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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】鋸歯状歯付きのデフレーカー
(51)【国際特許分類】
   D21D 1/30 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
D21D1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532888
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022050288
(87)【国際公開番号】W WO2023101832
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/284,807
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502278600
【氏名又は名称】アンドリッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ギングラス,ラック
(72)【発明者】
【氏名】イハリネン,イスモ
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CA17
4L055CA19
4L055CB14
4L055CB16
4L055FA22
(57)【要約】
デフレーカーマシン用のデフレーカープレートは、基板と、基板から延びる複数の歯とを含み得、複数の歯のうちの所定数の歯は、鋸歯状面を有する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デフレーカーマシン用のデフレーカープレートであって、前記デフレーカープレートは、
基板と、
前記基板から延びる複数の歯であって、前記複数の歯のうちの所定数の歯は、鋸歯状面を含む、複数の歯とを含む、
デフレーカーマシン用のデフレーカープレート。
【請求項2】
前記鋸歯状面は、所定のねじ山ピッチまたは所定の直線ピッチを有する鋸歯パターンを含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項3】
前記鋸歯状面は、湾曲した鋸歯パターン、円形鋸歯パターン、角度のある鋸歯パターン、またはクロスハッチング鋸歯パターンを含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項4】
前記鋸歯状面の全体未満の部分が、鋸歯を含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項5】
前記鋸歯状面を有する前記所定数の歯は、前記複数の歯のうちの全ての前記歯を含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項6】
前記鋸歯状面を有する前記所定数の歯は、前記複数の歯のうちの全ての前記歯よりも少ない前記歯を含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項7】
前記基板は、ディスク、リング、またはディスクのセグメントである、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項8】
前記基板は、円錐、セグメント化された円錐、段付き円錐、または段付き円錐のセグメントである、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項9】
前記複数の歯に適用される表面硬化処理をさらに含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項10】
デフレーカーマシン用のデフレーカープレートであって、前記デフレーカープレートは、
第1のデフレーカープレートであって、
第1の基板と、
前記第1の基板から延びる第1の複数の歯であって、
前記第1の複数の歯のうちの第1所定数の歯は、鋸歯状面を含む、第1の複数の歯と
を含む、前記第1のデフレーカープレートと、
第2のデフレーカープレートであって、
第2の基板と、
前記第2の基板から延びる第2の複数の歯であって、
前記第2の複数の歯のうちの第2の所定数の歯は、鋸歯状面を含む、第2の複数の歯と
を含む、前記第2のデフレーカープレートとを含み、
前記第1の複数の歯は、前記第2の複数の歯と噛み合うように構成される、
デフレーカーマシン用のデフレーカープレート。
【請求項11】
前記第1の所定数の歯と前記第2の所定数の歯の前記鋸歯状面は、所定のねじ山ピッチまたは所定の直線ピッチを有する鋸歯パターンを含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項12】
前記第1の所定数の歯と前記第2の所定数の歯の前記鋸歯状面は、湾曲した鋸歯パターン、円形鋸歯パターン、角度のある鋸歯パターン、またはクロスハッチング鋸歯パターンを含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項13】
前記第1の所定数の歯または前記第2の所定数の歯の前記鋸歯状面の全体未満の部分が、鋸歯を含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項14】
前記鋸歯状面を有する前記第1の所定数の歯および前記第2の所定数の歯は、前記第1の複数の歯および前記第2の複数の歯の全ての前記歯を含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項15】
前記鋸歯状面を有する前記第1の所定数の歯および前記第2の所定数の歯は、前記第1の複数の歯および前記第2の複数の歯の全ての前記歯よりも少ない前記歯を含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項16】
前記鋸歯状面を有する前記第1の所定数の歯は、前記第1の複数の歯の全ての前記歯を含み、
前記鋸歯状面を有する前記第2の所定数の歯は、前記第2の複数の歯の全ての前記歯よりも少ない前記歯を含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項17】
前記鋸歯状面を有する前記第1の所定数の歯は、前記第1の複数の歯の全ての前記歯よりも少ない前記歯を含み、
前記鋸歯状面を有する前記第2の所定数の歯は、前記第2の複数の歯の全ての前記歯を含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項18】
前記第1の基板および前記第2の基板は、ディスク、リング、またはディスクのセグメントである、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項19】
前記第1の基板および前記第2の基板は、円錐、セグメント化された円錐、段付き円錐、または段付き円錐のセグメントである、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【請求項20】
前記第1の複数の歯、前記第2の複数の歯、または前記第1の複数の歯および前記第2の複数の歯の両方に適用される表面硬化処理をさらに含む、請求項10に記載のデフレーカープレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月1日に出願された米国仮出願第63/284,807号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に別段の指示がない限り、このセクションに記載される材料は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であるとは認められない。
【0003】
デフレーカーは、紙のリサイクルプロセスや、破片、乾燥パルプシート、及びパルプベールの分離に使用される。リサイクルプロセスは通常、原料をより小さな粒子(フレークなど)とある程度の量の個々の繊維に減らすパルパーから始まる。パルパーは、粒子サイズがデフレーカーなどの後続の装置の詰まりを引き起こさないようにするための最初のステップとして使用されるが、エネルギー消費の点で非効率的である。通常、デフレーカーは、パルプ化プロセスの後に行われる。デフレーカーは、パルパーから原料を取り出し、フレーク含有量を30%~90%の範囲から5%以下、理想的には1%以下のレベルまで減らす。紙のグレードによっては、必要なフレーク削減効率を達成するために複数のデフレーカーを連続して使用する必要がある場合がある。フレークを含有する完成紙料(紙料など)は、形成不良やまだら色紙が生成されるため、製紙には不適切である。
【0004】
デフレーカープレートは、ディスクデフレーカー用の同心リング、またはフレークに対して同様の動的効果も提供する円錐デフレーカー用のロータとステータの段付き円錐の組み合わせとして配置できる噛み合い歯の列を使用する。歯の噛み合いエッジと表面は、直線的で真っ直ぐで、比較的滑らかである。噛み合い表面間の動作ギャップは、通常、約1mm程度である。この構成により、機械的エネルギーの一部がフレークとそれらの分離に伝達されるが、一部のエネルギーは、個々の繊維にも適用され、この余分なエネルギーが吸収され、繊維の変形が引き起こされ、これは、デフレーキング動作中に通常は望ましくないことである。
【0005】
図1は、従来のディスク型デフレーキングマシンのロータプレートとステータプレートの構成を示す図である。図1を参照すると、ステータ110は、静止要素であり、ロータ120は、デフレーキングマシン100のロータシャフト130によって駆動され、ステータ110に対して回転する。ステータプレート115は、ステータ110に結合され得る。いくつかの実施態様では、ステータプレート115は、単一の円形ディスクであり得る。いくつかの実施態様では、ステータプレート115は、個別に機械加工された一連の同心リング116a~116cから形成され得る。図1には3つの同心リングが示されるが、ステータプレートは、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くのまたはより少ない同心リングを含み得る。いくつかの実施態様では、ステータプレート115は、ステータ110上に組み立てられて円形ディスクを形成する一組のステータプレートセグメントを含み得る。ステータ歯151は、例えば、フライス加工または他の機械加工動作によって、円形ステータディスクの周りの同心円状に形成され得る。
【0006】
ロータプレート125は、ロータ120に結合され得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート125は、一体の円形ディスクであり得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート125は、個別に機械加工された一連の同心リング126a~126cから形成され得る。図1には3つの同心リングが示されるが、ロータプレートは、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くのまたはより少ない同心リングを含み得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート125は、ロータ120上に組み立てられて円形ディスクを形成する一組のロータプレートセグメントを含み得る。ロータ歯152は、例えば、フライス加工または他の機械加工動作によって、円形ロータディスクの周りの同心円状に形成され得る。ステータプレート115上のステータ歯151とロータプレート125上のロータ歯152は、噛み合い歯150の同心リングを形成してデフレーキング効果を提供することができる。噛み合い歯150の間にギャップ155が形成され、パルプがそこを通ってデフレーキングされる。
【0007】
図2は、円錐形デフレーキングマシンの従来のロータ円錐及びステータ円錐の構成を示す図である。図2を参照すると、円錐形ステータ210が静止要素であるが、円錐形ロータ220は、円錐形デフレーキングマシン200のロータシャフト(図示せず)によって駆動され、円錐形ステータ210に対してロータシャフトの回転軸205の周りを回転する。段付きステータ円錐215が円錐形ステータ210に結合され得る。いくつかの実施態様では、ステータ円錐215は、一体成形の円錐であり得る。一体成形のステータ円錐215は、例えば、一体成形の鋳造品、コンピュータ数値制御(CNC)機械加工された円錐、溶接アセンブリなどであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、ステータ円錐215は、円錐を形成するために円錐形ステータ210上に組み立てられた一組のステータプレートセグメントを含み得る。
【0008】
段付きロータ円錐225が円錐形ステータ220に結合され得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐225は、一体成形の円錐であり得る。一体成形のロータ円錐225は、例えば、一体成形の鋳造品、コンピュータ数値制御(CNC)機械加工された円錐、溶接アセンブリなどであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、ロータ円錐225は、円錐を形成するために円錐形ロータ220上に組み立てられた一組のロータプレートセグメントを含み得る。ステータ円錐215及びロータ円錐225は、噛み合い歯250を有し、デフレーキング効果を提供することができる。噛み合い歯250の間にギャップ255が形成され、パルプがそこを通ってデフレーキングされる。
【発明の概要】
【0009】
ディスクデフレーキングマシンと円錐形デフレーキングマシンの両方に適用可能な新規なデフレーキング歯パターンを有するロータ及びステータデフレーカープレートが提供される。
【0010】
さまざまな態様によれば、デフレーカーマシン用のデフレーカープレートが提供される。いくつかの態様では、デフレーカープレートは、基板と、基板から延びる複数の歯とを含み得、複数の歯のうちの所定数の歯は、鋸歯状面を有する。
【0011】
さまざまな態様によれば、デフレーカーマシン用のデフレーカープレート(複数可)が提供される。いくつかの態様では、デフレーカープレートは、第1のデフレーカープレートと第2のデフレーカープレートとを含み得る。第1のデフレーカープレートは、第1の基板と、第1の基板から延びる第1の複数の歯とを含み得る。第1の複数の歯のうちの第1の所定数の歯は、鋸歯状面を有し得る。第2のデフレーカープレートは、第2の基板と、第2の基板から延びる第2の複数の歯とを含み得る。第2の複数の歯のうちの第2の所定数の歯は、鋸歯状面を有し得る。第1の複数の歯は、第2の複数の歯と噛み合うように構成され得る。
【0012】
さまざまな実施形態によって、従来の技術に勝る多くの利点が達成される。例えば、さまざまな実施形態は、デフレーキング効率を維持または向上させながら、繊維精製に向けられるエネルギー量(例えば、精製エネルギー)を低減することができるデフレーカー歯パターンを有するデフレーキングマシン用のデフレーカープレートを提供する。いくつかの実施形態では、デフレーカープレートの複数の歯のうちの所定数の歯は、鋸歯状面を有する。これら及び他の実施形態は、その利点及び特徴の多くとともに、以下の本文及び添付図面と併せてより詳細に説明される。
【0013】
さまざまな実施形態の特徴部の態様は、添付図面を参照して例を説明することによって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のディスク型デフレーキングマシンのロータプレートとステータプレートの構成を示す図である。
図2】円錐形デフレーキングマシンの従来のロータ円錐及びステータ円錐の構成を示す図である。
図3A】本開示のいくつかの態様による、デフレーカープレート用の直線鋸歯を有する鋸歯状歯の一例を示す斜視図である。
図3B】本開示のいくつかの態様による、デフレーカープレート用のねじ山型の鋸歯を有する鋸歯状歯の一例を示す斜視図である。
図4A】本開示のいくつかの態様による、ステータプレート及びロータプレートの鋸歯状歯の面上の鋸歯の一例を示す図である。
図4B】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4C】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4D】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4E】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4F】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4G】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図4H】本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。
図5A】本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有するディスクデフレーカープレートの一例を示す図である。
図5B】本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有する1枚だけのデフレーカープレートを備えたディスクデフレーカープレートの一例を示す図である。
図6A】本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有するデフレーカー円錐の一例を示す図である。
図6B】本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有するデフレーカー円錐を1つだけ備えたデフレーカー円錐の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特定の実施形態を記載するが、これらの実施形態は例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を制限する意図はない。本明細書に記載の装置、方法、及びシステムは、さまざまな他の形態で具現化されてよい。さらに、本明細書に記載の例示的な方法及びシステムの形態におけるさまざまな省略、置換、及び変更は、保護の範囲から逸脱することなく行われてよい。
【0016】
特に明記しない限り、同様の参照番号は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。図面は、本開示によるさまざまな特徴及び構成要素の実施形態を表すが、図面は、必ずしも縮尺とおりではなく、特定の特徴は、本開示の実施形態をより良く例示するために誇張される場合があり、そのような例示は、本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0017】
本明細書において特に明記しない限り、以下の解釈の規則が、本明細書に適用される。すなわち、(a)本明細書において使用される全ての単語は、状況により必要な場合は、性別または数(単数または複数)であると解釈される、(b)本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形の用語「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に別段の指示を行わない限り、複数への言及を含む、(c)記載の範囲または値に適用される先行する用語「約」は、既知のまたは測定から当技術分野で予測される範囲または値の偏差内の近似値を示す、(d)単語「本明細書において」、「これによって」、「これに」、「上記に」、及び「以下に」ならびに類似の趣旨の用語は、別段の指定の無い限り、本明細書全体を指し、特定の段落、請求項、他の下位区分のいずれを指したものでもない、(e)説明上の見出しは、便宜上のものであり、本明細書の任意の部分の意味または構造を支配せず、影響も与えない、(f)「または」及び「任意の」は、排他的ではなく、「含む」及び「含んでいる」は、制限的ではない。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、オープンエンドの用語(すなわち、「含むがそれに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。
【0018】
本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に特に明示しない限り、それらの間の任意の部分範囲内の範囲内にあるそれぞれの別個の値に個々に言及する簡単な方法として機能することを意図しているに過ぎない。記載された範囲内の各別個の値は、各別個の値が本明細書に個々に記載されているかのように、明細書または請求項に組み込まれる。値の特定の範囲が提供される場合、文脈が別段に明示しない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値から下限値の間にある各値、ならびにその記載範囲または部分範囲の任意の他の記載値または間にある値が、本明細書に含まれると理解される。全ての部分範囲も含まれる。より小さいこれらの範囲の上限値及び下限値も、記載の範囲内の具体的及び明示的に除外された限界値に従って、そこに含まれる。
【0019】
デフレーカーは、再生紙パルプのフレークを分離するために最大のせん断力を生成するために高速で動作する噛み合い歯の列を特徴とするディスクまたは円錐形マシンである。デフレーカープレートは、ディスクデフレーカー用の同心リング、またはフレークに同様の動的効果も提供する円錐デフレーカー用のロータとステータの段付き円錐もしくは切頭型の段付き円錐の組み合わせとして形成できる噛み合い歯の列を使用する。デフレーカーは、一般に、2%~6%の濃度で動作し、ステータとロータプレートまたは円錐上の交差する歯の列間の典型的なギャップは、約1mm(0.5~2.0mm)程度である。個々の繊維に与えられるエネルギー量(例えば、精製エネルギー)を最小限に抑えながら、可能な限り最高のフレーク分離効率を達成するために、ロータとステータのデフレーカープレート間のギャップを調整することができる。しかし、ギャップが増加すると、精製エネルギー量は減少する可能性があるが、デフレーキング効果も減少する。各デフレーカーでのポンピングによる大幅な損失が発生するため、デフレーキング効果が低下すると、より多くのデフレーキング段階が必要となり、より多くの全体エネルギーを消費することになる。
【0020】
本開示の態様によれば、ディスクデフレーキングマシン及び円錐形デフレーキングマシンの両方に適用可能な新規なデフレーカー歯パターンが提供される。本開示によるデフレーカー歯パターンは、デフレーキング効率を維持または改善しながら、繊維精製に向けられるエネルギー量(例えば、精製エネルギー)を低減することができる。さらに、油圧摩擦損失が低減され、その結果、所定のフレーク低減性能(例えば、デフレーキング効率)のために消費されるエネルギーが減少する可能性がある。
【0021】
本開示の態様は、デフレーカープレートまたはデフレーカー円錐の歯に鋸歯状面を提供する。本明細書で使用される「円錐形」という用語は、円錐と円錐台の両方を指す。鋸歯状歯の山と谷が鋭角に形成され得る。鋸歯状歯表面は、異なるギャップ状態と機械的なデフレーキング動作を生み出すことができる。鋸歯状面は、表面の頂点と歯のエッジでパルプフレークを捕らえ、フレークをせん断することができる。個々のパルプ繊維は、鋭い頂点に捕捉される可能性が低く、反対側の鋭い頂点と交差するハサミタイプの動作で処理される可能性が低くなる。
【0022】
図3Aは、本開示のいくつかの態様による、デフレーカープレート用の直線鋸歯を有する鋸歯状歯310の一例を示す斜視図である。デフレーカープレートは、ステータプレートまたはロータプレートであり得、あるいはステータセグメントまたはロータセグメントであり得る。図3Aに示すように、鋸歯状歯310は、所定の直線ピッチで歯の面を横切って直線的に延びる山と谷315を有する。いくつかの実施態様では、歯面の一部のみは、鋸歯を含み得る。ロータプレートまたはステータプレートの鋸歯状歯面は、デフレーカーマシンに取り付けられる場合、それぞれ反対側のステータプレートまたはロータプレートの歯の面と反対側に配置され得る。
【0023】
図3Bは、本開示のいくつかの態様による、デフレーカープレート用のねじ山型の鋸歯を有する鋸歯状歯320の一例を示す斜視図である。図3Bに示すように、鋸歯状歯320は、所定のねじ山ピッチで歯の面を横切って延びる山と谷325を有する。いくつかの実施態様では、歯面の一部のみは、鋸歯を含み得る。ロータプレートまたはステータプレートの鋸歯状歯面は、デフレーカーマシンに取り付けられる場合、それぞれ反対側のステータプレートまたはロータプレートの歯の面と反対側に配置され得る。
【0024】
図4Aは、本開示のいくつかの態様による、ステータプレート410及びロータプレート450の鋸歯状歯の面上の鋸歯の一例を示す図である。鋸歯状歯の山453と谷455が鋭角で形成され得る。いくつかの実施態様では、歯のデフレーキング表面の表面硬化処理を行うことができる。表面硬化処理は、デフレーカープレートの寿命全体にわたってピークを鋭く保つために有益である可能性がある。場合によっては、ステータプレート410及び/またはロータプレート450の歯に対して表面硬化処理を行うことができる。場合によっては、表面硬化処理は、ステータプレート410全体及び/またはロータプレート450全体に適用され得る。
【0025】
山と谷は、異なる構成を有する鋸歯パターン、例えば、直線鋸歯パターン、湾曲した鋸歯パターン、円形鋸歯パターン、角度のある鋸歯パターン、クロスハッチング鋸歯パターンなどを形成することができ、これらに限定されない。図4B~4Hは、本開示のいくつかの態様による、さまざまな実施態様で使用され得る鋸歯パターンプロファイルの例を示す図である。図4B~4Hに示すように、鋸歯プロファイルの歯は、鋭い先端(例えば、図4B、4C、4F)、平坦な頂部(図4D、4E、4G)、丸い頂部(例えば、図4H)、またはそれらの組み合わせを有し得る。図4B図4Hに示される鋸歯パターンは非限定的な例であり、本開示の範囲から逸脱することなく他の鋸歯パターンを使用できることを理解されたい。
【0026】
いくつかの実施態様では、鋸歯状歯は、デフレーカー歯の面にわたって基板に対してある角度で形成される。いくつかの実施態様では、山と谷のパターンは歯の周りのねじ山と同様に形成され、歯の表面に沿った全ての位置で山と谷の実質的に均一な分布が提供される。いくつかの実施態様では、歯面の一部のみは、鋸歯を含み得る。
【0027】
再び図4Aを参照すると、鋸歯状表面は、特定のピッチ(例えば、山間の距離)460、例えば、0.5~3.0mmの範囲のピッチを有する山453及び谷455を含み得る。パルプ繊維に影響を与える平均ギャップ470は、動作ギャップ465に鋸歯状歯の谷の深さを合わせた半分475a、475bを加えたものによって形成され得る。
【0028】
図5Aは、本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯515、525を有するディスクデフレーカープレートの一例を示す図である。図5Aを参照すると、ステータプレート510は、基板512と、基板512から延びる鋸歯状歯515とを含み得る。いくつかの実施態様では、基板は、ディスク、ディスクのセグメント、またはリングであり得る。ロータプレート520は、基板522と、基板522から延びる鋸歯状歯525とを含み得る。ステータプレート510の鋸歯状歯515は、ロータプレート520の鋸歯状歯525と噛み合うことができる。いくつかの実施態様では、ロータプレート及び/またはステータプレートの歯面の一部のみが鋸歯を含み得る。動作ギャップ530は、ステータプレート510の鋸歯状歯515の頂点とロータプレート520の鋸歯状歯525との間に設けられ得る。図4の動作ギャップ465も参照のこと。
【0029】
図5Bは、本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有する1枚だけのデフレーカープレートを備えたディスクデフレーカープレートの一例を示す図である。図5Bに示すように、ステータプレート550は、基板552と、基板552から延びる歯555とを含み得る。ロータプレート560は、基板562と、基板562から延びる鋸歯状歯565とを含み得る。ステータプレート550の歯555は鋸歯を有しなくてもよいが、ロータプレート560の歯565は鋸歯を有してもよい。ステータプレート510の非鋸歯状歯555の面とロータプレートの鋸歯状歯565の頂点との間に動作ギャップ570が設けられ得る。
【0030】
いくつかの実施態様では、ロータプレート及びステータプレートの両方に鋸歯状歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータプレートまたはステータプレートのみが鋸歯状歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート及び/またはステータプレートの各歯は、鋸歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート及び/またはステータプレート上の歯の一部のみは、鋸歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータプレート及び/またはステータプレート上の歯面の一部のみが鋸歯を含み得る。
【0031】
本開示のいくつかの態様によれば、鋸歯状歯は、円錐形デフレーカーのステータ及びロータデフレーカー円錐に設けられ得る。ステータ及びロータデフレーカー円錐は、円錐形プレートセグメントから形成され得、または単一の円錐であり得る。ステータ及びロータデフレーカー円錐は、段付き円錐であり得る。いくつかの実施態様では、段付き円錐は、角度のある段付き円錐であり得る。図3A、3B、及び4に関して説明したデフレーカープレートと同様に、鋸歯状歯は、所定の直線ピッチで歯の面を横切って直線的に延びる山及び谷を有し得る。ロータプレートまたはステータプレートの鋸歯状歯面は、デフレーカーマシンに取り付けられる場合、それぞれ反対側のステータプレートまたはロータプレートの歯の面と反対側に配置され得る。
【0032】
いくつかの実施態様では、歯のデフレーキング表面の表面硬化処理を行うことができる。表面硬化処理は、デフレーカープレートの寿命全体にわたってピークを鋭く保つために有益である可能性がある。山と谷は、異なる構成を有する鋸歯パターン、例えば、直線鋸歯パターン、湾曲した鋸歯パターン、円形鋸歯パターン、角度のある鋸歯パターン、クロスハッチング鋸歯パターンなどを形成することができ、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、鋸歯状歯は、デフレーカー歯の面にわたって基板に対してある角度で形成される。いくつかの実施態様では、山と谷のパターンは歯の周りのねじ山と同様に形成され、歯の表面に沿った全ての位置で山と谷の実質的に均一な分布が提供される。
【0033】
図6Aは、本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有するデフレーカー円錐の一例を示す図である。図6Aを参照すると、ステータ円錐610は、段付き円錐基板612と、段付き円錐基板612から延びる鋸歯状歯615とを含み得る。ロータ円錐620は、段付き円錐基板622と、段付き円錐基板622から延びる鋸歯状歯625とを含み得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐及び/またはステータ円錐の基板は、円錐、セグメント化された円錐、または段付き円錐のセグメントであり得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐及び/またはステータ円錐上の歯面の一部のみが鋸歯を含み得る。段付きステータ円錐610の鋸歯状歯615は、段付きロータ円錐620の鋸歯状歯625と噛み合うことができる。動作ギャップ630は、ステータ円錐610とロータ円錐620の鋸歯状歯615、625の頂点の間に設けられ得る。
【0034】
図6Bは、本開示のいくつかの態様による、鋸歯状歯を有するデフレーカー円錐を1つだけ備えたデフレーカー円錐の一例を示す図である。図6Bに示すように、ステータ円錐650は、段付き円錐基板652と、段付き円錐基板652から延びる歯655とを含み得る。ステータ円錐650の歯655は、鋸歯を有しなくてもよい。ロータ円錐660は、段付き円錐基板662と、段付き円錐基板662から延びる鋸歯状歯665とを含み得る。いくつかの実施態様では、歯面の一部のみは、鋸歯を含み得る。段付きステータ円錐650の非鋸歯状歯655は、段付きロータ円錐660の鋸歯状歯665と噛み合うことができる。動作ギャップ670は、ロータ円錐660の非鋸歯状歯655の面とステータ円錐650の鋸歯状歯665の頂点との間に設けられ得る。
【0035】
いくつかの実施態様では、ロータ円錐及びステータ円錐の両方は、鋸歯状歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐またはステータ円錐のみは、鋸歯状歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐及び/またはステータ円錐の各歯は、鋸歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐及び/またはステータ円錐上の歯の一部のみは、鋸歯を有し得る。いくつかの実施態様では、ロータ円錐及び/またはステータ円錐上の歯面の一部のみが鋸歯を含み得る。
【0036】
本開示によるステータプレートとロータプレート及び円錐の鋸歯状歯の表面及びエッジ特性は、デフレーキング効率を改善することができる。大きなフレークサイズは、鋸歯状の表面の複数の頂点に簡単に捕らえられ、しかし、繊維の精製にかかるエネルギーや、通過する歯の間の水圧せん断損失は減少する可能性がある。噛み合い歯の間の動作ギャップが減少する可能性があり、その結果、繊維精製や水圧によるせん断損失によるエネルギー損失を増加させることなく、シングルパスでのフレーク除去効率が向上する。
【0037】
本明細書に記載の例及び実施形態は、例示のみを目的としている。当業者であれば、これらの構成及び開示された構成の他の変形例が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】