(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】管腔内人工器官のための送達システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20241114BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534320
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022080992
(87)【国際公開番号】W WO2023107926
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510015338
【氏名又は名称】シルク・ロード・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILK ROAD MEDICAL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ソリマン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ハルデン,カール
(72)【発明者】
【氏名】トラン,フイ
(72)【発明者】
【氏名】フラサレ,アクシャイ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267AA58
4C267BB02
4C267BB05
4C267CC08
4C267DD01
4C267EE03
(57)【要約】
遠位端部領域、近位端部領域、及び、近位端部領域と遠位端部領域との間で長手方向軸に沿って延びる管腔を有する外側シースを備える管腔内人工器官送達システムである。外側シースの管腔を通じて内側部材が延び、内側部材の少なくとも一部は、外側シースの遠位端部領域の近傍の管腔内で拡張可能なデバイスを支持するように構成されている。外側シースと内側部材の少なくとも一方を制御された方法で初期の距離だけ移動させ、拡張可能なデバイスを管腔から展開する前に、拡張可能なデバイスと外側シースとの間の摩擦を解除するように解放機構が構成されている。関連するシステム、デバイス、及び方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部領域、近位端部領域、及び、前記近位端部領域と前記遠位端部領域との間で長手方向軸に沿って延びる管腔を有する外側シースと、
拡張可能なデバイスと、
前記外側シースの前記管腔を通じて延びる内側部材であって、前記内側部材の少なくとも一部が、前記外側シースの遠位端部領域の近傍の管腔内で拡張可能なデバイスを支持するように構成された、内側部材と、
前記外側シースと前記内側部材の少なくとも一方を制御された方法で初期の距離だけ移動させ、前記拡張可能なデバイスを前記管腔から展開する前に、前記拡張可能なデバイスと前記外側シースとの間の摩擦を解除するように構成された、解放機構と、
を備える、管腔内人工器官送達システム。
【請求項2】
前記解放機構は、前記外側シースを前記距離だけ引き込むように構成されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記解放機構は、前記内側部材を前記距離だけ前進させるように構成されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
前記距離は、約5mm~約1cmである、請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記解放機構は、少なくとも第1位置と少なくとも第2位置との間で切り替えられるように構成されたアクチュエータを備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記外側シースの長手方向軸を中心とした回転によって切り替えられる、請求項5に記載の送達システム。
【請求項7】
前記解放機構は、前記内側部材の近位端部領域に連結されたネジ付きの内部部品を更に備え、前記ネジ付きの内部部品は、前記アクチュエータの内面上の対応するネジとネジ係合される、請求項6に記載の送達システム。
【請求項8】
前記内側部材が固定され且つ前記外側シースが固定されていない状態で、前記アクチュエータを前記第1位置から前記第2位置まで長手方向軸を中心として切り替えると、前記アクチュエータの前記対応するネジが前記ネジ付きの内部部品に沿って移動するにつれて、前記外側シースが近位側に引き込まれる、請求項7に記載の送達システム。
【請求項9】
前記外側シースの近位端部領域が固定され且つ前記内側部材が固定されていない状態で、前記アクチュエータを前記第1位置から前記第2位置まで前記長手方向軸を中心として切り替えると、前記ネジ付きの内部部品が前記アクチュエータの前記対応するネジに沿って移動するにつれて、前記内側部材が遠位側に前進する、請求項7に記載の送達システム。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記外側シースの近位端部領域上の第1停止部に対向するように又は当該第1停止部内に受け入れられるように構成された、前記アクチュエータの外面上の突起部を更に備える、請求項7に記載の送達システム。
【請求項11】
前記第1停止部は、前記第1停止部に対する前記アクチュエータの位置に関する触覚及び/又は聴覚フィードバックを提供する、請求項10に記載の送達システム。
【請求項12】
前記アクチュエータは、突起部を備え、
前記第1停止部は、前記外側シースの外面から半径方向の外方に距離をおいて突出する第1表面特徴と、前記外側シースの外面から半径方向の外方に第2距離をおいて突出する第2表面特徴と、を備え、
前記第1表面特徴は、前記アクチュエータの突起部が前記第2表面特徴上を摺動可能であるとともに、前記第1表面特徴上を摺動することが防止されるように、前記第2表面特徴よりも更に突出している、請求項10に記載の送達システム。
【請求項13】
前記第1表面特徴と前記第2表面特徴との間に突起部を受け入れることにより、前記第1停止部に対する前記アクチュエータの位置に関する触覚及び/又は聴覚フィードバックが提供される、請求項12に記載の送達システム。
【請求項14】
前記第1停止部に関する記外側シースの外面に、前記アクチュエータの位置に関する情報を提供する1以上のマーキングを更に備える、請求項12に記載の送達システム。
【請求項15】
前記外側シースの近位端部領域上に、前記第1停止部に対して前記長手方向軸を中心として360度未満に位置する第2停止部を更に備える、請求項10に記載の送達システム。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記外側シースの前記長手方向軸に直交する軸を中心とした回転によって切り替えられる、請求項5に記載の送達システム。
【請求項17】
前記解放機構は、前記外側シースの近位端部領域に連結されたカムハブ内に配置されたカム本体を更に備える、請求項16に記載の送達システム。
【請求項18】
前記カム本体は、前記カム本体の開口部を通じて前記外側シースの近位端部領域の前記管腔内に突出するように構成された楕円形部を有する、請求項17に記載の送達システム。
【請求項19】
前記カム本体の楕円形部は、複数の歯を備える、請求項18に記載の送達システム。
【請求項20】
前記内側部材は、前記カム本体の複数の歯と係合するようなサイズ及び間隔にされた1以上の表面特徴を有する、請求項19に記載の送達システム。
【請求項21】
前記カム本体と前記内側部材とは、前記外側シースの前記管腔の領域内で互いに接触する、請求項18に記載の送達システム。
【請求項22】
前記カム本体は、前記外側シースの内壁に対して前記内側部材を挟み込んで、前記カム本体の回転時に前記内側部材をロック及び/又は駆動する、請求項21に記載の送達システム。
【請求項23】
前記アクチュエータを切り替えることは、第1ロック位置、第2解放位置、及び第3展開位置の間で前記管腔に対して前記アクチュエータを相対的に移動させることを含む、請求項21に記載の送達システム。
【請求項24】
前記第1ロック位置は、前記アクチュエータが完全にカム止めされ、前記内側部材が前記カム本体と前記管腔との間に挟み込まれてロックされる位置である、請求項23に記載の送達システム。
【請求項25】
前記内側部材が固定されていない状態で、前記カム本体を、前記第1ロック位置から前記第2解放位置に向かって前記軸を中心として回転させることにより、前記内側部材を前記距離だけ前進させる、請求項24に記載の送達システム。
【請求項26】
前記内側部材が固定されたまま、前記カム本体を前記第1ロック位置から前記第2解放位置に向かって前記軸を中心として回転させると、前記外側シースが前記内側部材に対して近位方向に前記距離だけ引き込まれる、請求項24に記載の送達システム。
【請求項27】
前記カム本体を前記第2解放位置から前記第3展開位置に向かって前記軸を中心として回転させることにより、前記カム本体が前記外側シースの管腔から完全に引き出される、請求項23に記載の送達システム。
【請求項28】
前記カム本体及び/又は前記カムハブは、前記アクチュエータの相対位置に関する触覚及び/又は可聴フィードバックを提供する1以上の爪部を備える、請求項23に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年12月8日に出願された仮特許出願番号63/287,282に対する35U.S.C§119(e)に基づく優先権の利益を主張する。仮出願の開示は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、ステント、ステントグラフトなどの管腔内人工器官に関する。より具体的には、血管内への人工器官の配置の前に静的摩擦及び弛みを解放する機構を備えた、動脈瘤、狭窄部などの治療のために身体の管腔内、特に血管系内に、管腔内人工器官を正確且つ安全に配置するための送達システム及びそれらの使用方法が記載されている。
【背景技術】
【0003】
ステントグラフト及び自己拡張型ステントは、周囲の管腔壁に対して拡張するように偏った弾力性を有する構造体である。これらの構造体を標的部位に送達するために、これらの構造体は、送達システム内で堅く圧縮される。「ピンアンドプル(Pin-and-pull)」ステント送達システムは、一般的に、内側支持カテーテル(例えば、チューブやロッド)と外側シースとを備えている。外側シースは、内側支持カテーテルに対して長手方向に移動し、外側シースの遠位端部領域内で圧縮されていた拡張可能な構造体を展開する。この展開には、内側支持カテーテルを患者に対して「固定(pinning)」し、外側シースを「引き込んで」拡張可能な構造体を露出させ、当該構造体を血管に対して外側に拡張できるようにすることが含まれる。
【0004】
これらの送達システムは、標的の狭窄部や動脈瘤に到達するために、通常、非常に曲がりくねった解剖学的構造内で操作されなければならない。カテーテルシステムは、標的部位に到達するために幾つかのカーブを通過した後、抵抗に遭い、遠位先端部の近位側に張力を蓄えることができる。送達システムの遠位先端部が血管の直線部を通過して曲げ部に入ると、張力が蓄積される。曲げ部を出て別の直線区間に入ると、張力が解放され、システム全体が「ジャンプ」して前進する。外側シースを押し下げる下向きの力により、システムに弛みや座屈が生じることがある。シース内に蓄積された張力は、標的部位への展開のために自己拡張型ステントからシースを外すときなどの張力が解放されるときに、システム全体を遠位側に推進する可能性があるため、問題となることがある。近位端部が配置のために引き込まれる際に蓄積された張力が解放されると、シースの遠位端部が移動するため、シースを取り外す際にステントが標的部位から外れるように配置される可能性がある。
【0005】
送達システムの外側シースと拡張可能な構造体との間の力と、標的部位へのナビゲーション中にシース内に蓄積された張力との組み合わせにより、拡張可能な構造体の展開の開始時に展開力が急激に上昇し、その後の展開の残りの期間、展開力が急速に低下することがある。展開力の変化は、留置部位での展開の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。展開力が最も大きくなるのは、外側シースが引き込まれる初期段階である。シースと圧縮された拡張可能な構造体との間の初期の摩擦が解消されると、構造体の展開力は、ほぼ瞬時に低下する。その結果、拡張可能な構造体が送達システムから飛び出す、及び/又は、拡張可能な構造体が標的部位に対して不正確に展開される原因となる使用者による不注意な動作が生じ得る。
【0006】
従来のピンアンドプルシステムは、展開の速度又は力を制御する機構を使用者に提供しない。ステント送達システムの中には、拡張可能な構造体の展開を制御する機構、例えば、外側シースを段階的に引き込むサムホイールを備えた機械式ハンドルや、シースからのステントの不用意な飛び出しを防止する停止部を備えたものもある。これらの機械的システムは、制御を提供し、精度を向上させるが、使用が面倒であり、ピンアンドプルシステムの迅速で便利な展開を提供しない。
【発明の概要】
【0007】
従って、安全で正確で制御可能な拡張可能な構造体の迅速で便利な展開に対する必要性が存在する。
【0008】
一態様においては、遠位端部領域、近位端部領域、及び近位端部領域と遠位端部領域との間で長手方向軸に沿って延びる管腔を有する外側シースと、拡張可能なデバイスと、外側シースの管腔を通じて延びる内側部材であって、内側部材の少なくとも一部が、外側シースの遠位端部領域の近傍の管腔内で拡張可能なデバイスを支持するように構成された、内側部材と、外側シース及び内側部材の少なくとも一方を制御された方法で初期の距離だけ移動させ、拡張可能なデバイスを管腔から展開する前に、拡張可能なデバイスと外側シースとの間の摩擦を解除するように構成された解放機構と、を備える管腔内人工器官送達システムが提供される。
【0009】
解放機構は、外側シースを前記距離だけ引き込むように構成されてもよい。解放機構は、内側部材を前記距離だけ前進させるように構成されてもよい。前記距離は、約5mm~約1cmである。解放機構は、少なくとも第1位置と少なくとも第2位置との間で切り替えられるように構成されたアクチュエータを備えてもよい。アクチュエータは、外側シースの長手方向軸を中心とした回転によって切り替えられてもよい。解放機構は、内側部材の近位端部領域に連結されたネジ付きの内部部品を更に備えてもよい。ネジ付きの内部部品は、アクチュエータの内面上の対応するネジとネジ係合されてもよい。内側部材が固定され且つ外側シースが固定されていない状態で、アクチュエータを第1位置から第2位置まで長手方向軸を中心として切り替えると、アクチュエータの対応するネジがネジ付きの内部部品に沿って移動するにつれて、外側シースが近位側に引き込まれてもよい。外側シースの近位端部領域が固定され且つ内側部材が固定されていない状態で、アクチュエータを第1位置から第2位置まで長手方向軸線を中心として切り替えると、ネジ付きの内部部品がアクチュエータの対応するネジに沿って移動するにつれて、内側部材が遠位側に前進してもよい。
【0010】
アクチュエータは、外側シースの近位端部領域上の第1停止部に対向するように又は当該第1停止部内に受け入れられるように構成された、アクチュエータの外面上の突起部を更に備えてもよい。第1停止部は、第1停止部に対するアクチュエータの位置に関する触覚及び/又は聴覚フィードバックを提供してもよい。アクチュエータは、突起部を備え、第1停止部は、外側シースの外面から半径方向の外方に距離をおいて突出する第1表面特徴と、外側シースの外面から半径方向の外方に第2距離をおいて突出する第2表面特徴とを備え、第1表面特徴は、アクチュエータの突起部が第2表面特徴上を摺動可能であるとともに、第1表面特徴上を摺動することが防止されるように、第2表面特徴よりも更に突出してもよい。第1表面特徴と第2表面特徴との間に突起部を受け入れることにより、第1停止部に対するアクチュエータの位置に関する触覚及び/又は聴覚フィードバックが提供されてもよい。前記システムは、第1停止部に関する外側シースの外面に、アクチュエータの位置に関する情報を提供する1以上のマーキングを更に備えてもよい。外側シースの近位端部領域上に、第1停止部に対して長手方向軸を中心として360度未満に位置する第2停止部を更に備えてもよい。アクチュエータは、外側シースの長手方向軸に直交する軸を中心とした回転によって切り替えられてもよい。
【0011】
解放機構は、外側シースの近位端部領域に連結されたカムハブ内に配置されたカム本体を更に備えてもよい。カム本体は、カム本体の開口部を通じて外側シースの近位端部領域の管腔内に突出するように構成された楕円形部を有してもよい。カム本体の楕円形部は、複数の歯を備えてもよい。内側部材は、カム本体の複数の歯と係合するようなサイズ及び間隔にされた1以上の表面特徴を有してもよい。内側部材は、カム本体の複数の歯と係合するようなサイズ及び間隔にされた1以上の表面特徴を有してもよい。カム本体と内側部材とは、外側シースの管腔の領域内で互いに接触してもよい。カム本体は、外側シースの内壁に対して内側部材を挟み込んで、カム本体の回転時に内側部材をロック及び/又は駆動してもよい。アクチュエータを切り替えることは、第1ロック位置、第2解放位置、及び第3展開位置の間で管腔に対してアクチュエータを相対的に移動させることを含んでもよい。第1ロック位置は、アクチュエータが完全にカム止めされ、内側部材がカム本体と管腔との間に挟み込まれてロックされる位置であってもよい。内側部材が固定されていない状態で、カム本体を第1ロック位置から第2解放位置に向かって軸を中心として回転させることにより、内側部材を前記距離だけ前進させてもよい。内側部材が固定されたまま、カム本体を第1ロック位置から第2解放位置に向かって軸を中心として回転させると、外側シースが内側部材に対して近位方向に距離だけ引き込まれてもよい。カム本体を第2解放位置から第3展開位置に向かって軸を中心として回転させることにより、カム本体が外側シースの管腔から完全に引き出されてもよい。カム本体及び/又はカムハブは、アクチュエータの相対位置に関する触覚及び/又は可聴フィードバックを提供する1以上の爪部を備えてもよい。
【0012】
幾つかの変形例では、以下の1以上が、上記方法、デバイス、デバイス、及びシステムにおいて任意の実現可能な組み合わせで任意に含まれ得る。詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴及び利点は、説明及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、これらの態様及び他の態様を、以下の図面を参照して詳細に説明する。一般的に、図面は例示的なものであり、絶対的又は比較的に縮尺通りではなく、例示を意図したものである。特徴及び構成要素の相対的な配置は、例示的に明確にする目的で変更されている。
【0014】
【
図1】解放機構を備える送達システムの実施態様を示す図である。
【
図2A】ネジ付き回転子の解放機構を備える送達システムの実施態様の側面図である。
【
図2B】
図2Aの送達システムの内部構造が見えるようにした側面図である。
【
図3A】カムハンドルの解放機構を備える送達システムの実施態様を示す図である。
【
図3B】プッシュロッドを備える
図3Aのカムハンドルの解放機構のシースハブを示す図である。
【
図4A】
図3Aのカムハンドルの解放機構のシースハブの斜視図である。
【
図4B】
図3Aのカムハンドルの解放機構のシースハブの斜視図である。
【
図4D】
図3Aのカムハンドルの解放機構と共に使用するためのカム本体の斜視図である。
【
図5A】ロック位置にある
図3Aのカムハンドルの解放機構の工程概略図である。
【
図5B】解放位置にある
図3Aのカムハンドルの解放機構の工程概略図である。
【
図5C】展開位置にある
図3Aのカムハンドルの解放機構の工程概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、ステント、ステントグラフトなどの管腔内人工器官に関する。より具体的には、血管内への人工器官の配置の前に静的摩擦及び弛みを解放する機構を有するハンドルを備えた、動脈瘤、狭窄部などの治療のために身体の管腔内、特に血管系内に、管腔内人工器官を正確且つ安全に配置するための改良された送達システム及びその使用方法が記載されている。
【0016】
図1は、拡張可能なデバイス105を収容する外側シース130内に配置された内側カテーテル110を備える送達システム100を示している。外側シース130の近位端部領域は、止血弁145の遠位側に配置されたシースハブ140に連結することができる。止血弁145は、当該技術分野で知られているように、Yアームコネクタの一部であってもよい。内側カテーテル110は、その近位端部領域でステンレス鋼のハイポチューブなどのプッシュロッド150に長手方向及び回転方向に固定することができる。内側カテーテル110は、止血弁145を介して外側シース130内を延びる。外側シース130及び外側シース130内に収容されたデバイス105の遠位側に突出する内側カテーテル110の遠位端部領域には、ノーズコーン160が連結される。更に、送達システム100は、解放機構170を備えてもよい。解放機構170は、2つの方法のいずれかで機能することができる。第1方法において、解放機構170は、内側カテーテル110が固定されている状態で外側シース130を設定距離だけ近位側に引き込む。この方法において、デバイス105は、解剖学的な位置に対して相対的に移動しない。解放機構170は、ステント送達システム100内に蓄積された弛みを緩和し、システム100からデバイス105を展開する前にデバイス105と外側シース130との間の摩擦を解消するために、最初に外側シース130を制御された方法で設定距離だけ近位側に引き込むように機能する。拡張可能なデバイスを展開する前に、蓄積された摩擦力、張力、及び/又は弛みを低減又は除去することにより、デバイスの展開の正確性及び安全性が向上する。また、解放機構170は、例えば、使用者がシースハブ140を把持することによって外側シース130が固定されている状態で、内側カテーテル110を設定距離だけ遠位側に移動させる。この方法において、デバイス105は、設定距離だけ遠位側に移動する(プッシュロッド150がデバイス105の近位端部に完全に接触していると仮定する)。解放機構170は、以下により詳細に説明される。
【0017】
図2A~
図2Cは、拡張可能なデバイス105の展開のために送達システム100と共に使用する解放機構170の実施態様を示している。解放機構170は、プッシュロッド150に対してシースハブ140を移動させるように構成されたアクチュエータ175を備えている。アクチュエータ175は、第1位置と第2位置との間で切り替え可能である。アクチュエータ175の第1位置は、シースハブ140がプッシュロッド150に対してホームポジションにある「ロック」位置とすることができる。アクチュエータ175は、シース130の軸Aを中心として一定の角度、例えば第1位置から第2位置まで180度、回転させることによって切り替えることができる。アクチュエータ175の第2位置は、シースハブ140がその長手方向軸Aに沿って近位方向に一定の距離だけ移動される「ロック解除」位置とすることができる。アクチュエータ175の切り替え時にシースハブ140が移動する一定の距離は、約5mm~約1cmとすることができる。システムの設計は、シースの移動なし(すなわち、0mm)だけでなく、完全展開(例えば、20mm~50mm)まで対応することができる。完全展開の距離は、送達を意図したインプラントの長さに対応するように設計することができる。シースハブ140は、外側シース130の近位端部領域に連結されている。アクチュエータ175をロック解除位置に切り替えることによって、シースハブ140を一定の距離だけ引き込むと、外側シース130の遠位端部が、内側カテーテル110上で圧縮された拡張可能なデバイス105に対して一定の距離だけ移動する。外側シース130の引き込みによって、デバイス105と外側シース130との間に存在する蓄積された摩擦が解除される。
【0018】
アクチュエータ175は、シースハブ140の外径寸法と一致する大きさの内径寸法を有する樽形部品であってもよい。
図2A~
図2Bは、アクチュエータ175の遠位端部領域と一致するシースハブ140の近位端部領域を示している。ハブ140は、アクチュエータ175の内面上の対応する特徴172と係合するように構成された特徴142をその外面に備えてもよい。例えば、ハブ140とアクチュエータ175とは、ネジや他の接続特徴を介して連結されてもよい。
【0019】
また、アクチュエータ175は、その内径寸法内にネジ付きの内部部品180を備えてもよい。内部部品180とアクチュエータ175とは、アクチュエータ175が長手方向軸Aを中心として切り替わるときに内部部品180が長手方向軸Aに沿って軸方向に付勢されるように、互いにネジ係合するように構成されている。内部部品180は、アクチュエータ175の内面上で対応するネジ171と係合するネジ182を外面上に有してもよい。また、一方の部品は、他方の部品の対応するネジに係合してその中を移動するように構成された単一のピンを有してもよい。例えば、内部部品180は、ネジ182ではなくピンを有してもよく、ピンは、アクチュエータ175の内面上のネジ171に係合し、その中を摺動する。また、内部部品180は、内部部品180がプッシュロッド150に固定されるように、内側カテーテル110のプッシュロッド150、又は、送達システム100のプッシュロッド150に接続された別のハイポチューブ又はプッシュロッドを受け入れるサイズの内径寸法を有してもよい。アクチュエータ175がロック位置からロック解除位置まで長手方向軸Aを中心として切り替えられると、内部部品180がアクチュエータ175に対して軸方向に移動するように、プッシュロッド150の移動が妨げられるように使用者によってプッシュロッド150が固定されてもよい。アクチュエータ175と内部部品180とは、標準的なピン/プルロック解除であればアクチュエータ175が近位側に移動することによって、又は、アクチュエータ175によるロック解除中に固定がなければ内部部品180が遠位側に移動することによって、互いに離れることができる。例えば、アクチュエータ175は、内部部品180のネジ182に沿って近位側に移動することができ、ハブ140を長手方向軸Aに沿った距離だけ引き込み、それによってシース130を同じ距離だけ引き込むことができる。本明細書では、2つの位置の間で切り替え、外側シース130の近位側への引き込みを達成するために、任意の数のネジ回転機構が考慮されることが理解されるべきである。また、いくつかの実施態様において、プッシュロッド150は、固定されず、使用者は、アクチュエータ175を切り替えている間、シースハブ140を固定したまま保持する。内部部品180とプッシュロッド150とは、アクチュエータ175のネジ171に沿って遠位側に移動することができ、それにより、遠位端部において、デバイス105及び先端部は、同じ距離だけ遠位側に移動する。
【0020】
再び
図2A~
図2Cに関して、アクチュエータ175は、樽形部品の外面から半径方向外側に突出する突起部174を備えてもよい。突起部174は、シースハブ140の近位端部領域上の対応する表面特徴又は停止部144に対向する又はその中に受け入れられる。例えば、
図2Aは、「ロック」位置にあるハブ140に対して位置決めされたアクチュエータ175を示している。シースハブ140は、デバイス105に対してその最遠位位置にある。アクチュエータ175上の突起部174は、シースハブ140上の停止部144に接触し、停止部144に対して一方向にのみシース130の長手方向軸を中心とした回転を可能にする。
図2Cは、
図2Aに示したものとは反対側のシースハブ140を示している。シースハブ140の反対側は、「ロック解除」位置のために第1停止部144から離れて樽型部品の円周の周りに(例えば、約180度)配置された第2停止部144を備える。アクチュエータ175は、
図2Aに見える「ロック」位置の停止部144から、
図2Cに見える「ロック解除」位置の停止部144に向かって離れる矢印Aの方向に、シースの長手方向軸Aを中心として切り替えられることができる。アクチュエータ175上の突起部174は、「ロック」位置で停止部144に接触し、矢印Aの方向への回転を許容し、矢印Aの反対方向への回転を防止する。突起部174は、「ロック解除」位置で停止部144に再び接触し、矢印Aの方向への更なる回転を防止し、矢印Aの反対方向への回転を許容する。「ロック」位置のための第1停止部144と「ロック解除」位置のための第2停止部144とは、アクチュエータ175が長手方向軸Aを中心として360度完全に回転することを防止し、その代わりに、アクチュエータが2つの位置-ロック位置及びロック解除位置-の間で切り替わることを可能にする。
図2A及び
図2Cに示される停止部144は、第1方向への180度の回転と、反対の第2方向への別の180度の回転を可能にするように、外側シース上に配置される。回転の程度は様々であるが、一般的に軸Aの周りの360度より小さい。
【0021】
停止部144の一方又は両方は、停止部144に対するアクチュエータ175の位置に関する触覚及び/又は聴覚フィードバックを提供することができる。
図2Aの停止部144は、停止部144から距離を置いて配置された小さい突起部143を示している。この突起部143は、その間にアクチュエータ175の突起部174を受けると、アクチュエータ175がロック位置にあることを理解するための「カチッ」又は「パチッ」という音又は感触をユーザに提供することができる。停止部144は、外側シースの外面から半径方向の外向きに、より小さい突起部143が突出する距離よりも大きい距離だけ突出する。アクチュエータ175の突起部174は、より小さい突起部143上を摺動することができるが、より大きい停止部144上を摺動することは防止される。外側シース上の停止部144の一方又は両方は、使用者にフィードバックを提供するために、より大きいサイズの突起部とより小さいサイズの突起部とのペアを備えてもよい。
【0022】
更に、シースハブ140は、アクチュエータ175の位置に関する情報を使用者に提供する1以上のマーキング146を備えてもよい。第1マーキング146は、アクチュエータ175が第1「ロック」位置にあることに関する情報を使用者に提供するために第1位置に配置されてもよく、第2マーキング146は、アクチュエータ175が第2「ロック解除」位置にあることに関する情報を使用者に提供するために第2位置に配置されてもよい。マーキング146は、ロック状態のロック及びロック解除状態のロックのような動作状態を示すデザインを有し、「ロック」及び「ロック解除」という言葉又はデバイスの動作状態を示す他の言葉を組み入れてもよい。
【0023】
外側シース130の引き出しの初期段階で最大の力が解消され、当該力が解放機構170によって制御された方法で緩和されると、外側シース130の長手方向の引き込みは、ハンドルのジャークや滑り、又は送達システム100からのステントの飛び出しのリスクなしに、従来のピンアンドプル技術によって行うことができる。
【0024】
図3A~
図3Bは、ステント送達システム100の別の実施態様を示している。
図3A~
図3Bは、送達システム100と共に使用するための解放機構170の別の実施態様を示している。
図3A~
図3Bは、シースハブ140に連結された外側シース130が無い送達システム100を示している。プッシュロッド150は、止血弁145を通じてシースハブ140の管腔147内に延びている。他の実施態様と同様に、解放機構170は、プッシュロッド150に対してシースハブ140を相対的に移動させるように構成されたアクチュエータ175を備えてもよい。アクチュエータ175は、シース130の近位側の引き込みを達成するために、シース130の長手方向軸Aと直交する軸A’を中心として回転するように構成されている。アクチュエータ175は、軸A’を中心として約180度回転させることができるが(例えば、
図5A~
図5Cを参照)、回転の程度は、ステント全体を展開させるために変化させてもよい。例えば、アクチュエータ175の継続的な回転は、0mmから拡張可能なデバイス105の完全展開までの間の動きとすることも可能である。
【0025】
アクチュエータ175は、シースハブ140の領域に連結されたカムハブ190内に配置されたカム本体192から突出するハンドルであってもよい。
図4A~
図4Cは、
図4Dに示されるカム本体192を受け入れるように構成されたカムハブ190に連結されたシースハブ140を示している。カム本体192は、カム本体192に楕円形部を形成するカム本体192の一部の外周に配置された複数の歯193を備えてもよい。カム本体192は、カムハブ190の内部に受け入れられてもよい。カムハブ190は、カムハブ190の内部がシースハブ管腔147(
図4C参照)と連通して交差するように、オープンカット191を有してもよい。これにより、カム本体192上の複数の歯193が、開口部191を通じてシースハブ管腔147の少なくとも一部に突出することが可能になる。プッシュロッド150は、カム本体192の歯193と係合するようなサイズ及び間隔にされた1以上の表面特徴を備えてもよい。シースハブ140の管腔147を通じて延びるプッシュロッド150(又はプッシュロッド150に連結されたハイポチューブ)は、カムハブ190の内部と交差する管腔147の領域内で歯193と接触することができる(
図4C参照)。カム本体192は、プッシュロッド150と係合する歯193を備える必要はない。プッシュロッド150をシースハブ140の管腔147に挟み込んでロックする、及び/又は、カム本体192の回転時にプッシュロッド150を前進させるのには、カム本体192の楕円形部だけで十分である。
【0026】
カム本体192がハブ190に対して軸A’を中心として回転すると、歯193を有するカム本体192の領域(又は減少したカム半径を有するカム本体192の部分)は、シースハブ管腔147を通じて遠位側に移動してから、シースハブ管腔147から出てカムハブ190の内部に再び入る。歯193は、カムハブ190の内面上のチャネル又は溝194内に受け入れられる(
図4A~
図4C参照)。カムハブ190内の溝194は、カム本体192がカムハブ190に対して360度回転できるように、ハブ190の全周にわたって延びている。他の実施例において、溝194は、溝194の端部が特定の方向に沿ったカム本体の回転に対する停止部を形成するように、円周の周囲に短い距離だけ延びる。溝194は、カムハブ190の内面に沿って、90度、120度、150度、180度、210度、及びその間の任意の角度で延びてもよい。これにより、カム本体192は、停止部に当たる前に、ハブ190に対して設定された度数だけ回転する。
【0027】
図5A~
図5Cは、シースハブ管腔147に対するアクチュエータ175の、第1「ロック」位置、第2「解放」位置、及び第3「展開」位置の間の切り替えを示している。
図5Aは、プッシュロッド150がカム本体192の歯193と管腔147との間に挟み込まれ、それによってロックされるように、アクチュエータ175が完全にカム止めされた状態を示している。使用者は、
図5Bに示すように、アクチュエータ175を第1「ロック」位置から離すように切り替えることにより、カム本体192が軸A’を中心としてカムハブ190内で回転するように促してもよい。この「解放」位置は、プッシュロッド150が固定されていない場合に、軸A’を中心とするアクチュエータ175の回転が、プッシュロッド150が歯193又は減少したカム半径部分によって、設定距離だけ前方にプッシュロッド150を駆動し、プッシュロッド150が管腔147の壁から離れることを可能にするので、シース130と展開されるデバイス105との間のスティクションを排除する。また、プッシュロッド150の表面特徴と係合するカム本体192の歯193は、固定されたままのプッシュロッド150に対して力を加えることができる。カム本体192の歯193と固定されたプッシュロッド150の表面特徴との間の摩擦は、アクチュエータ175が移動するにつれて、カム本体192及び付属のシースハブ140が、固定されたプッシュロッド150に対して近位方向に移動するように促す。カム本体192の回転は、プッシュロッド150に対するシースハブ140の軸方向の引き込みに変換される。
【0028】
前の実施例と同様に、シースハブ140の遠位端部は、外側シース130が、デバイス105と外側シース130との間に蓄積された摩擦を解除するために、制御された方法で内側アセンブリ(すなわち、プッシュロッド150)に対して一定の距離だけ引き込まれるように、外側シース130に接続される。外側シースの引き出しの初期段階又はプッシュロッド150の前進の初期段階において最大の力が解消され、当該力が解放機構170によって制御された方法で解除されると、アクチュエータ175は、「展開」位置(
図5C参照)に完全に切り替えられることができる。この「展開」位置においては、歯193がカムハブ190に入り、カム本体192が管腔147から完全に引き出され、管腔147を自由に移動できるようになるので、例えば、外側シース130の長手方向の引き込みが、ハンドルのジャークや滑り、又は送達システム100からのステントの飛び出しのリスク無しに、従来のピンアンドプル技術によって実行することができる。1以上の爪部をカム本体192又はカムハブ190内に設計して、アクチュエータ175の回転及び位置に関する触覚及び/又は可聴フィードバックを使用者に提供してもよい。使用者は、聞こえる及び/又は感じるクリックの数に応じて、アクチュエータ175が「ロック」、「解除」又は「展開」位置にあるか否かを評価することができる。
【0029】
解放機構170は、特定の構成に関係なく、また
図3A~
図3Bのカム機構及び
図2A~
図2Cのネジ付きノブのいずれが使用されるかに関係なく、アクチュエータ175の単一の駆動時に一定の距離に制御され且つ制限される初期のシースの引き込みの機械的利点を提供する。外側シース130に蓄積された摩擦及び/又は張力は、シースハブ140を引っ張ることによって外側シース130を引き出すような第2の駆動による拡張可能なデバイス105の展開の前にあるアクチュエータ175の単一の駆動によって解放され、それによって、より正確で制御された展開が提供される。従って、本明細書で説明される解放機構170は、拡張可能なデバイス105を完全に展開する(すなわち、デバイス105をその拘束から解除して拡張させる)ために使用されるのではない。むしろ、ピンアンドプル機構は、本明細書に記載された解放機構170がシステム100内の摩擦及び張力を最初に解除するために使用された後に、完全展開のために使用される。解放機構170は、一旦「ロック解除」位置に置かれると、プッシュロッド150との係合から解放されるので、従来のピンアンドプル展開機構を使用することができる。
図2A~
図2Cに示される実施例において、解放機構170を駆動させた後、プッシュロッド150を固定し、外側シース130を固定されたプッシュロッド150に対して長手方向軸Aに沿って(例えば、シースハブ140を引っ張ることによって)手動で引き込むことで、拡張可能なデバイス105を外側シース130内のその拘束から展開することができる。
図3A~
図3B及び
図4A~
図4Dに示される実施例において、解放機構170を駆動させると、カム本体192が軸A’を中心として十分に回転し、歯193が、カムハブ190内に受け入れられて、プッシュロッド150の表面特徴との摩擦係合から外れる。歯193がプッシュロッド150の表面特徴との係合から外れると、シースハブ140は、プッシュロッド150が拡張可能なデバイス105を展開するために固定されたまま、カム本体192を越えて長手方向軸Aに沿って近位方向に手動で引き込まれることができる。
【0030】
解放機構170の構成要素は、ステンレス鋼及び/又は1以上のポリマーなどの業界標準材料で形成されてもよい。
【0031】
複数の態様において、図面を参照して説明が行われている。しかしながら、特定の態様は、これらの具体的な詳細の1以上無しに、又は他の公知の方法及び構成と組み合わせて実施されてもよい。本明細書においては、実施例の完全な理解を提供するために、具体的な構成、寸法、工程など、多数の具体的な詳細を示している。他の例において、周知の工程及び製造技術は、不必要に説明を不明瞭にしないために、特に詳細に記載されていない。本明細書の全体を通じて、「一実施形態」、「実施形態」、「態様」、「一態様」、「一実施例」、「実施例」等の言及は、記載された特定の特徴、構造、構成、又は特性が、少なくとも1つの実施形態、態様、又は実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて様々に配置された「一実施形態」、「実施形態」、「一態様」、「態様」、「一実施例」等の語句の出現は、必ずしも同一の実施形態、態様、又は実施例を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0032】
本明細書の全体を通して相対的な用語の使用は、相対的な位置又は方向又は向きを示す場合があり、限定することを意図していない。例えば、「遠位」は、基準点から離れる第1方向を示す場合がある。同様に、「近位」は、第1方向とは反対の第2方向の位置を示す場合がある。「前方」、「側方」、「後方」、「下部」、及び「上部」、並びに「前方」、「後方」、「尾側(caudal)」、「頭側(cephalad)」などの用語の使用は、相対的な参照フレームを確立するために使用されるものであり、様々な実施態様において本明細書に記載されるデバイスの使用又は向きを限定することを意図するものではない。
【0033】
「約」という用語は、当業者であれば特定の値と合理的に類似していると考える、特定の値を含む値の範囲を意味する。実施形態において、「約」とは、当該技術分野において一般的に許容される測定値を用いた標準偏差の範囲内を意味する。実施形態において、「約」とは、規定値の±10%に及ぶ範囲を意味する。実施形態において、「約」は、特定の値を含む。
【0034】
本明細書には多くの具体的事項が記載されているが、これらは、特許請求される範囲又は特許請求され得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて実施してもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に又は任意の適切なサブコンビネーションで実施してもよい。更に、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、当初はそのように特許請求されることもあるが、特許請求される組み合わせからの1以上の特徴は、場合によっては組み合わせから排除されてもよく、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に向けられてもよい。同様に、動作は、特定の順序で図面に描かれているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が、示された特定の順序で実行されること、又は順次実行されること、又は図示された全ての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。少数の例(example)、実施形態、態様、及び実施例(implementation)のみが開示されている。開示された内容に基づいて、説明された例及び実施例、並びに他の実施例に対する変形、修正、及び強化が行われてもよい。
【0035】
上記説明及び特許請求の範囲において、「少なくとも1つ」又は「1以上」のような語句は、構成要素又は特徴の接続可能なリストに続いて出現することがある。また、「及び/又は」という用語は、2以上の構成要素又は特徴のリスト中に出現することがある。このような語句は、それが使用される文脈によって暗黙的又は明示的に矛盾しない限り、列挙された構成要素又は特徴のいずれかを個々に、又は、列挙された構成要素又は特徴のいずれかを他の列挙された構成要素又は特徴のいずれかと組み合わせて、意味することが意図される。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「A及びBのうちの1以上」、及び 「A及び/又はB 」という語句はそれぞれ、「A単独、B単独、又は、A及びBを一緒」を意味することが意図されている。同様の解釈は、3以上のアイテムを含むリストについても意図されている。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1以上」、及び 「A、B、及び/又はC 」という語句はそれぞれ、「A単独、B単独、C単独、AとBとが一緒、AとCとが一緒、BとCとが一緒、又は、AとBとCとが一緒 」を意味することが意図されている。
【0036】
上記及び特許請求の範囲における用語「に基づく(based on)」の使用は、「少なくとも一部に基づく」を意味することを意図しており、その場合、引用されていない特徴又は構成要素も許容される。
【国際調査報告】