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特表2024-543560コネクタのための形状記憶合金ロック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コネクタのための形状記憶合金ロック
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/508 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241114BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20241114BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20241114BHJP
【FI】
H01R13/508
H01L23/12 K
H01R43/00 B
H01R12/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531648
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022129635
(87)【国際公開番号】W WO2023103665
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】17/457,737
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、セロン リー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、デイヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビーリック、ジェームズ ディー
(72)【発明者】
【氏名】ダングラー、ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】ヤンガー、ティモシー ピー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、ジェニファー アイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ、スティーブン マイケル
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E051BA08
5E051BB04
5E087EE11
5E087JJ09
5E087MM02
5E087RR06
5E223AC04
5E223AC21
5E223BA07
5E223CD01
5E223EA02
(57)【要約】
第1の装置は、外殻および外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴う電気的コネクタを含む。第1の装置は、外殻における空隙に結合されており、内部ウエハ上の区域と干渉するように構成されている形状記憶合金をさらに含む。第2の装置は、外殻および外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴うOTSコネクタを含む。第2の装置は、PCBA上の複数のランディング・パッドの上に実装されるように構成されている内部ウエハの複数のSMTリードをさらに含む。第2の装置は、外殻における空隙に結合されており、内部ウエハと干渉してOTSコネクタの外殻内での内部ウエハの運動を防止するように構成されている形状記憶合金を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
外殻および前記外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴う電気的コネクタと、
前記外殻における空隙に結合されており、前記内部ウエハ上の区域と干渉するように構成されている形状記憶合金の第1の端部と
を備える、装置。
【請求項2】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記外殻内での前記内部ウエハの運動を防止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
作用位置における前記形状記憶合金の第2の端部が、前記外殻と前記内部ウエハとの間の干渉面を越えて延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記作用位置における前記形状記憶合金が、前記外殻内での前記内部ウエハの運動を防止するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記干渉面は、前記内部ウエハが前記外殻の前記空洞の中に滑動するように構成されている方向に平行である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
プリント回路板アセンブリ(PCBA)上の対応する1つまたは複数のランディング・パッドに接触するように構成されている前記内部ウエハの1つまたは複数の電気的リード
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記外殻に対する前記内部ウエハの前記1つまたは複数の電気的リードの運動を防止するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記内部ウエハの前記1つまたは複数の電気的リードの設置面を妨げないように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
装置であって、
外殻および前記外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴う基板上(OTS)コネクタと、
プリント回路板アセンブリ(PCBA)上の複数のランディング・パッドの上に実装されるように構成されている前記内部ウエハの複数の表面実装技術(SMT)リードと、
前記外殻における空隙に結合されており、前記内部ウエハと干渉して前記OTSコネクタの前記外殻内での前記内部ウエハの運動を防止するように構成されている形状記憶合金の第1の端部と
を備える、装置。
【請求項10】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記OTSコネクタの前記外殻内での前記内部ウエハの運動を防止するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
作用位置における前記形状記憶合金の第2の端部が、前記外殻と前記内部ウエハとの間の干渉面を越えて延在する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記作用位置における前記形状記憶合金が、前記外殻内での前記内部ウエハの運動を防止するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記干渉面は、前記内部ウエハが前記外殻の前記空洞の中に滑動するように構成されている方向に平行である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記OTSコネクタの前記外殻に対する前記内部ウエハの前記複数のSMTリードの運動を防止するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
作用位置における前記形状記憶合金が、前記内部ウエハの前記複数のSMTリードの設置面を妨げないように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
方法であって、
形状記憶合金に熱を加えることと、
コネクタの外殻および内部ウエハの寸法および形状に基づいて、前記形状記憶合金を機械加工することと、
前記外殻の空洞における空隙に、前記形状記憶合金の第1の端部を取り付けることと、
前記内部ウエハを前記外殻の前記空洞の中に挿入して前記コネクタを形成することと、
前記コネクタの前記内部ウエハ上の対応する箇所と機械的に係合するように、前記形状記憶合金を作用させることと
を含む、方法。
【請求項17】
プリント回路板アセンブリ(PCBA)の表面の上に前記コネクタを配置することであって、前記内部ウエハの1つまたは複数の表面実装技術(SMT)リードが、前記PCBAの前記表面上の対応する1つまたは複数のランディング・パッドに接触する、前記配置することと、
前記PCBAをリフローはんだ付けすることと、
前記PCBAを冷却することに応答して、前記コネクタの前記外殻を前記PCBAの積層表面に向かって押圧することと、
前記PCBAの前記表面にアンダーフィルを塗布することと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PCBAの前記リフローはんだ付け中に、はんだペーストが、前記1つまたは複数のSMTリードの各々を、前記表面上の前記1つまたは複数のランディング・パッドの各々に、電気的および機械的に結合する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PCBAを冷却することが、前記形状記憶合金を、前記外殻の前記空洞における前記空隙の中に引っ込める、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記形状記憶合金の作用させられた形状が、前記外殻と前記内部ウエハとの間の干渉面を越えて延在する前記形状記憶合金の第2の端部を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コネクタに関し、詳細には、コネクタの内部ウエハに外殻をロックするために形状記憶合金を利用することに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上(OTS:on-the-substrate)コネクタ・システムは通常、基板上に位置付けられたOTS表面実装技術(SMT:surface-mount technology)プラグに電気的に接続するためのOTSレセプタクル・ケーブル・アセンブリを含み、基板は、プリント回路板アセンブリ(PCBA:printed circuit board assembly)上のソケットに電気的に接続する。OTSレセプタクル・ケーブル・アセンブリをOTS SMTプラグに電気的に結合した後、OTSコネクタを基板にボンドするために、基板アンダーフィル接着剤が利用される。OTSレセプタクル・ケーブル・アセンブリは、外殻内に位置付けられた内部ウエハ、およびプラスチックを含み、プラスチック製クリップ・ノッチは、内部ウエハと外殻との間に干渉をもたらす。OTSレセプタクル・ケーブル・アセンブリは通常、供給業者によって製造され、アセンブリ用の製造業者に輸送され、プラスチック製クリップ・ノッチは、取引中に内部ウエハを外殻に保持するように設計される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態の1つの態様は、外殻および外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴う電気的コネクタを備える装置を開示する。本装置は、外殻における空隙に結合されており、内部ウエハ上の区域と干渉するように構成されている形状記憶合金の第1の端部をさらに備える。
【0004】
本発明の一実施形態の1つの態様は、外殻および外殻の空洞の中に滑動するように構成されている内部ウエハを伴う基板上(OTS)コネクタを備える装置を開示する。本装置は、プリント回路板アセンブリ(PCBA)上の複数のランディング・パッド(landing pad)の上に実装されるように構成されている内部ウエハの複数の表面実装技術(SMT)リードをさらに備える。本装置は、外殻における空隙に結合されており、内部ウエハと干渉してOTSコネクタの外殻内での内部ウエハの運動を防止するように構成されている形状記憶合金の第1の端部をさらに備える。
【0005】
本発明の一実施形態の別の態様は、形状記憶合金に熱を加えることを含む方法を開示する。本方法は、コネクタの外殻および内部ウエハの寸法および形状に基づいて、形状記憶合金を機械加工することをさらに含む。本方法は、外殻の空洞における空隙に、形状記憶合金の第1の端部を取り付けることをさらに含む。本方法は、内部ウエハを外殻の空洞の中に挿入してコネクタを形成することをさらに含む。本方法は、コネクタの内部ウエハ上の対応する箇所と機械的に係合するように、形状記憶合金を作用させることをさらに含む。
【0006】
例として与えられており、発明を実施するための形態にのみ本開示を限定することを意図されるものではない以下の発明を実施するための形態は、添付図面と併せて最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の一実施形態による、外殻および内部ウエハを伴う分解された基板上(OTS)コネクタの正面図である。
図1B】本発明の一実施形態による、外殻および内部ウエハを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図である。
図2】本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハの下に位置付けられた形状記憶合金押さえクリップを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図である。
図3】本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハの下に位置付けられた形状記憶合金押さえクリップを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図である。
図4A】本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハの下に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図である。
図4B】本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハの下に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図である。
図5A】本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大側部断面図である。
図6A】本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図である。
図6B】本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大側部断面図である。
図7】本発明の一実施形態による、形状記憶合金押さえクリップを伴う基板上(OTS)コネクタをプリント回路板アセンブリ(PCBA)の上に組み立て、実装するための工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、外殻を内部ウエハに結合するための形状記憶合金押さえクリップを伴う基板上(OTS)コネクタを提供する。内部ウエハは、取付け工程中に、内部ウエハの表面実装技術(SMT)リードが、プリント回路板アセンブリ(PCBA)上の対応するはんだペースト被覆されたランディング・パッドに接触するように、外殻内に位置付けられている。内部ウエハのSMTリードは、OTSコネクタの設置面を画定するように突出する。OTSコネクタは、しばしば供給業者によって組み立てられ、後続して、組立て場所に輸送または取引あるいはその両方をされ、内部ウエハに対する外殻の位置が移動し得る。現在、プラスチック製押さえクリップは、OTSコネクタの外殻と内部ウエハとの間に干渉をもたらして、任意の移動を防止するために利用されている。しかしながら、干渉の程度が小さすぎる場合、内部ウエハは、外殻内で移動し、OTSコネクタの設置面に悪影響を与え得る。干渉の程度が大きすぎる場合、PCBAのリフロー後に外殻を設置するために要求される力が、潜在的に内部ウエハに損傷を与えまたはプラスチック製押さえクリップを破壊しあるいはその両方をし得る。
【0009】
本発明の実施形態は、OTSコネクタの内部ウエハに外殻を固定するための記憶金属押さえクリップを提供して、外殻に対する塑性変形を取り除く。記憶金属押さえクリップは、SMTリードの設置面を妨げないように、特定の距離で外殻を内部ウエハに固定する。形状記憶合金押さえクリップを伴う基板上(OTS)コネクタを組み立て、実装するための工程は、OTSコネクタ用の外殻および内部ウエハを用意すること、ならびに、90℃から110℃の範囲において記憶材料特性を持つニチノールなどの、記憶金属を選択することを含む。工程は、記憶金属に熱を加えることと、外殻と内部ウエハとの間に干渉(すなわちロック)をもたらすための形状に合わせて、記憶金属を機械加工することとを含む。工程は、内部ウエハと係合する外殻上の箇所に、機械加工済みの記憶金属を取り付けることを含む。内部ウエハを外殻の中に挿入してOTSコネクタを形成した後、工程は、形成されたOTSコネクタの内部ウエハ上の対応する箇所と機械的に係合するように、記憶金属を作用させることを含む。OTSコネクタはPCBAの表面に位置付けられ、リフロー工程の間、記憶金属は、内部ウエハを外殻から解放する(すなわち離脱させる)。OTSコネクタを伴うPCBAの冷却後、外殻は積層表面に向かって押圧され、PCBAに封止材/アンダーフィルが塗布される。
【0010】
本発明の詳細な実施形態が、本明細書において添付図面を参照して開示されている。しかしながら、開示される実施形態は、単に本発明の潜在的な実施形態の例示であり、様々な形態をとってもよいと理解されたい。さらに、様々な実施形態と関連して与えられる実例の各々もまた、制限的ではなく、例示的であることを意図されるものである。この説明は、単に、本開示の様々な態様を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基準として、解釈されるべきであることを意図されるものである。説明において、周知の特徴および技術の詳細は、提示される実施形態を不必要に不明瞭にするのを回避するために、省略される場合がある。
【0011】
本明細書において以降、説明の目的で、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」などの語、およびそれらの派生語は、図面で方向付けされているように、開示の構造および方法に関連するものである。「の上方に」、「に載っている」、「の頂上に」、「頂部上に」、「上に位置付けられた」、「の頂上に位置付けられた」などの語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素の上に存在し、第1の要素と第2の要素との間に、界面構造などの介在する要素が存在してもよいことを意味する。「直接接触する」という語は、第1の構造などの第1の要素、および第2の構造などの第2の要素が、2つの要素の界面にいずれの中間の導電層、絶縁層、または半導体層もなく接続していることを意味する。実質的にまたは実質的に同様にという語は、長さ、高さ、または方向付けの差が、明確な詳述(例えば、句および実質的に同様の語)と、実質的に同様の変形例との実用的な差を何も伝えないという例を指す。1つの実施形態において、実質的(およびその派生語)は、最大で例えば、値における10%の偏差または角度における10°の偏差など、同様のデバイスについて概ね許容される工学公差または製造公差の差を示す。
【0012】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の発明を実施するための形態では、当技術分野で既知であるいくつかの加工ステップまたは操作が、提示および例示のためにともに組み合わされていてもよく、いくつかの例では、詳細に説明されていなくてもよい。他の例では、当技術分野で既知であるいくつかの加工ステップまたは操作が全く説明されない場合がある。以下の説明はむしろ、本発明の様々な実施形態のうちの特有の特徴または要素に注目されていると理解されたい。
【0013】
図1Aは、本発明の一実施形態による、外殻および内部ウエハを伴う分解された基板上(OTS)コネクタの正面図を示す。OTSコネクタ100は、外殻102と、PCBAの表面上の対応するランディング・パッドへの配置のための多数のSMTリード106を伴う内部ウエハ104とを含む。内部ウエハ104は、外殻102の背面区域に位置している外殻102の空洞の中に滑動し、外殻102の空洞は、長さ108および幅110によって画定される。内部ウエハ104を外殻102の中に滑動させる前に、外殻102の空洞内で内部ウエハ104をロックするための記憶金属が選択される。記憶金属を選択した後、記憶金属に熱が加えられ、記憶金属は、OTSコネクタ100の外殻102内での内部ウエハ104の望ましい位置に従った記憶金属押さえクリップに機械加工される。記憶金属押さえクリップは、内部ウエハ104と係合する外殻102内の箇所に取り付けられ、記憶金属押さえクリップの係合は、外殻102を内部ウエハ104に固定する。この実施形態において、外殻102および内部ウエハ104は、OTSコネクタ100と関連付けられており、例示の実施形態としてのみ機能する。本明細書で説明される発明は、少なくとも外殻102と、外殻102に挿入可能であり取付け可能である構成要素とを含む任意のコネクタに適用可能である。
【0014】
図1Bは、本発明の一実施形態による、外殻および内部ウエハを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図を示す。外殻102の中に内部ウエハ104を挿入した後、熱が、OTSコネクタ100に加えられて、内部ウエハ104を外殻102に固定する係合位置へと、記憶金属押さえクリップを作用させる。外殻102内での内部ウエハ104の位置は、内部ウエハ104のSMTリード106が、OTSコネクタ100の設置面を画定するように突出するようなものである。作用位置にある記憶金属押さえクリップは、外殻102に対する内部ウエハ104のSMTリード106の運動を防止する。記憶金属押さえクリップは、SMTリード106の設置面を妨げないように、特定の距離で外殻102を内部ウエハ104に固定し、したがって、SMTリード106は、PCBA上の望ましい位置へと配置されると対応するランディング・パッドに確実に接触する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハの下に位置付けられた形状記憶合金押さえクリップを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図を示す。この実施形態において、OTSコネクタ100は、内部ウエハ104を外殻102に固定するための4つの記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dを含む。内部ウエハを外殻102に固定するための記憶金属押さえクリップ202の量は、OTSコネクタ100の設計と、OTSコネクタ100が輸送工程または取引工程あるいはその両方の間に経験する力の予想量とに依存することに留意されたい。記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dは、各々、外殻102内での内部ウエハ104の運動を防止する係合位置にある。係合位置において、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々は、外殻102の空洞におけるそれぞれの空隙204A、204B、204C、および204Dに位置付けられており、内部ウエハ104と、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々との干渉が、外殻102内での内部ウエハ104の運動を防止する。内部ウエハ104が外殻102の中に挿入されるとき、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々は、内部ウエハ104上のそれぞれの箇所と機械的に係合するように作用する。係合位置において、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々は、それぞれの空隙204A、204B、204C、および204Dから、外殻102内での内部ウエハ104の運動に対して直角に突出する。記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々の直角位置は、OTSコネクタ100の輸送工程または取引工程あるいはその両方の間に、外殻102内での内部ウエハ104の滑動する動きを防止する。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハの下に位置付けられた形状記憶合金押さえクリップを伴う組み立てられた基板上(OTS)コネクタの正面図を示す。図2で議論した実施形態より、OTSコネクタ100は、内部ウエハ104を外殻102に固定するための4つの記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dを含む。記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dは各々、OTSコネクタ100が据え付けられたPCBAに対するリフローはんだ付け工程の後に、離脱位置にある。離脱位置において、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々は、外殻102の空洞におけるそれぞれの空隙204A、204B、204C、および204Dに位置付けられており、内部ウエハ104と、記憶金属押さえクリップ202A、202B、202C、および202Dの各々との間には、干渉が存在しない。結果として、リフローはんだ付け工程の間およびPCBAの冷却後には、内部ウエハ104は、外殻102から解放され、外殻102は、PCBAの積層表面に押圧される。その後、OTSコネクタ100を伴うPCBAの表面に、封止材/アンダーフィルが塗布される。
【0017】
図4Aは、本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハの下に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図を示す。空隙204A内の記憶金属押さえクリップ202Aの拡大図は、外殻102および内部ウエハ104の単一の角部を示す。干渉面(interference plane)402は、内部ウエハ104と、空隙204Aにおいて外殻102に取り付けられた記憶金属押さえクリップ202Aとの間の通過限界を表している。干渉面402は、外殻102内での内部ウエハ104の滑動方向に平行である。リフロー前の係合位置において、記憶金属押さえクリップ202Aは、係合されており、干渉面402を横切り、このようにして、外殻102内での内部ウエハ104のいずれの運動をも防止する。この実施形態において、記憶金属押さえクリップ202Aの第1の端部は、空隙204A内の表面に取り付けられており、記憶金属押さえクリップ202Aの第2の端部は、いずれの表面にも取り付けられていない。内部ウエハ104は、記憶金属押さえクリップ202Aが干渉面402を横切ると中に作用することができる区域を含む。
【0018】
図4Bは、本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハの下に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図を示す。図4Aの拡大図より、この実施形態は、空隙204A内に位置付けられた記憶金属押さえクリップ202Aを伴う外殻102および内部ウエハ104の単一の角部を示す。先に議論したように、干渉面402は、内部ウエハ104と、空隙204Aにおいて外殻102に取り付けられた記憶金属押さえクリップ202Aとの間の通過限界を表している。リフロー後の離脱位置において、記憶金属押さえクリップ202Aは、干渉面402を横切らず、このようにして、内部ウエハ104からの外殻102の運動を可能にする。この実施形態において、記憶金属押さえクリップ202Aの第1の端部は、空隙204A内の表面に取り付けられており、記憶金属押さえクリップ202Aの第2の端部は、いずれの表面にも取り付けられていない。各記憶金属押さえクリップの寸法および形状は、OTSコネクタ100の外殻102および内部ウエハ104の寸法および形状に依存することに留意されたい。
【0019】
図5Aは、本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図を示す。この実施形態において、空隙504内で外殻102に取り付けられた記憶金属アーム502の拡大図は、外殻102および内部ウエハ104の単一の角部を示す。干渉面506は、内部ウエハ104と、空隙504において外殻102に取り付けられた記憶金属アーム502との間の通過限界を表している。係合位置において、記憶金属アーム502は、リフロー前に干渉面506を横切って位置付けられており、このようにして、外殻102内での内部ウエハ104の運動を防止する。この実施形態において、記憶金属アーム502の第1の端部は、空隙504内の表面に取り付けられており、記憶金属アーム502の第2の端部は、いずれの表面にも取り付けられておらず、加えられた熱によって作用すると自由に動く。外殻102の中に内部ウエハ104を挿入した後、記憶金属アーム502は、作用しており、内部ウエハ104上の対応する区域と機械的に係合する。内部ウエハ104は、記憶金属アーム502が干渉面506を横切るとしっかり止まる対応する区域を含む。記憶金属アーム502は、記憶金属アーム502が内部ウエハ104の縁部と係合するように、外殻102および内部ウエハ104の区域内に位置付けられている。記憶金属アーム502の位置は、記憶金属アーム502を受け入れるために必要な外殻102または内部ウエハ104のいずれかの再設計が、最小限でありまたは何もないようなものである。
【0020】
図5Bは、本発明の一実施形態による、リフロー前の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大側部断面図を示す。図5Aで議論した実施形態の拡大側部断面図は、外殻102および内部ウエハ104を示し、ここで、記憶金属アーム502は係合位置にある。係合位置において、記憶金属アーム502の干渉面506を横切っている部分は、このようにして、内部ウエハ104が、外殻102内で干渉面506に直角に滑動することを防止する。記憶金属アームは、図2に関して議論した実施形態と同様に、内部ウエハ104と干渉するために、外殻102の各角部に配置可能であることに留意されたい。
【0021】
図6Aは、本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大正面図を示す。リフロー後の離脱位置において、記憶金属アーム502は、引っ込んでおり、干渉面506を横切らず、このようにして、外殻102内での内部ウエハ104の運動を可能にする。内部ウエハ104に対する外殻102の運動は、外殻102が、リフローおよび冷却後に、PCBAの積層表面に押圧されることを可能にする。図6Bは、本発明の一実施形態による、リフロー後の内部ウエハ内に位置付けられた単一の形状記憶合金押さえクリップの拡大側部断面図を示す。図6Aで議論した実施形態の拡大側部断面図は、外殻102および内部ウエハ104を示し、ここで、記憶金属アーム502は引っ込んでおり、離脱位置にある。離脱位置において、記憶金属アーム502の干渉面506を横切っている部分はなく、このようにして、外殻102が、内部ウエハ104から独立して、干渉面506に直角に滑動することを可能にする。
【0022】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、本発明を限定することを意図されるものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「一(不定冠詞)」および「その(定冠詞)」は、文脈が明らかにそうではないと示さない限り、複数形も含むことを意図されるものである。
【0023】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的または開示された実施形態に対して限定的であることを意図されるものではない。当業者には、説明された実施形態の範囲から逸脱することのない多くの修正形態および変形形態が明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な適用、または市場で見られる技術を越えた技術的改良を最もよく説明するように、あるいは、他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解することができるように選ばれている。したがって、本発明は、説明され図示された正確な形態および詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内に収まることを意図されるものである。
【0024】
図7は、本発明の一実施形態による、形状記憶合金押さえクリップを伴う基板上(OTS)コネクタをプリント回路板アセンブリ(PCBA)の上に組み立て、実装するための工程を示す。
【0025】
工程は、コネクタの外殻および内部ウエハを用意すること(702)を含む。この実施形態において、工程は、OTSコネクタの外殻および内部ウエハを用意することを含み、ここで、内部ウエハは外殻の中に滑動する。内部ウエハを収容する外殻はOTSコネクタを形成し、外殻内での内部ウエハの運動を防止するために、記憶金属押さえクリップが利用されて、外殻と内部ウエハとの間に干渉をもたらす。工程は、記憶金属を選択すること(704)をさらに含む。記憶金属(すなわち形状記憶合金)の実例は、銅‐アルミニウム‐ニッケル、およびしばしばニチノールと呼ばれるニッケル‐チタニウム(NiTi)を含む。この実施形態では、形状遷移温度が90℃から110℃の範囲であるため、ニチノールが記憶金属として選択されている。形状遷移温度とは、熱が加えられたときに、変形された記憶金属が変形される前の形状に戻る温度を表している。
【0026】
工程は、記憶金属に熱を加えること(706)と、コネクタに従って記憶金属を機械加工すること(708)とをさらに含む。記憶金属は、焼成、手持ち加熱装置、レーザー、誘導、および放射熱を含む1つまたは複数の熱的方法を利用して、形状遷移温度まで加熱される。この実施形態において、記憶金属(ニチノール)は、90℃から110℃の範囲の値まで加熱され、記憶金属は、記憶金属押さえクリップを形成するように機械加工される。記憶金属から機械加工される記憶金属押さえクリップの寸法および形状は、OTSコネクタの外殻および内部ウエハの寸法および形状に基づいている。
【0027】
工程は、内部ウエハと係合する外殻上の箇所に、記憶金属を取り付けること(710)をさらに含む。外殻上の箇所に記憶金属を取り付けることは、熱かしめ、接着剤、および機械的な成形特徴を含むがこれらに限定されない実装方法を利用することを含み得る。1つの実施形態において、多数の記憶金属押さえクリップが、内部ウエハ上の多数の区域と係合する外殻内の多数の空隙に取り付けられており、多数の記憶金属押さえクリップの係合は、外殻を内部ウエハに固定する。離脱位置において、多数の記憶金属押さえクリップの各々は、作用しておらず、外殻と内部ウエハとの間の干渉面を横切らず、このようにして、外殻内での内部ウエハの運動を可能にする。記憶金属押さえクリップの第1の端部は、空隙内の表面に取り付けられており、記憶金属押さえクリップの第2の端部は、いずれの表面にも取り付けられておらず、加えられた熱によって作用すると自由に動く。工程は、内部ウエハを外殻の中に挿入すること(712)と、記憶金属を内部ウエハに係合させること(714)とをさらに含む。外殻に取り付けられた記憶金属押さえクリップの各々は、1つまたは複数の手段によって、内部ウエハの対応する箇所と機械的に係合して、内部ウエハを外殻に固定して、OTSコネクタを形成する。
【0028】
工程は、コネクタをプリント回路板アセンブリの上に据え付けること(716)をさらに含む。OTSコネクタをPCBAの上に据え付ける前に、OTSコネクタは典型的に、OTSコネクタを製造した供給業者から、OTSコネクタが実装されるべきPCBAを生産する製造設備に輸送される。記憶金属押さえクリップが作用しているため、外殻は、内部ウエハと干渉し、外殻に対する内部ウエハのいずれの運動をも防止する。結果として、内部ウエハの多数のSMTリードの設置面は、組立ておよび実装工程のうちの輸送および取引部分の間に維持される。OTSコネクタをPCBAの上に据え付けることは、内部ウエハの多数のSMTリードを、PCBA上の対応するランディング・パッドと整列させることを含み、各ランディング・パッドは、後続して内部ウエハの多数のSMTリードを電気的および機械的に結合するためのはんだペーストを含む。工程は、コネクタをプリント回路板アセンブリの上にリフローはんだ付けすること(718)をさらに含む。各ランディング・パッドと内部ウエハの多数のSMTリードの各々との間のはんだペーストは、溶融状態でリフローして、ランディング・パッドと内部ウエハの多数のSMTリードとの間に、恒久的なはんだ接合を生成する。PCBAのリフローはんだ付け中に、多数の記憶金属押さえクリップの各々は、干渉面の後ろに戻って引っ込み、内部ウエハは、OTSコネクタの外殻から解放される。
【0029】
工程は、プリント回路板アセンブリを冷却すること(720)と、外殻を積層表面に押圧すること(722)とをさらに含む。PCBAのリフローにより、多数の記憶金属押さえクリップの各々が干渉面の後ろに戻って引っ込むことになったため、内部ウエハは、外殻から独立して自由に動く。しかしながら、内部ウエハの多数のSMTリードがランディング・パッドにはんだ付けされたため、内部ウエハは、PCBAに留められた状態のままである。結果として、外殻に力を加えることは、外殻がPCBAの積層表面に押されることにつながる。工程は、プリント回路板アセンブリに封止材/アンダーフィルを塗布すること(724)をさらに含む。封止材/アンダーフィルは、OTSコネクタをPCBA上の基板にボンドする。
【0030】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、本発明を限定することを意図されるものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「一(不定冠詞)」および「その(定冠詞)」は、文脈が明らかにそうではないと示さない限り、複数形も含むことを意図されるものである。
【0031】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的または開示された実施形態に対して限定的であることを意図されるものではない。当業者には、説明された実施形態の範囲および思想から逸脱することのない多くの修正形態および変形形態が明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な適用、または市場で見られる技術を越えた技術的改良を最もよく説明するように、あるいは、他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解することができるように選ばれている。したがって、本発明は、説明され図示された正確な形態および詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内に収まることを意図されるものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】