(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】旋回エレメントまたは引出しエレメントを運動可能に支承するための金具用のダンパ
(51)【国際特許分類】
E05F 5/02 20060101AFI20241114BHJP
E05D 3/14 20060101ALN20241114BHJP
E05F 3/20 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
E05F5/02 E
E05D3/14 A
E05F3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535597
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022084580
(87)【国際公開番号】W WO2023110537
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】べアンハート クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ セルトマン
(57)【要約】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回エレメント(3)または引出しエレメント(14)を運動可能に支承するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を運動可能に支承するための金具(4)用のダンパ(9)であって、ダンパハウジング(10)と、ダンパハウジング(10)内に配置された少なくとも1つの流体チャンバ(25)と、流体チャンバ(25)内に配置された少なくとも1つの減衰流体と、流体チャンバ(25)内に摺動可能に支承された少なくとも1つのピストン(17)と、好適には環状の少なくとも1つのシールエレメント(18)であって、少なくとも第1の区分(18a)により流体チャンバ(25)の内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である少なくとも1つのシールエレメント(18)とを含むダンパ(9)において、少なくとも1つのシールエレメント(18)が、好適には実質的に環状の少なくとも1つの第2の区分(18b)を有しており、該第2の区分(18b)が、流体チャンバ(25)の内壁(10a)から離間していて、かつ第2の区分(18b)は、ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰行程の実施時に、流体チャンバ(25)の内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である前記第1の区分(18a)に対して相対的に運動可能であり、好適には旋回可能かつ/または半径方向に拡張可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回エレメント(3)または引出しエレメントを運動可能に支承するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を運動可能に支承するための金具(4)用のダンパ(9)であって、
-ダンパハウジング(10)と、
-該ダンパハウジング(10)内に配置された少なくとも1つの流体チャンバ(25)と、
-該流体チャンバ(25)内に配置された減衰流体と、
-前記流体チャンバ(25)内に摺動可能に支承された少なくとも1つのピストン(17)と、
-好適には環状の少なくとも1つのシールエレメント(18)であって、少なくとも第1の区分(18a)により前記流体チャンバ(25)の内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である、少なくとも1つのシールエレメント(18)と
を含むダンパ(9)において、
前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、好適には実質的に環状の少なくとも1つの第2の区分(18b)を有しており、該第2の区分(18b)が、前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)から離間していて、かつ前記第2の区分(18b)は、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰工程の実施時に、前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である前記第1の区分(18a)に対して相対的に運動可能であり、好適には旋回可能、傾倒可能および/または半径方向に拡張可能であることを特徴とする、ダンパ(9)。
【請求項2】
好適には前記少なくとも1つのピストン(17)に配置されている少なくとも1つの過負荷防止通路(23)が設けられており、前記少なくとも1つの過負荷防止通路(23)は、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された前記閾値を下回る減衰行程の実施時に、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)の前記第2の区分(18b)により覆われていて、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された前記閾値を上回る前記減衰行程の実施時に、少なくとも部分的に開放されている、請求項1記載のダンパ(9)。
【請求項3】
前記過負荷防止通路(23)が、前記ピストン(17)に配置された少なくとも1つの通流部(23a)、好適には複数の通流部(23a)を含み、好適には前記少なくとも1つの通流部(23a)が、前記ピストン(17)の周面側の縁部に配置されている、請求項2記載のダンパ(9)。
【請求項4】
前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、前記ダンパハウジング(10)の長手方向(L)で互いに離間している、かつ/または前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、一緒に一体的に構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項5】
少なくとも1つの流れ通路(27)が設けられており、該流れ通路(27)が、好適には前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)に配置されており、前記減衰流体が、減衰行程の実施時に、前記流れ通路(27)を通って流れる、請求項1から4までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、好適には制限されて、前記少なくとも1つのピストン(17)上で軸方向に摺動可能に支承されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項7】
少なくとも1つの戻し通路(24)が設けられており、該少なくとも1つの戻し通路(24)が、前記減衰行程とは反対方向への前記ピストン(17)の運動時に開放可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項8】
-前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、前記少なくとも1つのピストン(17)に対して相対的に運動可能であり、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、前記ピストン(17)に対する第1の相対位置において、前記戻し通路(24)を閉鎖し、前記ピストン(17)に対する第2の相対位置において、前記戻し通路(24)を開放する、かつ/または
-前記戻し通路(24)が、前記ピストン(17)に配置された少なくとも1つの切欠き(24a)、好適には複数の切欠き(24a)を含み、特に好ましくは、前記少なくとも1つの切欠き(24)が、前記ピストン(17)の周面側の縁部に配置されている、かつ/または
-前記戻し通路(24)が、前記少なくとも1つのピストン(17)と前記少なくとも1つのシールエレメント(18)との間の軸方向の間隙(34)を含んでおり、好適には該軸方向の間隙(34)の大きさが、前記減衰行程とは反対方向への前記ピストン(17)の運動時に変更可能である、請求項7記載のダンパ(9)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのピストン(17)が、前記減衰流体を通過させるための少なくとも1つの軸方向通路(36)、好適には複数の軸方向通路(36)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピストン(17)が、少なくとも1つのディスクエレメント(35)を有しており、該ディスクエレメント(35)に、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、少なくとも前記減衰行程の実施時に支持可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項11】
前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と、前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、縦断面で、かつ少なくとも前記ダンパ(9)の静止状態で実質的にZ字形を形成する、請求項1から10までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項12】
前記ダンパが、体積補償装置(20)を有しており、該体積補償装置(20)によってピストンロッド(12)によって前記流体チャンバ(25)内への進入時に押退け可能な前記減衰流体の体積が補償可能であり、好適には前記体積補償装置(20)が、
-少なくとも1つのシール(20a)を有しており、該少なくとも1つのシール(20a)により前記流体チャンバ(25)が前記ピストンロッド(12)に対して、かつ/または前記ダンパハウジング(10)の前記内壁(10a)に対して密閉可能であり、かつ/または
-少なくとも1つの支持エレメント(20b)を有しており、該少なくとも1つの支持エレメント(20b)により前記少なくとも1つのシール(20a)が前記ダンパハウジング(10)内でガイド可能であり、かつ/または
-少なくとも1つのばねエレメント(20c)を有しており、該少なくとも1つのばねエレメント(20c)により、減衰行程が行われた後に前記少なくとも1つのシール(20a)が少なくとも部分的に出発位置へと戻ることができる、請求項1から11までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのばねエレメント(20c)が、前記少なくとも1つのシール(20a)と一体的に、かつ/または前記少なくとも1つの支持エレメント(20b)と一体的に纏められて1つの共通の補償部分(33)を形成し、好適には前記シールエレメント(18)と、前記ピストン(17)と、前記補償部分(33)とが、軸方向で、前記ピストン(17)に結合されたピストンロッド(12)に配置されている、請求項12記載のダンパ(9)。
【請求項14】
前記ダンパが、前記少なくとも1つのピストン(17)を戻すための戻しばね(19)を有しており、好適には前記戻しばね(19)が、前記流体チャンバ(25)の端面(21)に支持可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載のダンパ(9)。
【請求項15】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回エレメント(3)または引出しエレメントを運動可能に支承するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を運動可能に支承するための金具(4)であって、前記金具(4)が、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つのダンパ(9)を有しており、好適には前記金具(4)が、ヒンジ(4a)として、家具駆動装置(4b)として、または引き出し用引き出しガイド(4c)として、運動可能な家具部分(3a)を運動させるために形成されている、金具(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置の支持体に対して相対的に旋回エレメントまたは引出しエレメントを運動可能に支承するための、特に家具部分、窓または扉を運動可能に支承するための金具用のダンパであって、
-ダンパハウジングと、
-ダンパハウジング内に配置された少なくとも1つの流体チャンバと、
-流体チャンバ内に配置された減衰流体と、
-流体チャンバ内に摺動可能に支承された少なくとも1つのピストンと、
-好適には環状の少なくとも1つのシールエレメントであって、少なくとも第1の区分
により流体チャンバの内壁に接触するかまたは当接可能である、少なくとも1つのシールエレメントと
を含むダンパに関する。
【0002】
さらに本発明は、記載された形式の少なくとも1つのダンパを備えた金具であって、この金具が、運動可能な家具部分を運動させるために、特にヒンジとして、家具駆動装置として、または引出し引き出し用ガイドとして形成されている、金具に関する。
【0003】
このようなダンパは、例えば旋回エレメントまたは引出しエレメント(例えば引出し、扉、フラップまたは窓)または運動可能に支持された家具金具部分の運動を減衰するために使用されるので、旋回エレメントまたは引出しエレメントが音をたてて勢いよく閉じて損傷することは阻止される。
【0004】
ダンパの減衰効果は、ダンパハウジング内にある減衰流体の流れ抵抗によって発生させられる。圧力が加えられると、ピストンが流体チャンバの内部で摺動させられ、この場合に、減衰流体はピストン開口を通って、かつ/またはピストンと流体チャンバの内壁との間に形成された間隙を通って、かつ/または流体チャンバの内壁に配置された少なくとも1つの溝を通って高圧側から低圧側へと流れる。
【0005】
ピストンに過度に高い圧力が加えられると、例えば乱暴に使用されると、いわゆるダンパ衝突が生じてしまう。このような過負荷時には、減衰流体はもはや十分な量でピストンを通ってまたはピストンの傍らを流れることができない。この場合、増大させられた圧力をもはやダンパを通じて減少させることはできないので、ピストンとピストンに取り付けられたピストンロッドとが急激に停止させられるか、または跳ね返されてしまう。極端な場合には、ダンパハウジングが高められた圧力により破裂して、液圧用の減衰流体がダンパハウジングから流出してしまう。
【0006】
オーストリア国実用新案第10342号明細書には、シリンダと、このシリンダ内で摺動可能なピストンとを備えた家具ダンパが示されている。このピストンは、減衰流体を通過させるための少なくとも1つの過負荷防止開口を有している。さらに、ピストンに対して相対的に摺動可能な閉鎖エレメントが設けられており、この閉鎖エレメントによって、減衰行程の開始時にピストンの過負荷防止開口が閉鎖可能である。通常運転時には、減衰流体は専ら、ピストンとシリンダの内壁との間に形成された環状ギャップを通って流れることができる。圧力がさらに加えられると、閉鎖エレメントが半径方向に拡張させられるので、環状ギャップが縮小され、したがってピストンのための流れ抵抗が増大される。過負荷時に、閉鎖エレメントは、ピストンの過負荷防止開口が開放され、シリンダ内の迅速な減圧が引き起こされるまで、半径方向に拡張可能である。
【0007】
オーストリア国実用新案第10342号明細書の欠点は、環状の閉鎖エレメントが、閉鎖エレメントの拡張特性および剛性の両方を定義する材料横断面を有していることである。閉鎖エレメントの材料が過度に軟らかく形成されていると、閉鎖エレメントは確かに十分にシリンダの内壁に当接することができるが、ピストンの過負荷防止開口も過度に早く開放される。閉鎖エレメントの材料が過度に硬く形成されていると、閉鎖エレメントはシリンダの内壁に不十分にしか当接せず、ピストンの過負荷防止開口が過度に遅く開放される。上掲の明細書における別の欠点は、シリンダの内壁および過負荷防止開口の領域において発生する製造誤差が、環状の閉鎖エレメントによって単に不十分にしか補償され得ないことである。全体として、ダンパの使用範囲は制限されている。
【0008】
したがって本発明の課題は、上において議論された欠点を回避することができる、冒頭に述べた形式のダンパを提供することである。
【0009】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴により解決される。本発明の別の有利な構成は、従属請求項に規定されている。
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つのシールエレメントが、好適には実質的に環状の少なくとも1つの第2の区分を有しており、第2の区分が、流体チャンバの内壁から離間していて、かつ第2の区分は、ピストンに加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰行程の実施時に、流体チャンバの内壁に接触するかまたは当接可能である第1の区分に対して相対的に運動可能であり、好適には旋回可能、傾倒可能かつ/または半径方向に拡張可能であることが規定されている。
【0011】
換言すると、少なくとも1つのシールエレメントは、第1の区分を有しており、この第1の区分は、流体チャンバをシールするために、流体チャンバの内壁に接触しており、または減衰行程の実施時に流体チャンバの内壁に当接可能である。
【0012】
シールエレメントは、さらに第2の区分を有しており、この第2の区分は、ピストンに加えられる圧力が予め規定された閾値を上回っていると、第1の区分に対して相対的に運動可能、旋回可能、傾倒可能かつ/または半径方向に拡張可能である。
【0013】
或る実施例によれば、少なくとも1つのシールエレメントの第2の区分は、ピストンに加えられる圧力が予め規定された閾値を上回っていると、流体チャンバの内壁に向かう方向へと旋回可能、傾倒可能、かつ/または半径方向に拡張可能であり、好適にはピストンに配置されている少なくとも1つの過負荷防止通路が開放可能であることが規定されていてよい。
【0014】
好適には少なくとも1つのピストンに配置されている少なくとも1つの過負荷防止通路は、ピストンに加えられる圧力が予め規定された閾値を下回る減衰行程の実施時に、少なくとも1つのシールエレメントの第2の区分によって覆われていてよく、ピストンに加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰行程の実施時に、少なくとも1つのシールエレメントの第2の区分によって少なくとも部分的に開放されていてよい。
【0015】
本発明の別の詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】旋回エレメントと、旋回エレメントを運動可能に支承するための金具とを備えた家具を示す斜視図である。
【
図2a】ダンパを備えた金具を、互いに分離させた状態で示す斜視図である。
【
図2b】ダンパを備えた金具を、互いに結合させた状態で示す斜視図である。
【
図3b】ダンパを、シールエレメントの1つ運転位置において示す断面図である。
【
図3c】ダンパを、シールエレメントの別の運転位置において示す断面図である。
【
図4d】ピストンアセンブリを示すさらに別の図である。
【
図5b】シールエレメントが通常状態にあるダンパを示す拡大詳細図である。
【
図5c】シールエレメントが過負荷状態にあるダンパを示す拡大詳細図である。
【
図6c】ダンパを備えた金具を示すさらに別の図である。
【0017】
図1は、(例えば家具キャビネット2aの形態の)定置の支持体2と、(例えば運動可能な家具部分3aの形態の)運動可能な旋回エレメント3または引出しエレメントと、定置の支持体2に対して相対的に旋回エレメント3または引出しエレメントを運動可能に支承するための、(例えばヒンジ4aの形態の)少なくとも1つの金具4とを備えた家具1の斜視図を示している。
【0018】
図示の実施例では、金具4は、定置の支持体2に取り付けるための第1の金具部分5と、旋回エレメント3または引出しエレメントに取り付けるための第2の金具部分6とを有している。第1の金具部分5と第2の金具部分6とは、互いに枢着結合されている。
【0019】
金具4は、(ここでは見えない)少なくとも1つのダンパ9を有しており、このダンパ9によって、両金具部分5,6の互いに対する相対運動が減衰可能である。ダンパ9によって、定置の支持体2に関して完全に閉鎖された終端位置および/または完全に開放された終端位置に至るまでの旋回エレメント3または引出しエレメントの閉鎖運動および/または開放運動が減衰可能である。
【0020】
図2aは、定置の支持体2に対して相対的に旋回エレメント3を運動可能に支承するための、ヒンジ4aの形の金具4を示している。この金具4は、定置の支持体2に取り付けるための第1の金具部分5と、旋回エレメント3に取り付けるための第2の金具部分6とを含んでおり、両金具部分5,6は、少なくとも1つのジョイントレバー7、好適には少なくとも2つのジョイントレバー7を介して互いに旋回可能に結合されている。
【0021】
1つの実施例によれば、第1の金具部分5がヒンジアームを有している、かつ/または第2の金具部分6がヒンジポットを有していることが規定されていてよい。
【0022】
金具4は、少なくとも1つのダンパ9を有しており、このダンパ9によって、両金具部分5,6の互いに対する相対運動が減衰可能である。少なくとも1つのダンパ9は、例えば円筒形のダンパハウジング10を含んでいる。ピストンロッド12は、ダンパハウジング10に対して相対的に摺動可能に支承されている。
【0023】
第2の金具部分6は孔14を有しており、ダンパ9のピストンロッド12は、組付けられた状態において、この孔14を通ってガイドされている。
【0024】
ダンパ9は、図示の実施例では、少なくとも1つの取付け箇所13を介して第2の金具部分6の外面に配置可能である。組み付けられた状態では、ダンパ9は、第2の金具部分6の取付けフランジ15の下側に配置されている。第2の金具部分6は、ダンパ9と一緒に、部分的に旋回エレメント3の唯1つの円筒形の孔内に配置可能である。
【0025】
図2bは、ダンパ9を備えた、
図2aに示したヒンジ4aの形態の金具4を組み付けられた状態で示している。
【0026】
図3aは、ダンパ9を斜視横断面図で示している。ダンパ9は、ダンパハウジング10と、ダンパハウジング10内に配置された少なくとも1つの流体チャンバ25と、流体チャンバ25内に配置された減衰流体と、流体チャンバ25内に摺動可能に支承された少なくとも1つのピストン17と、少なくとも第1の区分18aにより流体チャンバ25の内壁10aに接触するかまたは当接可能である、好適には環状の少なくとも1つのシールエレメント18とを有している。
【0027】
減衰流体は、液圧用の減衰流体(例えばシリコーンオイル)と、場合によっては固体粒子とを含んでいてよい。
【0028】
さらにシールエレメント18は、好適には実質的に環状の少なくとも1つの第2の区分18bを有しており、この第2の区分18bは、ダンパ9の通常運転中(つまり、ピストン17に加えられる圧力が予め規定された閾値を下回っている場合)に、流体チャンバ25の内壁10aから、好適には間隙22(
図3b)を形成しながら離間している。
【0029】
ピストン17は、少なくとも1つの過負荷防止通路23を有している。この過負荷防止通路23は、ダンパ9の通常運転中(つまり、ピストン17に加えられる圧力が予め規定された閾値を下回っている場合)には、シールエレメント18の第2の区分18bによって閉鎖されている。過負荷防止通路23は、ピストン17に配置された少なくとも1つの通流部23a、好適には複数の通流部23aを有していてよい。
【0030】
ダンパ9は、少なくとも1つの戻し通路24を有している。この戻し通路24は、減衰行程とは反対方向へのピストン17の運動時に開放可能である。例えば、以下のことが規定されていてよく、すなわち、
-少なくとも1つのシールエレメント18が、少なくとも1つのピストン17に対して相対的に運動可能であり、少なくとも1つのシールエレメント18が、ピストン17に対する第1の相対位置において戻し通路24を閉鎖し、ピストン17に対する第2の相対位置において戻し通路24を開放する、かつ/または
-戻し通路24が、ピストン17に配置された少なくとも1つの切欠き24a、好適には複数の切欠き24aを含んでおり、特に好ましくは、少なくとも1つの切欠き24aが、ピストン17の周面側の縁部に配置されている、かつ/または
-戻し通路24が、少なくとも1つのピストン17と少なくとも1つのシールエレメント18との間の軸方向の間隙34(
図5b)を含んでおり、好適には、軸方向の間隙(34)の大きさが、減衰行程とは反対方向へのピストン(17)の運動時に変更可能である。
【0031】
さらにダンパ9は、戻しばね19(例えばコイルばねとして形成された圧縮ばね)を有している。この戻しばね19により、ピストン17は、減衰行程が行われた後に、少なくとも部分的に出発位置へと戻ることができる。戻しばね19は、流体チャンバ25の端面21に支持可能であり、ピストン17を減衰行程とは反対方向に押圧している。
【0032】
さらにダンパ9は、少なくとも1つの体積補償装置20を有しており、この体積補償装置20によって、ピストンロッド12によって流体チャンバ25内への進入時に押退け可能な減衰流体の体積が補償可能である。
【0033】
閉鎖エレメント16によって、流体チャンバ25が閉鎖可能である。
【0034】
図3bは、
図3aに示したダンパ9を横断面で示しており、シールエレメント18は、静止状態にある。シールエレメント18は、流体チャンバ25の内壁10aに接触するかまたは当接可能である第1の区分18aを有している。シールエレメント18の第2の区分18bは、間隙22を形成しながら、流体チャンバ25の内壁10aから離間している。
【0035】
シールエレメント18の第1の区分18aと、少なくとも1つの第2の区分18bとは、ダンパハウジング10の長手方向(L)で互いに離間している。
【0036】
シールエレメント18の第1の区分18aと少なくとも1つの第2の区分18bとは、縦断面で、かつ少なくともダンパ9の静止状態で実質的にZ字形を形成する。
【0037】
シールエレメント18は、例えば熱可塑性のエラストマ(TPE)から形成されていてよい。
【0038】
図示の実施例では、シールエレメント18の第1の区分18aと第2の区分18bとは、一緒に一体的に形成されていて、例えば膜ヒンジを介して互いに対して可動に結合されている。
【0039】
しかし基本的には、シールエレメント18の両区分18a,18bが、互いに別個の構成部材として、特に互いに異なる材料から形成されていることも考えられる。
【0040】
ダンパ9は、好適には流体チャンバ25の内壁10aに配置されている少なくとも1つの流れ通路27を有している。この構成では、減衰流体は、減衰行程の実施時に、流れ通路27を通って流れる。
【0041】
好ましい実施例によれば、少なくとも1つの体積補償装置20は、
-少なくとも1つのシール20aを有しており、少なくとも1つのシール20aにより、流体チャンバ25がピストンロッド12に対して、かつ/またはダンパハウジング10の内壁10aに対して密閉可能である、かつ/または
-少なくとも1つの支持エレメント20bを有しており、少なくとも1つの支持エレメント20bにより、少なくとも1つのシール20aがダンパハウジング10内でガイド可能であり、かつ/または
-少なくとも1つのばねエレメント20cを有しており、少なくとも1つのばねエレメント20cにより、減衰行程が行われた後に少なくとも1つのシール20aが少なくとも部分的に出発位置へと戻ることができる。
【0042】
好ましい実施例によれば、少なくとも1つのばねエレメント20cは、少なくとも1つのシール20aと一体的に、かつ/または少なくとも1つの支持エレメント20bと一体的に纏められて1つの共通の補償部分33を形成していることが規定されていてよい。
【0043】
図3cは、過負荷時のダンパ9を示しており、つまりピストン17に加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰行程が行われる。このような過負荷時には、第2の区分18bが、シールエレメント18の第1の区分18aに対して相対的に、流体チャンバ25の内壁10aに向かって屈曲可能であり、傾倒可能であり、かつ/または半径方向に拡張可能である。これにより、シールエレメント18と内壁10aとの間に形成された間隙22が縮小可能であり、ピストン17の過負荷防止通路23は少なくとも部分的に開放可能である。これによって、より大きな量の減衰流体が、ダンパ9の高圧側から低圧側へと流れることができ、これによって、過負荷時に減衰流体の増大された圧力が減じられる。
【0044】
図4aは、ダンパ9を分解図で示している。ダンパハウジング10は、ピストン17を摺動可能に支承するための少なくとも1つの流体チャンバ25を有している。ピストン17は、減衰行程が行われた後に、戻しばね19の力により少なくとも部分的に出発位置に戻ることができる。
【0045】
ピストン17には、制限エレメント26が取り付けられ得る。シールエレメント18は、組み付けられた状態において、制限エレメント26とピストン17との間で制限されて摺動可能に支承されている。これにより、シールエレメント18を、戻しばね19による戻し時に、ピストン17の切欠き24aから比較的大きな間隔で離間させることができることが達成される。これによって、ピストンロッド12の戻し時に、より大きな量の減衰流体が高圧側から低圧側に向かって流れることができ、出発位置へのピストンロッド12の迅速な戻しを引き起こすことができる。
【0046】
シールエレメント18は、回転対称に形成されていてよく、この場合、第1の区分18aは、第2の区分18bよりも大きな直径を有している。
【0047】
図4bは、ダンパ9を示している。ダンパハウジング10は見やすくするために図示されていない。第1の区分18aと第2の区分18bとを備えたシールエレメント18は、ピストン17と制限エレメント26との間で、軸方向に制限されて摺動可能である。
【0048】
ピストン17は、少なくとも1つの切欠き24a、好ましくは複数の切欠き24aを備えた少なくとも1つの戻し通路24を有している。1つの実施例によれば、少なくとも1つの切欠き24は、ピストン17の周面側の縁部に配置されていることが規定されていてよい。
【0049】
図4cは、
図4bに示したダンパ9を示しており、シールエレメント18は、見やすくするために図示されていない。
図4cでは、ピストン17の過負荷防止通路23が良好に確認可能であり、過負荷防止通路23は、ピストン17に配置された少なくとも1つの通流部23a、好適には複数の通流部23aを含んでいる。例えば、少なくとも1つの通流部23aは、ピストン17の周面側の縁部に配置されていることが規定されていてよい。
【0050】
図4dは、ピストン17の部分領域を斜視図で示している。ピストン17は、減衰流体を通過させるための少なくとも1つの軸方向通路36、好適には複数の軸方向通路36を有している。軸方向通路36は、戻し通路24の一部を形成しており、戻し通路24を通って、戻し行程時に、より大きな量の減衰流体が、ピストン17の第1の側から第2の側へと到達することができる。
【0051】
少なくとも1つの軸方向通路36は、ダンパハウジング10の長手方向(L)に対して平行に、円錐形にまたは半径方向に延びていてよい。例えば、ピストン17が複数の軸方向通路36を有していることが規定されていてよく、これらの軸方向通路36は、ピストン17の周縁部に、好適には対称的に配置されている。
【0052】
図示の実施例では、ピストン17が複数の通流部23aを有しており、これらの通流部23aは、ピストン17の周縁部に対称的に配置されてよい。通流部23aは、ピストン17に加えられる圧力が予め規定された閾値を下回る減衰行程の実施時に、シールエレメント18の第2の区分18bによって覆われていてよく、ピストン17に加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰行程の実施時に、シールエレメント18の第2の区分18bによって開放可能である。
【0053】
特に好ましくは、まさに3つの通流部23aが設けられており、これらの通流部23aは、ピストン17の周縁部において120°だけずらされて配置されている。
【0054】
図示の実施例では、ピストン17は、少なくとも1つのディスクエレメント35を有しており、この少なくとも1つのディスクエレメント35に、少なくとも1つのシールエレメント18が、少なくとも減衰行程の実施時に支持可能である。
【0055】
図5aは、ダンパ9を横断面で示しており、両区分18a,18bを備えたシールエレメント18が確認可能である。シールエレメント18の第1の区分18aは、流体チャンバ25の内壁10aに接触しているか、または減衰行程の実施時に流体チャンバの内壁10aに当接可能である。シールエレメント18の第2の区分18bは、通常運転時に、間隙22を形成しながら内壁10aから離間している。
【0056】
ダンパ9は、好適には流体チャンバ25の内壁10aに配置されている少なくとも1つの流れ通路27を有している。減衰流体は、減衰行程の実施時に流れ通路27を通って流れる。内壁10aに配置された2つ以上の流れ通路27が設けられてもよい。
【0057】
少なくとも1つの流れ通路27は、細長い溝として形成されていてよい。1つの実施例によれば、少なくとも1つの流れ通路27の横断面が、減衰行程の方向で変化し、好適には連続的に縮小することが規定されていてよい。
【0058】
図5bは、
図5aにおいて円で囲まれた領域を拡大図で示している。ピストン17が予め規定された閾値を下回って運動させられる場合、通流部23aを備えた過負荷防止通路23は、シールエレメント18の第2の区分18bによって閉鎖されている。このような通常運転では、減衰流体は、好適には専ら少なくとも1つの流れ通路27を通って流れる。
【0059】
ピストン17と制限エレメント26との間に配置された軸方向の間隙34が確認可能であり、間隙34により、シールエレメント18は、ピストン17に対して相対的に運動可能に支承されている。減衰行程とは反対方向へのピストン17の運動時に、シールエレメント18は制限エレメント26に当接可能である。間隙34の大きさは変更可能であり、したがって、ピストンロッド12の戻り時に、より大きな量の減衰流体が、ピストン17の一方の側から他方の側へと流れることができる。
【0060】
図5cは、過負荷状況を示している。つまり、ピストン17は、予め規定された閾値を上回る圧力を加えられて運動させられる。第1の区分18aに対して相対的な第2の区分18bの屈曲または傾倒により、ピストン17と内壁10aとの間に形成された半径方向の間隙22が縮小可能であり、通流部23を備えた過負荷防止通路23は、シールエレメント18の第2の区分18bによって開放される。減衰流体は、過負荷時には、記入された矢印に沿って高圧側から低圧側へと流れることができる。
【0061】
図6a~
図6cは、運動可能な家具部分3aを運動可能に支承するための種々異なる金具4を示している。
【0062】
図6aは、ヒンジ4aの形態の金具4を示しており、このヒンジ4aは、定置の支持体2に取り付けるための第1の金具部分5と、運動可能な家具部分3aに取り付けるための第2の金具部分6とを有している。第1の金具部分5と第2の金具部分6とは、少なくとも1つのジョイントレバー7によって、好適には少なくとも2つのジョイントレバー7によって旋回可能に互いに結合されている。図示の実施例では、ダンパハウジング10を備えるダンパ9が、第1の金具部分5上に載設されている。ダンパハウジング10は、ヒンジ4aの閉鎖運動の終了近くに、第2の金具部分6によって、位置固定されたピストンロッド12に対して相対的に押し込まれ、これによりヒンジ4aの閉鎖運動が減衰可能である。
【0063】
図6bは、運動可能な家具部分3aを運動させるための家具駆動装置4bの形態の金具4を示している。家具駆動装置4bは、定置の支持体2(例えば家具キャビネット2a)に取り付けるための基体28と、基体28に配置されて、運動可能な家具部分3aに結合可能な、運動可能な家具部分3aを運動させるための作動アームアセンブリ29と、作動アームアセンブリ29へ力を加えるための蓄力器30とを含んでいる。ダンパ9のダンパハウジング10は、閉鎖運動の終了近くに、作動アームアセンブリ29の旋回可能な作動アーム29aによって、位置固定されたピストンロッド12に対して相対的に押込み可能であり、この場合に作動アームアセンブリ29の閉鎖運動が減衰可能である。
【0064】
図6cは、家具キャビネット2に対して相対的に引出しを運動させるための引出し用引出しガイド4cの形態の金具4を示している。この引出し用引出しガイド4cは、互いに相対的に摺動可能な少なくとも2つのガイドレール31,32を含んでおり、このときガイドレール31,32の運動は、閉鎖運動の終了近くに、ダンパハウジング10を備えたダンパ9によって減衰可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回エレメント(3)または引出しエレメントを運動可能に支承するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を運動可能に支承するための金具(4)用のダンパ(9)であって、
-ダンパハウジング(10)と、
-該ダンパハウジング(10)内に配置された少なくとも1つの流体チャンバ(25)と、
-該流体チャンバ(25)内に配置された減衰流体と、
-前記流体チャンバ(25)内に摺動可能に支承された少なくとも1つのピストン(17)と、
-好適には環状の少なくとも1つのシールエレメント(18)であって、少なくとも第1の区分(18a)により前記流体チャンバ(25)の内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である、少なくとも1つのシールエレメント(18)と
を含むダンパ(9)において、
前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、好適には実質的に環状の少なくとも1つの第2の区分(18b)を有しており、該第2の区分(18b)が、前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)から離間していて、かつ前記第2の区分(18b)は、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された閾値を上回る減衰工程の実施時に、前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)に接触するかまたは当接可能である前記第1の区分(18a)に対して相対的に運動可能であり、好適には旋回可能、傾倒可能および/または半径方向に拡張可能であることを特徴とする、ダンパ(9)。
【請求項2】
好適には前記少なくとも1つのピストン(17)に配置されている少なくとも1つの過負荷防止通路(23)が設けられており、前記少なくとも1つの過負荷防止通路(23)は、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された前記閾値を下回る減衰行程の実施時に、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)の前記第2の区分(18b)により覆われていて、前記ピストン(17)に加えられる圧力が予め規定された前記閾値を上回る前記減衰行程の実施時に、少なくとも部分的に開放されている、請求項1記載のダンパ(9)。
【請求項3】
前記過負荷防止通路(23)が、前記ピストン(17)に配置された少なくとも1つの通流部(23a)、好適には複数の通流部(23a)を含み、好適には前記少なくとも1つの通流部(23a)が、前記ピストン(17)の周面側の縁部に配置されている、請求項2記載のダンパ(9)。
【請求項4】
前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、前記ダンパハウジング(10)の長手方向(L)で互いに離間している、かつ/または前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、一緒に一体的に構成されている、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項5】
少なくとも1つの流れ通路(27)が設けられており、該流れ通路(27)が、好適には前記流体チャンバ(25)の前記内壁(10a)に配置されており、前記減衰流体が、減衰行程の実施時に、前記流れ通路(27)を通って流れる、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、好適には制限されて、前記少なくとも1つのピストン(17)上で軸方向に摺動可能に支承されている、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項7】
少なくとも1つの戻し通路(24)が設けられており、該少なくとも1つの戻し通路(24)が、前記減衰行程とは反対方向への前記ピストン(17)の運動時に開放可能である、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項8】
-前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、前記少なくとも1つのピストン(17)に対して相対的に運動可能であり、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、前記ピストン(17)に対する第1の相対位置において、前記戻し通路(24)を閉鎖し、前記ピストン(17)に対する第2の相対位置において、前記戻し通路(24)を開放する、かつ/または
-前記戻し通路(24)が、前記ピストン(17)に配置された少なくとも1つの切欠き(24a)、好適には複数の切欠き(24a)を含み、特に好ましくは、前記少なくとも1つの切欠き(24)が、前記ピストン(17)の周面側の縁部に配置されている、かつ/または
-前記戻し通路(24)が、前記少なくとも1つのピストン(17)と前記少なくとも1つのシールエレメント(18)との間の軸方向の間隙(34)を含んでおり、好適には該軸方向の間隙(34)の大きさが、前記減衰行程とは反対方向への前記ピストン(17)の運動時に変更可能である、請求項7記載のダンパ(9)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのピストン(17)が、前記減衰流体を通過させるための少なくとも1つの軸方向通路(36)、好適には複数の軸方向通路(36)を有している、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピストン(17)が、少なくとも1つのディスクエレメント(35)を有しており、該ディスクエレメント(35)に、前記少なくとも1つのシールエレメント(18)が、少なくとも前記減衰行程の実施時に支持可能である、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項11】
前記シールエレメント(18)の前記第1の区分(18a)と、前記少なくとも1つの第2の区分(18b)とが、縦断面で、かつ少なくとも前記ダンパ(9)の静止状態で実質的にZ字形を形成する、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項12】
前記ダンパが、体積補償装置(20)を有しており、該体積補償装置(20)によってピストンロッド(12)によって前記流体チャンバ(25)内への進入時に押退け可能な前記減衰流体の体積が補償可能であり、好適には前記体積補償装置(20)が、
-少なくとも1つのシール(20a)を有しており、該少なくとも1つのシール(20a)により前記流体チャンバ(25)が前記ピストンロッド(12)に対して、かつ/または前記ダンパハウジング(10)の前記内壁(10a)に対して密閉可能であり、かつ/または
-少なくとも1つの支持エレメント(20b)を有しており、該少なくとも1つの支持エレメント(20b)により前記少なくとも1つのシール(20a)が前記ダンパハウジング(10)内でガイド可能であり、かつ/または
-少なくとも1つのばねエレメント(20c)を有しており、該少なくとも1つのばねエレメント(20c)により、減衰行程が行われた後に前記少なくとも1つのシール(20a)が少なくとも部分的に出発位置へと戻ることができる、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのばねエレメント(20c)が、前記少なくとも1つのシール(20a)と一体的に、かつ/または前記少なくとも1つの支持エレメント(20b)と一体的に纏められて1つの共通の補償部分(33)を形成し、好適には前記シールエレメント(18)と、前記ピストン(17)と、前記補償部分(33)とが、軸方向で、前記ピストン(17)に結合されたピストンロッド(12)に配置されている、請求項12記載のダンパ(9)。
【請求項14】
前記ダンパが、前記少なくとも1つのピストン(17)を戻すための戻しばね(19)を有しており、好適には前記戻しばね(19)が、前記流体チャンバ(25)の端面(21)に支持可能である、請求項
1記載のダンパ(9)。
【請求項15】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回エレメント(3)または引出しエレメントを運動可能に支承するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を運動可能に支承するための金具(4)であって、前記金具(4)が、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つのダンパ(9)を有しており、好適には前記金具(4)が、ヒンジ(4a)として、家具駆動装置(4b)として、または引き出し用引き出しガイド(4c)として、運動可能な家具部分(3a)を運動させるために形成されている、金具(4)。
【国際調査報告】