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特表2024-543650LED回路基板および発光モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】LED回路基板および発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/70 20150101AFI20241114BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241114BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241114BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
F21V29/70
F21V19/00 150
F21V29/503
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534420
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2022061698
(87)【国際公開番号】W WO2023105367
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021000030980
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520457694
【氏名又は名称】コエルクス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】COELUX S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ディ トラパーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ラガッツィ,パオロ
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013BA01
(57)【要約】
発光モジュール用の回路基板は、LED用の複数の実装位置を備え、これらの実装位置は、回路基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分布している。回路基板は、(i)複数の透明領域(各透明領域は、複数の実装位置のうちの1つの実装位置の周囲に延在する)と、(ii)複数の熱伝導領域(各熱伝導領域は、少なくとも1つの実装位置に熱的かつ電気的に接続される)とによって特徴づけられる。熱伝導領域の平均面積は、透明領域の平均面積の2%以上である。複数の熱伝導領域のうちのそれぞれの熱伝導領域は、回路基板の表面上に2次元領域として延在する少なくとも一部を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光モジュール用の回路基板であって、
前記回路基板は、LED用の複数の実装位置を備え、
前記複数の実装位置は、前記回路基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分布しており、
前記回路基板は、
前記複数の実装位置のうちの1つの実装位置の周囲にそれぞれ延在する複数の透明領域と、
少なくとも1つの前記実装位置に熱的かつ電気的にそれぞれ接続された複数の熱伝導領域と、を備え、
前記複数の熱伝導領域の平均面積は、前記複数の透明領域の平均面積の2%以上、4%以上、又は8%以上であり、
前記複数の熱伝導領域のうちのそれぞれの熱伝導領域は、前記回路基板の表面上に2次元領域として延在する少なくとも一部を備える、
回路基板。
【請求項2】
特に前記熱伝導領域を形成する材料層における前記熱伝導領域の電気抵抗率(Ω・m)は、特に実装位置と熱伝導領域との間で前記透明領域を形成する材料層における前記透明領域の電気抵抗率と比べて、1010倍小さく、好ましくは1015倍小さく、さらに好ましくは1018倍小さい、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記熱伝導領域は、電気絶縁層によって少なくとも部分的に覆われている、
請求項1または請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記熱伝導領域は、前記透明領域を横切って延びる熱的接続部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記熱的接続部は、
特に不透明材料層のような不透明材料からなり、且つ/又は、
ITO材料からなり、且つ/又は、
略平坦なコネクタとして構成され、該コネクタのより大きな表面が前記回路基板の前記第1の表面に対して傾斜するように、特に直交するように向けられている、
請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記熱伝導領域は、前記透明領域に関連付けられていない前記回路基板の領域の少なくとも90%を覆っている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記透明領域は、可視光に比べて75%以上の透明度、例えば85%以上または95%以上の透明度を有し、好ましくは98%を超える透明度を有する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項8】
前記透明領域の透明度は、前記熱伝導領域の透明度よりも10倍以上大きい、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項9】
前記複数の実装位置において前記回路基板にそれぞれ取り付けられた複数のLEDを更に備え、
前記複数のLEDは、前記第1の表面によって区切られた半球内に光を照射するように構成されている、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項10】
前記複数のLEDのうちのそれぞれのLEDは、前記複数の透明領域のうちのそれぞれの透明領域の中央領域に配置されたヒートシンクを有し、
前記複数の熱伝導領域は、熱伝導層と、1つの前記熱伝導領域において前記熱伝導層に1つの前記ヒートシンクをそれぞれ接続する複数の熱的接続部とを備える、
請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
前記熱伝導領域は、前記回路基板の熱除去領域を規定する複数の面状電気接続セクションを備える、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項12】
前記面状電気接続セクションは、前記透明領域の外側に延在しており、
前記熱伝導領域は、前記面状電気接続セクションに前記LEDを電気的かつ熱的に接続するように前記透明領域を横切って延びる複数の線状電気接続セクションを更に備える、
請求項11に記載の回路基板。
【請求項13】
前記線状電気接続セクションは、前記回路基板の表面に直交する方向の寸法において第1の厚さを有し、
前記面状電気接続セクションは、前記回路基板の表面に直交する方向の寸法において第2の厚さを有し、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも大きく、例えば1.5倍、2倍、又は4倍大きい、
請求項12に記載の回路基板。
【請求項14】
反射パネルと、透明回路基板と、複数のLEDと、複数の熱伝導体とを備える発光モジュールであって、
前記反射パネルは、例えば正方形または六角形などの、連続した表面を覆うような組み合わせを可能にするような形状をそれぞれ有する複数の表面セクションの2次元配列に細分化された内側表面を有し、それぞれの前記表面セクションは、凹状反射面領域と、該凹状反射面領域の外側の熱接触領域とを備え、
前記透明回路基板は、その第1の表面が前記反射パネルの前記内側表面に面するように、前記反射パネルに取り付けられており、
前記複数のLEDは、それぞれのLEDが1つの前記凹状反射面領域に関連付けられるように、前記透明回路基板の前記第1の表面において2次元配列で分散されており、
前記複数の熱伝導体は、それぞれ1つの前記LEDを1つの前記熱接触領域に接続しており、
特に、前記発光モジュールの動作中において、
1つの前記LEDから放射された光が、前記透明回路基板を通過するように、関連付けられた前記凹状反射面領域によって反射され、
前記LEDによって生成された熱が、前記熱伝導体と前記熱接触領域とを介して拡散されるように構成されている、
発光モジュール。
【請求項15】
前記透明回路基板から前記表面セクションの1辺の長さの3倍以上の距離を空けて設けられたレンズ配置を更に備え、
前記レンズ配置は、好ましくは、それぞれ1つの前記表面セクションに関連付けられた複数のレンズを備える、
請求項14に記載の発光モジュール。
【請求項16】
動作中において、1つの前記LEDから放射された光が、前記透明回路基板を通過するように、関連付けられた1つの前記凹状反射面領域によって反射されて、前記レンズ配置のうちの1つの前記レンズによってコリメートされるように構成されている、
請求項15に記載の発光モジュール。
【請求項17】
LEDに基づく光学系であって、
複数の実装位置を有する支持基板と、
前記複数の実装位置において前記支持基板に取り付けられた複数の光源と、
3次元的形状の表面を有し、前記支持基板に取り付けられた反射パネルと、
前記支持基板の第1の表面に延在する複数の伝導経路と、を備え、
前記複数の実装位置は、前記支持基板の前記第1の表面における規則的な2次元パターンで分布しており、
前記支持基板は、少なくとも複数の透過領域内で可視光に対して透明であり、それぞれの前記透過領域は、前記複数の実装位置のうちの1つの実装位置の周囲に延在しており、
前記規則的な2次元パターンは、所定方向において隣接する前記実装位置間の距離が等距離になるように形成されており、
それぞれの前記光源は、少なくとも1つのLEDを含み、
前記反射パネルの前記3次元的形状の表面は、前記支持基板の前記第1の表面に面しており、複数の接触面セクションと複数の反射面セクションとを含み、
前記複数の接触面セクションは、接続面内に延在して、前記支持基板の前記第1の表面に接触しており、
それぞれの前記反射面セクションは、前記支持基板における対応する前記透過領域に面しており、
前記複数の伝導経路は、前記光源からの熱を放散し、且つ/又は、前記光源に電力を供給するように構成されており、
少なくとも1つの前記伝導経路は、1つの前記実装位置から少なくとも1つの前記接触面セクションまで延びている、
光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、発光デバイスに関し、特に、LEDのアレイ配置に基づく発光デバイスに関する。さらに、本開示は、概して、太陽光と空を疑似的に再現するような太陽と空の模擬照明システムとして実施され得る照明システムのモジュール構成に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽と空の模擬照明システムは、本願の出願人による複数の特許出願に開示されている。特に、当該システムの照明は、様々な方法で生成され得る指向性光線に基づく(太陽光のような照明を表す)ものであり、コンパクトでエネルギー効率の高い光源が注目されている。
【0003】
そこで、本開示の課題は、少なくとも部分的に、従来のシステムの1つ又は複数の態様を改善または克服することである。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、発光モジュール用の回路基板に関する。回路基板は、LED用の複数の実装位置を備え、これらの実装位置は、回路基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分布している。回路基板は、次の特徴を有する。
(i)回路基板は、複数の透明領域(透明ドメイン)を備える。それぞれの透明領域は、複数の実装位置のうちの1つの実装位置の周囲に延在する。
(ii)回路基板は、複数の熱伝導領域(熱伝導ドメイン)を備える。それぞれの熱伝導領域は、少なくとも1つの実装位置に熱的かつ電気的に接続されている。ここで、熱伝導領域の平均面積は、透明領域の平均面積の少なくとも2%、少なくとも4%、又は少なくとも8%である。複数の熱伝導領域のうちのそれぞれの熱伝導領域は、回路基板の表面上に2次元領域として広がる少なくとも一部を備える。
【0005】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「2次元領域」という表現は、第1の空間座標において、第2の空間座標に対して実質的に支配されない空間座標における拡張を示す領域を示す。例えば、第1の空間座標における拡張は、第2の空間座標における拡張の15倍未満、好ましくは第2の空間座標における拡張の10倍未満、より好ましくは第2の空間座標における拡張の5倍未満である。あるいは、「2次元領域」という表現は、かなりの大きさ、具体的には、回路基板の実装位置に取り付けられるように構成されたLEDの発光面(LES)の大きさの少なくとも3倍、場合によっては30倍、より好ましくは300倍の大きさの表面を有する領域を示し得る。
【0006】
別の態様において、本開示は、発光モジュール用の回路基板に関する。回路基板は、LED用の複数の実装位置を備え、これらの実装位置は、回路基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分布している。回路基板は、次の特徴を有する。
(i)回路基板は、複数の透明領域(透明ドメイン)を備える。それぞれの透明領域は、複数の実装位置のうちの1つの実装位置の周囲に延在する。
(ii)回路基板は、複数の導電領域(導電ドメイン)を備える。それぞれの導電領域は、2つの実装位置に電気的に接続されており、導電領域の平均面積は、透明領域の平均面積の少なくとも2%、少なくとも4%、又は少なくとも8%である。
複数の導電領域のうちの各導電領域は、回路基板の第1の表面に2次元領域として広がる少なくとも一部を含む。
【0007】
別の態様において、本開示は、例えば、概して、連続した表面を覆うように組み合わせ可能な形状(例えば、正方形または六角形の形状)を有する表面セクションなど、2次元配列の表面セクションに細分化された内側表面を有する反射パネルを備えた発光モジュールを対象としており、各表面セクションは、凹状反射面領域と、凹状反射面領域の外側の熱接触領域とを含む。発光モジュールは、反射パネルの内側表面に面する第1の表面を有し、反射パネルに取り付けられた透明回路基板と、透明回路基板の第1の表面に2次元アレイ状に分散(分布)されたLEDとを更に備え、各LEDは凹状反射面領域の1つに関連付けられている。さらに、発光モジュールは、LEDの1つを熱接触領域の1つにそれぞれ熱的に接続する複数の熱伝導体を備える。特に、発光モジュールの動作中、LEDの1つから放射された光は、透明回路基板を通過するように凹状反射面領域の1つによって反射され、LEDによって生成された熱は、熱伝導体および熱接触領域を介して、例えば、反射パネルに伝達されることによって拡散される。或いは、発光モジュールが専用のヒートシンクを備えている場合、LEDによって生成された熱は、熱伝導体および熱接触領域を介してヒートシンクに伝達される。
【0008】
第2の態様において、本開示は、正方形または六角形の形状(概して、連続した表面を覆うような組み合わせを可能にする形状)を有する表面セクションなどの2次元配列の表面セクションに細分化された内側表面を有する反射パネルを備える発光モジュールに関するものであり、各表面セクションは凹状反射面領域を備える。発光モジュールは、反射パネルの内側表面に面する第1の表面を有し、反射パネルに取り付けられた透明回路基板と、透明回路基板の第1の表面に2次元アレイ状に分散(分布)されたLEDとを更に備え、各LEDは凹状反射面領域の1つに関連付けられている。さらに、発光モジュールは、(特に、以下でも説明されるように、コリメーションは主に反射によって行われるため、屈折による色彩効果を制限するように)透明回路基板から、一方向における最長部の寸法(例えば、正方形表面セクションの1辺の長さ)の少なくとも3倍の距離を空けて設けられたレンズ配置を備えている。該レンズ配置は、表面セクションの1つにそれぞれ関連付けられた複数のレンズを互いに隣接するように備えている。特に、発光モジュールの動作中、LEDの1つから発せられた光は、透明回路基板を通過するように、対応する凹状反射面領域の1つによって反射され、レンズ配置のレンズの1つによってコリメートされる。
【0009】
別の態様において、発光モジュールは、凹面鏡の規則的な2次元配列を含む特に長方形(例えば、正方形)の反射パネルと、少なくとも部分的に透明な領域を含む特に長方形(例えば、正方形)の透明回路基板と、特に正方形の基本配列セルに基づいて透明回路基板上に配置され、反射パネルを照射するように配置され、凹面鏡の規則的な2次元配列に関連付けられたLEDの規則的な2次元配列とを備え、各凹面鏡は、LEDの1つから放射された光の少なくとも一部を反射して、前記少なくとも部分的に透明な領域を通過するように構成されている。反射パネルは、反射光が通過しない領域で透明回路基板に熱的に接続されている。
【0010】
別の態様において、発光モジュール用の回路基板は、(電気的に絶縁された)(例えば透明な)支持基板と、支持基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分散(分布)された複数のLEDと、熱回路構造とを備え、各LEDは、支持基板の第1表面領域の中央に配置されたヒートシンクを有し、第1表面領域は、LEDの周囲に延在する支持基板の光透過領域を形成している。熱回路構造は、支持基板の複数の第2表面領域において第1の表面に形成された熱伝導層と、第2表面領域の1つにおいてヒートシンクの1つと熱伝導層とをそれぞれ接続する複数の熱的接続部とを備える。前記回路基板は、複数のLEDに電力を供給するために支持基板の第1の表面に形成された複数の電気的接続部を有する電気回路構造を更に備える。
【0011】
別の態様において、発光モジュール用の回路基板は、(電気的に絶縁された)支持基板と、支持基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分散(分布)された複数のLEDと、複数のLEDに電力を供給するための電気回路構造とを備え、各LEDは、支持基板の第1表面領域の中央領域に配置され、第1表面領域は、LEDの周囲に延在する支持基板の光透過領域を形成している。電気回路構造は、支持基板の第1の表面において、支持基板の第2表面領域に形成された複数の面状電気的接続セクションと、複数の線状電気的接続セクションとを備える。複数の面状電気的接続セクションは、第1表面領域間に形成され、光透過領域の外側に延びる支持基板の熱除去領域を画定する。複数の線状電気的接続セクションは、面状電気的接続部とLEDとを電気的かつ熱的に接続するように第1表面領域を横切って延びる。
【0012】
別の態様において、線状電気接続セクションは、回路基板の表面に直交する寸法において第1の厚さを有し、面状電気接続セクションは、回路基板の表面に直交する寸法において第2の厚さを有し、第1の厚さは、第2の厚さよりも大きく、例えば、1.5倍、2倍、又は4倍大きい。
【0013】
別の態様において、LEDベースの光学系(発光モジュール)は、複数の実装位置を有する支持基板を備える。支持基板の第1の表面には、複数の実装位置が規則的な2次元パターンで分布しており、支持基板は、少なくとも複数の透過領域(光透過領域)内において可視光に対して透明であり、各透過領域は、複数の実装位置の周囲に延在している。規則的な二次元パターンは、所定の方向(例えば、2つの方向、特に2つの直交方向)において隣接する実装位置間の距離が等しく(均一に)なるように形成されている。発光モジュールは、支持基板の複数の実装位置に取り付けられた複数の光源を更に備え、各光源は、少なくとも1つのLEDと、支持基板に取り付けられた3次元形状の表面を有する反射パネルとを含む。3次元形状の表面は、支持基板の第1の表面に面し、複数の接続面セクション(熱接触領域)と複数の反射面セクション(凹状反射面領域)とを含む。複数の接続面セクションは、接続平面内に延在し、支持基板の第1の表面に接触し、各反射面セクションは、支持基板における対応する透過領域に面する。複数の伝導経路(伝導トラック)(熱伝導体)は、第1の表面に延在し、光源からの熱を放散し且つ/又は光源に電力を供給するように構成される。複数の伝導経路の少なくとも1つは、複数の実装位置の1つから複数の接続面セクションの少なくとも1つまで延びている。
【0014】
[光学セル]
機能的には、LEDとこれに関連付けられる(対応する)表面セクション(具体的には、凹状反射面領域)が、光学セルを形成すると考えられ得る。光学セルにおいて、LEDは、凹状反射面領域の焦点領域内またはその近傍に配置され、凹状反射面領域に光を放射するように構成される。凹状反射面領域は、透明回路基板の透過領域を通過するように光を反射するように構成されている。
【0015】
複数の光学セルは、プレコリメート式LED内臓ユニット(システム)として考えられ、特に、指向性光線を必要とする照明用途に適している。
【0016】
[基本形状]
概して、発光モジュールは、光学セルのアレイ(配置)によって形成される基本形状を有してもよく、各光学セルは、LEDと、これに関連付けられた(対応する)「表面」セクションと、を備える。概して、「表面」セクションの組み合わせによって、連続した表面を覆うことが可能になる形状が選択され得る。基本形状の一例としては、正方形表面セクションに関連付けられた複数の光学セルによって生成される長方形の基本形状がある。別の基本形状は、例えば、ハニカム状の構造に組み合わされる六角形表面セクションに関連付けられた光学セルから得られる。
【0017】
理解され得るように、上記の様々な概念および利点は、表面セクションの様々な形状に適用可能である。ただし、簡潔化を目的として、ほとんどの図面では、図示された正方形に基づいて概念が説明されているが、正方形の形状の特定の特徴が有利でない限り、実施可能な形状の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。例えば、表面セクションの正方形の形状は、所望の形状の単純なタイル状の組み立てを可能にするため、本明細書で開示されるモジュール性の概念を実施する上で有利になり得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、発光モジュールの形状は、反射パネルの例えば正方形または六角形の表面セクションの個数および大きさによって規定される。例示的な長方形の基本形状は、m=3行の正方形の光学セルを備え、各行は、例えば、n=3個のセルを備え、この結果、発光モジュールの正方形の基本形状が得られる。行数、及び/又は、1行当たりのセル数は、3~20の範囲内(例えば、5又は10)であってもよい。
【0019】
レンズ配置(レンズアレイ)による二次コリメーションを含む発光モジュールの例示的な寸法は、例えば、正方形のベース形状の寸法が100mm×100mm、高さが約60mmであってもよいし、正方形のベース形状の寸法が30mm×30mm、高さが約60mmであってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、例えば、特定の材料の選択や効率的な熱管理などにより、本明細書に開示されたモジュール式の概念を必要としない構成が存在する可能性があるため、照明システムの完全な出力開口部を形成するように多数の光学セルが組み合わされてもよい。ただし、本明細書に開示されたモジュール式の概念により、熱管理が簡素化され得ることは認識されるであろう。
【0021】
[太陽と空の模擬照明システムの大きさ]
特に、太陽と空の模擬照明システムにおいて発光モジュールが使用される場合、正方形表面セクションの最長部寸法(例えば、正方形表面セクションの1辺の長さ)、及び、ひいては光学セルの横方向寸法は、例えば、1mm~50mmの範囲内、好ましくは、3mm~20mmの範囲内であってもよく、例えば10mmであってもよい。概して、模擬的に再現される空のそれぞれの部分に対応する関連出力領域に十分な光束を提供することが求められるLEDの利用可能な光出力によって、太陽と空の模擬照明システムの大きさが決まる。
【0022】
[一次コリメーション層(反射パネル)]
反射パネルの内側表面は、2次元配列(2次元アレイ)の表面セクションに細分化される。各表面セクションは、凹状反射面領域と、凹状反射面領域の外側にある熱接触領域とを備える。凹状反射面領域は、直交する光を放射するためにLED位置に焦点を当てる回転放物面として構成されてもよい。焦点位置に対するLEDのずれは、特に、本明細書で説明される構造上の考慮によって与えられる個々の角度に出力光線を傾けるために使用され得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、凹状反射面領域はファセット反射器として構成されてもよい。これにより、二次コリメーション層内の特定の位置に寄与する光線の再配置が制御され、チャネル内の均質化が可能になる。ファセット反射器は、実質的に平面状(または湾曲状)の複数の小型反射ファセットを備え、各小型反射ファセットの面積は、凹状反射面の面積よりも実質的に小さく、例えば、100倍、1000倍、又は10000倍小さい。特に、ミニLEDの場合、凹状反射面領域の寸法によりファセット構造が可能になる。
【0024】
特に、空を模擬的に再現する照明の場合、均一な光束(輝度)を有する完全にフラッシュされる平面が望ましい場合がある。例えば、凹状反射面領域を構成するファセット反射器で作成され得る平坦頂の輪郭を使用することで、均質な空が実現され得る。
【0025】
反射パネルは、必要な三次元表面形状を有する金属板であってもよい。熱接触領域がLEDへの電力供給に使用される場合、反射パネルと熱接触領域との間に電気絶縁体(例えば、誘電体層)が必要になり得ることが理解されるであろう。回路基板および/または反射パネルに絶縁層が設けられてもよい。
【0026】
或いは、反射パネルは、(例えば、局所的な金属堆積によって生成される)必要な反射率を提供するために、少なくとも凹状反射面領域を覆う金属コーティング(例えば、アルミニウムコーティング、又は、(例えば、SiOコーティングされた)保護アルミニウムコーティング)を有する成形プラスチックパネルであってもよい。
【0027】
熱接触領域の位置では、パネルの厚さが大きくなり(例えば、1cm)、特別に設けられた金属インサートによって、回路基板から反射パネルの裏側または周囲への熱伝達が増大し得る。金属反射パネルの場合、絶縁層は、回路基板の一部であってもよい(例えば、第1の表面に局所的又は全体的に塗布されてもよい)。これに加えて、又は、これに代えて、絶縁層は、金属インサートの熱接触領域を形成してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、金属インサートは、反射パネル(または複数の反射パネル)を金属フレーム上に配置および固定するためのピンの配列として構成されてもよい。これにより、金属フレームは、発光モジュールの強固な取り付けを保証し得る。これに加えて、又は、これに代えて、フレームは、LEDから受け取った熱を外部の周囲に伝達する放熱体(放熱器)として機能し得る。フレームの裏面は、例えばアルミニウムグリッドなどのグリッド金属構造を有してもよい。
【0029】
[熱伝導体]
概して、熱伝導体は、第1の表面に延在する複数の熱伝導経路(熱伝導トラック)を有してもよく、熱伝導経路は、LEDからの熱の放散を支援するように構成されている。熱伝導経路は、LEDの電力供給にも使用され得る。概して、熱伝導経路の少なくとも1つは、LEDから複数の接続面セクションの少なくとも1つまで延びてもよい。
【0030】
本明細書に開示される熱管理は、動作中にLEDによって生成される熱が支持基板の光透過領域を横切って伝達される状況に対処する。明白なことであるが、透過光の遮断は許容量まで低減される必要がある。回路基板内の支持基板は、例えば、ガラス、サファイア、PET、又は透明ポリマー(例えば、PMMA、ポリカーボネート)で作られてもよい。支持基板は、本質的に電気的および熱的に非伝導性である。そこで、回路基板は、支持基板上に設けられた1つ又は複数の熱伝導体を備えてもよい。熱伝導体は、透明基板の表面において、LEDの実装位置から光透過領域の外側の領域まで延びてもよい。熱伝導体の投影幅(ここでは、支持基板の平面上に投影された熱伝導体の厚さ)によって、光(特に、凹状反射面領域から反射された光)が光透過領域を通過するのを遮る領域が決まる。当該領域は、小さく維持される必要があることが理解されるであろう。熱伝導体に流される電流、熱伝導体の長さ、及び、熱を伝達するために必要な断面積に応じて、投影幅は、例えば0.5mm以下であってもよいし、例えば数百マイクロメートルであってもよい。前述のように、光透過領域は、例えば、熱伝導体、導電体、又は、LED(LED実装具)などの、支持基板に適用された光吸収構造によって遮断され得る。回路基板を通過する光線の大きさ(光透過領域)に対する光遮断領域の割合は、好ましくは15%未満であり、例えば10%未満であってもよい。LED回路の全体的な構成によっては、光透過領域に対する光遮断領域の割合は、2%~5%であってもよい。
【0031】
熱伝導体の起点は、例えば、LEDのヒートシンク、又は、LEDに電力を供給する電気リード線などである。好ましくは、LEDから外部までの最短経路(例えば、熱伝導体の放射状経路)が使用され得る。
【0032】
以下に説明されるように、光を遮断する断面積は透過率を決定づけるパラメータであるため、熱伝導体は、熱の流れのために十分な断面積を確保しながらも、投影幅を小さく維持するように、例えば、基板に対して直交するように延びてもよい。
【0033】
代替の電気的および/または熱的な接続は、ITO層(酸化インジウムスズ層)に基づいてなされてもよい。ITO層は、支持基板の第1の表面全体(例えば、第1の表面の95%又は92%)を本質的に覆うように適用(塗布)されてもよいし、局所的な導電性コネクタとして機能するように適用(塗布)されてもよい。なお、光透過領域が完全に覆われると、特に、限られた領域のみがITO層で覆われる場合、20%~10%の範囲以下の(光透過)損失が発生し得ることに留意されたい。
【0034】
[主光源パネル(複数のLEDを備えたPCB)]
いくつかの実施形態において、透明回路基板は、支持基板に基づくプリント回路基板(PCB)であってもよい。概して、支持基板は、透明材料からなり得る。透明材料は、LED光(一般的には、可視光)に対して透明な材料(例えば、ガラス、サファイア、PET、又は、透明ポリマー(例えば、PMMA、ポリカーボネートなど))である。透明材料は、例えば75%以上(例えば、85%以上、又は95%以上)の透明度を有し、好ましくは、(表面に遮光構造がない)ガラス若しくはサファイアの場合は98%を超える透明度を有する。支持基板には、LEDのリード線に電気的に接続するための電気的接続部が印刷されてもよく、これによって、特定の複数のLED実装位置を形成し得る。複数のLED実装位置は、(例えば、正方形又は六角形の)第1の2次元アレイ(2次元配列)(「第1マトリックス」)として等間隔を空けて配置され得る。LED実装位置は、簡単に取り付けられるLEDを電気的接続部に電気的に接触させるLEDホルダーとして設けられてもよい。或いは、LEDをその電気的接続部に接続するためにはんだ付け接点が設けられてもよい。LEDの電気的接続部(リード線)は、熱伝導体としても機能し得る。
【0035】
[LED]
LEDの発光領域の横方向寸法は、数百マイクロメートルの範囲内(例えば、100マイクロメートル~800マイクロメートル、又は、200マイクロメートル~600マイクロメートル)であってもよく、例えば、400マイクロメートルであってもよい(しばしば、マイクロLEDや従来の大型LEDとは対照的に、「ミニLED」と呼ばれる)。
【0036】
均一な光出力に関しては、実質的に同一の(ミニ)LEDが、実質的に同一の光学セル(例えば、凹状反射面領域およびレンズの実質的に同一の幾何学的形状)内で使用され得る。
【0037】
プレコリメート式LED内臓ユニットのLEDは、例えば、ミニLEDの「平均」の大きさdよりも大幅に大きなピッチD(例えば、5倍、10倍、15倍、好ましくは20倍大きなピッチD)で透明回路基板上に配置される。一次コリメーション層(第1コリメーション層)と二次コリメーション層(第2コリメーション層)との間の距離に対して、LED実装位置間のピッチは、当該距離の3倍または4倍小さくてもよい。例えば、LED実装位置間のピッチは、3mm~15mmであってもよく、例えば10mmであってもよい。
【0038】
上記のように特定された範囲内のピッチにより、予め定められた許容範囲内で光学系が適切に調整され得る。
【0039】
例えば、太陽と空の模擬照明システムにおいて、1平方メートル当たり10000lm~25000lmの必要な出力光から始まって、効率が30%の場合、100個の光学セルを含むとともに1辺の長さが10cmである1個の発光モジュールにおいては、300lm~800lmが必要になり、1個の光学セルに必要な出力光は3lm~8lmである。このような出力光は、標準動作温度で、例えば0.1Wで電力供給され、効率が50~100lm/WであるミニLED(発光面積が例えば0.4mm×0.4mm)によって、提供され得る。したがって、LED効率が高い(例えば、90%)場合でも、非常に小さな領域(LED)から、また、一般的には大きな天窓から、大量の熱が除去される必要がある。さらに、大量の光の吸収による部品の加熱も考慮される必要がある。本開示では、ミニLEDの動作温度と長期動作を確保するために、熱管理の手法が提案される。本開示で提案される熱管理では、(例えば、ワイヤの断面積と長さによって決まる)熱伝導体の熱抵抗、(配線の存在による損失の影響を受ける)光出力の均一性への影響、熱膨張などが考慮される。
【0040】
発光領域の横方向寸法が数百マイクロメートルの範囲にあり、かなり大きいピッチ(例えば、10mm)を有する光学層と組み合わせると、3°~20°の範囲(例えば、10°)のビーム発散角(FWHM:半値幅)が可能になる。これにより、望ましい光学設定は、最短で100mm~200mmの範囲の距離で、均一な照度を生成し得る。このようなパラメータの組み合わせ(距離と発散)は、太陽と空の模擬照明システムに適していると言われているが、通常は遥かに薄いシステムが必要になる画面の均一なバックライトの用途には適さない可能性がある。
【0041】
発明者らは、この文脈において、発光面積が大きいLEDは、均一な照度を達成するために、LED間のピッチ及び/又は距離が大きくなり得ることにさらに気付いた。一方、発光面積が小さいLEDでは、組み立て時や動作時に高い精度が求められるため、よりコストのかかる技術が必要になる。さらに、全体的な効率が低下し、消費電力が増大し、放熱が困難になる可能性がある。上述の考慮事項に基づいて、特に太陽と空の模擬照明システムに適した構成における発光領域の大きさの範囲が、幾何学的、電力、及びコストのパラメータに関して最適化され得る。
【0042】
[熱膨張の考慮]
発光モジュールの部品(構成要素)の熱膨張には制限が生じ得る。例えば、いくつかの実施形態において、透明回路基板の線熱膨張係数と反射パネルの線熱膨張係数とは、例えば光学的な位置合わせを確実にするために、10倍未満(好ましくは5倍未満、又は2倍未満、例えば1.5倍)だけ異なっていてもよい。凹状反射面領域の焦点位置にLEDの意図された位置があると仮定すると、焦点位置に対するLEDの位置のずれが光学セルの光の通過に影響を及ぼす可能性があることが認識されるであろう。このずれにより、出力方向に傾きが生じ、二次コリメーション層における、関連(対応)していない光透過領域および/または関連(対応)していないレンズを部分的に通過することで、出力光線の均一性に影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
いくつかの実施形態において、(i)透明回路基板と反射パネルとの線熱膨張係数の差と、(ii)基板と反射パネルとの熱膨張の差を決定づける発光モジュールの線形寸法との積は、一方向におけるLEDの発光領域の寸法よりも小さく設定され得る。例えば、前記積は、20℃、より好ましくは30℃、最も好ましくは50℃の温度変化に対して、好ましくは1/2未満、より好ましくは1/3未満、さらに好ましくは1/5未満、又は1/10の範囲であってもよい。
【0044】
例えば、線熱膨張係数α=22(μm/m/C)のアルミニウム反射器と、線熱膨張係数α=70(μm/m/C)のアクリル支持基板の場合、30℃の温度変化に対して、0.4mm×0.4mmのLED発光領域に対する相対的なLED発光領域のずれが1/3未満になるように、モジュールの線形寸法は100mm未満である必要がある。
【0045】
別の例として、サファイア製の支持基板(熱膨張係数α=5)の場合、同じLEDに対して最大300mmのモジュールが受け入れられ得る。もちろん、温度変化が大きい場合には、より小型のモジュールが必要になり得る。例えば、温度変化が50℃の場合、アルミニウム反射パネルの上に、幅60mmのアクリル製支持基板、又は、幅180mmのサファイア製支持基板が取り付けられ得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、(i)二次コリメーション層の線熱膨張係数と、(ii)コリメーション層の熱膨張を決定づける発光モジュールの線形寸法との積が、応力による損傷を回避するように、小さく維持され得る。二次コリメーション層の温度変化が20℃、より好ましくは30℃、最も好ましくは50℃の場合、前記積は、例えば、光学セルの(線形)寸法の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、例えば約1%になるように選択され得る。
【0047】
例えば、アクリルの二次コリメーション層の場合、1辺の長さが10mmである光学セルの線形寸法の5%未満の熱膨張(例えば、0.5mm未満の膨張)を保証すると、30℃の熱変化を許容する目標仕様の場合、発光モジュールの大きさが240mmに制限され得る。隣接するモジュール間の輝度(照度)プロファイルの最適な均一性を確保するために、光学セルの線形寸法の最大熱膨張がわずか2%であると仮定すると、発光モジュールの大きさは100mmに制限され得る。
【0048】
[放熱体]
透明回路基板は、等間隔に配置されたLED実装位置(例えば、LEDホルダー)の(第1の)例えば正方形/六角形の2次元配列(2次元アレイ)(「第 1 マトリックス」)に加えて、熱接触領域の位置に等間隔を空けて配置された放熱体(放熱器)の第2の例えば正方形/六角形の2次元配列(2次元アレイ)(「第2マトリックス」)も備えていてもよい。第2の2次元配列は、等間隔のLED実装位置の2次元配列と同一であるが、等間隔のLED実装位置の2次元配列に対して横方向または斜め(対角方向)にずれているため、例えば、それぞれ1列または斜めの線に沿って、隣接する2つのLEDの間に常に1つの放熱体が存在する。各LED実装位置(例えば、LEDホルダー)は、少なくとも1つの放熱体に(例えば、金属ワイヤを介して)熱的に接続され得る。
【0049】
放熱体は、局所的な光束が最小またはゼロになる場所に配置され得る。したがって、放熱体は、かなりの大きさ、具体的には、LEDの大きさよりも少なくとも3倍、場合によっては30倍、より好ましくは300倍大きな(又は、光学セルに対して、光学セルの投影面積の5%、10%、20%よりも大きな)表面サイズを有してもよく、これにより、反射パネルへの効率的な熱伝達が容易になる。第2の2次元配列が斜めにずれている構成では、第2の2次元配列が横方向にずれている場合に比べて、LEDからより大きな距離を空けて放熱体が配置され得るため、より大きな放熱体が使用され得る。
【0050】
放熱体から反射パネルに熱を伝達するためには、種々の選択肢が存在する。
【0051】
前述の斜めのずれに特に適した一例の構成において、放熱体は、具体的には表面セクションの表面のコーナー又は側面であってもよい熱接触領域で、反射パネルに接触して配置される。最終的な放熱体(例えば、反射パネルの平らな底面など)に熱を効率的に伝達するためには、少なくとも放熱体の熱伝達「チャネル」が金属である必要があると考えられる。したがって、熱伝達「チャネル」(反射パネル)と、LEDに電力を供給するための電気回路との間の電気的接続が防止される必要がある。例えば、放熱体は、熱接触領域を覆い、適切な電気絶縁性の熱パッド(例えば、窒化アルミニウム又はその他の高熱伝導性かつ低電気伝導性の材料の薄層)で作られる。特に、電気回路と熱伝達「チャネル」との間の電気的接続部をある時点で切断する必要があることを考慮すると、これが実行され得る場所は熱接触領域であり、これにより、他の接続ポイント(例えば、LEDの位置)と比較してより大きな表面積が可能になる。
【0052】
横方向のずれの場合に特に適した別の例示的な構成には、反射パネルからある程度の距離に熱接触部が設けられる。例えば、回路基板と反射パネルとの間の空間全体が透明な充填材で満たされてもよい。これにより、境界部でのフレネル反射による損失を最小限に抑えることも可能になる。前記充填材は、放熱体と反射パネルとの間の隙間も充填する。充填材が高熱伝導性の材料ではない場合でも、充填材の厚さが十分に薄くされ、放熱体の表面が十分に大きくされることで、反射パネルへの適切な熱伝達が確保され得る。
【0053】
斜めへのずれの場合に適した別の例示的な構成において、LEDの配線は直線状であるが、2つのLED間の配線の各ポイントは、やはり放熱体に熱的に接続される。
【0054】
全ての例示的な構成において、LEDは、発光モジュールのオン(正極)側から反対側(負極)側に直列に配線されて、それぞれの極が固定電位に維持されるとともに、LEDグループ間の直列接続がなされてもよく、これにより、より均一な光抽出が保証される。
【0055】
[電気的接続部]
電気的接続部により、透明回路基板の一方の側から透明回路基板の反対側まで延びるLEDのライン(グループ)間の直列接続が実現され得る。第2の2次元配列が横方向にずれている場合、電気的接続部は、光学セルの側面に沿った中央部を介して隣接する光学セルのLEDを接続する線形接続によって実現され得る。第2の2次元配列が斜めにずれている場合、電気的接続部は、ジグザグ経路をたどって、隣接する光学セルのLEDを光学セルのコーナーを介して接続し得る。
【0056】
直列に接続されたLEDのグループは、1グループ当たりのLEDの総数を増やすように、複数の行またはラインを含んでもよく、これにより、異なるグループ間での光抽出の均一性が向上し得る。
【0057】
[別個の放熱経路(放熱トラック)]
上記構成に加えて、又は、上記構成に代えて、透明回路基板には、特定の放熱経路(放熱トラック)が設けられてもよい。このような放熱経路も印刷されてもよいが、電力を供給する電気経路(電気トラック)から電気的に絶縁されてもよい。
【0058】
[ピラー状構造]
概して、透明回路基板は、熱接触領域によって支持され得る。さらに、例えば長方形の基本形状の場合、特に、二次コリメーション層(下記参照)が取り付けられる必要がある場合、発光モジュールは、4つのコーナーにピラー状(柱状)構造を備えてもよい。好ましくは、ピラー状構造は、入射光および反射光の外側の領域に延びる。例えば、プリント回路基板(PCB)の高さ位置において、ピラー状構造は、その(例えば三角形の)断面の寸法が、数ミリメートルの範囲(例えば、3mm)に関連付けられてもよい。放射された光線が広がるにつれて、ピラー状構造の断面は狭くなり、例えば、二次コリメーション層の高さ位置において、その断面の寸法は例えば1mmまで細くなってもよい。
【0059】
[二次コリメーション層(レンズパネル)]
二次コリメーション層は、一貫した所望の光学的位置合わせを保証するように、一次コリメーション層に構造的に連結(堅固に接続)されてもよい。例えば、透明回路基板を支持することに加えて、ピラー状構造は、(例えば、各光学セルの上部における1つのレンズ、又は、各光学セルに関連付けられた1つのレンズを含む)出力レンズ配置(レンズアレイ/レンズパネル)をさらに支持してもよい。発光モジュールにおける完全にフラッシュされる出力開口部を実現するために、レンズは、光学セルの1辺の長さを有する(例えば、正方形/六角形)形状であり、互いに隣接している。さらに、隣接する発光モジュールのレンズパネルは、複数の発光モジュールにおける拡張された、完全にフラッシュされる出力開口部を保証するように構成され得る。
【0060】
好ましくは、レンズは、高精度で機械的に取り付けられ、一種の「モノブロック」を形成する。すなわち、発光モジュールは、予め設定(固定)された光学的位置合わせを備えた剛性ユニットとして構成され得る。
【0061】
なお、発光モジュールの出力光は、色彩的に影響を受けるとしても、その影響は僅かである。したがって、LEDから放射される光の一次的なコリメーションは、これに関連(対応)する反射面領域によって実現される。最終的なコリメーションは、関連(対応)するレンズを通じてのみ達成される。この結果、複数のレンズは、光学セルの長さの少なくとも3倍以上かつ10倍未満若しくは20倍未満(例えば、5倍又は8倍)の距離を空けて配置される。このような構成において、例えば円形の反射面領域の直径は、光学セルの長さよりも小さくなり得る。したがって、ピラー状構造は、反射パネルまでの距離に応じて断面積が減少するテーパー形状であってもよい。
【0062】
直交出力光線の場合、出力レンズは、レンズの直下に配置された凹状反射面領域から反射された光を受け取ってコリメートしてもよい。
【0063】
発光モジュールの断面内に追加のピラー状構造が導入されると仮定すると、透明回路基板内に開口部が必要になり得ることに留意されたい。
【0064】
さらに、複数の発光モジュールが組み合わせて組み立てられる場合、隣接する発光モジュール間でピラー状構造が共有されてもよい。正方形または長方形の形状の発光モジュールの場合、最大4つの発光モジュールがピラー状構造を共有してもよく、最大4つの発光モジュールで構成される複数のピラー状構造が互いに固定的に取り付けられてもよい。したがって、単一の発光モジュールにおけるピラー状構造の断面は三角形であってもよいが、4つの発光モジュールで共通に共有または構成されたピラー状構造の断面は正方形になり得る。
【0065】
特に、ミニLEDを使用する構成に関して言えば、本明細書に開示される光学構成は、(a)反射面領域の凹面形状と、(b)反射面領域に実装されるファセットの概念と、(c)二次コリメーション層とを含む3段階のコリメーション概念に基づき得る。最初の2つの段階は、光の色度に対して鈍感であるが、二次コリメーション層は、特定の許容色度ひずみ内で最終的なコリメーションにわずかにしか寄与しない。したがって、本システム(光学系)には、本質的に色収差がない。
【0066】
[傾斜]
或いは、傾斜した出力ビームの場合、凹状反射面領域は、LEDの光を直交方向ではなく傾斜角をつけて反射し、反射光が、例えば隣接する光学セル又は更に離れた光学セルに関連付けられた単一のレンズから受け取られてコリメートされる。このようにして、出力ビームの傾斜は、光学セルの大きさに応じた個別の傾斜角度セットに、構造的に制限され得る。
【0067】
この概念に基づいて、傾斜角度が異なる複数の出力ビームが生成され得ることに留意されたい。
【0068】
[照明システム]
別の態様において、一列に並んで若しくは2次元配列(2次元アレイ)に従って配置された複数の発光モジュールの配置、又は、複数のモジュールによって形成可能な任意の形状に基づく照明システムが開示される。発光モジュールの大きさは、熱の影響(例えば、変形)が許容範囲を超えて光学的にアクティブな要素(LED、凹状反射面領域、レンズ)の配置に影響を与えないように選択される。したがって、隣接する発光モジュールは、少なくとも透明回路基板と反射体の領域では、ある程度の間隔を空けて取り付けられ得る。このため、外側の光学セルは、接続側で大きさがわずかに縮小され、この結果、熱源である「LED」の領域でより大きな熱変動を可能にする「テーパー」状の発光モジュールが得られる。
【0069】
適切な取り付けを確実にするために、照明システムは、複数の発光モジュールをそれぞれの距離に正しく配置して取り付けるためのフレームを含んでもよい。
【0070】
傾斜した出力ビームに関して、発光モジュールの配置は、発光モジュールの1つから放射された光が、別の発光モジュールの二次コリメーション層を通過するようなものであってもよい。
【0071】
さらに、タンデム(直列)構成における2つの規則的なマイクロレンズアレイ(つまり、光学セルごとに多数のレンズレット対を備えたレンズアレイ)に基づくフライアイホモジナイザーが、光出力を均一化するために用いられてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、光学セルは、実質的に多角形の断面を有する。この場合、例えば、少なくとも1つの熱接触領域が前記多角形断面の頂点に配置される。
【0073】
いくつかの実施形態において、凹状反射面領域は、関連(対応)するLEDの位置における焦点に関連付けられた回転放物面の形状と実質的に一致する。
【0074】
いくつかの実施形態において、透明回路基板は、LEDによって生成された熱を少なくとも1つの熱接触領域に伝達するように構成されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、透明回路基板は、第1の電位でLEDの第1のリード線に外部電源回路を接続するとともに、第2の電位でLEDの第2のリード線に外部電源回路を接続するように構成される。
【0076】
いくつかの実施形態において、電気的接続部は、電気的接続部から電気的に絶縁された関連(対応)する熱接触領域にも熱を伝達する経路(トラック)又はワイヤとして実装される。
【0077】
いくつかの実施形態において、電気的接続部は、光透過性材料で作られる。
【0078】
いくつかの実施形態において、電気的接続部は、透明フィルムで作られる。
【0079】
回路基板のいくつかの実施形態において、1つのLEDに関連付けられた第2の表面領域の平均面積は、1つのLEDに関連付けられた第1の表面領域の平均面積の少なくとも2%、例えば、少なくとも4%、又は、少なくとも8%である。
【0080】
回路基板のいくつかの実施形態において、複数のLEDは、複数の実装位置においてそれぞれ支持基板に取り付けられる。
【0081】
回路基板のいくつかの実施形態において、導電領域の電気抵抗率(Ω・m)は、透明領域の電気抵抗率の1010倍、好ましくは1015倍、さらに好ましくは1018倍小さく、且つ/又は、透明領域の透明度は、導電領域の透明度よりも少なくとも10倍大きい。
【0082】
いくつかの実施形態において、回路基板は、透明領域を横切って延びる薄い不透明な電気コネクタ(電気接続体)をさらに備える。電気コネクタは、例えば、実質的に平坦なコネクタとして構成され、該平坦なコネクタのより大きな表面が、支持基板の第1の表面に対して傾斜し、特に直交するように方向づけられる。
【0083】
回路基板のいくつかの実施形態において、導電領域は、絶縁層によって少なくとも部分的に覆われている。回路基板のいくつかの実施形態において、導電領域は、単一の材料または2つの異なる材料によって作られる。回路基板のいくつかの実施形態において、導電領域は、透明領域に関連付けられていない支持基板の領域の少なくとも90%を覆う。
【0084】
本開示の他の特徴および態様は、以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0085】
以下の添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の例示的な実施形態を示し、本発明の原理を説明するのに本明細書の説明とともに役立つ。
【0086】
図1A】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図1B】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図1C】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図1D】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図2A】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図2B】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図2C】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図2D】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図3A】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図3B】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図3C】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図3D】例示的な発光モジュール及びその構成要素の概略図である。
図4A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図4B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図5A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図5B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図5C】例示的な回路基板構成の概略図である。
図6A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図6B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図7A】熱接触部へのLED結合の概略図である。
図7B】熱接触部へのLED結合の概略図である。
図8A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図8B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図8C】例示的な回路基板構成の概略図である。
図8D】例示的な回路基板構成の概略図である。
図9A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図9B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図9C】反射パネル及びそれぞれの発光モジュールの概略図である。
図9D】反射パネル及びそれぞれの発光モジュールの概略図である。
図10A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図10B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図10C】例示的な回路基板構成の概略図である。
図11A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図11B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図12A】例示的な回路基板構成の概略図である。
図12B】例示的な回路基板構成の概略図である。
図13A】発光モジュールの例示的な配列および構成の概略図である。
図13B】発光モジュールの例示的な配列および構成の概略図である。
図13C】発光モジュールの例示的な配列および構成の概略図である。
図14】発光モジュールの例示的な配列および構成の概略図である。
図15】別の回路基板構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下、本開示における例示的な実施形態が詳細に説明される。本明細書に記載され、図面に示される例示的な実施形態は、本開示の原理を教示することが意図されたものであり、当業者であれば、本開示を多くの異なる環境および用途で実施および使用し得る。すなわち、以下の例示的な実施形態は、特許保護の範囲を制限する説明となることを意図されたものではなく、また、そのようにみなされるべきではない。むしろ、特許保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0088】
本開示は、部分的には、複数の発光モジュールに基づくモジュール式のコンセプトにより、様々な形状(例えば、正方形、長方形、様々な大きさと長さ、L字型またはT字型、ハニカム構造など)の照明システムを実現可能にし得るという認識に基づいている。さらに、モジュール式のコンセプトにより、温度変化にもかかわらず、各LEDチャネル間の相互の位置合わせにおいて所望の精度を達成し得ることも分かった。特に、途切れることなく広がる空の外観を疑似的に再現することを意図した太陽と空の模擬照明システムにおいて、発光モジュールの大きさを制限することで、目につかないほど小さな隙間が境界に生じ得ることが分かった。さらに、モジュール式のコンセプトにより、隣接する発光モジュール間の空間分離、具体的には、隣接する発光モジュールの二次コリメーション層間の空間分離において、所望の公差を達成し得ることも分かった。前記公差は、生成される輝度/照度プロファイルに、例えば完全にフラッシュされる平面の高さ位置(レベル)で、目に見える隙間が生じないように設定されてもよい。(均一な光束/輝度を備えた完全にフラッシュされる平面は、例えばレイリー散乱に基づいて均一な空の外観を生成するために使用され得る。)
【0089】
モジュール式のコンセプトの結果として、全ての光学層(例えば、反射体、複数のLEDを備えた透明回路基板、及び、コリメーション層)が、好ましくは1つのモジュール内で強固に接続されることが、精度に関してさらに分かった。さらに、本質的に同一である複数のジュールを使用することで、隣接する同一のモジュールをシームレスな構成で配置できるようになる。
【0090】
さらに、本開示は、部分的に、LEDベースのデバイスでは長期の動作に熱管理が必要になり得るという認識に基づいている。熱管理は、特に、熱伝導率が低下することが多い透明なキャリアボード(例えば、透明な回路基板ないしプリント基板(PCB))を使用する構成において実施され得る。この態様は、光学的な位置合わせを高いレベルで維持する必要がある構成にも影響を与え得る。すなわち、反射パネルと透明回路基板とを組み合わせた構成のモジュール式のコンセプトに対して、組み合わせて且つ個別に、熱管理の態様が検討されてもよい。
【0091】
具体的には、LEDからの放熱に、反射パネルへの電気的接続および/または熱的接続が使用され得ることが分かった。空を再現する照明システムでは、光学セルの外観を、同じモジュール内(単一の大きな「モジュール」で構成されている場合は、照明システム全体)における隣接するセルと可能な限り同じにする必要がある。このような均一性の重要性と相まって、熱は、モジュール内で「鉛直方向」に、つまり、各LEDから反射パネルの各「ベース部」に流れ、その後、反射面領域の反対側の反射パネルの面で本質的に放散することが好ましいことが分かった。対照的に、電流は、水平方向、つまり、透明な回路基板の平面内を流れ、例えば直列接続されたLEDの列に、電力を供給し得る。熱放散のコンセプトとして、発明者は、形状に関するいくつかの考察結果および態様を特定した。
(i)透明回路基板は熱の伝導効率が低いため、特に不透明な熱配線が使用される場合は、光が透過する回路基板の領域内に熱伝導体(熱伝導材料の限られた領域)が選択的に設けられ得る。
(ii)反射光は、回路基板の全ての領域を通過しない可能性がある。熱を伝達するためにより大きな表面積が関係する場合、これらの領域は、LEDから離して配置される必要があり、光が透過する回路基板の領域の外側に配置されることが好ましい。
(iii)使用される材料と回路のレイアウトは、例えば異なる電位のLED間などにおける、電気的な短絡の危険性を軽減するように構成される必要がある。
(iv)全てのLEDの動作条件が同じ又は同様であること(例えば、可能な限り近い共通電流)を確保するためには、複数のLEDが、例えば同じ個数のLEDのグループに分かれて、直列に接続される必要がある。例えば、各LEDグループは、1列に並べられる必要がある。なお、奇数列にすると、モジュールの同じ側の接続に同じ電位が確保される。(複数列の場合、モジュール当たりの列の合計数は、そのような複数列の適切な倍数であってもよい。)
(v)好都合な手法として、電気配線(例えば、銅線)を介してLEDから熱が除去されることで、LED付近の占有面積を最小限に抑え得ることが分かった。
(vi)LED付近の配線は、必ずしも、円形の断面を有しなくてもよく、回路基板上に平らに適用されなくてもよいことが分かった。代わりに、平らなワイヤが、例えば該ワイヤの最大の表面側が光線に平行に配置されるように、鉛直方向に配置されることも考えられる。これにより、回路基板の平面に本質的に直交する光透過方向に沿って光が透過する透明な回路基板上または透明な回路基板領域上における「影」が最小限に抑えられ得る。
(vii)LEDから遠く離れると、配線は、特に反射パネルからの材料の傍を通過するときに、回路基板上の領域を拡大し得る。これにより、効果的な熱交換のための配線の表面積が大幅に拡大され得る。このことは、外側の領域では影の問題がそれほど大きくないため実現可能である。反射パネルへの熱伝達は、例えば熱接触領域上の非導電性層である放熱体(部分)を介して行われてもよい。なお、ヒートシンクは安価にするために金属(例えば、アルミニウム)製である場合があるため、LEDとヒートシンク「反射パネル」との間の電気的接続部が中断される可能性があり、そのため、光学セル間に電気的な短絡が生じるリスクがある。十分に大きな表面(例えば、直径2~3mmの平らな領域、正方形または六角形のコーナー部など)の場合、薄い電気絶縁材料の層によって、十分に低い熱抵抗を実現し得る(抵抗率は高いが面積が広いことにより抵抗が低くなる)ことが分かった。例えば、適切な熱パッド又は窒化アルミニウムの薄いコネクタが、電気伝導スポットと反射パネルの金属本体との間の連絡部として使用され得る。いくつかの実施形態では、薄い誘電体(例えば、薄いポリマー絶縁膜)であっても、LEDを動作させる電圧が比較的低いため、所望の電気絶縁と所望の熱伝導が適切に提供される可能性がある。
(viii)本明細書では、複数のLEDを電気的に接続するための様々な構成が提案されており、これらの構成では、例えば電気的に絶縁された状態で、熱接触領域を横切って2つのLED間を導電体が通過する。光学セルのコーナーでの放熱が意図された実施形態の場合(前述のように、正方形表面セクションのコーナーでは光透過領域の外側に熱接触領域のためのスペースがさらにある場合)、LEDの電気的接続部は、ジグザグ経路をたどり得る。LEDの電気的接続部の直線状経路において、配線の長さが可能な限り短く維持される必要がある場合、コーナーを通過することは実現可能ではないことがある。場合によっては、側面の影のない放熱に利用可能な領域が小さくなる可能性があるとしても、(凹状反射面領域の形状と範囲に応じた)光学セルがあれば、側面の熱接触領域に十分なスペースが存在し得る。
(ix)概して、電気的接続部と反射パネルとの境界部は、熱伝導を提供する絶縁材料で充填され得る。隙間が小さい場合は、コストと熱伝導率のバランスを考慮して、透明樹脂が充填材として選択され得る。
(x)最後に、透明回路基板と反射パネルとの間の反射パネル内に形成されたウェル全体が絶縁樹脂で充填されてもよく、これにより、反射損失がさらに最小限に抑えられ得る。いくつかの代替実施形態において、絶縁樹脂は、固体の透明回路基板の代わりにLEDを支持した一種の透明回路基板として考えられ、LEDの正確な位置決めが求められることに留意する必要がある。
【0092】
さらに、本開示は、反射パネルと機能的に協働するように構成されている場合、透明回路基板(例えば、透明なPCB)の下地の回路構成に基づいて既に熱管理がなされている可能性があるという認識に、部分的に基づいている。具体的に、発明者らは、回路基板の熱領域/電気領域の空間レイアウトの独創的なトポロジーの基本概念を提案し、これによって、様々な種類の反射パネルとの組み合わせに適したものとなる。
【0093】
一般的な観点から、発光モジュール用の回路基板は、LED用の複数の実装位置を備え、これらの実装位置は、回路基板の第1の表面に規則的な2次元パターンで分布されている。
【0094】
2次元パターンは、第1の表面に複数の表面セクションを形成する。
【0095】
表面セクションは、基本的に同じ形状を有し、それぞれ1つの実装位置と、熱源としての1つのLEDとに関連付けられている。
【0096】
回路基板の光学的な使用/構成(例えば、LED光がコリメートされて回路基板を通して方向転換される光学構成)に関して、回路基板は、複数の透明領域によって特徴付けられ、各透明領域は、それぞれの表面セクションの一部であり、それぞれの表面セクションの実装位置の周囲に延びている。回路基板が光学的な使用のために反射パネルに取り付けられると、LEDから生成され、反射パネルの関連するコリメート部分によって反射された光が回路基板を通過可能になることが、透明領域によって保証される。
【0097】
熱管理に関して、回路基板は、複数の熱伝導領域によってさらに特徴付けられ得る。各熱伝導領域は、それぞれの表面セクションの一部であるが、熱伝導領域が透明領域の外側に位置するように配置される。回路基板が光学的使用のために反射パネルに取り付けられると、熱伝導領域により、動作中にLEDによって生成された熱が熱伝導領域を介して反射パネルに伝達されるようになる。例えば、反射パネルと回路基板は、熱伝導領域で面接触する。
【0098】
効率的な熱伝達のために、熱伝導性領域の平均面積は、例えば、透明領域の平均面積の少なくとも2%、例えば少なくとも4%、又は少なくとも8%である。
【0099】
LEDによって生成された熱は、透明領域を通過して熱伝導領域に流れる必要があることが分かる。ただし、この熱の流れを可能にすると、透明領域の透明性への影響は軽減されるはずである。したがって、熱源、すなわち、LEDを熱伝導領域に熱的に接続する熱伝導体は、透明または略透明に構成されてもよく、或いは、第1の表面に投影された「小さな」大きさを有し、許容できる量の光のみを遮断し得る。
【0100】
概して、熱伝導性領域は、透明領域の外側に配置されているため、透明または不透明になり得る熱伝導性材料/熱伝導性材料層を備え得る。
【0101】
熱伝導領域は、LEDに電力を供給するためにも使用可能であり、つまり、LEDの電源回路の一部になり得る。この場合、熱伝導領域は、電気的かつ熱的な伝導体を介して、LEDのリード線に電気的に接続され得る。LEDのグループを直列接続しても、熱伝導領域を含み得る。
【0102】
以下、図1図14を参照して、様々な実施形態の発光モジュールが説明される。
【0103】
図1A図1Dは、一例に係る発光モジュール1の概略図である。具体的に、図1Aは発光モジュール1の断面の概略図であり、図1Bは反射パネル3の上面の概略図であり、図1Cは透明回路基板5の下面の概略図であり、図1Dはレンズパネル7の図である。図1Aに示すように、発光モジュール1の構成要素は、4本のピラー(柱部)9によって一体に取り付けられている。一例として、発光モジュール1は、例えば、正方形の基本形状を有する光学セルの2次元の10行×10列アレイに基づいている。反射パネル3は、内側表面3A(図1A参照)を有する。内側表面3Aは、複数の正方形表面セクション11の2次元配列に細分化されており、該2次元配列は、前記正方形の基本形状に対応している。なお、正方形表面セクション11は、破線によって区切られて図示されている。各正方形表面セクション11は、(2つの正方形表面セクション11のそれぞれに破線で示されている)凹状反射面領域11Aと、凹状反射面領域11Aの外側に位置する熱接触領域11Bとを備える。熱接触領域11Bの形状は、凹状反射面領域11Aの形状によって決まる。反射パネル3の本体は、発光モジュール1の動作時に発生する熱に対してヒートシンクとして動作する。特に、反射パネル3の下面3B(図1A参照)は、発光モジュール1から熱を除去するために使用され得る。
【0104】
図1Bでは、凹状反射面領域11Aが一次コリメーション層を形成し、円形で示されている。この結果、熱接触領域11Bにおける凹状反射面領域11Aの周囲の形状は、正方形表面セクション11の側面に沿った部分に比べて、正方形表面セクション11のコーナー部において、大きくなるように構成されている。
【0105】
図1Bはさらに、反射パネル3の4つのコーナーに、発光モジュール1のコーナーを形成する、例えば三角形の断面を有するピラー(柱部)9を示している。
【0106】
一般に、二次コリメーション層(レンズパネル7)は、適切な「ポール」(ピラー)によって吊り下げられ得る。最小のポールサイズを実現するための堅牢な構成は、例えば三角形ベースのテーパー状の輪郭を有する4つのポールが四隅に配置される構成であってもよい。三角形の断面により、隣接する4つの発光モジュールの4つのポールが接続されると正方形の断面が形成され得る。テーパー構造により、押し出し成形しやすく、反射面のベースが大きく確保される。この場合、光点(凹状反射面領域から反射される光線の直径)が小さくなり、光学的な「チャネル」間のスペースが増大される。このことは、特にセルのコーナーに当てはまる。テーパー構造により、二次コリメーション層で、より小さな断面が形成され、隣接するレンズを好ましくは完全に満たすように光線の直径が増大し、これにより、ポールに残されるスペースが減少する。
【0107】
図1Cは、正方形表面セクション11に対応する正方形表面領域13において、透明回路基板5を分離して示す。各正方形表面領域13には、中央位置にLED15が示されている。なお、図1Cには回路が示されていない。このことは、電気伝導体と熱伝導体に関して後に詳しく説明される。図1Bに示すように、三角形の断面を有するピラー9が四隅に確認される。
【0108】
図1Dは、関連する正方形表面セクション11を本質的に満たすレンズ17のそれぞれの2次元配列によって形成される二次コリメーション層を示す。図1Bと同様、三角形の断面を有するピラー9が四隅に見られるが、テーパー状の基本形状を考慮すると、ピラー9の断面が縮小されていることが分かる。
【0109】
図2A図2D及び図3A図3Dは、正方形の基本形状を有する2次元の5行×5列アレイの光学セルに基づく別の例示的な発光モジュール1’,1”の概略図である。図2A及び図3Aは、それぞれ二次コリメーション層7’,7”の断面を示す。図2B及び図3Bは、反射パネル3’,3”に取り付けられた透明回路基板5’,5”を示すための、LED15’,15”が位置する断面線に沿った概略断面図である。図示のように、LED15’,15”は、反射パネル3’,3”内のカップ状(椀状)のくぼみに対して中央に取り付けられている。図2Bから分かるように、反射面領域11A’は、正方形の基本形状の辺の長さに沿った部分で、1つの正方形の基本形状から次の正方形の基本形状に部分的に移行している。すなわち、図2Bにおいて、円形の凹状反射面領域11A’の直径は、正方形の表面セクション11’の辺の長さよりも小さく(図2C参照)(図2Cは、図1Bに示す反射パネル3の外観と同様)。一方、図3Bの凹状反射面領域11A”に関して想定される仮想の直径は、正方形表面セクション11”の辺の長さよりも大きく拡張されている(図3C参照)。これにより、4つの凹状反射面領域11A”間の熱接触領域11B”が星型の形状になるように最小限の大きさに抑えられている(図3C参照)。
【0110】
図2D及び図3Dは、発光モジュール1’、1”の斜視図において、反射パネル3’,3”/透明回路基板5’,5”に対して、正方形表面セクション11’,11”の辺の長さの数倍の距離を空けて配置された二次コリメーション層7’,7''を概略的に示している。
【0111】
図4及び図5は、LEDの実装位置(反射面領域の焦点位置)に対する熱接触領域の一般的な例示的な配置を示す。
【0112】
図4A(LEDと正方形の基本形状に対する横方向の変位)及び図5A(LEDと正方形の基本形状に対する斜めの変位)は、それぞれ、図2B及び図3Bに示されるような反射パネルで使用される透明回路基板上における熱接触領域21’、21”の取り得る位置を示す。具体的に、図4Aは、LED15’のペアの間における1つの熱接触領域21’を示している。この構成により、LED15’と熱接触領域21’とが交互に並ぶラインが作成される。熱接触領域21’は、正方形表面セクションの側面に沿って配置され、具体的には、一対の隣接する凹状反射面領域間の反射パネルの熱接触領域に熱的に接続される。
【0113】
図4Bは、直線状の熱伝導体23’(例えば、電気伝導体としても使用可能)が、2つのLED15’間の熱接触領域21’を通過することによって、LED15’のラインを直線的に熱的に接続する方法を示す。図示のように、例えば同数のLED15’の複数の直線的接続により、直列接続で電力が供給されるLED15’のグループが形成され得る。
【0114】
図5Aを参照すると、正方形表面セクションのコーナーに熱接触領域21”が設けられ、これにより、LED15”と熱接触領域21”との交互の列が形成される。図5Bに示すように、熱伝導体23”(例えば、電気伝導体としても使用可能)は、ジグザグ経路に沿ってLED15”のラインを熱的に接続し得る。或いは、図5Cに示すように、LED15”のラインに沿って延びる直線状の熱伝導体(熱接続体)23’から、追加の熱伝導体セグメント(熱接続体セグメント)23’’’が、LED15”間の直線状の熱伝導体23’を熱接触領域21”に熱的に接続し得る。
【0115】
図6図12に関する以下の説明は、LEDの実装位置と熱接触領域との間の熱接触および/または電気的接触の例示的な構成を示す。
【0116】
図6A及び図6Bは、図3Bに示された反射パネルの回路基板上におけるジグザグ経路の熱的接続部の実施例を示す。図6Aは、正方形表面セクションのコーナーにある星形の熱接触領域11B”(これらの「菱形」は反射パネルの表面の「平らな先端」である)と、星形の熱接触領域11B”の中央に配置されたLED15”とを示す。回路基板の熱接触領域21”(図6Bに示されるドット部分)が星形の熱接触領域11B”上に配置されていることが見て取れる。したがって、熱伝導体23”は、ジグザグ経路によって、各熱接触領域21”(及び、ひいては、各星型熱接触領域11B”)を2つのLED15”に熱的に接続する。
【0117】
図7A及び図7Bは、透明回路基板の支持基板23にLEDがそれぞれの実装位置に取り付けられる態様を示す。図7Aは、熱伝導体(この場合は、熱伝導層29)を介して支持基板23に取り付けられたヒートシンク27を備えたLED25を示す。ヒートシンク27と熱伝導層29との間の広い面積の熱接触により、動作中にLED25によって生成された熱を除去し、熱伝導層29を介して反射パネル(図示せず)への熱接触部に熱を伝達することが可能になる。以下の例に示すように、熱伝導層29は、(光をできるだけ遮断しないように横方向の寸法が薄い)熱伝導体として、又は、例えばITO層(酸化インジウムスズ層)をベースにした光透過性の拡散層として構成されてもよい。なお、図7Aにおいて、電気的接続部は示されていないが、通常は熱伝導層29から絶縁されている。
【0118】
図7Bは、熱を除去するためにも電気回路を使用する実施形態を示す。具体的に、LED31は、支持基板23に対してそれぞれの実装位置に取り付けられる。LED31のリード線33は、導電体35に接続されており、動作中にLED31によって生成された熱が、抽出されて導電体35に伝達され、さらに反射パネルとの熱接触に導かれるようになっている。導電体37と反射パネル(通常は接地電位)との間には、それぞれ電気絶縁が必要とされ得ることが理解されるであろう。
【0119】
図8A図8Dは、各LED15を熱的に且つ必要に応じて電気的に接触させるために回路基板上に設けられた、回路の様々な構成例を示す。概略的な底面図において、LED15を囲む円形の光透過領域41と、光透過領域41を通って直線的に延びる熱伝導体43が見て取れる。熱伝導体43は、LED15から始まり、最小限の光遮断範囲を確保するように径方向に延びている。熱伝導体43は、熱接触領域45に接続されている。熱接触領域45は、反射パネルに接触するための大きな表面積を提供するように2次元的な領域として延在している。図示の構成は、熱除去のみに使用されてもよいし(その場合、LED15に追加の電気的接触が設けられる必要がある)、熱伝導体43がLED15への電力供給のためにも使用されてもよい。説明の便宜上、光透過領域41は白色(無着色)で図示されており、これにより、熱接触領域45(パターンで図示)及び残りの領域47(灰色で図示)と区別されている。残りの領域47は、コーティングされなくてもよいし、例えば、LED15用の追加の電力供給電気回路を実装するために特別に使用されてもよい。さらに、下層の反射パネルは、それぞれの対応する熱接触領域を提供する必要があり、これにより、回路基板の熱接触領域45との適切な熱接触を確保し得る。
【0120】
図8Aに戻ると、3列のLEDを形成するそれぞれ3つのLED15の直線状の熱的接続部(及び、必要に応じて電気的接続部)が示されている。図8Bでは、1つの熱的接続部(及び、必要に応じて電気的接続部)内で2列のLED15が接続されている。図8C及び図8Dの構成では、熱的接続部(及び、必要に応じて電気的接続部)のジグザグ経路が実装されるように、熱接触領域45がLEDの直線的配置からずれている。図8Cの構成は、光透過領域41の直径が正方形表面セクションの辺の長さよりも小さい実施形態に関するものである。これに対し、図8Bは、光透過領域41の直径が正方形表面セクションの辺の長さよりもわずかに大きい実施形態に関するものであり、その結果、星形の熱接触領域45が形成されている(図6A及び図6Bも参照)。
【0121】
図9は、回路基板49上に設けられたLED15(図9A及び図9B)の電気的接触と、反射パネル50を介した熱の除去を向上させるためのアプローチを示しており、該アプローチは、反射パネル50の正確な取り付けにも使用可能である。
【0122】
なお、熱接触領域45は可能な限り大きくなされる。熱接触領域45の異なる電位を分離するために、図9Bは、残りのコーティングされていないライン(非コーティングライン)51を示している。図9Bの網掛け部分は導電性がある可能性があるため、短絡を避ける必要がある。光透過領域41などの回路基板の透明領域は、本質的に電気的に絶縁するものである。熱接触領域45が電力供給に用いられる場合、隣接する熱接触領域45は、絶縁性の光透過領域41に囲まれたLED15のみを介して電気的に接続される。
【0123】
導電性の反射パネルを備えた回路基板49を使用する場合、例えば回路を覆うために薄い絶縁層が実装されてもよい。別の実施形態において、電気絶縁性の反射パネルは、例えば、凹状反射面領域を形成するための金属コーティング領域を有してもよい。本明細書でさらに説明されるように、反射パネル、回路基板、及び二次コリメーション層に使用される材料は、例えば、熱膨張性、位置合わせ安定性、使用環境、輸送環境などを考慮して具体的に選択され得る。
【0124】
さらに、図9Aは、関連する反射パネルの円形の反射面領域(破線の円で図示)を示している。図9Bは、大面積の熱接触領域(電気接触領域)45、熱伝導体43、及びLED15を備えた電気回路を示す。図9Bにおいて、「+」は、LED15に関するアノード(陽極)としての機能を示し、「-」は、LED15に関するカソード(陰極)としての機能を示す。
【0125】
図9Cは、(例えば金属コーティングされた)円形の反射表面領域53(白色(無着色)で図示)を備えた例示的な反射パネル50の上面図である。反射パネル50は、例えば、周囲の熱接触(表面)領域56で反射パネル50に熱的に接触している図9Aの回路基板と共に使用される。例示的な追加機能として、図9Cは、反射パネル50の熱伝導率を高めるための金属インサート55を図示(正方形表面セクションの4つのコーナーにのみ例示的に図示)している。なお、反射パネル50又は回路基板のいずれかに電気絶縁が必要であることは認識されるであろう。
【0126】
図9Dは、金属インサート55を使用して、発光モジュール61内に反射パネルを取り付ける方法を示す。この場合、金属インサート55は、発光モジュール61のヒートシンクとして機能する金属製の底面部57から、反射パネル50と発光モジュール61との適切な位置合わせを保証する所定の位置まで延びている。
【0127】
図10は、LED15を電気的に接続するためにITO層(酸化インジウムスズ層)を使用する回路基板63を示す。特に図10Bの拡大図に見られるように、ITO層における交互のセクション65A,65BはLEDに電気的に接触し、したがって、コーティングされていないライン(非コーティングライン)51を介して互いに電気的に絶縁されている。隣接するITO層は、LEDを通してのみ接続される。ITO層は、光学的に透明であり、LED15によって生成された熱を広い領域に分散(分布)させることができ、これにより、熱的に接続された反射パネルを介して熱が除去され得る。
【0128】
熱的に接続された反射パネルから回路基板63を電気的に絶縁することに関して、図10Cは、回路基板63の光透過領域の外側に、熱接触領域(ここではITO層)の上に適用(塗布)された薄い誘電絶縁層67を示す。
【0129】
図11は、図9Aと同様の回路基板71の構成における熱伝導体と導電体との組み合わせを示す。図9Aに示すように、LED15の熱的接続部は、熱伝導体73と熱接触領域75とを使用して横方向に実現される。さらに、電気的接続部が、熱的接続部に直交するように実現される(図11Aにおける、光透過領域から別の光透過領域まで回路基板71の非コーティング領域77に沿って延びる一点鎖線参照)。図11Bの拡大図に、例示的な導電体79が明示的に示されている。例えば、熱コネクタ(熱伝導体73)は、LED15のヒートシンクから熱を受け取るように構成され(図7Aに関する既述の説明参照)、導電体79は、電力供給のためにLEDのリード線に接続される。
【0130】
図12は、図6Aと同様の回路基板81の構成における熱伝導体と導電体との別の組み合わせを示す。
【0131】
図12Aの実施形態では、回路基板の熱接触領域83と反射パネル(図示せず)の正方形表面セクションのコーナーにある星形の熱接触領域85とを有するLED15の熱的接続部82のジグザグ経路が示されている。さらに、LED15は、(図12Aの一点鎖線87と、拡大図における電気コネクタ89とで示される)光透過領域を介して直線的に電気的に接続されている。
【0132】
図12Bの実施形態では、回路基板の4つの熱接触領域83が、熱伝導体の十字状配置(熱的接続部82)でLED15のヒートシンクに接続され、一方、電力供給は、直線状の電気的接続部(図12Bの一点鎖線87)に沿って実現される。
【0133】
本明細書に開示された複数の発光モジュールは、を組み合わせることで、モジュール式デバイスにおいて指向性光線の発光面を拡大するように適宜組み合わされ得る。例えば、図13Aは、3つの発光モジュール91の配置を概略的に示し、図14は、例えばU字型に配置された6つの反射パネル90A~90Fの配置を示す。
【0134】
図13Aに示す実施形態を参照すると、フレーム93は、複数の発光モジュール91を互いに対して正確に位置決めされた状態に維持する。
【0135】
図9Dの文脈で既述されたように、熱伝導インサート95が、反射パネルを貫通して回路基板まで到達してもよく、これにより、透明基板から反射パネルを通って底面に至る熱除去が改善される。図13Aの実施形態では、熱伝導インサート95がフレーム93(又はその一部)に接続されている。熱伝導インサート95は、フレーム93上への発光モジュール91の実装位置、特に互いに対する位置決めをさらに改善することもできる。
【0136】
図13B(直交する光放射を備えたモジュール式デバイス)は、反射パネルの逆反射構成の場合、凹状反射面領域の1つによって反射された光線が、同じ(例えば正方形または六角形)表面セクションに関連付けられている二次コリメーション層の単一のレンズを通過することを示す。したがって、出力された光97は、反射パネルに対して直交するように向けられる。
【0137】
或いは、図13C(傾斜した光放射を備えたモジュール式デバイス)に示すように、凹状反射面領域の1つによって反射された光線は、別の1つの(例えば、正方形または六角形)表面セクションに関連付けられている二次コリメーション層の単一のレンズを通過してもよい。図13Cの例において、光線は、隣接する表面セクションのレンズを通過する。出力された光99の傾斜角度は、「通過レンズ」の位置、及び、一次コリメーション層(例えば、反射パネル)と二次コリメーション層(例えば、レンズパネル)との距離に依存することが分かる。当該傾斜は、例えば、直交する光放射のための実装位置に対して横方向にずらされたLEDの実装位置によって実現され得る。なお、複数のLEDアレイが1つの回路基板上にまとめて設けられ、異なるLEDアレイ間の動作を切り替えることで光の放射方向を変更できるようにしてもよい(又は、複数のLEDアレイを同時に動作させることで、異なる方向に複数の光線を照射するようにしてもよい)。LEDアレイ間のシフト(ずれ)は、光学セルのピッチ、及び/又は、二次コリメーション層までの距離に依存する。代替の構成は、傾斜した反射面などの特別に設計された形状に基づいてもよく、この場合、傾斜した反射面は、直交する光放射領域の形状の方向に対して傾斜してもよい。出力された光をある角度で放射することが意図されている場合、モジュール方式では、傾斜角度に制約が課されることが理解されるであろう。上述のように、傾斜角度は、任意に選択可能とは言えないが、1つの光学セルのLEDが、隣接する光学セル(第1傾斜角度)又はさらに離れた別の光学セルからのコリメートレンズを照らすことを可能にするような個別の傾斜角度セットの中から選択されてもよい。なお、発光モジュールの境界にある光学セルに関しては、1つの発光モジュールのLEDが別の発光モジュールのコリメートレンズを照らすことに留意されたい。
【0138】
具体的に、モジュール方式に関しては、異なる電位の接触点が近接することを防止し得る、LED電気配線に適した方式が設定されてもよい。具体的には、直列のLED接続により、同じ電流が供給されるようにしてもよく、これにより、各LEDから同じ光が放射されるようになり、発光モジュールの出力開口部全体にわたる望ましい均一性が向上する。さらに、LEDの個数が多いほど、異なるLEDのランダムな抵抗変動の影響が小さくなるため、列ごとに個別に同じ発光を生成し得る。いくつかの実施形態では、隣接する発光モジュールは接続側で同じ電位を有する。例えば、一方の接続側では、その接続側の左右の2つの発光モジュールに接地電位が与えられ、他方のそれぞれの側は動作電位に維持される。
【0139】
図15は、六角形の光学セルの配置に基づく発光モジュール101の概略上面図である。該光学セルは、それぞれ、反射パネルと透明回路基板に実装されている。4つのコーナーに六角形の光学セルが見られ、この結果、発光モジュール101の基本形状は平行四辺形になる。具体的に、熱伝導領域103は鉛直方向のラインで示され、反射パネルの円形反射面領域105は黒色で示され、透明回路基板内の透明領域107は、少なくとも、黒色で示された円形反射面領域105と、(反射光線の発散および/または傾斜した出力方向を考慮して円形反射面領域105よりも大きい)斜線で示された周囲のリングとを含む領域にわたって広がっている。
【0140】
本明細書には、本発明の好ましい実施形態が記載されているが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改良および変更が組み込まれ得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A-4B】
図5A-5C】
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A-10B】
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14
図15
【国際調査報告】