(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】結晶化温度を下げたポリエステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/78 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
C08G63/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534175
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022084584
(87)【国際公開番号】W WO2023104790
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(71)【出願人】
【識別番号】508194892
【氏名又は名称】株式会社JEPLAN
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】ブランケ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】シシェ ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ファヴル フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ラインクーゲル ル コック ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】メッキ-ベラーダ アドリアン
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029BD07A
4J029BF09
4J029BF18
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029HA01
4J029HA04A
4J029HB01
4J029HB03A
4J029JB171
4J029JF141
4J029JF181
4J029JF221
4J029JF251
4J029JF361
4J029JF471
4J029JF541
4J029KC04
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J029KE12
(57)【要約】
本発明は、ポリエステルを製造するための方法に関するものであり、以下の工程を含む:a)式(1)のモノマーAと式(2)のモノマーB、または式(1)のモノマーA、式(2)のモノマーBおよびイソフタル酸を含んでいる混合物のエステル化の工程、式(1)および式(2)において、R1は、-(CH2)n-(ここで、nは、2~4の整数である)、-(CH2-CHR2)-(ここで、R2は、1~6個の炭素原子(C1~6)を含んでいる直鎖または分枝アルキル基およびフェニル基から選択される)からなる群から選択され、次いでb)重縮合の工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルの製造のための方法であって、以下の段階を含む、方法:
a) 式1のモノマーAと、式2のモノマーBとを含んでいる混合物または式1のモノマーAと、式2のモノマーBと、イソフタル酸とを含んでいる混合物のエステル化の段階;オリゴマー中間体を得る;
式1
【化1】
式2
【化2】
式中、R
1は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH
2)
n-;式中、nは、2~4の整数である、
-(CH
2-CHR
2)-;式中、R
2は、1~6個の炭素原子(C
1~C
6)を含んでいる直鎖または分枝のアルキル基およびフェニル基から選ばれる、
b) オリゴマー中間体の重縮合の段階。
【請求項2】
段階a)の混合物は、モノマーAおよびモノマーBまたはモノマーA、モノマーBおよびイソフタル酸を、混合物中に存在する組み合わされた芳香族ユニットに対して、0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1は、エチレン基である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
段階a)の混合物は、式3のモノマーCを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法:
式3
【化3】
式中:
R
3は、以下からなる群から選ばれる:
R
1基、
-(CH
2)
n-(O-(CH
2)
n)
m-基;式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しい、
-(CH
2-CH(CH
3)
2-CH
2)-基、および
-CH
2-C
6H
10-CH
2-基、
R
4は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH
2)
n-(O-(CH
2)
n)
m-基;式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しい、
-(CH
2-CH(CH
3)
2-CH
2)-基、および
-CH
2-C
6H
10-CH
2-基。
【請求項5】
段階a)の混合物は、モノマーCを含み、モノマーCは、段階a)の混合物中に存在する組み合わされたモノマーAおよびCに対する、モノマーCのモル比0.05mol%~10.00mol%、好ましくは0.10mol%~10.00mol%、優先的には0.25mol%~7.00mol%、好適には0.50mol%~5.00mol%で存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階a)の混合物は、イソフタル酸以外のジカルボン酸、例えばテレフタル酸、もしくはそのジアルキルジエステルのうちの1種、例えばそのジメチルジエステル、例えばテレフタル酸ジメチル、および/または少なくとも1種のジオールを含み、該ジオールは、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールもしくはそれらの混合物から選ばれ、好適なジオールは、エチレングリコールである、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
段階a)を行う際の温度は、150~350℃、好ましくは200~300℃、好適には250~285℃である、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
段階a)を行う際の圧力は、0.05~1.0MPa、好ましくは0.1~0.5MPaである、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
段階b)は、1回または複数回の重縮合副段階、例えば少なくとも1回の液相または溶融相の重縮合の副段階を含み、場合によっては、少なくとも1回の固相重縮合の副段階が続けられる、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
段階b)は、少なくとも1つの重合セクションを実施し、液相または溶融相で、段階a)を行う温度より高い温度で、好ましくは190~400℃、優先的には220~350℃、好適には265~300℃の温度で、好ましくは0.01~100.00kPa、好ましくは0.05~10.00kPaの圧力で操作する、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
段階b)を、重合触媒の存在中で行い、該重合触媒は、好ましくは、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムおよび/または酢酸マンガンをベースとする、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル、特に、ボトル、包装またはコーティングの用途、例えば食品容器の用途に特に適した熱可塑性ポリエステルの製造のための方法に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも2種のジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマーの混合物からのポリエステルの製造のための方法に関する。非常に有利には、2種のジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマーの少なくとも一方は、ポリエステルのリサイクルのための方法から、特に、ポリエステル供給原料、例えば廃棄物および/または消費後のポリエステルを含んでいるポリエステル供給原料の脱重合のための方法から生じる。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate:PET)のケミカルリサイクルは、廃棄物のかたちで回収されたポリエステルを、重合方法の供給原料として後に用いられることができるモノマーに分解することを標的とされた数多くの研究の対象となっている。
【0003】
ポリエステルの脱重合から特に生じた生成物、例えば、ジオール、二酸またはジエステルのモノマーあるいはまたオリゴマーの重合の方法も、PETを得るために、数多くの研究の対象となっている。
【0004】
特に、特許文献1には、高品質PETの製造のための方法が開示されており、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(bis(2-hydroxyethyl) terephthalate:BHET)を含んでいるエステル化媒体へのエチレングリコールおよびテレフタル酸の連続的な給送の段階を含んでいる。特許文献2には、その一部について、BHETの混合物および芳香族ポリカルボン酸の混合物のエステル化を含んでいる方法が提供されている。特許文献3および4には、それぞれに、二酸混合物によるテレフタル酸ビス(ヒドロキシアルキル)モノマーのエステル化と、その後に続く重縮合とによる、難燃性の染色ポリエステルの調製のための方法が開示されており、二酸混合物は、芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸と、それぞれに、カルボキシホスフィン酸およびスルホナート基を含有している染色された芳香族ジカルボン酸、例えば、スルホテレフタル酸とを含んでいる。特許文献5には、テレフタル酸ジヒドロキシアルキルモノマー、特にBHETと、短鎖C2~C9ジオール、特にエチレングリコールまたはジエチレングリコールとを含んでいるジオール組成物のジカルボン酸、例えば、フタル酸との重縮合によるポリエステルポリオールの製造が開示されている。最後に、特許文献6には、混合物中に多量である第1のジオールテレフタラートモノマーと、混合物中に少量であるテレフタル酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル2-ヒドロキシエチル(BHET-DEG)からなる第2のモノマーとを含んでいる混合物の2つの反応相における重合によるポリエステルの製造のための方法が提供され、その第1のエステル化相は、適温で実行される。
【0005】
これらの文献は、BHETの混合物のジオールおよび/またはカルボン酸化合物との重合について提供するが、前記BHETであるテレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)のそのメタ異性体、すなわちイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)との反応によるポリエステルの調製も、エステル化相の間にメタ芳香族ユニットの割合を調節する方法も教示していない。
【0006】
同様に、特許文献7には、ポリエステルの製造が開示されており、大気圧で、エチレングリコールの存在中、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)塩基中でのPETフレークのグリコリシスによる脱重合を含んでいる。脱重合段階の終結の際に得られる中間生成物は、焼結フィルタに通してろ過され、少なくとも25μmの粒子を保持した後に、重合反応器に導入され、ポリエステルを得る。特許文献8には、モノエチレングリコール(monoethylene glycol:MEG)およびネオペンチルグリコールの混合物の存在中でのPETの脱重合の段階と、それに直接続く反応流出物の重合の段階を含んでいるグリコール改変ポリエチレンテレフタラート(r-GPET)の調製のための方法が開示されている。特許文献9には、その一部について、エチレングリコールの存在中でのグリコリシスによるポリエステル供給原料の脱重合のための方法が記載されており、0.1重量%~10重量%の色素を特に含んでいる。特異的な分離・精製段階の後に得られるテレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)モノマー流出物は、PETを製造するという目的のために重合段階に給送することができる。特許文献10には、PETからの精製済みBHETの製造が記載されており、得られるBHETは、プラスチックの製造のための方法における出発物質として用いられることが可能である。特許文献11には、高品質ポリエステルの製造のための出発物質としての高純度テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)の任意選択の使用が開示されており、BHETは、ポリエステルの脱重合によって得られる。
【0007】
それらには、グリコリシスによるPETの脱重合から生じた生成物の重合が開示されているが、引用された文献には、PETの脱重合から生じた中間生成物の品質について、特に、ジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマーのパラおよびメタの異性体の存在について何らの情報も与えられていない。
【0008】
非特許文献1による研究において、著者らは、イソフタル酸(isophthalic acid:IPA)が、PETの結晶化挙動に影響を及ぼすコモノマーであることを報告している。それは、最大5mol%の量でPETに導入され、射出成形中および延伸ブロー成形中の結晶化挙動を抑制し、これにより、透明で光沢があるボトルを得ることが可能となる。特許文献12には、ボトルの包装に許容される光学的透明度を提供するために、従来のPET樹脂が、多くの場合、コモノマー、例えば、イソフタル酸(IPA)を含有していることが確認されている。コモノマーの役割は、PET鎖の直線性を破壊し、そのために、結晶化の傾向を低減させることにある。結晶化の低下により、ヘイズを改善すること(例えば、ヘイズ値の低下)、および光学特性を改善すること(例えば、光度の上昇および/または可視光の透過の増加)が可能になる。少量、例えば1重量%~10重量%のIPAコモノマーにより、ポリマーの特性をかなり改変することが可能となる。
【0009】
しかしながら、従来技術の文献のいずれにも、プラスチック、特にポリエステルのリサイクルから生じ得る出発物質を特に用いて、包装用途、より詳細にはボトルタイプの用途に適合できる配合物を示している、ポリエステルの製造のための簡単な方法は、提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4001187号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0002632号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0106567号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2020/031992号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2020/055982号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0340041号明細書
【特許文献7】メキシコ特許出願公開第2007/004429号明細書
【特許文献8】国際公開第2017/006217号
【特許文献9】仏国特許出願公開第3053691号明細書
【特許文献10】特許第3715812号公報
【特許文献11】欧州特許第1120394号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2020/079900号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Scheirs J.およびLong T.E.著、"Modern Polyesters: Chemistry and Technology of Polyesters and Copolyesters"、Chichester、John Wiley & Sons Ltd、2003、p.750(Wiley Series in Polymer Science)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明の主題は、ポリエステルの製造のための方法であって、以下を含んでいる方法にある:
a) 式1のモノマーAと、式2のモノマーBとを含んでいる混合物または式1のモノマーAと、式2のモノマーBと、イソフタル酸とを含んでいる混合物のエステル化の段階;オリゴマー中間体を得る;
式1
【0013】
【0014】
式2
【0015】
【0016】
式中、R1は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH2)n-;式中、nは、2~4の整数である、
-(CH2-CHR2)-;式中、R2は、1~6個の炭素原子(C1~C6)を含む直鎖または分枝のアルキル基およびフェニル基から選ばれる、
b) オリゴマー中間体の重縮合の段階。
【0017】
本発明の利点は、結晶化挙動の低下および融点の低下に対応するメタユニットの含有率を示し、射出成形および/または射出ブロー成形の方法に少なくとも適したポリエステルの製造のための簡単な方法を提供することにあり、それ故に、それを、包装用途、より詳細にはボトルタイプの用途に適合可能にさせることにある。特に、本発明による方法を用いることによって得られるポリエステル、好ましくはPETのメタユニットの含有率は、有利には、ポリエステルの基本ユニットの全てに対して、0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0、mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%である。ボトルは、次いで、既知の射出-延伸ブロー成形方法による本発明の方法にしたがって得られるポリエステルにより製造されることができ、製造されたボトルは、クリアで透明感のある外観を有する。
【0018】
本発明の別の利点は、出発物質、特にジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマーの起源にあり、これは、任意の既知の供給源、特にプラスチック汚染に対抗するために近年国内・国際機関により設定されたプラスチックのリサイクルのためのネットワークに由来し得る。これは、本発明にしたがってポリエステルを調製するために用いられるジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマーの少なくとも一方、またはその両方が、ジオールまたはメタノールの存在中でのポリエステル、例えば、PETの脱重合のための方法から生じ得るからである。それ故に、本発明による方法は、ポリエステル材料のリサイクル、それ故に、プラスチック汚染に対する戦いに寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態の説明)
本発明によると、用語「ジエステルモノマー」、「芳香族ジエステルモノマー」および「ジヒドロキシル芳香族ジエステルモノマー」は、互換性があり、互いに縮合されて、標的とされるポリエステルを形成することができるモノマー化合物を示す。より具体的には、本発明によるジエステルモノマーは、テレフタル酸またはイソフタル酸に由来し、ジオール、好ましくはモノまたはポリのアルキレングリコール、優先的にはモノアルキレングリコールに由来するジエステル化合物であり、用語「由来する(derived)」は、このケースにおいて、化合物が、テレフタル酸またはイソフタル酸の前記ジオールとの縮合から生じ得ることを意味する。それ故に、本発明によるジエステルモノマーは、パラ位またはメタ位において、それ自体、それぞれヒドロキシル基を含んでいるエステル基によって二重に置換された芳香環を含む。本発明による特定のジエステルモノマーは、特に、式1のモノマーA、式2のモノマーBおよび式3のモノマーCである。
式1
【0020】
【0021】
式2
【0022】
【0023】
式3
【0024】
【0025】
式中:
R1は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH2)n-;式中、nは、2~4の整数であり、好ましくは2に等しい、
-(CH2-CHR2)-;式中、R2は、1~6個の炭素原子(C1~C6)、好ましくは1~3個の炭素原子(C1~C3)、好ましくは2個の炭素原子(C2)を含んでいる直鎖または分枝のアルキル基、およびフェニル基から選ばれる、
R3は、以下からなる群から選ばれる:
R1基
-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基;式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しい;好ましくは、-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基は、ジエチレングリコールの誘導体である(すなわち、ジエチレングリコールから生じる)(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)か、トリエチレングリコールの誘導体である(すなわち、トリエチレングリコールから生じる)(すなわち、-CH2-CH2-(O-CH2-CH2)2-))、
-(CH2-CH(CH3)2-CH2)-基、および
-CH2-C6H10-CH2-基;式中、-C6H10-は、有利には二置換シクロヘキシルである、
R4は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基;式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しい;好ましくは、-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基は、ジエチレングリコールの誘導体である(すなわち、ジエチレングリコールから生じる)(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)か、トリエチレングリコールの誘導体である(すなわち、トリエチレングリコールから生じる)(すなわち、-CH2-CH2-(O-CH2-CH2)2-))、
-(CH2-CH(CH3)2-CH2)-基、および
-CH2-C6H10-CH2-基;式中、-C6H10-は、有利には二置換シクロヘキシルである。
【0026】
大いに好ましくは、モノマーAは、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)であり、モノマーBは、イソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(bis(2-hydroxyethyl) isophthalate:BHEI)である。
【0027】
本発明によると、用語「テレフタル酸ユニット」および「パラユニット」は互換性があり、芳香核を含んでいるポリエステルまたはモノマーのユニット(それ故に、芳香族ユニットと呼ばれるユニット)を示し、芳香核は、パラ位で置換されている。
【0028】
本発明によると、用語「イソフタラートユニット」および「メタユニット」は互換性があり、芳香核を含んでいるポリエステルまたはモノマーのユニット(それ故に芳香族ユニットと呼ばれるユニット)を示し、芳香核は、メタ位で置換されている。
【0029】
本発明によると、用語「ポリエステル」は、有利には、飽和の熱可塑性ポリマー(熱硬化性ポリマーとは対照的)を示し、基本の繰り返しユニットとして、ジオールエステル、より詳細には少なくともアルキレンテレフタラートユニットであって、そのアルキレンエステル基は、芳香核上のパラ位に位置しているもの、およびアルキレンイソフタラートユニットであって、そのアルキレンエステル基は、芳香核上のメタ位に位置しているものである。好ましくは、アルキレンテレフタラートユニットは、アルキレンイソフタラートユニットに対して、主ポリマー鎖において優勢であり、これは、アルキレンテレフタラートユニットが、アルキレンフタラートユニットに対して(すなわち、組み合わされたアルキレンテレフタラートおよびアルキレンイソフタラートのユニットに対して)、ポリマー鎖中に存在する基本ユニットの最低60mol%、好ましくは最低80mol%、優先的には最低90mol%、好適には最低95mol%を表すことを意味する。好適な方法において、アルキレンイソフタラートユニットは、主ポリマー鎖において、アルキレンテレフタラートユニットに対して少数派であり、アルキレンフタラートユニットに対して(すなわち、組み合わされたアルキレンテレフタラートおよびアルキレンイソフタラートのユニットに対して)ポリマー鎖中に存在する基本ユニットの0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%を表す。それ故に、本発明によると、用語「ポリエステル」は、ポリアルキレンテレフタラートを示すために用いられ、その鎖内にアルキレンイソフタラートユニットが見出される。本発明によるポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタラートPET、ポリブチレンテレフタラートPBTまたはポリトリメチレンテレフタラートPTTであり得、これらのポリエステルのそれぞれは、アルキレンイソフタラートユニット、それぞれエチレンイソフタラート、ブチレンイソフタラートまたはトリメチレンイソフタラートのユニットも含む。本発明によるポリエステルは、ポリマーにとって望ましい最終的な特性により、および標的とされる用途により、その主ポリマー鎖上に他のユニット、例えば、ビニルまたはポリオールのユニットを含むこともできる。本発明によると、好適なポリエステルは、単にPETとも呼ばれるポリエチレンテレフタラートであり、その主パラ基本繰り返しユニットは、式4のものであり、主ポリマー鎖上に、式5の少なくとも1つの少数派メタ基本ユニットを含む:
式4
【0030】
【0031】
式5
【0032】
【0033】
本発明によると、用語「ジオール」および「グリコール」は、区別なしで用いられ、2個のヒドロキシルOH基を含み、好ましくは2~12個の炭素原子、優先的には2~4個の炭素原子を含んでいる化合物に相当する。好適なジオールは、エチレングリコールであり、モノエチレングリコールまたはMEGとも呼ばれている。
【0034】
本発明によると、表現「AとBとの間の、またはA~Bの(of between A and B)」および「AとBとの間、またはA~B(between A and B)」は、同等であり、間隔の両限界値(A、B)は、記載された値の範囲内に含まれることを意味する。もしそのようになっていなかったならば、および両限界値が記載された範囲内に含まれなかったならば、そのような情報が本発明によって導入されることになる。
【0035】
本発明の意義の範囲内で、所与の段階についてのパラメータの種々の範囲、例えば、圧力の範囲および温度の範囲は、単独でまたは組み合わせで用いられ得る。例えば、本発明の意義の範囲内で、好適な圧力値の範囲は、より好適な温度値の範囲と組み合わされ得る。
【0036】
本文の続きにおいて、本発明の特定のかつ/または好適な実施形態が記載されることになる。それらは、別々にまたは一緒に組み合わされて実施され得、これが技術的に実現可能である場合に組み合わせの制限はない。
【0037】
本発明によると、圧力は、絶対圧力であり、MPaで与えられる。
【0038】
本発明は、それ故に、ポリエステルの製造のための方法であって、以下を含み、好ましくはそれらからなる方法に関する:
a) 式1のモノマーAと、式2のモノマーBとを含んでいる混合物または式1のモノマーAと、式2のモノマーBと、イソフタル酸(IPA)とを含んでいる混合物のエステル化の段階;好ましくは、混合物中に存在する(特にメタおよびパラの位置で置換された)組み合わされた芳香族ユニットに対して、メタ位で置換された芳香族ユニットのモル比(メタ/[メタ+パラ])0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%で行い、前記モル比は、より具体的には、混合物中に存在するモノマーBのモル数およびイソフタル酸のモル数対混合物中に存在し、かつ芳香環を有するモノマーの全モル数、それ故に、特にモノマーA、モノマーBおよびイソフタル酸の全モル数の比に相当する;オリゴマー中間体を得る;
式1
【0039】
【0040】
式2
【0041】
【0042】
式中、R1は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH2)n-;式中、nは、2~4の整数であり、好ましくは2に等しく、その結果、R1は、エチレン基である、
-(CH2-CHR2)-;式中、R2は、1~6個の炭素原子(C1~C6)、好ましくは1~3個の炭素原子(C1~C3)、好ましくは2個の炭素原子(C2)を含んでいる直鎖または分枝のアルキル基、およびフェニル基から選ばれる、
b) オリゴマー中間体の重縮合の段階。
【0043】
段階a)の混合物は、モノマーBを、組み合わされたモノマーAおよびモノマーBに対するモノマーBのモル比(モノマーB/[モノマーA+モノマーB])10mol%以下、より具体的には0.01mol%~10.0mol%、好ましくは0.05mol%~7.00mol%、好適には0.05mol%~5.00mol%で含むことができる。段階a)の混合物中のモノマーBの量が少な過ぎるならば、特に段階a)の混合物中に存在する組み合わされたモノマーAおよびモノマーBに対するモノマーBのモル比(モノマーB/[モノマーA+モノマーB])が0.1mol%未満であるならば、段階a)の混合物は、モノマーAおよびモノマーBに加えて、イソフタル酸を含み、0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%の(メタ/[メタ+パラ])モル比を達成するようにする。同様に、段階a)の混合物中に存在する組み合わされたモノマーAおよびモノマーBに対するモノマーBのモル比(モノマーB/[モノマーA+モノマーB])が、0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%であるならば、段階a)の混合物は、モノマーAおよびモノマーBのみを含むことができるか、またはそれはイソフタル酸をさらに含むことができ、混合物の(メタ/[メタ+パラ])モル比を0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%の正確な値に調節する。
【0044】
本発明の好適な実施形態によると、モノマーAは、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)であり、モノマーBは、イソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHEI)であり、R1基は、エチレン-(CH2-CH2)-基である。好ましくは、BHEIは、段階a)の混合物中に、段階a)の前記混合物中に存在する組み合わされたモノマーBHETおよびBHEIのモル量に対して、0.01mol%~10.00mol%、優先的には0.05mol%~7.00mol%、好適には0.05mol%~5.00mol%のモル量で存在する。このケースにおいて、本発明による方法によって製造されたポリエステルは、ポリエチレンテレフタラートまたはPETであり、これは、有利には、エチレンテレフタラートユニットから構成され(パラ位での芳香核の置換)、エチレンイソフタラートユニットを含んでいる(メタ位での芳香核の置換)。そのようなPETは、有利には、エチレンイソフタラートユニットを含んでいないPETのものよりも低い結晶化度および融点を示す。それ故に、エチレンテレフタラートユニットに加えてエチレンイソフタラートユニットを含むPETが包装用途、特にボトル用途に適合できるのは、射出ブロー成形方法に適しており、クリアで透明なボトルを得ることを可能にするからである。
【0045】
非常に有利には、モノマーAおよびBの少なくとも一方は、熱可塑性ポリエステル、好ましくは、収集・選別チャネルから得られたもの(すなわち、廃棄物、特に、プラスチック廃棄物のリサイクルのためのシステムに属するチャネルから得られたもの)の、特に、ジオールの存在中での脱重合のための方法によって得られることができる。特には、段階a)の混合物は、BHETおよびBHEIを含み、当該混合物の少なくともBHET、好ましくはBHETおよびBHEIは、ポリエステル、好ましくはPETの処理のための方法から得られ、当該方法は、ジオール、好ましくはエチレングリコールの存在中、またはメタノールの存在中、好適にはジオールの存在中、特にエチレングリコールの存在中での、ポリエステル、好ましくはPETを含んでいるポリエステルの脱重合を含み、前記処理方法は、場合によっては、本発明による方法の重合段階と適合できる精製済みBHETまたはBHETとBHEIとの精製済み混合物を得るように精製段階を含む。
【0046】
本発明の特定の実施形態によると、段階a)の混合物は、式3のモノマーCをさらに含むことができる:
式3
【0047】
【0048】
式中:
R3は、以下からなる群から選ばれる:
R1基、
-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基
【0049】
【0050】
式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しい;好ましくは、-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基は、ジエチレングリコールの誘導体(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)であるか、または、トリエチレングリコールの誘導体(すなわち、-CH2-CH2-(O-CH2-CH2)2-)である)、
-(CH2-CH(CH3)2-CH2)-基
【0051】
【0052】
および
-CH2-C6H10-CH2-基
【0053】
【0054】
式中、-C6H10-は、有利には二置換シクロヘキシルである、
R4は、以下からなる群から選ばれる:
-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基;式中、mおよびnは、整数であり、mは、1~4であり、好ましくは1または2に等しく、nは、2~4であり、好ましくは2に等しく、好適には、-(CH2)n-(O-(CH2)n)m-基は、ジエチレングリコールの誘導体、例えば、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-であるか、またはトリエチレングリコールの誘導体、例えば、-CH2-CH2-(O-CH2-CH2)2-である、
-(CH2-CH(CH3)2-CH2)-基、および
-CH2-C6H10-CH2-基、式中、-C6H10-は、有利には、二置換シクロヘキシルである。
【0055】
大いに好ましくは、R3は、R1基、特にエチレン-CH2-CH2-基であり、R4は、ジエチレングリコールの誘導体、すなわち-CH2-CH2-O-CH2-CH2-である。
【0056】
この特定の実施形態において、段階a)における混合物は、モノマーCを、好ましくは、段階a)の混合物中に存在する組み合わされたモノマーAおよびCに対するモノマーCのモル比(モノマーC/[モノマーA+モノマーC])0.05mol%~10.00mol%、好ましくは0.10mol%~10.00mol%、優先的には0.25mol%~7.00mol%、好適には0.50mol%~5.00mol%で含む。
【0057】
別の特定の実施形態によると、段階a)の混合物は、イソフタル酸以外の少なくとも1種のジカルボン酸、例えばテレフタル酸(PTA)、またはそのジアルキルジエステルの1種、例えばそのジメチルジエステル、例えばテレフタル酸ジメチル、ならびに/または少なくとも1種のジオール、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの混合物から選ばれるものをさらに含むことができる。好ましくは、段階a)の混合物は、テレフタル酸(PTA)、および場合による少なくともエチレングリコールをさらに含む。
【0058】
この実施形態において、段階a)の混合物に導入されるテレフタル酸(PTA)の量は、組み合わされた芳香族ユニット、特に、モノマーA、PTA、モノマーB、IPAおよび段階a)の混合物中にモノマーCが存在するならば任意選択にモノマーCによって寄与される組み合わされた芳香族ユニットに対するメタユニニット、特に、モノマーBおよびイソフタル酸(IPA)によって寄与されるメタユニットのモル比率(メタユニット/[メタユニット+パラユニット])は、好ましくは0.1mol%~10.0mol%、優先的には0.25mol%~7.0mol%、好適には0.5mol%~5.0mol%になるようにされる。
【0059】
有利には、段階a)が行われる際の温度は、150~350℃、好ましくは200~300℃、好適には250~285℃であり、好ましくはその際の圧力は、0.05~1.0MPa、好ましくは0.1~0.5MPaである。非常に有利には、段階a)は、滞留時間0.5~10.0時間、好ましくは1.0~6.0時間で行われ、滞留時間は、ここでは、段階a)において実施される反応器の反応容積対前記反応器から出るオリゴマー中間体を含んでいる液状流れの容積流量の比として定義される。
【0060】
重合触媒、好ましくは、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムおよび/または酢酸マンガンをベースとするものが、場合によっては、段階a)に導入され得る。
【0061】
段階a)において行われる反応により、ジオール化合物が生じ、これは、有利には、段階a)の間に、例えば、抜き出し、蒸留および/または吸着によって分離される。水も形成され得るのは、特に、モノマーAおよびB、および場合によるCを含んでいる段階a)の混合物が、ジカルボン酸、例えば、イソフタル酸および/またはテレフタル酸をさらに含む場合である。その時に形成された水自体も、有利には、段階a)の間に分離される。
【0062】
有利には、本発明によるポリエステルの製造のための方法は、段階a)において得られたオリゴマー中間体の重縮合の段階b)を含み、段階b)について、1回または複数回、好ましくは1回または2回の重縮合の副段階、例えば、少なくとも1回、好ましくは1回の液相または溶融相の重縮合の副段階を有利に含むことが可能であり、場合によっては、少なくとも1回、好ましくは1回の固相重縮合の副段階液が続けられる。
【0063】
非常に有利には、重縮合段階b)は、少なくとも1つの重合セクション、好ましくは1つまたは2つの重合セクションを実施し、有利には、液相または溶融相で操作され、前記1つまたは複数の重合セクションは、段階a)が行われる際の温度よりも高い温度、好ましくは190~400℃、優先的には220~350℃、好適には265~300℃の温度で、好ましくは0.01~100.00kPa、優先的には0.05~10.00kPaの圧力で、好適には、0.1~5.0時間、好ましくは0.5~4時間、優先的には1.0~3.0時間の滞留時間で実施される。本発明によると、段階b)の重合セクション中の滞留時間は、前記重合セクションにおいて実施された反応器の反応容積対前記反応器から出る製造されたポリエステルを含んでいる液状流れの容積流量の比として定義される。
【0064】
重合反応は、場合によっては、重縮合セクションにおいて継続されることができる。重縮合セクションは、重合セクションの下流に位置し、固相で、好ましくは190~250℃、優先的には200~230℃の温度(特に生成物温度)で操作される。この操作が連続的にかまたはバッチ式で行われるかに応じて、重縮合セクションは、好ましくは、不活性雰囲気下、例えば窒素流れ下、大気圧に近い圧力、または真空下で(特に圧力0.01~100kPaで、さらには0.01~10kPaで)操作されることができる。滞留時間(生成物が前記重縮合セクションにおいて重縮合条件に供される間の時間として定義される)は、5~20時間、好ましくは10~16時間である。前記重縮合セクションの前に、有利には、結晶化セクションを置くことができ、それ故に、重合セクションと重縮合セクションとの間に位置することができ、重合セクションの終わりに得られた、形成されたポリエステルは、有利には結晶化され、前記結晶化セクションは、好ましくは110~210℃の温度で、滞留時間(生成物が前記セクションにおいて結晶化条件に供される間の時間として定義される)好ましくは0.5~6時間にわたって操作されることが可能である。
【0065】
段階b)は、好ましくは、重合触媒の存在中で行われ、特に、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムおよび/または酢酸マンガンをベースとしている。
【0066】
添加物が重縮合段階b)に導入されることができる。任意選択に段階b)に導入される添加物は、例えば、以下であることができる:エーテル化副反応を阻害する試剤、例えば、アミン(n-ブチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはトリエチルアミン)、水酸化ナトリウムまたは有機水酸化物または炭酸リチウム、安定化剤、例えば、亜リン酸塩またはリン酸塩、および分解生成物の量を低減させるためのポリアミドタイプの化合物、例えば、アセトアルデヒド。
【0067】
本発明による方法により、ポリエステル、有利には、メタユニットの含有率:得られたポリエステルの組み合わされた基本ユニットに対して、0.1mol%~10.0mol%、好ましくは0.25mol%~7.0mol%、優先的には0.5mol%~5.0mol%を有するポリエステルを得ることがこのように可能となり、これにより、得られたポリエステルが、満足のいく機械的特性または射出成形および/または射出ブロー成形方法に適した少なくとも機械的特性を保持しながら、結晶化度および融点の低下を示すことが可能となり、これによりそれ故に、包装用途、より詳細にはボトルタイプの用途に適合できる。特に、本発明による方法は、プラスチック廃棄物をリサイクルするためのチャンネルに組み入れられ得る。それは、有利には、ポリエステルの脱重合から生じたモノマーを用いて、簡易な方法で標的とされたポリエステルを調製することができるからである。
【0068】
以下の実施例は、本発明を例証するが、その範囲を限定するものではない。
【0069】
(実施例)
(実施例1:本発明に合致する)
BHETとBHEIの混合物を、BHEI/[BHET+BHEI]=2.2±0.1mol%になるようにし、これを、エステル化段階a)に関与させ、当該段階a)を、275℃で、0.15MPa下に、250ppmのSb2O3触媒の存在中、99分かけて行う。
【0070】
反応媒体を、続けて、第1の重縮合段階に、285℃の温度および、0.1kPaの圧力に105分にわたって供する。
【0071】
この第1の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルは、組み合わされた芳香族ユニットに対するメタユニットの割合2.2±0.1mol%を示す。
【0072】
続いて、125℃で(すなわち、顆粒の温度で)2時間にわたる結晶化の予備的段階の後に、第1の重縮合段階の終わりに得られた先のポリエステルを、窒素流通下、200℃、大気圧での固相重縮合段階に関与させる。
【0073】
第2の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルのメタユニットの割合は、組み合わされた芳香族ユニットに対して、2.2±0.1mol%であり、これは、包装用途、特にボトルタイプの用途に完全に適合できる。
【0074】
(実施例2:本発明に合致しない)
BHETとBHEIの混合物を、BHEI/[BHET+BHEI]=0.2mol%になるようにし、これを、エステル化段階a)に関与させる。エステル化段階a)を、275℃で、0.15MPa下に、250ppmのSb2O3触媒の存在中、75分かけて行う。
【0075】
反応媒体を、続けて、第1の重縮合段階に、285℃の温度および0.1kPaの圧力に120分にわたって供する。
【0076】
この第1の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルは、組み合わされた芳香族ユニットに対するメタユニットの割合0.2mol%を示す。
【0077】
続いて、125℃で(すなわち、顆粒の温度で)2時間にわたる結晶化の予備的段階の後に、第1の重縮合段階の終わりに得られた先のポリエステルを、窒素流通下、205℃、大気圧での固相重縮合段階に関与させる。
【0078】
第2の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルのメタユニットの割合は、組み合わされた芳香族ユニットに対して、0.2mol%であり、これは、低い割合であり、包装用途、特にボトルタイプの用途にあまり適合できない。
【0079】
(実施例3:本発明に合致する)
BHETとBHEIの混合物を、BHEI/[BHET+BHEI]=0.2mol%になるようにし、これを、エステル化段階a)に関与させ、当該段階a)を、275℃で、0.15MPa下に、86分かけて、250ppmのSb2O3触媒の存在中、(BHEI+IPA)/(BHEI+IPA+BHET)=2.3mol%になるようにして行う。
【0080】
反応媒体を、続けて、第1の重縮合段階に、285℃の温度および0.1kPaの圧力に73分にわたって供する。
【0081】
この第1の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルは、組み合わされた芳香族ユニットに対して、メタユニットの割合2.3mol%を示す。
【0082】
続いて、125℃で(すなわち、顆粒の温度で)2時間にわたる結晶化の予備的段階の後に、第1の重縮合段階の終わりに得られた先のポリエステルを、窒素流通下、205℃、大気圧での固相重縮合段階に関与させる。
【0083】
第2の重縮合段階の終わりに得られたポリエステルのメタユニットの割合は、組み合わされた芳香族ユニットに対して、2.3mol%であり、これは、包装用途に完全に適合できる。
【国際調査報告】