(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】消火用カートリッジを含むバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241115BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241115BHJP
H01M 50/273 20210101ALI20241115BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241115BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20241115BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241115BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/271 Z
H01M50/271 S
H01M50/273
H01M50/342 201
H01M50/383
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526705
(86)(22)【出願日】2023-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2023009273
(87)【国際公開番号】W WO2024005609
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081162
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-ファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】サン-スン・オ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-スク・イ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA03
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC10
5H012FF02
5H012FF08
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
(57)【要約】
本発明は、改善されたフレーム構造及び消火用カートリッジを用いて安全性を強化させたバッテリーモジュールを開示する。本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、トップフレームを含み、内部空間を形成するモジュールハウジングと、前記モジュールハウジングの内部空間に収容され、1つ以上のバッテリーセルを含む1つ以上のセルアセンブリと、前記トップフレームに配備され、作動開始についてのトリガー条件が成り立つ場合に消火剤を放出するように構成された消火用カートリッジと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップフレームを含み、内部空間を形成するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの内部空間に収容され、1つ以上のバッテリーセルを含む1つ以上のセルアセンブリと、
前記トップフレームに配備され、作動開始についてのトリガー条件が成り立つ場合に消火剤を放出するように構成された消火用カートリッジと、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記トリガー条件は、内部温度が基準温度以上である場合又は内部圧力が基準圧力以上である場合のうちのどちらか一方以上である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記トップフレームは、
上プレートと、
前記上プレートと離隔しており、下方向に前記セルアセンブリと対向する下プレートと、
前記上プレート及び下プレートの間に複数の装着空間が提供されるように上プレート及び下プレートの間を物理的に支持するバーティカル部と、
を含み、
前記消火用カートリッジは、
前記複数の装着空間のうちのいずれか1つ以上に配備されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記バーティカル部は、前記セルアセンブリと対応する長手方向に配置されている、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記下プレートは、前記上プレートと比べて弾性係数が低いか、あるいは、熱伝達係数又は熱膨張係数が高い材質からなる、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記装着空間は、前記セルアセンブリにおいて生じたベントガスが外部に流出されるベント孔と連絡されて流路を形成している、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記下プレートは、前記装着空間に相当する箇所に開口部が形成されている、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記開口部に配備されるが、前記内部空間の温度又は圧力が一定のレベル以上となる場合に前記開口部を開くように構成されたストッパーをさらに含む、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記ストッパーは、圧力によって上方に移動する場合に、前記消火用カートリッジに穿孔が生じるように上部に針状突起が配備されている、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記ストッパーは、上方が先細状のウェッジ状を呈しており、弾性材質からなる、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月1日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0081162号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示されている内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より具体的には、改善されたフレーム構造及びここに配備される消火用カートリッジを用いて安全性を強化させたバッテリーモジュールなどに関する。
【背景技術】
【0003】
電気を駆動源として用いるノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯型電子製品の需要が急激に伸び、移動型ロボット、電動自転車、電動カート、電気自動車などが普遍的に商用化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在商用化されている二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられるが、中でも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低いという長所を有することはもとより、エネルギー密度が高く、作動電圧が高いという特徴を有していることから、他の種類の二次電池に比べてさらに集中的な研究が行われることはもとより、実際の製品にもさらに拡張的に適用されている。
【0005】
最近には、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、電気自動車や電力貯蔵装置(ESS:Energy Storage System)などの中大型装置にも二次電池が広く用いられている。
【0006】
この場合、電気的に接続された二次電池の複数がモジュールケースの内部に一緒に収容されるバッテリーモジュールが主として適用されており、さらに、高電力や高容量が求められる場合にこのようなバッテリーモジュールの複数が電気的に接続されたバッテリーパックが適用されたりもする。
【0007】
このような長所を有する二次電池は、様々な形態にその使用がさらに広がりつつあるとはいえ、二次電池は、動作特性からみて、スウェリング(swelling)、突入電流(rush current)の印加、ジュール熱(joule heating)による過熱現象又は電解液の分解反応による熱暴走現象(thermal runaway)などが伴われる恐れがあるため、これに対する安全性の確保が重要なイシュ―として取り上げられる可能性がある。
【0008】
バッテリーモジュールやバッテリーパックは、複数の二次電池(バッテリーセル)又は複数のバッテリーモジュールが空間集約的に密集しているため、熱的事象にさらに脆弱になる恐れがある。特に、バッテリーモジュールの内部において熱暴走(thermal runaway)などが起きる場合、高温のガス(gas)、火炎(flame)、熱(heat)などが生じてしまい、これらが速やかに制御できなければ、熱伝播(thermal propagation)などによって当該バッテリーモジュールはもとより、隣り合うバッテリーモジュールに連鎖的な火災や爆発などが引き起こされる恐れがある。
【0009】
使用者が搭乗する電気自動車などの移動手段(vehicle)に適用される中大型バッテリーパックの場合、出力及び容量の増大のために数多くのバッテリーセルとバッテリーモジュールがさらに集約的に搭載されるため、大型火災などが引き起こされることが懸念されることはもとより、人的被害まで生じる恐れがあるため、バッテリーモジュールなどにおいて起き得る火災などのリスク状況が初期の状況でさらに強力に抑えられる必要性が高いといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような背景下で上述した問題を解消するために創作されたものであって、バッテリーモジュールの耐久性の増進のための構造的な改善はもとより、改善された構造と有機的につなぎ合わせられる消火用カートリッジに対する構成を通じて安全性がさらに向上したバッテリーモジュールなどを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するための本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、トップフレームを含み、内部空間を形成するモジュールハウジングと、前記モジュールハウジングの内部空間に収容され、1つ以上のバッテリーセルを含む1つ以上のセルアセンブリと、前記トップフレームに配備され、作動開始についてのトリガー条件が成り立つ場合に消火剤を放出するように構成された消火用カートリッジと、を含む。
【0013】
ここで、前記トリガー条件は、内部温度が基準温度以上である場合又は内部圧力が基準圧力以上である場合から構成され得る。
【0014】
具体的には、本発明の前記トップフレームは、上プレートと、前記上プレートと離隔し、下方向に前記セルアセンブリと対向する下プレートと、前記上プレート及び下プレートの間に複数の装着空間が提供されるように上プレート及び下プレートの間を物理的に支持するバーティカル部と、を含み得、この場合、前記消火用カートリッジは、前記複数の装着空間のうちのいずれか1つ以上に配備され得る。
【0015】
また、本発明の前記バーティカル部は、前記セルアセンブリと対応する長手方向に配置されるように構成得る。
【0016】
実施形態に応じて、本発明の前記下プレートは、前記下プレートは、前記上プレートと比べて弾性係数が低いか、あるいは、熱伝達係数又は熱膨張係数が高い材質からなることもある。
【0017】
さらに、前記装着空間は、前記セルアセンブリにおいて生じたベントガスが外部に流出されるベント孔と連絡されて流路を形成するように構成され得る。
【0018】
また、本発明の前記下プレートは、前記装着空間に相当する箇所に開口部が形成され得る。
【0019】
この場合、本発明によるバッテリーモジュールは、前記開口部に配備されるが、前記内部空間の温度又は圧力が一定のレベル以上となる場合に前記開口部を開くように構成されるストッパーをさらに含むように構成されることが好ましい。
【0020】
さらに好ましくは、本発明の前記ストッパーは、圧力によって上方に移動する場合に、前記消火用カートリッジに穿孔が生じるように上部に針状突起が配備され得るか、あるいは、上方が先細状のウェッジ状を呈し、弾性材質からなり得る。
【0021】
上記のような目的を達成するための本発明の他の態様によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを含み、上記のような目的を達成するための本発明のさらに他の態様による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合、簡単な構造的な改善を行うことで、バッテリーモジュールの耐久性を増強させることができることはもとより、耐久性の増進のための改善された構造に消火用カートリッジを簡単に設置することができて、組み立て易さはもとより、使い勝手のよさなどをさらに向上させることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、内部の環境要素(温度、圧力など)の臨界的な変化を消火用カートリッジの作動に自然に融合することができて、リスク要素の発生に対して発生の当初にさらに速やかに対応することが可能である。
【0024】
本発明の他の一実施形態によれば、消火用カートリッジの消火剤がセルアセンブリが面対面(plane vs. plane)で対面する箇所に集中的に噴出されるように誘導することができて、火災鎮圧などの効率性を高めることができることはもちろん、隣り合う他のバッテリーモジュールやセルアセンブリに火災などが連鎖的に伝播される現象などをさらに実効的に抑えることができる。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に何ら限定されるものではなく、言及されていない他の効果はこの明細書及び添付図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解できるものであろう。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの全体的な様子を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されたバッテリーモジュールの内部構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの全体的な様子を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示されたバッテリーモジュールの内部構成を示す分解斜視図である。
【
図5】消火用カートリッジが配備される、本発明の一実施形態によるトップフレームを示す図である。
【
図6】消火用カートリッジが配備される、本発明の他の実施形態によるトップフレームを示す図である。
【
図7】開口部が配備される下プレートに関する実施形態を示す図である。
【
図8】
図7に示された開口部に配備されるストッパーを示す断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態によるストッパーを示す断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態によるストッパーを示す断面図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施形態によるトップフレームの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの一部の構成を拡大して示す断面図である。
【
図13】
図12の実施構成に関する消火剤の放出構成を図式化させて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0029】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示されている構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0030】
また、この明細書には、色々な多種多様な実施形態が盛り込まれ得るが、各実施形態については相違点がある部分に重点をおいて説明し、他の実施形態についての説明が同一もしくは類似に適用可能な場合には詳細な説明を省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール1000の全体的な様子を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されたバッテリーモジュール1000の内部構成を示す分解斜視図である。
【0032】
図1及び
図2に示されているように、バッテリーモジュール1000は、ケースとして機能するモジュールハウジング1100及び前記モジュールハウジング1100の内部に配備され、1つ以上のバッテリーセル1210を含むセルアセンブリ1200を含む。
【0033】
モジュールハウジング1100は、図面に例示されているように、上部(Z軸基準)に位置するトップフレーム1500及び前記トップフレーム1500と結合されるベースフレーム1600からなり得る。
図3などに基づいて後述される本発明の他の実施形態のように、本発明のモジュールハウジング1100は、形状、構造、大きさ、結合される部材の数などに応じて、図面に例示された実施形態を含んで様々な構造と形態などとして実現可能であるということはいうまでもない。
【0034】
バッテリーセル1210は、電極組立体、電解質及び電池ケースなどを含む二次電池を意味し、図面には、エネルギー密度が高く、しかも、積層し易いパウチ型二次電池がその一例として示されているが、円筒型又は角型の二次電池がバッテリーセル1210として適用可能であるということはいうまでもない。
【0035】
図2などに示されているように、セルアセンブリ1200は、短軸が垂直方向(図面を基準としてZ軸)に入設されたバッテリーセル1210などが左右方向(図面を基準としてX軸)に並ぶように配列される(積層される)方式により構成され得る。
【0036】
図面には、縦(X軸)と横(Y軸)を基準として1×2マトリックスからなるセルアセンブリ1200(G1)、1200(G2)がモジュールハウジング1100に収容される例が示されているが、適用される装置の空間的な特性、電気的な容量、電力の大きさなどに応じて、1×1、2×4、3×2マトリックスなどといったように、様々な組み合わせ的な配列を有するセルアセンブリ1200がモジュールハウジング1100に配備され得る。
【0037】
また、図示はしないが、セルアセンブリ1200は、電気伝導性を有する金属材質などからなるバスバーにより電気的に接続され得る。
【0038】
モジュールハウジング1100は、1つ以上のセルアセンブリ1200を収容するための構成要素であって、内部に配備されたバッテリーセル1210を物理的に又は化学的に保護するために、剛性と耐久性の高い金属材質又はABS樹脂などのプラスチック材質からなり得る。
【0039】
さらに、図示のごとく、モジュールハウジング1100には、バッテリーセル1210から生じるベントガス(venting gas)を外部に排出するための一種の排出口(outlet)として機能する1本以上のベント孔150a、150b、150c、150dが形成され得る。
【0040】
ベント孔150a、150b、150c、150dには、実施形態に応じて、一定の圧力以上で破裂する膜(membrane)が配備される場合があるが、この場合、内部において生じたベントガスによって膜構造が破裂することにより、普段は遮断されていたベント孔150が開かれることに伴い、内部において生じたベントガスが外部に排出されるように構成され得る。
【0041】
ベント孔150の本数、位置などは、実施形態に応じて、図示の例とは異なるように構成可能であるということはいうまでもなく、被害の最小化のためにベントガスの排出が特定の方向に誘導される位置に配備されることが好ましい。
【0042】
図3は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール1000の全体的な様子を示す斜視図であり、
図4は、
図3に示されているバッテリーモジュール1000の内部構成を示す分解斜視図である。
【0043】
図3及び
図4に示された実施形態は、形態又は外部の構造などの点において前述された実施形態と相違点があるだけであり、本質的な機能などが実質的に対応するため、互いに対応する構成要素ごとに同じ参照符号が併記されているだけであり、両実施形態が物理的に一致することを意味するとは限らないということは当業者にとって自明である。
【0044】
図3及び
図4に示されているように、内部空間を形成するモジュールハウジング1100は、トップフレーム1500、ベースフレーム1600、サイドフレーム1610~1640を含んでなり得る。
【0045】
トップフレーム1500は、モジュールハウジング1100の上部に位置し、ベースフレーム1600は、トップフレーム1500の下部においてトップフレーム1500と所定の間隔だけ離れた形状に配置され得、サイドフレーム1610~1640は、トップフレーム1500とベースフレーム1600との間に上端と下端がそれぞれ接続された形状に配置され得る。
【0046】
トップフレーム1500、ベースフレーム1600及び/又はサイドフレーム1610~1640は、板状に形成され得るが、一定の厚さ以上を有する多面体(例えば、直方体)の形状に形成され得る。
【0047】
本発明の主な技術思想を実現するために、本発明のモジュールハウジング1100を構成するフレーム構造のうち、特に、トップフレーム1500は、その内部に1つ以上の消火用カートリッジ1300が配設される空間が設けられるように適正な厚さないし高さ(Z軸基準)を有するように構成される。この詳細については後述する。
【0048】
トップフレーム1500、ベースフレーム1600、サイドフレーム1610~1640のうちの少なくとも一部は、互いに一体化した形状に形成され得る。例えば、
図4に示されているように、4つのサイドフレーム1610~1640のうち、右側フレーム1610と左側フレーム1620は、ベースフレーム1600と一体化した形状に形成され得る。この場合、互いに一体化した形状の右側フレーム1610、左側フレーム1620及びベースフレーム1600は、その形状的な特徴によって、U-フレームなどの用語として称され得る。
【0049】
この場合、前方フレーム1630と後方フレーム1640は、エンドフレーム(end frame)であって、U-フレームの前端と後端の開放箇所にそれぞれ結合され得、トップフレーム1500は、U-フレームの上端開放部に結合され得る。隣り合うフレームの間の結合は、フランジ(flange)とのボルト締めによる方式はもとより、レーザー溶接や超音波溶接の方式などによって行われ得るということはいうまでもない。
【0050】
図4に示されているバッテリーモジュール1000の場合、モジュールハウジング1100の内部に2つのセルアセンブリ1200が配備されており、これらのセルアセンブリ1200のそれぞれは、1つ以上のバッテリーセル1210を含む。
【0051】
先に
図2に基づいて説明された実施形態の場合、縦(X軸)と横(Y軸)を基準として1×2マトリックスからなるセルアセンブリ1200がモジュールハウジング1100に配備されており、
図4に基づいて説明される実施形態のバッテリーモジュール1000の場合、縦(X軸)と横(Y軸)を基準として2×1マトリックスからなるセルアセンブリ1200がモジュールハウジング1100に配備されている。
【0052】
図4に示されているバッテリーモジュール1000においても、前述されたように、ベントガスが排出される1本以上のベント孔150a、150b、150cがトップフレーム1500又は/及びサイドフレーム1610に形成可能であるということはいうまでもない。特に、ベント孔は、トップフレーム1500にのみ形成されることもある。すなわち、
図4の実施構成において、サイドフレーム1610に形成されたベント孔150Bは除去されることもある。このような実施構成の場合、ベントガスがトップフレーム側にのみ排出されるようにすることにより、ベントガスによる消火用カートリッジ1300の対応能力がさらに安定的に確保されることが可能になる。
【0053】
トップフレーム1500、ベースフレーム1600又はサイドフレーム1610~1640、並びにトップフレーム1500をなす構成として後述される上プレート1510、下プレート1520のうちの1枚以上は、その内側面がクラッドメタル(Clad metal)からなるか、あるいは、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの難燃素材が取り付け可能であるということはいうまでもない。
【0054】
図示の軸、その軸を指す用語及び当該軸を基準として説明される上部、下部、前方、後方、垂直、トップなどのように、方向を意味する用語は、本発明の実施形態を説明するための相対的な基準を提示するためのものに過ぎず、絶対的な基準においてある方向や位置などを特定するためのものではないということは当業者にとって自明であり、対象となるオブジェクトの位置や観測者の位置、眺める方向(view direction)などに応じて相対的に異なってくる可能性があることはいうまでもない。例えば、本発明において、トップフレームは、バッテリーモジュールやバッテリーパックの装着形態や回転状態などに応じて、サイドフレームやベースフレームと称されることもある。
【0055】
以下、前述されたように、Z軸を上下又は垂直方向の基準として定義して本発明の実施形態を説明し、これと対応する観点から、Y軸を前方又は後方の基準として、X軸を左側又は右側の基準として定義して本発明の実施形態について説明する。
【0056】
図5は、消火用カートリッジ1300が配備される、本発明の一実施形態によるトップフレーム1500を示す図である。
【0057】
図5に示されているように、本発明の消火用カートリッジ1300は、トップフレーム1500が提供する内部空間に配備される。消火用カートリッジ1300は、後述されるように、作動開始についてのトリガー条件(trigger condition)が成り立つ場合に消火剤を放出するように構成される。
【0058】
本発明のトップフレーム1500は、図示のごとく、具体的には、上プレート1510、下プレート1520及びバーティカル部1530を含んで構成され得る。
【0059】
上プレート1510は、トップフレーム1500の上部に位置するプレート(plate)であって、図示のごとく、板状体又は体積を有する多面体などからなり得る。
【0060】
また、上プレート1510は、内部構成品の物理的な保護などを有効に実現するために、強度の高いステンレス鋼(SUS:stainless Steel)などの金属材質や耐熱、耐温、耐衝撃性の高いABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)などのプラスチック材質又は他の種類のプラスチック材質からなり得、実施形態に応じて、前記上プレート1510は、部位別に互いに異なる異種の材質からなることもあるということはいうまでもない。
【0061】
下プレート1520は、前記上プレート1510と垂直方向に離れて配設されるプレートであって、下方(Z軸基準)にモジュールハウジング1100が提供する内部空間に配設されるセルアセンブリ1200と対向する。
【0062】
下プレート1520もまた、上プレート1510と対応する材質からなることもあるが、セルアセンブリ1200が配備される内部空間の温度、圧力などの要素に機敏に反応し、これを上部に配備された消火用カートリッジ1300に有効に伝達するために、弾性率(弾性係数)が低いか、あるいは、熱伝達係数又は熱膨張係数が高い材質から形成されることが好ましい。
【0063】
下プレート1520が、弾性率が相対的に低い材質、あるいは、熱膨張係数が高い材質からなる場合、セルアセンブリ1200によってセルアセンブリ1200が収容されたモジュールハウジング1100、特に、ベースフレーム1600側の内部圧力が増加したり、あるいは、内部温度が高くなったりすると、それに伴い、下プレート1520の物理的な変位(上方向)が多大に、かつ容易に引き起こされる可能性がある。そのため、内部の圧力/温度などの変化による物理的な変位が消火用カートリッジ1300にさらに有効に伝達されることが可能になる。これに対し、上プレート1510は、熱や圧力などにも容易に変形しないことから、バッテリーモジュールの全体的な形状が安定的に保持されることが可能になる。
【0064】
実施形態に応じて、消火用カートリッジ1300は、基準値以上の圧力や外力などが加えられる場合に仕上げ材又は外装材などが破損(破裂)したり、あるいは、密封手段(キャップ、栓など)が離脱されたりすることにより、内部の消火剤、消火物質などが放出できるように構成され得る。
【0065】
このような作動方式と関連して、上述されたように、下プレート1520の物理的な変位が多大に、かつ容易に起こるように誘導される場合、消火用カートリッジ1300の作動メカニズムをさらに確実に実現することができて、従来の消火機能付きバッテリーモジュールにおける、消火剤の放出が遅れたり、あるいは、作動それ自体が行われなかったりするといったような問題を有効に解消することができる。
【0066】
上述されたように、物理的な変位(変化)を有効に伝達する形態と対応する視点からみて、セルアセンブリ1200によって内部温度が高くなると、それに伴う熱的変化をさらに速やかにかつ確実に消火用カートリッジ1300に伝達できるように、下プレート1520は、熱伝達係数の高い材質から形成されることが好ましい。
【0067】
実施形態に応じて、消火用カートリッジ1300には、基準温度以上において熱によって膨張する、例えば、粉末状の炭酸カルシウム、ハロゲン化合物などがカプセルなどの形態からなる消火剤が含まれ得、高温において消火ガス(二酸化炭素など)を放出する物質が含まれ得る。
【0068】
また、消火用カートリッジ1300は、基準温度以上において仕上げ材又は外装材などが物理的に変化(破損、破裂、溶融など)したり、あるいは、パラフィンなどの材質の密封手段(キャップ、栓など)が相変移(phase transition)したりして、内部の消火剤、消火物質などが放出できるように構成され得る。
【0069】
このような作動方式と関連して、上述されたように、下プレート1520が熱伝達係数の高い材質からなる場合、内部の温度の変化(温度の上昇)を速やかに消火用カートリッジ1300に伝達することにより、消火用カートリッジ1300の作動メカニズムをさらに確実に実現することができて、消火剤の放出が遅れたり動作しなかったりするなどの従来の問題を有効に解消することができる。また、上プレート1510は、相対的に低い熱伝達係数を有することにより、バッテリーモジュールの熱が上部側に位置する他のバッテリーモジュールや装置、又は乗客側に伝えられることを抑えることができる。
【0070】
このように、消火用カートリッジ1300は、作動開始についての条件であるトリガー条件(trigger condition)が成り立つ場合に内部に配備された消火剤が放出されるように構成され、前記トリガー条件は、前述された実施形態のように、内部の温度が基準温度以上である場合、又は内部の圧力が基準圧力以上である場合のうちのどちらか一方以上から構成され得る。
【0071】
消火用カートリッジ1300の内部に配備される消火剤(消火物質)としては、リン酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸アンモニウムなどをはじめとして本発明の出願時点において公知となっている多種多様な物質が適用可能であり、粉末などの固体状態をはじめとして、液体状態又は気体状態となっているものであり得る。また、消火用カートリッジ1300の外装材又はケースは、基準温度以上において溶融される材質からなるか、あるいは、外力が加えられる場合にひきちぎれたり破裂/破断したりする材質からなり得る。
【0072】
消火用カートリッジ1300の内部には、消火剤以外に、別途の不活性高圧気体が充填されるように構成され得る。このように構成される場合、トリガー条件下で消火用カートリッジ1300の内部の消火剤がさらに強い圧力にて噴出されることが可能になって、火災の鎮圧、発火の遮断などをさらに有効に実現することができる。
【0073】
上述された本発明の技術思想が有効に実現されるように、下プレート1520は、モジュールハウジング1100を構成するベースフレーム1600又はサイドフレーム1610~1640、並びにトップフレーム1500を構成する上プレート1510のうちの1つ以上に比べて相対的に低い弾性係数を有する材質、あるいは、相対的に高い熱膨張係数又は熱伝達係数を有する材質から形成されることが好ましい。
【0074】
下プレート1520の弾性係数、熱膨張係数、熱伝達係数などの特性値は、以上において述べられた内容はもとより、バッテリーモジュール1000の設置環境、製品の仕様、セルアセンブリ又はバッテリーセルの数又は安全基準などを総合的に考慮して設定され得るということはいうまでもない。
【0075】
下プレート1520には、図面に例示されているように、その外周の全体又は一部分にガイド壁部1523が一体形に又は結合形に形成され得、実施形態に応じて、前記ガイド壁部1523は、上プレート1510の外周の全体又は一部分から垂直の下方へと延びる形状に前記上プレート1510に形成されることもある。
【0076】
トップフレーム1500の1つの構成要素であるバーティカル部1530は、立設される形態で上プレート1510と下プレート1520との間に位置する壁部に相当する構成要素であって、図示のごとく、上プレート1510と下プレート1520との間の空間を消火用カートリッジ1300が収容される複数の装着空間Sとして形成する。
【0077】
また、前記バーティカル部1530は、上プレート1510と下プレート1520を物理的に支持して一種のHビームのようにトップフレーム1500の全体的な物理的剛性ないし耐久性を構造工学的に増進させるように構成される。
【0078】
このような構成を用いて、本発明のバッテリーモジュール1000は、外部から外力などが加えられても、バッテリーモジュール1000それ自体を物理的に保護することができることはもとより、装着空間Sに収容された消火用カートリッジ1300が意図しない外的な要因によって不要に作動してしまうことを有効に防ぐことができる。
【0079】
本発明の装着空間Sは、セルアセンブリ1200において生じたベントガスが外部に流出されるベント孔150a、150cと連絡される流路を形成するように構成されることが好ましい。
【0080】
本発明の装着空間Sは、バーティカル部1530によってその空間が形成されるとはいえ、閉鎖構造となるよりは、
図5の拡大図に例示されているように、バーティカル部1530とガイド壁部1523との間に離隔空間1531が形成されるようにして、上プレート1510などに形成されたベント孔150との関係で流路(flow path)を形成するように構成されることが好ましい。このような本発明の構成を用いて、内部において生じたベントガスがトップフレーム1500を介しても有効に排出されることが可能になる。
【0081】
装着空間Sとベント孔150との間に流路が形成されるようにする方法としては、図面に例示されているように、ガイド壁部1523とバーティカル部1530とが離れ合うようにする構成はもとより、バーティカル部1530に1本以上の開口部を形成する方法、バーティカル部1530それ自体を2つ以上のパートに仕切ってこれらの間に空間が形成されるようにする方法など多種多様な方法が適用可能である。
【0082】
図6は、消火用カートリッジ1300が配備される、本発明の他の実施形態によるトップフレーム1500を示す図である。
【0083】
下プレート1520と上プレート1510との間を物理的に支持し、消火用カートリッジ1300が配備される装着空間Sを形成する本発明のバーティカル部1530は、
図6に示されているように、トップフレーム1500の長軸方向と対応する長手方向に延びた形状となるように構成され得る。
【0084】
図6は、これに関する一実施形態であって、長手方向(Y軸)に延びた形状を呈し、適切な間隔(X軸基準)をあけて2つに並べられたバーティカル部1530が示されている。下側(
図6基準)のバーティカル部1530は、前述されたように、2つのパートに仕切られている。バーティカル部1530の配列は、セルアセンブリ1200が並べられた方向(
図4参照)と対応し、バーティカル部1530それ自体の延長ないし配置の方向もまた、セルアセンブリ1200又はバッテリーセル1210の長軸の長手方向と対応するように構成されることが好ましい。
【0085】
このように構成される場合、トリガー条件によって消火用カートリッジ1300から消火剤が噴出ないし放出される場合、下プレート1520を基準として下方(Z軸基準)に位置するセルアセンブリ1200に消火剤が放出されるようにすることができる。そして、事象の生じたセルアセンブリ1200又はバッテリーセル1210が面対面(plane vs. plane)で対面する箇所に消火剤が集中的に噴出されるように誘導することができる。したがって、火災の鎮圧の効率性を高めることができることはもとより、隣り合う他のバッテリーセルやバッテリーモジュール、セルアセンブリ1200に火災などが伝播される現象などをさらに実効的に抑えることができる。
【0086】
図7は、開口部1521が配備される下プレート1520に関する実施形態を示す図である。
【0087】
下プレート1520中の消火用カートリッジ1300が配備される装着空間Sに相当する領域ないし箇所には、
図7に示されているように、1本以上の開口部1521が形成され得る。
【0088】
消火剤が二酸化炭素のように気体から構成される場合、前記開口部1521が特定の位置に限定される必要はないが、図示のごとく、消火用カートリッジ1300の直ぐ下方に消火剤が噴射されるように誘導することにより、温度の降温、火災の鎮圧などの効率性がさらに高くなるように装着空間Sに相当する下プレート1520に前記開口部1521が形成されることが好ましい。
【0089】
消火用カートリッジ1300の内部の消火剤が下プレート1520の下部に位置するセルアセンブリ1200に放出可能である限り、開口部1521の本数、形状、大きさなどは多種多様に適用可能であることはいうまでもなく、実施形態に応じて、下プレート1520中の装着空間Sに相当する領域は、全体的に又は部分的にメッシュ(mesh)状になるように構成され得る。
【0090】
図6に示されている実施形態を基準としたとき、消火剤が、セルアセンブリ1200又はバッテリーセル1210が面対面(plane vs. plane)で対面する箇所に集中的に噴出できるように、前記開口部1521もまた、セルアセンブリ1200と対応する長手方向に複数本で配置されることが好ましい。
【0091】
図8~
図10は、
図7に示されている開口部1521に配備されるストッパー1700に関する本発明の実施形態を示す図である。
【0092】
図8に示されているように、下プレート1520に形成される1本以上の開口部1521には、普段は当該開口部1521を遮断する一種の栓又はキャップとして機能するストッパー(stopper)1700が配備され得る。
【0093】
前記ストッパー1700は、パラフィンなどのように一定の温度以上において溶融される材質からなって、内部の温度が上がる場合に自然に前記開口部1521が開かれるように構成され得る。また、内部の圧力が一定のレベル以上に上昇する場合にストッパー1700が開口部1521から離脱(X軸を基準として上方)できるように、ストッパー1700と開口部1521は、固定結合されずに物理的に嵌合する方式などにより開口部1521に配備され得る。
【0094】
また、本発明のストッパー1700は、
図9に示されているように、上方が先細状の(tapered)一種のウェッジ(wedge)の形状を呈し、弾性材質からなり得る。
【0095】
このように、ストッパー1700がウェッジの形状などを呈する場合、ストッパー1700が開口部1521を塞いだり密閉したりする機能を適正なレベルの圧力まで有効に持続することができることはもとより、ストッパー1700が上方に押し付けられる押付力を凝縮させることができて、内部の圧力がしきい値に達したとたん、強い離脱力にて開口部1521から急激に離脱されるようにすることができる。
【0096】
このように、ストッパー1700が強い離脱力にて急激に上方に離脱されるように構成されれば、このような物理的な変位をトリガーとして下プレート1520の装着空間Sに配備された消火用カートリッジ1300の外装材などをさらに確実に破裂、破断することができ、これを用いて、消火剤が放出される作動メカニズムをさらに確実に実現することができる。
【0097】
これと対応する視点からみて、本発明のストッパー1700は、
図10に例示されているように、圧力によって上方に移動する場合に消火用カートリッジ1300に穿孔が生じるように上部に針状突起又はこれに準ずる物理的な構造が配備され得る。
【0098】
図11は、本発明のさらに他の実施形態によるトップフレーム1500の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0099】
図11を参照すると、トップフレーム1500には、消火用カートリッジ1300を収容するために、バーティカル部1530により仕切られた複数の装着空間S1~S5が形成され得る。このとき、ベント孔150aは、開口部1521とは異なる装着空間に形成され得る。例えば、
図11の実施形態に示されているように、トップフレーム1500には、5つの装着空間S1~S5が設けられ得る。このとき、開口部1521は、S1、S2、S4及びS5の4つの装着空間に形成され得る。そして、ベント孔150aは、残りの1つの装着空間、すなわち、S3空間に形成され得る。
【0100】
本発明のこのような実施構成によれば、開口部1521を介して流れ込んだベントガスなどがトップフレーム1500の内部において長い経路をもって流れることができる。したがって、ベントガスがトップフレーム1500の内部の経路を流れる間に、消火用カートリッジ1300との接触面積を増大させて消火用カートリッジ1300の作動性能が安定的に保証され、消火剤との接触可能性をも高めることができる。また、この場合、ベントガスがベント孔150aに流出されないうちに、温度がさらに低くなることができ、ベントガスの内部に含まれているスパークなど粒子や火炎が流出されることをさらに抑えることができる。
【0101】
また、
図11に示されているように、上プレート1510と下プレート1520との間には、複数のバーティカル部1530が含まれるが、少なくとも一部のバーティカル部1530は、延長方向が互いに異なるように構成され得る。特に、2以上のバーティカル部1530は、延長方向が互いに直交する形状を呈し得る。例えば、
図11に示されているように、一部のバーティカル部1530は、X軸方向に延び、他の一部のバーティカル部1530は、Y軸方向に延び得る。
【0102】
このような実施構成によれば、バーティカル部1530により消火用カートリッジ1300に対するさらに多くの装着空間が確保されることが可能になる。したがって、熱暴走などのように熱的事象が生じた部分に対して、消火用カートリッジ1300の領域ごとの集中的な消火に有利になる。また、上記の実施構成の場合、バーティカル部1530の構造的な剛性の補完効果が向上する。特に、バッテリーモジュール1000の色々な方向、たとえば、X軸方向やY軸方向のうちのどちらか一方の側面からも衝撃が加えられる場合があるが、この場合、バーティカル部1530による色々な方向からの外力の支持が可能になる。
【0103】
また、上記の実施構成によれば、開口部1521からベント孔150aに至るまでの経路がさらに長くなり、経路に数多くの折り曲げ部が形成されることが可能になる。すなわち、消火用カートリッジ1300の特定の装着空間に流れ込んだベントガスは、数多くの装着空間を経由した後、ベント孔150aを介して外部に排出されることが可能になる。例えば、
図11の実施構成において、S2空間に流れ込んだベントガスは、2つの装着空間(S1空間及びS3空間)をさらに経由した後、ベント孔150aに流出されることが可能になる。したがって、トップフレーム1500の内部におけるベントガスの冷却効果及びスパークなどの排出の抑制効果がさらに向上する。
【0104】
図12は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの一部の構成を拡大して示す断面図である。
図13は、
図12の実施構成に関する消火剤の放出構成を図式化させて示す図である。
【0105】
まず、
図12を参照すると、消火用カートリッジ1300が収容されたトップフレーム1500の内部空間には、P1にて示されたように、破裂部が配備され得る。破裂部P1は、熱暴走などのように、消火剤の放出についてのトリガー条件が成り立つ状況下で、消火用カートリッジを破裂させて、消火剤が放出されるように構成され得る。特に、破裂部P1は、消火用カートリッジ1300の外装材を破損させることが可能なように、針状体の形状に形成され得る。
【0106】
一例を挙げると、消火用カートリッジ1300は、内部に消火剤を密封・収容するが、針状体などにより破裂可能なようにポリマー材質の外装材を備え得る。この他にも、消火用カートリッジ1300は、消火剤を保持し、トリガー条件が成り立ったときに消火剤を放出可能な多種多様な形状に形成され得る。
【0107】
破裂部P1は、正常の状態では、
図12に示されているように、消火用カートリッジ1300と所定の距離だけ離れた形状を呈し得る。このために、消火用カートリッジ1300は、下プレート1520の上面に載置され、破裂部P1は、上プレート1510の下面に配備されて消火用カートリッジ1300の上面から離れて配置され得る。
【0108】
このような実施構成において、熱暴走などに起因してセルアセンブリ1200側からベントガスが排出されれば、
図13中に矢印A1にて示されたように、下プレート1520が上部の向きに押し付けられて少なくとも部分的に上部側に移動することができる。このとき、下プレート1520に載置された消火用カートリッジ1300もまた上部の向きに移動して、破裂部P1により破裂することができる。すると、消火用カートリッジ1300から放出された消火剤は、矢印A2にて示されたように、開口部1521を介して、下部側に位置しているセルアセンブリ1200側に投入されることができる。
【0109】
このような実施形態の場合、前述された下プレート1520が上プレート1510よりも低い弾性率及び/又は上プレート1510よりも高い熱膨張係数を有する材質を含む構成がさらに有利に適用可能である。すなわち、
図13中に矢印A1にて示されたように、ベントガスが加えられる場合、ベントガスの圧力及び/又は熱に起因して、下プレート1520は、上部側に上手く撓むことができる。そして、これによって、消火用カートリッジ1300が破裂部P1により上手く破裂することができる。
【0110】
また、
図12及び
図13の実施形態に示されているように、開口部1521は、下プレート1520における消火用カートリッジ1300が載置されていない部分に形成され得る。特に、消火用カートリッジ1300は、トリガー条件が成り立つ状況、たとえば、圧力や温度が増加するときに、下プレート1520において変形が最も盛んに行われる部分に載置され得る。そして、開口部1521は、下プレート1520における消火用カートリッジ1300の載置部分よりも相対的に変形があまり行われない部分に位置し得る。
【0111】
例えば、消火用カートリッジ1300は、セルアセンブリ1200からベントガスが生成されるとき、下プレート1520における、上部側の向きに最も多く移動可能な部分に位置し得る。そして、開口部1521は、下プレート1520における、上部側の向きに移動しないか、あるいは、最も少なく移動可能な部分に位置し得る。より具体例を挙げると、
図12及び
図13に示されているように、消火用カートリッジ1300は、下プレート1520の中央部分に載置され、開口部1521は、下プレート1520における消火用カートリッジ1300が載置された部分から水平方向に所定の距離だけ離れた部分、たとえば、消火用カートリッジ1300の側部、特に、両側に設けられ得る。
【0112】
本発明のこのような実施構成によれば、消火用カートリッジ1300の外装材が破裂して、内部に収容された消火剤が放出される場合、外装材が開口部1521を閉塞することを防ぐことができる。したがって、この場合、セルアセンブリ1200側に消火剤が円滑に投入されるようにすることができる。
【0113】
また、上記の実施構成によれば、熱暴走などの状況下で下プレート1520が変形するとき、消火用カートリッジ1300から放出された消火剤が重力により開口部1521側に円滑に移動することができる。したがって、セルアセンブリ1200側への消火剤の投入量及び投入速度が向上する。
【0114】
一方、
図12及び
図13の実施形態のように、圧力や熱などにより、上プレート1510と下プレート1520との距離が短くなるように構成された実施形態の場合、正常の状態でバーティカル部1530の少なくとも一部分は上プレート1510又は下プレート1520と接触しない場合もある。この場合、バーティカル部1530と上プレート1510又は下プレート1520との離隔空間は、非正常の状態で上プレート1510又は下プレート1520が変形可能な空間を提供することができる。
【0115】
本発明によるバッテリーパックは、上述した本発明によるバッテリーモジュールを1つ以上含み得る。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュール以外に、他の多種多様な構成要素、たとえば、バッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)やバスバー、パックハウジング、リレー、電流センサーなどといったように、本発明の出願時点において公知となっているバッテリーパックの構成要素などをさらに含み得る。
【0116】
また、本発明によるバッテリーパックは、前述されたモジュールハウジングがパックハウジングの役割を果たし得る。この場合、モジュールハウジングの内部にBMSやバスバー、リレーのようなバッテリーパックの構成要素が含まれ得る。この場合、前述された本発明によるバッテリーモジュールが本発明によるバッテリーパックとなり得る。また、このような形態のバッテリーパックについては、バッテリーセルがパックハウジングに直接的に収容されという側面からみて、セルテゥーパック(Cell To Pack)と呼ばれ得る。例えば、
図1及び
図2に示されている構成要素は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示すものであるといえる。
【0117】
本発明によるバッテリーモジュールは、電気自動車やハイブリッド自動車などの自動車に適用可能である。すなわち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュール又は本発明によるバッテリーパックを含み得る。また、本発明による自動車は、このようなバッテリーモジュールやバッテリーパックの他に、自動車に含まれる他の多種多様な構成要素などをさらに含み得る。例えば、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールの他に、車体やモーター、エレクトロニックコントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)などの制御装置などをさらに含み得る。
【0118】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0119】
本発明の説明とそれについての実施形態の図示のために添付図面などは、本発明による技術内容を強調したり浮き彫りにしたりするためにやや誇張された形態として示され得るが、先に述べられた内容と図示の事項などを考慮してこの技術分野における通常の技術者のレベルにおいて多種多様な形態の変形された適用形態が採用可能であるということは自明であると解釈されるものである。
【符号の説明】
【0120】
1000 バッテリーモジュール
1100 モジュールハウジング
1200 セルアセンブリ
1210 バッテリーセル
1300 消火用カートリッジ
1500 トップフレーム
1510 上プレート
1520 下プレート
1521 開口部
1523 ガイド壁部
1530 バーティカル部
1531 離隔空間
150a、150b、150c、150d ベント孔
1600 ベースフレーム
1610 右側フレーム(サイドフレーム)
1620 左側フレーム(サイドフレーム)
1630 前方フレーム(サイドフレーム)
1640 後方フレーム(サイドフレーム)
1700 ストッパー
S 装着空間
【国際調査報告】