN)、ナフチルジイソシアネート(NDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、3-イソシアナトメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートIPDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(THDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-2,2-ジシクロヘキシルプロパン、3-イソシアナトメチル-1-メチル-1-イソシアナトシクロヘキサン(MCI)、1,3-ジイソオクチルシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態は、第1のポリウレタン層イソシアネート、第2のポリウレタン層イソシアネート、及び第3のポリウレタン層イソシアネートが、メチレンビフェニルジイソシアネートを含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートであることを規定する。
【0031】
上述のように、イソシアネートは、1分子あたり1.0超のイソシアネート基の平均官能価を有し得る。例えば、イソシアネートは、1.5~5.0の平均官能価を有し得る。1.5~5.0の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、1.5、1.7、2.0、2.3、又は2.5(下限)~5.0、4.5、4.0、3.5、又は3.0(上限)の平均官能価を有し得る。
【0032】
イソシアネートは、80g/eq~200g/eqのイソシアネート当量を有し得る。80~200g/eqの、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、80、90、100、115、又は120g/eq(下限)~200、175、160、150、又は145g/eq(上限)のイソシアネート当量を有し得る。
【0033】
イソシアネートは、イソシアネートの総重量に基づいて、20~45重量%のNCO含有量を有し得る。20~45重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、イソシアネートの総重量に基づいて、20、25、又は30重量%(下限)~45、40、又は35重量%(上限)のNCOを有し得る。
【0034】
イソシアネートは、既知のプロセスによって調製されてもよい。イソシアネートは、商業的に入手することができる。市販のイソシアネートの例としては、他の市販のイソシアネートの中でも、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANATE(商標)、VORACOR(商標)、例えばVORACOR CL100又はVORACOR CE101、及びPAPI(商標)、例えばPAPI(商標)27が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
イソシアネートは、120~160のイソシアネート指数を提供するために利用され得る。120~160の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、120、130、又は135(下限)~160、150、又は145(上限)のイソシアネート指数を提供するために利用され得る。1つ以上の実施形態は、イソシアネートが、140のイソシアネート指数を提供するために利用され得ることを規定する。イソシアネート指数は、[イソシアネート基/活性水素基×100]として求めることができる。活性水素基としては、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、及び三級アミン触媒からのものが挙げられる。
【0036】
第1のポリウレタン層三級アミン触媒は、第1のポリウレタン層を作製するために利用され、第2のポリウレタン層三級アミン触媒は、第2のポリウレタン層を作製するために利用され、第3のポリウレタン層三級アミン触媒は、第3のポリウレタン層を作製するために利用される。第1のポリウレタン層三級アミン触媒、第2のポリウレタン層三級アミン触媒、及び第3のポリウレタン層三級アミン触媒は、同じ三級アミン触媒であってもよく、又は異なる三級アミン触媒であってもよい。
【0037】
三級アミン触媒の例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-ジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、及びN,N-ジメチル-エタノールアミンが挙げられる。第1のポリウレタン層、第2のポリウレタン層、及び第3のポリウレタン層のそれぞれについて、三級アミン触媒は、三級アミン触媒及びそれぞれのポリオール、すなわち、利用される高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、又はヒマシ油の総重量に基づいて、5~15重量%であり得る。5~15重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第1のポリウレタン層、第2のポリウレタン層、及び第3のポリウレタン層のそれぞれについて、三級アミン触媒は、三級アミン触媒及び利用されるそれぞれのポリオールの総重量に基づいて、5、7、又は9重量%(下限)~15、13、又は11重量%(上限)であり得る。1つ以上の実施形態は、第1のポリウレタン層、第2のポリウレタン層、及び第3のポリウレタン層のそれぞれについて、三級アミン触媒が、三級アミン触媒及び利用されるそれぞれのポリオールの総重量に基づいて、10重量%であることを規定する。
【0038】
実施形態は、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、ポリウレタン形成成分、すなわち、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、イソシアネート、及び三級アミン触媒の組み合わせの総重量に基づいて、9~18重量%であることを規定する。9~18重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、ポリウレタン形成成分の組み合わせの総重量に基づいて、9、11、又は13重量%(下限)~18、16、又は14重量%(上限)であり得る。
【0039】
実施形態は、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールが、ポリウレタン形成成分、すなわち、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、イソシアネート、及び三級アミン触媒の組み合わせの総重量に基づいて、9~18重量%であることを規定する。9~18重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、ポリウレタン形成成分の組み合わせの総重量に基づいて、9、11、又は13重量%(下限)~18、16、又は15重量%(上限)であり得る。
【0040】
実施形態は、ヒマシ油が、ポリウレタン形成成分、すなわち、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、イソシアネート、及び三級アミン触媒の組み合わせの総重量に基づいて、11~20重量%であることを規定する。11~20重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、ヒマシ油は、ポリウレタン形成成分の組み合わせの総重量に基づいて、11、13、又は15重量%(下限)~20、18、又は17重量%(上限)であり得る。
【0041】
実施形態は、三級アミン触媒が、ポリウレタン形成成分、すなわち、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、イソシアネート、及び三級アミン触媒の組み合わせの総重量に基づいて、2~8重量%であることを規定する。2~8重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、三級アミン触媒は、ポリウレタン形成成分の組み合わせの総重量に基づいて、2、3、又は4重量%(下限)~8、7、又は6重量%(上限)であり得る。
【0042】
実施形態は、第1のポリウレタン層、第2のポリウレタン層、及び第3のポリウレタン層の組み合わせが、コーティングされた肥料顆粒組成物の総重量に基づいて、2.0~3.5重量%であることを規定する。2.0~3.5重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第1のポリウレタン層、第2のポリウレタン層、及び第3のポリウレタン層の組み合わせは、コーティングされた肥料顆粒組成物の総重量に基づいて、2.0、2.3、又は2.5重量%(下限)~3.5、3.2、又は2.9重量%(上限)であり得る。
【0043】
実施形態は、第1のワックス層と第2のワックス層の組み合わせが、コーティングされた肥料顆粒組成物の総重量に基づいて、0.2~0.8重量%であることを規定する。0.2~0.8重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、第1のワックス層と第2のワックス層の組み合わせは、コーティングされた肥料顆粒組成物の総重量に基づいて、0.2、0.3、又は0.4重量%(下限)~0.8、0.7、又は0.6重量%(上限)であり得る。
【0044】
実施形態は、コーティングされた肥料顆粒組成物が、様々なプロセスによって作製され得ることを規定する。コーティングされた肥料顆粒組成物は、既知の装置、条件、及び成分を利用して作製することができる。
【0045】
例えば、コーティングされた肥料顆粒組成物は、ドラムコーターを利用することによって作製することができる。コーティングされていない肥料顆粒を、ドラムコーターに添加することができる。続いて、第1のポリウレタン層を作製するために利用される成分(例えば、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、第1のポリウレタン層イソシアネート、及び第1のポリウレタン層三級アミン触媒)を、ドラムコーターに添加することができる。これらの成分は、様々なプロセスによってドラムコーターに添加することができる。一例として、高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール及び第1のポリウレタン層三級アミン触媒を組み合わせて混合物を形成することができ、次いで、第1のポリウレタン層イソシアネートの一部をドラムコーターに添加し、続いて混合物全体をドラムコーターに添加し、続いて残りの第1のポリウレタン層イソシアネートをドラムコーターに添加してもよい。続いて、第1のワックス層を作製するために利用される成分、例えば、第1の層ワックスを、ドラムコーターに添加することができる。続いて、第2のポリウレタン層を作製するために利用される成分、例えば、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、第2のポリウレタン層イソシアネート、及び第2のポリウレタン層三級アミン触媒を、ドラムコーターに添加することができる。これらの成分は、様々なプロセスによってドラムコーターに添加することができる。一例として、高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール及び第2のポリウレタン層三級アミン触媒を組み合わせて混合物を形成することができ、次いで、第2のポリウレタン層イソシアネートの一部をドラムコーターに添加し、続いて混合物全体をドラムコーターに添加し、続いて残りの第2のポリウレタン層イソシアネートをドラムコーターに添加してもよい。続いて、第2のワックス層を作製するために利用される成分、例えば、第2の層ワックスを、ドラムコーターに添加することができる。続いて、第3のポリウレタン層を作製するために利用される成分、例えば、ヒマシ油、第3のポリウレタン層イソシアネート、及び第3のポリウレタン層三級アミン触媒を、ドラムコーターに添加して、5つの同心層、すなわち、3つのポリウレタン層及び2つのワックス層(ポリウレタン層/ワックス層/ポリウレタン層/ワックス層/ポリウレタン層)を含む、コーティングされた肥料顆粒組成物を提供することができる。これらの成分は、様々なプロセスによってドラムコーターに添加することができる。一例として、ヒマシ油及び第3のポリウレタン層三級アミン触媒を組み合わせて混合物を形成することができ、次いで、第3のポリウレタン層イソシアネートの一部をドラムコーターに添加し、続いて混合物全体をドラムコーターに添加し、続いて残りの第3のポリウレタン層イソシアネートをドラムコーターに添加してもよい。
【実施例】
【0046】
実施例では、例えば、以下のものを含む、材料に関する様々な用語及び名称を使用する。
【0047】
高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ポリオールAを利用した。高エチレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、約3のヒドロキシル官能価及び270mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有するグリセリン開始全エチレンオキシド(全アルキレンオキシド含有量のEO100重量%)供給ポリオールであった。
【0048】
高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオール、ポリオールBを利用した。高プロピレンオキシド含有量ポリエーテルポリオールは、約3のヒドロキシル官能価及び241mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有するグリセリン開始全プロピレンオキシド(全アルキレンオキシド含有量のPO100重量%)供給ポリオールであった。
【0049】
ヒマシ油(Sigma Aldrich社から入手される)。
【0050】
三級アミン触媒(トリエタノールアミン;The Dow Chemical Companyから入手される)。
【0051】
ワックス(アルファオレフィンワックス;ALPHAPLUS C30+HA;Chevron Phillips Chemical Company LPから入手される)。
【0052】
PAPI(商標)27(イソシアネート;メチレンビフェニルジイソシアネート(MDI)を含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネート;平均官能価が2.7であり、NCOを32.0重量%含み、The Dow Chemical Companyから入手される)。
【0053】
肥料(SUPERU 46-0-0、2~4mmのコーティングされていない尿素プリル、American Plant Food社から入手される)。
【0054】
実施例1:コーティングされた肥料顆粒組成物を、以下のようにして調製した。肥料(1000グラム)を、80℃で6時間にわたりオーブン乾燥させた。ドラムコーター(開口面が9と3/8インチであり、直径が16と1/8インチであるステンレス鋼ドラム、トラック深さが、5と1/8インチであり、1/2インチの等間隔に離間された羽根(合計5つ))を70℃に予熱し、乾燥肥料をドラムコーターに添加した。ドラムコーターを作動させ(40rpm)、ドラムコーターの内容物を80℃に維持した。
【0055】
ポリオール混合物#1(4.1グラム)は、ポリオールAと三級アミン触媒(ポリオール混合物#1は10重量%の三級アミン触媒を含有していた)とを容器内で組み合わせ、2000rpmで約1分間混合することによって形成した。ポリオール混合物#1を、それぞれのシリンジに添加した。イソシアネート#1(4.9グラムのPAPI(商標)27)を、それぞれのシリンジに添加した。
【0056】
ポリオール混合物#2(4.3グラム)は、ポリオールBと三級アミン触媒(ポリオール混合物#2は10重量%の三級アミン触媒を含有していた)とを容器内で組み合わせ、2000rpmで約1分間混合することによって形成した。ポリオール混合物#2を、それぞれのシリンジに添加した。イソシアネート#2(4.7グラムのPAPI(商標)27)を、それぞれのシリンジに添加した。
【0057】
ポリオール混合物#3(4.8グラム)は、ヒマシ油と三級アミン触媒(ポリオール混合物#3は10重量%の三級アミン触媒を含有した)とを容器内で組み合わせ、2000rpmで約1分間混合することによって形成した。ポリオール混合物#3を、それぞれのシリンジに添加した。イソシアネート#3(4.2グラムのPAPI(商標)27)を、それぞれのシリンジに添加した。
【0058】
乾燥肥料を充填したドラムコーターを、80℃及び40rpmで用いて、40体積%のイソシアネート#1シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、100体積%のポリオール混合物#1シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、イソシアネート#1シリンジの残りの60体積%を、ドラムコーターの内容物に添加した(したがって、第1のポリウレタン層の成分を、ドラムコーターに添加した)。
【0059】
30秒後、ワックス(2.5グラム;固体)を、ドラムコーターの内容物に添加した(したがって、第1のワックス層の成分を、ドラムコーターに添加した)。
【0060】
30秒後、40体積%のイソシアネート#2シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、100体積%のポリオール混合物#2シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、イソシアネート#2シリンジの残りの60体積%を、ドラムコーターの内容物に添加した(したがって、第2のポリウレタン層の成分を、ドラムコーターに添加した)。
【0061】
30秒後、ワックス(2.5グラム;固体)を、ドラムコーターの内容物に添加した(したがって、第1のワックス層の成分を、ドラムコーターに添加した)。
【0062】
30秒後、40体積%のイソシアネート#3シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、100体積%のポリオール混合物#3シリンジを、ドラムコーターの内容物に添加した。30秒後、イソシアネート#3シリンジの残りの60体積%を、ドラムコーターの内容物に添加した(したがって、第3のポリウレタン層の成分を、ドラムコーターに添加した)。
【0063】
30秒後、ドラムコーターの内容物が約55℃になるまで、40rpmを維持しながら、ドラムコーターの加熱を停止した。次いで、ドラムコーターの回転を停止し、コーティングされた肥料顆粒をスコップで取り出し、トレイ上に置いた。
【0064】
実施例1(Ex1)を作製するために利用した成分及び量を、表1に報告する。比較例A~F(CE A~F)を、実施例1と同様に作製したが、いずれの変更も表1に報告した。
【表1】
【0065】
作製してから約7日後、実施例1及び比較例A~Fのそれぞれの10グラムを、100mLの脱イオン水と共に、それぞれの容器に入れた。次いで、それぞれの容器に入れてから14日目と28日目に屈折率測定を行い、放出された肥料(尿素)の重量%を求めた。屈折率を求めるために、初期較正曲線を、屈折率計を使用して、様々な濃度の、水性のコーティングされていない尿素(SUPERU46-0-0;2~4mmのコーティングされていない尿素プリル)溶液の屈折率を測定することによって作成した。溶解尿素の重量%を求めるため、以下のように式を解いた。
【数1】
【0066】
ここで、Xは、放出された尿素の重量%である。脱イオン水中の尿素重量%対屈折率をプロットした較正曲線は、最良のフィット線:y=0.0013x+1.333、及びR2=0.9997を有した。
【0067】
【0068】
表2のデータは、実施例1が、比較例A~Fのそれぞれと比較して、14日目及び28日目の両方で改善された、すなわち低減された肥料放出を有利に提供したことを示す。
【0069】
PAPI(商標)27(イソシアネート指数140)を有するポリオール混合物#1及びポリオール混合物#3についての不粘着性硬化時間を、組成物の試料が、触れても非粘着性になる時間間隔として求めた。結果を、表3において報告する。
【表3】
【0070】
表3のデータは、ポリオール混合物#1がポリオール混合物#3と比較して、より短い不粘着硬化時間を有したことを示す。比較的短い不粘着性硬化時間は、比較的高い反応性を示す。比較的短い不粘着性硬化時間を有するポリオール混合物#1は、コーティングされた肥料顆粒組成物を製造する際に、ポリオール混合物#3の前に利用されるので、生産性を有利に高めることができる。
【国際調査報告】