(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】沈着を改善するヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20241114BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241114BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241114BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241114BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20241114BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/19
A61K8/891
A61K8/36
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535411
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085261
(87)【国際公開番号】W WO2023110686
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バーフット,リチャード・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】クック,マイケル・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】メンドーサ・フェルナンデス,セザール・エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,アメリ・ローラ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB06
4C083BB25
4C083BB41
4C083BB53
4C083CC33
4C083DD39
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
(i)0.01~10重量%の構造1から選択される分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤;(ii)0.1~10重量%の脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸及びそれらの混合物を含む直鎖炭素-炭素鎖を有する直鎖脂肪物質;(iii)0.01~5重量%の改質クレー;及び(iv)コンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤を含む組成物であって、分岐カチオン性界面活性剤(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:20~1:1の範囲である組成物により、脱色した髪への粒子状有益剤沈着が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.01~10重量%の下記構造1から選択される分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤:
【化1】
[式中、
・R
1及びR
2は、炭素-炭素鎖長がC
4~C
20である飽和又は不飽和の直鎖アルキル鎖を含み;
・R
3は、炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・R
4は、プロトン又は炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・nは0から10までの範囲を有し;
・mは1~6の範囲を有し、好ましくは1及び2から選択され;
・X
Θは有機又は無機アニオンである。]、
(ii)0.1~10重量%の脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸及びそれらの混合物を含む直鎖炭素-炭素鎖を有する直鎖脂肪物質;
(iii)0.01~5重量%の改質クレー、及び
(iv)コンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤
を含む組成物であって、
分岐カチオン性界面活性物質(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:20~1:1の範囲である組成物。
【請求項2】
前記改質クレーが、カチオン系界面活性剤、改質セルロース及び改質グアーから選択される改質剤で改質されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記改質クレーが、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルセルロース及び塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムポリマーから選択される改質剤で改質されている、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コンディショニング活性物質がシリコーン乳濁液である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーン乳濁液がジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物の乳濁液から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーン乳濁液が疎水性修飾を含まず、好ましくはミリスチロキシル修飾シリコーンではない、請求項4又は請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子状有益剤が組成物全体の0.1重量%~10重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒子状有益剤が0.25~1.5重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
X
-がハロゲン化物、メタンスルホネート基及びエタンスルホネート基から選択されるアニオンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
分岐カチオン性界面活性剤(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:10~1:1の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤が0.01~5重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、コンディショニング活性物質、頭皮活性物質、カプセル化香料、乳化香料及びそれらの混合物から選択される粒子状有益剤の脱色した毛髪への沈着を増加させる方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物を毛髪に適用する段階及び当該毛髪を水でリンスする段階を含む方法。
【請求項13】
構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、脱色した髪に送達されるコンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤の量を増加させるための、請求項1~11のいずれか1項で定義の組成物の使用。
【請求項14】
前記粒子状有益剤がシリコーン乳濁液である、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱色した髪のトリートメント用の、分岐カチオン性界面活性剤を脂肪アルコール及び改質クレーと組み合わせて含むコンディショニング組成物であって、使用時に髪に沈着する有益な薬剤を含む組成物に関するものであり、特に、脱色した髪に沈着する有益剤の量を増やすことを可能にするコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメント組成物などのパーソナルケア組成物では、有益剤の沈着と送達が製品性能の重要な要因であることが多い。たとえば、現在市場に出回っているヘアコンディショナー製品の多くは、洗浄及びケアのプロセス時に、香料材料、シリコーン及び損傷修復活性物質などの有益剤を髪に沈着させることで、髪に良好な効果をもたらす。
【0003】
しかし、消費者は、一部の組成物の使用から得られる効果のレベルに失望していると報告している。これは通常、表面に届けられる有益剤の量が不十分なために起こる。したがって、髪などの表面への有益物質の送達を改善する組成物を開発することが望ましい。
【0004】
脱色した髪は、適用時及び適用後にシリコーンを保持する能力が特に低いことで、沈着レベルが低くなり、使用者にとって十分な効果が得られないことが知られている。そのため、使用者はより多くの製品を適用しなければならず、希望するコンディショニングレベルに全く到達できない場合がある。実際、本発明者らは、脱色した髪に送達されるシリコーンレベルの測定値は、同じ製品をバージンヘアに使用した場合の測定値の20%未満になる可能性があることを見出した。
【0005】
多様な種類の分岐カチオン性化合物が、ヘアトリートメント組成物においてさまざまな効果があることが知られている。
【0006】
当社が公開した特許出願WO02/102334及びWO01/43718では、定義されたヒドロカルビル鎖を有する四級アンモニウム系のカチオン性界面活性剤を含む、クレンジング及びコンディショニング特性を有する水性ヘアトリートメント組成物が提供される。
【0007】
さらに、WO2020/126377A1は、髪への有益剤の沈着を改善するための組成物を開示している。1例において、(i)ベヘントリモニウムクロライド、(ii)セテアリルアルコール、(iii)乳化シリコーン、及び(iv)N,N,N-トリメチル-2-((2-オクチルドデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネートを含む組成物が開示されている。
【0008】
WO2020/126659A1は、(i)0.01~10重量%の直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤、(ii)0.1~10重量%の直鎖脂肪物質、(iii)粒子状有益剤、(iv)構造(1)によって定義される、100%活性で0.01~5重量%の分岐カチオン性共界面活性剤を含む髪への有益剤の沈着を向上させる組成物であって、分岐カチオン性共界面活性剤(iv)の直鎖カチオン性界面活性剤(i)に対するモル比が1:20~1:1の範囲であり、当該組成物の粘度が5,000~750,000cpである組成物を開示している。
【0009】
WO2020/127542A1は、毛髪表面上へのシリコーンの沈着を改善するための、a)i)16~32個の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤、ii)8~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールを含むコンディショニングベース:及びb)0.1~10重量%のコンディショニングシリコーン、(c)0.1~5重量%の分岐の飽和鎖を含むジエステルクワット、非分岐の不飽和鎖を含むジエステルクワット、及びそれらの混合物から選択されるジエステルクワットを含む組成物であって、b)のc)に対する比率が1:1~1:0.1である組成物を開示している。
【0010】
WO2020/126660A1は、毛髪上への粒子状有益剤の沈着を改善するための、(i)0.01~10重量%の直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤、(ii)0.1~10重量%の直鎖脂肪物質、(iii)コンディショニング活性物質、頭皮活性物質、カプセル化香料、乳化香料及びそれらの混合物から選択される粒子状有益剤、(iv)100%活性で0.01~5重量%の構造1、構造2、構造3及びそれらの混合物から選択される分岐カチオン性共界面活性剤を含む組成物であって、分岐カチオン性共界面活性剤(iv)の直鎖カチオン性界面活性剤(i)に対するモル比が1:20~1:1の範囲である組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO02/102334
【特許文献2】WO01/43718
【特許文献3】WO2020/126377A1
【特許文献4】WO2020/126659A1
【特許文献5】WO2020/127542A1
【特許文献6】WO2020/126660A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術にもかかわらず、脱色した髪への有益剤の送達を改善する必要性が依然として残っている。
【0013】
本発明者らはここで、驚くべきことに、脂肪物質及び改質クレーと組み合わせて、定義された分岐界面活性剤を含む組成物が、脱色した髪へのコンディショニング有益剤(例えばシリコーン)の沈着を予想外に大幅に高めることを見出した。
【0014】
本明細書で引用されているすべてのパーセントは、別断の断りがない限り、総重量に基づく重量基準のものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、
(i)0.01~10重量%の下記構造1から選択される分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤:
【化1】
[式中、
・R
1及びR
2は、炭素-炭素鎖長がC
4~C
20である飽和又は不飽和の直鎖アルキル鎖を含み;
・R
3は、炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・R
4は、プロトン又は炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・nは0から10までの範囲を有し;
・mは1~6の範囲を有し、好ましくは1及び2から選択され;
・X
Θは有機又は無機アニオンである。]、
(ii)0.1~10重量%の脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一つの直鎖炭素-炭素鎖を有する直鎖脂肪物質;
(iii)0.1~5重量%の改質クレー、及び
(iv)コンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤
を含む組成物であって、
分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲である組成物が提供される。
【0016】
第2の態様において、本発明は、構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、好ましくは分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)及び直鎖脂肪物質(ii)を1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲のモル比で含まない組成物と比較して、脱色した髪への、コンディショニング活性物質、好ましくはシリコーン乳濁液から選択される粒子状有益剤の沈着を増加させる方法であって、第1の態様の組成物を脱色した髪に適用する段階を含む方法を提供する。
【0017】
前記本発明の方法は好ましくは、前記脱色した髪から当該組成物を洗い流す追加の段階を含む。
【0018】
好ましくは、前記方法は、構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、好ましくは分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)及び直鎖脂肪物質(ii)を1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲のモル比で含まない組成物と比較して、脱色した髪へのシリコーン沈着を増やす方法であって、本発明の第1の態様によって定義される組成物を毛髪に適用する段階及び当該毛髪を水で洗い流す段階を含む方法である。
【0019】
第3の態様は、構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、好ましくは分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)及び直鎖脂肪物質(ii)を1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲のモル比で含まない組成物と比較して、脱色した髪へのコンディショニング活性物質、好ましくはシリコーンから選択される粒子状有益剤の送達量を増やすための第1の態様の組成物の使用を提供する。
【0020】
本発明による組成物は、好ましくは、毛髪のトリートメント(代表的にはシャンプー後)及びその後のリンスのためのコンディショナーとして製剤される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましくは、トリートメント組成物はリンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物及びプレトリートメント組成物から選択され、より好ましくはリンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及びプレトリートメント組成物から選択され、例えばオイルトリートメントであり、最も好ましくはリンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク及びリーブオンコンディショナー組成物から選択される。トリートメント組成物は好ましくは、リンスオフヘアコンディショナー及びリーブオンコンディショナーから選択される。
【0022】
本発明での使用のためのリンスオフコンディショナーは、代表的には洗い流し前1~2分間にわたり濡れ髪上に残るコンディショナーである。
【0023】
本発明での使用のためのヘアマスクは、代表的には洗い流し前3~10分間、好ましくは3~5分間、より好ましくは4~5分間にわたり毛髪上に残るトリートメントである。
【0024】
本発明での使用のためのリーブオンコンディショナーは代表的には、毛髪に適用され、10分間より長く毛髪上に残り、好ましくは洗浄後に毛髪に適用され、次に洗うまで洗い流されない。
【0025】
分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤
分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤は、0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.1~2重量%(100%活性で、全組成物の重量に基づく)の量で存在する。
【0026】
分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比は、1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲である。
【0027】
分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤には、構造1から選択されるエステル基を含む。
【化2】
式中、
・R
1及びR
2は、炭素-炭素鎖長がC
4~C
20、好ましくはC
6~C
18である飽和又は不飽和の直鎖アルキル鎖を含み;
・R
3は、炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2であるアルキル鎖を含み;
・R
4は、プロトン又は炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2であるアルキル鎖を含み;
・nは0~10の範囲を有し、好ましくは0及び1から選択され;
・mは1~6の範囲を有し、好ましくは1及び2から選択され;
・X
Θは有機又は無機のアニオンであり;
分岐カチオン性界面活性剤(i)の直鎖脂肪族物質(ii)に対するモル比は1:20~1:1、好ましくは1:10~1:1、最も好ましくは1:5~1:2の範囲である。
【0028】
構造1では、アミンヘッド基が最終製剤中で帯電している。ただし、原材料には、電荷が永久的ではなく、強酸を使用する製剤でのプロトン化によって誘発することができる化学種が含まれる。
【0029】
任意に、R1及びR2の少なくとも一つが、エステル基(-OCO-又は-COO-)、アミド基(-NOC-又はNCO-)、及びエーテル基(-O-)からなる群から選択されるアルキル鎖内の連結を含む。
【0030】
XΘは有機又は無機のアニオンである。好ましくは、XΘは、ハロゲン化物イオン;一般式RSO3
-の硫酸イオン(Rは1~4個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のアルキル基である)、及び有機酸のアニオンラジカルから選択されるアニオン基を含む。
【0031】
好ましいハロゲン化物イオンは、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物から選択される。好ましい有機酸のアニオン基は、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン及び酢酸イオンから選択される。好ましい硫酸イオンは、メタンスルホン酸イオン及びエタンスルホン酸イオンである。
【0032】
最も好ましくは、XΘは、ハロゲン化物、メタンスルホネート基及びエタンスルホネート基から選択されるアニオンを含む。
【0033】
好ましい実施形態において、
・R1及びR2は、炭素-炭素鎖長がC4~C20、好ましくはC6~C18である飽和又は不飽和の直鎖アルキル鎖を含み;
・R3は、プロトン又は炭素-炭素鎖長がC1~C3である直鎖若しくは分岐の飽和又は不飽和アルキル鎖のいずれかを含み;
・nは0~10までの範囲を有し、好ましくは0及び1から選択され;
・XΘは有機又は無機のアニオンである。
【0034】
好適な分岐カチオン性界面活性剤の製造方法は当該技術分野で公知であり、例えば、Chemistry, A European Journal, 2008, 14, 382に記載されている。例えば、2-((2-オクチルドデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネートは、グリシンの特定のゲルベアルコールとの酸触媒縮合反応による、1段階での所望の生成物の製造によって合成することができる。
【0035】
構造1に適合する好適な物質の例は、2-((2-ブチルオクチル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネート、2-((2-ヘキシルデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネート、2-((2-オクチルドデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネート、2-((2-デシルテトラデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネート、2-((2-ドデシルヘキサデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネート及び2-((2-テトラデシルオクタデシル)オキシ)-2-オキソエタン-1-アミニウムメタンスルホネートある。或いは、上記の例において、メタンスルホネートに代えて塩化物対イオンを用いることができる。
【0036】
脂肪物質
本発明の組成物は、0.1~10重量%の直鎖脂肪物質を含む。
【0037】
コンディショニング組成物における脂肪物質とカチオン性界面活性剤の併用はカチオン性界面活性剤が分散した構造化ラメラ又は液晶相の形成につながることから、それが特に有利であると考えられる。
【0038】
脂肪物質は炭素-炭素鎖を含む。「直鎖」という用語は、炭素-炭素鎖が本来的に直鎖である(つまり、分岐がない)ことを意味する。「直鎖脂肪物質」は直鎖炭素-炭素鎖のみを含む。直鎖の鎖は飽和又は不飽和であることができる。
【0039】
「直鎖脂肪物質」は、直鎖脂肪アルコール、直鎖アルコキシル化脂肪アルコール、直鎖脂肪酸、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、直鎖脂肪物質は、直鎖脂肪アルコール及び直鎖脂肪酸及びそれらの混合物から選択され、最も好ましくは直鎖脂肪アルコールである。
【0040】
好ましくは、脂肪物質のアルキル鎖は完全飽和である。代表的な脂肪物質は、8~22個の炭素原子を含み、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。
【0041】
好適な脂肪アルコールは、8~22個、好ましくは16~22個、最も好ましくはC16~C18個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、代表的には、直鎖アルキル基を含む化合物である。好ましくは、アルキル基は飽和である。好ましい脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物などがある。これらの物質の使用は、それが本発明で使用される組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点でも有利である。
【0042】
アルキル鎖中に約12~約18個の炭素原子を有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化又はプロポキシル化)脂肪アルコールは、脂肪アルコール自体の代わりに、又は脂肪アルコール自体に加えて使用することができる。好適な例には、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル、及びそれらの混合物などがある。
【0043】
本発明のコンディショナー中の脂肪物質のレベルは、全組成物の0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%である。
【0044】
改質クレー
本発明の組成物は改質クレーを含む。
【0045】
改質クレーは改質剤で改質されている。改質は、当業界で知られている方法を使用してクレーに改質剤を添加することによって行うことができる。或いは、市販の改質クレーも利用可能である。
【0046】
好ましい改質剤は、カチオン系界面活性剤、改質セルロース、及び改質グアーから選択される。
【0047】
そのクレーは、組成物全体の重量基準で0.01~5重量%、好ましくは0.05~2重量%、最も好ましくは0.5~1.5重量%の量で存在する。
【0048】
好適な改質剤は、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択することができる。例としては、下記の一般式に相当する四級アンモニウムカチオン性界面活性剤などがある。
【化3】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4位はそれぞれ独立に、(a)10~18個、好ましくは14~18個、最も好ましくは14~16個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最大18個の炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選択され;Xは、塩形成性アニオンそのようなとしてそれらのハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸硝酸、硫酸及びアルキル硫酸遊離基から選択されるものなどの塩形成性アニオンである。
【0049】
脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル連結及びアミノ基などの他の基を含むことができる。脂肪族基、例えば、約12個又はそれ以上の炭素のものは飽和又は不飽和であることができる。
【0050】
上記一般式のそのような四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化牛脂トリメチルアンモニウム、塩化ココトリメチルアンモニウム、塩化ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウム、塩化PEG-2オレイルアンモニウム及びこれらの塩であり、塩化物は他のハロゲン化物(例えば臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸硝酸塩、硫酸塩又はアルキル硫酸塩に代わられている。好ましい四級アンモニウムカチオン性界面活性剤は、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択され、最も好ましくは塩化セチルピリジニウムである。
【0051】
好ましい改質クレーは、塩化セチルピリジニウムを含み、Kasuma Pharma, Bombay, IndiaからCPCクレーとして入手可能である。
【0052】
本発明でクレーの改質剤として使用される改質セルロースの好ましい例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
クレー改質剤として使用される好適な改質セルロースの好ましい例としては、例えばAshland社から入手可能な範囲の商品名Natrosolで入手可能なヒドロキシエチルセルロース(HEC)が挙げられる。
【0054】
好適な市販のHEC改質クレーは、Elementis社から入手可能なBentone LTである。
【0055】
好ましい変性グアーには、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドポリマー、例えばAshland社から入手可能なN-hance BF13などがある。さらに、Lamberti社から入手可能なESAFLOR(商標名)もある。
【0056】
好ましい改質剤は、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルセルロース、及び塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムポリマーから選択され、より好ましくは塩化セチルピリジニウム、ヒドロキシエチルセルロース、及び塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムポリマーから選択される。
【0057】
粒子状有益剤
本発明の組成物は粒子状有益剤を含む。粒子状有益剤は、コンディショニング活性物質から選択される。最も好ましくは、粒子状有益剤はシリコーン乳濁液である。
【0058】
粒子状有益剤の総量は、好ましくは総組成物の0.1重量%~10重量%であり、より好ましくは0.1重量%~5重量%であり、さらにより好ましくは0.25重量%~3重量%であり、最も好ましくは0.25~1.5重量%である。
【0059】
好ましいシリコーン乳濁液は疎水性修飾を含まず、好ましくはシリコーン乳濁液はミリスチルオキシル修飾シリコーンではなく、最も好ましくはミリスチルオキシル修飾シリコーンやセチルオキシル修飾シリコーンではない。最も好ましくは、本発明の組成物に使用するためのシリコーン乳濁液は、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物の乳濁液から選択される。
【0060】
好適な乳化シリコーンには、CTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンなどがある。また、本発明の組成物の使用に適しているものには、CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンもある。好ましくは、そのシリコーンは、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物からなる群から選択される。アミノ官能化シリコーンとジメチコーンとのブレンドも好ましい。
【0061】
乳化シリコーン自体(乳濁液や最終的なヘアコンディショニング組成物ではない)の粘度は、代表的には25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には1,000,000cstである。好ましくは、製剤を容易にするためには、その粘度は少なくとも109cstを超えない。
【0062】
本発明の組成物での使用のための乳化シリコーンは代表的には、組成物中のD90シリコーン液滴径30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンを有する。平均シリコーン液滴径(D50)0.15ミクロンを有するシリコーン乳濁液は通常、マイクロエマルションと称される。
【0063】
シリコーン粒径は、例えばMalvern Instrumentsからの2600D Particle Sizerを用いて、レーザー光散乱技術によって測定することができる。
【0064】
好適なプレフォーム乳濁液の例には、Xiameter MEM 1785及びDow Corningから入手可能なマイクロエマルションDC2-1865などがある。これらはジメチコノールの乳濁液/マイクロエマルションである。架橋シリコーンガムは、製剤の容易さにおいて有利なプレ乳化形態でも入手可能である。
【0065】
本発明の組成物に含有させるのにさらに好ましい種類のシリコーンはアミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」は、少なくとも一つの一級、二級若しくは三級アミン基、又は四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味する。好適なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンなどがある。好ましいアモジメチコンは、Dow CorningからDC7134として市販されている。
【0066】
本発明での使用に好適なアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコーンオイルDC2-8220、DC2-8166及びDC2-8566(いずれの例もDow Corningから)である。
【0067】
好適な四級シリコーンポリマーはEP-A-0530974に記載されている。好ましい四級シリコーンポリマーは、GoldschmidtからのK3474である。
【0068】
アミノ官能性シリコーンオイルのノニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤との乳濁液も好適である。
【0069】
アミノ官能性シリコーンのプレフォーム乳濁液も、Dow Corning及びGeneral Electricなどのシリコーンオイルの供給者から入手可能である。具体例には、DC939カチオン性乳濁液及びノニオン性乳濁液DC2-7224、DC2-8467、DC2-8177及びDC2-8154(いずれもDow Corningから)などがある。
【0070】
任意の直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤
組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤を含むことができる。
【0071】
好ましくは、直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤は、式1:N+(R1)(R2)(R3)(R4)を有し、式中、R1、R2、R3及びR4は、独立に(C1~C30)アルキル又はベンジルである。
【0072】
式1において、好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの一つ、二つ又は三つは独立に(C4~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基又は複数基は、(C1~C6)アルキル又はベンジルである。
【0073】
より好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの一つ又は二つは独立に(C6~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基は(C1~C6)アルキル基又はベンジル基である。任意に、アルキル基は、アルキル鎖内に1以上のエステル連結(-OCO-又は-COO-)、アミド連結(-NOC-又はNCO-)、及び/又はエーテル連結(-O-)を含んでもよい。アルキル基は、任意に、1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。アルキル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよく、炭素原子数が3以上のアルキル基の場合は環状であってもよい。アルキル基は飽和していてもよく、又は1以上の炭素-炭素二重結合(例えば、オレイル)を含んでいてもよい。アルキル基は、任意に、1以上のエチレンオキシ基を用いてアルキル鎖上でエトキシル化される。
【0074】
本発明によるコンディショナー組成物に使用するのに適した四級アミン塩は、12~24個の炭素原子、好ましくは16~22個の炭素原子を含む四級アミン塩である。
【0075】
本発明によるコンディショナー組成物に使用するのに適した四級アミン塩としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘントリモニウム・メトサルフェート、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアラルコニウム、ステアラルコニウム・メトサルフェート、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化獣脂トリメチルアンモニウム、塩化二水素化獣脂ジメチルアンモニウム(例えば、Akzo Nobel製Arquad 2HT/75)及び塩化ココトリメチルアンモニウムなどがある。
【0076】
好ましい四級アミン塩は、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘントリモニウム・メトサルフェート、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及びそれらの混合物から選択される。
【0077】
本発明によるコンディショナーに使用するのに特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えばHoechst Celanese社のGENAMIN CTACとして市販されている塩化セチルトリメチルアンモニウムである。本発明によるコンディショナーに使用される別の特に好ましいカチオン性界面活性剤は、例えばClariantからGENAMIN KDMPとして市販されている塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムである。
【0078】
さらなる好適なカチオン性界面活性剤には、CTFA名称クオタニウム-5、クオタニウム-31、及びクオタニウム-18を有する材料などがある。前述の材料のいずれかの混合物も好適であり得る。
【0079】
本発明で使用するのに適したカチオン性界面活性剤の種類の別の例は、単独で、又は1以上の他のカチオン性界面活性剤と一緒に、以下の(i)及び(ii)の組み合わせである。
【0080】
(i)一般式(II)に対応するアミドアミン:
【化4】
[式中、R
1は10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、R
2及びR
3は独立に1~10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖から選択され、mは1~約10の整数である。];及び
(ii)酸。
【0081】
本明細書で使用される場合、ヒドロカルビル鎖という用語は、アルキル鎖又はアルケニル鎖を意味する。
【0082】
好ましいアミドアミン化合物は、式(I)に対応するものであり、
R1は、約11~約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、
R2及びR3はそれぞれ独立に、ヒドロカルビル残基、好ましくは1~約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1~約4の整数である。
【0083】
好ましくは、R2及びR3はメチル基又はエチル基である。
【0084】
好ましくは、mは2又は3、すなわちエチレン基又はプロピレン基である。
【0085】
本明細書で有用な好ましいアミドアミンとしては、ステアラミド-プロピルジメチルアミン(TAS)、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピル-ジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘアミドプロピルジメチル-アミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチル-アミン、ベヘナミドエチルジメチル-アミン、アラキドアミドプロピル-ジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキド-アミドエチルジエチルアミン、アラキアミドエチルジメチルアミン、及びそれらの混合物などがある。
【0086】
本明細書で有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、及びそれらの混合物である。
【0087】
本明細書で有用な市販のアミドアミンとしては、Inolex社(Pennsylvania, USA)から入手可能な商品名LEXAMINE S-13のステアラミドプロピルジメチルアミン及びNikko(Tokyo, Japan)から入手可能なANIDOAMINE MSP、Nikkoから入手可能な商品名AMIDOAMINE Sのステアラミドエチルジエチルアミン、Croda(North Humberside, England)から入手可能な商品名INCROMINE BBのベヘナミドプロピルジメチルアミン、Scher(Clifton New Jersey, USA)から入手可能な商品名SCHERCODINEシリーズの各種アミドアミンなどがある。
【0088】
酸は、コンディショナー組成物中のアミドアミンをプロトン化できる有機酸又は鉱酸であることができる。本明細書で有用な好適な酸には、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの混合物などがある。好ましくは、前記酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
酸の主な役割は、ヘアトリートメント組成物中のアミドアミンをプロトン化することで、ヘアトリートメント組成物中でイン・サイツで(TAS)三級アミン塩(ステアラミドプロピルジメチルアミン)を形成することである。ステアラミドプロピルジメチルアミンは事実上、非永久的な四級アンモニウム又は擬似四級アンモニウムのカチオン性界面活性剤である。
【0090】
好適には、酸は、存在するアミドアミンの95モル%(293K)より多くをプロトン化するのに十分な量で含まれる。
【0091】
本発明で使用するコンディショナーにおいて、直鎖カチオン性コンディショニング界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の総重量基準で、カチオン性コンディショニング界面活性剤の総重量に基づいて、カチオン性コンディショニング界面活性剤の総重量の0.01~10%、より好ましくは0.05~7.5%、最も好ましくは0.1~5%の範囲である。
【0092】
さらなる成分
本発明による組成物は、ヘアコンディショニング組成物に共通の多くの成分のいずれを含んでもよい。
【0093】
他の成分としては、防腐剤、着色剤、グリセリンやポリプロピレングリコールなどのポリオール、EDTAなどのキレート剤、酢酸ビタミンEなどの酸化防止剤、香料、抗菌剤及び日焼け止めなどがあり得る。これらの成分はそれぞれ、その目的を達成するのに有効な量で存在することになる。一般に、これらの任意成分は、個々に、全組成物の最大約5重量%のレベルで含まれる。
【0094】
好ましくは、さらなる成分には、香料、防腐剤、着色料及びコンディショニングシリコーンなどがある。
【0095】
本発明の組成物は、好ましくは、粘度調整剤及び増粘剤、例えば増粘ポリマーを含まない。
【0096】
上記の有効成分のいずれかの混合物も使用することができる。
【0097】
一般に、そのような成分は、個々に、組成物全体の最大2重量%、好ましくは最大1重量%のレベルで含まれる。
【0098】
本発明の実施形態を以下の実施例で提供するが、別断の断りのない限り、すべてのパーセントは総重量に基づく重量基準で示される。
【実施例】
【0099】
実施例1:本発明による組成物1及び2並びに比較例Aの組成
以下の組成物を調製し、それを表1に示す。
【0100】
組成物1:本発明に従って、分岐カチオン性界面活性剤及び脂肪アルコールと組み合わせて塩化セチルピリジニウムで改質されたベントナイトクレーを含む。
【0101】
組成物2:本発明に従って、分岐カチオン性界面活性剤及び脂肪アルコールと組み合わせてヒドロキシエチルセルロースで改質されたベントナイトクレーを含む。
【0102】
組成物A:改質クレーを含まない。
【0103】
表1:本発明による組成物1及び2の組成
【表1】
製剤は、脂肪アルコールにカチオン性界面活性剤を加え、約85℃で撹拌した後、この混合物を代表的には55℃で徐々に水に加え、60℃で混合することで作った。次に、水をさらに加えることで、混合物を冷却して室温とした。次に、改質クレーとその他の残りの成分を加え、最終混合物を撹拌した。
【0104】
表2:比較例Aの組成
【表2】
実施例2:組成物1、2及びAによる毛髪のトリートメント
使用した毛髪(バージン)は、ダークブラウンのヨーロッパ人毛髪で、重さ5g、長さ6インチの入れ毛であった。
【0105】
9%クリーム過酸化水素、30「体積」(Excel GS Ltd, UK)(パウダー60gをクリーム過酸化水素120gと混合)と混合したPlatine Precision White Compact Lightening Powder(L’Oreal Professionnel Paris, Paris,France)を塗布し、30分間放置することでバージンヘアの脱色を実施した。その後、髪を水で2分間リンスした。
【0106】
バージンヘア又は脱色した髪を、最初に、以下の方法を使用してクレンジングシャンプーで処理した。
【0107】
毛髪繊維を流水下に30秒間保持し、毛髪1gあたりシャンプー0.1mLの用量で塗布し、毛髪に30秒間擦り込んだ。流水下に30秒間保持することで過剰の泡を除去し、シャンプー段階を繰り返した。毛髪を流水で1分間リンスした。
【0108】
次に、濡れた髪(バージン又は脱色)を以下の方法を使用して組成物で処理した。
【0109】
コンディショナー0.2mL/毛髪1gの用量でコンディショナーを濡れた髪に塗布し、1分間髪に揉み込んだ。毛髪を流水下に1分間リンスし、過剰な水を除去した。
【0110】
その後、XRFを使用して、髪に沈着したシリコーンの量を測定した。
【0111】
実施例3:組成物1、2及びAで処理した脱色毛髪へのシリコーンの沈着
表2:本発明による組成物1及び2及び比較組成物Aによる脱色毛髪へのシリコーンの沈着
【表3】
本発明による改質クレーを使用することで、高レベルのシリコーン沈着が達成されることがわかる。製剤Cはクレーなしでは安定せず、実用的な製品を作るためにシリコーンを懸濁することは不可能であった。シリコーン沈着が非常に低いことはこれを反映している。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.01~10重量%の下記構造1から選択される分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤:
【化1】
[式中、
・R
1及びR
2は、炭素-炭素鎖長がC
4~C
20である飽和又は不飽和の直鎖アルキル鎖を含み;
・R
3は、炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・R
4は、プロトン又は炭素-炭素鎖長がC
1~C
4、好ましくはC
1~C
2のアルキル鎖を含み;
・nは0から10までの範囲を有し;
・mは1~6の範囲を有し、好ましくは1及び2から選択され;
・X
Θは有機又は無機アニオンである。]、
(ii)0.1~10重量%の脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸及びそれらの混合物を含む直鎖炭素-炭素鎖を有する直鎖脂肪物質;
(iii)0.01~5重量%の改質クレー、及び
(iv)コンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤
を含む組成物であって、
分岐カチオン性界面活性物質(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:20~1:1の範囲である組成物。
【請求項2】
前記改質クレーが、カチオン系界面活性剤、改質セルロース及び改質グアーから選択される改質剤で改質されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記改質クレーが、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルセルロース及び塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウムポリマーから選択される改質剤で改質されている、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コンディショニング活性物質がシリコーン乳濁液である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーン乳濁液がジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物の乳濁液から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーン乳濁液が疎水性修飾を含まず、好ましくはミリスチロキシル修飾シリコーンではない、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子状有益剤が組成物全体の0.1重量%~10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒子状有益剤が0.25~1.5重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
X
-がハロゲン化物、メタンスルホネート基及びエタンスルホネート基から選択されるアニオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
分岐カチオン性界面活性剤(i)の直鎖脂肪物質(ii)に対するモル比が1:10~1:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤が0.01~5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、コンディショニング活性物質、頭皮活性物質、カプセル化香料、乳化香料及びそれらの混合物から選択される粒子状有益剤の脱色した毛髪への沈着を増加させる方法であって、請求項1に記載の組成物を毛髪に適用する段階及び当該毛髪を水でリンスする段階を含む方法。
【請求項13】
構造1による分岐カチオン性コンディショニング界面活性剤を含まない同様の組成物と比較して、脱色した髪に送達されるコンディショニング活性物質から選択される粒子状有益剤の量を増加させるための、請求項1で定義の組成物の使用。
【請求項14】
前記粒子状有益剤がシリコーン乳濁液である、請求項13に記載の使用。
【国際調査報告】