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特表2024-543701突然変異を起こしたプロテインAのCドメイン及びその適用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】突然変異を起こしたプロテインAのCドメイン及びその適用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/31 20060101AFI20241114BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C07K14/31 ZNA
C07K19/00
C12N15/31
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536181
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2022139746
(87)【国際公開番号】W WO2023109963
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111555288.5
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227273
【氏名又は名称】ベストクロム・(シャンハイ)・バイオサイエンシーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BESTCHROM (SHANGHAI) BIOSCIENCES LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】524227284
【氏名又は名称】ベストクロム・(ジェジアン)・バイオサイエンシーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BESTCHROM (ZHEJIANG) BIOSCIENCES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホァ,ウェンシア
(72)【発明者】
【氏名】マー,ジェンジェン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA53Y
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD14
4B065CA24
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA60
4H045CA11
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は突然変異を起こしたプロテインAのCドメイン及びその適用に関する。具体的には、本発明は、単離されたポリペプチドであって、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、該ポリペプチドが3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で明細書に係る置換突然変異を有するポリペプチドを提供する。本発明は、更に、前記ポリペプチドを含む融合タンパク質や組換えプロテインA、並びに対応するコーディング配列、核酸コンストラクト、発現システム、単離媒体、方法及び用途を提供する。本発明に係る単離されたポリペプチドは、天然Cドメインに対して、アルカリ洗浄過程において顕著に向上されたアルカリ安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、
(1)SEQ ID NO:109に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと、
(2)(1)に係るポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、SEQ ID NO:109における3、6、9及び15番目に示される置換突然変異を残したポリペプチドと、から選ばれることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドであって、前記SEQ ID NO:109において、前記3番目、6番目、9番目及び15番目の置換突然変異は、それぞれ下記から選ばれ、即ち、
前記3番目における置換突然変異は、アスパラギナートからロイシン、バリン又はチロシンへの置換であり、
前記6番目における置換突然変異は、アスパラギナートからセリン、ロイシン又はグルタミン酸への置換であり、
前記9番目における置換突然変異は、グルタミンからイソロイシン、メチオニン又はフェニルアラニンへの置換であり、
前記15番目における置換突然変異は、グルタミン酸からトレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸への置換であることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項3】
請求項2に記載のポリペプチドであって、前記SEQ ID NO:109において、前記3番目、6番目、9番目及び15番目の置換突然変異は、それぞれ下記から選ばれ、即ち、
前記3番目における置換突然変異は、アスパラギナートからロイシン又はバリンへの置換であり、
前記6番目における置換突然変異は、アスパラギナートからロイシン又はグルタミン酸への置換であり、
前記9番目における置換突然変異は、グルタミンからイソロイシン又はフェニルアラニンへの置換であり、
前記15番目における置換突然変異は、グルタミン酸からトリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン又はフェニルアラニンへの置換であることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のポリペプチドであって、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の3番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の6番目で前記置換突然変異を有すると共に、3番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の9番目で前記置換突然変異を有すると共に、3番目、6番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の15番目で前記置換突然変異を有すると共に、3番目、6番目及び9番目から選ばれる1つ又は複数の位置で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、3番目及び6番目から選ばれる何れか1つ又は全ての2つの位置で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の3番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目で任意に前記置換突然変異を有し、或いは、
前記ポリペプチドはSEQ ID NO:109の3、6、9及び15番目で置換突然変異を有するが、中でも、3番目における置換突然変異がN3L又はN3Vであり、6番目における置換突然変異がN6L又はN6Eであり、9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、15番目における置換突然変異がE15W、E15V、E15I又はE15Lであることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2-73の何れか1つに示されることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項6】
単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、下記(i)、(ii)及び(iii)、即ち、(i)請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチドと、(ii)(i)に係るポリペプチドのアミノ酸配列のC末端又はN末端における1つ又は複数のカップリングエレメントと、任意の(iii)切断されたシグナル伝達配列に由来する残基と、から構成されることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項7】
請求項6に記載のポリペプチドであって、前記カップリングエレメントは、システイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれ、前記切断されたシグナル伝達配列の残基はAQであることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項8】
融合タンパク質であって、該融合タンパク質は請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチド2-8本が融合してなるアミノ酸配列を含むが、中でも、前記ポリペプチド2-8本は互いに異なり、部分的に同じ、又は完全に同じであると共に、前記ポリペプチド同士に任意にリンカー配列が存在することを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項9】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質に含まれる前記ポリペプチドのそれぞれは少なくともE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15T突然変異を含み、好ましくは、ポリペプチドのそれぞれは更に3番目、6番目及び9番目の1つ又は複数の位置で置換突然変異を有し、好ましくは、3番目における置換突然変異はN3L又はN3Vであり、好ましくは、6番目における置換突然変異はN6L又はN6Eであり、好ましくは、9番目における置換突然変異はQ9I又はQ9Fであることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項10】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質において、前記ポリペプチドはSEQ ID NO: 2、3、6、7、8、9、11-19、21-25、58-62及び65-69から選ばれることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項11】
請求項8-10の何れか1項に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質のC末端又はN末端は更に1つ又は複数のカップリングエレメント及び/又は切断されたシグナル伝達配列に由来する残基を含み、好ましくは、前記カップリングエレメントはシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項12】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO:75-108の何れか1つに示されることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項13】
組換えプロテインAであって、該組換えプロテインAのCドメインは請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチドである、組換えプロテインA。
【請求項14】
単離された核酸分子であって、前記核酸分子のポリヌクレオチド配列は
(1)請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質又は請求項13に記載の組換えプロテインAをコードするポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)に係るポリヌクレオチド配列の相補配列と、から選ばれる、核酸分子。
【請求項15】
核酸コンストラクトであって、前記核酸コンストラクトは請求項14に記載の核酸分子を含み、好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現カセットであり、より好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現ベクター又はクローニングベクターであることを特徴とする、核酸コンストラクト。
【請求項16】
発現システムであって、該発現システムは請求項15に記載の核酸コンストラクトを含み、好ましくは、前記発現システムは宿主細胞である、発現システム。
【請求項17】
単離媒体であって、前記単離媒体は、固相支持物とカップリングする請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質及び/又は請求項13に記載の組換えプロテインAを含むことを特徴とする、単離媒体。
【請求項18】
請求項17に記載の単離媒体であって、前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAはチオエーテル結合により前記固相支持物とカップリングされることを特徴とする、単離媒体。
【請求項19】
請求項18に記載の単離媒体であって、前記固相支持物は
ポリヒドロキシを含む多量体であって、好ましくは、多糖であり、より好ましくは、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースから選ばれる多量体と、
合成された重合体であって、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドから選ばれる重合体と、
無機物の性質を持つ支持物であって、好ましくは、シリカ、ジルコニアから選ばれる支持物と、から選ばれることを特徴とする、単離媒体。
【請求項20】
クロマトグラフィーカラムであって、前記クロマトグラフィーカラムは請求項17-19の何れか1項に記載の単離媒体を含むことを特徴とする、クロマトグラフィーカラム。
【請求項21】
Fc含有タンパク質の単離方法であって、前記方法は、免疫グロブリンを含むサンプルを、請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質、請求項13に記載の組換えプロテインA、請求項17-19の何れか1項に記載の単離媒体又は請求項20に記載のクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含み、好ましくは、前記Fc含有タンパク質は免疫グロブリンであることを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記方法は、
(1)Fc含有タンパク質を含むサンプルを前記単離媒体に接触させることと、
(2)単離媒体を洗うことと、
(3)単離媒体から前記Fc含有タンパク質を溶出させることと、
(4)単離媒体を洗浄することと、を含み、
好ましくは、0.1-2.0M又は0.5-1.0MのNaOH又はKOH溶液で単離媒体を洗浄することを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質、請求項13に記載の組換えプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離における適用、或いはFc含有タンパク質を単離するための単離媒体又はクロマトグラフィーカラムの製造における適用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は突然変異を起こしたプロテインAのCドメイン及びその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗体医薬品はその高い特異性をもって世界の医薬品市場で注目を集めている。中でも、モノクローナル抗体はバイオ医薬品産業で最も著しく成長している分野の1つである。モノクローナル抗体は、ターゲティング機能、遮断機能、シグナル伝達機能などの3つのユニークなメカニズムを有する。モノクローナル抗体医薬品は、腫瘍、自己免疫疾患、感染症などの治療に適用され、特に、がんの治療において優れた有効性が認められている。
【0003】
現在、抗体医薬品の精製は、主に、アフィニティーレジンリガンドであるプロテインA(Protein A)の複数領域の、抗体の特定Fc断片への特別な吸着能によって抗体の捕捉を図ることで実現される。現段階、該方法は、プロセス技術が最も成熟し、最も幅広く適用されるアフィニティークロマトグラフィー法でもある。
【0004】
しかしながら、Protein Aアフィニティークロマトグラフィーレジンは、抗体の精製過程においてProtein Aリガンドの脱落が起こる。医薬品の免疫反応が起こらないように、プロセスにおいて、脱落したリガンドを除去する必要がある。一方、リガンドの脱落率は、基本的に、リガンドのアミノ酸分布や安定性、及びリガンドのカップリング法によって決定される。そして、通常、経済性から、クロマトグラフィー媒体が繰り返し利用されるため、レジンを利用前の状態に回復させるための洗浄工程が必要とされる。一般的に0.1-0.5M標準NaOH溶液(CIP)で洗浄することで、クロマトグラフィー媒体におけるタンパク質の沈殿物、疎水性タンパク質、核酸、内毒素、ウイルスなどを高効率的に除去できる。しかしながら、アルカリ性の溶液で洗浄する場合、ベクターがアルカリ性の条件に曝露され、タンパク質のアフィニティーリガンドを含む多くのクロマトグラフィー媒体にとって、非常に苛酷な雰囲気であるため、リガンドのアミノ酸が破壊されて、媒体の吸着能や使用寿命も影響される。
【0005】
そのため、Protein Aアフィニティークロマトグラフィー媒体のアルカリ性雰囲気における不安定性というボトルネックを解消し、バイオアフィニティークロマトグラフィー分野において幅広く適用することは、現在、重点に解決しようとする課題になっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、天然プロテインAのCドメインよりアルカリ安定性が向上される該Cドメインのミュータントポリペプチドを提供する。
【0007】
具体的には、本発明は、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有する、ポリペプチドを提供する。
【0008】
1つ又は複数の実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、該ポリペプチドは3番目、6番目、9番目又は15番目で置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、該ポリペプチドは3番目及び6番目、又は3番目及び9番目、又は3番目及び15番目、又は6番目及び9番目、又は6番目及び15番目、又は9番目及び15番目で置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、該ポリペプチドは3番目、6番目及び9番目、又は3番目、6番目及び15番目、又は6番目、9番目及び15番目で置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、該ポリペプチドは3番目、6番目、9番目及び15番目で置換突然変異を有する。
【0009】
1つ又は複数の実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、前記ポリペプチドは15番目で置換突然変異を有すると共に、3番目、6番目及び9番目から選ばれる1つ又は複数の位置で任意に置換突然変異を有する。
【0010】
1つ又は複数の実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、前記ポリペプチドは9番目及び15番目で置換突然変異を有すると共に、3番目及び6番目から選ばれる何れか1つ又は全ての2つの位置で任意に置換突然変異を有する。
【0011】
1つ又は複数の実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、前記ポリペプチドは3番目、9番目及び15番目で置換突然変異を有すると共に、6番目で任意に置換突然変異を有する。
【0012】
1つ又は複数の実施形態において、前記3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yである。
【0013】
1つ又は複数の実施形態において、前記6番目における置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eである。
【0014】
1つ又は複数の実施形態において、前記9番目における置換突然変異はQ9I、Q9F又はQ9Mである。
【0015】
1つ又は複数の実施形態において、前記15番目における置換突然変異はE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tである。
【0016】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:2-73の何れか1つに示される。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、29番目におけるアミノ酸残基がAである。
【0018】
本発明の第2態様は、ポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、(i)本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチドと、(ii)(i)に係るポリペプチドのアミノ酸配列のC末端又はN末端における1つ又は複数のカップリングエレメントと、任意の(iii)切断されたシグナル伝達配列に由来する残基と、から構成されるポリペプチドを提供する。
【0019】
1つ又は複数の実施形態において、前記カップリングエレメントは、システイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれる。
【0020】
本発明の第3態様は、融合タンパク質であって、該融合タンパク質はポリペプチド2-8本が融合してなるが、中でも、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有する。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチドである。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質において、前記ポリペプチド2-8本は互いに異なり、部分的に同じ、又は完全に同じである。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質に含まれる前記ポリペプチドのそれぞれは少なくともE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15T突然変異を含み、好ましくは、更に本明細書に係る3番目、6番目及び15番目の1つ又は複数の位置における置換突然変異を含み、好ましくは、3番目における置換突然変異はN3L又はN3Vであり、好ましくは、6番目における置換突然変異はN3L又はN3Vであり、好ましくは9番目における置換突然変異はQ9I又はQ9Fである。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質において、前記ポリペプチドはSEQ ID NO: 2、3、6、7、8、9、11-19、21-25、58-62及び65-69から選ばれる。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチド同士にリンカー配列が存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
【0026】
1つ又は複数の実施形態において、前記リンカー配列はグリシン(G)及びセリン(S)を含むリンカー配列である。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質のC末端又はN末端は更に1つ又は複数のカップリングエレメントを含む。
【0028】
1つ又は複数の実施形態において、前記カップリングエレメントは、システイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれる。
【0029】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質は更に切断されたシグナル伝達配列に由来する残基を含む。
【0030】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO:75-108の何れか1つに示される。
【0031】
本発明の第4態様は、組換えプロテインAであって、該組換えプロテインAのCドメインは本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチドである、組換えプロテインAを提供する。
【0032】
本発明の第5態様は、核酸分子であって、前記核酸分子のポリヌクレオチド配列は
(1)本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第2態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第3態様の何れか1つの実施形態に係る融合タンパク質又は第4態様の何れか1つの実施形態に係る組換えプロテインAをコードするポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)に係るポリヌクレオチド配列と相補的なポリヌクレオチド配列と、から選ばれる、核酸分子を提供する。
【0033】
本発明の第6様態は、核酸コンストラクトであって、該核酸コンストラクトは本発明の第5態様に係る核酸分子を含む、核酸コンストラクトを提供する。
【0034】
1つ又は複数の実施形態において、前記核酸コンストラクトは発現カセットである。
【0035】
1つ又は複数の実施形態において、前記核酸コンストラクトは発現ベクター又はクローニングベクターである。
【0036】
本発明の第7様態は、更に、本発明の第6様態の何れか1つの実施形態に係る核酸コンストラクト又はベクターを含む発現システムを提供する。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、前記発現システムは宿主細胞である。
【0038】
本発明の第8様態は、単離媒体であって、前記単離媒体は、固相支持物とカップリングする本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第2態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第3態様の何れか1つの実施形態に係る融合タンパク質及び/又は第4態様の何れか1つの実施形態に係る組換えプロテインAを含む、単離媒体を提供する。
【0039】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAはチオエーテル結合により前記固相支持物とカップリングされる。
【0040】
本発明の第9様態は、本発明の第8様態に係る単離媒体を含むクロマトグラフィーカラムを提供する。
【0041】
本発明の第10様態は、Fc含有タンパク質(例えば、免疫グロブリン)の単離方法であって、前記方法は、Fc含有タンパク質を含むサンプルを、本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第2態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第3態様の何れか1つの実施形態に係る融合タンパク質及び/又は第4態様の何れか1つの実施形態に係る組換えプロテインAに接触させるステップを含む方法を提供する。
【0042】
1つ又は複数の実施形態において、前記方法は、Fc含有タンパク質を含むサンプルを、本発明の第8様態の何れか1つの実施形態に係る単離媒体又は第9様態に係るクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含む。好ましくは、前記方法は、更に、接触させた後に、単離媒体を洗い、溶出液で前記Fc含有タンパク質を前記単離媒体から溶出させることを含む。
【0043】
本発明の第10様態は、本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第2態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、第3態様の何れか1つの実施形態に係る融合タンパク質及び/又は第4態様の何れか1つの実施形態に係る組換えプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離における適用、或いはFc含有タンパク質を単離するための単離媒体又はクロマトグラフィーカラムの製造における適用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】SEQ ID NO:74の遺伝子結果検証解析図である。1:プラスミド、2:XbaI-XhoIにより消化されたプラスミド、3:DNA Marker。
図1B】SEQ ID NO:75の遺伝子結果検証解析図である。
図1C】SEQ ID NO:76の遺伝子結果検証解析図である。
図1D】SEQ ID NO:77の遺伝子結果検証解析図である。
図1E】SEQ ID NO:78の遺伝子結果検証解析図である。1:プラスミド、2:XbaI-XhoIにより消化されたプラスミド、3:DNA Marker。
図1F】SEQ ID NO:79の遺伝子結果検証解析図である。1:プラスミド、2:XbaI-XhoIにより消化されたプラスミド、3:DNA Marker。
図1G】SEQ ID NO:80の遺伝子結果検証解析図である。
図1H】SEQ ID NO:84の遺伝子結果検証解析図である。1:プラスミド、2:XbaI-XhoIにより消化されたプラスミド、3:DNA Marker。
図1I】SEQ ID NO:85の遺伝子結果検証解析図である。
図1J】SEQ ID NO:86の遺伝子結果検証解析図である。
図1K】SEQ ID NO:87の遺伝子結果検証解析図である。
図1L】SEQ ID NO:101の遺伝子結果検証解析図である。1:プラスミド、2:XbaI-XhoIにより消化されたプラスミド、3:DNA Marker。
図1M】SEQ ID NO:103の遺伝子結果検証解析図である。酵素はNdel/HindIIIであり、予測サイズが871+5kである。右図はDNA markerである。
図1N】SEQ ID NO:104の遺伝子結果検証解析図である。酵素はNdel/HindIIIであり、予測サイズが871+5kである。右図はDNA markerである。
図2】SEQ ID NO:74-90に示されるCドメインの耐アルカリ安定性グラフである。
図3】SEQ ID NO:74、92-94、96-107に示されるCドメインの耐アルカリ安定性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の範囲において、本発明の上記各技術特徴と下記(例えば実施例)で具体的に記述した各技術特徴を互いに組合せることで、好ましい実施形態を構成することができると理解すべきである。
【0046】
本明細書において、「抗体」及び「免疫グロブリン」は互いに交換して使用できると共に、本分野における周知の意味を有する。本明細書に係る抗体又は免疫グロブリンは、抗体の断片、及び抗体断片を含む融合タンパク質又は複合体も含み、これらの断片、融合タンパク質又は複合体が抗体のFc部分を含むと共に、プロテインAとの結合により単離・精製を実現できればよい。抗体の断片はその機能活性断片であってもよい。
【0047】
本明細書において、アミノ酸残基は、下記の略称記号、即ち、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギナート(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)、バリン(Val又はV)、及び任意のアミノ酸残基(Xaa又はX)で記載される場合もある。また、本明細書において、ペプチドのアミノ酸配列は、通常の方法により、アミノ末端(以下「N末端」と呼ぶ)が左側に、カルボキシ末端(以下「C末端」と呼ぶ)が右側にある形で記載される。
【0048】
プロテインAは、免疫グロブリンを精製するためのアフィニティー媒体リガンドとして幅広く使用される。天然のプロテインAは、N末端からC末端まで、特にIgGである免疫グロブリンに結合する5つのドメイン、即ち、Eドメイン、Dドメイン、Aドメイン、Bドメイン及びCドメインをこの順で有する。免疫グロブリンの精製過程において、免疫グロブリンがプロテインAに結合してから、アルカリで溶出する。この過程では、プロテインAがアフィニティークロマトグラフィー媒体から脱落して、免疫グロブリン製品を汚染させることになる。
【0049】
本発明によれば、プロテインAの天然Cドメイン(SEQ ID NO:1)の3、6、9及び15番目の少なくとも1つの位置で置換突然変異を行うことで得られた該Cドメインのミュータントは、天然Cドメインに対して、アルカリ洗浄過程において顕著に向上されたアルカリ安定性を有することを見出す。使用されるアルカリ溶液の濃度を0.1-0.5Mから0.5-2.0Mまで、例えば0.5-1.0Mまで増加させてもよい。これにより、本発明を完成させた。
【0050】
具体的には、本発明は、ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインのミュータントであり、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列に対して、SEQ ID NO:1の3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有する、ポリペプチドを提供する。前記置換突然変異は、Cドメインの既存構造に対して影響を与えず、かえって、得られたミュータントのアルカリ安定性を顕著に向上させた。
【0051】
好ましくは、本発明において、3番目における置換は、天然のNからグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシン又はフェニルアラニンから選ばれるアミノ酸残基への置換である。より好ましくは、3番目における置換は、天然のNからロイシン、バリン又はチロシンから選ばれるアミノ酸残基への置換である。特に好ましくは、3番目における置換は、天然のNからロイシン又はバリンへの置換である。幾つかの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、3番目で置換突然変異が存在する。好ましくは、該ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:2、3又は4に示される。
【0052】
好ましくは、本発明において、6番目における置換突然変異は、天然のNからグリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換が好ましい。より好ましくは、6番目における置換は、天然のNからセリン、ロイシン又はグルタミン酸から選ばれるアミノ酸残基への置換である。特に好ましくは、6番目における置換は、天然のNからロイシン又はグルタミン酸への置換である。幾つかの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、6番目で置換突然変異が存在する。好ましくは、該ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:5、6又は7に示される。
【0053】
好ましくは、本発明において、9番目における置換突然変異は、天然のQからグリシン、アラニン、ロイシン、バリン、チロシン、セリン、イソロイシン、アルギニン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換が好ましく、より好ましくは、イソロイシン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換である。幾つかの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、9番目で置換突然変異が存在する。好ましくは、該ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8、9又は10に示される。
【0054】
好ましくは、本発明において、15番目における置換突然変異は、天然のEからグリシン、ロイシン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はアルギニンへの置換である。より好ましくは、15番目における置換は、天然のEからトレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸残基への置換である。幾つかの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、15番目で置換突然変異が存在する。好ましくは、該ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:11-19の何れか1項に示される。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる任意の2つの位置、3つの位置又は全ての4つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記に示される通りである。より好ましくは、前記9番目における置換突然変異はQ9I、Q9F又はQ9Mであり、3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yであり、6番目における置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、15番目における置換突然変異はE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tである。
【0056】
幾つかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:109に示されるアミノ酸配列を含む。即ち、ADX1KFX2KEX3QNAFYX4ILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKであり、中でも、X1は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシン又はフェニルアラニンから選ばれ、好ましくは、ロイシン、バリン又はチロシンから選ばれる。X2は、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、グルタミン酸又はアスパラギン酸から選ばれ、好ましくは、セリン、ロイシン又はグルタミン酸から選ばれる。X3は、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、チロシン、セリン、イソロイシン、アルギニン、フェニルアラニン又はメチオニンから選ばれ、好ましくは、イソロイシン、フェニルアラニン又はメチオニンから選ばれる。X4は、グリシン、ロイシン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はアルギニンから選ばれ、好ましくは、トレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸から選ばれる。
【0057】
より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、3番目で置換突然変異を有すると共に、任意に6番目、9番目及び15番目から選ばれる1つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記の何れか1つの実施形態に示される通りである。より好ましくは、前記3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yである。前記6番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、好ましくは、N6L又はN6Eである。前記9番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はQ9I又はQ9Fである。前記15番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はE15W、E15L、E15V、E15I又はE15Fである。
【0058】
より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、6番目で置換突然変異を有すると共に、任意に3番目、6番目及び15番目から選ばれる1つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記の何れか1つの実施形態に示される通りである。より好ましくは、前記6番目の置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、好ましくはN6L又はN6Eである。前記3番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yである。前記9番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はQ9I又はQ9Fである。前記15番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はE15W、E15L、E15V、E15I又はE15Fである。
【0059】
より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、9番目で置換突然変異を有すると共に、任意に3番目、6番目及び15番目から選ばれる1つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記に示される通りである。より好ましくは、前記9番目における置換突然変異はQ9I又はQ9Fであり、3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yであり、6番目における置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、15番目における置換突然変異はE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tである。より好ましくは、前記9番目の置換突然変異はQ9I又はQ9Fである。前記3番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yである。前記6番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、好ましくは、N6L又はN6Eである。前記15番目で置換突然変異を有する場合、置換突然変異はE15W、E15L、E15V、E15I又はE15Fである。
【0060】
より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、15番目で置換突然変異を有すると共に、任意に3番目、6番目及び9番目から選ばれる1つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記に示される通りである。より好ましくは、15番目における置換突然変異はE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tであり、前記9番目における置換突然変異はQ9I、Q9F又はQ9Mであり、3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yであり、6番目における置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eである。より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、15番目で置換突然変異を有すると共に、3番目、6番目及び9番目から選ばれる任意の1つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列はSEQ ID NO:20-37に示される。より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、15番目で置換突然変異を有すると共に、3番目、6番目及び9番目から選ばれる任意の2つの位置で置換突然変異を有する。好ましくは、前記ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列はSEQ ID NO:38-57に示される。より好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、15番目で置換突然変異を有すると同時に、3番目、6番目及び9番目でも置換突然変異を有する。好ましくは、前記ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列はSEQ ID NO:58-73に示される。
【0061】
幾つかの好ましい実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、9番目及び15番目で置換突然変異を有すると共に、任意に3番目及び6番目から選ばれる任意の1つ又は全ての2つの位置で置換突然変異を有する。より好ましい実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、係るポリペプチドは3番目、9番目及び15番目で置換突然変異を有すると共に、任意に6番目で置換突然変異を有する。好ましくは、前記置換突然変異は上記に示される通りである。より好ましくは、前記9番目における置換突然変異はQ9I、Q9F又はQ9Mであり、3番目における置換突然変異はN3L、N3V又はN3Yであり、6番目における置換突然変異はN6S、N6L又はN6Eであり、15番目における置換突然変異はE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tである。
【0062】
幾つかの好ましい実施形態において、SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Cドメインに対して、本発明のポリペプチドは、3、6、9及び15番目で置換突然変異を有する。中でも、3番目における置換突然変異はN3L又はN3Vであり、6番目における置換突然変異はN6L又はN6Eであり、9番目における置換突然変異はQ9I又はQ9Fであり、15番目における置換突然変異はE15W、E15V、E15I又はE15Lである。
【0063】
本分野における既知の通り、プロテインAの天然Cドメインの29番目のアミノ酸残基GがAに突然変異することで、得られたミュータントの耐アルカリ性を向上させることができる。そのため、本発明の好ましい実施形態において、前記3、6、9及び15番目の1つ又は複数の位置における突然変異のほかに、本発明のポリペプチドは、更に、29番目にG29Aの突然変異が存在してもよい。
【0064】
本発明に係るポリペプチドはそのままリガンドとして免疫グロブリンの結合及び単離に使用できる。そのため、幾つかの実施形態において、前記ポリペプチドは、更に、そのC末端又はN末端で該ポリペプチドを固相支持物とカップリングするための1つ又は複数のカップリングエレメントを含む。好適なカップリングエレメントは、本分野において周知されており、システイン残基、複数のリジン残基(例えば3-15個又は5-10個)及び複数のヒスチジン残基(例えば3-15個又は5-10個)を含むが、これらに限定されるものではない。カップリングエレメントは、1つのシステイン残基であると共に、ポリペプチドのC末端に位置してもよく、システイン残基におけるチオール基により固相支持物における親電子基と反応して、ポリペプチドを固相支持物とカップリングさせる。カップリングエレメントは、ポリペプチドと直接的に連結してもよく、或いは、リンカーによりポリペプチドのN又はC末端に連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n、(GSS)n及び(GSSS)nであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。前記ポリペプチドは、更に、N末端で複数(例えば15個以下、10個以下又は5個以下)のアミノ酸残基であって、クローニング過程又はシグナル伝達配列に由来するものを含んでもよい。具体的な実例として、ポリペプチドはN末端でAQを含んでもよい。
【0065】
本発明は、更に、融合タンパク質であって、本発明に係るポリペプチド2-8本が融合してなるものを提供する。融合タンパク質を形成するポリペプチドのそれぞれは、完全に異なり、部分的に同じ、又は完全に同じであってもよい。ポリペプチド同士は、それぞれC末端及びN末端のペプチド結合により直接的に連結してもよく、或いは、任意の2本のポリペプチドがリンカーにより連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n、(GSS)n及び(GSSS)nであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。
【0066】
該融合タンパク質はリガンドとして免疫グロブリンの結合及び単離に使用できる。そのため、幾つかの実施形態において、該融合タンパク質は、更に、そのC末端又はN末端で該融合タンパク質を固相支持物にカップリングするための1つ又は複数のカップリングエレメントを含む。好適なカップリングエレメントは、本分野において周知されており、システイン残基、複数のリジン残基(例えば3-15個又は5-10個)及び複数のヒスチジン残基(例えば3-15個又は5-10個)を含むが、これらに限定されるものではない。カップリングエレメントは、1つのシステイン残基であると共に、融合タンパク質のC末端に位置してもよく、システイン残基におけるチオール基により固相支持物における親電子基と反応して、融合タンパク質を固相支持物にカップリングさせる。カップリングエレメントは、ポリペプチドと直接的に連結してもよく、或いは、リンカーによりポリペプチドのN又はC末端に連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n、(GSS)n及び(GSSS)nであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。前記融合タンパク質は、更に、N末端で複数(例えば15個以下、10個以下又は5個以下)のアミノ酸残基であって、クローニング過程又はシグナル伝達配列に由来するものを含んでもよい。具体的な実例として、該融合タンパク質はそのN末端でAQを含んでもよい。例示的な融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO:75-108の何れか1つに示される。
【0067】
本発明は、更に、組換えプロテインAであって、そのCドメインが本発明の任意の実施形態に係るポリペプチドである、組換えプロテインAを提供する。該組換えプロテインAのその他のドメインは、本分野における周知のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及びBドメイン(又はZドメイン、即ち、Bドメインの改造型ドメイン)であってもよく、天然のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及びBドメイン、並びに、突然変異を起こしたにも関わらず生物学的活性が保持された既知のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及び/又はBドメイン(例えばZドメイン)を含む。Cドメインは本発明のポリペプチドを使用する他に、本分野における既知の、プロテインAのその他の部分に対して行った突然変異又は修飾は本発明の組換えプロテインAとして使用できる。
【0068】
本明細書は、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、SEQ ID NO:1の3、6、9及び15番目の1つ又は複数に対応して選ばれるアミノ酸位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有するポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAも含む。好ましくは、これらのポリペプチド、並びに融合タンパク質及び組換えプロテインAにおけるこれらのポリペプチドの、プロテインAの天然Cドメインの29番目に対応するアミノ酸残基はAである。本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列に関する「少なくとも85%の同一性」とは、85%以上の同一性であり、好ましくは、90%以上の同一性であり、より好ましくは、95%以上の同一性であり、より好ましくは、97%以上の同一性であり、より好ましくは、98%以上の同一性であり、より一層好ましくは99%以上の同一性である。アミノ酸配列のアラインメントに利用されるBLASTPなどを含む、本分野における周知のツールによって、2本の配列の同一性を算出してアラインメントできる。好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:2-73及び75-108の何れか1つに示されるアミノ酸配列のバリアントであって、SEQ ID NO:2-73及び75-108のそれぞれのバリアントが対応する親配列と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有すると共に、その対応する親の3、6、9及び15番目におけるアミノ酸残基が対応する親のアミノ酸残基のままである、バリアントを含む。
【0069】
本発明は、上記ポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAをコードする核酸分子、並びにその相補配列も含む。本発明は、RNA及びDNAを含む、本発明の核酸分子の全ての形を含む。本明細書に係る相補配列は、長さが該核酸分子とほぼ同じ相補配列と理解すべきである。
【0070】
前記核酸分子又はその相補配列を含む核酸コンストラクトも本発明の範囲に含まれる。核酸コンストラクトは、プロモーター、前記核酸分子及び転写終結配列を含む、発現カセットであってもよい。プロモーター及び転写終結配列は、本分野において周知されており、当業者が前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAを発現するための宿主細胞の選択によって適切に選定できる。
【0071】
幾つかの実施形態において、核酸コンストラクトは、発現ベクター及びクローニングベクターを含むベクターである。発現ベクターは、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAをコードする核酸分子などの外来遺伝子の、宿主細胞における発現に適するベクターであり、原核発現ベクター及び真核発現ベクターを含む。真核発現システムは、酵母発現システム、哺乳動物細胞発現システム及び昆虫細胞発現システムなどがある。クローニングベクターは、宿主細胞において標的遺伝子(例えば本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又はプロテインAをコードする核酸分子)を増幅するためのものである。クローニングベクターは、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、及びこれらの任意の組合せ、又はその他のゲノムDNAと組合せてなるベクターを含む。分子クローニングにおいて最も一般的な宿主細胞は大腸菌である。
【0072】
本発明は、更に、本明細書により開示された核酸分子、核酸コンストラクト又はベクターを含む、発現システムを提供する。発現システムは、例えば、本発明のポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAを発現するために、修飾された大腸菌又はバチルスなどの、グラム陽性又はグラム陰性原核宿主細胞システムである。幾つかの実施形態において、発現システムは、ピキア酵母又はサッカロミセス酵母などの酵母の真核宿主細胞システムである。
【0073】
本発明は、更に、単離媒体を提供する。本発明の単離媒体は免疫グロブリン又はFc含有タンパク質を単離するためのものである。本発明の単離媒体は、固相支持物とカップリングする本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAを含む。本発明のポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAのアルカリ安定性が改善されたため、本発明の単離媒体は洗浄時に強アルカリ性の条件(0.5-2.0MのNaOH)に耐えられる。
【0074】
本発明の単離媒体における固相支持物(マトリックス)は、本分野における既知の、免疫グロブリン又はFc含有タンパク質の単離に使用される固相支持物(マトリックス)である。
【0075】
本明細書において、固相支持物の形状は、粒子、膜、板、チューブ、針状、繊維状などの任意の形状であってもよい。本発明の固相支持物は、多孔状の材料、又は無孔の材料であってもよい。幾つかの実施形態において、固相支持物は、多孔又は無孔のビード状又は粒子状である。ビード状又は粒子状のマトリックスは、充填ベッドとしてもよく、或いは懸濁式で使用されてもよい。懸濁式は膨張ベッドを含むが、粒子又はビードは自由に移動できる。
【0076】
該固相支持物が粒子である場合、好適な粒子径は20-200μmである。例えば、固相支持物が合成重合体である場合、好適な粒子径は20-100μmであり、好ましくは30-80μmである。固相支持物が多糖である場合、好適な粒子径は50-200μmであり、より好ましくは60-150μmである。本明細書に係る「粒子径」は、ISO 13320及びJIS Z 8825-1のレーザー回折法により測定された体積平均径である。
【0077】
固相支持物の例は、多糖などの、ポリヒドロキシを含む多量体を含むが、これらに限定されるものではない。多糖は、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースなどを含む。好ましい実施形態において、固相支持物は、寒天又はアガロースを含む。
【0078】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は、親水性表面を有する合成重合体である。例えば、これらの重合体は、親水化処理により外表面に(及び存在する場合、内表面にも)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノカルボニル基、アミノ基又はオリゴエチレンオキシ基又はポリエチレンオキシ基を有する重合体であってもよく、好ましくは、例えば、多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーが架橋してなる共重合体の合成重合体である。例示的な合成重合体は、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリメタクリルアミドなどを含む。重合体表面が疎水性を有する場合、親水基を周りの水性液体に曝露させるように、その表面に親水化処理を行ってもよい。
【0079】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は無機物の性質を持つ支持物を含み、シリカ及びジルコニアなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0080】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は、表面、チップ、毛細管又はフィルタの形をしており、例えば、膜などである。
【0081】
本発明において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAは、含まれるチオール基、アミノ基及び/又はカルボキシル基などにより、通常のカップリング技術によって対応する固相支持物に連結する。通常のカップリング試薬は、二環式酸化物、エピクロルヒドリン、CNBr及びN-ヒドロキシコハク酸イミドを含むが、これらに限定されるものではない。固相支持物と、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAとの間にスペーサー基を導入することで、これらと固相支持物との化学的カップリングを促進することができる。
【0082】
幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAは、チオエーテル結合により固相支持物にカップリングする。幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAは、そのC末端のシステインによりカップリングする。中でも、該システインのチオール基は、固相支持物におけるエポキシ基、ハロヒドリン基などの親電子基と効果的にカップリングして、チオエーテル架橋によるカップリングを形成する。
【0083】
本発明の単離媒体において、固相支持物とカップリングするリガンド(例えば本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインA)の濃度は、通常、5-20mg/mlであり、例えば5-15mg/mlである。カップリング過程に使用されるポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAの濃度、使用されるカップリング条件及び/又は使用される固相支持物の孔構造を調整することで、カップリングの前記結合リガンドの量を制御する。
【0084】
本発明は、更に、本発明の単離媒体を含む、クロマトグラフィーカラムを提供する。通常、本発明の単離媒体をクロマトグラフィーカラムに充填する。
【0085】
本発明は、更に、Fc含有タンパク質(例えば免疫グロブリン)の単離方法であって、該方法は、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAを、Fc含有タンパク質を含むサンプルに接触させるステップを含む、方法を提供する。幾つかの実施形態において、前記方法は、サンプルを、本明細書の何れか1つの実施形態に係る単離媒体又はクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含む。
【0086】
具体的には、幾つかの実施形態において、該方法は、
(1)Fc含有タンパク質を含むサンプルを本明細書の何れか1つの実施形態に係る単離媒体に接触させることと、
(2)単離媒体を洗うことと、
(3)単離媒体から前記Fc含有タンパク質を溶出させることと、
(4)単離媒体を洗浄することと、を含む。
【0087】
本明細書において、サンプルは、Fc含有タンパク質(特に免疫グロブリン)であってもよい。好ましくは、本明細書に係る免疫グロブリンはIgGである。
【0088】
前記方法に使用される、単離媒体を洗うための洗剤、タンパク質を溶出させるための溶出液、及び単離媒体を洗浄するための洗浄液は、本分野(特にプロテインAクロマトグラフィー分野)における通常の洗剤、溶出液及び洗浄液である。例えば、洗剤はPBS緩衝液であってもよい。溶出液はpH≦5の溶液又は緩衝液であってもよく、好ましくは、溶出液のpHが2.5-5又は3-5である。幾つかの実施形態において、溶出液のpHが11以上であり、例えば、溶出液のpHが11-14又は11-13である。幾つかの実施形態において、例えばクエン酸ナトリウム溶液などのクエン酸塩溶液により溶出する。洗浄液は通常、アルカリ性であり、そのpHが13-14であってもよい。幾つかの実施形態において、洗浄液は水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液であり、その濃度が0.1-2.0Mであり、例えば、0.5-2.0M又は0.5-1.0Mである。
【0089】
幾つかの実施形態において、本明細書に係る方法は、更に、溶出物を回収して、単離・精製するステップを含む。単離されたタンパク質に応じて、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、複合型イオン交換クロマトグラフィー及び/又は疎水相互作用クロマトグラフィーなどにより、更に単離・精製してもよい。
【0090】
本発明は、更に、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及びプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離・精製における適用、或いはFc含有タンパク質を単離・精製するための単離媒体の製造における適用を提供する。
【0091】
本明細書に係る配列は下記の通りである。
SEQ ID NO:1(天然Cドメイン)
ADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0092】
SEQ ID NO:2(N3L)
ADLKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0093】
SEQ ID NO:3(N3V)
ADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0094】
SEQ ID NO:4(N3Y)
ADYKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0095】
SEQ ID NO:5(N6S)
ADNKFSKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0096】
SEQ ID NO:6(N6L)
ADNKFLKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0097】
SEQ ID NO:7(N6E)
ADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0098】
SEQ ID NO:8(Q9I)
ADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0099】
SEQ ID NO:9(Q9F)
ADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0100】
SEQ ID NO:10(Q9M)
ADNKFNKEMQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0101】
SEQ ID NO:11(E15T)
ADNKFNKEQQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0102】
SEQ ID NO:12(E15W)
ADNKFNKEQQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0103】
SEQ ID NO:13(E15L)
ADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0104】
SEQ ID NO:14(E15V)
ADNKFNKEQQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0105】
SEQ ID NO:15(E15I)
ADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0106】
SEQ ID NO:16(E15F)
ADNKFNKEQQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0107】
SEQ ID NO:17(E15S)
ADNKFNKEQQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0108】
SEQ ID NO:18(E15Y)
ADNKFNKEQQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0109】
SEQ ID NO:19(E15D)
ADNKFNKEQQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0110】
SEQ ID NO:20(Q9I,E15T)
ADNKFNKEIQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0111】
SEQ ID NO:21(Q9I,E15W)
ADNKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0112】
SEQ ID NO:22(Q9I,E15L)
ADNKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0113】
SEQ ID NO:23(Q9I,E15V)
ADNKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0114】
SEQ ID NO:24(Q9I,E15I)
ADNKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0115】
SEQ ID NO:25(Q9I,E15F)
ADNKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0116】
SEQ ID NO:26(Q9I,E15S)
ADNKFNKEIQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0117】
SEQ ID NO:27(Q9I,E15Y)
ADNKFNKEIQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0118】
SEQ ID NO:28(Q9I,E15D)
ADNKFNKEIQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0119】
SEQ ID NO:29(Q9F,E15T)
ADNKFNKEFQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0120】
SEQ ID NO:30(Q9F,E15W)
ADNKFNKEFQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0121】
SEQ ID NO:31(Q9F,E15L)
ADNKFNKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0122】
SEQ ID NO:32(Q9F,E15V)
ADNKFNKEFQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0123】
SEQ ID NO:33(Q9F,E15I)
ADNKFNKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0124】
SEQ ID NO:34(Q9F,E15F)
ADNKFNKEFQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0125】
SEQ ID NO:35(Q9F,E15S)
ADNKFNKEFQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0126】
SEQ ID NO:36(Q9F,E15Y)
ADNKFNKEFQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0127】
SEQ ID NO:37(Q9F,E15D)
ADNKFNKEFQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0128】
SEQ ID NO:38(N3L,Q9I,E15W)
ADLKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0129】
SEQ ID NO:39(N3L,Q9I,E15L)
ADLKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0130】
SEQ ID NO:40(N3L,Q9I,E15V)
ADLKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0131】
SEQ ID NO:41(N3L,Q9I,E15I)
ADLKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0132】
SEQ ID NO:42(N3L,Q9I,E15F)
ADLKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0133】
SEQ ID NO:43(N3V,Q9I,E15W)
ADVKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0134】
SEQ ID NO:44(N3V,Q9I,E15L)
ADVKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0135】
SEQ ID NO:45(N3V,Q9I,E15V)
ADVKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0136】
SEQ ID NO:46(N3V,Q9I,E15I)
ADVKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0137】
SEQ ID NO:47(N3V,Q9I,E15F)
ADVKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0138】
SEQ ID NO:48(N6L,Q9F,E15W)
ADNKFLKEFQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0139】
SEQ ID NO:49(N6L,Q9F,E15L)
ADNKFLKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0140】
SEQ ID NO:50(N6L,Q9F,E15V)
ADNKFLKEFQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0141】
SEQ ID NO:51(N6L, Q9F,E15I)
ADNKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0142】
SEQ ID NO:52(N6L,Q9F,E15F)
ADNKFLKEFQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0143】
SEQ ID NO:53(N6E,Q9F,E15W)
ADNKFEKEFQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0144】
SEQ ID NO:54(N6E,Q9F,E15L)
ADNKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0145】
SEQ ID NO:55(N6E,Q9F,E15V)
ADNKFEKEFQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0146】
SEQ ID NO:56(N6E, Q9F,E15I)
ADNKFEKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0147】
SEQ ID NO:57(N6E,Q9F,E15F)
ADNKFEKEFQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0148】
SEQ ID NO:58(N3L,N6L,Q9I,E15W)
ADLKFLKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0149】
SEQ ID NO:59(N3L,N6L,Q9I,E15L)
ADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0150】
SEQ ID NO:60(N3Y,N6E,Q9I,E15L)
ADYKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0151】
SEQ ID NO:61(N3Y,N6E,Q9I,E15I)
ADYKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0152】
SEQ ID NO:62(N3V,N6L,Q9I,E15V)
ADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0153】
SEQ ID NO:63(N3V,N6E,Q9I,E15L)
ADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0154】
SEQ ID NO:64(N3V,N6E,Q9I,E15I)
ADVKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0155】
SEQ ID NO:65(N3V,N6E,Q9I,E15F)
ADVKFEKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0156】
SEQ ID NO:66(N3L,N6L,Q9F,E15W)
ADLKFLKEFQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0157】
SEQ ID NO:67(N3L,N6L,Q9F,E15I)
ADLKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0158】
SEQ ID NO:68(N3L,N6E,Q9F,E15L)
ADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0159】
SEQ ID NO:69(N3V,N6L,Q9F,E15V)
ADVKFLKEFQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0160】
SEQ ID NO:70(N3V,N6E,Q9F,E15I)
ADVKFEKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0161】
SEQ ID NO:71(N3V,N6E,Q9F,E15F)
ADVKFEKEFQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0162】
SEQ ID NO:72(N3L,N6E,Q9F,E15I)
ADLKFEKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0163】
SEQ ID NO:73(N3V,N6L,Q9F,E15L)
ADVKFLKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0164】
SEQ ID NO:74(天然Cドメイン)4
ADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0165】
SEQ ID NO:75(N3L)4
ADLKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0166】
SEQ ID NO:76(N3V)4
ADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0167】
SEQ ID NO:77(N6L)4
ADNKFLKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFLKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFLKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFLKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0168】
SEQ ID NO:78(N6E)4
ADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0169】
SEQ ID NO:79(Q9I)4
ADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0170】
SEQ ID NO:80(Q9F)4
ADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0171】
SEQ ID NO:81(Q9M)4
ADNKFNKEMQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEMQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEMQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEMQNAFYEILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0172】
SEQ ID NO:82(E15T)4
ADNKFNKEQQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYTILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0173】
SEQ ID NO:83(E15W)4
ADNKFNKEQQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0174】
SEQ ID NO:84(E15L)4
ADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0175】
SEQ ID NO:85(E15V)4
ADNKFNKEQQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0176】
SEQ ID NO:86(E15I)4
ADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0177】
SEQ ID NO:87(E15F)4
ADNKFNKEQQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0178】
SEQ ID NO:88(E15S)4
ADNKFNKEQQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYSILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0179】
SEQ ID NO:89(E15Y)4
ADNKFNKEQQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYYILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0180】
SEQ ID NO:90(E15D)4
ADNKFNKEQQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYDILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0181】
SEQ ID NO:91(Q9I,E15W)4
ADNKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0182】
SEQ ID NO:92(Q9I,E15L)4
ADNKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0183】
SEQ ID NO:93(Q9I,E15V)4
ADNKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0184】
SEQ ID NO:94(Q9I,E15I)4
ADNKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0185】
SEQ ID NO:95(Q9I,E15F)4
ADNKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0186】
SEQ ID NO:96(N3L,N6L,Q9I,E15W)4
ADLKFLKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYWILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0187】
SEQ ID NO:97(N3L,N6L,Q9I,E15L)4
ADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0188】
SEQ ID NO:98(N3Y,N6E,Q9I,E15I)4
ADYKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0189】
SEQ ID NO:99(N3V,N6L,Q9I,E15V)4
ADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0190】
SEQ ID NO:100(N3V,N6E,Q9I,E15F)4
ADVKFEKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYFILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0191】
SEQ ID NO:101(N3Y,N6E,Q9I,E15L)4
ADYKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADYKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0192】
SEQ ID NO:102(N3L,N6L,Q9F,E15I)4
ADLKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEFQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0193】
SEQ ID NO:103(N3V,N6E,Q9I,E15L)4
ADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0194】
SEQ ID NO:104(N3V,N6E,Q9I,E15I)4
ADVKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0195】
SEQ ID NO:105(N3L,N6L,Q9I,E15L)6
ADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFLKEIQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0196】
SEQ ID NO:106(N3L,N6E,Q9I,E15I)6
ADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEIQNAFYIILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0197】
SEQ ID NO:107(N3V,N6L,Q9I,E15V)6
ADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADVKFLKEIQNAFYVILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【0198】
SEQ ID NO:108(N3L,N6E,Q9F,E15L)6
ADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPKADLKFEKEFQNAFYLILHLPNLTEEQRNGFIQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
【実施例
【0199】
下記は具体的な実施例により本発明を説明する。これらの実施例は説明するためのものであり、意図的に本発明の範囲を限定するものではない。実施例に使用される方法と材料は、特に断りのない限り、本分野における通常の方法と材料であり、一部の試薬は市販ルートで入手できる。
【0200】
製造例
1.Cドメインミュータントの最適化
生物工程(上海)股ふん有限公司に遺伝子合成を依頼した。具体的なステップは下記の通りである。
設計された配列に基づいて、必要とされるプライマーを構築した。PCR反応はpfu高温ポリメラーゼを使用した。
PCRの各組成分の使用量:プライマー濃度は10Dであり、400μl ddH2Oに溶解させた。
1回目のPCRプロセス:
【0201】
1回目のPCR産物をテンプレートとして、そのまま2回目の増幅を行う:
【0202】
2回目のPCRプロセス:
【0203】
PCR増幅完了の産物で、1%アガロース-1X TAE電気泳動を行う。
【0204】
生物工程製B610353-1000(EZ-10カラム式DNAゲル回収試薬キット)によりPCR産物P2を回収・精製して使用に備える。
【0205】
クローン構築
ベクターのリニア化ダイジェスト処理:
上記系を37℃恒温水浴槽に入れて1h反応させた。
【0206】
上記系を37℃恒温水浴槽に入れて2h反応させた。
【0207】
ダブルダイジェスト完了の産物で、1%アガロース-1X TAE電気泳動を行い、生物工程製B610353-1000(EZ-10カラム式DNAゲル回収試薬キット)によりダイジェスト産物P2及びベクターV(pET28a+)を回収・精製して使用に備える。
【0208】
回収・精製した目的DNA断片P2及びベクターVをT4 DNAligaseシステムで連結する。
上記連結混合液を16℃で1時間置けばよい。
上記連結液をBL21(DE3)コンピテンスに移動して、陽性クローンを検出・選別してシークエンシングを行った。
【0209】
2.Cドメインミュータントの発現及び精製
単一の組換えプラスミドにより大腸菌に変換すると共に、LB液体培地で発酵・培養して誘導発現を行う。発酵してから、菌体を収集し、熱分解により細胞壁を破壊し、発現産物を放出して、遠心分離する。単離液体をIgGアフィニティー媒体により精製し、単離液をアフィニティー媒体を経由してサンプルロードし、10mMリン酸塩緩衝液で媒体を洗浄し、pH3.8緩衝液で目的タンパク質を収集し、中性となるように調整し、保存して使用に備える。
【0210】
3.Cドメインミュータントによるアフィニティークロマトグラフィー媒体の製造
通常の方法によって、得られたCドメインミュータントを利用してアフィニティークロマトグラフィー媒体を製造した。例示的な製造過程は、具体的に下記のステップを含む。
a. 活性化
高剛性アガロース10gを取り、精製水で洗浄して、吸引乾燥させた。上記アガロース10gを量り、精製水20mLを入れ、水酸化ナトリウム0.2g及びエポキシクロロプロパン10mLを100mLフラスコに入れて、27℃恒温で2時間反応させ、活性化したゲルを1L水で洗い、活性化したアガロース微小球を取得した。
b. 架橋
活性化したアガロース微小球を100mLフラスコに入れ、更に150mg NaHCO3、10mg Na2CO3、150mg NaCl及び10mg EDTAを入れ、均一に攪拌してから、50mL組換えProtein A溶液を入れ、34℃恒温で8時間反応させて、架橋を完成させた。
c. ブロッキング
架橋産物に100mLブロッキングバッファー(エタノールアミン溶液)を入れ、水酸化ナトリウムでpHが8.6となるように調整し、26℃恒温で2時間反応させて、残留したエポキシ基のブロッキングを完成させることで、影響を低減した。
【0211】
上記方法によって本発明のCドメインミュータントを製造した。例示的なSEQ ID NO:74-80、84-87、101、103及び104に示されるCドメインミュータントの結果解析図は図1A~1Nに示される。
【0212】
実施例1
下記方法によって表1のCドメインミュータントに対して動力学分析を行った。
実験の手順は以下のようである:
1) IgGでSeries S CM5チップを架橋した。
a. 10mM酢酸-NaOH(pH5.0)でIgGを5μg/ml、10μg/ml、15μg/ml、20μg/mlまで希釈させた。
b. 作動緩衝液(10mM酢酸-NaOH、pH5.0)、剥離液1(0.5%SDS)、剥離液2(50mMグリシン-NaOH、pH9.5)、ブロッキングバッファー(1MエタノールアミンpH8.5)、活性化剤(0.4M EDC、0.1M NHS)を調製した。
c. Biacore-4000で固定化を行った。
d.架橋結果は下記の表に示される。
【0213】
2)動力学分析
a. 1XPBS(pH7.6)でタンパク質サンプル(Protein A)を0μg /ml、1.615μg/ml、2.4375μg/ml、3.25μg/ml、4.875μg/ml、6.5μg/ml、9.75μg/ml、13μg/ml、19.5μg/ml、26μg/mlまで希釈させた。
b. ゲル緩衝液 1XPBS(pH7.6)、再生溶液(50mMクエン酸-NaOH pH3.0)を調製した。
c. Biacore-4000で動力学及び親和力を行った。
【0214】
試験結果は以下の通りである:
【表1】
【0215】
結果によれば、全ての突然変異部位について、天然Cドメインに対して、KD値がほぼ同じレベルであり、解離定数が顕著な変化を示していないため、本発明に係るCドメインで突然変異を起こして取得されたミュータントは、IgGに対する結合力に影響がないことがわかる。
【0216】
実施例2
下記方法によって表2のCドメインミュータントアフィニティークロマトグラフィー媒体のIgG結合力及び耐アルカリ安定性について評価した。
実験の手順は以下のようである:
1) Cドメインミュータントアフィニティークロマトグラフィー媒体4.4mLを取り、20%エタノール、5ml/min流速でクロマトグラフィーカラムに装填した。
緩衝液:緩衝液A(PBS、pH 7.6)、緩衝液B(0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.0)、緩衝液C(1M NaOH)。
サンプル:精製品で1mg/mlのIgGサンプルを調製した(精製品を希釈させる溶液は緩衝液A)。
【0217】
2) 10%ブレークスルーで測定した動的結合容量:
設備:AKTA Pure。
測定過程:
a. 緩衝液Aバランスクロマトグラフィーカラム、流速:1.8ml/min。
b. IGgサンプルがカラムを流れない場合、紫外線吸収ピークを検出して、λmaxとし、これにより10%λmaxを算出した。
c. サンプルロード:流速:1.8ml/min、基本流出の紫外線吸収ピークを記録した。
d. 両者を合計して、10%ブレークスルーで測定した動的結合容量に対応する紫外線吸収ピークを取得した。
e. 紫外線吸収ピークが、ステップdにおける紫外線吸収ピークに対応する体積、すなわち10%ブレークスルーで測定した動的結合容量になるまでサンプルロードを続けた。
【0218】
3) 耐アルカリサイクル:
室温を23±0.5℃に制御し、結合容量の低下に応じて、プログラムのサンプルロード量を更新し、その他のプログラムはそのままである。
測定過程:
a. PBS平衡:流速:1.8ml/min、体積:1cv。
b. サンプルロード:流速:1.8ml/min、200ml(その後のプログラムは、結合容量の低下に応じて、サンプルロード量を更新する)。
c. PBS洗浄:流速:1.8ml/min、体積:5cv。
d. 0.1Mクエン酸ナトリウム溶出:流速:1.8ml/min、体積:3cv。
e. 1M NaOHで2h処理した。まず、1.8ml/minの流速で1cv流れて、クロマトグラフィーカラム内に1M NaOH充満させてから、流速:0.5ml/min、体積:60ml、時間:2hに変更した。
f. PBS平衡:流速:1.8ml/min、体積:10cv。
【0219】
4) 上記アルカリ処理プロセスを13回行い、対応する結合容量を記録し、グラフを製作して、結果は表2及び図2に示される。表2は、各サンプルの10%侵入(Qb10%)におけるIgGのDBC(ダイナミック結合ローディング量で計算、mg/ml)を示した。
【表2】
【0220】
結果によれば、本発明により選定された突然変異部位は、天然Cドメインのアルカリ安定性を改善した。中でも、(Q9F)4は、アルカリ処理24時間後、35.18%のIgG動的結合力を有するが、(E15I)4は、アルカリ処理24時間後、41.86%のIgG動的結合力を有する。
【0221】
実施例3
表3のCドメインミュータントで製造されたアフィニティークロマトグラフィー媒体で、実施例2を実施し、結果は表3及び図3である。表3は、各サンプルの10%侵入(Qb10%)におけるIgGのDBC(ダイナミック結合ローディング量で計算、mg/ml)を示した。
【表3】
【0222】
結果によれば、本発明のミュータントの耐アルカリ性は、天然Cドメインに対して、大幅に向上された。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図1N
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】