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特表2024-543581生物に指向性の活性光線を適用するための身体照射装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】生物に指向性の活性光線を適用するための身体照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241114BHJP
【FI】
A61N5/06 B
H01L33/00 L
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532827
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2022071719
(87)【国際公開番号】W WO2023020832
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202021104364.4
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202021104807.7
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524205916
【氏名又は名称】カーべーエル・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ・オーベル
【テーマコード(参考)】
4C082
5F142
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC10
4C082PE10
4C082PG11
4C082PG12
4C082PJ24
5F142BA32
5F142CB11
5F142DA16
5F142DB02
5F142DB12
5F142GA31
5F142GA33
(57)【要約】
本発明は、生物、特に人間に指向性の活性光線を適用するための、少なくとも1つの照射モジュールを有する身体照射装置に関するものであり、少なくとも1つの照射モジュールは、活性光線を生成し、共通の支持体上に配置された少なくとも2つのLED光線源と、少なくとも2つのLED光線源に跨がるプレートであって、支持体から離間しているプレートと、レンズの平坦表面が支持体に面するようにプレートと材料的に結合された少なくとも2つの平凸型光学レンズであって、それぞれ1つのレンズがLED光線源の1つから放射される光線を少なくとも実質的に視準化または指向するように設計および配置された、平凸型光学レンズとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物、特に人間に指向性の活性光線を適用するための、少なくとも1つの照射モジュール(2)を有する身体照射装置(1)であって、前記少なくとも1つの照射モジュール(2)は、
活性光線を生成し、共通の支持体(5)上に配置された少なくとも2つのLED光線源(3、4)と、
前記少なくとも2つのLED光線源(3、4)に跨がるプレート(6)であって、前記支持体(5)から離間しているプレート(6)と、
レンズ(7、8)の平坦表面が前記支持体(6)に面するように前記プレート(6)と材料的に結合された少なくとも2つの平凸型光学レンズ(7、8)であって、それぞれ1つのレンズ(7、8)が前記LED光線源(3、4)の1つから放射される光線を少なくとも実質的に視準化または指向するように設計および配置された、平凸型光学レンズとを有する、身体照射装置(1)。
【請求項2】
前記プレート(9)の少なくとも片側、特に前記プレート(6)の前記支持体(5)とは反対の側(9)が梨地仕上げされている、請求項1に記載の身体照射装置(1)。
【請求項3】
前記プレート(6)の片側、特に前記プレート(6)の前記支持体(5)に面する側(10)が被覆されており、特に可視スペクトルの光線に対してだけ特に鏡面化されている、請求項1または2に記載の身体照射装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの平凸型レンズ(7、8)はプレスブランクレンズである、請求項1~3のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項5】
前記プレート(6)はガラスプレートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの照射モジュール(2)は、さらに、
少なくとも部分的に透明なプラスチックプレート(11)を有し、前記プラスチックプレートは、前記プレート(6)を、特に前記支持体(5)に面する側(10)で覆い、前記少なくとも2つのレンズ(7、8)の領域に切欠部(12、13)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項7】
前記プレート(6)は部分的に透明なプラスチックプレートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項8】
前記プラスチックプレート(6)は、特に円形の切欠部(12、13)を前記少なくとも2つのレンズ(7、8)の領域に有し、前記切欠部は、前記少なくとも2つのレンズ(7、8)が前記プラスチックプレート(6)と材料的に結合できるように構成されている、請求項7に記載の身体照射装置(1)。
【請求項9】
前記切欠部(12、13)は、前記少なくとも2つのレンズ(7、8)の平坦側のためのそれぞれ1つの台座(25、26)を形成する、請求項8に記載の身体照射装置(1)。
【請求項10】
前記プレート(6)および/または前記プラスチックプレート(11)は、蛍光材料を含み、特に蛍光材料により被覆されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項11】
前記プレート(6)および/もしくは前記プラスチックプレート(11)の第1の領域がUV-A-LED光線源に対して紫色の蛍光材料を含み、前記プレートおよび/もしくは前記プラスチックプレート(11)の第2の領域が赤いLED光線源に対して赤色の蛍光材料を含み、ならびに/または前記プレートおよび/もしくは前記プラスチックプレート(11)の第3の領域がUV-B-LED光線源に対して黄色の蛍光材料を含む、請求項10に記載の身体照射装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの平凸型レンズ(7、8)はガラスレンズである、請求項1~11のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項13】
前記LED光線源(3、4)の少なくとも1つがUV-A光線を放射し、前記LED光線源に割り当てられた、光線を視準化するためのレンズ(7、8)がホウケイ酸ガラス製である、請求項1~12のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項14】
前記LED光線源(3、4)の少なくとも1つがUV-B光線を放射し、前記LED光線源に割り当てられた、光線を視準化するためのレンズ(7、8)が水晶ガラス製である、請求項1~13のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項15】
前記材料的な結合はUV硬化性接着剤である、請求項1~14のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項16】
前記LED光線源(3)の少なくとも1つが、第1の光線スペクトルを有する第1のLEDチップ(14)と、前記第1の光線スペクトルとは異なる第2の光線スペクトルを有する第2のLEDチップ(15)とを有している、請求項1~15のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項17】
少なくとも1つの第1のLED光線源(3)が第1の光線スペクトルを有し、少なくとも1つの第2のLED光線源(4)が第2の光線スペクトルを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項18】
前記プレート(6)の前記第1の領域が、前記第1のLED光線源(3)または前記第1のLEDチップ(14)の光を視準化するレンズ(7)の周囲に配置されており、前記プレート(6)の前記第2の領域が、前記第2のLED光線源または前記第2のLEDチップの光を視準化するレンズ(8)の周囲に配置されている請求項11に記載の、特に請求項12~17のいずれか一項との関連における、身体照射装置(1)。
【請求項19】
前記第1のLEDチップ(14)および/または前記第1のLED光線源(3)がUV-AまたはUV-Bスペクトルを放射し、前記第2のLEDチップ(15)および/または前記第2のLED光線源(4)が赤色スペクトルで放射する、請求項17または18に記載の身体照射装置(1)。
【請求項20】
前記照射モジュール(2)が、さらに冷却装置(23)を有し、前記冷却装置は、前記少なくとも2つのLED光線源(3、4)とは少なくとも反対の側で前記支持体(5)を冷却するように設計されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項21】
身体照射装置(1)が、さらに、
生物を取り囲むことのできる暴露トンネル(16)を有し、前記暴露トンネル(16)は、活性光線に対して実質的に透明の材料から作製された表面(17)を備える前記身体照射装置(1)の少なくとも1つの下部(27)と、前記身体照射装置(2)の少なくとも1つの上部(26)とから形成され、前記表面(17)は、生物が活性光線に曝される内部空間(19)を外部空間(20)から分離し、前記外部空間には少なくとも1つのLED照射モジュール(2)が、前記表面(17)を通して活性光線を放射できるように取り付けられており、前記上部(26)も、活性光線を前記内部空間(19)に放射するように取り付けられた少なくとも1つのLED照射モジュール(2)を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの照射モジュール(2)は、さらに、前記プレート(6)と前記支持体(5)との間にあり、前記プレート(6)と前記支持体(5)を規定の間隔に保持するスペースホルダ(21a、21b、21c、21d)を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の身体照射装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物、特に人間に指向性の活性光線を適用するための、少なくとも1つの照射モジュールを有する身体照射装置に関するものであり、少なくとも1つの照射モジュールは少なくとも2つのLED光線源を有する。
【背景技術】
【0002】
生物、特に人間の身体のための身体照射装置が公知であり、この装置は、特に、寝台または日焼け台または赤色光処置台を備えるソラリウムの形態に構成されており、身体または身体の部分に特定の波長範囲の光線スペクトルが当てられ、これにより身体の美容の観点、健全性、健康または身体ないし生物の再生に影響を与える。
【0003】
一般的にこの場合、このような身体照射装置は、低圧光線管、高圧光線管、または高圧光線ランプも使用する。近年、身体照射装置にLED光源を使用することが増えている。
【0004】
これに関し純粋に例として、独国実用新案第202021100716号明細書が参照され、この明細書は、ヒトの身体またはヒトの身体の一部を、特に美容上および衛生上より有益である光線により照射するための身体照射装置に関する。身体照射装置は、ベースと、少なくとも1つの第1のLEDチップと、少なくとも1つの第2のLEDチップとを備える照射源を有し、第1のLEDチップは第1の光線ピークを備える第1の光線スペクトルを送出することができ、第2のLEDチップは第1の光線ピークとは異なる光線ピークを備える第2の光線スペクトルを送出することができ、第1のLEDチップと第2のLEDチップはLEDハウジング内で共通のレンズの下に配置されており、別個に制御可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案第202021100716号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改善された身体照射装置を提供することである。特に本発明の課題は、改善された身体照射装置においてLED光線源からの大面積の照射を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の教示によって解決される。有利な構成は従属請求項に請求される。
【0008】
本発明の一態様は、生物、特に人間に指向性の活性光線を適用するための、少なくとも1つの照射モジュールを有する身体照射装置に関するものであり、少なくとも1つの照射モジュールは、
活性光線を生成し、共通の支持体上に配置された少なくとも2つのLED光線源と、
少なくとも2つの第1のLED光線源に跨がるプレートと、
プレートと支持体との間にあり、プレートと支持体を規定の間隔に保持するスペースホルダと、
レンズの平坦表面が支持体に面するようにプレートと材料的に結合された少なくとも2つの平凸型光学レンズであって、それぞれ1つのレンズがLED光線源の1つから放射される光線を少なくとも実質的に視準化または指向するように設計および配置された、平凸型光学レンズとを有する。
【0009】
本発明の意味における身体照射装置は、好適には、生物の身体表面の一部分を照射するように設計されている。
【0010】
用語「活性光線」とは、本発明の意味では、電磁スペクトル全体の光または(広帯域の)光線であり(「Rompp Chemie-Lexikon」、Thieme Verlag、Stuttgart、ドイツにおける定義を参照)、(光生化学的を含む)光化学的作用を有し、場合により光/光線は自然のまたは人工的な起源を含む。特許請求の範囲および明細書において「活性光」または「活性光線」は、人工的起源の光または光線に、好適には身体照射装置の光線源から放射される光/光線に使用される。本明細書および特許請求の範囲に使用される用語「指向性の活性光線」は、多かれ少なかれ排他的ではないにしても、焦点をもって本発明による標的、すなわち生物、好ましくは人間に照射される活性光線を意味する。
【0011】
本発明の意味におけるレンズは、光学要素である。好適には2つの表面の少なくとも1つは曲面ないし球面であり、湾曲している。さらに好適にはレンズはプリズムとして構成して良い。
【0012】
身体照射装置の好ましい一実施形態では、本発明の他の特徴の1つまたは2つまたはそれ以上または全てと別個にまたは共に実施することができ、活性光線は広波長範囲の活性光線とすることができる。択一的に、やはり好ましいが、活性光線は、狭い波長範囲の活性光線、またはまったく特定の波長もしくは複数の特定の波長の活性光線であってもよい。これは当業者には周知であり、当業者は、個別事例の要求に応じて使用すべき波長または波長範囲または帯域を選択することができる。
【0013】
本発明の枠内において使用可能な波長の活性光線に対する好適な例は以下のとおりである。
人間の身体を日焼けさせるための、280~315nmの範囲(UV-B光線)の波長λの活性光線、および/または315~400nmの範囲(UV-A光線)の波長λの活性光線、すなわち、メラニンの形成と、人間の皮膚に自然に存在する色素の暗色(茶色)形態へのメラニンの変換を活性化するためであり、皮膚の日焼けは、健康および/または美容および/または医療の分野での目的に用いることができる。人間の皮膚においてビタミンD前駆体からのビタミンD生合成を促進するための、特に約285nm~305nmの波長範囲λの短波長UV-B光線の形態の活性光線、または、可視および近IR(赤外線)範囲(400nm以上、より良好には550nm超~850nm)の波長λの活性光線、この活性光線は人間の皮膚に照射され、ケアと若返りおよび皮膚の再生に有用な化合物、例えばコラーゲン、エラスチン、ケラチン、ヒアルロン酸などの生合成を促進する。
【0014】
本発明の意味における支持体は、好適には基板および/または導体路板である。
【0015】
本発明の意味における赤色スペクトルは、好適には赤い可視光線および/または赤外線を意味する。
【0016】
本発明は、LED光線源を身体照射装置において使用する場合、大面積にわたる生物の均等な照射を保証するためには多数のLED光源が必要であるという認識に基づく。これは、一方では生物の身体上で均等な放射強度を達成するためにはLED光線波の放射角をコリメータによって制限する必要があるのに、他方では視準化または指向された光線は、低減された放射角によってはより狭い面積しか照射できないという事実から生じる。
【0017】
ここでLED光源は、一般的に身体照射装置において大面積の領域を照射するため使用される低圧管または高圧ランプに置き換わるものである。LED光線源の利点は、これが管よりもエネルギー効率的に動作し、特に放散する必要のある排熱の形成が少ないことである。さらにLED光線源は管よりも長寿命であり、したがって身体照射装置における保守作業が少なくなり、このことは特に商業分野において格段のコスト削減につながる。
【0018】
最後に、LED光線源を使用することにより、このようなLED光線源が存在する任意の場所において規定の光線スペクトルと規定の光線強度を生成することができる。このことは、全長にわたって異なる光線強度を有する管に対する大きな利点である。特に管の端部においては光線強度が減少する。これが欠点であるのは、ちょうど管のこの領域が人間の足領域および頭部領域を照射するからであり、このような領域において身体照射装置の使用者は一般的に特に強い日焼けを望む。LED光線源の使用は、特にこれらの領域で役立ち得る。
【0019】
複数のレンズが固定されたプレートを使用することにより、個々のレンズを、ひいては異なるLED光線源も互いに相対的に近傍に配置することができ、したがって照射面での均等な光線強度を達成することができる。特に反射器コリメータが使用される照射モジュールと比較して、これによりLED光線源における密度を格段に高めることができる。
【0020】
しかしながら同時に照射モジュールを比較的に大きく構成することができる。というのも、支持体にあるスペースホルダにより支持されるプレートが、LED光線源が存在する支持体の大きな領域に跨がることができるからである。
【0021】
したがって本発明は、身体照射装置にLED光線源を使用する場合、これまでは両立しないと思われていた2つの最適化目標を1つにすることができる。すなわち、一方では照射面上での均等な照射強度を保証することができ、他方では1つの照射モジュールによって比較的大面積を照射することができる。
【0022】
本発明のさらなる利点は、LED光線源を共通の支持体上に配置できることである。このことは特に効率的でコスパが良く、照射モジュール全体の強度も向上させる。これによりこれを比較的に大きく構成することができる。
【0023】
ここで好適には支持体は導体路板であり、またはLED光線源用の基板である。両方の場合とも、LED光線源を備える支持体は、別個の導体路板および/または基板上に配置されたLED光線源と比較して、特にコスト的に有利に固定することができる。
【0024】
支持体に対して規定の間隔で配置されたプレートを使用することにより、この支持体と関連して、反射器コリメータのない、さらに特に簡単な構造を実現することができる。これにより、特に材料と製造プロセスにおける節約がもたらされる。さらに、照射効率を損なう塵粒子などの汚染物質が反射器に堆積することがある。
【0025】
身体照射装置の有利な構成では、プレートの支持体とは反対の側が梨地仕上げされている。梨地仕上げによって、レンズ領域の外でプレートを通過する光線が散乱される。これにより、指向光線がレンズの外で出射することによる照射面の照射強度の不均等性が低減または好適には阻止される。
【0026】
レンズの領域では、支持体に面するレンズの平坦表面がプレートに当接している限り、梨地仕上げを材料的結合によって除去することができる。特に、接着剤を使用すると、梨地仕上げによって引き起こされるプレート上の非平坦部を埋めることができ、これによりプレートはこの個所において再び透明になる。レンズの領域では、したがって光線が妨げられずにプレートを通過する。
【0027】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートの片側、特にプレートの支持体に面する側が被覆され、特に鏡面化されており、特に可視スペクトルの光線に対して反射性である。鏡面化によってレンズ領域の外での指向光線の出射をさらに低減することができる。
【0028】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、少なくとも2つの平凸型レンズがプレスブランクレンズ(blankgepresste Linsen)である。プレスブランクレンズは、製造が特に経済的である。
【0029】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートがガラスプレートである。ガラスプレートは強度が高く、同時に光線に対する透過率も高い。さらに、ガラスは光線、特に紫外線に対して特に耐性がある。
【0030】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、少なくとも1つの照射モジュールがさらに、少なくとも部分的に透明なプラスチックプレートを有し、このプラスチックプレートは、プレートを、特に支持体に面する側で覆い、少なくとも2つのレンズの領域に切欠部を有する。プラスチックプレートを設けることにより、本来のプレートがさらに強化され、支持する必要なく照射モジュールのこの大きな領域をカバーすることができる。
【0031】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートがそれ自体部分的に透明なプラスチックプレートである。プラスチックプレートの使用は、特に経済的である。同時にプラスチックプレートは、例えば切欠部をこれに付けるなど、特に簡単に加工できる。
【0032】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プラスチックプレートが、特に円形の切欠部を少なくとも2つのレンズの領域に有し、この切欠部は、少なくとも2つのレンズがプラスチックプレートと材料的に結合できるように構成されている。これは、一方ではプラスチックプレートを一枚だけ使用することができ、他方では高い光線強度でのレンズの通過を切欠部によって保証することができるという利点を提供する。
【0033】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、切欠部が少なくとも2つのレンズの平坦側のための台座を形成する。このような台座は、特に、少なくとも2つのレンズの平坦側のための受け部またはサポートとして構成することができる。ここで好適には台座は、切欠部の突出部もしくは肩部として、または切欠部内に形成されている。これにより、レンズを特に良好に切欠部内に固定し、芯合わせないし配向することができる。
【0034】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートおよび/またはプラスチックプレートが蛍光材料を有し、特に蛍光材料によって被覆されている。蛍光材料によって身体照射装置の使用者に、それぞれのLED光線源が蛍光材料の領域で光線を放射することを指示することができる。これは特に、例えば人間の目に有害な紫外線の場合に安全技術的に重要である。
【0035】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートおよび/もしくはプラスチックプレートの第1の領域がUV-A-LED光線源に対して紫色の蛍光材料を含み、プレートおよび/もしくはプラスチックプレートの第2の領域が赤いLED光線源に対して赤色の蛍光材料を含み、ならびに/またはプレートおよび/もしくはプラスチックプレートの第3の領域がUV-B-LED光線源に対して黄色の蛍光材料を含む。それぞれのLED光線源に整合された異なる蛍光材料を設けることにより、蛍光強度を高めることができる。同時に使用者は、それぞれ放射される光線の種類に関して視覚的に情報を受けることができる。
【0036】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、少なくとも2つの平凸型レンズがガラスレンズである。ガラスは、光線、特に紫外線に対して特に耐性がある。さらにガラスは、その屈折率が光学要素に特に適している。
【0037】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、少なくとも2つの平凸型レンズがシリコーンレンズである。これにより製造プロセスを簡素化することができ、特にプレートおよび/またはプラスチックプレートとレンズを一体的に単一の一次成形プロセスで製造することができる。好適にはプレートは、この場合シリコーン製であり、さらに好適にはプラスチックプレートにより支持されている。
【0038】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、LED光線源の少なくとも1つがUV-A光線を放射し、このLED光線源に割り当てられた、光線を視準化するためのレンズがホウケイ酸ガラス製である。ホウケイ酸ガラスはUV-A光線に対して特に透明であるので、これにより特に良好なエネルギー効率を照射モジュールの低損失により達成することができる。
【0039】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、LED光線源の少なくとも1つがUV-B光線を放射し、このLED光線源に割り当てられた、光線を視準化するためのレンズが水晶ガラス製である。水晶ガラスは、UV-B光線に対して非常に良好な透過率を有する。水晶ガラスをレンズに使用することにより、レンズにおける光線損失が最少化され、これにより照射モジュールの高いエネルギー効率を達成することができる。
【0040】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、材料的な結合がUV硬化性接着剤である。UV硬化性接着剤は、UV耐性であるという利点を有する。これにより、材料的な結合がUV光線により照射によって弱化せず、むしろさらに硬化する。
【0041】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、LED光線源の少なくとも1つが、第1の光線スペクトルを有する第1のLEDチップと、第1の光線スペクトルとは異なる第2の光線スペクトルを有する第2のLEDチップとを有する。これにより、比較的に広帯域の光線スペクトルを実現することができる。
【0042】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、少なくとも1つの第1のLED光線源が第1の光線スペクトルを有し、少なくとも1つの第2のLED光線源が第2の光線スペクトルを有する。これにより個々の光線モジュールにおいて異なる光線スペクトルを備える異なる領域を実現することができる。
【0043】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、プレートの第1の領域が第1のLED光線源または第1のLEDチップの光を視準化するレンズの周囲に配置されており、プレートの第2の領域が第2のLED光線源または第2のLEDチップの光を視準化するレンズの周囲に配置されている。これにより、それぞれ対応のLED光線源の周囲で蛍光材料を、プレートの異なる領域に配置することができる。
【0044】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、第1のLEDチップおよび/または第1のLED光線源がUV-AまたはUV-Bスペクトルを放射し、第2のLEDチップおよび/または第2のLED光線源が赤色スペクトルで放射する。この実施形態では、使用者の日焼けも使用者の組織の中の深加熱も行われる。
【0045】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、照射モジュールがさらに冷却装置を有し、この冷却装置は、少なくとも2つのLED光線源とは少なくとも反対の側で支持体を冷却するように設計されている。
【0046】
身体照射装置のさらなる有利な構成では、これがさらに、生物を取り囲むことのできる暴露トンネルを有し、暴露トンネルは、活性光線に対して実質的に透明の材料から作製された表面を備える身体照射装置の少なくとも1つの下部と、身体照射装置の少なくとも1つの上部とから形成され、表面は、生物が活性光線に曝される内部空間を外部空間から分離し、外部空間には少なくとも1つのLED照射モジュールが、表面を通して活性光線を放射できるように取り付けられており、上部も、活性光線を内部空間に放射するように取り付けられた少なくとも1つのLED照射モジュールを有する。
【0047】
さらなる利点および特徴は、図面に関連する、実施例の以下の記載から得られる。図面は少なくとも部分的に概略的である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】身体照射装置の実施例を示す。
図2】照射モジュールの実施例の平面図である。
図3図2の照射モジュールの分解図である。
図4図2または図3の照射モジュールの支持体の構成部材のさらなる分解図である。
図5図2図3または図4の照射モジュールの一部の断面図である。
図6】照射モジュールのさらなる実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、身体照射装置1を示す。これは暴露トンネル16を有し、使用者は活性光線を浴びるためにこの中に横臥することができる。
【0050】
好適には暴露トンネル16は、使用者が暴露トンネル16に入った後に、実質的に身体照射装置1の上部28が身体照射装置1の下部27に向かって旋回することによって閉鎖される。
【0051】
身体照射装置1の下部27は、少なくとも実質的に透明の表面17を有し、この下にLED光線源3、4を備える照射モジュール2が配置されている。ここで表面17は、暴露トンネル16を内部空間19と、照射モジュール2が配置された外部空間20とに分離する。外部空間20は、特に空気流によって冷却することができる。
【0052】
図2は、身体照射装置1の照射モジュール2の平面図を示す。
【0053】
照射モジュール2は、平凸型レンズ7、8が配置されたプレート6を有する。これらレンズ7、8は、好適にはプレート6と材料的に結合している。さらに好適にはレンズは、支持体5(図示せず)とは反対の側9でプレート6と接続されており、特にこの側9の表面上に配置されている。照射モジュール2はさらにスペースホルダ21a、21b、21c、21dを有し、これらの上端部または固定手段が図2において可視である。
【0054】
さらに図2では照射モジュール2の固定フレーム24の一部が可視であり、この固定フレームの孔部にはネジ(参照符号なし)が導入されており、固定フレーム24を身体照射装置1に固定している。
【0055】
図3は、図2の照射モジュール2の分解図である。
【0056】
図2に示したプレート6が分解図に示されている。プレート6はそれぞれ好適にはガラスプレートであり、それらの表面9上にはレンズ7、8が材料的に結合されており、特に接着剤によって接着されている。
【0057】
好適にはプレート6の表面9は梨地仕上げされている。接着剤の使用によってこの梨地仕上げがレンズ7、8の領域では好適には除去され、したがってレンズ7、8の平坦表面とプレート6との間の中間面が透明になる。好適には支持体5を形成する導体路板5に面するプレート6の側には、好適にはプラスチックプレート11が配置されている。プラスチックプレートは好適には切欠部12、13を有し、これらは、プレート6上のレンズ7、8の配置に対応するプラスチックプレート11の領域で切り欠かれている。
【0058】
択一的に、プレート6の支持体5に面する側の表面10を梨地仕上げすることもできる。
【0059】
プラスチックプレート11は、好適には蛍光材料から作製されるか、または蛍光材料を有し、蛍光材料は、LED光線源3、4からの光線によって導体路板5上で蛍光励起可能である。
【0060】
プラスチックプレート11は、好適にはプラスチックプレート11をその端面で取り囲む固定板22によって固定され配向され、あるいはプレート6に位置決めされる。
【0061】
図3の分解図の右側には導体路板が配置されており、導体路板上にはLED光線源3、4が配置され固定され、電気的に配線されている。
【0062】
導体路板5のプレート6とは反対の側には冷却装置23、この場合は冷却リブ23が配置されている。冷却装置23と導体路板5との間には、好適にはサーマルペーストが取り付けられている。
【0063】
照射モジュール2は、好適には支持フレーム24によって固定することができる。本実施例では、支持フレーム24が冷却手段23および冷却手段23に固定された導体路板5を支持する。プレート6、固定板22およびひいてはプラスチックプレート11も、ネジ(参照符号なし)によって冷却装置23に固定される。しかしさらに好適には、これらは支持フレーム24に直接固定することができる。プレート6および/またはプラスチックプレート11と導体路板5との間には、規定の間隔を調節するスペースホルダ21a、21b、21c、21dが設けられている。これらは、固定板22とプレート6との間に配置することもでき、および/または固定板22と導体路板5または冷却装置23または支持フレーム24との間に、ネジの固定をどのように行うかに応じて配置することもできる。
【0064】
図4は、導体路板5と支持フレーム24から成る図3に示した全体ユニットの分解図を示す。
【0065】
この図から分かるように、支持フレーム24はネジによって、この実施例では冷却装置23に固定することができる。
【0066】
図5は、図2から図4の照射モジュール2の断面図を示す。図5は概略的であり、したがって図2から図4の実際の実施例とはやや異なる。冷却装置23も図5には図示されていないが、支持体5の下側の上に配置することができる。
【0067】
上から下に、照射モジュール2の個々の要素が図5に次のように配置されている。平凸型レンズ7、8の平坦側がガラスプレート6と材料的に結合されている。ここでガラスプレートの支持体5とは反対の側9は好適には梨地仕上げされている。ガラスプレート6の下には、レンズ7、8の領域に切欠部12、13を有するプラスチックプレート11が配置されている。ガラスプレート6の支持体5に面する側10は好適には鏡面化されている。択一的にガラスプレート6は、梨地仕上げおよび/または鏡面化しなくてもよい。さらに択一的にまたは追加的に、梨地仕上げおよび/または鏡面化を、ガラスプレート6のそれぞれ他方の側で行ってもよい。
【0068】
プラスチックプレート11は、好適にはLED光線源3、4により励起可能な蛍光材料を有する。光線源3、4はそれぞれ、レンズ7、8の光軸の領域に配置されており、したがってLED光線源3、4から放射される光線の大部分が切欠部12、13を通ってレンズ7、8に入射し、そこで少なくとも実質的に視準化することができる。
【0069】
LED光線源3、4を備える支持体5に関しては、実質的に2つの異なる実施形態があり、両者は図5に図示されている。
【0070】
しかし通常の場合、2つの実施形態の一方だけが単一の照射モジュール2において実現される。ここでの両方の実施形態の図示は、特に説明に役立つ。
【0071】
ここで支持体5は、スペースホルダ21a、21b、21cによってプラスチックプレート11および/またはガラスプレート6まで規定の間隔で保持される。
【0072】
別の実施例は、支持体5が導体路板によって形成されている点で異なる。この場合、導体路板5上には、左側に示すように基板18が配置されており、基板上には最終的にLEDチップ14を配置することができ、このLEDチップは光線を放射するように設計されている。
【0073】
択一的に支持体5自体が基板として構成されてもよい。この場合、LEDチップ14は、または、LED光線源が2つのLEDチップを有する場合、図5の右側に図示されるようにLEDチップ14、15は、支持体5上に直接配置されている。LED光線源3、4および導体路板5は、ここでは従来技術から公知のように構成されている。
【0074】
図6は、照射モジュール2のさらなる実施例の断面図を示す。
【0075】
図6に示した実施例は、図5に示した実施例とは実質的に、照射モジュール2の上部領域にプレート6だけが存在する点で異なる。このプレート6は、好適にはプラスチックプレートとして構成されている。
【0076】
この実施例では、切欠部12、13が2つの孔部直径を有する。ここで下部孔部直径は、上部孔部直径よりも低減されており、したがってレンズ7、8に対してそれぞれ台座25、26を形成するノーズ、突起または肩部が形成される。この台座は、レンズ7、8のように好適には円形に形成されている。
【0077】
台座25、26にはレンズ7、8が好適には材料的に固定され、特に接着剤により固定されている。ここではまた、台座25、26によってレンズ7、8はそれぞれ、配向され、あるいはレンズ7、8の平坦表面が好適には少なくとも実質的に支持体5に対して平行に延在するように芯合わせされている。好適にはこの実施例では、プラスチックプレート6の支持体5に面する側10が鏡面化されており、プラスチックプレート6もさらに好適には蛍光材料を有する。
【0078】
好適には図5図6のプラスチックプレート6、11の異なる領域に、異なる色を蛍光する蛍光材料を設けることができる。好適には、LED光線源3、4のそれぞれのLEDチップの放射スペクトルに適合された蛍光色素を設けることができる。
【0079】
LED光線源3、4および支持体5に関して、すでに図5に関連して述べたことが当てはまる。ここで図6には、LED光線源3、4の別の2つの実施形態が再度示されており、これらの実施形態は図5の実施例にも適する(逆も当てはまる)。ここで、LEDチップ14は、一度、左側で基板18上に直接配置されており、右側では支持体5が導体路板となる。付加的な基板18が設けられており、この上には、好適には異なる光線スペクトルを有する2つのLEDチップが配置されている。
【0080】
実施例は単なる例であり、保護範囲、適用および構造をなんら限定するものではないことを述べておく。むしろ、前述の説明は、当業者に、少なくとも1つの実施例を実施するためのガイドラインを提供するものであり、それによって、特に記載された構成要素の機能および配置に関して、様々な変更を、特許請求の範囲およびこれらと同等の特徴の組み合わせから得られるような保護範囲を逸脱することなく行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 身体照射装置
2 照射モジュール
3、4 LED光線源
5 支持体
6 プレート
7、8 レンズ
9 プレートの支持体とは反対の側
10 プレートの支持体に面する側
11 プラスチックプレート
12、13 切欠部
14 第1のLEDチップ
15 第2のLEDチップ
16 暴露トンネル
17 第1の表面
18 基板
19 内部空間
20 外部空間
21a、21b、21c、21d スペースホルダ
22 固定板
23 冷却装置
24 支持フレーム
25、26 台座
27 下部
28 上部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】