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  • 特表-光学フィルム及びこの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光学フィルム及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/14 20060101AFI20241114BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08G73/14
C08J5/18 CFG
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533849
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 KR2022005983
(87)【国際公開番号】W WO2023128075
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0193805
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041859
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ハク-キ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J043
【Fターム(参考)】
4F071AA60X
4F071AA81X
4F071AF30Y
4F071AF34Y
4F071AG28
4F071AH19
4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4F071BC12
4J043PA04
4J043RA06
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA43
4J043SA46
4J043SA47
4J043SA54
4J043SA71
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4J043TA22
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4J043TA70
4J043TA71
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4J043UA041
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4J043UA152
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4J043UA672
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4J043UB022
4J043UB061
4J043UB062
4J043UB121
4J043UB122
4J043UB152
4J043UB282
4J043UB301
4J043UB312
4J043UB401
4J043UB402
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4J043VA061
4J043VA062
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4J043YA08
4J043YA23
4J043ZA52
4J043ZB11
4J043ZB21
(57)【要約】
本発明は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む高分子樹脂を含み、前記アミド繰り返し単位は、前記イミド繰り返し単位及び前記アミド繰り返し単位に対し、80%以上の比率で含まれる光学フィルム及びこのような光学フィルムの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む高分子樹脂を含み、
前記アミド繰り返し単位は、前記イミド繰り返し単位及び前記アミド繰り返し単位に対し、80%以上の比率で含まれる、
光学フィルム。
【請求項2】
重量基準で120ppm(0.012重量%)以下の塩素(Cl)を含む、
請求項1に記載の光学フィルム:
ここで、前記塩素濃度は、前記光学フィルムを凍結乾燥及び粉末化した後、蒸留水を用いて抽出して得られた塩素(Cl)抽出液に対し、イオンクロマトグラフィー分析を行って測定される。
【請求項3】
重量基準で50ppm(0.005重量%)以下の塩素(Cl)を含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記イミド繰り返し単位は、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を含み、
前記第1繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり、
前記第2繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記アミド繰り返し単位は、第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位を含み、
前記第3繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり、
前記第4繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、
前記第1ジアミン系化合物は、ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine, TFDB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-ミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4DDS)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3DDS)、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine, pPDA)、m-フェニレンジアミン(metaphenylene diamine, mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline, pMDA), m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline, mMDA)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン(6HDA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6FAPBP)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3'-オキシジアニリン(3-ODA)、2,2'-ジメチル-4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(2,2'-Dimethyl-4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline, MFDA)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene, FDA)及び9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene, FFDA)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4または請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり、
前記第2ジアミン系化合物は、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン(4,4'-Methylenebis cyclohexylamine, MBCA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(aminomethyl)cyclohexane)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(Bicyclo[2.2.1]heptanebis(methylamine))、及び前記化合物のCis、Trans及びMixtureの異性体からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4または請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ジアンハイドライド系化合物は、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸アンハイドライド(TDA)、ピロメリット酸ジアンハイドライド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride, pyromellicticacid dianhydride, PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride, BPDA)、オキシジフタル酸ジアンハイドライド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride, ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンハイドライド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride, SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンハイドライド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride, BDSDA)、スルホニルジフタル酸アンハイドライド(Sulfonyldiphthalic anhydride, SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride, CBDA)、及びイソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸アンハイドライド(4,4'-(4,4'-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride, 6HBDA)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記ジカルボニル系化合物は、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride, TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride, IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride, DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4'-Oxybis(benzoyl Chloride), OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項10】
4.0以下の黄色度を有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
88.50%以上の光透過率を有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
表示パネル;及び
前記表示パネル上に配置された、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の光学フィルム;
を含む、表示装置。
【請求項13】
第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物のうちの少なくとも一つ、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物、及び塩素(Cl)受容体を用いて、第1反応液を形成する段階;
前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する段階;
前記第2反応液を処理し、固体状態の高分子樹脂を製造する段階;
前記固体状態の高分子樹脂を溶解させ、高分子樹脂溶液を製造する段階;及び
前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含み、
前記塩素(Cl)受容体の含量は、モル(mole)数基準で、前記ジカルボニル系化合物の含量の4~7倍である、
光学フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、
前記ジカルボニル系化合物の含量は、80~99モル部であり、
前記ジアンハイドライド系化合物の含量は、1~20モル部である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、
前記第1ジアミン系化合物の含量は、85~95モル部であり、
前記第2ジアミン系化合物の含量は、5~15モル部である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記塩素(Cl)受容体は、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を含む、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、エポキシド(eposide)系化合物、オキセタン(oxetane)系化合物、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)系化合物及びテトラヒドロピラン(tetrahydropyran)系化合物のうちの少なくとも一つを含む、
請求項17に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、プロピレンオキシド(propylene oxide)系化合物を含む、
請求項17に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記第2反応液のpHは、8~9である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項21】
前記高分子樹脂溶液のpHは、6~7である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高比率のアミド繰り返し単位を含む光学フィルム及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化に伴い、カバーウィンドウとしてガラスの代わりに光学フィルムを使用することが検討されている。光学フィルムが、表示装置のカバーウィンドウとして使用されるためには、優れた光学的特性及び機械的特性を有する必要がある。従って、光学フィルムが外部環境で長時間使用されても、光学特性に変化がない光学フィルムを開発することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一実施例は、重合度に優れ、高比率のアミド繰り返し単位を含む光学フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
本発明の他の一実施例は、重合度に優れ、高比率のアミド繰り返し単位を含むことにより、光学特性及び機械的特性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明のまた他の一実施例は、重合度に優れ、高比率のアミド繰り返し単位を含む光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の一実施例は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む高分子樹脂を含み、前記アミド繰り返し単位は、前記イミド繰り返し単位及び前記アミド繰り返し単位に対し、80%以上の比率で含まれる光学フィルムを提供する。
【0007】
前記光学フィルムは、重量基準で120ppm(0.012重量%)以下の塩素(Cl)を含むことができる。ここで、前記塩素濃度は、前記光学フィルムを凍結乾燥及び粉末化した後、蒸留水を用いて抽出して得られた塩素(Cl)抽出液に対し、イオンクロマトグラフィー分析を行って測定される。
【0008】
前記光学フィルムは、重量基準で50ppm(0.005重量%)以下の塩素(Cl)を含むことができる。
【0009】
前記イミド繰り返し単位は、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を含み、前記第1繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり、前記第2繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり得る。
【0010】
前記アミド繰り返し単位は、第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位を含み、前記第3繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり、前記第4繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり得る。
【0011】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、前記第1ジアミン系化合物は、ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine, TFDB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-ミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4DDS)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3DDS)、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine, pPDA)、m-フェニレンジアミン(metaphenylene diamine, mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline, pMDA), m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline, mMDA)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン(6HDA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6FAPBP)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3'-オキシジアニリン(3-ODA)、2,2'-ジメチル-4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(2,2'-Dimethyl-4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline, MFDA)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene, FDA)及び9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene, FFDA)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0012】
前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり、前記第2ジアミン系化合物は、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン(4,4'-Methylenebis cyclohexylamine, MBCA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(aminomethyl)cyclohexane)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(Bicyclo[2.2.1]heptanebis(methylamine))、及び前記化合物のCis、Trans及びMixtureの異性体からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0013】
前記ジアンハイドライド系化合物は、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸アンハイドライド(TDA)、ピロメリット酸ジアンハイドライド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride, pyromellicticacid dianhydride, PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride, BPDA)、オキシジフタル酸ジアンハイドライド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride, ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンハイドライド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride, SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンハイドライド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride, BDSDA)、スルホニルジフタル酸アンハイドライド(Sulfonyldiphthalic anhydride, SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride, CBDA)、及びイソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸アンハイドライド(4,4'-(4,4'-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride, 6HBDA)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0014】
前記ジカルボニル系化合物は、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride, TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride, IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride, DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4'-Oxybis(benzoyl Chloride), OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0015】
前記光学フィルムは、4.0以下の黄色度を有することができる。
【0016】
前記光学フィルムは、88.50%以上の光透過率を有することができる。
【0017】
本発明の他の一実施例は、表示パネル;及び前記表示パネル上に配置された前記光学フィルムを含む表示装置を提供する。
【0018】
本発明のまた他の一実施例は、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物のうちの少なくとも一つ、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物、及び塩素(Cl)受容体を用いて、第1反応液を形成する段階;前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する段階;前記第2反応液を処理し、固体状態の高分子樹脂を製造する段階;前記固体状態の高分子樹脂を溶解させ、高分子樹脂溶液を製造する段階;及び、前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含み、前記塩素(Cl)受容体の含量は、モル(mole)数基準で、前記ジカルボニル系化合物の含量の4~7倍である、光学フィルムの製造方法を提供する。
【0019】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり得る。
【0020】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、前記ジカルボニル系化合物の含量は、80~99モル部であり、前記ジアンハイドライド系化合物の含量は、1~20モル部であってもよい。
【0021】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、前記第1ジアミン系化合物の含量は、85~95モル部であり、前記第2ジアミン系化合物の含量は、5~15モル部であってもよい。
【0022】
前記塩素(Cl)受容体は、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を含むことができる。
【0023】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、エポキシド(eposide)系化合物、オキセタン(oxetane)系化合物、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)系化合物、及びテトラヒドロピラン(tetrahydropyran)系化合物を含むことができる。
【0024】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、プロピレンオキシド(propylene oxide)系化合物を含むことができる。
【0025】
前記第2反応液のpHは、8~9であってもよい。
【0026】
前記高分子樹脂溶液のpHは、6~7であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施例によると、ジカルボニル系化合物の重合反応を活性化させることにより、多量のジカルボニル系化合物を添加しても、重合度に優れた高分子樹脂を提供することができる。
【0028】
本発明の一実施例によると、脂肪族ジアミン系化合物の重合反応を活性化させることにより、重合度に優れた高分子樹脂を提供することができる。
【0029】
本発明の他の一実施例は、機械的特性及び光学特性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。
【0030】
本発明の他の一実施例は、高比率のアミド繰り返し単位を含む光学フィルムを提供することを目的とする。
【0031】
本発明のまた他の一実施例による光学フィルムは、優れた光学的特性及び機械的特性を有するため、表示装置のカバーウィンドウとして使用される場合、表示装置の表示面を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の他の一実施例による表示装置の一部についての断面図である。
図2図1の「P」部分についての拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下で説明される実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的で提示されるものに過ぎず、本発明の範囲を制限しない。
【0034】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、サイズ、比率、角度、個数等は、例示的なものであるため、本発明は図面に示される事項に限定されない。明細書の全体を通して、同一の構成要素は、同一の参照符号で指称することができる。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略される。
【0035】
本明細書で言及される「含む」、「有する」、「なされる」等が使用される場合、「~のみ」という表現が使用されない限り、他の部分が追加され得る。構成要素が単数として表現される場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む。また、構成要素を解釈するにあたり、別途の明示的な記載がなくても、誤差範囲を含むものと解釈される。
【0036】
位置関係についての説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」等で、二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置し得る。
【0037】
空間的に相対的な用語である「下(below, beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」等は、図面に示されているように、一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時、素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を裏返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述される素子は、他の素子の「上(above)」に配置され得る。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を全て含むことができる。同様に、例示的な用語である「上(うえ)」または「上(じょう)」は、上と下の方向を全て含むことができる。
【0038】
時間関係についての説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等で時間的な前後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0039】
第1、第2等が様々な構成要素を叙述するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって制限されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0040】
「少なくとも一つ」という用語は、一つ以上の関連項目から提示可能な全ての組み合わせを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうちの少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目または第3項目のそれぞれだけでなく、第1項目、第2項目及び第3項目のうちの二つ以上から提示され得る全ての項目の組み合わせを意味することができる。
【0041】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例は、互いに対して独立して実施可能であり得るのであって、連関関係として共に実施することもできる。
【0042】
本発明の一実施例は、光学フィルムを提供する。本発明の一実施例による光学フィルムは、高分子樹脂を含む。
【0043】
高分子樹脂は、フィルムに固形分粉末の形態、溶液に溶解している形態、溶液に溶解した後に固体化したマトリックスの形態等、様々な形状及び形態で含むことができ、本発明と同一の繰り返し単位を含む樹脂であれば、形状及び形態を問わず、全て本発明の高分子樹脂と同じものであると見ることができる。ただし、一般的に、フィルム内で高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布した後、乾燥して固体化したマトリックスの形態で存在することができる。
【0044】
本発明の一実施例による高分子樹脂は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む。従って、本発明の一実施例による光学フィルムは、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む。
【0045】
本発明の一実施例によると、イミド繰り返し単位は、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を含むことができる。第1繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり得、第2繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり得る。
【0046】
本発明の一実施例によると、アミド繰り返し単位は、第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位を含むことができる。第3繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり得、第4繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり得る。
【0047】
しかし、本発明の一実施例による高分子樹脂は、これに限定されない。本発明の一実施例による高分子樹脂は、第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンハイドライド系化合物及びジカルボニル系化合物に加えて、他の化合物をさらに含むモノマー成分から製造することができる。従って、本発明の一実施例による高分子樹脂は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位をさらに有することもできる。
【0048】
本発明の一実施例によると、光学フィルムは、ポリアミド-イミド系高分子を含むことができる。本発明の一実施例による光学フィルムは、ポリアミド-イミド系高分子樹脂を含むことができる。本発明の一実施例によると、光学フィルムは、ポリアミド-イミド系フィルムであり得る。
【0049】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり得る。
【0050】
本発明の一実施例において、「芳香族ジアミン系化合物」は、アミノ基が芳香族環に直接結合されているジアミンを意味し、その構造の一部に脂肪族基またはその他の置換基を含むこともできる。芳香族環は、単環、または、単環が直接またはヘテロ原子で連結された結合環であってもよく、縮合環であってもよい。芳香族環は、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環を含むことができ、これらに限定されない。
【0051】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物は、下記化学式1で示すことができる。
【0052】
<化学式1>
【0053】
化学式1において、A1は、2価の芳香族有機基を示す。芳香族有機基とは、単結合と二重結合が交互に連結されて環を形成することにより、パイ電子が非偏在化された有機基をいう。例えば、A1は、炭素数4~40の2価の芳香族有機基を含む。化学式1に含まれる芳香族有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基、またはハロゲン元素で置換された炭化水素基によって置換することができる。水素原子と置換された炭化水素基、またはハロゲン元素で置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってもよい。例えば、A1に含まれる水素は、-F、-CH3、-CF3等で置換することができる。
【0054】
水素原子がフッ素置換された炭化水素基によって置換された、ジアミン系化合物を使用して製造された光学フィルムは、優れた光透過性を有し、優れた加工特性を有することができる。
【0055】
化学式1のA1は、例えば、以下の構造式のいずれか一つで示される構造を含んでもよい。ただし、化学式1のA1は、下記の構造式のいずれか一つに限定されない。
【0056】
【0057】
前記構造式において、*は、結合位置を示す。前記構造式において、Xは、独立して単結合、O、S、SO2、CO、CH2、C(CH3)2及びC(CF3)3のいずれ一つであってもよい。Xの各環に対する結合位置は、特に限定されないが、Xの結合位置は、例えば、各環に対してメタまたはパラ位置であってもよい。
【0058】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物は、ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine, TFDB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-ミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4DDS)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3DDS)、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine, pPDA)、m-フェニレンジアミン(metaphenylene diamine, mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline, pMDA), m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline, mMDA)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン(6HDA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6FAPBP)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3'-オキシジアニリン(3-ODA)、2,2'-ジメチル-4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(2,2'-Dimethyl-4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline, MFDA)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene, FDA)、及び、9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene, FFDA)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0059】
本発明の一実施例によると、第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり得る。
【0060】
本発明の一実施例において、「脂肪族ジアミン系化合物」は、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを意味し、その構造の一部に、芳香族環またはその他の置換基を含むこともできる。脂肪族ジアミンは、環状脂肪族ジアミン、及び、環状でない非環状脂肪族ジアミンを含むことができる。
【0061】
本発明の一実施例によると、第2ジアミン系化合物は、下記化学式2で示すことができる。
【0062】
<化学式2>
【0063】
化学式2において、A2は、2価の脂肪族有機基を示す。例えば、A2は、炭素数4~40の2価の脂肪族有機基を含む。化学式2に含まれる脂肪族有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基、またはハロゲン元素で置換された炭化水素基によって置換することができる。水素原子と置換された炭化水素基、または、ハロゲン元素で置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってもよい。例えば、A2に含まれる水素は、-F、-CH3、-CF3等で置換することができる。
【0064】
水素原子がフッ素置換された炭化水素基によって置換された、ジアミン系化合物を使用して製造された光学フィルムは、優れた光透過性を有し、優れた加工特性を有することができる。
【0065】
化学式2のA2は、例えば、以下の構造式のいずれか一つで示される構造を含んでもよい。ただし、化学式1のA2は、下記の構造式のいずれか一つに限定されない。
【0066】
【0067】
前記構造式において、*は、結合位置を示す。ただし、アミン基は、結合位置に直接結合することができ、炭素数1~3のアルキレン基によって結合することもできる。前記構造式において、Yは、独立して単結合、O、S、SO2、CO、CH2、C(CH3)2及びC(CF3)3のいずれか一つであってもよい。Yと各環に対する結合位置は、特に限定されない。
【0068】
本発明の一実施例によると、第2ジアミン系化合物は、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン(4,4'-Methylenebis cyclohexylamine, MBCA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(aminomethyl)cyclohexane)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(Bicyclo[2.2.1]heptanebis(methylamine))、及び前記化合物のCis(シス)、Trans(トランス)及びMixture(混合)の異性体からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0069】
高分子樹脂が脂肪族ジアミン系化合物に由来する繰り返し単位を含む場合、芳香族ジアミン系化合物に由来する繰り返し単位のみを含む場合に比べ、フィルムの黄色度及び光透過率を改善させることができる。それにより、光学物性に優れた光学フィルムを得ることができる。芳香族ジアミン系化合物に含まれるベンゼン環は、フィルムが黄色を帯びるようにするため、芳香族ジアミン系化合物よりも脂肪族ジアミン系化合物を多量に使用することにより、フィルムの黄色度を低下させることができる。
【0070】
ただし、脂肪族ジアミン系化合物は、強い塩基性を有するため、カルボン酸と反応して塩(salt)を形成する。それにより、脂肪族ジアミン系化合物を使用する場合、一般的な重合方法では円滑な重合反応が起こらず、樹脂の重合度が低下するという問題が発生する。樹脂の重合度が低下すると、フィルムの光学特性が低下し、光学フィルムとして使用するのに適さない場合がある。
【0071】
本発明の一実施例によると、脂肪族ジアミン系化合物を使用しながら、高分子樹脂の重合度を向上させる方法として、例えば、高分子樹脂及びフィルムに含まれる塩素(Cl)の含量を最小化する方法がある。
【0072】
本発明の一実施例によると、ジアンハイドライド系化合物は、下記化学式3で示すことができる。
【0073】
<化学式3>
【0074】
化学式3において、A3は、4価の有機基を示す。例えば、A3は、炭素数4~40の4価の有機基を含むことができる。化学式3に含まれる有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基またはハロゲン置換された炭化水素基によって置換することができる。ここで、水素原子と置換された炭化水素基またはハロゲン置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってもよい。
【0075】
化学式3のA3は、例えば、以下の構造式のいずれか一つで示される構造を含んでもよい。
【0076】
【0077】
前記構造式において、*は、結合位置を示す。前記構造式において、Zは、独立して単結合、O、S、SO2、CO、(CH2)n、(C(CH3)2)n及び(C(CF3)2)nのいずれか一つであってもよく、nは、1~5の正の数であってもよい。Zと各環に対する結合位置は、特に限定されないが、Zの結合位置は、例えば、各環に対してメタまたはパラ位置であってもよい。
【0078】
本発明の一実施例によると、ジアンハイドライド系化合物は、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸アンハイドライド(TDA)、ピロメリット酸ジアンハイドライド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride, pyromellicticacid dianhydride, PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride, BPDA)、オキシジフタル酸ジアンハイドライド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride, ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンハイドライド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride, SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンハイドライド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride, BDSDA)、スルホニルジフタル酸アンハイドライド(Sulfonyldiphthalic anhydride, SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride, CBDA)、及びイソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸アンハイドライド(4,4'-(4,4'-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride, 6HBDA)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0079】
本発明の一実施例による、光学フィルムの製造に使用されるモノマーは、複数の種類のジアンハイドライド系化合物を含むことができる。
【0080】
水素原子がフッ素置換された炭化水素基によって置換された、ジアンハイドライド系化合物を使用して製造された光学フィルムは、優れた光透過性を有し、優れた加工特性を有することができる。
【0081】
本発明の一実施例によると、ジカルボニル系化合物は、下記化学式4で示すことができる。
【0082】
<化学式4>
【0083】
化学式4において、A4は、2価の基(group)を示す。例えば、A4は、炭素数4~40の2価の有機基を含むことができる。また、A4は、炭素原子、窒素原子または酸素原子を示すこともできる。化学式4に含まれる有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基またはフッ素置換された炭化水素基によって置換することができる。ここで、水素原子が置換された炭化水素基またはフッ素置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってもよい。
【0084】
本発明の一実施例によると、ジカルボニル系化合物は、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride, TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride, IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride, DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4'-Oxybis(benzoyl Chloride), OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0085】
本発明の一実施例による高分子樹脂は、下記化学式5で示される第1繰り返し単位及び下記化学式6で示される第2繰り返し単位を含むことができる。
【0086】
<化学式5>
【0087】
化学式5に含まれるA1とA3は、既に説明した通りである。
【0088】
<化学式6>
【0089】
化学式6に含まれるA2とA3は、既に説明した通りである。
【0090】
本発明の一実施例による高分子樹脂は、下記化学式7で示される第3繰り返し単位及び下記化学式8で示される第4繰り返し単位を含むことができる。
【0091】
<化学式7>
【0092】
化学式7に含まれるA1とA4は、既に説明した通りである。
【0093】
<化学式8>
【0094】
化学式8に含まれるA2とA4は、既に説明した通りである。
【0095】
本発明の一実施例によると、光学フィルムの製造に使用されるジカルボニル系化合物の含量は、ジアンハイドライド系化合物とジカルボニル系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、80~99モル部である。
【0096】
また、ジアンハイドライド系化合物の含量は、ジアンハイドライド系化合物とジカルボニル系化合物の総含量100モル部に対し、1~20モル部である。
【0097】
一般的に、高分子樹脂製造時に「ジアミン系化合物」と「ジアンハイドライド系化合物及びジカルボニル系化合物」とは、約1:1で添加されるため、「第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含量」100モル部(mole part)に対し、「ジカルボニル系化合物の含量」は、80~99モル部であり、「ジアンハイドライド系化合物の含量」は、1~20モル部であると表すこともできる。
【0098】
また、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位は、ジアンハイドライド系化合物に由来し、第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位は、ジカルボニル系化合物に由来するため、高分子樹脂に含まれる「第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位」の総数は、「第1~第4繰り返し単位を含む全体の繰り返し単位」の数に対し、80%~99%の比率で含まれるのであって、「第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位」の総数は、「第1~第4繰り返し単位を含む全体の繰り返し単位」の数に対し、1%~20%の比率で含まれると表すこともできる。
【0099】
第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位の総数は、前記第1~第4繰り返し単位を含む全体の繰り返し単位の数に対し、80%~99%の比率で含む場合、黄色度及びヘイズを低下させ、光透過率を向上させうるのであって、機械的特性もやはり向上させることができる。すなわち、アミド繰り返し単位をイミド繰り返し単位に比べて多量に含むことにより、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性等を維持しながら、無色透明なフィルムを製造することができる。
【0100】
ただし、多量のアミド繰り返し単位を形成するために多量のジカルボニル系化合物を添加する場合、ジカルボニル系化合物がゲル化され、十分な重合反応が起こらないという問題点がある。
【0101】
本発明の一実施例によると、脂肪族ジアミン系化合物及び多量のジカルボニル系化合物を用いながら、高分子樹脂の重合度を向上させる方法として、例えば、高分子樹脂及び光学フィルムに含まれる塩素(Cl)の含量を最小化する方法がある。
【0102】
本発明の一実施例によると、高分子樹脂に含まれる塩素(Cl)の含量を最小化する。塩素(Cl)の含量が最小化された高分子樹脂の重合度を向上することができる。塩素(Cl)の含量が最小化された高分子樹脂を含む光学フィルムも、やはり塩素(Cl)の含量を最小化することができる。
【0103】
本発明者らは、高分子樹脂に塩素(Cl)原子が残存する場合、高分子樹脂の重合度が減少することを確認し、これを含む光学フィルムの残存塩素(Cl)原子も、やはり減少することを確認した。具体的には、光学フィルムの製造過程で発生した塩酸(HCl)が十分に除去されず、光学フィルム製造のための反応液、例えば、高分子樹脂前駆体溶液内に存在する場合、反応液の酸度(acidity)が増加して反応性が低下し、高分子の分解(degradation)が発生する可能性がある。また、光学フィルムを製造する過程中、化学的または熱的なイミド化過程で、塩酸(HCl)が水(H2O)と反応し、ヒドロニウムイオン(H3O+)と塩素イオン(Cl-)の生成等の副反応が誘発され、光学フィルムの光学物性が低下する可能性がある。それだけでなく、塩素(Cl)原子を含む光学フィルムに熱及び光が照射される場合、塩素(Cl)原子による光開始反応等により、フィルムに含まれる高分子の分解または劣化が加速化されるか、高分子樹脂の化学構造に変化が生じうる。このように、熱処理及び光照射により、光学フィルムを構成する高分子樹脂の化学構造が、分解されるか、劣化して変化する場合、光学フィルムの光学物性が低下する可能性がある。
【0104】
本発明の一実施例による光学フィルムは、重量基準で120ppm以下の塩素(Cl)を含むことができる。本発明の一実施例によると、120ppmは、0.012重量%に対応し得る。本発明の一実施例によると、ppmは、光学フィルム内に含まれる塩素イオンの濃度を重量基準で測定した単位である。本発明の一実施例によると、塩素(Cl)濃度は、イオンクロマトグラフィーを用いて測定することができ、イオンクロマトグラフィー標準溶液の濃度を用いて計算することができる。
【0105】
本発明の一実施例によると、光学フィルムを凍結乾燥及び粉末化した後、蒸留水を用いて光学フィルムから塩素(Cl)を抽出し、塩素(Cl)抽出液を得、得られた塩素(Cl)抽出液に対してイオンクロマトグラフィー分析を実施し、光学フィルムに含まれる塩素(Cl)濃度を測定することができる。粉末化された光学フィルムは、例えば、5重量%の比率で蒸留水に混合され、粉末化された光学フィルムと蒸留水の混合物から塩素(Cl)が抽出される。
【0106】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)濃度を、塩素イオンの水(H2O)抽出濃度ともいえる。
【0107】
より具体的には、本発明の一実施例によると、50μmの厚さの光学フィルムを約0.5cm×0.5cmに切断した後、凍結乾燥及び粉末化した後、蒸留水を用いて2時間超音波(Sonication)抽出を行い、塩素(Cl)抽出液を得ることができる。塩素抽出液に対してイオンクロマトグラフィー分析を実施し、塩素の濃度を計算することにより、塩素の含量を評価することができる。イオンクロマトグラフィー分析のために、Dionex社のイオンクロマトグラフ装置であるICS 2000モデル(Dionex ICS-2000 Ion Chromatography System)に2種のカラム[IonPac AS18 Analytical (4x250mm) + AG18 Guard (4x50mm)]と溶離液[Dionex社のEGC-KOH III Cartridge]を設置し、分析を行うことができる。
【0108】
本発明の一実施例による光学フィルムは、低塩素(Cl)濃度を有し、優れた熱及び光学安定性を有することができる。本発明の一実施例による光学フィルムは、熱処理されたり、長時間光にさらされても、光学フィルム内の高分子構造が損傷されたり、分解されず、優れた光学特性及び機械的特性を維持することができる。
【0109】
本発明の一実施例によると、光学フィルムに含まれる塩素(Cl)の含量を最小化し、光学フィルムの光学特性及び機械的特性の低下を防止することができる。
【0110】
本発明の一実施例による光学フィルムは、重量基準で120ppm(0.012重量%)以下の塩素(Cl)を含むことができ、50ppm(0.005重量%)以下の塩素(Cl)を含むことができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、0.1~120ppm(0.00001~0.012重量%)の塩素(Cl)を含むことができ、1~120ppm(0.0001~0.012重量%)の塩素(Cl)を含むことができる。
【0111】
光学フィルムに重量基準で120ppm以下の塩素(Cl)が含まれる場合、高分子樹脂の重合度に優れた光学フィルムを製造することができ、塩素(Cl)によって発生する光学フィルムの光学物性低下を最小化するか、防止することができる。
【0112】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)という用語は、塩素原子及び塩素イオン(Cl-)を含む意味で使用される。また、本発明の一実施例によると、塩素(Cl)は、他の原子と結合して分子を形成することができ、分子内に含まれる塩素原子は、本発明の一実施例による塩素(Cl)に含まれる。
【0113】
本発明の一実施例による光学フィルムは、5~120ppm(0.0005~0.012重量%)の塩素(Cl)を含むことができる。
【0114】
既に説明したように、光学フィルムの製造過程で塩酸(HCl)が発生する場合がある。光学フィルムの製造過程中に発生した塩酸が除去されない場合、結果物であるフィルムに塩素(Cl)が残存し得る。従って、本発明の一実施例によると、光学フィルムに残存する塩素(Cl)含量を最小化するために、光学フィルムの製造過程で発生する塩酸を除去するための塩素(Cl)受容体が使用される。
【0115】
塩素(Cl)受容体は、光学フィルムの製造過程で塩酸(HCl)と反応して塩素(Cl)化合物になった後、光学フィルムの製造過程で除去される。しかし、塩素(Cl)受容体の一部は、塩酸と反応しない場合があり、光学フィルムの製造過程中で除去されないのでありうる。従って、本発明の一実施例によるフィルムは、微量の塩素(Cl)受容体を含むことができる。
【0116】
本発明の一実施例において、塩素(Cl)受容体は、塩酸(HCl)または塩素イオン(Cl-)と反応することができる物質である。塩素(Cl)受容体は、塩酸(HCl)または塩素イオン(Cl-)と反応した後、光学フィルムの製造過程中、後続の工程で除去することができる物質から選択することができる。
【0117】
塩素(Cl)受容体は、例えば、塩酸と反応して塩(salt)またはハロヒドリン化合物(halohydrine compound)を形成することにより、重合過程で生成される塩酸を除去する役割を果たすことができる。
【0118】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体として、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を使用することができる。環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、例えば、エポキシド(eposide)系化合物、オキセタン(oxetane)系化合物、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)系化合物及びテトラヒドロピラン(tetrahydropyran)系化合物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0119】
本発明の一実施例による光学フィルムは、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を、重量基準で0.1~30ppmを含むことができる。本発明の一実施例による光学フィルムは、重量基準で0.1~12ppmの環状エーテル(cyclic ether)系化合物を含むことができる。
【0120】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体として、下記化学式9で示されるエポキシド系化合物を使用することができる。
【0121】
<化学式9>
【0122】
化学式9において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~20の有機基のいずれか一つであってもよい。より具体的には、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、または置換されるか、置換されない炭素数1~20の炭化水素基であってもよい。本発明の一実施例によると、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0123】
本発明の一実施例によると、化学式9で示されるエポキシド系化合物のうち、プロピレンオキシド(propylene oxide, PO)を塩素(Cl)受容体として使用することができる。
【0124】
塩素(Cl)受容体として使用されるエポキシド系化合物は、下記反応式1に従って塩酸(HCl)または塩素(Cl)と反応することができる。
【0125】
<反応式1>
【0126】
反応式1において、R1、R2、R3及びR4は、既に説明した通りである。前記反応式1においては、塩素(Cl)が結合する炭素位置の違いによる構造異性体のみを示したが、立体中心(キラル中心)による部分立体異性体または鏡像異性体も、やはり生成しうる。
【0127】
本発明の一実施例においては、塩素(Cl)受容体と塩酸(HCl)の反応物は、光学フィルムの製造過程中に除去される。その結果、塩素(Cl)を除去することができる。しかし、塩素(Cl)受容体と塩素(Cl)の反応物が除去されず、フィルムに残存することもありうる。従って、本発明の一実施例による光学フィルムは、塩素(Cl)受容体と、塩酸(HCl)または塩素(Cl)との反応物を含むこともありうる。
【0128】
塩素(Cl)受容体としてプロピレンオキシド(PO)が使用される場合、塩素受容体は、下記反応式2に従って塩酸(HCl)と反応することができる。
【0129】
<反応式2>
【0130】
本発明の一実施例によると、第1繰り返し単位及び第3繰り返し単位の総数は、前記第1~第4繰り返し単位を含む全体の繰り返し単位の数に対し、85%~95%の比率で含むことができる。すなわち、光学フィルムの製造に使用される第1ジアミン系化合物の含量は、第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、85~95モル部であってもよく、第2ジアミン系化合物の含量は、第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、5~15モル部であってもよい。
【0131】
脂肪族ジアミン系化合物である第2ジアミン系化合物を基準として、第2ジアミン系化合物の含量が5%未満の場合、光学フィルムの光学物性が低下するという問題点が発生する可能性がある。一方、15%を超過する場合、光学フィルムの機械的物性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【0132】
本発明の一実施例によると、高分子樹脂の数平均分子量(number average molecular weight, Mn)は、150,000以上であり得る。
【0133】
脂肪族ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物は、副反応またはゲル化により反応性が低く、脂肪族ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物を含む高分子樹脂の重合度が低下する傾向がある。数平均分子量は、重合度と比例関係にあり、重合度が低下すると高分子樹脂の数平均分子量もやはり低下する。
【0134】
高分子樹脂の数平均分子量が150,000未満の場合、重合度が低下し、高分子鎖の末端基数は増加し、樹脂の物性が低下するようになる。
【0135】
本発明の一実施例によると、光学フィルムは、光透過性及びフレキシブル特性を有することができる。例えば、本発明の一実施例による光学フィルムは、曲げ(bending)特性、折り畳み(folding)特性及び巻き取り(rollable)特性を有することができる。
【0136】
本発明の一実施例による光学フィルムは、4.0以下の黄色度を有することができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、3.0以下の黄色度を有することもでき、2.0以下の黄色度を有することもできる。
【0137】
本発明の一実施例による光学フィルムは、88.50%以上の光透過率を有することができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、50μmの厚さを基準として、90%以上の光透過率を有することもでき、91%以上の光透過率を有することもできる。
【0138】
黄色度及び光透過率は、標準規格ASTM E313によって分光光度計(spectrophotometer)により、波長360~740nmの範囲で測定することができる。分光光度計(spectrophotometer)として、例えば、KONICA MINOLTA社のCM-3700Dを使用することができる。
【0139】
本発明の一実施例による光学フィルムは、表示装置に適用され、表示パネルの表示面を保護することができる。本発明の一実施例による光学フィルムは、表示パネルを保護するのに十分な程度の厚さを有することができる。例えば、光学フィルムは、10~100μmの厚さを有することができる。
【0140】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施例に光学フィルムが使用された表示装置について説明する。
【0141】
図1は、本発明の他の一実施例による表示装置(200)の一部についての断面図であり、図2は、図1の「P」部分についての拡大断面図である。
【0142】
図1を参照すると、本発明の他の一実施例による表示装置(200)は、表示パネル(501)及び表示パネル(501)上の光学フィルム(100)を含む。
【0143】
図1及び図2を参照すると、表示パネル(501)は、基板(510)、基板(510)上の薄膜トランジスタ(TFT)、及び、薄膜トランジスタ(TFT)と連結された有機発光素子(570)を含む。有機発光素子(570)は、第1電極(571)、第1電極(571)上の有機発光層(572)、及び、有機発光層(572)上の第2電極(573)を含む。図1及び図2に開示された表示装置(200)は、有機発光表示装置である。
【0144】
基板(510)は、ガラスまたはプラスチックで作製することができる。具体的には、基板(510)は、ポリイミド系樹脂といったプラスチックで作製することができる。図示されていないが、基板(510)上にバッファー層を配置することができる。
【0145】
薄膜トランジスタ(TFT)は、基板(510)上に配置される。薄膜トランジスタ(TFT)は、半導体層(520)、半導体層(520)と絶縁され半導体層(520)の少なくとも一部と重なるゲート電極(530)、半導体層(520)と連結されたソース電極(541)、及び、ソース電極(541)と離隔して半導体層(520)と連結されたドレイン電極(542)を含む。
【0146】
図2を参照すると、ゲート電極(530)と半導体層(520)との間に、ゲート絶縁膜(535)が配置される。ゲート電極(530)上に層間絶縁膜(551)が配置され、層間絶縁膜(551)上にソース電極(541)及びドレイン電極(542)を配置されうる。
【0147】
平坦化膜(552)は、薄膜トランジスタ(TFT)上に配置され、薄膜トランジスタ(TFT)の上部を平坦化させる。
【0148】
第1電極(571)は、平坦化膜(552)上に配置される。第1電極(571)は、平坦化膜(552)に備えられたコンタクトホールを介して、薄膜トランジスタ(TFT)と連結される。
【0149】
バンク層(580)は、第1電極(571)の一部及び平坦化膜(552)上に配置され、画素領域または発光領域を画定(定義)する。例えば、バンク層(580)が複数の画素間の境界領域にマトリックス構造で配置されることにより、バンク層(580)によって画素領域を画定(定義)することができる。
【0150】
有機発光層(572)は、第1電極(571)上に配置される。有機発光層(572)は、バンク層(580)上にも配置することができる。有機発光層(572)は、一つの発光層を含むこともでき、上下に積層された二つ以上の発光層を含むこともできる。このような有機発光層(572)から赤色、緑色及び青色のいずれか一つの色を有する光を放出することができ、白色(White)光を放出することもできる。
【0151】
第2電極(573)は、有機発光層(572)上に配置される。
【0152】
第1電極(571)、有機発光層(572)及び第2電極(573)が積層され、有機発光素子(570)を形成することができる。
【0153】
図示されていないが、有機発光層(572)が白色(White)光を発光する場合、個別の画素は、有機発光層(572)から放出される白色(White)光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルタを含むことができる。カラーフィルタは、光の移動経路上に形成される。
【0154】
第2電極(573)上に薄膜封止層(590)を配置することができる。薄膜封止層(590)は、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を含むことができ、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を交互に配置することができる。
【0155】
以上で説明した積層構造を有する表示パネル(501)上に光学フィルム(100)が配置される。
【0156】
以下、本発明の一実施例による光学フィルムの製造方法を説明する。
【0157】
本発明の一実施例による光学フィルムの製造方法は、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物のうちの少なくとも一つ、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物及び塩素(Cl)受容体を用いて、第1反応液を形成する段階;前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する段階;前記第2反応液を処理し、固体状態の高分子樹脂を製造する段階;前記固体状態の高分子樹脂を溶解させ、高分子樹脂溶液を製造する段階;及び、前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含む。以下、各段階を具体的に説明する。
【0158】
まず、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物のうち少なくとも一つ、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物及び塩素(Cl)受容体を用いて、第1反応液を形成する。
【0159】
第1反応液製造のための溶媒として、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc, N,N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF, N,N-dimethylformamide)、メチルピロリドン(NMP, 1-methyl-2-pyrrolidinone)、m-クレゾール(m-cresol)、テトラヒドロフラン(THF, tetrahydrofuran)、クロロホルム(Chloroform)、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone, MEK)等の非プロトン性極性有機溶媒(aprotic solvent)及びこれらの混合物を使用することができる。しかし、本発明の一実施例による溶媒は、これらに限定されず、他の溶媒を使用することもできる。
【0160】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり得る。第1ジアミン系化合物として、前記で説明した化学式1の化合物を使用することができる。
【0161】
本発明の一実施例によると、第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり得る。第2ジアミン系化合物として、前記で説明した化学式2の化合物を使用することができる。
【0162】
本発明の一実施例によると、ジアンハイドライド系化合物として、前記で説明した化学式3の化合物を使用することができる。
【0163】
本発明の一実施例によると、ジカルボニル系化合物として、前記で説明した化学式4の化合物を使用することができる。
【0164】
例えば、第1ジアミン系化合物として、ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine, TFDB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-ミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4DDS)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3DDS)、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine, pPDA)、m-フェニレンジアミン(metaphenylene diamine, mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline, pMDA), m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline, mMDA)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン(6HDA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6FAPBP)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3'-オキシジアニリン(3-ODA)、2,2'-ジメチル-4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(2,2'-Dimethyl-4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline, MFDA)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene, FDA)及び9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene, FFDA)等がある。
【0165】
例えば、第2ジアミン系化合物として、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン(4,4'-Methylenebis cyclohexylamine, MBCA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(aminomethyl)cyclohexane)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(Bicyclo[2.2.1]heptanebis(methylamine))、及び前記化合物のCis、Trans及びMixtureの異性体等がある。
【0166】
例えば、ジアンハイドライド系化合物として、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸アンハイドライド(TDA)、ピロメリット酸ジアンハイドライド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride, pyromellicticacid dianhydride, PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride, BPDA)、オキシジフタル酸ジアンハイドライド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride, ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンハイドライド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride, SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンハイドライド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride, BDSDA)、スルホニルジフタル酸アンハイドライド(Sulfonyldiphthalic anhydride, SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride, CBDA)、及びイソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸アンハイドライド(4,4'-(4,4'-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride, 6HBDA)等がある。
【0167】
例えば、ジカルボニル系化合物として、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride, TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride, IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride, DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4'-Oxybis(benzoyl Chloride), OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)等がある。
【0168】
第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物のそれぞれは、単独で、または2種類以上混合して使用することができる。
【0169】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、80~99モル部のジカルボニル系化合物を使用することができ、1~20モル部のジアンハイドライド系化合物を使用することができる。
【0170】
ジカルボニル系化合物の添加量による効果は、前記で説明した通りである。
【0171】
本発明の一実施例によると、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、85~95モル部の第1ジアミン系化合物、5~15モル部の第2ジアミン系化合物を使用することができる。
【0172】
第1ジアミン系化合物の添加量による効果は、前記で説明した通りである。
【0173】
第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が反応する過程で、塩素(Cl)化合物が発生する可能性がある。塩素化合物を除去するために、本発明の一実施例によると、第1反応液形成過程で塩素(Cl)受容体が使用される。
【0174】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体として、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を使用することができる。環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、例えば、エポキシド(eposide)系化合物、オキセタン(oxetane)系化合物、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)系化合物及びテトラヒドロピラン(tetrahydropyran)系化合物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0175】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体として、化学式9で示されるエポキシド系化合物を使用することができる。
【0176】
<化学式9>
【0177】
化学式9において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~20の有機基のいずれか一つであってもよい。より具体的には、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、または置換されるか、置換されない炭素数1~20の炭化水素基であってもよい。本発明の一実施例によると、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0178】
塩素(Cl)受容体として使用されるエポキシド系化合物は、反応式1に従って塩酸(HCl)と反応することができる。それにより、第1反応液から塩酸(HCl)を除去することができる。
【0179】
<反応式1>
【0180】
反応式1のR1、R2、R3及びR4は、既に説明した通りである。前記反応式1においては、塩素(Cl)が結合する炭素位置の違いによる構造異性体のみを示したが、立体中心(キラル中心)による部分立体異性体または鏡像異性体もやはり生成することができる。
【0181】
本発明の一実施例によると、エポキシド系化合物のうち、プロピレンオキシド(propylene oxide, PO)を塩素(Cl)受容体として使用することができる。
【0182】
プロピレンオキシド(PO)が塩素(Cl)受容体として使用される場合、下記反応式2に従って塩酸(HCl)を除去することができる。
【0183】
<反応式2>
【0184】
本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体の含量は、モル(mole)数基準で、ジカルボニル系化合物の含量の4~7倍になり得る。ジアミン系化合物、特に、脂肪族ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物の反応式を考慮する時、理論的には、ジカルボニル系化合物に対する塩素(Cl)受容体の含量が2倍の場合、ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物の反応によって生成された塩酸(HCl)を塩素受容体によって除去することができる。しかし、本発明者らが確認したところによると、塩素(Cl)受容体の含量がジカルボニル系化合物のモル数の4倍未満の場合、塩素(Cl)受容体と塩酸(HCl)の反応が十分に行われず、塩素(Cl)除去効率が低下した。また、ジカルボニル系化合物のモル数の7倍を超過する塩素(Cl)受容体が使用される場合、過量の塩素(Cl)受容体により重合度が低下した。従って、本発明の一実施例によると、塩素(Cl)受容体の含量は、モル(mole)数基準で、ジカルボニル系化合物の含量の4~7倍に調整される。
【0185】
本発明の一実施例によると、第1反応液は、ポリアミック酸とポリアミド繰り返し単位を含む。ポリアミック酸は、ポリイミドの前駆体である。
【0186】
次に、第1反応液に、脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する。
【0187】
第2反応液形成過程で、アミック酸の一部がイミド化され、イミド繰り返し単位を形成することができる。
【0188】
本発明の一実施例によると、第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒が添加された後、60~80℃の温度で30分~2時間還流攪拌が行われる。その結果、第2反応液を形成することができる。
【0189】
脱水剤として、無水酢酸(acetic anhydride)、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物、酪酸無水物、イソ吉草酸無水物のような酸無水物を使用することができる。
【0190】
イミド化触媒として、イソキノリン(isoquinoline)、β-ピコリン(β-picoline)、ピリジン(pyridine)のような3級アミンを使用することができる。
【0191】
塩素(Cl)受容体及びイミド化触媒により、第2反応液のpHを調整することができる。本発明の一実施例によると、第2反応液は、8以上のpHを有することができる。
【0192】
本発明の一実施例によると、第2反応液のpHが8~9になるように、第1反応液形成時に添加される塩素(Cl)受容体の含量を調整することができる。本発明の一実施例によると、第2反応液は、8~9のpHを有する。
【0193】
第2反応液がpH8~9程度の弱塩基性状態である場合、第1反応液形成時に生成された塩酸(HCl)は、全てまたは大部分が塩素(Cl)受容体と反応したといえる。
【0194】
第2反応液のpHが8未満の場合、第1反応液形成時に生成された塩酸(HCl)が十分に除去されず、残存する塩酸(HCl)に由来する塩素(Cl)及び塩素化合物が、光学フィルムに存在することとなる可能性が高くなる。
【0195】
第2反応液のpHを考慮する時、ジアンハイドライド系化合物のモル数の2倍~7倍のイミド化触媒を使用することができる。
【0196】
次に、第2反応液を処理し、固体状態の高分子樹脂を製造する。
【0197】
固体状態の高分子樹脂の製造のために、第2反応液に溶媒を添加することができる。溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ヘキサン等を使用することができる。溶媒は、単独で使用することもでき、2種以上の溶媒を混合して使用することもできる。
【0198】
第2反応液に、重合溶媒とよく混和し、極性の低い溶媒を添加すると、粉末状の固体高分子樹脂が沈殿する。沈殿物を濾過し、乾燥することにより、高純度の固体高分子樹脂を得ることができる。沈殿物を濾過する過程で液体成分が除去される時、未反応モノマー、オリゴマー及び添加剤、反応副産物、例えば、塩酸(HCl)と塩素(Cl)受容体との反応物等が除去される。このように得られた固体状態の高分子樹脂は、塩素(Cl)を含まないか、微量の塩素(Cl)のみを含むようになる。高分子樹脂は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含むポリアミド-イミド系樹脂であり得る。
【0199】
次に、固体状態の高分子樹脂を溶解させ、高分子樹脂溶液を製造する。固体状態の高分子樹脂を溶媒に溶解させることにより、高分子樹脂溶液を製造することができる。このような段階を再溶解段階ともいう。
【0200】
固体状態の高分子樹脂を溶解させるための溶媒として、重合過程で使用された溶媒と同じ溶媒を使用することができる。例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc, N,N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF, N,N-dimethylformamide)、メチルピロリドン(NMP, 1-methyl-2-pyrrolidinone)、m-クレゾール(m-cresol)、テトラヒドロフラン(THF, tetrahydrofuran)、クロロホルム(Chloroform)、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone, MEK)等の非プロトン性極性有機溶媒(aprotic solvent)、及び、これらの混合物を固体状態の高分子樹脂を溶解させるための溶媒として使用することができる。しかし、本発明の一実施例による溶媒は、これらに限定されず、公知の他の溶媒を使用することもできる。
【0201】
本発明の一実施例によると、再溶解された高分子樹脂溶液は、6~7のpHを有することができる。本発明の一実施例によると、高分子樹脂溶液は、弱酸性または中性に近い弱酸性の特性を有することができる。第2反応液がpH8~9の弱塩基性状態で製造されたため、高分子樹脂溶液は、pH6~7の弱酸性を示すことができる。
【0202】
次に、高分子樹脂溶液をキャストする。
【0203】
キャストのためにキャスト基板が使用される。キャスト基板の種類に特に制限はない。キャスト基板として、ガラス基板、アルミニウム基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板等を使用することができる。本発明の一実施例によると、キャスト基板として、ガラス基板を使用することができる。
【0204】
具体的には、高分子樹脂溶液がキャスト基板に塗布されることにより、キャストが行われる。キャストのために、コーター(coater)、ブレード(blade)等を使用することができる。
【0205】
高分子樹脂溶液をキャストした後、80~120℃の温度範囲で2℃/分の速度で昇温しながら乾燥させ、高分子樹脂の塗膜(coating film)を製造することができる。このように製造された塗膜(coating film)は、光学フィルムの中間体といえる。塗膜(coating film)をピン状のテンターにぴんと引っ張って固定させた後、3℃/minの昇温速度で120℃から250~350℃まで昇温しながら熱処理する。最高製膜温度に達すると、等温雰囲気で10~30分間の追加熱処理を行うことができる。その結果、光学フィルムを製造することができる。
【0206】
以下、例示的な実施例及び比較例を参照し、本発明をより具体的に説明する。しかし、以下で説明する実施例及び比較例によって本発明は限定されない。
【0207】
<実施例1>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1L反応器に、窒素を通過させながら、DMAc(N,N-Dimethylacetamide) 451.63gを充填した後、反応器の温度を25℃に合わせ、その後、第1ジアミン系化合物としてTFDB 45.37g(0.85mol%)を溶解し、25℃に維持した。ここに第2ジアミン系化合物としてMBCA 5.26g(0.015mol%)をさらに添加して溶解させ、1時間反応させた。第1及び第2ジアミン系化合物が溶解された後、ここに、6FDA 14.81g(0.20mol%)を添加し、1時間反応させた。そして、反応器温度を5℃に下げた後、TPC 27.07g(0.80mol%)とプロピレンオキシド34.85gとを添加し、1時間攪拌して完全に溶解及び反応させ、第1反応液を形成した。
【0208】
重合反応が終了した後、第1反応液にピリジン5.80g、無水酢酸7.49gを投入して30分攪拌した後、80℃で30分再攪拌し、常温に冷まして第2反応液を得た。
【0209】
得られた第2反応液にメタノールを添加して沈殿が行われるようにし、沈殿物を濾過して白色固体状態の高分子樹脂を製造した。得られた高分子樹脂は、固体粉末状態である。
【0210】
得られた固体粉末状態の高分子樹脂を、DMAcに12.7重量%の濃度に溶解し、高分子樹脂溶液を製造した。
【0211】
製造された高分子樹脂溶液を基板にキャストした。キャストのためにキャスト基板が使用される。キャスト基板の種類に、特に制限はない。キャスト基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板等を使用することができる。本発明の一実施例によると、キャスト基板として、ガラス基板を使用することができる。
【0212】
具体的には、メイヤーバー(Mayer bar)コーターを用いて高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布し、80℃から120℃まで昇温して17分間熱処理し、光学フィルムを得た。
【0213】
製造された光学フィルムをガラス基板から剥離し、フレームにピンで固定した。
【0214】
光学フィルムが固定されたフレームを熱風オーブンに入れ、120℃から250℃まで2時間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却して乾燥させた。乾燥した光学フィルムを再び230℃で5分間熱処理した。その結果、50μmの厚さの光学フィルムが完成した。
【0215】
<実施例2~9>
前記実施例1と同じ方法で、第1ジアミン系化合物の種類及び/または含量、第2ジアミン系化合物の種類及び/または含量、ジアンハイドライド系化合物の含量、ジカルボニル系化合物の種類及び/または含量、DMAc、プロピレンオキシド、ピリジン及び無水酢酸の含量を変えて、実施例2~9の高分子樹脂を製造し、その後、実施例1と同じ方法で実施例2~9の高分子樹脂溶液及び光学フィルムを製造した。
【0216】
実施例2~9の具体的な第1ジアミン系化合物の種類及び/または含量、第2ジアミン系化合物の種類及び/または含量、ジアンハイドライド系化合物の含量、ジカルボニル系化合物の種類及び/または含量、DMAc、プロピレンオキシド、ピリジン及び無水酢酸の含量は、下記表1に開示した通りである。
【0217】
<比較例1~6>
前記実施例1と同じ方法で、第1ジアミン系化合物の種類及び/または含量、第2ジアミン系化合物の種類及び/または含量、ジアンハイドライド系化合物の含量、ジカルボニル系化合物の種類及び/または含量、DMAc、プロピレンオキシド、ピリジン及び無水酢酸の含量を変えて、比較例1~6の高分子樹脂を製造し、その後、実施例1と同じ方法で比較例1~6の高分子樹脂溶液及び光学フィルムを製造した。
【0218】
比較例1~6の具体的な第1ジアミン系化合物の種類及び/または含量、第2ジアミン系化合物の種類及び/または含量、ジアンハイドライド系化合物の含量、ジカルボニル系化合物の種類及び/または含量、DMAc、プロピレンオキシド、ピリジン及び無水酢酸の含量は、下記表1に開示した通りである。
【0219】
【表1】
【0220】
<測定例>
実施例及び比較例で製造された高分子樹脂及び光学フィルムについて、以下のような測定を行った。
【0221】
1)第2反応液及び高分子樹脂溶液のpH:
製造した溶液(第2反応液または高分子樹脂溶液)を同一濃度(wt%)になるようにDMAcを用いて希釈する。有機溶液のpH間の相対比較を可能にするには、濃度(wt%)が同一でなければならない。本発明において、全てのpH測定溶液は、12wt%を基準として製造して測定した。
【0222】
測定装置:Mettler toledo社のpHメーター(モデル名:Seven compact S220)装備にInLab Power Pro-ISMセンサーを設置して分析した。
【0223】
測定方法:溶液のpHを測定する前、pH7の標準溶液(黒色試薬)を先に測定し、装備の安定化を行った。標準溶液のpHが7.0±0.2値を示すかを、3回以上測定して確認した。装備が安定化すると、サンプル測定を開始した。
【0224】
実施例及び比較例で製造された溶液(第2反応液または高分子樹脂溶液)をDMAcを用いて12wt%に希釈した。製造された溶液15mlをバイアルに小分けして測定用サンプルを製造した。測定サンプルは、常温(25±2℃)で管理し、当該温度の時、測定用サンプルにpHセンサーを浸して測定した。各サンプルは、5回以上測定し、最頻値を当該溶液のpH値とした。
【0225】
各サンプルの測定の間、蒸留水でセンサー表面を洗浄し、柔らかいワイプオールで拭いて十分に乾燥させて使用した。
【0226】
2)高分子樹脂の数平均分子量:
GPC(標準ポリスチレン、溶媒THF)を使用し、数平均分子量と分子量分布を測定した。
【0227】
具体的に使用した分析装備と分析条件、サンプル準備方法は、以下の通りである。
【0228】
1.分析装備 GPC Waters Set
-モジュール(Module):Waters Alliance e2695
-検出器(Detector):Waters 2414 Refractive index Detector
【0229】
2.分析条件:
-カラム(Columns):Agilent PLgel 5um Mixed C*2 (w/1 guard column)
-移動相(Mobile Phase):10mM LiBr in DMAc
-カラム及び検出器(Column and Detector)Temperature:50℃
-注入容量(Injection Volume):20ul
-流量(Flow Rate):1.0ml/min
【0230】
3.サンプル準備
-固形分(Solid Contents) 0.25 (w/w)% in DMAc
-完全に溶解したサンプルを孔径0.45μmのPTFEシリンジフィルターで濾過した(Fully Dissolved Samples were filtered with 0.45μm pore sized PTFE syringe filter)
【0231】
3)塩素(Cl)含量(ppm):
実施例及び比較例で製造された光学フィルムについて、以下のように塩素(Cl)含量を測定した。
【0232】
測定装置:Dionex社のイオンクロマトグラフ装置であるICS 2000モデル(Dionex ICS-2000 Ion Chromatography System)に2種のカラム[IonPac AS18 Analytical (4x250mm) + AG18 Guard (4x50mm)]と溶離液[Dionex社のEGC-KOH III Cartridge]を設置して分析した。
【0233】
測定方法:実施例及び比較例で製造された50μmの厚さの光学フィルムを約0.5cm×0.5cmに切断した後、凍結乾燥して粉砕し、光学フィルムの粉末を製造した後、粉末化した光学フィルムを5重量%の比率で蒸留水に混合した後、光学フィルムから塩素(Cl)、特に塩素イオン(Cl-)を抽出する。具体的には、光学フィルム粉末0.2gと水3.8gを20mL バイアル(Vial)に入れ、BRANSON社の5510 ultrasonic bath(超音波浴)を使用して2時間、超音波(Sonication)抽出を行う。その結果、光学フィルムから抽出された塩素(Cl)を含む塩素抽出混合液が製造される。製造された塩素抽出混合液を0.45μmナイロンフィルター(nylon filter)で濾過し、測定用サンプルを製造した。カラム温度は30℃、測定セル温度は35℃に設定されたイオンクロマトグラフ装置に、測定用サンプルを20μL投入し、分離されたイオンピークのうち、塩素イオンに該当するピークの面積を確認する。塩素イオンの含量計算のため、Thermo Scientific社のDionex Seven Anion Standardを蒸留水で希釈し、0.04ppm~1ppmの濃度区間(0.04ppm、0.06ppm、0.08ppm、0.1ppm、1.0ppm)の塩素イオン標準溶液を製造し、測定用サンプルと同じ方法でイオンクロマトグラフィー分析を実施した。標準溶液を用いて測定された塩素イオンに該当するピークの面積を確認し、検量線を作成した。
【0234】
検量線は、以下の式1のように、1次関数で示すことができる。
【0235】
<式1>
y = ax + b
【0236】
式1において、yは、ピーク面積であり、xは、標準溶液の濃度であり、aは、検量線の傾きであり、bは、検量線のy軸切片である。式3で得られた検量線を測定用サンプルのピーク面積(y)に適用し、測定用サンプルの塩素濃度(x)を計算することができる。測定用サンプルの塩素濃度(x)は、以下の式2で求めることができる。
【0237】
<式2>
x = (y-b)/a
【0238】
次に、測定用サンプル製造に適用された希釈比を考慮し、光学フィルムに含まれる塩素の含量を計算する。具体的には、測定用サンプルに適用された光学フィルムの重量比は、以下の式3で計算することができる。
【0239】
<式3>
測定用サンプル中の光学フィルムの重量比=(光学フィルムの重量)/(光学フィルムの重量+蒸留水の重量)
【0240】
式3において、「光学フィルムの重量」は、測定用サンプルの製造に使用された光学フィルムの重量を意味する。
【0241】
次に、測定用サンプル中の光学フィルムの重量比と、測定用サンプルの塩素濃度とを用いて、以下の式4により光学フィルムの塩素濃度を計算する。
【0242】
<式4>
光学フィルムの塩素濃度=(測定用サンプルの塩素濃度)/(測定用サンプル中の光学フィルムの重量比)
【0243】
4)黄色度(Y.I.):標準規格ASTM E313で、分光光度計(Spectrophotometer(CM-3700D, KONICA MINOLTA))を用いて、黄色度を測定した。
【0244】
5)光透過率(%):標準規格ASTM E313で、分光光度計(Spectrophotometer(CM-3700D, KONICA MINOLTA))を用いて、波長360~740nmでの平均光透過率を測定した。
【0245】
測定結果は、以下の表2の通りである。
【0246】
【表2】
【0247】
前記表1の測定結果に開示されているように、本発明の実施例は、第2反応液のpHが8以上であり、高分子樹脂溶液のpHが6~7であり、樹脂の数平均分子量が150,000以上で、優れた重合度を有し、黄変度及び光透過率に優れていることを確認することができる。
【0248】
しかし、比較例1は、第2反応液のpHが8未満で、樹脂の数平均分子量が150,000未満で、十分な重合反応が行われていないことが分かり、また、黄変度が高く、光透過率が低いため、視認性が低いことを確認することができる。比較例2は、数平均分子量が205,400であって重合度は優れていたが、ジアンハイドライド系化合物の比率が多いため、黄色度が高く、視認性が低いことを確認することができる。比較例3は、プロピレンオキシドの添加量がモル数基準でTPC含量の約3.5倍の添加であるものであって、第2反応液のpHが8未満であり、樹脂の数平均分子量が150,000未満で、十分な重合反応が行われていないことが分かり、また、黄色度が高く、光透過率が低いため、視認性が低いことを確認することができる。比較例4は、プロピレンオキシドの添加量がモル数基準でTPC含量の約7.5倍の添加であるもので、第2反応液のpHが9を超過しており、樹脂の数平均分子量が189,634であって重合度は優れていたが、黄色度が高いため、視認性が低いことを確認することができる。比較例5は、ジアンハイドライド系化合物を添加せず、ジカルボニル系化合物と第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物を用いて重合したものであって、黄色度が高く、光透過率が低いため、視認性が低いことを確認することができる。比較例6は、プロピレンオキシドをモル数基準でTPC含量の約2.25倍添加し、ピリジンと無水酢酸をモル数基準で6FDA含量の約1.1倍添加したものであって、第2反応液のpHが8未満であり、高分子樹脂溶液のpHが6.0未満であり、樹脂の数平均分子量が150,000未満で、十分な重合反応が行われていないことが分かり、また、黄色度が高く、光透過率が低いため、視認性が低いことを確認することができる。
【符号の説明】
【0249】
100:光学フィルム
200:表示装置
501:表示パネル
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位を含む高分子樹脂を含み、
前記アミド繰り返し単位は、前記イミド繰り返し単位及び前記アミド繰り返し単位に対し、80%以上の比率で含まれる、
光学フィルム。
【請求項2】
重量基準で120ppm(0.012重量%)以下の塩素(Cl)を含む、
請求項1に記載の光学フィルム:
ここで、前記塩素濃度は、前記光学フィルムを凍結乾燥及び粉末化した後、蒸留水を用いて抽出して得られた塩素(Cl)抽出液に対し、イオンクロマトグラフィー分析を行って測定される。
【請求項3】
重量基準で50ppm(0.005重量%)以下の塩素(Cl)を含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記イミド繰り返し単位は、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を含み、
前記第1繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位であり、
前記第2繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジアンハイドライド系化合物が重合反応したイミド繰り返し単位である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記アミド繰り返し単位は、第3繰り返し単位及び第4繰り返し単位を含み、
前記第3繰り返し単位は、第1ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位であり、
前記第4繰り返し単位は、第2ジアミン系化合物と前記ジカルボニル系化合物が重合反応したアミド繰り返し単位である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、
前記第1ジアミン系化合物は、ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine, TFDB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-ミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4DDS)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3DDS)、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine, pPDA)、m-フェニレンジアミン(metaphenylene diamine, mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline, pMDA), m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline, mMDA)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン(6HDA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6FAPBP)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3'-オキシジアニリン(3-ODA)、2,2'-ジメチル-4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(2,2'-Dimethyl-4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline, MFDA)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene, FDA)及び9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene, FFDA)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4または請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物であり、
前記第2ジアミン系化合物は、4,4'-メチレンビスシクロヘキシルアミン(4,4'-Methylenebis cyclohexylamine, MBCA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(aminomethyl)cyclohexane)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(Bicyclo[2.2.1]heptanebis(methylamine))、及び前記化合物のCis、Trans及びMixtureの異性体からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4または請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ジアンハイドライド系化合物は、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸アンハイドライド(TDA)、ピロメリット酸ジアンハイドライド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride, pyromellicticacid dianhydride, PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンハイドライド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride, BPDA)、オキシジフタル酸ジアンハイドライド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride, ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンハイドライド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride, SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンハイドライド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride, BDSDA)、スルホニルジフタル酸アンハイドライド(Sulfonyldiphthalic anhydride, SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride, CBDA)、及びイソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸アンハイドライド(4,4'-(4,4'-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride, 6HBDA)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記ジカルボニル系化合物は、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride, TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride, IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride, DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4'-Oxybis(benzoyl Chloride), OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)からなる群から選択される1種以上を含む、
請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項10】
4.0以下の黄色度を有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
88.50%以上の光透過率を有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
表示パネル;及び
前記表示パネル上に配置された、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の光学フィルム;
を含む、表示装置。
【請求項13】
第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物のうちの少なくとも一つ、ジアンハイドライド系化合物、ジカルボニル系化合物、及び塩素(Cl)受容体を用いて、第1反応液を形成する段階;
前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する段階;
前記第2反応液を処理し、固体状態の高分子樹脂を製造する段階;
前記固体状態の高分子樹脂を溶解させ、高分子樹脂溶液を製造する段階;及び
前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含み、
前記塩素(Cl)受容体の含量は、モル(mole)数基準で、前記ジカルボニル系化合物の含量の4~7倍であり、
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、
前記ジカルボニル系化合物の含量は、80~99モル部であり、
前記ジアンハイドライド系化合物の含量は、1~20モル部である、
光学フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記第1ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物であり、前記第2ジアミン系化合物は、脂肪族ジアミン系化合物である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含量100モル部(mole part)に対し、
前記第1ジアミン系化合物の含量は、85~95モル部であり、
前記第2ジアミン系化合物の含量は、5~15モル部である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記塩素(Cl)受容体は、環状エーテル(cyclic ether)系化合物を含む、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、エポキシド(eposide)系化合物、オキセタン(oxetane)系化合物、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)系化合物及びテトラヒドロピラン(tetrahydropyran)系化合物のうち少なくとも一つを含む、
請求項16に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記環状エーテル(cyclic ether)系化合物は、プロピレンオキシド(propylene oxide)系化合物を含む、
請求項16に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記第2反応液のpHは、8~9である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記高分子樹脂溶液のpHは、6~7である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
【国際調査報告】