(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ターンノズルアセンブリを有する吹き付け塗装装置およびガラス物体の塗装方法
(51)【国際特許分類】
B05B 12/00 20180101AFI20241114BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20241114BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20241114BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20241114BHJP
B05B 12/32 20180101ALI20241114BHJP
【FI】
B05B12/00 Z
B05D1/02 Z
B05D7/00 E
B05B13/04
B05B12/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531510
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2022050692
(87)【国際公開番号】W WO2023101864
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェイムズ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クック,ブライアン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ホートフ,ダニエル ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】クマール,プルショタム
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ショーン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】モレス,ブルース アーサー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】パニデス,イライアス
(72)【発明者】
【氏名】ロガキ,ジェイムズ ウェストリー
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジョン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,ユィジエン
(72)【発明者】
【氏名】ジォン,レオ ヨン
【テーマコード(参考)】
4D073
4D075
4F035
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB01
4D073BB03
4D073CA20
4D073CB03
4D073CB21
4D073DB04
4D073DB18
4D073DB19
4D073DB27
4D073DB38
4D075AA01
4D075AA22
4D075AA39
4D075AA40
4D075AA43
4D075AA62
4D075AA67
4D075AA76
4D075AA83
4D075AA84
4D075AA85
4D075AA90
4D075DA13
4D075DA19
4D075DA23
4D075DB13
4D075DC43
4D075EB39
4F035AA03
4F035BA21
4F035BC01
4F035BC06
4F035CA02
4F035CB02
4F035CB05
4F035CB26
4F035CC02
4F035CD06
4F035CD12
4F035CD18
(57)【要約】
ガラス物体の外表面に塗装材料を塗布する吹き付け塗装装置。本装置は、塗装材料を含む塗装材料供給源と、スプレーノズルアセンブリと、ターンノズルアセンブリと、を備えている。スプレーノズルアセンブリは、塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルを備えている。スプレーノズルは、ガラス物体に向かう第1の方向に塗装材料を向けて、オーバースプレー量の塗装材料がガラス物体の傍を通ってガラス物体の見通し線外の領域を迂回するようにオーバースプレー量の塗装材料を供給するように配置、構成されている。ターンノズルアセンブリは、加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルを備えている。ターンノズルは、第1の方向とは異なる、ガラス物体への見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の進路を変えて見通し線外の領域に導くように配置、構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物体の外表面に塗装材料を塗布する吹き付け塗装装置であって、
塗装材料を含む塗装材料供給源と、
前記塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルであって、前記ガラス物体に向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、オーバースプレー量の前記塗装材料が前記ガラス物体の傍を通って前記ガラス物体の見通し線外の領域を迂回するように前記オーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されているスプレーノズルを備えるスプレーノズルアセンブリと、
加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルであって、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、前記塗装材料の進路を変えて前記見通し線外の領域に導くように配置、構成されているターンノズルを備えるターンノズルアセンブリと、
を備える吹き付け塗装装置。
【請求項2】
前記ターンノズルアセンブリが、前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドをさらに備える、請求項1に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項3】
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、請求項2に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項4】
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、請求項3に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項5】
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、請求項4に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項6】
前記シュラウドが、ガス流入口を有するマニホールドと係合しており、加圧ガスは前記ガス流入口から前記包囲体を通過するように導かれる、請求項3に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項7】
前記吹き付け塗装装置が、前記ガラス物体を挟持して、前記ガラス物体を前記ターンノズルと並べて保持するように構成された挟持デバイスをさらに備え、
前記ガラス物体が、バイアルであり、前記下折領域が、前記バイアルの底部と前記バイアルの側部との移行部をなす底角部で構成される、請求項1に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項8】
前記ターンノズルが第1のターンノズルであり、
前記吹き付け塗装装置が、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第3の方向に加圧空気を向けるように配置、構成されている第2のターンノズルをさらに備える、請求項1に記載の吹き付け塗装装置。
【請求項9】
吹き付け塗装装置を用いてガラスパッケージに塗装材料を塗装する方法であって、
挟持デバイスで前記ガラスパッケージを把持するステップと、
スプレーノズルアセンブリのスプレーノズルを使用して、前記塗装材料を前記ガラスパッケージの外表面に向けるステップであって、前記スプレーノズルが、前記ガラスパッケージに向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、前記ガラスパッケージの見通し線外の領域を迂回するオーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されている、ステップと、
ターンノズルアセンブリのターンノズルを使用して、前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変えて前記ガラスパッケージの前記見通し線外の領域に導くステップであって、前記ターンノズルが、前記第1の方向とは異なる、前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の方向および運動量を前記見通し線外の領域に向かうように変化させるように配置、構成されている、ステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変える前記ステップ中に、前記ガラスパッケージを回転させるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドでターンノズルを包囲することにより、前記ターンノズルを塗装材料から遮蔽するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記包囲体を通過するように加圧ガスを導くステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2021年11月30日を出願日とする米国仮特許出願第63/284159号の優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、本明細書の依拠するところとし、参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、吹き付け塗装装置に関し、より詳細には、ターンノズルアセンブリを備えた吹き付け塗装装置およびターンノズルアセンブリを用いたガラス物体の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスは、気密性と光学的透明度、さらに他の材料に比べて優れた化学的耐久性を有していることから、医薬品の包装(パッケージ)に好適な材料として長年使用されてきた。医薬品のガラス包装としては、バイアル、カートリッジ、シリンジなどの物体を挙げることができる。詳細には、中に入れる医薬品の組成物の安定性に影響を与えることがないよう、医薬品包装に使用されるガラスは、十分な化学的耐久性を備えている必要がある。そして、適切な化学的耐久性を有するガラスは、化学的耐久性を持つことが歴史的証明により明らかな、ASTM規格の「Type 1B」に適合するガラス組成物を含んでいる。
【0004】
一方、ガラスの機械的性能は、このような用途でのガラスの利用範囲を限定する要因となっている。医薬品業界では、ガラスの破損は、製品の品質の観点のみならずエンドユーザーにとっても懸念事項である。たとえ重大な破損ではなくても(すなわち、ガラスに割れない程度の亀裂が入るような破損であっても)、内容物の無菌性を損なってしまう可能性があり、ひいては多額の費用を要する製品回収につながる恐れがある。
【0005】
そこで、低摩擦係数(low coefficient of friction:低COF)材料でガラスを塗装することが知られている。ガラス物体は、例えば、ガラス物体の少なくとも一部を低COF材料に浸漬する浸漬塗装(dip coating)で塗装することができる。しかし、浸漬塗装の場合、材料の無駄や製品の外観のばらつきが生じる可能性があった。一方、従来の吹き付け塗装も困難な場合があった。この理由の少なくとも一部として、塗装材料が高価であり、費用と機能の面から薄く塗布する必要があること、視認性の面(例えば、薬の量や色を特定する目的)から均一に塗布する必要があることが挙げられる。また、塗装材料を厚く塗布すると、塗装材料の塗膜の流動性が高まり、塗膜の厚さや外観に大きなばらつきが生じてしまう恐れがある。吹き付け塗装では液滴の形状/領域の均一性を繰り返し正確に制御することが難しいため、上記の理由と、バイアルやシリンジなどの複雑な形状とが相まって、バイアルやシリンジなどに吹き付け塗装を行うことが困難となっていた。バイアルの形状によって塗布形状が異なることを考慮して、複数のスプレーノズルを使用することも考えられるが、これにも、重ね塗り吹き付けという問題が生じる可能性がある。重ね塗り吹き付けが行われると、厚さにばらつきが生じたり、表面を被覆する液滴が不規則に分布したりするため、目に見える欠陥が残る可能性があった。さらに、スプレーによって粒子が衝突する時間が異なれば、塗装の被覆率や外観が変化してしまう可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ターンノズルアセンブリを備えた吹き付け塗装装置およびターンノズルアセンブリを用いたガラス物体の塗装方法が必要とされている。ターンノズルアセンブリは、1台の噴霧器(例えば、エアレス吹き付け器)から行った1回の液滴散布をエアターンによって修正することにより、バイアル形状の特定の部分(側壁など)用に設計された液滴分布が持つ利点を生かしながら、バイアルに「命中しない(miss)」ように設計された部分の進路を別の方向に変えて、ガラス物体の底角部や底部の設置領域のようなスプレーノズルから直接アクセスできない表面を塗装することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、ガラス物体の外表面に塗装材料を塗布する吹き付け塗装装置は、塗装材料を含む塗装材料供給源と、スプレーノズルアセンブリと、ターンノズルアセンブリと、を備えている。スプレーノズルアセンブリは、塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルを備えている。スプレーノズルは、ガラス物体に向かう第1の方向に塗装材料を向けて、オーバースプレー量の塗装材料がガラス物体の傍を通ってガラス物体の見通し線外の領域を迂回するようにオーバースプレー量の塗装材料を供給するように配置、構成されている。ターンノズルアセンブリは、加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルを備えている。ターンノズルは、第1の方向とは異なる、ガラス物体への見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の進路を変えて見通し線外の領域に導くように配置、構成されている。
【0008】
他の実施形態によれば、吹き付け塗装装置を用いてガラスパッケージに塗装材料を塗装する方法が提供される。本方法は、挟持デバイスでガラスパッケージを把持するステップを含む。また、スプレーノズルアセンブリのスプレーノズルを使用して、塗装材料をガラスパッケージの外表面に向ける。スプレーノズルは、ガラスパッケージに向かう第1の方向に塗装材料を向けて、ガラスパッケージの見通し線外の領域を迂回するオーバースプレー量の塗装材料を供給するように配置、構成されている。さらに、ターンノズルアセンブリのターンノズルを使用して、ガラスパッケージを迂回するオーバースプレー量の塗装材料の進路を変えてガラスパッケージの見通し線外の領域に導く。ターンノズルは、第1の方向とは異なる、ガラスパッケージの見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の方向および運動量を見通し線外の領域に向かうように変化させるように配置、構成されている。
【0009】
以下の詳細な説明において、本発明のガラス物品ならびにその製造方法および製造プロセスのさらなる特徴および利点を記載する。下記のさらなる特徴および利点は、当業者であれば、ある程度はその説明からただちに理解するであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって理解することであろう。
【0010】
上述の概略的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、種々の実施形態を説明するものであり、特許請求する主題の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、種々の実施形態の理解をより深めるために添付するものであり、本明細書に組み入れられ、その一部をなすものとする。図面は、本明細書に記載の種々の実施形態を例示的に示すものであり、以下の詳細な説明と合わせて、特許請求する主題の原理および作用を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、ターンノズルアセンブリを備える吹き付け塗装装置の一部を示す模式図
【
図2】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、
図1に示す吹き付け塗装装置を使用した塗装プロセスに用いられるガラス物体を示す模式図
【
図3】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、
図1に示す吹き付け塗装装置に用いられるターンノズルを示す模式図
【
図4】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、
図3に示すターンノズルを覆うシュラウドを備えたターンノズルアセンブリを示す模式図
【
図5】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、ターンノズルアセンブリを利用する吹き付け塗装装置の一部を示す分解図
【
図6】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、組み立て後の
図5に示す吹き付け塗装装置の一部を示す図
【
図7】本明細書に図示、説明する1つ以上の実施形態に係る、ターンノズルアセンブリの一部を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、概して、ガラスパッケージや医薬品容器などの物体の外表面に塗装材料を塗布するために使用される吹き付け塗装装置に関するものである。吹き付け塗装装置は、塗装材料を含む塗装材料供給源を備えている。スプレーノズルアセンブリは、塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルを備えている。スプレーノズルは、ガラス物体に向かう第1の方向に塗装材料を向けて、ガラス物体に命中しない塗装材料の量であるオーバースプレー量の塗装材料を供給するように配置、構成されている。ターンノズルアセンブリは、加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルを備えている。ターンノズルは、第1の方向とは異なる、ガラス物体への見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、オーバースプレー量の塗装材料の進路を変えるように配置、構成されている。
【0013】
図1を参照すると、スプレーノズル14を備えるスプレーノズルアセンブリ12と、ターンノズル18を備えるターンノズルアセンブリ16とを備える、吹き付け塗装装置10の一部が示されている。スプレーノズルアセンブリ12は、塗装材料を収容した塗装材料供給源20に流体接続され、ガラス物体Oに向かう第1の方向D
1に塗装材料を向けるように配置されている。いくつかの実施形態では、スプレーノズル14をエアレススプレーノズルとすることができる。スプレーノズル14は、部品面積当たりの液滴の量と分布が望ましいものとなるように液滴を供給することにより、1部品当たりの液体量として選択された量の液体で均一な塗装を行うことができるように構成されている。ターンノズル18は、加圧ガスを収容した加圧ガス供給源22に流体接続され、第1の方向D
1とは異なる、ガラス物体Oへの見通し線外の領域24に向かう第2の方向D
2に加圧ガスを向けるように配置されている。なお、本明細書において、「見通し線外の領域(non-line of sight area)」という用語は、スプレーノズル14により直接アクセスすることができないガラス物体Oの領域を指す。図示の例では、見通し線外の領域24はスプレーノズル側とは異なる方向を向いており、スプレーノズル14から出るオーバースプレー量の塗装材料(点線25で示す)は、ガラス物体Oを迂回する(ガラス物体Oに命中しない)。
【0014】
ここで軽く
図2を参照すると、
図2にはガラス物体Oだけを切り離して図示している。ガラス物体Oは、胴部26を備えている。胴部26は、ガラス物体Oの内容物の大部分を収容する、ガラス物体Oにおいて最大の容積を有する部分である。胴部26は、ガラス物体Oの肩部36から底角部(heel)42まで延びる側壁30により形成される。胴部26内の容積空間への出し入れは、ガラス物体Oの開口部28から行うことができる。いくつかの実施形態では、ガラス物体Oはフランジ31を備えることもできる。フランジ31は、キャップなどの閉塞具に対するシール面を開口部28に設けて、かかる閉塞具に液密・気密性を与えるものである。フランジ31は、ガラス物体Oの「仕上げ」と呼ぶこともできる。なお、フランジ31に他の閉塞構造を設けることもでき、例えば、ねじ切り加工を施したキャップまたは閉塞具と係合するねじ山を設けることができる。そして、フランジ31と胴部26の間に、首部34と肩部36がある。首部34は、フランジ31や胴部26よりも小さい外径(または幅)を有することができる。首部34の内径は、開口部28の直径と実質的に同径とすることができる。肩部36は、首部34から胴部26にかけて外側に広がる移行部となる。肩部36は、首部34から胴部26にかけて、角張りができないように全体的にカーブした移行部を有することができる。そして、胴部26の反対側の端部が、底部40である。底角部42は、胴部26から底部40にかけて内側に入る移行部となる。底角部42も、胴部26から底部40にかけて、角張りができないように全体的にカーブした移行部を有することができる。
【0015】
図1に戻ると、ガラス物体Oは、把持デバイス46により、スプレーノズル14とターンノズル18の双方に隣接した位置に保持される。把持デバイス46は、ガラス物体Oを把持するために使用される把持フィンガー48を備えることができる。図示の例では、ガラス物体Oは医薬品バイアルであり、把持デバイス46はフランジ31でガラス物体Oを把持して保持する。これにより、把持デバイス46は、ガラス物体Oを把持すると同時に、塗装作業中に開口部28を覆って、塗装材料が容器内部に侵入するのを防ぐことができる。
【0016】
把持デバイス46は、側壁30が円柱のように鉛直方向にまっすぐ延び、かつ底部40が床と概ね平行に延びる概ね鉛直な向きとなるように、ガラス物体Oを保持する。なお、図では、側壁30がまっすぐに延びるものとして示されているが、他の任意の適切な側壁形状を採用することができ、例えば、丸みを帯びた形状、段差のある形状、リブのある形状などが考えられる。塗装材料は、スプレーノズル14によりD1の方向に噴霧されてガラス物体Oに到達する。方向D1と方向D2は、各方向に関連するノズルオリフィスの幾何学的中心を通過し、かつノズルの先端開口部を含む平面に垂直な直線により定めることができる。図示の通り、スプレーノズル14の向きは、オーバースプレー量25の塗装材料がガラス物体Oに命中しない噴霧方向角度である、水平から約30度~約65度の噴霧方向角度θ1が得られる、概ね下向きに傾斜しながら側壁30に向かう向きとされる。一方、気体(例えば、空気、窒素など)は、ターンノズル18によりD2の方向に向けられてガラス物体Oに到達する。図示の通り、ターンノズル18の向きは、約45度~約65度の噴射方向角度θ2が得られる、概ね上向きに傾斜しながら概ね底角部42および底部40に向かう向きとされる。ガラス物体Oがこのような向きとされることから、底角部42と底部40を、ガラス物体Oの見通し線外の領域24と呼ぶことができる。
【0017】
適切な噴霧方向角度と適切な噴射方向角度については、所望、既知、または所望かつ既知の噴霧特性、および塗装処理中のガラス物体Oの形状と方向に基づいて、任意の角度を選択することができる。図示の例では、把持デバイス46はモータ54に動作可能に接続されており、モータ54を利用して、塗装プロセス時にガラス物体Oを高速で回転させ、これにより、ガラス物体Oに塗布する塗装材料の均一性を高めている。このような肩部36、胴部26、底角部42、および底部40を備えるガラス物体Oの外表面全体にわたる塗装材料の均一性が、塗装材料の噴霧特性とガスの噴射特性を決定する際に考慮すべき点となる。ターンノズル18では、この観点から、加圧ガスを使用してオーバースプレー量の塗装材料の進路を変えている。本明細書において、「オーバースプレー量(overspray amount)」という用語は、ガラス物体Oに命中しない塗装材料の量を指す。ターンノズル18の向きと噴射特性は、オーバースプレー量25の向きを底角部42の方に変えて、オーバースプレー量25が底部40上に塗り広げられるように選択される。また、塗装材料のうちの、ガラス物体Oの側壁30を伝って下に落ちる部分の向きを、底角部42と底部40の方に変えて、底角部42と底部40に到達させるように、ターンノズル18の向きと噴射特性を選択することもできる。
【0018】
高速生産または大量生産の製造環境では、ターンノズル18への塗装材料の堆積も懸念される。ターンノズル18への塗装材料の堆積は、ターンノズル18にオーバースプレー量の塗装材料が直接衝突すること、または浮遊した塗装材料の液滴が間接的な堆積や飛沫同伴を起こすことにより発生する。塗装材料の液滴の浮遊は、ベルヌーイの定理により生じる。つまり、ターンノズル18を通る高速の気流によりターンノズル外側の圧力が低下し、この低圧により、液滴の飛沫同伴が生じる。そして、やがて、ターンノズル18上の堆積物が、性能に影響を及ぼすほどの量に達してしまう場合もある。これは、堆積物が積もることにより、わずかな噴射流の偏向が生じた結果、動作距離の移動を経た噴射ノズルからの噴射流のガラス物体Oへの衝突位置が、所望の設定点から移動して(ずれて)しまう場合があるためである。所望の設定点からのずれは、それがたとえ小さなずれ(例えば、10mm以下)であっても、ガラス物体Oの底角部42および底部40の領域(すなわち、下側に回り込ませる下折領域(under-turned area))での塗装性能に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、以下に詳細に説明するシールド(シュラウド)を、ターンノズル18に設けることができる。
【0019】
図3を参照すると、
図3にはターンノズル18だけを切り離して図示している。ターンノズル18は、ノズル本体56と、並列に並べられた複数のサブノズル58とを備えている。サブノズル58は単体のノズル本体56といずれも個々に流体連通しており、複数のサブノズル58により、ターンノズル18の幅方向に延びる配列が形成されている。図示の例では、サブノズル58は16個であるが、16個より多いまたは少ない個数のサブノズルとすることもできる。例えば、2個以上、5個以上、10個以上、15個以上、20個以上、30個以上、5個~25個のサブノズルとすることができる。サブノズルの個数は、ガラス物体のサイズと形状、および塗装材料の特性に少なくとも一部依存すると考えられる。
【0020】
また、ターンノズル18は、マニホールド64のコネクタ62に接続されるコネクタ部60をさらに備えている。マニホールド64は、本体66を備えており、本体66を貫通して複数の通路68、70、72が延びている。通路70は、加圧空気をターンノズル18に送るための送気通路であり、コネクタ62と流体連通している。通路68、72は、パージ空気を流すためのガスパージ通路であり、加圧空気供給源(または他のガス供給源)と流体連通している。なお、図では、2本のガスパージ通路68、72を示しているが、ガスパージ通路は1本、または3本以上とすることもできる。
【0021】
図3および
図4を参照すると、マニホールド64の形状は、ターンノズル18の一部を包み込むシュラウド74の断面形状に対応させることができる。シュラウド74は、上部76と、下部78と、側部80、82と、ノズル側端部84と、マニホールド側端部86とを備えている。マニホールド64はシュラウド74のマニホールド側端部86に係合しており、そこからノズル側端部84に向かってターンノズル18が延出している。ノズル側端部84は、サブノズル58の配列形状に対応する幅方向に細長い形状のノズル開口部88を有している。
図4に最も分かりやすく示されているように、ノズル側端部84には、ノズル開口部88に近づくにつれて中心に向かって細くなるテーパが付けられている。シュラウド74は、落下する塗装材料からターンノズル18を遮蔽する構造的なシールドとしての役割と、塗装材料の液滴をはじき飛ばす空気シールドを設けるために、ガスパージ通路68、72の一方または両方からパージ空気を通すことができる包囲体(容積)としての役割を兼ねている。
【0022】
ターンノズルアセンブリ16を設計する際に考慮すべき点として、ノズル開口部88の寸法と、サブノズル58の先端90のノズル開口部88からの後退量(recess depth)という相互に関連する2つのポイントがある。ノズル開口部のサイズは、ターンノズル18の空気噴流の平均流量特性および乱流流量特性に影響を与えない範囲で最小化することが望ましいと考えられる。なぜなら、ノズル開口部88とターンノズル18のコア噴流との間の領域を小さくすると、ガスパージ通路68、72(
図3)から流れてくるパージ空気の速度が上昇し、侵入しようとする塗装材料の液滴をはじき飛ばす効果を増大させることができるためである。しかし、その一方で、パージ空気の速度は、ターンノズル18からの空気噴流よりも抑える必要がある。さもないと、空気噴流の方向が変わり、得られる噴射流が、意図している噴射流とは実質的に異なるものとなってしまうとなる恐れがあるためである。
【0023】
特に
図4を参照すると、シュラウド74は、幅Wと高さHを持つノズル開口部88を備えている。ターンノズルアセンブリ16の試作品で、連続5000回噴霧試験を行い、この試験の観察結果に基づいて、サブノズル58の先端列が持つ全体的な先端形状(以下、ターンノズル先端部94と呼ぶ)にほぼ一致するノズル開口部88が選択された。実際、ノズル開口部88のサイズは、ノズル先端部94の寸法に依存すると考えられる。図示の例では、ノズル開口部88の寸法は4mm×42mmである。また、シュラウド74の下部78には、側部80、82より中心寄りの両端部98、99で終端する切り込み96が設けられている。切り込み96は、例えば、深さ1mm~3mm、幅20mm~40mmとすることができる。切り込み96により、余分な塗装材料が飛沫同伴により包囲体内に侵入してノズル先端部94への堆積の潜在的源となることを許すことなく、余分な塗装材料をノズル開口部88から落下させることができる。
【0024】
一方、ターンノズル先端部94のノズル開口部88からの後退量については、後退量を大きくすれば、落下する塗装材料とターンノズル先端部94との距離をさらに離すことができるものの、噴射方向を所望の方向とするためには、ノズル開口部88からターンノズル先端部94までの距離を小さくすることが望ましいことが判明している。したがって、限られた後退量dだけ後退させることが望ましいと考えられる。例えば、適切な後退量dは、約1mm~約5mmとすることができる。ただし、後退量dは、特定のターンノズルの先端寸法、流量、シュラウドの構成によって異なると考えられる。
【0025】
また、ターンノズルアセンブリ16について考慮すべき点として、他にも例えば、噴流の衝突位置、ターンノズルとガラス物体との距離、噴射流量を挙げることができる。
図1を再び参照すると、噴流の衝突位置Lは、底部40の中心から半径方向の位置とすることができる。噴流衝突位置Lは、噴射方向D
2がガラス物体Oに交差する点によりほぼ求めることができる。ターンノズル18は、側壁30と底角部42を迂回した塗装材料や、側壁30を伝って流れ落ちてくる塗装材料の進路を変えて、底角部42を回って底部40に広がるようにするために使用されるものであるため、底角部42と底部40の幾何学的中心の間の位置となるように噴流の衝突位置Lを選択することが望ましいと考えられる。例えば、半径(R)10mmの底部40の場合、適切な衝突位置Lは、中心から1mm~7mmの位置、例えば、5mm(すなわち、1/2R)の位置とすることができる。ただし、スプレーの被覆範囲によっては、側壁30や、底部40、底角部42に何らかの空気を衝突させることもできる。
【0026】
ターンノズル距離Dtは、ノズル先端部94からガラス物体Oまでの距離である。適切なターンノズル距離Dtは、10mm~30mmの範囲から選択することができ、例えば、15mmから25mmの範囲、例えば約20mmを選択することができる。ターンノズル距離Dtは、ガラス物体のサイズや形状、使用する塗装材料など、任意の数の因子に依存すると考えられる。また、ターンノズル距離Dtに影響を与える他の因子として、噴射流量もある。適切な噴射流量は、例えば、毎分1立方フィート(約28.3リットル)~毎分5立方フィート(約141.6リットル)の範囲から選択することができ、例えば、毎分3立方フィート(約85リットル)を選択することができる。
【0027】
ポリイミドベースの被膜など、さまざまな塗装材料に関する詳細については、2013年2月28日を出願日とする米国特許出願公開第2013/0171456号明細書(発明の名称「Glass Articles with Low-Friction Coatings」)、2013年2月28日を出願日とする米国特許出願公開第2013/0224407号明細書(発明の名称「Glass Articles with Low-Friction Coatings」)、2013年3月14日を出願日とする米国特許出願公開第2014/0001076号明細書(発明の名称「Delamination Resistant Glass Containers with Heat-Tolerant Coatings」)、2013年6月28日を出願日とする米国特許出願公開第2014/0001143号明細書(発明の名称「Delamination Resistant Glass Containers with Heat-Tolerant Coatings」)、2013年11月8日を出願日とする米国特許出願公開第2014/0151320号明細書(発明の名称「Glass Containers with Delamination Resistance and Improved Damage Tolerance」)、2013年11月8日を出願日とする米国特許出願公開第2014/0151321号明細書(発明の名称「Glass Containers with Improved Strength and Improved Damage Tolerance」)、2013年11月8日を出願日とする米国特許出願公開第2014/0151370号明細書(発明の名称「Strengthened Glass Containers Resistant to Delamination and Damage」)、2015年7月29日を出願日とする米国特許出願公開第2015/0329416号明細書(発明の名称「Glass Articles with Low-Friction Coatings」)、2015年7月29日を出願日とする米国特許出願公開第2015/0360999号明細書(発明の名称「Glass Articles with Low-Friction Coatings」)、2013年10月11日を出願日とする米国特許第9034442号明細書(発明の名称「Strengthened Borosilicate Glass Containers with Improved Damage Tolerance」)、および2013年10月18日を出願日とする米国特許第9428302号明細書(発明の名称「Delamination Resistant Glass Containers with Heat-Tolerant Coatings」)に見出だすことができる。これら各明細書のすべての開示内容は、参照により本明細書に援用するものとする。
【0028】
ここで、
図5および
図6を参照すると、ターンノズルアセンブリ102用のスピード結合アセンブリ100が図示されている。結合アセンブリ100はターンノズル取付構造体104を備えており、ターンノズル取付構造体104は支持体106に取り付けられている。ターンノズル取付構造体104は基部108を備えており、この基部108にターンノズル118が取り付けられる。基部108は、ターンノズル118の両側部の位置合わせ開口部112と嵌合する1つ以上の位置合わせピン110を備えている。ピン110には、つまみネジ114などの適切なコネクタを取り付けることができる。ターンノズル118のコネクタ部160はコネクタ120に接続されており、このコネクタ120が、マニホールド124の溝穴122に入れられる。上述したように、マニホールド124内には、シュラウド174により得られる包囲体に加圧空気を送るための空気パージ通路168、172が貫通している。
【0029】
取付構造体104の所定位置にターンノズル118を配置すると、次に、シュラウド174をターンノズル118の上にスライドさせることができる。シュラウド174は、その下部178を貫通する開口部175を有することができ、基部108が持つ溝130に沿って、下部178をスライドさせることができる。シュラウド174は、ダボピン134が入る取付開口176を有する取付フランジ132をさらに備えることができる。この場合も、つまみネジ136などの適切な締結具を使用して、シュラウド174をターンノズル118の周囲に固定することができる。そして、着脱可能な部分壁140を使用して、コネクタ120をマニホールド124の溝穴122内に固定するとともに、シュラウド174の包囲体を密閉することができる。
【0030】
なお上記では、サブノズルが直線状に配列される特定のターンノズル構成について説明したが、他のターンノズル構成も企図されている。例えば、
図7を参照すると、他のターンノズル200は、第1のサブノズル202と第2のサブノズル204とを備えている。この例では、第1のサブノズル202が第2のサブノズル204の上方に位置している。第1のサブノズル202は、概ね水平に(例えば、0.5度以下の下方傾斜で)配置され、ガラス物体Oの胴部206に対して垂直かつ水平に平行な第1の方向D
1に第1のガス噴射(例えば、空気噴射または窒素噴射)を行う。一方、第2のサブノズル204は、水平に対して角度をつけた方向に延在し、第1の方向D
1から角度θ(例えば、約25度~約45度の角度、例えば、33.5度の角度)だけオフセットされた第2の方向D
2に第2のガス噴射を行う。第1のサブノズル202の上部から第2のサブノズル204の上部までの距離d
sは、4mm~7mm、例えば4.5mmとすることができる。
【0031】
ガラス物体Oからサブノズル202、204までの距離D
tは、6mm~18mm、例えば、約12mmとすることができる。底角部208から第1のサブノズル202の上部までの距離は、0mm~3mmとすることができる。ここで軽く
図8を参照すると、第1のサブノズル202および第2のサブノズル204の先端210、212は、高さに比べて幅が長い楕円形などの非円形形状を有することができる。例えば、幅wを約7.5mm、高さhを約4mmとすることができる。第1のサブノズル202と第2のサブノズル204への圧力は、毎時150標準立方フィート(150立方フィートは約4247.5リットル)以下のガス流量で30~50psi(約206.8~344.7kPa)とすることができる。なお、距離などの寸法や流量は、ノズルの形状、使用する塗装材料、ガス流量などの因子によって変化させることができる。
【0032】
上述の装置および方法は、ガラス物体の下側を塗装することができるよう、側壁を迂回した液体塗装材料や側壁に吹き付けた液体塗装材料の進路を変えて、角隅部を回ってガラス物体の下側に沿って進むようにするために使用されるターンノズルを提供する。塗装材料を2回吹き付けるのではなく、塗装材料の進路を変えるという手法をとることにより、ガラス物体の塗装に使用する塗装材料の量を減らすことができるとともに、ガラス物体上の塗装材料層が重なることにより生じる、目に見える跡を減らす、さらにはなくすことすら可能となる。また、塗装材料の進路を変えるという手法をとることにより、塗装材料の使用量を減らすことができるとともに、液体スプレーノズルの数を削減して塗装プロセスを簡略化することもできる。また、シュラウドを使用することにより、ターンノズルを汚れから保護し、ノズルのメンテナンス時間と頻度を減らすことができるとともに、メンテナンスを複数回行った後でも、ターンノズルの配置設定が崩れない構成とすることができる。
【0033】
以下の番号を付した各項を参照して、複数の実施形態を記載することができる。なお、以下では、好適な特徴を従属項で示している。
【0034】
第1項
ガラス物体の外表面に塗装材料を塗布する吹き付け塗装装置であって、
塗装材料を含む塗装材料供給源と、
前記塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルであって、前記ガラス物体に向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、オーバースプレー量の前記塗装材料が前記ガラス物体の傍を通って前記ガラス物体の見通し線外の領域を迂回するように前記オーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されているスプレーノズルを備えるスプレーノズルアセンブリと、
加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルであって、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、前記塗装材料の進路を変えて前記見通し線外の領域に導くように配置、構成されているターンノズルを備えるターンノズルアセンブリと、
を備える吹き付け塗装装置。
【0035】
第2項
前記ターンノズルアセンブリが、前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドをさらに備える、第1項に記載の吹き付け塗装装置。
【0036】
第3項
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、第2項に記載の吹き付け塗装装置。
【0037】
第4項
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、第3項に記載の吹き付け塗装装置。
【0038】
第5項
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、第4項に記載の吹き付け塗装装置。
【0039】
第6項
前記シュラウドが、ガス流入口を有するマニホールドと係合しており、加圧ガスは前記ガス流入口から前記包囲体を通過するように導かれる、第3項または第4項に記載の吹き付け塗装装置。
【0040】
第7項
前記吹き付け塗装装置が、前記ガラス物体を挟持して、前記ガラス物体を前記ターンノズルと並べて保持するように構成された挟持デバイスをさらに備え、
前記ガラス物体が、バイアルであり、前記下折領域が、前記バイアルの底部と前記バイアルの側部との移行部をなす底角部で構成される、第1項~第6項のいずれかに記載の吹き付け塗装装置。
【0041】
第8項
前記ターンノズルが、毎分1立方フィート(約28.3リットル)~毎分5立方フィート(約141.6リットル)の流量で前記第2の方向に前記加圧ガスを向ける、第1項~第7項のいずれかに記載の吹き付け塗装装置。
【0042】
第9項
前記ターンノズルが、複数のサブノズルの配列を備える、第1項~第8項のいずれかに記載の吹き付け塗装装置。
【0043】
第10項
前記ターンノズルが第1のターンノズルであり、
前記吹き付け塗装装置が、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第3の方向に加圧空気を向けるように配置、構成されている第2のターンノズルをさらに備える、第1項~第9項のいずれかに記載の吹き付け塗装装置。
【0044】
第11項
吹き付け塗装装置を用いてガラスパッケージに塗装材料を塗装する方法であって、
挟持デバイスで前記ガラスパッケージを把持するステップと、
スプレーノズルアセンブリのスプレーノズルを使用して、前記塗装材料を前記ガラスパッケージの外表面に向けるステップであって、前記スプレーノズルが、前記ガラスパッケージに向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、前記ガラスパッケージの見通し線外の領域を迂回するオーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されている、ステップと、
ターンノズルアセンブリのターンノズルを使用して、前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変えて前記ガラスパッケージの前記見通し線外の領域に導くステップであって、前記ターンノズルが、前記第1の方向とは異なる、前記ガラスパッケージの前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の方向および運動量を前記見通し線外の領域に向かうように変化させるように配置、構成されている、ステップと、
を含む方法。
【0045】
第12項
前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変える前記ステップ中に、前記ガラスパッケージを回転させるステップをさらに含む、第11項に記載の方法。
【0046】
第13項
前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドでターンノズルを包囲することにより、前記ターンノズルを塗装材料から遮蔽するステップをさらに含む、第11項または第12項に記載の方法。
【0047】
第14項
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、第13項に記載の方法。
【0048】
第15項
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、第14項に記載の方法。
【0049】
第16項
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、第15項に記載の方法。
【0050】
第17項
前記包囲体を通過するように加圧ガスを導くステップをさらに含む、第14項~第16項のいずれかに記載の方法。
【0051】
第18項
前記ガラスパッケージが、バイアルであり、前記下折部が、前記バイアルの底部と前記バイアルの側部との移行部をなす底角部である、第11項~第17項のいずれかに記載の方法。
【0052】
第19項
前記吹き付け塗装装置が、前記挟持デバイスに動作可能に連結されたモータをさらに備え、前記スプレーノズルを使用して前記塗装材料を塗布する際に、前記モータにより前記バイアルを回転させる、第18項に記載の方法。
【0053】
第20項
前記ターンノズルが第1のターンノズルであり、
前記吹き付け塗装装置が、前記第1の方向とは異なる、前記ガラスパッケージへの前記見通し線外の領域に向かう第3の方向に加圧空気を向けるように配置、構成されている第2のターンノズルをさらに備える、第11項~第19項のいずれかに記載の方法。
【0054】
当業者であれば、特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱しない範囲で、本明細書に記載の実施形態に種々の変形および変更を加えることができることは明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物を逸脱しない限り、本明細書に記載の種々の実施形態に対する変形および変更も本明細書の範囲に含むことが意図されている。
【0055】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0056】
実施形態1
ガラス物体の外表面に塗装材料を塗布する吹き付け塗装装置であって、
塗装材料を含む塗装材料供給源と、
前記塗装材料供給源に流体接続されたスプレーノズルであって、前記ガラス物体に向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、オーバースプレー量の前記塗装材料が前記ガラス物体の傍を通って前記ガラス物体の見通し線外の領域を迂回するように前記オーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されているスプレーノズルを備えるスプレーノズルアセンブリと、
加圧ガス供給源に流体接続されたターンノズルであって、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、前記塗装材料の進路を変えて前記見通し線外の領域に導くように配置、構成されているターンノズルを備えるターンノズルアセンブリと、
を備える吹き付け塗装装置。
【0057】
実施形態2
前記ターンノズルアセンブリが、前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドをさらに備える、実施形態1に記載の吹き付け塗装装置。
【0058】
実施形態3
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、実施形態2に記載の吹き付け塗装装置。
【0059】
実施形態4
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、実施形態3に記載の吹き付け塗装装置。
【0060】
実施形態5
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、実施形態4に記載の吹き付け塗装装置。
【0061】
実施形態6
前記シュラウドが、ガス流入口を有するマニホールドと係合しており、加圧ガスは前記ガス流入口から前記包囲体を通過するように導かれる、実施形態3に記載の吹き付け塗装装置。
【0062】
実施形態7
前記吹き付け塗装装置が、前記ガラス物体を挟持して、前記ガラス物体を前記ターンノズルと並べて保持するように構成された挟持デバイスをさらに備え、
前記ガラス物体が、バイアルであり、前記下折領域が、前記バイアルの底部と前記バイアルの側部との移行部をなす底角部で構成される、実施形態1に記載の吹き付け塗装装置。
【0063】
実施形態8
前記ターンノズルが、毎分1立方フィート(約28.3リットル)~毎分5立方フィート(約141.6リットル)の流量で前記第2の方向に前記加圧ガスを向ける、実施形態1に記載の吹き付け塗装装置。
【0064】
実施形態9
前記ターンノズルが、複数のサブノズルの配列を備える、実施形態1に記載の吹き付け塗装装置。
【0065】
実施形態10
前記ターンノズルが第1のターンノズルであり、
前記吹き付け塗装装置が、前記第1の方向とは異なる、前記ガラス物体への前記見通し線外の領域に向かう第3の方向に加圧空気を向けるように配置、構成されている第2のターンノズルをさらに備える、実施形態1に記載の吹き付け塗装装置。
【0066】
実施形態11
吹き付け塗装装置を用いてガラスパッケージに塗装材料を塗装する方法であって、
挟持デバイスで前記ガラスパッケージを把持するステップと、
スプレーノズルアセンブリのスプレーノズルを使用して、前記塗装材料を前記ガラスパッケージの外表面に向けるステップであって、前記スプレーノズルが、前記ガラスパッケージに向かう第1の方向に前記塗装材料を向けて、前記ガラスパッケージの見通し線外の領域を迂回するオーバースプレー量の前記塗装材料を供給するように配置、構成されている、ステップと、
ターンノズルアセンブリのターンノズルを使用して、前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変えて前記ガラスパッケージの前記見通し線外の領域に導くステップであって、前記ターンノズルが、前記第1の方向とは異なる、前記見通し線外の領域に向かう第2の方向に加圧ガスを向けることにより、塗装材料の方向および運動量を前記見通し線外の領域に向かうように変化させるように配置、構成されている、ステップと、
を含む方法。
【0067】
実施形態12
前記オーバースプレー量の前記塗装材料の進路を変える前記ステップ中に、前記ガラスパッケージを回転させるステップをさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0068】
実施形態13
前記ターンノズルの一部を包み込む包囲体を形成するシュラウドでターンノズルを包囲することにより、前記ターンノズルを塗装材料から遮蔽するステップをさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0069】
実施形態14
前記シュラウドが、前記シュラウドの端部に出口開口部を有しており、
前記ターンノズルの先端部が、前記出口開口部から前記包囲体の内部にオフセットされている、実施形態13に記載の方法。
【0070】
実施形態15
前記ターンノズルの先端部の幅が、該先端部の高さよりも大きい、実施形態14に記載の方法。
【0071】
実施形態16
前記出口開口部の幅が、前記出口開口部の高さよりも大きい、実施形態15に記載の方法。
【0072】
実施形態17
前記包囲体を通過するように加圧ガスを導くステップをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0073】
実施形態18
前記ガラスパッケージが、バイアルであり、前記下折部が、前記バイアルの底部と前記バイアルの側部との移行部をなす底角部である、実施形態11に記載の方法。
【0074】
実施形態19
前記吹き付け塗装装置が、前記挟持デバイスに動作可能に連結されたモータをさらに備え、前記スプレーノズルを使用して前記塗装材料を塗布する際に、前記モータにより前記バイアルを回転させる、実施形態18に記載の方法。
【0075】
実施形態20
前記ターンノズルが第1のターンノズルであり、
前記吹き付け塗装装置が、前記第1の方向とは異なる、前記ガラスパッケージへの前記見通し線外の領域に向かう第3の方向に加圧空気を向けるように配置、構成されている第2のターンノズルをさらに備える、実施形態11に記載の方法。
【符号の説明】
【0076】
10 吹き付け塗装装置
12 スプレーノズルアセンブリ
14 スプレーノズル
16、102 ターンノズルアセンブリ
18、118、200 ターンノズル
20 塗装材料供給源
22 加圧ガス供給源
24 見通し線外の領域
25 オーバースプレー量
26、206 ガラス物体の胴部
28 ガラス物体の開口部
30 ガラス物体の側壁
31 ガラス物体のフランジ
34 ガラス物体の首部
36 ガラス物体の肩部
40 ガラス物体の底部
42、208 ガラス物体の底角部
46 把持デバイス
48 把持フィンガー
54 モータ
56 ノズル本体
58 サブノズル
60、160 ターンノズルのコネクタ部
62 マニホールドのコネクタ
64、124 マニホールド
66 マニホールドの本体
68、72 ガスパージ通路
70 送気通路
74、174 シュラウド
76 シュラウドの上部
78、178 シュラウドの下部
80、82 シュラウドの側部
84 シュラウドのノズル側端部
86 シュラウドのマニホールド側端部
88 シュラウドのノズル開口部
94 ターンノズル先端部
96 シュラウドの切り込み
98、99 切り込みの端部
100 スピード結合アセンブリ
104 ターンノズル取付構造体
106 支持体
108 ターンノズル取付構造体の基部
110 位置合わせピン
112 位置合わせ開口部
114、136 つまみネジ
120 コネクタ
122 マニホールドの溝穴
130 ターンノズル取付構造体の基部の溝
132 シュラウドの取付フランジ
134 ダボピン
140 着脱可能な部分壁
168、172 空気パージ通路
175 シュラウドの下部の開口部
176 取付フランジの取付開口
202 第1のサブノズル
204 第2のサブノズル
【国際調査報告】