(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】組織修復促進用の新規ポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20241115BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20241115BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20241115BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20241115BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20241115BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241115BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241115BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241115BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241115BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241115BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20241115BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K38/08
A61K38/10
A61K38/12
A61K38/16
A61P17/00
A61P43/00 105
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/16
A61K9/06
A61K9/70 401
A61K8/64
A61Q19/00
A61Q19/10
C07K7/08
C07K14/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531116
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 CN2022085715
(87)【国際公開番号】W WO2023092926
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111418086.6
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512000260
【氏名又は名称】ジナン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Jinan University
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】葉文才
(72)【発明者】
【氏名】王磊
(72)【発明者】
【氏名】張冬梅
(72)【発明者】
【氏名】劉俊珊
(72)【発明者】
【氏名】范春林
(72)【発明者】
【氏名】曹佳青
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC26
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF12
4C076FF39
4C076FF52
4C076FF53
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC292
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC782
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4C084ZA891
4C084ZB211
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
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4H045EA15
4H045EA28
4H045FA33
4H045FA58
4H045FA61
(57)【要約】
【課題】組織修復促進用の新規ポリペプチド及びその使用を開示すること。
【解決手段】新規ポリペプチドは、低濃度でヒト不死化表皮細胞の増殖とヒト表皮線維芽細胞の遊走を促進することができ、創傷や潰瘍の修復を促進し、皮膚の美観を改善することができ、毒性や副作用が低く、良好な使用見通しがあり、創傷、熱傷、潰瘍の治療用の医薬品や医療機器、又は皮膚の美観の改善用の日用化学製品の調製に使用することができる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織修復促進用の新規ポリペプチドであって、
前記新規ポリペプチドが、以下に示す構造を有することを特徴とする新規ポリペプチド:
ここで、
R
1=H、Ala、Gly、Ala-Ala-又はVal-Ala-、
R
2=Asn又はAsp、
R3=Ser、Tyr、-Gly-Ser-Tyr、-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr、-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr-His-Val-Arg、又は-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr-His-Val-Arg-Glu-Tyr-Pro-Ala-Gly-Val-Ser-Ala-Ala。
【請求項2】
前記新規ポリペプチドが、TRF1~TRF12のいずれか1つに示される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の新規ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の新規ポリペプチドの、組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製への使用。
【請求項4】
前記製品は、医薬品、医療機器又は日用化学製品である、請求項3に記載の新規ポリペプチドの組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製への使用。
【請求項5】
前記医薬品、医療機器又は日用化学製品は、有効量の新規ポリペプチドの1種以上、又はその薬学的に許容される塩もしくはその立体異性体を含み、残部が添加剤又は他の配合可能な薬剤である、請求項4に記載の新規ポリペプチドの組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製への使用。
【請求項6】
前記医薬品、医療機器又は日用化学製品は、錠剤、カプセル剤、注射剤、リポソームナノ粒子、放出制御剤、ゲルクリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、パッチ剤、クリーム剤、洗浄剤、ローション、ゲル又は化粧水である、請求項4に記載の新規ポリペプチドの組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製への使用。
【請求項7】
前記添加剤は、溶媒、崩壊剤、風味補正剤、保存剤、着色剤又は結合剤である、請求項5に記載の新規ポリペプチドの組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製への使用。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の新規ポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含有することを特徴とする医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、医療機器、日用化学品の分野に関わり、特に組織修復促進用の新規ポリペプチド及びその使用に関わる。
【背景技術】
【0002】
社会の発展と高齢化の加速に伴い、組織外傷には熱傷、創傷などの外傷だけでなく、胃潰瘍、口腔潰瘍、糖尿病性潰瘍、自己免疫性皮膚潰瘍、静脈うっ滞性潰瘍、長期臥床による褥瘡などの難治性創傷や潰瘍も含まれる。難治性創傷や潰瘍の病態は複雑で、経過は長く、治療は困難であり、治療費も高額であるため、患者に肉体的、精神的な重圧と経済的負担をもたらす。現在、増殖因子製剤は難治性創傷や潰瘍の治療に広く使用され、良好な治療効果を示し、その中、上皮増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子及び血管内皮増殖因子などがいずれも創傷や潰瘍の治癒に重要であるが、これらの内因性因子は調製コストが高く、安定性に乏しいため、臨床応用が制限されている。従って、組織外傷、難治性創傷や潰瘍の治療のために、活性が高く、製造コストが低く、安定性に優れた活性物質を見いだし、開発することが大いに求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を克服し、組織修復を促進することができる新規ポリペプチド及びその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を用いる。
【0005】
TRF1~TRF12と名付けられた、組織修復促進用の新規ポリペプチドは、式Iで示される構造を有する:
式I中、R
1=H又はAla又はGly又はAla-Ala-又はVal-Ala-;
R
2=Asn又はAsp;
R
3=Ser又はTyr又は-Gly-Ser-Tyr又は-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr又は-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr-His-Val-Arg又は-Gly-Ser-Tyr-Ala-Pro-Leu-Gly-Tyr-His-Val-Arg-Glu-Tyr-Pro-Ala-Gly-Val-Ser-Ala-Ala。
【0006】
さらに、本発明の好ましい実施態様において、前記新規ポリペプチド類化合物は、以下に示すTRF1~TRF12を含むが、これらに限定されない。
【0007】
前記新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)の調製は、従来技術における周知の方法で行うことができ、ポリペプチド合成機を用いて化学合成することもできるし、ポリペプチド配列からヌクレオチド配列を推測し、発現ベクターにクローニングすることによって生合成することもできる。
【0008】
本発明の他の目的は、組織修復促進用又は皮膚美観改善用製品の調製における、前記新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)の使用を開示することである。
【0009】
好ましくは、前記新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)は、創傷、火傷、潰瘍の治療用又は皮膚美観改善用製品の調製に使用される。
【0010】
好ましくは、前記製品は医薬品、医療機器又は日用化学製品である。
【0011】
好ましくは、前記医薬品、医療機器又は日用化学製品は、有効量の1種以上の新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)、又はその薬学的に許容される塩もしくはその立体異性体を含み、残部が添加剤又は他の配合可能な薬剤である。
【0012】
前記添加剤は、溶媒、崩壊剤、風味補正剤、保存剤、着色剤、結合剤などの従来の添加剤である。
【0013】
前記配合可能な薬剤は、他の天然医薬品、化学薬品、生物学的製剤である。
【0014】
前記医薬品、医療機器又は日用化学品は、錠剤、カプセル剤、注射剤、リポソームナノ粒子、放出制御剤、ゲルクリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、パッチ剤、クリーム剤、洗浄剤、ローション、ゲル、化粧水などの形態であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術に対して以下のような利点と効果を有する。
(1)本発明に係るポリペプチド(TRF1~TRF12)は、新しい構造を持つポリペプチドであり、これらの新規ポリペプチドはすべてジスルフィド結合を含み、構造的に安定であり、分解されにくい。
(2)本発明に係る新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)は、ヒト不死化表皮細胞(HaCAT)の増殖を有意に促進すると共に、ヒト皮膚線維芽細胞(HSF)の遊走を有意に促進し、組織修復促進作用を有する。
(3)本発明に係る新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)は、組織修復の促進や消化性潰瘍、口腔潰瘍の治療に用いることができ、シワ、瘢痕、色素沈着を除去する効果を有する。
(4)本発明に係る新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)は毒性が低く、500mg/kgの経口投与で明らかな毒性副作用は観察されなかった。
(5)本発明に係る新規ポリペプチド(TRF1~TRF12)は、化学合成又は生合成が可能であり、大量調製が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】新規ポリペプチドTRF1のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~580)、CはMS
2(m/z 580~1110)を示す図である。
【
図2】新規ポリペプチドTRF2のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~420)、CはMS
2(m/z 390~810)、DはMS
2(m/z 810~1170)を示す図である。
【
図3】新規ポリペプチドTRF3のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~600)、CはMS
2(m/z 600~1300)を示す図である。
【
図4】新規ポリペプチドTRF4のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~510)、CはMS
2(m/z 510~1250)を示す図である。
【
図5】新規ポリペプチドTRF5のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~650)、CはMS
2(m/z 620~1200)を示す図である。
【
図6】新規ポリペプチドTRF6のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~400)、CはMS
2(m/z 400~900)、DはMS
2(m/z 850~1800)を示す図である。
【
図7】新規ポリペプチドTRF7のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~400)、CはMS
2(m/z 400~970)、DはMS
2(m/z 970~1700)を示す図である。
【
図8】新規ポリペプチドTRF8のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~620)、CはMS
2(m/z 620~1150)を示す図である。
【
図9】新規ポリペプチドTRF9のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~420)、CはMS
2(m/z 390~810)、DはMS
2(m/z 800~1200)を示す図である。
【
図10】新規ポリペプチドTRF10のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~500)、CはMS
2(m/z 450~1250)を示す図である。
【
図11】新規ポリペプチドTRF11のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~420)、CはMS
2(m/z 390~820)、DはMS
2(m/z 800~1270)を示す図である。
【
図12】新規ポリペプチドTRF12のマススペクトルであり、AはそのESI-MSを示す図、BはそのMS
2(m/z 50~380)、CはMS
2(m/z 380~920)、DはMS
2(m/z 920~1560)を示す図である。
【
図13】新規ポリペプチドTRF1~TRF12のHaCAT細胞の増殖に及ぼす影響を分析した結果を示す図である。
【
図14】新規ポリペプチドTRF1~TRF12のHSF細胞の遊走に及ぼす影響を分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態により図面を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0018】
実施例1 新規ポリペプチドTRF1~TRF12の合成
(1)新規ポリペプチドTRF1の固相合成
Fmoc基と側鎖保護基を有する0.3~0.5mmol/gのチロシン-Wang樹脂を固相合成機に入れ、N,N-ジメチルホルムアミド20mLを加えて完全に溶解させた。溶媒を抽出した後、20%ピペリジン(N,N-ジメチルホルムアミドに体積比で溶解)を加え、約10分間撹拌した後、溶媒を抽出し、この操作を2回繰り返し、Fmoc基を完全に除去させた後、N,N-ジメチルホルムアミド20mLを加えて洗浄し、溶媒を抽出し、この操作を3回繰り返した。Fmoc基と側鎖保護基を有するシステインを0.5mmol加え、さらに同量のHBTU/N,N-ジメチルホルムアミドとN,N-ジイソプロピルエチルアミン/N,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、N2雰囲気下で40~60分間反応させた。未反応の薬物と試薬をN,N-ジメチルホルムアミドで溶出し、ニンヒドリンで検出した。その後、同様の方法で残存アミノ酸を結合させ、脱保護、活性化、縮合、洗浄などのステップを経て樹脂に結合したペプチドを合成した。樹脂上のペプチドにクリベージ溶液(トリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/純水/1,2-エタンジチオール、体積比で94:2.5:2.5:1)を加えて2~3時間切断処理した後、氷冷エチルエーテルを加え、遠心分離を行い、下層の沈殿物を得た。沈殿物を取り出し、残存するトリフルオロ酢酸を除去した後、所定量のヨウ素溶液を加え、室温で約1時間撹拌して反応させ、目的のポリペプチドの粗生成物を得た。
上記ポリペプチドの粗生成物を20%アセトニトリル水溶液で溶解し、濾過後、検出波長214nm、254nm、280nm、移動相がアセトニトリル-水(v/v:10:90~50:50、)、流速1mL/minの高速液体クロマトグラフィーで精製し、目的のピークを集めた後、濃縮、凍結乾燥し、ポリペプチド精製物を得た。
(2)新規ポリペプチドTRF2~TRF12の固相合成
ポリペプチドTRF2~TRF12の合成過程は上記TRF1の合成過程と同様で、Fmoc基と側鎖保護基を有するアミノ酸(カルボキシル末端の最初のもの)-Wang樹脂0.3~0.5mmol/gを固相合成機に入れ、脱保護、活性化、縮合、洗浄のステップを経て配列中のアミノ酸を順次連結して合成し、樹脂に結合したポリペプチドを得、切断、精製を経てポリペプチド精製物を得た。
【0019】
実施例2 新規ポリペプチドTRF1~TRF12の質量分析による同定
TRF1~TRF12ポリペプチドを秤量し、それぞれ脱イオン水に溶解し、0.1mg/mL濃度のサンプル溶液とした。サンプル溶液をそれぞれAB Sciex TripleTOF(登録商標) 5600+質量分析計に注入して分析した。質量範囲(m/z):50~2000 Da、取り込みモード:正イオンモード、スキャンモード:選択イオンスキャン、キャピラリー電圧:3.0 kV、イオン源温度:110℃、衝突エネルギー範囲:50~80V。
図1~12に示すように、前駆イオンに対して二次スキャンを行い、二次マススペクトルのフラグメンテーションに基づいて、bイオンとyイオンで分析し、新規ポリペプチドのアミノ酸残基配列を同定した。
【0020】
実施例3 新規ポリペプチドTRF1~TRF12によるHaCAT細胞の増殖促進
(1)細胞の接種:対数増殖期の細胞を選択し、消化し、計数した。必要な細胞数を採取し、適量の培地を加えて1×10
4/mLに希釈した。ピペットガンで細胞を均一にし、96ウェルプレートに加え(100μL/ウェル)、CO
2インキュベーターで培養した。
(2)薬剤の添加:細胞が壁面に付着した後、古い培地を除去し、対照群にはブランク培地を、陽性対照群にはEGFを、薬剤群にはそれぞれ濃度の異なるTRF1~TRF12を添加し、プレートの周囲にPBSを加え、一群あたり6ウェルを使用し、インキュベーター内で48時間培養した。
(3)MTTの添加:古い培地を吸引除去し、調製したMTT(遮光)を1ウェルあたり30μL添加し、インキュベーターに入れて4時間インキュベーションを続け、フォルマザン結晶を形成させた。
(4)OD値の測定:MTTを除去し、DMSO溶液をウェルごとに100μL加え、フォルマザンを十分に溶解させた後、多機能マイクロプレートリーダー(検出波長:595nm)で吸光度を検出した。細胞生存率を計算し、少なくとも3回以上試験を繰り返した。
図13に示す試験結果から、新規ポリペプチドTRF1~TRF12は、低濃度(0.08~2.00μg/mL)でHaCAT細胞に対して有意な増殖促進効果(細胞増殖率は114±5%~135±3%)を示した。
【0021】
実施例4 新規ポリペプチドTRF1~TRF12によるHSF細胞の遊走促進
(1)細胞の接種と薬剤の添加:トランスウェルをクリーンベンチで30分間UV滅菌した後、24ウェルプレートにセットした。細胞が消化した後計数し、培地で2×10
5個/mLの密度に希釈した。被験薬剤TRF1~TRF12及び陽性対照薬剤を添加し、濃度の異なる薬剤含有細胞液に希釈した。薬剤投与群の上部チャンバーには100μLの薬剤物含有細胞液を添加し、ブランク群には100μLの細胞液を添加した後、各チャンバーに600μLのブランク培地を添加し、インキュベーター内で培養した。
(2)固定、染色、写真撮影:培養後、培地を捨て、PBSで洗浄し、下部チャンバー内の細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した(約30分間)。固定後、PBSで2回洗浄し、各ウェルの下部チャンバーに600μLの染色液を添加して20分間染色した。クリスタルバイオレットを回収し、PBSで洗浄した後、うまく遊走しなかった細胞を綿棒で上部チャンバーの膜に注意深く押し当てて拭き取り、風乾した後、倒立蛍光顕微鏡で各チャンバーについて無作為に5エリアを撮影し、最後に遊走した細胞の平均数をGraphPad Prism 6.0で統計して分析した。
試験の結果から、新規ポリペプチドTRF1~TRF12(2μg/mL)はHSF細胞の遊走を有意に促進することができ、48時間作用後、薬剤群の平均遊走細胞数は578±9~396±14の範囲にあり、対照群の132±10より有意に高く、統計学的有意性(P<0.05)を示し、結果を
図14に示した。
【0022】
実施例5 マウス皮膚創傷に対する新規ポリペプチドTRF7の修復効果
8~10週齢の雄性昆明マウス(広東省医学実験動物センターより購入)15匹を選択し、別々のケージに収容した。対照群、陽性薬剤投与群(康復新液剤)、TRF7低用量投与群(0.5mg/mL)及びTRF7高用量投与群(2.0mg/mL)に無作為に分けた。マウスを麻酔し、背部を脱毛・消毒した後、マウスの背部の露出した皮膚に直径6mmのパンチで穴を開け、表皮と真皮を含む円形の皮膚を切除し、創傷部位に透明な酸素透過性ドレッシング材を貼付し、遮蔽・保護効果を与えた。対照群では、生理食塩水を投与し、透明な酸素透過性ドレッシングを静かに持ち上げ、0.1mLの液体を創傷に加え、新しいドレッシングを貼付した。薬剤を1日2回、10日間連続投与し、創傷部の大きさの変化を毎日測定し、投与10日後にマウスを処刑した。創傷治癒率は、創傷治癒率%=(S
1-S
n)/S
1(S
1は初日の創傷面積、S
nはn日目の創傷面積)の式により算出した。結果を表1に示した。
注:モデル群と比べ、*P<0.05で有意差あり
試験の結果から、新規ポリペプチドTRF7はマウスの皮膚創傷の治癒を有意に促進することができ、対照群とは有意な差があり、康復新液剤よりも優れていた。
【0023】
実施例6 マウス皮膚熱傷に対する新規ポリペプチドTRF7の修復効果
8~10週齢の雄性昆明マウス(広東省衛生実験動物センターより購入)15匹を選択し、別々のケージに入れて飼育し、自由摂食とし、試験前日に餌の摂取を中止した。マウスに13%Na
2S溶液を塗布して脱毛し、20gの分銅を水浴に入れ、沸騰するまで加熱し、10分間維持した後、分銅の上端をペンチで挟み、5秒間マウスの皮膚上に素早く置き、少し押圧し、面積2cm×2cmの浅達性II度熱傷モデルを形成した。翌日、溶解度の異なるTRF7(0.5mg/mL又は2.0mg/mL)、生理食塩水及び康復新液剤をそれぞれ0.1mLずつ熱傷に滴下し、1日1回薬剤交換を行った。熱傷治癒は3、5、10日目に観察された。実施例5の方法に従って、熱傷治癒率を算出した。結果を表2に示した。
注:モデル群と比べ、*P<0.05で有意差あり
試験の結果から、新規ポリペプチドTRF7はマウスの皮膚熱傷の治癒を有意に促進することができ、対照群とは有意な差があり、康復新液剤よりも優れていた。
【0024】
実施例7 新規ポリペプチドTRF7のラットのストレス性胃潰瘍に対する保護効果
試験方法:体重180~210gの雄性SD系ラット(広東省医学実験動物センターより購入)20匹を採取し、無作為にブランク群、モデル群、スクラルファート投与群(1g/kg、陽性薬剤投与群)、TRF7低用量投与群(12.5mg/kg)及びTRF7高用量投与群(50.0mg/kg)に分けた。薬剤投与群は7日間連続で強制経口投与した。各群のラットは、モデル化前に24時間絶水せずに絶食し、対照群以外は拘束水浸法を用いてモデル化し、各群のラットをラット板に固定し、恒温(20℃)の水槽に頭を上にして垂直に8時間浸し、水面をラットの剣状突起と同じ高さにした。ストレスモデリングの終わりに、ラットを頸椎脱臼させ、解剖し、幽門を結紮した。2mLの10%ホルムアルデヒド溶液を胃に灌流し、噴門を結紮し、胃体を取り出してホルムアルデヒド溶液中で15分間固定した。胃の大弯に沿って切断し、生理食塩水ですすいで展開し、胃粘膜の損傷を観察し、胃潰瘍指数を算出した。潰瘍指数(UI)はGuthの基準に従い、点状出血を1点、線状出血の長さが1mm未満を2点、1~2mmを3点、2~4mmを4点、4mm超を5点、幅が1mm超を×2点として算出した。結果を表3に示した。
注:モデル群と比べ、*P<0.01で有意差あり
試験の結果から、新規ポリペプチドTRF7は、ラットのストレス性胃潰瘍に対して、モデル群との有意差をもって有意な保護効果を示し、その保護効果は陽性薬剤であるスクラルファートよりも優れていた。
【0025】
実施例8 新規ポリペプチドTRF7のラットの口腔潰瘍に対する保護効果
試験方法:体重180~210gの健康なSD系ラット15匹(広東省医学実験動物センターより購入)を無作為にモデル群、陽性薬剤投与群(康復新液剤)、TRF7低用量投与群(0.5mg/mL)、高用量投与群(2.0mg/mL)に分け、化学焼灼によりモデル化した。直径5mmのプラスチックチューブを取り、チューブの一端に95%フェノール溶液に浸した小さな綿球を置き、綿球の端を麻酔したラットの左頬粘膜に固定し、60秒間保持した後、焼灼面を生理食塩水で洗浄した。24時間後、試験部位の左側に丸い潰瘍の形成が観察され、その表面には黄白色の膿疱が形成され、その周囲は明瞭に境界が認められ、周囲の粘膜は赤く腫れ、うっ血しており、潰瘍表面径は>3mmであり、モデルは正常に確立された。試験群、モデル群、陽性薬剤群の潰瘍面に、それぞれ新規ポリペプチド溶液、生理食塩水、康復新液剤を0.1mLずつ、1日2回投与した。1日後、3日後、5日後に潰瘍面の治癒を観察した。潰瘍の採点基準は、うっ血、浮腫がなく潰瘍表面径が1mm未満を1点、うっ血、浮腫が軽度で潰瘍表面径が1~2mmを2点、うっ血、浮腫が中等度で潰瘍表面径が2~3mmを3点、うっ血、浮腫が高度で潰瘍表面径が3mm以上を4点とした。結果を表4に示したす。
注:モデル群と比べ、*P<0.05で有意差あり
試験の結果から、新規ポリペプチドTRF7はラットの口腔潰瘍の治癒を有意に促進することができ、モデル群とは有意差があり、康復新液剤よりも優れていた。
【0026】
実施例9 新規ポリペプチドTRF1~TRF12の急性毒性試験
試験方法:体重18~22gの昆明種マウス(広東省医学実験動物センターより購入)を採取し、無作為に1群10匹に群分けし、異なる用量のTRF1~TRF12を強制経口投与し、マウスの生存率により半数致死量LD
50を算出した。半数致死量は以下の式により算出した:半数致死量(mg/kg)=(マウスの半数が死亡した場合の用量/該当マウスの体重)。
試験結果:新規ポリペプチドTRF1~TRF12はいずれも、投与量500mg/kgでマウスの死亡例や重大な副作用は認められず、LD
50が500mg/kgを超える低毒性であることが示された(表5)。
【0027】
実施例10 新規ポリペプチドTRF7の皮膚安全性評価
対象者:18~55歳、女性10名、男性10名、計20名。被験者は皮膚が健康であり、皮膚アレルギーの既往歴がなく、自発的な被験者登録の基準を満たしていた。
試験方法:適格なパッチデバイスを選択し、クローズドパッチテスト方法を使用し、約0.020~0.025mL(2mg/mL)のポリペプチドTRF7をパッチデバイスに滴下し、被検者の背中に特別な外用テープを貼った。24時間後に試験品を剥がし、剥がしてから0.5、6、12、24、48時間後の皮膚反応を観察し、「化粧品衛生基準」の皮膚反応等級基準に従って結果を記録した。
試験結果:本試験の被験者20名を対象に、パッチテストにより0.5、6、12、24、48時間後の皮膚反応を観察したところ、皮膚に副作用は認められず、本発明の新規ポリペプチドTRF7は皮膚に対して安全であることが示された。
【0028】
実施例11 錠剤の調製
ポリペプチドTRF7 0.1g、乳糖40g、デンプンスラリー60g、ステアリン酸マグネシウム0.2gをとり、混合し、ふるいにかけ、乾燥させ、錠剤にした。各錠剤は0.001gのTRF7を含む。
【0029】
実施例12 注射剤の調製
ポリペプチドTRF7 0.1g、プロピレングリコール50gを粉砕した後、注射用水100mLを加えて希釈し、よく混合した後、塩化ナトリウム9gを加えて溶解した後、注射用水を1000mLになるように加え、pHを5.5~6.5に調整し、ろ過し、ポッティングし、滅菌し、注射剤1000本を得た。
【0030】
実施例13 固体脂質ナノ粒子の調製
ポリペプチドTRF7を0.1g取り、大豆レシチン500mgを添加しエタノール25mLに溶解した。ステアリン酸200mgと大豆レシチン500mgをシクロヘキサン25mLに溶解し、よく混合撹拌した。37℃の恒温水浴中で、減圧下で回転蒸発させて有機溶媒を除去し、フラスコの壁に薬剤及び添加剤が均一な脂質膜を形成するようにし、真空デシケーター中に一晩置き、有機溶媒を完全に除去した。さらにモノステアリン酸ポリエチレングリコール3750mgを175mLの水に撹拌しながら溶解し、上記膜に加え、10分間超音波処理した後、体積を250mLに調整して、淡黄色透明の溶液を得た。この溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥粉末を得た。ボールミルで24時間粉砕し、均一な粒径のナノ粒子を得、混合して小分け包装した。1バッグあたり0.001gのTRF7を含む。
【0031】
実施例14 放出制御カプセル剤の調製
ポリペプチドTRF7 0.1gに40gの乳糖及び10gのデンプンスラリーを順次添加し、回転式造粒コーティング機に直接装填してペレットを調製し、固形分15質量%に希釈した可塑化エチルセルロースのコーティング剤の懸濁液をポリペプチドペレットの回転床に噴霧した。噴霧中、ペレットはポロキサマー188で作られた分散担体でフィルムコーティングされ、平均粒径が約450μmの徐放性ペレットが形成された。よく混合してカプセルに充填し、各カプセルに0.001gのTRF7を含有させた。
【0032】
実施例15 局所用ゲルクリーム剤の調製
グリセリン2gを秤量し、ポリアクリル酸0.75g、水酸化アルミニウム0.1gを順次加え、十分に混合した後、ポリペプチドTRF7 0.2gを加え、真空条件下で十分に混合し、[1]を得た。さらに精製水5gを秤量し、乳酸0.06g、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.1gを水に溶解し、[2]を得た。[1]に[2]を加え、真空条件下で十分に混合し、架橋反応により薬剤含有クリームを得た。薬剤含有クリームをコーティングし(薬剤含有クリームの厚さが約1.0mmになるように)、従来のゲル剤の仕様にカットし、各ゲル剤に含まれる薬剤量を0.02gとし、乾燥、包装した。
【0033】
実施例16 軟膏剤の調製
ステアリルアルコール40gと白色ワセリン45gを水浴中で溶かし、75℃に加熱しておいた。ドデシル硫酸ナトリウム1.46g、ヒドロキシベンジルエステル0.025g、ヒドロキシベンジルプロピルエステル0.015g、プロピレングリコール13g、ポリペプチドTRF7 0.2gを順次水に溶解し、75℃に加熱した後、75℃のステアリルアルコールと白色ワセリンを加え、冷えるまで撹拌し、TRF7 0.2%含有軟膏剤とした。
【0034】
実施例17 リニメント剤の調製
ポリペプチドTRF7 0.1gを取り、蒸留水45mLに溶解し、濾過し、濾液にグリセロール5mL、窒素ケトン1mLを加え、体積が50mLになるまで蒸留水を補充し、TRF7 0.2%を含有するリニメント剤とした。
【0035】
実施例18 絆創膏の調製
ステアリン酸ポリヒドロキシ40エステル2g、ポリソルベート80 2g、ポロキサマー188 1g、リン酸二水素ナトリウム0.3g、エチルヒドロキシベンゼン0.1g、精製水50mLを秤量し、130℃で30~60分間加熱殺菌後、30~40℃に冷却し、均一に撹拌して[1]を得た。軽質流動パラフィン10g、ステアリルアルコール0.5g、ステアリルアルコール0.5g、白色ワセリン3g、モノステアリン酸グリセリル1gを秤量し、滅菌後30~40℃に保温して、[2]を得た。ポリペプチドTRF7 0.1gを蒸留水50mLに溶解し、ろ過後[1]に加え、撹拌して[3]を得た。[3]に[2]をゆっくり加え、15%エタノール3gを加え、急速撹拌し、pHを6.0に調整し、温度を45℃に保ち、高速剪断し、5分間乳化し、撹拌して30~35℃に冷却し、白色の均一なクリーム液を調製した。クリーム液をチャージングプレートに投入し、コーティング機を使用して、インナーパッドにコーティングし、低温乾燥(45℃)し、必要な大きさに切断し、薬剤でコーティングされたインナーパッドを得た。コーティングされたインナーパッドを基布の中央に接着し、剥離紙を基布の両端の接着部に貼り付けた。
【0036】
実施例19 フェイシャルクリームの調製
ポリペプチドTRF7 0.1gを用意し、No.26ホワイトオイル1g、ステアリルアルコール1g、ステアリン酸1g、モノグリセリン0.5g、350シリコーン油0.05g、GTCC0.5g、メチルニパジン0.03gを混合し、90℃まで加熱して第一半製品を作製した。第一半製品に脱イオン水4g、ポリペプチドTRF7 0.1g、ピメリン酸O-20 0.3g、グリセロール0.5gを加え、80℃に加熱し、第二半製品を作製した。80℃で第二半製品を2回ホモジナイズ(回転速度3000rpm、時間10分間)した後、30分間撹拌を続け、45℃に冷却し、クリーム状にした後カゾン0.005gを加え、均一に混合し、それぞれ1%ポリペプチド含有クリームを調製した。
【0037】
実施例20 フェイシャルマスクの調製
ポリペプチドTRF7 0.1gを脱イオン水10mLに溶解し、濾過後、濾液をグリセリンで湿潤したカルボマー0.3gと混合し、トリエタノールアミンを加えてpHを6~7に調整し、マスク紙上に均一に塗布し、1枚あたり0.01gのポリペプチドを含むマスクを作製した。
【0038】
実施例21 化粧水の調製
ポリペプチドTRF7を0.1g取り、0.2mg/mLの水溶液とした。ヒアルロン酸1gにグリセロール5gを加えて分散させ、水を加えて溶解し、よく撹拌してヒアルロン酸溶液を得た。トレハロース1gとアラントイン1gを水に溶解し、上記ヒアルロン酸溶液と混合し、よく撹拌して混合溶液を得た。ポリペプチド溶液、D-パンテノール1g、オート麦β-グルカン10g、1,2ペンタンジオール10g、保存剤0.05gを順次上記混合溶液に添加し、水を加えてよく撹拌して得た。
【0039】
実施例22 ローションの調製
(1)0.1gのポリペプチドTRF7を0.2mg/mLの水溶液とした。
(2)0.05gのヒアルロン酸ナトリウムを水に溶解・分散させ、よく撹拌してヒアルロン酸溶液を得た。
(3)グリセロール5g、ブタンジオール3g、トレハロース2g、アラントイン0.2g、増粘剤0.1gを水に溶解し、75℃に加熱した。
(4)ホホバ種子油2g、水添ポリデセン3g、ポリジメチルシロキサン2g、カプリル/カプリン酸トリグリセリド3g、乳化剤3gを75℃に加熱し、均一に撹拌した。
(5)ステップ(3)で調製したものをステップ(4)で調製したものに素早く注ぎ、恒温で3~5分間均質化し、冷却した。
(6)60℃以下に冷却し、(1)と(2)を加えて均質化し、40℃以下に冷却し、保存剤と香料を加えてローションを得た。
【0040】
実施例23 クレンジングジェルの調製
ポリペプチドTRF7 0.1gを0.2mg/mLの水溶液とし、上記ポリペプチド水溶液、グリセロール2.5g、デシルグルコシド3g、ココイルリンゴアミノ酸ナトリウム3g、ラウレス硫酸ナトリウム1.5g、可溶化剤0.1g、香料0.05gを水に順次添加し撹拌した後、増粘剤0.5gを添加し、完全に溶解するまで撹拌し、クレンジングジェルを得た。
【0041】
実施例24 新規ポリペプチドローションの美容効果の評価
1.1 試験品:本発明の実施例22で調製したポリペプチドローション
1.2 対象者:18歳から55歳の女性18名、男性12名、合計30名。被験者は、シワ、色素沈着、くすみ、また低侵襲手術や手術後の瘢痕のような見苦しい要因を皮膚に残していた。
1.3 試験方法:被験者の皮膚を清潔にした後、実施例22で調製したローションを皮膚に塗布し、使用効果を観察・実感する。
1.4 試験評価の結果は表6に示した。
被験者は、新規ポリペプチドTRF7ローション製品の使用により、肌の水分量が増加し、肌の保湿と肌の弾力性が高まり、肌の潤いと保湿感が改善されたと報告した。また、この製品は美白の効果及びシワ、瘢痕、色素沈着の除去効果も認められた。被験者にアレルギーは見られなかった。
【0042】
実施例25 新規ポリペプチドマスクの美容効果の評価
1.1 試験品:本発明の実施例20で調製したフェイシャルマスク。
1.2 対象者:18歳から58歳までの女性21名、男性9名、計30名。被験者の顔の皮膚は、シワ、色素沈着、くすみ、また低侵襲手術や手術後の瘢痕のような見苦しい要因を皮膚に残していた。
1.3 試験方法:被験者の顔を洗浄した後、実施例20で調製した新規ポリペプチドマスクを1日1回顔に貼付し、使用効果を観察・実感した。
1.4 試験評価の結果は表7に示した。
被験者は、新規ポリペプチドTRF7マスク製品を使用することで、肌の水分量が増加し、肌の保湿と肌の弾力性が高まり、肌の潤いと保湿感が向上したと報告した。この製品は美白の効果及びシワ、瘢痕、色素沈着の除去効果も認められた。被験者にアレルギーは見られなかった。
【0043】
上記実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記実施例によって限定されるものではなく、本発明の精神及び原理を逸脱することなく行われるその他の変更、修正、置換、組み合わせ及び簡略化は、同等の置換であり、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【配列表】
【国際調査報告】