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特表2024-543629電気機械の積層コアを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電気機械の積層コアを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20241114BHJP
   C21D 8/12 20060101ALI20241114BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01F41/02 B
C21D8/12 A
H01F27/245
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534282
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022081739
(87)【国際公開番号】W WO2023104431
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021213935.3
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ケーネ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ラムマイアー,ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
4K033
5E062
【Fターム(参考)】
4K033AA01
5E062AC01
(57)【要約】
電気機械の積層コア(1)を製造するための方法において、鉄材料をベースとする金属板薄板(4、5)が、熱処理により、シリコンを含む合金材料(16)と合金化される。ここで、熱処理前に、酸化アルミニウム箔層(8、9)を有し、それぞれ少なくとも部分的に合金材料でコーティングされたアルミニウムベースの箔薄板(6、7)が、金属板薄板(4、5)の間に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層コアを製造するため、特に、積層コア(1)の金属板薄板(4、5)を後で合金化するため、および電気機械の、特に固定子または回転子の前記積層コア(1)の前記金属板薄板(4、5)上にまたは前記金属板薄板(4、5)間に絶縁層(8、9)を後で生成するための方法であって、
- アルミニウムの支持箔(10)と、天然のまたは生成された酸化アルミニウム箔層(8)とをそれぞれ備え、少なくとも片面(12、13)に箔コーティング(17)をそれぞれ有する箔薄板(6、7、10、11)を提供するステップであって、前記箔コーティング(17)が、合金材料(16)、特にシリコン、接着結合剤、および特にさらに粉末状の酸化アルミニウムを含む、ステップと、
- 特に電気的に絶縁されていない前記積層コア(1)の金属板薄板(4、5)を提供するステップと、
- 隣接する金属板薄板(4、5)の間にそれぞれ少なくとも1つの箔薄板(6、7、11)が位置するように、金属板薄板(4、5)と箔薄板(6、7、11)とを交互に積み重ねるステップと、
- 金属板薄板(4、5)と箔薄板(6、7、11)との積層体を加熱、特に熱処理するステップとを含み、
a)前記箔薄板(6、7、10、11)の前記支持箔(10)からのアルミニウムが、前記支持箔(10)の溶解と共に、前記それぞれの隣接する金属板薄板(4、5)の金属内に拡散し、前記箔薄板(6、7、11)の前記箔コーティング(17)からの前記合金材料(16)が、特定の深さ(25、26)で、前記隣接する金属板薄板(4、5)の金属内に拡散して、合金領域(23、24)を形成し、
b)前記箔薄板(6、7、11)の前記酸化アルミニウム箔層(8)または前記箔コーティング(17)からの酸化アルミニウムが残り、前記金属板薄板(4、5)の間に絶縁層(27)を形成する、
方法。
【請求項2】
前記箔薄板(6、7、11)の形状および/または面積が、前記金属板薄板(4、5)の形状および/または面積に対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルミニウムベースの前記箔薄板(6、7、10、11)が、アルミニウム箔(11)から切り出されており、または切り出され、前記アルミニウム箔(11)が、少なくとも片面に前記少なくとも1つの酸化アルミニウム箔層(8、9)を備え、および/または前記アルミニウム箔(11)が、少なくとも1つの上面(14、15)において前記合金材料(16)で少なくとも部分的にコーティングされている、またはコーティングされることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
好ましくは粉末状に形成された前記合金材料(16)が、接着結合剤、特にペーストによって、および/または多糖類、特にキサンタンによって、前記箔薄板(6、7、10、11)の前記少なくとも1つの上面(14、15)に少なくとも部分的に適用されている、または適用されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの前記箔薄板(6、7、10、11)が、隣接する金属板薄板(4、5)の間に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記箔薄板(6、7、10、11)の厚さと、前記箔薄板(6、7、10、11)に適用された前記合金材料(16)および場合により電気絶縁性固体とが、前記熱処理後に、前記金属板薄板(4、5)の表面(21)の少なくとも一部(20)で、少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が少なくとも約6.5%であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下である、または少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が約4%~約5%の間であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下であるように選択されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記箔薄板(6、7、10、11)が、約5μm~約10μmの厚さを有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
合金化のための前記熱処理の前に行われる、前記コーティングされた箔薄板(6、7、10、11)が間に配置された前記金属板薄板(4、5)の熱処理が、約150℃~500℃の範囲内で1時間~約2時間行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
回転子用の積層コアにおいて、前記箔薄板(6、7、10、11)が、前記合金材料(16)で部分的にコーティングされ、前記合金材料が、前記箔薄板(6、7、10、11)の径方向内側部分(22’)よりも前記箔薄板(6、7、10、11)の径方向外側部分(20’)の近くに設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
固定子用の積層コアにおいて、前記箔薄板(6、7、10、11)が、前記合金材料(16)で部分的にコーティングされ、前記合金材料が、前記箔薄板(6、7、10、11)の前記径方向外側部分(22’)よりも前記箔薄板(6、7、10、11)の前記径方向内側部分(20’)の近くに設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械の積層コアを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3511429号明細書から、積層コアを製造するための方法が知られている。ここで、初期積層コアの金属板薄板は、少なくとも20%のアルミニウムおよび/またはシリコンの質量分率を有する箔コーティングでコーティングされる。この初期積層コアが熱処理されて、積層コアが得られる。これにより、少なくとも6.5%の質量分率に相当するシリコン含有量を有する積層コアを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3511429号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の特徴を備える積層コアを製造するための本発明による方法は、電気機械の積層コアの金属板薄板を後で合金化すること、および積層コアの金属板薄板上にまたは金属板薄板間に絶縁層を後で生成することが、低コストで可能にされるという利点を有する。このようにして、例えば4.0質量%未満の低いアルミニウムおよびシリコン含有量を有する安価な電気シートを、熱処理によって、少なくとも表面近傍の領域で例えば4.0~8.5質量%のより高いアルミニウムおよびシリコン含有量に合金化することができる。
【0005】
さらに、有利には、軟磁性を過度に悪化させることなく、積層コアの金属板薄板の電気抵抗を高めることができる。それにより、電気機械の効率が改良される。
本発明によれば、第1のステップで、箔薄板が提供され、箔薄板はそれぞれ、アルミニウムの支持箔と、支持箔上に形成された天然のまたは生成された絶縁層、例えば酸化アルミニウム箔層とを備え、それぞれ箔薄板の少なくとも片面に箔コーティングを有する。箔コーティングは、合金材料、合金材料を箔薄板に付着するための接着結合剤、および特にさらに粉末状の酸化アルミニウムを含む。
【0006】
さらに、第2のステップで、積層コアの金属板薄板が提供され、これらは特に電気的に絶縁されておらず、これは、電気的に絶縁されている従来の形態と異なる。金属板薄板がラッカー絶縁材を有する場合、拡散が妨げられる可能性があり、また望ましくないことにラッカー層からの炭素が金属板に侵入するおそれがあるので、ラッカー絶縁材を除去する必要がある。
【0007】
第3のステップで、隣接する金属板薄板の間にそれぞれ少なくとも1つの箔薄板が位置するように、金属板薄板と箔薄板との交互の積み重ねが行われる。
さらに、第4のステップで、金属板薄板および箔薄板の積層体の加熱、例えば熱処理が行われ、
- 支持箔の溶解と共に、箔薄板の支持箔からのアルミニウムが、特定の深さで、それぞれ隣接する金属板薄板の金属内に拡散し、箔薄板の箔コーティングからの合金材料が、特定の深さで、隣接する金属板薄板の金属内に拡散して、合金領域を形成し、
- 箔薄板の酸化アルミニウム箔層または箔薄板の箔コーティングからの酸化アルミニウムが残り、金属板薄板の間に絶縁層を形成する。
【0008】
箔薄板の形状および/または面積が、金属板薄板のそれぞれ形状および/または面積に対応すると有利である。これにより、個々の層の幾何形状に関して、特に有利な構造が達成される。
【0009】
アルミニウムベースの箔薄板が、アルミニウム箔から切り出されており、または切り出され、アルミニウム箔が、少なくとも片面に少なくとも1つの酸化アルミニウム箔層を備え、および/またはアルミニウム箔が、少なくとも片面において合金材料で少なくとも部分的にコーティングされていると有利である。したがって、特に、そのようなアルミニウム箔は、上流の製造プロセスで既にコーティングし、例えば事前に巻き取っておくことができる。ここで、箔コーティングが厚すぎないことも有利である。これにより、有利な付着性および巻取りを可能にすることができる。
【0010】
また、合金材料が、接着結合剤、特にペーストによって、および/または多糖類、特にキサンタンによって、箔薄板の少なくとも片面に少なくとも部分的に適用されていると有利である。合金材料は、好ましくは、粉末状に形成されている。それにより、アルミニウム箔への粉末状の合金材料の確実な結合を達成することができる。ここで、シリコン粉末、および場合によりさらに酸化アルミニウム粉末を、水および例えばキサンタンと混合することができる。この混合物を、例えば圧縮空気スプレーガンを用いて、アルミニウム箔の少なくとも片面に適用することができる。その後の乾燥時に水が蒸発し、混合物に残っているキサンタンが、粉末を良好に付着させる。これは、アルミニウム箔の片面または両面に対して行うことができる。
【0011】
隣接する金属板薄板の間に、少なくとも1つの箔薄板が少なくとも部分的に配置されると有利である。金属板薄板の合金化の場合、シリコンの質量分率の実質的な上昇が行われ、しかしシリコンとアルミニウムの質量分率が大きくなりすぎないことが有利である。これは、基本的に、箔コーティングに含まれているシリコンの量と比較して、(金属形態での)アルミニウムの量が多くなりすぎないことが有利であることを意味する。隣接する金属板薄板の間に両面コーティングされた箔が挿入されると、一方では、箔コーティングの厚さが大きくなりすぎずに、シリコンの量を容易に増加させることができる。これにより、特にアルミニウム箔の両面への箔コーティングの確実な付着を保証することができる。他方、酸化アルミニウム箔層の層厚の合計を容易に倍増させることができるという利点が生じる。したがって、特に、製造された積層コア内で、熱処理中、電気シート間に酸化アルミニウムの絶縁層を形成することを達成することができる。さらに、特にアルミニウム分率の増加に伴う磁歪の増加を低減または完全に防止するために、アルミニウムの質量分率を制限することも達成することができる。
【0012】
少なくとも2つの箔薄板が、隣接する金属板薄板の間に少なくとも部分的に配置されると有利である。金属板薄板の合金化の場合、シリコンの質量分率の実質的な上昇が行われ、しかしシリコンとアルミニウムの質量分率が大きくなりすぎないことが有利である。これは、基本的に、箔コーティングに含まれているシリコンの量と比較して、(金属形態での)アルミニウムの量が多くなりすぎないことが有利であることを意味する。隣接する金属板薄板の間に複数の箔薄板が挿入されると、一方では、箔コーティングの厚さが大きくなりすぎずに、シリコンの量を容易に増加させることができる。これにより、特にアルミニウム箔の対象の面への箔コーティングの確実な付着を保証することができる。他方、酸化アルミニウム箔層の層厚の合計を容易に増加させることができるという利点が生じる。これにより、例えば取扱い中に酸化アルミニウム箔層が部分的に擦り取られる、または他の形で部分的に剥落することが妨げられる。したがって、特に、製造された積層コア内で、酸化アルミニウムの絶縁層が形成されることを達成することができる。さらに、特にアルミニウム分率の増加に伴う磁歪の増加を低減または完全に防止するために、アルミニウムの質量分率を制限することも達成することができる。これは、例えば、単一の箔薄板の代わりに2つの箔薄板を使用するときに達成することができ、ここで、2つの箔薄板は、合計で、単一の箔薄板と同じ厚さを有する。例えば、10μmの厚さを有する1つの箔薄板の代わりに、それぞれ酸化アルミニウム箔層を有するそれぞれ5μmの2つの箔薄板を使用することができ、それにより、酸化アルミニウム箔層の全体の厚さを2倍にすることができる。
【0013】
また、箔薄板の厚さと、箔薄板に適用された合金材料および場合により電気絶縁性固体とが、熱処理後に、金属板薄板の表面の少なくとも一部で、少なくとも表面近傍でシリコンの質量分率が少なくとも約6.5%であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が8.5%以下であるように選択されると有利である。特に、これにより磁歪の消失を実現することができ、それにより、低い圧力感度および高い透磁率が得られる。表面近傍の合金化は、例えば、約500μmの縁部領域または縁部区域に関係することがある。高周波では渦電流も同様に表面近傍で発生するので、これは有利である。このとき、コア領域は、有利には、シリコンおよび/またはアルミニウムなしで、またはシリコンおよび/またはアルミニウムの小さい質量分率で実現することができ、それにより、コア領域における電気シートの材料は靭性を有し、したがって高い機械的耐荷重性を有する。好ましくは、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が8.5%以下である。ここで、金属板薄板の出発材料は、例えば、シリコンを約3%の質量分率で含んで形成することができる。次いで、熱処理によりシリコンの質量分率がさらに増加され、好ましくは、シリコンに関して質量分率が6.5%になる。
【0014】
さらなる可能な実施形態では、箔薄板の厚さと、箔薄板に適用された合金材料および場合により電気絶縁性固体とが、熱処理後に、金属板薄板の表面の少なくとも一部で、少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が約4%~約5%の間であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下であるように選択されると有利である。この構成は、金属板薄板に安価な材料を使用することを可能にする。特に、シリコン分率を実質的に含まない材料を用いた金属板薄板を使用することができる。その後、熱処理によってシリコンの質量分率を増加させることができる。
【0015】
シリコンの質量分率の増加は、これに必要な熱処理が通常は粒径も変えるので、金属板薄板のコア領域内までは行われないことが好ましい。したがって、粒径の変化を避けることができる。
【0016】
箔薄板が約5μm~約10μmの厚さを有し、好ましくはできるだけ薄いと有利である。ここで、例えば、1μmの酸化アルミニウム箔層を設けることができる。ここで、金属板薄板の間には、望みの数の箔薄板を挿入することができる。したがって、特に酸化アルミニウム箔層の少なくとも部分的な剥離を確実に回避することができるので、有利な取扱いが可能にされる。アルミニウム箔の酸化アルミニウム箔層の利点は、そこから、熱処理中に電気シート間に酸化アルミニウム箔層が電気絶縁層として形成されることにある。粉末の場合、電気的に十分には絶縁されていない位置ではリスクが高くなる。さらに、この形態では、熱処理後に金属板薄板内のアルミニウムの質量分率が望ましくないほど大きくなることなく、箔コーティングを比較的薄くすることができる。
【0017】
また、合金化のための熱処理の前に行われる、コーティングされた箔薄板が間に配置された金属板薄板の熱処理が、約150℃~500℃の範囲内で約1時間~約2時間行われることも有利である。これにより、接着結合剤または多糖類を確実に分解することができる。ここで、熱処理は水素の存在下で行うことができる。例えば400℃では、キサンタンは、例えば、水、一酸化炭素、二酸化炭素、およびメタンに分解され、したがって除去される。その後、例えば1250℃での熱処理により、金属板薄板へのシリコンおよびアルミニウムの拡散を行うことができる。シリコンおよびアルミニウムが完全に拡散されると、酸化アルミニウムが電気絶縁層として金属板薄板の間に残る。
【0018】
回転子用の積層コアでは、積層コアの箔薄板の径方向外側部分で、箔薄板の径方向内側部分よりも多く合金材料が提供されるように、箔薄板が合金材料で部分的にコーティングされると有利である。特に、これにより、シャフト近傍で合金化の減少を実現することができ、そこで材料は靭性を保つ。一方、シャフトから離れた位置では、より高い合金化を実現することができ、比電気抵抗が増加され、したがって再磁化損失が減少される。
【0019】
同様に、固定子用の積層コアにおいて、箔薄板が、合金材料で部分的にコーティングされ、合金材料が、箔薄板の径方向外側部分よりも箔薄板の径方向内側部分の近くに設けられていると有利である。
【0020】
添付図面を参照して、本発明の好ましい例示的実施形態を以下により詳細に説明する。図面中、対応する要素には同一の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的実施形態によるアルミニウム箔の構造の部分概略断面図である。
図2】例示的実施形態による箔コーティングを備える図1に示されるアルミニウム箔を示す図である。
図3図2に示されるアルミニウム箔を、一部巻き上げた状態で示す概略図である。
図4】製造時の例示的実施形態による積層コアの構造の部分概略断面図であり、左側部分は、熱処理前の積層コアの断面を表しており、右側部分は、熱処理後の積層コアの断面を表しており、図4AにIVで表された断面が示されている図である。
図4A】積層コア全体の概略図である。
図5】熱処理前の、修正形態による製造時の図1に示される構造を示す図であって、図4と同様に、積層コア全体の断面が示されている図である。
図6】可能な形態による、図1または図2に示される積層コアに関する、コーティングされた箔薄板の平面図である。
図7図1または図2に示される積層コアを、熱処理後の製造完了状態で示す図である。
図8A】オーステナイト安定剤に関する図が示されている、本発明を説明するための状態図である。
図8B】共晶形成物質に関する図が示されている、本発明を説明するための状態図である。
図8C】フェライト形成元素に関する図が示されている、本発明を説明するための状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、例示的実施形態によるアルミニウム箔11の構造を部分概略断面図で示す。アルミニウム箔11は、酸化アルミニウム箔層8を有する。さらに、アルミニウム箔11は支持箔10を有し、支持箔10は、酸化されておらず、したがって純粋なアルミニウムからなる。
【0023】
図2は、例示的実施形態による、箔コーティング17を備える図1に示されるアルミニウム箔11を示す。箔コーティング17は合金材料16から形成され、面12、13の一方に施されている。合金材料16はシリコンを含み、好ましくは少なくとも実質的にシリコンからなる。箔コーティング17は、さらなる成分を含んでいてもよい。シリコンなどの合金元素を含むできるだけ厚い箔コーティング17を備えた、できるだけ薄いアルミニウム箔11の形態が有利である。
【0024】
図3は、図2に示されるアルミニウム箔11を、一部巻き取った状態で示す概略図である。ここでは、図示を簡略化するために箔コーティング17は示されていない。アルミニウム箔11から箔薄板6、7が切り出され、次いで、箔薄板6、7はそれぞれ箔コーティング17でコーティングされる。
【0025】
次いで、アルミニウム箔11は、アルミニウム箔11の片面または両面12、13に酸化アルミニウム箔層8が設けられるように送給され得る。したがって、形態に応じて、面12、13の一方のみに、あるいはまた両面12、13に酸化アルミニウム箔層8、9があり得る。アルミニウム箔11は、概略的に示されているロール18に巻き取られて存在し得る。
【0026】
好ましくは、酸化アルミニウム箔層8は、面12、13の一方のみにあり、シリコンベースの箔コーティング17は、面12、13の一方のみにある。
図4は、製造時の、例示的実施形態による積層コア1の構造を部分概略断面図で示す。
【0027】
ここで、参照番号4は、積層コア1全体からの図4AにIVで示される断面を示す。
積層コア1は、特に、電気機械3の回転子2(図6)または固定子に使用することができる。このとき、そのような回転子2は、そのような積層コア1を複数備えることができる。特に、積層コア1は、自動車用の電気駆動モータ3として機能する電気機械3に適している。
【0028】
積層コア1を製造するために、本発明によれば以下の方法ステップが行われる。
第1のステップで、箔薄板6、7、10、11が提供され、箔薄板6、7、10、11はそれぞれ、アルミニウムの支持箔10、すなわちアルミニウム箔と、支持箔10上に形成された天然のまたは生成された絶縁層8、特に酸化アルミニウム箔層8とを備え、それぞれ少なくとも片面12、13に箔コーティング17を有する。箔コーティング17は、シリコンなどの合金材料16、接着結合剤、および特にさらに粉末状の酸化アルミニウムを含む。
【0029】
後続の第2のステップで、積層コア1の金属板薄板4、5が提供され、これらは特に電気的に絶縁されていない。
後続の第3のステップで、隣接する金属板薄板4、5の間にそれぞれ少なくとも1つの箔薄板6、7、11が位置するように、金属板薄板4、5と箔薄板6、7、11との交互の積み重ねが行われる。
【0030】
後続の第4のステップで、金属板薄板4、5および箔薄板6、7、11の積層体の加熱、特に熱処理が行われ、
a)支持箔10の溶解と共に、箔薄板6、7、10、11の支持箔10からのアルミニウムが、特定の深さで、それぞれ隣接する金属板薄板4、5の金属内に拡散し、箔薄板6、7、11の箔コーティング17からの合金材料16が、特定の深さ25、26で、隣接する金属板薄板4、5の金属内に拡散して、合金領域23、24を形成し、
b)箔薄板6、7、11の酸化アルミニウム箔層8または箔コーティング17からの酸化アルミニウム(Al)が残り、金属板薄板4、5の間に絶縁層27を形成する。
【0031】
第4のステップでの加熱は、例えば、放射および/または対流、誘導、または金属板薄板4、5を通る電流の流れによって行うことができる。積層コア1は、鉄系材料をベースとする金属板薄板4、5、5’を備える。
【0032】
製造時、隣接する金属板薄板4、5、5’の間にそれぞれ少なくとも1つの箔薄板6、7が配置される。図1に示される例示的実施形態では、金属板薄板4、5の間に箔薄板6が配置され、金属板薄板4、5’の間に箔薄板7が配置されている。
【0033】
好ましくは、ロール全体またはコイル全体のアルミニウム箔11がコーティングされ、再度巻き取られる。金属板薄板(電気シート)4、5とアルミニウム箔とを交互に積み重ねることによって行われる積層コア1の製造時、箔薄板6、7は、アルミニウム箔ロール11から切り取られまたは切断され、金属板薄板4、5、5’の間に置かれる。
【0034】
図示される形態では、箔薄板6は、両面12、13にそれぞれ1つの酸化アルミニウム箔層8を備える。さらに、箔薄板6の両面12、13に箔コーティング17が適用されている。
【0035】
熱処理後、図4の右側に示される状態が達成される。ここで、シリコンおよびアルミニウムが金属板薄板4、5の合金区域または領域23、24に拡散されているので、金属板薄板4、5、5’の体積はそれぞれ増加している。ここで、アルミニウムによってシリコンとの共晶を形成することができ、これは拡散を容易にする。酸化アルミニウム8は、層4、5、5’の間に残る。
【0036】
図5は、修正形態による、製造時の図1に示される構造を示し、図4と同様に、積層コア全体の断面が示されている。この形態では、箔薄板6、7をアルミニウム箔11から切り出して、隣接する金属板薄板4、5の間にそれぞれ複数の、例えば2つの箔薄板6、7を配置することができる。これには、使用されるアルミニウム箔11が、例えばその半分の厚さの純粋なアルミニウムの層10を備えるとき、隣接する金属板薄板4、5の間に、より大量の酸化アルミニウムおよび/または合金材料16を導入することができるという利点がある。したがって、それにより、取扱い性をあまり大きく損なうことなく、対応してより多くの酸化アルミニウムおよび/または合金材料16の導入を達成することができる。図示を簡略化するために、図5には箔薄板6、7の層構造は示されていない。箔薄板6、7の層構造は、図1に基づいて述べた形態から同様に得られる。箔薄板6、7は、好ましくは、合金材料16を含む箔コーティング17よりもはるかに薄い。
【0037】
箔コーティング17は、接着結合剤および/または多糖類、特にキサンタンを含むことができ、接着結合剤および/または多糖類により、合金材料16は、アルミニウム箔11およびしたがって箔薄板6、7の上面14に適用される。しかし、修正形態では、合金材料16を水性懸濁液として適用することもできる。しかし、接着結合剤および/または多糖類による適用は、複雑な幾何形状でも、通常は既に打ち抜かれている金属板薄板4、5へのより均一であり一定の適用が可能であるという利点を有する。さらなる利点は、粉末状の合金材料16が乾燥後にアルミニウム箔11および箔薄板6、7から落ちないことにある。
【0038】
合金化のための熱処理の前に行われる熱処理により、接着結合剤または多糖類を除去することができる。この熱処理は、水素雰囲気中で、約150℃~500℃の範囲内で約1~約2時間行うことができる。
【0039】
さらなる修正も考えられる。例えば、隣接する金属板薄板4、5の間に3つ以上の箔薄板6、7を配置することもできる。さらに、積層コア1の内部で構造の変形を実現することも考えられる。例えば、隣接する金属板薄板の間に常に箔薄板6、7が設けられる必要は必ずしもなく、また、隣接する金属板薄板の間に常に同数の箔薄板6、7が設けられる必要も必ずしもない。しかし、好ましくは、積層コアの一様な構造が製造時に実現される。
【0040】
アルミニウム箔11、したがって箔薄板6、7の厚さ、および箔コーティング17、特に合金材料16の形態および組成は、熱処理後に、金属板薄板5の表面21の少なくとも一部20において、少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が少なくとも約6.5%であり、シリコンとアルミニウムの質量分率が8.5%以下であるように選択される。これは、金属板薄板4についても同様である。修正形態では、シリコンの質量分率が約4%~約5%の間であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下である仕様を選択することができる。金属板薄板5の合金化は、金属板薄板5の表面21全体にわたって行うことができる。しかし、合金化は、図6を参照して以下で述べるように、金属板薄板5の表面21の一部20のみで行うこともできる。
【0041】
図6は、回転子2に関する可能な形態による、図1または図2に示される積層コア1に関する、金属板薄板5に配置されているコーティングされた箔薄板6の平面図を示す。ここで、部分20は径方向外側部分20であり、この部分20では、動作中、少なくともほぼ基本的に可能な渦電流が発生し得る。したがって、渦電流による損失を防ぐために、ここではより高い合金化が有益である。別の部分22は、表面21の径方向内側部分22である。金属板薄板5の部分20、22は、箔薄板6の部分20’、22’に対応する。ここで、箔コーティング17が箔薄板6の部分20’のみにあるように、箔薄板6に箔コーティング17を設けることができる。これは、製造後、金属板薄板5の部分20で金属板薄板5の他の部分22よりも高い合金化が実現されることを意味する。特に、それにより、金属板薄板5が例えばシャフトに押し付けられる部分22での鉄材料は、より高い機械的耐荷重性を有することができる。
【0042】
ここで、部分20でのシリコンは、電気シート5の鉄に拡散した後、その体積がなくなるわけではなく、それに対応して電気シート5の厚さが増加するので、部分22において間隙形成が生じないことが保証される。これを補償するために、例えば部分21では、酸化アルミニウム粉末などの不活性粉末を使用することができる。
【0043】
図6に基づいて述べた回転子2に関する形態は、固定子として機能する積層コア1では、同様であるが逆の様式で実現することができる。
図7は、図5に示される積層コア1を、製造完了状態で示す。同様に、図4の右側に示される積層コア1が得られる。例えば950℃~1250℃の範囲、好ましくは1000℃~1100℃で例えば10分~30分間行うことができる合金化に使用される熱処理により、金属板薄板4、5へのシリコンおよびアルミニウムの拡散が達成される。ここで、好ましくは表面近傍での拡散が達成され、金属板薄板4、5に対して、金属板薄板4、5の金属板厚さの半分よりも小さい平均浸透深さ25、26が得られる。金属板薄板4、5の間に酸化アルミニウム層27が絶縁体27として残り、酸化アルミニウムの厚さ28は予め決定可能である。金属板薄板4、5のコア29、30は、合金材料16に関してあまり合金化されていない、またはほとんど合金化されていない。
【0044】
1つの可能な形態では、アルミニウム箔11は、約5μm~約10μmの厚さを有することができる。しかし、修正形態では、例えば両面が陽極酸化されたアルミニウム箔11は、0.03mmの箔厚および5~6μmの酸化層厚さを有することもできる。例えば、1~5μmの平均粒径を有するシリコン粉末の形態での合金材料16は、そのような0.03mmの箔厚に特に適している。同様に、例えば5μmの箔厚では、1~5μmの平均粒径を有するシリコン粉末、および場合によりさらに0.5μmの平均粒径を有する酸化アルミニウム粉末を使用することができる。アルミニウム箔11は、例えば、1μmの厚さを有する酸化アルミニウム箔層と、4~5μmの金属アルミニウム層とを備えることができる。
【0045】
修正形態では、合金材料16に加えて、箔コーティング17によってアルミニウム箔11に酸化アルミニウムが適用されるとき、アルミニウム箔11の、したがって箔薄板6、7での酸化アルミニウム箔層を省くこともできる。ここで、酸化アルミニウムは、酸化アルミニウム粉末でよい。原則的には、少なくとも1つの酸化アルミニウム箔層8、9と、さらに酸化アルミニウムを含む箔コーティング17とを備えるアルミニウム箔11を使用することもできる。
【0046】
水素雰囲気中で特に1250℃まで安定しており溶融しないかぎり、箔コーティング17の電気絶縁性成分として、好ましくは電気絶縁性粉末として使用される他の電気絶縁性固体を使用することもできる。水素雰囲気中では、1300℃を超えてから、質量分率で最大20%の酸化アルミニウムの大幅な減少が生じる。1250℃の熱処理温度では、酸化アルミニウムが最大7%減少される。酸化ケイ素(SiO)およびムライト(Al(4+2x)Si(2-2x)(10-x)、ここでx=0.17~0.59)も、1250℃までの強い還元性水素雰囲気中で安定であり溶融しない。好ましくは、絶縁体27を形成するためにアルミニウムおよびシリコンの酸化物が使用される。
【0047】
箔薄板6、7は、積層コア1への積み重ねの前に、アルミニウム箔11から、金属板薄板4、5と同じ形状に打ち抜くことができる。しかし、打ち抜かれていない箔薄板6、7を金属板薄板4、5の間に積み重ねることもできる。次いで、積み重ね後、はみ出た箔を除去することができる。また、はみ出た箔が除去されず、はみ出た箔が熱処理中に溶け落ちることもあり得る。
【0048】
製造完了状態では、例えば、絶縁体27として機能する酸化アルミニウム層27は、陽極酸化されたアルミニウムの酸化物層に典型的な、層面に対して垂直な微細なチャネルを少なくとも部分的に有する。ここで、さらに、酸化アルミニウム層27の層構造は、複数の薄い部分層からなることがある。
【0049】
図8A、8B、8Cに基づいて、FeXの各状態図における、適切な合金元素Xがそれぞれのオーステナイト領域のサイズに及ぼす影響が示されている。ここで、それぞれの合金元素Xの濃度(重量%)がそれぞれx軸にプロットされ、温度Tがそれぞれy軸にプロットされている。
【0050】
図8Aは、本発明を説明するための状態図であり、オーステナイト安定剤に関する図が示されている。概略の状態図に示されているように、オーステナイト安定剤としてのマンガンにより、オーステナイト相(γ)は、マンガンの濃度が増加するにつれてより低い温度で安定する。図では、下限温度として室温が示されている。
【0051】
図8Aでは、本発明による例示的な挙動が線Yに従って示されており、熱処理の経過中のオーステナイト安定化の効果を示している。それぞれの金属板薄板4、5へのオーステナイト安定剤の拡散により、加熱された金属板薄板4、5のオーステナイトは安定化され、金属板薄板4、5の冷却時に、オーステナイトが状態図に従ってフェライトに再び変態されなくなる。
【0052】
図8Bは、本発明を説明するための状態図を示し、共晶形成物質に関する図が示されている。
概略の状態図に示されるように、共晶形成物質としての銅により、オーステナイト相は、銅の濃度が増加するにつれてより低い温度で安定する。しかし、それにより、室温までの安定性を実現することはできない。むしろ特定の銅濃度で、オーステナイト相がまだ安定している最低温度値が生じる。A3よりも明らかに下の低温でもオーステナイトが安定しているこの領域は、冷却時にオーステナイトをほぼ凍結し、したがって室温までのさらなる冷却時に保つことができる。その後、銅の濃度がさらに上昇するにつれて、オーステナイト相が安定する温度も上昇する。それにより、冷却時にオーステナイトをほぼ凍結することがますます困難になり、最終的には不可能になる。銅濃度のさらなる上昇により、鉄中でのオーステナイト相の形成が可能でなくなる濃度に至る。
【0053】
図8Cは、本発明を説明するための状態図であり、フェライト形成元素に関する図が示されている。
概略の状態図に示されているように、シリコンまたはアルミニウムなどのフェライト形成元素により、フェライト(α)は、室温で安定な相になる。これは、フェライト形成元素の低い濃度と、高温とが同時に存在する場合にのみ、オーステナイトが安定であることを意味する。したがって、オーステナイトはさらに高温ではフェライトに変態するので、冷却時に凍結することはあり得ない。
【0054】
本発明は、上述した例示的実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層コアを製造するため、特に、積層コア(1)の金属板薄板(4、5)を後で合金化するため、および電気機械の、特に固定子または回転子の前記積層コア(1)の前記金属板薄板(4、5)上にまたは前記金属板薄板(4、5)間に絶縁層(8、9)を後で生成するための方法であって、
- アルミニウムの支持箔(10)と、天然のまたは生成された酸化アルミニウム箔層(8)とをそれぞれ備え、少なくとも片面(12、13)に箔コーティング(17)をそれぞれ有する箔薄板(6、7、10、11)を提供するステップであって、前記箔コーティング(17)が、合金材料(16)、特にシリコン、接着結合剤、および特にさらに粉末状の酸化アルミニウムを含む、ステップと、
- 特に電気的に絶縁されていない前記積層コア(1)の金属板薄板(4、5)を提供するステップと、
- 隣接する金属板薄板(4、5)の間にそれぞれ少なくとも1つの箔薄板(6、7、11)が位置するように、金属板薄板(4、5)と箔薄板(6、7、11)とを交互に積み重ねるステップと、
- 金属板薄板(4、5)と箔薄板(6、7、11)との積層体を加熱、特に熱処理するステップとを含み、
a)前記箔薄板(6、7、10、11)の前記支持箔(10)からのアルミニウムが、前記支持箔(10)の溶解と共に、前記それぞれの隣接する金属板薄板(4、5)の金属内に拡散し、前記箔薄板(6、7、11)の前記箔コーティング(17)からの前記合金材料(16)が、特定の深さ(25、26)で、前記隣接する金属板薄板(4、5)の金属内に拡散して、合金領域(23、24)を形成し、
b)前記箔薄板(6、7、11)の前記酸化アルミニウム箔層(8)または前記箔コーティング(17)からの酸化アルミニウムが残り、前記金属板薄板(4、5)の間に絶縁層(27)を形成する、
方法。
【請求項2】
前記箔薄板(6、7、11)の形状および/または面積が、前記金属板薄板(4、5)の形状および/または面積に対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルミニウムベースの前記箔薄板(6、7、10、11)が、アルミニウム箔(11)から切り出されており、または切り出され、前記アルミニウム箔(11)が、少なくとも片面に前記少なくとも1つの酸化アルミニウム箔層(8、9)を備え、および/または前記アルミニウム箔(11)が、少なくとも1つの上面(14、15)において前記合金材料(16)で少なくとも部分的にコーティングされている、またはコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
好ましくは粉末状に形成された前記合金材料(16)が、接着結合剤、特にペーストによって、および/または多糖類、特にキサンタンによって、前記箔薄板(6、7、10、11)の前記少なくとも1つの上面(14、15)に少なくとも部分的に適用されている、または適用されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの前記箔薄板(6、7、10、11)が、隣接する金属板薄板(4、5)の間に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記箔薄板(6、7、10、11)の厚さと、前記箔薄板(6、7、10、11)に適用された前記合金材料(16)および場合により電気絶縁性固体とが、前記熱処理後に、前記金属板薄板(4、5)の表面(21)の少なくとも一部(20)で、少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が少なくとも約6.5%であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下である、または少なくとも表面近傍で、シリコンの質量分率が約4%~約5%の間であり、シリコンおよびアルミニウムの質量分率が約8.5%以下であるように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記箔薄板(6、7、10、11)が、約5μm~約10μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
合金化のための前記熱処理の前に行われる、前記コーティングされた箔薄板(6、7、10、11)が間に配置された前記金属板薄板(4、5)の熱処理が、約150℃~500℃の範囲内で1時間~約2時間行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
回転子用の積層コアにおいて、前記箔薄板(6、7、10、11)が、前記合金材料(16)で部分的にコーティングされ、前記合金材料が、前記箔薄板(6、7、10、11)の径方向内側部分(22’)よりも前記箔薄板(6、7、10、11)の径方向外側部分(20’)の近くに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
固定子用の積層コアにおいて、前記箔薄板(6、7、10、11)が、前記合金材料(16)で部分的にコーティングされ、前記合金材料が、前記箔薄板(6、7、10、11)の前記径方向外側部分(22’)よりも前記箔薄板(6、7、10、11)の前記径方向内側部分(20’)の近くに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】