(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】非衝突式デュアルモビリティ型股関節プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/34 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61F2/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535747
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 AU2022051526
(87)【国際公開番号】W WO2023108228
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522304198
【氏名又は名称】シグニチャー オルソペディクス ヨーロッパ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブラジル,デクラン
(72)【発明者】
【氏名】バージェス,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097CC18
4C097SC05
(57)【要約】
デュアルモビリティ型股関節プロテーゼは、その寛骨臼カップリムに対して凹んだライナーリムを有し、その結果、ネックの隣接する接触面が、ライナーリムに衝突することなく、極限位置で寛骨臼カップリムに衝突する。さらに、寛骨臼カップリムは、寛骨臼カップリムとネックの隣接する接触面との間の点接触荷重を低減するために、極限位置でネックの隣接する接触面に対応して傾斜した内側接触面を画定する。したがって、本発明のプロテーゼは、点接触荷重力を軽減することによって寛骨臼カップのリムと大腿骨コンポーネントのネックとの間のプロテーゼ衝突を許容すると同時に、ネックの端縁と寛骨臼カップのリムとの間のポリマーライナーの端縁の衝突を排除し、さらに、脱臼の可能性を低減した十分に深い寛骨臼コンポーネントを可能にするものである。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側寛骨臼固定面および内側固定面を画定する寛骨臼カップと、
前記寛骨臼カップの内側固定面に固定するように構成された外側固定面と、内側関節面とを画定する固定ライナーと、
前記固定ライナーの内側関節面に対して関節接合するように構成された外側関節面と、内側関節面とを画定するベアリングコンポーネントと、
ネックの遠位端でヘッドに係合するネックを備える大腿骨コンポーネントであって、前記ヘッドは、前記ベアリングコンポーネントの内側関節面に対して関節接合するように構成された外側関節面を画定する、大腿骨コンポーネントと
を備えるデュアルモビリティ型股関節プロテーゼであって、
前記寛骨臼カップは、寛骨臼カップリムを画定し、
前記ライナーは、ライナーリムを画定し、
前記ライナーリムは、前記寛骨臼カップリムに対して凹んだ状態であり、その結果、前記ネックの隣接する接触面が、前記ライナーリムに衝突することなく、前記寛骨臼カップに対して前記大腿骨コンポーネントの極限位置で前記寛骨臼カップリムに衝突し、
前記寛骨臼カップリムは、前記寛骨臼カップリムと前記ネックの隣接する接触面との間の点接触荷重を低減するために、前記極限位置で前記ネックの隣接する接触面に対応して傾斜した内側接触面を画定する、
デュアルモビリティ型股関節プロテーゼ。
【請求項2】
前記内側接触面は、平坦である、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記内側接触面は、2mmより大きい幅を有する、請求項2に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記ライナーは、170°より大きい断面円弧角度を有する、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記ライナーは、約180°の断面円弧角度を有する、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記ライナーリムは、前記内側接触面に近接して位置する、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記ライナーリムは、前記内側接触面の2mm以内に位置する、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記ライナーは、前記寛骨臼カップの内側固定面によって回転不能に捕捉される、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記ライナーは、介在係止リングを挿入せずに、前記寛骨臼カップの内側固定面によって回転不能に捕捉される、請求項8に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記ライナーは、前記ライナーの極領域において前記寛骨臼カップに外側から係合する、請求項8に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記寛骨臼カップは、極ソケットを備え、前記ライナーは、極領域から突出する一体型の栓であって、前記極ソケットに挿入される栓を備える、請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記栓は、前記極ソケットと摩擦係合するように構成される、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記極ソケットは、ねじ加工されており、前記栓は、前記極ソケットのねじ山と干渉する外周構造を備える、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記寛骨臼カップおよび前記ライナーの対応する赤道周縁は、回転不能に係合する円錐台状の係止テーパー部を備える、請求項11に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記ライナーの外側固定面は、DLCコーティングを備える、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記ライナーの外側固定面は、前記テーパー部にDLCコーティングを備える、請求項14に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記寛骨臼カップリムは、内側ねじれ防止凹部を画定し、前記ライナーリムは、前記ねじれ防止凹部に対応して差し込まれる外側ねじれ防止突出部を備える、請求項1に記載のプロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種のデュアルモビリティ型股関節プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
股関節形成術は、人間の股関節の損傷部分を人工股関節プロテーゼで置換するための外科的処置を含む。
【0003】
このような股関節プロテーゼは、典型的には、骨盤寛骨臼に係合する寛骨臼コンポーネントと、大腿骨(femur、thighbone)に取り付けられる大腿骨コンポーネントとを備える。
【0004】
大腿骨コンポーネントは、健康な人間の股関節の「球窩」を模倣するために寛骨臼コンポーネント内で関節接合する。
【0005】
寛骨臼コンポーネントは、典型的には、寛骨臼にセメント接合される、ねじ込まれる、または他の方法で固定される金属寛骨臼カップを備える。ポリマーライナーは、寛骨臼カップ内に永久的に固定されて、大腿骨コンポーネントのための平滑な関節内側ベアリング面を画定し得る。
【0006】
大腿骨コンポーネントは、典型的には、大腿骨の切除された髄内大腿管に挿入されるステムを備える。ステムは、典型的には円錐形連結部によって、その遠位端で球状の大腿骨頭と係合する、上方の傾斜ネックで終端する。大腿骨頭は、寛骨臼コンポーネント内で関節接合する。
【0007】
脱臼は、大腿骨頭が寛骨臼部材によって画定された空洞から押し出されるときの医学的状態である。機能障害、不安定性および痛みを引き起こすこととは別に、脱臼は、再置換術を必要とすることがある。
【0008】
脱臼は、寛骨臼コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの極限位置で発生することがあり、この場合、ネックが寛骨臼コンポーネントに衝突して、寛骨臼コンポーネントによって画定されたソケットから大腿骨頭を持ち上げる。
【0009】
寛骨臼カップのリムに対するネックの衝突点は支点として作用し、大腿骨の長さに対する支点から大腿骨頭重心までのネックの比較的短い長さは、寛骨臼コンポーネントによって画定されるソケットから大腿骨頭を持ち上げることができる高い梃子力を誘発する比較的短いレバーとして作用する。最終的に、大腿骨頭の重心は、寛骨臼コンポーネントのソケットの周囲の上方に移動し、脱臼を引き起こす。
【0010】
脱臼の可能性を低下させる試みは、寛骨臼コンポーネントを「より深く」することを含む。しかしながら、寛骨臼コンポーネントをより深くすることは、ライナーの損傷の可能性を高め、横方向の力(すなわち、寛骨臼カップの極軸に対して半径方向に垂直な力)が、ネックと寛骨臼カップの内面との間のライナーに衝突し、ライナー損傷を引き起こす。
【0011】
ライナー損傷は、寛骨臼カップとネックとの間のライナーに衝突する横方向の力を排除するために、より浅い寛骨臼コンポーネントを有することによって軽減され得る。例えば、寛骨臼コンポーネントは、(ネックの幅を考慮して)ネックの接触端縁が直交するように十分に浅くしてもよく、ネックは寛骨臼コンポーネントのリムにわたって完全に平坦に位置し、そのことによりライナーに横方向の衝突力を加えない。
【0012】
しかしながら、このアプローチは、寛骨臼コンポーネントをより浅くすることになり、その結果、脱臼の可能性が高まる。
【0013】
したがって、ライナー衝突の軽減と脱臼のリスクとの間には本質的にトレードオフ関係が存在する。
【0014】
股関節プロテーゼは、プロテーゼの衝突を回避するために、生来の股関節で生じるものと比較して、はるかに高いヘッドネック直径比を有するように設計され得る。しかしながら、プロテーゼの衝突はそれでも起こり得る。
【0015】
デュアルモビリティ型プロテーゼは、追加および中間のデュアルモビリティ型ベアリングコンポーネントの介在を伴う。デュアルモビリティ型ベアリングコンポーネントの効果は、有効なヘッドネック直径比を改善し(すなわち、増加させ)、そのことにより、プロテーゼの衝突をさらに回避することである。
【0016】
しかしながら、デュアルモビリティ型プロテーゼが提供する、より大きな可動域と、プロテーゼがデュアルモビリティ型ベアリング境界面を有することを考慮すると、挿入深さは、脱臼の可能性を低減するために、デュアルモビリティ型プロテーゼにとって特に重要である。
【0017】
プロテーゼの衝突によるライナー損傷の問題に対処するために、2017年12月14日に出願された国際公開第2017/214095(A1)号パンフレット(Holidayら)は、「深い」寛骨臼コンポーネントを有するが、ライナーの端縁がバンパー構造で保護される解決策を提案している。
【0018】
具体的には、Holidayらは、寛骨臼コンポーネントから延び、大腿骨ネックと寛骨臼コンポーネントとの間の接触を防止するように構成された可撓性バンパーを提案している。
【0019】
本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服するまたは大幅に改善する方法を提供すること、または少なくとも代替方法を提供することを目的とする。
【0020】
先行技術のいかなる情報が本明細書で参照される場合も、そのような参照は、その情報がオーストラリアまたは他のどの国においても当技術分野の周知の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0021】
本明細書では、脱臼の可能性および寛骨臼カップライナーの損傷を軽減するという前述の問題に対処するように設計され、デュアルモビリティ型股関節プロテーゼに適用される股関節プロテーゼが提供される。
【0022】
具体的には、外側寛骨臼固定面および内側固定面を画定する寛骨臼カップを備えるデュアルモビリティ型股関節プロテーゼが提供される。
【0023】
プロテーゼは、寛骨臼カップの内側固定面に固定するように構成された外側固定面と、内側関節面とを画定する固定ライナーをさらに備える。
【0024】
プロテーゼは、固定ライナーの内側関節面に対して関節接合するように構成された外側関節面と、内側関節面とを画定するベアリングコンポーネントをさらに備える。
【0025】
プロテーゼは、遠位端でヘッドに係合するネックを備える大腿骨コンポーネントをさらに備え、ヘッドは、ベアリングコンポーネントの内側関節面に対して関節接合するように構成された外側関節面を画定する。
【0026】
寛骨臼カップは寛骨臼カップリムを画定し、ライナーはライナーリムを画定する。
【0027】
本発明のプロテーゼは、ライナーリムが寛骨臼カップリムに対して凹んだ状態であり、その結果、ネックの隣接する接触面が、ライナーリムに衝突することなく、寛骨臼カップに対して大腿骨コンポーネントの極限位置で寛骨臼カップリムに直接衝突するように構成される。
【0028】
さらに、寛骨臼カップリムは、寛骨臼カップリムとネックの隣接する接触面との間の点接触荷重を低減するために、極限位置でネックの隣接する接触面に対応して傾斜した内側接触面を画定する。
【0029】
したがって、寛骨臼カップのリム上のネックの直接衝突を回避する従来技術の股関節プロテーゼ(バンパー構造で寛骨臼カップポリマーライナーを補強することを教示するHolidayらの従来技術を含む)とは対照的に、本発明の構成は、寛骨臼カップのリムと大腿骨コンポーネントのネックとの間のプロテーゼ衝突を許容するように設計され、そのことにより、ネックの端縁と寛骨臼カップのリムとの間のポリマーライナーの端縁の衝突を排除する。
【0030】
さらに、本発明の股関節プロテーゼは、プロテーゼの衝突を許容するように設計されており、寛骨臼カップリムは、ネックを破砕する可能性のある寛骨臼カップリムとネックとの間の点接触荷重力を軽減するように設計されている。
【0031】
したがって、本発明のデュアルモビリティ型股関節プロテーゼは、脱臼を軽減するための「より深い」構造を可能にし、従来技術の構成によって推奨されるようなバンパー構造などを使用することなく、プロテーゼの衝突の問題を軽減する。
【0032】
さらに、ライナーは、寛骨臼カップの内側固定面によって回転不能に捕捉され得る。ライナーは、係止リングを挿入することなく寛骨臼カップによって回転不能に捕捉され得、このことにより、ライナーリムが内側接触面に近接して位置し、その結果、ライナーによる寛骨臼カップの被覆範囲を最大にすることができる。
【0033】
ライナーは、寛骨臼カップの配置ソケットに挿入される、その極領域で突出する栓を備え得る。さらに、寛骨臼カップおよびライナーの対応する赤道周縁は、それぞれの回転不能に係合する円錐台状の係止テーパー部を備える。
【0034】
栓および係止テーパー部は、寛骨臼カップ内でライナーに回転不能に係合し、係止リングなどの不利点を回避することができる。
【0035】
本発明の他の態様も開示する。
【0036】
本発明の範囲内に含まれ得る任意の他の形態が考えられるが、単なる例として本開示の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、デュアルモビリティ型股関節プロテーゼの寛骨臼カップおよびライナーの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、寛骨臼カップとライナーの組立斜視図である。
【
図3】
図3は、寛骨臼カップのリムの拡大図である。
【
図4】
図4は、ライナーと係合する寛骨臼カップの断面図である。
【
図7】
図7は、デュアルモビリティ型股関節プロテーゼの断面図である。
【
図8】
図8は、デュアルモビリティ型股関節プロテーゼの上面図である。
【
図9】
図9は、寛骨臼カップのリムとライナーのリムとの境界面を示す拡大垂直断面図である。
【
図10】
図10は、本発明のプロテーゼの寛骨臼コンポーネントと大腿骨コンポーネントとの接合を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
デュアルモビリティ型股関節プロテーゼ100は、セメント、骨ねじなどを使用して骨盤寛骨臼に固定される外側寛骨臼固定面102を画定する寛骨臼カップ101を備える。寛骨臼カップ101は、構造体103と、生体適合性および/または骨結合性の外側シェル104とを備え得る。寛骨臼カップ101は、骨固定ねじ開口129を備え得る。
【0039】
寛骨臼カップ101は、典型的には金属製であり、チタンを含み得る。
【0040】
寛骨臼カップ101は、内側固定面105をさらに画定する。
【0041】
プロテーゼ100は、寛骨臼カップ101の内側固定面105に固定するように構成された外側固定面107を画定する固定ライナー106をさらに備える。固定ライナー106は、さらに、内側関節面108を画定する。
図5を参照すると、内側関節面108は、半球形であり得る。
【0042】
固定ライナー106は、典型的にはポリマーであり、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などを含み得る。
【0043】
プロテーゼ100は、固定ライナー106の内側関節面108に対して関節接合するように構成された外側関節面110を画定するバイポーラ型ベアリングコンポーネント109をさらに備える。ベアリングコンポーネント109は、内側関節面111をさらに画定する。ベアリングコンポーネント109も同様にポリマーであり得る。
【0044】
プロテーゼ100は、大腿骨の髄内管に挿入するためのステム113と、遠位端で球状ヘッド115と係合するネック114とを有する大腿骨コンポーネント112を備える。ヘッド115は、円錐台状に先細になった盲孔を画定し得、その中に、ネック114の対応する円錐台状の輪郭部が摩擦係合される。
【0045】
ヘッド115は、ベアリングコンポーネント109の内側関節面111に対して関節接合するように構成された外側関節面116を画定する。
【0046】
寛骨臼カップ101は寛骨臼カップリム117を画定し、ライナー106はライナーリム118を画定する。
【0047】
図10から明らかなように、ライナーリム118は、寛骨臼カップリム117に対して凹んだ状態であり、その結果、ネック114の隣接する接触面119が、ライナーリム118に衝突することなく、寛骨臼カップ101に対して大腿骨コンポーネント112の極限位置で寛骨臼カップリム117に衝突する。
【0048】
さらに、寛骨臼カップリム117は、寛骨臼カップリム117とネック114の隣接する接触面119との間の点接触荷重力を低減するために、極限位置でネック114の隣接する接触面119に対応して傾斜した内側接触面120を画定する。
【0049】
図10に示す実施形態では、寛骨臼リム117の内側輪郭は、内側接触面120が平坦になるように面取りされ得る。このようにして、内側接触面120は、ネック114の隣接する接触面119の対応する断面平坦端縁に対して平坦に接触するように設計される。
【0050】
接触面120は、十分に広い幅を有し得、例えば、2mmよりも大きい幅を有し得る。
【0051】
内側に傾斜した接触面119は、比較的深い寛骨臼コンポーネントを可能にし得る。
図4から明らかなように、ライナー106は、170°よりも大きい、好ましくは最大で約180°の円弧角度を有する断面を有し得る。ライナー106の相対的な深さに関係なく、ネック114はライナー106のリム118に衝突しない。
【0052】
さらに、この構成は、ライナーの被覆範囲を最大にし、
図10にさらに詳細に示すように、ライナー106のリム118は、内側接触面120に非常に近接して位置し、そのことにより寛骨臼カップ101の内側関節面105全体のほとんどを被覆することができる。例えば、ライナー106のリム118は、内側接触面120の約2mm以内に位置し得る。
【0053】
図10に示す実施形態では、ライナー106は、介在係止リングを挿入することなく、寛骨臼カップ101によって捕捉され得る。さらに、係止リングの使用を回避することにより、ライナーリム118が傾斜接触面120に非常に近接して位置することが可能になる。
【0054】
ライナー106は、寛骨臼カップ101の内部固定面105によって外部から捕捉されて、係止リングを挿入せずにライナー106を所定位置に保持することができる。
【0055】
ライナー106は、寛骨臼カップ101によって、その極領域121において外部から捕捉され得る。具体的には、
図4に示すように、寛骨臼カップ101は、極ソケット122を画定し得る。ソケット122は、ねじ加工され得る。寛骨臼カップ101の挿入中、挿入ツールの遠位がねじ加工されたロッドは、寛骨臼カップ101のねじ加工された極ソケット122に係合して、その配置を補助し得る。
【0056】
ライナー106は、寛骨臼カップ121の極ソケット122と係合する、極領域121から突出する一体型の栓123を備え得る。栓123は、ソケット122に摩擦係合するように寸法決めされ得る。
【0057】
栓123は、極ソケット122のねじ山と干渉する外周構造124を備え得る。
【0058】
さらに、寛骨臼カップ101およびライナー106の対応する赤道周縁125は、回転不能に係合する円錐台状の係止テーパー部126を備え得る。これらのテーパー部126は、栓123の固定を補い、その結果、ライナー106は、その極領域121および赤道領域125の両方でしっかりと保持される。
【0059】
寛骨臼カップ101は、内側ねじれ防止凹部127を備え得、ライナー106は、内側ねじれ防止凹部127に対応して差し込まれる外側ねじれ防止突出部(図示せず)を備え得る。
【0060】
実施形態では、ライナー106は、特にライナー106のテーパー部上で、フレッチング腐食を低減することができるダイヤモンドライクカーボン(DLC)でコーティングされる。
【0061】
前述の説明は、説明目的で、本発明を完全に理解することができるように特定の専門用語を使用している。しかしながら、本発明を実施するために具体的詳細が必要でないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明目的で提示されたものである。前述の説明は、上記の教示を考慮して多くの修正および変形が可能であることは明らかであるように、網羅的であること、または本発明を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではない。実施形態は、本発明の原理およびその実用的な応用を最も良く説明するために選択され、説明されたものであり、したがって、他の当業者は、本発明および企図される特定の用途に適した様々な修正を加えた様々な実施形態を最善の形で利用することができる。以下の請求項およびそれらの均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
【国際調査報告】