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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】無段変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 29/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
F16H29/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555881
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 KR2022013911
(87)【国際公開番号】W WO2023090610
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0160698
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524184334
【氏名又は名称】ディーオービー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DOB CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】29 Gimhae-daero 2575beon-gil Gimhae-si Gyeongsangnam-do 50931 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンス
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA02
3J062AA18
3J062AB06
3J062AB29
3J062AB33
3J062AC03
3J062BA25
3J062BA26
3J062CB02
3J062CB06
3J062CB14
3J062CB22
3J062CB44
3J062CC02
3J062CC12
3J062CC22
3J062CE05
3J062CG02
3J062CG61
3J062CG82
3J062CG83
(57)【要約】
本発明は、無段変速機に関し、変速時の動力の遮断を防止し、変速による負荷・衝撃を最低限に抑え、特に、リンクアクチュエータを作動させる偏心ディスクの回転方向が出力軸の回転方向と逆の場合に発生する騒音・振動・衝撃を防ぐために、偏心ディスクの回転方向と出力軸の回転方向とを一致させた無段変速機に関する。本発明の一実施形態による変速機は、外部から動力が入力される入力軸2と、前記入力軸2から動力の一部が伝達される遊星歯車4と、前記入力軸2からの動力の一部が伝達される従動軸3と、前記従動軸3から伝達される動力を受けて回転する第1のリンク軸51と、前記第1のリンク軸51の回転によって動作するリンクアクチュエータと、前記リンクアクチュエータの変速比を調整するための変速レバー6と、前記リンクアクチュエータ及び遊星歯車4から動力が伝達される出力軸7と、を含み、前記リンクアクチュエータは、前記第1のリンク軸51を中心に偏心回転する偏心ディスク501と、前記偏心ディスク501の回転により上下に往復運動するカム502と、前記カム502に接続され、出力軸7に動力を伝達する第1のリンク504と、前記第1のリンク504と出力軸7との間に設けられ、出力軸7の所定の回転方向にのみ動力を伝達するワンウェイクラッチ506と、を含み、前記従動軸3により第1のリンク軸51を回転させることで、前記第1のリンク軸51と出力軸7とが同方向に回転する無段変速機を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から動力が入力される入力軸と、
前記入力軸から動力の一部が伝達される遊星歯車と、
前記入力軸から動力の一部が伝達される従動軸と、
前記従動軸から伝達される動力を受けて回転する第1のリンク軸と、
前記第1のリンク軸の回転によって動作するリンクアクチュエータと、
前記リンクアクチュエータの変速比を調整するための変速レバーと、
前記リンクアクチュエータ及び遊星歯車から動力が伝達される出力軸と、を含み、
前記リンクアクチュエータが、
前記第1のリンク軸を中心に偏心回転する偏心ディスクと、
前記偏心ディスクの回転により上下に往復運動するカムと、
前記カムに接続され、出力軸に動力を伝達する第1のリンクと、
前記第1のリンクと出力軸との間に設けられ、出力軸の所定の回転方向にのみ動力を伝達するワンウェイクラッチと、を含み、
前記従動軸により第1のリンク軸を回転させることで、前記第1のリンク軸と出力軸とが同方向に回転する、無段変速機。
【請求項2】
前記リンクアクチュエータが、前記偏心ディスク、カム、第1のリンク、及びワンウェイクラッチを含む複数のリンクセットを含み、
前記リンクセットが、
前記カムの一方側に接続されるヒンジ部と、
前記ヒンジ部から一端が延びるように接続された第2のリンクと、を含み、
前記第1のリンクの一端が前記ヒンジ部に接続され、
前記第1のリンクの他端が前記ワンウェイクラッチに接続され、
複数の前記第2のリンクの他端に接続された第2のリンク軸と、を含み、
前記第2のリンク軸の位置が前記変速レバーによって調整される、請求項1に記載の無段変速機。
【請求項3】
前記変速レバーが、
前記第2のリンク軸の両端に接続された第2のリンク軸調整部と、
前記第2のリンク軸から所定の距離だけ離間した位置に固定された第2のリンク軸調整軸と、
前記第2のリンク軸調整軸の一方側から第2のリンク軸調整軸に垂直な方向に延び、第2のリンク軸調整軸に対して所定の角度範囲内で回転する操作部と、を含む、請求項2に記載の無段変速機。
【請求項4】
前記遊星歯車が、
前記入力軸に形成された第1の原動歯車に外接し、外周面及び内周面に歯車の歯が形成された輪歯車と、
前記輪歯車に内接する複数の衛星歯車と、
前記輪歯車の中心に位置し、衛星歯車に外接する太陽歯車と、
複数の前記衛星歯車に接続され、前記入力軸と同心の中心軸を有し、前記入力軸が貫通するように所定の中空が形成されたキャリアと、を含み、
前記ワンウェイクラッチが、キャリアに動力を伝達し、出力軸に直接接続されないように構成される、請求項1に記載の無段変速機。
【請求項5】
前記入力軸が、
前記遊星歯車に動力を伝達する第1の原動歯車を含み、
前記従動軸が、
前記第1の原動歯車に接続され、従動軸が入力軸と比較して加速するような歯車比を有する第1の従動歯車と、
中心軸が前記入力軸と平行となるように、入力軸から所定の距離だけ離隔して従動軸を支持する軸受と、
前記第1の従動歯車よりも大きな直径を有するように形成された第2の原動歯車と、を含み、
前記第1のリンク軸が、
前記第2の原動歯車に接続され、第1のリンク軸が従動軸と比較して加速するような歯車比を有する第2の従動歯車を含む、請求項1に記載の無段変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機に関し、変速時の動力の遮断を防止し、変速による負荷・衝撃を最低限に抑え、特に、リンクアクチュエータを作動させる偏心ディスクの回転方向が出力軸の回転方向と逆の場合に発生する騒音・振動・衝撃を防ぐために、偏心ディスクの回転方向と出力軸の回転方向とを一致させた無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速機は、自転車、自動車、オートバイ、その他の輸送手段など、回転動力を利用する様々な装置で活用することができる。
【0003】
近年では、エンジンやモータなどの効率を最大限に高めるために、無段変速機の需要が高まっている。
【0004】
本発明の出願人は、無段変速機を構成するために特許文献1を提案しており、特許文献1には、正回転及び逆回転が共に可能な無段変速機が開示されている。
【0005】
特許文献1に係る無段変速機を構成する場合、特許文献1の図2に示すように、入力歯車310と出力軸400の回転方向が逆向きとなるように構成される。この場合、正転及び逆転が可能となるが、大きな騒音、振動及び衝撃が発生し、実際の製品に適用するには限界点があり、このような騒音、振動及び衝撃が発生する原因を特定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1241819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の出願人は、長期間の研究開発によって、特許文献1に係る無段変速機で発生する騒音、振動及び衝撃の原因が前記逆方向に行われる回転によるものであることを確認し、それに応じて、入力歯車(本発明における第2の従動歯車、偏心ディスク501または第1のリンク軸51)と出力軸7とが同方向に回転するように構成することにより、騒音、振動及び衝撃を大幅に低減した無段変速機を提供する。
【0008】
本発明は、前述した従来の無段変速機の限界点を改善するために、騒音、振動及び衝撃を大幅に低減した構造の無段変速機を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述のような従来の無段変速機の限界点を改善するために、外部から動力が入力される入力軸と、前記入力軸から動力の一部が伝達される遊星歯車と、前記入力軸から動力の一部が伝達される従動軸と、前記従動軸から伝達される動力を受けて回転する第1のリンク軸と、前記第1のリンク軸の回転によって動作するリンクアクチュエータと、前記リンクアクチュエータの変速比を調整するための変速レバーと、前記リンクアクチュエータ及び遊星歯車から動力が伝達される出力軸と、を含み、前記リンクアクチュエータは、前記第1のリンク軸を中心に偏心回転する偏心ディスクと、前記偏心ディスクの回転により上下に往復運動するカムと、前記カムに接続され、出力軸に動力を伝達する第1のリンクと、前記第1のリンクと出力軸7との間に設けられ、出力軸の所定の回転方向にのみ動力を伝達するワンウェイクラッチと、を含み、前記従動軸により第1のリンク軸を回転させることで、前記第1のリンク軸と出力軸とが同方向に回転する無段変速機を提供する。
【0010】
また、前記リンクアクチュエータは、前記偏心ディスク、カム、第1のリンク、及びワンウェイクラッチを含む複数のリンクセットを含み、前記リンクセットは、前記カムの一方側に接続されるヒンジ部と、前記ヒンジ部から一端が延びるように接続された第2のリンクと、を含み、前記第1のリンクの一端が前記ヒンジ部に接続され、前記第1のリンクの他端が前記ワンウェイクラッチに接続され、複数の前記第2のリンクの他端に接続された第2のリンク軸と、を含み、第2のリンク軸の位置は、前記変速レバーによって調整されてもよい。
【0011】
そして、前記変速レバーは、前記第2のリンク軸の両端に接続された第2のリンク軸調整部と、前記第2のリンク軸から所定の距離だけ離間した位置に固定された第2のリンク軸調整軸と、前記第2のリンク軸調整軸の一方側から第2のリンク軸調整軸に垂直な方向に延び、第2のリンク軸調整軸に対して所定の角度範囲内で回転する操作部と、を含んでもよい。
【0012】
さらに、前記遊星歯車は、前記入力軸に形成された第1の原動歯車に外接し、外周面及び内周面に歯車の歯が形成された輪歯車と、前記輪歯車に内接する複数の衛星歯車と、前記輪歯車の中心に位置し、衛星歯車に外接する太陽歯車と、複数の前記衛星歯車に接続され、前記入力軸と同心の中心軸を有し、前記入力軸が貫通するように所定の中空が形成されたキャリアと、を含み、前記ワンウェイクラッチが、キャリアに動力を伝達し、出力軸に直接接続されないように構成されてもよい。
【0013】
また、前記入力軸は、前記遊星歯車に動力を伝達する第1の原動歯車を含み、前記従動軸は、前記第1の原動歯車に接続され、従動軸が入力軸と比較して加速するような歯車比を有する第1の従動歯車と、中心軸が前記入力軸と平行となるように、入力軸から所定の距離だけ離隔して従動軸を支持する軸受と、前記第1の従動歯車よりも大きな直径を有するように形成された第2の原動歯車と、を含み、前記第1のリンク軸は、前記第2の原動歯車に接続され、第1のリンク軸が従動軸と比較して加速するような歯車比を有する第2の従動歯車を含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、第2の従動歯車、偏心ディスク501または第1のリンク軸51と出力軸7とが同方向に回転するように構成することにより、騒音、振動及び衝撃を大幅に低減することができる。
【0015】
また、リンクアクチュエータの特性上、入力回転数が小さい場合に変速が不安定であることを解消するために、所定の多段変速歯車を備えることで、リンクアクチュエータに伝達される回転数を増加させて変速安定性を向上することができる。
【0016】
そして、リンクアクチュエータの変速比を調整するピボット点(第2のリンク軸調整軸62)をリンクアクチュエータの外側に配置することで、部材同士の干渉発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る無段変速機の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る無段変速機のフレームを取り外した斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る無段変速機のフレームを取り外した斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る無段変速機のフレームを取り外した斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る無段変速機が変速される過程を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る無段変速機に適用される遊星歯車の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。しかしながら、これは本明細書に開示される技術を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の実施形態の様々な変更(modifications)、均等物(equivalents)及び/または代替物(alternatives)が含まれるものと理解すべきである。図面の説明において、類似の構成要素には類似の符号を付す。
【0019】
本明細書において、「有する」、「有してもよい」、「含む」、「含んでもよい」などの表現は、当該特徴(例えば、数値、機能、動作、部品などの構成要素)が存在することを示すものであり、他の特徴が存在することを排除するものではない。
【0020】
本明細書において、「AまたはB」、「Aまたは/及びBのうちの少なくとも1つ」、あるいは「Aまたは/及びBのうちの1つまたは複数」などの表現には、共に列挙した項目のあらゆる可能な組み合わせが含まれる。例えば、「AまたはB」、「A及びBのうちの少なくとも1つ」、あるいは「AまたはBのうちの少なくとも1つ」には、(1)少なくとも1つのAを含むもの、(2)少なくとも1つのBを含むもの、(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBの両方を含むものが全て含まれる。
【0021】
本明細書に用いられる「第1の」「第2の」「第一」または「第二」などの表現は、様々な構成要素を、順序及び/または重要度に関係なく修飾することができ、1つの構成要素を他の構成要素と区別するためのみに使用され、該当構成要素を限定しようとするものではない。例えば、第1のユーザ機器と第2のユーザ機器は、順序または重要度に関係なく、異なるユーザ機器を示してもよい。例えば、本明細書に記載されている権利範囲から逸脱することなく、第1の構成要素を第2の構成要素と命名することができ、同様に第2の構成要素を第1の構成要素と置き換えて命名することもできる。
【0022】
ある構成要素(例えば、第1の構成要素)が他の構成要素(例えば、第2の構成要素)に「(機能的または通信的に)連結されている((operatively or communicatively) coupled with/to)」と言及される場合は、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接連結されてもよく、さらに他の構成要素(例えば、第3の構成要素)を介して連結されてもよいものと解すべきである。他方、ある構成要素(例えば、第1の構成要素)が他の構成要素(例えば、第2の構成要素)に「直接連結されている」と言及される場合は、前記ある構成要素と前記他の構成要素との間の他の構成要素(例えば、第3の構成要素)が存在しないものと理解され得る。
【0023】
本明細書に用いる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いるものであり、他の実施形態の範囲を限定するものではない。単数の表現には、特に断らない限り、複数の表現が含まれる。技術的または科学的な用語をはじめとして、本発明に用いる用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解される意味で用いられる。本明細書に用いる用語のうち、一般に用いられる辞書に定義されている用語は、関連技術における文脈上の意味と同一または類似の意味で解釈されるものであり、特に断らない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されてはならない。場合によっては、本明細書において定義された用語であっても、本発明の実施形態を排除するように解釈されてはならない。
【0024】
本発明の請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により様々な変形が可能であることは言うまでもなく、それらの変形は本発明の技術的思想や展望とは別個のものと解釈されてはならない。
【0025】
発明の説明において用いる「上下に往復運動、上端、下端」などは、図面において定義したものであり、これらの用語により各構成の形状及び位置が限定されるものではない。
【0026】
本発明の一実施形態による変速機は、外部から動力が入力される入力軸2と、前記入力軸2から動力の一部が伝達される遊星歯車4と、前記入力軸2からの動力の一部が伝達される従動軸3と、前記従動軸3から伝達される動力を受けて回転する第1のリンク軸51と、前記第1のリンク軸51の回転によって動作するリンクアクチュエータと、前記リンクアクチュエータの変速比を調整するための変速レバー6と、前記リンクアクチュエータ及び遊星歯車4から動力が伝達される出力軸7と、を含み、前記リンクアクチュエータは、前記第1のリンク軸51を中心に偏心回転する偏心ディスク501と、前記偏心ディスク501の回転により上下に往復運動するカム502と、前記カム502に接続され、出力軸7に動力を伝達する第1のリンク504と、前記第1のリンク504と出力軸7との間に設けられ、出力軸7の所定の回転方向にのみ動力を伝達するワンウェイクラッチ506と、を含み、前記従動軸3により第1のリンク軸51を回転させることで、前記第1のリンク軸51と出力軸7とが同方向に回転する無段変速機を提供する。
【0027】
前記構成によれば、図5に示すように、第1のリンク軸51と出力軸7とが同方向に回転する。
【0028】
それにより、第1のリンク軸51、偏心ディスク501、第2のリンク軸調整軸62、第2のリンク軸52、第1のリンク504などにより出力軸7に動力が伝達される過程における作用点(特に、偏心ディスク501)が特許文献1とは異なるため、従来技術に比べて騒音、振動及び衝撃が大幅に低減される。
【0029】
前記入力軸2、変速レバー6、リンクアクチュエータなどは、フレーム1に中心軸(回転軸)などを軸受などの部材により固定してもよい。
【0030】
入力軸2によって伝達された動力(人力、エンジン・モータの動力など)の一部は、遊星歯車4によって出力軸7に伝達されてもよく、出力軸7の端部に設けられた歯車、スプロケット71などの部材によって動力の必要な場所にエネルギーが伝達されてもよい。
【0031】
摩擦などによる損失を除いた残りの動力は、従動軸3を介してリンクアクチュエータに伝達され、所定の範囲内で変速される。
【0032】
変速レバー6は、リンクアクチュエータの作動半径を調整することで変速比を調整してもよい。そのとき、変速レバー6は、特定の段に締結される形態ではなく、後述する第2のリンク軸調整軸62に対して回転する形態であるため、「段」のない無段変速が可能となる。
【0033】
また、前記リンクアクチュエータは、前記偏心ディスク501、カム502、第1のリンク504、及びワンウェイクラッチ506を含む複数のリンクセットを含み、前記リンクセットは、前記カム502の一方側に接続されるヒンジ部503と、前記ヒンジ部503から一端が延びるように接続された第2のリンク505と、を含み、前記第1のリンク504の一端が前記ヒンジ部503に接続され、前記第1のリンク504の他端が前記ワンウェイクラッチ506に接続され、複数の前記第2のリンク505の他端に接続された第2のリンク軸52と、を含み、第2のリンク軸52の位置は、前記変速レバー6によって調整されてもよい。
【0034】
リンクセットの数が適切であるほど、変速ショックを最低限に抑えることができる。図面には、4つのリンクセットを備えた実施形態が示されている。従来のリンクセットを3つ備えた形態の場合、一部の変速ショックが発生し、5つ以上のリンクセットを備える場合にも無段変速機が不安定になり、構造が複雑であるのでメンテナンス性・耐久性に劣るという問題点があった。
【0035】
変速ショックを最低限に抑えるためには、図5に示すように、偏心ディスク501は、第1のリンク軸51に対して異なる方向に(互いに異なる位置で)偏心して固定結合されることが好ましい。
【0036】
前記第1のリンク軸51の回転により偏心ディスク501が偏心回転し、偏心回転する偏心ディスク501の外側にヒンジ・軸受形態で接続されたカム502(ヒンジ部503)が、第1のリンク軸51に対して上下に往復運動する。
【0037】
ワンウェイクラッチ506は、第1のリンク504の運動のうち一方向の運動のみが遊星歯車4(キャリア44)に伝達されるように制限する。
【0038】
そして、前記変速レバー6は、前記第2のリンク軸52の両端に接続された第2のリンク軸調整部61と、前記第2のリンク軸52から所定の距離だけ離間した位置に固定された第2のリンク軸調整軸62と、前記第2のリンク軸調整軸62の一方側から第2のリンク軸調整軸62に垂直な方向に延び、第2のリンク軸調整軸62に対して所定の角度範囲内で回転する操作部63と、を含んでもよい。
【0039】
前記操作部63の端部が上端に位置しているときには、第2のリンク軸52も相対的に最も高い位置に固定され、それによりヒンジ部503の下死点の高さが高くなり、行程の長さが短くなる。そのことから、第1のリンク504がワンウェイククラッチに伝達する長さ・速度が短くなり、低段歯車の役割を果たすことになる。
【0040】
逆に、前記操作部63の端部が下端に位置しているときには、第2のリンク軸52も相対的に最も低い位置に固定され、それによりヒンジ部503の下死点の高さが低くなり、行程の長さが長くなる。そのことから、第1のリンク504がワンウェイククラッチに伝達する長さ・速度が長く(高く)なり、高段歯車の役割を果たすことになる。
【0041】
前記「第2のリンク軸調整軸62の一方側から第2のリンク軸調整軸62に垂直な方向に延び、第2のリンク軸調整軸62に対して所定の角度範囲内で回転する操作部63」における「垂直な方向」とは、幾何学的意味における「垂直」に限定されるものではなく、所定のモーメント力によって相対的に小さい力で第2のリンク軸調整軸62を回転させる形状・構造と均等な構成も含まれる。
【0042】
前記「所定の角度範囲」は、第2のリンク軸52が最も上方に位置するときの点、第2のリンク軸調整軸62の中心点及び第2のリンク軸52が最も下方に位置するときの点を結んだときに形成される角度の範囲を意味し、前記角度範囲は、25度~50度の範囲で形成されることが好ましい。
【0043】
さらに、前記遊星歯車4は、前記入力軸2に形成された第1の原動歯車21に外接し、外周面及び内周面に歯車の歯が形成された輪歯車41と、前記輪歯車41に内接する複数の衛星歯車42と、前記輪歯車41の中心に位置し、衛星歯車42に外接する太陽歯車43と、複数の前記衛星歯車42に接続され、前記入力軸2と同心の中心軸を有し、前記入力軸2が貫通するように所定の中空が形成されたキャリア44と、を含み、前記ワンウェイクラッチ506が、キャリア44に動力を伝達し、出力軸7に直接接続されないように構成されてもよい。
【0044】
前記リンクアクチュエータの詳細構成と前記遊星歯車4の詳細構成とを有機的に組み合わせることにより、本発明の効果を奏することができる。
【0045】
遊星歯車4の構造に応じて、2箇所からの力が互いに干渉することなく合力を発生させてもよい。入力軸2の動力の一部が輪歯車41の外側を介して伝達され、リンクアクチュエータから伝達された動力はキャリア44を介して衛星歯車42に伝達されるので、互いに干渉することなく出力軸7まで動力が伝達されて合力が発生する。
【0046】
また、前記入力軸2は、前記遊星歯車4に動力を伝達する第1の原動歯車21を含み、前記従動軸3は、前記第1の原動歯車21に接続され、従動軸3が入力軸2と比較して加速するような歯車比を有する第1の従動歯車31と、中心軸が前記入力軸2と平行となるように、入力軸2から所定の距離だけ離隔して従動軸3を支持する軸受32と、前記第1の従動歯車31よりも大きな直径を有するように形成された第2の原動歯車33と、を含み、前記第1のリンク軸51は、前記第2の原動歯車33に接続され、第1のリンク軸51が従動軸3と比較して加速するような歯車比を有する第2の従動歯車511を含んでもよい。
【0047】
前記のように、リンクアクチュエータに伝達される動力を予め加速して伝達することで、リンクアクチュエータに入力される回転数が大幅に増加し、安定した変速が可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 フレーム
2 入力軸
21 第1の原動歯車
3 従動軸
31 第1の従動歯車
32 軸受
33 第2の原動歯車
4 遊星歯車
41 輪歯車
42 衛星歯車
43 太陽歯車
44 キャリア
501 偏心ディスク
502 カム
503 ヒンジ部
504 第1のリンク
505 第2のリンク
506 ワンウェイクラッチ
51 第1のリンク軸
511 第2の従動歯車
52 第2のリンク軸
6 変速レバー
61 第2のリンク軸調整部
62 第2のリンク軸調整軸
63 操作部
7 出力軸
71 スプロケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】