(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】包装材料にマークを付ける方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/88 20170101AFI20241114BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20241114BHJP
B31B 70/10 20170101ALI20241114BHJP
【FI】
B31B70/88
B41M3/00 Z
B31B70/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531291
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022083164
(87)【国際公開番号】W WO2023099335
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】シュールヴァルツィ、キーバン
(72)【発明者】
【氏名】ナイボルグ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】アルデニアス、マリア
【テーマコード(参考)】
2H113
3E075
【Fターム(参考)】
2H113AA04
2H113BA01
2H113BB22
2H113CA25
3E075AA03
3E075AA07
3E075AA23
3E075BA41
3E075BB02
3E075BB08
3E075CA02
3E075DA14
3E075DE23
3E075FA03
3E075GA05
(57)【要約】
本開示は、包装材料(16)にマーク(34)を製造する方法に関するものであって、予め定義された位置(20)に少なくとも1つのプレプリント要素(18)を含む包装材料(16)を提供するステップと、マーキングステーション(12)において、予め定義されたセクション(32)内で前記プレプリント要素(18)を除去し、除去されたセクション(32)が製造されるマーク(34)のネガを反映するステップと、前記プレプリント要素(18)の基準形状(44)及び製造された前記マーク(34)のネガの基準形状(46)を検出するステップと、検出された基準形状(44;46)の幾何学的関係(56)を決定するステップと、決定された幾何学的関係(56)が予め定義された幾何学的関係に一致するかどうかを評価するステップと、を備え、一致する場合は、前記予め定義されたセクション(32)において、前記プレプリント要素(18)を除去して後続のマーク(34)を製造し、一致しない場合は、前記予め定義されたセクション(32)の調整下で前記プレプリント要素(18)を除去して後続のマーク(34)を製造する。本開示はさらに、マーキングステーション(12)及び包装材料製造システム(10)、並びに包装材料(16)及び包装容器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料(16)にマーク(34)を製造する方法であって、
予め定義された位置(20)に少なくとも1つのプレプリント要素(18)を含む包装材料(16)を提供するステップと、
マーキングステーション(12)において、予め定義されたセクション(32)内で前記プレプリント要素(18)を除去し、除去されたセクション(32)が製造されるマーク(34)のネガを反映するステップと、
前記プレプリント要素(18)の基準形状(44)及び製造された前記マーク(34)のネガの基準形状(46)を検出するステップと、
検出された基準形状(44;46)の幾何学的関係(56)を決定するステップと、
決定された幾何学的関係(56)が予め定義された幾何学的関係に一致するかどうかを評価するステップと、
を備え、
一致する場合は、前記予め定義されたセクション(32)において、前記プレプリント要素(18)を除去して後続のマーク(34)を製造し、
一致しない場合は、前記予め定義されたセクション(32)の調整下で前記プレプリント要素(18)を除去して後続のマーク(34)を製造する、
方法。
【請求項2】
前記決定された幾何学的関係(56)が前記予め定義された幾何学的関係に一致するまで、少なくとも後続のマーク(34)が製造される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カメラ(42)を用いて、前記プレプリント要素(18)の基準形状(44)及び前記マーク(34)の製造されたネガの基準形状(46)を検出する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラ(42)が、前記製造されたマーク(34)の少なくとも1つの追加的な予め定義された品質特徴を評価するために使用される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記製造されたマーク(34)は、二次元コード(36)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記追加的な予め定義された品質特徴は、二次元コード(36)によって表される情報の可読性を備える、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定された幾何学的関係(56)は、前記基準形状(44;46)の相対位置(58;60)及び/又は相対方位に関する検出された情報を備え、前記予め定義された幾何学的関係が、前記基準形状(44;46)の相対位置及び/又は相対方位に関する予め定義された情報を備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プレプリント要素(18)の基準形状(44;46)及び前記マーク(34)の製造されたネガが、同じ幾何学的タイプである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記予め定義されたセクション(32)における前記プレプリント要素(18)の除去が、レーザーアブレーションによって行われる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記包装材料製造システム(10)において、少なくとも1つの要素(18)が包装材料(16)にプレプリントされ、その後、前記プレプリント要素(18)を含む包装材料(16)が前記マーキングステーション(12)に提供される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の方法において、前記包装材料(16)上に前記マーク(34)を製造するように適合及び構成可能である、
マーキングステーション(12)。
【請求項12】
請求項11に記載のマーキングステーション(12)を備え、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合及び構成可能である、
包装材料製造システム(10)。
【請求項13】
前記包装材料(16)上の予め定義された位置(32)に、少なくとも1つの要素(18)をプレプリントするように適合及び構成可能な装飾印刷ステーション(14)をさらに含む、
請求項12に記載の包装材料製造システム。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によってマーキングされた、及び/又は請求項11に記載のマーキングステーション(12)によってマーキングされた、及び/又は12又は13に記載の包装材料製造システム(10)によって製造された包装材料(16)。
【請求項15】
請求項14に記載の包装材料(16)を備える包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料にマークを製造する方法及び包装材料にマークを製造するマーキングステーションに関する。本発明はさらに、マーキングステーションを含む包装材料製造システム、包装材料及び包装材料から形成される包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体又は半液体食品用の使い捨てタイプの包装容器は、多くの場合、板紙又はカートンをベースとする包装材料から製造される。この既知の包装容器の包装材料は、通常、紙又は板紙のバルク層と熱可塑性プラスチックの外側の液密層とを備えるラミネートとして製造される。
【0003】
ラミネートの内側、すなわちラミネートから製造される包装容器の充填された食品内容物に面することを意図した側には、ヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1つ以上の内層を備える。
【0004】
上記の包装材料から製造された包装容器の外観は、包装容器の外面を形成する包装材料の外層に印刷された装飾に依存する。印刷された装飾は、通常、高速フレキソ印刷プロセスによって適用される。これらの印刷プロセスは、例えば包装材料製造工場において、数メートルの広い基材ウェブを高速印刷するために設計されている。
【0005】
フレキソ印刷で印刷する色ごとに印刷版が作成され、回転可能な印刷シリンダーの円周上に取り付けられる。包装材料の製造のために、印刷版には印刷されるパターンの繰り返しが含まれる。繰り返しの長さは、印刷版を取り付けたときの印刷シリンダーの円周に等しく、通常3~6個の包装容器の印刷に対応し、例えば450~800mmの間で変化する。
【0006】
印刷版の幅は通常、装飾が複数のレーンに同時に印刷されるように選択される。各レーンは最終的に分離され、包装容器製造機で使用される。したがって、フレキソ印刷プロセスに入る包装材料のウェブには、繰り返し印刷されたパターンが提供され、各印刷パターンは、製造される単一の包装容器のために設計される。
【0007】
印刷速度を上げるために、印刷版の幅は12レーンに相当し得る。その結果、印刷版が1回転する間に、包装材料には、製造される最大12×6個の包装容器に対応する領域に印刷パターンが提供される。
【0008】
印刷版の構成は静的であり、これは、印刷パターンが、同じ印刷版を使用して製造されるすべての包装容器に対して同じであることを意味する。そのため、本明細書では静的プリントと呼ぶことがある。
【0009】
しかし、近年、製造された包装容器の消費者がアクセスできる動的プリントを包装材料に施すことも提案されている。一例として、動的プリントは特定の情報を含む二次元コードが挙げられる。
【0010】
このような動的プリントは、反復的な性格のため、既存のフレキソ印刷プロセスでは得られない。その代わりに、フレキソ印刷処理装置の下流に別の印刷ステーションを設けることが提案されている。この別の印刷ステーションは、例えばインクジェット技術を導入することにより、インラインでユニークな印刷を提供することができ、それにより、ユニークな二次元コード又は他の動的オブジェクトを包装材料の領域に印刷することができる。
【0011】
動的プリント、すなわち別個の印刷ステーションによって印刷されるパターンの位置は、フレキソ印刷プロセスの印刷と整列するように位置合わせされる必要がある。動的プリントの読み取りを可能にするため、フレキソ印刷のデザインには、動的プリントを収容するための、通常は印刷されないか、特定の背景色を備えた特定の領域を含めてもよい。動的プリントの位置がずれていると、動的プリントの正しい読み取りが不可能になるか、少なくとも困難になる危険が大きい。また、動的プリントの位置がずれると、動的プリント及び/又はフレキソ印刷のデザインの視覚的品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0012】
動的プリントの正しい位置決めは、いくつかのパラメータの影響を受ける。重要な要因の1つは、包装材料が包装材料製造工場、特に別個の印刷ステーションを含む装飾印刷装置を通過する際に、寸法が変化する可能性があることである。例えば、皺が存在する場合があり、この場合、動的プリントの位置の調整が必要になる可能性がある。包装材料ウェブの寸法に影響するもう一つの問題は、包装材料の湿度や含水率である。特に薄い包装材料は、フレキソ印刷プロセス直後に加えられる乾燥熱などにより、含水率が変化すると横方向に膨張し、及び収縮する。前述したように最大12レーンというかなり大きなウェブ幅のため、包装材料の幅にばらつきがあると、特に外側のレーンでは動的プリントの位置決めに不具合が生じる可能性がある。さらに考慮しなければならない要因として、包装材料のウェブの横方向の動きがある。このような動きは一般に蛇行として知られており、包装材料のウェブ全体の横方向の位置の小さなずれを引き起こす。
【0013】
これらの要因はすべて、包装材料の装飾に対する印刷の位置づけに影響を与える可能性がある。
【0014】
したがって、包装材料の寸法や位置が製造中に変化しても、包装材料にすでに存在する特徴との関係で、印刷パターンの正しい位置決めと可読性を保証する、このような印刷物を作成するための改良された方法とシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来技術の上記の1つ以上の限界を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明は、読み取り可能性と位置精度を同時に保証しつつ、低い技術的労力で包装材料上に動的マーキング要素を製造する方法を提供することを目的とする。
【0016】
これらの目的を達成するために、本発明の第1の態様は、包装材料にマークを製造する方法であって、以下のステップを含む:
- 予め定義された位置に少なくとも1つのプレプリント要素(pre-printed element)を含む包装材料を提供する;
- マーキングステーションで、予め定義されたセクション内のプレプリント要素を除去し、除去されたセクションが製造されるマークのネガを反映する;
- プレプリント要素の基準形状及び製造されたマークのネガの基準形状を検出する;
- 検出された基準形状の幾何学的関係を決定する;
- 決定された幾何学的関係が事前に予め定義された幾何学的関係に一致するかどうかを評価する;
もしそれが一致する場合は、同じ予め定義されたセクションで、プレプリント要素を除去し、後続のマークを製造する;又は、
一致しない場合は、予め定義されたセクションが調整され、プレプリント要素を除去し、後続のマークが製造される。
【0017】
本発明は、言い換えると、以下のように要約される。本発明の方法への入力として、包装材料が提供される。包装材料は、例えば、冒頭で説明したような静的プリントを備える。静的プリントの位置、向き、形状は既知であるため、マーキングステーションは、予め定義された領域で静的プリントを除去することができる。これにより、静的プリントの下にある包装材料が、静的プリントが除去されたセクションにおいて明らかになり、これらのセクションは、例えば冒頭で説明したような動的プリントのネガを表す。こうして動的プリントのネガが静的プリントの内側に配置される。
【0018】
静的プリントの実際の位置及び向きに影響を及ぼす可能性のある妨害影響要因に基づいて、動的プリントのネガは、意図した通りに静的プリント内に正確に配置されない可能性がある。このような場合は、静的プリントと動的プリントのネガの基準形状の相対配置を、予め定義された相対配置と比較することによって判断することができる。例えば、静的プリントの角を形成する可能性のある静的プリントのエッジが検出される。同じことが例えば動的プリントのネガについても行われ、これは動的プリントのネガの角を形成する動的プリントのネガのエッジも検出されることを意味する。
【0019】
動的プリントとスタティックプリントのネガの相対的配置が正しければ、前記例示的な角とエッジは、実際には予め定義された相対的配置を有する。
【0020】
しかしながら、動的プリントのネガと静的プリントのネガの相対配置が正しくない場合、前記の例示的な角及びエッジは、予め定義された相対配置と比較して、それらの相対配置に偏差を示す。このような偏差がある場合、閉ループ制御の方法で、実際の相対配置が事前に定義された相対配置に一致するように、後続の製造工程で妨害的な影響因子を補正するための補正を計算することができる。
【0021】
このようにして、本発明の方法は、簡単かつ安定した方法で、包装材料にマークが正しく製造されることを保証する。
【0022】
好ましくは、包装材料は、紙等のセルロースベースの材料を備える。好ましくは、包装材料は板紙を備え、さらに好ましくは、包装材料は、プレプリントに必要な他の材料以外に、紙又は板紙からなる。好ましくは、本発明の方法に導入される包装材料は、プレプリント要素に必要な他の層以外に、単層包装材料である。つまり、包装材料は、マークが製造された後、例えばシール層のような更なる層の適用によって、冒頭で述べたように後で更に加工することができる。
【0023】
プレプリント要素は、下地となる包装材料の色とは異なる色を特徴とし、これは製造されたマークの視覚的検出可能性及び可読性にとって不可欠である。好ましくは、プレプリント要素は包装材料に印刷された装飾の一部である。好ましくは、プレプリント要素及びその下の包装材料は、例えば白黒など、互いにコントラストの高い色を特徴とし、これによりマークの検出可能性及び可読性がさらに向上する。好ましくは、プレプリント要素は黒色であり、下地となる包装材料は、少なくともプレプリント要素が施されている領域では白色である。
【0024】
本発明の方法の一実施形態では、決定された幾何学的関係が予め定義された幾何学的関係と一致するまで、少なくとも後続のマークが製造される。
【0025】
こうすることで、外乱要因の影響をプロセス上安全な方法で補正し、例えばフロー製造プロセスにおいて、さまざまな高品質のマークを製造することができる。
【0026】
本発明の方法の一実施形態では、プレプリント要素の基準形状と、製造されたマークのネガの基準形状を検出するためにカメラが使用される。
【0027】
カメラは特に、流れ作業で、包装材料の(敏感な)表面に接触することなく検出を行うのに適している。カメラはまた、追加の検出タスクを同時に実行するのにも適している。カメラは、例えばラインスキャンカメラである。
【0028】
このように、本発明の方法の一実施形態では、同じカメラを使用して、製造されたマークの少なくとも1つの追加的な予め定義された品質特徴を評価する。
【0029】
好ましくは、追加的に定義された品質特徴は、マークによって表される情報の可読性を備える。
【0030】
それに基づいて、複数の品質保証タスクを同時に、低い技術的労力で実行することができる。
【0031】
本発明の方法の一実施形態では、製造されたマークは二次元コードを備える。
【0032】
このようなコードは、例えばバーコード又はQRコード(登録商標)として知られており、製造中又はさらなるライフサイクル中に包装材料に情報を符号化してもよい。この情報は、後に包装材料によって包装される製品を示してもよい。
【0033】
本発明の方法の一実施形態では、追加の予め提示された品質特徴は、二次元コードによって表される情報の可読性を備える。
【0034】
本発明の方法の一実施形態では、決定された幾何学的関係は、基準形状の相対位置及び/又は相対配向に関する検出された情報を備え、予め定義された幾何学的関係は、基準形状の相対位置及び/又は相対配向に関する予め定義された情報を備える。
【0035】
本開示に基づき、当業者であれば、所望の品質特徴を評価するために、適切な基準形状及びそれらの幾何学的関係を決定することが許されるであろう。これは、プレプリント要素及びマークの形状にも依存する。例えば、プレプリント要素及びマークの両方が正方形の形状を備え、マークがプレプリント要素の中央に配置されるべきである場合、例えば、マーク及びプレプリント要素のそれぞれの角を形成する2つの辺を基準形状として選択することが好適であろう。この例では、所望の/予め定義された幾何学的関係は、マークの角がプレプリント要素の角から一定の相対位置を有することであってもよい。さらに、マークのエッジがプレプリント要素のエッジと平行に走ることが、予め定義された幾何学的関係であってもよい。参照する幾何学的形状及び幾何学的関係の数は限定されず、製造する所与のマークに応じて、また所与のプレプリント要素に関して、当業者が適合させてもよい。
【0036】
一般的に、また単に例として、マークとプレプリント要素のそれぞれの基準幾何学は、エッジ線、角、中心点、面積の中心、又はパターンとして配置されたエッジ又は要素を形成する2つの直線間の角度等の複合要素を備えてもよい。マークとプレプリント要素の相対的な位置及び/又は向きに関する典型的な幾何学的関係として、線又は点間の距離、線間の平行度又は角度、又は領域の中心の位置を例示的に列挙することができる。
【0037】
本発明の方法の一実施形態では、プレプリントされた要素と製造されたマークのネガの基準形状は、同じ幾何学的タイプである。
【0038】
これは特に、基準形状間の幾何学的関係を計算するのに有益である。例えば、マークとプレプリント要素の両方が直線によって形成された角又はエッジの形の基準形状を特徴とする場合、マークのエッジ又は角とプレプリント要素のエッジ又は角との間の距離は、例えばマークが曲線によって形成されたエッジを有し、プレプリント要素が直線によって形成されたエッジを有する場合よりも容易に計算することができる。しかし、異なるタイプの基準形状でも、本発明を実施することは可能であることを理解されたい。
【0039】
本発明の方法の一実施形態では、予め規定された部分のプレプリント要素の除去は、レーザーアブレーションによって行われる。
【0040】
レーザーアブレーションは、スピードと精度に関していくつかの利点をもたらす。さらに、レーザーが使用される場合、包装材料は機械的損傷のリスクにさらされない。通常、レーザーアブレーションでは除去された材料が昇華するため、切断された材料を追加で回収する必要はない。
【0041】
本発明の方法の一実施形態では、包装材料製造システムにおいて少なくとも1つの要素が包装材料にプレプリントされ、その後、プレプリント要素を含む包装材料がマーキングステーションに提供される。
【0042】
導入部を例示的に参照すると、これにより、例えば静的プリントとしての装飾と動的(ネガ)印刷としての二次元コードを含む包装材料を、連続フロー製造工程で製造することができる。この方法は、追加の製造工程、例えば包装材料のさらなる層の塗布や包装容器の形成と統合されてもよい。
【0043】
検出目的のカメラと、プレプリント要素の材料を除去する目的のレーザーアブレーションの組み合わせに基づき、フロー製造プロセスで約600m/分の高速を達成することができる。
【0044】
本発明の別の態様は、本開示による本発明の方法において包装材料にマークを製造するように適合及び構成可能なマーキングステーションに関する。
【0045】
本発明のさらに別の態様は、本開示による本発明のマーキングステーションを含み、本開示による本発明の方法を実行するように適合及び構成可能である、包装材料製造システムに言及する。
【0046】
本発明の包装材料製造システムの一実施形態では、システムは、包装材料上の予め定義された位置に少なくとも1つの要素をプレプリントするように適合及び構成可能な装飾印刷ステーションをさらに備える。
【0047】
本発明のさらに別の態様は、本開示による本発明の方法においてマーキングされ、及び/又は本開示による本発明のマーキングステーションによってマーキングされ、及び/又は本開示による本発明の包装材料製造システムによって製造される包装材料に言及する。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、本開示による本発明の包装材料を含む、包装容器に言及する。
【0049】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0050】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図2】予備印刷された要素を備え、包装材料にマークを製造する方法に導入された包装材の写真である。
【
図3】
図2の包装材料とその上に製造されたマークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1を参照すると、包装材料製造システム10が示されている。包装材料製造システム10は、マーキングステーション12と、例示的にマーキングステーション12の上流にある装飾印刷ステーション14とを備える。包装材料製造システム10は、予め定義された位置20に少なくとも1つのプレプリント要素18を有する包装材料16をマーキングステーション12に供給するように適合及び構成される。
【0053】
この実施形態では、単なる一例として、包装材料製造システム10は、包装材料16がマーキングステーション12にさらに供給される前に、装飾印刷ステーション14によって、包装材料16上の予め定義された位置20に少なくとも1つの要素18をプレプリントするように適合及び構成されてもよい。好ましくは、プレプリントは、静的プリントプロセスとして実行され、したがって、位置20は予め定義され、複数の要素18がプレプリントされる。しかし、包装材料16が既にプレプリント要素18を備えており、例えば追加的なプレプリントを行わずに保管庫22からマーキングステーション12に供給されてもよい。このような場合、例えば、保管庫22からの包装材料16の供給時に、1つ又は複数のプレプリント要素18の予め定義された位置20を検出するためにセンサを適用してもよい。
【0054】
しかしながら、図示された実施形態において少なくとも1つの要素18をプレプリントする目的のために、包装材料製造システム10は、無地の包装材料16を供給するように適合された保管庫22を備える。包装材料16は、保管庫22としてロールに巻かれた包装材料16のウェブの形態で貯蔵及び供給することができる。
【0055】
包装材料16は、包装材料製造システム10を通して、
図1の右下のブロック矢印の方向に連続的に供給されてもよい。包装材料16のウェブは、好ましくは、紙等のセルロースベースの材料から作られる少なくとも1つの層を備える。
【0056】
装飾印刷ステーション14は、好ましくはフレキソ印刷システムであり、一連のフレキソ印刷ユニット24a~dを備える。各フレキソ印刷ユニット24a~dは、版胴26a~dと圧胴28a~dとからなる。各版胴26a~dと関連する圧胴28a~dはニップを形成しており、そのニップを通して包装材料16が供給され、それによって版胴26a~dから包装材料16にインキが転写される。図示の例では、4つのフレキソ印刷ユニット24a~dが示されている。各フレキソ印刷ユニット24a~dは特定の色を担当し、一例では、フレキソ印刷ユニット24a~dは、CMYK配色の各1つを提供し得る。各フレキソ印刷ユニット24a~dは、当該技術分野でよく知られているように、アニロックスローラやファウンテンローラなどの付加的な構成要素を含んでもよい。
【0057】
装飾印刷ステーション14は、任意で乾燥ユニット30を備えてもよい。乾燥ユニット30は、フレキソ印刷ユニット24a~dの下流に配置される。乾燥ユニット30は、包装材料16に赤外線(IR)放射又は熱風を供給することによって動作し、それによって包装材料16上のインクを乾燥させ得る。
【0058】
装飾印刷ステーション14は、必ずしもフレキソ印刷システムである必要はなく、1つ以上のプレプリント要素18を包装材料16に提供するために、他の周知の技術を使用してもよいことに留意すべきである。
【0059】
包装材料16にプレプリント要素18、例えば装飾が施されると、マーキングステーション12に送られる。
【0060】
ここで
図2及び
図3をさらに参照すると、マーキングステーション12は、基本的に以下のステップからなる発明的な方法で包装材16にマーク34を製造するように適合及び構成されている:
【0061】
第1のステップでは、
図2に示すように、予め定義された位置20に少なくとも1つのプレプリント要素18を含む包装材料16が、マーキングステーション12への入力として提供される。
図2に示される包装材料16は、部分的に図示されているが、例えば、示されるプレプリント要素18と、プレプリント要素18が例示的に埋め込まれる装飾とを周期的に繰り返す、包装材料16の連続ウェブであってもよい。装飾は好ましくは周期的に繰り返され、プレプリント要素18は好ましくは装飾と一体的に印刷されるか、装飾の一部を形成することが理解されよう。図示の例では、プレプリント要素18は黒い正方形を備える。
【0062】
第2のステップでは、プレプリント要素18は、マーキングステーション12内の予め定義されたセクション32において除去される。このようにして、除去された部分32では、
図3に示すように、製造されるマーク34のネガが見えるようになる。例示的に、これは、黒四角の下にある包装材料16の材料が白色であるために達成される。しかし、これらは単なる例であり、包装材料16とプレプリント要素18は、少なくともある程度のコントラストを特徴とする色であれば、異なる色を有してもよい。
【0063】
図示の例では、製造マーク34は二次元コード36、例えばQRコード(登録商標)を備える。
【0064】
予め定義されたセクション32におけるプレプリント要素18の除去は、例示的に、好ましくは、レーザーアブレーションによって行われる。この目的のために、
図1に示すマーキングステーション12は、レーザービーム40によってプレプリント要素18の材料を昇華させるためのレーザーユニット38を備えてもよい。例示的に、
図1のレーザービーム40の位置にあるプレプリント要素18で示されており、レーザーアブレーションの直前の
図2のプレプリント要素18に対応している。レーザーアブレーションの後、マーク34が製造され、したがって、プレプリント要素18は、それぞれ
図1のレーザービーム40の後方に示されている
図3のプレプリント要素に対応する。
【0065】
第3のステップでは、
図1及び
図3を参照して、プレプリント要素18の基準形状44及びマーク34の製造されたネガの基準形状46が検出される。検出のために、マーキングステーション12は、好ましくは、
図1に示すように、カメラ42を備えてもよい。
図3の詳細Aは、カメラ42によって撮影された、カメラ42の下方に位置するプレプリント要素18及びマーク34の画像を示す。
【0066】
図3に目を向けると、本実施例では、プレプリント要素18の基準形状44は水平エッジ48と垂直エッジ50を備える。同様に、製造されたマーク34のネガの基準形状46は、本実施例では水平エッジ52と垂直エッジ54とを備える。つまり、本実施例では、プレプリント要素18と製造されたマーク34のネガの基準形状44、46は同じ幾何学的タイプであり、これは次のステップにとって有益である。
【0067】
第4のステップでは、検出された基準形状44、46の幾何学的関係56が決定されるが、これは、上述したように、これらが同じ幾何学的タイプであれば容易である。
【0068】
好ましくは、決定された幾何学的関係56は、基準形状44、46の相対位置及び/又は相対方向に関する検出された情報を備える。上記の例に基づき、一方では、決定された幾何学的関係56は、プレプリント要素18の水平エッジ48とマーク34の水平エッジ52との間で距離58の形で検出される。他方、決定された幾何学的関係56は、この例では、プレプリント要素18の垂直エッジ50とマーク34の垂直エッジ54との間で距離60の形で検出される。これに基づいて、マーク34とプレプリント要素18の両方が既知の大きさの正方形の形状であることから、マーク34とプレプリント要素18の全体としての相対位置を幾何学的関係56として導出することができる。図示されていないが、幾何学的関係56を記述するために、例えば水平エッジ48、52間の角度など、さらなる尺度を考慮することも可能である。このようにして、マーク34とプレプリント要素18の相対的な向きも幾何学的関係56を決定するために評価することができる。
【0069】
第5のステップでは、決定された幾何学的関係56が、予め定義された幾何学的関係に一致するかどうかが評価される。予め定義された幾何学的関係は、好ましくは、基準形状44、46の相対的位置及び/又は相対的向きに関する予め定義された情報を備える。上記の例に基づき、予め定義された情報は、例えば、マーク34とプレプリント要素18との所望の相対位置を示す予め定義された距離58及び60を備える。この評価のために、
図1に示すマーキングステーション12は、予め定義された幾何学的関係が記憶されるコントローラ62を備え得る。コントローラは、カメラ42から取得された画像を受信64し、上述した決定及び評価動作を実行し得る。
【0070】
第6のステップでは、2つの選択肢がある。評価の結果、決定された幾何学的関係56が予め定義された幾何学的関係と一致する場合、
図3に示されるように、同じ予め定義されたセクション32において、プレプリント要素18を除去の下、後続のマーク34が製造される。
【0071】
評価の結果、決定された幾何学的関係56が予め定義された幾何学的関係と一致しない場合、後続のマーク34は、予め印刷された要素18が除去された部分32の予め定義された調整下で製造される。この調整は、
図1の右下のブロック矢印の方向(包装材料(16)の流れ方向)と比較して、横方向及び/又は縦方向におけるレーザーユニット38の位置の調整によって行ってもよい。そのために、コントローラ62は、それぞれの制御データをレーザーユニット38に送信66してもよい。可能な代替案では、長手方向の調整、言い換えればブロック矢印方向の調整は、包装材料(16)の流速を制御することによって、及び/又はレーザーユニット38のトリガ信号遅延時間を調整することによって達成してもよい。
【0072】
好ましくは、決定された幾何学的関係56が事前に定義された幾何学的関係に一致するまで、少なくとも後続のマーク34が製造される。
【0073】
好ましくは、同じカメラ42を使用して、製造されたマーク34の少なくとも1つの追加の事前定義された品質特徴を評価する。上記の例に基づき、
図3を参照すると、これは、二次元コード36によって表される情報の可読性の評価を備えてもよい。
【0074】
包装材料16は、上記の方法に従ってマーキングされた後、図示したブロック矢印の方向で後続の製造工程に導入してもよい。例えば、包装材料16から包装容器を製造してもよい。
【0075】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
【0076】
参照番号
10 包装材製造システム
12 マーキングステーション
14 装飾印刷ステーション
16 包装材料
18 プレプリント要素
20 予め定義された位置
22 保管庫
24a~d フレキソ印刷機
26a~d 版胴
28a~d 圧胴
30 乾燥ユニット
32 予め定義されたセクション
34 マーク
36 二次元コード
38 レーザーユニット
40 レーザー光線
42 カメラ
44 基準形状
46 基準形状
48 水平エッジ
50 垂直エッジ
52 水平エッジ
54 垂直エッジ
56 幾何学的関係
58 距離
60 距離
62 コントローラ
64 受信
66 送信
【国際調査報告】