(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ポリエチレンの新規再生プロセス
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20241114BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20241114BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08L23/04
C08L23/26
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531052
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022084649
(87)【国際公開番号】W WO2023104820
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512264611
【氏名又は名称】ネクサム ケミカル エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ピスコッティ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】セリング ヒューゴ
(72)【発明者】
【氏名】ケイヴァンショコウ アミン
(72)【発明者】
【氏名】ソラノ アリバス カルロス
【テーマコード(参考)】
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AC10
4F401BA13
4F401CB18
4F401DC04
4F401DC08
4F401EA74
4F401FA03Z
4F401FA07Z
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB081
4J002BB102
4J002BB202
4J002BB211
(57)【要約】
廃棄物の再生は、ここ数十年でますます一般的な慣行になっている。プラスチック材料の再生は重要であり、世界中の多くの工業及び家庭で広く行われている。ボトル、袋、製品、特に液状食品ボードベースのパッケージなどの、多数の日用品がプラスチック材料から作製されている。ポリマーを再生し、再利用することは重要である。再生ポリエチレン組成物(P)は、a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)とを含み、前記再生ポリエチレン組成物(P)が配合され、前記配合後の前記ポリエチレン組成物(P)は、0.4~4g/10分のMFR2を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン組成物(P)を再生するプロセスであって、
再生ポリエチレン組成物(P)が、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含み、
前記プロセスが前記再生ポリエチレン組成物(P)を配合するステップを含み、加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)によって処理された前記再生ポリエチレン組成物(P)が、前記再生ポリエチレン(A)と比較して少なくとも15%低いMFR
2を有する、プロセス。
【請求項2】
前記再生ポリエチレン組成物(P)中の再生ポリエチレン(A)の量が、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記再生ポリエチレン組成物(P)中の加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)の量が、1~10重量%である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
加水分解性ケイ素含有基を含む前記エチレンコポリマー(B)が、LDPEである、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
加水分解性ケイ素含有基を含む前記コポリマー(B)が、過酸化物又は過酸化物残留物を含まない、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記再生するプロセスが、シラン縮合触媒を含まない、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)が、グラフトされたポリエチレンである、請求項1~4又は請求項6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
再生ポリエチレン(A)が、LDPE、LLDPE、及び/又はHDPEを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリエチレン組成物(P)が、酸性部分を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸性部分が、EMAA、EAA、MAHグラフトポリオレフィン及び/又は低分子量有機酸を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記再生ポリエチレンが、液状食品ボードベースのパッケージから得られる、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
再生ポリエチレン組成物(P)であって、前記再生ポリエチレン組成物(P)が、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含み、
前記再生ポリエチレン組成物(P)が配合され、前記配合後の前記ポリエチレン組成物(P)が、0.4~4g/10分のMFR
2を有する、再生ポリエチレン組成物(P)。
【請求項13】
再生フィルムであって、前記フィルムが、請求項12に記載の再生ポリエチレン組成物(P)をフィルムに成形することによって得られる、再生フィルム。
【請求項14】
再生ポリエチレン組成物(P)のためのMFR
2改質剤としての、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)の使用であって、
前記再生ポリエチレン組成物(P)が、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む、使用。
【請求項15】
再生ポリエチレン組成物(P)のための相溶化改質剤としての、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)の使用であって、
前記再生ポリエチレン組成物(P)が、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費後及び/又は工業化後のポリエチレン組成物を再生するためのプロセスに関する。さらに、本発明は、改善されたメルトフローレートを有する再生された消費後及び/又は工業化後のポリエチレン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の再生(recycling)は、ここ数十年でますます一般的な慣行になっている。プラスチック材料の再生は重要であり、世界中の多くの工業及び家庭で広く行われている。ボトル、袋、製品、特に液状食品ボードベースのパッケージ(liquid food board-based packaging)などの、多数の日用品がプラスチック材料から作製されている。ポリマーを再生し、再利用することは重要である。
【0003】
しかしながら、再生プラスチックの品質を監視し、保証する必要がある。ポリエチレンの再生において特に重要な目的は、加工特性の要件を満たすことである。ポリエチレンは様々なプロセスから再生される。再生ポリエチレン(recycled polyethylene)は少なくとも一度使用されている。再生利用ポリエチレン(reclaimed polyethylene)は、消費後及び/又は工業化後の使用に由来する。ほとんどの再生プラスチックは単一のストリームに混合され、資源回収施設によって回収され、処理される。資源回収施設では、材料は選別、洗浄、粒状化され、再販売のためにパッケージングされる。プラスチックは、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などの個別の材料、又はポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、及びポリアミド(PA)などの他の一般的なプラスチックの混合ストリームに選別され得る。次いで単一又は混合ストリームはさらに選別、洗浄され、選択された目的に適したペレットに再処理され得る。再生プラスチックは主に均一なストリームに選別され、水溶液及び/又は苛性溶液で洗浄されるが、最終的に再処理されたストリームは他のプラスチック及び様々なストリームの特性で汚染されたままである。例えば、再生ポリエチレンのストリームには、ほぼ常に少量のポリプロピレンが存在するであろう。
【0004】
消費後再生からの特定のストリームの1つは、液状パッケージングボード(liquid packaging board)を含む液状食品ボードパッケージである。このストリームは、アルミニウム層又は他の酸素バリア層を有する及び有しない液状パッケージングボードを含む。これらのパッケージはプラスチックの内層を有する。この層の目的は、ミルク、ジュース、あるいは任意の他の液状又は半液状食品であり得る液状食品を保存し、パッケージを密封することである。この層は食品認可を受けており、典型的にはLDPEである。この層の隣には、酸素の拡散を防ぐバリア層、板紙(paper board)若しくはアルミニウムのいずれかとの接着層、又は他の酸素バリア層が存在し得る。アルミニウム層は酸素バリアとして使用される。板紙層は典型的には、任意選択のアルミニウム層の外側にある。一般的にはポリエチレン製の外層があり、ボード(board)に対する任意選択の接着層がある。液状食品ボードパッケージの液状パッケージングボードは複雑であり、各層は異なる目的を有する。ほとんどの層/構造はポリエチレンを含む。ポリエチレンのほとんどはLDPEであるが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)も使用される。さらに、接着層は、エチレンメタクリル酸コポリマー(EMAA)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)又は無水マレイン酸グラフトポリオレフィン(MAH)から作製され得る。接着層は、典型的には極性ポリマーを含む。接着層は、極性を増加させ、したがってアルミニウム層への接着を増加させるためにオゾン処理によって処理され得る。ストリームはさらに、一般的に粉砕されたキャップに由来するHDPEを含む。
【0005】
液状食品ボードパッケージの液状パッケージングボードの剥離(delamination)は、一般的に製紙工場で行われ、紙繊維は水で除去され、再生される。
【0006】
アルミニウム層のない液状パッケージングボードの場合、残りの混合物は、積層ポリエチレンフィルムと、典型的には主にHDPEを含む、キャップ及びクロージャに使用される硬質プラスチック成分との混合物を含む。再生ポリエチレンストリームは、フレーク(flake)の形態である。
【0007】
アルミニウム層を有する液状パッケージングボードの他の場合、残りの混合物は、ポリエチレン及びアルミニウムの強力に積層された箔の混合物を含む。これはさらに、典型的には主にHDPEを含む、キャップ及びクロージャに使用される硬質プラスチック成分を含む。
【0008】
箔は、特許文献1に開示されているものなどのいくつかの方法によって分離され得る。その改良された変形例が特許文献2に開示されており、これは酸ベースの剥離プロセスを記載している。剥離は、高温の有機酸溶液中で行われる。有機酸の例は酢酸又はギ酸である。アルミニウム及びポリエチレン層は分離される。再生ポリエチレンストリームは、アルミニウム残留物を含まず、フレークの形態である。
【0009】
剥離のための他のプロセスは、水、カルボン酸、カルボン酸塩及び不動態化剤の混合物を含み、特許文献3に記載されている。特許文献4は、水、カルボン酸、リン酸、及びアルカリ金属の混合物を記載している。さらなる方法は、水、膨潤剤、アニオン界面活性剤、カルボン酸、及び補助界面活性剤又はヒドロトロープのうちの少なくとも1つを含み、特許文献5に記載されている。
【0010】
再生ストリームの特性は様々である。したがって、再生ポリエチレンの有用性も様々である。これに対する1つの解決策は、全てのロットの特性を試験することである。しかしながら、これは難しく、コストがかかり、現実的ではない。再生ポリエチレンストリームの安定した特性を確保するためには、再生ポリエチレンが用途の仕様に適合することを確実にする弾力性のある解決策を見つけなければならない。
【0011】
特許文献6及び特許文献7は、異なる種類のポリエチレン及びシラン基を有するポリエチレンを用いた組成物を開示している。これらの両方はバージンポリマーを必要とする。
【0012】
したがって、消費後及び工業化後ポリエチレンをアップサイクルするためのプロセスが必要とされている。
【0013】
本明細書で使用される場合、「再生ポリマー」という用語は、以前の目的に使用され、その後さらなる処理のために回収されたポリマーを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「消費後(post-consumer)」という用語は、最終消費者が消費財又は製品に材料を使用した後に発生する材料の供給源を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「消費後再生(post-consumer recycle」(PCR)という用語は、最終消費者が材料を使用し、廃棄物のストリームに材料を処分した後に製造される材料を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「工業化後(post-industrial)」という用語は、商品又は製品の製造中に発生する材料の供給源を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「再生ポリエチレン」という用語は、新しい製品の製造において原材料として使用することを意図した、再生利用ポリエチレン、又は消費後再生ポリエチレン若しくは工業化後ポリエチレンから得られたポリエチレンを指すことがある。
【0018】
ポリエチレンと表示されるためには、少なくとも50重量%のエチレンモノマーを含まなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5421525号明細書
【特許文献2】中国特許第101891903号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2021/086406明細書
【特許文献4】欧州特許第3554834明細書
【特許文献5】米国特許第10682788明細書
【特許文献6】国際公開第2002/088239号
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0049335明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、再生ポリエチレンからポリエチレン組成物(P)を製造するための方法に関する。特に、本発明は、ポリエチレン組成物(P)の出発材料として使用される再生ポリエチレンよりも低いMFR(メルトフローレート)を有する再生ポリエチレンからポリエチレン組成物(P)を提供するための方法に関する。
【0021】
ポリエチレンが再生されるとき、MFRは本質的に影響を受ける。多くの用途では定義された、典型的には低いMFRが要求されるため、これにより再生ポリエチレンの有用性が低下する。
【0022】
バージンポリエチレンの工業生産では、MFRは生産パラメータによって制御される。したがって、バージンポリエチレンのMFRを変更する必要はない。しかしながら、MFRは再生において本質的に影響を受けるため、再生ポリエチレンの再利用を容易にするために、ポリエチレンの再生においてMFRを制御するための手段を提供することが望ましい。さらに、再生ポリエチレンのMFRを制御するための手段は、再生ポリエチレンの異なるバッチの混合を容易にすることを意味する。
【0023】
本発明の目的は、再生ポリエチレン組成物(P)のMFRを低下させることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
再生されるポリエチレン製品は、多くの場合、選択された目的に適したペレットに再処理される。ポリエチレン製品の単一又は混合供給源からのプロセスストリームは粒状化(granulation)に使用することができる。粒状化は、プラスチックを配合してペレット化することを意味する。これはプラスチックのMFRに影響を与える場合があり、一般的にプラスチックの劣化と呼ばれるが、劣化片の再結合が少なくとも部分的に劣化を補う。
【0025】
しかしながら、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)を導入することにより、配合中にMFRを低下させることができ、それにより劣化の影響を補うことができることが判明した。好適なエチレンコポリマー(B)の例は、例えば、欧州特許出願第2582743号に開示されている。配合は、好適には、ポリマーが混合される配合機中で行われる。配合は、好適な押出機で効率的に混合して行われる。均質なポリマー溶融物及び均一なポリマー特性を得るためには、適切なレベルの混合が必要とされる。
【0026】
本発明の再生ポリエチレンは、例えば、様々な用途、例えば、フィルムブロー、パイプ押出、射出ブロー成形、射出成形及び押出発泡用途を目的としている。これらの用途の少なくともいくつかは、再生ポリエチレン組成物(P)の低いMFRを必要とする。さらに、これらの用途は、MFRの調整からもたらされる柔軟性の恩恵を受ける。
【0027】
ある用途では、再生ポリエチレンはフィルムにブローされる。このプロセスは、再生ポリエチレンのMFR2が低く、例えば5g/10分以下であり、制御されていることが必要とされる。再生ポリエチレンの溶融強度は、再生ポリエチレン組成物(P)のMFR及び均質性に依存する。フィルムをブローするためには、ひずみ硬化が必要とされる。再生ポリエチレン組成物が均質ではない場合、フィルムの気泡は分裂するか、又は不安定になる。ブローフィルムを製造するためには、気泡の均質性は重要である。これは、再生、特に消費後再生(PCR)から得られた異種材料にとっては困難である。ポリエチレンが再生されると、鎖の切断が起こり得る。鎖の切断によって形成された短い鎖により、再生ポリエチレンのMFRが増加し得る。これは再生ポリエチレンの溶融強度に影響を与える。しかしながら、短い鎖が様々な方法で再結合して、最初の鎖切断を少なくとも部分的に補うことができるとしても、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)を使用することによって、劣化の影響を補うようにMFRを調整することは有益である。
【0028】
フィルムブローなどの用途のためのMFR2は、典型的には5g/10分未満である。再生ポリエチレンは、パイプ押出、射出ブロー成形、射出成形及び押出発泡用途などの、他の用途にも使用することができる。MFRは最終製品の加工特性及び機械的強度にとって重要である。
【0029】
パイプ用途では、パイプの寸法安定性にとって溶融強度が重要である。パイプが押し出されるとき、パイプ壁の内側には溶融ポリマーが存在する。溶融強度が低いと、溶融したポリマーがパイプ壁の内側に流れ込み、パイプの底部が厚くなる。パイプの機械的特性を満たすためには、低いMFRが必要とされる。
【0030】
したがって、本発明は、再生ポリエチレン(A)及びコポリマー(B)からポリエチレン組成物(P)を再生するプロセスに関し、再生ポリエチレン組成物(P)は、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む。
【0031】
再生ポリエチレン(A)及びコポリマー(B)からポリエチレン組成物(P)を再生するプロセスは、前記再生ポリエチレン組成物(P)を配合するステップを含む。加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)によって処理された再生ポリエチレン組成物(P)は、再生ポリエチレン(A)と比較して少なくとも15%低いMFR2を有する。
【0032】
本発明の目的は、再生ポリエチレン組成物(P)のMFRを制御又は低下させることである。再生ポリエチレン(A)は、様々な再生プロセスから得ることができる。再生ポリエチレン(A)の例は、消費後再生及び/又は工業化後再生から得ることができる再生利用ポリエチレンである。再生ポリエチレンの物理的特性は供給源に依存する。したがって、本発明の目的は、再生ポリエチレンのMFRの効率的で、単純、かつ信頼性の高い制御を提供することである。この目的は、加水分解性ケイ素含有基を含む十分な量のエチレンコポリマー(B)を添加することによって達成される。再生ポリエチレン組成物(P)は、加水分解性ケイ素含有基を含む少なくとも0.5重量%、例えば0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)を含む。
【0033】
ポリエチレン組成物の配合は十分に確立された技術である。したがって、本発明の1つの利点は、現在の押出装置で実施することができることである。
【0034】
本発明はさらに、再生ポリエチレン組成物(P)に関する。再生ポリエチレン組成物(P)は、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含み、
前記再生ポリエチレン組成物(P)は配合されている。ポリエチレン組成物(P)は、配合後、0.4~4グラム/10分のMFR2を有する。
【0035】
さらに、本発明はまた、再生ポリエチレン組成物(P)を含む再生フィルムにも関し、この再生ポリエチレン組成物(P)は、(上記のように)
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む。
【0036】
再生ポリエチレン組成物(P)は、前記再生ポリエチレン組成物(P)を配合することによって得られる。
【0037】
フィルムは、再生ポリエチレン組成物(P)から形成される。
【0038】
本発明はまた、再生ポリエチレン組成物(P)のためのMFR改質剤(modifier)としての、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)の使用にも関し、再生ポリエチレン組成物(P)は、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む。
【0039】
さらに、本発明は、再生ポリエチレン組成物(P)のための相溶化改質剤(compatibilizer modifier)としての、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)の使用に関する。そのような使用に関する実施形態では、再生ポリエチレン組成物(P)は、
a)少なくとも50重量%の再生ポリエチレン(A)と、
b)加水分解性ケイ素含有基を含む0.5~15重量%のエチレンコポリマー(B)と
を含む。
【0040】
再生ポリエチレン(A)は、少なくともLDPE、HDPE、及び/又は接着層からの様々な極性ポリエチレン、ならびに場合によって他のポリマー画分を含む。加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)は、溶融強度を有する連続マトリクスを作製するための相溶化剤として作用する。エチレンコポリマー(B)の効果の1つは、均質性を増加させることである。形成された再生ポリエチレン組成物(P)は、HDPEも含めて全ての部分を一緒に結合する1つの相を有する。別の効果は、フィルムブロー中にマトリクス全体が応力を受けることである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】比較例4、RPM40のフィルムの写真を示す。
【
図2】発明例7、RPM60のフィルムの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
一実施形態では、ポリエチレン組成物(P)中の再生ポリエチレン(A)の量は、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、又は最も好ましくは90重量%である。
【0043】
再生ポリエチレン(A)は、好適には1~15g/10分、より好適には5~12g/10分のMFR2を有する。
【0044】
加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)の添加は、再生ポリエチレン組成物(P)のMFRを低下させる。本発明の好ましい実施形態では、再生ポリエチレンのMFR2は、再生ポリエチレン(A)と比較して少なくとも20%低く、より好適には少なくとも30%低い。
【0045】
ポリエチレン組成物(P)は100%まで添加するものとする。ポリエチレン組成物(P)は、添加物(additivities)、顔料、及び他のポリマー画分をさらに含むことができる。ポリエチレン組成物(P)は、顔料、好適にはカーボンブラックを含むことができる。これにより、再生ポリエチレン組成物(P)の密度が増加する。添加剤(additives)は、好適にはマスターバッチを使用して添加される。さらなるポリマー画分が再生ポリエチレン組成物(P)に添加される場合、適切なバージンポリエチレンが添加される。最も適切なのは、さらなるポリマー画分を添加しないことである。
【0046】
一実施形態では、ポリエチレン組成物(P)中の加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)の量は、1~10重量%、より好適には2~7重量%、最も好適には2~5重量%である。
【0047】
添加するコポリマー(B)の量は、再生ポリエチレン組成物(P)の所望のMFRに関連して決定される。ポリエチレン組成物(P)の所望のMFRは、再生ポリエチレン組成物(P)の意図される最終用途によって決定される。再生ポリエチレン組成物(P)のMFR2は、好適には0.4~10グラム/10分のMFR2、より好適には0.4~4グラム/10分、最も好適には1~3グラム/10分のMFR2を有する。加水分解性ケイ素含有基を含む少量のコポリマー(B)を有することが本発明の目的である。これにより、配合プロセスが改善される。これにより、より単純で、より安定し、より均質な組成物が得られる。ポリエチレン中の加水分解性ケイ素含有基の量は、0.1~5重量%、より好適には0.5~2重量%である。
【0048】
本発明の実施形態では、加水分解性ケイ素含有基を含むエチレンコポリマー(B)は、低密度ポリエチレン(LDPE)である。LDPEは、再生又はバージンのいずれであってもよい。バージン(virgin)とは、ポリマーが使用されていないこと、すなわち再生されていないことを意味する。加水分解性ケイ素含有基を含む再生エチレンコポリマー(B)の欠如により、バージンの供給源を使用することが最も好適である。LDPEは高圧プロセスで製造される。加水分解性ケイ素含有基を含むバージンエチレンコポリマー(B)を使用する別の理由は、使用により反応性が減少することである。すなわち、加水分解性ケイ素含有基を含む再生エチレンコポリマーは低反応性である。
【0049】
本発明は、好ましくは、過酸化物及び/又は過酸化物残留物を含まない。過酸化物及び/又は過酸化物残留物は、反応性配合の様々なステップから発生し得る。ポリエチレンを過酸化物と反応性に配合することによって処理して、MFRを減少させることができる。過酸化物はポリエチレン鎖を架橋し、分子を拡張させる。過酸化物残留物は強いにおいがし、さらに過酸化物の取り扱いが厄介である。さらに、架橋はミクロゲルの有害な形成をもたらす可能性がある。本発明の1つの目的は、過酸化物及びその残留物を避けることである。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、全プロセスは過酸化物又は過酸化物残留物を含まない。加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)は、好適には、過酸化物又は過酸化物残留物を含まない。加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)はポリエチレン、好適には高圧プロセスで製造されるLDPEであることを意味する。
【0051】
本発明の別の実施形態では、加水分解性ケイ素含有基を含むコポリマー(B)は、グラフトされた(grafted)ポリエチレンである。ポリエチレンは、エチレン-ビニルシランなどのシラン含有基でグラフトすることができ、これは当該技術分野で周知である。ポリエチレンのグラフトは典型的には過酸化物の使用を必要とするため、過酸化物の使用によりシラン含有基でグラフトされたポリエチレンの使用を含む実施形態はあまり好ましくない。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、再生ポリエチレン組成物(P)は、ジブチルスズジラウレート(DBTL)又はジオクチルスズジラウレート(DOTL)などのシラン縮合触媒を含まない。DBTL及びDOTLは両方とも有機スズ化合物である。有機スズ化合物は潜在的に有毒であると認識されている。シラン縮合触媒の他の例はスルホン酸である。シラン縮合触媒の目的は、縮合反応によって加水分解性ケイ素含有基を架橋することである。シラン縮合触媒は環境に有害であるか、又は強酸を含むので避けるのが好ましい。再生プロセスを通じてシラン縮合触媒が添加されていない、ポリエチレン組成物(P)の再生プロセスを提供することが本発明の目的である。したがって、再生ポリエチレン組成物(P)はシラン縮合触媒を含まない。
【0053】
本発明の目的は、再生ポリエチレン組成物(P)から製造された物品が、実質的に臭気がなく、臭気及び機械的特性に関してバージンポリエチレンから製造された物品に匹敵することである。
【0054】
再生ポリエチレン(A)は、好適には、LDPE、LLDPE及び/又はHDPEを含む。LDPE、LLDPE及び/又はHDPEなどのポリエチレンは、再生ポリエチレン(A)の主要成分である。したがって、再生ポリエチレン(A)は、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のLDPE、LLDPE及び/又はHDPEを含むことができる。再生ポリエチレン(A)は、EMAA、EAA、MAHグラフトポリオレフィン及び/又は低分子量有機酸などの酸性部分をさらに含むことができる。より好適な実施形態では、低分子量有機酸は剥離プロセスからの残留物である。低分子量有機酸の例はギ酸及び酢酸である。
【0055】
再生ポリエチレン(A)は、消費後再生から得ることができる。再生ポリエチレン(A)はまた、工業化後再生からも得ることができる。好適な実施形態では、再生ポリエチレン(A)は、消費後再生からのものである。これは、再生ポリエチレン(A)が様々なポリエチレンの混合物であり、他の一般的なプラスチックの他の混合ストリームによって汚染されているため、より要求の厳しいプロセスである。
【0056】
好ましい実施形態では、再生ポリエチレン(A)は、液状パッケージングボードを含む液状食品ボードベースのパッケージの消費後再生から得られる。液状食品ボードパッケージは、アルミニウム層を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。最も好適には、液状食品ボードパッケージはアルミニウム層を有する。PCRストリームに由来する全てのストリームは、他のストリームからの高度の再生ポリマーを有することに留意されたい。
【0057】
再生ポリエチレンの特性は様々である。再生ポリエチレンの密度のばらつきは、890kg/m3~990kg/m3であり得る。色はどのようなものであってもよいが、ほとんどは顔料を含まない。灰分は2重量%未満であり得、再生ポリエチレン組成物(P)は典型的にはペレット又は顆粒の形態である。含水量は0.1重量%未満であり得る。再生ポリエチレン組成物(P)のほとんどの特性は、再生ポリエチレン(A)と同じである。
【0058】
(実験)
図1は、比較例4、RPM40のフィルムの写真を示し、
図2は、発明例7、RPM60のフィルムの写真を示す。
【0059】
(測定方法)
メルトフローレート(MFR)はISO 1133に従ってMFR2として測定(determine)され、g/10分で示される。MFRはポリマーの流動性、したがって加工特性の指標である。メルトフローレートが高くなるほど、ポリマーの粘度は低くなる。ポリエチレンのMFR2は、190℃の温度及び2.16kgの荷重で測定される。少なくとも50重量%のポリエチレンを含む組成物の全ての例は190℃で測定される。メルトフローレートは、好ましくはISO 1133-2:2011に従って測定される。
【0060】
複素粘度は、TA Instrument ARES-G2 TAレオメータを使用して190℃で測定した。構成は、1%ひずみで25mmプレート/プレート形状である。周波数掃引は100~0.1rad/秒である。
【0061】
伸長粘度は、伸長粘度フィクスチャ(extensional viscosity fixture)(EVF)を備えたTA Instrument ARES-G2レオメータを使用して150℃で測定した。伸長速度(ヘンキー(Hencky)速度)は0.5 1/sであり、最終ヘンキーひずみは3.4であった。
【0062】
光学顕微鏡検査は、20倍の倍率でDino-Liteデジタル顕微鏡を使用して行った。
【0063】
(材料)
EVSは、Borealisから市販されているLE-4423である。EVSは、加水分解性ケイ素含有基を含む低密度ポリエチレンコポリマーである。コポリマーは高圧反応器で製造される。ポリマーの密度は923kg/m3であり、1.0g/10分のMFR2を有する。
【0064】
再生ポリエチレン1は8.7g/10分のMFR2を有する。ポリマーは、主にボード、ポリマー及びアルミニウムの層を有するパッケージから様々な液状食品ボードベースのパッケージを収集することによって得られる。まずボード層が分離され、次に再粒状化前にアルミニウム層が酸ベースの剥離法によって分離される。液状食品ボードパッケージはPCRに由来し、再粒状化された以下のポリマー:LDPE>LLDPE>エチレン-co-アクリル酸及び/又はco-メタクリル酸>HDPE>PET>MAHグラフトポリオレフィン及び顔料を含む。PCRは、再粒状化プロセス中に溶融濾過によって減少する夾雑物(contaminations)をさらに含む。
【0065】
再生ポリエチレン2は4.2g/10分のMFR2を有する。ポリマーは、主にボード、ポリマー及びアルミニウムの層を有するパッケージから様々な液状食品ボードベースのパッケージを収集することによって得られる。まずボード層が分離され、次に再粒状化前にアルミニウム層が酸ベースの剥離法によって分離される。液状食品ボードパッケージはPCRに由来し、再粒状化された以下のポリマー:LDPE>LLDPE>エチレン-co-アクリル酸又はco-メタクリル酸>HDPE>PET>MAHグラフトポリオレフィン及び顔料を含む。PCRは、再粒状化プロセス中に溶融濾過によって減少又は除去される夾雑物をさらに含む。
【0066】
再生ポリエチレン3は4.4g/10分のMFR2を有する。ポリマーは、主にボード、ポリマー及びアルミニウムの層を有するパッケージから様々な液状食品ボードベースのパッケージを収集することによって得られる。まずボード層が分離され、次に再粒状化前にアルミニウム層が酸ベースの剥離法によって分離される。液状食品ボードパッケージはPCRに由来し、再粒状化された以下のポリマー:LDPE>LLDPE>エチレン-co-アクリル酸又はco-メタクリル酸>HDPE>PET>MAHグラフトポリオレフィン及び顔料を含む。PCRは、再粒状化プロセス中に溶融濾過によって減少又は除去される夾雑物をさらに含む。
【0067】
再生ポリエチレン4は3.6g/10分のMFR2を有する。ポリマーは、主にボード、ポリマー及びアルミニウムの層を有するパッケージから様々な液状食品ボードベースのパッケージを収集することによって得られる。まずボード層が分離され、次に再粒状化前にアルミニウム層が酸ベースの剥離法によって分離される。液状食品ボードパッケージはPCRに由来し、再粒状化された以下のポリマー:LDPE>LLDPE>エチレン-co-アクリル酸又はco-メタクリル酸>HDPE>PET>MAHグラフトポリオレフィン及び顔料を含む。PCRは、再粒状化プロセス中に溶融濾過によって減少又は除去される夾雑物をさらに含む。
【0068】
LDPE-22は1922NOであり、Sabicから市販されている。ポリマーは管型反応器で製造され、バージンであり、無添加である。ポリマーの密度は919kg/m3であり、22g/10分のMFR2を有する。
【0069】
LDPE-7は19N430であり、Ineosから市販されている。ポリマーの密度は920kg/m3であり、7.5g/10分のMFR2を有する。
【0070】
LDPE-1はLDPE 320Eであり、Dowから市販されている。ポリマーの密度は925kg/m3であり、1g/10分のMFR2を有する。
【実施例】
【0071】
表1に示す組成物を、ストランドをペレット化する前に、室温で水浴を備えた単軸スクリュー押出機SSE(Axon BX-25)で220rpmにて配合した。押出機の温度設定は、170、220、220、220、220、220℃であった。
【0072】
【0073】
比較例1では、再生ポリエチレン1のみを有するポリマー組成物においてMFR2の変化を測定した。表1では、全ての例はMFR2を測定する前に5分間予熱している。
【0074】
比較例2では、EVSのみを使用した。MFR2は同様のままである。発明例1~3では、再生ポリエチレン1を異なる量のEVSと混合した。MFR2は、EVSの添加量とともに減少する。
【0075】
相対差は、再生ポリエチレン組成物(P)のMFR2を再生ポリエチレン(A)のMFR2で割った比から100%を引いた値として計算される。
【0076】
表2の例は、ストランドをペレット化する前に、室温で水浴を備えた単軸スクリュー押出機SSE(Axon BX-25)で220rpmにて配合した。押出機の温度設定は、170、220、220、220、220、220℃であった。
【0077】
【0078】
表2では、全ての例はMFR2を測定する前に5分間予熱している。結果は表1の結果と一致している。
【0079】
表3の押出機及びプロセス条件は表2と同じである。
【0080】
【0081】
表3は、本発明のさらなる例を開示する。
【0082】
表4では、複素粘度変化を測定した。組成物は、ストランドをペレット化する前に、170、220、220、220、220、220℃の温度設定で単軸スクリュー押出機SSE(Axon BX-25)で220rpmにて配合した。次いでサンプルを油圧プレス機で圧縮成形した。
プレス温度155℃
時間:予熱2分、全圧2分、冷却5分で、円柱状サンプル(直径25mm及び厚さ1mm)を作製した。
【0083】
複素粘度は190℃で測定した。構成は、1%ひずみで25mmのプレート/プレート形状であった。周波数掃引は100~0.1rad/秒であった。
【0084】
【0085】
再生ポリエチレンにEVSを添加すると、組成物の複素粘度が増加する。これは、再生ポリエチレン組成物(P)の分子拡張及びシアシニング(shear thinning)の証明である。
【0086】
表5では、再生ポリエチレン2について、伸長粘度に対するEVSの効果を報告している。発明例についてのひずみ硬化の効果(より高い溶融弾性及び粘度)を観察することができる。
【0087】
【0088】
この例は、本発明の改善された溶融弾性特性を示す。
【0089】
異なるMFR2を有するバージンLDPEをEVSと混合した追加の例を表6に示す。組成物は表1に従って製造した。
【0090】
【0091】
EVSをバージンLDPEに添加すると、MFR2は減少する。この減少は、EVSの低いMFR2に起因し、MFR2の減少は、発明例で観察されたものに比べて著しく低い。
【0092】
追加のフィルム例は、実験室規模のフィルムブロー機で製造された。表7の例は、本発明の改善されたフィルム形成特性を示す。比較例4ならびに発明例6及び7からの再生ポリエチレン組成物は、混合エレメントを有するバリアスクリュー2.5:1を備えた、空冷の単軸スクリューBrabender & Collins押出機19/25Dで配合した。押出機の毎分回転数(RPM)は変化させた。
冷却リング付きフィルムブローダイヘッド(直径2cm)
温度設定(プロファイル):190-210-210-210℃
【0093】
【0094】
発明例は、安定したフィルム製造が本発明により達成され得ることを示す。MFRは低下し、ブロー性能(blowability)は改善される。
【0095】
EVSを用いない再生材料からブローされたフィルム(比較例4)の顕微鏡写真は、別々の相を有する不均質な材料を示す。分散相はダイの出口での配向効果により機械方向に伸長している。フィルムブロー中、連続相が応力を受け、相は全体積の一部でしかないため、この相の応力が高くなりすぎ、容易に破損する。5%EVSを添加した顕微鏡写真は均質な材料を示す。EVSは相境界を均一にする相溶化剤として作用する。つまり、相が機械的に相互作用することにより、材料の全体積が応力を吸収することができることを意味する。したがって、発明例6及び7のフィルムブロー特性が改善された。
【国際調査報告】