(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】混合脂肪族-芳香族ポリエステル
(51)【国際特許分類】
C08G 63/127 20060101AFI20241114BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20241114BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241114BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
C08G63/127 ZBP
C08L67/02
C08L101/00
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533905
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022084527
(87)【国際公開番号】W WO2023104769
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021000030746
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】バスティオリ,カティア
(72)【発明者】
【氏名】ゲスティ ガルシア,セバスティア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレッロ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AA00X
4J002CF04W
4J002CF05W
4J002GA01
4J002GF00
4J002GG02
4J002GH00
4J029AA03
4J029AC02
4J029AD10
4J029AE03
4J029AE11
4J029AE18
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029CA02
4J029CA03
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CA09
4J029CB06A
4J029CF19
4J029HB01
4J029HB02
4J029HB07
4J200AA02
4J200BA09
4J200CA01
4J200DA02
4J200DA17
4J200EA01
(57)【要約】
少なくとも3種の飽和脂肪族C4-C24ジカルボン酸、それらのC1-C24アルキルエステル、それらの塩およびそれらの混合物を含むジカルボン酸成分(アゼライン酸およびコハク酸を常に含む)を有することを特徴とする、適切な熱特性及び末端酸性度を有する混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ジカルボン酸成分であって、
i.a1)40~80モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸に由来する単位、
ii.a2)20~60モル%の、アゼライン酸及びコハク酸を含む少なくとも3種のC4~C24飽和ジカルボン酸、それらのC1~C24アルキルエステル、それらの塩およびそれらの混合物に由来する単位
を含むジカルボン酸成分
b)ジオール脂肪族成分
を含む混合脂肪族-芳香族ポリエステルであって、重縮合プロセス後にポリマー塊中に残存し1000より低い分子量(MM)を有する残存環状オリゴマーとして定義される残存混合環状オリゴマーをある量で含み、本明細書に記載の重量法により測定した残存混合環状オリゴマーの量が1.0%~4.0%であることを特徴とし、前記残存環状混合オリゴマーは、1000より低いMMを有する少なくとも2種類のジカルボン酸脂肪族単位を含む環状オリゴマーと、1000より低いMMを有する1種類のジカルボン酸脂肪族単位のみを含む環状オリゴマーとの間の比が、0.30~1.40、より好ましくは0.40~1.20、さらにより好ましくは0.81~1.14の間であり、該比は、HPLC-MS分析を含む本明細書に記載の方法によって決定されることを特徴とし、さらに、成分a2の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、他のすべての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して0.40モル%~92モル%の間で含まれることを特徴とする、混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項2】
残存環状混合オリゴマーの含量が2.0%~3.5%の間である、請求項1に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項3】
前記ジオール脂肪族成分b)が、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選択される1種以上のジオールを少なくとも50モル%含む、請求項1又は2に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項4】
前記ジカルボン酸成分a)が、全ジカルボン酸成分に対して40~75モル%、より好ましくは42~52モル%、さらにより好ましくは45~49モル%の、少なくとも芳香族ジカルボン酸に由来する単位(成分a1)と、全ジカルボン酸成分に対して25~60モル%、より好ましくは45~58モル%、さらにより好ましくは51モル%~55モル%の、少なくとも3つの飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する単位(成分a2)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項5】
成分a2)中の再生起源の飽和脂肪族ジカルボン酸のモル%が、全飽和ジカルボン酸の合計に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらにより好ましくは50%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項6】
成分a2)のコハク酸が、全飽和ジカルボン酸の合計に対して5モル%~67モル%、好ましくは10モル%~50モル%、さらにより好ましくは20モル%~35モル%の間で含まれることをさらに特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項7】
成分a2)のアゼライン酸が、全飽和ジカルボン酸の合計に対して、好ましくは3モル%~92モル%で含まれ、より好ましくは10モル%~50モル%で含まれ、さらにより好ましくは15モル%~35モル%で含まれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項8】
成分a2)の飽和脂肪族ジカルボン酸が、有利には、C4-C24、好ましくはC4-C13、より好ましくはC4-C11の飽和ジカルボン酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4のアルキルエステル、それらの塩及びそれらの混合物から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項9】
成分a2)の前記飽和脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ブラシル酸、それらのC1-C24アルキルエステルから有利に選択される、請求項8に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項10】
フタル酸タイプの芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオール(AAPE-A)に由来する反復単位を含み、芳香族単位の含量が、ジカルボン酸成分の全モル数に対して42~52モル%、好ましくは45~49モル%であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項11】
2,5-フランジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオール(AAPE-B)に由来する反復単位を含み、芳香族単位の含量がジカルボン酸成分の全モル数に対して40~80モル%、好ましくは40~75モル%であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項12】
(ADA-BDO)2、(AZA-BDO)2、(SEBA-BDO)2、(BRA-BDO)2、(SUC-BDO)2、(ADA-BDO)3、(AZA-BDO)3、(SEBA-BDO)3、(BRA-BDO)3、(SUC-BDO)3、(ADA-BDO)4、(AZA-BDO)4、(SUC-BDO)4(前記式中、ADAはアジピン酸とジオール成分とのエステルに相当し、AZAはアゼライン酸とジオール成分とのエステルに相当し、SUCはコハク酸とジオール成分とのエステルに相当し、SEBAはセバシン酸とジオール成分とのエステルに相当し、BRAはブラシル酸とジオール成分とのエステルに相当し、PTAはテレフタル酸とジオール成分とのエステルに相当し、BDOは1,4-ブタンジオールに相当する)から選択される一種の脂肪族ジカルボン酸単位のみを含む環状オリゴマーを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項13】
(ADA-BDO-AZA-BDO)、(ADA-BDO-SEBA-BDO)、(ADA-BDO-BRA-BDO)、(ADA-BDO-SUC-BDO)、(AZA-BDO-SEBA-BDO)、(AZA-BDO-BRA-BDO)、(AZA-BDO-SUC-BDO)、(SEBA-BDO-BRA-BDO)、(SEBA-BDO-SUC-BDO)、(SUC-BDO-BRA-BDO)、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)-(SUC-BDO)2、(AZA-BDO)2-(SUC-BDO)、(AZA-BDO)-(SUC-BDO)2、(SEB-BDO)2-(SUC-BDO)、(SEB-BDO)-(SUC-BDO)2、(BRA-BDO)2-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(SUC-BDO)2、(AZA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(AZA-BDO)2-(BRA-BDO)、(AZA-BDO)-(BRA-BDO)2、(SEBA-BDO)2-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(BRA-BDO)2、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(AZA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEB-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)-(SEBA-BDO)、(BRA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(BRA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(ADA-BDO)-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)2(前記式中、ADAはアジピン酸とジオール成分とのエステルに相当し、AZAはアゼライン酸とジオール成分とのエステルに相当、SUCはコハク酸とジオール成分とのエステルに相当し、SEBAはセバシン酸とジオール成分とのエステルに相当し、BRAはブラシル酸とジオール成分とのエステルに相当し、PTAはテレフタル酸とジオール成分とのエステルに相当し、BDOはジオール成分1,4ブタンジオールである)から選択される少なくとも2種の脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステルと、合成由来および天然由来の他の生分解性ポリマーと、必要に応じて、ポリヒドロキシアルカノエート、無機充填剤、架橋剤および/または鎖延長剤との混合物。
【請求項15】
i)成分i~vの合計に対して30~95重量%の、少なくとも1種の混合脂肪族-芳香族ポリエステル;
ii)成分i.-v.の合計に対して0.1~50重量%の、少なくとも1種の天然起源のポリマー;
iii)成分i.-v.の合計に対して0~40重量%の少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエート;
iv)成分i.-v.の合計に対して0~15重量%少なくとも1種の無機充填剤;
v)0~5重量%の、イソシアネート、パーオキシド、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシド、アンヒドリド、ジビニルエーテルおよびそれらの混合物を有する少なくとも1種の二官能性および/または多官能性化合物を含む少なくとも1種の架橋剤および/または鎖延長剤
を含む、請求項14に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステルの混合物を用いて得られるフィルム。
【請求項16】
請求項1~13に記載の混合脂肪族-芳香族ポリエステルを含む製品であって、
-単層および二層配向フィルム、ならびに他のポリマー材料との多層フィルム;
-マルチングフィルムとして農業分野で使用されるフィルム;
-食品用、農業ベール用、廃棄物包装用の薄膜を含むストレッチフィルム;
-食品廃棄物及び草刈り屑の回収などの有機物回収用のバッグおよびライニング裏打ち材;
-ミルク、ヨーグルト、肉、飲料などの容器など、単層および多層両方の熱成形食品パッケージ;
-押出コーティング技術によって得られるコーティング材;
-厚紙、プラスチック材料、アルミニウム、および金属化フィルムの層を有する多層ラミネート;
-焼結により形成される部品の製造用の膨張ビーズまたは膨張可能ビーズ;
-予備膨張粒子により形成される膨張済みブロックを含む膨張製品および半膨張製品;
-食品包装用に得られる膨張シート、熱成形膨張シート、およびこれらから得られる容器;
-果物および野菜用の容器全般;-ゼラチン化、脱構造化および/または複合デンプン、天然デンプン、小麦粉、天然、植物または無機由来の他の充填剤を充填剤として含む組成物
から選択される製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、少なくとも3種の飽和脂肪族C4-C24ジカルボン酸、それらのC1-C24アルキルエステル、それらの塩およびそれらの混合物を含み、アゼライン酸及びコハク酸は必ず存在するジカルボン酸成分を有することを特徴とする、適切な熱特性及び末端酸性度を有する混合脂肪族-芳香族ポリエステルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
生分解性ポリマーを非生分解性ポリマーの代わりに使用することは、耐え難い環境損傷を回避するための有望で不可欠な方法であることが知られている。
もちろん、生分解性ポリマーは、フィルムおよび/または容器の製造などの多様な分野で有効に使用できるように、優れた加工性並びに優れた熱的および機械的特性を有していなければならない。また、二酸およびジオールから製造される生分解性脂肪族-芳香族ポリエステルは、低いガラス転移温度(Tg)を有する柔軟な特性を有し、より結晶性の高い製品と比較して改良された鎖柔軟性を提供する非晶性特性を有することが特に望ましいことが知られている。
例えば、Panらの論文「Effect of Monomer Structure on Crystallisation and Glass Transition of Flexible Copolyesters」(J. Polym.Environ. (2017) 25:1051-1061)を参照。
【0003】
脂肪族-芳香族ポリエステルの様々な組み合わせについてTgの挙動は知られているが(特許EP3240818B1を参照)、上記で指摘した全ての利点を備えた、より低いガラス転移温度を有するポリエステルを得ることは容易ではない。
また、脂肪族-芳香族ポリエステル中に残存する混合環状オリゴマーが含まれていることは、ポリエステルの特性、特に得られるフィルムの機械的性能および透明度特性に悪影響を及ぼすことから、望ましくないことが知られている。
特許出願WO2016/050963は、エステル化またはトランスエステル化工程と、その後の重縮合工程とを含む、ポリエステルの製造のための組み合わされた方法であって、前記重縮合工程は、少なくとも一種のチタン含有化合物と、少なくとも一種のジルコニウム含有化合物との混合物を、0.01以上0.70以下の重量比Ti/(Ti+Zr)で含む触媒の存在下で実施されることを特徴とする方法を開示している。
【0004】
WO2016/050963は、残存する環状オリゴマーの生成が低減されたポリエステルを得ることが可能であることを教示している。
これら残存環状オリゴマーは、一部が重縮合工程の間に蒸留により除去される。しかし、これら残存環状オリゴマーの一部は、形成されるポリエステル内に捕捉されたままとなる。
特許出願WO2016/050963に記載されたプロセス条件を適切に選択することにより、特に、特定の温度および圧力条件と共に、使用される触媒に対して適切な量のリン含有化合物を添加することにより、混合環状オリゴマーの残存量が制御された混合脂肪族-芳香族ポリエステルであって、望ましいガラス転移温度の低下を誘導することに成功した混合脂肪族-芳香族ポリエステルを得ることができることが見出された。
【0005】
本発明において、「混合脂肪族-芳香族ポリエステル」とは、少なくとも3種類の飽和脂肪族ジカルボン酸を有する脂肪族-芳香族ポリエステルを意味する。
本発明において、「残存(する)混合環状オリゴマー」とは、重縮合プロセス後にポリマー塊に残存する、分子量(MM)1000未満の残存環状オリゴマーを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の1つの態様は、以下:
(a)ジカルボン酸成分であって、
(a1)40~80モル%の、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸に由来する単位、
(a2)20~60モル%の、アゼライン酸およびコハク酸は必ず含む少なくとも3つの飽和脂肪族C4-C24ジカルボン酸、それらのC1-C24アルキルエステル、それらの塩およびそれらの混合物に由来する単位、
を含むジカルボン酸成分、
(b)脂肪族ジオール成分
を含む混合脂肪族-芳香族ポリエステルを含む。
【0007】
本発明の別の態様は、上記の混合脂肪族芳香族ポリエステルから得られるフィルム、好ましくは他のポリマーとの混合物、場合によっては他の成分と混合して得られるフィルムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい態様において、混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、1.0%と4.0%との間の含有量の残留混合環状オリゴマーを含み、前記残留混合環状オリゴマーは、少なくとも2種類の、1000以下のMMを有する脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーと、1種類のみの、1000以下のMMを有する脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーとの比が0.30と1.40との間、より好ましくは0.40と1.20との間、さらにより好ましくは0.80と1.14との間であることを特徴とし、成分a2中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して40モル%と92モル%との間であることをさらに特徴とする。
本発明における用語「優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸」は、当該用語が酸の比が等モルでない場合に適用され、したがって、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸の各々の割合よりも大きいモル率で存在する飽和脂肪族ジカルボン酸を指すことを意味する。
【0009】
有利には、残留混合環状オリゴマーの含有量は2%と3.5%との間である。
本発明に従う方法により製造される混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、分子量100~4000のグリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの脂肪族ジオールに由来するジオール成分(成分b)を含む。
【0010】
好ましくは、ジオール成分は、少なくとも50モル%の、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選択される1又は2以上のジオールを含む。
より好ましくは、ジオール成分は、1.2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール若しくはそれらの混合物を含むか、又は1.2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール若しくはそれらの混合物からなる。
更により好ましくは、ジオール成分は、1,4-ブタンジオールを含むか、又は1,4-ブタンジオールからなる。
【0011】
本発明に従う方法により製造されるポリエステルのジカルボン酸成分は、全ジカルボン酸成分に関して40~80モル%、好ましくは40~75モル%、より好ましくは42~52モル%、さらに好ましくは45~49モル%の、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸に由来する単位(成分a1)と、全ジカルボン酸成分に関して20~60モル%、好ましくは25~60モル%、より好ましくは48~58モル%、さらに好ましくは51~55モル%の、少なくとも3つの飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する単位(成分a2)とを含む。ジカルボン酸成分はさらに、成分a2中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して92モル%より少なく、全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して40モル%より多いことを特徴とする。
芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、それらのエステル、塩および混合物から有利に選択される。
好ましい実施形態において、前記芳香族ジカルボン酸は、
-1~99モル%、好ましくは5~95モル%、より好ましくは10~80モルのテレフタル酸、そのエステル又は塩;
-99~1モル%、好ましくは95~5モル%、より好ましくは90~20%の2,5-フランジカルボン酸、そのエステル又は塩
を含む。
【0012】
本発明の特に好ましい実施形態において、芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸、そのエステルおよび塩である。
成分a2に関して、再生可能起源の飽和脂肪族カルボン酸のモル%は、飽和ジカルボン酸の合計に対して、好ましくは30%を超え、より好ましくは40%を超え、さらに有利には50%を超える。
成分a2中のコハク酸はさらに、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計の5モル%と67モル%との間、好ましくは10モル%と50モル%との間、さらに好ましくは20モル%と35モル%との間であることを特徴とする。
成分a2中のアゼライン酸は、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して、3モル%と92モル%との間であることが好ましく、10モル%と50モル%との間であることがより好ましく、15モル%と35モル%との間であることがさらに好ましい。
【0013】
脂肪族ジカルボン酸は、有利には、飽和C4-C24、好ましくはC4-C13、より好ましくはC4-C11脂肪族ジカルボン酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4アルキルエステル、それらの塩及びそれらの混合物から選択される。
本発明の好適な実施形態において、脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸及びそれらのC1-C24アルキルエステルから選択される。
本発明の好ましい実施形態において、優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸は、全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して、少なくとも40モル%、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である。前記優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4エステル、それらの塩およびそれらの混合物から選択されるが、コハク酸およびアゼライン酸は必ず存在する。
【0014】
本発明による方法の好ましい実施態様において、製造される混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、有利には、以下から選択される:
(A)フタル酸型芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとに由来する繰り返し単位を含むポリエステル(AAPE-A)であって、ジカルボン酸成分の全モル数に対して、42モル%と60モル%との間、好ましくは45モル%と49モル%との間の芳香族単位の含有量によって特徴づけられるポリエステル。
AAPE-Aポリエステルは、好ましくは、以下から選択される:ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1、4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)。
【0015】
(B)芳香族複素環式ジカルボン酸化合物、好ましくは2,5-フランジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとに由来する繰り返し単位を含むポリエステル(AAPE-B)であって、ジカルボン酸成分の全モル数に対して、40モル%と80モル%との間、好ましくは40モル%と75モル%との間の芳香族単位の含有量によって特徴づけられるポリエステル。
AAPE-Bポリエステルは、好ましくは、以下から選択される:ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2.5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)。
【0016】
本発明の好ましい態様において、本発明に従う方法により製造されるポリエステルは、1.0%と4.0%との間の残留混合環状オリゴマーの含有量によって特徴付けられ、ここで、前記オリゴマーは、少なくとも2種類の、1000未満のMMを有する脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーと、1種類のみの、1000未満のMMを有する脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーとの比が、0.30と1.40との間、より好ましくは0.40と1.20との間、さらにより好ましくは0.81と1.14との間であることにより特徴づけられ、成分a2中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して92モル%未満であり、その他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して40モル%よりも大きいことをさらに特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい態様において、1種類のみの脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーは、(ADA-BDO)2、(AZA-BDO)2、(SEBA-BDO)2、(BRA-BDO)2、(SUC-BDO)2、(ADA-BDO)3、(AZA-BDO)3、(SEBA-BDO)3、(BRA-BDO)3、(SUC-BDO)3、(ADA-BDO)4、(AZA-BDO)4、(SUC-BDO)4である。
本発明の好ましい態様において、少なくとも2種類の脂肪族ジカルボン単位を含む環状オリゴマーは、(ADA-BDO-AZA-BDO)、(ADA-BDO-SEBA-BDO)、(ADA-BDO-BRA-BDO)(ADA-BDO-SUC-BDO)、(AZA-BDO-SEBA-BDO)、(AZA-BDO-BRA-BDO)、(AZA-BDO-SUC-BDO)、(SEBA-BDO-BRA-BDO)、(SEBA-BDO-SUC-BDO)、(SUC-BDO-BRA-BDO)、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)-(SUC-BDO)2、(AZA-BDO)2-(SUC-BDO)、(AZA-BDO)-(SUC-BDO)2、(SEBA-BDO)2-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(SUC-BDO)2、(BRA-BDO)2-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(SUC-BDO)2、(AZA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(AZA-BDO)2-(BRA-BDO)、(AZA-BDO)-(BRA-BDO)2、(SEBA-BDO)2-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(BRA-BDO)2、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZA-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZA-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(AZA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)-(SEBA-BDO)、(BRA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(BRA-BDO)-(AZA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(BRA-BDO)-(SUC-BDO)、(SEBA-BDO)-(ADA-BDO)-(SUC-BDO)、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)2である;ここで、ADAはアジピン酸とジオール成分とのエステル、AZAはアゼライン酸とジオール成分とのエステル、SUCはコハク酸とジオール成分とのエステル、SEBAはセバシン酸とジオール成分とのエステル、BRAはブラシル酸とジオール成分とのエステル、PTAはテレフタル酸とジオール成分1,4-ブタンジオールとのエステルである。
【0018】
一例として、環状オリゴマー(SUC-BDO-AZA-BDO)は、ブチレンスクシネート単位とブチレンアゼレート単位からなる。
ジカルボン酸成分およびジオール成分に加えて、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、好ましくは、ジカルボン酸成分の総モル数に対して、0モル%と49モル%との間、好ましくは0モル%と30モル%との間の量で、少なくとも1つのヒドロキシ酸または対応するラクトンに由来する繰り返し単位を含む。
好都合なヒドロキシ酸の例は、グリコール酸又はグリコリド、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ吉草酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシヘプタン酸、9-ヒドロキシノナン酸、乳酸又はラクチドである。
ヒドロキシ酸は、そのまま鎖中に挿入されてもよいし、又は予め二酸若しくはジオールと反応させてもよい。
【0019】
混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、下記の工程を含む下記の方法で製造される:
1.脂肪族ジオール、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、および少なくとも3つの飽和脂肪族ジカルボン酸、それらのエステル、塩または誘導体を含む混合物を、エステル化および/またはトランスエステル化に供してオリゴマーを生成する工程;
2.工程1から得られた前記オリゴマーを、触媒、場合によりジルコニウムを含む触媒またはそれらの混合物と、有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン含有化合物との存在下、220℃と260℃との間の温度にて0.5mbarと350mbarとの間の圧力で、重縮合する工程。
【0020】
有利には、リン含有化合物は、一般式(1)または(2)の化合物から選択される:
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、H、C1-C20アルキルもしくはシクロアルキル、C6-C20アリール、アルキルアリール、またはポリアルキレンオキシドもしくはポリアルキルアルキレンオキシド鎖のいずれかから選択されてもよい。
【0021】
触媒は、少なくとも1種のチタン含有化合物の混合物を含み、チタンとリンとの比は2と20との間、好ましくは3と15との間である。
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法において、ヒドロキシ酸は、有利には、エステル化工程で添加される。
非末端官能基を有するものを含む、2つの官能基を有する長い分子もまた、ジカルボン酸成分の総モル数に対して10モル%を超えない量で存在し得る。
例は、ダイマー酸、リシノール酸、及びエポキシ官能基が組み込まれている酸、並びに200と10000との間の分子量を有するポリオキシエチレンである。
【0022】
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法では、2つの官能基を有するこれらの長い分子は、有利には、エステル化工程の間に添加される。
ジアミン、アミノ酸及びアミノアルコールもまた、ジカルボン酸成分の総モル数に対して30モル%までの割合で存在し得る。
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法において、このようなジアミン、アミノ酸およびアミノアルコールは、有利には、エステル化工程の間に添加される。
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法のエステル化工程の間に、3以上の反応性官能基を有することを特徴とする1以上の分子を、ジカルボン酸成分(および任意のヒドロキシ酸)の総モル数に対して0.02モル%と3モル%との間の量で添加して、分岐生成物を得てもよい。
【0023】
これら分子の例は、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、クエン酸、ジペンタエリスリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノアンヒドロマンニトール、酸トリグリセリド又はポリグリセロールである。
本発明による混合芳香族脂肪族ポリエステルの分子量Mnは、好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上、さらに好ましくは50000以上である。
分子量の多分散指数Mw/Mnは、好ましくは1.5と10との間、より好ましくは1.6と5との間、さらに好ましくは1.8と2.5との間である。
分子量Mn及びMwはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定してもよい。
測定は、40℃に維持したクロマトグラフィーシステムで、直列の2つのカラムのセット(粒径5μm及び3μmの混合ポロシティ)、屈折率検出器、溶離液としてクロロホルム(流量0.5ml/分)を用い、参照標準としてポリスチレンを用いて行ってもよい。
【0024】
本発明による混合芳香族脂肪族ポリエステルの熱特性は、パーキンエルマーPyris Diamond熱量計を用い、示差走査熱量測定(DSC)により、以下に示す条件で測定した:
- 60秒、-80℃の等温
- 20℃/分で-80℃から200℃まで第1スキャン
- 60秒、200℃の等温
- 10℃/分で200℃から-80℃まで第2スキャン
- 60秒、-80℃の等温
- 20℃/分で-80℃から200℃まで第3スキャン
【0025】
ガラス転移温度では、比熱(ΔCp)の変化が生じ、これは、DSC曲線のジャンプと傾き変化として検出することが可能である。ガラス転移温度(Tg)は、第2スキャンから、DSCダイアグラムの加工処理に特別に設計されたパーキンエルマーのPyrisTMソフトウェアを使用して、転移前後のベースラインを仮想的に伸ばした2本の線と曲線の最大傾斜点での接線を引くことによって計算した。本発明におけるガラス転移温度は、熱容量増加の半分に達する点(中間点温度)として定義される。
特許WO2016/050963の方法では、少なくとも1種のチタン含有化合物と少なくとも1種のジルコニウム含有化合物との混合物を含む触媒であって、重縮合工程における重量比Ti/(Ti+Zr)が0.01を超え0.70を下回る、好ましくは0.02を超え0.60を下回る触媒の使用により、重縮合蒸留物の抽出後に得られる残留環状オリゴマーの量をより少なくすることができる。
特に、これら残留環状オリゴマーの含有量は、重縮合蒸留物からの分離後に重量測定される。
【0026】
代わりに、本発明においては、チタン対リンの比が2と20との間、好ましくは3と15との間である、少なくとも1種のチタン含有化合物との混合物中でリン含有化合物を使用することにより、形成されたポリエステル内に残存する混合環状オリゴマーの量を制御することが可能であり、ここで、少なくとも2種類の、1000未満のMMを有するジカルボン酸脂肪族単位を含む環状オリゴマーと、1種類のみの、1000未満のMMを有するジカルボン酸脂肪族単位を含む環状オリゴマーとの比は、0.30と1.40との間である。
抽出された残留混合環状オリゴマーは重量測定される。
正確に秤量した約30gのポリマー試料を150mlアセトニトリルで40℃にて96時間かけて抽出した。液相をろ過で回収し、フィルター上の顆粒を25mlのアセトニトリルで洗浄した。2つの液体アリコートを250mlメスフラスコ中で合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで45℃にて重量一定となるまで蒸発させた。残留混合環状オリゴマーの組成は、オリゴマーを1mlのTHFに溶解し、約1000ppmの濃度にアセトニトリルで希釈することで分析した。100μlのアセトニトリル/THF溶液を、800μlのメタノール及び100μlの酢酸アンモニウムの0.1%N水溶液で希釈した。
【0027】
分析は、ESI+モードのThermo LCQ Fleet質量分析計と接続したThermo Accela 1250 HPLC装置を用いてHPLC-MSにより行った。
Phenomenex Luna Omega C18 PS 100×2.1mm 1.6umカラムを使用し、表1のプロファイルに従って溶出して種を分離した。
【0028】
【0029】
オリゴマーは、プロトン化付加物とアンモニア付加物の分子量(MM)に基づいて認識した。残留混合環状オリゴマーの割合は、ベースピークモードでクロマトグラムを加工処理し、分子量に基づいて環状オリゴマーとして認識された種を積分することによって決定した。少なくとも2種の、1000未満のMMを有する脂肪族酸を含むオリゴマーに割り当てられたピークの合計面積と、1種のみの、1000未満のMMを有する脂肪族ジカルボン酸ユニットを含む環状オリゴマーに割り当てられたピークの合計面積との比は、混合環状オリゴマーの割合を表す。
混合芳香族脂肪族ポリエステルの末端酸基含量は、好ましくは100meq/kg以下、好ましくは60meq/kg以下、更に好ましくは40meq/kg以下である。
【0030】
末端酸基の含有量は、以下のように測定することができる。1.5~3gのポリエステルを、60mlのクロロホルムとともに100mlフラスコに入れる。
ポリエステルを完全に溶解した後、25mlの2-プロパノールを加え、分析直前に1mlの脱イオン水を加える。
得られた溶液を、予め標準化したエタノール中KOH溶液で滴定する。
適切なインジケーター(例えば非水性溶媒中の酸-塩基滴定用ガラス電極)を用いて滴定終点を決定する。
末端酸基の含有量を、エタノール中KOH溶液の消費量から、次式に従って算出する:
【数1】
(式中、Veq=試料の滴定終点におけるエタノール中KOH溶液のml;Vb=ブランク滴定でpH=9.5の達成に必要なエタノール中KOH溶液のml;T = エタノール中KOH溶液の濃度(モル/リットル); P = サンプルの重量(グラム))
【0031】
プラスチックの代表的な用途(例えば、気泡フィルム形成、射出成形、発泡製品など)に使用する場合、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは500~1g/10分の間であり、より好ましくは100~2g/10分の間であり、さらに好ましくは80~3g/10分である。25~3.5g/10分の間のMFR(ISO 1133-1に従って190℃/2.16kgで測定)が有利に用いられ得る。
好ましくは、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、0.4dl/gより大きい、好ましくは0.4~2dl/gの間、より好ましくは0.7~1.5dl/gの間の固有粘度(25℃で濃度0.2g/dlのCHCl3中の溶液に対してUbbelohde粘度計で測定)を有する。
好ましくは、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルは生分解性である。
本発明の意味において、生分解性ポリマーとは、ISO 14855-1(2013)に従って180日後に微結晶セルロースに対して90%以上の相対的生分解性を有する生分解性ポリマーを意味するものと理解される。
【0032】
本発明の好ましい態様において、全ジカルボン酸成分の45~49モル%の間の、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸に由来する単位(成分a1)を含み、全ジカルボン酸成分の20~60モル%の間の、コハク酸に由来する単位を含む前記混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、規格EN13432に従う工業的堆肥化において生分解性である。
好ましくは、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、生分解性であるか否かを問わず、合成または天然起源の1種以上のポリマーと混合して使用することができ、反応性押出プロセスによっても得ることができる。
特に、本発明による混合脂肪族芳香族ポリエステルは、他のポリマーと、好ましくは他の成分の適切な組合せと混合した場合、フィルムの製造に特に適する。有利なことに、このようなフィルムは優れた機械的特性を示す。
【0033】
本発明の特に好ましい態様において、混合芳香族脂肪族ポリエステルの混合物から製造されるフィルムは、以下のものを含む:
i)成分i.-v.の合計に対して30~95重量%の、少なくとも1種の混合脂肪族芳香族ポリエステル;
ii)成分i.-v.の合計に対して0.1~50重量%の、少なくとも1種の天然起源ポリマー;
iii)成分i.-v.の合計に対して0~40重量%の、少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエート;
iv)成分i.-v.の合計に対して0~15重量%の、少なくとも1種の無機充填剤;
v)成分i.-v.の合計に対して0~5重量%の、イソシアネート、過酸化物、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシド、無水物、ジビニルエーテルおよびそれらの混合物を含む少なくとも1種の二官能性および/または多官能性化合物を含む少なくとも1種の架橋剤および/または鎖延長剤。
【0034】
天然起源ポリマー(成分ii)は、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、アルギネート、タンパク質、例えばグルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム、ロジン酸およびその誘導体、リグニン自体、または精製、加水分解、塩基化などされたリグニンまたはその誘導体を含む群から選択される。
デンプン及びセルロースは改変されていてもよく、そのようなものとしては、置換度0.2~2.5を有するデンプン又はセルロースのエステル、ヒドロキシプロピル化デンプン、脂肪鎖で修飾したデンプン、及びセロファンが挙げられる。
成分(ii)は好ましくはデンプンである。
デンプンは、非構造化形態及びゲル化形態の両方で使用し得、または充填剤として使用し得る。
非構造化デンプンとは、特許EP 0 118 240およびEP 0 327 505に記載されているデンプン、特に偏光光学顕微鏡下でいわゆる「マルタ十字」を示さず、位相差光学顕微鏡下でいわゆる「ゴースト」を示さないように加工されたデンプンを意味する。
デンプンは連続相であっても分散相であってもよく、共連続形態であってもよい。
【0035】
分散デンプンの場合、デンプンの粒子径は、押出時の流れ方向に対する断面、またはいずれにしてもフィルム製造方向に対する断面で測定される。
デンプンの粒子径は、横断面の二次元形状から測定される。平均デンプン粒子径は、粒子径の算術平均として計算される。
粒子が円形断面を有する場合、粒子径は当該円の直径に相当する。
楕円の断面又は楕円に類似するその他の形状の断面を有する場合、粒径(d)は次式で計算される:
【数2】
(式中、d1は、粒子に近似する楕円の短軸であり、d2は当該楕円の長軸である。)
【0036】
デンプン粒子は、上記のように測定した算術平均直径が1ミクロン未満、より好ましくは0.5ミクロン未満であることにより特徴づけられる。
上記フィルムの成分iiiは、任意選択的に、少なくとも1つのポリヒドロキシアルカノエートを、好ましくは成分i~vの合計に対して0~40%、より好ましくは2~37%、さらに好ましくは10~25%含む。
前記ポリヒドロキシアルカノエートは、最も好ましくは、乳酸のポリエステル、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート-バレレート、ポリヒドロキシブチレート-プロパノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレート-デカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ドデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-オクタデカノエート、ポリ3-ヒドロキシブチレート-4-ヒドロキシブチレートを含む群より選択される。好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカノエートは、少なくとも80重量%の1又は2以上の乳酸ポリエステルを含む。
【0037】
1つの好ましい実施形態において乳酸ポリエステルは、ポリL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリDL-乳酸ステレオコンプレックス、50モル%以上の前記乳酸ポリエステルを含むコポリマー及びこれらの混合物を含む群より選択される。特に好ましいのは、L-乳酸若しくはD-乳酸に由来する繰り返し単位又はそれらの混合物を少なくとも95重量%含み、50000以上の分子量Mw及び50~500Pa.s、好ましくは100~300Pa.sのせん断粘度(T=190℃、せん断速度=1000s-1、D=1mm、L/D=10のASTM規格D3835に従って測定)を有する乳酸ポリエステルである。
1つの特に好ましい実施形態では、乳酸ポリエステルは、少なくとも95重量%のL-乳酸由来単位、<5%のD-乳酸由来繰り返し単位を含み、135~180℃の間の融点、55~65℃の間のガラス転移温度(Tg)、1~50g/10分の範囲内のMFR(190℃及び2.16kgのISO1133-1に従って測定)を有する。このような特性を有する乳酸ポリエステルの市販品の例は、IngeoTMBiopolymer製品4043D、3250D及び6202Dである。
上記フィルムの無機充填材(成分iv)は、成分i~vの合計に対して0~15重量%、好ましくは0.1~8重量%、さらに好ましくは3~5重量%で存在する。この無機充填剤は、好ましくは、カオリン、バライト、クレー、タルク、カルシウム及びマグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉄及び鉛、水酸化アルミニウム、珪藻土、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、二酸化チタン及びウォラストナイト(珪灰石)から選択される。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施形態において、無機充填剤は、粒子の主軸に関して測定した(ASTM13320に従って測定した)10ミクロン以下、より好ましくは2ミクロン以下の平均算術直径を有する粒子の形態で存在するタルク、雲母、炭酸カルシウム又はそれらの混合物を含む。
上述したフィルムの架橋剤および/または鎖延長剤(成分v)は、成分i~vの合計に対して0~5重量%、好ましくは0~05重量%で存在する。
前記架橋剤及び/又は鎖延長剤は、イソシアネート、パーオキシド、カルボジイミド、イソシアヌレート、オキサゾリン、エポキシ、アンヒドリド、ジビニルエーテル及びそれらの組合せから選択される基を有する二官能性及び/又は多官能性化合物から選択される。
特に好ましいのは、イソシアネート基を有する二官能性及び/又は多官能性化合物と、エポキシド基を有する二官能性及び/又は多官能性化合物との混合物であり、さらに好ましくは、少なくとも75重量%の、イソシアネート基を有する二官能性及び/又は多官能性化合物を含む混合物である。
【0039】
イソシアネート基を含む2つの官能基及び多官能基を有する化合物は、好ましくは、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレン-4-クロロジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4-ジフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、3-メチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエステルジイソシアネート、2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル2,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1-メチル-2,6-シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2,4,6-トルエントリイソシアネート、2,4,4-ジフェニルエーテルトリイソシアネート、ポリメチレン-ポリフェニル-ポリイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、3,3'-ジチオリレン-4,4-ジイソシアネート、4,4'-メチレン ビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、ヘキサメチレン1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,2-シクロヘキシレンジイソシアネート及びこれらの混合物から選択される。1つの好ましい実施形態では、イソシアネート基を含む化合物は、4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネートである。
【0040】
パーオキシド基を有する二官能性及び多官能性化合物に関して、これらは、好ましくは、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、イソノナノイルパーオキシド、ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシ-3-イン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキソナン、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート及びこれらの混合物から選択される。
【0041】
カルボジイミド基を有する二官能性及び他官能性化合物(これらは、本発明による組成物に好ましく用いられる)は、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド)、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(L/1,4-ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2',6,6'-テトライソプロピルジフェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(登録商標)D)、ポリ(2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(登録商標)P-100)、ポリ(2,6-ジイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(登録商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)及びこれらの混合物から選択される。
【0042】
本発明による組成物中に有利に使用し得る、エポキシド基を有する二官能性及び他官能性化合物の例は、全て、1000~10000の分子量範囲内で、分子当たりのエポキシド数が1~30、好ましくは5~25である、エポキシ化油からの及び/又はスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート若しくはグリシジルエーテル-メチルメタクリレートからのポリエポキシドであり、該エポキシドは、次:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、2-エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシド及び脂環式ジエポキシド、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル2-メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシラトトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシラトトリグリシジルエーテル、メタ-キシレンジアミンのテトラグリシジルエーテル及びビスフェノールAのジグリシジルエーテル並びにこれらの混合物を含む群から選択される。
イソシアネート基、パーオキシド基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、オキサゾリン基、エポキシド基、アンヒドリド基及びジビニルエーテル基を有する二官能性及び多官能性化合物(例えば上記のもの)と合わせて、触媒も用いて当該反応性基の反応性を高めてもよい。ポリエポキシドの場合、脂肪酸塩が好ましくは用いられ得、さらに好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が用いられ得る。
【0043】
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、架橋剤及び/又は鎖延長剤は、イソシアネート基、好ましくは4,4-ジフェニルメタン-ジイソシアネートを有する化合物、及び/又はカルボジイミド基を有する化合物、及び/又はエポキシド基、好ましくはスチレン-グリシジルエーテルメチルメタクリレートタイプのものを有する化合物を含む。
フィルム製造に加えて、本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルは、例えば、繊維、不織布、箔、印刷物、熱成形品、ブロー成形品、膨張成形品、積層成形品(押出コーティング技術によって製造されたものを含む)などの製品の製造のための多くの実用的な用途において、単独または他のポリマーとの混合物での使用に極めて適する。
【0044】
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルを含む製品の例は、下記のものである:
-フィルム(一軸及び二軸延伸フィルム)及び他のポリマー材料との多層フィルム;
-農業分野でマルチフィルムとして使用するフィルム;
-食品用薄膜フィルム、農業用梱包材及び廃棄物包装材を含むストレッチフィルム;
-食品廃棄物及び刈り取った草の回収などの有機物回収用のバッグ及びライナー;
-牛乳、ヨーグルト、肉、飲料などの容器など、単層および多層の熱成形食品包装;
-押し出しコーティング技術を使用して得られるコーティング;
-厚紙、プラスチック、アルミニウム、金属化フィルムの層を有する多層ラミネート;
-特殊な焼結形式の製造用の発泡または発泡性ビーズ;
-予備発泡粒子から形成された発泡ブロックを含む発泡および半発泡製品;
-食品包装用の発泡フォーム、熱成形発泡シート、およびそれらから作られた容器;
-果物及び野菜用の容器全般;
-ゼラチン化、非構造化および/または複合デンプン、天然デンプン、小麦粉、天然、植物または無機起源の他の充填剤を充填剤として含む組成物;
-健康、衛生、農業、衣料分野のための、繊維、マイクロファイバー、PLA、PET、PTTなどの硬質ポリマーからなるコアと本発明による材料の外殻とを有する複合繊維、ダブレン複合繊維、円形から多葉繊維まで様々な断面を有する繊維、フロック加工、織布、不織布、またはスパンボンド若しくは熱接着織物。
これらは、可塑化PVCの代用品として使用され得る。
【0045】
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法は、エステル化またはトランスエステル化工程および重縮合工程を含み、前記重縮合工程が、チタンを含む少なくとも1種の化合物および場合によりジルコニウムを含む少なくとも1種の化合物を含む触媒の存在下で実施されることを特徴とする。ジルコニウムを含む化合物が存在する場合、Ti/(Ti+Zr)の重量比は0.01以上0.7以下、好ましくは0.02以上0.60以下である。
さらに、この触媒は、有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン化合物との混合物として使用される。
【0046】
有利には、リン含有化合物は、一般式(1)または(2)の化合物から選択される:
【化2】
(式中、R1、R2およびR3は、H、C1-C20アルキルもしくはシクロアルキル、C6-C20アリール、アルキルアリール、またはポリアルキレンオキシドもしくはポリアルキルアルキレンオキシド鎖のいずれかから選択されてもよい。)
【0047】
特に好ましい態様では、リン含有化合物はリン酸トリオクチルである。
この方法の好ましい態様では、触媒は、チタンを含む少なくとも1種の化合物の混合物を含み、リンに対するチタンの重量比は2~20の間、好ましくは3~15の間である。
エステル化/トランスエステル化工程では、好ましくは、脂肪族ジオールとジカルボン酸、そのエステルおよび塩との間のモル比が1~2.5、好ましくは1.05~1.9の間で供給される。
ポリエステルを構成するジカルボン酸、そのエステルまたは塩、脂肪族ジオールおよびその他のコモノマーは、別々にこの工程に供給して反応器内で混合してもよいし、あるいは反応器に送る前に、好ましくはT<70℃で予備混合してもよい。
また、いくつかの成分をあらかじめ混合し、その後、例えばエステル化/トランスエステル化反応中にその組成を変更することも可能である。
【0048】
ジカルボン酸成分が、脂肪族または芳香族を問わず、複数のジカルボン酸に由来する繰り返し単位を含むポリエステルの場合、これらの一部を脂肪族ジオールと、好ましくはT<70℃で予備混合し、残りのジカルボン酸、ジオールおよびその他のコモノマーをエステル化/トランスエステル化反応器に添加することも可能である。
この方法のエステル化/トランスエステル化工程は、有利には、200~250℃の温度および0.7~1.5バールの圧力で、好ましくはエステル化/トランスエステル化触媒の存在下で実施される。
エステル化/トランスエステル化触媒は、有利には重縮合工程の触媒の成分としても使用することができるが、エステル化/トランスエステル化反応器に直接供給してもよく、または反応混合物中での分散を促進し、より均一にするために、先ずジカルボン酸、それらのエステルまたは塩、および/または脂肪族ジオールの1種または2種以上のアリコートに溶解してもよい。
【0049】
エステル化/トランスエステル化触媒は、有機金属スズ化合物、例えばスズ酸誘導体、チタン化合物、例えばオルトチタン酸テトラブチルまたはオルトチタン酸テトラ(イソプロピル)のようなチタネート、ジルコニウム化合物、例えばオルト-ジルコン酸テトラブチルやオルト-ジルコン酸テトラ(イソプロピル)などのジルコネート、アンチモン化合物、アルミニウム、例えばAl-トリイソプロピル及び亜鉛化合物、およびそれらの混合物から選択される。
上述したタイプの有機金属エステル化/トランスエステル化触媒に関しては、上記方法のエステル化/トランスエステル化工程において、反応器に供給される全てのジカルボン酸を変換することによって理論的に得られるポリエステル量に対して、好ましくは12~120ppmの金属濃度で存在する。
エステル化/トランスエステル化工程の触媒は、チタネート、より好ましくはジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートであり、好ましくは、反応器に供給されるジカルボン酸のすべてを変換することによって理論的に得られるポリエステルの量に対して12~120ppmの金属濃度で使用される。
好ましくは、本発明による方法におけるエステル化/トランスエステル化工程の反応時間は4~8時間である。
エステル化/トランスエステル化工程の終時に、Mn<5000、固有粘度0.05~0.15dl/g、及び酸価<150meq/kgのオリゴマー生成物が得られる。
触媒は、エステル化/トランスエステル化工程の終時に、オリゴマー生成物とともに重縮合工程に供給してもよい。
【0050】
重縮合工程は、チタン、場合によってはジルコニウムまたはそれらの混合物、および有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン含有化合物を含む触媒の存在下で実施され、反応器に供給されるすべてのジカルボン酸を触媒で変換することによって理論的に得られるポリエステルの量に対して、チタンの総量は80~500ppmである。チタン 対 リンの比は2~20の間、好ましくは3~15の間である。存在する場合、ジルコニウムの総量は、Ti/(Ti+Zr)比が0.01~0.70の範囲に保たれる量でなければならない。
本発明による混合脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法の好ましい実施態様において、チタンを含む重縮合触媒は、一般式Ti(OR)4を有する化合物から有利に選択されるチタネートであり、式中、Rは、炭素、酸素、リンおよび/または水素の1つ以上の原子を含む配位子基である。
異なる配位子基Rが同じチタン原子上に存在してもよいが、チタネート製造を容易にするため、同一であることが好ましい。
さらに、2つ以上の配位子Rは、単一の化合物から誘導されてもよく、チタンによって結合されていることに加えて、一緒に化学的に結合されていてもよい(トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、エタンジアミンなどのいわゆる多座配位子)。
Rは、有利には、H、トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、3-オキソブタン酸、エタンジアミン、および直鎖状または分枝状のC1 -C12アルキル残基、例えばエチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、ヘキシル、エチルヘキシルを含む群から選択される。好ましい実施形態では、RはC1-C12アルキル残基、好ましくはC1-C8、より好ましくはn-ブチルから選択される。
【0051】
チタネートの調製は文献でよく知られている。典型的には、四塩化チタンと式ROHの前駆体アルコールをアンモニアのような塩基の存在下で反応させるか、他のチタネートのトランスエステル化によって調製される。
本発明による芳香族-脂肪族混合ポリエステルを製造するための方法の好ましい実施形態において使用することができるチタネートの市販品の例としては、Tyzor(登録商標) TPT(テトライソプロピルチタネート)、Tyzor(登録商標) TnBT(テトラn-ブチルチタネート)およびTyzor(登録商標) TE(ジイソプロピルトリエタノールアミノチタネート)が挙げられる。
【0052】
ジルコニウムを含む重縮合触媒をチタンを含む重縮合触媒と組み合わせて使用する場合、これは、一般式Zr(OR)4の化合物から有利に選択されるジルコネートであり、式中、Rは炭素、酸素、リンおよび/または水素の1つまたは複数の原子からなる配位子基である。
チタネートの場合と同様に、異なる(しかし好ましくは同一の)配位子基Rが同一のジルコネート原子上に存在していてもよい。
これに加えて、2つ以上の配位子Rは単一の化合物から誘導されてもよいし、ジルコニウムが結合していることに加えて、一緒になって化学的に結合していてもよい(トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、エタンジアミンなどのいわゆる多座配位子)。Rは、有利には、H、トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、3-オキソブタン酸、エタンジアミン、および直鎖状または分枝状のC1-C12アルキル残基、例えばエチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、ヘキシルまたはエチルヘキシルを含む群から選択される。好ましい実施形態では、RはC1-C12、好ましくはC1-C8のアルキル残基から選択され、より好ましくはn-ブチルである。
ジルコネートの調製法は文献で知られており、チタネートについて上記で説明したものと同様である。
【0053】
本発明による芳香族-脂肪族混合ポリエステルの製造方法の好ましい実施形態において使用することができるジルコネートの市販品の例としては、Tyzor(登録商標) NBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tyzor NPZ(テトラn-プロピルジルコネート)、IG-NBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tytan TNBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tytan TNPZ(テトラn-プロピルジルコネート)などが挙げられる。
重縮合触媒及びリン含有化合物は、種々の成分を別々に反応器に供給して重縮合工程に供給される。
また、いくつかの成分をあらかじめ混合し、その後、例えば触媒をオリゴマー生成物と接触させる際に、触媒の組成を調整することも可能である。
本発明による混合芳香族-脂肪族ポリエステルを製造する方法のエステル化/トランスエステル化工程において、チタンおよび/またはジルコニウム化合物を含む触媒を使用する場合、本発明による方法の好ましい実施態様において、この触媒はオリゴマー生成物から分離されず、それと一緒に重縮合工程に供給され、有利には重縮合触媒として、またはその成分として使用され、適切な量のチタン化合物およびジルコニウム化合物を前記重縮合工程に添加することにより、チタンとジルコニウムとのモル比の調節することができる。
【0054】
重縮合工程の触媒は、エステル化/トランスエステル化工程の触媒と同じでもよい。
重縮合工程は、有利には、オリゴマー生成物を重縮合反応器に供給し、触媒の存在下、温度220~260℃、圧力0.5mbar~350mbarで反応させることにより実施される。
好ましくは、重縮合工程の反応時間は4~8時間である。
ポリエステルの特定の分子量特性および所望の粘度に応じて、本発明による方法は、重縮合工程の後に、過酸化物、ジビニルエーテル、ビスオキサゾリン、ポリエポキシド、ジ-およびポリイソシアネート、カルボジイミドまたは二無水物を使用することにより、他のポリマーを含む鎖延長、反応性加工処理または反応性押出しの1つ以上の工程を提供することができる。
本発明を、いくつかの実施形態を用いて説明するが、これら実施形態は、例示であり、本特許出願の保護範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【実施例】
【0055】
実施例
例1(比較)-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のアジピン酸、28モル%のセバシン酸、22モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTAdSebSuc 50/28/22]の製造。
【0056】
エステル化工程
機械的撹拌システム、窒素導入口、蒸留塔、高沸点蒸留物ノックダウンシステム、高真空システムへの接続を備えた、幾何学的容量60リットルの鋼製反応器に、ジオールとジカルボン酸のモル比(MGR)1.50で、以下のものを投入した:テレフタル酸8004g、アジピン酸3969g、セバシン酸3075g、コハク酸1411g、1,4-ブタンジオール113850g、グリセロール4.72g、及びジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液5.50g(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのセバシン酸、すべてのコハク酸およびテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdSebSucの量に対して21ppmの金属に相当)。
塊の温度は、120分かけて230℃まで徐々に上昇させた。
【0057】
重縮合相
理論上の水の少なくとも95%が蒸留された時点で、24.20gのテトラn-ブチルチタネート(反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのセバシン酸、すべてのコハク酸、およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdSebSucの量に対して154ppmの金属に相当する)と5.39gのリン酸トリオクチル(反応器に供給された全てのアジピン酸、全てのセバシン酸、全てのコハク酸、及び全てのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdSebSucの量に対して17.5ppmのリンに相当し、したがってTi/P重量比10に相当)。その後、反応器温度を242℃に上げ、60分かけて1.2mbar以下まで徐々に減圧した。反応は約4.30時間進行させ、これはMFRが4.3g/10分(190℃、2.16kg)のPBTAdSebSucを得るのに必要な時間であり、その後、材料はストリングの形で水浴に排出され、造粒された。
【0058】
例2-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のアジピン酸、28モル%のアゼライン酸、22モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTAdAzSuc 50/28/22]の製造。
実施例1の操作条件を繰り返したが、テレフタル酸8082g、アジピン酸4008g、アゼライン酸2890g、コハク酸1425g、1,4-ブタンジオール13985g、グリセロール4.77g、およびジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのセバシン酸、すべてのコハク酸、およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdAzSucの量に対して21ppmの金属に相当)5.50gを投入した点が異なっていた。PBTAdAzSucは、4.5g/10分(190℃、2.16kg)のMFRで得られた。
【0059】
例3-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のアジピン酸、14モル%のセバシン酸、14モル%のアゼライン酸、22モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTAdSebAzSuc 50/14/14/22]の製造。
例1の操作条件を繰り返したが、テレフタル酸8043g、アジピン酸3989g、セバシン酸1545g、アゼライン酸1438g、コハク酸1418g、1,4-ブタンジオール13917g、グリセロール4.74gおよび5.50gのジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのセバシン酸、すべてのアゼライン酸、すべてのコハク酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdSebAzSucの量に対して21ppmの金属に相当)を投入した点が異なっていた。これにより、MFR 4.6g/10分(190℃、2.16kg)のPBTAdSebAzSucが得られた。
【0060】
例4(比較)-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のセバシン酸と50モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTSebSuc 50/50]の製造。
例1の操作条件を繰り返したが、エステル化工程では、テレフタル酸7916g、セバシン酸5432g、コハク酸3173g、1,4-ブタンジオール13698g、グリセロール4.67gおよび5.50gのジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのセバシン酸、すべてのコハク酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTSebSucの量に対して21ppmの金属に相当)を投入した点が異なっていた。重縮合工程ではリン酸トリオクチルは添加しなかった。PBTSebSucは5.5g/10分(190℃、2.16kg)のMFRで得られた。
【0061】
例5(比較)-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のアゼライン酸と50モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTAzSuc 50/50]の製造。
例1の操作条件を繰り返したが、エステル化工程では、テレフタル酸8054g、アゼライン酸5143g、コハク酸3228g、1,4-ブタンジオール13936g、グリセロール4.75gおよび5.50gのジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアゼライン酸、すべてのコハク酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAzSucの量に対して21ppmの金属に相当)を投入した点が異なっていた。重縮合工程ではリン酸トリオクチルは添加しなかった。PBTAzSucは6.0g/10分(190℃、2.16kg)のMFRで得られた。
【0062】
例6-全脂肪族カルボン酸の合計に対して50モル%のアジピン酸、18.5モル%のアゼライン酸、31.5モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTAdAzSuc 50/18.5/31.5]の製造。
【0063】
エステル化工程
機械的撹拌システム、窒素導入口、蒸留塔、高沸点蒸留物ノックダウンシステム、高真空システムへの接続を備えた、幾何学的容量60リットルの鋼製反応器に、ジオールとジカルボン酸のモル比(MGR)1.50で、以下のものを投入した:テレフタル酸8180g、アジピン酸4133g、アゼライン酸2065g、コハク酸1933g、1,4-ブタンジオール14153g、グリセロール4.82g、及びジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80重量%エタノール溶液5.50g(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのセバシン酸、すべてのコハク酸およびテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdSebSucの量に対して21ppmの金属に相当)。
塊の温度は、120分かけて230℃まで徐々に上昇させた。
【0064】
重縮合相
理論水の少なくとも95%が蒸留された時点で、16.5gのテトラn-ブチルチタネート(反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのアゼライン酸、すべてのコハク酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdAzSucの量に対して105ppmの金属に相当する)および6.47gのリン酸トリオクチル(反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのアゼライン酸、すべてのコハク酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTAdAzSucの量に対して21ppmのリンに相当し、したがって重量比で5のTi/P比に相当)。その後、反応器温度を257℃に上げ、60分かけて1.2mbar以下まで徐々に減圧した。MFR6.0g/10分(190℃、2.16kg)のPBTAdAzSucを得るのに必要な時間である約4.30時間反応させた後、水浴にひも状に排出し、造粒。
【0065】
例7(比較)-全カルボン酸の合計に対して40モル%のテレフタル酸、全カルボン酸の合計に対して33.3モル%のセバシン酸、33.3モル%のアゼライン酸、33.3モル%のコハク酸を用いるポリ(1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンスクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBTSebAzSuc 33.3/33.3/33.3]の製造。
【0066】
エステル化工程
機械的撹拌システム、窒素導入口、蒸留塔、高沸点蒸留物ノックダウンシステム、高真空システムへの接続を備えた、幾何学的容量60リットルの鋼製反応器に、ジオールとジカルボン酸のモル比(MGR)1で、以下のものを投入した:テレフタル酸44.82g、セバシン酸27.27g、アゼライン酸25.38g、コハク酸15.93g、1,4-ブタンジオール121.50g、及び0.23gのテトラブチルチタネート(Tyzor TnBT、反応器に供給されたすべてのセバシン酸、すべてのアゼライン酸、すべてのコハク酸およびテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBTSebAzSucの量に対して215ppmの金属に相当)。
塊の温度を190℃、200℃、210℃に、それぞれ1時間、2時間、1時間保った。
【0067】
重縮合相
その後、反応器温度を240℃に上げ、45分かけて2mbarまで徐々に減圧した。反応は約4時間反応させ、これはMFR5.7g/10分(190℃、2.16kg)のPBTSebAzSucを得るのに必要な時間であり、その後、材料は排出された。
【表2】
【0068】
表1のデータから、実施例2と比較例1を比較すると、アゼライン酸がコハク酸と別の飽和脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸)の存在下にある場合、混合脂肪族-芳香族ポリエステルのTgは、コハク酸とセバシン酸を含む混合脂肪族-芳香族ポリエステルのTgよりも驚くほど低いことがわかる。
この効果は、アゼライン酸とコハク酸が存在する4つの酸でも確認されている(実施例3)。
この効果は、文献に記載されているものと一致して、飽和脂肪族ジカルボン酸が2つのみ存在する場合には生じないことを考慮すれば、さらに驚くべきことである(比較例4対比較例5)。
比較例7(先行技術、Panら)は、アゼライン酸、コハク酸およびセバシン酸の組合せが、本発明の範囲外である1.62の、1000未満のMMを有する少なくとも2種類のジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーと、1000未満のMMを有する1種類のみのジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーとの比(混合環状オリゴマー間の比)を示すことを確認している。
【国際調査報告】