(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】鉱物資源の選鉱、動員、抽出、分離、及び濃縮のための高度な選鉱プロセス
(51)【国際特許分類】
C22B 7/00 20060101AFI20241115BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20241115BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20241115BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20241115BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20241115BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20241115BHJP
G21F 9/10 20060101ALI20241115BHJP
C22B 59/00 20060101ALI20241115BHJP
C22B 60/02 20060101ALI20241115BHJP
C22B 5/14 20060101ALI20241115BHJP
C22B 4/08 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
C22B7/00 E
B01J19/08 E
B01J8/24
B01J19/12 C
G21K5/02 X
H05H1/24
G21F9/10 A
C22B59/00
C22B60/02
C22B5/14
C22B4/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523883
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022046755
(87)【国際公開番号】W WO2023069325
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296413
【氏名又は名称】アドバンスド フュージョン システムズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バーンバッハ,カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ジョイス,ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2G084
4G070
4G075
4K001
【Fターム(参考)】
2G084AA19
2G084AA20
2G084CC27
2G084FF27
2G084FF29
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CB13
4G070CB18
4G075AA22
4G075AA42
4G075BA10
4G075BB05
4G075CA14
4G075CA38
4G075CA43
4G075CA47
4G075DA02
4G075EA01
4G075EB01
4K001AA39
4K001BA01
4K001BA21
4K001CA02
4K001CA49
(57)【要約】
流動床分離、反応性X線化学プロセス装置を使用したプラズマベースの化学反応の刺激または強化、化学反応及びプロセスのフィールド強化、ならびに乾燥を含む一連のプロセスの1つ以上を使用することを含む、鉱物物質を選鉱するための方法。すべてのプロセスは、単独で、共同で、同時に、または複数の段階で順番に使用することができる。この方法はほぼ無公害であり、汚染を引き起こす湿式化学及びその他の選鉱技術に代わるものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物物質を選鉱するための方法プロセスであって、
流動床プロセスを使用して、前記鉱物物質に対して少なくとも1回の分離を実行すること、及び
プラズマベースのプロセスを使用して、前記鉱物物質に対して少なくとも1回の化学反応を実行することを含む、前記方法プロセス。
【請求項2】
前記鉱物物質が、ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鉱物物質には、i)ランタニド鉱石、ii)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む尾鉱、iii)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む採鉱作業の副産物、ならびにiv)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む採鉱プロセスの廃棄物ストリームのうちの少なくとも1つが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記鉱物物質が、流動床濃縮器に原料として投入され、その中で流動床プロセスが発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流動床濃縮器が、密度に応じて前記鉱物物質の成分を分離する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマベースのプロセスが、反応性X線化学プロセス装置(RXCP)を使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流動床プロセス及びプラズマベースのプロセスの両方が、ユニバーサル化学プロセス装置機器(UCP)内で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
i)前記流動床プロセスによって分離された物質のうちの1つを乾燥すること、またはii)前記プラズマベースのプロセスを使用して前記鉱物物質に対して化学反応を起こすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流動床プロセスまたは前記プラズマベースのプロセスのいずれか1つの間に、電界及び磁界の少なくとも1つを印加して化学反応を強化することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
鉱物物質を選鉱するための方法であって、
前記鉱物物質を、反応容器に投入すること、及び
X線によってプラズマを発生させるプラズマベースのプロセスを使用して、前記鉱物物質に対して少なくとも1回の化学反応を実行することを含む、前記方法。
【請求項11】
前記分離により前記鉱物物質から放射性物質が除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記分離により前記鉱物物質からランタニド元素が除去される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は化学工学に関し、特に鉱物資源をほぼ無公害で選鉱する方法及びシステムに関する。
【0002】
定義
酸性鉱山廃棄物:酸性鉱山水とも呼ばれ、どちらの場合もAMWと略される。これは、鉱山からの流出または採鉱作業における酸性選鉱プロセスによって汚染された地下水である。この液体は、多種多様な化学物質によって高度に汚染されており、重大な汚染源となっている。
【0003】
アクチニド:周期表の原子番号89~103の位置を占め、さまざまな程度に天然放射性である化学元素。この文書の目的において、原子番号88のラジウム、及び理論的にはランタニドであるが、原子番号61の天然放射性元素でもあるプロメチウムは、アクチニドに含める。多くの場合、これらの元素はさまざまな比率で一緒に見出されることから、その後の分離プロセスを複雑にすることに留意されたい。
【0004】
選鉱:鉱物資源または冶金資源の特性を、商業及び工業目的に適した生成物に高めるプロセスまたは一連のプロセス。
【0005】
濃縮:媒体内の他の望ましくない元素または化合物を除去することによって、媒体内の元素または化合物の割合を増やす化学的または機械的なプロセス。
【0006】
乾燥機:この文書の文脈において、「乾燥機」という専門用語は、化学プロセスに熱エネルギーを適用して、前記化学物質から水またはその他の望ましくない液体成分を除去する手段を指す。適切な作業のために適切な配慮がなされている限り、乾燥機の物理的コンポーネントは、所定のシステム内で他の機能も持つことに留意されたい。
【0007】
ドライケミストリー:本明細書で使用される「ドライケミストリー」という用語は、溶液ではなくプラズマが発生するプロセスを指す。これらは、排出される汚染物質が少なく、修復もはるかに簡単である。これはまた、粉砕、研削、スクリーニング、選別などの他の鉱物選鉱プロセスを指す場合にも使用することができるが、これらのプロセスは液体浴で実行されることもなく、その作業によって大量の汚染物質が生成されることもない。
【0008】
電磁界:説明を簡単にするために、本明細書で「電磁界」という用語が単独で使用されている場合、それは電界のみ(E)、磁界のみ(H)、静電界、またはこれらの組み合わせのいずれかを意味する。
【0009】
抽出:特定の元素または化合物を周囲のマトリックスから分離するように設計された化学プロセスまたは一連のプロセス。
【0010】
原料:システムによって実行されるプロセスによって変更(分離、化学的改変、分解、滅菌など)されることが意図されている、システムに投入される出発物質。原料は、粒状固体、液体、気体、またはプラズマを含み得る。
【0011】
フィールド強化:この文書の文脈において、「フィールド強化」という専門用語及びその派生語は、そのようなフィールドの存在が、意図的に印加された電界及び磁界の存在下で発生する、特定の装置内で行われる反応のいくつかの側面を強化することを指す。
【0012】
フラッシュX線照射装置:内部の反応ゾーン内で、物質を分解、殺菌、または反応させる目的で、極めて高い放射線レベルを発生できる円筒形の大面積X線源。フラッシュX線照射装置は、RXCPの前身となる技術であり、米国特許第8,019,047号「Flash X-ray Irradiator」(以下、’047特許またはFXI)に記載されている。’047特許は、いかなる目的においてもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
フロキュレーション:化学凝固剤を浴槽に加え、粒子間の結合を促進して、分離しやすい大きな凝集体を作成する化学プロセス。粒子は、フロックまたはフレーク(同義の専門用語)の形で懸濁液から取り出される。この作用は、沈殿とは異なり、フロキュレーション前には、粒子は液体中に安定した分散液の形で単に懸濁しているだけで、溶液中に完全に溶解しているわけではない。
【0014】
浮選:1つ以上の目的の化合物または元素を含む溶液を、特定のpH及び組成の化学浴と混合し、目的の化合物または元素を表面に浮かび上がらせ、スキマーまたは同様の装置で除去できるようにする化学プロセス。浮選後、目的の化合物または元素は洗浄され、乾燥されるか、場合によっては、追加の湿式処理に供され、所望の化合物または元素が抽出される。
【0015】
流動床:適切な条件下で、流体(液体、気体、またはプラズマ)が一定量の粒状固体粒子媒体(通常は保持容器内に存在する)を巻き込み、流体として挙動する粒状固体/流体混合物を生成するときに発生する物理現象であり、これを粒子媒体の流動化と称する。これは通常、加圧された流体、気体、またはプラズマを、粒子媒体を介して導入することによって達成される。この得られた固体/流体混合物は、重力下で自由に流れる能力や、流体タイプの技術を使用してポンプで送ることができる能力など、通常の流体の多くの特性と特徴を備えている。流動床は、化学反応を促進するために使用され、上記の発明のように密度及び粒度に基づいて物質を分離するためにも使用することができる。
【0016】
流動床濃縮器:流動床技術の側面を利用して、粒度及び密度に基づいて原料の物理的な分離を達成する機械装置。FB濃縮器またはFB分離器とも称される。
【0017】
流動化媒体:流動床に注入され、床媒体の流動化を行う粒状固体、液体、気体、またはプラズマ。
【0018】
フッ化アパタイト:一部の肥料、リン酸、フッ化水素酸、及びリン酸石膏が生成される鉱石。その化学式は、Ca5F(PO4)3である。これは、通常は、ヒドロキシアパタイト[Ca5(PO4)3OH]との組み合わせで見受けられる。
【0019】
ランタニド:希土類元素として知られ、周期表の原子番号57~71の位置を占める化学元素、ならびにスカンジウム(原子番号21)、及びイットリウム(原子番号39)。
【0020】
浸出:原料を別の化学物質(通常は強酸、塩基、バクテリア、または塩であるが、必ずしもそうとは限らない)と混合して、目的の化学物質を動員する化学プロセス。目的の化学物質が溶液に入り、その後の処理ステップで使用できるようになる。
【0021】
配位子:配位子は、中心原子に結合して配位錯体を形成するイオンまたは分子である。錯体中の配位子は、配位子の置換速度、配位子自体の反応性、及び酸化還元など、中心原子の反応性を決定する。配位子選択は、配位子が関与するほとんどの反応において重要な考慮事項である。
【0022】
動員:鉱物資源内の複合体から目的の元素または化合物を遊離させ、さらなる選鉱を可能にする化学プロセス。
【0023】
変調:アナログ弁などのアナログ機器の設定を連続的に調整する(つまり、完全に閉じた状態から部分的に閉じた状態/開いた状態から完全に開いた状態へ)。
【0024】
リン酸石膏:肥料、リン酸、及びフッ化水素酸の製造におけるフッ化アパタイトの精製時に生じる副産物。化学的には、これは硫酸カルシウム(CaSO4・2H2O))の水和物である。この物質には、回収可能な量の希土類元素(ランタニド)及び一部の放射性元素(アクチニド)も含まれている。
【0025】
リン酸:化学物質H3PO4は、一部の肥料の製造に使用され、また多くの化学反応、ならびに一部の食品、化粧品、及び歯磨き粉の製造にも使用される。
【0026】
プラズマ:プラズマは、(固体、液体、気体以外の)第4の物質の状態である。これは、1つ以上の電子が除去されているのが特徴で、液体及び気体の両方の性質を示す。プラズマは、DC励起、RF(及びマイクロ波)励起、ならびにX線、ガンマ線、及び高エネルギー二次電子による励起を含むが、これらに限定されないさまざまな手段によって生成される。本発明は、主にイオン化の手段としてのX線の使用に関する。X線はエネルギーが非常に高いため特に有用であり、単一の光子を特定の反応で複数回使用することができ、これには高エネルギー二次電子の生成も含まれ、二次電子自体も、エネルギーが十分に高ければ反応を刺激するのに役立つ。これは、本発明が企図する多くの反応に必要な条件である、全イオン化を達成するための最も単純な手段でもある。
【0027】
沈殿:1つ以上の目的の化合物または元素を含む溶液を、容器内で特定のpH及び組成の化学浴と混合し、目的の化合物または元素を容器の底に沈め、そこからいくつかの周知の手段のいずれかで除去できるようにする化学プロセス。
【0028】
希土類元素:ランタニド、原子番号21のスカンジウム、及び原子番号39のイットリウムを含む元素群(原子番号57~71)。
【0029】
反応性X線化学プロセス装置:X線放射を使用して存在する種をイオン化し、プラズマ環境での反応を促進することで反応条件を強化するように設計された化学プロセス装置の一種。このプロセス装置は、「Method and Apparatus for Inducing Chemical Reactions by X-ray Irradiation」と題された米国特許第9,406,478号に開示されている(以下、’478特許及び/またはRXCP)。’478特許は、いかなる目的においてもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ユニバーサル化学プロセス装置(UCP)も参照されたい。
【0030】
スクリーニング:スクリーンを使用して、粒状物質を、粒度別に複数の等級に機械的に分離する方法。スクリーンは、穴のサイズよりも小さい粒子が通過できる、均一な密集した穴のパターンを持つ表面である。スクリーニングは、重力、振動、密度、または静電技術を使用して実行することができる。
【0031】
分離:化学的に類似した化合物を分離するために設計された、化学的もしくは機械的なプロセス、または一連のプロセス。
【0032】
沈降(堆積):目的の化合物または元素が、時間の経過とともに容器内の混合物から(通常は重力により)沈んでいき、追加の化学物質を使用しない、沈殿に似たプロセス。目的の化合物または元素は、その後、周知の手段によって容器から収集することができる。
【0033】
ふるい分け:精密スクリーンを使用して粒度に基づいて物質を分類する実験室手順であるスクリーニングのサブセット。American Society for the Testing of Materials(ASTM)が画面サイズを定義している。これらは通常「メッシュ」で表され、つまり、200メッシュ、50メッシュなど。
【0034】
スタック:リン酸石膏は、通常、「スタック」と呼ばれる非常に大きな山にして屋外に保管される。スタックの大きさは数十エーカーに及ぶことが多く、高さは数百フィートになる場合もある。
【0035】
尾鉱:鉱山採鉱作業の選鉱プロセスから残った物質。
【0036】
増粘:名前が示すように、増粘とは溶液、液体、スラリーなどの粘度を増加させるプロセスである。低粘度でもうまく機能する化学プロセスもあれば、高粘度を必要とする化学プロセスもある。増粘は、処理のさまざまな段階で物質の粘度を制御する信頼性の高い方法を提供する。
【0037】
ユニバーサル化学プロセス装置:ユニバーサル化学プロセス装置(UCP)は、同一所有者の米国特許出願第_______(代理人整理番号02525/010124)の主題であり、同一所有者の’478特許の主題である反応性化学プロセス装置(RXCP)の高度な技術的に強化された形式である。UCPは、RXCPを含み、流動床をサポートし、電磁界を生成することで強化することもできる反応器である。この文書でRXCPについて言及されている箇所はいずれも、必要に応じてUCPに置き換えることが可能である。同様に、UCPには、同一所有者の米国特許出願第_______(代理人整理番号02525/010125)の流動床(FB)の機能も組み込まれており、これも技術的な強化を含む。この文書では、UCPの包括的な説明が提供されている。
【0038】
湿式化学:本明細書で使用される「湿式化学」という用語は、液体の媒体及び状態で実行される化学プロセスを指す。鉱物鉱石、尾鉱、廃棄物、及び副産物の処理に使用される場合、一般的には、大量の強酸、強塩基、アミン、及び生物製剤を利用するプロセスを指す。湿式プロセスは、一般に汚染がひどく、修復には費用がかかる。
【背景技術】
【0039】
採鉱は、太古の昔から人類に数多くの利益をもたらしてきた。考古学的記録に残る最古の既知の鉱山は、スワジランドのングウェニャ鉱山であり、放射性炭素年代測定では、約43,000年前のものであることが示されている。旧石器時代の人類は、そこで赤鉄鉱を採掘し、それを加工して赤色顔料の黄土を作った。青銅器時代、鉄器時代、鋼鉄の発達、貴金属(金、銀など)の抽出は、いずれも有用な化学処理を必要とし、現代の技術社会の発展に大きく貢献した。最近では、現代のコンピューターや通信技術の出現により、希土類元素を含むより広範囲の鉱物の確実な供給が緊急に必要となっている。残念なことに、採鉱は、環境汚染の最大の原因の一つでもある。従来、採鉱では、鉱石中に存在する他の鉱物や元素から化学的かつ機械的に目的の鉱物及び元素を分離するために、「湿式」プロセスと称されるいくつかのプロセスが使用される。これらのプロセスは「選鉱」と総称され、鉱石中の目的の鉱物の利益を「得る」ことを意味する。伴われる従来の選鉱プロセスとしては、浸出、剥離、沈殿、沈降、浮選、堆積、フロキュレーション、濃縮、動員、スクリーニング、及び増粘などが挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、これらのプロセスは、強酸(硫酸、硝酸、塩酸、フッ化水素酸など)、強アルカリ(苛性ソーダ(NaOH)、生石灰(CaO)、アンモニア(NH3)、ソーダ灰(Na2CO3)、石灰石(CaCO3)など)、濃縮塩(塩化カリウムなど)、さまざまなアミン他、有毒で汚染度の高い化学物質を使用する大規模な液体化学作業(大型の液体槽、タンク、または池など)に基づいている。これらの化学物質は、所望の化学反応を効率的に生成することができるが、選鉱プロセス中に液体が高度に汚染され、環境に配慮した方法で処分することが非常に困難であり、費用もかかる。
【0040】
希土類鉱物原料を処理する場合、ほとんどの場合、原料鉱石は、ウラン、ラジウム、及びトリウム、ならびに娘同位元素、ならびにその他の望ましくない化学物質も含む鉱床で発見されることを認識しておく必要がある。これはこれらの物質の残念な特性であり、米国がこれらの重要物質の一次処理から遠ざかっている1つの理由であり、もう1つの理由は、既知の処理方法によって大量の有毒な副産物が生成されることである。
【0041】
湿式化学プロセス及び希土類選鉱に関連する環境問題のため、米国では希土類処理はほとんど行われていない。希土類鉱物はハイテク製造業にとって極めて重要であるにもかかわらず、環境規制を遵守しながら希土類元素を含む物質を選鉱することが困難で費用がかかりすぎることが判明したため、米国は1980年代に採掘及び希土類処理における世界的な支配的地位をほぼ放棄した。希土類鉱物の鉱床が多く、環境規制も少ない中国は、その後、希土類元素の最大処理国となった。世界的に、重要な希土類資源を保有する多くの企業は、国内での物質処理及びその活動による有毒な副産物の取り扱いを避けるために、採掘した鉱石を中国やその他1~2ヶ国に処理のために送っている。
【0042】
米国がこの市場において自給自足の立場に戻る必要があるという認識が生まれたのは、ごく近年のことである。しかし、希土類選鉱における最先端の技術は、依然として同じ環境問題を抱えた湿式化学プロセスのままである。したがって、限定するものでないが特に希土類鉱物のための、選鉱技術の改善が大いに必要とされている。
【発明の概要】
【0043】
一態様によれば、本開示は、流動床プロセスを使用して、鉱物物質に対して少なくとも1回の分離を実行し、プラズマベースのプロセスを使用して、鉱物物質に対して少なくとも1回の化学反応を実行することを含む、鉱物物質の選鉱方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、鉱物物質には、ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つが含まれる。より具体的には、鉱物物質には、i)ランタニド鉱石、ii)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む尾鉱、iii)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む採鉱作業の副産物、ならびにiv)ランタニド及びアクチニドの少なくとも1つを含む採鉱プロセスの廃棄物ストリームのうちの少なくとも1つが含まれ得る。
【0045】
この方法によれば、鉱物物質は、流動床濃縮器に原料として投入され、その中で流動床プロセスが発生する。流動床濃縮器は、密度に応じて鉱物物質の成分を分離する。
【0046】
いくつかの実施形態では、プラズマベースのプロセスは、反応性X線化学プロセス装置(RXCP)を使用して実行される。一部のプロセスでは、流動床プロセス及びプラズマベースのプロセスの両方が、ユニバーサル化学プロセス装置機器(UCP)内で実行される。
【0047】
本開示はまた、鉱物物質を反応容器に投入し、プラズマがX線によって生成されるプラズマベースのプロセスを使用して、鉱物物質に対して少なくとも1回の化学反応を実行することを含む、鉱物物質の選鉱方法も提供する。
【0048】
本開示の多数の追加の発明の態様が、以下の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本開示の一実施形態による非汚染的鉱物選鉱のための例示的なシステムの概略ブロック図である。
【
図2】リン酸石膏からウラン及びラジウムを除去するように適合された、本開示の一実施形態による非汚染的鉱物選鉱のための別の例示的なシステムの概略ブロック図である。
【
図3】本開示による鉱業の選鉱プロセスで使用できる流動床濃縮器の実施形態の概略断面図である。
【
図4】流動床濃縮器を用いた本開示による例示的な分離プロセスの第1段階を示す概略断面図である。
【
図5】流動床濃縮器を用いた本開示による例示的な分離プロセスの第2段階を示す概略断面図である。
【
図6】流動床濃縮器を用いた本開示による例示的な分離プロセスの第3段階を示す概略断面図である。
【
図7】本開示に従って鉱物資源の選鉱に使用できる反応性X線化学プロセス装置(RXCP)の実施形態の断面図である。
【
図8】本開示に従って鉱物資源の選鉱に使用できるユニバーサル化学プロセス装置(UCP)の実施形態の断面図である。
【
図9】本開示の実施形態によるUCPプランの簡略化された概略断面図であり、流動床作業用の原料インジェクターとして使用するために改造された例示的な反応物インジェクターを示している。
【
図10】本開示の実施形態によるUCPの簡略化された概略断面図であり、UCP内の触媒の例示的な配置を示している。
【
図11】本開示によるUCP及び制御システムを含むシステムの実施形態を示す概略図である。
【
図12】本開示の実施形態によるUCPの断面図であり、UCP内で生成されたプラズマが、静電界強化を使用して閉じ込められている。
【
図13】本開示の実施形態によるUCPの断面図であり、UCP内で生成されたプラズマが、電磁界強化を使用して閉じ込められている。
【
図14】本開示の実施形態による、X線を使用しないプラズマ強化流動床用の例示的な電極構成を有するUCPの簡略化された概略断面図である。
【
図15】加熱/電極素子を有する本開示の実施形態によるUCPの概略断面図である。
【
図16】本開示に従ってホストコンピュータを使用して選鉱プロセスを制御するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
鉱業の現在の慣行では、浸出、浮選、沈殿、フロキュレーション、及び沈降などの「湿式」プロセスを使用して選鉱が実施される。これらのプロセスは、典型的には、大量の強酸(典型的には、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、塩酸(HCl)、フッ化水素酸(HF)など)、強アルカリ(苛性ソーダ(NaOH)、生石灰(CaO)、アンモニア(NH3)、ソーダ灰(Na2CO3)、石灰石(CaCO3)など)、バクテリア、またはその他の塩溶液を必要とする。これらのプロセスの最後には、多種多様な有毒化学物質に汚染された大量のこれらの化学物質が残り、重大な汚染の脅威となる。この廃棄物を修復するにはコストがかかり、得られる生成物の総コストが増加する。さらに、選鉱作業では、大量の汚染された処理水が生成されることが多く、これらは相当量の処理を行わなければ放出することができない。要するに、鉱業で行われる分離及び関連プロセスは、鉱業で生成される有毒廃棄物の相当な部分の発生の原因であり、無公害の代替品に置き換えることで、長年の課題は解決されるだろう。
【0051】
本開示は、鉱物資源を非汚染的(non-contaminating)かつ非汚染的(non-polluting)に選鉱する方法及びシステムを提供する。さまざまな実施形態では、1つ以上の流動床濃縮器及び反応性X線化学プロセス装置(RXCP)、ならびに他の非汚染性装置及びプロセスが、原料物質を分離、濃縮し、化学反応及び熱伝達に供することができるシステムに組み合わされ、システム内のこれらのプロセスの最終生成物は非汚染性である。いくつかの実施形態では、流動床濃縮器及びRXCPが、同時に出願された米国特許出願シリアル番号__________(代理人整理番号00501/010125)に記載されているユニバーサル化学プロセス装置(UCP)と称される単一の装置に組み合わされている。
【0052】
前述のように、既存の湿式化学に基づく冶金選鉱プロセスを、より環境に優しい、より高度な一連のプロセスに置き換える長年の必要性があった。既存の湿式化学プロセスを置き換えるには、同じまたは同様の最終結果を達成しながらも、長期的な汚染物質を生成しない代替技術を実装する必要がある。冶金物質の選鉱には多数のプロセスが伴うことから、広範囲のプロセスに容易に適応でき、新しいプロセスが進化しても容易に適応できる化学反応手段が必要である。
【0053】
プラズマ処理は、湿式化学プロセスに代わる非常に実行可能な手段であることが実証されている。RXCPは、閉じ込められた反応ゾーン内で制御可能なプラズマを生成する能力を備えており、多数の既存の反応プロセスに対処する手段を提供する。プラズマ及び/またはフィールドベースのアプローチにはいくつかの利点があるが、そのうちの1つは、これらのアプローチでは通常、液体または固体の汚染副産物がほとんど生成されないことである。生成される気体状の副産物はすべて、ガススクラバー、HEPAフィルター、及び熱分解装置を使用して修復し、環境汚染を防ぐことができきる。追加の安全対策として、残留ガス質量分析計を使用してガススクラバー及び熱分解装置の排出物を分析することで、大気中に汚染物質が放出されないことを確認することができる。このように、プラズマベースの化学プロセスを鉱業の選鉱に適用することで、この分野におけるより優れた、より安全な化学反応プロセスに対する長年の必要性に対処することができる。
【0054】
以下でさらに説明するように、流動床技術は、非汚染的分離プロセスを提供する別の方法を提供する。従来の流動床の簡易化版(以下、「濃縮器」と称する)を使用することができる。多くの適用では複数の流動床の段階を必要とするため、この簡易化されたアプローチは重要であり、流動床の設計を簡易化することで、より低コストの設置が可能になる。この適用で使用される流動床の本質的な性質は、汚染物質を生成する手段がないことであり、これは、分離に対する既存の湿式化学アプローチとは大きく異なる。
【0055】
プラズマベース、流動床、及びその他の技術的アプローチをさまざまな構成及び順列で組み合わせることで、事実上、既存のあらゆる冶金選鉱プロセスを、非汚染的代替手段に置き換えることができる。冶金選鉱は、典型的には、反応プロセス、乾燥、または分離プロセスのいずれかに分類できる一連の作業として実行される。多くの段階を伴うことが多く、工場の構成が複雑になる。本開示は、同等の処理ラインナップを達成するための「ビルディングブロック」について説明する。個々の要素、すなわち、フラッシュX線照射装置(FXI)を含む反応性X線化学プロセス装置(RXCP)、ユニバーサル化学プロセス装置(UCP)、及び/または流動床(FB)、ならびに電磁界強化及び乾燥用のコンポーネントは、必要な回数だけ、また必要な数だけ組み合わせて繰り返すことができ、各特定の反復は、特定の湿式化学プロセスをミラーリングするように調整されるか、または新しい「乾式」プロセスを実行するように調整される。この「ビルディングブロック」アプローチは、これら両方の装置を大量生産環境に移行させることで製造の効率化を可能にするため、望ましい。
【0056】
図1は、本開示による鉱物物質の非汚染的選鉱のための例示的なシステムを例証する概略ブロック図である。例示的なシステム10は、粉砕、研削、スクリーニング、及びふるい分けなどの他の既知の非汚染プロセスと一緒に組み合わせて、鉱物原料投入物を所望の出力物に処理し、特に、湿式化学タイプの浸出プロセスを使用せずにマトリックスから放射性鉱物(アクチニド)を分離するために使用できる、いくつかの異なる装置を含む。システム10の第1の段階において、低品位の鉱物原料が、装置の組み合わせの「前処理」機器に投入される。この場合、鉱物原料は、ウラン、ラジウム、またはその他の望ましくない化合物を含む低品位の鉱石または類似物質である。前処理段階とは、本開示に従って、実施される特定のプロセスに応じて、プラズマベース及び流動床装置を使用して処理するための物質を準備するために既存の装置を使用することを示す。実施に応じて、前処理装置には、とりわけ、さまざまなタイプのスクリーナー及び濾過装置が含まれ得る。スクリーナーは、スクリーンを使用して、粒状物質を、粒度別に複数の等級に分離する。スクリーンは、穴のサイズよりも小さい粒子が通過できる、均一な密集した穴のパターンを持つ表面である。スクリーナーは重力、振動、密度、または静電技術を採用することができる。粉砕、研削、スクリーニング(上記参照)、及び乾燥(マイクロ波及び従来法を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない手順を実行するために、他の装置を前処理段階及び後処理段階に使用することができる。これらはすべて非汚染的プロセスであり、この新しい選鉱パラダイムに含めることが許容され、必要であると考えられる。より一般的には、粉砕、選別、ふるい分け等などの機械的プロセスを、本明細書に記載の技術と組み合わせて使用して、包括的な鉱物学的選鉱スキームを達成できることは、当業者には明らかであろう。これらのプロセスは、特定の処理方式を実装するために必要に応じて、プラズマベース、放射線ベース、フィールド強化ベース、及び流動床プロセスと、さまざまな方法(前処理、後処理、または中間プロセスとして)で組み合わせることができる。
【0057】
図1のシステムでは、鉱物原料が前処理された後、RXCP装置15に投入される。以下でさらに説明するように、RXCP装置は、流動床及びその他の動作モードもサポートするユニバーサル化学プロセス装置(UCP)に組み込むことができる。(注:RXCPと記載されている箇所は、必要に応じてUCPに置き換えることが可能)。定義で述べたように、RXCPは、参照により組み込まれている同一所有者の米国特許第9,406,478号に詳細に開示されているが、いずれにしても以下でより詳細に説明される。RXCPは、中空の円筒形のX線源を使用して、RXCPに投入される物質をイオン化する。イオン化された状態では、物質は、RXCPの運転パラメータによって制御され得る化学反応に供される。この段階でのRXCP15の使用は、硫化水素ガス(H
2S)及び酸素(O
2)を含む反応物がRXCPに投入されるため、硫酸(H
2SO
4)を使用する従来の浸出プロセスの代替として考えられ得る。さらに、従来の硫酸浸出ステップをRXCPでの原料の反応に置き換えることで、湿式浸出に関連する廃棄物を排除しながらスループットが向上する。
【0058】
図1を引き続き参照すると、第1のRXCP15での反応に続いて、流動床濃縮器20またはその他の分離手段を使用して、生成物が分離される。流動床濃縮器は、濃縮器内に維持される流動床の特性を利用して、そこに投入された物質を密度によって分離する。流動床は、従来の湿式化学沈殿段階の代わりとなる。この段階でも、スループットが向上し、有毒廃棄物が排除される。流動床濃縮器20から排出される分離の出力ストリームのうちの1つ(例えば、高密度の成分を含む)は、ウラン成分の沈殿を引き起こす別のプロセスを実行する第2のRXCP25に投入される。RXCP25では、酸素が水に加えられ、(従来の湿式化学プロセスでは過酸化水素が液体状であるのと対照的に)プラズマ形態の過酸化水素が生成される。いくつかの実施形態では、分離及び沈殿ステップは、流動床とRXCPの特徴を組み合わせたUCP30によって実行され得ることに留意されたい。沈殿後、生成物は、例えば、マイクロ波オーブン装置35を使用して乾燥される。上記の説明は、鉱物物質が連続的に供給され、その結果、その物質が連続的に処理される連続モードでの処理に適合していることに留意されたい。収集された有限の供給原料を伴うバッチモードでは、流動床及びRXCPコンポーネントの任意の連続シーケンスを単一のUCPに組み合わせることができるため、システムは簡素化され、処理シーケンスで時間の経過とともに異なる作業を実行するように切り替えたり、一連の個別装置プロセスステップで実行したりすることができる。
【0059】
図2は、リン酸石膏からウラン及びラジウムを除去するように適合された、本開示の一実施形態による非汚染的な鉱物物質の選鉱のための別の例示的なシステムを例証する概略ブロック図である。リン酸石膏(CaSO
4・2H
2O)は、リン酸ベースの肥料製造の副産物であり、有用な成分を含んでいるが、少量のウランとラジウムが含まれているため、現在は利用されていない。
図2に示すシステムでは、肥料製造現場で一般的であるリン酸石膏スタックから採取され得るか、または肥料/フッ化水素製造プロセスから直接採取され得るリン酸石膏物質が、第1のRXCP55に原料として投入される。RXCP55では、物質は、典型的には硫化水素(H
2S)と酸素(O
2)の存在下で化学反応に供される。このステップは、硫酸を使用した湿式浸出に代わるものであり、これら2つの気体がプラズマ内で反応して硫酸のイオン状態を形成する。RXCP55内の反応生成物は、流動床濃縮器60に供給され、そこで生成物物質は、密度及び粒度に応じて分離される。このステップは、従来の湿式化学沈殿法またはその他の湿式分離法に代わるものである。硫化水素を使用する場合と同様の結果が得られるが、異なる化合物を使用する他のプロセスがあることに留意されたい。
【0060】
図1を再度参照すると、流動床濃縮器60の第1の出力からの高密度物質は、ウラン、ラジウム、トリウムなどで濃縮されている。この濃縮された出力物質は、その後、マイクロ波オーブン65または他の乾燥装置を使用して乾燥される。流動床濃縮器60の第2の出力から排出される、より軽い物質を含む物質は、第2のRXCP70に供給され、そこで物質はアンモニア(NH
3)の存在下で化学反応を起こす。このステップは、酸化マンガン(MnO
2)の存在下での従来の湿式浸出に代わるものである。RXCP70での反応生成物は、第2の流動床濃縮器75に出力され、ここで再び密度に応じて生成物が分離される。第2の流動床濃縮器75からの高密度の出力にはラジウムが濃縮されている。この出力は、マイクロ波または同様の乾燥手段80(「乾燥機」)を使用して乾燥される。バッチ処理の場合、RXCP55と流動床濃縮器60を単一のUCP装置に組み合わせることができることに再度留意されたい。同様に、UCPは乾燥機80も含み得る。
【0061】
鉱業の選鉱に使用される例示的プロセス
鉱業の選鉱に用いられる、またはその副産物に使用される化学反応の多くは、本開示及び関連する開示に基づく新しい非汚染的技術によって置き換えることができる。ユニバーサル化学プロセス装置(代理人整理番号02525/010124)、流動床濃縮器(代理人整理番号02525/010125)、反応性X線化学プロセス装置(米国特許第9,406,478号)、ならびに粉砕、研削、スクリーニング、及び濾過を含むがこれらに限定されないいくつかの既知の非汚染的プロセスを複数の独自の構成で組み合わせて、環境に優しい新しい選鉱方法を実現することができる。以下は、本開示の方法論を使用して実装されるいくつかの例示的なプロセスである。
【0062】
1.過酸化水素の製造:過酸化水素(H2O2)を製造するには、精製水が主な原料として使用される。RXCPモードで、これがイオン化され、精製された酸素と反応して、次の反応でH2O2を生成する:
2H2O+O2→2H2O2 (1)
{X線の存在下で}
【0063】
この反応は、所望の任意の濃度のH2O2を生成するように調整することができる。濃度が約20%を超えると、H2O2は、爆発する可能性があるほどにだんだん不安定になることに留意されたい。10%を超えるほとんどの濃度の場合、この問題を軽減するために安定剤化学物質が添加される。
【0064】
従来のH2O2の製造方法は、大量のアンモニア、硫酸、2-エチルアントラキノン、過硫酸アンモニウム等の使用を伴うが、これらはすべて有毒であり、環境汚染物質とみなされる。UCP/RXCPプロセスは、これらすべての物質、及びそれらが生成する下流の汚染物質を除去する。H2O2を作るのに、水、酸素、及び電気のみを必要とする。必要に応じて、エネルギーが利用可能であれば、入ってくる廃棄物ストリームを電気分解して、副産物が水素のみの、必要な量の酸素を生成することができる。
【0065】
2.フッ化アパタイト鉱石からのリン酸及びフッ化水素酸の製造:これらの生成物を製造するための従来の湿式化学プロセスは以下である:
Ca5F(PO4)3+5H2SO4+10H2O→3H3PO4+5CaSO4・2H2O+HF
(2)
この式から、Ca5F(PO4)3(フッ化アパタイト)が硫酸(H2SO4)及び水と反応して、リン酸、フッ化水素酸、及びリン酸石膏が生成されることがわかる。リン酸石膏((CaSO4・2H2O)はこのプロセスの副産物であり、硫酸カルシウムの水和物である)。この反応の最終生成物は、その後、個々の化合物を単離するためのさらなる分離ステップに供される。プラズマベースのプロセスを使用して同じ最終生成物を得るには、Ca5F(PO4)3を水と混合し、RXCPまたはUCP反応器に流す。そこでこれはイオン化され、硫化水素ガス及び酸素と反応して同じ最終生成物が生成される。プロセスの化学量論性を維持するために、反応器の運転パラメータを設定する際には注意が必要である。反応は次のようになる:
Ca5F(PO4)3+5H2S+10H2O+10O2→3H3PO4+5CaSO4・2H20+HF (3)
【0066】
液体反応物としてH2SO4を使用するのに対し(従来のプロセス)、プラズマプロセスは、プラズマプロセスにより適した気体状反応物として硫化水素及び酸素を使用することに留意されたい。好ましい実施形態では、運転条件を正しく選択することで、リン酸を液体として、リン酸石膏を固体(沈殿物)として、HFを気体として除去することが可能になる。これにより、さらなるプロセスステップが不要になる。HFを液体として除去することが望ましい場合は、追加のプロセスステップが必要になる。UCPがこのプロセスにもたらす利点は、不要な副産物が気体として放出され、プロセスポンプの排気口にある熱分解ユニットの汚染制御装置によって破壊できるため、有毒な液体廃棄物がないことである。これは、プロセスポンプの排気と建物からの大気への排気と直列に配置された焼却炉である。プラズマ技術の使用は、現代の半導体処理では標準である。同じ最終生成物を達成するための他のプラズマベースのアプローチがあることに留意されたい。
【0067】
3.フッ化アパタイトまたはリン酸石膏からのアクチニドの分離:
フッ化アパタイトが単独で存在することは稀である。通常、ヒドロキシアパタイト[Ca5(PO4)3OH]、さまざまな希土類元素(ランタニド)、放射性鉱物(アクチニド)、典型的にはウラン、ラジウム、及びトリウムと組み合わせて存在する。他のアクチニドも少量ながら頻繁に発見されている。したがって、ある時点で、アクチニドをフッ化アパタイト(またはリン酸石膏)及びランタニドから分離する必要がある。採掘場の現地の状況や規制に応じて、この分離は上記#2で説明したフッ化アパタイト反応の前または後に行うことができるが、通常は、大量の放射性廃棄物を生成しないように、反応の前に行われる。フッ化アパタイトまたはリン酸石膏(肥料、フッ化水素酸、及びリン酸製造の副産物)から放射性物質(アクチニド)を除去し、これらの生成物及び残留リン酸石膏を他の目的に安全に使用できるようにすることが望ましい。既存の湿式化学プロセスでは、大量の有毒汚染物質が発生する。いくつかの場合では、アクチニドがリン酸石膏に化学的に結合していない場合は、UCPを使用することで湿式化学及びそれに伴う汚染物質を完全に除くことができる。この場合、UCPは流動床モードで使用される。フッ化アパタイトまたはリン酸石膏(この特定の場合では、原料)は乾燥粉末として導入され、(通常は)空気で流動化される。これにより、原料の一部がカラムの上部に上昇し、アクチニドがカラムの底に沈み、リン酸石膏の場合は出口ポート140、アクチニドの場合は出口ポート142からカラムからそれぞれ排出される。UCPをこのモードで使用すると、粒子の密度に基づいて分離が行われる。化合物が化学的に結合している場合、原料から放射性物質を完全に分離するために、物理的分離ステップの前に反応性プラズマステップを使用することが適切である。
【0068】
アクチニド及びランタニドをリン酸石膏またはフッ化アパタイトから分離する方法は他にもある。典型的には、ウラン、トリウム、及びラジウムは、リン酸石膏に含まれる主要なアクチニドである。そのような方法の1つは、アクチニド(水和物)を、水及びNO(一酸化窒素、気体として)、またはHCL(気体として)と反応させて次の物質を生成することを伴い:
ACT(OH)3+3HNO3→ACT(NO3)3+3H2O
ACT(OH)3+3HCl→ACTCl3+3H2O
(4)、(5)
式中、ACTは、特定のアクチニド化合物を表す。あるいは、商業的に販売可能な副産物として、ウランまたはトリウムを、アンモニア及び二酸化炭素ガスを水酸化アンモニウム(アンモニア水)とともに使用して分離させることができる。
UO2(OH)2+3(NH4)2CO3→(NH4)4[UO2(CO3)3]+2NH4OH
(6)
【0069】
選択される特定の反応は利用可能な原料に依存し、原料はそのまま使用されるか、またはこれらの材料の機械的特性と電気的特性の両方を調整するためにある程度の前処理を施して使用される。
【0070】
プロセス機器
流動床濃縮器
本開示によれば、流動床濃縮器(以下、FB濃縮器という)が、鉱石、廃棄物、尾鉱、及び副産物を含む採鉱及び選鉱の生成物を分離するために使用される。本明細書に開示される流動床法及び装置は、有毒な液体廃棄物を生成せずに従来の濃縮及び分離の測定基準を達成することができ、それによって鉱石、廃棄物ストリーム、及び鉱山尾鉱からアクチニドを抽出する無公害の手段に対する鉱業における長年の必要性に対処する。流動床法及び装置は、粒度及び密度に基づいて他の物質を抽出するためにも使用することができる。
【0071】
図3は、本開示による流動床濃縮器装置の実施形態の断面図である。流動床分離器100の好ましい実施形態は、この場合、垂直な縦方向の中心軸を有する、略円筒形または円柱形容器105を備える。容器の長い垂直寸法は「高さ」と称され、容器内の垂直位置は容器内の異なる高さ、つまりより低いまたはより高いと称される。FB濃縮器はさまざまな方向に配置でき、水平または傾斜した縦軸を有し得るが、ほとんどの作業では、垂直方向が好ましいことに留意されたい。水平面に配置する場合、重力がFB濃縮器の作業に関与できるように、FB濃縮器の特定のコンポーネントを装置の新しい「底部」に沿わせる必要がある。容器は、流動化媒体の入口ポート110が配置されたベースセクション108を含む。入口ポートは、当該技術分野で周知のように、溶接、成形、または容器105に取り付けることができる。遮断弁112を入口ポート110に結合して、必要のないときに流動化媒体の流れを遮断または調整することができる。流動化媒体は、大気圧より高い圧力で入口ポート110を介して容器105内に送達される。流動化媒体は、均一の圧力下で容器の底部全体に導入される。流動化媒体は、圧縮空気などの均一な気体、または水などの均一な液体を含むことができる。あるいは、流動化媒体は、気体または液体の混合物を含み得る。目的のプロセスに応じて、広範な液体及び気体を使用することができる。一例として、処理(例えば、分離)される物質が酸素の存在によって悪影響を受ける可能性がある場合、圧縮空気の代わりに窒素またはアルゴンを流動化媒体として使用することができる。流動化媒体の選択は、所望の最終生成物によって異なる。
【0072】
図3に示す実施形態では、原料入口ポート115が容器の高さの中間点付近で容器に結合されているが、入口ポート115のこの配置は、有利ではあるが必須ではない。原料入口ポートは、原料が容器内に送達される導管を提供する。原料入口ポート110の直径は、予想される流量で原料生成物を収容できるように設計されたサイズである。原料は、容器内で濃縮及び分離されることを意図した、粒状固体、液体、気体状、またはプラズマ物質であり得る。好ましい実施形態では、原料は、鉱石、廃棄物及び尾鉱からの鉱物物質を含む。物質は乾燥粉末に造粒して容器に投入することも、液体または気体状の担体媒体に組み込むこともできる。前述のように、原料物質は、希土類元素(ランタニド)及びアクチニドを含み得るが、これらはさまざまな理由から原料物質の他の成分から分離することが重要(かつ貴重)である。有利な一実施形態では、原料は、リン酸ベースの肥料製造の副産物である廃棄物貯蔵スタックからのリン酸石膏である。リン酸石膏原料は、希土類元素及びアクチニド(放射性元素)などの汚染物質が多数含まれている可能性がある。原料は、原料入口ポートに連続的にまたはバッチで(バッチモードと称される)送達することができ、汚染物質は、分離させてさらに処理することも、そのまま使用することもできる。
【0073】
容器内に入る流動化媒体は、容器の底部108の上方であるが近傍に配置された拡散プレート120を通って流される。拡散プレート120は、適切な多孔質を有するか、または均一な穴パターンを有し、同じ効果が得られる限り、さまざまな物質から作ることができる。拡散プレート120は、流動化媒体が、分離が行われる容器の主室135に入るときに、それを分散させ、均一性を高める効果を有する(この領域は、本明細書では「分離領域」とも称され得る)。原料物質が容器の主室135に入ると、流動化媒体に混入される。結果として得られる固体と流体の組み合わせは、特定の制御された条件下では流体として挙動する(つまり、流動化する)。流動化は、容器の寸法、床全体の圧力降下、平均粒子密度、原料、反応物の流量、及びその他の要因(後述)などのさまざまな要因及びパラメータが、原料と流体の混合物が流体として挙動するように設計された大きさになったときに発生する。図示の実施形態では、適切な直径の容器の底部にある粒子媒体を介して加圧流動媒体を導入することによってこれが達成される。流動床と称される、粒状固体/流体の複合媒体は懸濁液であり、重力下で自由に流れる能力、または流体型技術を使用してポンプで送ることができる能力など、通常の流体の多くの特性を備えている。流動床のこの特徴により、水平作業が可能になる。再循環パイプ138は、室の上部で加圧された流動化媒体を受け取り、ポンプ161を介して流動化媒体に圧力を印加し、再入口ポート163で室の底部の流動化媒体に再印加し、それを入ってくる流動化媒体と混合する。前述のように、入口ポート110から流入する追加の流動化媒体は、必要に応じて遮断弁114を介して遮断することができる。ただし、容積損失を相殺し、生成物を除去する際にFB濃縮器内の圧力を一定に保つために、追加の流動化媒体が典型的には必要になる。
【0074】
反応容器の主室135または分離領域内では、床の上部表面は比較的水平であるか、または本質的に波様であり得、これは静水圧挙動に類似している。床は、単一の嵩密度で表すことができる流体と粒状固体との不均一な混合物であると考えられ得る。流動床内では、より大きくかつ高密度の粒子は、床内を下方に移動する傾向があり、より小さくかつ軽い粒子は、上方に移動する傾向があり、アルキメデスの原理に従った流体挙動を示している。流体の割合を変えることで床の密度(より正確には、懸濁液の固体体積分率)を変えることができるため、床の平均密度と比較して異なる密度を持つ物体を沈めたり浮かせたりすることができる。流動化媒体の上向きの力は、粒子の上向きの動きに最も大きく寄与する。
【0075】
流動床では、充填床に比べて粒状固体粒子と流動化媒体との接触が大幅に強化される。流動化燃焼床におけるこの動作により、システム内部での高度な熱輸送と、粒子と流動化媒体間の熱伝達が可能になる。熱伝達の向上により、よく混合された気体と類似した熱均一性が実現され、流動床は、均一な温度場を維持しながら大きな熱容量を持つことができる。上で述べたように、流動床では、高密度の物質がFBの底に沈む傾向がある。非常に小さな高密度粒子は、FBの上部に移動する可能性があることに留意されたい。これにより、さらなる分離作業が必要になる。これは単純な重力誘起プロセスによるものである。例えば、流動化媒体として空気が使用される場合、物質の床を通る上向きの流れにより、床内の物質は基本的に流動化媒体上に浮かぶことになる。物質が浮いているときは、カラム全体を流動化させ、軽い物質をカラムの上部に押し上げ、物質の高密度の部分はカラム内の低い位置に留まるか、低い位置に移動させるのに十分な圧力があることを意味する。
【0076】
流動化の条件は、以下の式(1)で表すことができ、見かけの圧力降下と床の断面積の積は、粒状固体粒子の重量の力(流体中の固体の浮力を差し引いたもの)に等しい。
【数1】
式中、Δp
wは床の圧力降下、H
wは床の高さ、ε
wは床の空隙率(つまり、粒子間の流体空間が占める床容積の割合)、ρ
sはベッド粒子の見かけ密度、ρ
fは流動化流体の密度、gは重力加速度、M
sは床内の固体の総質量、Aは床の断面積である。
【0077】
図3に再度戻ると、原料物質が密度によって分離され、より重い成分が容器の下部領域に向かって移動すると、高密度の成分は、拡散プレート120の上方の主室の底部に向かって配置された下部出力ポート124(または複数のそのようなポート)から除去される。より軽い成分は容器の上部領域に向かって移動し、主室135の上部またはその近くに配置された上部出力ポート128(または複数のそのようなポート)を介して除去される。ポートの高さ、粒度、及び密度によって、除去される物質の密度が決まる。分離された物質は、床内の内部圧力によって出力ポート124、128を介して流動床から押し出される。出力ポート124、128は、後続の分離段階(すなわち、追加のFB濃縮器またはその他の処理装置)に接続することができ、これは、処理される物質に応じて大きく異なり得る。入口及び出口には、電子コントローラ(図示せず)によって制御される弁が装備されており、これは、電子コントローラは、プログラムまたはオペレーターのコマンドに従って出口を開閉または調整するように構成されたホストコンピュータであり得る。
【0078】
さらに、流動化媒体を主室135に導入すると、原料物質の粒子との物理的相互作用及び圧力差の結果として形成される気泡が生成される効果がある。物理的に小さい床では、形成される気泡は小さく、時には微細である。直径が10フィートから15フィートにもなる大規模な工業用床では、気泡はかなり大きくなり得る。泡により流動床内の化学物質の混合が増加する。容器の上部には圧力を逃がす手段(例えば、リリーフ弁)138が設けられ、床内で一定の差圧環境を維持できるようにしている。圧力放出は、特に流動化媒体が再利用される場合、再循環配管手段によって達成されることが好ましい。特定の気泡または空気分子が床の上部領域に到達すると、床の直径が増加するため、空気の速度が突然10倍近く低下する。これは、より軽い(密度が低い)粒子が乱流領域に戻って再循環し、最終的に、粒度、密度、及び流動化媒体の圧力に基づいて安定した床の高さに到達することを意味する。流動床は、大気圧、正圧、または部分真空下で稼働できることに留意されたい。
【0079】
流動床を使用することで、さまざまな物質の混合物を分離することができる。そして、前述のように、流動化媒体として粒状固体、気体、液体、または混合ガスを利用することができる。特定の物質及び流動化手段は、特定のタスクに応じて適切に選択される。バッチによる処理を意図している場合、流動床法では、プロセスを長時間実行することで高いレベルの分離を達成することができる。しかし、工業規模の用途で典型的に見られるような連続プロセスが望まれる場合、流動床は、処理される物質を連続的に導入する手段、及び密度の異なる分離された物質を除去する手段を含むように変更され得る。所望の程度の処理及び/または分離を達成するには、別々の容器内の複数の流動床を含む複数の段階が必要になり得る。
【0080】
本開示によれば、流動床濃縮器は、鉱業の選鉱プロセスで典型的に見られる浮選、沈降、一部の沈殿、及び一部の堆積プロセスの代替となることを意図している。最も重要な利点は、有毒で環境に有害な化学物質、またはほとんどの場合プロセス水を使用せずに分離が行われることである。分離は流動床成分の特性により進行し、成分原料物質を完全に混合し、その後、一定期間にわたって密度によって物質が効果的に分離する。下部出力124及び上部出力128には質量分析計またはその他の分析機器を接続することができるため、FB濃縮器の運転中に分離ストリームのオンライン分析を実行することができる。
【0081】
図4~
図6は、流動床濃縮器を用いた本開示による分離プロセスの例示的なシーケンスの段階を示す。
図2では、主に密度の異なる第1の成分及び第2の成分(成分Aと成分B)を含む原料が、原料入口115からFB濃縮器の主室135(分離ゾーン)に入り、流動化媒体入口110を介して流動化媒体が供給されることで流動床が維持される。図示の例では、成分Aは、成分Bよりも高密度である。
図2に示すように、原料物質が主室135に入ると、原料物質は、最初に室の容積内に略ランダム仕様に拡散する。
【0082】
図3に示すプロセスの第2段階までに、原料物質は流動床の容積全体に広がり、高密度の成分(A)が原料に対してより高いレベルで濃縮される主室の底部方向に位置する第1の部分的に分離された混合物170と、低密度の成分(B)が原料に対してより高いレベルで濃縮される主室の上部方向に位置する第2の領域175に分離し始める。
図3に示す第2段階では、分離プロセスは初期または中間段階にある。濃度勾配が形成され始めているが、成分は完全に分離されていない。
【0083】
図4に示す第3段階では、成分Aと成分Bはより完全に分離しており、領域170及び領域175には、実質的にどちらか一方の成分が含まれている(つまり、領域175には成分Aがほとんどなく、領域170には成分Bがほとんどない)。この時点で、下部出口ポート124及び上部出口ポート128が開き、濃縮器からの分離出力が可能になる。成分Aの濃度が高い流体は、下部出力124を通って容器から流出し、成分Bの濃度が高い流体は、上部出力128から容器から流出する。上述のように、出口ポート124、128の出力ストリームは、投入原料に比べて大幅に濃縮されているものの、所望の目的には十分に濃縮されていない可能性があり、出力物は、成分をさらに分離するために、さらなるFB濃縮器または他の処理装置に投入され得る。さらに、上述のように、流動化媒体は、流動床内の流動化媒体の容積及び圧力を維持するために、再循環パイプ138及びポンプ161を介して再循環される。
【0084】
本開示の流動床分離プロセスは、流動床作業の前後の両方でスクリーニングを使用することによって強化することができる。スクリーニングは、スクリーンを使用して、粒状物質を、粒度別に複数の等級に機械的に分離することを含む。スクリーニングにより流動床の段階数を削減でき、コスト、フットプリント、安全性、スループットをさらに向上させる。
【0085】
重要な用途の1つとして、流動床は、ランタニド及びアクチニドの選鉱において、それらの密度に基づいて物質を分離する手段として使用することができる。基本的な流動床分離には化学反応が関与しないため、流動床は、例えば、ポリエチレンの製造に使用される流動床など、化学業界で通常見られるものよりも簡単な方法で実装することができる。
【0086】
反応性X線化学プロセス装置(RXCP)
分離及び濃縮のための流動床法に加えて、本開示は、RXCPモードまたはFXIモードのいずれかで使用される、反応性X線化学プロセス装置を使用した鉱物物質のプラズマベースのプロセスの選鉱のための追加の方法及び装置を提示する。同一所有者の米国特許第9,406,478号において、RXCPについて詳細に説明されているが、装置の主な特徴については後述されている。前述のように、RXCPを必要とする箇所は、UCPに置き換えることが可能である。
【0087】
図7は、本開示に従って鉱物物質の選鉱に使用できるRXCP200を示す。(RXCP)300の基本的なプロセスは、原料入口202から投入される原料反応物の全部または一部、及び1つ以上の放射線遮蔽反応物インジェクター204から入力される他のすべての反応物を、完全または部分的にイオン化することから始まる。これにより、原料及び反応物がプラズマ化される。次いで、結果として得られた原子種の混合物の最低エネルギー状態への組み換えが続く。結果として生じる原子種の混合物が、出力フロー210を生成する。RXCP200は、円筒形の冷電界放出中空カソード212、中空グリッド214、及び中空アノード216透過型X線源を、装置の中央領域に位置する反応物測定、制御、及び注入システム(
図7には示さず)と組み合わせて使用する。冷電界放出カソード212とグリッド214が一緒になって電子銃を構成する。透過型X線管の構造は、中空カソード212から始まり、その中に同軸に配向された中空グリッド214があり、その中に同軸に配向された中空アノード216があり、すべての中心軸が一致するように配置されている。RXCPの電子銃は、パルスモードで理論上の最大電流密度約80,000アンペア/cm
2を達成することができ、これにより、X線ビームを生成するために使用される多数の電子によって生成される高いフルエンスにより、最終的に高レベルの照射が可能になる。実際の用途では、カソード212は理論上の最大値まで負荷されるのではなく、むしろそれより小さい値で負荷される。例えば、RCP200は、典型的には0.025~5MeVの高いX線光子エネルギー、及び典型的にはキロアンペア~数メガアンペアの範囲の高いビーム電流を達成することができる。RXCPは、特定の反応のフルエンス要件に応じて、より低い電流レベルで動作可能である。
【0088】
作業中、カソード212は、電圧、電流、及びパルスモードで使用される場合は、立ち上がり時間及びパルス繰り返し率の要件を満たす電源(
図7には示さず)を使用して充電される。バイアス抵抗器(これも図示せず)は、カソード212とグリッド214の間に接続され、グリッド214に電圧を生成するために使用され、これにより、管は通常、スタンドオフ状態(非導通状態)になる。グリッド214に接地電位の制御信号が印加されると、グリッドはカソード212の制御を解除し、カソードは放電する。次に、電子210は、カソード212からアノード216へと移動する。これらがアノード206に衝突すると、X線212及び二次電子が発生する。X線及び二次電子は、アノード216のX線放射(内側)面から等方的に放出される。中空アノード216の壁が比較的薄いため、生成されたX線及び二次電子の相当な部分(約50%)が中空アノードの中央領域に伝播する。入射電子の浸透深さは、カソード電圧とアノード216の厚さのバランスによって制御される。アノード216は、所望の透過照射をある程度制御するために、通常、照射容積の領域に薄壁セクションを備えている。アノード壁セクションの厚さは、内部空間の直径、カソード電圧、及びアノードの原子番号(Z)の関数である。アノードから放出される二次電子は、潜在的な反応の数を劇的に増加させるため、重要な役割を果たす。解放された各二次電子は、今度はアノード内の原子に衝突し、さらなるX線の放出、及び追加の二次電子の放出を引き起こすことができる。この二次電子のカスケード効果は、現実的なエネルギーバランスが確実に達成可能となるのに役立つ。カソード電圧は、カソード電気絶縁真空フィードスルー232を介して供給され、グリッド電圧は、電気絶縁真空フィードスルー234を介して供給される。フィードスルー232及び234は両方とも電気絶縁され、高真空で密封されており、生物学的放射線遮蔽240及び筐体245を貫通する。
【0089】
注入前に反応物の分子構造を保存するには、X線を遮蔽した注入手段を用意する必要がある。これにより、照射容積220への原料物質202の導入及び反応物206の導入のいずれかまたは両方の前に、注入された反応物204の早期解離、または早期の部分的または完全なイオン化が防止される。遮蔽された注入手段の要件は、同心パイプ252及び254に、典型的には鉛または他の高原子番号元素であるX線放射線遮蔽物質255を設け、同心パイプ間の隙間を埋めることによって満たされることが好ましい。パイプ252及び254は、典型的には、ステンレス鋼、または、原料及び反応物202、204、206、または照射容積220内の放射線環境と互換性があり、影響を受けないその他の非反応性物質である。
【0090】
UCPのRXCPセクションは、フラッシュX線照射装置(FXI)として動作することができる。FXIモードでは、典型的には、反応物の供給がオフになっている状態で、高強度X線が反応ゾーンに印加される。このモードでは、一般的に、原料は原料投入ポートから投入され、残りのポートはオフのままである。ただし、状況によっては、他の入口ポートを使用してFXIモードで物質を供給することも可能である。反応(放射)ゾーンに存在する物質に応じて、分解と架橋がこのモードで起こり得る典型的な反応である。この文脈では、分解とは、X線が、関係する個々の元素のK端結合エネルギーを実質的に大幅に超える強力なX線照射を受けたときに複雑な分子に何が起こるかを指す。この特定のプロセスは、有機成分が存在し、それを除去したい場合に役立つ。FXIモードでの強力なX線照射は、あらゆる有機物を破壊し、それを構成元素に分解し、その後、最低エネルギー状態の形態に組み換える。さらに、電離放射線(X線)が、ポリマー等において架橋反応を開始できることはよく知られている。正しい運転パラメータを設定することで、FXIはこの運転環境を簡単に達成する。これらのプロセス及びその他のプロセスの詳細な説明は、共同所有及び譲渡された米国特許第8,019,047号に記載されている。参照しやすいように、本出願では、RXCPモードまたはFXIのいずれかでX線を生成するために使用されるコンポーネントをRXCPと称する。
【0091】
RXCPは、他の用途の中でも、プラズマベースの反応プロセスを介してフッ化アパタイト[Ca5F(PO4)3]を選鉱するために使用することができ、プロセスは、フッ化アパタイトを水と混合し、RXCPに貫流させる。RXCP反応器放射線ゾーンではイオン化され、硫化水素ガスと反応してリン酸、フッ化水素酸、硫酸カルシウムの最終生成物を生成する。プラズマプロセスでは、プラズマプロセスに適した気体状反応物として硫化水素及び酸素を使用する。好ましい実施形態では、運転条件を正しく選択することで、リン酸を液体として、リン酸石膏を固体(沈殿物)として、HFを気体として除去することが可能になる。リン酸石膏は、通常は副産物とみなされるが、その鉱物学的含有物のために採取することができ、同様の方法で処理して含まれる鉱物を抽出できることに留意されたい。
【0092】
ユニバーサル化学プロセス装置(UCP)
流動床濃縮器の物質分離機能とRXCPの機能とを組み合わせることで、ユニバーサル化学プロセス装置と称される単一の装置で化学反応を誘発することができる。これらの機能は、電磁界及び静電界の両方のソースを追加することでさらに強化され、このソースはこれらのフィールドの影響下で反応を行う能力を提供し、特定の反応を強化する。
【0093】
図8は、本開示によるUCPの実施形態の断面図である。UCP300は、この場合、垂直な縦方向の中心軸を有する、略円筒形または円柱形の容器305を備える。UCPはさまざまな方向に配置でき、水平または傾斜した縦軸を有し得るが、流動床での作業のほとんどの場合において、垂直方向が好ましい。
図1に示される容器305の下部である底部308には、当該技術分野で周知のように、漏れのない方法で容器305に溶接、成形、またはその他の方法で取り付けることができる複数の投入ポートが配置されている。図示の実施形態では、原料入口ポート310が容器の底部308に結合され、原料が容器内に送り込まれる導管を提供する。原料は、典型的には他の導入物質よりも直径が大きいため、原料入口ポート310の直径は原料生成物を収容できるように対応するサイズとなっている。原料は、容器内で何らかの方法で処理されることを意図した粒状固体、液体、気体、またはプラズマ材料を含む。例えば、原料は、反応化学プロセス、接触分解、燃焼、熱もしくは物質移動、生成物の分離、または界面の改質(例えば、固体物品へのコーティングの適用)のために、1つ以上の化学反応を起こして、原料流体の成分を分離するために容器に導入され得る。有利な一実施形態では、原料は廃棄物貯蔵スタックからのリン酸石膏であり、これは肥料製造の副産物であり、希土類元素及び放射性元素などの多数の汚染物質を含む可能性がある。原料は、原料入口ポート310に連続的(連続モードと称される)にまたはバッチで(バッチモードと称される)送達することができ、汚染物質は、分離させてさらに処理することも、そのまま使用することもできる。原料は、反応物インジェクターポートなどの他のポートを使用して供給することもできる。
【0094】
UCPは流動床運転モード(「FBモード」)で動作することができ、物質の分離やその他の目的に使用することができる。UCPには、ベース308の原料投入ポートに隣接して配置された、流動化媒体入口ポート312が含まれる。FBモードでは、流動化媒体は、典型的には大気圧よりも高い圧力で、流動化媒体入口ポート312を介して容器305内に送達される。流動化媒体は反応器の底部全体に均一に圧力をかけて導入される。流動化媒体は、圧縮空気などの均一な気体、または水などの均一な液体を含むことができる。あるいは、流動化媒体は、気体、プラズマ、または液体の混合物を含み得る。目的のプロセスに応じて、広範な液体及び気体を使用することができる。一例として、処理(例えば、分離)される物質が酸素の存在によって悪影響を受ける可能性がある場合、圧縮空気の代わりに窒素またはアルゴンを流動化媒体として使用することができる。追加の反応を引き起こす効果があるさまざまなプラズマも使用することができる。流動化媒体の選択は、所望の最終生成物によって異なる。好ましくは、UCPは、後述するようにRXCPまたはFXIでも使用できるため、流動化媒体ポート及びインジェクターは、X線照射から遮蔽することが望ましい。遮蔽は、少なくとも部分的に鉛などのX線放射線に耐性のある材料で構成された充填材で層状にされた同心パイプを使用して入口ポートを形成することによって実施することができる。遮断弁(明確にするため
図1には示さず)を、流動化媒体入口ポート312に結合して、必要のないときに流動化媒体の流れを遮断または調整することができる。
【0095】
原料及び流動化媒体に加えて、1つ以上の化学反応、熱伝達、触媒作用などを促進するための追加の反応物を、ベース308に配置された1つ以上の反応物入口ポート314を介して容器内に導入することができる。流動化媒体ポートと同様に、反応物入口ポート314は、X線照射に対して遮蔽されていることが好ましい。一実施形態では、反応物入口ポートは、少なくとも部分的に鉛などのX線放射線に耐性のある材料で構成された同心パイプ間の充填材を備えた同心パイプで形成され得るシールド317によって囲まれている。外側のパイプは、316ステンレス鋼またはチタンなど、反応ゾーンに存在する他の材料と反応しない材料で作られている必要がある。図示の実施形態では、原料及び流動化媒体入口ポート310、312とは異なり、反応物入口ポートは、反応物を容器の底部に送達するのではなく、容器内のさまざまな高さに配置された複数の出口ノズル(例えば、327)を備えた反応物インジェクター325に通じている。シールド317により、反応物は反応室335に入るまでイオン化されることなく導入され、均一に反応ゾーンに導入される。いくつかの実施形態では(図示せず)、原料入口ポート312は、反応物入口ポートと同様に構成され、物質を室335の中央に導入することができ、好ましくは、それはより少ないノズルを備え、各ノズルの直径は、反応物入口ノズルの直径よりも大きい。
【0096】
流動床の作業は、UCP内のいくつかの手段のうちの1つによって強化することができる。1つ目は、流動床ゾーン内でプラズマを発生させることである。これは、いくつかの手段のうちの1つで達成することができる。1つは、RXCPのX線エミッターをオンにすることである。これにより、高エネルギー放射線がイオン化され、反応特性が向上する。2つ目の方法は、絶縁電極(ヒーターまたは乾燥機としても機能し得る)に高電圧DC信号を印加することである。これにより、X線を使用して生成されるものよりもエネルギーの低いプラズマが生成される。3つ目の方法は、これも絶縁電極またはヒーターを介してRF信号を適用することである。これにより、X線によって生成されるエネルギーとDCによって生成されるエネルギーとの中間のエネルギーを持つプラズマが生成される。イオン化手段の選択は、結果として生じる反応から得られる所望する最終結果に依存する。
【0097】
図9は、UCPの実施形態の概略断面図であり、電気絶縁反応物入口インジェクター405を示しており、これは、セラミック材料から作られ得る電気絶縁フィードスルー408によってUCPの筐体に連結することができる。インジェクター405は、UCPの主室415内に縦方向に延びる遮蔽された導管である。反応物インジェクターを介して輸送された反応物は、複数のノズル(例えば、412、414、416)を介して主室内の反応ゾーンから排出される。
図10は、これもUCPの主室515内に縦方向に延びる、原料供給用に適合された遮蔽されたインジェクター505を含む、実施形態の概略断面図である。
図2に示す実施形態とは対照的に、遮蔽されたインジェクター505を介して輸送された物質は、単一の大きなノズル520を介してUCPの主室内の反応ゾーンに排出される。
【0098】
図8に戻ると、UCPの入口端及び出口端のポート118、180は、質量分析計につながっている。これにより、UCPによる処理前と処理後の両方で、原料物質をリアルタイムで分析できるようになる。容器内に供給された流動化媒体と原料とは混合され、容器の底部の上方であるが近傍に配置された拡散プレート320を通って流される。拡散プレート320は、適切な多孔性を有する限り、さまざまな耐放射線性材料から作ることができる。あるいは、拡散プレートに均一な穴のパターンを持たせることで、同じ効果を達成することができる。拡散プレート320は、流動化媒体が、分離及び/またはその他のプロセスが行われる容器の主室335(UCPがFBモードで運転され原料物質を分離している場合は「分離領域」と称される)に入るときに、それを分散させ、均一性を高める効果がある。
【0099】
いくつかの実施態様では、触媒が、拡散プレートの上に配置され得る。ただし、より一般的には、触媒は、反応ゾーン内のさまざまな場所に配置することができ、異なる場所は異なる化学的結果をもたらす。例えば、
図11に示すように、触媒を反応ゾーンの先頭に有することが望ましい場合もあるが、触媒は、中央、反応ゾーンの上端近く、または反応ゾーンの外側全体にも配置され得る。位置は、所望の触媒作用の程度によって異なる。触媒にはさまざまな形態があるが、わかりやすくするために、1つ以上のスクリーンとして実装したものを
図11に示す。この例示的な実施形態では、2つの触媒スクリーン604、608が、拡散プレート410の上、及びUCPの主室内の反応ゾーン614の下限の下に配置されている(反応ゾーンについては、以下のUCPのRXCPセクションを参照して説明されている)。2つのスクリーン604、608が描かれているが、単一のスクリーン、または多数の同様のスクリーンが存在する場合もあることに留意されたい。スクリーン実装は、UCPで生成された反応に触媒を導入する一般的な方法の1つである。触媒を導入する他の形態としては、プレート、トレイ、メッシュ、ならびにさまざまな種類の多孔質容器及び媒体が挙げられる。他の形態の触媒の導入は、本分野の当業者には明らかであろう。場合によっては、触媒は、反応物インジェクターを介して注入され得る。これにより、触媒作用を必要とするステップに触媒を選択的に適用できるようになる。
【0100】
いくつかの実施形態では、電気触媒として知られる特定のカテゴリーの触媒を、選鉱プロセスで使用することができる。電気触媒は、電極表面で機能するが、最も一般的には、電極表面自体に組み込むことができる。電気触媒は、白金めっき電極などの不均一なものであってもよい。これは、触媒を、電気絶縁構造(図示せず)に取り付け、電圧または信号が触媒にバイアスをかけることを可能にする電気絶縁電気フィードスルーを提供し、その結果、電気触媒が作成されことで達成される。溶解性の均質な電気触媒は、電極と反応物との間で電子を移動させるのを助け、及び/または全体的な半反応によって記述される中間化学変換を促進する。均質な電気触媒は、特定の種類の反応に使用することができるが、物理的に不安定でかつ溶解性である可能性があるため、すべての反応に適しているわけではない。電気触媒作用は、直接の電気接続、または反応容器内の電界との相互作用のいずれかによって刺激することができる。
【0101】
原料物質は、主室335内の流動化媒体に取り込まれ、その結果生じる粒状固体と流体(気体及びプラズマを含む)との組み合わせは、特定の制御された条件下で流体として挙動する(つまり、流動化する)。流動化は、容器の寸法、床全体の圧力降下、平均粒子密度、原料、及び反応物の流量、ならびにその他の要因(後述)などのさまざまな要因及びパラメータが、原料と流体との混合物を流体として挙動させるように設計された大きさを有するときに発生する。図示の実施形態では、適切な直径の容器の底部にある粒子媒体を介して、加圧流動媒体を導入することによってこれが達成される。流動床と称される、粒状固体/流体の複合媒体は、懸濁液であり、重力下で自由に流れる能力、または流体型技術を使用してポンプで送ることができる能力など、通常の流体の多くの特性を有する。流動床のこの特徴により、水平作業が可能になる。再循環パイプ338は、室の上部で加圧された流動化媒体を受け取り、ポンプ161を介して流動化媒体に圧力を印加し、再入口ポート163で室の底部の流動化媒体に再印加し、それを入ってくる流動化媒体と混合する。上述のように、入口ポート312から流入する追加の流動化媒体は、必要に応じて遮断弁(
図8には示さず)を介して遮断または調整することができる。生成物を除去する際に流動床濃縮器内の容積損失を相殺し、圧力を一定に保つために、追加の流動化媒体が典型的には必要になる。
【0102】
室335内では、床の上部表面は比較的水平であるが、本質的に波様であり得、これは静水圧挙動に類似している。床は、単一の嵩密度で表すことができる流体と粒状固体との不均一な混合物であると考えられ得る。流動床内では、重くかつ高密度の粒子は、床内を下方に移動する傾向があり、より軽く、かつ非常に小さい緻密粒子は、上方に移動する傾向があり、アルキメデスの原理に従った流体挙動を示している。流体の割合を変えることで床の密度(より正確には、懸濁液の固体体積分率)を変えることができるため、床の平均密度と比較して異なる密度を持つ物体を沈めたり浮かせたりすることができる。流動化媒体の上向きの力は、粒子の上向きの動きに大きく寄与する。
【0103】
原料物質が密度によって分離されると、軽い成分は、主室335の上部またはその近くに配置された上部出力ポート340(または複数のそのようなポート)を介して除去され、重い成分は、拡散プレート320の上の主室の底部に向かって配置された下部出力ポート342(または複数のそのようなポート)から除去される。ポートの高さと粒度と密度とによって、除去される物質の密度が決定される。分離された物質は、床内の内部圧力によって出力ポート340、342を介して流動床から押し出される。出力ポート340、342は、処理される物質に応じて大きく異なり得るプロセスの後続部分に接続される。さらに、反応器の上部には、メイン出力ポート145が配置されている。
【0104】
歴史的に、流動床は、粒状固体、液体、及び気体を使用して動作されてきた。本発明者らは、床内の流動化媒体としてプラズマを使用するか、または床内に別の流動化媒体が存在する状態でプラズマを有することによっても、流動床を動作させることが可能であることに思いが至った。所望の最終結果を得るためのある速度でプラズマを室内に流し込む他のプラズマプロセスの例もある。その一例は、プラズマ風洞であり、これは衛星の大気圏への再突入とその状況下で衛星が受けるプラズマ状態をシミュレートし、再突入時に衛星が燃え尽きるかどうかを検証するために使用される。気体と同様に挙動するプラズマは、適切な入口ポート314を介して室内に導入することができ、同時に、プラズマを地面から隔離する絶縁手段を設けることにより、プラズマの電荷が接地されることを回避することができる。プラズマは、一度反応器内に入ると、気体と同様に挙動し、同時に、RXCPモードで達成される効果と同様の効果を有するように挙動する。この影響により、反応速度が大幅に向上し、反応器内の滞留時間が短縮される。
【0105】
いくつかの実施形態では、UCPは、主室内に電気絶縁電極を含み、この電極は、主室内にプラズマもしくは電磁界を生成するか、または容器に投入されたプラズマを維持するように適合されている。プラズマは、流動床での化学反応及びプラズマのその他の効果や用途を誘発するために使用することができる。
図9には、主室415内の反応ゾーンを通って延びる棒状の電気絶縁電極420が示されている。電気絶縁電極は、セラミック材料からも作られ得る絶縁フィードスルー425を介して電源(図示せず)に接続される。電源は、所望のプラズマ、電磁界、及びバイアスの特定の種類に応じて、AC、DC、またはRFであり得る。電極の電圧は、プラズマの密度、反応ゾーン内の原料及び反応物の組成及び密度、ならびにプラズマの圧力など、さまざまな要因に応じて、2~20ボルトから最大数キロボルトまでの範囲であり得る。プラズマまたはフィールド強化をうまく実施するためには、絶縁体の電圧定格、ならびに電極構造の形状及び壁または触媒などの他の接地物体からの間隔に注意を払うことが重要である。この電極は、反応器内で静電界を発生させ、フィールド増強反応を起こすためにも使用することができる。X線が存在しない場合に流動床内のプラズマを維持するために、バイアス電圧を印加できる絶縁電極を含めることが望ましい場合がある。これは、反応ゾーン370に別の電極を配置するか、反応物インジェクターの外殻を電極として使用し、反応物インジェクターが反応器に入る場所に絶縁手段を設けて、反応物インジェクターを分離し、接地電位より上に維持することによって実現することができる。さまざまな電極構成を
図13に示す。
【0106】
プラズマがUCP反応ゾーンの壁に触れないようにすることが望ましく、これを「封じ込め」と称する。これは、静電的または電磁気的手段のいずれかを使用して達成され得る。好ましい静電的実施形態では、
図13(後述)に示すように、
図9に示す電極220と同様の複数の電極が使用される内部静電界によって、X線を使用せずにプラズマを生成することができる。他の実施形態では、
図14(後述)に示すように、外部電磁コイルを使用してRXCP反応ゾーン領域内に磁界を生成することができる。室壁からプラズマを所望のように分離させる静電界構成及び電磁界構成は両方とも多数存在する。これらは、当該技術分野における当業者には明らかであろう。反応ゾーンに電界または磁界のいずれかまたは両方が存在すると、一般的には、そこで起こる化学反応に影響を及ぼし、これは「フィールド強化」として知られる。フィールド強化の使用は、UCPの動作モードの1つである。UCPの他の動作モードと同様に、このモードは、他のモードのいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0107】
UCPは、流動床として単独で動作することも、または以下でさらに説明する、反応性X線化学プロセス装置(RXCP)プラズマ生成プロセスと組み合わせて動作することもできることに留意されたい。流動床プロセス及びプラズマプロセスは、バッチ処理環境の同じユニットまたは連続処理環境の別のユニットで、UCP容器内で同時にまたは順番に使用することができる。
【0108】
図8では、UCPの中央部分に、
図7に関して上で説明したように、容器内に導入された化学反応物を完全にまたは部分的にイオン化(任意の所望の状態に)できる、反応性X線化学プロセス装置(RXCP)の要素が含まれている。以下の議論は上記の議論の一部を繰り返したものである。
【0109】
UCPのRXCPセクションでは、中空カソードグリッド電子銃の形態の透過型X線源を使用する。電子銃は、順番に、室335内で縦方向に延びる中空円筒形の冷電界放出カソード350、カソードの内側(中空内部領域)に配置された同心円筒形のグリッド355、及び容器の中心軸とカソード及びグリッドの両方と同心に配置された内側の同心円筒形のアノード360を含むことが好ましい。カソード350及びグリッド355を含む電子銃は、パルスモードで約80,000アンペア/cm2の実証された最大電流密度を達成することができ、これにより、X線ビームを生成するために使用される多数の電子によって生成される高いフルエンスにより、最終的に極めて高いレベルの照射が可能になる。実際の用途では、カソードは理論上の最大値まで負荷されるのではなく、むしろそれより小さい値で負荷される。例えば、典型的に0.025~5MeVのX線光子エネルギーの場合、十分に大きな電源があるとすれば、典型的にはキロアンペア~数メガアンペアの範囲の高いビーム電流を達成することができる。UCP装置全体は放射線遮蔽365で囲まれており、その厚さは、最大カソード電圧によって決定される。カソード電圧は、電気絶縁真空フィードスルー362を介して供給され、グリッド電圧は、分離グリッド電気絶縁真空フィードスルー364を介して供給される。フィードスルー362、364は両方とも電気絶縁され、高真空で密封されており、生物学的放射線遮蔽365及び容器筐体を貫通する。
【0110】
カソード350は、電圧、電流、立ち上がり時間、及びパルス繰り返し率の要件を満たす電源(図示せず)によって充電される。カソードには電力を、連続的に供給することも、選択した繰り返し速度で電圧をオン/オフするパルスモード供給することもできる。バイアス抵抗器(これも図示せず)は、カソード350とグリッド355との間に接続され、グリッド355にバイアス電圧を生成するために使用され、これにより、管は通常、スタンドオフ状態(非導通状態)に維持される。グリッド155に接地電位の制御信号が印加されると、グリッドはカソード350の制御を解除し、カソードは放電する。次に、電子(
図8で矢印で示される)が、カソード350からアノード360に移動する。これらがアノード360に衝突すると、制動放射X線放射が発生する。X線と二次電子との混合物は、アノード360のX線放射内側表面から等方的に放出される。入射電子の浸透深さは、カソード電圧とアノード360の厚さとのバランスによって制御される。アノード360は、所望の透過照射をある程度制御するために、通常、照射容積の領域に薄壁セクションを備えている。アノード壁セクションの厚さは、内部空間の直径、カソード電圧、及びアノードの原子番号(Z)の関数である。アノードから放出される二次電子は、潜在的な反応の数を劇的に増加させるため、重要な役割を果たす。主室135の反応ゾーンで原子を完全にまたは部分的にイオン化することに加えて、解放された各二次電子は、今度はアノード内の原子に衝突し、さらなるX線の放出及び追加の二次電子の放出を引き起こすことができる。この二次電子のカスケード効果は、現実的なエネルギーバランスが確実に達成可能となるのに役立つ。したがって、アノード360は、所望の透過制動放射スペクトルをある程度制御するために、通常、照射容積の領域に薄壁セクションを備えている。冷カソード電界放出X線源の代わりに、他の放射線源を使用することもできる。代替案としては、従来のX線源を複数使用することである。好適な中空円筒形状、適切なガンマ線出力、及び半減期を持つ核放射性同位元素源を使用することも可能である。UCP装置全体は、生成されるX線(またはガンマ線)エネルギーに比例した厚さの放射線遮蔽365で囲まれている。
【0111】
再び反応物入口ポート314を参照すると、注入前にUCPのRXCPセクションでイオン化される予定の反応物の分子構造を保存するために、入口は放射線に対して遮蔽されている。これにより、早期解離、または早期部分イオン化が防止される。反応物注入システム317を遮蔽すると、イオン化された反応物によって引き起こされる損傷から反応物インジェクターも保護される。シールド317は、ステンレス鋼または別の非反応性物質で作られた同心パイプを使用して埋め込むことができる。パイプ間の隙間には、X線耐性物質、典型的には、鉛または他の高原子番号元素が充填されている。反応物入口ポート314は遮蔽された反応物インジェクター325に通じており、これは、ノズル(例えば、327)を備えた略円筒形の導管である。
図8には、別の遮蔽された反応物インジェクター(UCPは、1つ、2つ、またはそれ以上の遮蔽された反応物インジェクターを含むことができる)の平面図(非切断図)も含まれており、インジェクター導管の周囲に配置されたノズルの分布を示しており、反応物インジェクターの数は、意図された反応の要件に依存する。プラズマのサポート及びフィールド強化のために、個別の電極の形態もしくは電気絶縁遮蔽された反応物インジェクターの形態のいずれかの追加電極をここに含めるか、またはプラズマの閉じ込めのために外部磁気コイルを提供することができる。両方の条件をサポートすることも可能である。同様に、乾燥機構造をここで実装することもできる。
【0112】
反応物は、遮蔽された反応物インジェクター(複数可)325を介して主室に導入され、遮蔽された反応物インジェクター(複数可)325を介して主室335の反応ゾーンに入る。複数の反応物インジェクターを使用することもできるが、1つの反応物インジェクターから複数の反応物種を導入することもできる。一部の流動床の適用では望ましいように、注入ポートを大きくして、反応ゾーン335に大量の反応物を流入させることができる点に留意されたい(
図10を参照)。注入ポートの数は、必要に応じて少なくすることができる。
【0113】
UCPのRXCPセクションが作動し、グリッドが接地されると、電子がアノードに放出され、今度はアノードから反応器の主室(中央照射空間135)に遮蔽された反応物インジェクター(複数可)に向かってX線が放射される。X線のエネルギーは、23KeV~5MeVの範囲にあり、バーストまたは連続照射としてアノードから放射される。5MeVを超えるX線エネルギーは可能であるが、このタイプのシステムで通常予想される、23keV未満では、X線は生成されないことに注意されたい。これらのX線は、容器内で下限385と上限387によって空間的に区切られた、放射線ゾーンと呼ばれる主室335の中央部分に入る。放射線ゾーン内では、プリセットされた化合物及び原子は、X線光子と、銃によって形成された二次電子との混合、及び反応ゾーン内のその他の衝突相互作用によって、存在する原子種のイオンに構成分子に完全にイオン化される。
【0114】
これと同時かつ同期して、二次、三次、及び追加の反応物を反応空間に注入し、同時または順次完全にイオン化することができる。放射線ゾーンには、意図的な大きな乱流があり、確実に、あらゆるイオン、電子、原子、及び分子を完全に混合させ相互作用させる。反応の特定の特性を高めるために、放射線ゾーンに触媒を含めることが可能であり、また、多くの場合必要とする。ほとんどの場合、これを変更するための特別な措置が講じられない限り、これが最もエネルギーの低い状態の化合物になる。このシステムの自然な傾向は、最も低いエネルギー状態の化合物を生成することである。さまざまなパラメータを調整することで、組み換えがされると(X線フラックスが停止することで)どのような分子が出現するかを正確に判断することが可能である。反応の種類及び発生する化学反応の速度を制御するために、調整可能ないくつかのパラメータが使用される。調整可能なパラメータには、1)X線電圧;X線電流;X線パルス持続時間;第1及び第2(及び存在する場合、それ以降)の反応物の比率;反応器を通過する反応物の流量、ならびに反応物として選択された特定の化学物質;触媒の使用等が挙げられる。この点に関して、反応室内で生成されるプラズマの高温は、焙煎プロセスによってもさまざまな反応を引き起こすのに十分であり得ることに留意されたい。
【0115】
原料物質及び反応物の両方が主室335に入り、X線及び二次電子に暴露される。流動床が同時に存在する場合、流動床の流体相がX線に暴露される。反応物は、液体、気体、プラズマ、及び場合によっては、粒状固体など、広範囲に異なり得る。各反応物及び主要原料の量は、MKS(登録商標)GM50A Digital Mass Flow Controller(MFC)&Meter(MKS Instruments Inc.(Andover Mass))、または半導体業界で使用されているその他のマスフローコントローラを使用して計測される。このクラスのコントローラは、文字通り原子レベルの精度で非常に正確な量の物質を送達することを可能にする(すなわち、コントローラは、その中を流れる物質の原子の正確な数を分配する)。これにより、反応の化学量論を非常に正確に制御することができる。
【0116】
本開示で企図されるプラズマの反応性が非常に高いため、プラズマを、壁及びインジェクターから遠ざける手段を提供することが望ましい。これを達成するための主な手段は3つある:(1)好ましい実施形態である、静電気的(
図13に示される);(2)電磁気的(
図14に示される):これは状況によっては使用できる;及び(3)物理的な絶縁バリアを使用する(図示せず)。後者から始めると、物理的な絶縁バリアは、プラズマを特定の領域に閉じ込めながら、さまざまな反応物の注入と、X線と二次電子の両方による照射とを可能にする、反応ゾーンに絶縁体非反応性の誘電体インサートを配置することを伴う。
【0117】
図13は、フィールド閉じ込めまたはフィールド強化ともしばし称される静電プラズマ閉じ込めを採用した、UCPの実施形態の簡略化された断面図であり、好ましい実施形態である。図示の実施形態では、3つの等距離電極802、804、806が、RXCPの内壁810の内側の主室の作業ゾーン内、ただし反応ゾーンのすぐ外側に配置されている。電極802、804、806は、プラズマ反応が発生する均一な、略円筒形のフィールドを生成するように構成されており、これをプラズマ閉じ込め領域815と称する。他のフィールド構成も可能であることに留意されたい。さらに、1つ以上の反応物インジェクターを静電界生成用の電極として利用するだけではなく、乾燥機要素(含まれる場合)も利用することが可能であることに留意されたい。
【0118】
図14は、電磁プラズマ閉じ込めを採用したUCPの実施形態の簡略化された断面図である。図示の実施形態では、4つの電磁石コイル902、904、906、908が反応ゾーンの周囲に配置されている。活性化電圧/電流は、直流(DC)または交流(AC)のいずれかであり得る。電磁石コイル902、904、906、908は、作動すると、力線912で示される磁界を生成する。磁界は、閉じ込め領域から移動する荷電粒子(すなわち、電流)を偏向させて閉じ込めゾーン915に戻すことにより、反応ゾーン内で生成されたプラズマを閉じ込める。他のコイル及び電磁界構成も可能であることに留意されたい。電磁界強化技術は、プラズマ閉じ込めのための静電界強化技術と同時に使用することができる。
【0119】
UCP内で物質を乾燥することができることも望ましい。
図15は、乾燥機要素を有するUCPの実施形態の断面図である。示されている軸方向の断面図には、最も外側から最も内側の順に、シールドハウジング365、カソード350、グリッド355、アノード360、及び乾燥機要素1010の同心円筒形要素がいくつか示されている。乾燥機要素は、中空アノード360の内壁のすぐ内側の電気絶縁体1014、1018上に取り付けられた、略円筒形の蛇行抵抗加熱要素を含むことができる。乾燥機要素1010は、乾燥機要素をUCPの内部容積の外部にあるスイッチング手段に接続することにより、プラズマの開始及び維持のための電極として使用することもできる。
【0120】
処理前に、質量分析計入口ポート318を介して原料のオンライン分析が実行される。反応器を通過した後、反応物が所望の状態に反応したことを確認するために、室の上端にある第2の質量分析計入口180で排出物をサンプリングすることによって第2のオンライン化学分析が得られる。望ましい反応及び濃度を達成するために、追加の反応物を正しい比率で追加できることに留意されたい。質量流量計(
図8には示さず)は、システムに供給される反応物の正確な量を制御するための計装された分配及びフィードバックシステムを提供する。これらの要因を、X線電圧及び電流と一緒に制御することで、システムを調整し、幅広い化学出力を生成することが可能になる。以下に説明し、
図13に示すように、好適な処理、メモリ、及び通信リソースを備えたホストコンピュータが供給口、質量流量計、及び質量分析計に接続され、すべての情報ソースを組み合わせ、人工知能ベースの作業を利用して、反応器パラメータが常に目的の出力生成物に対して最適化されことを確実にする。マスフローコントローラの作業は、システムの入出力を監視するシステムに接続された残留ガス分析装置及びその他の分析機器からの入力を使用して、ホストコンピュータによって制御される。
【0121】
主室335内で反応が発生すると、特定の化合物が沈殿し、適切な出力ポートを介してシステムの出力から除去される。このプロセスを1回以上繰り返すと、排出物は、不要な化学成分及びあらゆる生物学的または有機的な成分を含まなくなる。例えば、UCPを水処理に使用すると、存在する医薬品または農薬などの複雑な有機化合物が分解される。すべてのポートには弁(図示せず)が付いており、プロセス条件の必要に応じて開閉、または流量の調整が可能であることに留意されたい。
【0122】
UCPのRXCPセクションは、フラッシュX線照射装置(FXI)として動作することができる。FXIモードでは、典型的には、反応物の供給がオフになっている状態で、高強度X線が反応ゾーンに印加される。このモードでは、一般的に、原料は原料投入ポートから投入され、残りのポートはオフのままである。ただし、状況によっては、上述のように、他の入口ポートを使用してFXIモードで物質を供給することも可能である。
【0123】
流動床とRXCPとを組み合わせるには、RXCPには典型的に円筒形のプロセスセクションが組み込まれているという事実を利用して、特定の変更を加える。重要な変更点の1つは、UCPが垂直に取り付けられている場合は、流動化手段用の供給接続部と、反応領域の側面の入口ポート及び出口ポートとを備えた穴あき底板を追加すること、または、水平の場合は、穴あき底板を追加することである。分離する材料の仕様組成に応じて、分離効率を高めるために、流動床ステップの前または後のいずれかに、UCPの外部でスクリーニングステップを組み込むことが望ましくあり得る。入口ポート及び出口ポートの位置は、UCPをバッチモードもしくは連続モードで使用するか、または水平もしくは垂直で使用するかに依存することに留意されたい。UCPを水平位置で流動床として操作する場合、流動床を動作させるには拡散器を流動床の底部に配置する必要があるため、この向きに合わせて拡散器及び触媒を再配置する必要がある。FXI機能は、反応物注入手段をオフにし、UCPのX線発生セクション(すなわち、カソード、グリッド、アノード)のみを運転することによって達成される。この用途の目的においては、バッチ処理での垂直モードが好ましい実施形態であるが、連続モードでの水平作業が実用的であり、工業規模のプロセスで使用される可能性が最も高い。
【0124】
UCPがどのモードで使用されるかに関係なく、複数の連続モードで動作する機能など、特定の共通点が確認されており、限定されないが、i)流動床(FB)のみ;ii)RXCPのみ;iii)フラッシュX線のみ;(iv)FB+RXCP、v)FB+RXCP+FXI、vi)FB+乾燥、vii)FB+RXCP+乾燥、viii)FB+RXCP+フィールド強化、ix)RXCP+乾燥、及びx)RXCP+フィールド強化のいずれかを含むフルUCが挙げられる。上記のすべての運転モードは、連続モードまたはバッチモードのいずれかで実行することができる。上記のモードはすべて、電磁界強化、静電界強化の両方の強化技術を使用して実行可能であり、上記のいずれも、必要に応じてプラズマ環境または非プラズマ環境で実行することができる。UCPモードには、反応物をオフにするだけでFXI機能を含むということに、再度留意されたい。このモード中は他のFXI作業も発生する。達成可能なプロセスのさまざまな組み合わせは、当業者には明らかであろう。
【0125】
UCPは高強度X線の存在下で流動床反応作業を実行できるため、流動作業中に反応物を完全にイオン化し、流動化中にRXCPによって生成される高度なプラズマ反応を発生させることができる。流動化により反応物の接触が劇的に増加するため、RXCPクラスの作業のみよりもパフォーマンスを向上させる。UCPによって提供される多数の分離化学反応及びその他のプロセスの直接的な結果として、採鉱及び鉱物作業を含む多くの産業プロセスを簡素化することが可能となるため、資本コスト及び運転コストの両方を削減すると同時に、これらの作業から汚染物質のすべてではないにしても多くを排除し、収量を増やすことができる。静電界の閉じ込め/強化により、システム操作性及び信頼性も向上することが留意される。複数の運転モードがあるため、この装置は「ユニバーサル」化学反応器と称される。
【0126】
触媒は、化学反応を促進するために反応物供給を介してUCPに導入することも、反応ゾーンに恒久的に取り付けることも可能である。触媒は、触媒反応では消費されないため、反応後も変化しない。多くの種類の反応では、ごく少量の触媒しか必要とされないことがよくある。さらに、いくつかの反応は触媒の存在下でのみ起こり得る。流動床及びRXCP(及びFXI)の作業は、両方とも特定の状況下での触媒の使用によって強化され得る。一般に、触媒が存在すると化学反応はより速く起こるが、これは、触媒が非触媒メカニズムよりも低い活性化エネルギーで代替の反応経路またはメカニズムを提供するためである。触媒メカニズムでは、通常、触媒が反応して中間体を形成し、次いで、プロセス内で元の触媒が再生される。チタニア(二酸化チタン(TiO2))または二酸化マンガン(MnO2)などの無機化合物から、ウィルキンソン触媒(クロリドトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム)、RhCl(PPh3)3などの複雑な有機化合物に至るまで、多くの物質が触媒として機能することができる。例証的な例として、ウィルキンソン触媒は、真の触媒サイクルに入る前に、1つのトリフェニルホスフィン配位子を失う。一般的に、配位子は、電子供与体、金属は、電子受容体(すなわち、それぞれルイス塩基及びルイス酸とみなされる。ルイスの酸塩基反応理論では、塩基が電子対を供与し、酸が電子対を受け取る。したがって、ルイス酸は、H+イオンなど、非結合電子対を受け取ることができる任意の物質である。ルイス塩基は、OH-イオンなど、非結合電子対を供与できる任意の物質である。したがって、ルイス塩基は、電子対供与体である)。プラズマ化学では、余剰電子が生成される可能性があるため、配位子の使用が不要になる場合がある。これはすべての反応に当てはまるわけではないが、一部では大きなコスト削減要因となり得る。
【0127】
UCPの流動床部分の場合、触媒の使用が研究されており、流動床で行われる多数の反応プロセスが、触媒の存在によって可能となっている。UCPのRXCPセクションの場合、触媒の導入は、反応を可能にする上で極めて重要な追加要素となり得る。RXCP(及びFXI)の運転原理は、これらのプロセスにおける全イオン化ステップに続いて、存在するイオンが、上記のようにすぐにそれらの最低エネルギー状態に組み換えられようとするものである。触媒を導入することで、このプロセスを変更し、ある化合物を他の化合物よりも優先して形成させることができる。
【0128】
UCPの使用によっては、プロセス結果を改善するために、原料及び反応物質の反応前濾過を行い、できるだけ多くの粒子状反応物を除去して、反応器が処理しなければならない物質の量を最小限に抑え、かつ、後濾過を行い、沈殿物を除去することがしばしば有用である。これは、本開示による流動床分離、スクリーニング、ハイドロサイクロン分離、バスケット型フィルター、またはその他いくつかの方法を含むがこれらに限定されない、多数の周知の方法のいずれかによって行うことができる。ハイドロサイクロン法は、連続的に大量の分離を行う方法であり、ハードウェアの供給業者が多数存在し、ハイドロサイクロン分離器は、バスケット型フィルターよりもメンテナンスの必要性が少ないため適している。ハイドロサイクロン分離の大きな欠点は、バスケット型フィルターまたは他のプロセスほど細かく微細な汚染物質を除去する効果がないことである。UCPプロセスのRXCPセクションの前にできるだけ多くの材料を除去すると、プロセスの実行に必要なエネルギーの量が削減されることに留意されたい。
【0129】
同様に、UCPのRXCPセクションは、出力ストリームでいくつかの化合物の沈殿物を生成するように設計されているため、これらを分離して他の目的に使用できるようにすることができる。遠心分離及びサイクロン式など他の多くの手段も可能であるが、段階的に細かな孔径を持つ多段バスケットフィルターは、望ましい清浄度を達成するのに優れた方法である。
【0130】
図12は、本開示によるUCP及び制御システムを含むシステムの実施形態を示す概略図である。システム700では、多数の制御された入力がUCPに供給され、入力と出力の両方が監視され、ホストコンピュータ750によって制御される。タンクまたはその他の容器などの原料供給702は、供給ラインを介して原料物質を送達し、この供給ラインは、原料供給ラインを介して投入される原料物質の質量流量を測定する、原料流量計704によって監視される。原料流量計からの出力は、ホストコンピュータ750に配信される(有線または無線接続経由)。原料供給制御弁708は、流量計904とUCP300の原料投入ポート710との間の原料供給ライン上に配置される。原料制御弁は、ホストコンピュータに通信可能に接続されており、ホストコンピュータ750によって実行されるアルゴリズムによって決定されるUCPの作業に応じてバルブを開閉するための制御信号を受信する。
【0131】
ホストコンピュータ750は、ソフトウェア命令または好適なファームウェアを使用して構成され、データ源の中でも特に、原料投入及び出力から生成された質量分析計データを他のデータソースと比較し、出力データを所望の最終生成物の基準スペクトルと比較する。この分析に基づいて、ホストコンピュータは、反応物の流量を増やすか、減らすか、または同じ流量を維持するかを決定する。これらの調整が行われると、ホストコンピュータは追加の分析を反復し、行われた調整によって最終生成物が所望の最終結果生成物に近づいたかまたは遠ざかったかを判断する。これらの反復に基づいて、さらなる調整を行うことができる。ホストコンピュータは、出力が設定された下限及び上限の範囲内で安定するまで反復を続ける。結果として得られた出力生成物がホストコンピュータで修正できないほど仕様から大きく外れていると判断された場合、化学プロセスを停止し、オペレーターに通知を発行する。ホストコンピュータは、安全上の目的で他の重要な機能も監視し、監視対象のパラメータのいずれかが所定の範囲外となり安全上の問題を示す場合は、システムをシャットダウンする。
【0132】
同様に、流動化媒体供給712は、流動化媒体供給ラインを通る流動化媒体の質量流量を測定する流動化媒体流量計714によって監視される供給ラインを介して流動化媒体を送達する。流動化媒体供給は、加圧された液体及び/または気体タンクを含み得る。流動化媒体制御弁718は、流動化媒体流量計914とUCP300の流動化媒体投入ポート720との間に配置されている。流動化媒体流量計714及び流動化媒体制御弁718は、両方ともホストコンピュータ750に通信可能に接続されており、流動化媒体流量計714は、ホストコンピュータ750に測定信号を提供し、流動化媒体制御弁918は、ホストコンピュータからコマンド信号を受信し、UCPの運転条件に応じて流動化媒体の供給を調整する。同様に、反応物供給722もタンクまたは他の容器を含み得、投入反応物質の質量流量を測定する、反応物流量計724によって監視される供給ラインを通じて反応物質を送達する。反応物供給制御弁728は、反応物流量計724とUCP300の反応物投入ポート730との間に配置されている。反応物流量計724及び反応物供給制御弁728は、両方ともホストコンピュータ950に通信可能に接続されており、反応物流量計724は、ホストコンピュータ750に反応物の質量流量を示す信号を提供し、反応物供給制御弁928は、ホストコンピュータからコマンド信号を受信し、UCPの動作条件に応じて反応物の供給を調整する。いくつかの実施態様では、追加の反応物供給732は、さらなる反応物(反応物供給722からの反応物とは異なり得る)を、原料制御弁704を介して原料供給ラインにつながる二次反応物供給ラインに供給する。原料及び二次反応物は、したがって、原料投入ライン710を介してUCP300に供給される。二次反応物流量計734は、二次反応物供給ラインを通る質量流量を測定し、測定信号をホストコンピュータ750に送信する。原料、流動化媒体及び反応物供給702、712、722、732は、連続モードでは、タンクではなくパイプを備えることができる。
【0133】
流量計と制御弁との対である704/708、714/718、及び724/728は、別々の装置に実装することができるが、必ずしもそうである必要はない。いくつかの実施形態では、計量機能及び流体調節機能の両方を、当該技術分野で周知の半導体技術を使用した単一の装置によって実行することができる。
【0134】
図16は、本開示に従ってホストコンピュータを使用して選鉱プロセスを制御する方法のフローチャートである。最初のステップ1110及び1120では、ホストコンピュータが、反応器の入力端及び出力端から取得された、第1及び第2の分析出力から処理されたデータを受信する。分析出力からのデータは、例えば、1つ以上の質量分析計を使用して処理することができる。ステップ1130では、ホストコンピュータは、分析出力(例えば、質量分析計データ)のデータと基準(標的)スペクトルとを比較する。明確に言えば、所望の投入原料及び反応物が、所望の出力とは異なる傾向があるため、基準スペクトルは第1分析出力と第2分析出力で異なり得る。いずれの場合も、ステップ1140で、ホストコンピュータは、分析出力データと基準スペクトルとの差が、選択された閾値より大きいかどうかを判定する。差が閾値より大きくないと判断された場合(「いいえ」)、方法はステップ1110及び1120に戻り、新しいデータを受信する。ステップ1140で、分析出力データの差が閾値より大きいと判断された場合(「はい」)、ステップ1150にて、ホストコンピュータは、ステップ1145でホストコンピュータによって受信された(変更前に)さまざまな質量流量検出器から受信した質量流量データに基づいて、原料、反応物が反応器に供給される速度を変更する。
【0135】
UCP300には、UCP300の近位端に供給される投入物質のサンプルを、第1の質量分析計(
図2には示さず)に供給する、第1の分析出力318が含まれる。第1の質量分析計からの出力は、ホストコンピュータ750に供給される。UCPのもう一方の遠位端には、出力生成物のサンプルを、第2の質量分析計(これも図示せず)に供給する、第2の分析出力380がある。第2の質量分析計からの出力も、ホストコンピュータ750に供給される。UCPの遠位端は、UCP内で発生する反応及びその他のプロセスの生成物のためのメイン出力ポート345も含む。出力流量計740は、出力生成物の流量を測定し、測定信号をホストコンピュータ750に送信する。メイン出力ポート345から排出される物質は、RXCPまたはFXI操作によって誘発される反応の目的の生成物であり得、タンク、パイプ、または追加のプロセスコンポーネントにつながり得る。バッチモードで使用する場合、単一の反応器を使用し、さまざまな供給物及び電気パラメータを変更することによって、さまざまなプロセスステップを順番に実行することができる。連続モードで操作する場合、同時操作が少なくなり、複数のUCPを順番に結合するか、または他の方法で結合して特定のプロセスを実装することができる。
【0136】
ホストコンピュータ750も、UCP内の圧力を調整するために、再循環ポンプ(
図12では簡略化のため示さず)に通信可能に接続されている。ホストコンピュータ750は、流量計から受信した流量情報、ならびに質量分析計から受信した入力反応物(原料を含むすべての反応物)及び出力生成物の組成に関する情報を評価し、制御弁704、714、724を介するUCPへの材料の流れを制御するように構成されている。例えば、ホストコンピュータは、反応の進行が速すぎると判断し、投入材料の流れを制限するコマンドを実行して反応速度を遅くすることができる。
【0137】
電力供給745は、UCP300のカソード及びグリッドに電力を供給する。ホストコンピュータ950はまた、UCP300のRXCPセクションのさまざまなコンポーネントを動作させるための制御信号を提供し、UCPの状態を監視するための電気信号を受信する。例えば、ホストコンピュータ950は、RXCPのグリッド355の作業を制御して、電子銃のオン/オフを切り替える。
【0138】
UCPが原料物質の分離に使用される場合、典型的には流動床作業で行われるが、必ずしもそうである必要はなく、比較的重い成分は、下部出力ポート340から排出され、軽い成分は、上部出力ポート342から排出される(
図8に示す)。流量計を、下部及び上部の分離出力ポート340、342に配置して、分離された流れの質量流量データをホストコンピュータ750に提供することもできる(分離出力ポートの流量計は、簡略化のため示さず)。
【0139】
本明細書で説明するUCPは、スタンドアロンのコンポーネント、及び他のタイプの化学プロセス装置に比べ、多くの相乗効果及び利点を提供する。強化流動床の存在により、反応物、触媒、及び原料の混合及び接触が増加するため、従来の個別の反応器及びプロセス装置に比べ、段階あたりのスループットが向上し、反応がより完全になる。これは、UCPでは単一のシステムで複数のプロセスを実施できるという汎用性が向上したためである。さらに、大規模な変更作業なしでプロセスを変更することが可能である(例えば、流動床モードのみからRXCPによる流動床モードへの作業の変更)。言い換えれば、単一の装置で複数の運転モードをサポートできるということは、単一の工場で複数の生成物を生産したり、個別の段階よりも簡単にプロセスパラメータ及び構成を変更したりできることを意味する。
【0140】
UCPはまた、同様の機能を持つ同等の処理システムよりもコンパクトな設計で、設置面積も小さい。このコンパクトな設計により、調整に優れたよりシンプルな電気システムが可能になる。前述の利点により、バリエーションが少なくて済む、よりユニバーサルなデザインとなることで、製造コストが削減され、より大きな規模の経済性の達成につながり得る。本明細書で提示するUCPコンセプトは、従来の化学処理プラントではこれまで実現できなかったプロセスの柔軟性を達成する予期せぬ手段を表している。
【0141】
選鉱に関しては、本明細書で説明する流動床濃縮器、RXCP、及びUCPは、長年求められてきたニーズを満たす。これらの装置が、単独でもそうであるが、特に組み合わせたときに実行できる操作の種類は、何百年も使用されてきた有毒で汚染の多い湿式化学プロセスの必要性を排除することができる。これらの採鉱作業の近隣地域に住む環境及び民間人への影響は即時かつ甚大である。流動床を使用した効果的な物質分離、環境毒素の除去、及び危険な副産物を改質または分解するRXCP及びUCPのプラズマベースのプロセスの能力を使用した排除の組み合わせにより、鉱業の選鉱は、大量の有毒液体廃棄物の生成による環境に有害な活動である必要がなくなり、以前は実行不可能だった場所や管轄区域でもコスト効率よく実行が可能である。
【0142】
本発明の技術は、他の鉱業にも利益をもたらし得ることに留意されたい。例えば、石油・ガス生産産業は、放射性の廃棄副産物を大量に生み出していることから、深刻な環境問題を引き起こしている。本明細書に記載のリン酸石膏廃棄物から放射性物質を除去するためのプロセス(以下の実施例2を参照)と本質的に同じプロセスを、石油及びガス産業で本質的に同じ要件において(すなわち、リン酸石膏の場合と同様に、ラジウム及びラドンは、修復する必要がある2つの主要な放射性成分であるため、プロセスストリームからの放射性物質の除去(以下の実施例3を参照))有利に利用することができる。
【0143】
本明細書に開示される構造的及び機能的詳細は、システム及び方法を限定するものとして解釈されるべきではなく、当業者に本法を実装するための1つ以上の方法を教示するための代表的な実施形態または構成として提供されることを理解されたい。
【0144】
図面における同様の数字は、いくつかの図面にわたる同様の要素を表すものであり、図面を参照して説明及び例示されるすべてのコンポーネントまたはステップがすべての実施形態または構成に対して必要とされるわけではないことをさらに理解すべきである。
【0145】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、制限するように意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明らかに示さない限り、複数形も含むことを意図する。用語「含む(comprise)」または「含んでいる(comprising)」のいずれかは、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、要素、ステップ、動作、要因、及び/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、要素、ステップ、動作、要因、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0146】
方位の用語は、慣例及び参照の目的でのみ本明細書で使用され、限定と解釈されるべきではない。ただし、これらの用語は観察者に対して使用できることが認識されている。したがって、いかなる制限も暗示されず、または推測されない。
【0147】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」及びこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0148】
上記の主題は、例示としてのみ提供されており、限定的なものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載されている主題に対するさまざまな改変及び変更は、例示及び記載されている実施形態及び適用の例に従うことなく、また以下の特許請求の範囲における一連の記述、及びこれらの記述と等価である構造及び機能またはステップによって定義される、本開示に包含される本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、行うことができる。
【国際調査報告】