(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】干渉計ベースの合成多重露光スペックルイメージング(syMESI)方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/026 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61B5/026 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535276
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022052512
(87)【国際公開番号】W WO2023114124
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521436740
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サウス フロリダ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTH FLORIDA
【住所又は居所原語表記】3802 Spectrum Boulevard,Suite 100,Tampa,Florida 33612(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パルタサラティ,アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】サフィ,アブドゥル モハイメン
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AB06
4C017AC26
4C017BB01
4C017BB12
4C017BC11
(57)【要約】
合成多重露光スペックルイメージング(syMESI)方法論は、スペックルイメージングシステムの一部として光干渉計装置を必然的に使用して、低い露光時間でのスペックルコントラスト特性の信頼性のある正確な決定を通例制限する光検出器ノイズを克服する。このような方法論の使用により、平均検出強度の40カウント未満の低い光子バジェットでターゲット物体における動きの変化(組織内の血流変化など)の絶対的な値(複数可)を定量的に決定すること、及び/または低コストのカメラセンサーを使用して術中の設定で物体における血流を定量的にイメージングすることが可能になった。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペックルイメージングシステムであって、
光源を含み、出力端で光出力を生成するように構成されている、前記スペックルイメージングシステムの光学照明システムであって、前記スペックルイメージングシステムは動きを検出するように構成される、前記光学照明システム、
前記スペックルイメージングシステムの光干渉計装置であって、参照アームとサンプルアームとを有し、前記光学照明システムの前記出力端と光学的に結合されており、
前記光干渉計装置は、前記サンプルアームを通って伝播するサンプル光と前記参照アームを通って伝播する参照光との間の光位相差の変化を必要とせず、及び/または許容しない、前記光干渉計装置、
前記スペックルイメージングシステムの光学イメージングシステムであって、前記出力端と光学的に連携する光検出器システムを含む、前記光学イメージングシステム、
前記光学イメージングシステムと操作可能に接続され、
そこから電気信号を受信するよう構成された、コンピュータシステムであって、
前記電気信号は、前記光干渉計装置からの光出力において前記光検出器システムで形成された生のスペックル画像を表し、
前記光出力は、前記サンプルアームのターゲットサンプルと相互作用し、前記ターゲットサンプルと前記参照光を表すスペックルパターンを含む前記サンプル光を含む、前記コンピュータシステム、
及び
コンピュータ読み取り可能な命令が格納されたコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含むコンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体であって、前記命令が前記コンピュータシステムのプロセッサによって実行されると、前記命令は前記プロセッサに、少なくとも、前記生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性を決定及び/または表示させる、前記コンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体、を含む、前記スペックルイメージングシステム。
【請求項2】
前記命令は前記プロセッサに、さらに、
前記スペックル画像を視覚的に知覚可能な光放射照度の空間分布として表示すること、及び/または
前記スペックル画像の前記スペックルコントラスト特性の値のスペックル可視性曲線を、前記ターゲットサンプルの露光時間の関数として決定及び/または表示すること、及び/または
多数のスペックルコントラスト画像及び/または前記スペックル可視性曲線を、前記ターゲットサンプルにおける前記動きの変化の空間分布及び/または時間分布を示すマップとして決定及び/または表示することを生起させる、請求項1に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項3】
以下の条件、すなわち
(3a) 前記スペックルイメージングシステムが、前記スペックルコントラスト特性の測定のダイナミックレンジが前記参照光の強度に必然的に依存するように構成されている、及び/または
(3b) 前記スペックルイメージングシステムは、前記サンプル光の強度及び/または前記参照光の強度を制御するように構成された少なくとも1つのデバイスを含む、及び/または
(3c) 前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記生のスペックル画像の前記スペックル分散を、前記光検出器のノイズの分散よりも大きく維持しながら確認させる、及び/または
(3d) 前記命令は、前記プロセッサに、前記生のスペックル画像の前記スペックル分散を、前記光の前記第1部分の非ゼロ強度のレベルに実質的に関係なく、前記光検出器のノイズ分散よりも大きく維持しながらそのようなスペックル分散を確認させる、及び/または
(3e) 前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記生のスペックル画像の所定のピクセルによって表される前記シーンの一部または前記シーン全体にわたる動きの指標の絶対的な値を定量的に決定させる、及び/または
(3f)前記命令は、前記プロセッサに、さらに
(i)前記光検出器の識別された各ピクセルまたはピクセルのグループについて、前記生のスペックル画像のスペックルコントラストの値を、
強度の平均値に対する、前記識別されたピクセルを囲む前記光検出器の選択された領域内のピクセルにおける光の前記強度の標準偏差の正規化された値の第1比率として、
または
前記識別されたピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、複数の露光時間にわたって計算された前記識別されたピクセルにおける光の前記強度の平均値との第2比率として、計算すること、
及び/または、
(ii) 時間領域、空間領域、または時空間領域における前記第1比率及び/または前記第2比率を決定すること、を生起させる、のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1または2に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項4】
前記スペックルイメージングシステムは、多重合成露光時間スペックルイメージング(syMESI)システムとして構成され、前記光学照明システムは、露光時間にわたって前記光出力のパワーを実質的に一定に維持するように構成された装置を含まず、
前記命令は、前記プロセッサに、さらに
1つの固定された第1経験的露光時間のみで、前記イメージングシステムによって前記光に形成された1つ以上の生のスペックル画像を取得すること、及び
前記1つ以上の生のスペックル画像のうち選択された生のスペックル画像を、空間的に異なる寸法を有する複数のビニングアパーチャを使用して空間的に平均化し、それぞれ対応する変更スペックル画像を形成することであって、前記変更スペックル画像のそれぞれは、複数の第2合成露光時間からそれぞれ対応する第2合成露光時間に対応するスペックル画像を表し、
前記複数の第2合成露光時間からの各第2合成露光時間は、互いに異なり、前記第1経験的露
光時間とも異なる、前記形成すること、を生起させる、請求項1~3のいずれか1項に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項5】
前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記変更されたスペックル画像のそれぞれを、前記同じ選択された画像に対応する複数のスペックルコントラスト画像及び/またはスペックル可視性曲線のそれぞれ対応するスペックルコントラスト画像に変換させる、請求項4に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項6】
前記命令は、前記プロセッサに、少なくとも前記スペックル可視性曲線に基づいて、前記スペックルイメージングシステムの動作中に前記光出力で照射され、前記1つ以上の生のスペックル画像によって表されるシーンの一部における動きの定量的な値をさらに評価することを生起させるように構成されている、請求項4及び5の1項に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項7】
前記命令は、前記スペックルイメージングシステムの動作中に前記光出力で照射され、前記1つ以上の生のスペックル画像によって表されるシーンの一部の視覚的に知覚可能な画像を前記プロセッサにさらに生成させるように構成され、前記視覚的に知覚可能な画像は、前記視覚的に知覚可能な画像全体にわたる光学パラメータの空間分布を介して、前記シーンの前記部分における動きの定量的な値の空間分布を表示する、請求項4から6の1項に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項8】
前記命令は、前記プロセッサに、前記1つの固定された第1経験的露光時間のみで、前記イメージングシステムによって前記光に形成された生のスペックル画像のシーケンスを取得するように構成され、前記シーケンスの構成要素である生のスペックル画像は、必然的に非連続である、請求項4から7の1項に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項9】
前記光学イメージングシステムは、直接隣接する生のスペックル画像間の時間間隔が異なる、必ずしも連続していない生のスペックル画像を取得するように構成されている、請求項8に記載のスペックルイメージングシステム。
【請求項10】
スペックルイメージングシステムを使用してシーンを特徴付ける方法であって、
前記スペックルイメージングシステムの光源によって生成された光を、前記スペックルイメージングシステムの光干渉計装置に結合することであって、
前記スペックルイメージングシステムは、動きを検出し、
前記光干渉計装置は、サンプルアームと参照アームとの間の光位相差の変化を必要とせず、及び/または変化を許容しない、前記結合すること、
前記光干渉計装置の前記サンプルアームを通って伝播する前記光の第1部分を前記シーンに照射すること、
前記スペックルイメージングシステムの前記光検出システムの光検出器において、前記光干渉計装置の前記参照アームを通って伝播した前記光の第2部分を、前記シーンと相互作用した光の前記第1部分と空間的に重ね合わせて、それによって出力光を形成することであって、前記出力光は、前記シーンによって前記後方散乱された光の前記第1部分と、前記光の前記第2部分の両方を含む、前記形成すること、及び
所定の露光時間で、光検出器を用いて前記出力光の前記シーンの生のスペックル画像を取得すること、を含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1から9の1項に従い構成されたスペックルイメージングシステムを用いて実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結合、前記照射、前記重ね合わせ、及び前記取得中に前記光干渉計装置の動作パラメータを変更せず、
前記動作パラメータには、前記光の前記第2部分の強度は含まれない、請求項10及び11の1項に記載の方法。
【請求項13】
前記光の前記第2部分の強度を変更することにより、前記生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性のダイナミックレンジを変化させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性を、光の前記第2部分の強度と前記出力光の強度の比率の関数として決定することをさらに含む、請求項10から12の1項に記載の方法。
【請求項15】
前記比率は時間依存比率である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光の前記第1部分と前記光の前記第2部分のうち少なくとも一方の強度を変更することにより、前記生のスペックル画像の前記スペックルコントラスト特性のダイナミックレンジを変化させることをさらに含む、請求項14及び15の1項に記載の方法。
【請求項17】
前記生のスペックル画像のスペックル分散を、前記光検出器のノイズの分散よりもそのようなスペックル分散が大きくなるように維持しながら確認することをさらに含む、請求項10から16の1項に記載の方法。
【請求項18】
前記維持することは、前記光の前記第1部分の非ゼロ強度のレベルに実質的に関係なく、前記スペックル分散を前記光検出器のノイズの前記分散よりも大きく維持することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
以下の条件、すなわち
(19a) 前記方法はさらに、前記生のスペックル画像の所定のピクセルによって表される前記シーンの部分における動きの指標の絶対的な値を定量的に決定することを含む、及び
(19b) 前記動きの指標は、前記シーンが生物組織である場合、血流の指標であること、の少なくとも1つを満たす、請求項12から18の1項に記載の方法。
【請求項20】
(20a) 前記光検出器の各識別されたピクセルについて、前記生の画像のスペックルコントラストの値を、
強度の平均値に対する、前記識別されたピクセルを囲む前記光検出器の選択された領域内のピクセルにおける光の前記強度の標準偏差の正規化された値の第1比率として、
または
前記識別されたピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、複数の露光時間にわたって得られた前記識別されたピクセルにおける光の前記強度の平均値との第2比率として、計算すること、
及び/または、
(20b) 時間領域、空間領域、または時空間領域における前記第1比率及び/または前記第2比率を計算すること、を含む、請求項12から18の1項に記載の方法。
【請求項21】
前記取得することは、1つのみの固定された第1経験的露光時間で、前記出力光における前記シーンの1つ以上の生のスペックル画像を取得することを含み、
さらに、
異なる空間寸法を有する複数のビニングアパーチャのそれぞれについて、選択された画像の放射照度分布を複数のビニングアパーチャのそれぞれ対応するビニングアパーチャで空間的に平均化することにより、前記1つ以上の生のスペックル画像のうちの前記選択された画像を、複数の変更されたスペックル画像のうちの対応する1つに変更し、それによって、複数の第2合成露光時間のうちの第2合成露光時間に対応する前記シーンのスペックル画像を表す複数の変更されたスペックル画像を生成することであって、
前記複数の第2合成露光時間からの全部の第2合成露光時間は、互いに異なり、前記第1経験的露光時間と異なる、前記生成することを含む、請求項12から18の1項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の変更されたスペックル画像のそれぞれを、前記同じ選択された画像に対応する複数のスペックルコントラスト画像のそれぞれ対応するスペックルコントラスト画像に変換すること、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(23a) 前記光源はレーザー光源である、及び/または
(23b) 前記複数の変更スペックル画像からの変更スペックル画像の各々について、前記第1経験的露光時間と、前記対応する第2合成露光時間との間の数値関係は、前記所定のビニングアパーチャの寸法に依存する、及び/または
(23c) 前記生のスペックル画像の1つ以上、前記選択された画像、及び前記複数のスペックルコントラスト画像の少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つは、視覚的に知覚可能である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
(24a) 前記少なくとも1つ以上の生のスペックル画像は、1つのみの生のスペックル画像を含む、または
(24b)連続して取得される前記1つ以上の生のスペックル画像のうちの2つの生のスペックル画像は、直ちに次々に取得されるのではなく、前記2つの画像の間に任意の時間遅延をおいて取得される、請求項21から23の1項に記載の方法。
【請求項25】
(25a) 前記1つのみの固定された第1露光時間で1つ以上の生のスペックル画像を前記取得することは、1つのみの生のスペックル画像を取得することを含み、及び/または
(25b) 前記1つ以上の初期スペックル画像のうちの選択された画像を前記変更することは、前記1つ以上の生のスペックル画像のうちの1つのみの画像を変更することを含む、請求項21から24の1項に記載の方法。
【請求項26】
以下の条件、すなわち
(26a) 前記方法はさらに、前記選択された画像の所定のピクセルによって表される前記シーンの部分における動きの指標の絶対的な値を定量的に決定することを含む、及び
(26b) 前記動きの指標は、前記シーンが生物組織である場合、血流の指標であること、の少なくとも1つを満たす、請求項21から25の1項に記載の方法。
【請求項27】
前記取得することは、前記1つのみの固定された第1経験的露光時間において、間に時間間隔をおいて複数の生のスペックル画像を取得し、構成する生のスペックル画像が必然的に非連続である生のスペックル画像のシーケンスを形成することを含む、請求項21から26の1項に記載の方法。
【請求項28】
前記取得することは、異なる直接隣接する生のスペックル画像間の異なる持続時間の時間間隔を有する、前記必然的に非連続な生のスペックル画像を取得することを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2021年12月13日出願の米国仮特許出願第63/265,312号に対する優先権及び利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
関連技術
組織を通る血流は、組織への酸素供給を直接示し、正常な組織が機能するのに重要であるため、組織の健康状態を示す重要な生理学的指標として機能する。例えば、脳への酸素供給のわずかな変化でも正常な生理学的プロセスに劇的な影響を及ぼす可能性があるため、脳への血流の減少は深刻な結果を招く。したがって、血流のイメージングは、生理の正常な機能を理解し、疾患の進行を監視し、治療を追跡するために重要である。
【0003】
一般に、光学イメージング法は、優れた時空間分解能特性を備えているため、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、拡散光断層撮影法(DOT)などよりも、脳血流(CBF)の動態を視覚化するのに(特に、個々の脳血管の分解を必要とする適用に)適している。例えば、光子相関に基づいた光学イメージング手法(レーザースペックルコントラストイメージング、またはLSCIなど)は、赤血球の固有のコントラストな動きを利用してCBFを評価するのに特に適している。
【0004】
特に、LSCIは小動物モデルの脳血流をイメージングするのに有効であることが示されている。LSCIの主な利点の1つは、使用されるイメージング装置がシンプルで安価でありながら、優れた空間分解能と時間分解能を備えた広視野CBF画像を取得できることである。現在までに、LSCIはラット及びマウスの脳の虚血時のCBF動態のイメージング、機能活性化研究、及び虚血性脳卒中の進行のモデル化に利用されてきた。
【0005】
関連技術で認識されているように、レーザースペックルは、わずかに異なる経路長の軌跡に沿ってサンプルから後方散乱した光場(例えば、レーザー光場)のコヒーレントな加算によって生成されるランダムな干渉パターンである。このため、
図1Cは典型的なLSCIセットアップを概略的に示している。ここで、可視光または近赤外ダイオードレーザー光源110からのわずかに発散する光104が組織サンプル120に当たるように導かれ、光104は組織内で散乱し、組織120を通過する異なる経路に沿って移動する光場成分は異なる位相シフトを経る。後方散乱光124は、イメージングレンズ128を通して集められ、スペックル画像の形でカメラセンサー130に記録され、適切に構成された電子回路130でデータ処理される。
【0006】
サンプル細胞内の粒子(例えば赤血球など)の動きは、スペックルパターンに空間的及び時間的な変動を刻み込む。このような効果は、画像の局所的なぼやけ(または相関除去)として現れる(
図1A)。このぼやけや相関除去を定量化することで、組織120の血管系における赤血球の流れの測定値が得られる。正式には、局所スペックルコントラスト
【数1】
すなわち局所強度の正規化された分散の平方根は、画像内の小さなウィンドウ(通常は7×7ピクセル)で計算される。ここで、
【数2】
は7×7ピクセルウィンドウの強度の標準偏差であり、
【数3】
は7×7ピクセルウィンドウの強度の平均である。次に、この計算を生のスペックル画像全体にわたってウィンドウごとに繰り返すことによって、処理されたスペックルコントラスト画像(
図1B)が生成される。
図1Bの画像の特定の部分におけるスペックルコントラストの値が高いのは、サンプルの対応する領域(つまり、
図1A)における空間的なぼやけの量が減少していることを示しており、これは赤血球の動きが遅いことによる直接的な結果である。
【0007】
特に、関連技術で認識されているように、LSCIアプローチで測定されたスペックルコントラストは、CBFの変化の相対的変化の急性測定にのみ適している。言い換えれば、LSCIシステムの従来の実装を実際に使用した結果では、ターゲット組織での動きを定量的に測定することはできず、代わりにスペックル画像全体の相対的な(例えば、0から1までの任意の単位のスケールでの)コントラスト値の評価を生成し、この評価は、CBFの変化について1つのみの生じる結論を明確にして与え、それは次のように表現できる。画像の第1部分に描画されるターゲット組織の第1領域でのターゲット粒子(例えば、血流)の動きは、画像の第2部分に描画されるターゲット組織の第2領域でのターゲット粒子の動きよりも速く発生している。これら2つの動作の速度の値を定量的(つまり数値的)に評価することは、相対的な(つまり比較による)結果を出す従来のLSCIに基づいていては、まさに不可能である。その結果、従来のLSCIシステムの適用は、非常に単純な状況にのみ限定されていた。
【0008】
多重露光スペックルイメージング(またはMESI)と呼ばれる方法論は、従来のLSCIが血流の定量的測定を行えないという欠点を、複数のカメラ露光で取得したレーザースペックル画像を処理し、定量的スペックル可視性モデルに当てはめることによって正すために導入された。現在までに、MESIは、音響光学変調器または回転フィルタホイールなどの比較的大きくて遅い機器を使用してレーザーを時間ゲーティングするか(例えば、Parthasarathy et al., ”Robust flow measurement with multi-exposure speckle imaging,” Optics Express 16, 1975-1989;2008を参照)、または時間ビニング手法(ただし、8×5ピクセルなどの低分解能画像にのみ適した高価な高速検出器を使用。例えば、Dragojevic et al., ”High-speed multi-exposure laser speckle contrast imaging with a single-photon counting camera,” Biomedical Optics Express 6, 2865-2876;2015を参照)を使用することによって実現されている。MESIアプローチのよく知られた欠点は、調査対象のサンプル(組織)で有効なレーザー出力を一定に維持するために専用のハードウェアを使用する必要性、及び/または複数の実用的な適用での十分短くない測定の持続時間に表れている。
【0009】
最近、ソフトウェアベースの合成MESI(syMESI)方法論が提案された(例えば、PCT/US2022/022734はWO2022/212636として公開されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。または、Safi, Abdul Mohaimen, et al. ”Quantitative Cerebral Blood Flow Imaging with Synthetic Single-Shot Multi-Exposure Laser Speckle Imaging.” Optics and the Brain. Optical Society of America, 2021を参照されたい)。この方法論は、従来のMESIアプローチと同様に、対象シーンまたはサンプルによって散乱された(単一ビームの)光のみの収集を利用し、ユーザーに、MESIの実装に通常必要なハードウェアを使用せずに、定量的な血流イメージング(つまり、対象シーン全体にわたって対象シーンの一部に関連付けられた動きの指標の絶対的な実際の値(何らかの基準値に対して相対的に決定された値ではない)を決定できるもの)を実行する機能を備えている。しかし、従来のハードウェアベースの多重露光スペックルイメージング(MESI)アプローチと、最近開発されたソフトウェアベースの合成多重露光(syMESI)アプローチの各々は、非常に短い露光時間(約50μs程度)でスペックル画像を取得する必要がある。当業者が容易に理解できるように、このような短い露光時間では、イメージングプロセスに使用される光検出器の動作に関連するノイズが、有用な信号(サンプルから後方散乱され、システムによって収集された光によって生成される信号)を圧倒する可能性があり、実際に圧倒されることが多く、その条件下では、イメージングに高照度光学パワーを使用することが必須になる。しかし、このような避けられない要件は、術中のイメージングや眼科などの臨床現場には適さない可能性がある。
【0010】
現在の技術水準では、高出力光源の使用(他の状況では所望の用途での使用に実用的ではない)を回避しながら、同時に関連技術によって既に実証されている技術的及び/または運用上の利点を維持するにはどうすればよいかという疑問を提起する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の実施形態は、動きを検出するように構成されたスペックルイメージングシステムを提供し、このイメージングシステムは、光源を含み、出力端で光出力を生成するように構成された光学照明システムと、参照アームとサンプルアームとを有し、光学照明システムの出力端と光学的に結合された光干渉計装置とを含む。(このような光干渉計装置は、サンプルアームを通って伝播するサンプル光と参照アームを通って伝播する参照光との間の光位相差の変化を必要とせず、及び/または許容しないように構成されている。)スペックルイメージングシステムは、出力端と光学的に連携する光検出器システムを含む光イメージングシステムと、コンピュータシステムとをさらに組み込んでいる(光イメージングシステムと操作可能に接続され、
【0012】
光干渉計装置からの光出力において光検出器システムで形成された生のスペックル画像を表す電気信号をそれから受信するよう構成されている。)光出力には、サンプル光(サンプルアームのターゲットサンプルと相互作用し、ターゲットサンプルを表すスペックルパターンを含む)と参照光の両方が含まれる。さらに、スペックルイメージングシステムは、コンピュータ読み取り可能な命令が格納されたコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含むコンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体であって、命令がコンピュータシステムのプロセッサによって実行されると、命令はプロセッサに、少なくとも、前記生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性を決定及び/または表示させる、コンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体を含む。少なくとも1つの実施態様では、命令は、プロセッサに、さらに、(a)前記スペックル画像を視覚的に知覚可能な光放射照度の空間分布として表示すること、及び/または(b)スペックル画像のスペックルコントラスト特性の値のスペックル可視性曲線を、ターゲットサンプルの露光時間の関数として決定及び/または表示すること、及び/または(c)多数のスペックルコントラスト画像及び/またはスペックル可視性曲線を、ターゲットサンプルにおける前記動きの変化の空間分布及び/または時間分布を示すマップとして決定及び/または表示することを生起させるよう構成される。
【0013】
実質的に、あらゆる実施態様において、スペックルイメージングシステムは、以下の条件、すなわち1)スペックルコントラスト特性の測定のダイナミックレンジが参照光の強度に必然的に依存する、及び/または2)サンプル光の強度及び/または参照光の強度を制御するように構成された少なくとも1つのデバイスを含む、及び/または3)命令は、プロセッサに、生のスペックル画像のスペックル分散を、光検出器のノイズの分散よりも大きく維持しながらそのような分散を確認させる、及び/または4)プロセッサに、前記生のスペックル画像のスペックル分散を、前記光の第1部分の非ゼロ強度のレベルに実質的に関係なく、光検出器のノイズ分散よりも大きく維持しながらそのようなスペックル分散を確認させる命令を組み込む、及び/または5)プロセッサに、生のスペックル画像の所定のピクセルによって表されるシーンの一部またはシーン全体にわたる動きの指標の絶対的な値を定量的に決定させる命令を組み込む、及び/または6)プロセッサに、(i)光検出器の識別された各ピクセルまたはピクセルのグループについて、生のスペックル画像のスペックルコントラストの値を、強度の平均値に対する、識別されたピクセルを囲む光検出器の選択された領域内のピクセルにおける光の前記強度の標準偏差の正規化された値の第1比率として、または識別されたピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、複数の露光時間にわたって計算された識別されたピクセルにおける光の強度の平均値との第2比率として、計算すること、及び/または、(ii)時間領域、空間領域、または時空間領域における第1比率及び/または第2比率を決定すること、を生起させる命令を組み込むこと、のうちの少なくとも1つを満たすように構成され得る。
【0014】
上記実施形態の少なくとも1つにおいて、スペックルイメージングシステムは、多重合成露光時間スペックルイメージング(syMESI)システムとして構成され、光学照明システムは、露光時間にわたって前記光出力のパワーを実質的に一定に維持するように構成された装置を含まず、及び/またはこのようなsyMESIシステムは、プロセッサに、(i)1つのみの固定された第1経験的露光時間で、イメージングシステムによって前記光に形成された1つ以上の生のスペックル画像を取得すること、及び(ii)1つ以上の生のスペックル画像のうち選択された生のスペックル画像を、空間的に異なる寸法を有する複数のビニングアパーチャを使用して空間的に平均化し、それぞれ対応する変更スペックル画像を形成することであって、そのような変更されたスペックル画像のそれぞれは、複数の第2合成露光時間からそれぞれ対応する第2合成露光時間に対応するスペックル画像を表し、(複数の第2合成露光時間からの各第2合成露光時間は、互いに異なり、第1経験的露光時間と異なる)、形成すること、を生起させる、命令を含み得る。後者の場合、命令は、プロセッサに、変更されたスペックル画像のそれぞれを、同じ選択された画像に対応する複数のスペックルコントラスト画像及び/またはスペックル可視性曲線のそれぞれ対応するスペックルコントラスト画像に変換することを生起するようにさらに構成されてもよい。代替的にまたは追加的に、命令は、プロセッサに、少なくともスペックル可視性曲線に基づいて、スペックルイメージングシステムの動作中に光出力で照射され、1つ以上の生のスペックル画像によって表されるシーンの一部における動きの定量的な値を評価することを生起させるように構成され得る。代替的にまたは追加的に、命令は、スペックルイメージングシステムの動作中に光出力で照射され、1つ以上の生のスペックル画像によって表されるシーンの一部の視覚的に知覚可能な画像をプロセッサに生成させるように構成され得る(ここで、視覚的に知覚可能な画像は、前記視覚的に知覚可能な画像の全体にわたる光学パラメータの空間分布を介して、シーンの前記部分における動きの定量的な値の空間分布を表示する)。あるいは、またはそれに加えて、命令は、プロセッサに、そのような1つのみの固定された第1経験的露光時間で、イメージングシステムによって生のスペックル画像のシーケンスを取得することを生起させるように構成され得る(シーケンスの構成要素である生のスペックル画像は、必然的に非連続である)。後者の場合、光学イメージングシステムは、隣接する生のスペックル画像間の時間間隔が異なる、そのような必然的に非連続な生のスペックル画像を取得するように構成され得る。
【0015】
本発明の実施形態は、スペックルイメージングシステム(少なくとも1つの場合には、上記のいずれか1つの実施形態に従って構成することができる)を使用してシーンを特徴付ける方法をさらに提供する。このような方法は、a)スペックルイメージングシステムの光源によって生成された光を、スペックルイメージングシステムの光干渉計装置に結合すること(ここで、スペックルイメージングシステムは、動きを検出し、光干渉計装置は、サンプルアームと参照アームとの間の光位相差の変化を必要とせず、及び/または変化を許容しない)、b)光干渉計装置のサンプルアームを通って伝播する(光源によって生成された光の)第1部分をシーンに照射すること、c)スペックルイメージングシステムの光検出システムの光検出器において、(光干渉計装置の参照アームを通って伝播したそのような光の)第2部分を、シーンと相互作用した光の第1部分と空間的に重ね合わせて、それによって出力光を形成することであって、出力光は、シーンによって後方散乱された第1部分と、第2部分の両方を含む、形成するステップを含む。さらに、この方法は、所定の露光時間で、光検出器を用いて出力光のシーンの生のスペックル画像を取得するステップを含む。
【0016】
少なくとも1つの実施態様では(光干渉計装置の動作パラメータに光源によって生成される光の第2部分の強度が含まれない場合)、方法は、結合、照射、重ね合わせのステップ中に光干渉計装置のこのような動作パラメータを変更しないように構成される。このような実施態様の少なくとも1つの特定の場合には、方法は、第2光の部分の強度を変更することによって、生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性のダイナミックレンジを変更するステップをさらに含むことができる。
【0017】
代替的にまたは追加的に、及び実質的に方法のすべての実施態様において、方法は、生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性を、光の第2部分の強度と出力光の強度の比率の関数として決定すること(そのような比率は任意選択で時間依存的である)を含み得、及び/または追加的に、光の第1部分と光の第2部分のうち少なくとも一方の強度を変更することにより、生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性のダイナミックレンジを変化させることを含むことができる。
【0018】
代替的にまたは追加的に、及び実質的にすべての実施態様において、方法は、生のスペックル画像のスペックル分散を、光検出器のノイズの分散よりもそのようなスペックル分散が大きくなるように維持しながら確認することを含むように構成され得る。(ここで、このような維持することは、任意選択で、光源によって生成される光の第1部分の非ゼロ強度のレベルに実質的に関係なく、スペックル分散を光検出器のノイズの分散よりも大きく維持することを含む。
【0019】
代替的にまたは追加的に、及び実質的にすべての実施態様において、方法は、以下の条件、すなわち(a)生のスペックル画像の所定のピクセルによって表されるシーンの部分における動きの指標の絶対的な値を定量的に決定するステップを追加的に含むこと、及び(b)そのような動きの指標は、シーンが生物組織である場合、血流の指標であること、の少なくとも1つを満たすように構成され得る。
【0020】
代替的にまたは追加的に、及び実質的にすべての実施態様において、方法は、(1)光検出器の各識別されたピクセルについて、生の画像のスペックルコントラストの値を、強度の平均値に対する、そのような識別されたピクセルを囲む光検出器の選択された領域内のピクセルにおける光の前記強度の標準偏差の正規化された値の第1比率として、または識別されたピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、複数の露光時間にわたって得られた識別されたピクセルにおける光のそのような強度の平均値との第2比率として、計算するステップ、及び/または、(2)時間領域、空間領域、または時空間領域における第1比率及び/または第2比率を計算するステップを含み得る。
【0021】
代替的にまたは追加的に、及び実質的にすべての実施態様において、取得するステップは、1つのみの固定された第1経験的露光時間で、出力光におけるシーンの1つ以上の生のスペックル画像を取得することを含み得、方法は追加的に、異なる空間寸法を有する複数のビニングアパーチャのそれぞれについて、前記選択された画像の放射照度分布を複数のビニングアパーチャのそれぞれ対応するビニングアパーチャで空間的に平均化することにより、1つ以上の生のスペックル画像のうちの選択された画像を、複数の変更されたスペックル画像のうちの対応する1つに変更するステップを含み、それによって、複数の第2合成露光時間のうちの第2合成露光時間に対応するシーンのスペックル画像を各々表す複数の変更されたスペックル画像を生成する(ここで、複数の第2合成露光時間からの全部の第2合成露光時間は、互いに異なり、第1経験的露光時間と異なる)。後者の特定のバージョンでは、方法は、複数の変更されたスペックル画像のそれぞれを、同じ選択された画像に対応する複数のスペックルコントラスト画像のそれぞれ対応するスペックルコントラスト画像に変換すること、及び/または光源はレーザー光源であること、及び/または複数の変更スペックル画像からの変更スペックル画像の各々について、第1経験的露光時間と、対応する第2合成露光時間との間の数値関係は、所定のビニングアパーチャの寸法に依存すること及び/または生のスペックル画像の1つ以上、選択された画像、及び複数のスペックルコントラスト画像の少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つが視覚的に知覚可能であることをもたらすこと、を確実にし得る。任意選択で、少なくとも1つ以上の生のスペックル画像は、1つのみの生のスペックル画像を含む、または連続して取得されるそのような1つ以上の生のスペックル画像のうちの2つの生のスペックル画像は、直ちに次々に取得されるのではなく、そのような2つの画像の間に任意の時間遅延をおいて取得される。少なくとも1つの実施態様において、方法は、以下の、すなわち(i)(1つのみの固定された第1露光時間で1つ以上の生のスペックル画像を)取得するステップは、1つのみの生のスペックル画像を取得することを含み、及び(ii)1つ以上の初期スペックル画像のうちの選択された画像を変更するステップは、1つ以上の生のスペックル画像のうちの1つのみの画像を変更するステップである、2つの条件のうち1つ以上を満たす。少なくとも1つの実施態様では、以下の条件、すなわち(1)方法はさらに、選択された画像の所定のピクセルによって表されるシーンの部分における動きの指標の絶対的な値を定量的に決定すること、及び(2)そのような動きの指標は、前記シーンが生物組織である場合、血流の指標であること、の少なくとも1つを満たす。
【0022】
代替的にまたは追加的に、及び少なくとも1つの実施形態では、取得するステップは、1つのみの固定された第1経験的露光時間において、間に時間間隔をおいて複数の生のスペックル画像を取得し、構成する生のスペックル画像が必然的に非連続である生のスペックル画像のシーケンスを形成することを含み得る。少なくとも1つの場合には、取得するステップは、異なる直接隣接する生のスペックル画像間の異なる持続時間の時間間隔を有する、そのような必然的に非連続な生のスペックル画像を取得することを含み得る。
【0023】
本開示のより完全に近い理解のため、以下の詳細記述及び付随の図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】A、B、及びCは、レーザースペックルコントラストイメージング(LSCI)方法論の図解を示している。ここで、Aは、カメラによって取得された「生の」スペックル画像を示している。生の画像にはランダムな干渉パターンが表示される。Bは、(Aの画像に基づいて)処理された「スペックルコントラスト」画像であり、血流が高い空間領域と低い空間領域を強調表示する。Cは、脳血流の2次元イメージング用に構成された典型的なLSCI装置を概略的に示している。
【
図2】ラットの脳の多重露光スペックルイメージング(MESI)の結果を示している。カメラの露光時間Tの関数としてのスペックル分散をスペックル可視性方程式に当てはめ、4つの関心領域におけるCBFの定量的な推定値を導き出す。挿入画像は、マウスの皮質のCBFのスペックルコントラスト画像である。カメラの露光時間によって血管の可視性が調整される。
【
図3】多重露光スペックルイメージング(MESI)の典型的なセットアップを概略的に示している。異なる露光時間にわたってレーザーの強度を変調するには、音響光学変調器(AOM)が必要である。カメラとAOMは通常、データ取得電子回路(プロセッサ)によってトリガーされる。
【
図4】本発明の着想に従って構成されたスペックルイメージングシステムを概略的に示す。
【
図5】
図4の実施形態で光学データを収集しながら合成多重露光スペックルイメージング方法論を使用する。より長い露光での生のスペックル画像は、より短い露光での画像を空間的に平均化することによって合成することができる。例えば、1ミリ秒の露光時間でのスペックル画像は、0.25ミリ秒のスペックル画像の4ピクセルを空間的に平均化することによって合成される。平均化は、2×2移動ウィンドウまたは2×2ビニングによって達成できる。各露光時間において、強度の標準偏差と平均の比率を計算することにより、時間領域の各画像ピクセルでスペックルコントラストが計算される。
【
図6】関連技術のシステム300(
図3参照)と本発明の着想に従って構成されたシステム(
図4のシステム400参照)で実行された合成多重露光スペックルイメージングの特性評価及び結果の比較。これら2つの測定値のピクセル強度のヒストグラムであり、対応する生のスペックル画像の強度マップが挿入図で表示される。
【
図7】A、Bは、
図3のスペックルイメージングシステムの従来の実施形態300(単一露光)を使用して実行されたスペックルイメージングによって得られたスペックルコントラストマップと、本発明の実施形態(
図4の400、合成多重露光)を使用して実行されたものとの比較を示しており、流量は5mm/秒、スケールバーは50μmである。
【
図8】Aは、
図4の実施形態400を使用して得られた合成MESIデータのスペックルモデル、異なる速度における合成露光時間、の関数としてのスペックル分散への適合を示している。静的散乱層のないサンプルで測定が行われた。
図8Bは、
図1の従来の実施形態100を使用したMESIモデル(曲線820)と
図4の実施形態400を使用したsyMESIモデル(曲線810)の能力である。物体における動きの相対的な変化を決定する。ベースライン速度:1mm/秒。相対速度に対する相対的なτ
cのプロットである。プロットは理想的には直線(破線で表示)であるべきである。本発明の実施形態は、
図3の従来の実施形態または
図1の従来の実施形態の使用と比較して、相対的なτ
c推定値の線形範囲を明らかに向上/拡張する。エラーバーは、相対相関時間推定値の標準誤差を示す。測定は、静的散乱層のないマイクロ流体ファントムを使用して行われた。
【発明の詳細な説明】
【0025】
一般に、図面内の要素のサイズ及び相対的なスケールは、図面の簡潔性、明瞭性及び理解を適切に促進するために、実際のものと異なるように設定されることがある。同じ理由で、1つの図面に存在するすべての要素が必ずしも別の図面に表示されるとは限らない。図には具体的な実施形態が示されているが、本開示は例示を意図しているという理解のもとで、これらの具体的な実施形態は、本明細書で説明及び図示されている発明の実施態様の範囲を制限することを意図したものではない。
【0026】
上で述べたように、現在使用されている関連技術のスペックルイメージング技術は、多重露光スペックルイメージング(またはMESI)と呼ばれ、合成MESI(またはsyMESI)と呼ばれるもので、(従来のLSCIシステムと比較して)より複雑な機器設計と、スペックルコントラストを血流の定量的指標に変換するための新しいが異なる数学モデルを組み合わせている。
【0027】
光の後方散乱によって生成されたスペックルを単一の固定露光時間でイメージングする従来のLSCI方法論は、相対的な流れの変化を測定するのに適している。その結果、従来のLSCIの適用範囲は、非常に単純な状況に限定される。従来のLSCIでは、スペックルコントラストはカメラの露光時間に依存する。つまり、カメラの露光時間によって、異なる流速の血管の「可視性」が調整される。露光時間が短いと高い速度の動きや流れを検出できるが、スローモーションや流れに関連する低速のスペックル強度の変動を検出するには、露光時間を長くする必要がある。
【0028】
ハードウェアベースのMESIはこの現象を活用し、さまざまな期間(
図2に示すように50μs~80ms)のカメラの露光でスペックル画像を記録するのに実験的に適している。実際には、これは、測定のダイナミックレンジ全体にわたって照明電力が比較的一定に保たれるようにしながら、カメラの取得とレーザーを外部からトリガーすることによって実現される。
【0029】
実際には、このような活用は、カメラの取得とレーザー光源を外部からトリガーし、サンプルの照射のパワーレベルが測定のダイナミックレンジ全体にわたって実質的に一定に保たれるようにすることで実現される(例えば、Parthasarathy, A. B., et al., Optics Express 16, 1975-1989;2008)を参照)。スペックルコントラストとカメラの露光時間の関係は、スペックル可視性方程式によって特徴付けることができ、それは最も単純な形では
【数4】
のように表される。ここで、x=T/τ
c、βは光の波長、検出器のピクセルサイズ、及びスペックルサイズに依存するスペックル計測係数、Tはカメラの露光時間、τ
cはスペックルの相関除去時間(血流に反比例する定量的指標)である。βとτ
cは、多重露光時間スペックルデータ(つまり、光検出器によって複数の露光時間で独立して取得されたスペックルデータ)のスペックル可視性表現への非線形曲線フィッティング(
図2を参照)から推定される。この多重露光時間MESI方法論は、機器とサンプル依存の較正係数として機能するβの決定を可能にし、それによってベースライン/絶対血流のイメージングを可能にすることが示された。βのインサイチュでの測定は、単一曝露LSCI測定から血流指数(τ
c)を定量的に推定するためにも使用できる。MESIは、大きなCBF変化の過小評価を正すことが実証されており、堅牢なスペックル可視性表現により、頭蓋骨などの静的組織要素に対するスペックルイメージャーの感度が低下した。しかし、サイズが大きく、複雑で、時間分解能が低いため、従来のハードウェアベースのMESIの適用には制限がある。
図3は、スペックルイメージングに使用されるMESI測定装置の典型的な実施態様300を示している。ここでは、スペックルイメージングに使用されるレーザー光源の強度を制御するために音響光学変調器(AOM)が使用されている。(あるいは、減光フィルタのアレイを使用して照明の光出力を制御することもできる。)
【0030】
最近開発され公開されたソフトウェアベースの単一ショット合成MESI(syMESI)方法論(例えば、PCT/US2022/022734を参照)は、ターゲットシーンを照射するレーザー光のパワーを制御する必要性を回避すると同時に(したがって、ユーザーは、例えば
図1に概略的に示されている基本的なより単純なLSCIシステムの実際的な使用に戻ることができる)、従来の単一露光時間LSCIアプローチでは提供できないターゲットの粒子的な動きの定量的な評価を伝えることにより、LSCIの多重露光時間の時間平均化MESIベースの実装に関連する問題を解決する。したがって、syMESIにより、従来のLSCI装置を使用して、1度の単一露光のみを使用して、MESIで達成されるのと同じ結果をエミュレートできる。syMESIの典型的なハードウェア/ソフトウェア構成は、PCT/US2022/022734の
図5A、5B、5Cを参照して説明されているため、ここではいずれかの詳細を説明しない。PCT/US2022/022734で説明されているように、従来のMESI方式ではより長い露光時間で記録される生のスペックル画像を表すデータは、経験的に記録する必要はなく、代わりに、実質的により短い露光で記録された生のスペックル画像(複数可)を空間的に平均化することによって、数値的に合成または生成することができる。(実験的に記録された生のスペックル画像は、スナップショットにおける、光検出器によって直接取得/読み取られたものであり、取得後にまだ変更されていない)。例えば、1ミリ秒の露光時間でのスペックル画像は、0.25ミリ秒のスペックル画像の4ピクセルを空間的に平均化することによって合成され得る。1つの例では、平均化は、2×2の移動ウィンドウまたは2×2のビニングによって実行できる。各露光期間(スペックル画像が経験的に取得された期間でも、スペックル画像が数値的に合成された期間でも)において、時間的、空間的、または時空間的スペックル画像処理スキームを使用して、そのときスペックルコントラストが計算される。対応する合成露光時間に対する合成スペックルコントラストは、流れを推定するための従来のMESI方程式に適合する。MESI方法論とsyMESI方法論はどちらも、流れの絶対的な値(何らかの基準値に対して決定された相対的な値と対義)またはベースラインの定量的なイメージングを実現し、従来のLSCI技術と比較して流れの検出のダイナミックレンジを拡大した。(特に、本明細書での「絶対的な値」という用語は、そのような値の絶対的な値として数学的な意味で定義されるのではなく、他のいずれかのものと比較することなく測定されるパラメータの固有の大きさを表す値として定義され、対してパラメータの「相対的な値」は、同様のパラメータの基準大きさとの比較に基づいて求められる)。
【0031】
当業者であれば、従来のハードウェアベースの多重露光スペックルイメージング(MESI)アプローチとソフトウェアベースの合成多重露光(syMESI)アプローチの両方が、生のスペックル画像(複数可)の形成に、単一のカテゴリ、単一の種類の光(対象のシーンまたは物体によって散乱された光)を利用し、両方とも、短い露光時間(MESIの場合は50μs~80ms、syMESIの場合は約50μs)でのスペックル画像(複数/単数)の取得を必要とすることをすぐに理解するであろう。短い露光時間で画像を取得することは、よく知られているように、機器の重大な難題である。スペックルコントラストは、通常、強度の平均値に正規化された強度の分散として計算されるため、カメラセンサー(光検出器)での後方散乱光の平均強度は、必ず、検出器のノイズを克服し、検出器のダイナミックレンジ全体を利用できるほど十分に大きくしなければならない(例えば、8ビットの場合は127任意単位、16ビットの光学カメラの場合は32768任意単位)。これにより、使用するレーザー光源によって生成される光のターゲット照射力が必然的に高く、かつ/または高価になるか、あるいは高感度の光学カメラ/検出器を使用する必要があるという要件が生じる。(現在の文脈における「高い」ターゲット照射レーザー出力とは、レーザー/皮膚曝露に関するANSI承認の制限、またはレーザー組織曝露に関するその他の従来の制限を超える局所放射照度を生成する出力である。)
【0032】
高出力レーザー源を使用する必要があるというこの制限により、臨床での応用におけるMESI/syMESIの重要性が低下する。なぜなら、特に術中の脳イメージングや眼科といった敏感な組織に対する場合に、レーザー照射に起因する損傷により、このような高いターゲット照射力で作業することがまさにできなくなるためである。特に、検出感度はSPADアレイまたはEMCCDカメラの使用によって当然向上できるが、その使用によって機器全体のコスト、フォームファクター、及び複雑さも増加する。
【0033】
本発明の実施形態は、光干渉計装置(スペックルイメージングシステム全体の光イメージング部分によって取得される光は、2つの異なる発生源から光イメージング部分に到達する複数の光線の合成であり、そのうちの1つだけがターゲットの物体またはシーンによって後方散乱された光を表す)と、従来のLSCI法、MESI法、またはsyMESI法のいずれかの教示に従う光学画像変換を利用しながら物体またはシーンに存在する動きを高速に定量的にイメージングするための新しいスペックル可視性アルゴリズムとを採用した、スペックルイメージングシステムを考案することにより、関連技術の方法論に固有の上記の制限及び問題を回避する。
【0034】
本発明の論述された着想の実施態様は、様々な物体(特定の可動部分または要素を含む無生物または空間、あるいは血流がある生物組織などの生的物体)の非侵襲型イメージング及びそれに存在する動きの判定に向けられており、これらはすべて本発明の範囲内であることが理解される。ただし、提示の簡潔さと確実性のために、本発明の実施形態に関する以下の説明では、対象が生物組織であるという特定の非限定的な例を挙げて説明している。
【0035】
本発明の着想は、ターゲット物体またはシーン(イメージングされるレーザースペックルの後方散乱光源として機能する)がこのような干渉計のサンプルアームに配置され(有用な光(干渉計装置の出力で光学イメージングシステムによって収集される)がターゲット物体による後方散乱光だけでなく、干渉計の参照アームを通って伝播する光も含む)後方散乱光それ自体のみによってもたらされる弱いダイナミック信号を増強するという条件下で、光学照射システム(特定の場合には、レーザー光源などの光源を含む)と光学イメージングシステム(光検出器を含む)との間で光干渉計装置を使用することを実現することに由来している。本発明の実施形態のこのような構成の使用により、スペックルイメージングシステム全体が、スペックルイメージングシステムの干渉計装置のサンプルアームに配置されたターゲット物体またはシーンを照らす光の強度レベルに実質的に関係なく、光検出器のノイズの分散値よりもこのスペックル分散値が大きく維持されながら、生のスペックル画像(光干渉計装置からの光出力において検出器で経験的に取得される)のスペックル分散値が確実かつ正確に確認または決定されるような状態で、実質的に常に動作できることが示された。本発明の実施形態を使用してスペックル分散をノイズレベルを超えるように増加させることにより、測定の信号対雑音比が有利に増加する。全体的なスペックルイメージングシステムの一部として光干渉計装置を使用することによりこのような動作体制が形成されることにより、本発明の実施形態に明らかな動作上の利点がもたらされる。これは、物体/シーンを照らす光の強度レベルが特定のレベルを下回るとすぐに、光検出器のノイズの分散によって支配されるスペックル分散のいずれかの信頼でき、再現でき、正確で、及び/または精密な判定を必然的に、また明瞭に許可しない関連技術のいずれかのスペックルイメージングシステムの動作とはまったく対照的である。
【0036】
さらに、本発明の着想の実際の実施態様によって経験的に実証されたように、提案されたスペックルイメージング方法論の時間分解能はカメラのフレームレートによってのみ制限され、この方法論が機能するためには高フレームレートの光学カメラ/検出器は必要なかった。その結果、提案された方法論は、定量的なビデオレート多重露光スペックルイメージング(現在の最先端技術よりも約10倍高速)を実行するために使用できる。本発明の着想の実施態様により、システムの光干渉計装置からの光出力で収集される干渉縞の強度、ひいては全体的な測定のダイナミックレンジが、例えば参照アームの光の強度を調整することによって(1つの特定の非限定的なケースでは中性密度フィルタを使用して)自由に調整または変更できるという追加の利点が得られる。
【0037】
特に、例えば光コヒーレンストモグラフィー(OCT)システムを使用する場合など、異なる状況下でのレーザースペックルの取得とは純粋に対照的に、本発明の実施形態は、光干渉計装置が、サンプルアームと参照アームを通って伝播する光の部分間の光路の差(例えば、別の場合に位相差の変化によって引き起こされるOPD)の変化を必要としないか、または許容さえもしないように構成されている。
【0038】
本発明の着想に従って構成されたスペックルイメージングシステムの代表的な実施形態400が
図4に概略的に示されており、図示されているように、この特定のケースではマッハ・ツェンダー干渉計として構成された光干渉計装置が含まれている(関連する実施形態では、干渉計は、例えばマイケルソン構成に従って異なる構成にすることができることを理解されよう)。
【0039】
光学照明システム414の光源410(1つの実際的な実施態様では、λ=638nm及び150mWで直線偏光CW光を生成する単一モードレーザーダイオード、LDであった)からの光は、光学系418(図に示すように、非球面レンズL1 、Thorlabs C171TMD-B、f=6.20mm、NA=0.30でコリメート)を使用して空間的に変換され、入力ビーム422が生成され、次に、非偏光ビームスプリッタ420を使用して、サンプル光ビーム426Sと参照光ビーム426Rに分割された。一般に、光分割比率の値は、実施形態の動作原理に影響を与えなかった。ただし、図示のケースでは、ビームスプリッタ430のThorlabs BS076モデルが使用され、ビーム422の入力光パワーの約10%が参照光422Aとして干渉計の参照アーム432R(ここでは、ステップインデックス型マルチモード光ファイバーパッチケーブル424、Thorlabs M124L01、直径Φ400μm、NA0.50を含むように示されている)に結合され、ビーム422の光パワーの約90%がサンプル光422Sとしてサンプルアーム432Sに送られ、ターゲットサンプル434を実質的に空間的に均一に照らす。
【0040】
サンプル光426Sでサンプルを照射する特定の形状は、実施形態の動作に影響を与えないことが証明されているが、図示のケースでは、このような照射は、サンプル434の表面に対して引かれた法線に対して約30~45度の角度でなされた。同様に、干渉計装置の参照アーム432Rの特定の内容は、実施形態400の動作に影響を与えないことが証明された(関連する実施形態は、例えば、光ファイバーケーブル424を使用せずに実装できる)。
図4の具体的な例では、マルチモードファイバ424の出力における参照光は、ファイバコリメータFC2、424B(Thorlabs F230FC-780-780nm、f=4.51mm、NA=0.55)によってコリメートされた。任意選択で、サンプルアーム432S及び参照アーム432Sの少なくとも1つに、このようなアームを伝搬する光の強度を制御するように構成されたデバイスを使用することができる。
図4の例に示すように、このようなデバイスは、空間的に再配置可能な中性密度フィルタND444として構成されている。
【0041】
サンプル434と相互作用して後方散乱したサンプル光426Sは、レンズ438(ここでは光学対物レンズとして表示、4X、NA=0.10、オリンパス)によって収集された。サンプルビーム426Sで収集された後方散乱の光442Sと、参照アーム432Rの出力端にある参照ビーム426Rの光442Rは、次いで別のビームスプリッタ446(ここでは、Thorlabsの50/50ビームスプリッタ、CCM1-BS013)によって空間的に重ね合わされ、光干渉計装置の出力で光450を形成し、1つの特定のケースではCMOSカメラ(Basler acA2000-165umNIR)を含む実施形態400の光学イメージングシステム454でイメージングされた。一実施態様では、スペックルイメージングシステムの動作は、光干渉計装置の動作パラメータを変更することなく行われた(参照光442Rの強度を変化させるという任意選択の例外を除く)。1つの実施態様では、生のスペックル画像が100Hzのフレームレートと100μsの露光時間で連続的に記録された。
【0042】
実施形態400には、少なくとも光学イメージングシステム454の光検出器で取得された画像を変換し、少なくとも任意選択で、光学照明システム414及び/または光強度制御デバイス(存在する場合はデバイス444など)の動作を制御するように構成されたコンピュータプロセッサ(またはコンピュータシステム、またはデータ処理電子回路。
図4には示されていない)が装備されていた。このようなコンピュータプロセッサは、光学イメージングシステム454と動作可能に接続され、システム454から電気信号(複数可)を受信するものであり、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを保持するコンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体によって補完されている。コードには、プロセッサに対して、少なくともスペックルコントラスト特性(例えば、スペックル分散、及び/または光干渉計装置からの光出力450においてシステム454で取得された生のスペックル画像のものなど)を決定及び/または表示させるための命令、及び、任意選択で、例えば、経験的に取得された生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性を、干渉計装置の出力における参照光442Rの強度と光450の強度の比率の関数として決定するなどの追加の光学画像変換ステップを実行させるための命令が含まれていた(詳細は後述)。コンピュータプロセッサに関連付けられた記憶媒体に含まれるコードによってプロセッサに与えられる命令は、ある場合には、時間領域、空間領域、または時空間領域のいずれかで、及び/または従来のMESIまたはsyMESIアルゴリズムを使用して、スペックルコントラスト特性の計算を可能にするように構成される。例えば、一実施形態では、プロセッサに提供される命令は、プロセッサが、システム454の光検出器の各識別されたピクセル(またはピクセルのグループ)について、光450で取得された生のスペックル画像のスペックルコントラストの値を、識別されたピクセルを囲む光検出器の選択領域内のピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、そのような強度の平均値との比率として、または識別されたピクセルにおける光の強度の標準偏差の正規化された値と、複数の露光時間にわたって計算された識別されたピクセルにおける前記光の強度の平均値との比率として計算するように構成される。
【0043】
上記の議論の利点を有する当業者は、本発明の提案された実施形態の使用の効果が、短い露光時間(典型的にはまたは約100μs)で、有用及び/または有益な信号(すなわち、サンプル光によって後方散乱されたものを表す信号が常に光検出器のノイズを上回る)状態でシステムの動作を保証し、それによって絶対的な値(相対的な値ではなく絶対的な測定)の定量的決定及び/またはサンプルでの動き(例えば、生物組織の場合、血流の動き)のイメージングを可能にすることであると容易に理解できる。光干渉計装置を使用すると、ノイズを比較的一定に保ちながら(参照アームのパワーを増強することによって)測定信号が増加するため、信号が小さくノイズが大きい背景の状況でも、従来よりも信号対雑音比を高くすることができる。
【0044】
実施形態400を使用して実行されるレーザースペックルイメージングの場合、例えば、光干渉計装置の出力における光450の電界は次のように表され得る。
【数5】
【0045】
ここで、
【数6】
はサンプルから後方散乱した光442Sの電界であり、
【数7】
は参照光442Rの電界である。光学イメージングシステム454の光検出器によって受信され検出された光450の強度は次のとおりである。
【数8】
【0046】
例えば、R.Bandyopadhyayら(Speckle-visibility spectroscopy: A tool to study time-varying dynamics,” Rev. Sci. Instrum. 76, 1-11, 2005)によって説明されているSigertの関係に従うと、測定された強度の自己相関は、今や次のように表すことができる。
【数9】
【0047】
ここで、
【数10】
である。R.Bandyopadhyayらの教えに従うと、スペックルの可視性は次のように表現できる。
【数11】
【0048】
ロレンツ分布
【数12】
を仮定すると、そのとき、スペックルコントラストは次のように表される。
【数13】
【0049】
したがって、本発明の実施形態では、取得された生のスペックル画像のスペックルコントラスト特性は、参照光442Rの強度と全体の出力光450の強度との(時間依存の)比率の関数として決定される。本発明のシステムの実施形態400を使用して得られるスペックルの可視性を表すこの式8は、ハードウェアベースの多重露光(MESI)またはソフトウェアベースの合成多重露光(syMESI)データ処理を実行することによってさらに適合させることができる。
【0050】
例えば、システム400と、ここで
図5として再現されているPCT/US2022/022734の
図4を参照して説明されているsyMESIアプローチ及びアルゴリズムを使用したスペックルイメージングの実施態様について考察していく。ここでは、スペックルイメージングシステムの実施形態400(システム400には、光出力450のパワーを露光時間にわたって実質的に一定に維持するように構成された装置は必ずしも含まれない)を使用して、光検出器によって、唯一の単一の固定した露光時間で(生のスペックルデータの経験的取得、ここでは0.25ミリ秒)、少なくとも1つまたは一連の複数の生のスペックル画像528を取得できる。いずれにせよ、選択された(または代わりの)これらの生のスペックル画像のそれぞれが、適切な空間ウィンドウまたはアパーチャ(互換的に、ビニングアパーチャ)を使用してカメラで記録された選択された画像528(j)を空間的に平均化することにより、対応する合成多重露光時間画像(つまり、複数の合成露光時間に対応する画像)に変更/変形/変換される。アパーチャの形状は、多角形であることが好ましく(生のスペックル画像528のピクセル化された性質を考慮すると)、特定のケースでは、平均化空間アパーチャは窪んだ多角形、つまり少なくとも1つの角度が180度を超える多角形の形状を有することができる。ここで、
図5の例に示すように、経験的露光時間0.25ミリ秒で得られた選択された生のスペックル画像528(j)を2×2の正方形ウィンドウ/ビニングアパーチャで空間的に平均化すると、合成露光画像538(j)である変更された画像が生成される。この画像538(j)は、1ミリ秒の合成(経験的ではない)露光時間に対応するシーン120のスペックル画像である。合成1ミリ秒1ms画像538(j)の各ピクセルは、カメラで取得した0.25ミリ秒の経験的露光時間画像528(j)の2×2=4の隣接したピクセルの平均である。このようにして、
図5は、合成露光時間2.25ミリ秒に対応する変更スペックル画像548(j)がどのように形成され得るかをまた示している。このプロセスを、
図5に楕円で示されているように、セット528から少なくとも1つ(必要に応じて1つ超)の経験的に記録された生のスペックル画像に対してさまざまな形状及び/またはサイズのビニングウィンドウを使用して複数回繰り返すことにより、ユーザーまたはシステムは、(決定された複数の合成露光時間のうちの)対応する合成露光時間に対応するシーンのスペックル画像を表す複数の変更されたスペックル画像を生成する。
【0051】
さらに、任意選択で、
図5を再度参照すると、本発明の少なくとも1つの特定の実施形態では、イメージングされたサンプル/物体/シーン434に存在する動きに関する情報(非限定的な例として、生物組織内の血流に関する情報)は、少なくとも1つのケースでは、すべての合成露光時間について各画像ピクセルの時間的スペックルコントラストを決定することによって、すなわち、式8に従って各ピクセルのKの値を計算することによって定量化され得る。これにより、変更されたスペックル画像538(j)、548(j)などのセット(複数可)は、スペックルコントラストに関する情報を含むそれぞれ対応する画像に変換される。0.25msの露光時間で経験的に取得された画像(複数可)528の範囲内でのスペックルコントラストの空間分布を表すスペックルコントラスト画像578(0.25)を参照されたい。空間ビニング平均によって生成された合成画像(複数可)538(j)(合成露光時間1.0msに対応する)の範囲内のスペックルコントラストの空間分布を表すスペックルコントラスト画像578(1.0)も参照されたい。空間ビニング平均によって生成された合成画像(複数可)448(j)(合成露光時間2.25msに対応する)の範囲内のスペックルコントラストの空間分布を表すスペックルコントラスト画像578(2.25)も参照されたい。さらに、このようなスペックルコントラスト画像(複数可)の各ピクセルで、スペックルの可視性(少なくとも1つの例で、スペックルの分散と合成露光時間のプロットまたは曲線として、例えば
図2で表される)を評価することができ、これをさらに単一散乱定量スペックルコントラスト分光法モデル(Parthasarathy, A. B., et al., in Optics Express 16, 1975-1989;2008を参照)または拡散散乱定量スペックルコントラスト分光法モデル(Valdes, C. P. et al. in Biomedical optics express 5, 2769, doi:10.1364/BOE.5.002769(2014)を参照)のいずれかに適合させて、選択された生のスペックル画像の特定のピクセルで表される調査シーン434の部分における動きの指標(シーンが生物組織、組織の対応する部分における血流の指標、である場合)を推定することができる。
【0052】
特に、空間平均化は、アプリケーションに適したさまざまなアプローチを使用して実行できる。これには、選択された生のスペックル画像のほぼ同じ場所に配置されたさまざまなサイズ及び/または形状の空間ウィンドウまたはアパーチャを使用したピクセル単位のビニング(
図5に明示的に示されている)、または選択された生のスペックル画像全体に再配置される固定サイズ及び/または形状の空間ウィンドウまたはアパーチャを使用したビニングが含まれる。後者は画像の高い空間分解能を維持できる。これらの操作は、標準的な画像処理アルゴリズムを使用して実行できる。さらに、当業者が上記の説明からすでに理解しているように、空間平均化は長方形の空間ウィンドウまたはビニングアパーチャに限定されない。例えば、
図5を参照すると、3×2の空間ウィンドウを使用して0.25×6=1.5ミリ秒の露光画像を合成することができる。アプリケーションの必要に応じて、任意の(任意選択で多角形)形状とサイズのウィンドウを使用できる。
実験結果の考察
【0053】
すでに上で述べたように、サンプルアームと参照アームの間のOPDが実質的に変化しないことを特徴とする光干渉計装置を組み込んだスペックルイメージングシステムの実施形態の使用によって得られる実用的な利点の1つは、特に光検出器の常に存在するノイズを背景として、弱い動的信号を取得/増幅するシステムの能力である。実施形態400の使用により、この利点が実験的に検証され、サンプル照射光426Sの強度がどれだけ低いかに関係なく、ターゲット物体に存在する動きの絶対数値パラメータのイメージング及び定量化を実質的に実行できることが実証された。この目的のために、単一の露光時間で取得された生のスペックル画像(複数可)から始めて、100μsから10ミリ秒まで変化する追加の多重露光に対して、合成MESI画像とスペックル可視性曲線が計算された(
図5に関して上記で参照されたアルゴリズムに従って)。生のスペックル画像(複数可)は、20%のイントラリピドを200μm×150μmの流路に流しながら、流速1~7mm/sで流動ファントムをシミュレートした組織から収集された。
【0054】
図6に示されている結果は、システム400が、光検出器のノイズを克服するために、光442Sを表す弱い動的信号が増幅される領域で必然的に動作するという事実を証明している。ここで、
図6は、
図1のシステム100と
図4のシステム400で取得された生のスペックル画像の強度ヒストグラムを比較している。実施形態100を使用した場合、イメージングカメラの光検出器での光の平均強度は33.75(任意単位)であり、これは8ビットカメラセンサーのダイナミックレンジを満たすために必要な強度の4分の1である。また、光子数が少ないため、イメージングされたスペックルは未発達である。ヒストグラム100と挿入図
【数14】
を参照されたい。次に、参照アームを通って伝播する基準光のみが導入され、平均強度は78.36(任意単位)であった(実施形態400)。参照アームに多重モードファイバーが採用されているため、参照光の強度を制御、変化、変更することができ、結果として生じるスペックルパターンが光検出器(光学イメージングシステムまたはカメラのセンサー)を過剰にさせないのを確実にする。ヒストグラムREFと挿入図
【数15】
を参照されたい。最後に、サンプル光442Sによる後方散乱を参照光442Rと慎重に重ね合わせて光検出器でそれらを干渉させると、全体の平均強度は113.73(任意単位)に増加した。ヒストグラム400と挿入図
【数16】
を参照されたい。挿入図からは、ホモダイン方式と比較したヘテロダイン方式により、参照アームによって増幅された流れ領域からの動的スペックルがはっきりと確認できる。さらに、本発明の実施形態の使用により、スペックルイメージングプロセスが、光検出器におけるノイズの存在下での動きの絶対特性の定量的なイメージング及び決定を確実に行うことができることが証明された。
【0055】
図7A、7Bは、本発明の実施形態(
図7B)による定量的なスペックルコントラスト画像の再構成と、従来のスペックルイメージング(実施形態100、短い露光時間<1ミリ秒に典型的にみられる低い光子数)の使用によって生成された結果との比較を示す。
図7Aは、実施形態100の光検出器によって検出された平均強度が低く、画像が光検出器のノイズによって支配されていることを示す。従来の実施形態100で取得された生の画像にMESI/syMESIのデータ処理を適用すると、人工的に高いスペックルコントラスト値が得られる可能性がある。結果として得られた物体の動きの画像(この場合は、生物組織内の血流の画像)では、画像の中央に存在しているチャネルの血流の感度が低く、
図7Aの画像全体が静的なスペックルパターンに似ていた。しかしながら、実施形態400を使用すると、サンプルによって後方散乱された光の低い平均強度を、この後方散乱光と参照アームを通って伝播する光との干渉によって増幅することによってこの問題を克服し、比較的短い露光時間(複数可)でスペックルコントラスト画像を正確に評価できるようになった。
図7Bのいくつかの画像から、例えば露光時間100μsでのスペックルコントラストが
図7Bのものと比べて比較にならないほど高く、同時に光検出器のノイズが存在するにもかかわらずスペックルコントラストの絶対的な値を正確に測定できることは明らかである。
【0056】
さらに、実施形態400の使用により、従来の実施形態100の使用で得られた結果とは対照的に、光検出器ノイズの存在下でのサンプルにおける動きの大きな変化(例えば、生物組織の血流の大きな変化)の直線性が実証された(
図8A、8Bを参照)。
【0057】
ここでは、実験セットアップ400(
図4)を合成露光技術と組み合わせて使用し、マイクロ流体サンプルに対して制御された実験を実行した。イントラリピッド20%は、シリンジポンプを使用して、1mm/秒から7mm/秒までのさまざまな速度で1mm/秒ずつ増分してサンプルに注入された。100μsの露光時間で、各流量に対して100枚の生のスペックル画像がキャプチャされた。合成多重露光アルゴリズムを使用して、露光時間の関数としての流れ領域の平均ヘテロダインスペックルコントラストを計算した。このようにして得られた合成多重露光スペックルコントラストデータは、次いでβと
【数17】
を一定に保つことにより式8に適合された。
図8Aは、モデルが実験データに非常によく適合していることを明確に示している。相関時間(動き、血流の定量的測定基準)は、τ
cをフィッティングパラメータとして推定された。次に、スペックルイメージング機器400を使用して得られた
τc推定値が、相対相関時間測定のそれぞれの推定値を比較することによって、従来の単一露光LSCI測定で得られたものよりも正確であるかどうかの証明が求められた。従来の単一露光測定からの相関時間の推定は、従来の方法、例えばD. A. Boasらが詳述した手順(”Laser speckle contrast imaging in biomedical optics,” J. Biomed.Opt. 15, 011109, 2010)を使用して取得された。相対相関時間の尺度は
【数18】
のように定義される。相関時間の推定値は、
図8Aで実行されたフィッティングから得られる。システム400で得られたτ
cの推定値は、相対フロー予測の有効性を評価すべく、100μsでのτ
cの関連技術の推定値の従来のシステム100を使用する、従来の単一露光で得られたものと比較された。理想的には、相対相関尺度は相対的な速度と直線的になる。相対相関時間は、1mm/秒のベースラインフローに対して取得された。
【0058】
図8Bは、提案されたスペックルモデルをスペックルイメージングシステム400及び合成多重露光スペックルイメージング方式と組み合わせて使用することで、光検出器のノイズの存在を容易に克服しながら、広い流量範囲(約6倍、データ曲線810を直線破線と比較)にわたって相対相関推定値の直線性を達成したことを示している。同時に、実施形態100の従来の単一露光方式(曲線820を参照)を使用すると、有用な(物体によって後方散乱された)信号が光検出器のノイズによって完全に埋もれてしまうため、イメージングされた物体/シーンにおける動きのいずれの相対的な変化も得ることができなかった。実際、相対的な動きの変化(1つの特定の例では血流)の直線性を評価するには、平均検出強度が8ビット光検出器の場合は少なくとも127(任意単位)、16ビット光検出器の場合は32768(任意単位)である必要があった。これにより、光学イメージングシステムのダイナミックレンジを最大限に活用し、スペックルを完全に開発できるようになった。一方、実施形態100の使用では、このような短い露光時間(<1ミリ秒)では、高出力のレーザーと高感度の検出器を使用しない限り、その各々の場合に、このダイナミックレンジを達成するのに十分ではなかった。
【0059】
当業者はいまや、ターゲット物体またはサンプルまたはシーンで発生する動きをイメージング/測定する際に、関連技術の同等の光学機器と比較して、スペックルイメージングシステムの提案された実施形態を使用することによって得られる実用的な利点を理解するであろう。
【0060】
提案された装置は、従来のスペックルイメージング装置に参照アームを追加するだけで済む。これは、
図4に示すように自由空間で実現することも、光ファイバーコンポーネントまたはその他の同様の配置を使用して実現することもできる。あらゆる低出力レーザーソースと低コストのカメラ(1メガピクセル以下、低いビット深度及び光感度)を使用できる。
【0061】
光検出器のノイズを克服するために、特別な高価な高出力レーザーまたは機器は必要ない。
【0062】
単一ショットイメージングを利用する場合、このアプローチの時間分解能は光検出器のフレームレートによってのみ制限される。この方法論が機能するためには、高フレームレートのカメラは必要ない。その結果、説明した実施形態は、定量的なビデオレートの多重露光スペックルイメージング(現在の最先端技術よりも約10倍高速)を実行するために使用できる。
【0063】
-取得した干渉縞の強度、ひいては測定のダイナミックレンジは、参照アームの光の強度を調整することによって簡単に調整できる。
【0064】
本発明の実施形態は、多種多様な用途で容易に使用することができる。例えば、これは、血流イメージング(皮膚微小血管機能及び機能不全のイメージング、創傷治癒血管新生、組織熱傷の診断、皮膚がん、内視鏡手術及び消化管手術、潰瘍及び/または心血管調査、眼科、糖尿病、脳血管調査、特に、術中手術を含むがこれらに限定されない)にレーザースペックルコントラストイメージングを利用する用途で適用することができる。また、拡散スペックルコントラスト分析、レーザースペックルレオロジー、及びスペックルベースの血栓測定に適用されるものを含む、あらゆるマルチスペックル検出システムにおけるスペックル変動ダイナミクスの定量化にも有利に利用できる。
【0065】
本開示で特定される関連技術文献及び/または論文のそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
「一実施形態」、「実施形態」、「関連する実施形態」または類似の文言に対する本明細書での言及は、参照している「実施形態」に関連して記載される特定の特徴、構造、または特質が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって「一実施形態では」、「実施形態では」などの語句が現れることは、すべて同じ実施形態を指すことができるが、必ず指すというわけではない。開示内容のいかなる部分も、それ自体で、また図と可能な関連を伴って、本発明のすべての特徴の完全な説明を提供することを意図したものではないことを理解されたい。
【0067】
本開示及び添付の請求項の目的のために、手近な値、要素、特性または特徴の記述子に関して「実質的に」、「およそ」、「約」という用語及び類似の用語を使用することは、言及された値、要素、特性または特徴が必ずしも記載どおりである必要はないが、それでも実用目的では当業者によって記載されているものとみなされることを強調することを意図している。特定の特性または質の記述子に適用されるこれらの用語は、「ほとんど」、「主に」、「かなり」、「概ね」、「本質的に」、「多大または実質的な程度」、「必ずしも完全にはでないが、大部分同じではある」という意味であり、近似の文言を合理的に示し、特定の特性または記述子の範囲が当業者によって理解されるように説明する。特定の1つの例では、「およそ」、「実質的に」、及び「約」という用語は、数値に関して使用される場合、指定された値に対してプラスまたはマイナス20%、より好ましくはプラスまたはマイナス10%、さらにより好ましくはプラスまたはマイナス5%、最も好ましくは指定された値に対してプラスまたはマイナス2%の範囲を表す。限定されない例として、2つの値が互いに「実質的に等しい」とは、2つの値の差が、値自体の+/-20%の範囲内、好ましくは値自体の+/-10%の範囲内、より好ましくは値自体の+/-5%の範囲内、さらに好ましくは値自体の+/-2%以下の範囲内であり得ることを意味する。
【0068】
選択された特性または概念を説明する際にこれらの用語を使用することは、不明確さのいずれかの土台、または特定の特性または記述子に数値制限を追加することのいずれかの根拠となることを意味する、またはそれらを与えるものではない。当業者に理解されるように、そのような値、要素、または特性の正確な値または特性の記載されたものからの実際的な偏差は、当技術分野でそのような目的のために受け入れられている測定方法を使用する場合に典型的な実験測定誤差によって定義される数値範囲内に収まり、変化する可能性がある。
【0069】
「画像」という用語は、一般に、空間位置に対応する検出器出力の順序付けられた表現を指す。例えば、光検出器によって検出された光のパターンに応じて、ビデオ画面またはプリンタなどの表示デバイスに視覚画像が形成され得る。「定量的」という用語は、量によって表されるか、または表され得るものとして定義される。
【0070】
本開示に添付された請求項に記載された発明は、参照される関連技術に開示された特徴を含む、本開示全体を考慮して評価されることが意図されている。
【0071】
本発明は、上述の例示的な実施形態を通じて説明されているが、本明細書に開示された発明の概念から逸脱することなく、図示された実施形態に対する変更及び変更が可能であることは、当業者に理解されるであろう。開示された態様、またはこれらの態様の一部は、上に記載されていない方法で組み合わせ得る。したがって、本発明は、開示された実施形態(複数可)に限定されるものとみなされるべきではない。
【国際調査報告】