(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】付着防止機能を備えたシリンジ用ストッパー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61M5/315 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534042
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022051954
(87)【国際公開番号】W WO2023107447
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ フレモン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ヴァクセレイア
(72)【発明者】
【氏名】ガエル プージェ
(72)【発明者】
【氏名】ネスター ロドリゲス サン ファン
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド ダブリュ.プライス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066DD08
4C066EE14
4C066HH14
(57)【要約】
シリンジのためのストッパーであって、前記シリンジのプランジャに取り付けられるように適合された尾部と、頭部と、を有する本体を備え、前記頭部は凸状の外面を有し、前記外面は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー10、100、200、300の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながら湾曲し、前記外面の外周を備え、前記ストッパーが前記ストッパーの前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面の前記外周よりも高い。前記ストッパーは、任意選択的に、前記頭部の前記外面から延在する複数の突起を含み得る。またそのようなストッパーを含むシリンジに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ(12)のためのストッパー(10,100,200,300)であって、
前記シリンジ(12)のプランジャロッド(28)に取り付けられるように適合された尾部(40)と、前記尾部(40)の反対側の頭部(42)と、前記尾部(40)の間を延在する外側側壁(52)と、前記尾部(40)と前記頭部(42)との間を延在する外側側壁(52)とを有する本体を備え、
前記頭部は付着防止特徴を備え、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(10,100,200,300)の前記頭部(42)の凸状外面(44)を備え、前記ストッパー(10,100,200,300)の前記頭部(42)の前記外面(44)は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー10、100、200、300の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながらかつ、前記頭部(42)の前記外面(44)の外周(60)を通りながら湾曲し、前記頭部(42)の前記凸状外面(44)は、前記本体(38)の前記外側側壁(52)に移行し、
前記頭部(42)の前記外面(44)の頂点は、前記ストッパー(10、100、200、300)が前記ストッパー(10、100、200、300)の前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面(44)の前記外周(60)よりも高く、
前記ストッパー(10、100、200、300)の前記付着防止特徴は、前記ストッパー(10、100、200、300)の前記頭部(42)の接触領域を減少させる、
ことを特徴とするストッパー(10、100、200、300)。
【請求項2】
前記ストッパー(10、100、200、300)の前記頭部(42)の前記外面(44)の曲率半径(r)の、前記ストッパー(10、100、200、300)の前記頭部(42)の最大直径(D)に対する比(r/D)は、1~20である、請求項1に記載のストッパー(10、100、200、300)。
【請求項3】
前記シリンジ(12)内に含まれる薬物に接触する前記ストッパー(10、100、200、300)の前記頭部(42)の前記外面(44)の少なくとも一部に塗布されるコーティングをさらに含む、請求項1または2に記載のストッパー(10、100、200、300)。
【請求項4】
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)から外向きに延在する複数の突起(62)を含み、前記突起は、好ましくは実質的に三角形であり、より好ましくは、実質的に二等辺三角形であり、前記突起(62)の前記三角形の形状の頂点角に対応する頂点(64)と、前記突起(62)の前記三角形の形状の底面に対応する基部(66)と、前記頂点(64)と前記基部(66)との間に延在する2つの側面(68a、68b)とを有し、各前記突起(62)の前記頂点(64)は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の中心に隣接し、各前記突起(62)の前記基部(66)は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)に隣接し、前記突起(62)は、隣接する突起(62)の間に対応する実質的に三角形の空間(76)が提供されるように、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の円周の周りに均等に分布され、前記空間(76)によって占有される角距離θSは、前記突起(62)のうちの1つによって占有される角距離θPよりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載のストッパー(100)。
【請求項5】
前記突起(62)の前記基部(66)と前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)との間に空間(70)が設けられ、および/または前記突起(62)の前記頂点(64)によって画定される空間(74)が前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の中心に設けられる、請求項4に記載のストッパー(100)。
【請求項6】
前記突起(62)のうちの1つによって占有される前記角距離θPが40~80°であり、および/または1つの突起(62)および1つの空間(76)によって占有される角距離(θP+θS)は、60~130°である、請求項4または5に記載のストッパー(100)。
【請求項7】
各前記突起(62)の半径方向の長さ(l)が、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の外径(d)の70~90%である、請求項4~6のいずれか一項に記載のストッパー(100)。
【請求項8】
前記突起(62)の外面は、平坦または凹面または前記頂点(64)から前記基部(66)まで延在する曲率を有する凸面であり、および/または前記突起(62)の外面は、平坦または凹面または前記突起(62)の一方の側面(68a)から前記突起(62)の他方の側面(68b)に延在する曲率を有する凸面である、請求項4~7のいずれか一項に記載のストッパー(100)。
【請求項9】
前記頂点(64)から前記突起(62)の前記基部(66)に延在する曲率は、第1の曲率半径を有する前記突起(62)の前記頂点(64)のフィレット部分(78)、第2の曲率半径を有する前記突起(62)の前記基部(66)のフィレット部分(80)、および前記頂点(64)のフィレット部分(78)と前記基部(66)のフィレット部分(80)との間に延在する上面によって画定され、平坦であるか、または第3の曲率半径を有し、前記第1の曲率半径および前記第2の曲率半径は等しく、および/または前記第3の曲率半径は、前記第1の曲率半径および前記第2の曲率半径よりも大きく;および/または前記突起(62)の一方の側面(68a)から前記突起(62)の他方の側面(68b)に延在する曲率は、第1の曲率半径を有する前記突起(62)の一方の側面(68a)のフィレット部分(84)、第2の曲率半径を有する前記突起(62)の他方の側面(68b)のフィレット部分(86)、及び平面または第3の曲率半径を有する突起の側面のフィレット部分間に延在する上面(82)によって画定され、前記第1の曲率半径及び前記第2の曲率半径は等しく、及び/または前記第3の曲率半径は、前記第1の曲率半径及び前記第2の曲率半径よりも大きい、請求項8に記載のストッパー(100)。
【請求項10】
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(200,300)の前記頭部(42)の前記外面(44)から外向きに延在する複数の同心環状突起(88,88a)をさらに備える、請求項1~3に記載のストッパー(200,300)。
【請求項11】
前記環状突起(88,88a)の外面は、半径方向に凸状曲率を有し、隣接する環状突起(88,88a)の空間(90)は、半径方向に凹状曲率を有する、請求項10に記載のストッパー(200,300)。
【請求項12】
前記空間(90)の曲率半径は、前記環状突起(88,88a)の前記外面の曲率半径と同じまたはそれより大きく、好ましくは、前記環状突起(88、88a)の前記外面の曲率半径よりも大きい、請求項11に記載のストッパー(200,300)。
【請求項13】
空間(92)が、最外側の前記環状突起(88、88a)と前記ストッパー(200)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)との間に設けられる、請求項10~12のいずれか一項に記載のストッパー。
【請求項14】
前記環状突起(88a)は、不連続であり、前記環状突起(88a)が複数のセクション(98)を含むように、少なくとも1つの隙間(96)を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のストッパー。
【請求項15】
チャンバ(24)を画定するシリンジ本体(14)と、
前記チャンバ内に少なくとも部分的に受容されるプランジャロッド(28)と、
前記チャンバ(24)内に受容された前記プランジャロッド(28)の端部に取り付けられる、請求項1~15のいずれか一項に記載のストッパー(10,100,200,300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ用のストッパーを対象とし、ストッパーは、凸状の外面を有する頭部と、任意選択で、頭部の凸状の外面から延在する付着防止特徴とを有する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2021年12月6日に出願された欧州特許出願第21212447.3号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
シリンジ用の従来技術のストッパーでは、保管または組み立て中に、1つのストッパーのヘッドの外面が別のストッパーのヘッドの外面に固着する可能性がある。付着は、保管中または出荷中、ストッパーが空気を排出して積み重ねられ得るビニール袋に包装されているとき、またはストッパーがシリンジに組み立てられる前に振動ボウルに搬送されたときに発生する可能性がある。これらの問題は、ストッパーの処理を妨げる可能性がある。したがって、加工性を可能にし、スクラップを減らすために、ストッパーからストッパーへの粘着性の発生および接着強度を最小限に抑える必要がある。
【0004】
ストッパーの2つの表面間の、本明細書では見かけの接触域と称される、緊密な接触は、互いに接触しているストッパーの表面に外力が加えられるときに生じ得る。この力は包装されたストッパーに作用し得るものであり、ストッパーを含むバッグから空気を排出して包装密度を増加させるとき、およびストッパーのバッグが出荷のためにパレットに共に積み重ねられた段ボール箱に包装されるとき、外力が増大し得る。
【0005】
ストッパーは、典型的には、熱可塑性材料またはゴムから作られる。コーティングされていないストッパーの場合、外側シリコーン層のない、またはシリコーンの量が不十分な滑らかな表面を有する柔らかいストッパー材料は、ストッパーが密接に接触しているときにゴムからゴムに付着する傾向がある。
【0006】
ストッパー上にシリコーン層を設けることでゴムからゴムへの付着を減らすことができるが、ストッパーの頭部にシリコーンが存在すると、ストッパーの頭部が互いに付着することもある。コーティングされたストッパーの場合、シリコーン層および/または、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフィルムがストッパーの頭部に適用される場合、ストッパーの互いへの付着が毛細管橋によって生じると仮定される。シリコーンの量が多いほど、ストッパーのヘッドの外面が互いに固着する可能性が高くなる。
【0007】
ストッパーをシリンジに組み込むときのベントチューブアセンブリの処理には、ストッパーの劣化を避けるために、ストッパーの表面にシリコーンが必要である。したがって、ストッパーがベントチューブアセンブリ処理を使用して注射器に組み立てられるとき、シリコーン量を低下させることは、ストッパーの頭部の互いへの付着を減少させるための最適化された選択肢ではない。
【0008】
さらに、ストッパーのヘッドの外面が平坦であるとき、大きな接触面積は、ストッパー間の付着を容易にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの要因を念頭に置いて、組み立ておよび保管中のストッパー相互の付着を低減するために、凸状頭部及び任意選択的に付着防止特徴を有する本発明のストッパーが開発された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プランジャロッドおよびヘッドに取り付けられるように適合された尾部を有する本体を備えるシリンジ用ストッパーに関する。ストッパーのヘッドの外面は凸である。本明細書において、ストッパー頭部の凸状外面は、ストッパー頭部の外面が湾曲しており、この湾曲は、湾曲の頂点が、ストッパーの長手方向軸に直交し、外面の外周を含む平面から離れるように延在するものである。すなわち、頭部の外面の頂点と上記平面との距離が、ストッパーを、ストッパーの長手方向軸に垂直な方向で側面から見たときに、頭部の外面の外周に隣接する頭部の外面の部分と上記平面との間の距離よりも大きいものである。
【0011】
ストッパーの頭部の外面の曲率半径(r)は、ストッパーの頭部の最大直径(D)以上、ストッパーの頭部の最大直径(D)の20倍以下であってもよい。ストッパーの頭部の最大直径(D)に対するストッパーの頭部の外面の曲率半径(r)の比(r/D)は、1~ 20、好ましくは1~4、例えば1.05~2.20であってもよい。
【0012】
ストッパーは、シリンジ内に含まれる薬物に接触するストッパーの少なくとも一部に塗布されるコーティングをさらに含み得る。
【0013】
ストッパーは、任意選択で、ストッパーの頭部の外面から延びる付着防止特徴を含んでもよい。
【0014】
付着防止特徴は、ストッパーの頭部の外面から外向きに延在する複数の突起を含み得、突起は、好ましくは実質的に三角形であり、より好ましくは、実質的に二等辺三角形であり、突起の三角形の形状の頂点角に対応する頂点と、突起の三角形の形状の基部に対応する基部と、頂点と基部との間に延びる2つの側面とを有し、各突起の頂点は、ストッパーの頭部の外面の中心に隣接し、各突起の基部は、ストッパーの頭部の外面の外周に隣接する。突起の基部とストッパーの頭部の外面の外周との間に空間を設けることができ、および/または突起の頂点によって画定される空間をストッパーの頭部の外面の中心に設けることができる。突起は、隣接する突起の間に対応する実質的に三角形の空間が提供されるように、ストッパーの頭部の外面の円周の周りに均等に分布してもよく、空間によって占有される角距離θSは、突起のうちの1つによって占有される角距離θPよりも小さくてもよい。空間によって占有される角距離θSの合計は、突起によって占有される総角距離θPの合計よりも小さくてもよい。好ましくは、突起のうちの1つによって占有される角距離θPは、40~80°であり得、および/または1つの突起および1つの空間によって占有される角距離(θP+θS)は、60~130°であり得る。各突起の半径方向の長さは、ストッパーの頭部の外面の外径(d)の70~90%であってもよい。
【0015】
突起の外面は、平坦または凹面または頂点から突起の基部まで延在する曲率を有する凸面であり得、および/または突起の外面は、平坦または凹面または突起の一方の側から突起の他方の側に延びる曲率を有する凸面であり得る。頂点から突起の基部に延びる曲率は、第1の曲率半径を有する突起の頂点の細帯(fillet:フィレット)部分、第2の曲率半径を有する突起の基部のフィレット部分、および頂点のフィレット部分と基部のフィレット部分との間に延びる上面によって画定され得、平坦であるか、または第3の曲率半径を有し、第1の曲率半径および第2の曲率半径は等しくてもよく、および/または第3の曲率半径は、第1の曲率半径および第2の曲率半径よりも大きくてもよい。頂点のフィレット部分の曲率および/または基部のフィレット部分の曲率は、凹状であってもよく、すなわち、内側に丸みを帯びていてもよく、または凸状であってもよく、すなわち、外側に丸みを帯びていてもよい。好ましくは、頂点のフィレット部分および基部のフィレット部分の曲率は、フィレットがストッパーの頭部の外面に近づくにつれて凹状曲率に変化する上面に当接する凸状曲率を有する。
【0016】
突起の一方の側面から突起の他方の側面に延在する曲率は、第1の曲率半径を有する突起の一方の側面のフィレット部分、第2の曲率半径を有する突起の他方の側面のフィレット部分、及び平面または第3の曲率半径を有する突起の側面のフィレット部分間に延在する上面によって画定され得、第1の曲率半径及び第2の曲率半径は等しくてもよく、及び/または第3の曲率半径は、第1の曲率半径及び第2の曲率半径よりも大きくてもよい。突起の側面のフィレット部分の曲率は、凹状であってもよく、すなわち、内側に丸みを帯びていてもよく、および/または凸状であってもよく、すなわち、外側に丸みを帯びていてもよい。好ましくは、フィレット部分は、フィレットがストッパーの頭部の外面に近づくにつれて凹状曲率に変化する上面に当接する凸状曲率を有する。
【0017】
あるいは、任意選択の付着防止特徴は、ストッパーの頭部の外面から外向きに延在し、空間によって分離された複数の環状突起であってもよい。ある環状突起の外面は、半径方向に凸状曲率を有し、隣接する環状突起の空間は、半径方向に凹状曲率を有する。空間の曲率半径は、環状突起の外面の曲率半径と同じまたはそれより大きくてもよく、好ましくは、環状突起の外面の曲率半径よりも大きい。最外側の環状突起とストッパーの頭部の外面の外周との間に設けられた空間を、設けてもよい。環状突起は、不連続であってもよく、環状突起が複数のセクションを含むように、少なくとも1つの隙間を含んでもよい。
【0018】
少なくともストッパーの頭部の特徴および少なくともストッパーの頭部の特徴の間の遷移は、滑らかに丸みを帯びていてもよい。
【0019】
本発明はまた、チャンバを画定するシリンジ本体と、チャンバ内に少なくとも部分的に受け入れられたプランジャロッドと、上記のようなストッパーとを備えるシリンジを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、シリンジ内の本発明のストッパーの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による本発明のストッパーの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の線A-Aに沿った本発明のストッパーの断面図である。
【
図5】
図5は、本発明のストッパーの頭部の外面に付加された付着防止突起を伴う、
図1の本発明のストッパーの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の線B-Bに沿った本発明のストッパーの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明のストッパーの頭部の外面に付加された付着防止突起を伴う、
図1の本発明のストッパーの斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明のストッパーの頭部の外面に付加された付着防止突起を伴う、
図1の本発明のストッパーの斜視図である。
【
図14A】
図14Aは、シリンジ本体の遠位端に平坦な頭部を有するストッパーの断面図である。
【
図14B】
図14Bは、シリンジ本体の遠位端に凸状頭部を有するストッパーの断面図である。
【
図14C】
図14Cは、シリンジ本体の遠位端に環状突起を有する凸状頭部を有するストッパーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される場合、別途明示的に指定されない限り、値、範囲、量またはパーセンテージを表すものなどのすべての数値は、用語が明示的に表示されていなくても、単語「約」が前に付されているかのように読み取られ得る。本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を含むように意図される。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の、およびそれらを含む任意のおよびすべてのサブ範囲、すなわち、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わるすべてのサブ範囲、ならびに、例えば、1~6.3、または5.5~10、または2.7~6.1の間のすべてのサブ範囲を含むことが意図される。複数形には単数形が含まれ、その逆も同じである。範囲が与えられるとき、それらの範囲及び/またはそれらの範囲内の数の任意のエンドポイントを、本発明の範囲と組み合わせることができる。”含む”、”例えば~など”、”例えば”、および同様の用語は、”含む/例えば~など/例えば”を意味するが”それらに限定されない”。
【0022】
以下の説明の目的のために、使用される空間配向用語は、添付の図面、図面、または以下の詳細な説明に記載されているように、参照される実施形態に関連するものとする。本明細書で用いられる場合、”遠位”は、頭部またはシリンジの注射端を含むストッパーの端部を指す。ストッパーの断面図では、”遠位”はストッパーの上端を指す。同様に、”遠位方向”は、ストッパーの頭部に向かう方向、またはシリンジの注射端に向かう方向である。本明細書で使用される場合、”近位”は、シリンジの尾部またはプランジャ端部を含むストッパーの端部を指す。断面図では、”近位”はストッパーの下端を指す。同様に、”近位方向”は、ストッパーの尾部に向かう方向、またはシリンジのプランジャ端部に向かう方向である。
【0023】
本発明は、注射器12で用いられるストッパー10、100,200,300に関する。シリンジ12は、シリンジ本体14と、ストッパー10、100、200、300が取り付けられているプランジャ16とを備える。
【0024】
図1に示されるように、シリンジ本体14は、近位端18と、遠位端20と、近位端18と遠位端20との間に延在する側壁22を備える。側壁22は、医薬組成物を受け入れるように適合されたチャンバ24を画定する。チャンバ24は、実質的に円筒形である。カニューレアセンブリをシリンジ12に取り付けるための取付部26は、シリンジ本体14の遠位端20から長手方向に延在する。取付部26は、ルアーロックまたはルアースリップとすることができる。カニューレアセンブリは、シリンジ12に恒久的に取り付けられてもよく、または代替的に、カニューレアセンブリは、使用の直前にシリンジ1 2に組み立てられてもよい。
【0025】
シリンジ本体14は、プラスチックまたはガラスで作製することができる。
【0026】
プランジャ16は、近位端30と遠位端32を有するプランジャロッド28と、プランジャロッド28の遠位端32から延在する係合部分34と、を備え、プランジャロッド28の長手方向軸に実質的に垂直な方向でプランジャロッド28の近位端30から半径方向外向きに延在する親指パッド36とを含み得る。プランジャロッド28の少なくとも一部およびプランジャロッド28の係合部分34は、シリンジ本体14のチャンバ24内に含まれる。プランジャロッド2 8の係合部分34は、ストッパー10、100、200、300に取り付けるように適合される。プランジャ16は、シリンジ本体14を動かないようにしている間にプランジャ16に加えられる遠位方向の力によって、シリンジ本体14のチャンバ24内でプランジャロッド28の係合部分34およびそれに取り付けられたストッパー10、100,200,300を遠位方向に移動し、シリンジ本体14を動かないようしている間にプランジャ16に加えられる近位方向の力によって、プランジャロッド28の係合部分34およびそれに取り付けられたストッパー10、100,200,300をシリンジ本体(14)のチャンバ24内で近位方向に移動するように、シリンジ本体14に対して移動可能である。
【0027】
ストッパー10、100,200,300の少なくとも一部は、シリンジ本体14のチャンバ24の内径と等しいかそれより大きい直径を有し、それによって、ストッパー10、100,200,300の部分とシリンジ本体14の側壁22の内面との間に密封係合を作る。
【0028】
図2~9に示されるように、ストッパー10、100、200、300は、シリンジ12のプランジャロッド28に取り付けられるように適合された近位尾部または近位尾端部40と、遠位頭部または遠位頭部端42とを有する本体38を備える。尾部40は、本体38内に画定された空洞48に向けられた開口部46を含む。開口部46および空洞48は、プランジャ16の係合部分34を受容し、係合するように適合され、それによって、ストッパー10、100、200、300をプランジャ16に取り付ける。空洞48の開口部46は、ストッパー10、100、200、300の尾部40の外径よりも小さい直径を有する。図に示されるストッパー10、100,200,300は、空洞48を含むが、空洞48は任意選択であり、プランジャ16は、空洞48を必要とせずに、他の手段を介してストッパー10、100,200,300に取り付けられ得ることを理解されたい。空洞48の内側側壁は、ストッパー10、100、200、300をプランジャロッド28に取り付けるためのねじ山50を含み得る。
【0029】
実質的に円筒形のストッパー本体38は、任意選択で、ストッパー本体38の外側側壁52の円周の周りに複数の環状リブ54を含む。リブ54は、溝56によって互いに均等に離間され得る。リブ54は、溝56の直径よりも大きい直径を有する。
【0030】
ストッパー10、100、200、300は、天然ゴム、合成ゴム、およびより具体的には、ブチル、ブロモブチル、クロロブチル、シリコーン、ニトリル、スチレンブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンジエンから形成されるゴム、フルオロエラストマー、熱可塑性エラストマー、ならびにそれらの組み合わせおよびブレンドを含むが、これらに限定されない任意の適切な圧縮可能な材料から作製されてもよく、好ましくは、ブロモブチルなどのブチルゴムから作製される。
【0031】
任意選択で、ストッパー10、100、200、300の頭部42の部分、およびシリンジ12のチャンバ24内の医薬組成物に潜在的に接触することができるストッパー10、100、200、300の頭部42の少なくとも外面44は、ストッパー材料とシリンジ12のチャンバ24を占有する医薬組成物との間のバリアとして機能し、ストッパー材料からの物質の抽出および/または浸出の低減、ならびに医薬組成物のストッパー材料への浸潤を可能にするコーティングでコーティングされる。コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフルオロビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)、パリレンなどのフルオロポリマー、またはポリエチレン、ポリプロピレン、パリレンC、及びパリレンFなどの非フルオロポリマーであってもよい。好ましくは、コーティングはETFEである。コーティングは、任意選択で、頭部42の外面44の外縁の周り、およびストッパー10、100、200、300の外側側壁52の少なくとも一部に沿って延在してもよい。コーティングはまた、ストッパー10、100、200、300の少なくとも1つの横方向リブ54を、好ましくは少なくとも2つの横方向リブ54を覆ってもよい。コーティングは、2段階の成形プロセスの第2の成形ステップ、カレンダー処理、または後でストッパー材料と接合されるストッパー材料上に網状ステップでコーティング前駆体を含むエマルション層をスプレーすることによってストッパー材料に適用され得る。網状化は、熱処理及び/またはUV処理を介して生じ得る。
【0032】
ベントチューブアセンブリ処理中のストッパー10、100、200、300の潤滑性、低下した粘着性、および/または保護のためのシリコーン層は、任意選択で、ストッパー10、100、200、300の外面の少なくとも一部に提供され得る。そのようなシリコーン層としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び1000cPシリコーン、例えば、Dupont(商標)Liveo(商標)360医療用流体、GelestDMS-T23、またはNuSilMED-361が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーン層は、60μg.cm-2以下の面積密度を有してもよく、ストッパー10、100、200、300がストッパー10、100、200、300のシリンジ12への組み立て中にベントチューブアセンブリ処理を受けるときは10-110μg.cm-2であってもよく、ストッパー10、100、200、300がストッパー10、100、200、300のシリンジ1 2への組み立て中に真空アセンブリ処理を受けるときは10μg.cm-2未満であってもよい。
【0033】
コーティングの破損および/またはコーティングのストッパー材料への非接着を回避するために、ストッパー本体38の外形の鋭角が回避され、ストッパー10、100、200、300の特徴間の移行が滑らかに丸くなる。ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の外周60からストッパー10、100、200、300の外側側壁52、リブ54、および溝56への移行は、丸みを帯びていてもよい。典型的には、ストッパー本体38の外形の曲率半径は、ストッパーの頭部の最大直径の2.0~27.2%、好ましくは2.5~18.5%、さらにより好ましくは5.5~13.0%であり得る。
【0034】
例えば、最大直径9.2mmを有する頭部42を有するストッパー10、100、200、300について、ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の外周60のストッパー10、100、200、300の外側側壁52への遷移は、0.75mmの曲率半径を有し得、リブ54は、0.6~0.9 mm、好ましくは0.75mmの凸状曲率半径を有し得、溝56は、0.6~0.9mm、好ましくは0.75mmの凹状曲率半径を有し得る。これらの特徴の曲率半径は、ストッパー10、100、200、300のヘッド42の最大直径に基づいて比例して調整され得る。
【0035】
頭部の外面が平坦である従来技術のストッパーでは、保管および/または組み立て中に、1つのストッパーの頭部の外面が別のストッパーの頭部の外面に固着する可能性がある。
【0036】
本発明のストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44は、ヘッド42の外面44から延在する付着防止特徴の有無にかかわらず、凸状である。
図1~13に示されるように、ストッパー10、100、200、300の頭部42の凸状外面44は、ストッパー10、100、200、300のヘッド42の外面44が湾曲しているものであり、曲率の頂点がストッパー10、100、200、300の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在し、ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の外周60を含み、すなわち、頭部42の外面44の頂点と平面との間の距離は、ストッパー10、100、200、300がストッパー10、100、200、300の長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるときの頭部42の外面44の部分と平面との間の距離よりも大きい。ストッパー10、100、200、300の頭部42の凸状外面44は、2つのストッパー10、100、200の頭部42の外面44が互いに接触するときに、2つのストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44間の接触面積を減少させる。
【0037】
ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の曲率半径rは、ストッパー10、100、200、300の頭部42の最大直径Dと等しいかそれより大きくてもよく、ストッパー10、100、200、300のヘッド42の最大直径Dの20倍と等しいかそれより小さくてもよい。ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の曲率半径rとストッパー10、100、200、300の頭部42の最大直径Dとの比(r/D)は、1~20であり得、好ましくは1~4、例えば1.05~2.2であり得る。例えば、ストッパー10、100、200、300は、最大直径Dが9.2mmのヘッド42を有し得、ストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44は、ストッパー10、100、200、300の頭部42の最大直径Dに対するストッパー10、100、200、300の頭部42の外面44の曲率半径r(r/d)が1.3であるように、12mmの曲率半径rを有し得る。
【0038】
ストッパー10、100、200、300の頭部42は、任意選択で、ストッパー10、100、200、300の頭部42の凸状外面44の外周60を取り囲む環状フィレット部分58を含んでもよい。環状フィレット部分58は、ストッパー10、100、200、300の頭部42の凸状外面44の曲率半径r未満の曲率半径を有し得る。
【0039】
任意選択で、
図5~10に示されるように、付着防止特徴は、上記の特徴の任意の組み合わせを有するストッパー100、200、300の頭部42の外面44に提供され得る。
【0040】
図5~7に示されるように、任意選択の付着防止特徴は、ストッパー100の頭部42が互いに接触するときに、2つのストッパー100の頭部42間の接触面積を減少させる、ストッパー100の頭部42の凸状外面44から外向きに延在する突起62であってもよい。突起62は、実質的に三角形の形状、好ましくは、実質的に二等辺三角形の形状を有してもよく、突起62の三角形の形状の頂点角度に対応する頂点64、突起62の三角形の形状の底面に対応する基部66、および頂点64と基部66との間に延在する2つの側面68a、68bを有することができる。突起62の頂点64は、突起62の基部66の円周方向幅よりも小さい円周方向幅を有する。
【0041】
各突起62の頂点64は、ストッパー100の頭部42の外面44の中心、すなわち、ストッパー100の頭部42の外面44の外周の原点に隣接しており、これは、ストッパー100の頭部42の凸状外面44の頂点に対応し、各突起62の基部66は、ストッパー100の頭部42の外面44の外周60に隣接している。
【0042】
突起62の基部66は、ストッパー100の頭部42の外面44の丸い外周60に対応するように丸くすることができる。典型的には、突起62の基部66の曲率半径は、ストッパーの頭部の最大直径の2.0~27.2%、好ましくは2.5~18.5%、さらにより好ましくは5.5~13.0%であり得る。
【0043】
突起62が、ストッパー100の頭部42の外面44の外周60から離れるように、突起62の基部66とストッパー100の頭部42の外面44との間に空間70が設けられてもよく、ストッパー100の頭部42の外面44の外周60に直接隣接するストッパー100の頭部42の外面44の環状部分72は、突起62によって覆われていない。
【0044】
突起62の頂点64は、空間74がストッパー100の頭部42の外面44の中心に提供されるように、切り詰めることができる。空間74は、円形とすることができ、突起62の切断された頂点64は、突起62の頂点64が、突起62によって覆われていない、ストッパー100の頭部42の外面44の中心に空間74を画定するように湾曲させることができる。
【0045】
突起62は、対応する実質的に三角形の空間76が、隣接する突起62の間に設けられるように、ストッパー100の頭部42の外面44の周りに均等に分布することができる。突起62と同様に、突起62の間の結果として生じる空間76は、概してくさび状またはパイ状である。空間76によって占有される角距離θS、すなわち、2つの隣接する突起62間の角距離は、突起62のうちの1つによって占有される角距離θP、すなわち、θS<θPよりも小さい。
【0046】
ストッパー100の頭部42の外面44には、3つから6つの(3~6つの)突起62が設けられてもよい。突起62のうちの1つによって占有される角度距離θPは、40~80°、好ましくは50~80°、より好ましくは55~75°であり得る。実施例を表1に示す。
【0047】
1つの突起62及び1つの空間76(θP+θS)によって占有される角度距離は、60~130°、好ましくは80~130°、より好ましくは90~120°である。実施例を表1に示す。
【0048】
図5―7において、θPは72°、θSは48°、(θP+θS)は120°であり、
【0049】
【0050】
各突起62の半径方向の長さlは、ストッパー100の頭部42の外面44の外径dの70~90%、好ましくは75~80%である。
【0051】
突起62の外面は、平坦または凹状または頂点64から基部66まで延在する曲率を有する凸状であってもよい。この方向の突起62の曲率は、単一の曲率半径または複数の曲率半径を有し得る。この方向の曲率が複数の曲率半径を有する場合、突起62の頂点64にあるフィレット部分78は、第1の曲率半径を有し得、突起62の基部66にあるフィレット部分80は、第2の曲率半径を有し得、頂点64のフィレット部分78と基部66のフィレット部分80との間に延在する上面82は、平坦であり得るか、または第3の曲率半径を有し得る。第1の曲率半径及び第2の曲率半径は等しくてもよく、及び/または第3の曲率半径は、第1の曲率半径及び第2の曲率半径よりも大きくてもよい。頂点64のフィレット部分78の曲率および/または基部66のフィレット部分80の曲率は、凹状であってもよく、すなわち、内側に丸みを帯びていてもよく、または凸状であってもよく、すなわち、外側に丸みを帯びていてもよい。好ましくは、頂点64のフィレット部分78および基部66のフィレット部分80の曲率は、フィレットがストッパーの頭部の外面に近づくにつれて凹状曲率に変化する上面に当接する凸状曲率を有する。典型的には、フィレット部分78の曲率半径は、ストッパーの頭部の最大直径の2.0~27.2%、好ましくは2.5~18.5%、さらにより好ましくは5.5~13.0%であり得る。
【0052】
同様に、頂点64から基部66に延在する突起62の外面の任意の曲率に代えて、またはそれに加えて、突起62の外面は、平坦または凹状または突起62の一方の側面68aから突起62の他方の側面68bに延在する曲率を有する凸状であり得る。この方向の突起62の曲率は、単一の曲率半径または複数の曲率半径を有し得る。
図5Aに示されるように、この方向の曲率が複数の曲率半径を有する場合、突起62の一方の側面68aのフィレット部分84は、第1の曲率半径を有し得、突起62の他方の側面68bのフィレット部分86は、第2の曲率半径を有し得、突起62の側面68a、68bのフィレット部分84、86の間に延在する上面82は、平坦であり得るか、または第3の曲率半径を有し得る。第1の曲率半径及び第2の曲率半径は等しくてもよく、及び/または第3の曲率半径は、第1の曲率半径及び第2の曲率半径よりも大きくてもよい。突起62の側面68a、68bのフィレット部分84、86の曲率は、凹状であってもよく、すなわち、内側に丸みを帯びていてもよく、および/または凸状であってもよく、すなわち、外側に丸みを帯びていてもよい。典型的には、フィレット部分84,86の曲率半径は、ストッパーの頭部の最大直径の2.0~27.2%、好ましくは2.5~18.5%、さらにより好ましくは5.5~13.0%であり得る。
【0053】
好ましくは、
図5Aに示されるように、フィレット部分84,86は、フィレット84,86がストッパー100の頭部42の外面44に近づくにつれて凹状曲率に変化する上面82に当接する凸状曲率を有する。
【0054】
あるいは、
図8~10に示されるように、任意選択の付着防止特徴は、ストッパー200の頭部42の外面44から外向きに延在する環状突起88であってもよい。環状突起88は、空間90によって分離される。環状突起88の外面は、凸状の曲率を有してもよく、隣接する環状突起88間の空間90は、凹状の曲率を有してもよい。空間90の曲率半径は、環状突起88の外面の曲率半径と同じまたはそれより大きくてもよく、好ましくは、環状突起88の外面の曲率半径よりも大きい。環状突起88の曲率半径は、ストッパー200の外側側壁52に設けられた環状リブ54の曲率半径と等しいか、またはわずかに大きい場合がある。
【0055】
ストッパー200の頭部42の外面44に2つから4つの(2~4つの)環状突起88を設けてもよく、好ましくは、ストッパー200の頭部42の外面44に3つの環状突起88を設けてもよい。
【0056】
環状突起88の半径方向の幅は、同じであっても異なっていてもよく、隣接する環状突起88間の空間90の半径方向の幅は、同じであっても異なっていてもよい。
【0057】
空間92は、ストッパー200の頭部42の外面44の最外側の環状突起88と外周60との間に設けられてもよく、その結果、最外側の環状突起88は、ストッパー200の頭部42の外面44の外周60から離れ、ストッパー200の頭部42の外面44の外周60に直接隣接するストッパー200の頭部42の外面44の環状部分94は、ストッパー200の頭部42の外面44の曲率半径を有する。
【0058】
1つまたは複数の環状突起88は、
図8~10に示されるように連続してもよく、および/または1つまたは複数の環状突起88aは、
図11~13に示されるように不連続であってもよい。不連続な環状突起88aは、環状突起がC字形であるように1つの隙間96を有してもよく、または環状突起88aが複数のセクション98を含むように複数の隙間96(
図11~13)を有してもよい。
【0059】
同心環状突起88aのそれぞれに設けられた隙間96の数は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、
図11および12に示されるように、最外側の環状突起88aaは、3つの隙間96aおよび3つのセクション98aを有し得、次の内側の環状突起88abは、4つの隙間96bおよび4つのセクション98bを有し、最内側の環状突起88acは、2つの隙間96cおよび2つのセクション98cを有する。1つの環状突起88a内の隙間96のいずれも、任意の隣接する突起環状88a内の任意の隙間96に対応しないように、および/または隣接する環状突起88a内の隙間96の1つまたは複数が互いに整列し得るように、同心環状突起88aのそれぞれにおける隙間96は、互いに対して配置され得る。
【0060】
環状突起88aの各セクション98は、半径方向に凸状曲率を有し得、各セクション98の端部100は丸みを帯びてもよい。典型的には、半径方向の環状突起の曲率半径は、ストッパーの頭部の最大直径の2.0~27.2%、好ましくは2.5~18.5%、さらにより好ましくは5.5~13.0%であり得る。
【0061】
環状突起88aのセクション98は、2つのストッパー300の頭部42が互いに接触しているとき、環状突起88aのいずれのセクション98も、環状突起88aの隙間96または環状突起88a間の空間に受容することができないようなサイズおよび形状である。
【0062】
環状突起88aのセクション98は、環状突起88aの円周の50~80%を構成し得る。
【0063】
本発明のストッパーは、シリンジへの組み立て前の保管中およびシリンジへの組み立て中のストッパーの頭部から頭部への付着の問題を解決する。同時に、本発明のストッパーの頭部の凸状外面は、注射が完了し、ストッパーがプランジャロッドによって注射器本体の底面に圧縮されたときに、チャンバ内に残るデッドスペースおよび/または注射器の取り付けを減少させ、2つのストッパーの頭部が互いに接触するときに、2つのストッパーの頭部間の接触面積を減少させ、それによって、ストッパーの互いの付着を減少させる。コーティング層及び/またはシリコーン層が本発明のストッパー上に設けられるとき、従来技術のストッパー上で使用されているものからコーティング層及び/またはシリコーン層の組成及び/または量を変更することなく、付着が低減される。
【0064】
さらに、
図14A~14Cに示されるように、本発明のストッパー(10、100、200、300)は、注射後にシリンジ12に残存し、注射の終わりにプランジャロッド16にどれだけ高い力が加えられてもシリンジ本体14から排出することができない医薬組成物102の量を減少させる。 この無駄な医薬組成物102は、一般に、シリンジ12の「デッドボリューム」と呼ばれる。
【0065】
Abaqus ソフトウェア(表1)を使用して行われた有限要素分析(FEA)は、凸状頭部42(
図14B)を有するか、または連続的な環状突起88(
図14C)を有する凸状頭部42を有する本発明のストッパー10,200が、平坦な頭部を有するストッパー(
図14A)と比較して、デッドボリューム(mm
3)を減少させることを示す。
【0066】
【0067】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的で上記で説明されてきたが、当業者には、本発明の詳細の多数の変更が、本発明から逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ(12)のためのストッパー(1
0)であって、
前記シリンジ(12)のプランジャロッド(28)に取り付けられるように適合された尾部(40)と、前記尾部(40)の反対側の頭部(42)と、前記尾部(40)の間を延在する外側側壁(52)と、前記尾部(40)と前記頭部(42)との間を延在する外側側壁(52)とを有する本体を備え、
前記頭部は付着防止特徴を備え、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の凸状外面(44)を備え、前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の前記外面(44)は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー
(10
)の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながらかつ、前記頭部(42)の前記外面(44)の外周(60)を通りながら湾曲し、前記頭部(42)の前記凸状外面(44)は、前記本体(38)の前記外側側壁(52)に移行し、
前記頭部(42)の前記外面(44)の頂点は、前記ストッパー(1
0)が前記ストッパー(1
0)の前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面(44)の前記外周(60)よりも高く、
前記ストッパー(1
0)の前記付着防止特徴は、前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の接触領域を減少させる、
ことを特徴とするストッパー(1
0)。
【請求項2】
前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の前記外面(44)の曲率半径(r)の、前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の最大直径(D)に対する比(r/D)は、1~20である、請求項1に記載のストッパー(1
0)。
【請求項3】
前記シリンジ(12)内に含まれる薬物に接触する前記ストッパー(1
0)の前記頭部(42)の前記外面(44)の少なくとも一部に塗布されるコーティングをさらに含む、請求項
1に記載のストッパー(1
0)。
【請求項4】
シリンジ(12)のためのストッパー(100)であって、
前記シリンジ(12)のプランジャロッド(28)に取り付けられるように適合された尾部(40)と、前記尾部(40)の反対側の頭部(42)と、前記尾部(40)の間を延在する外側側壁(52)と、前記尾部(40)と前記頭部(42)との間を延在する外側側壁(52)とを有する本体を備え、
前記頭部は付着防止特徴を備え、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の凸状外面(44)を備え、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー100の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながらかつ、前記頭部(42)の前記外面(44)の外周(60)を通りながら湾曲し、前記頭部(42)の前記凸状外面(44)は、前記本体(38)の前記外側側壁(52)に移行し、
前記頭部(42)の前記外面(44)の頂点は、前記ストッパー(10、100、200、300)が前記ストッパー(100)の前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面(44)の前記外周(60)よりも高く、
前記ストッパー(100)の前記付着防止特徴は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の接触領域を減少させ、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)から外向きに延在する複数の突起(62)を含み、前記突起は、好ましくは実質的に三角形であり、より好ましくは、実質的に二等辺三角形であり、前記突起(62)の前記三角形の形状の頂点角に対応する頂点(64)と、前記突起(62)の前記三角形の形状の底面に対応する基部(66)と、前記頂点(64)と前記基部(66)との間に延在する2つの側面(68a、68b)とを有し、各前記突起(62)の前記頂点(64)は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の中心に隣接し、各前記突起(62)の前記基部(66)は、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)に隣接し、前記突起(62)は、隣接する突起(62)の間に対応する実質的に三角形の空間(76)が提供されるように、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の円周の周りに均等に分布され、前記空間(76)によって占有される角距離θSは、前記突起(62)のうちの1つによって占有される角距離θPよりも小さ
いストッパー(100)。
【請求項5】
前記突起(62)の前記基部(66)と前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)との間に空間(70)が設けられ、および/または前記突起(62)の前記頂点(64)によって画定される空間(74)が前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の中心に設けられる、請求項4に記載のストッパー(100)。
【請求項6】
前記突起(62)のうちの1つによって占有される前記角距離θPが40~80°であり、および/または1つの突起(62)および1つの空間(76)によって占有される角距離(θP+θS)は、60~130°である、請求項
4に記載のストッパー(100)。
【請求項7】
各前記突起(62)の半径方向の長さ(l)が、前記ストッパー(100)の前記頭部(42)の前記外面(44)の外径(d)の70~90%である、請求項
4に記載のストッパー(100)。
【請求項8】
前記突起(62)の外面は、平坦または凹面または前記頂点(64)から前記基部(66)まで延在する曲率を有する凸面であり、および/または前記突起(62)の外面は、平坦または凹面または前記突起(62)の一方の側面(68a)から前記突起(62)の他方の側面(68b)に延在する曲率を有する凸面である、請求項
4に記載のストッパー(100)。
【請求項9】
前記頂点(64)から前記突起(62)の前記基部(66)に延在する曲率は、第1の曲率半径を有する前記突起(62)の前記頂点(64)のフィレット部分(78)、第2の曲率半径を有する前記突起(62)の前記基部(66)のフィレット部分(80)、および前記頂点(64)のフィレット部分(78)と前記基部(66)のフィレット部分(80)との間に延在する上面によって画定され、平坦であるか、または第3の曲率半径を有し、前記第1の曲率半径および前記第2の曲率半径は等しく、および/または前記第3の曲率半径は、前記第1の曲率半径および前記第2の曲率半径よりも大きく;および/または前記突起(62)の一方の側面(68a)から前記突起(62)の他方の側面(68b)に延在する曲率は、第1の曲率半径を有する前記突起(62)の一方の側面(68a)のフィレット部分(84)、第2の曲率半径を有する前記突起(62)の他方の側面(68b)のフィレット部分(86)、及び平面または第3の曲率半径を有する突起の側面のフィレット部分間に延在する上面(82)によって画定され、前記第1の曲率半径及び前記第2の曲率半径は等しく、及び/または前記第3の曲率半径は、前記第1の曲率半径及び前記第2の曲率半径よりも大きい、請求項8に記載のストッパー(100)。
【請求項10】
シリンジ(12)のためのストッパー(200)であって、
前記シリンジ(12)のプランジャロッド(28)に取り付けられるように適合された尾部(40)と、前記尾部(40)の反対側の頭部(42)と、前記尾部(40)の間を延在する外側側壁(52)と、前記尾部(40)と前記頭部(42)との間を延在する外側側壁(52)とを有する本体を備え、
前記頭部は付着防止特徴を備え、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(200)の前記頭部(42)の凸状外面(44)を備え、前記ストッパー(200)の前記頭部(42)の前記外面(44)は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー1(200)の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながらかつ、前記頭部(42)の前記外面(44)の外周(60)を通りながら湾曲し、前記頭部(42)の前記凸状外面(44)は、前記本体(38)の前記外側側壁(52)に移行し、
前記頭部(42)の前記外面(44)の頂点は、前記ストッパー(200)が前記ストッパー(200)の前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面(44)の前記外周(60)よりも高く、
前記ストッパー(200)の前記付着防止特徴は、前記ストッパー(200)の前記頭部(42)の接触領域を減少させ、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(20
0)の前記頭部(42)の前記外面(44)から外向きに延在する複数の同心環状突起(88,88a)をさらに備え
るストッパー(20
0)。
【請求項11】
前記環状突起(88,88a)の外面は、半径方向に凸状曲率を有し、隣接する環状突起(88,88a)の空間(90)は、半径方向に凹状曲率を有する、請求項10に記載のストッパー(20
0)。
【請求項12】
前記空間(90)の曲率半径は、前記環状突起(88,88a)の前記外面の曲率半径と同じまたはそれより大きく、好ましくは、前記環状突起(88、88a)の前記外面の曲率半径よりも大きい、請求項11に記載のストッパー(20
0)。
【請求項13】
空間(92)が、最外側の前記環状突起(88、88a)と前記ストッパー(200)の前記頭部(42)の前記外面(44)の前記外周(60)との間に設けられる、請求項1
0に記載のストッパー
(200)。
【請求項14】
シ
リンジ(12)のためのストッパー(300)であって、
前記シリンジ(12)のプランジャロッド(28)に取り付けられるように適合された尾部(40)と、前記尾部(40)の反対側の頭部(42)と、前記尾部(40)の間を延在する外側側壁(52)と、前記尾部(40)と前記頭部(42)との間を延在する外側側壁(52)とを有する本体を備え、
前記頭部は付着防止特徴を備え、
前記付着防止特徴は、前記ストッパー(300)の前記頭部(42)の凸状外面(44)を備え、前記ストッパー(300)の前記頭部(42)の前記外面(44)は、ストッパー頭部の外面が、曲率の頂点がストッパー(300)の長手方向軸Lに直交する平面から離れて延在しながらかつ、前記頭部(42)の前記外面(44)の外周(60)を通りながら湾曲し、前記頭部(42)の前記凸状外面(44)は、前記本体(38)の前記外側側壁(52)に移行し、
前記頭部(42)の前記外面(44)の頂点は、前記ストッパー(300)が前記ストッパー(300)の前記長手方向軸Lに垂直な方向に側面から見られるとき、前記外面(44)の前記外周(60)よりも高く、
前記ストッパー(300)の前記付着防止特徴は、前記ストッパー(300)の前記頭部(42)の接触領域を減少させ、
前記環状突起(88a)は、不連続であり、前記環状突起(88a)が複数のセクション(98)を含むように、少なくとも1つの隙間(96)を含む
、ストッパー
(300)。
【請求項15】
チャンバ(24)を画定するシリンジ本体(14)と、
前記チャンバ内に少なくとも部分的に受容されるプランジャロッド(28)と、
前記チャンバ(24)内に受容された前記プランジャロッド(28)の端部に取り付けられる、請求項1~
14のいずれか一項に記載のストッパー(10,100,200,300)
と、
を備えるシリンジ(12)。
【国際調査報告】