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特表2024-543662共振網用デュアルパスアクティブダンパー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】共振網用デュアルパスアクティブダンパー
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534645
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022052836
(87)【国際公開番号】W WO2023114291
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,874
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/572,607
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーティー
(72)【発明者】
【氏名】シャラー,ロバート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB13
5H730FG05
5H730XX04
5H730XX12
5H730XX41
(57)【要約】
デュアルパスアクティブダンパーは、共振回路内のリンギング波形を減衰させながら電力損失を低減させる。1つのパスは、ノード電圧のピーク値を保護対象デバイスの定格電圧未満にクランプしながら、ノード電圧がリンギングして自然に減衰することを可能にする。別のパスは、ピーク値がクランプされた後、アクティブスイッチを閉じて、リセット電流をRCスナバに引き込み、ノード電圧のリンギングをアクティブに減衰させるまで、ある程度の遅延を待機する。アクティブスイッチの遅延及びオン時間は、指定された期間内にリンギング波形を減衰させるために電力損失を低減させる、またはさらに最小にするように設定される。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強制機能Vsが前記強制機能の各正の状態変化で定常値Vssを中心にリンギングするデバイスのノード電圧Vrを発生させる、共振網用のデュアルパスアクティブダンパーであって、
前記ノード電圧Vrが発生するノードに結合されたスナバコンデンサCsnubと、
前記Csnubに結合されたクランプ電圧Vclampを含むクランプパスであって、前記クランプパスは各正の状態変化でクランプ電流Iclampを導電し、ノード電圧Vrのピーク値をVss+Vclampにクランプする、前記クランプパスと、
前記Csnubに結合されたスナバ抵抗器Rsnub及びアクティブスイッチを含むダンピングパスであって、各正の状態変化からの遅延後、前記アクティブスイッチの閉成により、前記ダンピングパスはリセット電流Iresetを導電して前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、前記ダンピングパスと、
を含む、前記デュアルパスアクティブダンパー。
【請求項2】
スイッチング電源(SPC)は前記強制機能に供給し、前記デバイスは前記SPC内のスイッチである、請求項1に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項3】
前記クランプパスは、前記Csnub及び前記Vclampと直列でダイオードをさらに含み、各正の状態変化では、ノード電圧Vrは、Vr+Vclampを超えるまで前記定常値Vssから増加し、前記Vr+Vclampを超える時点で、前記ダイオードは前記Iclampを導電し、前記ノード電圧Vrの前記ピーク値をVss+Vclampにクランプする、請求項1に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項4】
前記デバイスは定格電圧Vratedを有し、Vss+Vclamp<Vratedである、請求項1に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項5】
前記ダンピングパスは、前記リセット電流Iresetを直列接続されたCsnub及びRsnubに通電させ、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、請求項1に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項6】
前記ダンピングパスはダイオードを含み、前記ダンピングパスは、前記リセット電流Iresetを前記直列接続されたCsnub及びRsnubに通電させ、そして前記ノード電圧Vrが前記Vssに対して負に変位する場合にのみ前記ダイオードに通電させ、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、請求項5に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項7】
前記アクティブスイッチの前記遅延及び前記閉成は、前記ノード電圧Vrの前記ピーク値の前記クランプ後に起こる、請求項5に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項8】
前記アクティブスイッチは、前記直列接続されたCsnub及びRsnubの少なくとも最小リセット期間中に閉じたままである、請求項7に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項9】
前記強制機能のその次の負の状態変化の前に前記アクティブスイッチは開く、請求項8に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項10】
前記アクティブスイッチは閉じたままになり、前記強制機能のその次の負の状態変化に重なる、請求項8に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項11】
前記アクティブスイッチの前記遅延及びオン時間は、各正の状態変化から指定された期間内にノード電圧Vrが前記定常値Vssに達することを条件として、前記Csnubに蓄積される電荷を減少させて減衰損失を減少させるように設定される、請求項8に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項12】
前記オン時間は可変であり、前記強制機能の変化に応答する、請求項11に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項13】
前記アクティブスイッチは、スナバ抵抗器Rsnubを設けるオン抵抗を有するMOSFETスイッチかGaNスイッチかいずれかを含む、請求項1に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項14】
強制機能Vsが前記強制機能の各正の状態変化で定常値Vssを中心にリンギングするデバイスのノード電圧Vrを発生させる、共振網用のデュアルパスアクティブダンパーであって、
前記ノード電圧Vrが発生するノードに結合されたスナバコンデンサCsnubと、
前記Csnubに結合されたクランプ電圧Vclampを含むクランプパスであって、前記クランプパスは各正の状態変化でクランプ電流Iclampを導電し、ノード電圧Vrのピーク値をVss+Vclampにクランプする、前記クランプパスと、
ノード電圧Vrがそのピーク値から自然に減衰する各正の状態変化からの遅延後、RCスナバを形成するために前記Csnubに結合されたスナバ抵抗器Rsnub及びアクティブスイッチを含むダンピングパスであって、前記アクティブスイッチがオン時間に閉じることにより、前記ダンピングパスはリセット電流Iresetを前記RCスナバに通電させ、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させ、前記遅延及び前記オン時間は各正の状態変化から指定された期間内に前記ノード電圧Vrが前記定常値Vssに達することを条件として前記Csnubに蓄積された電荷を減少させて減衰損失を減少させるように設定される、前記ダンピングパスと、
を含む、前記デュアルパスアクティブダンパー。
【請求項15】
前記デバイスは定格電圧Vratedを有し、Vss+Vclamp<Vratedである、請求項14に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項16】
前記ダンピングパスはダイオードを含み、前記ダンピングパスは、前記リセット電流Iresetを前記RCスナバに通電させ、そして前記ノード電圧Vrが前記Vssに対して負に変位する場合にのみ前記ダイオードに通電させ、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、請求項14に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項17】
前記アクティブスイッチの前記オン時間は可変であり、前記強制機能の変化に応答する、請求項14に記載のデュアルパスアクティブダンパー。
【請求項18】
減衰スイッチング電力コンバータ(SPC)であって、
DC入力電圧Vinの選択的印加に応答して強制機能を生成するエネルギー蓄積部(ESS)、ならびに前記DC入力電圧Vinを選択的に印加するために反対にスイッチングする少なくともスイッチS1及びS2を含むSPCであって、
前記SPCの寄生インダクタンスLpar及び寄生容量Cparは共振網を形成し、
前記強制機能は前記共振網に適用され、前記強制機能の各正の状態変化に定常値Vssを中心にリンギングするスイッチS2の両端のノード電圧Vrを発生させる、
前記SPCと、
デュアルパスアクティブダンパーであって、
前記ノード電圧Vrが発生するノードに結合されたスナバコンデンサCsnub、
前記Csnubに結合されたクランプ電圧Vclampを有するクランプパスであって、各正の状態変化でクランプ電流Iclampを導電し、ノード電圧Vrのピーク値をVss+Vclampにクランプする、前記クランプパス、ならびに
RCスナバを形成するために前記Csnubに結合されたスナバ抵抗器Rsnub及びアクティブスイッチを含むダンピングパスであって、各正の状態変化からの遅延後、前記アクティブスイッチがオン時間に閉じることにより、前記ダンピングパスはリセット電流Iresetを前記RCスナバに通電させて、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、前記ダンピングパス、
を含む、前記デュアルパスアクティブダンパーと、
を備える、前記減衰SPC。
【請求項19】
前記スイッチS2は定格電圧Vratedを有し、Vss+Vclamp<Vratedである、請求項18に記載の減衰SPC。
【請求項20】
前記ダンピングパスはダイオードを含み、前記ダンピングパスは、前記リセット電流Iresetを前記RCスナバに通電させ、そして前記ノード電圧Vrが前記Vssに対して負に変位する場合にのみ前記ダイオードに通電させ、前記ノード電圧Vrの前記リンギングを減衰させる、請求項18に記載の減衰SPC。
【請求項21】
前記アクティブスイッチの前記オン時間は可変であり、前記強制機能の変化に応答する、請求項18に記載の減衰SPC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年1月10日に出願された米国特許出願第17/572,607号に対する優先権の利益を主張するものであり、この出願は「Dual-Path Active Damper for a Resonant Network」と題され、2021年12月15日に出願された米国特許仮出願第63/289,874号に対する優先権の利益を主張するものであり、それらの全内容は参照により援用されている。
【0002】
[技術分野]
本発明は、共振回路の減衰に関し、さらに特に、リンギング波形を減衰させながら電力損失を低減させるデュアルパスアクティブダンパーに関する。
【背景技術】
【0003】
電力変換電子機器は、状態が急激に変化すると、電圧波形が急速に変化する回路を含む。これは、MOSFET、SiC及びGaN半導体に基づいた高速スイッチング素子を採用した最新の電力コンバータで特に顕著である。電圧の変化率が高いと、回路素子の相互接続に固有の共振回路が励起され、リンギング波形が発生することがある。これらのリンギング波形により、回路コンポーネントの過電圧ストレス、過度の電磁干渉(EMI)、及び電力コンバータの動作に重要な測定の乱れが起こる可能性がある。
【0004】
図1A及び図1Bは、任意のダンピングによる電圧波形の急上昇(例えば、強制機能Vs)によって駆動される共振回路100(例えば、並列接続された寄生インダクタンスLr及び寄生抵抗Rrが寄生容量Crと直列接続される)を示す。強制機能Vs102が低から高に遷移すると、ノード電圧Vr104は、結果として得られる共振応答を有し、Vrのピーク振幅はVsの2倍になり、次の共振周波数を有する:
【数1】
【0005】
DC-DCスイッチング電力コンバータ(SPC)は、エネルギー蓄積部、パルス幅変調器(PWM)などのスイッチング制御回路、一次スイッチ、及び整流器を有する。エネルギー蓄積部は、DC入力電圧の選択的印加に応答して、電流及びレギュレートされたDC出力電圧を発生させる。スイッチング制御回路、一次スイッチ及び整流器は、エネルギー蓄積部へのDC入力電圧の印加を制御して、レギュレートされたDC出力電圧の値を設定する。「バック」、「ブースト」、及び「バック/ブースト」は基本的なSPCトポロジであり、分離されて「フライバック」及び「フォワード」トポロジを提供することができる。これらは、シングルエンドまたはダブルエンド、及びシングルまたはダブルの磁気コアであることができる。
【0006】
図2A図2Cに示されるように、バックコンバータ200は、DC電圧源202、インダクタL1及びコンデンサC1を有するエネルギー蓄積部204、スイッチS1及びS2を有するスイッチング回路206、ならびにスイッチを制御するスイッチング制御回路(図示せず)を含む。スイッチS1及びS2は、反対方向にスイッチングし、DC電圧源からノード209に方形波強制機能を生成する。方形波は素子L1及びC1によってフィルタリングされ、DC出力電圧Voutを発生させる。変換関数は、ソース電圧Vgで乗算されたS1(D)のデューティサイクルに関係し、次の式が得られる。

Vout=VgD (2)
【0007】
実際の実装では、スイッチング回路のループ領域はゼロではなく、寄生インダクタンスLrが発生する。さらに、回路素子のレイアウト、ならびにスイッチS1及びS2の出力容量(Coss)により、寄生容量Crが存在する。S2が開き、S1が即時に閉じると、Vgの電圧ステップ207は、Lrの両端に現れ、ノード209のノード電圧Vr208がリンギングする。適切に設計されたコンバータのリンギング周波数は、電力コンバータの動作周波数よりもかなり高く、30~50MHz程度になることがある。
【0008】
ノード電圧Vrは、印加されたDC入力電圧Vgの2倍までリンギングする。したがって、スイッチS1及びS2は、この印加電圧ストレスに確実に耐えられる定格電圧(Vrated)を有する必要がある。一般に半導体スイッチは定格電圧が高いほど抵抗損失が大きくなるため、最小の損失及びコストを実現するには、印加する定格電圧が可能な限り低いスイッチを使用することが望ましい。さらに、リンギング波形は望ましくない高周波EMIを起こす。また電力コンバータのリンギングによって制御された動作が妨げられる可能性もある。例えば、インダクタ電流L1を感知手段(図示せず)に通して制御した場合、この感知には、リンギング波形の減衰が実行されない限り、S1がオン(D状態)である時間中にリンギングによって悪影響が与えられる。
【0009】
共振回路を減衰させるためにスナバ素子が導入されることがある。スナバ素子は、共振素子に蓄積されたエネルギーを熱に変換するような方法で損失要素を挿入する。図3に示されるように、図2に示されるタイプのバックコンバータ300には、抵抗器Rsnub及びコンデンサCsnubで構成され、通常「RCスナバ」と呼ばれる、単純なスナバ素子302が設けられる。Csnubは、DC損失を防ぐために、抵抗器Rsnubを共振電圧ノードと並列にAC結合する。実際には、CsnubはCrよりもはるかに大きくなり(通常、2~10倍)、Rsnubは通常、共振回路の特性インピーダンスに等しく設定される:
【数2】
【0010】
RCスナバの動作により、コンデンサCsnubはスイッチングサイクルごとに充放電されるため、この回路のスナバ抵抗器の電力損失は単純に一次になる:

PRsnub=CsnubVg(4)
【0011】
共振回路のノード306でのノード電圧Vr304のリンギングにスナバを使用するには効果的であるが、単純なRCスナバでは設計変更オプションが制限されており、その結果、損失式が印加電圧Vgの2乗に基づいているため、損失が著しくなる可能性がある。
【0012】
アクティブスナバ技術は、RCスナバが制御された方法で共振回路に適用されるようにタイミング設定されたアクティブスイッチを導入することで、単純なRCスナバの制限の一部を打ち消すことができる。図4A図4Cに示されるように、図2と同様のバックコンバータ400には、アクティブスナバ402が設けられる。アクティブスナバ402は、アクティブクランプ機能を形成するためにRCスナバ406(例えば、直列接続されたRsnub及びCsnub)と直列に挿入されたアクティブスイッチS3 404を含む。スイッチS3は、S1が閉じた直後に閉じ、ノード410にノード電圧Vr408を発生させ、S3はS1が開く前のある時点で開く。スイッチパターンにより、Csnubの完全な放電が防止されるため、スナバのエネルギーはスナバコンデンサのデルタ電圧(例えば、Vr-Vg)まで低下する。損失は電圧の2乗に関係するため、アクティブスナバの損失は単純なRCスナバに比べて大幅に低減することができる。
【発明の概要】
【0013】
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するための、本発明の概要である。この要約は、本発明の重要または重大な要素を特定すること、または本発明の範囲を詳細に描写することを意図していない。その唯一の目的は、本発明のいくつかの概念を、後で提示される、より詳細な説明及び特許請求の範囲の定義の序文として、簡略化された形で提示することである。
【0014】
本発明はデュアルパスアクティブダンパーを提供し、このデュアルパスアクティブダンパーは、共振回路内のリンギング波形を減衰させながら電力損失を低減させる。1つのパスは、ノード電圧のピーク値を保護対象デバイスの定格電圧未満にクランプしながら、ノード電圧がリンギングして自然に減衰することを可能にする。別のパスは、ピーク値がクランプされた後、アクティブスイッチを閉じて、リセット電流をRCスナバに引き込み、ノード電圧のリンギングをアクティブに減衰させるまで、ある程度の期間に待機する。アクティブスイッチの遅延及びオン時間は、指定された期間内にリンギング波形を減衰させるために電力損失を低減させる、またはさらに最小にするように設定される。
【0015】
実施形態では、デュアルパスアクティブダンパーは、ノードに結合された共通スナバコンデンサCsnubと、Csnub、ダイオード及びクランプ電圧を有するクランプパスと、直列接続されたCsnub及びスナバ抵抗器Rsnub及びアクティブスイッチを有するダンピングパスとを含む。共振網に適用された強制機能の各正の状態変化において、ノード電圧VrはVr+Vclampを超えるまで定常値Vssから増加し、Vr+Vclampを超える時点で、クランプパスのダイオードはIclampを導電し、ノード電圧Vrのピーク電圧をVss+Vclamp(<Vrated)にクランプする。各正の状態変化からの遅延後、アクティブスイッチが閉じることにより、ダンピングパスはリセット電流IresetをRCスナバに通電させて、ノード電圧Vrのリンギングを減衰させる。アクティブスイッチの遅延及び閉成は、ノード電圧のピーク値のクランプ後に起こり、少なくともRCスナバの最小リセット期間中に閉じたままになる。
【0016】
異なる実施形態では、アクティブスイッチは、強制機能のその次の負の状態変化に重なる前に開く、または閉じたままになり、強制機能のその次の負の状態変化に重なる。
【0017】
異なる実施形態では、アクティブスイッチの「オン時間」(閉期間)は固定されても、または可変であってもよい。可変の場合、オン時間は強制機能の変化に応答し得る。
【0018】
実施形態では、ダンピングパスはダイオードをさらに含む。ダンピングパスは、リセット電流を直列接続されたRCスナバに通電させ、ダイオードが負に変位する場合にのみダイオードにも通電させる。
【0019】
実施形態では、スイッチング電源(SPC)は強制機能に供給し、共振網を規定する。保護対象デバイスは通常、SPC内のスイッチである。
【0020】
実施形態では、システムは複数の異なる共振網またはノードを含み、これらでは、異なるデバイスを保護するために波形を減衰させる必要がある。
【0021】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せた、好ましい実施形態の次の詳細な説明から当業者に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】上述のように、A及びBは、任意のダンピングによって電圧の急上昇を起こす強制機能を受ける基本的な共振回路を説明する。
図2A】上述のように、強制機能と、リンギングして自然に減衰させるノード電圧とを提供するためのバックコンバータの使用を説明する。
図2B】上述のように、強制機能と、リンギングして自然に減衰させるノード電圧とを提供するためのバックコンバータの使用を説明する。
図2C】上述のように、強制機能と、リンギングして自然に減衰させるノード電圧とを提供するためのバックコンバータの使用を説明する。
図3A】上述のように、RCスナバがパッシブで、ノード電圧が減衰しているバックコンバータを説明する。
図3B】上述のように、RCスナバがパッシブで、ノード電圧が減衰しているバックコンバータを説明する。
図4A】上述のように、RCスナバがアクティブで、ノード電圧が減衰しているバックコンバータを説明する。
図4B】上述のように、RCスナバがアクティブで、ノード電圧が減衰しているバックコンバータを説明する。
図4C】上述のように、RCスナバがアクティブで、ノード電圧が減衰しているバックコンバータを説明する。
図5】アクティブRCスナバの一対のスイッチングパターンを説明し、その一方のケースでは、アクティブスイッチが即時に閉じてノード電圧を減衰させ、もう一方のケースでは、アクティブスイッチが遅延してノード電圧が減衰の前にリンギングすることを可能にし、電力損失が低減する。
図6A】デュアルパスアクティブダンパーを備えた共振回路の実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、RCスナバをアクティブにする前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
図6B】デュアルパスアクティブダンパーを備えた共振回路の実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、RCスナバをアクティブにする前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
図7A】デュアルパスアクティブダンパーを備えたバックコンバータの実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、減衰の前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
図7B】デュアルパスアクティブダンパーを備えたバックコンバータの実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、減衰の前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
図8】A及びBは、アクティブスイッチの遅延及びオン時間を制御するためのスイッチコントローラのブロック図及びタイミング図である。
図9】アクティブスイッチの異なる実装を示すデュアルパスアクティブダンパーを備えたバックコンバータの実施形態である。
図10】アクティブスイッチの異なる実装を示すデュアルパスアクティブダンパーを備えたバックコンバータの実施形態である。
図11A】デュアルパスアクティブダンパーを備えたフライバックコンバータの実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、ダンピング前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
図11B】デュアルパスアクティブダンパーを備えたフライバックコンバータの実施形態を示し、このデュアルパスアクティブダンパーは、ピークノード電圧を即時にクランプし、ダンピング前にノード電圧がリンギングすることを可能にし、電力損失を最小にする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
アクティブスナバは、パッシブRCスナバに比べて損失が改善されているが、ピーク電圧クランプ機能を提供しながら損失を最適化する機能を提供しない。特に、ノード電圧Vrを減衰させる前にコンバータのパフォーマンスを最適化するために、ピーク電圧が特定のレベルにクランプされている限り、設定された間隔でノード電圧Vrのリンギングを可能にするアクティブダンピング機能を有することが望ましい場合がある。ただし、アクティブスナバのスイッチの制御及びトポロジを考慮すると、スナバの損失とVrの電圧変位とが独立して制御されることができない。スイッチS3は開く、または閉じることができる。したがって、スナバ構成の損失は、Vrのピーク電圧の制御を犠牲にしなければならない。
【0024】
図5に示されるように、アクティブスナバのアクティブスイッチS3を、S1を閉じた直後に閉じると、ノード電圧Vr500が発生するが、直ぐに減衰する。アクティブスイッチS3の閉成が遅延する場合、ノード電圧Vr502はリンギングすることが可能になり、損失が最小になる。ただし、ノード電圧Vrのピーク値は、印加されたDC入力電圧の2倍まで上昇する。共振回路のピーク電圧を独立して制御しながら、制御された減衰作用を提供するアクティブスナバが必要とされている。
【0025】
本発明によれば、デュアルパスアクティブダンパーは、共振回路内のリンギング波形を減衰させながら電力損失を低減させる。1つのパスは、ノード電圧のピーク値を保護対象デバイスの定格電圧未満にクランプしながら、ノード電圧がリンギングして自然に減衰することを可能にする。別のパスは、ピーク値がクランプされた後、アクティブスイッチを閉じて、リセット電流をRCスナバに引き込み、ノード電圧のリンギングをアクティブに減衰させるまで、ある程度の遅延を待機する。クランプ及び減衰に異なる電圧を使用すると、スナバの電力損失を大幅に低減させることが可能になる。アクティブスイッチの遅延及びオン時間は、指定された期間内にリンギング波形を減衰させるために電力損失を低減させる、またはさらに最小にするように設定される。
【0026】
図6A及び図6Bに示されるように、ダンピング共振回路600は、強制機能Vs602のソース、共振回路604、及び共振回路604のノード608に結合されたデュアルパスアクティブダンパー606を含む。ソース602は、状態が急激に変化して電圧波形が急速に変化する任意のソースであり得る。SPCトポロジのいずれか1つを使用し得る。共振回路604は、スタンドアロン回路、またはソース内の回路及びノード(例えば、任意のタイプのSPC)であってもよい。波形がリンギングし、減衰させる必要があるノードが複数存在する場合がある。1つのオプションは、デュアルパスアクティブダンパー606を戦略的に配置してノードを減衰させることによって、他の下流ノードを減衰させることである。代わりに、複数のデュアルパスアクティブダンパー606を異なるノード及び共振回路に結合することもできる。
【0027】
ほとんどの共振回路では、強制機能の正の状態変化(例えば、低電圧から高電圧への変化)のみが、減衰させる必要があるリンギング波形を生成する。通常、負の状態変化は、ノードを接地電位などの負のレールまたは0ボルトにスイッチングし、0ボルトにクランプすることである。
【0028】
デュアルパスアクティブダンパー606は、ノード608に結合された共通スナバコンデンサCsnub610、クランプパス612及びダンピングパス614を含み、これらパスの両方は共通スナバコンデンサCsnub610を含む。クランプパス612は、直列Csnub610、スナバダイオードDsnub616及びクランプ電圧Vclamp618を含む。Csnubは、寄生容量のおおよそ10xであるが、ピーク電圧を維持し、消費電力を最小にするサイズに作られる。Vclampは、特異的な選択電圧、または設計に便利な電圧であることができる。例えば、Vclampは、電力コンバータの出力電圧、または内部もしくは外部バイアスレールであってもよい。ダンピングパス614は、RCスナバを形成する直列のCsnub610及びRsnub620、ならびにアクティブスイッチS1 622を含む。Rsnubは、RCスナバの時定数が共振網の期間のほぼ5~10倍になるように、共振網の特性インピーダンスに等しくなるように適切に設定され、リンギングは1~2サイクル以内に完全に減衰する。オプションとして、ダンピングパス614はダイオードを含み得ることにより、定常値に対してノード電圧Vrが負に変位する場合にのみ、減衰が起こる。減衰には時間がかかるが、損失が低減する。
【0029】
強制機能Vsの各正の状態変化では、ノード電圧Vr624は、定常値Vss(例えば、VsのスイッチングされたDC値)からVr+Vclampを超えるまで増加し、Vr+Vclampを超える時点で、ダイオード616は、順方向バイアスをかけられ、クランプ電流Iclampを導電し、このクランプ電流Iclampはノード電圧Vrのピーク電圧625をVss+Vclampにクランプする。Vrがリンギングする場合のVrの自然な減衰特性に応じて、ピークはVss+Vclamp未満に減衰するまで、1回だけまたは複数回クランプされてもよく、Vss+Vclamp未満に減衰する時点で、クランプパス自体がオフになる。保護対象デバイスの場合、Vss+Vclamp<Vratedである。Vclampを低下させると、定格電圧が低い、従って損失が少ないデバイスを使用することが可能になる。Vclampの選択は、デバイスの保護と損失の最小化との間のトレードオフである。
【0030】
各正の状態変化から時間遅延626の後、アクティブスイッチS1 622が閉じ、リセット電流Iresetを導電してノード電圧Vr624のリンギングを減衰させる。時間遅延は少なくともピーク電圧625または共振回路の約1/4サイクルを過ぎる。例えば、時間遅延は共振回路の2~4サイクルであってもよい。遅延は、損失を最小にするための強制機能の変化に基づいて「固定」されても、または「可変」であってもよい。強制機能の変化は、例えば、負荷の変化によって引き起こされる場合がある。アクティブスイッチS1の遅延及び「オン時間」(閉期間)628は、各正の状態変化から指定された期間630内にノード電圧Vrが定常値Vssに達することを条件として、電力損失を低減させる、好ましくは最小にするように設定される。一般に、損失を最小にするために、減衰させる前にできるだけ遅延させる。オン時間は、少なくともRCスナバの最小リセット期間である。通常、指定された期間が終了し、強制機能のその次の負の状態変化の前にアクティブスイッチS1が開く。ただし、場合によっては、オン時間が延長され、その次の負の状態変化に重なると、Csnubは放電する。これは、Csnubを完全または部分的に放電させるために入力電圧が異常に高くなる場合に起こることがあり、その結果、Cnsubを各サイクルで充電する必要があるため、保護対象デバイスの有効ピークノード電圧が低下することがある。これは損失を増加させるが、異常状態は通常まれで短いため、入力電圧が通常の値に戻るまでデバイスを保護することは良いトレードオフとなることができる。
【0031】
図7A及び図7Bに示されるように、バックコンバータ700にはデュアルパスアクティブダンパー702が設けられる。バックコンバータ700は、電圧Vgを供給するDC電圧源704、インダクタL1及びコンデンサC1を有するエネルギー蓄積部706、スイッチS1及びS2を有するスイッチング回路708、ならびにスイッチを制御するスイッチング制御回路(図示せず)を含む。スイッチS1及びS2は、反対方向にスイッチングし、DC電圧源からノード710に方形波強制機能を生成する。方形波は素子L1及びC1によってフィルタリングされ、DC出力電圧Voutを発生させる。バックコンバータの寄生インダクタンスLr及び寄生容量Crは共振網712を規定する。S2が開き、S1が即時に閉じると、電圧ステップが生成され、ノード710にノード電圧Vr714が発生する。制御せずに放置すると、ノード電圧Vrは印加されたDC入力電圧Vgの2倍までリンギングする。したがって、スイッチS2には定格電圧Vrated>2Vgが必要となるが、これは一般的には望ましくない。
【0032】
代わりに、デュアルパスアクティブダンパー702は、VrのピークをVg+Vout(この実施形態ではVclampはVoutである)にクランプし、Vrのピーク変位を制限し、強制機能の約3サイクルにわたってVrがリンギングして自然に減衰することを可能にする。アクティブスイッチS3は、最小の減衰損失を達成するように遅延する。したがって、デュアルパスアクティブダンパーにより、減衰の独立した制御及びピーク電圧制御が可能になり、損失が最小になり、デバイス(この場合、スイッチS2)が保護される。
【0033】
図7Bに示されるように、ノード電圧Vr714は、指定されたピーク値にクランプされ、リンギングを可能にし、その後、指定された期間内に定常値Vss=Vgまで減衰する。図3A図3Bに示されるタイプのパッシブRCスナバのノード電圧Vr720は、より高いピーク値まで上昇し、その後、急速に定常値まで減衰する。図4A図4Cに示されるタイプのアクティブRcスナバのノード電圧Vr722は、定常値まで急速に減衰する。アクティブスイッチS3は、スイッチS1の正の状態変化726の直後に閉じる(724)。ノード電圧Vr714のクランプされたピーク値は、実際にはパッシブスナバかアクティブスナバかいずれかのピーク値よりもかなり高くなることにより、デュアルパスアクティブスナバでの損失がさらに低減する。アクティブスイッチS3は、正の状態変化726から指定された遅延730後に閉じる(728)。デュアルパスアクティブスナバにより、ノード電圧Vrは、より高い値まで上昇し、一定期間リンギングする(ピーク電圧<Vratedにクランプしながら)ことが可能になる。デュアルパスアクティブスナバのデルタVは、既知のアクティブスナバのデルタVよりも小さくなる。その結果、Vrを減衰させるために必要な総電力損失は、パッシブRCスナバかアクティブRCスナバかいずれかよりも大幅に少なくなる。所与のケースでは、相対的な電力損失は回路トポロジ、共振網、負荷、及び強制機能に大きく依存する。つまり、デュアルパスアクティブスナバの電力損失がアクティブスナバの電力損失の4分の1から3分の1になると予想され得る。
【0034】
例として、強制機能及びデュアルパスアクティブスナバの応答のサイクルを説明する。回路が負の状態(S1 OPEN、S2 CLOSED、S3 OPEN)にあり、ノード電圧Vrが0ボルトの接地電位である定常状態に達していると仮定する。電圧VCsnubはVgである。Csnub、Rsnub及びDsnubの接合部での電圧は-Vgである。
【0035】
OPEN S2、CLOSE S1で、強制機能に正の状態変化が起こる。Lr及びCrの共振回路は共振を開始し、Vrは0Vから開始し、ダイオードDsnubが順方向バイアスをかけられると、2Vgに向かい共振し、クランプパスがアクティブになる。Vrの第1ピーク(>Vg+Voutと仮定)がクランプされる。追加のピークは、強制機能、Vclamp、及びノード電圧Vrの自然な減衰に応じてクランプされても、またはされなくてもよい。
【0036】
遅延後、CLOSE S3で、ダンピングパスをアクティブにして、リセット電流をCsnub及びRsnubに引き込み、ノード電圧Vrを減衰させてVgに等しくする。ダンピングパスは、クランプパスによってCsnubに与えられた追加の電荷をすべて引き込み、Rsnubで放散させる。VRsnubは、Vr(ここではVg)とVCsnubとの間の差であり、定常状態ではゼロになる。この「デルタ」は、既知のアクティブスナバに対応するデルタよりも小さく、電力損失を表す。定常段階では、Vr=Vg、VCsnub=Vg、VRsnub=0であり、リセット電流はゼロで、S3はOPENである。
【0037】
強制機能のその次の負の状態変化では、CLOSE S2及びOPEN S1(S3を開いたまま)で、Vrを0電圧の接地電位まで駆動する。VCsnubは+Vgで充電されたままになる。その次の正の状態変化では、このプロセスが繰り返される。
【0038】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、スイッチコントローラ800の実施形態は、正の状態変化コマンド803を受信する遅延部802、タイマー804、及びデュアルパスアクティブスナバ内のアクティブスイッチを駆動するためのコマンド808を生成するスイッチドライバ806を含む。正の状態変化コマンド803は、強制機能(例えば、SPC)の正の状態変化に基づいたスイッチコントローラのアクティブ入力である。コマンドは、強制機能を駆動するクロック信号の関数、またはノード電圧Vrの立ち上がりエッジの関数であってもよい。
【0039】
T1はコマンド信号の時間に等しくなる。
【0040】
T_delayはコマンド信号からの時間オフセットであり、遅延調整の関数である。
【0041】
遅延調整は、遅延量を制御し、コンバータの動作ポイント(すなわち、入力電圧、出力電圧、出力電力)の関数であり得る。
【0042】
T_timerは、アクティブスイッチがオンに命令される時間であり、タイマー調整の関数である。
【0043】
タイマー調整は、アクティブスイッチのオン時間を制御し、コンバータの動作ポイント(すなわち、入力電圧、出力電圧、出力電力)の関数であり得る。
【0044】
T_timerは、コンバータの動作ポイント(すなわち、入力電圧、出力電圧、出力電力)に基づいて、T1より小さくなっても、またはT1より大きくなってもよい。
【0045】
固定か可変かにかかわらず、T_delay及びT_timerは、減衰による電力損失を低減させる、または最小にするように設定される。
【0046】
デュアルパスアクティブダンパーには、リセットパスまたはクランプパスのアクティブスイッチと、固有の逆並列導電素子を有するMOSFETまたはGaN FETなどの非理想的なスイッチとが実装されることができる。図9に示されるように、ダンピングバックコンバータ900では、デュアルパスアクティブダンパーのアクティブスイッチS3には、クランプパス及びダンピングパスの両方にあるNチャネルMOSFETまたはGaNスイッチ902が実装され、NチャネルMOSFETの逆並列固有ボディダイオードまたはGaN FETの逆チャネル導電モードが利用されて、S3がオフである場合、クランプパス接続性がもたらされる。ダンピングパスは、クランプ間隔中にクランプ電流がRsnubを通り流れることを防止するためのブロッキングダイオードD2 904を必要とする。ダイオードD2は、ノード電圧Vrの負の変位に対する減衰を制限する。図10に示されるように、ダンピングバックコンバータ1000では、アクティブスイッチS3には、ダンピングパスのみに配置されたPチャネルMOSFET1002が実装される。PチャネルデバイスD2 1004の逆並列ボディダイオード極性により、クランプ間隔中にクランプ電流がRsnubに流入することが防止される。D2は、クランプパスの適切な動作に必要であり、そのうえノード電圧VrがVgを下回る負の変位に対する減衰を制限する。これにより、Vrを減衰させるために必要なオン時間が増加するが、損失は低減する。
【0047】
どちらの実施形態でも、Rsnubとして機能するオン状態抵抗(Rds_on)を有するMOSFETまたはGaNスイッチを選択し得る。したがってRsnubはアクティブスイッチに組み込まれる。より一般的には、Rsnubはディスクリート抵抗素子であっても、またはアクティブスイッチのオン状態抵抗であってもよい。
【0048】
デュアルパスアクティブダンパーは、例としてバックコンバータ、そして比較のために既知のパッシブスナバ及びアクティブスナバ上に示された。あらゆる共振網をクランプして減衰させるために適用されることができる。
【0049】
図11Aに示されるように、フライバックコンバータ1100には、プライマリスイッチS1の上部のノード1106及び出力整流器D1の上部のノード1108にある、図10で実装された一対のデュアルパスアクティブダンパー1102及び1104が設けられる。代わりに、一次側のみ、または二次側のみにダンピングが設けられてもよい。フライバックコンバータ1100は、DC電圧源1110、トランスT1、一次スイッチS1、整流器D1、及び出力コンデンサC1を含む。一次共振網は、トランスT1の漏れインダクタンスLk、及びスイッチS1の出力容量(Coss)を含む。二次共振網は、漏れインダクタンスLk(トランスT1を介して反射される)及び整流器の寄生容量CD1を含む。
【0050】
一次側の場合、デュアルパスアクティブダンパー1102は、共通スナバコンデンサCsnub2と、Csnub2、ダイオードDsnub2及びVgとして示されるクランプ電圧(他の任意の電圧であってもよいが、Vgが簡便であり、エネルギーをリサイクルしてVgに戻す)を有するクランプパスと、Csnub2、Rsnub2、アクティブスイッチS4(PチャネルMOSFET)及びダイオードD3を有するダンピングパスを含み、このダイオードD3は、PチャネルMOSFETによるクランプパスの適切な動作に必要であり、ノード1106でのVr2の負の変位に対する減衰を制限する。フライバックの一次側のクランプは、トランスの励磁電流を第1象限に維持することを可能にするアクティブクランプ機能を提供するため、パッシブ整流器(またはダイオードをエミュレートするアクティブ整流器)によって動作するフライバックコンバータにとって特に興味深いものである。これは、従来技術のアクティブクランプでは不可能な、コンバータを強制不連続モードに保つことによって電力を低減させるという利点を有する。
【0051】
二次側の場合、デュアルパスアクティブダンパー1104は、共通スナバコンデンサCsnub1と、Csnub1、ダイオードDsnub1及びVoutとして示されるクランプ電圧(他の任意の電圧であってもよいが、これも簡便であるため)を有するクランプパスと、Csnub1、Rsnub1、アクティブスイッチS3(PチャネルMOSFET)及びダイオードD2を有するダンピングパスを含み、このダイオードD2は、PチャネルMOSFETによるクランプパスの適切な動作に必要であり、ノード1108でのVr1の負の変位に対する減衰を制限する。
【0052】
フライバックコンバータでは、スイッチS1を閉じる場合、トランスT1は結合インダクタのように機能し、整流器D1の両端に電圧Vg+Vout(T1全体の巻数比が1であると仮定)を印加する。これにより、トランスT1のエアギャップ及び励磁インダクタンスにエネルギーが蓄積される。Voutは出力コンデンサC1の電圧によってサポートされる。スイッチS1を開くと、整流器ダイオードD1は電流を導電してトランスT1に蓄積されたエネルギーを伝達し、出力コンデンサC1に電流を送達してVoutをサポートし、前の半サイクルで使用された電荷を回復してVoutをサポートする。
【0053】
図11Bに示されるように、S1がHIGH(ONまたはCLOSED)にスイッチングしてトランスT1を充電させると、トランスT1の両端に電圧Vgが印加されることにより、Lk及びCD1の二次共振回路は共振し、ノード電圧Vr1はリンギングする。デュアルパスアクティブダンパー1104はVr1をクランプし、遅延後にS3をHIGHにスイッチングしてVr1を減衰させる。S1がLOW(OFFまたはOPEN)にスイッチングしてT1を放電させると、Lk及びCossの一次共振網は共振し、ノード電圧Vr2はリンギングする。デュアルパスアクティブダンパー1102はVr2をクランプし、遅延後にS4をHIGHにスイッチングしてVr2を減衰させる。
【0054】
本発明の幾つかの例示的な実施形態が示され説明されたが、当業者は多数の変形例及び代替の実施形態を考えつくであろう。そのような変形例及び代替の実施形態が企図されており、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく作られ得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
【国際調査報告】