(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】高性能フレグランスを含む水性ファブリックコンディショナー組成物
(51)【国際特許分類】
D06M 23/12 20060101AFI20241114BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20241114BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
D06M23/12
C11B9/00 Z
D06M13/144
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532745
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022051382
(87)【国際公開番号】W WO2023102033
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519139538
【氏名又は名称】インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジロード、キャロライン セリーヌ ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ハンター、ロバート アラン
(72)【発明者】
【氏名】レンセン、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ニコル、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シート、フラン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エック、アリージェ クラシーナ
【テーマコード(参考)】
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4L031AB01
4L031DA13
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA11
(57)【要約】
本開示は、(i)組成物の総重量に対して1重量%以下の量で存在するフレグランス成分であって、超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、又は少なくとも10種の高性能フレグランス原料を含むフレグランス成分と、(ii)ファブリックコンディショナー活性剤と、を含有する水性ファブリックコンディショナー組成物に関する。この組成物は、フレグランスプロファイルの同等の及び/又は改善された粘度安定性及び/又は知覚される強度、知覚される持続性及び/又は知覚される忠実度、特にフレッシュ及びクリーンな特徴を示す。本開示は、布地上のフレグランスプロファイルの知覚を付与又は増強するための水性ファブリックコンディショナー組成物の使用にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ファブリックコンディショナー組成物であって、
(i)前記組成物の総重量に対して1重量%以下の量で存在するフレグランス成分であって、(a)表1に列挙されている超高インパクトフレグランス原料及び表2に列挙されている高インパクトフレグランス原料からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、又は少なくとも10種の高性能フレグランス原料を含むフレグランス成分と、
(ii)ファブリックコンディショナー活性化剤と、
を含有する水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記フレグランス成分が、ニートフレグランス、カプセル化されたフレグランス、又はそれらの組み合わせであり、前記組成物の総重量に対して0.01重量%~1重量%の量で存在し、前記超高インパクトフレグランス原料対前記高インパクトフレグランス原料の重量比が1:0~1:19の範囲である、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項3】
前記超高インパクトフレグランス原料が、前記高性能フレグランス原料の総重量に対して5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上、好ましくは5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上の量で存在し、
前記高インパクトフレグランス原料が、前記高性能フレグランス原料の総重量に対して95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下、好ましくは95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下の量で存在する、
請求項2に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項4】
前記フレグランス成分がニートフレグランスであり、更に(b)追加のフレグランス原料を含み、(a)対(b)の重量比が3:1~19:1の範囲である、請求項2に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項5】
前記高性能フレグランス原料が、前記フレグランス成分の総重量に対して75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上の量で存在し、
前記追加のフレグランス原料が、前記フレグランス成分の総重量に対して25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の量で存在する、
請求項4に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項6】
前記フレグランス成分がカプセル化されたフレグランスであり、更に(b)追加のフレグランス原料を含み、(a)対(b)の重量比が1.2:1~3:1の範囲である、請求項2に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項7】
前記高性能フレグランス原料が、前記フレグランス成分の総重量に対して55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、又は90重量%以上で存在し、
前記追加のフレグランス原料が、前記フレグランス成分の総重量に対して45重量%、以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%、又は10重量%以下の量で存在する、
請求項6に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項8】
前記ファブリックコンディショナー活性剤が、前記組成物の総重量に対して25重量%以下の量で存在し、好ましくは、前記ファブリックコンディショナー活性剤が、第四級アンモニウム化合物(QAC)、非エステル第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される布地柔軟剤である、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項9】
前記ファブリックコンディショナー活性剤が、前記組成物の総重量に対して0.01重量%~8重量%の量で存在し、前記フレグランス成分が、消費者が使用してから24時間の時点で、前記高性能フレグランス原料を含まない対照組成物の知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度と同等又はそれ以上である知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度を示す、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項10】
前記超高インパクトフレグランス原料が、表1の原料4、16、19、39、43、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記高インパクトフレグランス原料が、表2の原料3、4、6、14~16、20、21、23~27、42、46、57、61、83、88~89、96、及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項9に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項11】
37℃で2s
-1の剪断で測定したときに、10cps超、好ましくは20cps~350cpsの安定した粘度を有する、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項12】
前記ファブリックコンディショナー活性剤が、前記組成物の総重量に対して0.01重量%~8重量%の量で存在し、前記フレグランス成分、好ましくは前記高性能フレグランス原料、より好ましくは前記超高インパクトフレグランス原料が、消費者が使用してから24時間の時点で、前記高性能フレグランス原料を含まない対照組成物の知覚される持続性と同等又はそれ以上であるフレグランスプロファイル、好ましくはトップノート及びハートノートに由来するフレグランスプロファイルの知覚される持続性を示す、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項13】
前記高性能フレグランス原料を含まない対照の組成物と比較して、洗濯ごとに洗濯水から回収される非生分解性材料の重量が減少し、好ましくは大幅に減少する、且つ/又は好ましくは、前記フレグランス成分が、前記フレグランス成分の総重量に対して少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、又は少なくとも34重量%の生物再生可能炭素(BRC)含有量を有する、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項14】
前記フレグランス成分が、前記フレグランス成分の総重量に対して少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも34重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の生物再生可能炭素(BRC)含有量を有する、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物。
【請求項15】
使用中の消費者によるフレグランスプロファイルの知覚、特にフレッシュな特徴及び/又はクリーンな特徴の知覚を付与又は増強するための、請求項1に記載の水性ファブリックコンディショナー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化された性能、同等の/改善されたフレグランスプロファイルの利益、及び/又は延長された保存可能期間審美性を備えた、フレグランス配合量の低減を可能にする高性能フレグランス原料を含有するファブリックコンディショナー組成物、より具体的には水性ファブリックコンディショナー組成物に関する。本発明は、前記組成物の製造方法及び/又は使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が製品をより楽しめるようにするために、フレグランス材料がファブリックコンディショナーに添加される。残念なことに、フレグランス材料(ニート又はカプセル化されたもの)をファブリックコンディショナー基剤に添加すると、系の様々なパラメータに化学的及び/又は物理的な混乱を引き起こす可能性がある。具体的には、フレグランスを添加すると、ファブリックコンディショナーの粘度安定性が影響を受ける可能性があり、特に製品の寿命にわたって徐々に顕著になる。例えば、製品の粘度が時間の経過と共に増加し、その審美性(流動性/注ぎやすさ、色、濁りなど)に悪影響を及ぼす可能性がある。この問題を克服するために、フレグランスの配合レベルを減らす(例えば、通常の配合量の半分から10分の1)ことができる。
【0003】
このアプローチにはいくつかの欠点が存在する。第1に、フレグランスプロファイルの知覚強度が低下する。第2に、フレグランスプロファイルの持続性も低下する。洗濯体験中に関連する消費者との「接点」が非常に多く存在するため、これは問題である。そのような接点の非限定的な例としては、ファブリックコンディショナーの容器を開けること、洗濯後に洗濯機を開けたときの湿った衣類、洗濯物を乾燥させた後に乾燥機を開けたとき、乾燥フレーム上の衣類を乾燥したときに関連するフレッシュ又はクリーンであることの認識、及び洗濯した衣類を着用するときに関連するフレッシュ又はクリーンであること(例えば洗濯してから1日後又は1週間後の洗濯物)が挙げられる。ファブリックコンディショナー中のフレグランスは、心地よい体験を提供するために、これらの接点の全て又はほとんどで消費者を喜ばせる必要がある。第3に、全体的なフレグランスプロファイルは時間の経過と共に変化する。製品の「特徴的な性質」(例えばフレッシュな香りやクリーンな香り)を使用中一貫して維持することが望ましいため、これは問題である。言い換えると、上述した様々な「接点」において、同じ又は実質的に同様のフレグランスプロファイルを維持することが望ましい。最後に、消費者はトップノートとハートノートに由来する選択された特徴(例えばフレッシュ及びクリーン)の強度が持続することを望むことが一般に認められている。しかし、フレグランスレベルを下げると、結果としてこれらの望ましい特徴が失われ、特にこれらの望ましい特徴を長期間にわたって持続させる能力が失われる。
【0004】
出願人は、これらの特定の問題を克服するためのこれまでの試みを認識していない。米国特許出願公開第17/340,132号明細書(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)には、高性能フレグランス原料から構成される消費者製品が開示されている。特に、高性能フレグランス原料は、様々な消費者製品(例えば制汗剤、デオドラント剤、香り増強剤、及びキャンドル)の審美性(例えば透明性及び粘度、変色の軽減)を改善するために、低減されたレベル(≦1%)で使用されている。しかしながら、上で概説した問題については言及されておらず、またそれらを克服するための解決手段も言及されていない。そのため、ファブリックコンディショナー中のフレグランス量を減らして性能及び粘度安定性の問題を減らしながらも、消費者を喜ばせるために洗濯された洗濯物に関連するフレグランスプロファイルを提供するという固有の課題が依然として残っている。
【0005】
更に、現在ファブリックコンディショナー組成物に使用されているフレグランス原料の多くは、再生不可能な石油原料から製造されている。許容可能なフレグランスプロファイル性能を提供するのみならず、実質的に再生可能な資源から製造されるフレグランスを含むファブリックコンディショナー組成物を処方することが依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、洗濯体験に関連する様々な「接点」において、フレグランスプロファイルの知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度を改善するために、特定の超高インパクトフレグランス原料と高インパクトフレグランス原料とから構成される高性能フレグランス原料を、低減されたレベル(例えば最大で標準的なフレグランスの10分の1)で水性ファブリックコンディショナーに配合できるという発見に基づいている。更に、高性能フレグランス原料のレベルを低下させることにより、ファブリックコンディショナー系に対する妨害が減り、それによって系の化学的/物理的パラメータ及び/又は性能への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0007】
かくして、第1の態様によれば、本発明は、水性ファブリックコンディショナー組成物であって、(i)組成物の総重量に対して1重量%以下の量で存在するフレグランス成分と、(ii)ファブリックコンディショナー活性化剤と、を含有する水性ファブリックコンディショナー組成物に関する。フレグランス成分は、表1に列挙されている超高インパクトフレグランス原料と表2に列挙されている高インパクトフレグランス原料とからなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、又は少なくとも10種の高性能フレグランス原料を含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、使用中の消費者による、フレグランスプロファイル、特にフレッシュな特徴及び/又はクリーンな特徴の知覚を付与又は増強するための、本発明の水性ファブリックコンディショナー組成物の使用に関する。
【0009】
したがって、本発明の利点は、ファブリックコンディショナーと共に使用することを目的したフレグランス材料を用いて処方するための新たな設計ガイドラインを提供することである。特に、この設計ガイドラインは、フレグランスプロファイルの対応する性能の低下が観察されることなく、標準的なフレグランスよりも低い配合量(最大で2分の1、5分の1、又は10分の1)で使用されることが意図された、それぞれ表1及び2に示す選択された超高インパクト及び高インパクトのフレグランス原料を特定する。
【0010】
本発明の更なる利点は、知覚されるフレグランスプロファイルの長期にわたる強度が改善された水性ファブリックコンディショナー組成物が提供されることである。更に別の利点は、知覚されるフレグランスプロファイル、好ましくはトップノート及び/又はハートノートに起因するフレッシュ及び/又はクリーンな特徴が、洗濯体験中の異なる接点にわたって有意に一貫したままである、水性ファブリックコンディショナー組成物が提供されることである。更に別の利点は、知覚されるフレグランスプロファイル、好ましくはトップノート及び/又はハートノートに起因するフレッシュ及び/又はクリーンな特徴の、長期にわたる持続性が改善された水性ファブリックコンディショナー組成物が提供されることである。更に別の利点は、好ましくは40℃で1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月保存した後であっても、最終製品の安定した品質(例えば審美性やフレグランスプロファイルなど)を有する水性ファブリックコンディショナー組成物が提供されることである。更に別の利点は、新たなフレグランスプロファイルを生み出すことが可能なことである。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲において言及される全ての部、パーセント、及び割合は、別段の指示がない限り重量基準である。
【0012】
本明細書において開示される値及び寸法は、記載されている正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。そうではなく、別段の指定がない限り、そのような各値は、記載された値と、その値の周囲の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「50%」として開示された値は、「約50%」、或いは例えばその値の約±2%、±5%、±10%、又は±15%を意味することが意図されている。
【0013】
本発明の1つ以上の態様の詳細が、以降の説明で記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明及び図面から当業者に明らかになるであろう。
【0014】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明は、添付する図面の説明からより理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例2aによる、ファブリックコンディショナー基剤中19%の活性レベルの3種のカプセル化されたフレグランス組成物を、37℃で20週間の期間にわたって測定した粘度測定結果のグラフである。
【0016】
【
図2】実施例2bによる、Dry Pre段階及びDry Gentle handling段階における、ファブリックコンディショナー基剤中19%の活性レベルの3種のカプセル化されたフレグランス組成物の、知覚されるフレグランスプロファイルの官能評価結果のグラフである。
【0017】
【
図3】実施例4による、異なるファブリックコンディショナー活性レベル(2%及び19%)での、ベンチマークのフレグランス実施例1及び2と比較した高性能フレグランス実施例3及び4の官能評価のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本明細書で使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲で使用される場合、請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0019】
本明細書で使用される「バイオベース」という用語は、バイオマスから得られる原子又は分子、例えば再生可能資源由来の有機炭素を含む材料から得られる原子又は分子を指す。そのような炭素の供給源は、農産物、植物、動物、菌類、微生物、海洋、又は林業の材料に由来し得る。
【0020】
マイクロカプセルシェル及び/又はフレグランス原料などの材料に関して本明細書で使用される「生分解可能な」又は「生分解性」という用語は、現実の又は認識されている健康上及び/又は環境上の問題が存在せず、また物理的、化学的、熱的、微生物的、及び/又は生物学的分解を受けることができ、且つ/又は受ける。理想的には、マイクロカプセルのシェル及び/又はフレグランスが、OECD301F試験(O2消費量)、OECD310試験(易生分解性)、OECD302試験(本質的生分解性)、OECD307試験(土壌刺激調査)、OECD308試験(堆積物刺激調査)、若しくはOECD309試験(水刺激調査)を含む経済協力開発機構(OECD)試験、又はISO17556試験(固体刺激調査)、ISO14851試験(淡水刺激調査)、又はISO18830試験(海底質刺激調査)試験を含む国際標準化機構(ISO)試験に従って測定された生分解性を有する場合、マイクロカプセルシェル及び/又はフレグランスは「生分解性」であるとみなされる。
【0021】
いくつかの態様では、OECD301Fに従って測定された生分解性が少なくとも20%又は40%であるマイクロカプセル壁又はフレグランス原料は、「本質的に生分解性」、「本質的に一次生分解性」、又は「生分解性」であるとみなされる。「本質的に生分解性」であるとは、生分解性のあらゆる試験において生分解の明白な証拠がある化学物質の分類を指す。「一次生分解性」とは、生物学的作用によってもたらされる物質の化学構造の変化を指し、その結果、その物質の特定の特性が失われる。別の態様では、OECD301Fに従って測定される生分解性が特に60日後に少なくとも60%であるマイクロカプセル壁又はフレグランス原料は、「究極生分解性」を有するとみなされる。「究極生分解性」とは、試験化合物が微生物によって完全に利用され、二酸化炭素、水、無機塩、及び新しい微細胞成分(バイオマス)が生成されるときに達成される分解レベルを指す。これらの生分解性の特徴は、2006年3月23日付の“Revised Introduction to the OECD Guidelines for Testing of Chemicals”,Section 3,Part 1に規定されている限界値に対応する。
【0022】
本明細書において使用される「消費者」という用語は、組成物の使用者と、使用者の近く又は周囲の観察者の両方を意味する。
【0023】
「フレグランス成分」及び「フレグランス組成物」という用語は互換的に使用され、水性ファブリックコンディショナー組成物の消費者の喜び又は受容を促進するために特定の及び/又は心地よいフレグランスプロファイルを提供することを目的とした、フレグランス材料の組成物を指す。
【0024】
本明細書において使用される「フレグランス材料」及び「フレグランス原料」という用語は、互換的に使用され、組成物に全体的に心地よい匂い又はフレグランスプロファイルを付与するために使用される香料原料(「PRM」)、又は香料原料(「PRM」)の混合物に関する。「フレグランス材料」は、例えばアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素含有又は硫黄含有ヘテロ環化合物、及び精油などの材料を含む、フレグランス用途のための任意の適切な香料原料を包含することができる。しかし、様々な化学成分の複雑な混合物を含む天然の植物油や動物油や浸出液も、「フレグランス材料」として使用されることが知られている。既知の天然油を含む個々の香料原料は、“Perfume and Flavorist”又は“Journal of Essential Oil Research”などの当業者が一般に使用する雑誌を参照することによって見つけることができ、或いはS.Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA、より最近ではAllured Publishing Corporation Illinois(1994)によって再出版されたものなどの参考テキストに記載されている。更に、一部の香料原料は、フレグランスハウス(Firmenich,International Flavors&Fragrances,Givaudan,Symrise)から専売の特製のアコードの形態の混合物として供給されている。本明細書で有用なフレグランス材料の非限定的な例としては、アセタールプロフレグランス、ケタールプロフレグランス、エステルプロフレグランス、加水分解性無機-有機プロフレグランス、及びそれらの混合物などのプロフレグランスが挙げられる。フレグランス材料は、様々な方法でプロフレグランスから放出させることができる。例えば、フレグランスは、単純な加水分解の結果として、又は平衡反応の移動により、又はpH変化により、又は酵素的放出によって放出され得る。
【0025】
本明細書で使用される「フレグランスプロファイル」という用語は、フレグランスが任意の瞬間に人間の鼻によってどのように知覚されるかについての説明を意味する。フレグランスプロファイルは時間の経過と共に変化する場合がある。これは、フレグランスのベースノート、ハートノート、トップノート(存在する場合)の組み合わせの結果である。ベースノートは、動物のような、ウッディ、スイート、アンバー、又はムスキーな特徴を提供し、あまり揮発性ではないことを特徴とする。ハートノートは、フローラルの特徴(例えばジャスミン、ローズ)、フルーティー、マリン、アロマティック、又はスパイシーな特徴などの望ましい特徴と関連付けられる。「トップノート又はヘッドノート」は、シトラス、グリーン、ライト、又はフレッシュの特徴を提供し、揮発性が高いためすぐに蒸発する傾向がある。フレグランスプロファイルは、「強度」と「特徴」の2つの特性から構成される。「強度」は知覚される強さに関連する一方で、「特徴」は香料の匂いの印象又は質、すなわちフレッシュやクリーンなどを指す。
【0026】
本明細書で使用される「g」、「mg」、及び「μg」という用語は、それぞれ「グラム」、「ミリグラム」、及び「マイクログラム」を指す。「L」及び「mL」という用語は、それぞれ「リットル」及び「ミリリットル」を指す。
【0027】
本明細書で使用される「含む(include、includes、including)」という用語は、非限定的であることを意味する。
【0028】
本出願の試験方法のセクションに開示されている試験方法は、本明細書に記載され特許請求されている出願人の発明のパラメータのそれぞれの値を決定するために使用されなければならないことが理解される。
【0029】
水性ファブリックコンディショナー組成物
驚くべきことに、特定の種類の超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料を含有させるための一連の設計ガイドラインに従うフレグランス組成物が、系のフレグランスプロファイル及び/又は審美的特性を改善する水性ファブリックコンディショナー組成物で使用するための高性能フレグランス原料になることが見出された。
【0030】
特定の態様では、フレグランス組成物は、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも15種、少なくとも20種、少なくとも25種、少なくとも30種、少なくとも35種、又は少なくとも40種の高性能フレグランス原料から構成される。より具体的には、高性能フレグランス原料には、超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料が含まれる。本発明の目的のためには、フレグランス成分において単独で又は組み合わせて使用される超高インパクトフレグランス原料は、表1に列挙されているフレグランス原料から選択される。いくつかの実施形態では、フレグランス成分は、表1に列挙されている1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、30種、35種、40種、又はそれ以上の超高インパクトフレグランス原料を含み得る。
【0031】
【0032】
【0033】
本発明の目的のためには、フレグランス成分において単独で又は組み合わせて使用される高インパクトフレグランス原料は、表2に列挙されているフレグランス原料から選択される。いくつかの実施形態では、フレグランス成分は、表2に列挙されている1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、30種、35種、40種、又はそれ以上の高インパクトフレグランス原料を含み得る。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
表1及び表2に列挙されているフレグランス材料に加えて、フレグランス成分は少なくとも1種の追加のフレグランス原料を含んでいてもよい。好ましくは、フレグランス成分は、表1及び2に列挙されていない1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、30種、35種、40種、又はそれ以上の追加のフレグランス原料を含み得る。そのような追加のフレグランス原料の非限定的な例としては、米国特許出願公開第2018/0325786A1号明細書、米国特許第4,534,891号明細書、米国特許第5,112,688号明細書、及び米国特許第5,145,842号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0038】
追加のフレグランス原料は、表1及び2の1種以上のフレグランス原料と組み合わされたときに、フレグランス組成物全体を構成する。この点において、フレグランス成分の総重量に対する100重量%の残部は、表1及び表2の1種以上の超高インパクト及び高インパクトフレグランス原料と、1種以上の追加のフレグランス原料とから構成される。
【0039】
表1及び2に列挙されている超高インパクトフレグランス原料と高インパクトフレグランス原料との組み合わせを規定量で含む場合、フレグランス組成物は、表1及び2に列挙されている超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料を規定量で含まない標準的なフレグランスと比較して、大幅に低減された配合量(例えば少なくとも2分の1、5分の1、又は10分の1のレベル)で水性ファブリックコンディショナー製品中で使用することができる。特に、本発明のフレグランス成分は、特に選択された特徴(例えばフレッシュ及び/又はクリーン)に対して、フレグランスプロファイル、すなわち知覚されるフレグランス強度、知覚されるフレグランス持続性、及び/又は知覚されるフレグランス忠実度に大きな影響を与えることなく、組成物の総重量に対して1重量%以下の配合レベルで使用することができる。加えて、本発明のフレグランス組成物は、製品の1つ以上の審美的特性を改善する。そのような審美的特徴には、透明性、粘度、色、流動性などが含まれる。
【0040】
いくつかの態様では、フレグランス成分は、水性ファブリックコンディショナー組成物の総重量の1重量%以下、0.99重量%以下、0.95重量%以下、0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、若しくは0.01重量%以下、又は前述した値の任意の対によって定められる任意の範囲の配合量レベルで使用される。
【0041】
水性ファブリックコンディショナー組成物は、ファブリックコンディショナー活性剤として、布地柔軟剤、界面活性剤、漂白剤、酵素、キレート剤、光沢剤などを含む。適切な布地柔軟剤系は、米国特許第6,335,315号明細書;米国特許第5,674,832号明細書;米国特許第5,759,990号明細書;米国特許第5,877,145号明細書;米国特許第5,574,179号明細書;米国特許第5,562,849号明細書;米国特許第5,545,350号明細書;米国特許第5,545,340号明細書;米国特許第5,411,671号明細書;米国特許第5,403,499号明細書;米国特許第5,288,417号明細書;米国特許第4,767,547号明細書;及び米国特許第4,424,134号明細書に記載されている。好ましくは、ファブリックコンディショナー活性剤は、組成物の総重量に対して25重量%以下(例えば1重量%~20重量%、4重量%~10重量%、又は8重量%~15重量%)の量で存在する。好ましくは、ファブリックコンディショナー活性剤は、組成物の総重量に対して0.01重量%~14重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%の量で存在する。好ましくは、ファブリックコンディショナー活性剤は布地柔軟剤である。例として、布地柔軟剤が水性ファブリックコンディショナー組成物の5重量%である場合、布地柔軟剤は0.01%~2.5%、好ましくは0.02%~1.25%、より好ましくは0.1%~0.63%である。別の例として、布地柔軟剤が水性ファブリックコンディショナー組成物の20重量%である場合、布地柔軟剤は0.04%~10%、好ましくは0.08%~5%、より好ましくは0.4%~2.5%である。適切な布地柔軟剤としてはカチオン性界面活性剤が挙げられる。非限定的な例は、アルキル化第四級アンモニウム化合物、環状第四級アンモニウム化合物、芳香族第四級アンモニウム化合物、ジ第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム化合物、アミドアミン第四級アンモニウム化合物、エステル第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組み合わせなどの第四級アンモニウム化合物(QAC)である。好ましくは、布地柔軟剤は、第四級アンモニウム化合物(QAC)、非エステル第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
好ましい布地柔軟剤は典型的にはカチオン性であり、非水溶性の第四級アンモニウム布地柔軟剤が含まれ、最も一般的に使用されているのはジ長鎖アルキルアンモニウムクロリド又はメチルサルフェートである。好ましいカチオン性柔軟剤としては、限定するものではないが、第四級アンモニウム基と長鎖アルキルとの間に位置する1つ以上のエステル結合を含む迅速生分解性第四級アンモニウム化合物(例えばTEAエステルクアット、DEEDMAC、及びHEQ)が挙げられる。好ましい非エステル第四級アンモニウム化合物としては、限定するものではないが、ジタロウジメチルアンモニウムクロリド(DTDMAC)、二水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、及びタロウトリメチルアンモニウムクロリド、水素化タロウトリメチルアンモニウムクロリド、C12~C14アルキルヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、C12~C18アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド(DSOEDMAC)、ジ(タロウオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタロウイミダゾリニウムメチルサルフェート、及び1-(2-タロウイルアミドエチル)-2-タロウイルイミダゾリニウムメチルサルフェートが挙げられる。
【0043】
更なる態様では、本発明は、本発明のフレグランス組成物をファブリックコンディショナー製品に含ませることによって、フレグランスプロファイルを付与するための、好ましくはフレグランスプロファイルを改善するための、特にフレグランスプロファイルの知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度を高めるための水性ファブリックコンディショナー組成物も提供する。有利には、本発明のフレグランス組成物は、本明細書に開示されるパネル法によって決定したときに、使用後24時間の時点で、高性能フレグランス原料を含まない対照組成物(すなわち表1~2に列挙されているフレグランスを規定量で含まないフレグランス組成物)の知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度と同等又はそれ以上である知覚される強度、知覚される持続性、及び/又は知覚される忠実度を示すか、又は増強する。
【0044】
本発明のフレグランス組成物の知覚される性能は、それぞれ表1及び表2の超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料の存在に起因する。本発明の目的のためには、「知覚される性能」又は「知覚されるフレグランス性能」は、消費者によって知覚されるフレグランスの強度、持続性、及び/又は忠実度を指すために互換的に使用される。好ましくは、フレグランス組成物は、表1の原料4、16、19、39、43、及びそれらの混合物からなる群から選択される超高インパクトフレグランス原料を含む。好ましくは、フレグランス組成物は、表2の原料3、4、6、14~16、20、21、23~27、42、46、57、61、83、88~89、96、及びそれらの混合物からなる群から選択される高インパクトフレグランス原料を含む。
【0045】
更なる態様では、本発明は、ファブリックコンディショナー活性剤が、組成物の総重量に対して0.01重量%~14重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%の量で存在する、水性ファブリックコンディショナー組成物も提供する。フレグランス成分、好ましくは高性能フレグランス原料、より好ましくは超高インパクトフレグランス原料は、本明細書に開示されるパネル法によって決定したときに、消費者が使用してから24時間の時点で、高性能フレグランス原料を含まない対照組成物(すなわち表1~2に列挙されているフレグランスを規定量で含まないフレグランス組成物)の知覚される持続性と同等又はそれ以上であるフレグランスプロファイル、好ましくはトップノート及びハートノートに由来するフレグランスプロファイルの知覚される持続性を示す。
【0046】
本発明の目的のためには、フレグランスプロファイルは、好ましくはフレッシュ及び/又はクリーンな特徴を有し、「使用後」という表現は、布地にファブリックコンディショナー組成物を塗布してから24時間後を指す。知覚されるフレグランスの性能(すなわち強度、持続性、及び/又は忠実度)は、典型的には、例えば、前記ファブリックコンディショナー製品で濡らした基材(すなわち布地)上での第1の条件下で、又は例えば、前記ファブリックコンディショナーが基材上で乾燥した後の第2の条件下で、所定のフレグランス組成物の匂いを明確に区別することができる訓練されたパネリストによって、異なる条件下で評価される。フレグランス性能は、本明細書に開示の試験方法に従って測定される。
【0047】
本発明は、製品中に本発明のフレグランス組成物を製品の総重量に対して1重量%以下のレベルで含めることによって、香り付きのファブリックコンディショナー組成物の審美的特徴(例えば透明度、粘度、色など)の改善も提供する。好ましくは、本発明の水性ファブリックコンディショナー組成物は、25℃で2s
-1の剪断で測定したときに、10cpsを超える安定した粘度、好ましくは20cps~200cpsの範囲の粘度を示す。言い換えると、本発明の水性ファブリックコンディショナー組成物は、高性能フレグランス原料を含まない対照の組成物と比較して、短期間の保存で同等の粘度安定性能を示す。好ましくは、本発明の水性ファブリックコンディショナー組成物は、37℃で2s
-1の剪断で測定したときに、20cps~350cpsの範囲の安定した粘度を示す。これは、加速安定性試験において、本発明の水性ファブリックコンディショナー組成物が、高性能フレグランス原料を含まない対照の組成物と比較して、短期間の保存で同等の粘度安定性能を示すことを意味する(
図1参照)。好ましくは、粘度は、37℃、好ましくは45℃での保存後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、又は少なくとも4ヶ月維持される。粘度は、本明細書に開示の試験方法に従って測定される。
【0048】
本発明の別の重要な側面は、「グリーンケミストリー」の原理に由来するフレグランス原料及び/又はマイクロカプセルの使用に向けて移行したいという要求である。グリーンケミストリーは、特に再生可能な原料を使用することにより、環境への影響を最小限に抑える製品とプロセスの設計に焦点を当てている。言い換えると、フレグランス原料及び/又はマイクロカプセルを製造するために使用される原材料又は供給原料は、技術的及び経済的に可能な場合には、枯渇するものではなく再生可能なものであるべきである。好ましくは、本発明のフレグランス成分は、フレグランス成分の重量を基準として少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも34重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の生物再生可能炭素(BRC)含有量を有する。本明細書で使用される「BRC」とは、地球の自然環境の一部である炭素及び非化石ベースの炭素を指す。BRCは、天然に存在する再生可能な炭素資源、再利用された炭素資源、及び/又はアップサイクルされた炭素資源であり、使用及び消費によって減少した分を、有限の時間内(人間の寿命内など)に、自然再生又は他の反復プロセスによって補充することができる。BRCからはバージン原油に由来する炭素は除外される。
【0049】
生分解性も、化学物質の環境運命を評価する際の重要な要素である。生分解とは、細菌、真菌、又はその他の生物学的手段によるフレグランス材料及び/又はマイクロカプセルの化学的溶解である。生分解性は、例えば、OECD法301/310又は同等の方法に従って評価される。試験サンプルは、通常28日又は60日後の結果に基づいて、「本質的に生分解性」、「一次生分解性」、又は「究極生分解性」に分類することができる(本明細書で上で定義されている通り)。いくつかの態様では、本発明のファブリックコンディショナー組成物を使用すると、高性能フレグランス原料を含まない対照の組成物と比較して、洗濯ごとに洗濯水から回収される非生分解性材料の重量が減少し、好ましくは大幅に減少する。言い換えると、本発明のフレグランス組成物が使用される場合、これは対照のフレグランス組成物よりも最大で1/5~1/10まで少なく配合されるため、絶対的に非生分解性材料が少なくなる。
【0050】
ニートフレグランス
「ニートフレグランス」とは、外来の物質を含んでいない、カプセル化されていない、且つ/又はフレグランス原料の放出を遅延させ得る他の化合物と結合していない、フレグランス成分を指す。いくつかの態様では、フレグランス成分はニートフレグランスである。フレグランス成分がニートフレグランスである場合、フレグランス成分は、組成物の総重量に対して0.01重量%~1重量%の量で存在する。この態様によれば、表1の超高インパクトフレグランス原料対表2の高インパクトフレグランス原料の重量比は、1:0~1:19の範囲である。
【0051】
標準的なニートフレグランスが少なくとも2分の1、5分の1、又は10分の1でファブリックコンディショナー製品に配合される場合、それぞれ2分の1、5分の1、又は10分の1の性能及びフレグランスプロファイルが得られると予想される。しかしながら、超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料は、標準的なフレグランス原料よりも最大で2分の1、5分の1、又は10分の1まで少なく配合されることが意図されているため、本発明のフレグランス成分では、性能又はフレグランスプロファイルの大幅な低下は通常観察されない。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人は、ファブリックコンディショナー活性剤は柔軟剤として作用するのみならず、ファブリックコンディショナー製品に導入されるニートフレグランスオイルの付着助剤としても機能すると考えている。ファブリックコンディショナーの活性レベルが製品間で異なることを考慮すると、これはニートフレグランスオイルに利用可能な付着助剤の量に大きな影響を及ぼす可能性がある。したがって、超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料の配合要件は、標準フレグランスよりも最大で2分の1、5分の1、又は10分の1まで少ないため、同等又は改善された快楽をもたらすために必要な付着助剤の量はそれほど多くはない。実際、出願人は、2重量%(低)から19重量%(高)の範囲の活性レベルを有するファブリックコンディショナー組成物において、超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料を使用して、同等の又は改善された快楽を示した。標準的なフレグランスを用いた活性レベルの低い基剤では、快楽性能が低下することが観察されていたため、これは驚くべき発見であった。
【0052】
本発明のこの態様によれば、超高インパクトフレグランス原料は、高性能フレグランス原料の総重量に対して5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上、好ましくは5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上の量で存在し、高インパクトフレグランス原料は、高性能フレグランス原料の総重量に対して95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下、好ましくは95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下の量で存在する。
【0053】
好ましくは、ニートフレグランスについては、(a)高性能フレグランス原料対(b)追加のフレグランス原料の重量比は、3:1~19:1の範囲である。本発明のこの態様によれば、(a)高性能フレグランス原料は、フレグランス成分の重量に対して75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上の量で存在し、(b)追加のフレグランス原料は、フレグランス成分の総重量に対して25重量%以下、20重量%以下、15重量%%以下、10重量%、又は5重量%以下の量で存在する。本発明の別の態様では、フレグランス成分は、フレグランス成分の総重量に対して100重量%の量で存在する高性能フレグランス原料を含む。
【0054】
カプセル化されたフレグランス
「カプセル化されたフレグランス」とは、長期間にわたって匂いの印象を安定化させるためにマイクロカプセルの中にカプセル封入されたフレグランスアコードを指す。マイクロカプセルは、フレグランスを時間遅延させる形式又は制御された形式で標的領域に届けるために使用される。好ましくは、カプセル化されたフレグランスは、1~100ミクロン、好ましくは1~50ミクロン、より好ましくは1~20ミクロンの平均粒径を有する。マイクロカプセルは、真菌キトサン(国際公開第2016/185171A1号パンフレットを参照)、シルクフィブロイン粒子(米国特許出願公開第2015/0164117A1号明細書を参照)、及びマイクロカプセルの調製において乳化剤として使用される生体分子(国際公開第2016/193435A1号パンフレット、国際公開第2017/102812A1号パンフレット、米国特許出願公開第2018/0078468A1号明細書、国際公開第2018/019894A1号パンフレット、国際公開第2018/019896A1号パンフレット、及び国際公開第2017/102812A1号明細書を参照)などの天然材料から調製することができる。ゼラチンとアラビアゴムのカプセルの間の多層コアセルベートが本発明で使用されてもよい(米国特許第4,946,624号明細書、国際公開第2012/001604A1号パンフレット、米国特許公開第2015/0250689A1号明細書、及び国際公開第2018/002214A1号パンフレットを参照)。タンパク質マイクロカプセルも本発明の範囲内で有用である(米国特許出願公開第2017/0189283A1号明細書を参照)。好ましくは、シェルがOECD301Fに従って60日以内に少なくとも60%の生分解性を有する環境に優しいマイクロカプセルも本発明の範囲内である(国際公開第2021/122633A1号パンフレットを参照)。
【0055】
マイクロカプセルのファブリックコンディショナー組成物への添加は、系の混乱を引き起こす。カプセルは最終製品の粘度安定性に影響を与えるため、これは時間の経過と共に特に顕著になる。言い換えると、製品全体の粘度は時間の経過と共に増加し、流動性/注ぎやすさ、色、匂いの強さなどを含む製品のいくつかの視覚的側面に影響を与える。本発明のカプセル化されたフレグランス成分を配合することによって、より少ない配合量のフレグランススラリーをファブリックコンディショナー組成物に添加することがでるため、官能評価においてフレグランス性能を同等のままにしながら又は向上させながらも、製品全体の処方に対する妨害をより少なくすることができる。
【0056】
フレグランス成分がカプセル化されたフレグランスである場合、フレグランス成分は、組成物の総重量に対して0.01重量%~0.5重量%の量で存在する。カプセル化されたフレグランスをこれらのレベルで含む場合、水性ファブリックコンディショナー中のニートオイル当量(NOE)は0.005重量%~0.15重量%である。この態様によれば、表1の超高インパクトフレグランス原料対表2の高インパクトフレグランス原料の重量比は、1:0~1:19の範囲である。実際、カプセル化された超高インパクトフレグランス原料及び高インパクトフレグランス原料を使用する場合、より少ない配合量を使用することができ、それによって性能を同等のままにしながら又は向上させながらも、ファブリックコンディショナー製品全体の処方に対する妨害を最小限に抑えることができる。
【0057】
本発明のこの態様によれば、超高インパクトフレグランス原料は、高性能フレグランス原料の総重量に対して、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、65重量%以上、75重量%以上、85重量%以上、又は95重量%以上、好ましくは5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上の量で存在し、高インパクトフレグランス原料は、高性能フレグランス原料の総重量に対して、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、35重量%以下、25重量%以下、15重量%以下、又は5重量%以下、好ましくは95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下の量で存在する。
【0058】
本発明のこの態様によれば、フレグランス成分は、(b)少なくとも1種の追加のフレグランス原料を更に含み得る。好ましくは、(a)高性能フレグランス原料対(b)追加のフレグランス原料の重量比は、1.2:1~9:1の範囲である。本発明のこの態様によれば、(a)高性能フレグランス原料は、フレグランス成分の総重量に対して55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、又は90重量以上の量で存在し、追加のフレグランス原料は、フレグランス成分の総重量に対して45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、又は10重量%以下の量で存在する。
【0059】
本発明の別の態様では、フレグランス成分は、フレグランス成分の総重量に対して100重量%の量で存在する高性能フレグランス原料を含む。したがって、特定の態様では、カプセル化されたフレグランスは、2~4のpH、好ましくは2.5~3.5のpHを有するファブリックコンディショナー製品に含まれる。本発明のいくつかの態様では、フレグランス成分は、布地に対するクリーンな印象又はフレッシュな印象を向上させるのに有用なカプセル化されたフレグランスである。
【0060】
本発明の別の態様によれば、フレグランス成分は、ファブリックコンディショナー製品中で、ニートフレグランスとカプセル化されたフレグランスとの混合物として使用するのにも適している場合がある。
【0061】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に詳細に説明する。当業者であれば、これ以上詳しく説明しなくても、本明細書の記載に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書において引用される全ての刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0062】
試験方法
本明細書に記載されており特許請求される本発明をより完全に理解するためには、以下に記載されているアッセイを使用しなければならない。
【0063】
試験方法1:サンプル粘度の測定
サンプルの粘度は、レオメーター(Anton Paar,MCR302)を使用して測定することができ、測定は、2/s、20/s、及び106/s(回転/秒)の剪断速度で行われる。粘度安定性のために、サンプルを5℃、室温、37℃、及び40℃の4つの温度で保存する。粘度を最初に測定し(t=0日)、その後4週間間隔で定期的に測定する。
【0064】
試験方法2:フレグランス性能評価
官能分析のために、サンプルを、Miele PW6065フロントローダー洗濯機を使用して洗濯する。大きなタオル、Tシャツ、枕カバー、ふきん、評価用タオル(綿30cm×30cm)を含む2.2kgの洗濯物を使用する。洗濯物は、15.5リットルの水を使用して40℃で60分間洗浄し、17リットルのすすぎを2回行う。布は最初にPersilノンバイオ洗剤(70g)で洗浄し、次いで36gで投与されるファブリックコンディショナーで洗浄する。布地は吊り干しされる。
【0065】
パネリストは、標準的なスクリーニング試験を使用して、一般的な嗅覚障害と、様々な匂いのレベルを区別してランク付けする能力について事前にスクリーニングされる。パネリストは、選ばれた後、スケールの使用と試験手順についての訓練を受ける。フレグランスの強度は、0から100までの範囲のラベルドマグニチュードスケール(LMS)を使用して評価される(0=知覚なし、1.3=かろうじて検知可能、6.1=弱い、17.2=中程度、33.1=強い、53.3=非常に強い、100=考えられる最も大きい強さ、とラベル付けされる;Barry G.Green,Gregory S.Shaffer&Magdalena M.Gilmore.Evaluating the Labeled Magnitude Scale for measuring sensations of taste and smell.Chemical Senses.Vol.21,pp323-334,1996)。フレグランス強度は、購入、浸漬、ブルーム、洗濯機からの取り出し、浸漬、Dry Pre(処理する前の乾いた布)、Dry Gentle handling(乾いた布をかごに放り込む)、及びDry Post(乾いた布同士をこすり合わせる)など、洗濯体験中の複数の段階で評価される。
【0066】
乾燥段階でのフレグランスの評価は、知覚されるフレグランスの持続性(すなわち、フレグランスがどれだけ長く布に付着しているか)の尺度として使用される。サンプルは、ランダムな順序で、ベンチマークに対して繰り返しブラインド評価される。フレグランスプロファイルは、アルデヒド、アンバー、シトラス、フローラル、フルーティー、ウッディなどの記述子を含む、記述分析又はCheck-All-That-Apply法を使用して評価される。洗濯体験中の複数の段階(上記段階)におけるフレグランスプロファイルの評価は、フレグランスの知覚忠実度(すなわち時間の経過に伴うフレグランスプロファイルの一貫性)の尺度として使用することができる。サンプルは、ランダムな順序で、ベンチマークに対して繰り返しブラインド評価される。
【0067】
フレグランスの利益評価(例えばフレッシュ及びクリーンの属性)は、消費者パネル(100人を超える消費者)によって行われる。消費者は、フレグランスの香りの感じ方に基づいて、30種類のフレグランスを3~10グループにグループ分けするよう求められる(すなわち、互いに類似していると認識されるフレグランスのグループ化)。グループが作成された後、消費者は、異なるグループをその属性又は利益(例えば、その香りが消費者をフレッシュな気分にさせるか、その香りが消費者にクリーンと感じさせるか、など)の観点から説明するように求められる。データは、フレグランス配合物中の原料(及びその量)と、それに関連する消費者の利益(フレッシュ及びクリーン)との間の関係を特定するために分析される。消費者試験は、通常、世界の異なる地域又は国からの複数の消費者パネルで実施され、これにより「世界規模」と「地域又は国固有」のフレッシュ及びクリーンなフレグランス組成物を識別することができる。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は本発明を更に説明するために提供されるものであり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに本発明の多くの変形形態が可能であるため、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0069】
実施例1:カプセル化されたフレグランス組成物の調製
フレグランス比較例1及び2は、下の表3及び4に示されており、これらは本発明のフレグランス成分を形成することを意図していないカプセル化された標準的なフレグランス組成物の例を表す。
【0070】
下の表3及び表4に示されている高性能フレグランスの実施例3は、本発明によるカプセル化された高性能フレグランス原料を含むフレグランス組成物の処方の非限定的な例である。
【0071】
以下のフレグランス配合物は、表4に記載の原料を記載されている割合(ppt)で室温で混合することによって製造する。使用したカプセルは全てメラミンホルムアルデヒドカプセルC50V2(ScentQ;International Flavors&Fragrances Inc.から入手可能)である。カプセル化プロセスは当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許出願公開第20070138671A1号明細書、欧州特許第1797946号明細書、及び欧州特許第1797947号明細書に開示されている。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
実施例2a:カプセル化された高性能フレグランスによる粘度安定性の改善
この実施例の目的は、カプセル化された高性能フレグランスをファブリックコンディショナー製品に使用することの粘度安定性の利益を示すことである。カプセル化されたフレグランスをファブリックコンディショナー組成物に添加すると、系の技術的パラメータ(例えば粘度)に影響を与える可能性のある系の混乱が引き起こされる。高性能フレグランスは、より少ない配合量(すなわち標準的なフレグランスの最大で10分の1)で使用するように設計されている。これは、カプセル化された高性能フレグランスを配合すると、基剤系への妨害が減るはずであることを意味する。したがって、本発明のカプセル化された高性能フレグランスがファブリックコンディショナー組成物の粘度安定性に及ぼす影響を評価する。
【0076】
経時的な粘度安定性を測定するために、フレグランススラリー、水、及びファブリックコンディショナー基剤のサンプルを製造する。規定量の高性能フレグランス原料を含まない1種の通常のフレグランス組成物(フレグランス比較例1)と、2種の本発明によるフレグランス組成物(高性能フレグランス実施例2、3)を使用する。ファブリックコンディショナー基剤の処方を以下の表5に示す。サンプルは、19%のファブリックコンディショナー活性基剤そのままで試験し、また水で希釈して12%の活性レベルの基剤も形成する。
【0077】
【0078】
粘度安定性評価のために、サンプルを4つの温度:5℃、20℃(室温)、37℃、及び40℃で保存する。粘度は最初に測定し(t=0日)、その後4週間間隔で定期的に測定する。粘度は、HTR302小型装置を使用して測定し、剪断速度2/s、20/s、及び106/s(回転毎秒)で測定した。その後、粘度測定の結果が表6A~6Dで平均化され、以下で考察されている。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
図1は、本発明の高性能フレグランス実施例2及び3並びにフレグランス比較例1を含む結果のグラフであり、全て19%のファブリックコンディショナー活性基剤を含む。
図1に示されているように、本発明の高性能フレグランス原料を含むカプセル化されたフレグランス組成物をファブリックコンディショナー基剤(すなわち高性能フレグランス実施例2及び3)に添加すると、製品全体の粘度は、時間が経過しても顕著な増加なく維持される。対照的に、高性能フレグランス原料を含まないフレグランス比較例1は、37℃での20週間(すなわち加速安定性試験の典型)かけて粘度が上昇し、これによって流動性/注ぎやすさなどが悪影響を受けた。したがって、本発明によるカプセル化された高性能フレグランスを使用する場合、より少ない配合量のスラリーを使用することができ、それにより、フレグランス性能を同等のままにしながら又は向上させながらも、製品全体の処方に対する妨害(例えば流動性/注ぎやすさに対する下流の視覚的影響)を最小限に抑えることができる(実施例2bを参照)。
【0084】
実施例2b:カプセル化された高性能フレグランスによるフレグランス性能
この実施例の目的は、カプセル化された高性能フレグランスをファブリックコンディショナー製品に使用することによるフレグランス性能の利益を示すことである。高性能フレグランスは、より少ない配合量(すなわち標準的なフレグランスの最大10分の1)で使用できるように設計されている。理論的には、標準的なフレグランスが10分の1の配合量で添加された場合、それに対応してフレグランスの性能が低下すると予想される。高性能フレグランスは、このように低く配合されることが意図されているため、フレグランス性能の同様の低下は予想されない。したがって、本発明のカプセル化された高性能フレグランスがファブリックコンディショナー組成物のフレグランス性能に及ぼす影響を評価する。
【0085】
表3及び表4のフレグランス組成物を含むファブリックコンディショナー組成物を、実施例2aに記載の通りに洗濯物と一緒に洗濯し、12人の経験豊富なパネリストからなるパネルが、試験方法に記載の評価に従って、洗濯プロセスのDry Pre段階及びDry Gentle handling段階で知覚されるフレグランスプロファイルを評価した。その後、官能パネリストからの結果が平均化され、以下で考察されている。
【0086】
図2は、本発明の高性能フレグランス実施例2及び3並びにフレグランス比較例1のフレグランス強度スコア(訓練された官能パネルによる、dry pre段階及びdry gentle handling段階の評価)を含む結果のグラフであり、全て19%のファブリックコンディショナー活性基剤である。
図2に示されているように、本発明の高性能フレグランス原料を含むカプセル化されたフレグランス組成物をファブリックコンディショナー基剤(すなわち高性能フレグランス実施例2及び3)に添加すると、ベンチマークのカプセル化されたフレグランス組成物(すなわちフレグランス比較例1)と比較した場合に、Dry Pre段階及びDry Gentle handling段階におけるフレグランス強度が向上する。したがって、本発明によるカプセル化された高性能フレグランスを使用すると、より少ない配合量のスラリーを使用しながらも、Dry Pre段階及びDry Gentle handling段階におけるフレグランス強度の知覚を更に向上させことができる。
【0087】
実施例3:ニートフレグランス組成物の調製
表7に示すように、2種の高性能フレグランス組成物(高性能フレグランス実施例3及び4)を、2種の市販のベンチマーク(ベンチマークフレグランス実施例1及び2)と共に調製する。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
実施例4:ニート高性能フレグランスによるフレグランス性能
この実施例の目的は、多様なファブリックコンディショナー基剤のタイプと共にニート高性能フレグランス原料を使用することによる官能上の利益を、標準的なフレグランスと比較して示すことである。カプセルの場合と同様に、ファブリックコンディショナー基剤にニートフレグランスオイルを添加すると、系全体の特性及び性能のニーズが変化する。
【0095】
ファブリックコンディショナー組成物では、基剤中の布地柔軟剤(例えばクワット)は、活性剤として機能するのみならず、系に導入されるニートオイルフレグランスの付着助剤としても機能し、その快楽性を補助する。ファブリックコンディショナー基剤は、2%(低)から19%(高)までの範囲の幅広い活性レベルを有し、これは、典型的には、ニートオイルフレグランスに利用可能な付着助剤の量に大きな影響を与える可能性がある。
【0096】
実施例2に記載のものと同じ19%の活性レベルの基剤を使用して、4つの異なる活性濃度の基剤を形成する。19%濃度を使用し、次いで基剤を水で12%、8%、及び2%の活性レベルまで希釈する。2つの高性能フレグランス実施例3及び4は0.1%で配合し、ベンチマークのフレグランス実施例1及び2は1.0%で配合する。サンプルを洗濯し、実施例2に記載の通りに訓練された官能パネルによって知覚されるフレグランス強度を評価する。その後、官能パネリストからの結果が表8で平均化され、以下で考察されている。
【0097】
【0098】
表8は、選択されたフレグランス/ファブリックコンディショナーの活性レベルを含むフレグランス組成物の概要を示している。結果は
図3に示されており、高性能フレグランス実施例3及び4は、最高(19%)と最低(2%)のファブリックコンディショナー活性レベルの間で性能(強度)を失わないことを示している。対照的に、ベンチマークのフレグランス実施例1及び2でファブリックコンディショナーの活性レベルを19%から2%に下げると、より高い活性レベルと比較して性能(強度)が統計的に有意に低下する。ここでの結果は、本発明の高性能フレグランス組成物を使用すると、フレグランスプロファイルに悪影響を与えることなく、ファブリックコンディショナー組成物中の付着助剤レベルを低減できることを示している。したがって、2%~19%のレベルのファブリックコンディショニング活性剤で、同等又はそれ以上のフレグランス性能を達成することができる。
【0099】
実施例5:ニート高性能フレグランスによるフレグランスプロファイルの改善
この実施例の目的は、より多様なファブリックコンディショナー基剤のタイプと共にニート高性能フレグランス原料を使用することによる快楽上の(すなわち特徴)利益を、標準的なフレグランスと比較して示すことである。理論的には、標準的なフレグランスを活性レベルが低いファブリックコンディショナー基剤に配合すると、布地に付着する完全なフレグランスが少なくなり、その結果洗濯で残らない可能性があるため、快楽上の差異が生じるリスクが高くなる。結果として、標準的なフレグランスの主要な快楽的特徴が損なわれる。それと比較して、高性能フレグランスは、より少ない配合量で使用されるように設計されている。そのため、完全なフレグランスが布地に付着する可能性が高いため、快楽の違いによるリスクは少なくなる。したがって、ファブリックコンディショナー組成物の快楽上の利益に対する本発明のニート高性能フレグランスの効果が評価される。
【0100】
実施例2に記載のものと同じ19%の活性レベルの基剤を使用して、4つの異なる活性濃度の基剤を形成する。19%濃度を使用し、次いで基剤を水で12%、8%、及び2%活性レベルまで希釈する。2つの高性能フレグランス実施例3及び4は0.1%で配合し、ベンチマークのフレグランス実施例1及び2は1.0%で配合する(全て実施例3に開示)。サンプルを洗濯し、活性レベルが低下するのに伴う各サンプルで認識される快楽の違いについて、専門家パネリストが評価する。サンプルは部分的に盲検化されている。つまり、パネリストはそれがどのサンプルであるかは知っていたが、サンプルの活性レベルは知らなかった。その後、官能パネリストからの結果がまとめられ、以下で考察されている。
【0101】
結果は、快楽性、特にトップノート及びハートノートに由来する特徴が、特にファブリックコンディショナーの活性レベルを下げた場合に、高性能フレグランスの実施例3及び4よりもベンチマークのフレグランスの実施例1及び2の方でより大きく変化することを示している(データは示さず)。活性レベルを2%まで下げると、ベンチマークのフレグランス実施例1及び2はトップノート及び/又はハートノートのほとんどを失う一方で、高性能フレグランス実施例3及び4は、これらの側面を維持する。したがって、特にトップノート及び/又はハートノートに由来する一貫した特徴の快楽性は、低い活性レベルであっても、本発明の高性能フレグランスを含むファブリックコンディショナー組成物を使用することによって達成することができる。
【0102】
実施例6:例示的な布樹柔軟剤組成物
組成物Aは、本発明によるファブリックコンディショナー組成物の一例である。これは、表9に記載の成分を示されている割合で混合することによって調製される。
【0103】
【国際調査報告】