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特表2024-543579圧縮機を含む流体ハンドリングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】圧縮機を含む流体ハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
   F04F 13/00 20090101AFI20241114BHJP
   F25B 1/02 20060101ALI20241114BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20241114BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F04F13/00
F25B1/02 Z
F04B39/06 Q
F04B39/12 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532808
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2022047930
(87)【国際公開番号】W WO2023101771
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,633
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516099646
【氏名又は名称】エナジー リカバリー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョセフ パトム
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC03
3H003BE04
3H003CB02
3H003CD01
3H003CD04
3H003CF04
(57)【要約】
システムは、圧力交換器(PX)を備えており、このPXは、第1の流体を第1のPX入口を介して受け取り、かつ第2の流体を第2のPX入口を介して受け取るように構成されている。PXは、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換するように構成されている。システムはさらに圧縮機を備えている。圧縮機は少なくともモータを収容するように構成された第1の部分を備えている。圧縮機は、PXに流体連通されるように、かつ第1の部分からは流体的に隔離されるように構成された、第2の部分をさらに含んでいる。第2の部分は、第1の圧縮機入口及び第1の圧縮機出口を形成している。圧縮機は、第1の圧力の第1の流体を、第1の圧縮機入口を介して、第2の部分内へと受け取り、第1の流体の圧力を第1の圧力から第2の圧力まで上昇させ、かつ、第2の圧力の第1の流体を、第1の圧縮機出口を介して供給するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
前記システムは、圧力交換器(PX)を備えており、前記PXは、第1の流体を前記PXの第1のPX入口を介して受け取り、第2の流体を前記PXの第2のPX入口を介して受け取り、かつ前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成されており、
前記システムは、さらに圧縮機を備えており、前記圧縮機は、
-モータを収容するように構成された第1の部分と、
-前記PXに流体連通されるように構成された第2の部分と、を含んでおり、前記第2の部分は前記第1の部分からは流体的に隔離されるように構成されており、前記第2の部分は第1の圧縮機入口及び第1の圧縮機出口を形成しており、かつ、前記圧縮機は、
-第1の圧力の前記第1の流体を、前記第1の圧縮機入口を介して、前記第2の部分内へと受け取り、
-前記第1の流体の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力へと上昇させ、かつ、
-前記第2の圧力の前記第1の流体を、前記第1の圧縮機出口を介して供給する、ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記PXの高圧出口を介して前記PXから出力された前記第1の圧力の前記第1の流体を受け取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧縮機は、前記第2の圧力の前記第1の流体を、前記PXの低圧入口を介して前記PXへと出力するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の部分は、モータハウジング及びクランクケースを備えており、
前記モータハウジングは、第3の流体を受け取るように構成されており、
前記クランクケースは、前記モータハウジングに流体連通されており、かつ、
前記クランクケースは、前記モータハウジングから前記第3の流体を受け取りかつ前記第3の流体を出力するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記モータハウジングは、前記圧縮機のモータを冷却するための、前記第1の圧力よりも低い第3の圧力である前記第3の流体を受け取るように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の流体、前記第2の流体、及び前記第3の流体は、二酸化炭素(CO)を含んでいる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧縮機は、
前記クランクケース内に配置されたクランクシャフトと、
前記クランクケースに結合されたピストンハウジングと、
前記ピストンハウジング内に配置されたピストンと、をさらに含んでおり、前記ピストンは、接続ロッドを介して前記クランクシャフトに結合されており、かつ、前記ピストンは、前記モータによる前記クランクシャフトの回転に応じて、前記ピストンハウジングの内部体積部分の長手方向軸に沿って運動するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記圧縮機は、前記ピストンハウジングの頂部に結合されたヘッド部をさらに備えており、前記ヘッド部は、前記第1の圧縮機入口及び前記第1の圧縮機出口を形成しており、前記ピストンは、前記クランクシャフトの前記回転に応じて、前記ピストンハウジングの前記内部体積部分内の前記第1の流体を圧縮するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ヘッド部は、
前記第1の圧力の前記第1の流体を前記第1の圧縮機入口を介して受け取るように構成されている、吸引内部体積部分と、
前記第2の圧力の前記第1の流体を前記第1の圧縮機出口を介して供給するように構成されている、吐出内部体積部分と、を形成している、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記圧縮機の前記第2の部分は、前記ヘッド部と前記ピストンハウジングの間に配置されたバルブプレートアセンブリをさらに備えており、前記バルブプレートアセンブリは、
前記ヘッド部の前記吸引内部体積部分から前記ピストンハウジング内へ向かう、前記第1の流体の第1の流れを調整するように構成された、第1のバルブと、
前記ピストンハウジングから前記ヘッド部の前記吐出内部体積部分へと向かう、前記第1の流体の第2の流れを調整するように構成された、第2のバルブと、を備えている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の圧力は、約800重量ポンド毎平方インチ(PSI)(約5516kPa)よりも大きく、かつ前記第1の圧力と前記第2の圧力の間の差は、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)の間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
往復圧縮機であって、前記往復圧縮機は、
モータを収容するように構成されたモータハウジング及びクランクシャフトを収容するように構成されたクランクケースを備える、第1の部分であって、前記モータハウジングは第1の流体を受け取るように構成されており、前記クランクケースは前記モータハウジングに流体連通されており、かつ、前記クランクケースは、前記モータハウジングから前記第1の流体を受け取りかつ前記第1の流体を出力するように構成されている、第1の部分と、
前記第1の部分から流体的に隔離された第2の部分であって、前記第2の部分は圧縮機入口及び圧縮機出口を形成している、第2の部分と、を備えており、かつ、前記往復圧縮機は、
-前記圧縮機入口を介して前記第2の部分に入っていく第1の圧力の第2の流体を受け取り、
-前記第2の流体の圧力を前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇させ、かつ、
-前記第2の圧力の前記第2の流体を、前記圧縮機出口を介して供給するように構成されている、往復圧縮機。
【請求項13】
前記モータハウジングは、前記第1の圧力よりも低い第3の圧力の前記第1の流体を受け取って前記往復圧縮機のモータを冷却するように構成されており、前記第1の圧力は、約800重量ポンド毎平方インチ(PSI)(約5516kPa)よりも大きく、かつ前記第1の圧力と前記第2の圧力の間の差は、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)の間である、請求項12に記載の往復圧縮機。
【請求項14】
前記往復圧縮機は、
前記クランクケース内に配置されたクランクシャフトと、
前記クランクケースに対するピストンハウジングと、
前記ピストンハウジング内に配置されたピストンであって、前記ピストンは、接続ロッドを介して前記クランクシャフトに結合されており、かつ、前記ピストンは、前記モータによる前記クランクシャフトの回転に応じて、前記ピストンハウジングの内部体積部分の長手方向軸に沿って運動するように構成されている、ピストンと、
前記ピストンハウジングの頂部に結合されたヘッド部であって、前記ヘッド部は、前記圧縮機入口及び前記圧縮機出口を形成しており、前記ピストンは、前記クランクシャフトの前記回転に応じて、前記ピストンハウジングの前記内部体積部分内の前記第2の流体を圧縮するように構成されている、ヘッド部と、をさらに備えている、請求項12に記載の往復圧縮機。
【請求項15】
前記ヘッド部は、
前記第1の圧力の前記第2の流体を前記圧縮機入口を介して受け取るように構成されている、吸引内部体積部分と、
前記第2の圧力の前記第2の流体を前記圧縮機出口を介して供給するように構成されている、吐出内部体積部分と、を形成している、請求項14に記載の往復圧縮機。
【請求項16】
前記往復圧縮機は、前記ヘッド部と前記ピストンハウジングの間に配置されたバルブプレートをさらに備えており、前記バルブプレートは、
前記ヘッド部の前記吸引内部体積部分から前記ピストンハウジング内へ向かう、前記第2の流体の第1の流れを調整するように構成された、第1のバルブと、
前記ピストンハウジングから前記ヘッド部の前記吐出内部体積部分へと向かう、前記第2の流体の第2の流れを調整するように構成された、第2のバルブと、を備えている、請求項15に記載の往復圧縮機。
【請求項17】
方法であって、
圧縮機の第1の部分の第1の入口で、第1の圧力の第1の流体を受け取ることと、
前記第1の流体の圧力を、前記圧縮機を介して、前記第1の圧力から第2の圧力まで上昇させることと、
前記第2の圧力の前記第1の流体を、前記圧縮機の前記第1の部分の第1の出口を介して出力することと、
前記圧縮機の第2の部分の第2の入口で、第2の流体を受け取ることであって、前記第1の部分は前記第1の部分から流体的に隔離されるように構成されている、第2の流体を受け取ることと、
前記第2の流体を、前記圧縮機の前記第2の部分の第2の出口を介して出力することと、を含む方法。
【請求項18】
前記圧縮機の前記第2の部分はモータハウジング及びクランクケースを備えており、前記モータハウジングは前記第2の流体を受け取るように構成されており、前記クランクケースは前記モータハウジングに流体連通されており、かつ、前記クランクケースは前記モータハウジングから前記第2の流体を受け取りかつ前記第2の流体を出力するように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記圧縮機の前記第1の部分は、
ピストンハウジング内に配置されたピストンを備えており、前記ピストンは接続ロッドを介してクランクシャフトに結合されており、かつ、前記ピストンは、前記クランクシャフトの回転に応じて、前記ピストンハウジングの内部体積部分の長手方向軸に沿って運動するように構成されており、前記ピストンは、前記クランクシャフトの前記回転に応じて、前記ピストンハウジングの前記内部体積部分内の前記第1の流体を圧縮するように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の圧力は、約800重量ポンド毎平方インチ(PSI)(約5516kPa)よりも大きく、かつ前記第1の圧力と前記第2の圧力の間の差は、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)の間である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体ハンドリングシステムに関する。より具体的には、圧縮機を含む流体ハンドリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムは、異なる圧力の流体を使用する。システムは、ポンプ又は圧縮機を用い、流体の圧力を上昇させる。
【0003】
本開示は、添付図面の図によって例示されるが、限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A図1Aは、ある実施形態による、圧縮機を含む流体ハンドリングシステムの概略図を示している。
図1B図1Bは、ある実施形態による、圧縮機を含む流体ハンドリングシステムの概略図を示している。
【0005】
図2A図2Aは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
図2B図2Bは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
図2C図2Cは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
図2D図2Dは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
図2E図2Eは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
【0006】
図3図3は、ある実施形態による圧縮機の横断面図である。
【0007】
図4図4は、ある実施形態による、圧縮機を含む流体ハンドリングシステムの概略図である。
【0008】
図5A図5Aは、ある実施形態による圧縮機ヘッド部の横断面図である。
【0009】
図5B図5Bは、ある実施形態によるバルブプレートを示している。
【0010】
図5C図5Cは、ある実施形態によるバルブプレートアセンブリを示している。
【0011】
図6図6は、ある実施形態による、圧縮機の操作方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、圧縮機を含む流体ハンドリングシステム(例:流体ハンドリングシステム、熱伝達システム、圧力交換システム、二酸化炭素(CO)冷凍システム、COヒートポンプシステム)に関する。
【0013】
システムは、異なる圧力の流体を使用することが可能である。これらのシステムは、水圧破砕(例:フラッキング(fracking)又はフラッキング(fracing))システム、脱塩システム、冷凍システム、ヒートポンプシステム、エネルギー生成システム、マッドポンプシステム、スラリーポンプシステム、工業用流体システム、廃液システム、流体輸送システム、等を含み得る。ポンプ又は圧縮機が、システムに用いられている流体の圧力を上昇させるように用いられ得る。
【0014】
従来、冷凍システムは、プロセス流体(例:CO、R-744、R-134a、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、アンモニア(NH)、混合冷媒、R-407A、R-404A等の冷凍流体)の圧力を上昇させるために、プロセス流体を圧縮機に供給している。圧縮機は、オイルによって潤滑化されている。従来、潤滑油は、圧縮機のハウジング内で、(例えば、高圧の)プロセス流体にさらされている。このことによって、プロセス流体の潤滑油への溶解が引き起こされており、このことはオイルの潤滑化特性に影響を与える。プロセス流体にさらされたオイルは、粘性の低下及びその他の潤滑性能の低下を被り、それによって圧縮機の潤滑化が不十分になるおそれがある。従って、従来の圧縮機は、特にプロセス流体が高圧である(例:600重量ポンド毎平方インチ(PSI)(約4137kPa)より大きい)ときには、潤滑油中に溶解したプロセス流体の影響によって過剰な摩耗及び早期故障が発生するおそれがある。従来のシステムのプロセス流体中の不純物が、冷凍システムの構成要素に損傷を与え、冷凍システムの効率を低下させる可能性もある。
【0015】
本開示のシステム、装置、及び方法は、上記された従来の圧縮機の欠点を克服した圧縮機を含む(例えば、冷凍、冷却、加熱等のための)流体ハンドリングシステムを提供する。
【0016】
幾つかの実施形態では、システム(例:流体ハンドリングシステム、冷凍システム、ヒートポンプシステム、熱伝達システム、CO冷凍システム、COヒートポンプシステム)が、圧縮機(例:往復圧縮機、遠心圧縮機、軸流圧縮機、スクリュー圧縮機)を含む。圧縮機は、モータを収容するように構成された第1の部分を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の部分は、(例えば、モータを収容するための)モータハウジング及び(例えば、クランクシャフト及び/又は潤滑油を収容するための)クランクケースを含んでいる。クランクケースの内部は、モータハウジングの内部と流体連通され得る。圧縮機は、システム(例:システムの圧力交換器(PX))に流体連通されるように構成された第2の部分をさらに含み得る。幾つかの実施形態では、圧縮機の第2の部分は、第1の部分から流体的に隔離(例えば、実質的に流体的に隔離)されている(例えば、流体は、圧縮機の第1の部分と第2の部分の間を実質的に流れない)。圧縮機の第2の部分は、圧縮機入口及び圧縮機出口を含み得る。幾つかの実施形態では、圧縮機(例:圧縮機の第2の部分)は、第1の圧力の第1の流体を(例えば、圧縮機入口を介して)受け取り、その第1の流体を圧縮し、第2の圧力の第1の流体を(例えば、圧縮機出口を介して)供給するように構成されている。幾つかの実施形態では、第2の圧力は、第1の圧力よりも高い。
【0017】
幾つかの実施形態では、圧縮機の第1の部分(例:モータハウジング)は、第3の流体を受け取るように構成されている。幾つかの実施形態では、この第3の流体は、モータ及び/又は圧縮機の他の構成要素の温度を調節する(例えば、冷却又は加熱する)ためである。幾つかの実施形態では、クランクケースは、第3の流体をモータハウジングから受け取り、そしてその第3の流体を出力するように構成されている。第3の流体は、第1の圧力よりも低い第3の圧力で、圧縮機の第1の部分へと供給され得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、システムは、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換するように構成されたPXをさらに備えている。幾つかの実施形態では、PXは、第1のPX入口を介して第1の流体を、第2のPX入口を介して第2の流体を、受け取ることができる。このPXは、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換することができる。第1の流体は、第1のPX出口を介して該PXを出ていくことができ、第2の流体は、第2のPX出口を介してPXを出ていくことができる。幾つかの実施形態では、PXに入るときには、第1の流体が第2の流体よりも高い圧力であり、そしてPXを出ていくときには、(例えば、第1の流体と第2の流体の間での圧力交換により)第2の流体が第1の流体よりも高い圧力である、という場合がある。幾つかの実施形態では、PXに入るときには、第1の流体が第2の流体よりも低い圧力であり、そしてPXを出ていくときには、(例えば、第1の流体と第2の流体の間での圧力交換により)第2の流体が第1の流体よりも低い圧力である、という場合がある。
【0019】
本開示のシステム、装置、及び方法は、従来の解決方法に対して有利な点を有する。本開示のシステムは、従来のシステムと比較した際、圧縮機によりよい潤滑化特性を提供し得る。例えば、第3の流体を、(例えば、第1の圧力よりも低い)第3の圧力で圧縮機のモータハウジングに供給することにより、第3の流体は、モータハウジング内かつ/又はクランクケース内の潤滑油に溶解しづらくなり得る。従来のシステムと比較した際には、このことは、よりよい潤滑化特性につながり得る。さらに、従来のシステムと比較した際には、このよりよい潤滑化特性が、圧縮機の構成要素(例:軸受、軸受面)の摩耗の低減につながり得るのであって、ひいては、従来のシステムと比較して、より少ない圧縮機のメンテナンス及びより長い圧縮機の寿命につながり得る。さらに、本開示のシステムは、(例えば、よりよい品質の潤滑化の結果としてメンテナンスが少なくなったことによって)より少ない圧縮機のダウンタイムに繋がり得るのであって、このことはシステムの生産性の向上につながる。本開示のシステムはまた、従来のシステムと比較して、プロセス流体中の不純物もより少なくなっている。このことは、冷凍システムの構成要素への損傷を回避し、従来のシステムと比較した際の冷凍システムの効率の向上を提供する。
【0020】
本開示の幾つかの実施形態は、圧力交換器、エネルギー回収装置、水圧エネルギー伝達システム、及び圧縮機に関連して記述されているが、本開示の開示内容は、他のシステム及び装置(例:等圧的ではない圧力交換機、圧力交換器ではない回転要素、回転式ではない圧力交換器、圧力交換器を含まないシステム)にも適用可能である。
【0021】
本開示の幾つかの実施形態は圧縮機に関連して記述されているが、本開示の開示内容は、他の装置にも、例えばポンプ、ブースター、流体の圧力を上昇させる機械的装置にも、適用可能である。
【0022】
本開示の開示内容は、フラッキングシステム、脱塩システム、ヒートポンプシステム、及び/又は冷凍システムで使用される流体同士の間での圧力交換に関連して記述されているが、本開示は他のタイプのシステムにも適用可能である。流体という語は、液体、気体、遷臨界流体、超臨界流体、亜臨界流体、及び/又はそれらの組み合わせ、を指し得る。
【0023】
図1Aは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体ハンドリングシステム100Aの概略図を示している。
【0024】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110は、圧力交換器(例:PX)を含む。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、低圧(LP)in流体120を、(例えば、低圧入口を介して)LPinシステム122から受け取る。水圧エネルギー伝達システム110はまた、高圧(HP)in流体130を、(例えば、高圧入口を介して)HPinシステム132から受け取りもする。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、HPin流体130とLPin流体120の間で圧力を交換して、LPout流体140を(例えば、低圧出口を介して)LPout流体システム142に供給し、かつHPout流体150を(例えば、高圧出口を介して)HPout流体システム152に供給する。コントローラ180は、1つ以上の流量バルブ、ポンプ、及び/又は圧縮機(図示されてはいない)によって、HPin流体130及びLPout流体140の流量の調節をも引き起こし得る。コントローラ180は、流量バルブが作動するようにすることができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110は、HPin流体130とLPin流体120の間で圧力を交換するためのPXを備える。幾つかの実施形態では、このPXは、実質的又は部分的に等圧的である(例:等圧圧力交換器(IPX)である)。このPXは、(例えば、遠心技術を利用することなく)約50%、60%、70%、80%、90%を超える効率、又はそれより高い効率、を超える効率(例:実質的に等圧的な、圧力伝達効率)でHPin流体130とLPin流体120の間で流体の圧力を交換する装置であり得る。高圧(例:HPin流体130、HPout流体150)とは、低圧(例:LPin流体120、LPout流体140)よりも高い圧力を指す。PXのLPin流体120は、加圧され、高圧(例:LPin流体120の圧力よりも大きな圧力の、HPout流体150)でPXを出ていき得るのであって、かつHPin流体130は、少なくとも部分的には減圧され、低圧(例:HPin流体130の圧力よりも小さな圧力の、LPout流体140)でPXを出ていき得る。PXは、LPin流体120を加圧すべく、HPin流体130を用いて直接力を加えるように動作することができ、これは流体間の流体セパレータが存在するか否かによらない。PXと共に用いられ得る流体セパレータの例には、ピストン、ブラダー、ダイヤフラム、及び/又はそれらに類するものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。幾つかの実施形態では、PXは回転式の装置であり得る。回転式PXは、例えばカリフォルニア州サンレアンドロ所在のEnergy Recovery Inc.が製造しているような回転式PXは、エンドカバーに対するロータの相対運動を介して効果的なバルブ作用が装置内部で達成されるので、別個のバルブを有さなくてもよい。幾つかの実施形態では、回転式PXは、内部のピストンを動作させて流体を分離し、かつ相当に少ない入口流体流の混合でもって、圧力を伝達する。幾つかの実施形態では、回転式PXは、内部のピストンが流体同士の間に存在しない状態で動作する。往復PXは、流体流の間で圧力を伝達するためにシリンダ内で前後運動するピストンを含み得る。本開示では、例えば回転式PX、往復PX、又はそれらの任意の組み合わせ等、任意の1つ又は複数のPXが用いられ得るが、それらに限定されるわけではない。さらに、PXは、流体ハンドリングシステム100Aの他の構成要素とは別個であるスキッド上に配置されてもよい(例えば、PXが既存の流体ハンドリングシステムに追加される場合に)。幾つかの例では、PXは、ある位置から他の位置へと移動させられ得る構造に固定され得る。このPXは、現場で構築されたシステム(例:システムの配管等)に結合されてもよい。PXが固定される構造は、「スキッド」と呼称されることがある。
【0026】
幾つかの実施形態では、モータ160が、水圧エネルギー伝達システム110に(例:PXに)結合されている。幾つかの実施形態では、モータ160は、(例えば、HPout流体150の圧力を上昇させるように、HPout流体150の圧力を降下させるように)水圧エネルギー伝達システム110のロータの速度を制御する。幾つかの実施形態では、モータ160は、水圧エネルギー伝達システム110内での圧力交換に基づき、エネルギーを生成する(例:発電機として機能する)。
【0027】
水圧エネルギー伝達システム110は、水圧ターボチャージャー又は水圧式圧力交換器を、例えば回転式PXを、含み得る。PXは、第1の流体と第2の流体(例:気体、液体、多相流体)の間での圧力伝達を容易化するような、1つ以上の(例:1~100の)チャンバ及び/又はチャネルを含み得る。幾つかの実施形態では、PXは第1の流体(例:プロパント非含有流体、実質的にプロパント非含有の流体、粘性がより低い流体、閾値よりも少ない量の特定の化学物質を有する流体等の、圧力交換流体)と、第2の流体であって、より高い粘性を有する場合があり(例:非常に粘性であり得る)、閾値を超える量の特定の化学物質を含む場合があり、かつ/又は固体粒子を含む(例:フラッキング流体、及び/又は、砂、プロパント、粉末、デブリ、セラミックス、汚染物質、溶接又は半田付けされたジョイント部からの粒子等を含む流体)場合がある、第2の流体との間で、圧力を交換することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、LPinシステム122は、流体の圧力を上昇させてLPin流体120を形成するためのブースター123(例:ポンプ及び/又は圧縮機)を備えている。幾つかの実施形態では、LPinシステム122は、流体の圧力を上昇させてLPin流体120を形成するためのエジェクタを備えている。幾つかの実施形態では、LPinシステム122は、LPoutシステム142から気体を受け取る。幾つかの実施形態では、LPinシステム122は、レシーバ(例:フラッシュタンク)から流体を受け取る。レシーバは、水圧エネルギー伝達システム110から出力されたLPout流体140を受け取り得る。幾つかの実施形態では、LPinシステム122は、本明細書に記載の第1の部分及び第2の部分を有する圧縮機を備え得る。
【0029】
幾つかの実施形態では、HPoutシステム152は、HPout流体150の圧力を上昇させるためのブースター153(例:ポンプ及び/又は圧縮機)を備えている。幾つかの実施形態では、HPoutシステム152、HPinシステム132、LPoutシステム142、又はLPinシステム122のうち1つ以上は、本明細書に記載の第1の部分及び第2の部分を有する圧縮機(例:ブースター153、ブースター123、ブースター123又はブースター123以外の圧縮機)を備えている。幾つかの実施形態では、圧縮機の第1の部分(例:モータハウジング及び/又はクランクケース)は、低圧流体(例:LPin流体120の一部分)を受け取るように構成され得る。該低圧流体は、圧縮機の第1の部分を通過して流れ、第1の部分内に収容されているモータを冷却し得る。幾つかの実施形態では、圧縮機の第2の部分は、HPout流体150を受け取りかつHPout流体150の圧力を上昇させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、圧縮機の第2の部分に受け取られたHPout流体150は、圧縮機の第1の部分によって受け取られた低圧流体とは実質的には混合されない(例:圧縮機の第2の部分は、圧縮機の部分からは実質的に隔離されている)。ブースター153の第1の部分は、ブースター153の1つ以上の構成要素を潤滑化するための運滑油を収容し得る。
【0030】
流体ハンドリングシステム100Aは、流体ハンドリングシステム100Aの流体に関連付けられたセンサデータ(例:流量データ、圧力データ、速度データ等)を提供する、1つ以上のセンサをさらに備え得る。コントローラ180は、上記センサデータに基づき、流体ハンドリングシステム100Aの1つ以上の流量を制御し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、受け取ったセンサデータに基づいて1つ以上の流量バルブを作動させる。
【0031】
水圧エネルギー伝達システム110の1つ以上の構成要素は、異なる種類のシステムで使用することができ、例えば、フラッキングシステム、脱塩システム、冷凍及びヒートポンプシステム(例:図1B参照)、スラリーポンプシステム、工業用流体システム、廃液システム、流体輸送システム、熱伝達システム等で使用することができる。
【0032】
図1Bは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体ハンドリングシステム100Bの概略図を示している。流体ハンドリングシステム100Bは、冷凍システム又はヒートポンプシステムであってよい。幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム100Bは、熱エネルギー(例:熱)輸送システム(例:熱輸送(heat transport)システム、熱エネルギー輸送(thermal transport)システム)である。流体ハンドリングシステム100Bは、環境(例:屋内空間、冷凍装置、冷凍庫)を冷却及び/又は加熱するように構成され得る。幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム100Bは、図1Bに示されているものに対して、より多くの構成要素、より小さな構成要素、同じ作業工程、異なる作業工程、及び/又はそれに類するものを含む。図1Aにあるのと同様の参照符号を有する図1Bの幾つかの特徴は、図1Aにあるのと同様の特性、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0033】
水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、LPin流体120をLPinシステム122(例:低圧リフト装置128、低圧流体ポンプ、低圧ブースター、低圧圧縮機、低圧エジェクタ等)から受け取ることができ、かつHPin流体130をHPinシステム132(例:凝縮器138、ガスクーラー、熱交換器等)から受け取ることができる。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、LPin流体120とHPin流体130の間で圧力を交換して、HPout流体150をHPoutシステム152(例:高圧リフト装置159、高圧流体ポンプ、高圧ブースター、高圧圧縮機、高圧エジェクタ等)に供給し、かつLPout流体140をLPoutシステム142(例:蒸発器144、熱交換器等)に供給することができる。LPoutシステム142(例:蒸発器144)は、流体を圧縮機178及び低圧リフト装置128に供給し得る。蒸発器144は、流体を圧縮機178に供給することができる。凝縮器138は、流体を圧縮機178及び高圧リフト装置159から受け取ることができる。コントローラ180は、流体ハンドリングシステム100Bの1つ以上の構成要素を制御し得る。高圧リフト装置159は高圧ブースターであってよく、かつ、低圧リフト装置128は低圧ブースターであってよい。
【0034】
流体ハンドリングシステム100Bは、閉鎖系であり得る。LPin流体120、HPin流体130、LPout流体140、及びHPout流体150は、すべて流体ハンドリングシステム100Bの閉鎖系内部で循環させられる流体(例:冷媒、同一の流体)であり得る。
【0035】
流体ハンドリングシステム100Bは、流体に関連付けられたセンサデータを提供するように構成された1つ以上のセンサをさらに備え得る。1つ以上の流量バルブは、当該1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づき、流体の流量を制御し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、受け取ったセンサデータに基づき、1つ以上の流量バルブ(図示されてはいない)を作動させる。
【0036】
幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム100Bは、本明細書に記載の圧縮機を備えている。例えば、高圧リフト装置159、低圧リフト装置128、及び/又は圧縮機178は、2つの部分を有する圧縮機であり得る。第1の部分は、モータを収容するように構成され得るのであり、さらに低圧流体(例:冷却流体、LPin流体120の一部分)を受け取るように構成され得る。高圧リフト装置159の第2の部分は、HPout流体150を受け取りかつHPout流体150の圧力を上昇させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、第2の部分は第1の部分から流体的に隔離されている(例えば、実質的に流体的に隔離されている)。第1の部分は、高圧リフト装置159、低圧リフト装置128、及び/又は圧縮機178の1つ以上の構成要素を潤滑化するための潤滑油を収容し得る。
【0037】
図2A~Eは、ある実施形態による回転式PX40(例:回転式圧力交換器、回転式液体ピストン圧縮機(LPC))の分解斜視図である。図2A~Eのうち1つ以上に記載の特徴のうちいくつかは、図1A~Bに記載されているものと類似の特性、機能、及び構造を有し得る。図2A~EのPX40は、本明細書に記載の圧縮機278を含むシステムの一部であり得る。圧縮機278は、2つの部分を有し得る。圧縮機の第1の部分は、モータ(及び、例えば潤滑油)を収容することができ、かつ、低圧流体(例:冷却流体)を受け取るように構成され得る。圧縮機278の第2の部分は、PX40に流体連通され得る。第2の部分は、第1の部分から流体的に隔離され得る。圧縮機278は、第1の圧力の第1の流体を、第1の圧縮機入口を介して第2の部分内へと受け取り、第1の流体の圧力を第1の圧力から第2の圧力へと上昇させ、かつ第2の圧力の第1の流体を第1の圧縮機出口を介して供給し得る。
【0038】
PX40は、第1の流体(例:冷媒、粒子非含有流体、プロパント非含有流体、超臨界二酸化炭素、HPin流体130)と第2の流体(例:冷媒、スラリー流体、フラッキング流体、過熱二酸化炭素ガス、LPin流体120)の間で、最小限の流体混合でもって圧力及び/又は仕事を伝達するように構成されている。回転式PX40は、スリーブ44(例:ロータスリーブ)及びロータ46を含む、概してシリンダ形状体である部分42を含み得る。また、回転式PX40は、それぞれマニホールド52及び54を含む2つのエンドキャップ48及び50も含み得る。マニホールド52は、それぞれの入口ポート56及び出口ポート58を含み、一方、マニホールド54は、それぞれの入口ポート60及び出口ポート62を含む。運転中は、これらの入口ポート56、60は、第1の流体及び第2の流体が回転式PX40に入って圧力を交換することを可能にし、一方、出口ポート58、62は、その後で第1の流体及び第2の流体が回転式PX40を出ることを可能にする。運転中、入口ポート56は、高圧の第1の流体(例:HPin流体130)を受け取り得るのであって、圧力交換後には、出口ポート58が、低圧の第1の流体(例:LPout流体140)を回転式PX40外へ向かわせるよう経路設定するように用いられ得る。同様にして、入口ポート60は、低圧の第2の流体(例:LPin流体120)を第2の部分からは流体的に隔離された第1の部分を有するブースターから受け取り、出口ポート62は、高圧の第2の流体(例:HPout流体150)を回転式PX40外へ向かわせ、第2の部分からは流体的に隔離された第1の部分を有するブースターへと至らせるよう経路設定するように用いられ得る。エンドキャップ48及び50は、それぞれのマニホールド52及び54内に配置された、ロータ46と流体シールで接触することを可能にする、それぞれのエンドカバー64及び66(例:エンドプレート)を含む。
【0039】
ロータ46、エンドカバー64、及び/又はエンドカバー66等、PX40の1つ以上の構成要素は、事前決定された閾値(例:ビッカース硬さ値で、少なくとも1000、1250、1500、1750、2000、2250、又はそれらより大きい値)よりも大きな硬度を有する、摩耗に耐性のある材料(例:カーバイド、超硬合金、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド等)から構成されることができる。幾つかの例では、タングステンカーバイドは、アルミナ加工セラミックス等の他の材料と比べて、耐久性がより高くあり得るのであって、かつ研磨性流体に対するより高い摩耗耐性を提供し得る。加えて、幾つかの実施形態では、ロータ46、エンドカバー64、エンドカバー66、及び/又はPX40の他のシール表面等、PX40の1つ以上の構成要素は、インサートを有し得る。幾つかの実施形態では、該インサートは、摩耗耐性を改良するために、事前決定された閾値(例:ビッカース硬さ値で、少なくとも1000、1250、1500、1750、2000、2250、又はそれらより大きい値)よりも大きな硬度を有する、1つ以上の摩耗に耐性のある材料(例:カーバイド、超硬合金、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド等)から構成され得る。
【0040】
ロータ46は、シリンダ状でありかつスリーブ44内に配置され得るのであって、これにより、ロータ46が軸68を中心に回転することが可能になる。ロータ46は、複数のチャネル70(例:ダクト、ロータダクト)を有し得るのであって、それらのチャネル70は、長手方向軸68を中心に対称に配置された各端にある開口72と74(例:ロータポート)を有するロータ46を貫く長手方向に実質的に延びている。ロータ46の開口72及び74は、回転の間、チャネル70が高圧の流体及び低圧の流体にさらされるようなやり方で、エンドカバー64及び66内の、入口アパーチャ76と出口アパーチャ78(例:エンドカバー入口ポートとエンドカバー出口ポート)の間の、及び80と82(例:エンドカバー入口ポートとエンドカバー出口ポート)の間の、水圧的な連通のために配置されている。図示されているように、入口アパーチャ76及び出口アパーチャ78、ならびに80及び82は、円弧又は円のセグメント(例:C字形状)の形態で設計され得る。
【0041】
幾つかの実施形態では、コントローラ(例:図1A~Bのコントローラ180)が、センサデータ(例:タコメータ又は光学エンコーダを通じて測定された1分ごとの回転数、流量計を通じて測定された体積流量等)を用いて、回転式PX40内における第1の流体と第2の流体の間の混合の程度を制御し得るのでありこのことは、流体ハンドリングシステム(例:図1A~Bの流体ハンドリングシステム100A~B)の操作性を向上させるように用いられ得る。幾つかの例では、回転式PX40に入る第1の流体及び/又は第2の流体の体積流量を変化させることで、オペレータ(例:システムオペレータ、プラントオペレータ)は、PX40内での流体混合の量を制御することができる。さらに、ロータ46の回転速度を(例えば、モータを介して)変化させることによっても、オペレータは混合を制御することができる。混合に影響する回転式PX40の3つの特徴は、(1)ロータのチャネル70のアスペクト比、(2)第1の流体と第2の流体の間の接触持続時間、及び(3)ロータのチャネル70内での、第1の流体と第2の流体の間の隔壁(例:流体隔壁、ピストン、界面)形成、である。第1に、ロータのチャネル70(例:ダクト)は、一般的には長くかつ狭く、このことが、回転式PX40内の流れを安定化させる。加えて、第1の流体及び第2の流体は、最小限の軸方向の混合でもって、栓流の枠組みでチャネル70を通って移動し得る。第2に、ある実施形態では、ロータ46の速度は、第1の流体と第2の流体の間の接触を減少させる。幾つかの例では、ロータ46の速度(例:約1200RPM(1分あたり回転数)のロータ速度)は、第1の流体と第2の流体の間の接触時間を、約0.15秒未満、0.10秒未満、又は0.05秒未満まで減少させ得る。第3に、第1の流体と第2の流体の間の圧力交換に用いられるのは、ロータのチャネル70(例:ロータのチャネル70の小さな部分)である。幾つかの実施形態では、流体の体積は、第1の流体と第2の流体の間の隔壁として、チャネル70内に残る。これらすべての機構は、回転式PX40内での混合を制限し得る。さらに、幾つかの実施形態では、回転式PX40は、圧力の伝達を可能にしつつ第1の流体と第2の流体を分離する、完全又は部分的な内部のピストン又は他の隔壁と共に動作するように設計され得る。
【0042】
図2B~2Eは、チャネル70が完全なサイクルを通じて回転する際の、ロータ46内における単一のロータのチャネル70の位置のシークエンスを例示する、回転式PX40の一実施形態の分解図である。図2B~2Eは、ロータのチャネル70が1つ示されている、回転式PX40の単純化であり、かつ、そのチャネル70は、円形の横断面形状を有するように示されていることには、留意されたい。他の実施形態では、回転式PX40は、同一又は異なる横断面形状(例:円形、楕円形、正方形、矩形、多角形等)を有する、複数のチャネル70を含んでよい。即ち、図2B~2Eは、説明の目的のための単純化であり、回転式PX40の他の実施形態は、図2A~2Eに示されている構成とは異なる構成を有する場合がある。以下で詳細に述べられるように、回転式PX40は、第1の流体と第2の流体(例:高圧冷媒及び低圧冷媒等)がロータ46の内部で互いにわずかに接触できるようにすることにより、第1の流体と第2の流体の間での圧力交換を容易化する。幾つかの実施形態では、このPXは、第1の流体及び第2の流体が隔壁(例:往復する隔壁、ピストン。図示されてはいない)の反対側同士の面に接触できるようにすることにより、第1の流体と第2の流体の間の圧力交換を容易化する。幾つかの実施形態では、この交換は、第1の流体と第2の流体の制限された混合をもたらすような速度で起きる。(チャネルがアパーチャ76に対して露出してすぐの)ロータのチャネル70を通過する圧力波の速度、流体の拡散の速度、及び/又はロータ46の回転速度によって、混合が発生するかどうか、及びどの程度起きるかが規定され得る。
【0043】
図2Bは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。図2Bにおいては、チャネルの開口72は、最初の位置にある。この最初の位置では、チャネルの開口72は、エンドカバー64のアパーチャ78と、従ってマニホールド52と、流体連通しており、一方、反対側のチャネルの開口74は、エンドカバー66のアパーチャ82と、ひいてはマニホールド54と、水圧的に連通している。ロータ46は、矢印84で示される時計回りの方向に回転し得る。運転中、低圧の第2の流体86(例:低圧冷媒)は、エンドカバー66を通過し、チャネル70に入り、その中で第1の流体88と動的流体界面90で接触する。そして、第2の流体86は、第1の流体88をチャネル70から追い出し、エンドカバー64を通過させ、回転式PX40から追い出す。しかしながら、接触の持続時間は短いので、第2の流体86(例:低圧冷媒)と第1の流体88(例:高圧冷媒)の間での混合は最小限である。幾つかの実施形態では、低圧の第2の流体86は、チャネル70内に配置された隔壁(例:ピストン。図示されてはいない)の第1の側に接触する。ここで、第1の流体88が、その隔壁に(例:隔壁の反対の側で)接触している。第2の流体86は、隔壁を駆動し、第1の流体88をチャネル70外へと追い出す。そのような実施形態では、第2の流体86と第1の流体88の間の混合は無視できる。
【0044】
図2Cは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。図2Cでは、チャネル70は、約90度の円弧を通って時計回りに回転している。この位置では、開口74(例:出口)はもはやエンドカバー66のアパーチャ80及び82と流体連通してはおらず、開口72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76及び78と流体連通してはいない。従って、低圧の第2の流体86が一時的にチャネル70内に収容されている。
【0045】
図2Dは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。図2Dでは、チャネル70は、図2Bに示された位置から約60度の円弧を通って回転している。開口74は、ここではエンドカバー66のアパーチャ80と流体連通しており、チャネル70の開口72は、ここではエンドカバー64のアパーチャ76と流体連通している。この位置では、高圧の第1の流体88は低圧の第2の流体86に入りかつそれを加圧し、第2の流体86をロータのチャネル70から追い出して、アパーチャ80を通過させる。
【0046】
図2Eは、ある実施形態による、回転式PX(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。図2Eでは、チャネル70は、図2Bに示された位置から約270度の円弧を通って回転している。この位置では、開口74はもはやエンドカバー66のアパーチャ80及び82と流体連通してはおらず、開口72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76及び78と流体連通してはいない。従って、第1の流体88はもはや加圧されておらず、ロータ46がさらに90度回転して上記のサイクルが再び開始されるまで、一時的にチャネル70内に収容される。
【0047】
図3は、ある実施形態による圧縮機300の横断面図である。幾つかの実施形態では、圧縮機300はブースター(例:高圧ブースター、低圧ブースター、図4のHPブースター412、図4AのLPブースター414、図1Aのブースター123及び/又はブースター153)である。幾つかの実施形態では、圧縮機300は、図1Bの低圧リフト装置128、高圧リフト装置159、及び/又は圧縮機178と同じか又は類似の特徴及び/又は機能を有している。幾つかの実施形態では、圧縮機300は、図2A~Eの圧縮機278と同じか又は類似の特徴及び/又は機能を有している。圧縮機300は、圧縮機300によって受け取られた流体の圧力を「ブースト」(例:上昇)させ得る。幾つかの実施形態では、圧縮機300は、モータハウジング310及びクランクケース320を含んでいる。モータハウジング310及びクランクケース320は、圧縮機300の第1の部分を形成し得る。幾つかの例では、モータハウジング310及びクランクケース320は、(例えば、互いに統合された)単一のユニットであり得る(例えば、単一のユニットとして製造され得る、又は単一のユニットとして鋳造され得る)。他の例では、モータハウジング310及びクランクケース320は、(製造された後に、例えば、溶接によって、1つ以上の固定具によって)結合され得る。モータハウジング310は、内部体積部分を形成し、その内部体積部分内にモータ312(例:電気モータ)を収容するように構成され得る。モータ312は、1つ以上のモータ取付具(図示されてはいない)によってモータハウジング310の内部体積部分内で支持及び/又は固定され得る。モータ取付具は、モータハウジング310内でモータ312を取り外し可能に固定するための、1つ以上の固定具を含み得る。
【0048】
幾つかの実施形態では、クランクケース320は、クランクシャフト324を収容し得る。クランクケース320は、潤滑油322を集めておくように構成されたサンプ(例:クランクケース320の内部体積部分の底部)を形成し得る。幾つかの実施形態では、クランクケースは、潤滑油322がサンプから圧縮機300の潤滑化される面及び/又は潤滑化される軸受へと流れるための、1つ以上のポート、通路、導管等を備えている。幾つかの例では、潤滑油322は、クランクシャフト324を支持する1つ以上の軸受を潤滑化するように使用される。クランクケース320の内部は、モータハウジング310の内部と流体連通され得る。幾つかの実施形態では、1つ以上のポート、通路、開口等が、モータハウジング310の内部をクランクケース320の内部に接続している。図3に図示されているように、クランクケース320の内部は、冷却流ポート328によって、モータハウジング310の内部に流体連通されている場合もある。冷却流ポート328は、流体(例:低圧流体、冷却流体)がモータハウジング310からクランクケース320へと流れるためのポート(例:通路)であり得る。
【0049】
幾つかの実施形態では、モータハウジング310は冷却入口370を備えている。幾つかの例では、この入口は、流体(例:冷却流体371)がモータハウジング310の内部へと入るためのポート及び/又は通路である。冷却流体371は、低圧流体(例:低圧気体)であり、かつ冷却流体371がモータハウジング310を通って流れていく際にモータ312を冷却する、という場合がある。幾つかの実施形態では、冷却流体371は、モータ312を加熱する流体である。幾つかの実施形態では、冷却流体371はCOであり得る。幾つかの実施形態では、この流体の圧力は、潤滑油322内に溶解しない程度に十分に低い。幾つかの例では、冷却流体371の圧力は、約600PSI(約4137kPa)である。幾つかの例では、冷却流体371の圧力は、200PSI~800PSI(約1379kPa~約5516kPa)の間である。冷却入口370を介してモータハウジング310に入った後で、冷却流体371は、冷却流ポート328(例:1つ以上のポート及び/又は通路)を通ってクランクケース320へと流れ得る。クランクケース320の内側では、潤滑油322は冷却流体371にさらされ得るが、冷却流体がかなり低圧である(例:幾つかの実施形態においては600PSI(約4137kPa)である、低圧)ので、潤滑油322に溶解する冷却流体371の量は最小限であり得る。このようにして、潤滑油322は、その潤滑化特性を実質的に維持し得る。冷却流体371は、冷却出口372を介してクランクケース320外へと流れ得る。幾つかの実施形態では、冷却流体371は、冷却出口372から、潤滑油322を冷却流体371から分離するためのオイル分離器(例:図4のオイル分離器474)へと出力され得る。オイル分離器は、冷却流体371から分離された潤滑油322を、クランクケース320のサンプへと戻すように供給し得る。幾つかの実施形態では、冷却流体371は、閉回路を流れる。幾つかの例では、冷却流体371は、モータ312によって加熱され(例えば、冷却流体371はモータ312を冷却し)、圧縮機300から、熱交換器(例:凝縮器、冷却塔)へと流れ、そこで冷却流体371は冷却される。冷却流体371は、熱交換器からモータハウジング310へと流れ、モータ312を冷却する。
【0050】
幾つかの実施形態では、圧縮機300は、シリンダ340及びシリンダヘッド部350(例:図5Aの圧縮機ヘッド部500)を備えている。幾つかの実施形態では、圧縮機300は複数のシリンダ及び複数のシリンダヘッド部を備えており、各シリンダヘッド部が1つのシリンダに対応している。幾つかの実施形態では、シリンダ340は、クランクケース320に結合されている。シリンダ340は、ピストンハウジングであり得る(例:シリンダ340はピストン342を収容し得る)。シリンダ340は、内部体積部分を備え得る。幾つかの実施形態では、シリンダ340の内部体積部分の横断面は円形である。もっとも、他の実施形態においては、シリンダ340の内部体積部分の横断面は、卵型、正方形、又は他の適した形状である。ピストン342は、シリンダ340の内部体積部分内に配置され得る。幾つかの実施形態では、ピストン342は、接続ロッド326を介してクランクシャフト324に結合される。ピストン342は、リストピン(図示されてはいない)によって接続ロッド326に結合され得る。該リストピンは、ピストン342をリストピンにインタフェース接続し、かつ/又はリストピンを接続ロッド326にインタフェース接続するための、1つ以上の軸受及び/又はブッシングを備え得る。接続ロッド326は、クランクシャフト324とインタフェース接続するための1つ以上の軸受及び/又はブッシングを備え得る。本明細書で論じられる軸受及び/又はブッシングの各々は、潤滑油322によって潤滑化され得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、ピストン342は、圧縮機300の冷却流体部分(例:第1の部分)を圧縮機300のプロセス流体部分(例:第2の部分、冷媒部分)から分離する。圧縮機300の冷却流体部分は、本明細書で論じられるモータハウジング310及びクランクケース320を含み得る。圧縮機300のプロセス流体部分は、シリンダ340の上部内部体積部分(例:ピストン342の上方の体積部分)及びシリンダヘッド部350を備え得る。幾つかの実施形態では、圧縮機300の第2の部分(例:プロセス流体部分、冷媒部分)は、圧縮機300の冷却流体部分(例:冷却流体部分)から流体的に隔離されるように構成されている。ピストン342のシール表面(例:外側シール表面、シールリング)が、ピストン342とシリンダ340の界面を実質的にシールすることができる。幾つかの例では、ピストン342は、クランクケース320をシリンダ340の上部体積部分(例:ピストン342の上方の体積部分)から流体的に隔離するための複数の交換可能なシールリング(図示されてはいない)を備えている。複数の交換可能なシールリングは、1つ以上の圧力シールリング及び1つ以上のオイルシールリングを備え得る。幾つかの例では、複数の圧力シールリングが、ピストンの頂部付近でピストン342をまわるように配置され、かつ、1つ以上のオイルシールリングが、上記複数の圧力シールリングの下側でピストン342の周囲に配置されている。幾つかの実施形態では、上記シールリングは金属製であり得る。
【0052】
幾つかの実施形態では、シリンダヘッド部350は、吸引サイド352及び吐出サイド354を備えている。吸引サイド352は、吸引内部体積部分を形成し得る。吸引内部体積部分は、プロセス流体361(例:冷媒、CO)がシリンダ340に進入するための、1つ以上のチャンバ及び/又は通路を備え得る。幾つかの実施形態では、プロセス流体361は、圧縮機入口360を介して、シリンダヘッド部350の吸引サイド352内へと導入される。幾つかの実施形態では、プロセス流体361は、高圧で、吸引サイド352内へと導入される。幾つかの例では、プロセス流体361は、約1200PSI(約8274kPa)で圧縮機300によって受け取られる。幾つかの例では、プロセス流体361は、約700PSI~約1600PSI(約4826kPa~約11032kPa)で、圧縮機300によって受け取られる。幾つかの実施形態では、圧縮機300は、PXの高圧出口(例:図4のPX410の高圧出口)から出力された第1の圧力の第1の流体を受け取るように構成されている。幾つかの実施形態では、プロセス流体361は、冷却流体371と同じ流体である(が、例えば、より高圧である)。幾つかの例では、プロセス流体361と冷却流体371の両方が、CO等の冷媒である。
【0053】
シリンダヘッド部350は、1つ以上の固定具(図示されてはいない)によってシリンダ340の頂部に結合され得る。幾つかの例では、シリンダヘッド部350は、複数のボルトによってシリンダ340に固定されている。バルブプレートアセンブリ355は、シリンダヘッド部350とシリンダ340の間に配置され得る。バルブプレートアセンブリ355の底面は、シリンダ340の内部体積部分の頂部を確定し得る。バルブプレートアセンブリ355は、1つ以上のバルブを備え得る。幾つかの実施形態では、バルブプレートアセンブリ355は、吸入バルブ356及び吐出バルブ358を備えている。吸入バルブ356は、プロセス流体361がシリンダ340の上部体積部分に入ることを可能にするように、開くことができる。吐出バルブ358は、プロセス流体361がシリンダ340の上部体積部分から出ていくことを可能にするように、開くことができる。幾つかの実施形態では、吸入バルブ356及び/又は吐出バルブ358は、リードバルブであり得る。他の実施形態では、吸入バルブ356及び/又は吐出バルブ358は、ポペットバルブである場合もある。幾つかの実施形態では、吸入バルブ356又は吐出バルブ358のうち一方がリードバルブであり、他方はポペットバルブである、という場合がある。幾つかの実施形態では、シリンダヘッド部350は、吸入バルブ356に結合された1つ以上のばね、及び/又はバルブを閉じかつ/又はバルブを閉鎖位置に保つための吐出バルブ358、を備え得る。吸入バルブ356及び吐出バルブ358は、各々、閉鎖位置にあるとき、バルブ開口をシールし得る。
【0054】
ピストン342、吸入バルブ356、及び/又は吐出バルブ358の動作は、周期的なものであり得る。幾つかの例では、ピストン342が(例えば、クランクシャフト324の回転に応じて)シリンダ340の内部体積部分の長手方向軸に沿って下向きに運動している際、負圧がシリンダ340の上部体積部分(例:ピストン342の上方の、シリンダ340の内部体積部分)に引き起こされる。吸入バルブ356が開くと、開放された吸入バルブ356を介して、プロセス流体361が吸引サイド352からシリンダ340内へと引き込まれ得る。ピストン342がそのストロークの底点に達したとき、吸入バルブ356は閉じ得る。ピストン342が上向きに運動している際、正圧がシリンダ340の上部体積部分内に導入される。吐出バルブ358が開くと、開放された吐出バルブ358を介して、シリンダ340の上部体積部分にあるプロセス流体361がシリンダ340から吐出サイド354へと押し込まれ得る。ピストン342がそのストロークの頂点に達する際、吐出バルブ358は閉じ得るのであって、1つのサイクルが完了される。その後、ピストン342がクランクシャフト324の回転に応じて下向きのストロークを開始し、上記サイクルは再開される。
【0055】
ピストン342がシリンダ340の内部体積部分を上向きに運動している際、プロセス流体361は圧縮され得る。幾つかの実施形態では、プロセス流体361の圧力は、ピストン342の運動(例:圧縮)によって、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)だけ上昇させられ得る。圧縮されたプロセス流体361は、圧縮機出口362を介して、シリンダヘッド部350の吐出サイド354を出ていき得る。幾つかの実施形態では、吐出サイドは、吐出内部体積部分を形成する。吐出サイド354は、プロセス流体361がシリンダ340から圧縮機出口362へと進出するための、1つ以上のチャンバ及び/又は通路を含み得る。幾つかの実施形態では、圧縮機300は、第2の圧力の第1の流体を、(例えば、PXの低圧入口を介して)PXへと出力するように構成されている。
【0056】
図4は、ある実施形態による、圧縮機(例:高圧ブースター、低圧ブースター、圧縮機300)を含む流体ハンドリングシステム400の概略図である。幾つかの実施形態では、HPブースター424、LPブースター414、及び/又は圧縮機422のうち1つ以上は、図1Aのブースター123、図1Aのブースター153、図1Bの圧縮機178、図1Bの低圧リフト装置128、図1Bの高圧リフト装置159、図2A~Eの圧縮機278、及び/又は図3の圧縮機300のうち1つ以上と同じか又は類似の特徴及び/又は機能を有する。幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム400は、熱エネルギー輸送システムである。PX410は、回転式圧力交換器であり得る。幾つかの実施形態では、PX410は、等圧的又は実質的に等圧的な圧力交換器である。PX410は、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換するように構成され得る。幾つかの実施形態では、PX410はモータ460と結合されている(例えば、PX410のロータの回転がモータ460によって制御される)。幾つかの実施形態では、モータ460はPX410の回転速度を制御する。PX410を通る(例えば、第1の流体及び/又は第2の流体の)質量流量は、PX410の回転速度に関連し得る。幾つかの実施形態では、凝縮器429の流体(例:第1の流体)の圧力は、PX410の回転速度に関連し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ(例:コントローラ480)は、モータ460の1つ以上のセンサからのセンサデータを受け取る。
【0057】
幾つかの実施形態では、PX410は、高圧の第1の流体(例:図1A~BのHPin流体130)を、高圧入口を介して受け取るようになっている。幾つかの実施形態では、PX410は、低圧の第2の流体(例:図1A~BのLPin流体120)を、低圧入口を介して受け取るようになっている。「高圧」及び「低圧」という記載があるが、「高圧」及び「低圧」は、互いに対して相対的なものであり得るのであって、特定の圧力値を示唆していなくてもよい(例:HPin流体130の圧力は、LPin流体120の圧力よりも高い)。PX410は、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換し得る。PX410は、低圧出口を介して第1の流体を供給し(例:LPout流体140)、かつ高圧出口を介して第2の流体を供給する(例:HPout流体150)ことができる。幾つかの実施形態では、低圧出口を介して供給される第1の流体は低圧であり、かつ高圧出口を介して提供される第2の流体は高圧である。
【0058】
幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム400は、凝縮器429(例:ガスクーラー)、蒸発器418、及び圧縮機422を含む。幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム400は、冷凍システムである。幾つかの実施形態では、凝縮器429は、熱を冷媒(例:第1の流体)から環境へと供給する熱交換器である。
【0059】
幾つかの実施形態では、凝縮器429は、凝縮器429を流れる流体を(例えば、その流体を冷却しつつ)凝縮させる、熱交換器である。冷媒の相は、凝縮器429内で気体から液体に変化し得る(例:凝縮し得る)。幾つかの実施形態では、凝縮器429は、凝縮器429を流れる流体を凝縮させない(例えば、流体を凝縮させることなく冷却する)熱交換器である。幾つかの実施形態では、凝縮器429内での流体の圧力は、流体の臨界圧力よりも大きい。幾つかの実施形態では、凝縮器429はガスクーラーであり、流体を凝縮させない(例えば、気体状態のままにしておく)。凝縮器429は、熱を流体(例:気体)から対応する環境へと供給し得る。幾つかの実施形態では、凝縮器429内の流体の温度は低下させられるものの、流体は凝縮しない(例えば、流体が気体から液体へと相を変えることはない)という場合がある。幾つかの実施形態では、流体の(例:冷媒の)臨界圧力よりも上においては、凝縮器429内の流体の液相と気相の間の熱力学的区別が消失し、超臨界状態と呼称される単一の流体の状態のみが存在している。
【0060】
流体ハンドリングシステム400は、フラッシュタンク413(例:レシーバ)を含み得る。幾つかの実施形態では、フラッシュタンク413は、PX410の低圧出口から出力された流体(例:第1の流体)の流れを受け取るように構成されたレシーバである。フラッシュタンク413は、PX410の第1の出口から第1の流体を集めるチャンバを形成し得る。フラッシュタンク413は、二相状態(例:液体及び気体)の第1の流体を受け取り得る。幾つかの実施形態では、フラッシュタンク413は、溶接された板金で構成されたタンクである。フラッシュタンク413は、鋼(例:鋼板、スチールプレート)から作製され得る。(低圧の)第1の流体は、フラッシュタンク413の内側で気体及び液体に分離し得る。第1の流体の液体はフラッシュタンク413の底部に溜まり得るのであり、一方、第1の流体の気体はフラッシュタンク413の頂部へと昇っていき得る。この液体は、(例えば、膨張バルブ416を介して)フラッシュタンク413から蒸発器418に向かって流れ得る。フラッシュタンク413のチャンバは、設定された圧力(例:事前決定された圧力)に維持され得る。この圧力は、ユーザ(例:オペレータ、技術者、エンジニア)によって、かつ/又はコントローラ(例:コントローラ480)によって、設定され得る。幾つかの実施形態では、フラッシュタンク413の圧力は、1つ以上のバルブ(例:フラッシュガスバルブ420、圧力調整バルブ、安全バルブ)によって制御される。幾つかの実施形態では、フラッシュタンク413は、少なくとも1つの圧力センサ(例:圧力トランスデューサ)を含んでいる。
【0061】
流体ハンドリングシステム400は、PXシャットオフバルブ464を備え得る。PXシャットオフバルブ464は、PX410の高圧入口へと向かう第1の流体(例:高圧流体)の流れを制御し得る。幾つかの実施形態では、PXシャットオフバルブ464は、コントローラ480によって制御される。コントローラ480は、PXシャットオフバルブ464を、流体ハンドリングシステム400の1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づいて作動(例:開閉)させることができる。幾つかの実施形態では、PXシャットオフバルブ464は、ユーザによって(例えば、手動で、コントローラ480を介したユーザコマンドによって)作動させられ得る。
【0062】
流体ハンドリングシステム400は、パラレルバルブ448を備え得る。パラレルバルブ448は、膨張バルブ又は流量制御バルブであり得る。幾つかの実施形態では、パラレルバルブ448は、PX410と並行して、凝縮器429の出口からフラッシュタンク413への流体の流量を選択的に調整する。幾つかの実施形態では、パラレルバルブ448は、(例えば、パラレルバルブ448の)開口部を選択的に開閉することによって、凝縮器429(例:ガスクーラー)の圧力を制御する。幾つかの実施形態では、パラレルバルブ448は、凝縮器429内の流体の流量を選択的に調整するか、又は流体の圧力を選択的に調整するように作動させられ得る。パラレルバルブ448は、凝縮器429によって出力された流体の一部分を選択的に膨張タンク413へと供給し得る。幾つかの例では、パラレルバルブ448は、さらに開かれて、より多くの流体を凝縮器429からフラッシュタンク413へと流すように作動させられることができ、又は、パラレルバルブ448は、さらに閉じられて、より少ない流体を凝縮器429からフラッシュタンク413へと流すように作動させられることができる。流体がパラレルバルブ448を通って流れていく際に流体は膨張し、流体の圧力及び/又は温度の低下が引き起こされる。幾つかの実施形態では、コントローラ480は、パラレルバルブ448を、流体ハンドリングシステム400の1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づいて作動(例えば、開閉する)させることができる。
【0063】
流体ハンドリングシステム400は、膨張バルブ416を備え得る。幾つかの実施形態では、膨張バルブ416は、フラッシュタンク413と蒸発器418の間の流路に沿って配置されている。膨張バルブ416は、調節可能バルブ(例:電子膨張バルブ、サーモスタット膨張バルブ、ボールバルブ、ゲートバルブ、ポペットバルブ)であり得る。膨張バルブ416は、ユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア)によって、又はコントローラ480によって、制御可能であり得る。幾つかの実施形態では、膨張バルブ416は、コントローラ480によって、センサデータ(例:圧力センサデータ、流量センサデータ、温度センサデータ)に基づいて作動させられる。幾つかの実施形態では、膨張バルブ416は、熱膨張バルブである。膨張バルブ416は、蒸発器418に関連付けられた温度データ(例:蒸発器を出ていく冷凍流体の温度データ)に基づいて作動(例:開閉)し得る。幾つかの例では、膨張バルブ416のセンシングバルブ(bulb)(例:温度センサ、温度依存の圧力センサ)は、膨張バルブ416のダイヤフラムの圧力を上昇又は低下させ、ダイヤフラムに結合されたポペットバルブを開閉し得る。このようにして、蒸発器418に向かう流体流が大なり小なり引き起こされ、それにより、流体の膨張が大なり小なり引き起こされる。膨張バルブのセンシングバルブ(bulb)は、蒸発器418の下流端の近傍に(例えば、蒸発器418の流体出口の近傍に)配置され得るのであり、かつ、センシングキャピラリー(例:センシングバルブ(bulb)と膨張バルブ416の間の導管)を介してダイヤフラムに流体連通され得る。幾つかの実施形態では、膨張バルブ416は、(例えば、コントローラ480からの)電子コマンドに基づいて全体的に制御されかつ作動させられ得る。
【0064】
流体ハンドリングシステム400は、(例えば、フラッシュタンク413からの)フラッシュガスバイパス流路上の気体流を調整するためのフラッシュガスバルブ420を備え得る。幾つかの実施形態では、フラッシュガスバルブ420は、蒸発器418の出力と混合される、フラッシュタンク413の気体出口からの気体流を調整する、バイパスバルブである。幾つかの実施形態では、フラッシュタンク413からの気体流は、フラッシュガスバイパス流路に沿って流れ、蒸発器418をバイパスする。幾つかの実施形態では、フラッシュガス流路は、フラッシュタンク413と、蒸発器418の出口の下流の位置の間である。フラッシュガスバイパス流路に沿って流れる気体は、蒸発器418の出力と混合され得る。フラッシュガスバルブ420は、フラッシュタンク413内に集められた気体を、その気体が圧縮機422に向かって流れる際に膨張させる(例えば、圧力低下させる)ことができる。フラッシュガスバルブ420は、幾つかの実施形態では、調節可能バルブであり得る。幾つかの実施形態では、フラッシュガスバルブ420は、コントローラ480によって、センサデータに基づいて作動させられる。
【0065】
幾つかの実施形態では、LPブースター414は、フラッシュタンク413からの流体流を受け取る。幾つかの実施形態では、LPブースター414は、フラッシュタンク413からの気体流を受け取る。幾つかの例では、LPブースター414は、フラッシュタンク413とフラッシュガスバルブ420の間のフラッシュガスバイパス流路に沿って流れる気体の一部分を受け取る。幾つかの実施形態では、LPブースター414は流体を受け取り、その流体の圧力を上昇させて(例えば、第2の圧力の)第2の流体を形成する。流体は、上昇させられた圧力(例:第2の圧力)で、PX410の第2の入口に第2の流体として供給される。幾つかの実施形態では、LPブースター414は、圧縮機(例:図3の圧縮機300)であるか、又は、低い圧力差で作動してフラッシュタンク413から受け取った気体の圧力を「ブースト」するポンプである。幾つかの実施形態では、HPブースター424は、圧縮機(例:図3の圧縮機300)であるか、又は、低い圧力差で作動してPX410の第2の出口から受け取った流体(例:第2の流体)の圧力を「ブースト」するポンプである。幾つかの実施形態では、圧縮機は、実質的には気体から成る流体の圧力を上昇させるように構成されており、一方、ポンプは、実質的に液体から成る流体の圧力を上昇させるように構成されている。
【0066】
幾つかの実施形態では、流体ハンドリングシステム400は、冷却ラインバルブ470を含んでいる。冷却ラインバルブ470は、フラッシュタンク413とLPブースター414の間の流路に沿って配置され得る。幾つかの実施形態では、冷却ラインバルブ470は、冷却流体(例:フラッシュタンク413とLPブースター414の間を流れる流体の一部分)を、冷却入口ライン471を介してHPブースター424(例:図3の圧縮機300)へと方向づけるためである。幾つかの実施形態では、冷却ラインバルブ470は、(例えば、ユーザによって、かつ/又はコントローラ480によって)制御可能であり得る。幾つかの例では、冷却ラインバルブ470は、コントローラ480によって受け取られたセンサデータに基づいて、例えば温度センサデータ(例:HPブースター424のモータの温度)及び/又は流量センサデータ(例:HPブースター424に供給された冷却流体の流量)に基づいて、作動(例:開閉)させられ得る。冷却流体は、HPブースター424から冷却出口ライン473を介して戻され得る。幾つかの実施形態では、HPブースター424から出力された冷却流体は、オイル分離器474へと供給される。オイル分離器474は、冷却流体から(例えば、HPブースター424の)潤滑油を分離し得る。幾つかの実施形態では、冷却流体はLPブースター414に供給される。
【0067】
幾つかの例では、蒸発器418は、システム400によって熱源(例:低温熱浴)から吸収された熱を、冷凍流体に供給し得る。熱は、凝縮器429を介して、ヒートシンク(例:高温熱浴)に排熱され得る。幾つかの実施形態では、冷凍流体は、蒸発器に関連付けられた環境から凝縮器に関連付けられた環境への熱伝達を容易化する。流体ハンドリングシステム400の圧縮機422は、蒸発器418と凝縮器429の間の流路に沿った冷凍流体の対応する圧力を上昇させ得る。幾つかの実施形態では、冷凍流体は、CO又は他の冷凍流体である。冷凍流体は、実質的にサイクル(例:凝縮器429からPX410へ、その後蒸発器418へ、その後圧縮機422へ、その後凝縮器429へ、等)内を流れ得る。
【0068】
幾つかの実施形態では、LPブースター414とHPブースター424の両方が、第2の流体の圧力を上昇させる(例えば、「ブースト」する)ように構成され得る。例えば、LPブースター414は、(例えば、PX410から受け取った)蒸発器418から出力された第2の流体の圧力を上昇させ得る。HPブースター424は、PX410から出力された第2の流体の圧力を上昇させ得る。第2の流体は、(例えば、HPブースター424によって)供給されて、(例えば、凝縮器429の入口の上流で)圧縮機422から出力された流体と混合され、凝縮器429に供給され得る。LPブースター414は、閾値よりも小さな量だけ圧力を上昇させ得る(例えば、LPブースター414は、閾値よりも小さな量の圧力差で動作し得る)。幾つかの例では、LPブースター414は、約10~60psi(約69kPa~約414kPa)だけ第2の流体の圧力を上昇させ得る。第2の流体は、第2の流体がLPブースター414からPX410の第2の入口に向かって流れる際、(例えば、パイピング内での流体摩擦による損失により)圧力を失い得る。HPブースター424は、PX410の第2の出口と凝縮器429の入口の間で第2の流体の圧力を上昇させ得る。HPブースター424は、閾値よりも小さな量だけ圧力を上昇させ得る(例えば、HPブースター424は、閾値よりも小さな量の圧力差で動作し得る)。幾つかの例では、HPブースター424は、約10~60psi(約69kPa~約414kPa)だけ第2の流体の圧力を上昇させ得る。HPブースター424は、第2の流体の圧力を、圧縮機422から出力された流体の圧力に実質的に一致する圧力(例:凝縮器429の圧力)まで上昇させ得る。
【0069】
LPブースター414及びHPブースター424とは対照的に、圧縮機422は閾値よりも大きな量だけ流体の圧力を上昇させ得る(例えば、圧縮機422は閾値よりも大きな量の圧力差で動作し得る)。幾つかの例では、圧縮機422は、約200psi(約1379kPa)よりも大きく流体の圧力を上昇させ得る。幾つかの実施形態では、コントローラ480は、LPブースター414の流量を制御することにより、PX410を通る流体の流量を制御する。幾つかの例では、コントローラ480は、LPブースター414の流量を設定し、PX410を通る第1の流体の流量を制御することができる。
【0070】
幾つかの実施形態では、蒸発器418は、環境(例:環境の媒体)からの対応する熱エネルギーを冷凍流体に交換する(例:供給する)ように構成された熱交換器である。幾つかの例では、蒸発器418は、環境の空気から熱(例:熱エネルギー)を受け取り、その熱を冷凍流体に供給し得る。幾つかの実施形態では、環境は冷凍装置又は冷凍庫の内部等の冷凍された空間、(例えば建物又は車両の)内部空間、又は冷却状態を維持されるべき他の空間である。幾つかの例では、環境は、スーパーマーケット又は倉庫にある冷凍庫又は冷凍区画の内部であり得る。
【0071】
幾つかの実施形態では、凝縮器429は、冷凍流体と環境の間で対応する熱エネルギー(例:熱)を伝達させるように構成された熱交換器である。幾つかの実施形態では、凝縮器429は、冷凍流体からの熱エネルギーを他の環境(例:蒸発器418に関連付けられた環境とは異なる環境)に供給するためである。幾つかの例では、凝縮器429は、熱(例:熱エネルギー)を、外部(例えば、外側の)環境の空気へと排熱し得る。幾つかの実施形態では、凝縮器429は、外側空間へ熱エネルギーを交換(例:排熱)する。幾つかの例では、凝縮器429は、スーパーマーケット又は倉庫の建物の外側に(例えば、その建物の屋上に)配置され、熱を外部環境に排熱し得る。他の例では、凝縮器429は地中に配置され、冷凍流体と地面の間での熱エネルギーの伝達を容易化し得る。幾つかの実施形態では、凝縮器429は、熱を内部空間に排熱し、一方、蒸発器418は(例えば、加熱を提供するヒートポンプの構成で)外部空間から熱を吸収する。凝縮器429から排熱された熱エネルギーは、取り囲まれた(例えば、実質的に取り囲まれた)空間を加熱するように用いられ得る。他の例では、蒸発器418は、地中に配置され、地面からの熱エネルギーの冷凍流体への伝達を容易化し得る。
【0072】
流体ハンドリングシステム400は、コントローラ480(例:図1A~Bのコントローラ180)を含み得る。コントローラ480は、システム400のブースター及び/又は圧縮機を制御し得る。コントローラ480は、システム400の1つ以上のセンサからセンサデータを受け取り得る。該センサは、圧力センサ、流量センサ、及び/又は温度センサを含み得る。幾つかの実施形態では、コントローラ480は、PX410に結合されたモータ(例:モータ460)を制御する。幾つかの実施形態では、コントローラ480は、モータ460に関連付けられた1つ以上のモータセンサからモータデータを受け取る。モータセンサから受け取ったモータデータは、現在のモータ速度(例:1分あたりの回転数)、モータの総駆動時間、メンテナンス作業間のモータ駆動時間、及び/又はモータの総回転数を含み得る。モータデータは、モータの実行状態を表示し得る。
【0073】
幾つかの実施形態では、コントローラ480は、冷凍された空間(蒸発器418近傍の低温温浴)の温度及び/又は加熱された空間(凝縮器429近傍の高温温浴)の温度を示すセンサデータを受け取る。コントローラ480は、LPブースター414、HPブースター424、及び/又は圧縮機422を、流体ハンドリングシステム400の1つ以上のセンサ(例:1つ以上の流体の流量センサ、温度センサ、圧力センサ)から受け取ったセンサデータに基づいて、制御し得る。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサ(例:圧力センサ、流量センサ、温度センサ)が流体ハンドリングシステム400の様々な構成要素の入口及び/又は出口の近傍に配置されている。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサが、流体ハンドリングシステム400の構成要素の内側に配置されている。幾つかの例では、圧力センサが圧縮機422の入口の近傍に配置されており、かつさらなる圧力センサが圧縮機422の出口の近傍に配置されているという場合がある。幾つかの例では、温度センサが蒸発器418の入口の近傍に配置されており、かつ他の温度センサが蒸発器418の出口の近傍に配置されているという場合がある。幾つかの例では、温度センサは凝縮器429の内部に配置され得る。幾つかの例では、流量センサがPX410の入口及び出口の各々に配置され、PX410を出入りする第1の流体及び第2の流体の流量を測定する場合がある。
【0074】
本明細書においては、「第1の流体」及び「第2の流体」に対する言及がなされている。幾つかの実施形態では、第1の流体及び第2の流体は、同じタイプの流体である(例えば、流体ハンドリングシステムを流れる冷凍流体である)。「第1の流体」は、PX410の高圧入口から低圧出口に向かってPX410を通過して流れる流体を、かつ/又はPX410の高圧入口及び/又は低圧出口に向かって流れるか又はそこから流れる流体を、指し得る。「第2の流体」は、PX410の低圧入口から高圧出口に向かってPX410を通過して流れる流体を、かつ/又はPX410の低圧入口及び/又は高圧出口に向かって流れるか又はそこから流れる流体を、指し得る。幾つかの実施形態では、第1の流体は、超臨界状態の冷媒流体(例:超臨界CO)であり得る。幾つかの実施形態では、第1の流体は、液体状態の冷媒流体(例:液体CO)であり得る。幾つかの実施形態では、第2の流体は、気体状態の冷媒流体(例:CO蒸気)であり得る。幾つかの実施形態では、第2の流体は、二相状態(例:COの液体-気体混合物)の冷媒流体であり得る。幾つかの実施形態では、第2の流体は、液体状態の冷媒流体(例:液体CO)であり得る。
【0075】
幾つかの実施形態では、システム400は、環境(例:屋内空間)を加熱することができるヒートポンプシステムである。そのようなヒートポンプシステムでは、凝縮器429は屋内に配置され、蒸発器418は屋外に配置される。ヒートポンプシステムでは、蒸発器は環境から熱を吸収し、蒸発器を通過して流れる二相の冷媒流体を蒸発させ、その後、それを圧縮機の入口へと送る。幾つかの実施形態では、冷凍又は空気冷却システムからヒートポンプシステムへと切替えるために、逆転バルブが用いられ、圧縮機422を出た流体流が、屋外ユニットの入口に向かうように向けられている状態と屋内ユニットの入口に向かうように方向づけられている状態の間で切替可能であるようにすることができる。幾つかの実施形態では、1つ以上のバルブ及びパイピングが用いられ、流体流が屋内ユニットから屋外ユニットに流れるよう切替えつつ、流体流がすべての構成要素(1つ以上のPX410、LPブースター414、HPブースター424、圧縮機422、及び/又はそれらに類するもの)を同じ向きで通過するように方向づけられ得る。
【0076】
システム400の熱エネルギーの伝達(熱伝達)の方向は、幾つかの実施形態においては可逆であり得る。例えば、システム400の冷凍/エアコンディショニング/空気冷却用の実装では、屋外に配置された凝縮器429が熱を排熱し(例えば、冷凍流体から対応する環境に、対応する熱エネルギーを供給し)、かつ蒸発器418が熱を吸収する(例えば、対応する環境から冷凍流体に、対応する熱エネルギーを供給する)。システム400のヒートポンプ実装では、屋内に配置された凝縮器429は、熱を屋内環境に排熱し、かつ蒸発器418はその屋外環境から熱を吸収する。幾つかの実施形態では、システム400は、システム400の機能を逆転させる(例えば、システム400によって容易化された熱エネルギー流を逆流させる)ための1つ以上のバルブ(例:逆転バルブ、転向バルブ)を含む。幾つかの実施形態では、冷凍流体の1つ以上の流れ(例えば、PX410への/からの流れ、HPブースター424への/からの流れ、LPブースター414への/からの流れ、圧縮機422への/からの流れ、凝縮器429への/からの流れ、及び/又は蒸発器418への/からの流れ)は、逆流及び/又は転向され得る。幾つかの例では、幾つかの実施形態においてシステム400に含まれる1つ以上の逆転バルブ又は転向バルブは、流体を圧縮機422から屋外ユニットに向かうよう方向づけ得る。類似のバルブが圧縮機422からの流体を屋内ユニットへと方向づけ得る。
【0077】
システム400の可逆性は、(例えば、コントローラ480を介して、屋内空間に配置されたプログラム可能なサーモスタットを介して、ユーザ入力を介して)制御され得る。幾つかの例では、コントローラ480は、屋内空間の加熱又は屋内空間の冷却のいずれのためにシステム400を用いるかを(例えば、温度データに基づいて、ユーザ入力に基づいて、スケジュールに基づいて)決定することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ480は、システムを通過する流体流を逆流させるように、1つ以上のバルブ(例:逆転バルブ、転向バルブ)を作動させることができる。システム400の機能が可逆である(例えば、屋内空間の加熱と冷却の間で可逆である)実施形態においては、蒸発器418は(例えば、内部空間内に配置された、屋内空間に空気流を供給するエアハンドリングシステム内に配置された)内部熱交換器であり得るのであり、かつ凝縮器429は(例えば、内部空間の外側に配置された)外部熱交換器であり得る。他の実施形態では、蒸発器418は屋外熱交換器であり、かつ凝縮器429は屋内熱交換器であるという場合がある。
【0078】
図5Aは、ある実施形態による圧縮機ヘッド部500の横断面図である。図5Bは、ある実施形態によるバルブプレート551を示している。図5Cは、ある実施形態によるバルブプレートアセンブリ555を示している。幾つかの実施形態では、バルブプレートアセンブリ555(例:図3のバルブプレートアセンブリ355)は、本明細書に記載の圧縮機ヘッド部500(例:シリンダヘッド部350)の底面に結合されている。
【0079】
圧縮機ヘッド部500は、ピストンハウジング(例:シリンダ340)の頂部に結合するように構成され得る。ヘッド部500は、入口560(例:圧縮機入口360)及び出口562(例:圧縮機出口362)を備え得る。幾つかの実施形態では、圧縮機ヘッド部は、プロセス流体516(例:冷媒)の流れをピストンハウジングへと方向づけるための複数の通路及び/又はチャンバを形成している。圧縮機ヘッド部500の吸引サイド552は、プロセス流体561に、入口560を介してかつ/又は吸入バルブ556を介してピストンハウジング内に進入する経路を提供するための、チャンバ及び/又は通路を形成し得る。圧縮機ヘッド部500の吐出サイド554は、プロセス流体561に、吐出バルブ558を介してかつ/又は出口562を介してピストンハウジングから進出する経路を提供するための、チャンバ及び/又は通路を形成し得る。幾つかの実施形態では、仕切り壁によって、吸引サイド552が吐出サイド554から分離されている。幾つかの実施形態では、仕切り壁は、断熱材(例:断熱材料及び/又は断熱構造)を含んでおり、吸引サイド552のプロセス流体561を、吐出サイド554のプロセス流体561から断熱する。
【0080】
幾つかの実施形態では、バルブプレートアセンブリ555は、バルブプレート551を含んでいる。プレート551は、2つ以上の開口(例:バルブ開口)を形成し得る。幾つかの実施形態では、プレート551は吸入バルブ開口557及び吐出バルブ開口559を形成する。プレート551は、バルブプレートアセンブリ555及び/又は圧縮機ヘッド部500をピストンハウジング(例:シリンダ340)の頂部に固定することを容易にするための、複数のボルト穴588を形成し得る。幾つかの実施形態では、吸入バルブ556は、プレート551に結合され、かつプレート551によって形成された1つの開口内に配置される。吐出バルブ558は、プレート551に結合され、プレート551によって形成された他の開口内に配置される、という場合もある。幾つかの実施形態では、吸入バルブ556及び吐出バルブ558はリードバルブである。幾つかの例では、吸入バルブ556及び吐出バルブ558は、プレート551に形成された開口をシールするチャッキバルブを形成するための、1つ以上のペタル563(例:薄いストリップ、薄い金属ストリップ、薄いカーボンストリップ)を含む。吸入バルブ556及び吐出バルブ558のペタルは、一方の端で(例えば、ペタル563の根元の端で)プレート551に結合され得る。吸入バルブ556及び吐出バルブ558は、一方向への流れのみを可能にし得る。幾つかの例では、吸入バルブ556は、圧縮機ヘッド部の外に出ていく(例えば、それに加えてピストンハウジングに入っていく)、流体(例:プロセス流体561)の流れを可能にし、吐出バルブは、圧縮機ヘッド部に入っていく(例えば、加えてピストンハウジングの外へ出ていく)、流体の流れを可能にする。幾つかの実施形態では、吸入バルブ556は、(例えば、図3を参照して記述されるように)ピストンハウジングの内部体積部分の負圧に応じて開くことができる。幾つかの実施形態では、吐出バルブ558は、(例えば、図3を参照して記述されるように)ピストンハウジングの内部体積部分の正圧に応じて開くことができる。
【0081】
図6は、ある実施形態による、圧縮機(例:HPブースター424、LPブースター414、及び/又は圧縮機422が、図1Aのブースター123、図1Aのブースター153、図1Bの圧縮機178、図1Bの低圧リフト装置128、図1Bの高圧リフト装置159、図2A~Eの圧縮機278、及び/又は、図3の圧縮機300、図4のHPブースター424、図4のLPブースター414、図4の圧縮機422、ならびに/又はそれらに類するもの、のうち1つ以上と同じか又は類似の特徴及び/又は機能を有している)に関連付けられた方法の一例を示すフロー図である。説明の単純化のために、方法600は、一連の動作として描かれかつ記述されている。しかしながら、本開示に従う方法は、各種順番でかつ/又は同時に、かつ本明細書には提示及び記述されていない他の操作を伴って、現れ得る。さらに、幾つかの実施形態では、示されたすべての操作が、本開示の主題に従う方法600を実装するために実行されるわけではない。加えて、当業者であれば、方法600は、状態図又はイベントを介して相互に関連する一連の状態として代替的に表現され得ることを、理解し認めるであろう。
【0082】
ブロック602では、圧縮機(図3の圧縮機300、図4のHPブースター424、図4のLPブースター414)が、第1の圧力の第1の流体を受け取り得る。第1の流体は、本明細書に記載の冷凍流体(例:冷媒、CO)であり得る。圧縮機は往復圧縮機、遠心圧縮機、スクリュー圧縮機、及び/又は軸流圧縮機であり得る。幾つかの実施形態では、圧縮機は、圧縮機の第1の部分の第1の入口で、第1の流体を受け取る。圧縮機の第1の部分は、第1の流体を圧縮するように構成された圧縮機の一部分(例:ピストンハウジング、シリンダ、圧縮機ホイールハウジング、圧縮機ロータハウジング)に対応し得る。圧縮機の第1の部分は、圧力交換器に流体連通され得る。幾つかの実施形態では、圧縮機は、圧力交換器(例:図4のPX410)の高圧出口から第1の圧力の流体を受け取るように構成される。
【0083】
ブロック604では、圧縮機は、第1の流体の圧力を第1の圧力から第2の圧力まで上昇させ得る。幾つかの実施形態では、第2の圧力は、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)だけ第1の圧力よりも大きい(例えば、第1の圧力と第2の圧力の間の差は、約50PSI~約60PSI(約345kPa~約414kPa)である)。圧縮機は、ピストン、スクリュー、又はロータ(例えば、ブレード又はベーンを有している)によって、第1の流体の圧力を上昇させ得る。
【0084】
ブロック606では、圧縮機は、圧縮機の第1の部分の第1の出口を介して、第2の圧力の第1の流体を出力し得る。幾つかの実施形態では、圧縮機は、圧縮機ヘッド部(例:シリンダヘッド部)又は圧縮機マニホールドを介して、第1の流体を出力する。幾つかの実施形態では、圧縮機は、第2の圧力の流体を圧力交換器の低圧入口に供給するように構成されている。
【0085】
ブロック608では、圧縮機は第2の流体を受け取り得る。第2の流体は、本明細書に記載の冷却流体であり得る。幾つかの実施形態では、第2の流体は、第1の流体と同じタイプの流体である(例えば、第1の流体と第2の流体は、両方とも、CO等の冷媒である)。第2の流体は、第1の圧力よりも低い第3の圧力で、圧縮機によって受け取られ得る。圧縮機は、圧縮機の第2の部分の第2の入口(例:冷却入口、図3の冷却入口370)で、第2の流体を受け取り得る。圧縮機の第2の部分は、圧縮機の1つ以上の機械的構成要素を収容するように構成された圧縮機の一部分に、対応し得る。幾つかの例では、圧縮機の第2の部分は、圧縮機を駆動するモータを収容するように構成され得る。幾つかの例では、圧縮機の第2の部分は、クランクシャフト及び/又は駆動シャフトを収容するように構成され得る。幾つかの例では、圧縮機の第2の部分は、1つ以上の軸受及び/又はブッシングを収容している。圧縮機の第2の部分は、圧縮機の構成要素を潤滑化するように用いられ得る潤滑油であり得る。潤滑油は、圧縮機の第2の部分の内側で、第2の流体にさらされ得る。しかしながら、第2の流体は(例えば、かなり低い圧力である)第3の圧力で受け取られるので、第2の流体は潤滑油に溶解しにくく、このことは、潤滑油がその潤滑化特性を維持することにつながる。幾つかの実施形態では、圧縮機は、第2の圧力の流体を圧力交換器の低圧入口に供給するように構成されている。幾つかの実施形態では、圧縮機の第1の部分と圧縮機の第2の部分は、互いに流体的に隔離されている(例えば、互いに実質的に流体的に隔離されている)。
【0086】
ブロック610では、圧縮機は第2の流体(例:冷却流体)を、圧縮機の第2の部分の第2の出口を介して出力し得る。第2の流体は、冷却出口(例:図3の冷却出口372)を介して出力され得る。幾つかの実施形態では、第2の流体は、第2の流体からオイルを分離するためのオイル分離器へと出力される。
【0087】
上記の説明は、本開示の幾つかの実施形態のよい理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法等の例など、多数の具体的な詳細を示した。もっとも、当業者には、本開示の少なくとも幾つかの実施形態はこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることが、明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構成要素又は方法は、詳細には記載されていないか、又は単純なブロック図の形式で示されている。このように、記載された具体的な詳細は、単に例示的なものである。これらの例示的な詳細とは異なるものの依然として本開示の範囲内であると考えられる特定の実装が、可能である。
【0088】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「ある実施形態」という参照は、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを、意味する。即ち、本明細書全体を通じて様々な場所で「一実施形態では」又は「ある実施形態では」といった表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているというわけではない。加えて、「又は」という語は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を意味することが意図されている。本明細書で「約」「実質的に」又は「概ね」という語が使用されているとき、これは、提示された公称値が、10%以内の精度であることを意味することが意図されている。また、本明細書で使用される「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」等の語は、異なる要素のなかで区別を行うためのラベルとして意味されており、必ずしもそれらの数値指定に従う序列的な意味を有さなくてもよい。
【0089】
本明細書で使用される「上方」「下方」「間」「~上に配置された」及び「上」という語は、1つの材料層又は構成要素の、他の層又は構成要素に対する相対的な位置を指す。幾つかの例では、他の層の上、上方、又は下に配置された1つの層は、当該他の層と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。さらに、2つの層の間に配置された1つの層は、それら2つの層と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。同様に、特に明示しない限り、2つの特徴の間に配置された1つの特徴は、隣接する特徴と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。
【0090】
特にことわりがない限り、「作動させる」「調節する」「引き起こす」「制御する」「決定する」「識別する」「上昇させる」「出力する」「提供する」「受け取る」「調整する」等の語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理的(電子的)量として表現されたデータを処理及び変換し、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、又はそのような他の情報記憶、伝達、表示装置内で、物理的量として同様に表される他のデータにする、コンピュータシステムによって実行又は実装される行為及びプロセスを指す。また、本明細書で使用される「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」等の語は、異なる要素のなかで区別を行うためのラベルとして意味されており、必ずしもそれらの数値指定に従う序列的な意味を有さなくてもよい。
【0091】
本明細書に記載の例は、本明細書に記載の方法を実施するための装置にも関する。この装置は、本明細書に記載される方法を実施するために特別に構成されたものであってもよいし、又はコンピュータシステム内に格納されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされた汎用コンピュータシステムを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読有形記憶媒体に格納されていてもよい。
【0092】
本明細書に記載の方法及び例示的な例は、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連するものではない。様々な汎用システムが、本明細書に記載された教えに従って用いられることができ、又は本明細書に記載された方法及び/又はその個々の機能、ルーチン、サブルーチン、又は操作の各々を実施するようにより専用化された装置を構築することが便利であることが判明する場合もある。このような様々なシステムの構造例は、上記の記載で述べられている。
【0093】
本明細書における方法の動作は、特定の順番で示されかつ記述されているが、各方法の動作の順番は、特定の動作が逆の順序で実行され得るように、又は特定の動作が少なくとも部分的に他の動作と同時に実行され得るように、変更されてもよい。他の実施形態では、別個の動作の命令又はサブ動作は、断続的かつ/又は交互であってもよい。一実施形態では、複数の金属接合動作が、単一のステップとして実行される。
【0094】
上記の説明は、例示するものであることを意図されており、制限するものではないことは、理解されたい。上記の説明を読んで理解した当業者にとっては、他の多くの実施形態が明らかであろう。従って、本開示の範囲は、添付の請求項を参照しつつ、各請求項に与えられる均等物の全範囲と共に、決定されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
【国際調査報告】