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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】腔内消毒ニードルレスコネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61M39/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534409
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022052422
(87)【国際公開番号】W WO2023107703
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/287,637
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513044256
【氏名又は名称】ハルキー-ロバーツ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Halkey-Roberts Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】アルバートセン,ジェフリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マート,ロバート ケネス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066JJ03
4C066JJ05
(57)【要約】
本発明の目的は、バルブの内部流体の流れ内に配置された内部管状セグメントを含む常閉型バルブを備えるニードルレスコネクタを提供することである。当該管状セグメントは銅などによる抗菌性を有し、管状セグメント内に存在する微生物を消毒し、殺菌する。また、本発明は、コネクタのバルブのバルブステムに配置され、銅で構成された管状セグメントを有するバルブを含むニードルレスコネクタを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブキャップによってバルブ本体に動作可能に固定されたバルブステムであって、前記バルブ本体は流体通路を含み、前記バルブステムは内腔を含み、アクセス装置によりアクセスされると、流体は前記内腔と前記流体通路を通って流れる、前記バルブステムと、
前記流体の流れの中に配置され、銅で構成された管状セグメントと、
を備える、
ニードルレスコネクタ。
【請求項2】
前記管状セグメントは、前記バルブステムの前記内腔内に配置されている、
請求項1に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項3】
前記管状セグメントを前記バルブステムの前記内腔内に取り付けるための取り付けフランジを更に備える、
請求項2に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項4】
前記管状セグメントの外径と前記バルブステムの前記内腔の内径との間に、環状空間が規定される、
請求項3に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項5】
前記バルブステムは貫通スリットを備え、
アクセス装置によりアクセスされると、前記貫通スリットが開き、流体が前記管状セグメントを通って流れ可能となる、
請求項2に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項6】
前記管状セグメントは、前記バルブ本体の前記流体通路内に配置される、
請求項1に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項7】
前記流体通路の近位端は面取りされており、
前記管状セグメントの近位端は、前記流体通路の前記近位端にフィットする漏斗形状構成を備える、
請求項6に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項8】
前記バルブステムは貫通スリットを備え、アクセス装置によりアクセスされると、前記貫通スリットが開き、流体が前記管状セグメントを通って流れ可能となる、
請求項6に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項9】
前記バルブステムは、エラストマーバルブステムを含む、
請求項1に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項10】
前記バルブステムは円錐台状構成を備え、
前記円錐台状構成は、前記バルブキャップの対応する円錐台状構成内を密閉する、
請求項1に記載のニードルレスコネクタ。
【請求項11】
前記バルブステムは、貫通スリットを備え、
前記貫通スリットは、前記バルブキャップから露出され、使用の前に拭き取り可能である、
請求項1に記載のニードルレスコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月9日に出願された米国仮出願第63/287,637号に基づく優先権を主張し、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、静脈内(IV)ラインで一般的に使用されるニードルレス医療用コネクタに関する。より具体的には、本発明は、内部エラストマーバルブステムを採用したバルブを備える医療用コネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、静脈内(IV)と他のラインとを流体的に相互接続するための、様々な種類のニードルレスコネクタ(一般的にはストレートコネクタ、Tコネクタ、及びYコネクタ)が存在する。アクセスされていないときに流体がコネクタを通って流れるのを防止するために、一部のニードルレスコネクタでは常閉型バルブが採用されている。一般的なバルブは、内部にエラストマーバルブステムが配置されたバルブ本体を備える。使用説明書(IFU:Instruction For Use)では、バルブステムの上面(バルブ本体の上面から露出している部分)が、アクセスデバイス、例えば、注射器又はその他のIVコンポーネントの端部にあるオス型ルアーフィッティングの先端によりアクセスされる前に、アルコールパッドでバルブステムの上面を「拭き取る」ことで殺菌する必要があると規定されている。
【0004】
エラストマーバルブステムは、通常、バルブ本体内に配置され、アクセスされていないとき(すなわち、休止状態)には常時強制的に閉じられる貫通スリットを備える。アクセス中に、アクセスデバイスの先端がバルブステムをバルブ本体の内側に押し込み、先端がスリットに押し込まれてバルブステムが開く。これにより、流体がアクセスデバイスから先端を通り、強制的に開いたスリットを通って流れる。
【0005】
アクセスデバイスの先端をバルブから取り外すと、バルブステムのエラストマー特性により、バルブステムが、弾力的に外側に移動し、バルブ本体内の常時強制的に閉じられる休止状態の位置に戻る。
【0006】
エラストマーバルブステムを備えるニードルレスバルブを教示する代表的な特許及び特許出願は、米国特許第6,651,956号、第6,089,541号、第6,036,171号号、及び第9,839,774号、並びに米国特許出願公開第2008/0009822号及び第2005/0261637号に開示されており、それらの開示内容は本明細書に組み込まれる。
【0007】
拭き取り可能なバルブを備える全てのコネクタにおいて認識されるように、アクセス前の拭き取りが不十分であると、バルブ内で望ましくない微生物の増殖及び感染のリスクが高まる。IFUに従ってアクセスデバイスによりアクセスされる前に、バルブステムの露出した上面をアルコールパッドで拭き取ることで殺菌するのは、時間が短すぎたり、十分に強くなかったり(例えば)することで、露出した上面が十分に殺菌されず、バルブの内部で微生物の増殖及び汚染の発生が可能となる。結果として生じる院内感染は有害であり、したがって、抗菌性を備えるコネクタが求められている。
【0008】
抗菌性コネクタとして、例えば、米国特許第9,878,143号に開示されたルアーアダプタがある。当該ルアーアダプタは、抗菌性材料で構成された内面を備え、内腔と第1の端部と第2の端部とを規定する本体を有する。親水性バリアは、内腔と抗菌性材料との間に配置され、湿気に晒されると抗菌性材料が通過できるように構成されている。また、米国特許出願公開第2020/0398037号(一部の実施形態では、ニードルレスコネクタには、1つ以上の抗菌機能、例えば、バルブのチャンバ内の1つ以上の場所にインサートリング、コーティング、又は潤滑剤として実装されたクロルヘキシジン溶出抗菌機能が提供される)と、特許出願公開PCT/US94/02327号(コネクタは合成樹脂に成形された抗菌剤を含む)と、米国特許第10,994,118号(流体チャネル内に、抗菌性コーティング又はインサートを備えた抗菌性活栓が設けられ、それにより、流体の流れが抗菌性コーティングに接触するか、抗菌剤が抗菌性コーティングから溶出する)と、米国特許第9,770,580号(抗菌性を有する血液コントロールIVカテーテル)と、特許出願公開PCT/US2020/046762号(抗菌性アクセスシステム)と、米国特許出願公開第2020/0000972号及び米国特許出願公開第2016/0287758号((抗菌性コーティング、例えば、腐食防止層の間の銅ベースの層、又は非溶出性の銅コーティングを施したカテーテルアセンブリ)と、米国特許第5,520,664号(長期抗菌性表面処理を施したカテーテル)と、が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術の装置の前述した欠点を克服し、抗菌性ニードルレスコネクタ技術の進歩に大きく貢献する改善を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、消毒ニードルレスコネクタを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、アクセスされていないときにコネクタを通って流体の流れを防止するための常閉型バルブを備えるニードルレスコネクタを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、常閉型バルブを備えるニードルレスコネクタを提供することであって、当該常閉型バルブは、バルブ内部の流体の流れ内に配置された内部管状セグメントを備え、当該管状セグメントは、銅などの抗菌特性を有するものを含む。
【0013】
本発明の他の目的は、バルブを含むニードルレスコネクタを提供することであって、当該バルブは、コネクタのバルブのバルブステムに配置され、銅で構成された管状セグメントを有する。
【0014】
本発明の他の目的は、バルブを含むニードルレスコネクタを提供することであって、当該バルブは、コネクタのバルブ本体に配置され、銅で構成された管状セグメントを有する。
【0015】
上記は、本発明の関連する目的のいくつかをアウトラインしたものである。これらの目的は、意図された発明のより顕著な特徴及び応用のいくつかを単に例示するものとして解釈されるべきである。開示された発明を異なる方法で適用するか、又は、開示の範囲内で発明を修正することによって、他の多くの有益な結果を達成することができる。したがって、特許請求の範囲及び併せて添付した図面によって定義される本発明の範囲に加えて、本発明の概要及び好ましい実施形態の詳細な説明を参照することにより、本発明の他の目的及びより完全な理解が得られるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明を要約すると、本発明は、腔内消毒ニードルレスコネクタに関し、当該腔内消毒ニードルレスコネクタは、バルブ本体を備え、当該バルブ本体内に、注射器などのアクセスデバイスによりアクセス可能な貫通スリットを有するエラストマーバルブステムが動作可能に配置されている。当該腔内消毒ニードルレスコネクタは更に、抗菌性管状セグメント、例えば、銅で構成された抗菌性セグメントを備える。一実施形態では、抗菌性管状セグメントは、バルブステムの内腔内で同心円状にしっかりと中心に配置される(以下、「バルブステム実施形態」)。別の実施形態では、抗菌性管状セグメントは、バルブステムのすぐ下流のコネクタの中央流体通路内にしっかりと固定されている(以下、「通路内実施形態」)。
【0017】
アクセス時には、注射器などのアクセスデバイスの先端が、バルブステムの露出端に押し込まれ、内側に押し込まれて貫通スリットが強制的に開き、注射器からの流体又は注射器への流体の流れが抗菌性管状セグメントを通ってコネクタから出入り可能となる。重要なのは、ロック溶液によるフラッシング後を含め、アクセスが完了すると、バルブステム実施形態の場合はバルブステム内の残留流体、又は通路内実施形態の場合は流体通路が、抗菌性管状セグメントに晒されたままになり、それによって局所感染の発生率が低減することである。
【0018】
バルブステムの実施形態において、製造時にバルブステムの外壁とその内腔とは同心円状の円筒形であることが好ましい。また、抗菌性管状セグメントの外径は、バルブステムの内腔の内径よりもかなり小さく、管状セグメントとバルブステムとをバルブ本体内に組み立てるときに、それらの間に円筒形の環状空間が規定されることが好ましい。これによって、使用中に抗菌性管状セグメントの外径とバルブステムの内腔の内径との間に液体が閉じ込められたとき、閉じ込められた液体も抗菌性管状セグメントに晒されたままになり、局所感染の発生率を更に低減させることができる。
【0019】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明のコネクタは、Tコネクタ、Yコネクタ、ストレートコネクタ、又はエラストマーバルブステムを採用するコネクタのその他の任意の所望の構成を含むことができる。
【0020】
好ましくは、バルブステムの貫通スリットは、米国特許第6,651,956号に示されているように、概ね真っ直ぐな貫通スリットで構成され、当該貫通スリットは、圧縮されていないときは常時閉状態にあるが、バルブ本体に挿入されたときに、バルブステムが圧縮されることによって強制的に締め付けられてより強く閉じられる。あるいは、バルブステムは、米国特許第5,699,821号に開示されているような常時開スリットを備えていてもよく、この開示内容は参照により本明細書に組み込まれており、バルブステムがバルブ本体内に挿入されるとき、当該スリットは強制的に締め付けられて閉じられる。
【0021】
上記では、本発明のより適切かつ重要な特徴をかなり大まかに概説したが、これは、以下の本発明の詳細な説明をよりよく理解し、当該技術への本発明の貢献をより十分に評価できるようにするためである。本発明の請求項の主題を形成する本発明の更なる特徴については、以下で説明する。開示された概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実行するための他の構造を変更又は設計するための基礎として容易に利用できることが、当業者には理解されるはずである。当業者であれば、そのような同等の構成が、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱しないことも理解できるはずである。
【0022】
本発明の本質及び目的をより深く理解するためには、添付の図面及び関連する以下の詳細な説明を参照することができる。
【0023】
図面の複数の図の全体にわたって、同様な符号は同様な部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの右上からの斜視図
図2】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの左上からの断面斜視図
図3】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの正面図
図4】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの背面図
図5】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの上面図
図6】本発明の実施形態に係るニードルレスコネクタのバルブステムの底面図
図7】本発明のニードルレスコネクタの右側面図であって、左側面図はその鏡像である。
図8図5の8-8線に沿った断面図
図9】本発明のエラストマーステムの断面図
図10】本発明の実施形態に係るバルブステムのバルブ本体の縦断面図
図11】通路内実施形態に係るコネクタの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、本発明の医療用コネクタ10は、バルブ本体12と、開口バルブキャップ14と、注射器(図示せず)などのアクセス装置によるアクセスを可能にする貫通スリット18を有するバルブステム16とを備える。
【0026】
図2によく示されているように、バルブ本体12の一方の端部20又は他方の端部22は、IVセットに接続するための任意の適切な継手を備えることができる。例えば、一方の端部20は従来のメス型ルアー継手を備え、他方の端部22は従来のチューブ接続継手を備えることができる。長手方向の流体通路24は、一方の端部20から他方の端部22まで延びている。
【0027】
図10に最もよく示されているように、バルブ本体12は、長手方向の流体通路24の側壁と流体連通して延びる一体成形された直立突起(boss)26を備える。突起26は、流体通路24から約90°で延びてTコネクタを形成するように図示されているが、角度は必要に応じて変更することができ、例えば、Yコネクタの場合は鋭角にすることができることを理解されたい。あるいは、バルブ本体は、遠位端がオスのルアーコネクタであるストレートなスタンドアロンバルブとして提供することができる。
【0028】
図8を参照すると、突起26は、実質的に円筒形の構成を有し、キャップシート30を規定する縮径された直立部分を有する。キャップシート30は、組み立て時にバルブキャップ14の最下部の円筒形環状エッジ32内に同心円状に配置され、その間の永久的な組み立て(例えば、超音波溶接又は溶剤接着など)を可能とする。
【0029】
開口キャップ14は、中央開口33を備え、当該開口33を通して、バルブステム16の最上面の貫通スリット18が露出される。好ましくは、キャップ14は、円筒形の内側構成34と外側構成36とを備える。バルブステム16について以下でより詳しく説明するように、開口33及び円筒形の内側構成34は、円筒形バルブステム16を動作可能に収容するように構成及び寸法設計されている。外側構成36は、スワッビング(swabbing)中にコネクタ10を把持しやすくするために、好ましくは、複数の縦方向の外側リブ又はくぼみ38を含む。
【0030】
図8を参照すると、バルブステム16は、製造中にボス26内に組み立てられたときにボス26内を密閉するように、好ましくは円筒形に構成された、直径の大きいベース部40を備えている。図8を参照すると、バルブステム16は、拡径されたベース部40を備え、当該ベース部40は、好ましくは、円筒形に構成され、製造中に突起26内に組み立てられたとき、突起26内を密閉する。バルブステム16は、更に、中間部分42と、円錐台状部分44と、縮径部分46とを含み、これらは、好ましくは、ベース部40の上に円筒形に構成され、一体的に延びている。同様に、バルブキャップ14は、好ましくは、中間部分48と、円錐台状部分50と、縮径部分52とを備える。
【0031】
円錐台状部分44と円錐台状部分50とは、組み立てられたときに互いに補完的に密閉されるように構成及び寸法設計される。実際に、組み立て時にバルブステム16がバルブキャップ14とバルブ本体12との間で軸方向に圧縮されるため、部分40、42、44の全体の長さは、部分48、50、52の全体の長さに比べてかなり短くなる場合があり、これによって、円錐台状部分44と円錐台状部分50との間の密閉性が高まる。相補的な円錐台状部分44と円錐台状部分50とは、ある程度の横方向の力を加えるように機能し、アクセスされていないときに貫通スリット18をよりしっかりと密閉する。バルブステム16は、中間部分42の所望の曲げプロファイルを規定するように設計された1つ以上の環状のくぼみ62を備えていてもよい。
【0032】
図1から図9のバルブステムの実施形態において、コネクタ10は、硬質の抗菌性管状セグメント54を更に備え、当該硬質の抗菌性管状セグメント54は、好ましくは円筒形を有し、硬質の銅又は銅合金などの抗菌性材料で構成される。あるいは、管状セグメント54は、必要に応じて、他の適切な抗菌性材料で構成されていてもよく、又は、抗菌剤が含浸されるか若しくはコーティングされていてもよい。あるいは、管状セグメントは、中実、穴あき、又はコイル状な構成であってもよい。
【0033】
管状セグメント54は、バルブ本体12のアクセス穴58を囲む円筒形の直立した取り付けフランジ56に圧入されるか、又は他の適切な取り付け具、接着剤などによって、長手方向の流体通路24の壁を通して流体的に接続される。そのため、製造中に組み立てるときに、バルブステム16の内腔が、取り付けフランジ56から延びる管状セグメント24の端部で滑る。組み立て中に完全に組み立てられて溶接されると、管状セグメント54はバルブステム16の内腔内に同心円状にしっかりと固定される。
【0034】
注射器などのアクセス装置によるアクセス中に、注射器の先端からの初期挿入力により、バルブステム16の縮径部分46が内側に押し込まれる。内側に移動するにつれて、アクセスデバイスの先端がスリット18を開いて通過し、同時に、スリット18が管状セグメント54の最上部の縁を密閉的に取り囲む(たとえば、抱き締める)ようになる(管状セグメント54の最上部が、バルブステム16の内腔への食い込みを最小限に抑えるように面取り又は丸みを帯びるように構成することができる)。更に内側に移動するにつれて、貫通スリット18は管状セグメント54の外側表面を完全に取り囲み、密閉する。したがって、アクセスデバイスへの流体の流れ及びアクセスデバイスからの流体の流れは、完全にセグメント54の内腔の抗菌特性に晒される。
【0035】
好ましくは、抗菌性管状セグメント54の外径は、バルブステム16の内腔の内径よりもかなり小さく、バルブ本体12の取り付けフランジ56に管状セグメント54を組み立てるときに、抗菌性管状セグメント54とバルブステム16の内腔の内径との間に、円筒形の環状空間(符号60で示す)が規定される。このようにして、使用中に、抗菌性管状セグメント54の外径とバルブステム16の内腔の内径との間に流体が閉じ込められた場合でも、閉じ込められた流体は抗菌性管状セグメント54に晒されたままとなり、これによって、局所感染の発生が更に低減される。
【0036】
図1から図9に示すバルブステムの実施形態では、抗菌性管状セグメント54は、バルブステム16の内腔内にフィットする寸法の円筒形構成を有する。これに対して、図10に示す通路内実施形態では、抗菌性管状セグメント70は、概ね円筒形部分72を含み、当該円筒形部分72は、コネクタ10のバルブ本体12の長手方向の流体通路24内に延び、円筒形部分72の外径は流体通路の内腔の内径と概ね等しく、流体通路内にぴったりとフィットする。
【0037】
好ましくは、流体通路24の近位端は面取りされた端部74を備え、管状セグメントの近位端はそれに対応して、そこにフィットする寸法の漏斗形状構成76を含む。また、好ましくは、漏斗形状構成76の縁部の外径は、バルブステム16の内腔の直径よりも大きい。製造中に組み立てるとき、管状セグメント70は流体通路24内にとどまり、バルブステム16の内腔内に延びることが防止される(そして、上記バルブステム実施形態の場合のように、管状セグメント54を固定するための取り付けフランジ56が不要となる)。
【0038】
重要なのは、両方の実施形態において、使用中にコネクタ10を流れる全ての流体が抗菌性管状セグメント54又は抗菌性管状セグメント70の内腔を通過し、それによって抗菌性管状セグメントの抗菌効果が発揮されることである。
【0039】
本発明は、添付の特許請求の範囲及び前述した説明に含まれるものを含む。この説明は、ある程度の特定性をもって好ましい形態で説明されているが、好ましい形態の本開示は、例示としてのみ行われ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その構成、組み合わせ、又は部品の配置の詳細について多数の変更が可能であることを理解されたい。
【0040】
以上、本発明について説明した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】