(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】水素圧縮、貯蔵および分配
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241114BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20241114BHJP
F17C 7/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F17C13/00 301A
F17C5/06
F17C7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024557433
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 US2022052738
(87)【国際公開番号】W WO2023114228
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524223426
【氏名又は名称】バーディセル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ラグー・キランビ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】リンカーン・エヴァンス-ボーシャン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BA04
3E172BC03
3E172BC05
3E172BD03
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA35
3E172EA51
3E172EB02
3E172EB20
3E172KA03
(57)【要約】
高圧ガス圧縮、貯蔵および分配システム。本システムは、貯蔵容器と、液体サンプタンクと、分離システムと、を含むことができる。貯蔵容器内の圧力は、貯蔵容器に液体を部分的に充填すること、または貯蔵容器から液体を部分的に排出することによって制御され得る。貯蔵ガスは、液体で部分的に飽和されるようになることが可能であり、分離システムは、飽和を減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガス貯蔵システムであって、
貯蔵容器と、
液体サンプタンクと、
分離システムと、
を備え、
前記貯蔵容器内の圧力が、前記貯蔵容器に液体を部分的に充填すること、または前記貯蔵容器から前記液体を部分的に排出することによって制御され、
貯蔵ガスが、前記液体で部分的に飽和されるようになり、
前記分離システムが、前記飽和を減少させる、
高圧ガス貯蔵システム。
【請求項2】
前記高圧ガスが、水素である、請求項1のシステム。
【請求項3】
貯蔵圧力が、750絶対バールを上回るガス圧力を維持する、請求項1のシステム。
【請求項4】
前記液体が、水を含む、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記水が、タイプIII水である、請求項4のシステム。
【請求項6】
前記水が、タイプII水である、請求項4のシステム。
【請求項7】
前記貯蔵容器内の前記ガスが、前記液体で75%超で飽和されるようになる、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記高圧ガスの前記液体飽和が、前記分離システムによって除去される、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記分離システムが、デシカントシステムである、請求項8のシステム。
【請求項10】
前記デシカントシステムが、圧力スイング吸着技術を使用して再生される、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記液体が、前記貯蔵容器にないときには前記サンプタンクに保持される、請求項1のシステム。
【請求項12】
前記サンプタンクが、不活性ガスブランケットで覆われる、請求項11のシステム。
【請求項13】
前記不活性ブランケットガスが、95%を超える純度の窒素濃度を有する、請求項12のシステム。
【請求項14】
前記サンプタンクが、過剰圧力に維持される、請求項12のシステム。
【請求項15】
前記サンプタンク過剰圧力が、少なくとも1バールゲージである、請求項14のシステム。
【請求項16】
前記貯蔵容器が、SA372 Gr J CL 70XXX材料から構成される、請求項1のシステム。
【請求項17】
高圧ガス圧縮システムであって、
貯蔵容器と、
圧縮容器と、
液体サンプタンクと、
分離システムと、
を備え、
前記圧縮容器に液体を部分的に充填することによって、前記圧縮容器においてガスが圧縮され、
前記圧縮ガスが、前記圧縮容器から前記貯蔵容器に移送され、前記貯蔵容器に前記液体を部分的に充填すること、または前記貯蔵容器から前記液体を部分的に排出することによって前記貯蔵容器内のガス圧力が制御され、
前記圧縮ガスが、前記液体で部分的に飽和されるようになり、
前記分離システムが、前記飽和を減少させる、
高圧ガス圧縮システム。
【請求項18】
前記高圧ガスが、水素である、請求項17のシステム。
【請求項19】
前記液体が、水を含む、請求項17のシステム。
【請求項20】
前記水が、タイプIII水である、請求項19のシステム。
【請求項21】
前記水が、タイプII水である、請求項19のシステム。
【請求項22】
前記圧縮容器内の前記ガスが、前記液体で75%超で飽和されるようになる、請求項17のシステム。
【請求項23】
前記高圧ガスの前記液体飽和が、前記分離システムによって除去される、請求項17のシステム。
【請求項24】
前記分離システムが、デシカントシステムである、請求項23のシステム。
【請求項25】
前記デシカントシステムが、圧力スイング吸着技術を使用して再生される、請求項24のシステム。
【請求項26】
前記液体が、前記貯蔵容器にないときには前記サンプタンクに保持される、請求項17のシステム。
【請求項27】
前記サンプタンクが、不活性ガスブランケットで覆われる、請求項26のシステム。
【請求項28】
前記不活性ブランケットガスが、95%を超える純度の窒素濃度を有する、請求項27のシステム。
【請求項29】
前記サンプタンクが、過剰圧力に維持される、請求項26のシステム。
【請求項30】
前記サンプタンク過剰圧力が、少なくとも1バールゲージである、請求項29のシステム。
【請求項31】
低圧水素ガス圧縮機が前記ガスを中間圧力に圧縮するように構成されるハイブリッド圧縮システムをさらに備え、前記圧縮容器が、前記ガスを前記中間圧力から高圧値に圧縮するように構成される、請求項17のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による組み込み
本出願は、2021年12月13日に出願された、「ACTIVE HYDROGEN STORAGE SYSTEM」という名称の、米国仮特許出願第63/288,770号の優先権を主張する。上記の出願、および本出願と共に提出されるPCT願書において外国または国内の優先権主張が特定される任意の他の出願が参照により組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、水素ガスを圧縮、貯蔵、蓄積および/または分配するためのシステムおよび方法に関する。システムのいくつかの実施形態は、既存の燃料補給所と比較して、運営規模および資本を削減する車両燃料補給所を実装するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
水素は、燃やされる他の燃料源より環境に比較的有害でない効率的な燃料源である。燃焼または燃料電池反応を通して、水素が酸素と結合されて、熱または電力を生成することができる。これらの反応からの一次廃棄生成物は水である。
【0004】
運輸、発電および鉄鋼産業内で、水素は、化石燃料からグリーンエネルギー燃料への移行に対する主な焦点である。残念ながら、この移行に伴って、産業の多くが、水素ガスを貯蔵するために必要とされる大容量に直面する。
【0005】
標準的な水素貯蔵容器は、典型的には金属または複合構造を有し、固定容積で設計される。貯蔵容器の容積および重量を最小限に抑えるために可能な限り多くの質量をタンクに貯蔵するため、水素ガスは高圧に圧縮される。車両貯蔵タンクは、典型的には高圧源からの水素ガスが充填されており、タンク圧力は350バールから700バールの範囲である。水素が使用のために水素貯蔵タンクから引き出されるにつれて、タンク内の圧力は低減される。一定の圧力を下回ると、貯蔵タンク内の水素は、貯蔵タンクから車両に流れるための所要の圧力を欠いているので、それは典型的にはもはや使用可能でない。それ故、使用可能である水素は、車両貯蔵タンクに燃料補給するために必要とされる圧力超で貯蔵されているものだけである。典型的な水素貯蔵容器は、水素を使用するシステム(例えば、燃料補給車両)のために必要とされるより25%高い圧力に充填されるので、低減された水素圧力により水素が使用不可能になるまでに貯蔵システムの容量および質量の約20%しか使用可能でない。
【0006】
より多くの水素を使用可能にするために、水素貯蔵タンクは、より高い圧力に充填されるか、より大きくなる必要があり、費用および/または空間要件を増加させる。追加の水素が貯蔵タンクへ装入されると、その圧力が増加されるだけである。充填は、通常は低圧水素を貯蔵タンク圧力に圧縮する機械式圧縮機で達成される。しかしながら、気体水素機械式圧縮機は、多大な維持管理を必要とし、水素燃料補給所の稼働時間の他に維持管理費に著しく影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、高圧ガス貯蔵システムは、貯蔵容器と、液体サンプタンクと、分離システムとを備え、貯蔵容器内の圧力は、貯蔵容器に液体を部分的に充填すること、または貯蔵容器から液体を部分的に排出することによって制御され、貯蔵ガスは、液体で部分的に飽和されるようになり、分離システムは、飽和を減少させる。
【0008】
いくつかの実施形態において、高圧ガス圧縮システムは、貯蔵容器と、圧縮容器と、液体サンプタンクと、分離システムとを備え、圧縮容器に液体を部分的に充填することによって、圧縮容器においてガスが圧縮され、圧縮ガスは、圧縮容器から貯蔵容器に移送され、貯蔵容器に液体を部分的に充填すること、または貯蔵容器から液体を部分的に排出することによって貯蔵容器内のガス圧力が制御され、圧縮ガスは、液体で部分的に飽和されるようになり、分離システムは、飽和を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】水素圧縮、貯蔵および分配システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図1B】
図1Aに例示されるシステムのための水システムの動作の例示的なフローチャートである。
【
図1C】
図1Aに例示されるシステムのための貯蔵容器の動作の例示的なフローチャートである。
【
図1D】
図1Aに例示されるシステムのための分配システムの動作の例示的なフローチャートである。
【
図2A】水素圧縮、貯蔵および分配システムの別の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2B】水素出力ラインを介して
図2Aのシステムに接続される搭載貯蔵タンクを含む水素車両を例示する図である。
【
図2C】燃料補給プロセスおよび貯蔵容器から燃料補給車の搭載貯蔵タンクへの水素ガスの移送を例示する図である。
【
図2D】後続の燃料補給動作を行う間のシステム200の状況を例示する図である。
【
図2E】
図2Aのシステムにおける圧縮容器の動作を例示する図である。
【
図2F】圧縮容器から貯蔵容器への加圧水素ガスの移送を例示する図である。
【
図2G】水素貯蔵容器の再充填を例示する図である。
【
図2H】比較的低圧の水素ガス源から圧縮容器に再充填する動作を例示する図である。
【
図2I】圧縮容器に水素ガスを再充填する動作の完了を例示する図である。
【
図2J】貯蔵容器に水素ガスを再充填する後続の動作を例示する図である。
【
図3】水素ガスを圧縮、貯蔵および分配するためのシステムの別の実施形態を例示する図である。
【
図4】本明細書において説明される水素圧縮、貯蔵および/または分配システムのいずれかを含むことができる例示的な水素燃料補給所400を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
水素のような、高圧ガスを圧縮、貯蔵および/または分配するためのシステムおよび方法が本明細書に開示される。システムおよび方法の実施形態は、既存のシステムと比較して、貯蔵システムの容量のより大きな部分を使用可能にする車両燃料補給所を実装するために使用できる。本明細書においてさらに説明されるように、いくつかの実施形態は、水システム、圧縮容器、貯蔵容器および分配システムを含む。水システムは、圧縮および/または貯蔵容器へまたはから水を圧入または水を放出でき、それによって高圧ガスのために利用可能な容積を変化させ、ガスの圧力を管理する。従来の水素圧縮、貯蔵および/または分配システムと比較して、本明細書において説明されるシステムの実施形態は、規模および費用が約5分の1以下であるシステムに至ることができる。加えて、本明細書において説明される実施形態によれば、水素は、ガス圧縮機の代わりに、水ポンプによって加圧でき、そのため成果システムの信頼性を大いに上昇させ、維持管理費を低下させる。
【0011】
図1Aは、水素圧縮、貯蔵および分配システム100の例示的な実施形態の概略図である。水素貯蔵システム100は、従来のシステムより必要とする空間が少ない。
図1Aにおけるシステム100の目的は、高圧液体を活用して圧縮水素の体積を制御する水素貯蔵システムをユーザに提供することである。
図1Aに示されるシステム100は、従来の水素圧縮、貯蔵および分配システムより低い維持管理費、低い運営費を有することができ、必要とする空間が少なくなることができる。これを達成するために、システム100は、水システム(例えば、水ポンプ8、水制御弁7および水タンク10)、貯蔵容器1、ならびに分配システム(例えば、水素乾燥機3および分配器4)を含む。これらの構成要素の多くにより、システム100が水素を様々な所要の圧力で貯蔵させておくのを可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態において、分配システムは、上部レベルセンサ13において貯蔵容器1に接続する。貯蔵容器1の下には、水システムが接続される底部レベルセンサ13がある。貯蔵容器1は、水素ガスの連続体積制御を可能にするために、水素も、水のような高圧液体も適切に貯蔵するように設計できる。システム100は、圧縮水素体積を高圧液体で能動的に制御することによって所要の高貯蔵圧力が小さな貯蔵容器フットプリントで維持される水素車両燃料補給所を実装するために使用できる。
【0013】
システム100は、水システムで、水のような高圧液体を活用する。水システムは、貯蔵容器1内に水を圧送して内部の水素の体積を制御する。水システムは、水タンク10、複数の水制御弁7および水ポンプ8を含むことができる。水タンク10は、ループの底部に位置し、各開口に水制御弁7がある。水タンク10は、水が貯蔵容器1に移送される必要があるまでそれを内部に貯蔵する。水タンク10は、
図1Aに見られるように、水が水タンク10に出入りするのを可能にするように2つの開口を有するように設計することができる。水タンク10の出口ポートに接続されるのが水ポンプ8である。水ポンプ8は、水タンク10から水を引き込み、1つの開いた水制御弁7を通して貯蔵容器1に渡す。
図1Bに示されるように、一旦貯蔵タンク1内で目標圧力に達し、より多くの水素が必要とされると、水制御弁7の1つが開いて、水が水タンク10に入るのを可能にする。水素が貯蔵容器1を出ることから圧力が降下するので、水素が分配されるにつれて、水ポンプ8が作動されて、水タンク10から開いた水制御弁7を通して貯蔵容器1内に水を引き込むことができる。水システムを多くの様々な形状およびサイズで、システム100の範囲から逸脱することなく様々な形で動作するように作成できることがさらに留意されるべきである。
【0014】
貯蔵容器1は、複数の水制御弁7間で水システムの上部において水システムと接続する。貯蔵容器1は、高レベルの圧力下でその形態を維持できる金属または複合材料で設計できる。いくつかの実施形態において、貯蔵容器1は、SA372 Gr J CL 70XXX材料から構成される。いくつかの実施形態において、貯蔵容器1は、水素11および水12を貯蔵する。貯蔵容器1は、複数のレベルセンサ13を含むことができる。水素11および高圧水12は、容器内の水素の圧力を変化させるために必要に応じて比率が変更されて貯蔵容器1内に貯蔵できる。水12が貯蔵容器1内の高圧液体として例示されるが、他の液体も使用できる。
【0015】
貯蔵容器1の上下に配置されるのが、貯蔵容器が水システムおよび分配システムに接続するところにある複数のレベルセンサ13である。複数のレベルセンサ13は、水素-水界面の位置を決定するために貯蔵容器1壁を通して水素11および水12レベルを検出できる超音波センサとすることができる。この設計は、水素11が水システム内に入らないことおよび水が分配システム内に入らないことを保証しつつ、水12が貯蔵容器1内に、および貯蔵容器1から外に圧送されるのを可能にする。
図1Cに見られるように、水12が貯蔵容器1内で高すぎれば、水ポンプ8が止まり、貯蔵容器1から水が排出される。同様に、水素レベルが高すぎれば、水ポンプ8がオンにされて貯蔵容器1内に水が圧送される。一旦貯蔵タンク1内の水素11の使用の準備ができると、それは分配システムに入る。
【0016】
分配システムは、貯蔵容器の上側に沿って貯蔵容器1に接続する。いくつかの実施形態において、分配システムは、圧縮機6、複数の水素制御弁5、水素乾燥機3および分配器4を含むことができる。複数の水素制御弁5は、貯蔵容器1のいずれの側にも取り付けられて、水素ガス11のための流れおよび流れの方向を制御する。複数の水素制御弁5の左の末端に配置されるのが圧縮機6である。圧縮機6の反対側には、水素ガス11内に蓄積した水蒸気を除去するように設計される水素乾燥機3がある。さらに、水素乾燥機3の右に離れると、車両タンクに水素ガスを移送する分配器4がある。
図1Dに示されるように、分配システムには、時刻のような外部環境要因に基づいて必要とされる平均流量の水素11を供給するために圧縮機6を装備することができる。ピーク需要期間中、圧縮機6は、分配器4に向けて水素11を直接移動させ続ける。圧縮機6がサイズ設定されている平均水素需要と必要とされるピーク需要との間の差に対処するために、貯蔵容器からの水素を貯蔵容器1から水素乾燥機3に放出でき、そこで過剰水蒸気が除去され、次いで水素は分配器4に流れる。全ての構成要素が互いに連動して動作すると、システム100が、圧縮水素体積を高圧液体で能動的に制御することによって所要の高貯蔵圧力が小さな貯蔵容器フットプリントで維持される水素車両燃料補給所を実装できることが見て取れる。
【0017】
図1Aが例示するのは機械式ガス圧縮機6を含むシステム100であるが、本明細書において説明される他の実施形態は、機械式ガス圧縮機を必要とすることなく水素ガスを圧縮するために水および高圧水ポンプを使用できる。そのような一実施形態が
図2Aに例示される。
【0018】
図2Aは、水素圧縮、貯蔵および分配システム200の別の例示的な実施形態の概略図である。
図2Aに示されるように、例示される実施形態は、1つまたは複数のガス圧縮容器20、1つまたは複数のガス貯蔵容器1、1つまたは複数の分離システム(例えば、水素乾燥機3)、ならびに1つまたは複数の液体システム(例えば、水ポンプ8および水タンク10)を含む。圧縮容器20および貯蔵容器1には、液体システムから液体(例えば、水)をおよびガス(例えば、水素ガス)を部分的に充填できる。圧縮容器内の液体が液体システムに戻るのを可能にすることによって圧縮容器20へガスを引き入れることができる。ガスは、圧縮容器20に液体システムから液体を充填することによって、圧縮されて貯蔵容器1内に、または直接セパレータシステム3に圧送できる。同じく、貯蔵容器1内の圧力は、貯蔵容器に部分的に充填されている液体の量を変化させることによって制御できる。例えば、貯蔵ガスが使用されるにつれてその量が減少されるので、液体システムは、貯蔵容器1に追加の液体を加えることができ、そのため貯蔵ガスのために利用可能な容積を減少させ、その圧力を上昇させる。ガス圧力が最終用途に役立つために一定の圧力超で維持されなければならない場合、圧縮容器20および貯蔵容器1は、それらの貯蔵ガスの実質的に全て(例えば、75%超、または90%超、または95%超、または99%超)を使用のために利用可能にする。ガスは、液体の蒸気状態で飽和され得る(例えば、75%を上回る)。この複雑化は、液体とガスとの間の境界に位置して、それらの接触を物理的に制限する分離装置を提供することによっていくつかの実施形態において軽減できる。追加的に、分離システム(例えば、水素乾燥機3)は、貯蔵ガス内の液体の飽和を除去または減少させることができる。いくつかの実施形態において、分離システムは、デシカントシステムであり得る。そのようなデシカントシステムは、圧力スイング吸着(PSA)技術を使用して再生され得る。分離システムは、再生するとき、分離液体/ガスを逃し、またはそれらの物質を圧縮容器20に戻して再利用できる。
【0019】
液体システム(例えば、水ポンプ8および水タンク10)は、圧縮容器20および貯蔵容器1内へ、および圧縮容器20および貯蔵容器1から外への液体の移動を可能にする。圧縮容器20および貯蔵容器1にないときには、液体は、典型的には、水タンク10のような1つまたは複数のサンプ容器に貯蔵される。サンプ容器は、典型的には貯蔵ガスに悪影響を与えるであろうガスまたは他の物質による液体の汚染を制限するように設計される。そのため、サンプ容器は、典型的には可変容量を可能にし、バッチもしくは定期浄化システムを含んでよく、および/または不活性ガスブランケット(例えば、濃度が95%純度以上の窒素22)で覆われ得る。さらに、サンプ容器は、過剰圧力に維持され得る。過剰圧力は、例えば、少なくとも1バールゲージであり得る。サンプ容器は、雰囲気ガスが内部の液体を汚染するのを防止するのに役立つために正圧に保持され得る。正圧は、ポンプ8のための所要の有効吸込ヘッドを供給するのにも役立つ。
【0020】
圧縮容器20および貯蔵容器1内のガスの加圧が、気体ポンプの代わりに、高圧液体ポンプで達成されるので、その加圧は、典型的には非常に低い維持管理費および労力で達成される。
【0021】
システムのいくつかの実施形態において、ガスは、350バール超で、または700バール超で加圧される水素であり、液体は、水素ガスの汚染を制限するために水、通常はより高純度の水(例えば、タイプIIまたはタイプIII)である。水素は、その接触のため水蒸気で飽和され得るが、接触は分離装置の使用によって制限され得る。この事例の分離システムは、水素ガスを分配するために必要とされる水素ガス内の含水量を減少させるデシカント圧力スイング吸着器とすることができる。結果的な水素貯蔵タンクは、典型的には、可変容量貯蔵タンクを利用しないシステムと比較して、容積および費用が1/5である。
【0022】
図2Aに示される水素圧縮、貯蔵および分配システム200は、ここでより詳細に説明されることになる。既述のように、システム200は、圧縮容器20、貯蔵容器1、水ポンプ8、水タンク10および水素乾燥機3を含む。圧縮容器20は、タンクローリまたはメタン水蒸気改質器システムのような水素ガス源にガス供給ライン24を介して接続できる。圧縮容器20は、ガス移送ライン26を介して貯蔵容器1に接続できる。貯蔵容器1は、ガス移送ライン28を介して水素乾燥機3に接続できる。水素乾燥機3からのガスを、ガス出力ライン38を介して燃料補給車両に出力できる。システム200は、圧縮容器20から水タンク10に水を排出する排水ライン30および貯蔵容器1から水タンク10に水を排出する排水ライン36も含むことができる。水ポンプ8は、給水ライン32によって圧縮容器20に、および給水ライン34によって貯蔵容器1に接続できる。最後に、システム200は、水タンク10に窒素を加えるための窒素供給ライン40の他に、水タンクから窒素を除去するための窒素出力ライン42を含むことができる。
【0023】
特に例示されないが、システム200は、各種のセンサ(例えば、レベルセンサ、流量センサ、圧力センサ、温度センサ等)も含むことができる。レベルセンサは、例えば圧縮容器20および/または貯蔵容器1内の水または水素のレベルを決定するために使用できる。圧力センサは、同じく圧縮容器20および/または貯蔵容器1内のガス圧力を決定するために使用できる。センサは、それらに通信可能に結合されるコントローラにそれらの出力を提供できる。システム200は、システムの様々な構成要素間の水素、水および/または窒素の移送を制御するための各種の弁も含むことができる。例えば、例示される構成要素の各々の入口および/または出口に1つまたは複数の弁を設けることができる。様々な接続ラインに沿って1つまたは複数の弁を設けることもできる。弁は、それらに通信可能に結合されるコントローラによって制御できる。コントローラは、センサからの入力および/またはユーザ入力に基づいてシステム200の状態を制御できる。
【0024】
図2Bは、水素出力ライン38を介してシステム200に接続される搭載貯蔵タンク50を含む水素車両を例示する。燃料補給車両は、推奨100バールの水素をその搭載水素貯蔵タンク50に残して分配器に接続する。典型的な車両は、搭載タンクに700バールまで燃料補給するためにほぼ5kgの水素を必要とする。このプロセスは、完了するのに典型的には1分~3分かかり得る。
図2Bにおいて、貯蔵容器1は、それが車両に燃料補給する準備ができている状態で例示される。この例では、供給容器1は、現在52kgの水素ガス11を864バールの圧力に保持している。供給容器1は、容器の底に24ガロンの水12も含む。いくつかの実施形態において、システム200は、貯蔵容器1内のガス圧力を750絶対バール以上に維持し。
【0025】
図2Cは、燃料補給プロセスおよび貯蔵容器1から燃料補給車の搭載貯蔵タンク50への水素ガスの移送を例示する。燃料補給動作を開始するために、コントローラは、例えば供給容器1のガス出力における弁を開くように動作させることができる。水素ガスは、供給容器1から燃料補給車両の搭載貯蔵タンク50に流れることができる。貯蔵容器1内の水素ガス11の圧力が燃料補給車両の搭載貯蔵タンク50内の水素ガスの圧力より高いので、水素ガスは貯蔵容器1から燃料補給車両に流れる。これは、水素乾燥機3への供給ライン28に沿っておよび燃料補給車両への出力ライン38に沿って破線によって示される。水素が貯蔵容器1から取り出されるにつれて、圧力は僅かに降下する。これは、高圧水ポンプ8により貯蔵容器1内に水12を移送して貯蔵容器に水を充填し直し、そのため水素圧力を再び上昇させるように、コントローラをトリガし得る。貯蔵タンク1内の水素のレベルが低いと判定されると、それは、本明細書において説明されるように、圧縮容器20を使用して、低圧源(例えば、タンクローリ)から再充填できる。高圧水ポンプ8は、圧縮容器内に水を移送することによって圧縮容器20内の水素を圧縮できる。圧縮容器20内の水素が作動圧力に達すると、それは貯蔵容器1内に放出できる。水素ガスが貯蔵容器1に入るにつれて、作動圧力を維持するために貯蔵容器から水を放出できる。貯蔵容器1の圧縮および充填の間、分配器は動作し続けることができる。
【0026】
図2Cの例示される例では、4kgの水素ガスが移送され、燃料補給車両の搭載貯蔵タンク50は、667バールまで充填された。貯蔵容器1からの4kgの水素ガスの喪失は、貯蔵容器1内の水素ガスの圧力の低下に至った。しかしながら、これは、高圧水ポンプ8で水タンク10から貯蔵容器1に水12を移送することによって補償された。水12の移送は、例えば、コントローラを使用して貯蔵容器1の水入口における弁を開き、次いで水ポンプ8をオンにすることによって達成できる。この動作は、給水ライン34に沿って破線によって示されるように、水タンク10から貯蔵容器1への水12の移送に至る。
図2Cに例示される例では、貯蔵容器1内の水の量は48ガロンに増加された。水12によって占められる貯蔵容器1の容積のこの増加は、残っている水素ガス11を857バールに加圧し、そのため燃料補給車両に移送されるガスの体積を補償した。しかしながら、貯蔵水素ガス11の(システム200の動作パラメータ内の)任意の所望の圧力を達成するように任意の量の水12を供給容器1に移送できることが理解されるべきである。
【0027】
水が水タンク10から引き出されるにつれて、酸素が水に入るのを防止するために窒素ブランケットを加えることができる。水が水タンクに戻されると、窒素ブランケットは、水によって吸収されたかもしれない水素を排出するために除去できる。
図2Cは、水タンクの上に窒素ブランケットを維持するために、および貯蔵容器1に移送された水12を補償するために、窒素ガスが水タンク10に加えられていることを例示する。これは、コントローラを使用して、窒素供給ライン40を介して窒素ガスがタンク内に移送されるのを可能にするように水タンク10の窒素入口における弁を動作させることによって達成できる。
【0028】
図2Dは、後続の燃料補給動作を行う間のシステム200の状況を例示する。この例では、システム200は、数台の車両に燃料補給した。貯蔵容器1内の水素ガス11の量は、現在18kgに減少された。一方、供給容器1内の水12の体積は213ガロンに増加された。供給容器1内の水12の体積の増加は、貯蔵容器内の水素ガスの量が52kgから18kgに減少されたという事実にもかかわらず貯蔵容器1内の水素ガス11の圧力を847バールに維持した。従来の水素燃料補給システムにおいては、貯蔵容器1からの水素ガスの喪失は、おそらく貯蔵容器内のガスの圧力を、もはや燃料補給車両の搭載タンク50に充填することが可能でないであろう値まで低減させたであろう。そのような従来のシステムにおいて、貯蔵容器1内の残っている水素ガスは、圧力を上昇させるように最初に容器に追加の水素ガスを加えなければ使用され得ない。システム200の例示される実施形態において、しかしながら、貯蔵容器1内の加えられた水12の体積は、水素ガスの圧力を、貯蔵容器1に残っている水素ガスの量に関係なくまだ燃料補給のために使用できるレベルに維持した。
【0029】
図2Eは、
図2Aのシステム200における圧縮容器20の動作を例示する。例示されるように、圧縮容器20は、現在5kgの水素ガス11を361バールの圧力に保持している。圧縮容器20は、現在13ガロンの水12も保持している。圧縮容器20は、貯蔵容器1に水素ガス11を再充填するために使用される。しかしながら、
図2Eに例示されるように、圧縮容器20内の水素ガスの圧力(361バール)は、現在、貯蔵容器1内の水素ガスの圧力(866バール)よりかなり低い。そのため、水素ガス11は、圧縮容器20から貯蔵容器1に流れないであろう。水素ガス11が圧縮容器20から貯蔵容器1に流れるために、圧縮容器内の水素ガスの圧力が最初に増加されなければならない。これは、水ポンプ8を使用して、水タンク10から圧縮容器20に水12を圧送することによって達成される。これは、コントローラを使用して圧縮容器20における水入口弁を開き、水ポンプ8をオンにすることによって達成できる。給水ライン32に沿った破線が、圧縮容器20内へ水が流れていることを示す。水が圧縮容器20内部の容積のより大きい部分を占めるにつれて、水素ガス11を圧縮する。いくつかの実施形態において、水素ガスは、400絶対バール以下で、または300絶対バール以下で、または200絶対バール以下で、または100絶対バール以下で圧縮容器20に注入される。いくつかの実施形態において、圧縮水素は、50絶対バール超で、または100絶対バール超で、または200絶対バール超で、または300絶対バール超で、または400絶対バール超で、または500絶対バール超で、または600絶対バール超で、または700絶対バール超で、または800絶対バール超で圧縮容器20から排気される。
【0030】
図2Fは、圧縮容器20から貯蔵容器1への加圧水素ガス11の移送を例示する。
図2Eに関して既述したように、水素ガス11を所望の量に加圧するために圧縮容器20内に水12が圧送される。
図2Fに例示されるように、内部の5kgの水素ガスを863バールの圧力まで加圧するように圧縮容器20内に十分な水12が圧送された。一旦圧縮容器20内の水素ガス11が十分に加圧されると、コントローラは、水素が移送ライン26を通って(破線によって示されるように)流れるのを可能にするように圧縮容器と貯蔵容器1との間の弁を開くことができる。いくつかの実施形態において、圧縮容器20と貯蔵容器1との間に逆止弁を設けることができる。水素ガス圧力は、高圧水を加えることによって圧縮容器20内で高まることができる。一旦圧縮容器20内の水素ガス圧力が貯蔵容器1内の水素ガス圧力を超えると、水素ガスは貯蔵容器1に移送できる。
図2Gに示されるように、貯蔵容器内の水素圧力を低下させて圧縮容器20からの水素ガスの移送を支援するために、貯蔵容器1内の水の一部を放出できる。
【0031】
図2Gは、水素貯蔵容器1の再充填を例示する。圧縮容器20から貯蔵容器1に水素ガスを再充填する動作の一部として、コントローラは、貯蔵容器の出口における排出弁を開いて、水12が排出されて水タンク10内に戻るのを可能にすることができる。これは、排水ライン36に沿って破線によって例示される。
図2Gにさらに示されるように、水ポンプ8は、貯蔵容器1から水が排出するのが可能にされる間に圧縮容器20内に水12を圧送し続けることができる。これは、圧縮容器20から貯蔵容器1に水素ガス11が移送されるのを可能にする。加えて、コントローラは、水タンクに水12を再充填するにつれて(窒素出力ライン42における破線によって示されるように)窒素を放出するために水タンク10における窒素ガス出口弁を開くことができる。
【0032】
図2Hは、比較的低圧の水素ガス源から圧縮容器20に再充填する動作を例示する。圧縮容器20に水素が再充填される必要があるとき、圧縮容器20内の圧力を著しく降下させることなくタンクローリから水素を引き出すように圧縮容器内の水12を徐々に放出できる。これは、再充填中の圧縮作業を低減させる。
【0033】
圧縮容器20が中にある水素ガスを貯蔵容器1に移送した後、それらの2つの容器間の弁を閉じることができる。加えて、コントローラは、ポンプ8に圧縮容器20内に水を圧送するのを中止させることができる。
図2Hは、水素供給ライン24に接続されるタンクローリ60を図示する。タンクローリ内の水素ガスの圧力は、比較的低い297バールであるとして例示される。コントローラは、圧縮容器20への水素入口弁を開く一方で排水弁も開く前にタンクローリ60および圧縮容器20内のそれぞれの水素ガス圧力が最初に(例えば、水素供給ライン24におけるおよび圧縮容器20内の圧力センサを使用して)比較的等しくされることを保証できる。これは、圧縮容器20から水12が(破線によって示されるように)排出ライン30を介して排出して水タンク10内に戻るのを可能にして、タンクローリ60からの水素ガス11を(水素供給ライン24に沿って破線によって示されるように)圧縮容器に再充填するのを可能にする。加えて、コントローラは、水タンクに水12を再充填するにつれて(窒素出力ライン42における破線によって示されるように)窒素を放出するために水タンク10における窒素ガス出口弁を開くことができる。
【0034】
図2Iは、圧縮容器20に水素ガスを再充填する動作の完了を例示する。図示されるように、圧縮容器20に、5kgの水素ガス11が、タンクローリ60の圧力に一致する圧力(296バール)で再充填された。加えて、5ガロンの水12以外は全て圧縮容器20から排出された。この状態で、圧縮容器20は、保持する水素ガス11を貯蔵容器1に移送することができるように、その水素ガス11を、水圧を使用して、再度圧縮する準備ができている。
【0035】
図2Jは、貯蔵容器1に水素ガス11を再充填する後続の動作を例示する。図示されるように、システム200は、再度水ポンプ8を使用して、増加された体積の水12を圧縮容器20へ圧入し、そのため圧縮容器内の水素ガス11を加圧する。圧縮容器20内の圧縮水素ガス11は、次いで本明細書に前記した方式で貯蔵容器1に移送される。
【0036】
図3は、水素ガスを圧縮、貯蔵および分配するためのシステム300の別の実施形態を例示する。システム300は、
図2A~
図2Jに関して以上で図示および説明されたシステム200と同様であるが、但しそれは、並列に組み合わされたシステム200の複数のインスタンスを含む。例えば、システム300は、複数の圧縮容器20、複数の貯蔵容器1、複数の分離システム(例えば、水素乾燥機3)および複数の液体システム(例えば、水ポンプ8、水タンク10)を含む。
図3に示されるシステム300は、各液体システムが各圧縮容器20および各貯蔵容器1内に水素ガスを制御可能に加圧できるように適切なライン、弁、センサおよびコントローラも含むことができる。加えて、各圧縮容器20は各貯蔵容器1を再充填でき、各貯蔵容器1は各分離システム3に水素ガスを出力して、最終的に分離システムのいずれかに接続される燃料補給車両に分配される。
【0037】
図4は、本明細書において説明される水素圧縮、貯蔵および/または分配システムのいずれかを含むことができる水素燃料補給所400の例を示す。
図4に示されるように、燃料補給所400は、1つもしくは複数のメタン水蒸気改質器システムからまたは電気分解もしくは他の手段を介して現場で水素ガスを生成できるか、あるいは燃料補給所は、タンクローリを介して送出される水素ガスを有することができる。燃料補給所400は、本明細書において説明されるように、改質器システムを冷却するためのおよび/または圧縮容器および貯蔵容器を加圧するための水を生成する浄水システムを含むことができる。いくつかの実施形態において、燃料補給所400は、タイプII水(蒸留水)またはタイプIII水(逆浸透浄化水)を使用する。燃料補給所400は、1つまたは複数の圧縮容器および1つまたは複数の貯蔵容器も含むことができる。いくつかの実施形態において、燃料補給所400は、水蒸気メタン改質器からの廃熱を使用して、生成された水素を中間値(例えば、400バール)に圧縮する低圧MH(金属水素化物)水素圧縮機のようなハイブリッド圧縮システムを含んでよく、次いで中間値(例えば、400バール)から高圧値(例えば、900バール)への高圧圧縮のための高圧水圧縮機(例えば、圧縮容器20)を使用し得る。ハイブリッド圧縮システムの別の実施形態は、電気化学式圧縮機または機械式圧縮機を使用して水素ガスを中間値(例えば、400バール)に圧縮してよく、次いで中間値から高圧値(例えば、900バール)への高圧圧縮のための水圧縮機(例えば、圧縮容器20)を使用できる。加えて、燃料補給所400は、センサ(例えば、圧力センサ、レベルセンサ、温度センサ等)から信号を受信する、および弁、ポンプ、モータ等を制御する制御センタを含むことができる。
【0038】
例示される実施形態において、取り出された水素を高圧水で補うことによって貯蔵水素が使用可能な圧力のままであるので、貯蔵水素の実質的に全て(例えば、75%超、または90%超、または95%超、または99%超)がアクセス可能である。対照的に、従来のシステムにおいて、圧力が降下して、もはや燃料補給車両に全圧力まで充填できないまで達する前に、貯蔵水素の約15%しか使用できない。従来のシステムが同じ総合容量を達成するために、より一層多くの追加の貯蔵空間を必要とすることになるであろうし、よって、より大きな物理的フットプリント、すなわち、設立された燃料補給所における割増金を必要とすることになるであろう。加えて、従来のシステムに使用される機械式ガス圧縮機は著しい維持管理を必要とする。水素を水圧で圧縮するために本明細書において説明される高圧水ポンプを使用することによって、より良好な潤滑および冷却を提供でき、そのため維持管理費を削減する。
【0039】
本発明がその好適な実施形態に関して説明されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの他の可能な変更および変形を行うことができることが理解されるはずである。
【0040】
他の考慮点
本開示を要約する目的で、本発明の一定の態様、利点および特徴が本明細書において説明されてきた。本発明のいずれかの特定の実施形態に従って必ずしも全てのそのような利点が達成され得るわけではないことが理解されるはずである。そのため、本発明は、本明細書に教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく本明細書に教示される1つの利点または一群の利点を達成または最適化する方式で具現化または実施され得る。
【0041】
実施形態が、添付図面に関連して説明されてきた。しかしながら、図は縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。距離、角度等は単に例示であり、必ずしも例示される装置の実寸法および配置との厳密な関係を裏づけるわけではない。加えて、前述の実施形態は、当業者が本明細書において説明される装置、システム、方法等を製作および使用するのを可能にする詳細なレベルで説明されてきた。多種多様な変形が可能である。構成要素、要素および/またはステップは、変更、追加、削除または再配置され得る。
【0042】
本明細書において説明される装置および方法は、有利には、例えばコンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェア、ハードウェアおよびファームウェアの任意の組合せを使用して少なくとも部分的に実装できる。ソフトウェアモジュールは、本明細書において説明される機能を行うための、コンピュータのメモリに記憶される、コンピュータ実行可能コードを備えることができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能コードは、1つまたは複数の汎用コンピュータによって実行される。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、汎用コンピュータ上で実行されることになるソフトウェアを使用して実装できるいかなるモジュールも、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアの異なる組合せを使用しても実装できることを認識するであろう。例えば、そのようなモジュールは、集積回路の組合せを使用してハードウェアで完全に実装できる。代替的または追加的に、そのようなモジュールは、汎用コンピュータによってよりもむしろ本明細書において説明される特定の機能を行うように設計された専用コンピュータを使用して完全または部分的に実装できる。加えて、コンピュータソフトウェアによって少なくとも部分的に実施される、またはされ得る方法が説明される場合、そのような方法は、コンピュータまたは他の処理装置によって読み取られると、同方法を実行させる非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、CDまたはDVDのような光ディスク、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、ディスケット等)上に提供できることが理解されるべきである。
【0043】
とりわけ「can(~できる、~であり得る、他)」、「could(~であり得る、他)」、「might(~であり得る、他)」、「may(~してよい、~であり得る、他)」、「e.g.(例えば)」等のような、本明細書において使用される条件付き言語は、特に別段に説明されない、または使用される文脈内で別段に理解されない限り、一定の実施形態が一定の特徴、要素および/またはステップを含む一方で、他の実施形態が一定の特徴、要素および/またはステップを含まないことを伝えると一般に意図される。そのため、そのような条件付き言語は、特徴、要素および/もしくはステップがいかなる形であれ1つもしくは複数の実施形態のために必要とされること、または1つもしくは複数の実施形態が、著者による入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/もしくはステップが含まれているか、もしくは任意の特定の実施形態において行われることになるかを決定するための論理を必ず含むことを意味するとは一般に意図されない。「comprising(備える)」、「including(含む)」、「having(有する)」等の用語は同義であり、オープンエンドで包括的に使用され、追加の要素、特徴、行為、動作等を排除しない。また、「or(または)」という用語は、その包括的な意味で(その排他的な意味でなく)使用され、そのため例えば、一連の要素を接続するために使用されると、「or」という用語は、列挙された要素の1つ、いくつかまたは全てを意味する。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲に使用される冠詞「a」、「an」および「the」は、別途明記されない限り「1つまたは複数の」あるいは「少なくとも1つの」を意味すると解釈されるはずである。
【0044】
本開示に記載される実装例への様々な変更は、当業者に直ちに明らかであり得、本明細書に定められる一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実装例に適用され得る。そのため、特許請求の範囲は、本明細書に示される実装例に限定されると意図されるのではなく、本開示、本明細書に開示される原理および新規な特徴に一致する最も広い範囲を与えられるはずである。
【符号の説明】
【0045】
1 貯蔵容器
3 水素乾燥機
4 分配器
5 水素制御弁
6 圧縮機
7 水制御弁
8 水ポンプ
10 水タンク
11 水素
12 水
13 レベルセンサ
20 圧縮容器
22 窒素
24 ガス供給ライン
26 ガス移送ライン
28 ガス移送ライン
30 排水ライン
32 給水ライン
34 給水ライン
36 排水ライン
38 ガス出力ライン
40 窒素供給ライン
42 窒素出力ライン
50 搭載貯蔵タンク
60 タンクローリ
100 水素圧縮、貯蔵および分配システム
200 水素圧縮、貯蔵および分配システム
300 水素ガスを圧縮、貯蔵および分配するためのシステム
400 水素燃料補給所
【国際調査報告】