(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】カップリング機構を備えた電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 3/00 20060101AFI20241114BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20241114BHJP
B23B 31/107 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B25F3/00 Z
B25B21/00 Q
B23B31/107 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534335
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022080442
(87)【国際公開番号】W WO2023104395
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ホールバーグ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギッセルマン ニクラス
【テーマコード(参考)】
3C032
3C064
【Fターム(参考)】
3C032BB23
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064AD02
3C064BA03
3C064BA12
3C064BA32
3C064BA33
3C064BB32
3C064CA05
3C064CA06
3C064CA08
3C064CA53
3C064CA54
3C064CB06
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB64
3C064CB71
(57)【要約】
本明細書では、モータ(4)と、モータに接続された、長手方向軸(a)を定める駆動シャフト(6)と、少なくとも1つの貫通孔(32、132、232、332)を有し、工具側端部(28、128、228、328)及び自由端部(30、130、230、330)を含むキャビティ(12、112、212、312)を定める前端部(2、102、202、302)と、駆動シャフトに取り外し可能工具ヘッド(8、308)を解除可能に接続するためのカップリング機構(10、110、210、310)とを備えた電動工具(1、301)を開示する。カップリング機構は、キャビティを少なくとも部分的に取り囲んで配置された外側スリーブ(16、116、216、316)を含み、カップリング機構は、第1の付勢要素(18、118、218、318)と、少なくとも1つの貫通孔内に少なくとも部分的にかつ外側スリーブの内側に配置された少なくとも1つのボール(24、124、224、324)とをさらに含み、外側スリーブは、傾斜した内面(38、138、238、338)と、傾斜した内面に隣接する内側突出部(40、140、240、340)とを含み、第1の付勢要素は、前端部に配置されて、外側スリーブ及び前端部に当接し、カップリング機構は、電動工具が取り外し可能工具ヘッドを受け取ることができる開位置と、取り外し可能工具ヘッドが電動工具に接続されてその内部にロックされる閉位置との間で移動するように配置され、これにより開位置では、少なくとも1つのボールを長手方向軸(a)から離れる外向き方向に変位させることができ、閉位置では、少なくとも1つのボールの外向き方向への変位が外側スリーブの内側突出部によって防がれ、カップリング機構は、キャビティ内に少なくとも部分的に配置された内側スリーブ(20、120、220、320)と、キャビティの工具側端部及び内側スリーブに当接する第2の付勢要素(22、122、222、322)とをさらに含み、これによって開位置では、内側突出部が少なくとも1つのボールに当接するのを内側スリーブが防ぐ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具(1、301)であって、
- モータ(4)と、
- 前記モータに接続された、長手方向軸(a)を定める駆動シャフト(6)と、
- 少なくとも1つの貫通孔(32、132、232、332)を有し、工具側端部(28、128、228、328)及び自由端部(30、130、230、330)を含むキャビティ(12、112、212、312)を定める前端部(2、102、202、302)と、
- 前記駆動シャフトに取り外し可能工具ヘッド(8、308)を解除可能に接続するためのカップリング機構(10、110、210、310)と、
を備え、前記カップリング機構は、前記キャビティを少なくとも部分的に取り囲んで配置された外側スリーブ(16、116、216、316)を含み、前記カップリング機構は、第1の付勢要素(18、118、218、318)と、前記少なくとも1つの貫通孔内に少なくとも部分的にかつ前記外側スリーブの内側に配置された少なくとも1つのボール(24、124、224、324)とをさらに含み、前記外側スリーブは、傾斜した内面(38、138、238、338)と、前記傾斜した内面に隣接する内側突出部(40、140、240、340)とを含み、前記第1の付勢要素は、前記前端部に配置されて前記外側スリーブ及び前記前端部に当接し、前記カップリング機構は、前記電動工具が前記取り外し可能工具ヘッドを受け取ることができる開位置と、前記取り外し可能工具ヘッドが前記電動工具に接続されてその内部にロックされる閉位置との間で移動するように配置され、これにより前記開位置では、前記少なくとも1つのボールを前記長手方向軸(a)から離れる外向き方向に変位させることができ、前記閉位置では、前記少なくとも1つのボールの前記外向き方向への前記変位が前記外側スリーブの前記内側突出部によって防がれ、
前記カップリング機構は、前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置された内側スリーブ(20、120、220、320)と、前記キャビティの工具側端部及び前記内側スリーブに当接する第2の付勢要素(22、122、222、322)とをさらに含み、これによって前記開位置では、前記内側突出部が前記少なくとも1つのボールに当接するのを前記内側スリーブが防ぐ、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記閉位置では、前記内側スリーブ(20、120、220、320)が前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)によって前記工具側端部(28、128、228、328)に向かって付勢され、これによって前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)が前記外側スリーブ(16、116、216、316)の前記内側突出部(40、140、240、340)によって前記貫通孔(32、132、232、332)内に前記長手方向軸(a)に向かって内向きに変位することが可能になることで、前記少なくとも1つのボールが前記キャビティ(12、112、212、312)内に部分的に延出して前記取り外し可能工具ヘッドの少なくとも1つの凹部(14、314)に係合することにより、前記取り外し可能工具ヘッドを前記電動工具内にロックする、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記傾斜面(40、140、240、340)は、前記第1の付勢要素(18、118、218、318)による前記外側スリーブ(16、116、216、316)の軸方向変位中、並びに前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)及び前記内側スリーブ(18、118、218、318)を前記キャビティ(12、112、212、312)の前記工具側端部(28、128、228、328)に向けて押すことによって前記カップリング機構(10、110、210、310)が前記開位置から前記閉位置に移動する際に、前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)の前記長手方向軸(a)に向かう内向き方向への変位を案内するように構成される、
請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記貫通孔(32、132、232、332)は、前記長手方向軸(a)に向かって直径が減少する円錐形の貫通孔であり、前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)が前記貫通孔内に配置されることによって前記円錐形の貫通孔から前記キャビティ(12、112、212、312)内に外向きに部分的に延出することができるように選択される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記第1の付勢要素(18、118、218、318)は第1の通路を含み、前記第2の付勢要素(20、120、220、320)は第2の通路を含み、前記第1の通路は、前記キャビティ(12、112、212、312)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、前記第2の通路は、前記駆動シャフト(6)又は前記取り外し可能工具ヘッドのコネクタを受け取るように設計される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記カップリング機構(10、110、210、310)は、少なくとも2つのボール(24、124、224、324)又はそれよりも多くを含み、前記前端部(2、102、202、302)における貫通孔(32、132、232、332)の数及び前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)の凹部(14、314)の数は、前記カップリング機構のボールの数に適合し、又はそれを上回る、
請求項1から5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記内側スリーブ(20、120、220、320)は、前記閉位置において前記取り外し可能工具ヘッドの工具側端部に当接するように設計された肩部(50、350)を含み、前記肩部は、前記外側スリーブ(16、116、216、316)を前記第1の付勢要素(18、118、218、318)の付勢力に逆らって手動で変位させる時、及び前記カップリング機構(10、110、210、310)が前記開位置に移動する時に、前記取り外し可能工具ヘッドを前記キャビティから押し出すように設計される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項8】
前記キャビティは、概ね円筒形状を有するとともに、前記円筒形状の中心線(a)が前記駆動シャフト(6)によって定められる前記長手方向軸(a)と一致するように前記長手方向軸(a)と平行に配置される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項9】
前記内側スリーブ(20、120、220、320)及び外側スリーブ(16、116、216、316)は、手動で又は前記第2の付勢要素(22、122、222、322)及び前記第1の付勢要素(18、118、218、318)によって押され又は引かれた時に、それぞれ前記長手方向軸(a)に沿って平行に、かつ前記長手方向軸(a)と同心的に移動するように構成される、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項10】
前記内側スリーブ(320)は、前記キャビティ(312)の自由端(330)に向かって突出する少なくとも1つの突出要素(348)を含み、前記突出要素は、少なくとも前記開位置において前記外側スリーブ(316)に当接するように設計され、前記第1の付勢要素(318)の付勢力は、前記取り外し可能工具ヘッド(308)が前記電動工具に挿入されていない時に前記外側スリーブが前記閉位置に向かって変位するのを前記内側スリーブが前記少なくとも1つの突出要素を介して防ぐことができるように、前記第2の付勢要素(322)の付勢力よりも小さい、
請求項1から9のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項11】
前記内側スリーブ(320)は、前記取り外し可能工具ヘッド(308)を前記工具側端部に向けて挿入して手動で押し込んだ時に、前記キャビティ(312)の前記工具側端部(328)に向かって変位することによって前記第2の付勢要素(322)の付勢力に打ち勝つように設計され、この結果、前記第1の付勢要素(318)の付勢力によって推進される前記外側スリーブ(316)が前記閉位置に摺動できるようになり、最初に前記傾斜面(338)を、次に前記内側突出部(340)を前記少なくとも1つのボール(324)に当接するように案内し、前記少なくとも1つのボールが、前記貫通孔(332)の奥まで押し込まれることによって前記取り外し可能工具ヘッド上の凹部(314)に係合して、前記カップリング機構(310)を前記閉位置に移動させる、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記内側スリーブ(20、120、220)は外側面(54)を含み、前記外側面は、前記カップリング機構(10、110、210)の前記開位置において前記少なくとも1つのボール(24、124、224)に当接することにより、前記開位置において前記少なくとも1つのボールが前記キャビティ内に延出するのを防ぐように配置される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項13】
前記内側スリーブ(20、120、220)、従って前記外側面(54)は、前記取り外し可能工具ヘッド(8)を前記キャビティの前記工具側端部に向けて挿入して手動で押し込んだ時に、前記キャビティ(12、112、212)の前記工具側端部(28、128、228)に向かって変位して前記少なくとも1つのボールと当接しなくなることによって前記第2の付勢要素(22、122、222)の付勢力に打ち勝ち、この結果、前記第1の付勢要素(18、118、218)の付勢力によって推進される前記外側スリーブ(16、116、216)が摺動できるようになることにより、前記傾斜面(38、138、238)を前記少なくとも1つのボール(24、124、224)と当接しなくなるように動かし、その後に前記内側突出部(40、140、240)が前記少なくとも1つのボールと当接し、前記少なくとも1つのボールが前記取り外し可能工具ヘッド上の前記凹部に係合して前記カップリング機構が前記閉位置にくるようになる、
請求項12に記載の電動工具。
【請求項14】
前記外側スリーブ(216)は、前記内側突出部(240)に隣接するもう1つの傾斜面(238)をさらに含み、前記第1の付勢要素(218)の中立点は、前記第1の付勢要素(218)が前記カップリング機構(210)の前記閉位置に対応する中立点にある時に前記内側突出部(240)が前記少なくとも1つのボール(224)に当接するように選択される、
請求項12又は13に記載の電動工具。
【請求項15】
前記内側突出部(40、140、240、340)は、前記外側スリーブの内側から前記長手方向軸(a)に向かって延びるとともに平坦な頂部(58)を含み、前記平坦な頂部は、前記カップリング機構(10、110、210、310)の前記閉位置において前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)に当接するように構成される、
請求項1から14のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換できる取り外し可能工具ヘッドを備えた電動工具の分野に関する。このような取り外し可能工具ヘッドは、実行する必要がある作業に応じ、現在の工具ヘッドを取り外して新たな工具ヘッドを挿入することによって別の工具ヘッドと交換することができる。通常、取り外し可能工具ヘッドは電動工具の前端部に配置される。
【背景技術】
【0002】
異なるタイプの作業を実行する様々な取り外し可能工具ヘッドが電動工具に提供される場合、通常、カップリング機構は、電動工具の前端部に配置されたスリーブを含み、このスリーブは、取り外し可能工具ヘッドが別の工具ヘッドとの交換のために解除されるように、電動工具の前端部から離れて後方に、又は前端部に向けて前方に手動で移動させることができる。通常、この交換手順はオペレータにとって困難かつ面倒なものである。スリーブを引き戻しても、取り外し可能工具ヘッドが正しく解除されたかどうか、又は新たな工具ヘッドが正しく係合したかどうかについての触覚又は音響フィードバックは一切オペレータに与えられない。さらに、通常、この係合には、取り外し可能工具ヘッドをカップリング機構及び電動工具にそれぞれロックするために、オペレータが電動工具の前端部に向けてスリーブを押し戻すことが必要である。或いは、オペレータは、別の工具ヘッドを挿入するために、又は交換手順全体の最中に片手でスリーブを保持することによって、再びスリーブを引き戻す必要がある。交換手順の取り外し段階中には、現在カップリング機構を介して電動工具に係合している取り外し可能工具ヘッドを取り外すために、一方の手は説明したようにスリーブを保持し、他方の手は工具ヘッドを保持することで、しばしばオペレータの両手が必要とされる。他のツールヘッドの挿入段階中にも、一方の手でスリーブを制御して引っ張りながら他方の手で他の新たなツールヘッドを挿入する必要があるため状況はそれほど良くない。
【0003】
上記に加え、通常、これらのカップリング機構はその構造がかなり複雑であり、正しく機能するために複数の要素、凹部、ボール及びばねを必要とし、このため組み立てが面倒であり、信頼性問題が生じやすく、重く、高価である。例えば、このようなカップリング機構の例が米国特許第10,569,343号B2に示されており、ここではソケット又はビットを受け取るためのアタッチメントリテーナ又は駆動工具が開示され、回転ロックがスプライン及び溝を使用して行われ、軸方向ロックがボールを介して行われる。米国特許第10,569,343号B2から分かるように、カップリング機構は、ソケットによって定められる長手方向軸の周囲でスリーブなどを回転させることによって解除可能にロックされるように設計されている。
【0004】
欧州特許出願公開第3,228,408号A1には、ビットをビットアダプタにロックするカップリング機構の別の例が示されているが、この機構は複数の平面及びボールを含む。欧州特許出願公開第3,228,408号A1に示されているカップリング機構の回転ロックは、六角形の又は平面的なビット端部と、六角形の又は平面的なビット端部のいずれかを受け取るビットアダプタ内の2つの溝を有する六角形開口部とのフォームフィットカップリングを介して行われる。この機構は、ビットアダプタ内でビットをロックするように設計されている。取り外しの場合には、欧州特許出願公開第3,228,408号A1の外側スリーブをビットに向けて前進させることができる。これにより、この時点で第1のボールが自由に外向きに移動するようになってビットを手動で取り外すことができるので、ビットがロック解除される。欧州特許出願公開第3,228,408号A1の設計は、複数の平面及びボール、従って少なくとも2つのボールと、回転ロック及び軸方向ロック、並びに開位置における外側スリーブのロックのためのフォームフィットソリューションとを使用することでかなり複雑になり、これに伴って上述した欠点が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10,569,343号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3,228,408号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の点から、オペレータにとって取り扱い易く製造及び組み立てに有効な電動工具用カップリング機構及び電動工具を提供することが必要とされている。
【0007】
本発明の目的は、安全で取り扱い易く、効率的で信頼性の高い電動工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した課題に照らして、電動工具における取り外し可能工具ヘッドのカップリング機構を、工具ヘッドの軸方向ロック及び回転ロックに1つのボール、又はボールの1つの平面しか必要でないように単純化できることを発見した。また、本発明者らは、オペレータが片手で工具ヘッドを交換できるようにカップリング機構を単純化できることも発見した。同時に、このカップリング機構は、工具ヘッドが電動工具に正しく係合しているか、又は電動工具から正しく係合解除されているかをオペレータが明確に識別できるように、カップリング機構における取り外し可能工具ヘッドのロック及び解除についての明確な触覚及び/又は音響フィードバックを提供することができる。
【0009】
本明細書では、モータと、ギアボックスと、ギアボックスに又はギアボックスを介してモータに接続された、長手方向軸を定める駆動シャフトと、少なくとも1つの貫通孔を有する前端部とを備え、貫通孔の軸が長手方向軸に対して垂直に長手方向軸を貫通し、前記前端部が、工具側端部及び開放端部を含むキャビティを定める、電動工具を開示する。電動工具は、駆動シャフトに取り外し可能工具ヘッドを解除可能に接続するためのカップリング機構をさらに備え、このカップリング機構は、キャビティを少なくとも部分的に取り囲んで配置された外側スリーブを含み、カップリング機構は、第1の付勢要素と、少なくとも1つの貫通孔内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つのボールとをさらに含み、前記少なくとも1つのボールは、外側スリーブの内側にさらに配置される。外側スリーブは、傾斜した内面と、傾斜した内面に隣接する内側突出部とを含み、第1の付勢要素は、前端部に配置されて外側スリーブ及び前端部に当接する。カップリング機構は、電動工具が取り外し可能工具ヘッドを受け取ることができる開位置と、取り外し可能工具ヘッドが電動工具に接続されてその内部にロックされる閉位置との間で移動するように配置され、これにより開位置では、少なくとも1つのボールを長手方向軸から離れる外向き方向に変位させることができ、閉位置では、少なくとも1つのボールの外向き方向への変位が外側スリーブの内側突出部によって防がれる。カップリング機構は、キャビティ内に少なくとも部分的に配置された内側スリーブと、キャビティの工具側端部及び内側スリーブに当接する第2の付勢要素とをさらに含み、これによって開位置では、内側突出部が少なくとも1つのボールに当接するのを内側スリーブが防ぐ。
【0010】
上記の実施形態では、基本的に2つのスリーブ、第1及び第2の2つの付勢要素、並びに少なくとも1つのボールを使用し、これらは協働してカップリング機構を、取り外し可能工具ヘッドを受け取る状態にある開位置、又は閉位置のいずれかの状態に置き、別の工具ヘッドの挿入中に内側スリーブを手動で転位させると閉位置となり、少なくとも1つのボールが取り外し可能工具ヘッド上の凹部と少なくとも部分的に滑らかに係合し、第1の付勢要素によって適所に保持された外側スリーブの内側突出部を介してそこにロックされるようになる。
【0011】
この設計は、カップリング機構の効率的な構造を可能にすることで、オペレータにとってカップリング機構を使いやすくし、基本的に片手でカップリング機構を管理できるようにする。また、第1及び第2の付勢要素、並びに少なくとも1つのボールは、取り外し可能工具ヘッドの係合及びロック、並びに解除時に、明確な音響及び触覚フィードバックを提供する。
【0012】
ある実施形態では、電動工具が閉位置にある時に、内側スリーブが取り外し可能工具ヘッドによって工具側端部に向かって付勢されることによって少なくとも1つのボールの長手方向軸(a)に向かう内向きの変位を可能にし、少なくとも1つのボールが取り外し可能工具ヘッドの少なくとも1つの凹部に係合できるようになり、内側突出部が少なくとも1つのボールに当接することによって少なくとも1つのボール及び少なくとも1つの凹部を介して取り外し可能工具ヘッドを電動工具内にロックする。
【0013】
オペレータは、少なくとも1つのボールが凹部に係合した時点でクリック音を聞いて感じ、外側スリーブがロック位置に移動することによってこのロックを検出することができる。
【0014】
別の実施形態では、傾斜面が、第1の付勢要素による外側スリーブの軸方向変位中、並びに取り外し可能工具ヘッド及び内側スリーブをキャビティの工具側端部に向けて押すことによってカップリング機構が開位置から閉位置に移動する際に、少なくとも1つのボールの長手方向軸(a)に向かう内向き方向への変位を案内するように構成される。
【0015】
傾斜面は、外側スリーブの変位時に少なくとも1つのボールを傾斜面から内側突出部に、及びその逆に案内することにより、開位置と閉位置との間の滑らかな遷移をもたらすのに役立つ。
【0016】
開位置では、少なくとも1つのボールが傾斜面に当接する。
【0017】
別の実施形態では、貫通孔が、駆動軸によって定められる長手方向軸に向かって直径が減少する円錐形の貫通孔であることにより、少なくとも1つのボールが、貫通孔内に配置されることによって円錐形の貫通孔からキャビティ内に外向きに部分的に延出することができる。
【0018】
円錐形の貫通孔の最小径は、少なくとも1つのボールの直径よりも大きくない。そして、閉位置において内側突出部が少なくとも1つのボールを円錐形の貫通孔に押し込んでいる時には、少なくとも1つのボールがキャビティ内に延出して凹部に係合することができる。
【0019】
別の実施形態では、第1の付勢要素が第1の通路を含み、第2の付勢要素が第2の通路を含み、第1の通路は、キャビティを少なくとも部分的に包囲するように配置され、第2の通路は、取り外し可能工具ヘッドの駆動軸又はコネクタを受け取るように設計される。
【0020】
さらなる実施形態では、カップリング機構が、少なくとも2つのボール、好ましくは4つのボール、より好ましくは6つのボール、さらに好ましくは8~14個のボールを含むことができ、前端部における貫通孔の数及び取り外し可能工具ヘッドの凹部の数はカップリング機構のボールの数に適合する。
【0021】
カップリング機構に設けられるボール及び対応する貫通穴の数が多ければ多いほど、取り外し可能工具ヘッドを前端部のキャビティに挿入する際に取り外し可能工具ヘッドをわずかに回転させるだけで多くのボールを多くの凹部に係合させることができるので、取り外し可能工具ヘッドをカップリング機構及び電動工具に回転してロックすることが容易になる。しかしながら、工具ヘッドのブッシング及び電動工具の前端部の安定性を理由に、使用できるボール及び凹部の数にはそれぞれ限界がある。
【0022】
いくつかの実施形態では、10個又は12個のボールと対応する貫通孔及び凹部を設けることができ、基本的には1~30個までのいずれかの数又はそれよりも多くの数のボールと対応する数の貫通孔及び凹部を設けることができる。
【0023】
ある実施形態では、内側スリーブが、閉位置において取り外し可能工具ヘッドの工具側端部に当接するように設計された肩部を含み、この肩部は、外側スリーブを第1の付勢要素の付勢力に逆らって手動で変位させる時、及びカップリング機構が開位置に移動する時に、取り外し可能工具ヘッドをキャビティから押し出すように設計される。
【0024】
これにより、オペレータには、取り外し可能工具ヘッドが電動工具から係合解除されていて取り外しできること、或いは取り外し可能工具ヘッドが正しく係合しておらず、さらに強く又は奥までキャビティ内に押し込む必要があることが目に見えて明確になる。
【0025】
ある実施形態では、キャビティが、概ね円筒形状を有するとともに、円筒形状の中心線(a)が駆動軸によって定められる長手方向軸(a)と一致するように長手方向軸(a)と平行に配置される。
【0026】
これにより、内側スリーブと第2の付勢要素、及び外側スリーブと第1の付勢要素の適切な作用が支援される。
【0027】
さらなる実施形態では、内側スリーブ及び外側スリーブが、手動で又は第2の付勢要素及び第1の付勢要素によって押され又は引かれた時に、それぞれ長手方向軸(a)に沿って平行に、かつ長手方向軸(a)と同心的に移動するように構成される。
【0028】
これにより、カップリング機構の適切な作用の達成が促されるとともに摩擦量が減少することで、カップリング機構の動作が改善される。
【0029】
上述した全ての実施形態では、取り外し可能工具ヘッドを解除してカップリング機構を閉位置又はロック位置から開位置に移動させるために、外側スリーブを電動工具の前端部に向けて、又は電動工具の前端部から離して摺動させることができる。
【0030】
さらに別の実施形態では、内側スリーブが、キャビティの開放端に向かって突出する少なくとも1つの突出要素を含み、この突出要素は、少なくとも開位置において外側スリーブに当接するように設計され、第1の付勢要素の付勢力は、取り外し可能工具ヘッドが電動工具に挿入されていない時に外側スリーブが閉位置に向かって変位するのを内側スリーブが少なくとも1つの突出要素を介して防ぐことができるように、第2の付勢要素の付勢力よりも小さい。
【0031】
これに伴い、内側スリーブは、外側スリーブが閉位置に移動するのを阻止し、この場合、内側突出部が少なくとも1つのボールに係合することによってボールを貫通孔内に押し込むことで、取り外し可能工具ヘッドが完全にキャビティ内に挿入されて電動工具内にロックされるのを防ぐ。
【0032】
さらなる実施形態では、内側スリーブが、取り外し可能工具ヘッドを工具側端部に向けて挿入して手動で押し込んだ時にキャビティの工具側端部に向かって変位することによって第2の付勢要素の付勢力に打ち勝つように設計され、この結果、第1の付勢要素の付勢力によって推進される外側スリーブが閉位置に摺動できるようになり、最初に傾斜面を、次に内側突出部を少なくとも1つのボールに当接するように案内し、少なくとも1つのボールが貫通孔の奥まで押し込まれることによってキャビティ内に部分的に延出して取り外し可能工具ヘッドの凹部に係合するようになる。
【0033】
開位置において外側スリーブが移動するのを内側スリーブが妨げている実施形態では、取り外し可能工具ヘッドを取り外すために、従ってカップリング機構を閉位置から開位置に移動させるために、外側スリーブを前端部から離して摺動させることができる。
【0034】
内側スリーブを手動で変位させると、外側スリーブと第1の付勢要素とが係合可能になって傾斜面を介して少なくとも1つのボールを押すことにより、少なくとも1つのボールに対して圧力を生じて長手方向軸に向けて移動させ、この結果、凹部が少なくとも1つのボールと整列すると直ぐに取り外し可能工具ヘッドがキャビティ内にロックされ、これによって傾斜面がボール上を摺動し、最終的に内側突出部が少なくとも1つのボールを貫通孔及び凹部に押し込むようになる。
【0035】
別の実施形態では、内側スリーブが外側面を含み、この外側面は、少なくとも1つのボールに当接することによって少なくとも1つのボールが開位置においてキャビティ内に延出するのを防ぐように配置される。
【0036】
上記の実施形態では、少なくとも1つのボールが傾斜面を介して貫通孔内に完全に押し込まれることが内側スリーブの外側面によって防がれる。取り外し可能工具ヘッドの挿入時に内側スリーブが変位して第2の付勢要素の付勢力に打ち勝つと、直ぐに外側面が少なくとも1つのボールの経路から外れ、この結果、凹部が貫通孔及びボールとそれぞれ整列すると、外側スリーブの傾斜面が少なくとも1つのボールを完全に貫通孔内に押し込んで取り外し可能工具ヘッドの凹部に係合できるようになる。
【0037】
さらに別の実施形態では、内側スリーブ、従って外側面が、取り外し可能工具ヘッドをキャビティの工具側端部に向けて挿入して手動で押した時に、キャビティの工具側端部に向かって変位して少なくとも1つのボールと当接しなくなることによって第2の付勢要素の付勢力に打ち勝ち、この結果、第1の付勢要素の付勢力によって推進される外側スリーブが摺動できるようになることによって、傾斜面を少なくとも1つのボールと当接するように動かした後に、内側突出部を少なくとも1つのボールと当接するように動かし、このため少なくとも1つのボールが取り外し可能工具ヘッドの凹部に係合できるようになってカップリング機構が閉位置に移動するようになる。
【0038】
別の実施形態では、外側スリーブが、内側突出部に対称的に隣接するもう1つの傾斜面をさらに含み、第1の付勢要素の中立点は、第1の付勢要素がカップリング機構の閉位置に対応する中立点にある時に内側突出部が少なくとも1つのボールに当接するように選択される。
【0039】
これにより、オペレータは、取り外し可能工具ヘッドを解除するために外側スリーブを電動工具の前端部から離して又は前端部に向けて移動させるとともに、カップリング機構を閉位置から開位置に移動させることが可能になる。
【0040】
別の解決策では、内側突出部が、外側スリーブの内側から長手方向軸(a)に向かって延びるとともに平坦な頂部を含み、この平坦な部分は、カップリング機構の閉位置において少なくとも1つのボールに当接するように構成される。
【0041】
平坦な頂部は、カップリング機構の堅牢性を高めて製造公差を補償することができる。
【0042】
以上、本発明及び多くの実施形態について説明した。当業者には、上記の実施形態を多くの方法で組み合わせることができること、及び全ての実施形態の特徴を他の実施形態において使用できることが明らかである。本開示にはこのような実施形態も含まれる。
【0043】
以下、(単複の)実施形態を使用して添付図面を参照しながら本発明を例示目的でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】例えば締め付けを目的とする取り外し可能な角度付き工具ヘッドを有する電動工具の概略図である。
【
図2a】取り外し可能な角度付き工具ヘッドが電動工具に係合してロックされ、カップリング機構が閉位置にある、
図1の電動工具の概略的断面図である。
【
図2b】カップリング機構の詳細部分を示す
図2aの概略的拡大断面図である。
【
図3】取り外し可能な角度付き工具ヘッドが係合解除されてカップリング機構が開位置にある
図1の電動工具の概略的断面図である。
【
図4】取り外し可能な角度付き工具ヘッドが電動工具から係合解除されてカップリング機構が開位置にある、本発明の別の実施形態の概略的断面図である。
【
図5】取り外し可能な角度付き工具ヘッドが電動工具に係合してカップリング機構が閉位置にある、本発明の別の実施形態の概略的断面図である。
【
図6】取り外し可能工具ヘッドを有するねじ回し又はドリルマシンとして示す電動工具の形態の、本発明のさらに別の実施形態の概略図である。
【
図7】取り外し可能工具ヘッドが電動工具に係合してカップリング機構が閉位置にある状態の概略的断面図である。
【
図8】取り外し可能工具ヘッドが係合解除されてカップリング機構が開位置にある
図6の電動工具の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に、ねじ又はボルトの締め付けに使用される、前端部2及び取り外し可能な角度付き工具ヘッド8を含む締め付け用電動工具1を示す。
図1に示す実施形態では、取り外し可能な角度付き工具ヘッド8が電動工具1にロックされて係合している。
図2aは、
図1による電動工具1の前方部分の、すなわち取り外し可能工具ヘッド8が電動工具1に係合してカップリング機構10が閉位置にある状態の断面図である。再び
図1を参照すると、電動工具1は、取り外し可能な角度付き工具ヘッド8を別の工具ヘッドと交換するために取り外し可能な角度付き工具ヘッド8を係合解除するための外側スリーブ16をさらに含み、この係合解除は、取り外し可能な角度付き工具ヘッド8を電動工具1の前方部分から離して外向きに摺動させることができるように、外側スリーブ16を電動工具本体3から取り外し可能な角度付き工具ヘッド8に向けて前方に押すことによって行われる。
図3は、取り外し可能工具ヘッド8が係合解除されてカップリング機構10が開位置にある電動工具1の前方部分の断面図である。
【0046】
図2aには、
図1に示す平面II-II、及び駆動軸又はギアトレーン又はギアボックス6によって定められる長手方向軸aに沿って切断した断面図を示す。電動工具1は、前端部2、モータ4、モータ4に接続された駆動軸6、取り外し可能工具ヘッド8、及びカップリング機構10を含む。
【0047】
前端部2は、工具側端部28と、自由端部30と、カップリング機構10の少なくとも1つのボール24を受け取るための少なくとも1つの貫通孔32とを有するキャビティ12を含む。前端部2はスリーブ形であり、少なくとも1つの貫通孔32は、駆動軸6によって定められる長手方向軸aの方を向くように設計される。
【0048】
カップリング機構10は、外側スリーブ16、第1の付勢要素18、内側スリーブ20、第2の付勢要素22、及び少なくとも1つのボール24を含む。外側スリーブ16は、前端部2の円周に沿って配置され、外側スリーブ16に対して電動工具1の本体に向かう方向に作用する第1の付勢要素18の抵抗に逆らって手動で付勢することができる。第1の付勢要素18は、
図2に示す矢印bの方向を180度旋回させた正反対の方向に外側スリーブ16を押すことができるように、キャビティ12の自由端30又は少なくともその付近のストップ35及び外側スリーブ16の内側肩部34に当接する。
【0049】
外側スリーブ16が
図2bの矢印bによって示す方向に、従って前端部2のキャビティ12の自由端30に向かって、又は取り外し可能工具ヘッド8に向かって動く場合。以下、
図2bを参照しながらこれについてさらに詳細に説明する。
【0050】
図2bには、外側スリーブ16及び内側スリーブ20の詳細部分を示す。外側スリーブ16は、内面36と、内面36に隣接する傾斜した内面38と、傾斜した内面38に隣接するとともに、外側スリーブ16からキャビティ12の内側及び/又は長手方向軸a(
図2aを参照)に向かって突出する、平坦部58を有する内側突出部40とを含む。カップリング機構10の閉位置では、内側突出部40が少なくとも1つのボール24に当接して、ボール24を前端部2の貫通孔32内に押し込む。これにより、少なくとも1つのボールが部分的にキャビティ12内に延出して取り外し可能工具8の凹部14に係合する。貫通孔32は、少なくとも1つのボール24が貫通孔32内に完全にぴったりと配置された時に容易に部分的に延出することができるように、キャビティ12に向かって直径が小さくなる円錐形の設計を有することができる。
【0051】
内面36、傾斜した内面38、及び平坦部58を有する内側突出部40は、外側スリーブ16の内側の周囲に円周方向に配置することができる。或いは、内面36、傾斜した内面38、及び平坦部58を有する内側突出部40は、少なくとも1つのボール24又は複数のボール24に係合するために外側スリーブ16の内側に位置するように配置することもでき、従って内面36、傾斜した内面38、及び平坦部58を有する内側突出部40が連続して円周方向に配置されていない場合、これらの数は適宜に適合される。内面36、傾斜した内面38、及び平坦部58を有する内側突出部40は、外側スリーブ16の内側に沿って円周方向に連続して配置されることが好ましい。
【0052】
図2bには内側スリーブ20も示しており、この内側スリーブ20は、キャビティ12の自由端30の方に向けられた内側スリーブ20の前端部に配置された肩部50を含む。内側スリーブ20及び第2の付勢要素22は、電動工具1の駆動軸6又は取り外し可能工具ヘッド8のシャフトを通すための凹部52又は中央通路をさらに含む。内側スリーブは、キャビティ12内でぴったりとした形で、従ってキャビティ12の内面に沿って滑らかに摺動するように適合された外側面54を肩部50に隣接してさらに含む。従って、内側スリーブ20が前後に移動する領域では、キャビティ12の内径が内側スリーブ20の外径に少なくとも多少対応する一方で、自由端28では、端部の直径が内側スリーブ20の直径よりも小さいため内側スリーブ20が適所に保持されてキャビティ12から出ることができない。
【0053】
図2Bから分かるように、外側スリーブ16を取り外し可能工具ヘッド8又はキャビティ12の自由端30に向けて第1の付勢要素18の付勢力に逆らって手動で摺動又は移動させると。これにより、内側突出部40及び平坦な頂部58が少なくとも1つのボール24との当接から外れ、従って傾斜面38が少なくとも1つのボール24に当接して接触し、少なくとも1つのボール24が取り外し可能工具ヘッド8の凹部14から離れて移動し始める。少なくとも1つのボール24の外面がキャビティ12の内面と同一平面にくると、内側スリーブ20が、第2の付勢要素22の付勢力によって駆動される肩部50を介して取り外し可能工具ヘッド8をキャビティ12から押し出し、内側スリーブ20の外側面54が貫通孔32上を摺動することにより、取り外し可能工具ヘッド8がキャビティ12から取り外される時に少なくとも1つのボール24が貫通孔32と完全に又はぴったりに係合するのを妨ぐ。説明した動きの最中に、傾斜した内面38は少なくとも1つのボール24上を摺動し、少なくとも1つのボール24に当接してカップリング機構10を開位置の状態にする。或いは、カップリング機構10は、傾斜した内面38が少なくとも1つのボール24に当接する代わりに、内面36が少なくとも1つのボール24に当接するように設計することもできる。この開位置を
図3に示しており、以下これについて説明する。
【0054】
図3には、開位置にあるカップリング機構10を示しており、ここでは内側スリーブ20の外側面54が基本的に貫通孔32を閉じる(
図2bを参照)ことにより、少なくとも1つのボール24が取り外し可能工具ヘッド8の凹部14に入り込むのを防ぐ一方で、同時にオペレータが外側スリーブ16を引いたり押したりする必要なく電動工具1内に別の取り外し可能工具ヘッドを容易に摺動させることができるように、電動工具1を開いたままで保持する。オペレータは、外側面54が貫通孔32から離れて移動し、上述したように少なくとも1つのボール24が摺動して他の取り外し可能工具ヘッドの凹部に係合するように、第2の付勢要素22の付勢力に逆らって他の取り外し可能工具ヘッドを押すだけでよい。
図3に示すような開位置では、第1の付勢要素18が圧縮位置又は圧縮状態にあり、電動工具1に向けて外側スリーブ16に予張力を加えているが、この動きは少なくとも1つのボール24及び内側スリーブの外側面54によって阻止される。さらに、
図3には、内側スリーブ20が肩部50及び第2の付勢要素22を介して取り外し可能工具ヘッド8をキャビティ12から押し出すためにどのように設計されているかも上手く示している。
【0055】
図示のように、第1及び第2の付勢要素18、22は、油圧シリンダ、エラストマー又は他の形態のゴムクッション、或いは弾性要素及び/又はばねであることができる。この構成は、本明細書における全ての実施形態で可能であり、そのように示している。
【0056】
図1~
図3に示すようなカップリング機構10は、工具ヘッド8が電動工具1に係合している時に外側スリーブ16を矢印bの方向に、従って取り外し可能工具ヘッド8に向けて手動で摺動させることによって解除することができる。しかしながら、代わりに取り外し可能工具ヘッド8を解除するために外側スリーブ116を電動工具1に向けて摺動させるようにカップリング機構110を設計することも可能である。以下、
図4を参照しながらこれについて説明する。
【0057】
図4には、ここでも外側スリーブ116が内面136と、内面136に隣接する傾斜した内面138と、傾斜した内面138に隣接する、平坦な頂部を有する内側突出部140とを含む(
図2bを参照)、修正したカップリング機構110を示す。しかしながら、この事例では、内面36がキャビティ12の工具側端部28に近接して配置され、次に傾斜した内面38が配置され、最後にキャビティ12の自由端30に最も近接して内側突出部40が配置されている
図2a、
図2b及び
図3とは別の順序で、内面136、傾斜した内面138及び内側突出部140が配置されている。
図4に示す実施形態では、キャビティ112の自由端130に最も近接して内面136が配置され、内面136と内側突出部140との中間に傾斜した内面140が配置されている。平坦な頂部を有する内側突出部140は、キャビティ112の工具側端部128に近接して配置される。すなわち、
図4の実施形態では、取り外し可能工具ヘッド8を解除するために、外側スリーブ116を、矢印b’によって示すように電動工具1又はキャビティ112の工具側端部128に向けて手動で摺動させることができる。内側スリーブ120及び第1の付勢要素122は、
図1~
図3に示す内側スリーブ及び第1の付勢要素と同様に設計される。第1の付勢要素118は、外側スリーブ116、及びキャビティ112の工具側端部128に近接して配置された電動工具1の肩部160に当接している。その他の点では、カップリング機構110は、
図1~
図3を参照しながら説明したものと同様に機能する。
【0058】
図1~
図3及び
図4に示す、取り外し可能工具ヘッド8を解除するために外側スリーブ16、116を前方又は後方に摺動させることができる実施形態に照らせば、取り外し可能工具ヘッド8を解除するために、従ってカップリング機構210を開位置に移動させるために前方又は後方に摺動させることができる外側スリーブ216を設けることも可能である。このような実施形態を
図5に概略的に示す。
【0059】
図5に示す外側スリーブ216は、2つの傾斜した内面238及び2つの内面236を含み、これらは外側スリーブ216の内側を円周方向に取り囲んで配置することも、又はしないこともできる。2つの傾斜した内面238は、内側突出部240の周囲に対称的に配置され、それぞれの傾斜した内面238の外側に2つの内面236が配置される。第2の付勢要素218は、キャビティ212の工具側端部において外側スリーブ216上の肩部に当接する一対のワッシャ又は環状要素217と、電動工具1の前端部202に固定して接続された別のワッシャ219との間に配置される。ワッシャ219は、内側部分がキャビティ212の外側で電動工具の前端部202に固定的に係合又は接続され、ワッシャ219の外側部分が外側スリーブ216に固定的に接続されるような2つのパーツで設けられ、又は2つのワッシャ219であることができる。この設計は、工具ヘッド8の解除のために、工具が電動工具1に係合してロックされている時に外側スリーブ216を工具側端部228又はキャビティ212の前端部に向けて又はそこから離して動かす場合、又は取り外し可能工具ヘッド8から離して又は工具ヘッド8に向けて動かする場合の両方において第1の付勢要素218の圧縮を可能にする。
図5では、この解除の動きを両方向矢印b’’によって示す。ここでも、内側スリーブ220の設計は
図1~
図4を参照して上述したものと同一又は同様であり、従ってカップリング機構210が閉位置にある時に外側スリーブ216を手動で摺動させる際、及びカップリング機構210が開位置にある時に別の工具ヘッドを挿入する際の凹部及び貫通孔における少なくとも1つのボール224の係合及び係合解除についても同様である。
【0060】
次に、取り外し可能工具ヘッド308、駆動軸306及び外側スリーブ316を含む手持ち式ドリルの形態の電動工具301を示す
図6~
図8を参照しながら本発明の別の実施形態について説明する。
図2の取り外し可能工具ヘッド308は、合計で約10~14個の複数の凹部314を含み、従って同様の数のボール324を含むが、凹部314よりも少ないボールを使用することも可能である。本明細書に示す他の実施形態は、同様の数のボール324及び対応する凹部314、又はそれより少ないボール324を含むことができる。
【0061】
図6では、電動工具301の前端部302のキャビティ312がよく見えており、このキャビティ312は、取り外し可能な電動工具308を受け取るように構成される。カップリング機構310(
図7を参照)は、取り外し可能工具ヘッド8を受け取れる状態の開位置にある。
図1~
図5に示す実施形態では、カップリング機構10、110、210が開位置にある時にカップリング機構10、110、210が内側スリーブ20、120、220を使用して少なくとも1つのボール24、124、224の再係合を阻止することを示した。本明細書に開示する発明は、取り外し可能工具ヘッド308の凹部314及び貫通孔332に少なくとも1つのボール324が押し込まれることで、外側スリーブ316が閉位置に後退するのを内側スリーブ320が阻止する解決策も対象とする。このような解決策では、第1の弾性要素318の付勢力が第2の弾性要素322の付勢力よりも小さい。以下、
図7及び
図8を参照しながらこの実施形態について説明する。
【0062】
図7には、取り外し可能工具ヘッド308が電動工具301の前端部302のキャビティ312に係合した閉位置にあるカップリング機構310を示す。本実施形態では取り外し可能工具ヘッド308内に12個のボール324及び12個の凹部314が存在するが、これらの少なくとも1つのボール324は、円錐形の貫通孔332内及び(単複の)凹部314内に完全に押し込まれて係合する。(単複の)ボール324には、平坦な頂部を有する内側突出部340が当接する。
【0063】
内側スリーブ320はキャビティ312の工具側端部328に向かって付勢され、第2の付勢要素322は圧縮されて予張力が加わっている。内側スリーブ320は、前端部302の凹部を貫通する一対の突出要素348を含む。突出要素348はフィンガーなどであることができる。しかしながら、突出要素348は、内側スリーブ320の周囲に円周方向に連続して配置されるのではなく、説明したようにフィンガー、シャフト又はボード様要素のように設計される。
図7に示すようなカップリング機構310の閉位置では、突出要素348が外側スリーブ316に接触することができるが、この場合は取り外し可能工具ヘッド308が第2の付勢要素322の力を吸収していることで、第1の付勢要素318の付勢力がその任務をこなして、(単複の)ボール324が内側突出部348を介して円錐形の貫通孔332から外へ移動するのを阻むために外側スリーブ316を電動工具301の工具側端部328に向けて押すことができるので、これらの突出要素348が外側スリーブ316に圧力を加えることはない。従って、内側スリーブ320の移動は、閉位置にある工具ヘッド308によって阻止される。従って、オペレータは、第2の付勢要素322の付勢力に逆らって工具ヘッド308をキャビティ312内に押し込む必要がある。オペレータが電動工具から工具ヘッド308を取り外したいと望む時には、外側スリーブ316をキャビティ312の自由端330に向けて手動で押し、これによって(単複の)ボール324が内側突出部340から傾斜面338に摺動できるようになることで、第2の付勢要素322が発生させる圧力によって(単複の)ボール324が凹部(314)から離脱し、結果的に第2の付勢要素322及び内側スリーブ320によって駆動された工具ヘッド308が
図8に示すようにキャビティ312から押し出されるようになる。
【0064】
図8には、工具ヘッド308が依然として部分的にキャビティ312内に嵌め込まれているにもかかわらず開位置にあるカップリング機構310を示す。第1の付勢要素322は伸びており、取り外し可能工具ヘッド308はキャビティ312から押し出されている。内側スリーブ320の(単複の)突出要素348は外側スリーブ316に当接しており、第2の付勢要素322の付勢力の方が第1の付勢要素318の付勢力よりも大きいので、たとえ第1の付勢要素318が圧縮されている場合でも外側スリーブ316がキャビティ312の工具側端部328に向かって逆に摺動することはできない。オペレータは、別の工具ヘッドを挿入する準備が整うと、カップリングシャフトをキャビティ312内に摺動させ、(単複の)ボール324が凹部314内に係合するまで、第2の付勢要素322によって生じる力に逆らって工具ヘッド8を押し込む。
【0065】
突出要素348又は突出部が外側スリーブ316に当接するには、電動工具の前端部302に何らかの形態の凹部(
図7及び
図8では見えない)を設ける必要がある。いずれにせよ、内側スリーブ320は、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の突出要素348、及び前端部302の対応する凹部を含むことができる。
【0066】
図6~
図8を参照して示す内側スリーブ320は、
図7に示すようなカップリング機構310の閉位置において取り外し可能工具ヘッド308の工具側端部に当接する肩部350をさらに含むことができ、この肩部350は、外側スリーブ316を介して閉位置が解除された時、及びカップリング機構316の閉位置から開位置への移動中に、取り外し可能工具ヘッド308をキャビティ312から少なくとも部分的に押し出すために使用される。
【0067】
なお、
図6~
図8に示すカップリング機構310の実施形態は、
図1~
図5に示す実施形態に組み込むこともできる。例えばボール24、124、224、324の数、又は突出要素348を有する内側スリーブ20、120、220、320の使用などのいくつかの特徴は分離することもできる。
【0068】
図示の実施形態では、第1及び第2の付勢要素18、118、218、318、22、122、222、322が、前端部2、102、202、302(第1の付勢要素)、或いは駆動軸6及び/又は取り外し可能工具ヘッド8のシャフト、及び/又は前端部2、102、202、302のセンサを電動工具の電子機器に接続するケーブルなどを受け取るための通路を中心に有するように設計される。
【0069】
本明細書に示す実施形態では、外側スリーブ16、116、216、316が前端部2、102、202、302の外側の周囲に配置される。
【0070】
取り外し可能工具ヘッド8、308に示す凹部14、314は、ひっくり返った円錐形及びV字形であることが好ましい。
【0071】
貫通孔32、132、232、332の最小径は、常に少なくとも1つのボール24、124、224、324の直径よりも小さいが、カップリング機構10、110、210、310の閉位置において少なくとも1つのボール24、124、224、324の一部がキャビティ12、112、212、312内に延出し、この部分が凹部14、314に係合できるように選択される。
【0072】
図示の電動工具1は、バッテリ駆動式電動工具であることが好ましい。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具(1、301)であって、
- モータ(4)と、
- 前記モータに接続された、長手方向軸(a)を定める駆動シャフト(6)と、
- 少なくとも1つの貫通孔(32、132、232、332)を有し、工具側端部(28、128、228、328)及び自由端部(30、130、230、330)を含むキャビティ(12、112、212、312)を定める前端部(2、102、202、302)と、
- 前記駆動シャフトに取り外し可能工具ヘッド(8、308)を解除可能に接続するためのカップリング機構(10、110、210、310)と、
を備え、前記カップリング機構は、前記キャビティを少なくとも部分的に取り囲んで配置された外側スリーブ(16、116、216、316)を含み、前記カップリング機構は、第1の付勢要素(18、118、218、318)と、前記少なくとも1つの貫通孔内に少なくとも部分的にかつ前記外側スリーブの内側に配置された少なくとも1つのボール(24、124、224、324)とをさらに含み、前記外側スリーブは、傾斜した内面(38、138、238、338)と、前記傾斜した内面に隣接する内側突出部(40、140、240、340)とを含み、前記第1の付勢要素は、前記前端部に配置されて前記外側スリーブ及び前記前端部に当接し、前記カップリング機構は、前記電動工具が前記取り外し可能工具ヘッドを受け取ることができる開位置と、前記取り外し可能工具ヘッドが前記電動工具に接続されてその内部にロックされる閉位置との間で移動するように配置され、これにより前記開位置では、前記少なくとも1つのボールを前記長手方向軸(a)から離れる外向き方向に変位させることができ、前記閉位置では、前記少なくとも1つのボールの前記外向き方向への前記変位が前記外側スリーブの前記内側突出部によって防がれ、
前記カップリング機構は、前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置された内側スリーブ(20、120、220、320)と、前記キャビティの工具側端部及び前記内側スリーブに当接する第2の付勢要素(22、122、222、322)とをさらに含み、これによって前記開位置では、前記内側突出部が前記少なくとも1つのボールに当接するのを前記内側スリーブが
防ぎ、前記内側スリーブ(320)は、前記キャビティ(312)の自由端(330)に向かって突出する少なくとも1つの突出要素(348)を含み、前記突出要素は、少なくとも前記開位置において前記外側スリーブ(316)に当接するように設計され、前記第1の付勢要素(318)の付勢力は、前記取り外し可能工具ヘッド(308)が前記電動工具に挿入されていない時に前記外側スリーブが前記閉位置に向かって変位するのを前記内側スリーブが前記少なくとも1つの突出要素を介して防ぐことができるように、前記第2の付勢要素(322)の付勢力よりも小さく、
前記内側スリーブ(20、120、220)は外側面(54)を含み、前記外側面は、前記カップリング機構(10、110、210)の前記開位置において前記少なくとも1つのボール(24、124、224)に当接することにより、前記開位置において前記少なくとも1つのボールが前記キャビティ内に延出するのを防ぐように配置される、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記閉位置では、前記内側スリーブ(20、120、220、320)が前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)によって前記工具側端部(28、128、228、328)に向かって付勢され、これによって前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)が前記外側スリーブ(16、116、216、316)の前記内側突出部(40、140、240、340)によって前記貫通孔(32、132、232、332)内に前記長手方向軸(a)に向かって内向きに変位することが可能になることで、前記少なくとも1つのボールが前記キャビティ(12、112、212、312)内に部分的に延出して前記取り外し可能工具ヘッドの少なくとも1つの凹部(14、314)に係合することにより、前記取り外し可能工具ヘッドを前記電動工具内にロックする、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記傾斜面(40、140、240、340)は、前記第1の付勢要素(18、118、218、318)による前記外側スリーブ(16、116、216、316)の軸方向変位中、並びに前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)及び前記内側スリーブ(18、118、218、318)を前記キャビティ(12、112、212、312)の前記工具側端部(28、128、228、328)に向けて押すことによって前記カップリング機構(10、110、210、310)が前記開位置から前記閉位置に移動する際に、前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)の前記長手方向軸(a)に向かう内向き方向への変位を案内するように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記貫通孔(32、132、232、332)は、前記長手方向軸(a)に向かって直径が減少する円錐形の貫通孔であり、前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)が前記貫通孔内に配置されることによって前記円錐形の貫通孔から前記キャビティ(12、112、212、312)内に外向きに部分的に延出することができるように選択される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項5】
前記第1の付勢要素(18、118、218、318)は第1の通路を含み、前記第2の付勢要素(20、120、220、320)は第2の通路を含み、前記第1の通路は、前記キャビティ(12、112、212、312)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、前記第2の通路は、前記駆動シャフト(6)又は前記取り外し可能工具ヘッドのコネクタを受け取るように設計される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記カップリング機構(10、110、210、310)は、少なくとも2つのボール(24、124、224、324)又はそれよりも多くを含み、前記前端部(2、102、202、302)における貫通孔(32、132、232、332)の数及び前記取り外し可能工具ヘッド(8、308)の凹部(14、314)の数は、前記カップリング機構のボールの数に適合し、又はそれを上回る、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項7】
前記内側スリーブ(20、120、220、320)は、前記閉位置において前記取り外し可能工具ヘッドの工具側端部に当接するように設計された肩部(50、350)を含み、前記肩部は、前記外側スリーブ(16、116、216、316)を前記第1の付勢要素(18、118、218、318)の付勢力に逆らって手動で変位させる時、及び前記カップリング機構(10、110、210、310)が前記開位置に移動する時に、前記取り外し可能工具ヘッドを前記キャビティから押し出すように設計される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項8】
前記キャビティは、概ね円筒形状を有するとともに、前記円筒形状の中心線(a)が前記駆動シャフト(6)によって定められる前記長手方向軸(a)と一致するように前記長手方向軸(a)と平行に配置される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項9】
前記内側スリーブ(20、120、220、320)及び外側スリーブ(16、116、216、316)は、手動で又は前記第2の付勢要素(22、122、222、322)及び前記第1の付勢要素(18、118、218、318)によって押され又は引かれた時に、それぞれ前記長手方向軸(a)に沿って平行に、かつ前記長手方向軸(a)と同心的に移動するように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項10】
前記内側スリーブ(320)は、前記取り外し可能工具ヘッド(308)を前記工具側端部に向けて挿入して手動で押し込んだ時に、前記キャビティ(312)の前記工具側端部(328)に向かって変位することによって前記第2の付勢要素(322)の付勢力に打ち勝つように設計され、この結果、前記第1の付勢要素(318)の付勢力によって推進される前記外側スリーブ(316)が前記閉位置に摺動できるようになり、最初に前記傾斜面(338)を、次に前記内側突出部(340)を前記少なくとも1つのボール(324)に当接するように案内し、前記少なくとも1つのボールが、前記貫通孔(332)の奥まで押し込まれることによって前記取り外し可能工具ヘッド上の凹部(314)に係合して、前記カップリング機構(310)を前記閉位置に移動させる、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項11】
前記内側スリーブ(20、120、220)、従って前記外側面(54)は、前記取り外し可能工具ヘッド(8)を前記キャビティの前記工具側端部に向けて挿入して手動で押し込んだ時に、前記キャビティ(12、112、212)の前記工具側端部(28、128、228)に向かって変位して前記少なくとも1つのボールと当接しなくなることによって前記第2の付勢要素(22、122、222)の付勢力に打ち勝ち、この結果、前記第1の付勢要素(18、118、218)の付勢力によって推進される前記外側スリーブ(16、116、216)が摺動できるようになることにより、前記傾斜面(38、138、238)を前記少なくとも1つのボール(24、124、224)と当接しなくなるように動かし、その後に前記内側突出部(40、140、240)が前記少なくとも1つのボールと当接し、前記少なくとも1つのボールが前記取り外し可能工具ヘッド上の前記凹部に係合して前記カップリング機構が前記閉位置にくるようになる、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項12】
前記外側スリーブ(216)は、前記内側突出部(240)に隣接するもう1つの傾斜面(238)をさらに含み、前記第1の付勢要素(218)の中立点は、前記第1の付勢要素(218)が前記カップリング機構(210)の前記閉位置に対応する中立点にある時に前記内側突出部(240)が前記少なくとも1つのボール(224)に当接するように選択される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項13】
前記内側突出部(40、140、240、340)は、前記外側スリーブの内側から前記長手方向軸(a)に向かって延びるとともに平坦な頂部(58)を含み、前記平坦な頂部は、前記カップリング機構(10、110、210、310)の前記閉位置において前記少なくとも1つのボール(24、124、224、324)に当接するように構成される、
請求項1に記載の電動工具。
【国際調査報告】