(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ組成物の使用
(51)【国際特許分類】
C23C 18/42 20060101AFI20241114BHJP
C23C 18/38 20060101ALI20241114BHJP
C23C 18/32 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
C23C18/42
C23C18/38
C23C18/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534371
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022085252
(87)【国際公開番号】W WO2023105072
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・ブルナー
(72)【発明者】
【氏名】ラース・コールマン
【テーマコード(参考)】
4K022
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA13
4K022BA01
4K022BA06
4K022BA08
4K022BA11
4K022BA14
4K022DA03
4K022DB04
(57)【要約】
本発明は、金属表面上の無電解析出金属又は金属合金のための水性アルカリ析出組成物の使用であって、組成物が、(a)式(I)(式中、Xは、酸素として選択され、R
1及びR
2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、R
1及びR
2は、同一であり得るか、又は異なり得、mは、1~6の整数であり、nは、1~6の整数であり、m及びnは、同一であり得るか、又は異なり得る)を有する化合物及び/又はその塩を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩と、(b)析出される金属又は金属合金が金属表面の金属又は金属合金とは異なる、基材の金属表面上へと析出される金属イオンの1つの源と、(c)任意選択で合金化金属イオンの1つの源とを含む、使用並びに無電解析出のための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物の使用であって、前記組成物が、
(a)式I:
【化1】
(式中、
Xは、酸素として選択され、
R
1及びR
2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、
R
1及びR
2は、同一であり得るか、又は異なり得、
mは、2~6の整数であり、
nは、2~6の整数であり、
m及びnは、同一であり得るか、又は異なり得る)を有する化合物及び/又はその塩を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩と、
(b)前記基材の金属表面に金属として析出される金属イオンを供給する少なくとも1つの金属イオン源であって、析出される金属又は金属合金は、前記金属表面の金属又は金属合金とは異なる、金属イオン源と、
(c)任意選択で少なくとも1つの合金化金属イオン源と
を含み、前記式Iを有する化合物及び/又はその塩が、前記組成物の総質量に対して1wt.-%~20wt.-%の総濃度で前記組成物中に存在する、使用。
【請求項2】
前記少なくとも1つの金属イオン源が、
(i)少なくとも1種の金属塩と、
(ii)前記水性アルカリ析出組成物と接触している金属アノード物質であって、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化され、前記水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出をもたらす、金属アノード物質と、
(iii)前記水性アルカリ析出組成物と接触している固体金属片であって、酸化プロセスを可能にするために、前記水性アルカリ析出組成物に溶解された酸化剤により酸化され、前記水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出をもたらす、固体金属片と
からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R
1及びR
2が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換イミダゾールとして選択され、
好ましくはR
1及びR
2の両方が、非置換イミダゾールとして選択される、
請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
nが、2~3の整数であり、且つ/又はmが、2~3の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記水性アルカリ析出組成物が、7.1~13のpH値を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記官能化尿素誘導体及び/又はその塩が、mが3であり、nが3であり、
R
1が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含むイミダゾールであり、
R
2が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含むイミダゾールである、式Iを有する化合物及び/又はその塩として選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記式Iを有する化合物及び/又はその塩が、2wt.-%~15wt.-%の、より好ましくは5wt.-%~15wt.-%の、より好ましくは7wt.-%~15wt.-%の、最も好ましくは10wt.-%~15wt.-%の総濃度で前記組成物中に存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記水性アルカリ析出組成物の前記固体金属片を酸化するための酸化剤が、前記水性アルカリ析出組成物に溶解された酸素を含み、好ましくは前記水性アルカリ析出組成物に溶解された前記酸素が、周囲空気から前記水性アルカリ析出組成物中に拡散する大気酸素に由来する、特に排他的に由来する、請求項2から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
金属イオンを供給する前記少なくとも1つの金属イオン源が、マンガン、銀、銅、コバルト、及びニッケルからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
金属イオンを供給する前記少なくとも1つの金属イオン源が、前記組成物の総質量に対して0.1wt.-%~15wt.-%の総濃度で、好ましくは1wt.-%~12wt.-%の、より好ましくは0.75wt.-%~5wt.-%の、更により好ましくは1wt.-%~3wt.-%の、最も好ましくは1wt.-%~2wt.-%の総濃度で前記組成物中に存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物が、還元剤及び/又はアニオン性薬剤を含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法であって、
(A)請求項1から11のいずれか一項に規定の金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)前記基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させて、前記金属又は金属合金を無電解法で前記金属基材の金属表面上に析出させる工程と
を含む、方法。
【請求項13】
処理される前記基材が、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、鉛、アンチモン、スズ、希土類金属、銅-亜鉛合金、銅-スズ合金、銅-ニッケル合金、及びアルミニウム-マグネシウム合金からなる群から選択される金属又は金属合金を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
析出される金属イオンが、銀イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、コバルトイオン及び銅イオンからなる群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
更なる工程:
(C)方法工程(B)の後に前記水性アルカリ析出組成物をリサイクルする工程であって、
(C1)任意選択で、前記水性アルカリ析出組成物の温度を上昇させて、温度上昇した水性アルカリ析出組成物を得る工程と、
(C2)前記水性アルカリ析出組成物又は任意選択で前記温度上昇した水性アルカリ析出組成物を濾過して、濾過された水性アルカリ析出組成物を得る工程と、
(C3)金属イオン源を加え、前記濾過された水性アルカリ析出組成物を方法工程(A)に再適用する工程と
を含む、工程(C)を含む、請求項12から14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様及び第2の態様によれば、基材の金属表面上の金属又は金属合金、特に銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物の使用に関する。
【0002】
第3の態様によれば、本発明は更に、第1の態様による水性アルカリ析出組成物での金属基材の金属表面上の金属又は金属合金、特に銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅の無電解析出のための方法を対象とする。
【0003】
第4の態様によれば、本発明は更に、第2の態様による水性アルカリ析出組成物での基材の金属表面上の金属又は金属合金、特に銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅の無電解析出のための方法を対象とする。
【0004】
第5の態様によれば、本発明は更に、基材の金属表面上の析出された金属又は金属合金層、特に銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅層を有する基材であって、析出された金属又は金属合金層が、第3又は第4の態様による基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法により得られた、基材を対象とする。
【背景技術】
【0005】
金属ベース基材等、基材は、それぞれの基材の表面上の金属被覆層を実現する様々な金属又は金属合金により被覆することができる。金属又は金属合金及び基材の表面の物質のタイプに応じて、様々な適用が可能である。
【0006】
例えば、US3,472,742は、アルミニウム鋳物上のめっきニッケルに関する。開示されるのは、ニッケルのフラッシュプレートをアルミニウムに適用するために、アルミニウムを比較的高温の無電解ニッケルめっき溶液で処理する工程を含む方法である。
【0007】
US3,666,529は、無電解ニッケルめっきを受けるためのアルミナ表面をコンディショニングする方法に関する。
【0008】
EP3360988A1は、少なくとも1つのピリジニウム残基並びに窒素含有残基X1及びX2を有する部分(A)尿素又はビウレット構造を有し、尿素又はビウレット構造が、部分(D)エーテル又はチオエーテル基に結合されているビルディングブロック-[A-D)-を含むピリジニウム化合物に関する。ピリジニウム化合物は、銅析出のためのめっき添加剤として適している。
【0009】
第1に、前記金属被覆は、耐食性金属被覆により、基材の、例えば攻撃的な気体又は液体からの効果的な保護を可能にする、それぞれの基材の表面上の機能層として役目を果たすことができ、そのタイプは、物品の意図される使用により本質的に決定される。
【0010】
第2に、前記金属被覆は、所望の光学的表面特性を可能にする、それぞれの基材の表面上の装飾層として役目を果たすことができる。
【0011】
第3に、前記金属被覆は、例えば電気回路板の作製を可能にする、それぞれの基材の表面上の導電性構造体を実現することができる。
【0012】
本出願による例示される金属被覆は、銀、ニッケル、マンガン、銅、又はコバルト被覆を含み、様々な基材、例えば金属基材に適用することができる。
【0013】
前記金属又は金属合金被覆をそれぞれの基材に適用するために、対応する金属は、析出組成物中の金属析出物の凝集を回避するために、それぞれの前記析出組成物中で安定化されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US3,472,742
【特許文献2】US3,666,529
【特許文献3】EP3360988A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の第1の目的は、基材の金属表面上への金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法であって、効率的な金属析出、特に基材の金属表面上に均質で閉じた金属被覆層をもたらす金属析出を可能にする、析出組成物の使用及び方法を提供することであった。これは、好ましくは、例えば、より少ない前処理工程が必要であるか、又は更に一般的な前処理工程はもはや必要ではなくなるような簡略化された方法を提供することを含み、その結果、一般的に、工程の数が減少した方法シーケンスがもたらされる。
【0016】
したがって、本発明の第2の目的は、多種多様な金属又は金属合金、例えば銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅を使用して適用することができる、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0017】
したがって、本発明の第3の目的は、複数の異なる金属表面、例えば銅、黄銅、アルミニウム、亜鉛、及び/又は鋼表面並びに亜鉛被覆された鋼上の無電解析出のために使用することができる、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0018】
したがって、本発明の第4の目的は、複数の異なる金属基材、例えば、片側の一般的な製造の技術分野における面積の広い金属表面並びにもう片側のエレクトロニクスの技術分野におけるプリント回路板上の微細構造体上の無電解析出のために使用することができる、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0019】
したがって、本発明の第5の目的は、環境に優しく、且つ費用効果が高いプロセスを可能にするために、析出組成物を再生することができる、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。これは、最も好ましくは、それぞれの析出組成物が、それぞれの方法内でより長い寿命及び利用時間を実現することを含む。
【0020】
したがって、本発明の第6の目的は、沈殿を防止するために金属イオンが析出組成物中で効果的に安定化される、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0021】
したがって、本発明の第7の目的は、析出された金属被覆上にその後に析出される追加の層が優れた機能及び/又は装飾品質を有する、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0022】
したがって、本発明の第8の目的は、毒性が低下した化学化合物を含む、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【0023】
最後に、目的は、析出のための電流の使用を回避することができるような、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための改善された無電解析出組成物の使用及び方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前述の目的は、本発明により、特に第1の態様から第5の態様により解決される。
【0025】
第1の態様によれば、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物の使用であって、組成物が、
(a)式I:
【0026】
【0027】
(式中、
Xは、酸素として選択され、
R1及びR2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、
R1及びR2は、同一であり得るか、又は異なり得、
mは、2~6の整数、好ましくは2又は3であり、
nは、2~6の整数、好ましくは2又は3であり、
m及びnは、同一であり得るか、又は異なり得る)を有する化合物及び/又はその塩を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩と、
(b)基材の金属表面上に金属として析出される金属イオンを供給する少なくとも1つの金属イオン源であって、析出される金属又は金属合金が、金属表面の金属又は金属合金と異なる、金属イオン源と、
(c)任意選択で少なくとも1つの合金化金属イオン源と
を含み、式Iを有する化合物及び/又はその塩が、組成物の総質量に対して1wt.-%~20wt.-%の総濃度で組成物中に存在する、使用による。
【0028】
好ましくは、水性アルカリ析出組成物は、7.1~13のpHを備える。
【0029】
基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための使用される水性アルカリ析出組成物は、多種多様な基材金属表面上で多種多様な金属又は金属合金の効率的な析出を可能にする(以下の例を参照)。本発明の文脈における「基材の金属表面」は、(金属又は金属層が、処理される金属表面を提供する)金属表面を有する金属又は金属層で作られた基材を含む。基材は、非金属基材上へと処理される金属表面を含む樹脂、ガラス、それらの複合材のような任意の他の(非金属)物質も含む。両方の基材は、特に述べられていない限り、そこで交換可能に使用されることになる。
【0030】
「官能化尿素誘導体」が以下で述べられる場合、それは、特に記載のない限り、「及び/又はその塩」の意味を常に含む。
【0031】
驚くべきことに、(a)に定義される官能化尿素誘導体は、前記多種多様な基材金属表面上でこの多種多様な金属又は金属合金を溶解し、錯体を形成し、且つそれらを析出させる顕著な能力を実現することが見出された。最も興味深いことに、これらの化合物は、同時にこの役割を満たす。(a)の化合物は、非常に柔軟に、したがって可逆的に利用することができることが見出された。例えば、Zn、Al、Sn、及びMnの金属表面等のような、多くの場合、(a)の化合物は、そのような基材のまさに金属表面をわずかに溶解する。この結果、一方では、その後の金属化のために基材の金属表面が新しく調製され、したがって、典型的な前処理工程を省略することができることを意味する。
【0032】
更に、そのような溶解された金属が、濾過により単純に除去することができる析出組成物中の沈殿物を形成することが観察された。これは、(a)の化合物が、これらの金属との錯体形成が強すぎることなく溶解能を有することを意味する。これは、ひいては、同時に、(a)の化合物が、金属塩により析出される金属イオンを直接負荷するか、酸化により金属の固体金属片を溶解するか、又は電流を印加することにより金属アノード物質を溶解して、金属析出のために析出されるイオンのそれぞれの源を提供することができることを意味する。更に、そのような負荷されたイオンは、基材の金属表面又は基材の新たに調製された金属表面上へと驚くべきことに直接析出される。同じく驚くべきことに、金属表面上への析出は、前記金属イオンを還元するための電流も還元剤も必要としない。これは、純粋な金属層を金属表面上へ析出することができることを意味する。この文脈において「純粋な(pure)」は、ホウ素又は窒素のような合金化元素が共析出(ホウ素又は窒素含有還元剤を使用することにより通常は発生する)されなかったことを意味し、この文脈における「純粋な」は、少なくとも98wt.-%、より好ましい99wt.-%、最も好ましい99.9wt.-%の析出された金属層の金属含有量を意味する。
【0033】
前述の結果として、水性アルカリ析出組成物は、金属又は金属合金の無電解析出のために本発明に従って使用され、無電解析出は、水性アルカリ析出組成物が任意の意図的に加えられた還元剤を含まない、いわゆる浸漬析出である(更なる詳細は本明細書の下記を参照)。
【0034】
組成物中、官能化尿素誘導体は、析出される金属イオンと錯体を形成する。組成物が使用されるとき、例えば金属基材の金属又は金属表面と接触させるとき、形成される錯体の酸化還元電位は、金属基材の金属又は金属表面よりも貴である。例えば、通常はより卑なマンガン(水素に対して-1.03Vの酸化還元電位)が、本発明の官能化尿素誘導体と錯体を形成することにより、より貴な電位にシフトされ得ることを見出すことができた。その結果、通常はより大きい亜鉛表面(水素に対して-0.77Vの酸化還元電位)上にマンガンを析出することができた。
【0035】
化合物(a)は、負荷された金属イオン(金属イオン源に由来する)を析出させた後に再び利用可能であるので、このサイクルに再び関与することができる。ごく少量の化合物(a)の不可避のすくい出し及び析出された金属上への部分的皮膜析出にも関わらず、化合物(a)の総量は、比較的安定なままである。電流が存在しないため、電解分解又は破壊は観察されない。
【0036】
述べられた通り、前述のサイクルは、最も好ましくは、Zn、Al、Sn、及びMn基材に適用し、基本的には、非常に長い時間行うことができる。更なる説明及び好ましい特徴が本明細書全体を通じて記載される。しかし、基材がCu基材である場合、化合物(a)は、基材のまさに金属表面を依然として溶解するが、Zn、Al、Sn、及びMn基材の場合のように銅は化合物(a)によってさらに顕著に錯体形成される。その結果として、化合物(a)は、しばらくすると銅イオンで飽和し始める。本発明の原理は、依然として適用可能であるが、化合物(a)は、少なくともしばらくすると銅イオンから放出されなければならない。したがって、サイクルは、Zn、Al、Sn、及びMn基材と比較して比較的より短い。しかし、独自の実験は、そのような放出が、温度上昇を単に比較的短い時間適用することにより得られて、それぞれの銅沈殿物を形成することもでき、それは、その後の工程において濾過することができることを示した(以下の実施例を参照)。
【0037】
特に、水性アルカリ析出組成物の使用は、銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅の効率的な析出を可能にする。上記の「少なくとも1つの金属イオン源」の定義から、例えば、銅が処理される金属表面の金属でもある場合、銅を析出することができないことが明らかになる。
【0038】
更に、水性アルカリ析出組成物は、析出プロセス中に基材の金属表面上の金属又は金属合金の均質な析出を可能にし、ひいては、生じる金属被覆の表面欠陥を最小限にする。そのような効率的な析出プロセスは、一定の析出速度によって特に特徴付けられ、それは、析出プロセス中に基材表面上の金属又は金属合金の均等に分布した析出を可能にし、ひいては、均等且つ閉じた金属表面を結果として生じ、それは、析出プロセスの後に得ることができる。この文脈における「閉じた(closed)」は、得られた金属表面が、穴のような析出エラーを示さないことを意味する。
【0039】
更に、理論に拘束されることなく、水性アルカリ析出組成物は、金属又は金属合金層がその上へと析出される処理される金属表面の効果的な粗さを実現するようである。これは、ひいては、析出される層の接着並びに析出された金属被覆上にその後に析出される任意の追加の層の接着を改善する。処理された金属表面のそのような効果的な粗さは、追加的に析出される層に明らかに伝達することができ、それは、結果的に、粗さの増加も含み、結果として得られる表面の機能的及び/又は装飾特性が最適化される。
【0040】
更に、析出された金属表面は、良好な耐変色特性を示す。得られた金属表面が、特に銀析出の場合に、経時的に変色せず、更に、指紋が表面上に残らない、又は指紋を容易に拭き取ることができることを独自の実験により見出すことができた。理論に拘束されることなく、水性アルカリ析出組成物中の使用された化合物(a)は、生じる表面に皮膜として残り、且つ改善された耐変色効果を軽減するようである。独自の実験は、数カ月~最長1年の、例えば析出された銀表面の耐変色保護を示す。化合物(a)の析出された薄皮膜は、耐食性に対する正の効果も示す。
【0041】
更に、水性アルカリ析出組成物は、様々な異なる基材、特に、箔、薄板、ネジ、ボルト及び同種のもののような、金属表面を有する金属基材、或いは一般的な金属仕上げの技術分野におけるプラスチック部品上へのより大きい金属表面積;又はエレクトロニクスの技術分野におけるパネル、箔、プリント回路板(PCB)若しくは金属構造体、例えば導電線及びビアのようなより小さい金属表面積等、金属表面を有する基材上の無電解析出に適用することができる。本発明と共に使用することができる基材は、例えば、銅被覆されたラミネート又は樹脂;銅めっきされたFR4パネル又はHMPパネル;銅表面を有するPCB又はABS樹脂;処理される少なくとも1つの銅表面を有するガラスパネル又はシリコンウエハ;銅、黄銅、亜鉛被覆された鋼部品で作られた薄板又は箔;銅又は銅めっきされたパネル;アルミニウム又は銅ソケット/コネクタのようなコネクタ又はソケット基材;並びにアルミニウムで作られたヒンジ及びリムからなる群から選択される基材である。
【0042】
更に、水性アルカリ析出組成物の式Iを有する化合物を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩は、特にキレート化(錯体形成)により、析出組成物中に存在する金属イオンの効率的な安定化を可能にし、したがって、前記金属イオンの沈殿傾向を最小限にすることができる。
【0043】
特に、本発明による官能化尿素誘導体は、得られた金属イオンのキレートを形成することができ、それによって金属イオンを安定化するので、水性アルカリ析出組成物は、更なる安定化剤の添加を必要とせず、好ましくは水性アルカリ析出組成物は、析出組成物中の金属イオンを安定化するための安定化剤を明示的に含まない。
【0044】
更に、式Iの化合物は、先行技術において以前使用された他の析出化合物と比較して毒性が低い。
【0045】
本発明による水性アルカリ析出組成物の追加の特定の利点は、環境に優しく、且つ費用効果が高いプロセスを可能にするために、前記組成の化合物を再生する可能性である。
【0046】
上述の第1から第8の目的は、本発明により解決される。水性アルカリ析出組成物が、好ましくは
(i)少なくとも1種の金属塩と、
(ii)水性アルカリ析出組成物と接触している金属アノード物質であって、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化され、水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出に結果としてつながる、金属アノード物質と、
(iii)水性アルカリ析出組成物と接触している固体金属片であって、酸化プロセスを可能にするために、水性アルカリ析出組成物に溶解された酸化剤により酸化され、水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出に結果としてつながる、固体金属片と
からなる群から選択される少なくとも1つの金属イオン源を使用する使用が好ましい。
【0047】
代替の(iii)は、好ましくは、別個のタンクに供給され、 (a)、(b)及び任意選択で(c)の錯体の溶液を直接供給し、酸化剤が好ましくは完全に消費される。次いで、この溶液は、使用される水性アルカリ析出組成物に加えられる。これにより、水性アルカリ析出組成物中に酸化剤が存在することを避けることができる。酸化剤、好ましくは酸素のみを析出組成物内に溶解させ、析出組成物に添加する(例えば、析出組成物の混合及び撹拌によって)ことにより、析出組成物中の固体金属片の効果的な酸化のみを可能にし、それにより析出組成物中にめっきされる金属イオンを提供する。より好ましくは溶解酸素が唯一の酸化剤であり、他の酸化剤は加えられない。
【0048】
好ましくは、少なくとも1つの金属イオン源は、(i)少なくとも1種の金属塩及び/又は(ii)水性アルカリ析出組成物と接触している金属アノード物質であって、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化され、水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出に結果としてつながる、金属アノード物質である。より好ましい少なくとも1つの金属イオンの源は、(i)少なくとも1種の金属塩である。
【0049】
特に、本発明による水性アルカリ析出組成物の少なくとも1つの金属イオン源は、例えば、金属塩を析出組成物に直接溶解させることにより、イオン型で析出組成物に直接適用することができ、したがって、いかなる元素金属の酸化も必要ではない。
【0050】
代わりに、又は加えて、特に、本発明による水性アルカリ析出組成物の少なくとも1つの金属イオン源は、水性アルカリ析出組成物と接触している金属アノード物質であって、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化され、水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出に結果としてつながる、金属アノード物質に由来し得、したがって、この場合も、いかなる元素金属の酸化も必要ではない。
【0051】
少なくとも1つの金属イオン源が(i)及び(ii)からなる群から選択される場合、組成物は、任意の追加的に加えられた酸化剤を含まない。
【0052】
上述の目的は、金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法(金属基材は、処理される前記金属表面を提供する)であって、
(A)第1の態様による金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)金属又は金属合金が無電解法で金属基材の金属表面上に析出されるように基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させる工程と
を含む、方法による第3の態様により解決される。
【0053】
上述の目的は、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法であって、
(A)第2の態様による基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)金属又は金属合金が無電解法で基材の金属表面上に析出されるように基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させる工程と
を含む、方法による第4の態様により解決される。
【0054】
第3及び第4の態様による無電解析出のための前記方法は、処理される基材上の優れた金属析出を可能にする。
【0055】
上述の目的は、基材の金属表面上の析出された金属又は金属合金層を有する基材による第5の態様により解決され、析出された金属又は金属合金層が、第3又は第4の態様による基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法により得られる。前記基材、特に金属基材は、効果的な金属析出物を含む。
【0056】
驚くべきことに、析出される金属イオンに由来する金属の析出中及び析出後、官能化尿素誘導体が、析出された金属表面上への薄皮膜として部分的に被覆されることを観察することができた。一方で、この皮膜は、例えば銀析出物のための腐食保護層及び耐変色層として機能する。他方で、被覆された官能化尿素誘導体は、その錯体形成活性及び析出された金属の再溶解を失う。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の文脈において、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」という用語は、「1つ、2つ、3つ又は3つを超える」を表す(且つそれと交換可能である)。
【0058】
本発明によるCx~Cyという用語は、総数がX個の炭素原子~Y個の炭素原子を含む物質を指す。例えば、C1~C6アルキルという用語は、総数が1個の炭素原子~6個の炭素原子を含むアルキル化合物を指す。
【0059】
本発明は、第1の態様によれば、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物の使用であって、組成物が、
(a)式I:
【0060】
【0061】
(式中、
Xは、酸素として選択され、
R1及びR2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、
R1及びR2は、同一であり得るか、又は異なり得、
mは、2~6の整数、より好ましくは2又は3であり、
nは、2~6の整数、より好ましくは2又は3であり、
m及びnは、同一であり得るか、又は異なり得る)を有する化合物及び/又はその塩を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩と、
(b)析出される金属又は金属合金が金属表面の金属又は金属合金と異なる、基材の金属表面上に金属として析出される金属イオンを供給する少なくとも1つの金属イオン源と、
(c)任意選択で少なくとも1つの合金化金属イオン源と
を含み、式Iを有する化合物及び/又はその塩が、組成物の総質量に対して1wt.-%~20wt.-%の総濃度で組成物中に存在する、使用を提供する。
【0062】
単一の金属の代わりに、金属合金が基材の金属表面上に析出される場合、少なくとも1つの合金化金属イオン源が必要とされることが当業者には明らかである。本発明の化合物(a)により錯体が形成される場合に同様の電気化学ポテンシャルを有し、且つ処理される金属表面の金属と異なる合金化金属が好ましい。
【0063】
第1及び/又は第2の態様によれば、R1及びR2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、前記窒素含有ヘテロ芳香族化合物は、好ましくは1~4個の窒素原子を含む4員~10員ヘテロ芳香族化合物である。
【0064】
本発明の第1及び/又は第2の態様による水性アルカリ析出組成物の使用により達成される1つの利点は、様々な金属及び/又は金属合金、特に銀、ニッケル、マンガン、コバルト、又は銅について、効率的な析出をもたらし、特に、均質な金属析出物をもたらす。これらの金属のうちの1つが金属イオン源として使用される場合、残りの源のうちの2つ以上を合金化金属イオンとして使用することができる。
【0065】
本発明の第1及び/又は第2の態様による前記水性アルカリ析出組成物を使用することにより、得られた金属析出物の効果的な粗さを達成することができ、それは、金属析出物上に析出される任意の追加の層の効率的な接着を可能にする。
【0066】
特に、使用された水性アルカリ析出組成物は再生することができるため、材料の消費が制限され、費用対効果が高く、且つ環境に優しいプロセスを確保することができる。
【0067】
更に、式Iを有する官能化尿素誘導体中に存在する窒素官能基のために、前記金属イオンのキレート化により組成物中の金属イオンの高効率の安定化を達成することができ、それは、前記金属イオンの沈殿傾向の減少をもたらす。
【0068】
以下において、本発明に従って使用される析出組成物の有利な実施形態が更に詳細に説明される。
【0069】
本発明の使用によれば、析出組成物は、水性アルカリ析出組成物の総体積に対して好ましくは50vol.-%を超える水を含む、より好ましくは75vol.-%以上の水を含む、更により好ましくは85vol.-%以上の水を含む、更により好ましくは90vol.-%以上の水を含む、更により好ましくは95vol.-%以上の水を含む、最も好ましくは99vol.-%以上の水を含む、水性アルカリ析出組成物である。好ましくは、水は、水性アルカリ析出組成物中の唯一の溶媒である。
【0070】
好ましくは、析出組成物のための少なくとも1種の金属を酸化するための酸化剤は、好ましくは析出される金属イオンを供給するために別個のタンク内の溶液中に存在し、前記溶液中に溶解された酸素を含む。
【0071】
好ましくは、溶液に溶解された酸素は、周囲空気から溶液中に拡散する大気酸素に由来する。
【0072】
R1及びR2のうちの少なくとも1つが、OR6及びC1~C4アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~4個の窒素原子を任意選択で含む置換及び/又は非置換4員~10員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1~C3アルキルを含む群から選択され、
好ましくはR1及びR2のうちの少なくとも1つが、OR6及びC1~C3アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~3個の窒素原子を含む置換及び/又は非置換4員~8員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1アルキル又はC2アルキルを含む群から選択され、
より好ましくはR1及びR2のうちの少なくとも1つが、OR6及びC1~C6アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~2個の窒素原子を含む置換及び/又は非置換5員~6員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1~C6アルキルを含む群から選択され、
更により好ましくはR1及びR2のうちの少なくとも1つがC1~C6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換イミダゾールとして選択され、
最も好ましくはR1及びR2の両方が非置換イミダゾールとして選択される、
水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0073】
R1及びR2の両方が、OR6及びC1~C4アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~4個の窒素原子を任意選択で含む置換及び/又は非置換4員~10員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1~C3アルキルを含む群から選択され、
好ましくはR1及びR2の両方が、OR6及びC1~C3アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~3個の窒素原子を含む置換及び/又は非置換4員~8員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1アルキル又はC2アルキルを含む群から選択され、
より好ましくはR1及びR2の両方が、OR6及びC1~C6アルキルを含む群から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む、1~2個の窒素原子を含む置換及び/又は非置換5員~6員ヘテロ芳香族化合物として選択され、R6が、水素及びC1~C6アルキルを含む群から選択され、
更により好ましくはR1及びR2の両方がC1~C6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換イミダゾールとして選択され、
最も好ましくはR1及びR2の両方が非置換イミダゾールとして選択される、
水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0074】
nが2~3の整数である水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0075】
mが2~3の整数である水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0076】
官能化尿素誘導体及び/又はその塩が、式Iを有する化合物及び/又はその塩として選択され、mが3であり、nが3であり、
R1がC1~C6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換4員~10員ヘテロ芳香族化合物、好ましくは5員~6員ヘテロ芳香族化合物、より好ましくはイミダゾールとして選択され、
R2がC1~C6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換4員~10員ヘテロ芳香族化合物、好ましくは5員~6員ヘテロ芳香族化合物、より好ましくはイミダゾールとして選択される水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0077】
式Iを有する化合物及び/又はその塩について、Xが酸素として選択され、m及びnがいずれも3として選択され、R1及びR2がいずれもイミダゾール、好ましくは非置換イミダゾールとして選択される水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0078】
式Iを有する化合物及び/又はその塩が好ましくは2wt.-%~15wt.-%の、より好ましくは5wt.-%~15wt.-%の、更により好ましくは7wt.-%~15wt.-%の、最も好ましくは10wt.-%~15wt.-%の総濃度で組成物中に存在する水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0079】
好ましい濃度範囲内の化合物(a)の式Iを有する化合物の濃度を選択することにより、効率的な析出プロセスを確実にすることができる。
【0080】
任意の追加の酸化剤を含まない、好ましくは任意の過酸化物及び/又はパーサルフェート化合物を含まない水性アルカリ析出組成物が好ましい。金属イオンの少なくとも源が少なくとも1種の金属塩、例えば塩化銅を含む、本発明の第2の態様による水性アルカリ析出組成物の使用が好ましい。したがって、金属塩の添加のために、析出組成物中のいかなる元素金属の酸化も必要ではない。
【0081】
本発明の第2の態様による水性アルカリ析出組成物の使用が好ましく、少なくとも1つの金属イオン源が金属アノード物質に由来し、金属アノード物質は水性アルカリ析出組成物と接触しており、前記金属アノード物質は、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化される。したがって、アノード酸化のために、析出組成物への任意の金属塩又は酸化剤の添加は必要ではない。好ましくは析出組成物は、カルボン酸及び/又はアルキルスルホン酸並びにそれらの塩のようなアニオン性薬剤を含む。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、金属イオン源は、ニッケルイオンを得るために電流を印加することにより析出組成物内で溶解されるニッケルアノードである。この実施形態において好ましい析出組成物は、クエン酸を含む。電流は、連続的又は半連続的に印加することができる。水性析出組成物は水性アルカリ析出組成物である。本発明の文脈において、「アルカリ」という用語は、アルカリ、すなわち、7超のpHを有することを表す。pHは、好ましくは、7.1~13の範囲である。8~13の、好ましくは9~12の、より好ましくは9~11の、最も好ましくは9.5~10.5のpHを備える本発明の水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0083】
好ましい範囲内のpHを選択することにより、効率的な析出プロセスを確実にすることができる。
【0084】
金属表面上へと析出される少なくとも1種の金属がマンガン、銀、銅、コバルト、又はニッケルからなる群から選択される水性アルカリ析出組成物が好ましい。金属表面の金属は、析出される金属よりも卑でなければならないので、少なくとも1種の金属が、マンガン、銅、コバルト、又はニッケルからなる群から選択される場合、処理される金属表面の金属は、同時にマンガン、銅、コバルト、又はニッケルではあり得ない。
【0085】
少なくとも1つの金属源が金属塩を含む場合、又は少なくとも1つの金属源がアノード酸化により析出組成物中に放出される場合、少なくとも1つの金属源がマンガン、銀、銅、コバルト、又はニッケルを、特にイオン型で含む、第2の態様による水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0086】
少なくとも1種の金属が組成物の総質量に対して0.1wt.-%~15wt.-%の総濃度で、好ましくは1wt.-%~12wt.-%の、より好ましくは0.75wt.-%~5wt.-%の、更により好ましくは1wt.-%~3wt.-%の、最も好ましくは1wt.-%~2wt.-%の総濃度で組成物中に存在する水性アルカリ析出組成物が好ましい。
【0087】
第2の態様による水性アルカリ析出組成物の使用に関して、析出組成物内の上記の濃度は、析出組成物中に塩を加えることによるか、又はアノード酸化により析出組成物中に対応する金属イオンを放出することにより、少なくとも1つの金属源に由来する少なくとも1種の金属にも適用する。
【0088】
基材が、処理される金属表面を金属が提供する金属基材、又は金属表面を含む基材であり、より好ましくは、銅、ニッケル、アルミニウム、コバルト、マンガン、亜鉛、鉛、アンチモン、スズ、希土類金属、例えばネオジム、銅-亜鉛合金、銅-スズ合金、銅-ニッケル合金、及びアルミニウム-マグネシウム合金を含む群から選択される金属若しくは金属合金を含む、本発明の水性アルカリ析出組成物の使用が好ましい。
【0089】
基材が銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、又は亜鉛被覆された鋼を含む本発明の水性アルカリ析出組成物の使用が好ましい。
【0090】
アニオン性薬剤を含まない水性アルカリ析出組成物が好ましい。塩酸、硫酸、臭素酸、モノ-、ジ-又はトリカルボン酸、例えば酢酸又はクエン酸のようなカルボン酸、メタンスルホン酸、メタン-ジスルホン酸、メタン-トリスルホン酸のようなアルキルスルホン酸、トシレート化合物のようなアリールスルホン酸のような酸、及びそれらの金属塩の添加は、析出の悪化効果を有することを独自の実験により見出すことができた。アニオン性薬剤の添加は、官能化尿素誘導体-金属イオン錯体からの析出される金属イオンの放出を防止又は延期することになることが観察された。
【0091】
第3の態様によれば、本発明は更に、金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法であって、
(A)第1の態様による金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)金属又は金属合金が無電解法で金属基材の金属表面上に析出されるように基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させる工程と
を含む、方法に関する。
【0092】
第4の態様によれば、本発明は更に、基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法であって、
(A)第2の態様による基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)金属又は金属合金が無電解法で基材の金属表面上に析出されるように基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させる工程と
を含む、方法に関する。
【0093】
第3及び第4の態様による方法は、効率的な析出プロセスを確実にする。
【0094】
20℃~100℃、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは40℃~70℃、又は40℃~60℃の温度で、最も好ましくは50℃~60℃で、又は50℃で実施される本発明の方法が好ましい。
【0095】
好ましい温度範囲で方法を実施することにより、高効率の析出反応を確実にすることができる。
【0096】
処理される基材が金属基材を含み、好ましくは、金属基材又は金属表面を含む基材が鉄、クロム、及びニッケル-クロム鋼合金を好ましくは除く、それらの電気化学的標準電位(既知の方法により水素に対して測定される)にしたがって金よりも卑であり、且つ析出される金属よりも卑である浸漬析出のために使用されるすべての金属及び金属合金(したがって、例えばケイ素、チタン、タンタル及びジルコニウムは除外される)を含む本発明の方法が好ましい。
【0097】
処理される基材がアルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、鉛、アンチモン、スズ、希土類金属、例えばネオジム、銅-亜鉛合金、銅-スズ合金、銅-ニッケル合金、及びアルミニウム-マグネシウム合金からなる群から選択される金属又は金属合金を含む本発明の方法が好ましい。
【0098】
処理される基材の金属又は金属表面が銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、亜鉛被覆された鋼及び/又はコバルトを含む本発明の方法が好ましい。
【0099】
それによって、方法の析出効率は、非常に多様な金属基材の効率的な析出を可能にするよう調整される。
【0100】
いくつかの場合において、基材及びその金属表面が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含み、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金である、本発明の方法が特に好ましい。無電解析出のための金属及び金属合金それぞれが、ニッケル、マンガン、銅、及び/又はそれらの合金を含み、好ましくはそれらである場合、これが最も好ましい。
【0101】
方法工程(B)中に電圧が基材に印加されない、本発明の方法が好ましい。これは、無電解析出時に金属イオンを金属又は金属合金に還元するための電子供与体として電流が関与しないことを意味する。
【0102】
更に、水性アルカリ析出組成物が金属及び金属合金それぞれの無電解析出のための還元剤を実質的に含まない、好ましくはそれを含まない、最も好ましくは金属及び金属合金それぞれがニッケル及び/又はマンガンであるか、又はそれらを含む場合、本発明の方法が好ましい。これは好ましくはまた、本発明の水性アルカリ析出組成物に一般に適用する。したがって、金属及び金属合金それぞれを還元するための従来の、例えば化学化合物は、好ましくは必要とされない。
【0103】
その代わり、無電解析出が浸漬析出である、本発明の方法が最も好ましい。これは、前記析出が、前記金属又は金属合金(好ましくは、本明細書全体を通じて定義される金属又は金属合金、より好ましくはニッケル、マンガン、及びそれらのそれぞれの合金)及び基材の表面(好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金)が関与する酸化還元反応を含むことを意味する。言い換えれば、浸漬析出は、少なくとも2種の金属間の電子移動を含み、より卑な金属からより貴な金属への電子移動を意味する。「より貴な(more noble)金属」は、析出される金属イオン及び官能化尿素誘導体の錯体の酸化還元電位が、金属表面の金属よりも貴であるというこの文脈における電気化学列の見方を意味し、例えば、本発明の官能化尿素誘導体により錯体が形成されるマンガンイオンは、金属亜鉛基材よりも貴であることが分かる。本発明の文脈において、基材(その表面を含む)及びその金属表面は、還元剤と見なされないが、金属表面の金属とめっきされる金属イオンの間の酸化還元反応の一部である。典型的には、そのようなタイプの金属析出は、浸漬析出と呼ばれる。同じく典型的には、そのような金属析出は、より多くの金属又は金属合金が析出され、それによって基材表面を覆うほど、プロセスを前進させる表面金属へのアクセスがより少なくなるので、好ましくは自己制限的である。
【0104】
したがって、好ましいのは、析出のための金属及び金属合金が基材とは異なる、より特別には基材の金属又は金属表面とは異なる、本発明の方法である。
【0105】
金属表面上に金属を析出させる析出組成物の使用中、金属イオン源に由来する金属イオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度は、析出組成物中で上昇する。基材(又は金属基材)の金属表面に由来する蓄積した金属イオンは、沈殿物を形成し、析出タンクの底に沈む。
【0106】
したがって、更なる工程:
(C)方法工程(B)の後に水性アルカリ析出組成物をリサイクルする工程であって、
(C1)任意選択で、温度上昇した水性アルカリ析出組成物を得るために水性アルカリ析出組成物の温度を上昇させる工程と、
(C2)濾過された水性アルカリ析出組成物を得るために水性アルカリ析出組成物又は任意選択で温度上昇した水性アルカリ析出組成物を濾過する工程と、
(C3)金属イオン源を加え、濾過された水性アルカリ析出組成物を方法工程(A)に再適用する工程と
を含む、工程(C)を含む本発明の方法が好ましい。
【0107】
発生している沈殿物は、濾過又は他の同等の方法により溶液から除去することができる。
【0108】
追加的に、基材の表面上の金属の析出に起因する析出組成物中の金属濃度の減少は、析出組成物中により多くの金属源を加えることにより、例えば第3の態様による方法の場合には元素金属(固体金属片)を加えることにより、又は例えば第4の態様による方法の場合には金属塩を添加することによるか、若しくはアノード酸化を適用することにより均衡することができる。
【0109】
方法工程(C2)の後に沈殿物が減少した濾過された水性アルカリ析出組成物を得るために、任意選択の方法工程(C1)中に水性アルカリ析出組成物中で形成される沈殿物が方法工程(C2)中に水性アルカリ析出組成物から除去される本発明の方法が好ましい。温度の上昇は、沈殿物の形成を促進する。
【0110】
温度を任意選択で上昇させる場合、20℃~100℃、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは40℃~70℃又は40℃~60℃の温度で、更により好ましくは50℃~60℃で、最も好ましくは50℃で実施される、本発明の方法が好ましい。
【0111】
水性アルカリ析出組成物から沈殿物を除去することにより、処理された金属表面から除去された金属イオンを効率的に回収することができる。
【0112】
方法工程(C3)に従って金属イオン源を加えることにより、析出される金属イオンを水性アルカリ析出組成物に補給することができる。次いで、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)に再適用される。
【0113】
工程(A)中に提供される金属基材が柔軟な金属基材として、好ましくは柔軟な銅基材として、より好ましくは柔軟な銅被覆されたポリマーとして形成される本発明の方法が好ましい。
【0114】
いくつかの他の場合、柔軟な箔が好ましく、最も好ましくはアルミ箔である。無電解析出のための金属及び金属合金それぞれが、ニッケルであるか、又はニッケルを含む場合、これが最も好ましい。
【0115】
工程(A)中に実現される基材が銅被覆されたラミネート若しくは樹脂、又は均一な銅基材として形成される本発明の方法が好ましい。
【0116】
異なる化学的及び物理的特性を有する異なる種類の基材上に金属又は金属合金を析出させることにより、方法は、広範囲の用途において適用することができ、したがって一般に使用可能である。
【0117】
例えば、プリント回路板(PCB)のために、銅被覆された樹脂、特にポリマーを使用することができるか、又は銅被覆されたガラスを基材として使用することができる。代わりに、一般的な製造品のために、銅被覆されたプラスチック又は銅被覆された板金を基材として使用することができる。
【0118】
工程(A)及び/又は(B)が撹拌下で、好ましくは20rpm~1,000rpmの、より好ましくは50rpm~500rpmの撹拌速度で、最も好ましくは100rpmで実施される本発明の方法が好ましい。
【0119】
工程(B)が2時間未満の、好ましくは1時間未満の、より好ましくは45分未満の、更により好ましくは30分未満の、最も好ましくは15分未満の期間実施される本発明の方法が好ましい。
【0120】
工程(B)が1分~2時間の、好ましくは5分~1.5時間の、より好ましくは15分~1時間の、最も好ましくは50分~15分の期間実施される本発明の方法が好ましい。
【0121】
方法の好ましい撹拌及び時間間隔は、効率的な析出を可能にし、それらは、使用される金属基材に従って個々に調整することができる。
【0122】
工程(B)の前に実施される工程(P)を含み、工程(P)が、
(P1)前すすぎされた基材を得るために、硫酸を好ましくは含む酸性溶液で基材を前すすぎする工程と、
(P2)洗浄された基材を得るために、脱塩水を好ましくは含む洗浄溶液で前すすぎされた基材を洗浄する工程と
を含み、洗浄された基材が工程(B)中に前記水性アルカリ析出組成物と接触される、
本発明の方法が好ましい。
【0123】
酸性溶液で基材を前すすぎする工程及びその後の洗浄工程により、工程(B)中にその上に金属が析出される表面の効率的な浄化を確実にすることができ、それによって方法の有効性を高める。基材を前すすぎすることにより、基材を水性アルカリ析出組成物中に移す前に任意の潜在的な基材の腐食及び/又は基材の表面汚染を効率的に排除することができる。
【0124】
しかし、方法工程(P)は、任意選択の方法工程であり、本発明の第3及び/又は第4の態様による方法は、方法工程(P)なしで実施することもできる。
【0125】
好ましくは、本発明の第1及び第2の態様による水性アルカリ析出組成物に関する前述、好ましくは、好ましいと記載されることは、本発明の第3及び第4の態様による方法に同様に適用する。
【0126】
非常に好ましい特定の態様において、本発明の方法は、水性アルカリ析出組成物が、アルミニウム又はアルミニウム合金上にニッケル又はニッケル合金を無電解析出させるためのニッケルイオンを含む、無電解浸漬ニッケル析出(すなわち個々の還元剤なし)に関する。
【0127】
好ましくは、この特定の態様において、本発明の方法は、工程(B)の前に、フッ化物を含む前処理組成物でのアルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの前処理を含まないか、又は工程(B)の前に、フッ化物を含む前処理組成物でのアルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの単一の処理工程のみを含む。最も好ましくは、フッ化物での前処理は行われない。
【0128】
好ましくは、この特定の態様において、本発明の方法は、工程(B)の前に、亜鉛を含む前処理組成物でのアルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの前処理を含まないか、又は工程(B)の前に、亜鉛を含む前処理組成物でのアルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの単一の処理工程のみを含む。最も好ましくは、亜鉛での前処理は行われない。
【0129】
独自の実験は、この特定の態様が、アルミニウム/アルミニウム合金手順において一般的なめっきと比較して前処理の労力の著しい減少を可能にすることを示した。多くの場合、ジンケート前処理として一般に既知の、フッ化物及び/又は亜鉛を含む前処理組成物との1回を超える接触を含む他の典型的な前処理を回避することができる。むしろ、式Iの化合物及びその塩は、水性アルカリ析出組成物中のニッケルイオンの効果的な安定化を可能にするだけでなく、その上の有害なパッシベーション層を少なくとも部分的に溶解させることにより、アルミニウム/アルミニウム合金表面に対する前処理効果も実現する。
【0130】
好ましくは、この特定の態様において、本発明の方法は、工程(B)の前に、硝酸を含む前処理組成物でのアルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの前処理を含まない。
【0131】
この特定の態様において、工程(B)において、析出されたニッケル又はニッケル合金が4nm~100nmの、好ましくは7nm~80nmの、より好ましくは10nm~60nmの、更により好ましくは15nm~40nmの、最も好ましくは20nm~30nmの範囲の層厚さを有する本発明の方法が好ましい。
【0132】
この特定の態様において、工程(B)が1分~120分の、好ましくは1.5分~100分の、より好ましくは2分~80分の、更により好ましくは2.5分~70分の、最も好ましくは5分~15分の範囲の時間行われる本発明の方法が好ましい。
【0133】
この特定の態様において、好ましいのは、工程(B)の後に、直接工程(B)において、又はその後の工程において得られた基材を、ニッケルイオン及びニッケル又はニッケル合金析出のための還元剤を含むめっき組成物と接触させる工程(B-1)を含む本発明の方法である。
【0134】
したがって、工程(B-1)において、更なるニッケル又はニッケル合金が、工程(B)において浸漬析出により析出されたニッケル及びニッケル合金それぞれの上に無電解析出される。
【0135】
結果として、工程(B)及び(B-1)において、2つの連続したニッケル層が互いに析出される。
【0136】
好ましくは、本発明の第1及び第2の態様に関する前述は、前述の特定の態様に同様に適用する。
【0137】
好ましくは、無電解析出されるニッケル及びニッケル合金は、ニッケル源としてのニッケルイオン又は金属ニッケルのいずれかに由来し、最も好ましくは金属ニッケルに由来する。化合物(a)はニッケルイオンが生成されるように金属ニッケルを溶解するので、追加の対イオンは水性アルカリ析出組成物に加えられない。これは非常に有益である。
【0138】
第5の態様によれば、本発明は更に、基材の表面上の析出された金属又は金属合金層を有する金属基材であって、析出された金属又は金属合金層が、第3又は第4の態様による基材の表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法により得られた、金属基材に関する。
【0139】
好ましくは、本発明の第1及び第2の態様による水性アルカリ析出組成物の使用並びに本発明の第3及び第4の態様による方法に関する前述、好ましくは、好ましいと記載されることは、本発明の第5の態様による基材に同様に適用する。
【実施例】
【0140】
1.基材の表面上の銀析出
水性アルカリ銀析出組成物の調製
25.00g(0.232mol)の銀粉末及び磁気撹拌子を2000mlビーカー内に置いた。次いで、200.00g(0.724mol)の1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1イル)プロピル)尿素を加え、1775mlの脱イオン水に溶解した。撹拌を150rpmの速度で50℃で5時間行った。反応時間の最後に、液体部分は青紫色に変わった。少量の未溶解の銀粉末がビーカーの底にまだあった。水が5時間の反応時間中に蒸発し、脱イオン水で補給した。得られた収量は2000.00g(100.00%)である。調製後、水性アルカリ銀析出組成物は、9~11の間のpHを有し、且つ基材の表面上の銀の無電解析出の準備が整っている。
【0141】
銅めっきされたABS基材の表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。次いで、水性アルカリ銀析出組成物を、磁気撹拌子を入れた2000mlメスシリンダーに移した。銅めっきされたABS基材を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、銅めっきされたABS基材を水性アルカリ銀析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接(immediately)被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅めっきされたABS基材を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.084μmと決定された。
【0142】
銅板の表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。銅板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、銅板を水性アルカリ銀析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.089μmと決定された。銀表面は、経時的に変色しなかった。12週間後、変色を見出すことはできなかった。更に、指紋は、表面上に残らなかったか、又は指紋を容易に拭き取ることができた。
【0143】
黄銅板の表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。黄銅板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、黄銅板を水性アルカリ銀析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、黄銅板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.128μmと決定された。
【0144】
銅めっきされたFR4パネルの表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。銅めっきされたFR4パネルを5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、大量の脱イオン水ですすぎ、銅めっきされたFR4パネルを水性アルカリ銀析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅めっきされたFR4パネルを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.775μmと決定された。
【0145】
銅めっきされたHMPパネルの表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。銅めっきされたHMPパネルを5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、銅めっきされたHMPパネルを水性アルカリ銀析出組成物に25%の浸漬深さで50℃で15分間、50%の浸漬深さで更に15分間、75%の浸漬深さで50℃で更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅めっきされたHMPパネルを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは15分後に0.087μmと、30分後に0.141μmと、45分後に0.178μmと決定された。
【0146】
銅めっきされたHMPパネルの表面上の銀の無電解長期析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。銅めっきされたHMPパネルを5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、大量の脱イオン水ですすぎ、銅めっきされたHMPパネルを水性アルカリ銀析出組成物に75%の浸漬深さで50℃で20時間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅めっきされたHMPパネルを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.428μmと決定された。
【0147】
銅めっきされたガラスパネルの表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。銅めっきされたガラスパネルを5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、銅めっきされたガラスパネルを水性アルカリ銀析出組成物に50℃で5分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、銅めっきされたガラスパネルを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.059μmと決定された。
【0148】
ウエハの銅めっきされた片の表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。ウエハの銅めっきされた片を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、大量の脱イオン水ですすぎ、ウエハの銅めっきされた片を水性アルカリ銀析出組成物に50℃で5分間浸漬することにより直接被覆した。浸漬深さは95%であった。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、ウエハ片を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.137μmと決定された。
【0149】
高周波アルミニウムソケットの表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。高周波アルミニウムソケットを、領域全体の気体発生が始まるまで5%硫酸に15秒間浸漬した。次いで、高周波アルミニウムソケットを多量の脱イオン水ですすぎ、組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌しながら、高周波アルミニウムソケットを水性アルカリ銀析出組成物に50℃で5分間浸漬することにより直接被覆した。被覆後、高周波アルミニウムソケットを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.085μmと決定された。
【0150】
高周波アルミニウムソケットの表面上の銀の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで20分間加熱した。高周波アルミニウムソケットを、領域全体の気体発生が始まるまで5%硫酸に15秒間浸漬した。次いで、高周波アルミニウムソケットを多量の脱イオン水ですすぎ、組成物をおよそ150rpmで撹拌しながら、高周波アルミニウムソケットを水性アルカリ銀析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。被覆後、高周波アルミニウムソケットを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銀層厚さは0.352μmと決定された。
【0151】
上記で調製した水性アルカリ銀析出組成物は、上記で使用した様々な異なる基材上に半透明から不透明の、無光沢から光沢のある銀層を析出させ、それはもはや経時的に変色しない。5分~60分の被覆時間の後に30℃~50℃の間の温度で0.05μm~0.75μmの銀析出物層を得る。
【0152】
水性アルカリ銀析出組成物の使用及びリサイクリング
析出組成物の使用中、銀イオンの源に由来する利用可能な銀イオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度(上記の例において説明した通り)は、析出組成物中で上昇する。
【0153】
析出組成物又はその一部をリサイクルするために、析出組成物を濾過して、金属表面に由来する金属イオンの沈殿物を分離した。上記の水性アルカリ銀析出組成物の調製に記載された通り原則的に銀粉末を加えることにより、濾過された水性アルカリ析出組成物を補給した。その結果、銀粉末は溶解され、したがって、銀イオンを供給する。銀イオンは、上述の通り化合物により錯体が形成されることになる。最後に、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)において再び使用されることになる。
【0154】
2.基材の表面上のニッケル析出
水性アルカリニッケル析出組成物の調製
25.00g(0.426mol)のニッケルアノード球(直径およそ8mm)及び小さい磁気撹拌子を2000mlビーカーの底に注意深く置いた。次いで、200.00g(0.724mol)の1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1イル)プロピル)尿素を加え、1775mlの脱イオン水に溶解した。ニッケルアノード球が移動しないように150rpmの速度で組成物を50℃で168時間撹拌した。反応時間の最後に、組成物は青緑色に変わった。少量の未溶解のニッケルアノード球がビーカーの底にまだあった。水が168時間の反応時間中に蒸発し、脱イオン水で補給した。得られた収量は2000.00g(100.00%)であった。調製後、水性アルカリニッケル析出組成物は、9~11の間のpHを有し、且つ基材の表面上のニッケルの無電解析出の準備が整っている。
【0155】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上のニッケルの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリニッケル析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で40℃まで60分間加熱した。亜鉛めっき鋼板を、領域全体の気体発生が始まるまで5%硫酸に15秒間浸漬した。次いで、亜鉛めっき鋼板を多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリニッケル析出組成物に40℃で60分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、ニッケル層厚さは0.018μmと決定された。
【0156】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上のニッケルの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリニッケル析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で60℃まで50分間加熱した。亜鉛めっき鋼板を、領域全体の気体発生が始まるまで5%硫酸に15秒間浸漬した。次いで、亜鉛めっき鋼板を多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリニッケル析出組成物に60℃で60分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、ニッケル層厚さは0.029μmと決定された。
【0157】
アルミニウムコネクタの表面上のニッケルの無電解析出
1000gの上記で調製した水性アルカリニッケル析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で60℃まで38分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリニッケル析出組成物に60℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、ニッケル層厚さは0.013μmと決定された。
【0158】
アルミニウムコネクタの表面上のニッケルの無電解析出
アルミニウムコネクタの表面上のニッケルの無電解析出と、その後に続くアルミニウムコネクタの表面上のニッケルの化学析出(すなわち還元剤を利用)。
【0159】
1000gの上記で調製した水性アルカリニッケル析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で60℃まで38分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリニッケル析出組成物に60℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。
【0160】
500gの水性化学ニッケル析出組成物(Atotech Deutschland GmbH社により入手可能なNichem MP 1188)を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で88℃まで44分間加熱した。ニッケル浸漬被覆されたアルミニウムコネクタを水性化学ニッケル析出組成物中で88℃で20分間被覆することにより、ニッケル浸漬被覆されたアルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物は、被覆中撹拌しなかった。被覆後、ニッケル浸漬及び化学ニッケル被覆されたアルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、浸漬ニッケル層厚さは0.016μmと決定された。
【0161】
比較例-アルミニウムコネクタの表面上のニッケルの無電解析出
磁気撹拌子を入れた1000mlビーカーに、250ml脱イオン水を加え、次いで、激しく撹拌しながら、まず硫酸ニッケル(II)5.50g、次いで、塩化アンモニウム15.00gを加えた。薄緑色溶液をおよそ150rpmで撹拌した。薄緑色溶液を500mlの体積まで脱イオン水と混合し、60℃まで37分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性化学ニッケル析出組成物に60℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、ニッケル層厚さは0.032μmと決定された。得られたNi浸漬層は、均質性が乏しく欠陥が見られた。
【0162】
水性アルカリニッケル析出組成物は、アルミニウム、亜鉛、及びスズ基材上に半透明から不透明の、無光沢から輝くニッケル層を析出させる。ベース物質の表面特性に応じて、これらは、無光沢から高度に磨かれたものであり得る。40℃~60℃の温度で60分で0.02μm~0.03μmのニッケル析出物層が得られ、それはもはや経時的に変色しない。
【0163】
水性アルカリニッケル析出組成物の使用及びリサイクリング
析出組成物の使用中、ニッケルイオンの源に由来する利用可能なニッケルイオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度(上記の例において説明した通り)は、析出組成物中で上昇する。
【0164】
析出組成物又はその一部をリサイクルするために、析出組成物を濾過して、金属表面に由来する金属イオンの沈殿物を分離した。上記の水性アルカリニッケル析出組成物の調製に記載された通り原則的にニッケル粉末を加えることにより、濾過された水性アルカリ析出組成物を補給した。その結果、ニッケル粉末は溶解され、したがって、ニッケルイオンを供給する。ニッケルイオンは、上述の通り化合物により錯体が形成されることになる。最後に、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)において再び使用されることになる。
【0165】
3.基材の表面上のマンガン析出
水性アルカリマンガン析出組成物の調製
25.00g(0.455mol)のマンガン片及び小さい磁気撹拌子を2000mlビーカーの底に注意深く置いた。次いで、200.00g(0.724mol)の1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1イル)プロピル)尿素を加え、1775mlの脱イオン水に溶解した。撹拌を150rpmの速度で30℃で60時間行った。マンガンが強い水素発生を伴って発熱的に溶解するであろう制御できない自己触媒反応を回避するために、組成物の温度が40℃を超えて上昇するのを防いだ。撹拌の最後に、液体組成物は薄青色に変わった。少量の未溶解のマンガン片がビーカーの底にまだあった。水が60時間の反応時間中に蒸発し、脱イオン水で補給した。得られた収量は2000.00g(100.00%)であった。調製後、水性アルカリマンガン析出組成物は、9~11の間のpHを有し、且つ基材の表面上のマンガンの無電解析出の準備が整っている。
【0166】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上のマンガンの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリマンガン析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で30℃まで35分間加熱した。70×12×0.2mmの寸法の亜鉛めっき鋼板を、領域全体の気体発生が始まるまで5%硫酸に15秒間浸漬した。次いで、亜鉛めっき鋼板を取り出し、多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリマンガン析出組成物に30℃で60分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、マンガン層厚さは0.012μmと決定された。
【0167】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上のマンガンの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリマンガン析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で30℃まで18分間加熱した。70×70mmの寸法の亜鉛めっき鋼板を、気体発生が全領域にわたって始まるまで5%硫酸に10秒間浸漬した。次いで、亜鉛めっき鋼板を取り出し、多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリマンガン析出組成物に30℃で90分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水ですすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、マンガン層厚さは0.111μmと決定された。
【0168】
アルミニウムコネクタの表面上のマンガンの無電解析出
500gの上記で調製した水性アルカリマンガン析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で30℃まで12分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリマンガン析出組成物に30℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、マンガン層厚さは0.019μmと決定された。
【0169】
アルミニウムコネクタの表面上のマンガンの無電解析出と、その後に続くアルミニウムコネクタの表面上のニッケルの化学析出
500gの上記で調製した水性アルカリマンガン析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で30℃まで12分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリマンガン析出組成物に30℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。
【0170】
500gの水性化学ニッケル析出組成物(Atotech Deutschland GmbH社により入手可能なNichem MP 1188)を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で88℃まで44分間加熱した。ニッケル浸漬被覆されたアルミニウムコネクタを水性化学ニッケル析出組成物中で88℃で20分間被覆することにより、ニッケル浸漬被覆されたアルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物は、被覆中撹拌しなかった。被覆後、マンガン浸漬及び化学ニッケル被覆されたアルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、ニッケル層厚さは0.015μmと決定された。
【0171】
水性アルカリマンガン析出組成物は、アルミニウム及び亜鉛上に半透明から不透明の、灰色からピンク色がかったマンガン層を析出させ、それは、強く加熱されたとき銀色になる。アルミニウム又は亜鉛表面の表面状態に応じて、析出物層は、鈍いものから高度に磨かれたものであり得る。30℃で60分で0.01μmのマンガン層を得る。
【0172】
水性アルカリマンガン析出組成物の使用及びリサイクリング
析出組成物の使用中、マンガンイオンの源に由来する利用可能なマンガンイオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度(上記の例において説明した通り)は、析出組成物中で上昇する。
【0173】
析出組成物又はその一部をリサイクルするために、析出組成物を濾過して、金属表面に由来する金属イオンの沈殿物を分離した。上記の水性アルカリマンガン析出組成物の調製に記載された通り原則的にマンガン粉末を加えることにより、濾過された水性アルカリ析出組成物を補給した。その結果、マンガン粉末は溶解され、したがって、マンガンイオンを供給する。マンガンイオンは、上述の通り化合物により錯体が形成されることになる。最後に、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)において再び使用されることになる。
【0174】
4.基材の表面上のコバルト析出
水性アルカリコバルト析出組成物の調製
10.10g(0.170mol)のコバルト粉末及び磁気撹拌子を1000mlビーカー内に置いた。次いで、100.00g(0.289mol)の1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1イル)プロピル)尿素(水に溶解された80% wt.-%)を加え、700mlの脱イオン水に溶解した。撹拌を150rpmの速度で50℃で24時間行った。反応時間の最後に、組成物はピンク色に変わった。少量の未溶解のコバルト粉末がビーカーの底にまだあった。水が24時間の反応時間中に蒸発し、脱イオン水で補給した。得られた収量は810.10g(100.00%)であった。調製後、水性アルカリコバルト析出組成物は、9~11の間のpHを有し、且つ基材の表面上のコバルトの無電解析出の準備が整っている。
【0175】
アルミニウム多孔板の表面上のコバルトの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリコバルト析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで36分間加熱した。アルミニウム多孔板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、アルミニウム多孔板を水性アルカリコバルト析出組成物に90%の浸漬深さで50℃で15分間、60%の浸漬深さで更に15分間、30%の浸漬深さで更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウム多孔板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、コバルト層厚さは以下の通り決定された:15分後のコバルト層は検出不可であり、30分後のコバルト層は、0.003μmの厚さを有し、45分後のコバルト層は、0.011μmの厚さを有する。
【0176】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上のコバルトの無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリコバルト析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで39分間加熱した。亜鉛めっき鋼板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリコバルト析出組成物に90%の浸漬深さで50℃で15分間、60%の浸漬深さで更に15分間、30%の浸漬深さで更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、コバルト層厚さは以下の通り決定された:15分後のコバルト層:0.017μm、30分後のコバルト層:0.024μm及び45分後のコバルト層:0.028μm。
【0177】
水性アルカリコバルト析出組成物は、アルミニウム及び亜鉛上に半透明から不透明のコバルト層を析出させ、それはもはや変色しない。光沢のある層は、光の入射に応じてすべてのスペクトル色において輝く。この効果は、大気条件下で6カ月保管した後でさえも持続する。アルミニウム又は亜鉛表面の表面状態に応じて、コバルト析出物層は、無光沢から非常に光沢のあるものであり得る。50℃で5分~60分間で0.003~0.028μmの均一に閉じたコバルト析出物層を得る。
【0178】
水性アルカリコバルト析出組成物の使用及びリサイクリング
析出組成物の使用中、コバルトイオンの源に由来する利用可能なコバルトイオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度(上記の例において説明した通り)は、析出組成物中で上昇する。
【0179】
析出組成物又はその一部をリサイクルするために、析出組成物を濾過して、金属表面に由来する金属イオンの沈殿物を分離した。上記の水性アルカリコバルト析出組成物の調製に記載された通り原則的にコバルト粉末を加えることにより、濾過された水性アルカリ析出組成物を補給した。その結果、コバルト粉末は溶解され、したがって、コバルトイオンを供給する。コバルトイオンは、上述の通り化合物により錯体が形成されることになる。最後に、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)において再び使用されることになる。
【0180】
5.基材の表面上の銅析出
水性アルカリ銅析出組成物の調製
26.411g(0.416mol)の銅箔片(およそ1×1cm)及び磁気撹拌子を3000mlビーカー内に置いた。次いで、211.29g(0.765mol)の1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1イル)プロピル)尿素を加え、2139.31mlの脱イオン水に溶解した。撹拌を150rpmの速度で50℃で60時間行った。反応時間の最後に、組成物は明るい青色に変わった。少量の未溶解の銅箔片がビーカーの底にまだあった。水が60時間の反応時間中に蒸発し、脱イオン水で補給した。得られた収量は2377.01g(100.00%)であった。調製後、水性アルカリ銅析出組成物は、9~11の間のpHを有し、且つ基材の表面上の銅の無電解析出の準備が整っている。
【0181】
アルミニウム多孔板の表面上の銅の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで39分間加熱した。アルミニウム多孔板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、アルミニウム多孔板を水性アルカリ銅析出組成物に90%の浸漬深さで50℃で15分間、60%の浸漬深さで更に15分間、30%の浸漬深さで更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウム多孔板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銅層厚さは以下の通り決定された:15分後の銅層:0.004μm、30分後の銅層:0.006μm及び45分後の銅層:0.007μm。
【0182】
アルミ箔の表面上の銅の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で60℃まで38分間加熱した。アルミ箔を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、アルミ箔を水性アルカリ銅析出組成物に90%の浸漬深さで60℃で15分間、60%の浸漬深さで更に15分間、30%の浸漬深さで更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、アルミ箔を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銅層厚さは以下の通り決定された:15、30及び45分後の銅層:0.007μm。
【0183】
アルミニウムコネクタの表面上の銅の無電解析出
500gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで25分間加熱した。30,7×29,5mmの寸法のアルミニウムコネクタを脱イオン水ですすぎ、5,00%硫酸に60秒間浸漬した。20秒後、領域全体の気体発生が始まった。次いで、アルミニウムコネクタを取り出し、多量の脱イオン水ですすぎ、アルミニウムコネクタを水性アルカリ銅析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。均質なCu層を得た。16,97μmの銅層厚さをFIB分析により決定した。
【0184】
アルミニウムパネルのアルミニウム表面上の銅の無電解析出
1000gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで25分間加熱した。127×44.3×0.6mmの寸法のアルミニウムパネルを脱イオン水ですすぎ、5,00%硫酸に60秒間浸漬した。20秒後、領域全体の気体発生が始まった。次いで、アルミニウムパネルを取り出し、多量の脱イオン水ですすぎ、アルミニウムパネルを水性アルカリ銅析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムパネルを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。不均質で多孔質なCu層を得た。121,92μmの銅層厚さをFIB分析により決定した。
【0185】
亜鉛めっき鋼板の亜鉛表面上の銅の無電解析出
2000gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を2000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で60℃まで35分間加熱した。亜鉛めっき鋼板を5%硫酸に10秒間浸漬し、次いで、多量の脱イオン水ですすぎ、亜鉛めっき鋼板を水性アルカリ銅析出組成物に90%の浸漬深さで60℃で15分間、60%の浸漬深さで更に15分間、30%の浸漬深さで更に15分間浸漬することにより直接被覆した。組成物を、被覆中約150rpmで撹拌した。被覆後、亜鉛めっき鋼板を脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。XRF分析により、銅層厚さは以下の通り決定された:15分後の銅層:0.023μm、30分後の銅層:0.037μm及び45分後の銅層:0.042μm。
【0186】
アルミニウムコネクタの表面上の銅の無電解析出
500gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで26分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリ銅析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。FIB分析により、銅層厚さは0.017μmと決定された。
【0187】
アルミニウムコネクタの表面上の銅の無電解析出と、その後に続くアルミニウムコネクタの表面上の銅の電気化学析出
500gの上記で調製した水性アルカリ銅析出組成物を1000mlビーカー内で150rpmの撹拌速度で50℃まで26分間加熱した。アルミニウムコネクタを水性アルカリ銅析出組成物に50℃で15分間浸漬することにより、アルミニウムコネクタを直接被覆した。組成物を、被覆中およそ150rpmで撹拌した。被覆後、アルミニウムコネクタを脱イオン水で十分にすすぎ、圧縮空気で乾燥した。
【0188】
光沢剤なしのCupracid UP600(Atotech Deutschland GmbH社により入手可能)500gを穏やかな撹拌下で1000mlビーカーに加えた。50×70×2mmチタングリッドをアノードとして使用した。アルミニウムコネクタをアルミニウムワイヤーに取り付け、3A/dm2で酸性銅浴に20℃で20分間浸漬した。アルミニウムコネクタとチタングリッドの間の距離は4cmであった。めっき後、浸漬銅被覆及び電気化学銅めっきされたコネクタを脱イオン水ですすぎ、圧縮空気で乾燥した。得られた銅層厚さは、非常に均質で閉じていた。
【0189】
水性アルカリ銅析出組成物は、アルミニウム及び亜鉛上に半透明から不透明の銅層を析出させ、それはもはや変色しない。アルミニウム又は亜鉛表面の表面状態に応じて、銅層は、無光沢から高光沢のものであり得る。50℃~75℃で均一に閉じた層0.004~0.042μmを5分~60分で得ることができる。
【0190】
水性アルカリ銅析出組成物の使用及びリサイクリング
析出組成物の使用中、銅イオンの源に由来する利用可能な銅イオンの濃度が低下する間、基材の金属表面の金属イオンの濃度(上記の例において説明した通り)は、析出組成物中で上昇する。
【0191】
析出組成物又はその一部をリサイクルするために、析出組成物を濾過して、金属表面に由来する金属イオンの沈殿物を分離した。上記の水性アルカリ銅析出組成物の調製に記載された通り原則的に銅粉末を加えることにより、濾過された水性アルカリ析出組成物を補給した。その結果、銅粉末は溶解され、したがって、銅イオンを供給する。銅イオンは、上述の通り化合物により錯体が形成されることになる。最後に、補給及び濾過された水性アルカリ析出組成物は、方法工程(A)において再び使用されることになる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物の使用であって、前記組成物が、
(a)式I:
【化1】
(式中、
Xは、酸素として選択され、
R
1及びR
2は、窒素含有ヘテロ芳香族化合物として独立して選択され、
R
1及びR
2は、同一であり得るか、又は異なり得、
mは、2~6の整数であり、
nは、2~6の整数であり、
m及びnは、同一であり得るか、又は異なり得る)を有する化合物及び/又はその塩を含む群から選択される官能化尿素誘導体及び/又はその塩と、
(b)前記基材の金属表面に金属として析出される金属イオンを供給する少なくとも1つの金属イオン源であって、析出される金属又は金属合金は、前記金属表面の金属又は金属合金とは異なる、金属イオン源と、
(c)任意選択で少なくとも1つの合金化金属イオン源と
を含み、前記式Iを有する化合物及び/又はその塩が、前記組成物の総質量に対して1wt.-%~20wt.-%の総濃度で前記組成物中に存在する、使用。
【請求項2】
前記少なくとも1つの金属イオン源が、
(i)少なくとも1種の金属塩と、
(ii)前記水性アルカリ析出組成物と接触している金属アノード物質であって、アノード酸化プロセスを可能にするために、前記アノードに電流を印加することにより酸化され、前記水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出をもたらす、金属アノード物質と、
(iii)前記水性アルカリ析出組成物と接触している固体金属片であって、酸化プロセスを可能にするために、前記水性アルカリ析出組成物に溶解された酸化剤により酸化され、前記水性アルカリ析出組成物中への金属イオンの放出をもたらす、固体金属片と
からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R
1及びR
2が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含む置換及び/又は非置換イミダゾールとして選択さ
れる、請求項
1に記載の使用。
【請求項4】
nが、2~3の整数であり、且つ/又はmが、2~3の整数である、請求項
1に記載の使用。
【請求項5】
前記水性アルカリ析出組成物が、7.1~13のpH値を有する、請求項
1に記載の使用。
【請求項6】
前記官能化尿素誘導体及び/又はその塩が、mが3であり、nが3であり、
R
1が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含むイミダゾールであり、
R
2が、C
1~C
6アルキルとして選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で含むイミダゾールである、式Iを有する化合物及び/又はその塩として選択される、請求項
1に記載の使用。
【請求項7】
前記式Iを有する化合物及び/又はその塩が、2wt.-%~15wt.-
%の総濃度で前記組成物中に存在する、請求項
1に記載の使用。
【請求項8】
前記水性アルカリ析出組成物の前記固体金属片を酸化するための酸化剤が、前記水性アルカリ析出組成物に溶解された酸素を含
む、請求項
2に記載の使用。
【請求項9】
金属イオンを供給する前記少なくとも1つの金属イオン源が、マンガン、銀、銅、コバルト、及びニッケルからなる群から選択される、請求項
1に記載の使用。
【請求項10】
金属イオンを供給する前記少なくとも1つの金属イオン源が、前記組成物の総質量に対して0.1wt.-%~15wt.-%の総濃度
で前記組成物中に存在する、請求項
1に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物が、還元剤及び/又はアニオン性薬剤を含まない、請求項
1に記載の使用。
【請求項12】
金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための方法であって、
(A)請求項1から11のいずれか一項に規定の金属基材の金属表面上の金属又は金属合金の無電解析出のための水性アルカリ析出組成物を用意する工程と、
(B)前記基材を前記水性アルカリ析出組成物と接触させて、前記金属又は金属合金を無電解法で前記金属基材の金属表面上に析出させる工程と
を含む、方法。
【請求項13】
処理される前記基材が、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、鉛、アンチモン、スズ、希土類金属、銅-亜鉛合金、銅-スズ合金、銅-ニッケル合金、及びアルミニウム-マグネシウム合金からなる群から選択される金属又は金属合金を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
析出される金属イオンが、銀イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、コバルトイオン及び銅イオンからなる群から選択される、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
更なる工程:
(C)方法工程(B)の後に前記水性アルカリ析出組成物をリサイクルする工程であって、
(C1)任意選択で、前記水性アルカリ析出組成物の温度を上昇させて、温度上昇した水性アルカリ析出組成物を得る工程と、
(C2)前記水性アルカリ析出組成物又は任意選択で前記温度上昇した水性アルカリ析出組成物を濾過して、濾過された水性アルカリ析出組成物を得る工程と、
(C3)金属イオン源を加え、前記濾過された水性アルカリ析出組成物を方法工程(A)に再適用する工程と
を含む、工程(C)を含む、請求項
12に記載の方法。
【国際調査報告】