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特表2024-543559植物由来材料を処理するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】植物由来材料を処理するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20241114BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20241114BHJP
   A24B 3/04 20060101ALI20241114BHJP
   A24B 15/167 20200101ALI20241114BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20241114BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241114BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241114BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/24
A24B3/04
A24B15/167
A24B15/30
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531644
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 GB2022053213
(87)【国際公開番号】W WO2023111548
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118183.9
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リンク, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フランケ, ディートマール
(72)【発明者】
【氏名】プルクハーン, フランク
【テーマコード(参考)】
4B043
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BA15
4B043BA53
4B043BA55
4B043BA59
4B043BA61
4B043BA64
4B043BA65
4B043BA66
4B043BB17
4B043BB22
4B043BB25
4B043BB28
4B043BC20
4B043BC33
4B043BC38
4B162AA03
4B162AA05
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC14
(57)【要約】
本発明は、植物由来材料を処理するための方法であって、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させて、該接触時に材料を局所的に加熱することと、植物由来材料から放出される揮発性成分を収集することとを含む、方法を提供する。植物由来材料を処理するための装置も提供される。本発明はまた、植物由来材料の処理の一部として収集される揮発性成分、並びに該成分の使用及び該成分を含む製品を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させ、前記接触時に前記材料を局所的に加熱することと、
前記植物由来材料から放出される揮発性成分を収集することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記揮発性成分が気体流中に収集される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性成分がトラップ及び/又は抽出される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記植物由来材料が、タバコ、木材、茶、コーヒー、カカオ、ハーブ及び香辛料からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記植物由来材料が、新たに収穫されたもの、乾燥されたもの、キュアリングされたもの、又は焙煎されたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記植物由来材料が、前記加熱表面と断続的に接触するように撹拌される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱表面が、前記植物由来材料と接触する前に、少なくとも約100℃~約300℃の温度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱表面が、前記植物由来材料と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃の温度を有するか、又は前記植物由来材料と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記植物由来材料を前記加熱表面と接触させることにより、前記植物由来材料を約120℃~約230℃のピーク温度まで加熱する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記植物由来材料が、前記加熱表面と接触する前に、少なくとも約5%OVの含水率を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記植物由来材料が、前記加熱表面と接触する前に約5~約25%OVの含水率を有するか、又は前記加熱表面と接触する前に約12~約16%OVの含水率を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物由来材料が、少なくとも約1分~約180分間、前記加熱表面と断続的に接触する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
連続法である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
バッチ法である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記植物由来材料がタバコ材料である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記タバコ材料が、刻み茎、刻みラミナ、葉ラミナ、小ラミナ、茎繊維、短茎及び長茎からなる群から選択される1種又は複数種を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記収集された揮発性成分のうちの少なくとも1つを基材に塗布することをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が、前記加熱表面との断続的接触により処理された前記植物由来材料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
植物由来材料と断続的に接触するように設けられた加熱表面、及び放出された揮発性成分を収集する手段を備える、装置。
【請求項20】
前記植物由来材料を撹拌するための手段をさらに備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記植物由来材料を撹拌するための前記手段が、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、空気流、及び回転ドラムからなる群のうちの少なくとも1つを備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記加熱表面が、前記植物由来材料と接触する前に、少なくとも約100℃~約300℃の温度を有する、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記加熱表面が、前記植物由来材料と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃の温度を有するか、又は前記植物由来材料と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記加熱表面が加熱媒体によって加熱され、前記加熱媒体が水、油、蒸気、電気、又はこれらの組合せである、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって収集される揮発性成分を含む、抽出物。
【請求項26】
基材と、収集された揮発性成分のうちの少なくとも1つとを含む、組成物。
【請求項27】
前記基材が、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって得られたか、又は得ることができる、処理された植物由来材料を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
請求項25に記載の抽出物、又は請求項26若しくは27に記載の組成物を含むタバコ産業製品。
【請求項29】
前記抽出物が、喫煙品の消耗部品中に供給される、請求項28に記載のタバコ産業製品。
【請求項30】
前記抽出物が、タバコ加熱デバイスのエアロゾル生成部品に供給される、請求項28又は29に記載のタバコ産業製品。
【請求項31】
前記抽出物が、エアロゾル生成デバイスで使用するための液体として提供される、請求項28に記載のタバコ産業製品。
【請求項32】
タバコ産業製品の製造のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって得られたか、又は得ることができる、収集された揮発性成分の使用。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本発明は、植物由来材料を処理する方法を提供する。植物由来材料を処理するための装置も提供される。本発明はまた、植物由来材料の処理の一部として収集される揮発性成分、並びに該成分の使用及び該成分を含む製品を提供する。
【背景】
【0002】
植物由来材料を熱処理するための様々な方法及び装置が知られている。加熱により植物由来材料の揮発性成分が放出されるが、これらの成分は該材料の香りや味に寄与するため、多くの場合魅力的である。多くの公知の処理方法の過程において、これらの成分は失われてしまう。また、熱処理によって揮発性成分が有害な形で変化する危険性もある。
【概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させて、該接触時に材料を局所的に加熱するステップと、植物由来材料から放出される揮発性成分を収集するステップとを含む、方法が提供される。
【0004】
一部の実施形態において、揮発性成分は気体流中に収集される。一部の実施形態において、揮発性成分はトラップ及び/又は抽出される。
【0005】
一部の実施形態において、植物由来材料は、タバコ、木材、茶、コーヒー、カカオ、ハーブ及び香辛料からなる群から選択される。
【0006】
一部の実施形態において、植物由来材料は、新たに収穫されたもの、乾燥されたもの、キュアリングされたもの、又は焙煎されたものである。
【0007】
一部の実施形態において、植物由来材料は、加熱表面と断続的に接触するように撹拌される。
【0008】
一部の実施形態において、加熱表面は、植物由来材料と接触する前に、少なくとも約100℃~約300℃の温度を有する。一部の実施形態において、加熱表面は、植物由来材料と接触する前に、少なくとも約120℃~約250℃、又は植物由来材料と接触する前に、少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する。
【0009】
一部の実施形態において、植物由来材料を加熱表面と接触させることにより、植物由来材料を約120℃~約230℃のピーク温度まで加熱する。
【0010】
一部の実施形態において、植物由来材料は、加熱表面と接触する前に、少なくとも約5%OVの含水率を有する。
【0011】
一部の実施形態において、植物由来材料は、加熱表面と接触する前に、約5~約25%OVの含水率を有するか、又は加熱表面と接触する前に、約12~約16%OVの含水率を有する。
【0012】
一部の実施形態において、植物由来材料は、少なくとも約1分~約180分間、加熱表面と断続的に接触する。
【0013】
一部の実施形態において、本方法は連続法である。別の実施形態において、本方法はバッチ法である。
【0014】
一部の実施形態において、植物由来材料はタバコ材料である。一部の実施形態において、タバコ材料は、刻み茎、刻みラミナ、葉ラミナ、小ラミナ、茎繊維、短茎及び長茎からなる群から選択される1種又は複数種を含む。
【0015】
一部の実施形態において、本方法は、収集された揮発性成分のうちの少なくとも1つを基材に塗布するステップをさらに含む。
【0016】
一部の実施形態において、基材は、加熱表面との断続的接触により処理された植物由来材料を含む。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、植物由来材料と断続的に接触するように設けられた加熱表面、及び放出された揮発性成分を収集する手段を備える装置が提供される。
【0018】
一部の実施形態において、装置は、植物由来材料を撹拌するための手段をさらに備える。一部の実施形態において、植物由来材料を撹拌するための手段は、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、空気流、及び回転ドラムからなる群のうちの少なくとも1つを備える。
【0019】
一部の実施形態において、加熱表面は、植物由来材料と接触する前に、少なくとも約100℃~約300℃の温度を有する。
【0020】
一部の実施形態において、加熱表面は、植物由来材料と接触する前に、少なくとも約120℃~約250℃、又は植物由来材料と接触する前に、少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する。
【0021】
一部の実施形態において、加熱表面は加熱媒体によって加熱され、加熱媒体は水、油、蒸気、電気、又はこれらの組合せである。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による方法によって収集された揮発性成分を含む抽出物が提供される。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、基材と、収集された揮発性成分のうちの少なくとも1つとを含む、組成物が提供される。
【0024】
一部の実施形態において、基材は、本発明の第1の態様による方法によって得られたか、又は得ることができる、処理された植物由来材料を含む。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第3の態様による抽出物、又は第4の態様による組成物を含む、タバコ産業製品が提供される。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、タバコ産業製品の製造のための、本発明の第1の態様による方法によって得られたか、又は得ることができる、収集された揮発性成分の使用が提供される。
【0027】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】例示的な方法のプロセスフローチャートを示す図である。
図1b】例示的な方法のプロセスフローチャートを示す図である。
図2】植物由来材料を処理するための装置の説明図である。
図3】植物由来材料が装置を通過する過程を示す概略図である。
【詳細な説明】
【0029】
多くの植物由来材料は、様々な理由で熱処理されることがある。場合によっては、使用前又はさらなる加工ステップの前に、材料を乾燥させる必要がある。
【0030】
植物由来材料の含水率の決定は、該材料の加工特性及び処理された製品の特性に影響を及ぼす可能性があるため、重要であり得る。「水分」及び「含水率」という用語は、材料の水分量を指すために使用されるのが一般的であるが、植物由来材料のような天然物では、水分量を決定することが困難である。したがって、水分量としての「水分」と、オーブン揮発分としての「水分」とを区別することが望ましい。水分量は、固体物質の全質量に含有される水のパーセンテージとして定義される。揮発分は、固体物質の全質量に含有される揮発性成分のパーセンテージとして定義される。揮発分には、水及び全ての他の揮発性化合物が含まれる。オーブン乾燥質量は、揮発性物質が加熱により除去された後に残る質量である。オーブン乾燥質量は、全質量に対するパーセンテージで表される。オーブン揮発分(OV)は、除去された揮発性物質の質量である。
【0031】
含水率(オーブン揮発分)は、強制通風炉において110℃±1℃に調節した温度で、サンプルを3時間±0.5分乾燥させた場合に減少した質量として測定され得る。乾燥後、サンプルをデシケーターで約30分間室温まで冷やし、サンプルを冷却させる。
【0032】
特に断りのない限り、本明細書において、含水率とは、オーブン揮発分(OV)を指す。
【0033】
様々な種類の乾燥装置が知られており、これらの装置は通常、乾燥後の植物由来材料における所望の含水率、及び乾燥される植物由来材料の性質に基づいて選択される。
【0034】
ケースドリーフ乾燥機(CLD)は、葉タバコ(刻みタバコではない)のような植物由来材料を、最終含水率が非常に低くなるまで(約4%まで)乾燥させる装置の1種である。このような装置を使用して乾燥される葉タバコは、通常、約28%~約36%の最初の含水率を有する。乾燥プロセスは、タバコを穴のあいたバンドの上に置くことを伴う。タバコはバンドの穴を通る熱風によって乾燥される。バンドは直接加熱されないが、熱風が乾燥機を通過することによって間接的に加熱されることがある。タバコは乾燥中もバンドに接触したままであり、タバコ葉の乾燥に使用される加熱空気の温度は一般に80℃~170℃であるが、大部分は100℃~140℃である。熱風がまだ酸素を豊富に含んでいるので、タバコが「ホットスポット」で発火するため、乾燥機が170℃で稼働している場合でも、タバコの温度は100℃を超えない。
【0035】
タバコ及び他の植物由来材料を乾燥させる装置で他に公知の種類としては、フラッシュタワー乾燥機及び流動床乾燥機がある。乾燥プロセスでは、乾燥機を空気/蒸気混合物が通過することにより、植物材料の流れに乱流が生じることを伴う。これらの乾燥機の床は加熱されず、代わりに空気/蒸気混合物が加熱される。流動床乾燥機は、最初の含水率が約28~50%OVの範囲である傾向がある刻みタバコ茎の乾燥に使用される。HTD(高温乾燥機)、HXD(高膨化フラッシュ乾燥機(High Expansion Flash Dryer))及び空気乾燥機を含むフラッシュタワー乾燥機は、床を有しないが、同様に加熱空気/蒸気混合物に依存し、主に、約20%~36%OVの範囲の最初の含水率を有し得る刻みタバコラミナの乾燥に使用され、時には(例外的に)、約28%~50%OVの範囲の最初の含水率を有する刻みタバコ茎の乾燥にも使用される。フラッシュタワー乾燥機における植物由来材料の滞留時間は非常に短く、多くの場合数秒である。対照的に、植物由来材料は流動床乾燥機で数分間乾燥されることもある。このような装置で製造された加工材料の最終含水率は約10%OV超である。どちらの乾燥機の種類でも、材料の温度は約50℃~100℃に達する。
【0036】
タバコ及び他の植物由来材料を乾燥させる装置でさらに公知の種類としては、ドラム乾燥機がある。この種の乾燥機は加熱金属ドラムを利用し、乾燥プロセスは空気乾燥と加熱表面による乾燥の混合と考えることができる。ドラムの回転によって材料がタンブリングされ、材料及び空気にあるレベルの乱流が生じる。金属表面は加熱されるが、約60~130℃の温度にしか加熱されない。この種の装置を使用して加工されたタバコの最終含水率は10%より高い。典型的には、出発原料の含水率は、乾燥される材料の種類に依存する。刻みタバコラミナは20%から26%の間の最初の含水率を有し、刻みタバコ茎は28%~50%の最初の含水率を有する。ドラム乾燥機での処理時間3~4分(刻み茎の場合)又は4~7分(刻みラミナの場合)の後、処理されたタバコは12~15%の含水率を有する。
【0037】
これらの乾燥装置は全て、加熱プロセスで発生する気体を排出する。この気体には、加熱の結果として放出される水及び揮発分が含まれる。
【0038】
これらの公知の乾燥プロセス及び装置とは対照的に、本発明の植物由来材料を処理する方法及び装置の重要な態様は、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させて、材料を局所的に加熱するステップと、局所的な加熱により植物由来材料から放出される揮発性成分を収集するステップとの組合せを含む。
【0039】
植物由来材料を高温表面にさらすと、材料が非常に低い水分量まで乾燥されるだけでなく、(オーブン揮発分に基づく)含水率も低下することが見出されており、これは植物由来材料が揮発性成分を放出することを意味する。
【0040】
これらの揮発性成分には、一部の植物由来材料にとって重要な香り及び香料成分が含まれ、その損失は処理された材料に有害な影響を及ぼす。或いは、又は加えて、揮発分はそれ自体価値がある場合もある。このような理由から、本明細書に開示される方法では揮発性成分を収集する。
【0041】
収集された揮発性成分は、所望であれば、処理された植物由来材料に再び組み込まれてもよい。一部の実施形態において、収集された揮発性成分は、処理された材料に添加して戻される前に、さらなる加工を受けてもよい。例えば、収集した揮発性成分を分離し、選択した成分のみを添加して戻してもよい。或いは、又は加えて、添加して戻す前に揮発性成分を濃縮してもよい。加えて、一部の実施形態において、処理された植物由来材料に添加して戻す前に、(植物由来材料から放出されたものではない)他の成分を、収集された揮発性成分に添加してもよい。
【0042】
他の実施形態において、収集された揮発性成分は、処理された植物由来材料とは別の新たな生成物を形成する。生成物は、存在する成分及びその用途に応じて、気体状、液体状、固体状であってもよい。
【0043】
揮発性成分を、例えば、凍結又はコールドトラップなどの確立された技術を使用してトラップしてもよく、その後の液体抽出のための基材を使用してトラップしてもよい。一部の実施形態において、植物由来材料の熱処理の結果として形成された気体は、例えば真空ポンプシステムによって処理チャンバから吸引される。次いで、気体流は、蒸気を凝縮させるために冷却される。一部の実施形態において、気体を昇華させ、液相を迂回して気体分子を直接固相(結晶相)に変化させてもよい。コールドトラップは、機械式冷凍、ドライアイス、液体窒素などの、任意の利用可能な手段で冷却され得る。
【0044】
本発明の一部の実施形態の方法による一部の植物由来材料の加工は、材料の化学的変化をもたらし、これらの化学的変化は、処理された植物由来材料に見られるだけでなく、放出される揮発性成分にも見られる。
【0045】
トラップされた揮発性成分は、一部の実施形態において、香料混合物を生成するために使用されることがあり、該混合物は、該混合物が由来する植物由来材料の香料の印象を与えるように知覚される。
【0046】
トラップされた揮発性成分は、液体状及び固体状を含む1つ又は複数の好適な形態の抽出物を生成するために使用され得る。一部の実施形態において、トラップされた揮発性成分は液体状に凝縮される。一部の実施形態において、この液体は、次いで、粉末などの固体状に変換されてもよい。他の実施形態において、揮発性成分は直接固体状に堆積する。
【0047】
抽出物は、濃縮された形態(すなわち、揮発性成分が由来する植物材料中に存在したよりも濃縮された形態)の揮発性成分を含むことができる。
【0048】
一部の実施形態において、トラップされた揮発性成分から生成された抽出物は、担体又は基材に添加又は塗布される。一部の実施形態において、担体又は基材は、香料成分の放出を向上又は制御するように選択され得る。一部の実施形態において、担体又は基材は、繊維状材料(フィルター材料、例えば酢酸セルローストウなど)、シート材料、吸着材料(吸着炭、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ポリマー樹脂、ゼオライト、セピオライト、及びそれらの混合物など)、並びに植物材料(タバコ材料など)のうちの1種又は複数種から選択することができる。
【0049】
一部の実施形態において、抽出物は、トラップされた揮発性成分が由来する処理された植物由来材料に塗布される。したがって、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させるステップと、植物由来材料から放出された揮発性成分を収集するステップとを含む、方法は、揮発性成分から香料混合物を生成するステップと、処理された植物由来材料にこれを(例えば、冷却後に)塗布するステップとをさらに含むことができる。
【0050】
トラップされた揮発性成分から生成された抽出物は、様々な方法で、様々な製品に使用され得る。例えば、これらの抽出物をタバコ産業製品に使用することが望ましい場合がある。このような製品としては、例えばタバコ加熱製品やeシガレットが挙げられ、このようなデバイスによって生成されるエアロゾルの香料を変化させるか、又は向上させるために、抽出物を使用することができる。植物由来材料がタバコである場合、植物由来材料が放出する揮発性成分から生成される抽出物には、タバコの香料及び香りが含まれることがある。このような抽出物をタバコ加熱製品又はeシガレットに使用すると、従来の紙巻タバコに類似した、又は紙巻タバコを彷彿とさせる感覚を与えることができる。
【0051】
加えて、又は或いは、本明細書に開示される方法によって製造された、処理された植物由来材料は、タバコ産業製品に使用することができる。一部の実施形態において、処理された植物由来材料は、揮発性成分の放出をもたらす加熱表面との断続的接触の結果として生成される材料であってもよい。他の実施形態において、処理された植物由来材料は、1種又は複数種の添加剤を含むことができる。一部の実施形態において、処理された植物由来材料は、1種又は複数種の香料混合物、任意選択で植物由来材料自体の処理から生成された抽出物と組み合わせることができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「植物由来材料」という用語は、植物の任意の部分及び任意の関連する副産物を含む。例えば、葉、茎、根、種子、及びそれらの部分のうちの1種又は複数種が含まれる。
【0053】
植物由来材料は、任意の植物性物質であってもよく、一部の実施形態において、望ましい香料又は香りを有する植物である。好適な植物材料としては、植物性物質、例えば木材、茶、コーヒー、カカオ、ハーブ、スパイス、及び、任意の種類、スタイル又は品種のタバコが挙げられる。
【0054】
一部の実施形態において、植物由来材料は木材である。ほぼあらゆる木材を使用することができる。この材料の熱処理後に収集される揮発性成分は、「火力乾燥」種の香料を有することができる。これらの揮発性成分から生成された香料混合物を、タバコ、例えば紙巻タバコのような可燃性喫煙品に使用されるタバコ、又はタバコ加熱デバイス用タバコに添加すると、火力乾燥タバコを必要とせずに「火力乾燥」味を生成することができる。タバコの火力乾燥は、タバコ中、及び/又はタバコの加熱若しくは燃焼によって生成されるエアロゾル中の多環芳香族炭化水素(PAH)レベルの望ましくない上昇につながる可能性があるため、これは有利である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「タバコ材料」という用語は、例えばニコチアナ属の任意の植物における葉又は茎などの任意の部分、及び任意の関連する副産物を含む。本発明で使用するタバコ材料は、好ましくはニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)種のものである。
【0056】
一部の実施形態において、タバコ出発原料(すなわち、本明細書に開示される方法を使用して処理される前のタバコ材料)は、刻み茎、刻みラミナ、葉ラミナ、小ラミナ、茎繊維、短茎及び長茎からなる群から選択される1種又は複数種である。
【0057】
任意の種類、スタイル及び/又は品種のタバコを処理することができる。使用することができるタバコの例としては、バージニア、バーレー、オリエンタル、コムム(Comum)、アマレリーニョ、及びメリーランドタバコ、並びにこれらの種類のいずれかのブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、異なる種類、スタイル及び/又は品種を処理することで、異なる官能特性を有するタバコが得られることを認識するであろう。
【0058】
タバコ又は他の植物由来材料は、公知の慣行に従って前処理されてもよい。
【0059】
処理されるタバコ材料は、ポストキュアリングタバコを含む、及び/又はポストキュアリングタバコからなることがある。本明細書で使用される場合、「ポストキュアリングタバコ」という用語は、キュアリングしたが、タバコ材料の味及び/又は香りを変化させるさらなる処理プロセスを受けていないタバコを指す。ポストキュアリングタバコは他のスタイル、品種及び/又は種類とブレンドされていてもよい。ポストキュアリングタバコは刻みラグタバコを含まない、又は刻みラグタバコからならない。
【0060】
或いは、又は加えて、処理されるタバコ材料は、緑葉除骨(GLT)工場で行われる段階まで加工されたタバコを含む、及び/又は該タバコからなることがある。処理されるタバコ材料は、再グレーディングされたタバコ、緑葉ブレンドされたタバコ、コンディショニングされたタバコ、除梗又は除骨されたタバコ(又は全葉でない)、乾燥されたタバコ及び/又は包装されたタバコを含むことができる。
【0061】
一部の実施形態において、タバコ材料はラミナタバコ材料を含む。例えば、タバコはラミナ材料を約70%から100%の間で含むことができる。一部の実施形態において、タバコ材料は、最大で約50%、最大で約60%、最大で約70%、最大で約80%、最大で約90%、又は最大で約95%のラミナタバコ材料を含む。一部の実施形態において、タバコ材料は最大で100%のラミナタバコ材料を含む。換言すれば、タバコ材料は実質的に全部、又は全部がラミナタバコ材料で構成されてもよい。
【0062】
或いは、又は加えて、タバコ材料は、ラミナタバコ材料を少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%含むことができる。
【0063】
タバコ材料がラミナタバコ材料を含む場合、ラミナは全葉形態であってもよい。一部の実施形態において、タバコ材料はキュアリングした全葉タバコを含む。一部の実施形態において、タバコ材料はキュアリングした全葉タバコを実質的に含む。一部の実施形態において、タバコ材料はキュアリングした全葉タバコから本質的になる。一部の実施形態において、タバコ材料は刻みラグタバコを含まない。一部の実施形態において、タバコは刻みラミナ及び/又は膨化タバコ(ドライアイス膨化タバコ(DIET)など)である。
【0064】
一部の実施形態において、タバコ材料は茎タバコ材料を含む。タバコは約90%から100%の間の茎材料を含むことができる。
【0065】
タバコ材料は、最大で約50%、最大で約60%、最大で約70%、最大で約80%、最大で約90%、又は最大で約95%の茎タバコ材料を含むことができる。一部の実施形態において、タバコ材料は最大で100%の茎タバコ材料を含む。換言すれば、タバコ材料は実質的に全部、又は全部が茎タバコ材料で構成されてもよい。
【0066】
或いは、又は加えて、タバコ材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の茎タバコ材料を含むことができる。
【0067】
一部の実施形態において、タバコ材料はラミナと茎とのブレンドを含む。
【0068】
一部の実施形態において、タバコ材料は膨化タバコ、例えばドライアイス膨化タバコ(DIET)を含む。
【0069】
植物由来材料と加熱表面との断続的接触により、植物由来材料は短期間の強い熱に繰り返しさらされる。一部の実施形態において、この断続的接触は植物由来材料を撹拌することによって達成することができる。加熱表面の温度、したがって植物由来材料がさらされる温度は、約100℃よりも著しく高く、一部の実施形態において、少なくとも約150℃である。したがって、このような高温の表面に植物由来材料が長時間連続的にさらされた結果、植物由来材料が燃焼しないことを確実にするには、断続的接触が重要である。
【0070】
一部の実施形態において、植物由来材料と加熱表面との断続的接触により、植物由来材料が焼けたり焦げたりする。これは、突然の強い熱にさらされた結果である。これには乾燥効果も有するが、従来技術で公知の穏やかな乾燥プロセスとは異なる植物由来材料の処理ももたらす。
【0071】
一部の実施形態において、処理中の植物由来材料を取り囲む酸素レベルを低下させることができる。これは、加熱表面への曝露の結果として「ホットスポット」が形成される危険性を低減し、植物由来材料が燃焼する危険性を低減する効果があると考えられる。したがって、このような酸素レベルの低下により、植物由来材料を従来技術の方法及び装置よりも高温で処理することが可能になる。一部の実施形態において、酸素レベルは蒸気を適用することによって低下する。
【0072】
任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、プロセスは2つの段階に分けられると仮定される。第1の段階において、植物由来材料を、水蒸気蒸留のような形で、水を含む揮発性成分を除去する熱にさらすことにより、植物由来材料を乾燥させる。第2の段階において、本明細書では「焼け」と呼ばれる効果が生じる。植物由来材料において主な化学的変化が起こると思われるのは、この第2の段階の間である。このような化学的変化の結果、該材料からさらに揮発分が放出されることがある。
【0073】
植物由来材料、特にタバコ材料が加熱表面と短時間接触し、タバコが局所的に焼かれることにより、生成物のうちの多くが望ましい官能特性に寄与することが知られている、メイラード反応及びカラメル化反応の生成物を増加させることができると仮定される。これについては後述の実施例で詳述する。メイラード反応はアミノ酸と糖との化学反応であり、アミノ酸及び糖は出発原料中に存在するが、処理された材料ではその量が減少している。メイラード反応は、典型的には約140~165℃の温度で起こる非酵素反応である。メイラード反応生成物が官能特性に与える嬉しい効果に加え、この反応は材料が茶色くなる原因にもなる。本発明の実施形態に従って処理された材料は、出発原料よりも濃い茶色となることが観察されている。
【0074】
一部の実施形態において、本明細書に記載される植物由来材料を処理する方法は、(処理されていない、又は従来の方法のみを使用して処理された植物由来材料の香料特性と比較して)向上された香料特性又は向上された香り特性を有する処理された材料を生成する。本明細書で使用される場合、香料特性又は香り特性の文脈で使用される「向上(enhance)」又は「向上(enhancement)」という用語は、味又は香り、又は味又は香りの品質に改善又は改良があることを意味する。これには、味又は香りの強化が含まれる場合もあるが、必ずしも含まれない。収集した揮発性成分を処理された材料に添加する実施形態において、味及び香りの特性が強化されることがある。収集された揮発性成分が濃縮されているか、追加成分を含む場合、処理された材料の味又は香り特性が強化されることがある。
【0075】
タバコ材料及び一部の他の植物由来材料の場合、処理によって、処理された材料の官能特性が改善される場合がある。本明細書において、タバコ材料の官能特性とは、例えば消費者が経口で使用する場合のタバコ材料自体の官能特性を指すことがある。加えて、又は或いは、タバコ材料を燃焼させることによって生成される煙、又はタバコ材料を加熱することによって生成される蒸気の官能特性を指す。一部の実施形態において、処理されたタバコ材料は、タバコ製品が使用又は消費される際に、望ましい官能特性を有する該タバコ材料を含むタバコ製品をもたらす。
【0076】
一部の実施形態において、加熱表面の温度は約100℃~約300℃の範囲である。一部の実施形態において、温度は、少なくとも約105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、又は少なくとも約200℃である。一部の実施形態において、加熱表面の温度は、最高で約295℃、290℃、285℃、280℃、275℃、270℃、265℃、260℃、255℃、250℃、245℃、240℃、235℃、230℃、225℃、220℃、215℃、210℃、205℃、又は最高で約200℃である。一部の実施形態において、加熱表面は、少なくとも約120℃~約250℃、又は少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する。
【0077】
加熱表面の温度について述べる場合、本明細書では、植物由来材料と接触する前の温度を指す。これは、植物由来材料との接触及び乾燥プロセスが、加熱表面の冷却につながる可能性があるためである。したがって、乾燥プロセス中の加熱表面の正確な温度は、「乾燥作業」がどの程度行われるかに依存する。例えば、植物由来材料から水が蒸発する初期段階では、より多くのエネルギーが利用されるため、加熱表面がより強く冷却される。したがって、植物由来材料と接触する前の加熱表面の温度は、容易且つ正確に決定することができる。
【0078】
一部の実施形態において、加熱表面の温度は、処理プロセス中の著しい変化を最小限に抑えるように制御される。例えば、温度が確実に許容範囲内に維持されるように、植物由来材料の処理の結果として温度が低下した時に表面を加熱するフィードバック機構を使用することができる。
【0079】
一部の実施形態において、処理される植物由来材料の種類に応じて、加熱表面の温度を調整することが適切である。これが適切である理由の1つは、異なる植物由来材料は、異なる最初の含水率を有し、したがって、処理は、異なる量の水分及び揮発分の除去を伴うからである。また、異なる植物由来材料は異なる物理的特性を有する。例えば、葉はより脆い構造であるのに対し、木材はより緻密で頑丈である。
【0080】
一部の実施形態において、加熱表面は金属、例えばステンレス鋼、又は十分な熱伝達特性を有する任意の他の適切な鋼や金属タイプである。他の実施形態において、加熱表面は、本明細書に記載される方法で使用される温度まで加熱することができる、十分な熱伝達特性を有する任意の材料から作られている。例えば、セラミック表面を使用することができる。
【0081】
加熱表面は、例えば、油、水又は蒸気からなる群から選択される加熱媒体などの加熱媒体によって間接的に加熱されてもよい。一部の実施形態において、サーマルオイルは好ましい加熱媒体である。或いは、又は加えて、加熱表面は直接加熱されてもよい。一部の実施形態において、加熱表面は電気によって加熱される。
【0082】
一部の実施形態において、葉のようなより脆い材料を処理する際、加熱表面は、約170℃~約190℃の範囲の、植物由来材料と接触する前の温度を有する。一部の実施形態において、木材のようなより頑丈な材料を処理する際、加熱表面は、200℃超、任意選択で約220℃~約250℃の範囲の植物由来材料と接触する前の温度を有する。
【0083】
植物由来材料を加熱表面と断続的に繰り返し接触させると、植物由来材料が加熱される。加熱表面の温度が高いと、植物由来の温度は著しく上昇する。一部の実施形態において、処理方法の結果として、植物由来材料の温度は、約120℃~約230℃の範囲のピーク温度まで上昇する。一部の実施形態において、植物由来材料のピーク温度は、少なくとも約125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、又は少なくとも約220℃である。一部の実施形態において、植物由来材料のピーク温度は、最高で約225℃、220℃、215℃、210℃、195℃、190℃、185℃、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、又は最高で約125℃である。植物由来材料の温度は、赤外線測定や電気抵抗温度計などの好適な測定デバイスを使用して測定され得る。
【0084】
一部の実施形態において、植物由来材料は不活性雰囲気下で加熱される。
【0085】
一部の実施形態において、酸素レベルを制御し、それによって加工中に所望の化学反応を促進するために、窒素などの不活性ガス、飽和水蒸気、二酸化炭素又はそれらの混合物が装置に添加される。
【0086】
他の実施形態において、植物由来材料は酸化雰囲気下で加熱される。
【0087】
一部の実施形態において、植物由来材料の熱処理は乾燥効果を有し、該植物由来材料の含水率は低下する。例えば、処理された植物由来材料は、0%~約10%のオーブン揮発分(OV)の含水率を有することができる。換言すれば、処理された植物由来材料は、約10%OV以下の含水率を有する。一部の実施形態において、処理された植物由来材料の含水率は、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%又は約0.5%OV以下である。一部の実施形態において、処理された植物由来材料は、約2%OV以下の含水率を有する。
【0088】
一部の実施形態において、出発原料(熱処理前)は、少なくとも約5%OVの含水率を有する。一部の実施形態において、植物由来出発原料の含水率は、少なくとも約6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%又は少なくとも約24%OVである。一部の実施形態において、植物由来出発原料の含水率は、約25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%又は約6%OV以下である。一部の実施形態において、植物由来出発原料は、少なくとも約5%~約25%OV、又は少なくとも約5%~約20%OVの含水率を有する。一部の実施形態において、植物由来出発原料は、少なくとも約12%~約16%OVの含水率を有する。
【0089】
したがって、一部の実施形態において、本発明の方法において使用される出発原料は、植物由来材料が既に乾燥されていることを意味する含水率を有する。一部の実施形態において、この植物由来の処理の主な目的は、植物由来出発原料の含水率をさらに低下させることではなく、加熱表面の高温との短時間の接触によって引き起こされた焼けの結果として、植物由来材料に物理的及び化学的変化をもたらすことである。一部の実施形態において、この効果は、加熱表面との接触の結果として、植物由来材料を燃焼させることなく、又は実質的に燃焼させることなく達成される。
【0090】
一部の実施形態において、植物由来材料の含水率は、水分を添加することによって処理プロセス中に調整され得る。水分は、処理中に水又は蒸気の形態で植物由来材料に導入され得る。水分は、植物由来材料が加熱表面と断続的に接触している間に、植物由来材料に噴霧され得る。
【0091】
一部の実施形態において、この水分の導入により、植物由来材料の含水率が2%~5%OV増加する。一部の実施形態において、水分は、プロセス全体を通して異なる位置で導入される。
【0092】
植物由来材料の加湿は処理中に行われるため、加湿された植物由来材料が加熱表面と接触すると、含水率は再び低下する。本方法は、処理中に植物由来材料の含水率が繰り返し上下するように、複数回の水分添加を含むことができる。
【0093】
一部の実施形態において、処理は、少なくとも約1分~約15分の処理期間にわたって、植物由来材料を1つ又は複数の加熱表面と繰り返し断続的に接触させるステップを伴う。一部の実施形態において、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させる期間は、少なくとも約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、又は少なくとも約14分である。一部の実施形態において、植物由来材料を加熱表面と断続的に接触させる期間は、最大で約14分、13分、12分、11分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、又は最大で約2分である。一部の実施形態において、植物由来材料は、少なくとも約2分~約10分、又は少なくとも約2.5分~約5分の合計時間、加熱表面と接触する。
【0094】
断続的接触は、最大で約5秒間、植物由来材料が加熱表面と直接且つ連続的に接触することを伴ってもよい。一部の実施形態において、直接且つ連続的に接触する期間(複数可)の平均長さは、約0.1秒~約3秒である。
【0095】
本明細書において、植物由来材料と加熱表面との断続的接触とは、植物由来材料の任意の部分が一時的にのみ加熱表面と直接接触することを意味する。一部の実施形態において、これは、植物由来材料が加熱表面と接触している特定の位置で長く静止するのを防ぐため、及び/又は植物由来材料の同じ部分が加熱表面と直接接触している状態が長く続かないことを確実にするために、植物由来材料が加熱表面に対して相対的に移動されることを意味する。植物由来材料の同じ部分が加熱表面と長時間接触していると、植物由来材料の物理的・化学的特性に有害な影響を及ぼす燃焼が生じ、望ましくない揮発性成分が生成及び収集される可能性がある。
【0096】
一部の実施形態において、本方法は、植物由来材料を処理する際に撹拌することを含む。一部の実施形態において、植物由来材料を撹拌するための手段を含む装置が提供される。
【0097】
一部の実施形態において、植物由来材料をタンブリングすることによって植物由来材料を撹拌することが好ましい。これを、例えば、処理される植物由来材料を拾い上げ、持ち上げてから落下させ、植物由来材料のタンブリング移動を生じさせることによって達成することができる。
【0098】
一部の実施形態において、植物由来材料の移動は、1つ又は複数のスクリューを備えるような機構によって生じさせることができる。このような構成体では、スクリューは回転するシャフトを取り囲むらせん面を含み、らせん面は植物由来材料を拾い上げるように構成されている。シャフトが回転すると、らせん面は処理される植物由来材料の少なくとも一部をすくい上げる。この植物由来材料は、回転するらせん面によって運ばれ、持ち上げられ、その後スクリューの回転によってスクリューから(重力で)落下する。一部の実施形態において、1つ又は複数のスクリューは、処理チャンバを通して植物由来材料を移動させるだけでなく、植物由来材料を撹拌するように配置することができる。このような構成体により、植物由来材料を連続的に処理することができる。一部の実施形態において、スクリューのらせん面及び/又はシャフトは、植物由来材料を処理するために使用される加熱表面をもたらすために加熱されてもよい。植物由来材料を移動させるために2つのスクリューが使用される場合、これらのスクリューは、平行に配置されてもよく、処理される植物由来材料の全てに接触して移動させるように配置される。一部の実施形態において、スクリューは、植物由来材料の拾い上げ及び運搬を補助するための追加のパドルを含むことができる。これらのパドルはまた、植物由来材料を処理するために使用される加熱表面であってもよい。
【0099】
他の実施形態において、植物由来材料は回転ドラムで撹拌されてもよい。ドラムの内部は、植物由来材料が処理されるチャンバであってもよい。植物由来材料はドラムの内部にあり、ドラムが回転する際にドラムの底から拾い上げられ、持ち上げられる。植物由来材料の拾い上げは、例えば、植物由来材料をすくい上げる粗い表面又はパドルのような突起を有することによって、植物由来材料との接触を維持することができる内面を有するドラムによって促進され得る。ドラムが回転すると、ドラムの内面に接触している植物由来材料は、ドラムの回転によってドラム壁から離れて(重力で)落下してドラムの底に戻るまで持ち上げられる。これにより、植物由来材料のタンブリング及び混合が行われる。ドラム内面の凹凸は、植物由来材料がドラム壁接触したままである時間を制御するのに役立つ。また、この凹凸を、植物由来材料が落下する際にドラム壁面に接触したままにならないように(壁面を滑り落ちて戻るように)、植物由来材料のタンブリング移動を促進するために使用することもできる。回転速度も回転軸の向きと同じくタンブリング移動に影響を与える。一部の実施形態において、ドラムの内面は、植物由来材料を処理するために使用される加熱表面であってもよい。ドラムは、水平又は実質的に水平な軸を中心に回転してもよい。他の実施形態において、傾斜した軸を中心に回転することにより、植物由来材料がドラム内面との接触をより長く維持することができ、また、植物由来材料を長手方向に移動させることもできる。加えて、又は或いは、ドラムの回転による植物由来材料の長手方向への移動は、ドラムの内面に適切な位置及び/又は角度の突起を設けることによって達成され得る。
【0100】
他の実施形態において、植物由来材料は空気流によって撹拌され得る。例えば、植物由来材料は、空気流によって拾い上げられ、移動される。
【0101】
一部の実施形態において、植物由来材料は、デバイスを通る空気の流れによって撹拌されない。一部の実施形態において、植物由来材料を処理するための装置は、植物由来材料を撹拌するために装置を通して空気を送るための手段を含まない。
【0102】
一部の実施形態において、本方法は連続方法である。例えば、植物由来出発原料は連続的に装置に供給され、処理され、処理された植物由来材料として装置を出る。別の実施形態において、本方法はバッチ法であり、植物由来出発原料のバッチが装置に供給され、加工されて、処理された植物由来材料のバッチが生成され、該バッチは新しいバッチが加工される前に取り除かれる。
【0103】
一部の実施形態において、処理後、処理された植物由来材料をコンディショニングすることができる。例えば、一部の実施形態において、処理された植物由来材料に水分を添加することができる。一部の実施形態において、水分の添加は、処理された植物由来材料を水及び/又は蒸気にさらすことによって達成される。一部の実施形態において、含水率を、約10%OV超、又は約10~約20%OVまで増加させる。
【0104】
一部の実施形態において、処理後、処理された植物由来材料を冷却することができる。一部の実施形態において、冷却は、周囲空気又は冷却された空気が加工された植物由来材料の層を通過する冷却ベルトの使用を伴うことができる。他の実施形態において、植物由来材料は、静置、冷却シリンダー通過、エアリフト、流動床による冷却などのステップのうちのいずれか1つ又は複数によって冷却されてもよい。
【0105】
図1a及び図1bに示すフローチャートは、植物由来材料を処理するための例示的なステップをまとめたものである。植物由来出発原料は、任意選択で前処理を受けていてもよい。材料がタバコ材料である場合、前処理は、例えば、従来の一次製造(PMD)プロセスであってもよく、これには、例えば、原料茎のコンディショニング、その後の圧延、刻み及び膨化/乾燥及び混合のうちの1つ又は複数が含まれる。一部の実施形態において、ラミナの前処理は、スライス、コンディショニング、ケーシング(任意)、刻み、乾燥、冷却及び混合を含むことができる。
【0106】
植物由来出発原料の含水率は、例えば約14.5%OVであってもよい。出発原料は処理装置に供給され、加熱表面との断続的接触により処理される。処理中、植物由来材料は撹拌され、加熱表面との断続的接触が生じる。処理により、含水率は0%OVまで低下する。加熱表面との断続的接触による植物由来材料の処理が完了すると、処理された植物由来材料は任意選択でコンディショニングを受けることができる。図示されるプロセスにおいて、コンディショニングは、処理された植物由来材料に水又は蒸気を添加して、含水率を例えば約14.5%OVの領域まで増加させることを伴う。
【0107】
プロセスパラメーターは、処理された植物由来材料が物理的特性の一部又は全部を維持するために十分穏やかである。例えば、処理後の植物由来材料は、取扱い及び/又は加工を可能にするために、十分にインタクトのままである。材料がタバコ材料である場合、これは、処理されたタバコが喫煙品などのタバコ含有製品に組み込むのに好適であることを意味する場合がある。これにより、処理された植物由来材料は、本明細書に記載される加工を受けていない従来の植物由来材料と同様に、標準プロセスに従って取扱いを受けることができる。
【0108】
本明細書に記載される方法の実施形態を実施するのに好適な装置の詳細な例示を図2及び図3に示す。この実施形態において、装置1は、デュアルスクリュー構成体の2つのスクリュー2を含む。この構成体は、装置のスクリューによって発生する撹拌又は乱流の結果として、植物由来材料の任意の部分が、一度に数秒のオーダーの期間のみ加熱表面と接触することができることを意味すると考えられる。
【0109】
植物由来材料8は、らせん面3及びシャフト4を含む移送スクリュー2を含む装置1で処理され、スクリュー2は、装置1の処理チャンバ7を通して植物由来材料を移動させる。スクリュー2は回転し、スクリュー2のシャフト4はモータを含む駆動機構11によって回転する。
【0110】
植物由来出発原料は、入口5から処理チャンバ7に入り、回転するスクリューが植物由来材料を拾い上げ、それをタンブリングしながら処理チャンバを通して出口6に向かって移動させる。
【0111】
より詳細には、植物由来材料の塊8が入口5から処理チャンバ7に入る。スクリュー2が回転すると、植物由来材料は拾い上げられ、植物由来材料の一部はスクリュー2のらせん面3及び場合によってはシャフト4に直接接触する。植物由来材料は、処理チャンバ7を通って移送され、タンブリングされるように、スクリュー2によって引っ張られ、持ち上げられ、落とされる。回転するスクリュー(複数可)の結果として持ち上げられた植物由来材料は、続いて、チャンバ7を通って移送される植物由来材料の塊8の中に落下し、塊は常に混合され、移動し、その結果、塊の異なる部分が異なる時間にスクリュー2に接触する。
【0112】
図示される実施形態において、スクリュー2の表面は加熱され、材料を処理するための方法に従って植物由来材料と断続的に接触する。
【0113】
スクリュー2は、加熱媒体パイプ10を介して装置1内に供給される加熱媒体によって加熱される金属表面を有する。図示される実施形態において、加熱媒体は、所望の温度に加熱されるサーマルオイルである。
【0114】
処理される植物由来材料の一部のみが、一度に加熱表面と直接接触する。植物由来材料が移送されると、植物由来材料はタンブリング及び混合され、植物由来材料の撹拌又は乱流が生じ、加熱表面(複数可)との必要な断続的接触が行われる。個別の接触時間は、一度に数秒以下と考えられる。植物由来材料の流れの動力学により、塊全体がスクリューの形状によって誘導され、均質に処理されることが確実になる。
【0115】
図示される装置では、処理チャンバを異なる温度ゾーン9に分けることができる。温度ゾーン9はスクリューの異なる部分を表し、これらは別々に加熱することができる。したがって、装置は、様々な温度に加熱される表面を有するように構成することができる。一部の実施形態において、植物由来材料を処理プロセスの異なる時点で異なる温度を有する加熱表面にさらすことにより、処理の乾燥段階と焼き段階を制御することが望ましい場合がある。
【0116】
本明細書に開示される方法によって収集された揮発性成分を含む抽出物を、タバコ産業製品に組み込むことができる。一部の実施形態において、製品に組み込むために抽出物を基材に塗布することができる。基材と、本明細書に開示される方法によって収集された少なくとも1つの揮発性成分とを含む組成物が提供されてもよい。このような組成物は、タバコ産業製品に使用され得る。一部の実施形態において、基材は、本明細書に開示される方法に従って処理された植物由来材料などの、処理された植物由来材料を含むことができる。
【0117】
タバコ産業製品とは、タバコ産業で製造される、又はタバコ産業によって販売される任意の商品を指し、典型的には、a)紙巻タバコ、シガリロ、葉巻タバコ、パイプ用タバコ、又は手巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ誘導体、膨化タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品をベースとするか否かを問わない);b)タバコ、タバコ誘導体、膨化タバコ、再生タバコ、又はスナッフ、スヌース、硬質タバコ、非燃焼加熱式(HnB)製品などのタバコ代替品を組み込んだ非喫煙製品;c)吸入器、eシガレットを含むエアロゾル生成装置、ロゼンジ、ガムなどの他のニコチン送達システムを含む。このリストは排他的となることを意図するものではなく、タバコ産業で製造・販売されている製品の範囲を示しているにすぎない。
【0118】
本明細書に開示される抽出物、組成物及び処理された植物由来材料は、喫煙品に組み込まれ得る。本明細書で使用される場合、「喫煙品」という用語は、タバコ、タバコ誘導体、膨化タバコ、再生タバコ又はタバコ代替品をベースとするか否かを問わず、紙巻タバコ、葉巻タバコ及びシガリロなどの喫煙可能な製品、並びに非燃焼加熱式製品を含む。一部の実施形態において、抽出物、組成物及び/又は処理された植物由来材料は、そのような製品に含まれるタバコと組み合わせて喫煙品に組み込まれ得る。或いは、抽出物、組成物及び/又は処理された植物由来材料は、そのような製品に含まれるタバコと置き換えることができる。一部の実施形態において、抽出物は、喫煙品においてエアロゾルを生成するために使用されるタバコ又は他の材料に塗布される。
【0119】
抽出物、組成物及び処理された植物由来材料、例えば処理されたタバコ材料は、手巻きタバコ及び/又はパイプタバコに含まれてもよい。
【0120】
抽出物、組成物及び処理されたタバコ材料などの処理された植物由来材料は、無煙タバコ製品に組み込むことができる。本明細書において「無煙タバコ製品」は、燃焼用でない任意のタバコ製品を示すために使用される。無煙タバコ製品には、使用者の唾液と製品との接触がある限られた期間、使用者の口腔内に置かれるように設計された任意の無煙タバコ製品が含まれる。一部の実施形態において、抽出物、組成物及び/又は処理された植物由来材料は、そのような製品に含まれるタバコと組み合わせて喫煙品に組み込むことができる。或いは、抽出物、組成物及び/又は処理された植物由来材料は、そのような製品に含まれるタバコと置き換えることができる。
【0121】
抽出物、組成物及び処理された植物由来材料は、喫煙品若しくは無煙タバコ製品に組み込む前に、又は手巻きタバコ若しくはパイプタバコに使用する前に、1種又は複数種のタバコ材料とブレンドしてもよい。
【0122】
トラップされた揮発性成分から生成された抽出物と処理された植物由来材料の両方が同じタバコ産業製品に組み込まれる場合、両者は別々に組み込まれてもよく、組み合わされてもよい。別々に導入される場合、抽出物と処理された植物由来材料は製品の異なる部分に組み込まれてもよい。
【0123】
一部の実施形態において、抽出物(植物由来材料から放出される揮発性成分を含有する)は、フィルター、喫煙品マウスピース、THPデバイスと共に使用するための消耗部品、及びeリキッド又はeリキッドリザーバなどのタバコ産業製品用の部品に含まれてもよい。液体状の抽出物は、例えば、オンデマンドで放出される香料を生成するためにカプセル化することができる。一部の実施形態において、抽出物は、球状カプセル又は他の形態のカプセルにカプセル化され、カプセルは、紙巻タバコフィルター又はTHP製品用マウスピースなどの任意のタバコ産業製品に組み込まれ得る。
【実施例
【0124】
本発明による方法は、タバコ材料、すなわち14.5%OVの(最初の)含水率を有するCut Expanded Stem(CES)に対して実施された。タバコ粒子の塊が投入材料として使用され、図2及び図3に示される装置を使用して、本方法によって処理される。
【0125】
本方法は、個々の粒子が処理されるタバコ材料の塊全体に「落下」して戻る前に、タバコ(茎)の粒子を高温の金属表面に数秒間さらすステップとして説明することができる。
【0126】
装置におけるタバコ粒子の塊の滞留時間(したがって、処理時間)は1から5分の間である。加熱された金属表面は、スクリューと同様に加熱されるジャケットによって加熱され、合成油を介して加熱表面を所望の温度にする。
【0127】
3つの異なる温度シナリオ、すなわち230℃、240℃、250℃が試験された。これは、加熱表面を加熱するのに使用するための加熱媒体(油)の温度が、これらの温度に設定されたことを意味する。このため、装置の各部で温度が異なる。
【0128】
以下の表1に示す数値及びパラメーターは、加熱媒体(油)温度を250℃に設定した場合の、処理プロセス全体を通しての個々の温度を反映したものである。
【0129】
【表1】
【0130】
実験では、タバコは滞留時間(又は処理期間)が約2~3分、含水率が約14.5%OVの刻み茎におけるタバコ材料の処理速度が約50kg/hであるプロセスで処理された。
【0131】
プロセスは2つの異なる段階に分けられ得る。第1の段階を通して、茎の粒子は水分を失っていく。加熱媒体(油)の温度が250℃である場合、約1分後に茎の含水率は0%OVとなる。第2の段階は、残りの処理時間中に行われ、その効果は「焼き」と呼ばれている。この第2の段階を通して、主な変化が起こっている。
【0132】
表2は、未処理のタバコと、異なる加熱媒体温度に加熱された装置で処理されたタバコの化学組成を比較したものである。
【0133】
【表2】
【0134】
表2からわかるように、処理されたタバコのニコチン含量は加熱媒体温度250℃で50%超減少し、糖及びアンモニアの合計は80%超減少する。塩化物含量の増加は、有機物全体の損失を反映し、充填値の著しい増加は、処理されたタバコの細胞構造の変化を示している。
【0135】
このデータから、タバコ材料は処理を通じて著しい変化を受けることがわかる。
【0136】
これらの変化は、処理されたタバコが、例えば紙巻タバコで燃焼された時に発生する煙の中で認識可能な、加工された材料の官能特性の変化につながることが示されている。この煙の官能特性は、専門家である喫煙者によって非常に肯定的な言葉で説明されており、このことは、タバコ処理によって、有益で望ましい特性を有する処理された材料が生成されることを示している。これは、一部の望ましくないタバコ成分の減少と、改善された官能特性の両方の観点からいえる。
【0137】
さらに、これらの変化は、本明細書に開示される方法に従って収集される揮発性成分の一部を示している。
【0138】
これらの成分のうちの1つはニコチンである。ニコチンは熱処理中に揮発し、収集される。
【0139】
さらなる成分には、タバコ材料に含まれる揮発性香料及び香り化合物が含まれる。これらの揮発性成分は熱処理中に揮発する。
【0140】
さらなる成分は、観察されたメイラード反応及びカラメル化反応の揮発性生成物を含むことができる。
【0141】
様々な問題に対処し当技術を進歩させるために、本開示全体は、特許請求された発明が実施され得る様々な実施形態を例示的に示し、優れた方法、装置、及び処理されたタバコ材料及びその抽出物を提供する。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルのみのものであり、網羅的及び/又は排他的なものではない。利点及び特徴は、特許請求された特徴の理解及び教示を補助するためにのみ提示される。本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、請求項によって規定された本開示に対する限定又は請求項の均等物に対する限定と考えられるものではなく、本開示の範囲及び/又は精神から逸脱せずに他の実施形態を利用することができ、変更を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、好適には、開示される要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になってもよい。加えて、本開示は、現在特許請求されていないが、将来請求される可能性がある他の発明を含む。
図1a
図1b
図2
図3
【国際調査報告】