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特表2024-543681減速機、減速伝動システム、減速伝動システムを含むロボット関節、およびロボット
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  • 特表-減速機、減速伝動システム、減速伝動システムを含むロボット関節、およびロボット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】減速機、減速伝動システム、減速伝動システムを含むロボット関節、およびロボット
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
F16H1/32 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535291
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2021138697
(87)【国際公開番号】W WO2023108528
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111522002.3
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522453131
【氏名又は名称】シャンハイ・フレクシブ・ロボティクス・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522453142
【氏名又は名称】フレクシブ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】安 然
(72)【発明者】
【氏名】宋 庭科
(72)【発明者】
【氏名】王 世全
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FB32
3J027GB03
3J027GC07
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
(57)【要約】
本願は、減速伝動システム、当該減速伝動システムを含むロボット関節、およびロボットに関する。当該減速機は、伝動入力軸から伝動出力軸への減速伝動が実現されるように配置され、伝動入力軸に取り付けられる波発生器と、固定されたスチールホイールと、スチールホイールと波発生器との間に位置されてギア部分及びベルマウス部分を含むフレキシブルホイールと、を含み、ベルマウス部分は、伝動出力軸に接続されているように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動入力軸から伝動出力軸への減速伝動が実現されるように配置される減速機であって、
前記伝動入力軸に取り付けられる波発生器と、
固定されたスチールホイールと、
前記スチールホイールと前記波発生器との間に位置されてギア部分及びベルマウス部分を含むフレキシブルホイールと、
を含み、
前記ベルマウス部分は、前記伝動出力軸に接続されているように配置される、
ことを特徴とする減速機。
【請求項2】
負荷は、前記ベルマウス部分に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記波発生器は、カムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の減速機。
【請求項4】
前記ベルマウス部分から前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離は、前記スチールホイールから前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の減速機。
【請求項5】
減速伝動システムであって、
伝動入力軸と、
前記伝動入力軸の一端に取り付けられるモータと、
前記伝動入力軸の他端に取り付けられ、波発生器、スチールホイール、及び前記スチールホイールと前記波発生器との間に位置されるフレキシブルホイールを含む減速機と、
前記フレキシブルホイールに接続される伝動出力軸と、
を含み、
前記スチールホイールは固定接続され、前記フレキシブルホイールはギア部分及びベルマウス部分を含み、前記ベルマウス部分は、前記伝動入力軸から前記伝動出力軸までの減速伝動が実現されるように前記伝動出力軸に接続される、
ことを特徴とする減速伝動システム。
【請求項6】
負荷は、前記フレキシブルホイールに接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項7】
前記ベルマウス部分は、前記波発生器が前記モータから離れる側に向けて配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項8】
前記波発生器は、前記伝動入力軸の他端に取り付けられ、前記モータ、前記伝動入力軸及び前記波発生器は、同期して回転する、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項9】
前記波発生器は、カムである、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項10】
前記減速伝動システムは、ケースをさらに含み、前記スチールホイールは、前記ケースに固定されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項11】
前記ベルマウス部分から前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離は、前記スチールホイールから前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項12】
前記負荷は、締結具によって前記フレキシブルホイールの前記ベルマウス部分に直接接続されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の減速伝動システム。
【請求項13】
前記減速伝動システムは、接続部材をさらに含み、前記接続部材は、締結具によって前記フレキシブルホイールの前記ベルマウス部分に接続されるとともに前記伝動出力軸に固定接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項14】
負荷は、前記接続部材に固定接続される、
ことを特徴とする請求項13に記載の減速伝動システム。
【請求項15】
前記負荷と前記接続部材は、互いに独立した部材である又は一体成形される、
ことを特徴とする請求項14に記載の減速伝動システム。
【請求項16】
前記接続部材に第1取付孔が設けられ、前記ベルマウス部分に第2取付孔が設けられ、前記第1取付孔の位置は、前記第2取付孔の位置に対応し、前記負荷と前記接続部材は、前記締結具を介して前記ベルマウス部分に接続される、
ことを特徴とする請求項13に記載の減速伝動システム。
【請求項17】
前記減速伝動システムは、支持軸受をさらに含み、前記支持軸受は、前記伝動入力軸に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項18】
前記支持軸受の数は、1つである、
ことを特徴とする請求項17に記載の減速伝動システム。
【請求項19】
前記減速伝動システムは、クロスローラ軸受をさらに含み、前記クロスローラ軸受は、前記フレキシブルホイールのベルマウス部分と前記スチールホイールとの間に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項20】
前記クロスローラ軸受の前記ベルマウス部分から離れる端に軸受オイルシールが設けられている、
ことを特徴とする請求項19に記載の減速伝動システム。
【請求項21】
前記伝動入力軸と前記伝動出力軸は同軸に取り付けられ、前記伝動入力軸は前記伝動出力軸の外に嵌設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速伝動システム。
【請求項22】
前記締結具は、ネジ又はボルトである、
ことを特徴とする請求項16に記載の減速伝動システム。
【請求項23】
ロボット関節であって、
請求項5~22のいずれか1項に記載の減速伝動システムを含む、ことを特徴とするロボット関節。
【請求項24】
ロボットであって、
請求項23に記載のロボット関節を含む、ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年12月13日に中国国家知識産権局に出願した、出願番号が2021115220023である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、減速機の技術分野に関し、具体的に減速機、減速伝動システム、減速伝動システムを含むロボット関節、およびロボットに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ロボット技術は、常に高度に進歩し、発展を続けている。ロボットは、高精度かつ複雑で再現性のある作業を完了することができるため、手動操作の時間と労力を大幅に減少させる。したがって、ロボットは、工業生産に広く応用されている。ハーモニック減速機は、回転数を低下させ、トルクを増加させる減速機構として一般的にロボットに使用されており、それによってロボットの各アームの運動速度と出力トルクを調節し、ハーモニック減速伝動が実現される。ハーモニック減速伝動は、可撓性歯車によって生じる制御可能な弾性変形が剛性歯車の歯と可撓性歯車の歯の間で相対的な歯のずれを引き起こすことに依存して、運動及び力を伝達する新型の機械伝動である。ハーモニック減速機は、一般的に波発生器、スチールホイール及びフレキシブルホイールによって構成される。ハーモニック減速機の内部には、さらにクロスローラ軸受などの部品を集積することが可能である。
【0004】
一般的には、ハーモニック減速機の波発生器が、モータ軸によって駆動されて高速回転する際に、波発生器が回転してフレキシブルホイールを押圧して、フレキシブルホイールを低速回転させる。さらに、フレキシブルホイール又はスチールホイールに接続された他の負荷の回転を駆動させる。この過程において、一般的に、フレキシブルホイールの一端は固定され、スチールホイールは他の負荷に接続されて回転を駆動する。例えば、図1に示すように、減速伝動システム1000において、モータ1は、伝動入力軸2に固定接続され、伝動入力軸2は、波発生器3に固定接続されている。これにより、モータ1は、伝動入力軸2を同期して回転するように駆動することができ、それによってモータ1、伝動入力軸2及び波発生器3は、同期して回転することができる。波発生器3、スチールホイール4及びフレキシブルホイール5は、ハーモニック減速機を構成する。フレキシブルホイール5は、筒状構造をなし、且つベルマウス状の部分を有し、減速伝動システム1000のケースに固定される。スチールホイール4は他の負荷に接続され、他の負荷の回転を駆動する。これにより、波発生器3がモータ1によって駆動されて高速回転する際に、波発生器3は、スチールホイール4が低速回転するように駆動し、さらにスチールホイール4が他の負荷の回転を駆動することができ、よって減速伝動が実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ハーモニック減速機の構造において、フレキシブルホイール5のベルマウス状の部分がモータ1に接近する方向に向かって減速伝動システム1000のケースに固定され、スチールホイール4は他の負荷に接続されて他の負荷の回転を駆動するため、フレキシブルホイール5が伝動入力軸2に組み立てられると、フレキシブルホイール5の内向きのベルマウス状の部分と筒状の部分は、伝動入力軸2の一部の部品取付空間を占めなければならず、それによって伝動入力軸2の長さが必然的に長くなり、よって重量が増加し、作動の過程において減速伝動システム1000全体の重量及び運動エネルギーの入力端の回転慣性モーメントがいずれも大きくなり、減速伝動システム1000の動的応答性に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施例によれば、減速機、減速伝動システム、それを含むロボット関節、およびロボットを提供する。
【0007】
本願に係る一方面として、減速機が提供される。前記減速機は、伝動入力軸から伝動出力軸への減速伝動が実現されるように配置され、前記減速機は、前記伝動入力軸に取り付けられる波発生器と、固定されたスチールホイールと、前記スチールホイールと前記波発生器との間に位置されてギア部分及びベルマウス部分を含むフレキシブルホイールとを含み、前記ベルマウス部分は、前記伝動出力軸に接続されているように配置される。
【0008】
一実施例では、負荷が前記ベルマウス部分に接続される。
【0009】
一実施例では、前記波発生器は、カムである。
【0010】
一実施例では、前記ベルマウス部分から前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離は、前記スチールホイールから前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離よりも大きくてもよい。
【0011】
本願に係る別の一方面として、減速伝動システムが提供される。当該減速伝動システムは、伝動入力軸と、前記伝動入力軸の一端に取り付けられるモータと、前記伝動入力軸の他端に取り付けられ、波発生器、スチールホイール、及び前記スチールホイールと前記波発生器との間に位置されるフレキシブルホイールを含む減速機と、前記フレキシブルホイールに接続される伝動出力軸とを含み、前記スチールホイールは固定接続され、前記フレキシブルホイールはギア部分及びベルマウス部分を含み、前記ベルマウス部分は、前記伝動入力軸から前記伝動出力軸までの減速伝動が実現されるように前記伝動出力軸に接続される。
【0012】
一実施例では、負荷が前記フレキシブルホイールに接続される。
【0013】
一実施例では、前記ベルマウス部分は、前記波発生器が前記モータから離れる側に向けて配置されてもよい。
【0014】
一実施例では、前記波発生器は、前記伝動入力軸の他端に取り付けられてもよく、前記モータ、前記伝動入力軸及び前記波発生器は、同期して回転してもよい。
【0015】
一実施例では、前記波発生器は、カムである。
【0016】
一実施例では、前記減速伝動システムは、ケースをさらに含み、前記スチールホイールは、前記ケースに固定されてもよい。
【0017】
一実施例では、前記ベルマウス部分から前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離は、前記スチールホイールから前記伝動入力軸の回転中心軸線までの距離よりも大きくてもよい。
【0018】
一実施例では、前記負荷は、締結具によって前記フレキシブルホイールの前記ベルマウス部分に直接接続されている。
【0019】
一実施例では、前記減速伝動システムは、接続部材をさらに含んでもよい。前記接続部材は、締結具によって前記フレキシブルホイールの前記ベルマウス部分に接続されるとともに前記伝動出力軸に固定接続されてもよい。
【0020】
一実施例では、負荷は、前記接続部材に固定接続されてもよい。
【0021】
一実施例では、前記負荷と前記接続部材は、互いに独立した部材である又は一体成形されてもよい。
【0022】
一実施例では、前記接続部材に第1取付孔が設けられ、前記ベルマウス部分に第2取付孔が設けられてもよい。前記第1取付孔の位置は、前記第2取付孔の位置に対応する。負荷と前記接続部材は、前記締結具を介して前記ベルマウス部分に接続される。
【0023】
一実施例では、前記減速伝動システムは、支持軸受をさらに含み、前記支持軸受は、前記伝動入力軸に取り付けられてもよい。
【0024】
一実施例では、前記支持軸受の数は、1つである。
【0025】
一実施例では、前記減速伝動システムは、クロスローラ軸受をさらに含み、前記クロスローラ軸受は、前記フレキシブルホイールのベルマウス部分と前記スチールホイールとの間に設けられてもよい。
【0026】
一実施例では、前記クロスローラ軸受が前記ベルマウス部分から離れる端に軸受オイルシールが設けられてもよい。
【0027】
一実施例では、前記伝動入力軸と前記伝動出力軸は、同軸に取り付けられ、前記伝動入力軸は、前記伝動出力軸の外に嵌設されている。
【0028】
一実施例では、前記締結具は、ネジ又はボルトである。
【0029】
本願に係る別の方面として、さらにロボット関節を提供し、前記ロボット関節は、上記いずれかの実施例に記載の減速伝動システムを含む。
【0030】
本願に係るさらに別の方面として、さらにロボットを提供し、前記ロボットは、上述のロボット関節を含む。
【0031】
本願の一つまたは複数の実施例の詳細については、後記され図面及び説明に記述される。本願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0032】
本願の実施例または従来技術による技術案をより明らかに説明するために、実施例または従来技術を記述するのに必要な図面を簡単に説明する。後述する図面は本発明の実施例に過ぎず、当業者として創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の実施例の図面を得られることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術に係る減速伝動システムの構成を示す模式図である。
図2】従来技術に係る減速伝動システムの部分断面を示す模式図である。
図3】本願に係る減速伝動システムの構成を示す模式図である。
図4】本願に係る減速伝動システムの部分断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明らかに理解しやすくするために、以下では、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。以下の説明において多くの具体的な細部を説明することによって本発明を十分に理解することができる。しかし、本発明はここで説明されたものと異なる他の多くの他の態様で実施することが可能であり、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく類似の改良を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示された具体的な実施例に限定されるものではない。
【0035】
本発明の説明において、理解すべきことは、用語「中心」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「軸方向」、「半径方向」などが示す方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にして簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されることを指示又は暗示するものではなく、したがって本発明を限定しないことと理解すべき。
【0036】
本発明において、他に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体化されていてもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよく、媒介物を介して間接的に接続されてもよく、また、2つの素子間の連通や相互作用関係を指す場合もある。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することが可能である。
【0037】
なお、ある要素が別の要素に「固定されている」または「設置されている」と言及される場合、それは別の要素に直接接続されていてもよく、または介在要素が存在してもよいことに留意されたい。ある要素が別の要素に「接続されている」と言及される場合、別の要素に直接接続されていてもよく、介在要素が存在してもよいことに留意されたい。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は、説明のためのものであり、排他的な実装形態を示すものではない。
【0038】
背景技術で説明したように、従来技術では、一般的にハーモニック減速機のフレキシブルホイールは固定され、スチールホイールは負荷を駆動して回転させる。そのため、フレキシブルホイール及びスチールホイールが組み立てられる伝動入力軸は長く、重くなり、これで減速伝送システムの動的応答性に不利である。減速伝動システムの動的応答性を向上させるために、本願は、減速機及び減速伝動システムを提供する。当該減速機は、伝動入力軸から伝動出力軸への減速伝動が実現されるように配置され、伝動入力軸に取り付けられる波発生器と、固定されたスチールホイールと、スチールホイールと波発生器との間に位置し、ギア部分及びベルマウス部分を含むフレキシブルホイールと、を含む。なお、当該ベルマウス部分は伝動出力軸に接続されるように配置される。当該減速伝動システムは、伝動入力軸と、伝動入力軸の一端に取り付けられるモータと、伝動入力軸の他端に取り付けられる減速機とを含む。当該減速機は、波発生器、スチールホイール、及びスチールホイールと波発生器との間に位置されるフレキシブルホイールを含む減速機と、フレキシブルホイールに接続される伝動出力軸とを含む。なお、スチールホイールは固定接続され、フレキシブルホイールはギア部分及びベルマウス部分を含み、該ベルマウス部分は伝動出力軸に接続され、伝動入力軸から伝動出力軸への減速伝動が実現される。
【0039】
減速伝動の作動過程において、波発生器はモータとともに回転するとともにフレキシブルホイールは波発生器とともに回転する過程において、フレキシブルホイールの1つの歯が、スチールホイールの1つの歯に噛み合ってから再びスチールホイール上の同じ歯と噛み合うまで、フレキシブルホイールは、ちょうど一回転する。この場合、波発生器は、何周も回転した。波発生器の回転数とフレキシブルホイールの回転数(一回転)との比は、減速機の減速比である。このように、伝動入力軸の回転速度は、減速機によって低下され、それによって減速伝動が実現される。
【0040】
以下、図3を参照しながら、本願に係る減速伝動システムの構造と利点を詳細に説明する。
【0041】
図3は、本願の1つの実施例に係る減速伝動システムの構成を示す模式図である。減速伝動システム100は主にモータ10、伝動入力軸20及び減速機30を含む。モータ10は、伝動入力軸20の一端に固定して取り付けられるとともに伝動入力軸20の回転を駆動する。モータ10は、ロータ構造を有する。いくつかの実施例では、伝動入力軸20は、モータのロータ回転軸である。
【0042】
一実施例では、減速伝動システム100は、ケース、ステータ、ブレーキユニットなどの部材をさらに含む。ケースおよびステータは、固定された部材であり、伝動入力軸20の回転動作とモータ10のロータの回転動作を支持するために使用されておる。ブレーキユニットは、伝動入力軸20に制動力を提供するために使用されておる。ケース、ステータ、ブレーキユニットなどは、減速伝動システムにおいて一般的な基本部材であるため、これらの具体的な構造は、従来技術からから得られ、必要に応じて市場から購入することが可能である。また、必要に応じて数量の増減が行われる可能性があり、本明細書でこれについて具体的に限定することはない。ケース、ステータ、ブレーキユニットなどの不可欠な部材が存在するため、伝動入力軸20の長さは、これらの部材の数を減少させるか、または寸法を小さくすることで短縮することが困難である。
【0043】
減速機30は、伝動入力軸20の他端に取り付けられている。減速機30は、伝動入力軸20に取り付けられた波発生器31と、固定されたスチールホイール32と、スチールホイール32と波発生器31との間に位置され、ギア部分及びベルマウス部分を含むフレキシブルホイール33と、を含んでもよい。波発生器31は、伝動入力軸20に固定して取り付けられてもよい。波発生器31は、カム構造を有する。スチールホイール32は、減速伝動システム100のケースに固定されてもよい。スチールホイール32とは、剛性の高い歯車である。
【0044】
本願の実施例では、フレキシブルホイール33は、波発生器31とスチールホイール32との間に取り付けられて、減速機30による減速伝動が実現される。フレキシブルホイール33は、負荷に接続されて、当該負荷が回転するように駆動する。具体的には、フレキシブルホイール33は、薄肉の筒体状をなす。フレキシブルホイール33は、筒体部331及びベルマウス部分332を有する。ベルマウス部分332は、負荷に接続される。負荷は、フレキシブルホイール33とともに一緒に回転する構造である。換言すれば、負荷は、フレキシブルホイール33が駆動する対象である。負荷は、一定の重量を有する物体であり、フレキシブルホイール33に抑制力を提供するために使用されており、それによってフレキシブルホイール33は、抑制モーメントを生成し、この抑制モーメントは、伝動入力軸20からの高回転速度を低下させることに寄与することができる。この抑制モーメントについては、後で詳しく説明する。負荷は、締結具によってフレキシブルホイールに接続される。締結具は、ネジなどであってもよく、本明細書は、これについて具体的に限定することはない。
【0045】
本願の実施例では、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332は、波発生器31の外側に向かう。本明細書では、波発生器31の外側は、波発生器31のモータ10から離れる側と定義され、対応的に、波発生器31の内側は、波発生器31のモータ10に接近する側と定義される。本願の実施例では、フレキシブルホイール33が伝動入力軸20に取り付けられると、フレキシブルホイール33は、波発生器31とスチールホイール32との間に位置される。具体的には、フレキシブルホイール33の筒体部331のベルマウス部分332から離れるギア部分3311は、波発生器31とスチールホイール32との間に位置し、それによって伝動入力軸20との伝動接続を実現し、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332は、負荷に接続される。波発生器31がモータ10とともに高速回転する場合、スチールホイール32は、減速伝動システム100のケースに固定され、波発生器31は、回転してフレキシブルホイール33を押圧し、それによってフレキシブルホイール33は、低速回転し、さらにフレキシブルホイール33は、それに接続された負荷が回転するように駆動して、減速伝動が実現される。
【0046】
本願によれば、上述したように減速機30を構成することにより、減速機30のフレキシブルホイール33におけるギア部分3311のみ(即ち、ベルマウス部分332から離れる一部)は、波発生器31とスチールホイール32との間に位置され、減速機30のフレキシブルホイール33における他の部分(上記ギア部分3311を除く部分)は、伝動入力軸20から離れて負荷に接続され、これで、フレキシブルホイール33の上記他の部分が空間的に伝動入力軸20に取り付けられず、それによってフレキシブルホイール33の上記他の部分が伝動入力軸20上の部品取付空間を占めない。
【0047】
従来技術では、フレキシブルホイールのベルマウス状の部分は、波発生器の内側に向かって減速伝動システムのケースに固定され、フレキシブルホイールの筒体部の波発生器とスチールホイールとの間に位置しない部分及びベルマウス状の部分は、伝動入力軸上の部品取付空間を占めなければならない。しかしながら、本願では、上述したように減速機30を構成することにより、フレキシブルホイール33の波発生器31とスチールホイール32との間に位置しない部分は、伝動入力軸20上の部品取付空間を占めることがなくなる。これにより、従来技術に比べて、本願に係る減速機30の構造は、伝動入力軸20上の部品取付空間を節約することができる。このように、伝動入力軸20の長さを長くする必要がなく、それによって伝動入力軸20の長さを短縮することができる。具体的には、図3に示すように、従来技術における伝動入力軸の長さをL1と示し、本願に係る伝動入力軸20の長さをL2と示し、本願に係る伝動入力軸20は、従来技術の長さに対して短縮された量をΔLとすると、ΔL=L1―L2である。この構造により、伝動入力軸20の軸方向での寸法は減少し、それによって伝動入力軸20は、より容易に加工されるようになり、これで、減速伝動システム100の加工コスト及び材料使用量を低減させることができる。
【0048】
伝動入力軸20の軸方向での寸法が減少するため、伝動入力軸20の重量も減少する。既知の回転慣性モーメントの式は、以下の通りである。
J=mr^2 (1)
【0049】
ただし、Jは、回転慣性モーメントを示し、mは、伝動入力軸20の重量を示し、rは、伝動入力軸20の回転中心軸線Oと伝動入力軸20との間の垂直距離を示す。回転慣性モーメントの式からわかるように、伝動入力軸20が形状が変化しない又はrが変化しない場合、伝動入力軸20の重量が減少すると、伝動入力軸20の回転慣性モーメントも減少し、それによって減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端(即ち、運動エネルギーを提供するモータ10が位置する端部)の回転慣性モーメントを低下させることが可能となり、減速伝動システムの動的応答性性能を向上させることに有利である。
【0050】
なお、減速機30は、負荷に接続されて減速伝動が実現されるため、減速機30は、減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端に対して抑制モーメントを生成することができ、それによって伝動入力軸20の高い回転力を低下させる。既知の抑制モーメントの式は、以下の通りである。
T=μFD (2)
【0051】
ただし、Tは、抑制モーメントを示し、Fは、抑制力を示し、Dは、抑制力アームを示し、μは、抑制係数を示す。
【0052】
本願では、抑制力アームDは、減速機30と負荷との接続箇所から減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端にある伝動入力軸20の回転中心軸線Oまでの距離を指すことができる。
【0053】
従来技術では、フレキシブルホイールは、減速伝動システムのケースに固定され、スチールホイールは、負荷に接続されて減速伝動を実現する。図1に示すように、減速機の負荷に接続されるスチールホイールは、減速伝動システムの運動エネルギーの入力端に対して抑制モーメントを生成することができ、減速機が生成可能な抑制モーメントT1=μF1D1である。本願では、減速機30のスチールホイール32は、減速伝動システム100のケースに固定され、フレキシブルホイール33は、負荷に接続されて減速伝動が実現される。具体的には、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332は、負荷に接続され、それによって減速機30のフレキシブルホイール33のベルマウス部分332が、減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端に対して抑制モーメントを生成し、減速機30が生成可能な抑制モーメントT2=μF1D2である。減速機30が接続される負荷の形状及び構造がいずれも変化しない場合、F1=F2である。しかしながら、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332が負荷に接続され、且つフレキシブルホイール33のベルマウス部分332から伝動入力軸20の回転中心軸線Oまでの距離が、スチールホイール32から伝動入力軸20の回転中心軸線Oまでの距離よりも大きいため、本願に係る減速機30の抑制力アームD2(図3を参照)は、従来技術における減速機の抑制力アームD1(図1を参照)よりも大きく、即ち、D2>D1である。したがって、F1=F2であり、且つD1<D2であるため、T1<T2となる。つまり、従来技術に比べて、同じ空間制限条件下では、本願に係る減速機30は、より大きな抑制モーメントを生成することができる。仕様が同じである減速機の場合、従来技術に比べて、本願に係る減速機30のフレキシブルホイール33の変形がより小さく、よって減速伝動システム200の減速伝動の剛性を向上させ、これで、減速伝動システム200の減速伝動に非常に有利である。
【0054】
具体的には、図4を参照しながら、具体的に上記減速伝動システム100の構造及び減速伝動システム100の利点を説明する。図4に示すように、減速伝動システム100は、ロータ11を含むモータ10と、伝動入力軸20と、伝動入力軸20に取り付けられる減速機30と、フレキシブルホイール33に接続される接続部材60と、接続部材60に固定接続され、接続部材60を介して減速機30に接続される伝動出力軸80と、ケース90とを含んでもよい。なお、当該減速機30は、波発生器31、スチールホイール32、及び波発生器31とスチールホイール32との間に位置されるフレキシブルホイール33を含み、当該フレキシブルホイール33が筒体部331及びベルマウス部分332を含む。
【0055】
本願の実施例では、減速機30は、伝動入力軸20と伝動出力軸80との間に接続されており、それによって減速伝動を行い、伝動入力軸20からの高回転速度の運動を低回転速度運動に変換し、さらにそれを伝動出力軸80に伝達する。具体的には、減速機30のスチールホイール32は、ケース90に固定されている。減速機30のフレキシブルホイール33のベルマウス部分332は、負荷(未図示)に接続される。
【0056】
なお、減速伝動システム100は、クロスローラ軸受40をさらに含む。クロスローラ軸受40は、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332とスチールホイール32との間に設けられ、それによってスチールホイール32に対するフレキシブルホイール33の安定的な回転を保証する。クロスローラ軸受40のベルマウス部分332から離れる端に軸受オイルシール41が設けられてもよい。これによって減速機30の内部のオイルの外部への漏れを防ぎ、減速機30の正常な運転を保証する。
【0057】
本願の実施例では、接続部材60は、締結具50によってフレキシブルホイール33のベルマウス部分332に接続され、それによってフレキシブルホイール33のベルマウス部分332を伝動出力軸80に接続する。これにより、減速機30は、接続部材60を介して伝動入力軸20からの回転運動を伝動出力軸80に伝達することができる。締結具50は、例えばネジ、ボルトなどであってもよい。フレキシブルホイール33のベルマウス部分332を接続部材60に強固に接続できれば、締結具50は、任意の構成であってもよく、本願は、これを具体的に限定するものではない。
【0058】
接続部材60に第1取付孔61が設けられてもよい。フレキシブルホイール33のベルマウス部分332に第2取付孔333が設けられてもよい。クロスローラ軸受40に第3取付孔が設けられてもよい。第1取付孔61、第2取付孔333及び第3取付孔の位置は、互いに対応する。締結具50は、第1取付孔61、第2取付孔333及び第3取付孔に取り付けられることで、接続部材60、フレキシブルホイール33及びクロスローラ軸受40を互いに固定することができる。一実施例では、負荷は、締結具50を介して第1取付孔61及び第2取付孔333を通してフレキシブルホイール33のベルマウス部分332に直接接続されてもよい。他の実施例では、接続部材60に他の取付孔(未図示)が設けられてもよく、それにより負荷に接続されて、負荷は、減速機30のフレキシブルホイール33のベルマウス部分332に抑制力を提供することで、モータ10のロータ11からの高回転力を低下させることに寄与する。即ち、負荷は、接続部材60を介してフレキシブルホイール33のベルマウス部分332に接続されることができる。減速機30は、伝動入力軸20からの回転速度運動をフレキシブルホイール33のベルマウス部分332を介して伝動出力軸80に伝達するため、負荷は、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332に抑制力を提供できれば、取付位置に関わらなく、減速機30が、フレキシブルホイール33のベルマウス部分332から伝動入力軸20の回転中心軸線Oまでの抑制モーメントを生成することができる。したがって、負荷がフレキシブルホイール33のベルマウス部分332に直接接続されるか又は間接接続されるかに関わらず、この抑制モーメントに影響がなく、この抑制モーメントが主に負荷の重量及び減速機30の負荷を接続する部分の位置に依存する。したがって、負荷と接続部材60は、独立した2つの部材であってもよく、一体成形されてもよく、本願は、これを具体的に限定するものではない。
【0059】
なお、伝動入力軸20と伝動出力軸80は、同軸に取り付けられている。伝動入力軸20は、伝動出力軸80の外に嵌設されている。減速伝動システム100は、支持軸受70をさらに含む。支持軸受70は、伝動入力軸20及び伝動出力軸80を支持し、伝動入力軸20及び伝動出力軸80の安定的な回転を保証するために使用されておる。支持軸受70は、軸受止め輪によって伝動入力軸20に取り付けられている。具体的には、伝動入力軸20に止め輪溝が開設されてもよい。軸受止め輪は当該止め輪溝内に取り付けられる。
【0060】
上述したように、本願に係る減速機30のフレキシブルホイール33のベルマウス部分332は、波発生器の外側に向かうため、フレキシブルホイール33が伝動入力軸20に必要とする空間が大幅に減少させ、伝動入力軸20の長さを減少させるため、本願に係る減速伝動システム100の構造は、従来技術に対してよりコンパクトであり、支持軸受70の数は、1つのみであっても減速伝動システム100の正常運転を保証することができる。さらに、減速伝動システム100における、回転を支持するための軸受の重量が軽減されたため、減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端の重量もさらに低下し、これで、減速伝動システム100の運動エネルギーの入力端の回転慣性モーメントを低減させることに有利である。
【0061】
なお、従来技術に基づく減速伝動システムにおいて、スチールホイールを負荷に接続し、フレキシブルホイールを例えば減速伝動システムのケースに固定する場合、伝動入力軸の長さが長いから、当該減速伝動システムは、伝動入力軸の正常回転を保証するために、少なくとも2つの軸受例えば第1軸受及び第2軸受を含む必要がある。図2に示すように、第1軸受6は、伝動入力軸及び伝動出力軸の正常回転を保証するために、伝動入力軸と伝動出力軸との間に取り付けられ、伝動入力軸及び伝動出力軸を支持するように使用されておる。第2軸受7は、伝動入力軸の正常回転を保証するために、フレキシブルホイール5と伝動入力軸との間に取り付けられ、伝動入力軸を支持するように使用されておる。第1軸受6及び第2軸受7は、それぞれ第1軸受止め輪及び第2軸受止め輪によって伝動入力軸に取り付けられている。伝動入力軸に第1取付溝及び第2取付溝が開設される必要がある。それによってそれぞれ第1軸受止め輪及び第2軸受止め輪が取り付けられる。このように、伝動入力軸に必然的に軸受止め輪を取り付けるための少なくとも2つの取付溝が開設され、且つ必然的に重量が増加する。また、伝動入力軸に開設された溝が多いほど、伝動入力軸に応力が集中する部分が多くなり、伝動入力軸全体が受ける負荷が多くなり、これで、伝動入力軸の摩耗を加速する。
【0062】
一方、本願に係る減速伝動システム100では、減速機30のスチールホイール32は、減速伝動システム100のケース90に固定され、フレキシブルホイール33は、そのベルマウス部分332によって負荷に接続されるから、減速伝動システム100は、1つの支持軸受70のみで十分な支持が得られる。上述の従来技術に比べて、本願では、支持軸受の数が大幅に減少し、それによって支持軸受を取り付けるための軸受止め輪の数も減少し、伝動入力軸20において軸受止め輪を取り付けるための止め輪溝の数も減少し、よって、伝動入力軸20に応力が集中する部分の数が大幅に減少する。さらに、これで、伝動入力軸20上の受力をより均一にし、伝動入力軸20に対する摩耗を減少させることができる。
【0063】
なお、支持軸受の数が減少するため、伝動入力軸20の長さは、さらに短縮されることができる。さらに、伝動出力軸80の長さも対応して短縮することが可能である。これで、減速伝動システム100全体の運動エネルギーの入力端の重量を大幅に軽減させることができ、減速伝動過程における無効な損失を減少させ、減速伝動システム100の動的応答性能を向上させる。伝動入力軸20に複数の止め輪溝が開設される必要がなくなるため、伝動入力軸20の製造及び取付が容易になり、さらに減速伝動システム100の取付が容易になる。
【0064】
当業者が理解できるように、図3及び図4に示す構造は、本願の実施例の例であるに過ぎず、本願の技術案が他のデバイスへの適用を限定するものではない。
【0065】
本願に係るいくつかの実施例は、ロボット関節をさらに提供する。当該ロボット関節は、グリッパ及び上述の減速伝動システム100を含んでもよい。当該グリッパは、当該減速伝動システム100の運動エネルギーの出力端に接続されてもよい。当該減速伝動システム100は、伝動入力軸と、伝動入力軸の一端に取り付けられたモータと、伝動入力軸の他端に取り付けられる減速機と、フレキシブルホイールに接続された伝動出力軸とを含む。なお、当該減速機は、波発生器、スチールホイール、及びスチールホイールと波発生器との間に位置されるフレキシブルホイールを含む。また、スチールホイールは、固定接続され、フレキシブルホイールは、ギア部分及びベルマウス部分を含み、ベルマウス部分は、伝動出力軸に接続されて、伝動入力軸から伝動出力軸までの減速伝動が実現される。具体的には、当該グリッパは、伝動出力軸に接続されている。
【0066】
本願に係るいくつかの実施例は、ロボットをさらに提供する。当該ロボットは、上述のロボット関節を含んでもよい。
【0067】
従来技術に比べて、上記ロボット関節及びロボットは、よりコンパクトな構造を有し、加工コスト及び材料使用量を節約することができ、高い動的応答性能を有する。
【0068】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0069】
上記実施例は、本願のいくつかの実施形態を示したに過ぎず、その説明は、より具体的かつ詳細になされたものであり、したがって、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。当業者にとって、本願の概念から逸脱することなくいくつかの修正及び改良を行うことができ、これらは全て本願の保護範囲内に含まれることに留意されたい。したがって、この特許出願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】