(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】自立型ストリップライン構造
(51)【国際特許分類】
H01P 3/08 20060101AFI20241114BHJP
H01P 5/02 20060101ALI20241114BHJP
H01P 1/203 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01P3/08 201
H01P5/02 603E
H01P1/203
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534676
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022049261
(87)【国際公開番号】W WO2023113940
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ファヴロー,チャニング,ペイジ
【テーマコード(参考)】
5J006
5J014
【Fターム(参考)】
5J006HB04
5J006JA01
5J006JA02
5J006JA04
5J006LA02
5J006LA09
5J006LA15
5J006LA21
5J006NA08
5J006NE13
5J006PA01
5J006PA03
5J014CA05
5J014CA44
5J014CA54
(57)【要約】
スタブを有する中心導体を含む自立型ストリップライン構造のための方法及び装置。対向する第1及び第2の接地面が、中心導体が配置される空洞を形成する。対向する第1及び第2の側方構造が空洞の側面を囲む。スタブのうちの第1のスタブが第1の側方構造に接続されて、中心導体を空洞内の所定の位置に固定する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
ストリップライン構造を含み、前記ストリップライン構造は、
スタブを有する中心導体と、
空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、前記中心導体は前記空洞内に配置される、前記第1及び第2の接地面と、
対向する第1及び第2の側方構造であって、前記第1の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第1の側面を囲み、前記第2の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第2の側面を囲む、前記第1及び第2の側方構造と、を含み、
前記スタブのうちの第1のスタブは前記第1の側方構造に接続されて、前記中心導体を前記空洞内の所定の位置に固定する、システム。
【請求項2】
前記スタブのうちの前記第1のスタブは、前記第1の側方構造に電気的に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スタブのうちの第2のスタブは前記第2の側方構造に接続されて、前記中心導体を前記空洞内の所定の位置に固定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スタブのうちの前記第2のスタブは、前記第2の側方構造に電気的に接続される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2の接地面と前記第1及び第2の側方構造とは同じ材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記材料はアルミニウムである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ストリップライン構造は鋳造される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ストリップライン構造はプリントされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記空洞内の誘電体材料は空気である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記スタブの数、前記スタブの位置、及び前記スタブの形状が、前記ストリップライン構造の周波数応答を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記スタブのうちの前記第1のスタブと前記第1の側方構造との接続が、熱放散経路を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記ストリップライン構造によって接続された第1及び第2の電気デバイスをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムはアンテナ素子を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
方法であって、前記方法は、
ストリップライン構造を使用して第1の電気デバイスを第2の電気デバイスに接続することを含み、前記ストリップライン構造は、
スタブを有する中心導体と、
空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、前記中心導体は前記空洞内に配置される、前記第1及び第2の接地面と、
対向する第1及び第2の側方構造であって、前記第1の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第1の側面を囲み、前記第2の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第2の側面を囲む、前記第1及び第2の側方構造と、を含み、
前記スタブのうちの第1のスタブは前記第1の側方構造に接続されて、前記中心導体を前記空洞内の所定の位置に固定する、方法。
【請求項15】
同軸ケーブルまたは導波管を前記ストリップライン構造と置き換えることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の電気デバイスは回路基板を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、前記方法は、
ストリップライン構造を用意することであって、
スタブを有する中心導体と、
空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、前記中心導体は前記空洞内に配置される、前記第1及び第2の接地面と、
対向する第1及び第2の側方構造であって、前記第1の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第1の側面を囲み、前記第2の側方構造は、前記第1及び第2の接地面から延びて前記空洞の第2の側面を囲み、前記スタブのうちの第1のスタブは前記第1の側方構造に接続されて、前記中心導体を前記空洞内の所定の位置に固定する、前記第1及び第2の側方構造と、を含む、前記用意することと、
前記ストリップライン構造の所定の周波数応答に対して前記スタブの数を選択することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記ストリップライン構造の前記所定の周波数応答に対して前記スタブの位置を選択することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ストリップライン構造の前記所定の周波数応答に対して前記スタブの長さを選択することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ストリップライン構造の前記所定の周波数応答に対して前記スタブの幅を選択することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
当該技術分野で知られているように、ある電子部品を別の電子部品に相互接続するための多種多様な接続技術が存在する。接続タイプ例としては、同軸ケーブル、ストリップライン、マイクロストリップ、導波管などが挙げられる。各接続タイプには、動作周波数、接続長さ、コスト、サイズ、パワー処理などの種々のパラメーターに基づいて利点及び欠点がある。
【0002】
より高い周波数の需要が高まるにつれて、相互接続が制限要因になり得る。たとえば、アクティブ電子走査アレイ(AESA)の動作周波数が増加し、パッケージ全体のサイズが小さくなると、相互接続がパッケージ全体のサイズに対する重要な検討事項になり得る。ケーブルサイズをできる限り小さくする試みがなされているが、損失が増加し、パワー処理が低下する。コネクタサイズを小さくすると損失が増える場合があるが、比較的大きいままである場合もある。一体型導波管には、いくつかの利点があり得るが、比較的かさばる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態例によって、側方基板に接続された一連のスタブによって自立し、所望の周波数性能特性も達成するストリップライン構成のための方法及び装置が提供される。この配置により、ストリップライン構造は、複数の周波数帯域において良好に機能することができ、導波管よりも大幅に小さくすることができる。いくつかの実施形態では、自立型ストリップライン実施形態を既存の構造に組み込んで、ケーブルの必要性をなくすことができる。加えて、ストリップラインスタブにより、アセンブリに対する熱放散特性が向上し得る。
【0004】
一態様では、システムは、ストリップライン構造を含み、ストリップライン構造は、スタブを有する中心導体と、空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、中心導体は空洞内に配置される、第1及び第2の接地面と、対向する第1及び第2の側方構造であって、第1の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて空洞の第1の側面を囲み、第2の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて、空洞の第2の側面を囲む、第1及び第2の側方構造と、を含み、スタブのうちの第1のスタブは第1の側方構造に接続されて、中心導体を空洞内の所定の位置に固定する。
【0005】
システムはさらに、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。スタブのうちの第1のスタブは第1の側方構造に電気的に接続される;スタブのうちの第2のスタブは第2の側方構造に接続されて、中心導体を空洞内の所定の位置に固定する;スタブのうちの第2のスタブは第2の側方構造に電気的に接続される;第1及び第2の接地面と第1及び第2の側方構造とは同じ材料を含む;材料はアルミニウムである;ストリップライン構造は鋳造される;ストリップライン構造はプリントされる;空洞内の誘電体材料は空気である;スタブの数、スタブの位置、及びスタブの形状が、ストリップライン構造の周波数応答を決定する;スタブのうちの第1のスタブと第1の側方構造との接続が、熱放散経路を提供する;システムは、ストリップライン構造によって接続された第1及び第2の電気デバイスをさらに含み、及び/またはシステムはアンテナ素子を含む。
【0006】
別の態様では、方法は、ストリップライン構造を使用して第1の電気デバイスを第2の電気デバイスに接続することであって、ストリップライン構造は、スタブを有する中心導体と、空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、中心導体は空洞内に配置される、第1及び第2の接地面と、対向する第1及び第2の側方構造であって、第1の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて空洞の第1の側面を囲み、第2の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて空洞の第2の側面を囲む、第1及び第2の側方構造と、を含む、接続することを含み、スタブのうちの第1のスタブは第1の側方構造に接続されて、中心導体を空洞内の所定の位置に固定する。
【0007】
本方法はさらに、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。同軸ケーブルまたは導波管をストリップライン構造と置き換える、第1及び第2の電気デバイスは回路基板を含む。
【0008】
さらなる態様では、方法は、ストリップライン構造を用意することであって、スタブを有する中心導体と、空洞を形成する対向する第1及び第2の接地面であって、中心導体は空洞内に配置される、第1及び第2の接地面と、対向する第1及び第2の側方構造であって、第1の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて空洞の第1の側面を囲み、第2の側方構造は、第1及び第2の接地面から延びて空洞の第2の側面を囲み、スタブのうちの第1のスタブは第1の側方構造に接続されて、中心導体を空洞内の所定の位置に固定する、第1及び第2の側方構造と、を含む、用意することと、ストリップライン構造の所定の周波数応答に対してスタブの数を選択することと、を含む。
【0009】
方法はさらに、ストリップライン構造の所定の周波数応答に対してスタブの位置を選択すること、ストリップライン構造の所定の周波数応答に対してスタブの長さを選択すること、及び/またはストリップライン構造の所定の周波数応答に対してスタブの幅を選択することを含むことができる。
【0010】
本開示の前述の特徴、ならびに本開示自体は、図面の以下の記述からより十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】自立型ストリップライン実施形態の等角図である。
【
図1C】
図1Aのストリップライン実施形態を寸法例とともに示す図である。
【
図2A】ストリップライン実施形態例及び比較可能な従来の導波管の周波数応答のグラフ表現である。
【
図2B】ストリップライン実施形態例に対するモードS(1,1)及びモードS(2,1)周波数応答のグラフ表現である。
【
図3】Aは、寸法例を伴うストリップライン実施形態例の等角図であり、Bは、
図Aのストリップライン実施形態の断面等角図である。
【
図4】一連のブロックを有するストリップライン実施形態例の等角図である。
【
図5】3Dプリントされたストリップライン実施形態例の図的表現である。
【
図6】第1及び第2の回路基板を接続する自立型ストリップライン構造を示す概略図である。
【
図7】第1の回路基板と第2の回路基板との間の従来の同軸接続の概略図である。
【
図8】入力パラメーターのセットから周波数応答例を達成するためのストリップライン構成例を決定するための一連のステップ例を示すフロー図である。
【
図9】本明細書に記載の処理の少なくとも一部を実行することができるコンピューター例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態例を説明する前に、いくつかの情報を提供する。ストリップライン回路は、通常は平行な接地面間の伝導性ストリップを含む。伝導性ストリップは、誘電体を形成する絶縁材料によって囲まれて支持され得る。厚さ及び基板の誘電率などの伝導性ストリップの特性によって、伝送線路を形成する伝導性ストリップの特性インピーダンスが決定される。接地面は、不要なモードの伝搬を防止するために、伝導性ビアなどによって共に短絡される。ストリップライン回路は非分散性であり、優れたトレース分離特性と強化されたノイズ耐性とをもたらす。ストリップライン導体の実効誘電率は、基板内でのみ波動伝搬があるため、誘電体基板の比誘電率に等しい。
【0013】
チューニングスタブを、ある特定の性能特性を実現するためにストリップライン回路内で使用してもよい。スタブは、伝送線路または導波管であって、一端でのみ接続され、開回路のままであってもよいし、または短絡回路のままであっても、すなわち接地に接続してもよい伝送線路または導波管の長さを指す。伝送線路の損失を無視すると、チューニングスタブの入力インピーダンスは実質的にリアクタンス性である。すなわち、スタブは、スタブの電気的長さ及びその接続(開回路または短絡回路)に依存して、容量性または誘導性である。スタブは、周波数依存性キャパシタ及び周波数依存性インダクタと考えられ得る。
【0014】
図1A及び1Bに、ストリップライン構造例100を示す。ストリップライン構造例100は、一連のスタブ106によって側方基板104a、bに機械的に取り付けられた中心導体102を有する。スタブ106は、中心導体102を空洞108内で機械的に支持する。実施形態では、第1及び第2の接地面110、112は互いに対向し、空洞108の側面を規定する。
【0015】
本明細書で使用する場合、自立型ストリップラインとは、中心導体が、空洞内の誘電体材料に依存することなく、基板に対する機械的支持によって空洞内の所定の位置に固定されるストリップライン構造を指す。
【0016】
実施形態では、スタブが中心導体を所定の位置に固定するため、空気が空洞内の誘電体となることができる。他の実施形態では、誘電液体などの流体が、固体状態への遷移の有無にかかわらず、空洞の全部または一部を満たすことができる。
【0017】
実施形態では、スタブ106の少なくとも一部が基板104bに電気的に接続され(すなわち、短絡され)、周波数応答の調整とともに中心導体に対する機械的支持をもたらす。いくつかの実施形態では、スタブは、開回路であっても(すなわち側方基板104に電気的に接続されていなくても)よいが、誘電接着剤などによって側方基板に構造的に接続されてもよい。
【0018】
特定の用途のニーズを満たすために、任意の組み合わせでの側方基板への機械的及び/または電気的接続の任意の好適な構成における任意の実用的な数のスタブを使用できることが理解される。たとえば、一部のスタブは機械的接続のみを提供してもよく、一部のスタブは電気的接続のみ(開回路または短絡回路、しかし機械的接続はない)を提供してもよく、一部のスタブは機械的接続と電気的接続の両方を提供してもよい。加えて、各スタブは、特定の用途のニーズを満たすために、他のスタブに対して固有のパラメーターを有していてもよい。実施形態例では、どんな種類のスタブ対称性も、個々のスタブもしくは数または中心導体の両側のスタブの構成に対して必要とされない。また、中心導体は、図示では、平坦で細長いが、中心導体は、特定の用途のニーズを満たすように構成された任意の形状を有することができることが理解される。
【0019】
図1Cに、
図1Aの自立型ストリップライン構成に対する寸法例を示す。寸法は、図の1つ以上において図示されている場合があるが、寸法は、例示的な実施形態の理解を容易にするための値の例であり、決して限定であると解釈してはならないことが理解される。
【0020】
図2Aは、自立型ストリップライン実施形態200の実施形態例と、カットオフ周波数204を有する比較可能な従来の導波管202とに対する、モードS(1,2)周波数応答対dBのグラフ表現である。図から分かるように、例示した実施形態では、自立型ストリップライン実施形態200は、マルチバンド性能をもたらすために多数の周波数帯域206を有している。
【0021】
図2Bは、自立型ストリップライン実施形態200の実施形態例に対する、モードS(1,2)200及びモードS(1,1)250の周波数応答対dBのグラフ表現である。
図2AのモードS(1,2)周波数応答200が、モードS(1,1)応答とともにさらに詳細に示されている。
【0022】
図3A及び3Bに、寸法例を有するさらなる自立型ストリップライン実施形態300を示す。自立型ストリップライン実施形態300は、
図1A~1Cの実施形態100とは異なる周波数応答を有することが理解される。図から分かるように、幅0.53インチは、
図1A~1Cの実施形態100の幅0.18インチよりも大きい。中心導体の幅もより広い。自立型ストリップライン実施形態300は、Xバンド応用例に適している場合があり、完全なストリップライン用に組み立てることができるブロックを提供し得る。
図4に、所望の長さを実現するために互いに接続される自立型中心導体402を有する一連の自立型ストリップラインブロック400を示す。
図5に、3Dプリントされた自立型ストリップライン実施形態500の実施形態例を示す。
【0023】
ブロックは、どんな実用的な量においても良好に機能するようにデザインされていることが理解される。すなわち、構築ブロックは、良好に機能するようにいったんデザインされ、その後の最適化またはデザインの有無にかかわらず、任意の数の構築ブロックを組み合わせて一続きにして同様の性能を実現することができる。
【0024】
図6に、第1の回路基板602を第2の回路基板604に接続する自立型ストリップライン実施形態例600を示す。例示した実施形態では、接続をより良好に示すために、上部の回路基板604の一部を取り除いてある。上部及び/または下部回路基板602、604は、自立型ストリップライン実施形態600への接続を容易にするために、3Dプリントされたアルミニウムハウジングなどの適切な構造606によって支持してもよい。実施形態では、自立型ストリップライン実施形態は、3Dプリントされたハウジング606と一体でプリントされる。
【0025】
図7に、第1の回路基板及び第2の回路基板704、706の間に同軸ケーブル接続702を有する従来技術のアセンブリ700を示す。良く知られているように、同軸ケーブル702の各端部には別個のコネクタが必要である。
【0026】
実施形態では、自立型ストリップライン実施形態600は、たとえば、高度に統合されたRFサブアセンブリ内の既存のケーブルアセンブリ702と置き換わることができる。
【0027】
実施形態では、多数のパラメーターを、所望の性能特性に対して選択して最適化することができる。自立型ストリップライン構造に対する入力パラメーター例には、スタブの数、スタブの位置、スタブの長さ、スタブの幅、スタブの厚さなどが含まれる。性能特性例には、周波数帯域及び幅などの周波数応答が含まれる。
【0028】
図8に、所望の周波数応答を達成するために、入力パラメーターのセットに対する最適化を使用して自立型ストリップライン構造を生成するための一連のステップ例を示す。ステップ800では、自立型ストリップライン構造に対する入力パラメーターのセットを選択する。パラメーター例には、スタブの数、スタブの位置、スタブの長さ、スタブの幅、スタブの厚さ、スタブの数などが含まれる。当然のことながら、特定の用途のニーズを満たすために、任意の実用的な数のスタブパラメーターを選択することができる。
【0029】
ステップ802では、選択したパラメーターを、所定の値によって初期化してもよい。ステップ804では、自立型ストリップライン構造に対する所望の周波数応答を受け取ってもよい。ステップ806では、最適化プロセスを実行して、所望の周波数応答と比較するためにパラメーターのセットを順次変更する。好適な市販のプログラムは、当該技術分野において良く知られている。最適化プログラムの一例は、Keysight Advanced Design System、最適化ツールによって提供される。
【0030】
任意選択のステップ808では、さらなるパラメーターを、ステップ806におけるさらなる最適化の前に追加してもよい。たとえば、第1のセットのパラメーターを使用して、自立型ストリップライン構造に対する粗い構成を実現してもよく、第2のセットのパラメーターを使用して、自立型ストリップライン構造の構成を微調整してもよい。任意選択のステップ810では、パラメーターのうちの1つ以上を、ステップ806におけるさらなる最適化の前に、何らかの方法で変更してもよい(重み付けをより重くするまたは小さくするなど)。ステップ812では、自立型ストリップライン構造に対する出力構成を、製造用に出力することができる。
【0031】
アルミニウム及び銅などの金属を含む、自立型ストリップライン構造例に対する任意の好適な材料を使用できることが理解される。さらに、空気、誘電性流体などの任意の好適な誘電体材料を使用できることが理解される。ストリップラインは自立型であるため、誘電体が構造支持体として機能する必要はない。これにより、気体(たとえば、空気、アルゴン、窒素など)、液体(液体窒素、水、シリコーン、オイルなど)、粉末(たとえば、粉末テフロン(登録商標)、粉末ウルテムなど)、発泡体(開放気泡または独立気泡など)などの非構造誘電体の使用が可能になる。加えて、たとえばエポキシ樹脂などの固体誘電体を、自立型ストリップラインに鋳造することも、または機械加工して所定の位置に圧入することもできる。
【0032】
実施形態では、スタブから側方基板への機械的接続によって、熱放散経路が提供される。
【0033】
図9に、本明細書に記載の処理の少なくとも一部を実行できる典型的なコンピューター900を示す。たとえば、コンピューター900は、
図6におけるステップなどの選択された周波数応答を達成するために、自立型ストリップライン構成に対する入力パラメーターのセットに対する最適化を実行する処理の少なくとも一部を実行することができる。コンピューター900には、プロセッサ902、揮発性メモリ904、不揮発性メモリ906(たとえば、ハードディスク)、出力デバイス907、及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)908(たとえば、マウス、キーボード、ディスプレイなど)が含まれる。不揮発性メモリ906は、コンピューター命令912、オペレーティングシステム916、及びデータ918を記憶する。一例では、コンピューター命令912は、プロセッサ902によって揮発性メモリ904から実行される。一実施形態では、物品920は非一時的なコンピューター可読命令を含む。
【0034】
処理は、ハードウェア、ソフトウェア、またはその2つの組み合わせにおいて実施してもよい。処理は、プロセッサ、プロセッサによって読取可能な記憶媒体または他の製造品(揮発性及び不揮発性メモリ及び/または記憶要素を含む)、少なくとも1つの入力デバイス、及び1つ以上の出力デバイスをそれぞれ含むプログラム可能なコンピューター/マシン上で実行されるコンピュータープログラムにおいて実施してもよい。プログラムコードを、入力デバイスを使用して入力されたデータに適用して、処理を実行し、出力情報を生成してもよい。
【0035】
システムは、データ処理装置(たとえば、プログラマブルプロセッサ、コンピューター、または複数のコンピューター)によって実行されるために、またはその動作を制御するために、少なくとも部分的に、コンピュータープログラム製品、(たとえば、機械可読な記憶デバイス内)を介して、処理を実行することができる。このようなプログラムはそれぞれ、コンピューターシステムと通信するための高水準の手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語で実装してもよい。しかし、プログラムはアセンブリまたは機械語で実装してもよい。言語は、コンパイル型言語またはインタープリタ型言語であってもよく、スタンドアロンプログラムまたはモジュールとして、コンポーネント、サブルーチン、または他のユニットであってコンピューティング環境での使用に適したものを含む任意の形式で展開してもよい。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上で実行してもよいし、または1つの現場にあるか、または複数の場所にわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピューター上で実行されるように展開してもよい。コンピュータープログラムは、汎用または専用のプログラム可能なコンピューターによって読取可能な記憶媒体またはデバイス(たとえば、RAM/ROM、CD-ROM、ハードディスク、または磁気ディスケット)上に記憶して、記憶媒体またはデバイスがコンピューターによって読み取られるとコンピューターを構成及び操作するようにしてもよい。
【0036】
また処理は、コンピュータープログラムによって構成された機械可読記憶媒体として実装してもよく、実行されると、コンピュータープログラム内の命令によってコンピューターが動作する。
【0037】
処理は、システムの機能を実行するための1つ以上のコンピュータープログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行してもよい。システムの全部または一部は、特殊用途論理回路(たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、汎用グラフィカル処理ユニット(GPGPU)、及び/またはASIC(特定用途向け集積回路))として実装してもよい。
【0038】
本開示の例示的な実施形態を説明してきたが、当業者には、それらの概念を組み込んだ他の実施形態も使用し得ることが明らかになるであろう。本明細書に含まれる実施形態は、開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ限定されるべきである。本願明細書において引用されるすべての出版物及び参照文献は、その全体が参照によって本願明細書に明示的に組み込まれているものとする。
【0039】
本願明細書において記載されている異なる実施形態の要素を組み合わせて、具体的に上記に記載されていない他の実施形態を形成してもよい。単一の実施形態の文脈で記載されている様々な要素は、別々に、または任意の適切な下位の組み合わせでも提供してもよい。本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態も、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【国際調査報告】