(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】容器、封止体、並びに、当該容器と封止体の製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 51/18 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B65D51/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534392
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2022052246
(87)【国際公開番号】W WO2023107615
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518283481
【氏名又は名称】エッチ ジェー ハインツ カンパニー ブランズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エム ジマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ケヴィン クレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ イー マッケイ
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AB02
3E084CA01
3E084EA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB14
3E084HD04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
流体を貫流させる開口部を有する中央部と、前記封止キャップを容器本体に固定する内側スカートを含む基部を有する封止キャップを備える分注ボトルが供される。前記基部は、該基部の前記開口部に位置すると共に可動管が装着されることで拡張可能な漿液ウエルを形成するねじ山を有する内側シャフトさらに有する。前記可動管は、前記容器本体の首部又は該首部に固定されるライナーのうちの少なくとも1つと係合する拡張部を有する。前記拡張部が前記容器本体の首部又は該首部に固定されるライナーのうちの少なくとも1つと係合することで、前記封止キャップが前記容器本体から少なくとも部分的に装着されないときに、前記可動管は、前記容器本体及び前記ライナーのうちの少なくとも1つの位置に対して保持されることで、前記封止キャップが前記容器本体から装着されないときに、前記拡張可能な漿液ウエルを拡張する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注ボトルであって、
開口部を画定する首部と該首部上に首部ねじ山を有する容器本体と、
基部と、該基部に蝶番で接続される押上式蓋を有し、前記基部は、流体が貫流する開口部を有する中央部と、前記中央部に懸る内側スカートと、前記中央部の内側表面に設けられると共にねじ山を有する内側シャフトとを有する、封止キャップと、
対応するねじ山を介して前記内側シャフト上で装着されることで拡張可能な漿液ウエルを形成する可動管と、
前記容器本体の前記首部に設けられると共に前記首部に固定されるライナーと、
を備え、
前記内側スカートは、前記首部ねじ山に対応することで、前記容器本体に対して前記封止キャップを固定するスカートねじ山を有し、
前記可動管は、前記封止キャップが少なくとも部分的に前記容器本体から解放されるときに、前記可動管の位置が、前記容器本体と前記ライナーに対して保持されることで、前記封止キャップが前記容器本体から解放される際に前記拡張可能な漿液ウエルを拡張するように、前記容器本体の首部と前記ライナーのうちの少なくとも一に係合する拡張部を有する、分注ボトル。
【請求項2】
請求項1に記載の分注ボトルであって、
前記拡張可能な漿液ウエルは前記基部と前記可動管によって形成され、
前記可動管は、前記漿液ウエルが第1高さを有する格納位置、及び、前記漿液ウエルが第2高さを有する拡張位置を有し、
前記第1高さと前記第2高さが、前記中央部の内側表面と前記可動管の遠端との間の距離によって定められる、
分注ボトル。
【請求項3】
請求項2に記載の分注ボトルであって、前記拡張可能な漿液ウエルは、格納配置と比較して、拡張配置においてより多くの流体の体積を保持するように構成される、分注ボトル。
【請求項4】
請求項1に記載の分注ボトルであって、前記可動管は、該可動管から外側へ延びることで前記容器本体の前記首部又は前記ライナーのうちの少なくとも一と係合する1つ以上の拡張腕部を有する、分注ボトル。
【請求項5】
請求項4に記載の分注ボトルであって、前記拡張腕部は、前記ライナーの上部と係合する概して平坦な底部を有するフィンの対を有する、分注ボトル。
【請求項6】
請求項4に記載の分注ボトルであって、前記首部又は前記ライナーのうちの少なくとも一は、前記封止キャップの他の部分が前記容器本体に対して回転する際に前記容器本体に対して前記可動管を保持する棚を有する、分注ボトル。
【請求項7】
請求項6に記載の分注ボトルであって、前記封止キャップは、前記可動管が前記封止キャップの他の部分から完全に解放されることを防止する保持機構をさらに有する、分注ボトル。
【請求項8】
請求項1に記載の分注ボトルであって、ユーザーは、前記拡張可能な漿液ウエルを有する前記封止キャップが前記容器本体に再装着される前に前記容器の首部から前記ライナーを取り外す、分注ボトル。
【請求項9】
請求項1に記載の分注ボトルであって、前記可動管と前記内側シャフトは、第1軸長さと第2軸長さを有する拡張可能な管を構成し、前記第1軸長さは、格納及び輸送に用いられ、前記第2軸長さは、前記封止キャップの前記開口部を介した前記流体の分注に用いられる、分注ボトル。
【請求項10】
請求項1に記載の分注ボトルであって、前記拡張可能な漿液ウエルは、流体が前記中央部の前記開口部を貫流する際に前記漿液ウエル内部の流体の混合を可能にするサイズにされる、分注ボトル。
【請求項11】
封止キャップであって、
当該封止キャップを容器本体に取り付けるねじ山を有する内側スカートと、流体が貫流する開口部を有する中央部と、前記中央部に懸ると共に首部ねじ山に対応することで、前記容器本体に対して前記封止キャップを固定するスカートねじ山を有する、スカートと、前記中央部の内側表面に設けられると共にねじ山を有する内側シャフトとを有する基部と、
該基部に蝶番で接続される押上式蓋と、
対応するねじ山を介して前記内側シャフト上で装着されることで拡張可能な漿液ウエルを形成する可動管と、
環状輪の端部に設けられると共に前記環状輪の端部に固定されるライナーと、
を備え、
前記可動管は、その後当該封止キャップが少なくとも部分的に前記容器本体から解放されるときに、前記可動管の位置が、前記容器本体と前記ライナーに対して保持されることで、前記拡張可能な漿液ウエルを拡張するように、前記ライナーと係合する拡張部を有する、
封止キャップ。
【請求項12】
請求項11に記載の封止キャップであって、前記中央部の縁部に設けられると共に前記中央部に懸る外側スカートをさらに備える、封止キャップ。
【請求項13】
請求項12に記載の封止キャップであって、
前記拡張可能な漿液ウエルは前記基部と前記可動管によって形成され、
前記可動管は、前記漿液ウエルが第1高さを有する格納位置、及び、前記漿液ウエルが第2高さを有する拡張位置を有し、
前記第1高さと前記第2高さが、前記中央部の内側表面と前記可動管の遠端との間の距離によって定められる、
封止キャップ。
【請求項14】
請求項13に記載の封止キャップであって、前記拡張可能な漿液ウエルは、格納配置格納と比較して、拡張配置においてより多くの流体の体積を保持するように構成される、封止キャップ。
【請求項15】
請求項11に記載の封止キャップであって、前記可動管は、前記可動管から外側へ延びることで前記容器本体の前記首部又は前記ライナーのうちの少なくとも一と係合する1つ以上の拡張腕部を有する、封止キャップ。
【請求項16】
請求項15に記載の封止キャップであって、前記拡張腕部は、前記ライナーの上部と係合する概して平坦な底部を有するフィンの対を有する、封止キャップ。
【請求項17】
請求項15に記載の封止キャップであって、前記ライナーは、当該封止キャップの他の部分が前記容器本体に対して回転する際に前記容器本体に対して前記可動管を保持する棚を有する、封止キャップ。
【請求項18】
請求項17に記載の封止キャップであって、前記可動管が当該封止キャップの他の部分から完全に解放されることを防止する保持機構をさらに有する、封止キャップ。
【請求項19】
分注ボトルであって、
ねじ山を有すると共に開口部を画定する首部を有する容器本体と、
前記容器本体に固定されることで前記開口部を封止する下側表面と、該下側表面とは反対の上側表面を有するシールライナーと、
分注開口部及び前記容器本体と係合するように構成されるねじ山を有するスカートを含む基部を有する封止キャップと、
を備え、
前記封止キャップは、前記分注開口部への流体流チャネルを構成する拡張可能な管を有し、
前記拡張可能な管は、格納配置と、該格納配置よりも軸の長さが長い拡張配置との間で移動可能で、
前記拡張可能な管は、前記封止キャップが、前記シールライナーの前記上側表面と係合する前記拡張可能な管によって前記容器本体に装着されるときに前記格納配置をとり、かつ、前記封止キャップが前記容器本体から解放される際に、前記拡張配置へ移動する、
分注ボトル。
【請求項20】
請求項19に記載の分注ボトルであって、
前記拡張可能な管は、前記基部に固定されると共にねじ山を有する第1部分と、該第1部分の前記ねじ山と係合するように構成されるねじ山を有する第2部分を含み、
前記管の前記第2部分は、前記ライナーの前記上側表面と係合し、それにより、前記封止キャップが前記容器本体に対して回転することで前記容器本体から解放されるときに、前記ライナーの前記上側表面は、前記管の前記第1部分と共に前記管の前記第2部分が回転することで、前記管の前記第1部分から前記管の前記第2部分を解放すること、及び、前記拡張可能な管を前記拡張配置へ移すことを抑制する、
分注ボトル。
【請求項21】
請求項20に記載の分注ボトルであって、前記ライナーの前記上側表面は非平坦で、前記ライナーの非平坦上側表面は、前記管の前記第2部分が前記ライナーに対して実質的に回転するのを防止するように前記管の前記第2部分と係合する、分注ボトル。
【請求項22】
請求項20に記載の分注ボトルであって、前記ライナーの前記上側表面は、ステップ及び隆起部のうちの少なくとも一を有する、分注ボトル。
【請求項23】
請求項20に記載の分注ボトルであって、前記管の前記第2部分は、前記管の前記第2部分が前記ライナーに対して実質的に回転するのを防止するように前記ライナーの前記上側表面と係合するように構成される係合基部を有する、分注ボトル。
【請求項24】
請求項23に記載の分注ボトルであって、前記管の前記第2部分の前記係合基部は、前記管の軸から半径方向外側に延びる少なくとも1つのタブを有する、分注ボトル。
【請求項25】
請求項19に記載の分注ボトルであって、前記封止キャップは、閉位置と開位置との間で移動可能となるように前記基部に蝶番で接続される押上式蓋をさらに有する、分注ボトル。
【請求項26】
請求項19に記載の分注ボトルであって、前記シールライナーが取り外され、かつ、前記封止キャップは前記容器本体に再装着されるとき、軸方向に長い前記管は、前記容器本体の前記首部へ入り込むように延びる、
【請求項27】
封止キャップであって、
分注開口部及び容器本体と係合するように構成されるねじ山を有するスカートを含む基部を有する封止キャップと、
前記基部から延びて前記分注開口部への流体流チャネルを構成する拡張可能な管と、
を備え、
前記拡張可能な管は、格納配置と、該格納配置よりも軸の長さが長い拡張配置との間で移動可能で、
前記拡張可能な管は、前記封止キャップが、シールライナーの上側表面と係合する前記拡張可能な管の端部によって前記容器本体に装着されるときに前記格納配置をとり、かつ、
前記拡張可能な管は、前記封止キャップが前記容器本体から解放される際に、前記拡張配置へ移動する、
封止キャップ。
【請求項28】
請求項27に記載の封止キャップであって、
前記拡張可能な管は、前記基部に固定されると共にねじ山を有する第1部分と、該第1部分の前記ねじ山と係合するように構成されるねじ山を有する第2部分を含み、
前記管の前記第2部分は、前記ライナーの前記上側表面と係合するように構成され、それにより、前記封止キャップが前記容器本体に対して回転することで前記容器本体から解放されるときに、前記ライナーの前記上側表面が、前記管の前記第1部分と共に前記管の前記第2部分が回転することで前記管の前記第1部分から前記管の前記第2部分を解放すること、及び、前記拡張可能な管を前記拡張配置へ移すことを抑制する、
封止キャップ。
【請求項29】
請求項28に記載の封止キャップであって、前記管の前記第2部分は、前記管の前記第2部分が前記ライナーに対して実質的に回転するのを防止するように前記ライナーの前記上側表面と係合するように構成される係合基部を有する、封止キャップ。
【請求項30】
請求項29に記載の封止キャップであって、前記管の前記第2部分の前記係合基部は、前記管の軸から半径方向外側に延びる少なくとも1つのタブを有する、封止キャップ。
【請求項31】
請求項28に記載の封止キャップであって、閉位置と開位置との間で移動可能となるように前記基部に蝶番で接続される押上式蓋をさらに有する、封止キャップ。
【請求項32】
分注ボトルの製造方法であって、
ねじ山を有すると共に開口部を画定する首部を有する容器本体を鋳型成型する段階と、
前記容器本体に、該容器本体の開口部を介してチキソトロピー流体を充填する段階と、
前記容器本体にシールライナーを設けることで前記容器本体の前記開口部を封止する段階と、
封止キャップを、該封止キャップの拡張可能な管が前記ライナーの上側表面と係合するまで前記容器本体に対して回転させることで、前記容器本体の前記首部に前記封止キャップを装着する段階と、
を有する方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記シールライナーの前記上側表面は非平坦である、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記封止キャップは、前記拡張可能な管の一部が、前記シールライナーの隆起部及びステップのうちの少なくとも一を超えるまで回転する、方法。
【請求項35】
請求項32に記載の方法であって、
前記封止キャップの前記拡張可能な管は、前記封止キャップに剛性を有するように固定されると共にねじ山を有する第1部分、及び、該第1部分の前記ねじ山と係合するように構成されるねじ山を有する第2部分を含み、
前記管の前記第2部分に対する前記管の前記第1部分の回転は、前記管の軸の長さを調節する、
方法。
【請求項36】
分注ボトルの使用方法であって、
チキソトロピー流体を含む容器本体を供する段階であって、前記容器本体は、開口部を画定すると共にねじ山を有する首部と、前記容器本体に固定されることで前記開口部を封止するシールライナーと、前記首部の前記ねじ山と係合するねじ山を含む封止キャップを有し、前記封止キャップの前記ねじ山は、前記首部の前記ねじ山と係合することで前記封止キャップを前記容器本体に固定し、前記封止キャップは、ねじ山を有する第1部分、及び、該第1部分に装着されると共に前記シールライナーと係合する第2部分を有する拡張可能な管を含む、段階と、
前記封止キャップを前記容器本体に対して回転させることで前記封止キャップを前記容器本体から解放する段階であって、前記拡張可能な管の前記第2部分は、前記シールライナーと係合することで、前記管の前記第2部分の回転は、前記封止キャップが前記容器本体に対して回転する際に前記封止キャップと共に回転することで、前記管の前記第1部分から前記管の前記第2部分を解放することで、前記拡張可能な管を軸の長さが伸びた拡張配置へ移すことから抑制される、段階と、
を有する方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記容器本体から前記シールライナーを取り外す段階と、
前記封止キャップを前記容器本体に対して回転させることで前記封止キャップを前記容器本体に装着し、そのとき前記拡張可能な管は前記拡張配置で、かつ前記容器本体の前記首部へ入り込むように延びる、段階、
をさらに有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2021年12月10日に出願された米国仮出願第63/288,347号の利益を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、流体用容器に関し、より詳細には、流体を分注するための封止キャップを有する容器に関する。
【背景技術】
【0003】
製品分離は、混合物中に2種類以上の流体を有する多くの流体製品で生じる問題である。製品分離は、流体製品が時間の経過とともに沈降し、密度の低い流体が流体製品の密度の高い流体から分離することによって生じることが多い。例えば、薄い、または比較的低粘度、低密度の流体は、流体の残りの部分から分離し、流体の残りの部分の上に静止する可能性がある。製品の分離が起こりやすいそのような流体の一例は、ケチャップである。時間の経過とともに、漿液または水がケチャップ液の残部から分離し、漿液または水が混合液の上部に上昇する。製品の分離は、多くの用途において好ましくなく、特に、製品の分離が発生したことに使用者が気づかない可能性がある、流体製品が容器から直接吐出される用途において好ましくない。製品分離の結果、使用者が流体容器から流体を分注する際、低粘度、低密度の流体は、混合流体製品としてではなく、製品の残りの部分とは別に分注される可能性がある。低粘度の流体を分注すると、使用者が流体容器から流体を分注する際に飛散が増加する可能性がある。さらに、薄いまたは低粘度の流体は、流体容器からより容易に漏れる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体が分注される際にボトル内の流体の混合を促進するボトル付き分注キャップを使用することにより、これらの問題に対処しようとする試みがある。しかしながら、このような分注キャップは、しばしばサイズが大きく、封止キャップ内に複雑な内部部品および混合流路を有する。このような分注キャップは、一般に、製造コストが高く、過度に大きいため、出荷および保管が困難である(例えば、店舗および/または家庭において棚のスペースを取りすぎる)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、例えば調味料又は飲料を含む消費者又は食品などのボトルから流体を分注するためのシステム、装置及び方法を説明する。いくつかの実施形態において、ボトルは、押上式蓋を有する封止キャップと、完全に混合された製品の分注を容易にし、例えば、水性漿液のような分離した成分の排出を防止するように構成された基部とを含む。いくつかの構成では、基部は、分離された漿液の少なくとも一部を捕捉または保持する漿液ウェルを含み、それにより、少なくともこの分離された漿液が流体の残りの部分に十分に混合されるまで、封止キャップからの排出を防止する。以前の解決法には、複雑で大きな封止キャップが必要なものもあったが、機能性が低下するものもあった。例えば、漿液の排出を防止するある種の封止キャップはまた、そこから液体を排出するために非常に大きな内圧を必要とし、それにより、消費者が分注ボトルの外側に大きな力を加えることを必要とした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】分解状態における、容器、封止キャップ、およびライナーを含む分注ボトルの部分断面図である。
【
図2】封止キャップの拡張可能な管が格納配置をとる、組み立て配置の
図1の分注ボトルの部分断面図である。
【
図3】封止キャップが容器から部分的に取り外され、拡張可能な管が拡張配置をとる、
図1の分注ボトルの部分断面図である。
【
図4】容器に取り付けられ、拡張可能な管が拡張配置をとる、
図1の分注ボトルの封止キャップの断面図である。
【
図5】拡張可能な管が拡張配置にある状態で容器に取り付けられた封止キャップと共に示された、
図1の分注ボトルの斜視部分断面図である。
【
図6A】拡張可能な管の保持機構を示す、
図1の分注ボトルの封止キャップの上側表面の斜視断面図である。
【
図6B】
図6Aに示す拡張可能な管の保持機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~5に関して、封止キャップからの排出前に流体の実成分の混合を容易にし、及び/又は分離した流体が容器本体12から分注されるのを防止する分注ボトル10が示されている。加えて、封止キャップ18は、そこから流体が意図せずに排出されることも防止する。分注ボトル10は、封止キャップ18が分注ボトル10の底部に位置するように倒立させて、封止キャップ18を通して分注ボトル10から流体を分注することができる。さらに、分注ボトル10はまた、その封止キャップ18の上に静止した状態で保管されることもあり、したがって、封止キャップ18は、典型的には、封止キャップ18が閉鎖配置にあり、容器本体12が封止キャップ18の上方に配置されているときに、ボトル10内の流体を十分に保持し、かつ分注ボトル10から排出される前に流体を混合するための構造を含む。
【0008】
一の例示的な構成では、分注ボトル10は、分離された流体(例えば、漿液)が分注ボトル10から流出して使用者に分注されることができないところに流入するための漿液トラップまたは漿液ウェル50(
図4および
図5参照)を含む。一つのアプローチでは、漿液ウェル50は、最初の開口後に容器本体12内に拡張し、容器本体12内にさらに流体を引き込んで使用者に分注するための管またはシュノーケルとして機能する拡張可能な管35によって形成される。例えば、漿液または水が流体(例えば、ケチャップ)から分離している場合、流体を分注するために分注ボトル10が反転されると、漿液または水は、漿液ウェル50および拡張可能な管35の端部の下方に流入する。混合または分離されていない液体は、漿液ウェル50内の漿液の上に流れ、分離された液体を漿液ウェル内に閉じ込め、分離された液体が拡張可能な管35によって形成された流体流路42に流れ込むので、分注ボトル10から流れ出るのを防ぐ。漿液ウェル50の外側で拡張可能な管35の端部の上方にある混合または分離されていない流体は、流体流路42に流れ込み、分注ボトル10の外に出ることができる。
【0009】
分注ボトル10は、比較的薄型の封止キャップ18を含む。分注ボトル10は、封止キャップ18のサイズを大きくする代わりに、シールライナー44が取り外されると容器本体18の首部14内に拡張され得る拡張可能な管35を含むことによって、薄型でありながら分離した流体に関連する問題に対処する。したがって、分注ボトル10は、より容易に出荷および/または保管されるより小さなサイズを有する。また、分注ボトル10は、封止キャップ18が、封止キャップ18内の複雑な内部部材または複雑な混合流路を伴わずに、少数の部品を含むので、より容易に製造することができる。
【0010】
図1に関して、分注ボトル10は、容器本体12、封止キャップ18、及びライナー44を含む。容器本体12は、流体(例えば、チキソトロピー性流体)、例えば、流体食品および他の消費者向け流体製品を受容し、貯蔵するためのレセプタクルである。流体食品の例としては、例として、ケチャップ、マヨネーズ、バーベキューソース、マスタードなどが挙げられる。他の消費者向け流体製品の例としては、石鹸、洗剤、ローション、シャンプー、コンディショナーなどが挙げられる。容器本体12は、容器本体12に流体が充填され、容器本体12から流体が吐出される開口部を画定する首部14を有する。容器本体12の首部14は、首部14の外面に配置された首部ねじ山16を含む。首部ねじ山16は、封止キャップ18を容器本体12の首部14に固定するのに使用することができる。容器本体12は、プラスチック材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、HDPE、LDPE、LLDPE、MDPE、HMWPE)、ポリエチレンテレフタレート、または他の食品等級のプラスチックまたはポリマーで形成されてもよい。容器本体12は、例えば、容器本体12の流体を見るため、および/または容器本体12内に残っている流体の量を決定するために、使用者が容器本体12を透視できるように、透明または半透明であってもよい。容器本体12は可撓性を有し、使用者が容器本体12を絞って容器本体12の容積を減少させ、容器本体12から流体を強制的に吐出して流体を分注することができるようにしてもよい。容器本体12は、使用者が容器本体12を絞るのをやめるか、又は容器本体12に力を加えるのをやめると、元の形状に弾性的に反発するように構成されていてもよい。
【0011】
封止キャップ18は、基部20と、蝶番24を介して基部20に蝶番結合された押上式蓋22とを含む。押上式蓋22は、蝶番24を中心に開位置(図示せず)と閉位置との間で移動することができる。封止キャップ18の基部20は、容器本体12内に流体を分注するために封止キャップ18を通って流体が流れるための分注用開口部28をその中に有する中央部材26を含む。封止キャップ18は、容器本体12の首部14に取り付けられ、押上式蓋22を開位置と閉位置との間で動かして、流体が分注開口部28を通って容器本体12から出るのを選択的に可能にすることができる。押上式蓋22は、押上式蓋22が閉じているときに流体が分注開口部28から出るのを防止し、押上式蓋22が開いているときに流体が開口部28から出るのを可能にし得る。押上式蓋22は、押上式蓋22が閉位置にあるときに開口部28を閉鎖または塞ぐ突出部23を含むことができる。突出部23は、少なくとも部分的に開口部28に挿入されて開口部28を塞ぐことができる。突出部23は、押上式蓋22が開位置に向かって動かされたときに開口部28から取り外され、それによって流体が開口部28から出ることを可能にし得る。
【0012】
封止キャップ18の基部20は、中央部材26から延びる内側スカート30及び任意の環状リング31を含む。基部20は、中心部材26から延びる外側スカート33をさらに含むことができる。内側スカート30、環状リング31、及び外側スカート33は、基部20の開口部28と実質的に同心であってもよい。内側スカート30は、その内面に配置されたスカートねじ山32を有し、容器本体12の首部ねじ山16に対応する。封止キャップ18は、基部20のスカートねじ山32を容器本体12の首部14の首部ねじ山16にねじ込むことによって容器本体12に固定することができる。
【0013】
いくつかの構成では、環状リング31は、内側スカート30内に配置され、ライナー44が容器本体12の首部14に固定される前(その充填後)にライナー44を支持する。例えば、ライナー44は、内側スカート30によって形成された空洞内に配置され、環状リング31上に設けられるか、環状リング31に取り付けられる。いくつかの形態では、ライナー44の上面は接着剤によって環状リング31に固定される。封止キャップ18が容器本体12に最初に固定されるとき、ライナー44は容器本体12の首部14に接触させられ、ライナー44を容器本体12に密封するためにそれに固定されることがある。環状リング31は、ライナー44が容器本体12の首部14と密封される際に、(例えば、誘導密封によって)ライナー44を容器本体12の首部14と係合するように保持又は付勢することができる。外側スカート33は、中央部材26の外縁から離間していてもよい。外側スカート33は、内側スカート30と容器本体12の首部14との間にシェルを形成してもよい。さらに他の構成では、ライナー44は、封止キャップ18をボトル首部にねじ込む前の段階でボトル首部に取り付けられ得る。
【0014】
基部20は、中心部材26上及び開口部28の周囲に配置された内部シャフト34をさらに含む。内部シャフト34は、中心部材26の内面に配置されてもよい。内部シャフト34は、中心部材26から、あるいは中心部材26を貫通して延びていてもよい。いくつかの構成では、内部シャフト34は、基部20と一体に形成され、中心部材26に剛性を有するように固定される。一の例示的な実施形態では、内部シャフト34は、延長管または可動管38のねじ山40に係合またはねじ止めされる、その上に配置されたねじ山36を有する。いくつかの構成では、可動管38は、封止キャップ18の他の部分とは別個に形成され、その後、封止キャップ18の残りの部分に対して相対的に動くことができるような方法でそれに関連付けられる。図示の実施形態では、内部シャフト34のねじ山36は内部シャフト34の内面に配置され、可動管38のねじ山40はその外面に配置されている。これは、他の実施形態では、内部シャフト34のねじ山36が内部シャフト34の外面に配置され、可動管38のねじ山40がその内面に配置されるように、切り替えてもよい。内部シャフト34と可動管38は一緒になって、そこを通る流体流路42を有する拡張可能な管35を形成する(
図4参照)。流体は、中央部材26に対向する可動管38の入口端41に入り、可動管38及び内部シャフト34によって形成された内部流体流路42に沿って、封止キャップ18の基部20の開口部28まで流れることができる。
【0015】
構成によっては、可動管38を内部シャフト34に対して回転させて、可動管38のねじ切り又はねじ止めからの解放を行うことができる。さらに、可動管38が内部シャフト34に対して相対的に回転されると、可動管38は格納位置から拡張位置に前進する。このようにして、第1の位置から第2の位置に切り替えられる可動管38は、可動管38と内部シャフト34とによって形成される拡張管35または流体流路42の軸方向長さを調整または拡張する。これにより、可動管38と内部シャフト34は、格納配置にあるときに第1の軸方向長さを有し、拡張配置にあるときに第1の軸方向長さよりも大きい第2の軸方向長さを有する拡張可能な管35を形成する。可動管38が拡張配置に向かって回転すると、可動管38の入口端部41が中央部材26から離れ、流体流路42の長さが、格納配置における流体流路42の長さに対して相対的に増大する。このようにして、可動管38は、以下にさらに詳細に説明する拡張可能な漿液ウェル50を形成するように構成される(
図4および
図5参照)。拡張可能な管35の格納配置または第1軸方向長さは、保管および出荷のために採用され、拡張配置または第2軸方向長さは、封止キャップ18の開口部28を通して流体を分注するための分注ボトル10の使用中に採用され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、可動管38及び/又は内部シャフト34は、可動管38が封止キャップ18の残りの部分から外れる、係合解除される、ねじ止めから解放される、又は他の方法で分離されるのを防止するための停止、保持、又は回り止め機構を含む。停止又は保持機構は、可動管38が拡張配置に完全に移動すると、可動管38が封止キャップ18に対して回転するのを防止することができる。一態様では、可動管38又は内部シャフト34は、可動管38又は内部シャフト34の他方に配置された拡張部材を受けるるように構成された窪み又は空洞を含む。
【0017】
図6A及び
図6Bに示すような別の方法によって、内部シャフト34は、ねじ山に沿って突出部又は停止部56を含み、可動管38は、対応する突出部58を含む。図示のように、可動管58の突出部58は、可動管38のねじ山40から半径方向外側に延びている。内部シャフト34のストップ56は、半径方向内側に延び、可動管58の突出部58の経路内に入ることがある。可動管38が封止キャップ18の他の部分から完全に解放されると、可動管38の突出部58が内部シャフト34の停止部56に突き当たり、それにより、可動管38が相当な力がなければそれ以上ねじ外されないようにする。これにより、可動管38が封止キャップ18の他の部分から外れてしまうことが防止される。幾つかの構成では、突出部58は、可動管38が完全にねじ込まれていないときに可動管38を拡張配置にロックする戻り止めであってもよい。
【0018】
可動管38が格納配置にあるとき、中央部材26の底面から可動管38の入口端部41までの高さ又は距離は、約1mm~約10mmの範囲であってよく、1つの具体例では4.可動管38が拡張配置にあるとき、中心部材26の底面から可動管38の入口端部41までの高さ又は距離は、約5mm~約15mmの範囲内であってよく、1つの具体例では10mmであってよい。
【0019】
他の実施形態では、拡張可能管35は、拡張可能管35の軸方向長さを増加させるために可動管38が中央部材26から離れるように拡張又は移動される伸縮管である。幾つかの態様では、拡張可能な管35は、可動管38を拡張配置に向けて付勢するばね又は他の付勢部材を含む。可動管38は、ライナー44が容器本体12の首部14に取り付けられているときにライナー44と係合しているときは格納配置のままであり、ライナー44が取り外されると、拡張配置に向かって付勢され、容器本体12の首部14内に拡張することができる。
【0020】
図2及び
図3に関して、可動管38は、その端部に、ライナ44が首部14に固定された状態で封止キャップ18が容器本体12に少なくとも部分的に固定されたときにライナ44と係合する係合基部又は延長部46を含むことができる。いくつかの構成では、可動管38の延長部46は、可動管38から半径方向に延びる一対のタブまたは延長アームを含む。他の形態では、延長部46は、ライナー44と係合する延長部46の面積を増加させるために、他の構成(例えば、追加のアーム、円形部材または部分)を有することができる。幾つかのアプローチでは、可動管38の延長部材46は、封止キャップ18が容器の首部から外される、すなわち、封止キャップ18を容器本体12から取り外すために容器本体12に対して相対的に回転される(それにより、使用者がボトル首部からライナーを剥がすことを可能にする)際に、可動管38がライナー44および/または容器本体12に対して実質的に相対的に回転しないように、ライナー44に係合する。例えば、可動管38の延長部46は、ライナー44のプルタブに係合又は引っ掛け、封止キャップ18が容器本体12から外される際に、可動管38が封止キャップ18の残部と共に回転するのを防止することができる。例示的な一実施形態では、各延長アームは、ライナー44に係合又は取り付けるためのフィン48を含む。一実施形態では、フィン48は、ライナー44の上面又は上面に係合又は引っ掛けるのを容易にし、可動管38がライナー44に対して相対的に回転するのを防ぐために、延長アーム上に概ね平坦な表面を有する。一例として、フィン48はライナー44と摩擦係合するように押圧される。ライナー44は、以下で更に詳細に説明するように、封止キャップ18の残部が本体12からねじ外されたときに可動管38がライナー44に対して回転するのを防止するために、フィン48及び/又は延長アームが引っ掛かる段差又は他の特徴部を含んでいてもよい。
【0021】
別の実施例では、フィン48は、接着剤などによりライナー44の上面に固定することができる。加えて、又は代替的に、可動管38の延長部46は、容器本体12の首部14の一部に係合する。このような方法の1つでは、首部14は、容器本体から封止キャップを外す間、可動管38が容器本体12に対して実質的に回転するのを防止するために、延長部46が係合するノッチ又は突出部を含むことができる。延長部46によって可動管38がライナー44に対して相対的に回転することが防止されているので、矢印52(
図3参照)で示すように封止キャップ18を回転させることによって封止キャップ18が容器本体12からねじ外されると、可動管38は内部シャフト34からねじ外され、矢印54の方向に拡張配置に向かって移動する。その結果、ライナー44を取り外すために封止キャップ18を容器本体12から最初に取り外すと、可動管18も同時に拡張配置に移動する。
【0022】
封止キャップ18は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は他の食品等級のプラスチック又はポリマーなどのプラスチック材料で形成することができる。一部の構成では、封止キャップ18は、可動管38とは別に、例えば射出成形により一体成形される。可動管38は、例えば射出成形により別個に形成してもよい。可動管38は、封止キャップ18の内部シャフト34に装着して封止キャップ18を形成してもよい。
【0023】
容器本体12が充填された後、ライナー44は容器本体12の首部14に配置される。ライナー44は、容器本体12の内容物をその中に密封し、消費者によるボトルの使用前に流体が容器本体12に出入りするのを防止する。ライナー44は、容器本体12の首部14と密閉封止を形成してもよい。ライナー44は、首部14に接着され、容器本体12に密封される1つ以上の層によって形成することができる。一例として、ライナー44は誘導シールであってもよい。いくつかの形態では、ライナー44の下面は、ライナー44を容器本体12の首部14に接着する接着剤を含む。ライナー44は、容器本体12内の流動性食品(例えば、調味料)が腐敗するのを防止し、分注ボトル10の貯蔵寿命を延ばすために使用することができる。ライナー44は、容器本体12の首部14の縁に封止する下面を含むことができる。ライナー44は、例えば、容器本体12の首部14からライナー44を剥がすことによって容器本体12の内容物を利用するために、容器本体12の首部14から取り外し可能であってもよい。ライナー44は、ライナー44を取り外すのを助けるために、使用者が握ったり掴んだりすることができるタブを含むことができる。封止キャップ18が容器本体12から取り外されても、ライナー44は容器本体12の首部に取り付けられたままでよい。したがって、ライナー44は、例えば、容器本体12の内容物が以前利用されたかどうかを示す改ざん防止シールとして機能することができる。ライナー44は、容器本体12内の流体を利用するために、容器本体12の首部から剥がすことができる。ライナー44が剥がされると、封止キャップ18が容器本体12の首部14に再び取り付けられ、封止キャップの開口部28から流体が分注される。
【0024】
上述のように、ライナー44の上面は、可動管38がライナー44に対して実質的に回転するのを防止するために、可動管38の延長部46と係合するように構成されていてもよい。ライナー44の上面は非平面であってよく、可動管38の延長部46が引っ掛かるか、引っ掛かるか、又は挿入されるような段差、棚、隆起部、ポケット、又は他の特徴部を含み、これにより、封止キャップ18が容器本体12から外される際に、可動管38が封止キャップ18と共に回転するのを防止する。従って、封止キャップ18が容器本体12から取り外されるか又はねじが外されると、可動管38は、ライナー44によって静止状態に保持された拡張配置に移動する。
【0025】
図4及び
図5に関して、封止キャップ18が容器本体12から取り外され、ライナー44が容器本体12の首部14から取り外されると、封止キャップ18は、図示のように、可動管38が拡張配置にある状態で容器本体12に再装着され得る。可動管38は、ライナー44があった面を越えて容器本体12の首部14内に延び、流体をボトル内部から出口開口部に向かってさらに移動させ、容器本体12内の流体の残部から分離した漿液を回収するための拡張漿液トラップまたはウェル50を形成することができる。可動管38の入口端41は、漿液ウェル50の一部が容器本体12の首部14内にあるように、容器本体12の首部14内に延びる。漿液ウェル50を容器本体12内に拡張することにより、封止キャップ18のサイズを増大させることなく、容積が増大した漿液ウェル50が達成される。
【0026】
漿液ウェル50は、ユーザーが分注ボトル10を反転させて封止キャップ18を通して液体を分注する際に、流体の残部から分離して封止キャップ18の近傍の流体表面に配置された漿液を収集または捕捉するための容積または空間を提供する。例えば、分注ボトル10が一定期間保管または未使用になった後、分注ボトル10内の液体が分離し始めることがある。漿液または低粘度の流体は、分注ボトル10内の流体の上面に集まることがある(封止キャップ18が容器本体12の上に配置されている場合)。分注ボトル10が首部14をボトル10の上端にして保管される場合、漿液は、封止キャップ18の分注開口部28に近接する流体の上面に集まる。分注ボトル10が逆さにされると(例えば、首部14/封止キャップ18が分注ボトル10の下端になるように逆さにされる)、分注ボトル10内の流体の残りから分離した漿液は、内部シャフト34および可動管38から半径方向外側にある漿液ウェル50に流れ込む可能性がある。漿液は、(分注ボトル10が倒立したとき)中央部材26上に静止し、漿液の体積が漿液ウェル50の体積より小さい場合、漿液は、中央部材26から遠位である可動管38の入口端41の下にある。従って、漿液ウェル50内の漿液は、可動管38の流体流路42に流入することができず、従って、容器本体12から分注されない。したがって、拡張可能な漿液ウェル50は、漿液または分離された流体のすべてを保持するのに十分な大きさの容積を提供するのに有利である。漿液が漿液ウェル50内に捕捉されている間、可動管38の入口端41の上方の非分離液は、依然として可動管38内に流入し、分注されることができる。非分離液が漿液ウェル50内の分離漿液上に残り、非分離液が分注ボトル10から分注されるにつれて、液体は分離漿液と再混合し始める可能性がある。例えば、非分離液は分注ボトル10内および漿液ウェル50内を強制的に流れ、漿液を液体に再び混合することができる。
【0027】
拡張された漿液ウェル50は、封止キャップ18の基部20及び可動管38と、容器本体12の首部14とによって形成される。可動管38が格納配置にあるとき、漿液ウェル50は、約1mL~約5mLの範囲の第1の容積を有し、1つの具体例では2.可動管38が拡張配置にあるとき、漿液ウエル50は、第1容積より大きい第2容積を有し、容器本体12の首部14内に拡張する。可動管38が拡張配置にあるとき、漿液ウェル50は、約2mL~約12mLの範囲の容積を有することができ、1つの具体例では5.5mLである。このように、拡張可能な漿液ウェル50は、可動管38が拡張配置にあるとき、より大きな体積の流体(例えば、分離された流体または漿液)を保持することができる。漿液ウェル50の拡張容積は、ライナー44が除去された後、漿液ウェル50を容器本体12の首部14内に拡張することによって、分注ボトル10のライナー44/首部14によって形成される平面上に延びる封止キャップ18の高さまたは容積を増加させることなく達成することができる。より大きな漿液ウェル50を有することにより、より大量の漿液をその中に閉じ込めることができ、分注ボトル10から分注されるのを防止することができる。
【0028】
分注ボトル10の製造方法も本明細書に提供される。容器本体12は、開口部を画定する首部14を含むように、種々の工程で成形することができる。首部14は、容器本体12の端部に形成することができる。首部14は、その上に首部ねじ山16を含むように成形されてもよい。容器本体12は、容器本体12の首部14の開口部を通してチキソトロピー性流体で充填することができる。チキソトロピー性流体は、上記で提供した例のような流動性食品または他の消費者向け流動性製品であってもよい。封止キャップ18は、基部20と、蝶番24(例えば、リビング蝶番)を介して基部20に蝶番結合された押上式蓋22とを含むように成形されてもよい。基部20は、中央部材26に開口部28を有し、中央部材26から内側スカート30、環状リング31、および/または外側スカート33を有するように成形されてもよい。内側スカート30は、容器本体12の首部14のねじ山16と係合するように構成されたねじ山32をその上に含むことができる。基部20は、その上にねじ山36を有する内部シャフト34を含むようにさらに形成されてもよい。可動管38は、その上にねじ山40が形成され、可動管38がねじ山に沿って内部シャフト34に対して回転するように内部シャフト34に取り付けられてもよい。可動管38は、内部シャフト34にねじ込まれ、格納位置に移動することができる。可動管38は、シールライナー44と係合するための延長部46を含むように成形することができる。
【0029】
シールライナー44は、容器本体12の開口部を封止するために容器本体12に適用することができる。いくつかの態様では、シールライナー44は容器本体12に直接適用され、封止キャップ18を容器本体12の首部14に通すために、封止キャップ18を容器本体12に対して後で回転させる。封止キャップ18は、少なくとも封止キャップ18の環状リング31、可動管38、及び/又は延長部46がライナー44の上面に係合するまで回転させることができる。封止キャップ18は、可動管38の延長部46がライナ44の上面に係合するまで回転させてもよい。例えば、封止キャップ18は、延長部がライナ44の隆起部又は段差を越えるか又は越えるまで回転させることができ、逆向きに回転させたときに延長部がライナ44の隆起部又は段差に係合し、可動管38がライナ44に対して実質的に回転するのを防止する。
【0030】
他の態様では、シールライナー44は、内側スカート30と封止キャップ18の中央部材26とによって形成される空洞内に配置することができる。ライナー44は、可動管38の環状リング31及び/又は延長部46上に載るように、及び/又は、可動管38の環状リング31及び/又は延長部46に取外し可能に固定されるように配置されてもよい。封止キャップ18は、ライナー44を封止キャップ18の空洞内に入れた状態で容器本体12の首部14上に配置し、容器本体12に対して回転させて封止キャップ18を容器本体12の首部14にねじ込むことができる。ライナー44を容器本体12の首部14と係合させ、首部14の開口部を封止することができる。いくつかの形態では、ライナー44を首部14に密封するために熱を加えることができる。例えば、ライナー44は誘導シールであって、容器本体12の首部14に誘導シールされてもよい。
【0031】
封止キャップ18が容器本体12に固定され、ライナー44が容器本体12に貼付された状態で一旦製造された分注ボトル10を使用するには、使用者は、封止キャップ18を
図3の矢印52の方向に回転させて、封止キャップ18を容器本体12から取り外すことができる。拡張可能な管35の可動管38は、上述したように、シールライナー44及び/又は容器本体12の首部14に係合し、これにより、封止キャップ18が容器本体12に対して相対的に回転する際に、可動管38が封止キャップ18と共に実質的に回転することが抑制される。封止キャップ18が容器本体12から解放されると、可動管38は封止キャップ18の内部シャフト34からねじ外され、それにより可動管38は、拡張管35の流体流路42が軸方向長さを有するように拡張配置に移動する。
【0032】
封止キャップ18が容器本体12から取り外されると、シールライナー44を容器本体12から取り外すことができる。シールライナー44は、容器本体12の首部14からシールライナーを剥がすことによって取り外すことができる。シールライナー44は、容器本体12からシールライナー44を分離するのを容易にするために使用者が把持することができるタブを含むことができる。その後、容器本体12に対して封止キャップ18を回転させて封止キャップ18を容器本体12にねじ込むことにより、可動管38が拡張配置で封止キャップ18を容器本体12に再び取り付けることができる。可動管38は、容器本体12の首部14内に延び、シールライナー44が以前あった平面を超えて延びるので、容器本体12の首部14内に少なくとも部分的に延びる、拡大または増大した容積を有する漿液ウェル50を形成する。従って、増大した高さまたは容積を有する封止キャップを必要とせず、非従来型のシールまたは開封明示機能を提供する必要なく、より大きな漿液ウェル50を分注用ボトル10に提供することができる。さらに、可動管38は、使用者が容器本体12から封止キャップ18を外す際に拡張されるため、エンドユーザーは、拡張可能管35の長さを長くしたり、拡大された漿液ウェル50を形成するための追加のステップを踏むことなく、より大きな漿液ウェル50を形成することができる。しかしながら、他の態様では、エンドユーザーは、可動管38を封止キャップ18の残部に対して相対的に回転させることにより、封止キャップ18を取り外す際に拡張可能管35の長さを調節(例えば、拡張配置に移動)することができる。次いで、使用者は、封止キャップ18を容器本体12に再び通し、漿液または分離した流体を分注することなく、容器本体12から流体を分注することができる。
【0033】
「ある」、「1つの」、「一の」のような単数形の用語の使用は、本明細書で特に指示しない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅することを意図している。用語「含む」、「備える」、及び「有する」は、限定のない用語として解釈される。本明細書で使用される「少なくとも1つの」という語句は、接続詞の意味で解釈されることが意図される。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」という語句は、A、B、またはAおよびBの両方を包含することを意図している。
【0034】
本発明の特定の実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に関して、多種多様な修正、変更、および組合せを行うことができ、そのような修正、変更、および組合せは、本発明の概念の範囲内であると見なされることを認識するであろう。
【国際調査報告】