(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】超伝導回路における伝送ライン
(51)【国際特許分類】
H10N 60/12 20230101AFI20241114BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
H10N60/12 Z
H10N60/10 K ZAA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535194
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 FI2021050877
(87)【国際公開番号】W WO2023111379
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519394241
【氏名又は名称】アイキューエム フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レビーナ、ユッカ
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC45
4M113AC50
(57)【要約】
本開示は、超伝導回路と超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備えるデバイスについて記載している。超伝導回路は、回路共振器と、回路コネクタと回路共振器との間に結合された伝送ラインとを備える。伝送ラインの長さは、伝送ラインを介して回路共振器に駆動信号が印加されたときに回路コネクタと伝送ラインとの間を通過する電流が略ゼロになるような長さである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導回路と前記超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備えるデバイスであって、前記超伝導回路が、
ターゲット共振周波数を有する回路共振器と、
第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインであって、前記第1の端部が前記回路共振器に結合され、前記第2の端部が前記回路コネクタに結合されている、伝送ラインと、を備え、
前記伝送ラインが光の特有の実効速度を有し、
前記伝送ラインが開放伝送ラインであり、前記伝送ラインの前記第1の端部が前記回路共振器に容量結合され、前記伝送ラインの長さが(N
*L)/2に略等しく、式中、Nが正の整数であり、Lが光の前記実効速度を前記ターゲット共振周波数で割った値に等しいことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記伝送ラインがコプレーナ導波路である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記伝送ラインが蛇行形状を有する、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
超伝導回路と前記超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備えるデバイスであって、前記超伝導回路が、
ターゲット共振周波数を有する回路共振器と、
第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインであって、前記第1の端部が前記回路共振器に結合され、前記第2の端部が前記回路コネクタに結合されている、伝送ラインと、を備え、
前記伝送ラインが光の特有の実効速度を有し、
前記伝送ラインが短絡伝送ラインであり、前記伝送ラインの前記第1の端部が前記回路共振器に誘導結合され、前記伝送ラインの長さが(N
*L)/2-(L/4)に略等しく、式中、Nが正の整数であり、Lが光の前記実効速度を前記ターゲット共振周波数で割った値に等しいことを特徴とする、デバイス。
【請求項5】
前記伝送ラインがコプレーナ導波路である、請求項4記載のデバイス。
【請求項6】
前記伝送ラインが蛇行形状を有する、請求項4または5記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超伝導回路に関し、特に共振回路素子を含む超伝導回路に関する。本開示はさらに、共振回路素子を外部回路に接続する伝送ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
電気共振を示す素子は、たとえば量子コンピュータにおける量子ビットを実現するために、超伝導回路で一般的に使用される。このような回路共振器は、たとえば、従来の1/4波長または1/2波長の伝送ライン共振器であり得るか、またはジョセフソン接合と結合された容量性および誘導性のコンポーネントからなり得る。
【0003】
回路共振器は、一般的に、回路が設計されるときに決定され得る既知のターゲット周波数を有する。回路共振器を含む超伝導回路が動作させられるとき、外部回路で生成された駆動信号が、超伝導回路における伝送ラインを介して共振器に送信され得る。駆動信号周波数が回路共振器の既知の共振周波数と一致する場合、その信号は共振器を動作状態に設定する。
【0004】
同じ超伝導回路に属する回路共振器は、好ましくは、ほとんどの用途において互いに独立して動作するべきである。そのため、多くの場合、各回路共振器に個別の伝送ラインを割り当てる必要がある。そうすると、その動作は、理想的には同じ超伝導回路における他の共振器に送信される駆動信号による影響を受けない。
【0005】
個々の量子ビット専用の伝送ラインを備えた超伝導回路は、先行技術から知られている。このような回路に共通する問題は、駆動信号が各ラインにおいて生成する強力な電界により伝送ライン間に大きなクロストークが発生することである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、超伝導回路におけるクロストークの問題を簡単な方法で軽減する装置を提供することである。本開示の目的は、独立請求項の記述内容により特徴付けられる構成によって達成される。本開示の好ましい実施形態は従属請求項に開示されている。
【0007】
本開示は、伝送ラインを取り囲む電界が伝送ラインからの距離に応じて急速に減少するような方法で伝送ラインの長さを選択するという考えに基づいている。本開示の構成の利点は、同じ超伝導回路における他の共振器に影響を与えることなく、駆動信号を所望の共振器に効果的に供給することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下において、本開示は、添付の図面を参照して好ましい実施形態によってより詳細に説明される。
【0009】
【
図1c】容量結合された開放伝送ラインを例示する。
【
図1d】誘導結合された短絡伝送ラインを例示する。
【
図2】回路基板、保持構造、および超伝導回路を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、超伝導回路と超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備えるデバイスについて記載している。超伝導回路は、ターゲット共振周波数を有する回路共振器を備える。超伝導回路はまた、第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインを備える。伝送ラインの第1の端部は回路共振器に結合され、伝送ラインの第2の端部は回路コネクタに結合される。言い換えれば、超伝導回路は、回路共振器、回路コネクタ、および回路共振器と回路コネクタとの間に結合された伝送ラインを備える。
【0011】
図1aは、超伝導回路を備えたデバイスを模式的に例示する。デバイスは、デバイス平面または水平面と呼ばれ得るxy面で例示される。垂直方向とも呼ばれ得るz方向は、xy面に垂直である。本明細書での「水平」および「垂直」という用語は、単に平面とその平面に垂直な方向を指す。これらは、デバイスが使用時または製造時にどのように配向されるべきかについて何も示唆していない。
【0012】
図1aのデバイスは、第1の回路共振器121および第2の回路共振器122を備える。本開示で記載される回路共振器は、たとえば量子ビットであり得る。あるいは、これらは、超伝導回路に実装することができる任意の他の種類の高周波回路共振器であってもよい。
【0013】
超伝導回路は、たとえばシリコン基板であり得る回路基板112上に構築される。回路基板112は、たとえば、構造的支持を提供し、外部回路への電気的接続を含む保持構造111に取り付けられ得る。
図1aに例示される構成は、1つの可能性にすぎない。外部回路を超伝導回路に接続するための多くの他の構成および形状も可能である。ギャップ113は、回路基板112を保持構造111から分離し得る。
【0014】
回路基板112は、超伝導層(
図1aには別途例示されていない)でコーティングされ得る。超伝導回路は超伝導層内に形成される。超伝導層は、たとえば、Nb、Al、TiN、NbN、NbTiN、またはTaの層であり得る。デバイスは、超伝導回路を外部回路17に結合する回路コネクタ141~142を備える。これらの回路コネクタは、たとえば、
図1aが例示するように、少なくとも部分的に回路基板112に隣接する保持構造111上に配置され得る。代替的に、これらは、回路基板112に隣接するいくつかの他のデバイス部分に配置され得る。
【0015】
図1aの超伝導回路は、第1の端部181および第2の端部182を有する第1の伝送ライン18を備える。第1の伝送ライン18の第1の端部181は第1の回路共振器121に容量結合され、第1の伝送ラインの第2の端部182は電気コネクタを用いて第1の回路コネクタ141に結合される。ここで、容量結合とは、伝送ラインがセパレータによって共振器から電気的に分離されているため、直接の電気的接触はないが、伝送ラインの第1の端部が、電気的にセパレータを介して共振器と相互作用するために共振器に十分近いことを意味している。
【0016】
本開示で提示される電気コネクタは、たとえば、ワイヤボンド15、または伝送ラインの第2の端部を直接回路コネクタに結合する任意の他の電気接続を含み得る。超伝導回路は、たとえば、各伝送ラインが終端する電極領域13も備え得、そこで、電極領域13とワイヤボンド15は、伝送ラインを直接回路コネクタに接続する電気コネクタを一緒に形成し得る。このデバイスは、回路基板の表面上の超伝導層の一部の領域を、保持構造111上の接地領域に接続することによって接地電位に設定するために使用され得るような、追加のワイヤ151を備えてもよい。
【0017】
図1aの超伝導回路はまた、第1の端部191および第2の端部192を有する第2の伝送ライン19を備える。第2の伝送ライン19の第1の端部191は第2の回路共振器122に誘導結合され、第2の伝送ライン19の第2の端部192は電気コネクタを用いて第2の回路コネクタ142に結合される。
【0018】
図1bは、伝送ラインとして使用することができるコプレーナ導波路のxz断面を例示する。超伝導層10は回路基板112を覆う。伝送ライン18は、超伝導層に第1の導波路トレンチ101および第2の導波路トレンチ102をエッチングすることによって超伝導層に作成されるコプレーナ導波路であり得る。これによって、導波路トレンチ101および102は、伝送ラインに中心導体109を形成する。伝送ラインは、導波路トレンチ101および102間の距離によって定まる、水平方向での特徴的な中心導体幅Wを有し得る。ギャップ幅Sも伝送ラインの特性に影響する。中心導体幅Wは、たとえば、0.1~500μmの範囲または2~50μmの範囲であり得る。ギャップ幅Sは、たとえば、0.1~500μmの範囲または2~50μmの範囲であり得る。WおよびSは、伝送ラインの全長にわたって必ずしも一定である必要はない。例示的な実施形態では、WおよびSは両方とも、伝送ラインの最も狭い部分において2~50μmの範囲であり得る。超伝導層10の高さHが導波路トレンチ101および102の深さを決定する。本開示において最も重要である変数は、伝送ラインの長さ、すなわち、その第1の端部からその第2の端部までの距離であり、これは以下でより詳しく論じられる。
【0019】
超伝導回路における伝送ラインは、容量的または誘導的に回路共振器に結合され得る。
図1aでは、第1の伝送ライン18は、第1の回路共振器121に容量結合されている開放伝送ラインである。
図1cは、この容量結合をより詳細に例示する。
図1cは、(部分的にのみ例示されている)第1の回路共振器121に隣接する第1の伝送ライン18の第1の端部181を示す。第1の導波路トレンチ101を第2の導波路トレンチ102に接合することによって、開放伝送ラインが作成される。その結果、第1の導波路トレンチ101と第2の導波路トレンチ102との間にある中心導体109は、これらのトレンチによって超伝導層の他の部分から分離される。駆動信号が伝送ラインに送達されると、第1の伝送ライン18の第1の端部181でのAC電流はゼロになる。それにもかかわらず、第1の伝送ライン18における高周波電磁波が、容量性相互作用を介して第1の回路共振器121に振動電流を生成する。これによって、第1の回路共振器121は、伝送ライン18で振動する駆動信号によって共振状態に駆動させられ得る。開放伝送ラインは、開放終端型伝送ラインとも呼ばれ得る。
【0020】
図1aでは、第2の伝送ライン19は、第2の回路共振器122に誘導結合されている短絡伝送ラインである。
図1dは、誘導結合をより詳細に例示する。第2の伝送ライン19は、第3の導波路トレンチ103および第4の導波路トレンチ104によって形成される。第3および第4の導波路トレンチは、それらが(部分的にのみ例示されている)第2の回路共振器122に到達する前に終端する。第3の導波路トレンチ103と第4の導波路トレンチ104との間にある中心導体109は、接地電位に設定されている、超伝導層の周囲領域に直接接続される。駆動信号が伝送ラインに供給されると、この短絡接続により、伝送ラインの第1の端部191でのAC電流は最大値となる。第2の伝送ライン19の第1の端部191を通って流れる電流は、第2の回路共振器122において交流を誘導する。その結果、第2の回路共振器122は、短絡伝送ライン19で振動する駆動信号によって共振状態に駆動させられ得る。短絡伝送ラインは、短絡終端型伝送ライン(short-ended transmission line)とも呼ばれ得る。
【0021】
伝送ラインから発生する電界は、伝送ラインの特性および、駆動信号が伝送ラインに入力する際に通る電気コネクタおよび回路コネクタの特性に依存する。電気コネクタは、典型的に、伝送ライン自体よりも著しく高い特性インピーダンスを有する要素で実装される必要がある。ワイヤボンドはそのような要素の一例である。駆動信号が伝送ラインに入るときに電気コネクタを往復して駆動させられるAC電流が高いほど、伝送ラインの周囲に放射される電界が強くなる。その結果、電気コネクタを流れる電流が最小化されると、電界は伝送ラインからの距離に応じて急速に減少する。その結果、電流が最小化されると、隣接する伝送ライン間のクロストークも最小化される。
【0022】
高周波駆動信号が伝送ラインに印加されるときに、信号が伝送ラインで略定常な波を形成し、定常波のゼロ電流の節(node)が、電気コネクタが接続されている伝送ラインの第2の端部に一致する場合に、電気コネクタを流れる電流は最小になる。上記の開放伝送ラインおよび短絡伝送ラインの分析から、2つの異なるソリューションを開発することができる。
【0023】
本開示は、超伝導回路と超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備えるデバイスについて記載している。超伝導回路は回路共振器を備える。超伝導回路はまた、第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインを備える。伝送ラインの第1の端部は回路共振器に結合され、伝送ラインの第2の端部は回路コネクタに結合される。伝送ラインの長さは、伝送ラインを介して回路共振器に駆動信号が印加されたときに、回路コネクタと伝送ラインとの間を通過する電流が略ゼロになるような長さである。
【0024】
開放伝送ラインの実施形態
第1の例示的な実施形態では、デバイスは、超伝導回路と超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備える。超伝導回路は、ターゲット共振周波数を有する回路共振器を備える。超伝導回路はまた、第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインを備える。伝送ラインの第1の端部は回路共振器に結合され、伝送ラインの第2の端部は回路コネクタに結合される。伝送ラインは光の特有の実効速度を有する。伝送ラインは開放伝送ラインであり、伝送ラインの第1の端部は回路共振器に容量結合され、伝送ラインの長さは(N*L)/2に略等しく、式中、Nは正の整数であり、Lは光の実効速度をターゲット共振周波数で割った値に等しい。
【0025】
光の実効速度は、伝送ラインの材質および幾何学的形状に依存する。所与の伝送ラインの光の実効速度は、容易に計算することができ、ある程度まで、幾何学的形状を変更することによって調整することもできる。
【0026】
上で論じた開回路の第1の伝送ライン18の第1の端部181でのAC電流は、伝送ラインがこのポイントで終端するためゼロである。この第1の伝送ラインの定常波は、第1の端部181からの距離D1=L/2で、その次のゼロ電流点を示す。波長が十分に長い場合、連続するゼロ電流点が、距離D2=L、D3=3L/2、またはより一般的には(N*L)/2で生じ、式中、Nは正の整数である。Nは、たとえば1、2、3、4、または任意の他の正の整数であり得る。
【0027】
言い換えれば、伝送ラインの第2の端部182での電流は、伝送ラインの長さをL/2の倍数に等しくすることによって最小化され得る。駆動信号の周波数がターゲット共振周波数に等しいため、波長Lは光の実効速度をターゲット共振周波数で割ることによって計算される。
【0028】
伝送ラインはコプレーナ導波路であり得る。伝送ラインがコプレーナ導波路であるか否かに関わらず、伝送ラインは蛇行形状を有し得る。
【0029】
第1の伝送ラインは直線の形状を有する必要はない。
図2は、参照番号211、212、221、23、241、25、251、28、281、および282が、それぞれ、
図1aの参照番号111、112、121、13、141、15、151、18、181、および182に対応している、超伝導回路を例示する。例示された回路は、6つの回路共振器を備え、これらの共振器の各々は、18などの伝送ラインを介して外部回路に結合される。ここでの伝送ラインは、各伝送ラインが、依然として(N
*L)/2の長さを達成するのに十分な長さでありながら、比較的小さな領域に制限されることを可能にする、蛇行形状を有する。伝送ラインの長さは、伝送ライン経路に沿って、この場合、伝送ラインが前後折り返すような蛇行に沿って、その第1の端部から第2の端部まで測定される。
【0030】
図2では、正方形の回路基板212が保持構造211における正方形の空洞内に配置されている。保持構造211上の各回路コネクタ241は、ワイヤボンド15を用いて対応する伝送ライン28に結合される。回路コネクタが存在しない保持構造の領域に配置された追加のワイヤ251は、回路基板212の上面を保持構造211上の電気的に接地された領域に接続する。これによって、回路基板212上の超伝導層を接地させることができる。超伝導材料の層を接地電位に設定するために、代替的に他の電気接続が使用され得る。
【0031】
図2に例示されるデバイスはまた、側壁278および上部カバー(例示せず)を備え得る。側壁および上部カバーは、真空エンクロージャの範囲を定め得る。側壁および上部カバーは、たとえば銅で作ることができる。側壁278は、回路コネクタ241が外部回路に結合されている密閉された貫通穴277を備え得る。
図2に例示されるデバイスアーキテクチャは、以下に提示される短絡伝送ラインの実施形態でも使用することができ、伝送ラインの細かな機能のみが異なる。
【0032】
短絡伝送ラインの実施形態
第2の例示的な実施形態では、デバイスは、超伝導回路と超伝導回路を外部回路に結合する回路コネクタとを備える。超伝導回路は、ターゲット共振周波数を有する回路共振器を備える。超伝導回路はまた、第1の端部および第2の端部を有する伝送ラインを備える。伝送ラインの第1の端部は回路共振器に結合され、伝送ラインの第2の端部は回路コネクタに結合される。伝送ラインは光の特有の実効速度を有する。伝送ラインは短絡伝送ラインであり、伝送ラインの第1の端部は回路共振器に誘導結合されている。伝送ラインの長さは(N*L)/2-(L/4)に略等しく、式中、Nは正の整数であり、Lは光の実効速度をターゲット共振周波数で割った値に等しい。
【0033】
第1の例示的な実施形態において上に提供された分析は、いくつかの修正を伴ってこの第2の例示的な実施形態に適用することができる。上で論じた短絡された第2の伝送ライン19の第1の端部191でのAC電流は、第1の端部が接地電位に接続されているため、最大値IMAXに達する。この第1の伝送ラインの定常波は、第1の端部191から距離D1=L/4=L/2-L/4で、その次のゼロ電流点を示す。波長が十分に長い場合、連続するゼロ電流点が、距離D2=L-L/4、D3=3L/2-L/4、またはより一般的には(N*L)/2-(L/4)で生じ、式中、Nは正の整数である。Nは、たとえば1、2、3、4、または任意の他の正の整数であり得る。
【0034】
言い換えれば、伝送ラインの第2の端部192での電流は、伝送ラインの長さを(N*L)/2-(L/4)に等しくすることによって最小化され得る。駆動信号の周波数がターゲット共振周波数に等しいため、波長Lは光の実効速度をターゲット共振周波数で割ることによって計算される。
【0035】
第1の例と同様に、第1の伝送ラインは直線の形状を有する必要はない。ここでの伝送ラインは、各伝送ラインが、依然として(N
*L)/2-(L/4)の長さを達成するのに十分な長さでありながら、比較的小さな領域に制限されることを可能にする、
図2が例示するような蛇行形状を有する。伝送ラインはコプレーナ導波路であり得、伝送ラインがコプレーナ導波路であるか否かに関わらず、伝送ラインは蛇行形状を有し得る。
【国際調査報告】