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特表2024-543610混合残存環状オリゴマーの含量が制御された脂肪族-芳香族ポリエステル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】混合残存環状オリゴマーの含量が制御された脂肪族-芳香族ポリエステル
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/127 20060101AFI20241114BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
C08G63/127 ZBP
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533908
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022084498
(87)【国際公開番号】W WO2023104757
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021000030725
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】バスティオリ,カティア
(72)【発明者】
【氏名】ゲスティ ガルシア,セバスティア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレッロ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB04
4J029AC02
4J029AD10
4J029AE02
4J029AE03
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA08
4J029BA10
4J029BD06A
4J029BD07A
4J029BF30
4J029CA02
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CA09
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CF19
4J029FC03
4J029FC05
4J029FC08
4J029HB01
4J029HB02
4J029HB07
4J029JB131
4J029JC011
4J029JC483
4J029JC583
4J029JF251
4J029JF331
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE03
4J200AA02
4J200AA10
4J200BA09
4J200CA01
4J200DA01
4J200DA17
4J200EA01
4J200EA17
(57)【要約】
分子量が1000以下である少なくとも2種類のジカルボン酸脂肪族単位を含む環状オリゴマーと分子量が1000以下である1種類のジカルボン酸脂肪族単位のみを含む環状オリゴマーとの特定の比を有する残存混合環状オリゴマーの量が制御された脂肪族-芳香族ポリエステル、およびその製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ジカルボン酸成分であって、
a1)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸に由来する単位40~80モル%、
a2)少なくとも2種の飽和ジカルボン酸C4~C24、好ましくはC5~C24、好ましくはC5~C13、より好ましくはC5~C11、それらのC1~C24アルキルエステル、好ましくはC1~C4アルキルエステル、それらの塩およびそれらの混合物に由来する単位20~60モル%
を含むジカルボン酸成分;
b.ジオール脂肪族成分
を含む脂肪族-芳香族ポリエステルであって、本明細書に記載の重量法により測定した残存環状混合オリゴマー含量が1.0%~4.0%であることを特徴とし、前記残存環状混合オリゴマーは、1000より低いMMを有する少なくとも2種類のジカルボン酸脂肪族単位を含む環状オリゴマーと、1000より低いMMを有する1種類のジカルボン酸脂肪族単位のみを含む環状オリゴマーとの間の比が、0.30~1.40、好ましくは0.40~1.20、さらにより好ましくは0.45~0.80の間であり、該比は、HPLC-MS分析を含む本明細書に記載の方法によって決定されることを特徴とし、さらに、成分a2の少なくとも飽和脂肪族ジカルボン酸が、他のすべての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して45モル%~95モル%の間で含まれることを特徴とする、脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項2】
前記ジオール脂肪族成分は、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオール、ペンタエリトリトール、グリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、分子量100~4000のポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項3】
前記ジオール脂肪族成分が、1,2-エタンジオールおよび1,4-ブタンジオールから選択される、請求項2に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項4】
前記芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、それらのエステル、それらの塩およびそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項5】
前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である、請求項4に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項6】
脂肪族ジカルボン酸が、コハク酸、2-エチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ブラシル酸、それらのC1~C24アルキルエステルによって構成される群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項7】
前記脂肪族ジカルボン酸の1つがアゼライン酸である、請求項6に記載の脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項8】
下記の工程:
1.オリゴマーを製造するために、脂肪族ジオールと少なくともジカルボン酸、エステル、その塩またはその誘導体とを含む混合物をエステル化および/またはトランスエステル化工程に供する工程;
2.工程1で得られた前記オリゴマーを、チタンを含む触媒、チタンを含む触媒及びジルコニウムを含む触媒、またはそれらの混合物を含む触媒と、有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン含有化合物との存在下、220℃~260℃の間の温度にて0.5mbar~350mbarの間の圧力で、重縮合に供する工程
を含む請求項1に記載の脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法
【請求項9】
前記リン含有化合物が、
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、H、C1-C20アルキル又はC1-C20シクロアルキル、アリールまたはC6-C20アルキルアリール、またはポリアルキレンオキシドまたはアルキル-ポリアルキレンオキシド鎖から独立して選択され得る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が少なくともチタンを含む化合物の混合物を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
チタンとリンとのモル比が2~20、好ましくは3~15の間である、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合プロセスの副生成物としての混合残留環状オリゴマーの含有量が制御された、適切な熱安定性及び末端酸性度を有する脂肪族-芳香族ポリエステル、ならびにそれらを得るための方法に関する。これら脂肪族-芳香族ポリエステルは、より安定したフィルム加工が可能であり、したがって生産性を高めることができる。
【背景技術】
【0002】
脂肪族-芳香族ポリエステル中の混合残留環状オリゴマーの含有量は、ポリエステルの特性、特にそれらから得られるフィルムの機械的性能及び透明性に悪影響を有するため、望ましくないことが知られている。
特許出願WO2016/050963には、エステル化またはトランスエステル化工程と、それに続く重縮合工程とを含むポリエステルの製造のための複合プロセスが記載されており、前記重縮合工程が、Ti/(Ti+Zr)重量比が0.01以上0.70以下である少なくとも1種のチタン化合物と少なくとも1種のジルコニウム化合物との混合物を含む触媒の存在下で実施されることを特徴とする。
WO2016/050963は、このプロセスにより、重縮合工程中に蒸留により除去される混合環状残留物の生成が低減されたポリエステルを得ることが可能であることを教示している。
【0003】
それにもかかわらず、これら混合残留環状オリゴマーの一部は、形成中のポリエステル内に捕捉されたままである。
WO2016/050963に記載の方法の条件を適切に選択することによって、特に、使用される触媒に対して適切な量のリン含有化合物を、特定の温度および圧力条件と組合せて添加することによって、少なくとも2種類の脂肪族ジカルボン酸単位を含み、1000未満の分子量(MM)を有する環状オリゴマーと、1種類のみの脂肪族ジカルボン酸単位を含み、1000未満のMMを有する環状オリゴマーとの比が0.30~1.40の間、より好ましくは0.40~1.20の間、さらにより好ましくは0.45~0.80の間であることを特徴とし、さらに、ジカルボン酸の混合物中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して95モル%未満であり、2以上の飽和脂肪族ジカルボン酸が存在する場合には、全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して45モル%以上であることを特徴とする、制御された量の混合残留環状オリゴマーを含む脂肪族-芳香族ポリエステルを得ることが可能であることが見出されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、この改良された方法で得られたポリエステルは、より安定したフィルム製造条件、特により良好な気泡安定性を可能にし、これにより、より高い流速でフィルム化プロセスを実施することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明における「混合残留環状オリゴマー」とは、重縮合工程後にポリマー塊中に残留し、分子量(MM)が1000以下の残留環状オリゴマーを意味する。
したがって、本発明の一態様は、以下の工程:
1.脂肪族ジオール、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、および少なくとも2種の脂肪族ジカルボン酸、それらのエステル、塩または誘導体を含む混合物を、エステル化および/またはトランスエステル化に供してオリゴマーを生成する工程;
2.工程1から得られた前記オリゴマーを、チタン、場合によってはジルコニウムまたはその混合物、および有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン含有化合物を含む触媒の存在下、220℃から260℃の間の温度および0.5mbarから350mbarの間の圧力で重縮合する工程
を含む脂肪族-芳香族ポリエステルの製造方法である。
用語 ジカルボン酸の「誘導体」とは、酸のヒドロキシルが、カルボニル基の炭素に結合したハロゲン、窒素または硫黄原子を含む基で置換された化合物をいう。
【0006】
有利には、リン含有化合物は、一般式(1)または(2)の化合物から選択される:
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、H、C1-C20アルキルもしくはシクロアルキル、C6-C20アリール、アルキルアリール、またはポリアルキレンオキシドもしくはポリアルキルアルキレンオキシド鎖のいずれかから選択されてもよい。
【0007】
本発明による方法の好ましい態様では、触媒は少なくとも1種のチタン化合物の混合物を含み、チタンとリンとの比は2~20の間、好ましくは3~15の間である
本発明のさらなる態様は、以下:
(a)ジカルボン酸成分であって、
(a1)40~80モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸に由来する単位、
(a2)20~60モル%の、少なくとも2種の飽和脂肪族C4~C24ジカルボン酸に由来する単位
を含むジカルボン酸成分、
(b)脂肪族ジオール成分
を含む脂肪族-芳香族ポリエステルであって、混合残留環状オリゴマーの含有量が1.0%~4.0%であり、前記混合残留環状オリゴマーは、1000未満のMMを有する少なくとも2種類の脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーと、1000未満のMMを有する1種類のみの脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーとの比が、0.30~1.40の間、より好ましくは0.40~1.20の間、さらに好ましくは0.45と0.80の間であることを特徴とし、更に、成分a2)が2種を超える飽和脂肪族ジカルボン酸から構成される場合、成分a2)中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸は、他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して45モル%と95モル%の間であることをさらに特徴とする脂肪族-芳香族ポリエステルを含む。
【0008】
本発明における用語「優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸」は、当該用語が酸の比が等モルでない場合に適用され、したがって、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸の各々の割合よりも大きいモル率で存在する飽和脂肪族ジカルボン酸を指すことを意味する。
本発明の好ましい態様において、混合残留環状オリゴマーの含有量は2%~3.5%である。
【0009】
本発明による方法によって製造される脂肪族-芳香族ポリエステルに関して、これらは、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノエンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、分子量100~4000のグリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の脂肪族ジオールに由来するジオール成分(成分b)を含む。
好ましくは、ジオール成分は、少なくとも50モル%の、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選択される1又は2以上のジオールを含む。
より好ましくは、ジオール成分は、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール若しくはそれらの混合物を含むか、又は1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、又はそれらの混合物からなる。
更により好ましくは、ジオール成分は、1,4-ブタンジオールを含むか、又は1,4-ブタンジオールからなる。
【0010】
本発明による方法により製造されるポリエステルのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸成分全体に対して40~80モル%、好ましくは40~75モル%、より好ましくは42~60モル%、さらに好ましくは45~49.5モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸に由来する単位(成分a1)、及びジカルボン酸成分全体に対して20~60モル%、好ましくは25~60モル%、より好ましくは40~58モル%、さらに好ましくは50.5~55モル%の、少なくとも2種の飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する単位(成分a2)を含む。ジカルボン酸成分はさらに、成分a2)中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、他の全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して95モル%未満であり、成分a2)が2種を超える飽和脂肪族ジカルボン酸で構成されている場合には、全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対してモル数で45モル%を超えることを特徴とする。
【0011】
芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、それらのエステル、塩および混合物から有利に選択される。
好ましい実施形態において、前記芳香族ジカルボン酸は、
-1~99モル%、好ましくは5~95モル%、より好ましくは10~80モル%のテレフタル酸、そのエステル又は塩;
-99~1モル%、好ましくは95~5モル%、より好ましくは90~20%の2,5-フランジカルボン酸、そのエステル又は塩
を含む。
本発明の特に好ましい実施形態において、芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸、そのエステルおよび塩である。
脂肪族ジカルボン酸は、有利には、飽和C4-C24、好ましくはC5-C24、より好ましくはC5-C13、より好ましくはC5-C11ジカルボン酸、それらのC1-C2、より好ましくはC1-C4アルキルエステル、それらの塩、およびそれらの混合物から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、脂肪族ジカルボン酸は、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、およびそれらのC1-24アルキルエステルから選択される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸は、成分a2)が2種を超える飽和脂肪族ジカルボン酸を含む場合、全ての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して少なくとも45モル%、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である。このような優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、それらのC1-C24、好ましくはC1-C4エステル、塩およびそれらの混合物から選択される。
本発明の特に好ましい形態では、脂肪族ジカルボン酸の1つはアゼライン酸である。
【0013】
本発明による方法の好ましい実施態様において、製造される脂肪族-芳香族ポリエステルは、有利には以下から選択される:
(A)フタル酸型芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオール(AAPE-A)に由来する繰り返し単位を含むポリエステルであって、ジカルボン酸成分の全モル数に対して42~60モル%の間、好ましくは45~49.5モル%の間の芳香族単位含有量を特徴とするポリエステル。
AAPE-Aポリエステルは、好ましくは、以下:ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンテレフタレート)から選択される。
【0014】
(B)芳香族複素環式ジカルボン酸化合物、好ましくは2,5-フランジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとに由来する繰り返し単位を含むポリエステル(AAPE-B)であって、ジカルボン酸成分の全モル数に対して、40モル%と80モル%との間、好ましくは40モル%と75モル%との間の芳香族単位の含有量によって特徴づけられるポリエステル。
AAPE-Bポリエステルは、好ましくは、以下から選択される:ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンブラシレート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンサクシネート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼレート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンセバケート-co-1,4-ブチレンブラシレート-co-2,5-フランジカルボキシレート)。
【0015】
本発明による方法によって製造されるポリエステルは、1.0%と4.0%との間の混合残留環状オリゴマーの含有量によって特徴付けられ、ここで、前記オリゴマーは、0.30と1.40との間、より好ましくは0.40と1.20との間、さらに好ましくは0.45と0.80との間の、1000未満のMMを有する少なくとも2種類の脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーと1000未満のMMを有する1種類のみの脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーとの間の比であることを特徴とし、さらに、成分a2)中の優勢な飽和脂肪族ジカルボン酸が、他のすべての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して95モル%未満であり、成分a2)が2を超える飽和脂肪族ジカルボン酸から構成される場合には、他のすべての飽和脂肪族ジカルボン酸の合計に対して45モル%を超えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様において、1種類のみの脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーは、(ADA-BDO)2、(AZA-BDO)2、(SEBA-BDO)2、(BRA-BDO)2、(ADA-BDO)3、(AZA-BDO)3、(SEBA-BDO)3、(BRA-BDO)3、(ADA-BDO)4、(AZA-BDO)4である。
【0016】
本発明の好ましい態様において、少なくとも2種類の脂肪族ジカルボン酸単位を含む環状オリゴマーは、(ADA-BDO-SUC-BDO)、(SEBA-BDO-SUC-BDO)、(BRA-BDO-SUC-BDO)、(ADA-BDO-AZA-BDO)、(ADA-BDO-SEBA-BDO)、(ADA-BDO-BRA-BDO)、(AZA-BDO-SEBA-BDO)、(AZA-BDO-BRA-BDO)、(SEBA-BDO-BRA-BDO)、(SUC-BDO)2-(SEBA-BDO)、(SUC-BDO)-(SEBA-BDO)2、(SUC-BDO)-(ADA-BDO)2、(SUC-BDO)2-(ADA-BDO)、(SUC-BDO)-(BRA-BDO)2、(SUC-BDO)2-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)2、(AZA-BDO)2-(SEBA-BDO)、(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)2、(AZA-BDO)2-(BRA-BDO)、(AZA-BDO)-(BRA-BDO)2、(SEBA-BDO)2-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(BRA-BDO)2、(SUC-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(SUC-BDO)-(PTA-BDO)-(BRA-BDO)、(SUC-BDO)-(PTA-BDO)-(ADA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(PTA-BDO)-(BRA-BDO)、(SEBA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(AZ-BDO)、(BRA-BDO)-(PTA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(ADA-BDO)-(AZA-BDO)-(BRA-BDO)、(ADA-BDO)-(BRA-BDO)-(SEBA-BDO)、(BRA-BDO)-(AZA-BDO)-(SEBA-BDO)、(SUC-BDO)2-(ADA-BDO)2、(SUC-BDO)2-(BRA-BDO)2、(SUC-BDO)2-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(AZA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(SEBA-BDO)2、(ADA-BDO)2-(BRA-BDO)2である。ここで、ADAはアジピン酸とジオール成分のエステルに相当し、AZAはアゼライン酸とジオール成分のエステルに相当し、SEBAはセバシン酸とジオール成分のエステルに相当し、BRAはブラシル酸とジオール成分のエステルに相当し、SUCはコハク酸とジオール成分のエステルに相当し、PTAはテレフタル酸のエステルに相当し、BDOはジオール成分1,4-ブタンジオールである。例えば、環状オリゴマー(ADA-BDO-AZA-BDO)は、1つのブチレンアジペート単位と1つのブチレンアゼレート単位からなる。
【0017】
ジカルボン酸成分およびジオール成分に加えて、本発明による方法によって製造される脂肪族-芳香族ポリエステルは、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシ酸または対応するラクトンに由来する繰り返し単位を、ジカルボン酸成分の全モル数に対して0~49モル%、好ましくは0~30モル%の量で含む。
好都合なヒドロキシ酸の例は、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ吉草酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシヘプタン酸、9ヒドロキシノナン酸、乳酸又はラクチドである。
ヒドロキシ酸はそのまま鎖中に挿入してもよいし、又はあらかじめ二酸若しくはジオールと反応させておいてもよい。
本発明による方法において、ヒドロキシ酸は有利にはエステル化工程中に添加される。
非末端官能基を含む2つの官能基を有する長い分子も、ジカルボン酸成分の総モル数に対して10モル%を超えない量で存在し得る。
例は、ダイマー酸、リシノール酸、エポキシ官能基が組み込まれた酸、及び分子量200~10000の間のポリオキシエチレンである。
本発明による方法では、2つの官能基を有するこれらの長い分子は、有利にはエステル化工程中に添加される。
【0018】
ジアミン、アミノ酸及びアミノアルコールもまた、ジカルボン酸成分の総モル数に対して30モル%までの割合で存在し得る。
本発明による方法では、このようなジアミン、アミノ酸およびアミノアルコールは、有利にはエステル化工程中に添加される。
本発明によるポリエステルの製造方法のエステル化工程の間に、3つ以上の反応性官能基を有することを特徴とする1つ以上の分子を、ジカルボン酸成分(および任意のヒドロキシ酸)の総モル数に対して0.02~3モル%の量で添加して、分岐生成物を得てもよい。
これら分子の例は、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、クエン酸、ジペンタエリスリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノアンヒドロマンニトール、酸トリグリセリド又はポリグリセロールである。
【0019】
本発明による方法によって得られるポリエステルの分子量Mnは、好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上、さらに好ましくは50000以上である。
分子量の多分散指数Mw/Mnを考慮する場合、これは、好ましくは1.5~10、より好ましくは1.6~5、さらに好ましくは1.8~2.5である。
分子量Mn及びMwはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定してもよい。
測定は、40℃に保持したクロマトグラフィーシステムで、直列の2つのカラムのセット(粒径5μm及び3μmの混合ポロシティ)、屈折率検出器、溶離液としてクロロホルム(フロー0.5ml/分)及び参照標準としてポリスチレンを用いて行うことができる。
【0020】
特許出願WO2016/050963に記載の方法において、少なくとも1種のチタン含有化合物と少なくとも1種のジルコニウム含有化合物との混合物を含む触媒であって、重縮合工程における重量比Ti/(Ti+Zr)が0.01以上0.70以下、好ましくは0.02以上0.60以下である触媒の使用により、重縮合蒸留物の抽出後に、より少量の残留環状オリゴマーを取得し得る。
特に、これら環状オリゴマーの含有量は、重縮合蒸留物から分離した後、重量測定される。
本発明においては、代わりに、チタンとリンとの比が2と20との間、好ましくは3と15との間である少なくとも1種のチタン含有化合物との混合物でリン含有化合物を使用することにより、形成されたポリエステル内に残存する混合残留環状オリゴマーの量を制御することが可能であり、ここで、1000未満のMMを有する少なくとも2種類のジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーと、1000未満のMMを有する1種類のみのジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーとの比は、0.30と1.40との間である。
抽出された残留混合環状オリゴマーは重量測定される。
【0021】
正確に秤量した約30gのポリマー試料を150mlのアセトニトリルで40℃にて96時間かけて抽出した。液相をろ過で回収し、フィルター上の顆粒を25mlのアセトニトリルで洗浄した。2つの液体アリコートを250mlメスフラスコで合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで45℃で一定重量になるまで蒸発させた。
残留混合環状オリゴマーの組成は、オリゴマーを1mlのTHFに溶解し、アセトニトリルで約1000ppmの濃度に希釈して分析した。100μlのアセトニトリル/THF溶液を800μlのメタノールと100μlの0.1%N酢酸アンモニウム水溶液で希釈した。
分析は、ESI+モードのThermo LCQ Fleet質量分析計と接続したThermo Accela 1250 HPLC装置を用いてHPLC-MSにより行った。
Phenomenex Luna Omega C18 PS 100×2.1mm 1.6μmカラムを使用し、表1のプロファイルに従って溶出して種を分離した。
【0022】
【表1】
【0023】
オリゴマーは、プロトン化付加物とアンモニア付加物の分子量(MM)に基づいて認識した。残留混合環状オリゴマーの割合は、ベースピークモードでクロマトグラムを加工処理し、分子量に基づいて環状オリゴマーとして認識された種を積分することによって決定した。少なくとも2種の、1000未満のMMを有する脂肪族酸を含むオリゴマーに割り当てられたピークの合計面積と、1種のみの、1000未満のMMを有する脂肪族ジカルボン酸ユニットを含む環状オリゴマーに割り当てられたピークの合計面積との比は、混合環状オリゴマーの割合を表す。
芳香族脂肪族ポリエステルの末端酸基含有量は、好ましくは100meq/kg以下、より好ましくは60meq/kg以下、さらに好ましくは40meq/kg以下である。
【0024】
末端酸基含有量は、次のように測定できる:1.5~3gのポリエステルを100mlフラスコに60mlのクロロホルムとともに入れる。
ポリエステルを完全に溶解した後、25mlの2-プロパノールを加え、分析直前に1mlの脱イオン水を加える。
得られた溶液を、あらかじめエタノールで標準化したKOH溶液に対して滴定する。
適切なインジケーター(例えば非水性溶媒中の酸-塩基滴定用ガラス電極)を用いて滴定終点を決定する。
末端酸基の含有量を、エタノール中KOH溶液の消費量から、次式に従って算出する:
【数1】
(式中:Veq=試料の滴定終点におけるエタノール中KOH溶液のml;Vb=ブランク滴定でpHを9.5の達成に必要なエタノール中KOH溶液のml;T=エタノール中KOH溶液の濃度(mol/リットル)、P=試料の重量(グラム))。
【0025】
プラスチック材料の代表的な用途(例えば、気泡フィルム形成、射出成形、発泡製品など)に使用する場合、本発明による方法によって得られるポリエステルのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは500~1g/10分の間、より好ましくは100~2g/10分の間、さらに好ましくは80~3g/10分の間である。有利には、25~3.5g/10分の間のMFR(ISO 1133-1による190℃/2.16kgでの測定)を用いてもよい。
好ましくは、本発明による方法によって得られる脂肪族-芳香族ポリエステルは、0.4以上、好ましくは0.4~2の間、より好ましくは0.7~1.5dl/gの間の固有粘度(25℃で0.2g/dlの濃度のCHCl3中の溶液についてUbbelohde粘度計を用いて測定)を有する。
好ましくは、本発明による方法によって得られるポリエステルは生分解性である。
本発明の意味において、生分解性ポリマーとは、ISO 14855-1(2013)に従って、180日後に、微結晶セルロースと比較して、90%以上の相対生分解性を有する生分解性ポリマーを意味するものと理解される。
【0026】
本発明による方法で得られるポリエステルは、生分解性であるか否かを問わず、合成または天然起源の1種以上のポリマーとのブレンドで使用してもよく、反応性押出プロセスによっても得ることができる。
特に、本発明による方法によって得られるポリエステルは、ヒドロキシ酸またはポリエステル-エーテル型の生分解性ポリエステルとの混合物で使用してもよい。
これら生分解性ヒドロキシ酸ポリエステルのうち、好ましいものは、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸およびステレオコンプレックスポリ-DL-乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバレレート、ポリヒドロキシブチレートプロパノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレート-デカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ドデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-オクタデカノエート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-4-ヒドロキシブチレートである。
好ましくは、本発明による方法によって得られるポリエステルと上述の生分解性ヒドロキシ酸ポリエステルとの混合物は、本発明による方法によって得られるポリエステルの重量の合計に対して1~99重量%、好ましくは5~95重量%の範囲の前記生分解性ポリエステルの含有量によって特徴付けられる。
【0027】
本発明による方法によって得られるポリエステルはまた、例えば、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、アルギネート、タンパク質、例えばグルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ガム、ロジン酸およびその誘導体、リグニン自体、または精製、加水分解、塩基性化などされたリグニンまたはそれらの誘導体などの天然起源のポリマーとの混合物で使用してもよい。
デンプン及びセルロースは改変されていてもよく、そのようなものとしては、置換度0.2~2.5を有するデンプン又はセルロースのエステル、ヒドロキシプロピル化デンプン、脂肪鎖で修飾したデンプン、及びセロファンが挙げられる。
ポリエステルとデンプンとの混合物が特に好ましい。
デンプンは、非構造化およびゲル化形態の両方で、または充填剤として使用し得る。
非構造化デンプンとは、特許EP 0 118 240およびEP 0 327 505に記載されているデンプン、特に偏光光学顕微鏡下でいわゆる「マルタ十字」を示さず、位相差光学顕微鏡下でいわゆる「ゴースト」を示さないように加工されたデンプンを意味する。
【0028】
デンプンは連続相でも分散相でもよく、共連続相でもよい。
デンプン粒子の寸法は、押出時の流れ方向に対する横断面、またはいずれにしても材料が製造される方向に対する横断面で測定される。
デンプンの粒子径は、横断面から得られる二次元形状から測定される。平均デンプン粒子径は、粒子径の算術平均として計算される。
粒子が円形断面を有する場合、粒子径は当該円の直径に相当する。
楕円の断面又は楕円に類似するその他の形状の断面を有する場合、粒径(d)は次式で計算される:
【数2】
(式中、d1は、粒子に近似する楕円の短軸であり、d2は当該楕円の長軸である。)
デンプン粒子は、上記のように測定した算術平均直径が1ミクロン未満、より好ましくは0.5μm未満であることにより特徴づけられる。
【0029】
好ましくは、上記の天然起源のポリマーとの本発明による方法によって得られるポリエステル混合物は、本発明による方法によって得られるポリエステルの重量の合計に関して、1~99重量%、より好ましくは5~95重量%、さらに好ましくは10~40重量%の範囲の前記天然起源のポリマーの含有量によって特徴付けられる。
本発明による方法で得られるポリエステルは、ポリオレフィン、芳香族ポリエステル、ポリエステルおよびポリエーテル-ウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリエーテル、ポリウレア、ポリカーボネートおよびそれらの混合物との混合物でも使用することができる。
【0030】
ビニルポリマーのうち、好ましいものは、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート及びポリエチレンビニルアルコールである
芳香族ポリエステルの中で好ましいのは、PET、PBT、PTT、特に再生可能物質含有率が30%を超えるもの、およびフランジカルボキシル化ポリアルキレンである。
後者の中で好ましいのは、ポリ(1,2-エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,3-プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(1,4-ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)およびそれらの混合物である。
【0031】
ポリアミドの例としては、ポリアミド6および6.6、ポリアミド9および9.9、ポリアミド10および10.10、ポリアミド11および11.11、ポリアミド12および12.12、ならびにこれらの6/9、6/10、6/11、6/12タイプの組合せが挙げられる。
ポリカーボネートは、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、それらの混合物および共重合体であってもよい。
ポリエーテルは、分子量70,000~500,000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、それらのコポリマー及び混合物であってもよい。
【0032】
好ましくは、上記のポリマー(ポリオレフィン、芳香族ポリエステル、ポリエステルおよびポリエーテルウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリエーテル、ポリウレア、ポリカーボネートおよびそれらの混合物)を用いて本発明による方法によって得られるポリエステルブレンドは、本発明による方法によって得られるポリエステルの重量の合計に関して、0.5~99重量%、より好ましくは5~50重量%の範囲で変化する前記ポリマーの含有量によって特徴付けられる。
【0033】
本発明による方法によって得られるポリエステルは、フィルム、繊維、不織布、箔、及び成形品、熱成形品、ブロー成形品、発泡成形品、積層成形品などの製品(押出コーティング技術を用いて製造されたものを含む)の製造のための多くの実用的な用途において、単独または他のポリマーとのブレンドでの使用に極めて適する。
本発明による製法で得られるポリエステルを含む製品の例は、下記のものである:
-フィルム(一軸延伸フィルムおよび二軸延伸フィルム)ならびに他のポリマー材料との多層フィルム;
-農業分野でマルチフィルムとして使用するフィルム;
-食品用薄膜フィルム、農業用梱包材、廃棄物包装材を含むストレッチフィルム;
-食品廃棄物及び刈り取った草の回収などの有機物回収用のバッグ及びライナー;
-牛乳、ヨーグルト、肉、飲料などの容器など、単層および多層の熱成形食品包装;
-押し出しコーティング技術を使用して得られるコーティング;
-厚紙、プラスチック、アルミニウム、金属化フィルムの層を有する多層ラミネート;
-特殊な焼結形式の製造用の発泡または発泡性ビーズ;
-予備発泡粒子から形成された発泡ブロックを含む発泡および半発泡製品;
-食品包装用の発泡フォーム、熱成形発泡シート、およびそれらから作られた容器;
-果物及び野菜用の容器全般;
-ゼラチン化、非構造化および/または複合デンプン、天然デンプン、小麦粉、天然、植物または無機起源の他の充填剤を充填剤として含む組成物;
-健康、衛生、農業、衣料分野のための、繊維、マイクロファイバー、PLA、PET、PTTなどの硬質ポリマーからなるコアと本発明による材料の外殻とを有する複合繊維、ダブレン複合繊維、円形から多葉繊維まで様々な断面を有する繊維、フロック加工、織布、不織布、またはスパンボンド若しくは熱接着織物。
【0034】
これらは、可塑化PVCの代用品として使用され得る。
特に好ましい態様では、本発明によるポリエステルはフィルムの製造に使用される。
バブルフィルム技術による本発明による脂肪族-芳香族ポリエステル顆粒の加工処理は、驚くべきことに、プロセス自体の高い安定性(管幅の安定性、バブルの周囲に沿った厚さの均一性、ローラーにおけるフィルムの付着現象がないこと)により、プロセス流量を最適化することが可能である。
本発明による方法は、エステル化またはトランスエステル化工程および重縮合工程を含み、前記重縮合工程が、少なくとも1種のチタニウム含有化合物および場合により少なくとも1種のジルコニウム含有化合物を含む触媒の存在下で実施されることを特徴とする。ジルコニウム化合物が存在する場合、Ti/(Ti+Zr)の重量比は0.01以上0.7以下、好ましくは0.02以上0.60以下である。
【0035】
さらに、この触媒は、有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン化合物との混合物として使用される。
有利には、リン含有化合物は、一般式(1)または(2)の化合物から選択される:
【化2】
(式中、R1、R2およびR3は、H、C1-C20アルキルもしくはシクロアルキル、C6-C20アリール、アルキルアリール、またはポリアルキレンオキシドもしくはポリアルキルアルキレンオキシド鎖のいずれかから選択されてもよい。
【0036】
特に好ましい態様では、リン含有化合物はリン酸トリオクチルである。
本発明による方法の好ましい実施形態では、触媒は、少なくとも1種のチタン含有化合物との混合物を含み、チタンとリンの重量比は2~20の間、好ましくは3~15の間である。
エステル化/トランスエステル化工程では、好ましくは、脂肪族ジオールとジカルボン酸、そのエステルおよび塩との間のモル比が1~2.5、好ましくは1.05~1.9の間で供給される。
ポリエステルを構成するジカルボン酸、そのエステルまたは塩、脂肪族ジオールおよびその他のコモノマーは、別々にこの段階に供給して反応器中で混合してもよいし、あるいは反応器に送る前に、好ましくはT<70℃で予備混合してもよい。
【0037】
また、いくつかの成分をあらかじめ混合し、その後、例えばエステル化/トランスエステル化反応中にその組成を変更することも可能である。
ジカルボン酸成分が、脂肪族または芳香族を問わず、複数のジカルボン酸に由来する繰り返し単位を含むポリエステルの場合、これらの一部を脂肪族ジオールと、好ましくはT<70℃で予備混合し、残りのジカルボン酸、ジオールおよびその他のコモノマーをエステル化/トランスエステル化反応器に添加することも可能である。
本発明による方法のエステル化/トランスエステル化工程は、有利には、200~250℃の温度および0.7~1.5バールの圧力で、好ましくはエステル化/トランスエステル化触媒の存在下で実施される。
エステル化/トランスエステル化触媒は、有利には重縮合工程の触媒の成分としても使用することができるが、エステル化/トランスエステル化反応器に直接供給してもよく、または反応混合物中での分散を促進し、より均一にするために、先ずジカルボン酸、それらのエステルまたは塩、および/または脂肪族ジオールの1種または2種以上のアリコートに溶解してもよい。
【0038】
好ましい実施形態において、エステル化/トランスエステル化触媒は、有機金属スズ化合物、例えばスズ酸誘導体、チタン化合物、例えばテトラブチルオルトチタネートまたはテトラ(イソプロピル)オルトチタネートのようなチタネート、ジルコニウム化合物、例えばテトラブチルオルトチタネートやテトラ(イソプロピル)オルトチタネートなどのジルコネート類、アンチモン化合物、アルミニウム、例えばAl-トリイソプロピル、亜鉛化合物およびそれらの混合物から選択される。
上記のタイプの有機金属エステル化/トランスエステル化触媒に関して、本発明による方法のエステル化/トランスエステル化工程の間、それらは、反応器に供給される全てのジカルボン酸を変換することによって理論的に得ることができるポリエステルの量に対して、好ましくは12~120ppmの間の金属の濃度で存在する。
好ましい実施形態では、エステル化/トランスエステル化工程の触媒は、チタネート、より好ましくはジイソプロピル、トリエタノールアミノチタネートであり、好ましくは、反応器に供給されたジカルボン酸のすべてを変換することによって理論的に得られるポリエステルの量に対して、12~120ppmの金属濃度で使用される。
【0039】
好ましくは、本発明による方法におけるエステル化/トランスエステル化工程の反応時間は4~8時間である。
エステル化/トランスエステル化工程の終時に、Mn<5000、固有粘度0.05~0.15dl/g、及び酸価<150meq/kgのオリゴマー生成物が得られる。
本発明による方法の好ましい実施形態では、触媒は、エステル化/トランスエステル化工程の終時に、オリゴマー生成物と共に重縮合工程に供給される。
本発明による方法における重縮合工程は、チタン、場合によってはジルコニウムまたはそれらの混合物、および有機ホスフェートまたはホスファイトのファミリーに属するリン含有化合物を含む触媒の存在下で行われ、チタンの総量は、反応器に供給される全てのジカルボン酸を触媒で変換することによって理論的に得られ得るポリエステルの量に対して、80~500ppmである。チタン 対 リンの比は2~20の間、好ましくは3~15の間であるべきである。存在する場合、ジルコニウムの総量は、Ti/(Ti+Zr)比が0.01~0.70の範囲に保たれる量でなければならない。
【0040】
好ましい実施形態において、チタン含有重縮合触媒は、一般式Ti(OR)4を有する化合物から有利に選択されるチタネートであり、式中、Rは、炭素、酸素、リンおよび/または水素の1つ以上の原子を含む配位子である。
いくつかの配位子基Rが同じチタン原子上に存在してもよいが、これらの基は、チタネート製造を容易にするため、同一であることが好ましい。
さらに、2つ以上のR配位子は、単一の化合物から誘導されてもよく、チタンによって結合されていることに加えて、一緒に化学的に結合されていてもよい(トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、エタンジアミンなどのいわゆる多座配位子)。
Rは、有利には、H、トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、3-オキソブタン酸、エタンジアミン、および直鎖状または分枝状のC1-C12アルキル残基、例えばエチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、ヘキシル、エチルヘキシルから選択される。好ましい実施形態では、RはC1-C12アルキル残基、好ましくはC1-C8、より好ましくはn-ブチルから選択される。
【0041】
チタネートの調製は文献でよく知られている。代表的には、四塩化チタンと式ROHの前駆体アルコールをアンモニアのような塩基の存在下で反応させるか、他のチタネートからのトランスエステル化によって調製される。
本発明による方法で使用可能なチタネートの市販品の例としては、Tyzor(登録商標) TPT(テトライソプロピルチタネート)、Tyzor(登録商標) TnBT(テトラn-ブチルチタネート)及びTyzor(登録商標) TE(ジイソプロピルトリエタノールアミノチタネート)が挙げられる。
ジルコニウムを含む重縮合触媒は、をチタンを含む重縮合触媒と組み合わせて使用される場合、一般式Zr(OR)4を有する化合物から有利に選択されるジルコネートであり、式中、Rは炭素、酸素、リンおよび/または水素の1以上の原子を含む配位子基である。
チタネートの場合と同様に、ジルコネートの製造を有利にするために、同じジルコニウム原子上に、幾つかの異なる(好ましくは同一の)配位子基Rが存在してもよい。
【0042】
これに加えて、2つ以上のR配位子は単一の化合物から誘導されてもよいし、ジルコニウムに結合していることに加えて、一緒になって化学的に結合していてもよい(トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、エタンジアミンなどのいわゆる多座配位子)。Rは、有利には、H、トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、3-オキソブタン酸、エタンジアミン、および直鎖状または分枝状C1-C12アルキル残基、例えばエチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、ヘキシル、又はエチルヘキシルから選択される。好ましい実施形態では、RはC1-C12アルキル残基、好ましくはC1-C8、より好ましくはn-ブチルから選択される。
ジルコネートの調製法は文献で知られており、チタネートについて上記で説明したものと同様である。
本発明による方法で使用できるジルコネートの市販品の例としては、Tyzor(登録商標) NBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tyzor NPZ(テトラn-プロピルジルコネート)、IG-NBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tytan TNBZ(テトラn-ブチルジルコネート)、Tytan TNPZ(テトラn-プロピルジルコネート)が挙げられる。
【0043】
重縮合触媒及びリン含有化合物は、種々の成分を別々に反応器に供給して重縮合工程に供給される。
また、いくつかの成分をあらかじめ混合し、その後、例えば触媒をオリゴマー生成物と接触させる際に、触媒の組成を調整することも可能である。
本発明による方法のエステル化/トランスエステル化工程において、チタンおよび/またはジルコニウム化合物を含む触媒が使用される場合、本発明による方法の好ましい実施態様において、この触媒はオリゴマー生成物から分離されず、該オリゴマー生成物と共に重縮合工程に供給され、有利には重縮合触媒として、または重縮合触媒の成分として使用され、適切な量のチタンおよびジルコニウム化合物を前記重縮合工程に添加することによって、チタンとジルコニウムとの間のモル比を調節することができる。
重縮合工程の触媒は、エステル化/トランスエステル化工程の触媒と同じでもよい。
【0044】
重縮合工程は、有利には、オリゴマー生成物を重縮合反応器に供給し、触媒の存在下、温度220~260℃、圧力0.5mbar~350mbarで反応させることにより実施される。
好ましくは、本発明による方法における重縮合工程の反応時間は4~8時間である。
ポリエステルの特定の分子量特性および所望の粘度に応じて、本発明による方法は、重縮合工程の後に、過酸化物、ジビニルエーテル、ビスオキサゾリン、ポリエポキシド、ジ-およびポリイソシアネート、カルボジイミドまたは二無水物を使用することにより、他のポリマーを含む鎖延長、反応性加工処理または反応性押出しの1つ以上の工程を提供し得る。
本発明を、いくつかの実施形態を用いて説明するが、これら実施形態は、例示であり、本特許出願の保護範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【実施例
【0045】
実施例
例1(比較)-リン含有化合物を添加せず、脂肪族カルボン酸の合計に対するアゼライン酸のモル比0.15のポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBATAz]の製造
【0046】
エステル化工程
1.50のジオールとジカルボン酸とのモル比(MGR)で、テレフタル酸8068g、アジピン酸6802g、アゼライン酸1546g、1,4-ブタンジオール13961g、グリセロール4.76g、および5.50gのジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80%w/wエタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給した全てのアジピン酸、全てのアゼライン酸及び全てのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBATAzの量に対して21ppmに相当)を、機械的撹拌システム、窒素導入口、蒸留塔、高沸点蒸留物ノックダウンシステム、高真空システムへの接続を備えた、幾何学的容量60リットルのスチール製反応器に供給した。
塊の温度は、120分かけて230℃まで徐々に上昇させた。
【0047】
重縮合相
理論上の水の95%が留去された時点で、20.20gのテトラn-ブチルチタネート(反応器に供給された全てのアジピン酸、全てのアゼライン酸及び全てのテレフタル酸を変換することにより理論上得られるPBATAzの量に関して129ppmの金属に相当)を加えた。その後、反応器温度を242℃に上げ、60分かけて1.2mbar以下まで徐々に減圧した。反応は約4.30時間進行させ、この時間はMFRが4.3g/10分(190℃、2.16kg)のPBATAzを得るために必要な時間であり、その後、材料はストリングの形で水浴に排出され、造粒された。
【0048】
例2-アゼライン酸と脂肪族カルボン酸の合計とのモル比が0.15であり、Ti/P重量比が10のリン含有化合物を添加したポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBATAz]の製造。
重縮合工程に4.63gのトリオクチルホスフェート(反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのアゼライン酸、全てのアゼライン酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBATAzの量に対して15ppmのリンに相当し、したがってTi/P重量比は10に相当する)を添加して、例1を繰り返した。
【0049】
例3-アゼライン酸と脂肪族カルボン酸の合計とのモル比が0.4であり、Ti/P重量比が10のリン含有化合物を添加したポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBATAz]の製造。
エステル化工程で、脂肪族ジカルボン酸全体に対するアゼライン酸のモル比を0.15の代わりに0.4としてモノマーを供給することにより、例2を繰り返した。テレフタル酸7863g、アジピン酸4679g、アゼライン酸4017g、1,4-ブタンジオール13605g、グリセロール4.64g、および5.50gのジイソプロピルトリエタノールアミノチタネートの80%w/wエタノール溶液(Tyzor TE、反応器に供給されたすべてのアジピン酸、すべてのアゼライン酸およびすべてのテレフタル酸を変換することによって理論的に得られるPBATAzの量に対して21ppmの金属に相当)を添加した。
【0050】
例4(比較)-脂肪族カルボン酸の合計に対するアゼライン酸のモル比が0.4であり、Ti/P重量比が10のリン含有化合物を添加したポリ(1,4-ブチレンアジペート-co-1,4-ブチレンアゼライン酸-co-1,4-ブチレンテレフタレート)[PBATAz]の製造。
例3を繰り返し、本発明の範囲外の温度および圧力条件下で重縮合相を実施した。反応器温度を242℃に上げ、60分かけて圧力を1.2mbar未満まで徐々に下げる代わりに、反応器温度を267℃に上げ、60分かけて圧力を3mbar未満まで徐々に下げた。
例1~4によるポリエステルのサンプルを、反応器アンローディング段階(反応器から生成物を取り出す段階)の始時(IS)および反応器アンローディング段階の終時(FS)に採取し、それらのMFR、末端酸基含有量(CEG)、混合残留環状オリゴマー含量、および1000未満のMMを有する少なくとも2種類のジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーと1000未満のMMを有する1種類のみのジカルボン脂肪族単位を含む環状オリゴマーとの間の比を、本願に記載される方法に従って測定した。表1に示す値は、測定値の平均値である。
【0051】
【表2】
【0052】
例1(比較)と例2の顆粒を、スクリュー直径40mm、L/D30のGhioldiモデルブローフィルム機に供給した。フィルム形成ヘッドは、エアギャップ0.9mm、L/D12であることを特徴とした。厚さ20ミクロン(10+10)のフィルムを得る目的で、フィルム形成温度を145℃、ブロー比(BUR)を3.2に設定した。ブロー比(BUR)は、気泡径とダイ径の比として規定される。
例1(比較)の顆粒の加工処理では、安定したプロセス(管幅の安定性、気泡の周囲に沿った厚さの均一性、ローラーにおけるフィルムの付着現象がないこと)により、20ミクロンの膜厚を得ることができる最大流量は15m/分であった;一方、例2の顆粒の加工処理では19m/分で運転することが可能であった。
【国際調査報告】