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特表2024-543729スリット付き発泡体層を有する陰圧創傷療法ドレッシング材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】スリット付き発泡体層を有する陰圧創傷療法ドレッシング材
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535702
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2022061070
(87)【国際公開番号】W WO2023111718
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/291,280
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュエル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,オードリー アン
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチマン,グイド
(72)【発明者】
【氏名】イシワタリ,ヒロノブ
(72)【発明者】
【氏名】デクルイフ,ダニエル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ラッケマイヤー,ジェームズ エイ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA39
4C267BB31
4C267BB40
4C267CC06
4C267GG03
4C267GG14
4C267GG46
4C267JJ02
4C267JJ06
4C267JJ09
4C267JJ20
(57)【要約】
陰圧によって組織部位を治療するための装置、ドレッシング材、システム、及び方法。ドレッシング材は、カバーと、マニホールド及びフィルム層を含む組織界面と、を含む。マニホールドは、複数のスリットを含む。複数のスリットは、閉状態と開状態との間で変形可能である第1の側壁及び第2の側壁を含む。フィルム層は、発泡体の複数のスリットと位置合わせされる、フィルム層の第1の表面及び第2の表面を通る複数の開窓を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材であって、前記ドレッシング材が、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
発泡体であって、前記発泡体が、第1の表面と、第2の表面と、複数のスリットと、を備え、前記発泡体の前記第1の表面が、前記カバーの前記第2の表面に隣接しており、前記複数のスリットが、閉状態と開状態との間で変形可能である、前記発泡体の前記第1の表面と前記第2の表面との間に延在する第1の側壁及び第2の側壁を備え、前記閉状態では、前記第1の側壁が前記第2の側壁と接触しており、前記開状態では、前記第1の側壁が前記第2の側壁から分離されている、発泡体と、
フィルム層と、を備え、前記フィルム層が、第1の表面と、第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を通る複数の開窓と、を備え、前記複数の開窓が、前記発泡体の前記複数のスリットと位置合わせされており、前記フィルム層の前記第1の表面が、前記発泡体の前記第2の表面に隣接する、ドレッシング材。
【請求項2】
前記発泡体が、前記カバーと前記フィルム層との間に位置決めされている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項3】
前記発泡体の前記複数のスリットは、前記ドレッシング材が前記陰圧、軸方向力、又は曲げモーメントにさらされたときに、前記閉状態から前記開状態に変形するように構成されている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項4】
前記複数のスリットが、前記開状態において、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の前記発泡体を通るスリット開口部を規定する、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項5】
前記複数のスリットが、ある長さを有する線状の切断部を備え、前記第1の側壁が、前記線状の切断部の前記第2の側壁とは反対側の側面に位置決めされている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項6】
前記第1の側壁が、前記複数のスリットのスリット開口部を横切って、前記第2の側壁とは反対側に位置決めされている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項7】
前記複数のスリットのうちの1つ以上が、前記複数のスリットのうちの別のものとは独立して、前記閉状態と前記開状態との間で変形可能である、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項8】
前記フィルム層の前記複数の開窓は、前記ドレッシング材が前記陰圧にさらされたときに、前記発泡体の前記複数のスリットと位置合わせされた状態で変形するように構成されている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項9】
前記フィルム層の前記複数の開窓及び前記発泡体の前記複数のスリットが、前記開状態及び前記閉状態の両方において位置合わせされており、かつ前記陰圧に応答して、協調して変形するように構成されている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項10】
前記複数の開窓が各々、前記複数のスリットの前記第1の側壁及び前記第2の側壁と同一平面に位置決めされている対向する縁部を備える、請求項9に記載のドレッシング材。
【請求項11】
前記発泡体及び前記フィルム層が、弾性である、請求項10に記載のドレッシング材。
【請求項12】
前記複数の開窓及び前記複数のスリットが、同じ形状を有する、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項13】
前記フィルム層が、前記発泡体に結合されている、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項14】
前記フィルム層の前記第2の表面に隣接するベース層を更に備え、前記ベース層が、ベース層開口部を含む中央部分と、複数の隙間を含む周辺部分と、を備える、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項15】
前記周辺部分が、前記中央部分を取り囲み、前記周辺部分の前記複数の隙間が、前記中央部分の前記ベース層開口部よりも小さい、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項16】
前記ベース層開口部が、前記複数の開窓の少なくとも90パーセントを取り囲む、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項17】
前記ベース層開口部が、単一の開口部である、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項18】
前記複数の開窓、及び前記フィルム層の少なくとも一部分が、前記ベース層開口部を通してさらされる、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項19】
前記フィルム層が、前記ベース層開口部を通して前記組織部位に接触するように構成されており、前記ベース層の前記周辺部分が、前記組織部位を取り囲む組織に接触するように構成されている、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項20】
前記ベース層が、前記組織部位に接触しない、請求項19に記載のドレッシング材。
【請求項21】
前記ベース層が、前記組織部位の周りの組織と接触するように構成されたシリコーンゲルを含む、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項22】
前記フィルム層が、前記発泡体と位置合わせされた前記複数の開窓を含む中央部分と、前記発泡体を越えて延在しており、前記複数の開窓を取り囲む複数の穿孔を含む周辺部分と、を備え、前記複数の穿孔が、前記複数の開窓よりも大きく、かつ前記ベース層の前記複数の隙間と位置合わせされるように構成されている、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項23】
前記カバーが、前記発泡体を越えて延在する、接着剤を有する周縁を備え、前記カバーの前記周縁が、前記ベース層と前記カバーとの間に前記発泡体を封入するように構成されている、請求項14に記載のドレッシング材。
【請求項24】
前記周縁の前記接着剤が、前記組織部位を取り囲む組織に接触するために、前記ベース層の前記複数の隙間を通って延在するように構成されている、請求項23に記載のドレッシング材。
【請求項25】
前記カバーが、前記発泡体を越えて延在する接着剤層を有する周縁を備える、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項26】
ユーザが前記組織部位に前記ドレッシング材を配置することを可能にするために、前記ドレッシング材の一部分に剛性を加えるように構成された少なくとも1つのハンドリングバーを更に備える、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項27】
陰圧によって組織部位を治療するためのシステムであって、前記システムが、
請求項1に記載のドレッシング材と、
前記ドレッシング材に流体結合されるように構成された陰圧源と、を備える、システム。
【請求項28】
陰圧によって組織部位を治療するための組織界面であって、
各々が第1の側壁及び第2の側壁を備える複数のスリットを備えるマニホールド層と、
前記マニホールド層の表面に結合されており、複数の開窓を備えるフィルム層と、を備え、前記複数の開窓の各々が、前記複数のスリットの前記第1の側壁及び前記第2の側壁と同一平面に位置決めされた対向する縁部を含む、組織界面。
【請求項29】
組織部位を治療する方法であって、前記方法が、
前記組織部位にドレッシング材を適用することであって、前記ドレッシング材が、
複数のスリットを備える発泡体と、
前記発泡体と前記組織部位との間に位置決めされたフィルム層と、を備え、前記フィルム層が、前記発泡体の前記複数のスリットと位置合わせされるように構成された複数の開窓を備える、適用することと、
前記ドレッシング材に陰圧源を流体結合することと、
前記ドレッシング材に陰圧を適用するために前記陰圧源を作動させることと、を含み、前記発泡体の前記複数のスリットは、前記陰圧が前記ドレッシング材に適用されたときに、前記フィルム層の前記複数の開窓と協調して変形する、方法。
【請求項30】
本明細書に示され、説明される装置、ドレッシング材、システム、及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月17日に出願された米国特許仮出願第63/291,280号の優先権の利益を主張するものであり、本仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明は、概して、組織治療システムに関し、より具体的には、限定されないが、スリット付き発泡体層を含む陰圧創傷療法ドレッシング材に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療は、組織部位付近の圧力を低減することによって、組織部位における新しい組織の成長を増強及び加速させることができることを示している。この現象の用途は数多くあるが、創傷を治療するために特に有利であることが証明されている。外傷、手術、又は別の原因を問わず、創傷の病因にかかわらず、創傷の適切なケアが転帰に重要である。減圧による創傷又は他の組織の治療は、一般的に「陰圧治療」と称され得るが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」、及び「局所陰圧」を含む、他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利益を提供し得る。全体として、これらの利益は、肉芽組織の発達を高めることができ、かつ治癒時間を短縮することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的な利益は、広く知られているが、療法システム、構成要素、及びプロセスの改善は、ヘルスケア提供者及び患者に利益をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
添付の特許請求の範囲には、陰圧療法環境におけるスリット付き発泡体層を含む陰圧創傷療法ドレッシング材のための新規かつ有用なシステム、装置、及び方法が記載されている。特許請求される主題を当業者が作製及び使用することを可能にするための例示的な実施形態も提供されている。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態では、陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材が説明される。ドレッシング材は、カバーと、発泡体を含むマニホールドと、フィルム層と、を含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、第1の表面と、第2の表面と、複数のスリットと、を含むことができる。マニホールドの第1の表面は、カバーの第2の表面に隣接することができる。複数のスリットは、閉状態と開状態との間で変形可能である、マニホールドの第1の表面と第2の表面との間に延在する第1の側壁及び第2の側壁を含むことができる。第1の側壁は、閉状態では、第2の側壁と接触することができ、開状態では、第2の側壁から分離することができる。フィルム層は、第1の表面と、第2の表面と、第1の表面及び第2の表面を通る複数の開窓と、を含むことができる。フィルム層の第1の表面は、マニホールドの第2の表面に隣接することができる。
【0007】
いくつかの例示的な実施形態では、マニホールドの複数のスリットは、ドレッシング材が陰圧、軸方向力、又は曲げモーメントにさらされたときに、閉状態から開状態に変形するように構成されている。複数のスリットは、開状態において第1の側壁と第2の側壁との間の発泡体を通るスリット開口部を規定することができる。複数のスリットは、ある長さを有する線状の切断部を含むことができる。第1の側壁は、線状の切断部の第2の側壁とは反対側の側面に位置決めすることができる。例えば、第1の側壁は、複数のスリットの各々のスリット開口部全体にわたって、第2の側壁の反対側に位置決めすることができる。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、複数のスリットのうちの1つ以上は、複数のスリットのうちのもう1つとは独立して、閉状態と開状態との間で変形可能である。フィルム層の複数の開窓は、ドレッシング材が陰圧にさらされたときに、マニホールドの複数のスリットと位置合わせされた状態で変形するように構成され得る。より全般的には、フィルム層の複数の開窓及びマニホールドの複数のスリットは、開状態及び閉状態の両方において位置合わせされており、かつ陰圧に応答して、協調して変形するように構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、複数の開窓は各々、複数のスリットの第1の側壁及び第2の側壁と同一平面に位置決めすることができる周縁部を備えることができる。いくつかの実施形態では、複数の開窓及び複数のスリットは、同じ形状を有することができる。
【0009】
いくつかの例示的な実施形態では、ドレッシング材は、フィルム層の第2の表面に隣接するベース層を更に備えることができる。ベース層は、ベース層開口部を有する中央部分と、複数の隙間を含む周辺部分と、を含むことができる。周辺部分は、中央部分を取り囲むことができ、周辺部分の複数の隙間は、中央部分のベース層開口部よりも小さくなり得る。ベース層開口部は、単一の開口部とすることができ、フィルム層の複数の開窓の少なくとも90パーセントを取り囲むことができる。複数の開窓、及びフィルム層の少なくとも一部分は、ベース層開口部を通してさらされ得る。例えば、フィルム層は、ベース層開口部を通して組織部位に接触するように構成することができ、ベース層の周辺部分は、組織部位を取り囲む組織に接触するように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、フィルム層は、発泡体と位置合わせされた複数の開窓を含む中央部分と、発泡体を越えて延在しており、複数の開窓を取り囲む複数の穿孔を含む周辺部分と、を含むことができる。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、カバーは、マニホールドを越えて延在する、接着剤を有する周縁を含むことができる。カバーの周縁は、ベース層とカバーとの間にマニホールドを封入するように構成することができる。周縁の接着剤は、組織部位を取り囲む組織に接触するために、ベース層の複数の隙間を通って延在するように構成することができる。ドレッシング材は、ユーザが組織部位にドレッシング材を配置することを可能にするために、ドレッシング材の一部分に剛性を加えるように構成された少なくとも1つのハンドリングバーを更に含むことができる。
【0011】
本明細書ではまた、陰圧によって組織部位を治療するためのシステムも説明されている。システムの例示的な例は、ドレッシング材と、ドレッシング材に流体結合することができる陰圧源と、を含むことができる。ドレッシング材は、カバーと、発泡体を含むマニホールドと、フィルム層と、を含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、第1の表面と、第2の表面と、複数のスリットと、を含むことができる。マニホールドの第1の表面は、カバーの第2の表面に隣接することができる。複数のスリットは、閉状態と開状態との間で変形可能である、マニホールドの第1の表面と第2の表面との間に延在する第1の側壁及び第2の側壁を含むことができる。第1の側壁は、閉状態では、第2の側壁と接触することができ、開状態では、第2の側壁から分離することができる。フィルム層は、第1の表面と、第2の表面と、第1の表面及び第2の表面を通る複数の開窓と、を含むことができる。フィルム層の第1の表面は、マニホールドの第2の表面に隣接することができる。
【0012】
本明細書ではまた、陰圧によって組織部位を治療するための組織界面も説明されている。組織界面の例示的な例は、マニホールド層と、フィルム層と、を含むことができる。マニホールド層は、複数のスリットを含むことができ、複数のスリットの各々は、第1の側壁と、第2の側壁と、を含むことができる。フィルム層は、マニホールド層の表面に結合することができ、かつ複数の開窓を含むことができる。複数の開窓の各々は、複数のスリットの第1の側壁及び第2の側壁と同一平面に位置決めされた周縁部を含むことができる。
【0013】
本明細書ではまた、組織部位を治療する方法も説明されている。方法の例示的な例は、組織部位にドレッシング材を適用することと、ドレッシング材に陰圧源を流体結合することと、ドレッシング材に陰圧を適用するために陰圧源を作動させることと、を含むことができる。ドレッシング材は、複数のスリットを有する発泡体と、発泡体と組織部位との間に位置決めされたフィルム層と、を含むことができる。フィルム層は、発泡体の複数のスリットと位置合わせされるように構成された複数の開窓を含むことができる。ドレッシング材に陰圧を適用するために陰圧源を作動させるとき、発泡体の複数のスリットは、陰圧がドレッシング材に適用されたときに、フィルム層の複数の開窓と協調して変形することができる。
【0014】
特許請求される主題を作製及び使用する目的、利点、及び好ましい態様が、例示的な実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付の図面を参照することによって最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本明細書に従って陰圧治療を提供することができる療法システムの例示的な一実施形態のブロック図である。
図2図2は、ドレッシング材界面及び組織部位に展開されたドレッシング材の例示的な例の実施形態を示す、図1の療法システムの例示的な実施形態の切断図である。
図3図3は、組織部位に適用する前にドレッシング材を保護するための剥離ライナの例示的な例の実施形態によって示される、図2のドレッシング材の分解図である。
図4図4は、図2のドレッシング材の切断図である。
図5図5は、図2のドレッシング材に示されるマニホールド及びフィルム層の例示的な例の実施形態の斜視図である。
図6A図6Aは、図2のドレッシング材によって使用することができるマニホールドの別の例示的な例の実施形態の斜視図である。
図6B図6Bは、マニホールドに力が適用されたときの図6Aのマニホールドの斜視図である。
図6C図6Cは、マニホールドに力が適用されたときの図6Aのマニホールドの斜視図である。
図6D図6Dは、マニホールドに力が適用されたときの図6Aのマニホールドの斜視図である。
図7図7は、図1の療法システムによって使用することができるドレッシング材の別の例示的な例の実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的な実施形態の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲に記載された主題を作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既によく知られている特定の詳細は省略され得る。したがって、以下の詳細な説明は、限定ではなく、例示するものとして解釈されるべきである。
【0017】
図1は、本明細書に従って組織部位に陰圧療法を提供することができる療法システム100の例示的な一実施形態のブロック図である。
【0018】
この文脈における「組織部位」という用語は、限定されないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靭帯を含む、組織上又は組織内に位置する創傷、欠損、又は他の治療標的を広く指す。創傷としては、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧力潰瘍、又は静脈不全潰瘍、など)、皮弁、及び移植が挙げられ得る。「組織部位」という用語はまた、必ずしも創傷又は欠損しているとは限らないが、代わりに、追加の組織の成長を追加又は促進することが所望され得る領域である、任意の組織の領域も指し得る。例えば、採取して移植することができる追加の組織を成長させるために、組織部位に陰圧が適用され得る。
【0019】
図1を参照すると、療法システム100は、陰圧源105などの陰圧源又は陰圧供給部と、1つ以上の分配構成要素と、を含むことができる。分配構成要素は、好ましくは分離可能であり、かつ使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能であり得る。ドレッシング材110などのドレッシング材、及び容器115などの流体容器は、療法システム100のいくつかの例に関連付けられ得る分配構成要素の例である。図1の例に例示されるように、ドレッシング材110は、組織界面120、カバー125、又はいくつかの実施形態ではその両方を備え得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0020】
流体導管は、分配構成要素の別の例示的な例である。この文脈での「流体導管」とは、2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ以上の管腔又は開経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は他の構造体を広く含む。典型的には、チューブは、いくらかの可撓性を有する細長い円柱構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は変化し得る。更に、いくつかの流体導管は、他の構成要素内に成型され得るか、又は別様に他の構成要素と一体的に組み合わせられ得る。分配構成要素はまた、他の構成要素を結合及び結合解除するのを容易にするために、界面又は流体ポートを含み得るか、又は備え得る。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシング材界面は、流体導管をドレッシング材110に結合するのを容易にし得る。例えば、かかるドレッシング材界面は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なSENSAT.R.A.C.(商標)Padであり得る。
【0021】
療法システム100はまた、調節器、又はコントローラ130などのコントローラも含み得る。加えて、療法システム100は、動作パラメータを測定して、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ130に提供するためのセンサを含み得る。図1に例示されるように、例えば、療法システム100は、コントローラ130に結合した第1のセンサ135及び第2のセンサ140を含み得る。
【0022】
療法システム100のいくつかの構成要素は、療法を更に容易にするセンサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、ディスプレイデバイス、又はユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容され得るか、又はこれらと併せて使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源105は、コントローラ130及び他の構成要素とともに療法ユニット145に組み合わせられ得る。
【0023】
概して、療法システム100の構成要素は、直接的又は間接的に結合され得る。例えば、陰圧源105は、容器115に直接的に結合され得、かつ容器115を通してドレッシング材110に間接的に結合され得る。いくつかの文脈では、結合としては、流体結合、機械結合、熱結合、電気結合、又は化学結合(化学接合など)、又はいくつかの組み合わせ、が挙げられ得る。例えば、陰圧源105は、コントローラ130に電気結合され得、かつ組織部位への流体経路を提供するために1つ以上の分配構成要素に流体結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的近接によって、単一の構造体へと一体化させることによって、又は同じ材料片から形成することによって結合され得る。
【0024】
陰圧源105などの陰圧供給部は、例えば、陰圧の空気のリザーバであり得、又は真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁面吸引ポート、若しくはマイクロポンプなどの手動の若しくは電気駆動のデバイスであり得る。「陰圧」とは、概して、シールされた治療環境に対する局所的外部環境における周囲圧力などの局所的周囲圧力未満の圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置する場所の大気圧であり得る。代替的に、圧力は、組織部位における組織に関連付けられた静水圧未満であり得る。別途示されない限り、本明細書に記載された圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増加への言及は、典型的には、絶対圧力の減少を指し、一方で、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の増加を指す。陰圧源105によって提供される陰圧の量及び性質は、治療要件に従って変化し得るが、圧力は、概して、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の、一般的に粗真空とも称される、低真空である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0025】
容器115は、組織部位から取り出された滲出液及び他の流体を管理するために使用することができる容器、キャニスタ、パウチ、又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、流体を回収、貯蔵、及び廃棄するために、剛性容器が好ましくなり得るか、又は必要になり得る。他の環境では、流体は、剛性容器に貯蔵されずに適切に廃棄され得るが、再使用可能な容器は、陰圧療法に関連付けられた廃棄物及びコストを低減することができる。
【0026】
コントローラ130などのコントローラは、療法システム100の陰圧源105などの1つ以上の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ130は、マイクロコントローラであり得、これは、概して、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを直接的又は間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を備える。動作パラメータは、例えば、陰圧源105に適用される電力、陰圧源105によって生成される圧力、又は組織界面120に分配される圧力を含み得る。コントローラ130はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、かつ入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0027】
第1のセンサ135及び第2のセンサ140などのセンサは、物理的現象又は特性を検出又は測定するように動作可能な装置とすることができ、概して、検出又は測定された現象又は特性を示す信号を提供することができる。例えば、第1のセンサ135及び第2のセンサ140は、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のセンサ135は、空気圧経路の圧力を測定して、その測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成されたトランスデューサであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、第1のセンサ135は、ピエゾ抵抗性歪みゲージであり得る。いくつかの実施形態では、第2のセンサ140は、電圧又は電流などの陰圧源105の動作パラメータを任意選択で測定し得る。第1のセンサ135及び第2のセンサ140からの信号は、コントローラ130への入力信号として適切であり得るが、いくつかの実施形態では、いくらかの信号調整が適切であり得る。例えば、信号は、コントローラ130によって処理され得る前に、フィルタ処理又は増幅する必要があり得る。典型的には、信号は、電気信号であるが、光信号などの他の形態で表され得る。
【0028】
組織界面120は、概して、組織部位に部分的に又は完全に接触するように適合させることができる。組織界面120は、数多くの形態を採り得、かつ実施される治療のタイプ、又は組織部位の性質及びサイズなどの様々な要因に応じて、数多くのサイズ、形状、又は厚さを有し得る。例えば、組織界面120のサイズ及び形状は、深く不規則な形状の組織部位の輪郭に適合され得る。組織界面120の表面のうちのいずれか又は全ては、起伏のある、粗い、又はギザギザのプロファイルを有し得る。
【0029】
組織界面120の厚さもまた、指示された療法の必要性に従って変化し得る。例えば、周辺組織への張力が低減するように、組織界面の厚さを薄くしてもよい。組織界面120の厚さはまた、組織界面120の適合性にも影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが適切であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、カバー125は、細菌バリア、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー125はまた、蒸発損失を低減することができ、かつ2つの構成要素間の、又は治療環境と局所的外部環境との間などの2つの環境間の流体シールを提供することができる材料から構築され得る。カバー125は、例えば、所与の陰圧源に関して組織部位において陰圧を維持するのに十分なシールを提供することができる弾性フィルム又は膜を含み得、又はそれからなり得る。いくつかの用途では、カバー125は、高い水蒸気透過率(moisture-vapor transmission rate、MVTR)を有し得る。例えば、MVTRは、いくつかの実施形態では、38℃及び10%の相対湿度(relative humidity、RH)において、ASTM E96/E96MのUpright Cup Methodによる直立カップ技術を使用して測定したときに、少なくとも250グラム/平方メートル/24時間であり得る。いくつかの実施形態では、最大5000グラム/平方メートル/24時間のMVTRが、有効な通気性及び機械的特性を提供し得る。
【0031】
いくつかの例示的な実施形態では、カバー125は、水蒸気に対して透過性であるが、液体に対して不透過性であるポリウレタンフィルムなどのポリマードレープであり得る。かかるドレープは、典型的には、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料に関して、透過性は、概して、所望の陰圧が維持され得るように十分に低くするべきである。カバー125は、例えば、親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(polyurethane、PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリマイドコポリマー、のうちの1つ以上を含み得る。かかる材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販されているTegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販されているポリウレタン(PU)ドレープ、例えばArkema S.A.(Colombes,France)製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、並びにExpopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)から市販されているInspire2301及びInspire2327ポリウレタンフィルム、として市販されている。いくつかの実施形態では、カバー125は、2600g/m/24時間のMVTR(直立カップ技術)及び約30ミクロンの厚さを有するINSPIRE2301を含み得る。
【0032】
無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取り付け表面にカバー125を取り付けるために、取り付けデバイスが使用され得る。取り付けデバイスは、多くの形態を採り得る。例えば、取り付けデバイスは、組織部位の周りの表皮にカバー125を接合するように構成された医学的に許容可能な感圧性接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、カバー125の一部又は全部は、約25~65グラム/平方メートル(gram per square meter、g.s.m.)のコーティング重量を有し得る、アクリル接着剤などの接着剤でコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、シールを改善し、漏出を低減するために、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせが適用され得る。取り付けデバイスの他の例示的な実施形態としては、両面テープ、ペースト、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルが挙げられ得る。
【0033】
動作中に、組織界面120は、組織部位内に、組織部位を覆って、組織部位上に、又は別様に組織部位に近接して配置され得る。例えば、組織部位が創傷である場合、組織界面120は、部分的又は完全に創傷を塞ぎ得るか、又は創傷を覆って配置され得る。カバー125は、組織界面120を覆って配置され得、かつ組織部位の近くの取り付け表面にシールされ得る。例えば、カバー125は、無傷の表皮の周辺の組織部位にシールされ得る。したがって、ドレッシング材110は、外部環境から実質的に隔離された組織部位に近接してシールされた治療環境を提供することができ、陰圧源105は、シールされた治療環境内の圧力を低減することができる。
【0034】
圧力を低減するプロセスは、例えば、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「生成する」ものとして本明細書で例示的に説明され得る。概して、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿ってより低い圧力に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、陰圧源に相対的により近い、又は陽圧源からより遠く離れた流体経路内の位置を意味する。反対に、「上流」という用語は、陰圧源から相対的により遠く離れた、又は陽圧源により近い位置を意味する。しかしながら、流体経路はまた、いくつかの用途では、陰圧源を陽圧源に置き換えることなどによって逆にされ得、したがって、これらの説明的な用語は、限定するものと解釈されるべきではない。
【0035】
シールされた治療環境内の組織界面120を通して組織部位に適用される陰圧は、組織部位においてマクロ歪み及びマイクロ歪みを引き起こし得る。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することもでき、滲出液及び他の流体は、容器115内に回収することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、第1のセンサ135などの1つ以上のセンサからデータを受信して処理し得る。コントローラ130はまた、組織界面120に送達される圧力を管理するために、療法システム100の1つ以上の構成要素の動作も制御し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ130は、所望の標的圧力を受信するための入力を含み得、かつ組織界面120に適用される標的圧力の設定及び入力に関するデータを処理するようにプログラムされ得る。いくつかの例示的な実施形態では、標的圧力は、組織部位における療法のために所望される標的陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ130への入力として提供される、固定圧力値であり得る。標的圧力は、組織部位を形成する組織のタイプ、傷害又は創傷のタイプ(存在する場合)、患者の医学的状態、及び主治医の選好に基づいて、組織部位によって異なり得る。所望の標的圧力を選択した後に、コントローラ130は、標的圧力に基づいて、1つ以上の制御モードで陰圧源105を動作させることができ、かつ組織界面120における標的圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0037】
図2は、患者の組織部位202を治療するための療法システム100の例示的な一実施形態を示す。組織部位202は、表皮204、真皮206、及び皮下組織208を通って延在し得、又は別様に含み得る。組織部位202は、表皮204の表面の下方に延在する、図2に表される表面下の組織部位であり得る。更に、組織部位202は、例えば切開部などの、表皮204の表面に主に存在する表面組織部位(図示せず)であり得る。療法システム100は、療法システム100の位置決め又は組織部位のタイプにかかわらず、例えば、表皮204、真皮206、及び皮下組織208に療法を提供し得る。療法システム100はまた、限定されないが、他の組織部位においても利用され得る。
【0038】
療法システム100は、ドレッシング材110と、容器115と、療法ユニット145を含み得る陰圧源105と、を含み得る。更に、療法システム100は、療法システム100の任意選択の構成要素として、充填材料210を含み得る。充填材料210は、異なるタイプの組織部位、又は例えば上皮化などの、陰圧を使用する異なるタイプの療法の場合、省略され得る。装備されている場合、充填材料210は、例えば、組織部位202に合うように、及び組織部位202とドレッシング材110との間の空間を満たすように、任意の好適な様態に充填材料210を切断すること、又は別様に成形すること、などによって、組織部位202に近接して、又は組織部位に近接して位置決めされるように適合され得る。組織界面120と同様に、充填材料210は、本明細書に記載されたマニホールド材料で構築され得、かつ組織部位202に陰圧を分配するように、組織部位202と流体連通して位置決めされるように適合され得る。いくつかの実施形態では、充填材料210は、組織部位202と直接接触して、かつ組織部位202とドレッシング材110との間に位置決めされ得る。充填材料210が省略された場合は、ドレッシング材110の組織界面120が、組織部位202と直接接触して位置決めされ得る。
【0039】
図2を続けると、ドレッシング材110は、療法ユニット145の陰圧源105から組織部位202に、直接、又は装備されている場合は充填材料210を通して、陰圧を提供又は分配するように適合され得る。更に、図2は、ドレッシング材110の組織界面120のいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な特徴を例示する。例えば、ドレッシング材110の組織界面120は、任意選択のベース層212と、フィルム層214と、マニホールド216と、を含み得る。マニホールド216は、発泡体とすることができ、又は発泡体を含むことができ、かつマニホールド層と称され得る。接着剤218などの接着剤層は、ドレッシング材110を組織部位202に対して固定するために、カバー125と組織部位202の外周との間に位置決めされるように構成され得る。ドレッシング材110の構成要素は、特定の用途に合わせて追加され得るか、又は取り外され得る。
【0040】
図2図4を参照すると、ベース層212は、中央部分222を取り囲む外周220と、外周220を通して配設された複数の隙間224と、を有し得る。ベース層212はまた、コーナー部226と、縁部228と、を有し得る。コーナー部226及び縁部228は、外周220の一部であり得る。縁部228のうちの1つは、縁部228のうちのもう1つと合わせて、コーナー部226のうちの1つを規定し得る。更に、ベース層212は、中央部分222を実質的に取り囲み、かつ中央部分222と外周220との間に位置決めされた境界230を有し得る。境界230は、隙間224を含まなくてもよく、かつベース層212の中央部分222を通してベース層開口部232を取り囲み得る。ベース層開口部232は、単一の開口部であり得、かつベース層212が組織部位202に接触するのを防止し得る。複数の隙間224のうちの各隙間224は、ベース層開口部232よりも小さくなり得る。ベース層212は、ベース層212の中央部分222のベース層開口部232が組織部位202に隣接又は近接して位置決めされ、かつベース層212の外周220が組織部位202を取り囲む組織に隣接又は近接して位置決めされるように、組織部位202を取り囲む組織に結合し得る。このようにして、ベース層212の外周220は、組織部位202を取り囲み得る。
【0041】
ベース層212の隙間224は、例えば、円形、正方形、星形、長円形、多角形、スリット、複合曲線、直線形状、三角形、又は他の形状などの、別の形状を有し得る。隙間224は、カット、局所的なRFエネルギーの適用、又は開口部を形成するための他の適切な技法によって形成され得る。図3に示されるように、複数の隙間224のうちの各隙間224は、直径及び面積を有する、実質的に円形の形状であり得る。隙間224の各々の面積は、隙間224の各々を規定する開口空間又は開口面積を指し得る。隙間224の各々の直径は、隙間224の各々の面積を規定し得る。例えば、隙間224のうちの1つの面積は、隙間224の直径の半分の二乗に値3.14を乗算することによって規定され得る。したがって、以下の式は、隙間224のうちの1つの面積を規定し得る。面積=3.14×(直径/2)^2。本明細書の例示的な実施形態に記載された隙間224の面積は、非円形形状を有し得る隙間224に関する他の実施形態における面積(図示せず)と実質的に同様であり得る。隙間224の各々の直径は、実質的に同じであり得、又は直径の各々は、例えば、ベース層212内の隙間224の位置に依存して変化し得る。更に、隙間224の各々の直径は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、隙間224の各々直径は、約1ミリメートル~約20ミリメートルであり得る。隙間224は、一様なパターンを有し得るか、又はベース層212にランダムに分配され得る。隙間224のサイズ及び構成は、下で説明されるように、ドレッシング材110の表皮204への接着を制御するように設計され得る。
【0042】
本明細書で説明されるように、ベース層212は、組織部位202によって流体シールを提供するのに適した柔軟な軟質材料であり得る。例えば、ベース層212は、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、下で説明される接着剤でコーティングされたポリウレタン及びポリオレフィンなどの軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィン、又は水素化スチレンコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ベース層212は、フィルム層と、組織部位202に近接したフィルム層の表面に結合されたシリコーンゲルと、シリコーンゲルの反対側のフィルム層の表面に結合された接着剤層と、を含む、トライラミネート材料であり得る。ベース層212は、約500ミクロン(μm)~約1000ミクロン(μm)の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、ベース層212は、約5ショアOO~約90ショアOOの剛性を有する。ベース層212は、疎水性材料又は親水性材料からなり得る。
【0043】
いくつかの実施形態(図示せず)では、ベース層212は、疎水コーティングされた材料であり得る。例えば、ベース層212は、例えば、織りメッシュ、不織メッシュ、成型メッシュ、又は押し出しメッシュなどの離間材料を疎水性材料でコーティングすることによって形成され得る。コーティング用の疎水性材料は、例えば、軟質シリコーンであり得る。このようにして、接着剤218は、下で説明される隙間224に類似した離間材料の開口部を通って延在し得る。
【0044】
接着剤218は、少なくともベース層212の外周220において隙間224と流体連通し得る。このようにして、接着剤218は、ベース層212の隙間224を通して、組織部位202を取り囲む組織と流体連通し得る。下で説明されるように、接着剤218は、例えば、組織部位202を取り囲む組織に、ドレッシング材110を固定するために、表皮204に接触するように、複数の隙間224を通って延在し得るか、又は押し込まれ得る。隙間224は、組織部位202の周りにドレッシング材110を固定するために、表皮204に対する接着剤218の十分な接触を提供し得る。しかしながら、隙間224及び接着剤218の構成は、組織部位202の周りでのドレッシング材110の解放及び再位置決めを可能にし得る。
【0045】
接着剤218は、医学的に許容可能な接着剤であり得る。接着剤218はまた、流動性であり得る。例えば、接着剤218は、アクリル接着剤、ゴム接着剤、高タックシリコーン接着剤、ポリウレタン、又は他の接着性物質を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤218は、15グラム/m(gsm)~70グラム/m(gsm)のコーティング重量を有するアクリル接着剤を含む感圧性接着剤であり得る。接着剤218は、開口部234を有する層であり得る。接着剤218の開口部234は、接着剤218がベース層212の中央部分222と接触しないことを確実にし得る。開口部234は、図3に示されるように長方形であり得る。他の実施形態では、開口部234は、異なるサイズ又は形状であり得るが、それでもベース層212の中央部分222から接着剤218を隔離し得る。いくつかの実施形態では、接着剤218の層は、連続又は不連続であり得る。接着剤218の不連続部は、接着剤218の隙間(図示せず)によって提供され得る。接着剤218の隙間は、接着剤218の適用後に、又は例えば表皮204に面するように適合されたカバー125の側面などの、キャリア層に接着剤218をパターンでコーティングすることによって形成され得る。更に、接着剤218の隙間は、ベース層212の隙間224を通って延在して表皮204に到達する接着剤218の量を制御するようにサイズ設定され得る。接着剤218の隙間はまた、ドレッシング材110の水蒸気透過率(Moisture Vapor Transfer Rate、MVTR)を高めるようにサイズ設定され得る。
【0046】
ドレッシング材110の接着強度を制御するために利用され得る要素としては、ベース層212の隙間224の直径及び数、ベース層212の厚さ、接着剤218の厚さ及び量、並びに接着剤218の粘着性が挙げられ得る。隙間224を通って延在する接着剤218の量の増加は、概して、ドレッシング材110の接着強度の増加に対応する。ベース層212の厚さの減少は、概して、隙間224を通って延在する接着剤218の量の増加に対応する。したがって、隙間224の直径及び構成、ベース層212の厚さ、並びに利用される接着剤の量及び粘着性は、ドレッシング材110の所望の接着強度を提供するように変化し得る。例えば、ベース層212の厚さは、約200ミクロンであり得、接着剤218の層は、約30ミクロンの厚さ及び幅25センチメートルのストリップにつき2000グラムの粘着性を有し得、ベース層212の隙間224の直径は、約10ミリメートルであり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、接着剤218の粘着性は、ベース層212の異なる位置において変化し得る。例えば、ベース層212の隙間224のうちのいくつかは、ベース層212の他の隙間224よりも大きくなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ベース層212のコーナー部226の隙間224は、ベース層212の縁部228に沿った隙間224よりも小さくなり得る。隙間224が比較的大きいベース層212の位置では、接着剤218は、隙間224がより小さいベース層212の他の位置よりも低い粘着性を有し得る。このようにして、より大きい隙間224を有するベース層212及びより低い粘着性を有する接着剤218の位置は、より小さい隙間224及びより高い粘着性を有する接着剤218を有する位置と同程度の接着強度を有し得る。
【0048】
臨床研究は、ベース層212及び接着剤218に関して本明細書に記載された構成が、使用時の水疱、紅斑、及び漏出の発生を低減し得ることを示している。かかる構成は、例えば、患者の快適さの向上及びドレッシング材110の耐久性の向上を提供し得る。
【0049】
図3の実施形態を参照すると、剥離ライナ236は、組織部位202にドレッシング材110を適用する前に接着剤218を保護するために、ベース層212に隣接して取り付けられ得るか、又は位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、剥離ライナ236は、ワンピースのライナであり得る。他の実施形態では、剥離ライナ236は、組織部位202においてドレッシング材110を展開する前にベース層212が剥離ライナ236によって覆われることを確実にするために、重なり部を有するツーピースのライナであり得る。組織部位202にドレッシング材110を適用する前に、ベース層212がカバー125と剥離ライナ236の間に位置決めされ得る。剥離ライナ236の取り外しは、ドレッシング材110を組織部位202に適用するために、ベース層212及び接着剤218をさらし得る。剥離ライナ236はまた、例えば、ドレッシング材110の展開を支援するための剛性も提供し得る。剥離ライナ236は、例えば、工程紙、フィルム、又はポリエチレンであり得る。更に、剥離ライナ236は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)又は同様の極性半結晶性ポリマーなどのポリエステル材料であり得る。剥離ライナ236への極性半結晶性ポリマーの使用は、ドレッシング材110のしわ又は他の変形を実質的に排除し得る。例えば、極性半結晶性ポリマーは、高度に配向され得、かつドレッシング材110の構成要素と接触させたときに、又は温度若しくは環境の変化を受けたときに、又は殺菌を受けたときに起こり得る軟化、膨潤、又は他の変形に対する耐性を有し得る。更に、ベース層212に接触するように構成された剥離ライナ236の側面には、剥離剤が配設され得る。例えば、剥離剤は、シリコーンコーティングであり得、かつ手によって、ドレッシング材110に損傷を与えずに、又は変形させずに剥離ライナ236の取り外しを容易にするのに適した剥離要素を有し得る。いくつかの実施形態では、剥離剤は、フルオロシリコーンであり得る。他の実施形態では、剥離ライナ236は、コーティングされていなくてもよく、又は別様に剥離剤なしで使用され得る。
【0050】
図2図4を続けると、カバー125は、実質的に、図1を参照しながら上で説明した通りであり得る。カバー125は、周縁又は外周238と、中央部分240と、有し得る。カバー125はまた、第1の表面242と、第1の表面242の反対側の第2の表面244と、を有し得る。カバー125は、隙間246を更に含み得る。隙間246は、カバー125を通る開口部又は孔であり得る。いくつかの実施形態では、隙間246は、カバー125の実質的に中央にあるように位置し得る。隙間246は、ドレッシング材110を通したカバー125の第1の表面242からの流体連通を可能にするように構成され得る。カバー125の外周238は、ベース層212の外周220に近接して位置決めされ得、カバー125の中央部分240は、ベース層212の中央部分222と実質的に位置合わせされ得る。
【0051】
接着剤218は、少なくとも、カバー125の外周238とベース層212の外周220との間に位置決めされ得る。カバー125は、組織部位202及び組織界面120を覆って、組織部位202とドレッシング材110のカバー125との間に流体シール及びシールされた空間248を提供し得る。更に、カバー125は、カバー125と組織部位202との間に流体シールを提供するように、組織部位202を取り囲む表皮204の一部分などの他の組織を覆い得る。いくつかの実施形態では、カバー125の外周238の一部分は、ベース層212の外周220を越えて延在して、組織部位202を取り囲む組織と直接接触し得る。他の実施形態では、カバー125の外周238は、例えば、ベース層212のないシールされた空間248を提供するように、組織部位202を取り囲む組織と接触して位置決めされ得る。したがって、接着剤218はまた、少なくともカバー125の外周238と組織部位202を取り囲む表皮204などの組織との間にも位置決めされ得る。接着剤218は、組織部位202及びベース層212に面するように適合されたカバー125の表面に配設され得る。
【0052】
マニホールド216は、カバー125とフィルム層214との間に位置決めされ得る。マニホールド216は、第1の表面250と、第1の表面250の反対側の第2の表面252と、を有し得る。マニホールド216は、組織部位202に対して流体を分配するための手段を備え得るか、又はそれから本質的になり得る。例えば、マニホールド216は、陰圧源105から陰圧を受け取り、その陰圧を、マニホールド216を通して分配するように適合され得、これは、組織部位202からの流体を回収して、その流体を陰圧源105に向かって吸引する効果を有し得る。マニホールド216は、マニホールド216を通して第1の表面250から第2の表面252まで配設された複数のスリット254を更に含み得る。複数のスリット254は、マニホールド216を通して陰圧を分配するのを補助するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のスリット254は、組織部位202からドレッシング材110へと組織が内方成長する可能性を低減しながら、マニホールド216を通して陰圧を相対的に均等に組織部位202に分配することを可能にし得る。
【0053】
複数のスリット254のうちの各スリット254は、マニホールド216の第1の表面250からマニホールド216の第2の表面252まで延在する線状のスリット又は線状の切断部255を備え得る。他の実施形態では、複数のスリット254は、異なる形状であり得るが、それでもマニホールド216の第1の表面250からマニホールド216の第2の表面252まで延在し得る。複数のスリット254は、カット、局所的なRFエネルギーの適用、ダイカット、ナイフカット、不連続なスリット加工、又はマニホールド216を通してスリットを形成するための他の適切な技法によって形成され得る。本明細書で定義されるように、スリット254を形成するスリット又は切断部は、スリット254を形成するために材料を除去せずにスリット254の両側の材料の一部分が切り離される、又は切断されるという点で、隙間又は他の開口部と区別することができる。したがって、複数のスリット254は、どちらもマニホールド216の第1の表面250と第2の表面252との間に延在し得る、第1の側壁256及び第2の側壁258を含み得る。第1の側壁256は、線状の切断部255の第2の側壁258とは反対側の側面に位置決めされ得る。
【0054】
第1の側壁256及び第2の側壁258は、閉状態と開状態との間で変形可能であり得る。マニホールド216が、弛緩された又は応力下にない閉状態では、第1の側壁256は、第2の側壁258と接触し得る。マニホールド216が応力又は力を受けている開状態では、第1の側壁256は、第2の側壁258から分離され得る。いくつかの実施形態では、複数のスリット254は、ドレッシング材110が陰圧源105からの陰圧などの陰圧にさらされたときに、閉状態から開状態に変形可能又は移動可能であり得る。他の実施形態では、複数のスリット254は、ドレッシング材110が力又は曲げモーメントにさらされたときに、閉状態から開状態に変形可能又は移動可能であり得る。複数のスリット254のうちの各スリット254は、複数のスリット254のうちの別のスリット254とは独立して閉状態と開状態との間で変形可能又は移動可能であり得る。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、マニホールド216は、流体の分配又は回収を改善するように相互接続することができる、複数の経路を備え得る。いくつかの例示的な実施形態では、マニホールド216は、相互接続された流体経路を有する多孔性材料を含み得るか、又はそれから本質的になり得る。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることができる適切な多孔性材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含む気泡質発泡体、多孔質組織の集合体、並びに概して細孔、縁部、及び/又は壁を含むガーゼ又はフェルト状マットなどの他の多孔性材料が挙げられる。液体、ゲル、及び他の発泡体はまた、隙間及び流体経路を含み得るか、又はこれらを含むように硬化され得る。いくつかの実施形態では、マニホールド216は、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起を備え得る。例えば、マニホールド216は、相互接続された流体経路を規定する表面突起を提供するように成型され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、マニホールド216は、指示された療法の必要性に従って変化し得る細孔サイズ及び自由体積を有する網状発泡体などの発泡体を含み得るか、又はそれから本質的になり得る。例えば、少なくとも90%の自由体積を有する網状発泡体は、多くの療法用途に適し得、いくつかのタイプの療法には、400~600ミクロンの範囲の平均気孔サイズ(40~50個/インチの細孔)を有する発泡体が特に適し得る。マニホールド216の引張強度もまた、指示された療法の必要性に従って変化し得る。マニホールド216の25%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.35ポンド/平方インチであり得、65%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.43ポンド/平方インチであり得る。いくつかの実施形態では、マニホールド216の引張強度は、少なくとも10ポンド/平方インチであり得る。マニホールド216は、少なくとも2.5ポンド/インチの引裂強度を有し得る。いくつかの実施形態では、マニホールド216は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオール、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネート、並びにアミン及びスズの化合物などの重合調整剤からなる発泡体であり得る。いくつかの例では、マニホールド216は、どちらもKinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能な、GRANUFOAM(商標)ドレッシング材又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシング材に見られるような網状ポリウレタン発泡体であり得る。他の実施形態では、マニホールドは、熱可塑性ポリウレタン発泡体、粘弾性ポリウレタン発泡体、又はポリウレタン発泡体のうちの1つ以上の積層体であり得る。
【0057】
マニホールド216の厚さもまた、指示された療法の必要性に従って変化し得る。例えば、マニホールド216の厚さは、組織部位202の周辺組織への張力を低減するために減少され得る。マニホールド216の厚さは、マニホールド216の適合性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが適切であり得る。
【0058】
いくつかの例示的な実施形態では、マニホールド216は、親水性であり得る。マニホールド216が親水性であり得る一例では、マニホールド216はまた、組織部位202に陰圧を分配し続けながら、組織部位から離れるように流体を逃がし得る。マニホールド216のウィッキング特性は、毛細管流又は他のウィッキング機構によって、組織部位202から離れるように流体を吸引し得る。適切であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシング材などのポリビニルアルコールの連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体としては、ポリエーテルから作製されたものが挙げられ得る。親水性特性を呈し得る他の発泡体としては、親水性を提供するように処理又はコーティングされた疎水性発泡体が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、マニホールド216は、生体吸収性材料から構築され得る。適切な生体吸収性材料としては、限定されないが、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)とポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)とのポリマーブレンドが挙げられ得る。ポリマーブレンドとしてはまた、限定されないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプララクトン(capralactone)が挙げられ得る。マニホールド216は、新しい細胞成長のための足場としての更なる役割を果たし得、又は足場材料は、細胞成長を促進するために、マニホールド216と併せて使用され得る。足場は、概して、細胞成長のためのテンプレートを提供する三次元多孔質構造体などの、細胞の成長又は組織の形成を強化又は促進するために使用される物質又は構造体である。足場材料の例示的な例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト、カーボネート、又は、処理された同種移植片材料が挙げられる。
【0060】
フィルム層214は、装備されている場合、マニホールド216とベース層212との間に配設され得る。ベース層212のない実施形態では、フィルム層214は、マニホールド216と組織部位202との間に配設され得る。フィルム層214は、第1の表面260と、第1の表面260の反対側の第2の表面262と、を有し得る。フィルム層214の第1の表面260は、マニホールド216の第2の表面252に隣接し得る。フィルム層214は、中央部分266を取り囲む外周264と、外周264を通して配設された複数の穿孔268と、中央部分266を通して配設された複数の開窓270と、を有し得る。複数の穿孔268は、複数の開窓270よりも大きくなり得る。フィルム層214はまた、コーナー部272と、縁部274と、を有し得る。コーナー部272及び縁部274は、外周264の一部であり得る。縁部274のうちの1つは、縁部274のうちのもう1つと合わせて、コーナー部272のうちの1つを規定し得る。更に、フィルム層214は、中央部分266を実質的に取り囲み、かつ中央部分266と外周264との間に位置決めされた境界276を有し得る。境界276は、複数の穿孔268及び複数の開窓270を含まなくてもよい。
【0061】
フィルム層214は、フィルム層214の外周264がベース層212の外周220と位置合わせされ、フィルム層214の中央部分266がベース層212の中央部分222と位置合わせされるように、ベース層212と実質的に同じ形状であり得る。フィルム層214の外周264は、カバー125の外周238と更に位置合わせされ得る。フィルム層214の外周264は、カバー125の中央部分240及びフィルム層214の中央部分266がエンクロージャ277を規定するように、カバー125の外周238に近接して位置決めされ得る。カバー125の外周238は、フィルム層214とカバー125との間にマニホールド216を封入し得る。エンクロージャ277は、マニホールド216が陰圧、軸方向力、曲げモーメント、又は別の力にさらされたときに変形することを可能にするように構成され得る。マニホールド216は、接着剤218から隔離されるように、エンクロージャ277内に配設され得る。
【0062】
複数の開窓270は、フィルム層214がベース層開口部232を通して組織部位202に接触するよう構成されるように、ベース層開口部232と実質的に位置合わせされ得る。より具体的には、複数の開窓270、及びフィルム層214の少なくとも一部分は、ベース層開口部232を通して組織部位にさらされ得る。いくつかの実施形態では、ベース層開口部232は、複数の開窓270の少なくとも90%を取り囲み得る。他の実施形態では、ベース層開口部232は、複数の開窓270の90%超又は未満を取り囲み得、かつ組織部位202から複数の開窓270への流体連通を可能にし得る。フィルム層214の複数の穿孔268は、上で説明したように、接着剤218が、組織部位202を実質的に取り囲む組織に接触することを可能にするように、ベース層212の隙間224と位置合わせされ得る。フィルム層214の中央部分266は、ベース層212のベース層開口部232を通して組織部位202と流体連通するように構成され得る。
【0063】
フィルム層214の複数の穿孔268は、装備されている場合、ベース層212の隙間224の形状と位置合わせされ得る、例えば、円形、正方形、星形、長円形、多角形、スリット、複合曲線、直線形状、三角形、又は他の形状などの、別の形状を有し得る。複数の穿孔268は、カット、局所的なRFエネルギーの適用、又は開口部を形成するための別の適切な技法によって形成され得る。図3に示されるように、複数の穿孔268のうちの各穿孔268は、ある直径及びある面積を有する、実質的に円形の形状であり得る。複数の穿孔268のうちの各穿孔268の面積は、複数の穿孔268のうちの各穿孔268を規定する開口空間又は開口面積を指し得る。複数の穿孔268のうちの各穿孔268の直径は、複数の穿孔268のうちの各穿孔268の面積を規定し得る。例えば、複数の穿孔268のうちの1つの穿孔268の面積は、穿孔268の直径の半分の二乗に値3.14を乗算することによって規定され得る。したがって、以下の式は、穿孔268のうちの1つの面積を規定し得る。面積=3.14×(直径/2)^2。本明細書の例示的な実施形態に記載された穿孔268の面積は、非円形形状を有し得る穿孔268に関する他の実施形態の面積(図示せず)と実質的に同様であり得る。複数の穿孔268のうちの各穿孔268の直径は、実質的に同じであり得るか、又は直径の各々は、例えばフィルム層214の複数の穿孔268の位置に依存して変化し得る。更に、複数の穿孔268のうちの各穿孔268の直径は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、複数の穿孔268のうちの各穿孔268の直径は、約1ミリメートル~約20ミリメートルであり得る。複数の穿孔268は、一様なパターンを有し得るか、又はフィルム層214にランダムに分配され得る。複数の穿孔268のサイズ及び構成は、ドレッシング材110の表皮204への接着を制御するように設計され得る。
【0064】
フィルム層214の中央部分266は、複数の開窓270を含み得る。複数の開窓270のうちの各開窓270は、フィルム層214の第1の表面260からフィルム層214の第2の表面262までフィルム層214を通るスリット又は切断部であり得る。複数の開窓270は、カット、局所的RFエネルギーの適用、ダイカット、ナイフカット、不連続なスリット加工、又はフィルム層214を通してスリットを形成するための他の適切な技法によって形成され得る。スリット254を形成するスリット又は切断部と同様に、複数の開窓270を形成するスリット又は切断部は、開窓270を形成するために材料を除去せずに開窓270の両側の材料の一部分が切り離される、又は切断されるという点で、隙間又は他の開口部と区別することができる。いくつかの実施形態では、フィルム層214は、複数の開窓270がフィルム層214に形成される前に、かつ複数のスリット254がマニホールド216に形成される前に、マニホールド216に結合され得る。いくつかの実施形態では、フィルム層214は、マニホールド216に結合され得、複数の開窓270及び複数のスリット254は、同時に形成され得る。複数の開窓270及び複数のスリット254を一緒に形成することによって、複数の開窓270及び複数のスリット254の位置合わせが確実になり得る。他の実施形態では、複数の開窓270及び複数のスリット254が、それぞれの層に別個に形成され得、次いで、フィルム層214が、マニホールド216に結合され得、その結果、複数の開窓270及び複数のスリット254が位置合わせされる。このように、複数のスリット254及び複数の開窓270は、同じ形状を有し得る。
【0065】
複数の開窓270は、ドレッシング材110が陰圧源105からの陰圧などの陰圧にさらされたときに変形するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の開窓270は、ドレッシング材110が伸長したときに、又はドレッシング材110が軸方向力又は曲げモーメントにさらされたときに変形するように構成され得る。フィルム層214の複数の開窓270は、マニホールド216の複数のスリット254と位置合わせされ得る。複数の開窓270のうちの各開窓270は、複数の開窓270の各々の反対側の縁部279によって、又はその周りに規定された周縁部を含み得る。対向する縁部279は、図2図5において線状の切断部として例示されているが、対向する縁部279は、複数のスリット254の第1の側壁256及び第2の側壁258と同様に、又はそれらと類似して、閉状態と開状態との間で移動可能又は変形可能である。複数の開窓270のうちの各開窓270の対向する縁部279は、複数のスリット254の第1の側壁256及び第2の側壁258と同一平面に位置決めされ得る。複数の開窓270のうちの各開窓270は、複数のスリット254のうちの対応するスリット254と位置合わせされた状態で変形するように構成され得る。
【0066】
フィルム層214は、液体不透過性フィルムからなり得る。いくつかの実施形態では、フィルム層214は、親水性ポリウレタン、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマー、例えば、14400g/m/24時間のMVTR(逆カップ技術)及び約30ミクロンの厚さを有するExpopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)からのINSPIRE2301材料、薄いコーティングされていないポリマードレープ、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コポリエステル、シリコーン、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープ、例えば、Arkema(France)からのポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、Expopack2327、又は他の適切な材料、のうちの1つ以上の材料を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、フィルム層214は、例えば、少なくとも約300g/m/24時間の高いMVTRを有する可撓性かつ通気性のフィルム、膜、又はシートであり得る。他の実施形態では、蒸気移動が少ない又は蒸気移動のないドレープが使用され得る。フィルム層214は、約15ミクロン(μm)~約50ミクロン(μm)の厚さを有する一連の医学的に適切なフィルムを備え得る。他の実施形態では、フィルム層214は、実質的に蒸気及び液体不透過性であり得る非通気性フィルム、膜、又はシートであり得る。いくつかの実施形態では、フィルム層214及びマニホールド216は、フィルム層214及びマニホールド216が互いに位置合わせされた状態で変形することを可能にするために、弾性材料からなり得る。いくつかの実施形態では、フィルム層214の第1の表面260は、接着剤でコーティングされ得る。外周264は、装備されている場合、接着剤を含み得、中央部分266は、接着剤を含まなくてもよい。接着剤は、上で説明した接着剤218と同様であり得る。
【0068】
図2及び図3を続けると、ドレッシング材界面278は、容器115及び療法ユニット145にドレッシング材110を流体結合するように構成され得る。療法システム100は、流体導管又は導管280を更に含み得る。ドレッシング材界面278は、実質的に、図1を参照しながら上で説明した通りであり得る。いくつかの実施形態では、ドレッシング材界面278は、導管280と組織界面120との間に流体経路を提供するためにカバー125の隙間246を覆って配置することができる、エルボコネクタであり得る。導管280は、ドレッシング材界面278に一方の端部を流体結合することができる可撓性チューブであり得る。導管280は、ドレッシング材界面278に結合された端部の反対側の端部によって、容器115又は療法ユニット145に結合され得る。
【0069】
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、任意選択で、ハンドリングバー282がドレッシング材110に含まれ得る。いくつかの実施形態では、ハンドリングバー282は、カバー125と接着剤218との間に配設され得る。他の実施形態では、ハンドリングバー282は、接着剤218とフィルム層214の間に配設され得る。更に他の実施形態では、ハンドリングバー282は、ドレッシング材110の異なる位置に配設され得る。ハンドリングバー282は、ユーザ又はヘルスケア提供者がドレッシング材110を組織部位202に配置することを可能にするように構成され得る。ハンドリングバー282は、ユーザ又はヘルスケア提供者が、ドレッシング材110を組織部位202に適用する間に接着剤218に接触することを防止し得る。いくつかの実施形態では、ハンドリングバー282は、ドレッシング材110が組織部位202に位置決めされた後にドレッシング材110から取り外されるように構成され得るか、又はドレッシング材110が組織部位202に配置されているときに剥離ライナ236とともに取り外され得る。他の実施形態では、ハンドリングバー282は、ドレッシング材110が組織部位202に位置決めされた後にハンドリングバーが組織部位202を取り囲む組織において平らになることを可能にするように、接着剤で部分的に又は完全にコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、ハンドリングバー282は、ドレッシング材110を組織部位202の所定の位置に配置するのに十分に丈夫である、ポリコート紙又は別の材料からなり得る。
【0070】
図5は、ドレッシング材110のフィルム層214及びマニホールド216の斜視図である。マニホールド216の第2の表面252は、フィルム層214の第1の表面260に結合され得る。マニホールド216は、マニホールド216の複数のスリット254がフィルム層214の複数の開窓270と位置合わせされるように、フィルム層214の中央部分266に結合され得る。フィルム層214の境界276の少なくとも一部分は、マニホールド216がフィルム層214の中央部分266の全体と接触するように、マニホールド216と接触し得る。複数のスリット254のうちの各スリット254は、長さ502を有し得る。複数の開窓270のうちの各開窓270は、複数の開窓270のうちの各開窓270の周縁部又は反対側の縁部279が、複数のスリット254のうちの対応するスリット254の第1の側壁256及び第2の側壁258と同一平面に位置決めされ得るように、長さ502に等しい長さを有し得る。したがって、複数のスリット254のうちの各スリット254は、複数の開窓270のうちの対応する開窓270と同じサイズ及び形状であり得る。
【0071】
図6A図6Dを参照すると、異なる配向で位置決めされたスリット254を含むマニホールド216の一実施形態が示されている。
【0072】
図6Aは、静止状態にあるマニホールド216の上面図である。静止状態では、マニホールドにいかなる力も作用しておらず、複数のスリット254のうちの各スリット254は、閉状態にあり得る。いくつかの実施形態では、複数のスリット254のうちの各スリット254は、第1のスリット254aと、第2のスリット254bと、第3のスリット254cと、第4のスリット254dと、第5のスリット254eと、第6のスリット254fと、第7のスリット254gと、第8のスリット254hと、第9のスリット254iと、を含み得る。第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、第5のスリット254e、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iの各々は、線状の切断部であり得、かつマニホールド216の第1の表面250と第2の表面252との間に延在し得る第1の側壁256及び第2の側壁258を含み得る。
【0073】
図6Aのマニホールド216を含むドレッシング材110の一実施形態では、フィルム層214の複数の開窓270は、マニホールド216の複数のスリット254と同じサイズ及び形状を有し得る。マニホールド216の複数のスリット254は、ドレッシング材110が陰圧源105からの陰圧などの力にさらされたときに、マニホールド216の複数のスリット254が、フィルム層214の複数の開窓270と位置合わせされた状態で変形するように構成されるように、フィルム層214の複数の開窓270と位置合わせされ得る。
【0074】
他の実施形態では、マニホールド216を通る複数のスリット254は、マニホールド216を切り通し得る、別の配向、パターン、又は長さで位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、複数のスリット254は、マニホールド216全体にわたって一様に分配され得る。他の実施形態では、複数のスリット254は、マニホールド216全体にわたってランダムに分配され得る。記載された実施形態のうちのいずれかでは、マニホールドの複数のスリット254は、マニホールド216が、ドレッシング材110に適用される力に応じて変形することを可能にし得る。
【0075】
図6Bは、力602が作用している図6Aのマニホールド216の上面図である。力602は、第1の半部604が第2の半部606から引き離され、かつ第2の半部606が第1の半部604から引き離されるように、マニホールド216の第1の半部604及びマニホールド216の第2の半部606に作用し得る。力602が作用すると、複数のスリット254のうちのいくつかが、図6Aの閉状態から開状態に変形し得る。複数のスリット254のうちの各スリット254は、複数のスリット254のうちのもう1つとは独立して変形し得る。例えば、力602に近接した複数のスリットは閉状態から開状態に変形し得るが、力602からより遠い複数のスリット254は変形し得ず、閉状態のままであり得る。
【0076】
開状態にあるときには、マニホールド216の複数のスリット254を通して規定されたスリット開口部608が存在し得る。図2図5の実施形態では、図6A図6Dに例示されるように力602などの力にさらされたときに、第1の側壁256と第2の側壁258との間に、スリット開口部608などのスリット開口部が規定され得る。図6A及び図6Bに示されるように、適用された力の方向及び性質に応じて、第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、第5のスリット254e、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iのうちの少なくとも1つの間に、スリット開口部608が形成され得る。例えば、第1の側壁256は、適用された力がマニホールド216の表面積全体にわたって実質的に均一であるか、又は閾値量よりも大きい場合には、第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、第5のスリット254e、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iの各々において、第2の側壁258から分離され得る。しかしながら、第1の側壁256は、適用された力がマニホールド216の表面積全体にわたって一様でないか、又は1つ以上の位置において閾値量よりも小さい場合には、第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、第5のスリット254e、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iうちのいくつかだけにおいて、第2の側壁258から分離され得る。例えば、第1の側壁256は、第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、及び第5のスリット254eの第2の側壁258から分離され得るが、第1の側壁256は、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iの第2の側壁258に結合され得る。第1の側壁256は、マニホールド216に作用している力602の場所に依存して、第1のスリット254a、第2のスリット254b、第3のスリット254c、第4のスリット254d、第5のスリット254e、第6のスリット254f、第7のスリット254g、第8のスリット254h、及び第9のスリット254iのうちの他の組み合わせにおいて、第2の側壁258から分離され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、力602により近い複数のスリット254は、力602からより遠い複数のスリット254よりも大きく変形し得る。例えば、力602に最も近い複数のスリット254のスリット開口部608aは、力602からより遠いスリット開口部608bよりも大きくなり得る。いくつかの実施形態では、第1の半部604への力602と第2の半部606への力602との間の距離が等しいスリット開口部608cが存在し得る。スリット開口部608cは、スリット開口部608a及びスリット開口部608bのどちらよりも大きくなり得る。
【0078】
図6Cは、力610が作用している図6Aのマニホールド216の上面図である。力610は、マニホールド216の第1のコーナー部612及びマニホールド216の第2のコーナー部614に作用し得る。第1のコーナー部612は、第2のコーナー部614の反対側にあり得、力610は、第2のコーナー部614から離れるように第1のコーナー部612を引っ張り得、一方で、第1のコーナー部612から離れるように第2のコーナー部614も引っ張り得る。力610が作用すると、複数のスリット254のうちのいくつかが、図6Aの閉状態から開状態に変形し得る。複数のスリット254のうちの各スリット254は、複数のスリット254のうちのもう1つとは独立して変形し得る。例えば、力610に近接した複数のスリットは、閉状態から開状態に変形して、スリット開口部608dを作成し得る。力610からより遠い複数のスリットは、あまり大きく変形し得ず、よって、力610からより遠い複数のスリット254のスリット開口部608eは、力610に近接した複数のスリット254のスリット開口部608aよりも小さくなる。
【0079】
図6Dは、力616が作用している図6Aのマニホールド216の上面図である。力616は、マニホールドの第1の縁部618及びマニホールド216の第2の縁部620に作用し得る。第1の縁部618は、第2の縁部620の反対側にあり得、力616は、第2の縁部620から離れるように第1の縁部618を引っ張り得、一方で、第1の縁部618から離れるように第2の縁部620も引っ張り得る。力616が作用すると、複数のスリット254のうちのいくつかが、図6Aの閉状態から開状態に変形し得る。複数のスリット254のうちの各スリット254は、複数のスリット254のうちのもう1つとは独立して変形し得る。例えば、力616に近接した複数のスリットは、閉状態から開状態に変形して、スリット開口部608fを作成し得る。力610からより遠い複数のスリットは、スリット開口部608gを作成するためにあまり大きく変形し得ない。スリット開口部608gを有する複数のスリット254は、第1の縁部618の力616及び第2の縁部620の力616から等しい距離にあり得る。スリット開口部608gを有する複数のスリット254には、第1の縁部618の力616及び第2の縁部620の力616が等しく作用し得る。第1の縁部618又は第2の縁部620の力616により近い複数のスリット254のうちの各スリット254には、第1の縁部618への力616及び第2の縁部620への力616が不均一に作用し得、これは、スリット開口部608gよりも小さいスリット開口部608fをもたらし得る。
【0080】
図7を参照すると、ドレッシング材110の別の実施形態が示されている。ドレッシング材界面278、導管280、カバー125、接着剤218、マニホールド216、ベース層212、及び剥離ライナ236は、実質的に、図2図4を参照しながら説明した通りであり得る。図7のドレッシング材110は、マニホールド216とベース層212との間に位置決めされたフィルム層702を含み得る。フィルム層702は、上で説明したフィルム層214の中央部分266と同様であり得る。いくつかの実施形態では、ドレッシング材110は、図3を参照しながら上で説明したハンドリングバー282と同様のハンドリングバーを更に含み得る。
【0081】
フィルム層702は、マニホールド216及びベース層開口部232と実質的に同じ形状であり得る。フィルム層702は、実質的に、上で説明したように、ベース層開口部を通して組織部位202に接触し得る。フィルム層702は、第1の表面704と、第2の表面706と、複数の開窓708と、を含み得る。フィルム層702の第1の表面704は、マニホールド216の第2の表面252に結合するように構成され得る。複数の開窓708のうちの各開窓708は、フィルム層702の第1の表面704からフィルム層702の第2の表面706までフィルム層702を通るスリット又は切断部であり得る。フィルム層702の複数の開窓708は、マニホールド216の複数のスリット254と位置合わせされ得る。複数の開窓708は、ドレッシング材110が陰圧源105からの曲げモーメント又は陰圧などの力にさらされたときに、マニホールド216の複数のスリット254と協調して変形するように構成され得る。
【0082】
マニホールド216及びフィルム層702は、接着剤218から隔離され得、かつカバーの中央部分240及びベース層212の中央部分222と実質的に位置合わせされ得る。接着剤218は、フィルム層702と接触することなく、ベース層212の隙間224を通して、組織部位202取り囲む組織にさらされ得る。
【0083】
本明細書にはまた、組織部位202などの組織部位を治療するための方法も記載されている。方法は、ドレッシング材110を組織部位202に適用することと、陰圧源105をドレッシング材110に流体結合することと、陰圧源105を作動させて、ドレッシング材110に陰圧を適用することと、を含み得る。ドレッシング材110は、複数のスリット254を含み得るマニホールド216などの発泡体を含み得る。ドレッシング材110は、フィルム層214を更に含み得る。フィルム層214は、発泡体と組織部位202との間に位置決めされ得る。フィルム層214は、発泡体の複数のスリット254と位置合わせされるように構成された複数の開窓270を含み得る。発泡体の複数のスリット254は、ドレッシング材110が特定の組織部位の形状の周りに巻き付けられるか、その形状内に押し込まれるか、又は別様にその形状に適合される場合に、陰圧がドレッシング材110に適用されたとき、及び/又は曲げモーメントなどの別の力にさらされたときに、フィルム層214の複数の開窓270と協調して変形し得る。
【0084】
本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法は、有意な利点を提供し得る。例えば、複数のスリット254を有するマニホールド216は、組織がドレッシング材110内へ内方成長するリスクを低減し得る。従来の隙間又は開口部とは対照的に、スリット254の構成は、陰圧下にある間に、マニホールド216の一部分がフィルム層214の開窓270を通して吸引されて、組織の内方成長が起こり得る組織部位と直接接触するのを防止する。更に、マニホールド216の複数のスリット254は、組織部位202からの濃い滲出液の除去をサポートするために、フィルム層214の複数の開窓270と位置合わせされ得る。更に、マニホールド216の複数のスリット254は、陰圧源105から組織部位202への陰圧のより一様な分布を作成し得、かつ組織部位202の創傷床のバイオフィルムを破断することによって創傷治癒をサポートし得る。
【0085】
いくつかの例示的な実施形態に示してきたが、当業者は、本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲の範囲内にある様々な変更及び修正が可能であることを認識するであろう。更に、「又は」などの用語を使用する様々な代替案の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とせず、不定冠詞「a」又は「an」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の事例に限定しない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的で、様々な構成で組み合わせられ得るか、又は排除され得る。例えば、いくつかの構成では、ドレッシング材110、容器115、又はその両方は、製造又は販売のために、排除され得るか、又は構成要素から分離され得る。他の例示的な構成では、コントローラ130はまた、他の構成要素とは独立して製造され得るか、構成され得るか、組み立てられ得るか、又は販売され得る。
【0086】
添付の特許請求の範囲は、上記の主題の新規かつ発明的な態様を記載しているが、特許請求の範囲はまた、詳細に具体的に記載されていない追加の主題も包含し得る。例えば、特定の特徴、要素、又は態様は、当業者に既に知られているものから新規かつ発明的な特徴を区別するために必要でない場合、特許請求の範囲から省略され得る。いくつかの実施形態の文脈に記載された特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、省略され得、組み合わされ得、又は同じ、均等な、若しくは同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】