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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20241115BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536519
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2022018825
(87)【国際公開番号】W WO2023121021
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182729
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】ソン,インソン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ジチャン
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ソク
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BA08
5E070CB12
5E070CB17
(57)【要約】
本発明によるインダクタは、内足及び外足を備えるコア部と、内足を中心に螺旋形に配置されるコイル、及びコイルが配置されたコイル基板を含むコイル部と、を含み、コイルは、内足と外足との間で、内足から前記外足に近付くほど増加する水平方向の幅を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内足及び外足を備えるコア部と、
前記内足を中心に螺旋形に配置されるコイル、及び前記コイルが配置されたコイル基板を含むコイル部と、を含み、
前記コイルは、前記内足と前記外足との間で、前記内足から前記外足に近付くほど増加する水平方向の幅を有する、インダクタ。
【請求項2】
前記コイルは、
前記水平方向の一つである第1方向に沿って延びて前記内足と前記外足との間を通り、前記コア部と垂直方向に重畳する複数の重畳コイルパターンと、
前記水平方向の他の一つで、前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記コア部と前記垂直方向に重畳しない複数の非重畳コイルパターンと、を含み、
前記複数の非コイル重畳パターンは、前記第1方向から前記第2方向に折り曲げられる折曲部を含み、
前記折曲部は、前記複数の非重畳コイルパターンの幅が変更される変幅部を含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記コア部は、垂直方向に互いに対向する上側コア部及び下側コア部を含み、
前記上側コア部は、前記下側コア部に向かって突出し、前記第2方向に互いに離隔している上側内足レッグ部及び上側外足レッグ部を含み、
前記下側コア部は、前記上側内足レッグ部及び前記上側外足レッグ部に向かってそれぞれ突出して対向し、前記第2方向に互いに離隔している下側内足レッグ部及び下側外足レッグ部を含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記上側外足レッグ部は、前記上側コア部の縁部に配置される第1上側外足レッグ部及び第2上側外足レッグ部を含み、
前記上側内足レッグ部は、前記第1上側外足レッグ部と前記第2上側外足レッグ部との間の中央に配置された上部中足レッグ部を含み、
前記下側外足レッグ部は、前記下側コア部の縁部に配置され、前記第1上側外足レッグ部及び前記第2上側外足レッグ部とそれぞれ前記垂直方向に対向する第1下側外足レッグ部及び第2下側外足レッグ部を含み、
前記下側内足レッグ部は、前記第1下側外足レッグ部と前記第2下側外足レッグ部との間の中央に配置され、前記上部中足レッグ部と前記垂直方向に対向する下部中足レッグ部を含む、請求項3に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記上側内足レッグ部と前記下側内足レッグ部との間に形成された第1ギャップ又は前記上側外足レッグ部と前記下側外足レッグ部との間に形成された第2ギャップのうちで少なくとも一つを含む、請求項4に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記コイルは、
前記コイル基板の上面に配置され、前記上側内足レッグ部を中心に螺旋形に配置される上部コイルと、
前記コイル基板の下面に配置され、前記下側内足レッグ部を中心に螺旋形に配置される下部コイルと、を含む、請求項3に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記コイル基板は、厚さ方向に貫通されたビアホールに配置されたビアパターンを含み、
前記上部コイルと前記下部コイルとは前記ビアパターンを介して連結される、請求項6に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記複数の重畳コイルパターンのそれぞれの前記幅は、前記内足から前記外足に近付くほど線形的に増加する、請求項2に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記複数の重畳コイルパターンのそれぞれの前記幅は、前記内足から前記外足に近付くほど非線形的に増加する、請求項2に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記内足から第1地点まで前記複数の重畳コイルパターンのターン数は前記複数の重畳コイルパターンの総ターン数の半分を超え、
前記内足から前記第1地点までの距離は、前記内足と前記外足との間に位置する前記複数の重畳コイルパターンの幅の総和の半分である、請求項2に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品のスリム化の傾向に伴って、インダクタを構成するコイルがプリント基板(PCB)の形態を有し、磁性コアの中足を共有する形態として普及されている。
【0003】
ここで、インダクタのコイルはプリント基板の片面又は両面に複数のターンを成す導電性パターンで配置され、導電性パターンは磁性コアの中足を螺旋形に取り囲む構造を有する。
【0004】
DCバイアスはインダクタの主要性能を評価する項目であり、DCバイアスを増加させるためには、インダクタンスを低めるか、又は磁性コアの上/下部コアを離隔させるギャップ(Gap)量を増加させなければならない。
【0005】
インダクタンスはギャップ(Gap)量が増加するほど低くなるので、インダクタのDCバイアスを増加させるためには、高インダクタンスを有する構造においてギャップ(Gap)量を増やさなければならない。
【0006】
高インダクタンスを有する構造を形成するためには、導電性パターンのターン数を増加させるか、又は磁性コアの中足の面積を増加させなければならない。しかし、これはインダクタの面積を増加させるので、これに対する改善が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施例は、同じ面積で増加したインダクタンスを有するインダクタを提供することである。
【0008】
他の実施例は、抵抗が大きい最外郭コイルパターンの幅を制御して、全体的に減少した抵抗を有することによって発熱を最少化させることができるインダクタを提供することである。
【0009】
実施例は以上で言及した実施例に制限されず、言及しなかった他の実施例は以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例によるインダクタは、内足及び外足を備えるコア部と、前記内足を中心に螺旋形に配置されるコイル、及び前記コイルが配置されたコイル基板を含むコイル部と、を含み、前記コイルは、前記内足と前記外足との間で、前記内足から前記外足に近付くほど増加する水平方向の幅を有する。
【0011】
前記コイルは、前記水平方向の一つである第1方向に沿って延びて前記内足と前記外足との間を通り、前記コア部と垂直方向に重畳する複数の重畳コイルパターンと、前記水平方向の他の一つで、前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記コア部と前記垂直方向に重畳しない複数の非重畳コイルパターンと、を含み、前記複数の非コイル重畳パターンは、前記第1方向から前記第2方向に折り曲げられる折曲部を含み、前記折曲部は、前記複数の非重畳コイルパターンの幅が変更される変幅部を含むことができる。
【0012】
前記複数の重畳コイルパターンのそれぞれが前記水平方向に増加する幅の範囲は5%~15%であり得る。
【0013】
前記コア部は、垂直方向に互いに対向する上側コア部及び下側コア部を含み、前記上側コア部は、前記下側コア部に向かって突出し、前記第2方向に互いに離隔している上側内足レッグ部及び上側外足レッグ部を含み、前記下側コア部は、前記上側内足レッグ部及び前記上側外足レッグ部に向かってそれぞれ突出して対向し、前記第2方向に互いに離隔している下側内足レッグ部及び下側外足レッグ部を含むことができる。
【0014】
前記上側外足レッグ部は、前記上側コア部の縁部に配置される第1上側外足レッグ部及び第2上側外足レッグ部を含み、前記上側内足レッグ部は、前記第1上側外足レッグ部と前記第2上側外足レッグ部との間の中央に配置された上部中足レッグ部を含み、前記下側外足レッグ部は、前記下側コア部の縁部に配置され、前記第1上側外足レッグ部及び前記第2上側外足レッグ部とそれぞれ前記垂直方向に対向する第1下側外足レッグ部及び第2下側外足レッグ部を含み、前記下側内足レッグ部は、前記第1下側外足レッグ部と前記第2下側外足レッグ部との間の中央に配置され、前記上部中足レッグ部と前記垂直方向に対向する下部中足レッグ部を含むことができる。
【0015】
前記上側内足レッグ部と前記下側内足レッグ部との間に形成された第1ギャップ又は前記上側外足レッグ部と前記下側外足レッグ部との間に形成された第2ギャップのうちで少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
前記第1ギャップ又は第2ギャップのうちの少なくとも一つの前記垂直方向への距離は10μm~700mmであり得る。
【0017】
前記コイルは、前記コイル基板の上面に配置され、前記上側内足レッグ部を中心に螺旋形に配置される上部コイルと、前記コイル基板の下面に配置され、前記下側内足レッグ部を中心に螺旋形に配置される下部コイルと、を含むことができる。
【0018】
前記コイル基板は、厚さ方向に貫通されたビアホールに配置されたビアパターンを含み、前記上部コイルと前記下部コイルとは前記ビアパターンを介して連結され得る。
【0019】
ここで、前記ビアホールは複数が配置され、前記外足に隣接した領域よりも前記内足に隣接した領域に相対的に多い前記ビアホールが配置され得る。
【0020】
前記複数の重畳コイルパターンのそれぞれの前記幅は、前記内足から前記外足に近付くほど線形的に増加することができる。
【0021】
前記複数の重畳コイルパターンのそれぞれの前記幅は、前記内足から前記外足に近付くほど非線形的に増加することができる。
【0022】
前記内足から第1地点まで前記複数の重畳コイルパターンのターン数は前記複数の重畳コイルパターンの総ターン数の半分を超え、前記内足から前記第1地点までの距離は、前記内足と前記外足との間に位置する前記複数の重畳コイルパターンの幅の総和の半分であり得る。
【発明の効果】
【0023】
実施例によるインダクタは、所定の制限された空間でコイルパターンの幅を制御してコイルパターンのターン数を増加させることで、増加したインダクタンスを有することによってDCバイアス性能を改善することができる効果がある。
【0024】
また、実施例によるインダクタは、抵抗が大きい最外郭コイルパターンの幅を制御して、全体的に低下した抵抗を有することによって発熱を最小化することができる。
【0025】
本発明で得られる効果は以上で言及した効果に限定されず、言及しなかった他の効果は以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施例によるインダクタの結合斜視図である。
【0027】
図2】一実施例によるインダクタの分解斜視図である。
【0028】
図3】一実施例によるコイル部の平面図である。
【0029】
図4図3の「A」領域の拡大平面図である。
【0030】
図5】一実施例によるコイルパターンの幅増加量を示すグラフである。
【0031】
図6】他の実施例によるインダクタのコイルパターンを示す平面図である。
【0032】
図7】さらに他の実施例によるコイル部を示す平面図及び断面図である。
【0033】
図8】実施例によるインダクタの断面図である。
【0034】
図9】実施例によるインダクタのインダクタンスに対するDCバイアスの変化量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、ここでは特定の実施例を図面に例示しながら説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。
【0036】
「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使うことができるが、前記構成要素は前記用語に限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使う。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で、第2構成要素は第1構成要素と言え、同様に第1構成要素も第2構成要素と言える。及び/又はという用語は、複数の関連する記載の項目の組合せ又は複数の関連する記載の項目の中でいずれか項目を含む。
【0037】
ある構成要素が他の構成要素に「連結される」又は「接続される」と言及したときには、その他の構成要素に直接的に連結されるか又は接続されることもできるが、中間にさらに他の構成要素が存在することもできると理解しなければならないであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているか又は「直接接続」されていると言及するときは、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと理解されなければならないであろう。
【0038】
実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターン又は構造が基板、各層(膜)、領域、パッド又はパターンの「上(on)」に又は「下(under)」に形成されるという記載は、直接(directly)形成されるか又は他の層を介在して形成されるものを全部含む。各層の上/上方又は下/下方に対する基準は図面を基準に説明する。また、図面で、各層(膜)、領域、パターン又は構造物の厚さや大きさは説明の明確性及び便宜性のために変形され得るので、実際の大きさをそのまま反映するものではない。
【0039】
本出願で使用する用語は単に特定の実施例を説明するために使用するものであり、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明白に他に指示しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0040】
特に他に定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使う全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているもののような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならなく、本出願で明白に定義しない限り、理想的に又は過度に形式的な意味と解釈されない。
【0041】
以下、添付図面を参照して実施例を詳細に説明するが、図面符号にかかわらず、同一又は対応の構成要素は同じ参照番号を付与し、それについて重複説明は省略する。
【0042】
また、いくつかの実施例は、デカルト座標系(X軸、Y軸、Z軸)を用いて説明し、デカルト座標系で、各図に示すX軸と、Y軸と、Z軸とは互いに直交するが、実施例はこれに限定されない。X軸と、Y軸と、Z軸とは互いに交差することもある。以下で、説明の便宜上、Z軸方を向垂直方向と言い、X軸方向及びY軸方向をそれぞれ水平方向と言う。また、X軸方向を第1方向と言い、Y軸方向を第2方向と言う。
【0043】
以下、添付図面を参照して実施例によるインダクタを詳細に説明する。実施例によるインダクタは一例に過ぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。実施例によるインダクタはEMIフィルターの一構成要素になることもでき、トランスフォーマーの具現も可能である。
【0044】
図1は一実施例によるインダクタの結合斜視図であり、図2は一実施例によるインダクタの分解斜視図である。
【0045】
図1及び図2を一緒に参照すると、一実施例によるインダクタ100は、コア部110と、コイル部150と、を含む。以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0046】
コア部110は磁性物質でなることができ、磁気回路の特性を有して磁束通路の役割を果たすことができる。コア部110は、例えば、鉄又はフェライトを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
コア部110は、内足ILと、外足OLと、を備える。外足OLは、一側に配置される第1外足部OL1と、第2方向に他側に配置される第2外足部OL2と、を含むことができる。
【0048】
内足ILは第1外足部OL1と第2外足部OL2との間に配置される。すなわち、内足ILは第1及び第2外足部OL1、OL2によって形成された範囲内に形成されたものを言う。内足ILは、第2方向に第1及び第2外足部OL1、OL2の間の中央に配置され、中央から離隔して配置されることもできる。特に、第1及び第2外足部OL1、OL2の間の中央に配置される内足ILを「中足」と言える。本実施例では、内足ILが第1及び第2外足部OL1、OL2の間の中央に配置された中足を例として示して説明する。
【0049】
コア部110は、上側に位置する上側コア部112と、下側に位置する下側コア部117と、を含むことができる。上側コア部112と下側コア部117とは垂直方向に互いに対向することができる。上側コア部112と下側コア部117とは互いに上下に対称形状であるか又は非対称形状であり、上側コア部112及び下側コア部117のうちのいずれか一つが除去された形状であり得る。以下の記載では、説明の便宜のために、上下で対称形状のものを示して説明する。
【0050】
コア部110に内足IL及び外足OLを形成するために、上側コア部112及び上側コア部112の下側に結合される下側コア部117は複数のレッグ(Leg)を備えることができる。
【0051】
具体的には、上側コア部112は、平板状の上側ボディー部114と、上側ボディー部114から下側コア部117に向かって突出した上側レッグ部UPLと、を含むことができる。
【0052】
上側レッグ部UPLは、内足ILを成すための上側内足レッグ部UILと、第1及び第2外足部OL1、OL2をそれぞれ形成するための第1上側外足レッグ部UOL1及び第2上側外足レッグ部UOL2と、を含むことができる。第1上側外足レッグ部UOL1及び第2上側外足レッグ部UOL2は下側コア部117に向かって突出し、第2方向に互いに離隔して配置され得る。
【0053】
下側コア部117は、平板状の下側ボディー部119と、下側ボディー部119から上側コア部112に向かって突出した下側レッグ部LPLと、を含むことができる。
【0054】
下側レッグ部LPLは、内足ILを成すための下側内足レッグ部LILと、第1及び第2外足部OL1、OL2をそれぞれ形成するための第1下側外足レッグ部LOL1及び第2下側外足レッグ部LOL2と、を含むことができる。第1下側外足レッグ部LOL1及び第2下側外足レッグ部LOL2は第1上側外足レッグ部UOL1及び第2上側外足レッグ部UOL2に向かってそれぞれ突出して対向し、第2方向に互いに離隔して配置され得る。
【0055】
前述した下側レッグ部UPL及び上側レッグ部UPLを互いに対向するように配置することによってインダクタ100の内足IL及び外足OLを形成することができる。
【0056】
具体的な例として、内足ILは、下側内足レッグ部LILと上側内足レッグ部UILとが互いに対向するように配置することによって形成することができる。そして、外足OLのうちで第1外足部OL1は第1上側外足レッグ部UOL1と第1下側外足レッグ部LOL1とが互いに対向するように配置することによって形成することができる。第2外足部OL2は、第2上側外足レッグ部UOL2と第2下側外足レッグ部LOL2とが互いに対向するように配置することによって形成することができる。
【0057】
このように、本発明の実施例によるインダクタ100は、内足IL及び外足OLのレッグ部が対を成して互いに対向して配置され得る。
【0058】
互いに対向する外足対や中足対のうちの少なくとも一部の間には垂直方向に所定の距離のギャップ(gap)Gが形成され得る。例えば、ギャップGの垂直方向の距離は10μm~700mmであり得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。一中足対と二外足対のそれぞれのギャップGの大きさを調節するによってコア部110のインダクタンスを制御することができ、ギャップの個数によって発熱を制御することができる。
【0059】
コイル部150は上側コア部112と下側コア部117との間に配置され得る。コア部110はコイル部150の一部を取り囲むように配置される。
【0060】
コイル部150は、コイル基板152と、コイル基板152上に配置されるコイル155と、を含むことができる。そして、コイル部150は、コイル155と一体型に配置され、コイル基板152の一側に配置される引出部WPをさらに含むことができる。引出部WPは後で詳細に説明する。本実施例では、容易な説明のために、インダクタが一つのコイル基板152に一つのコイル155が配置された一つのコイル部を含むものとして示して説明するが、これに限定されるものではなく、複数のコイル基板のそれぞれにコイルが配置された複数のコイル部を含むこともできる。
【0061】
コイル基板152は、内足ILに対応する位置に形成された貫通ホールTHを含むことができる。
【0062】
コイル155は貫通ホールTHを中心に螺旋形に配置され得る。コイル155は貫通ホールTHを中心に配置されることにより、コイル155は内足ILを中心に螺旋形に取り囲むように配置される。
【0063】
コイル155は内足ILと外足OLとの間に配置され、内足ILから外足OLに近付くほど増加する水平方向の幅を有する。
【0064】
コイル155は、複数の重畳コイルパターンCPと、複数の非重畳コイルパターンXCPと、を含む。一つのコイル155を成す導線は複数のセグメントに区分することができ、重畳コイルパターンCP及び非重畳コイルパターンXCPのそれぞれにおいて、コイルパターンとは複数のセグメントのそれぞれを意味し得る。
【0065】
複数の重畳コイルパターンCPとは、複数のコイルパターンのうちで水平方向の一つである第1方向に沿って延びて内足ILと外足OLとの間を通り、コア部110と垂直方向に重畳するように配置されたコイルパターンを含むことができる。ここで、前記第1方向は図1及び2に示すX軸方向であり得る。したがって、複数の重畳コイルパターンCPのそれぞれはY軸方向に互いに重畳して又は互いに離隔して配置され得る。
【0066】
複数の非重畳コイルパターンXCPとは、複数のコイルパターンのうちで水平方向の他の方向で、前記第1方向と交差する第2方向に延び、コア部110と垂直方向に重畳しないように配置されたコイルパターンを含むことができる。ここで、前記第2方向は図1及び2に示すY軸方向であり得る。したがって、複数の非重畳コイルパターンXCPのそれぞれはX軸方向に互いに重畳して又は離隔して配置され得る。
【0067】
また、複数の非重畳コイルパターンXCPは、複数の重畳コイルパターンCPから第2方向に折り曲げられる折曲部BAを含むことができる。コイル155は4個の折曲部BAを備えた四角形状に配置され得る。本実施例では、4個の折曲部BAを備えた四角形のコイル155を示すが、これに限定されるものではなく、円形、楕円形などの形状にも配置可能である。
【0068】
4個の折曲部BAのうちのいずれか一つは、非重畳コイルパターンXCPの幅が変更される変幅部VAを含むことができる。変幅部VAで変更された幅を有する非重畳コイルパターンXCPは重畳コイルパターンCPとしてさらに延びるので、一回のターンを成すターンパータンは、非重畳コイルパターンXCPと重畳コイルパターンCPとが交互に配置される。よって、一回のターンを成すターンパータンで、重畳コイルパターンCPの個数と非重畳コイルパターンXCPの個数とは同一であり得る。
【0069】
非重畳コイルパターンXCP及び重畳コイルパターンCPを図3及び図4を参照してより詳細に説明する。
【0070】
図3は一実施例によるコイル部の平面図であり、図4図3の「A」領域の拡大平面図である。
【0071】
図1図4を参照すると、コイル部150は、コイル155が所定のターン数で配置されるターン部TPと、コイル155の一部がターン部TPから延びる引出部WPと、を含むことができる。
【0072】
ターン部TPは、コイル155がコア部110と垂直方向に重畳する重畳領域OVAと、コイル155がコア部110と垂直方向に重畳しない非重畳領域OAと、を含む。
【0073】
ターン部TP上に配置されたコイル155は、重畳領域OVA上に配置され、幅の大きさが互いに異なる重畳コイルパターンCPと、非重畳領域OA上に配置される非重畳コイルパターンXCPと、を含むことができる。
【0074】
重畳コイルパターンCPは、コア部110と垂直方向に重畳する重畳領域OVA上で、すなわち、内足ILと外足OLとの間で第1方向(X軸方向)に延び、第2方向(Y軸方向)に異なる幅を有し、第2方向に離隔して重畳する複数のパターンで構成され得る。
【0075】
例えば、複数の重畳コイルパターンCPは、内足ILに隣接したコイルパターンと、外足OLに隣接したコイルパターンと、を含むことができる。
【0076】
まず、内足ILに隣接した重畳コイルパターンとして、重畳コイルパターンCPは、貫通ホールTHを中心に、すなわち、貫通ホールTHに挿入される内足ILに最も隣接して配置され、第1幅a1に形成される第1重畳コイルパターンCP1と、第1重畳コイルパターンCP1からY軸方向に所定の間隔で離隔し、第1幅a1よりも厚い第2幅a2に形成される第2重畳コイルパターンCP2と、第2重畳コイルパターンCP2からY軸方向に所定の間隔で離隔し、第2幅a2よりも厚い第3幅a3に形成される第3重畳コイルパターンCP3と、第3重畳コイルパターンCP3からY軸方向に所定の間隔で離隔し、第3幅a3よりも厚い第4幅a4に形成される第4重畳コイルパターンCP4と、を備えることができる。
【0077】
次に、外足OLに隣接した重畳コイルパターンとして、重畳コイルパターンCPは、外足OLに最も隣接し、第N幅anで配置される第N重畳コイルパターンCPnを含むことができる。したがって、コイル部150において重畳領域OVA上に配置される重畳コイルパターンCPは、Y軸方向に貫通ホールTHの上下にそれぞれ配置される第1~第N重畳コイルパターンCP1~CPnを含むことができる。
【0078】
複数の非重畳コイルパターンXCPは、コア部110と垂直方向に重畳しない非重畳領域OA上で第1方向(X軸方向)に重畳領域OVAを通過した重畳コイルパターンCPから第1方向に延びる一部を含む。そして、非重畳コイルパターンXCPは、第1方向(X軸方向)から第2方向(Y軸方向)に折り曲げられて延び、第1方向(X軸方向)に異なる幅を有し、第1方向に離隔して重畳する複数のパターンで構成され得る。
【0079】
例えば、非重畳コイルパターンXCPは、貫通ホールTHを中心に、すなわち、貫通ホールTHに挿入される内足ILに最も隣接して配置され、第1幅a1に形成される第1非重畳コイルパターンXCP1と、第1非重畳コイルパターンXCP1からX軸方向に所定の間隔で離隔し、第1幅a1よりも厚い第2幅a2に形成される第2非重畳コイルパターンXCP2と、第2非重畳コイルパターンXCP2からX軸方向に所定の間隔で離隔し、第2幅a2よりも厚い第3幅a3に形成される第3非重畳コイルパターンXCP3と、第3非重畳コイルパターンXCP3からX軸方向に所定の間隔で離隔し、第3幅a3よりも厚い第4幅a4に形成される第4非重畳コイルパターンXCP4と、を備え、内足ILからX軸方向に最も遠く配置され、第N幅anに形成される第N非重畳コイルパターンXCPnと、を含むことができる。
【0080】
したがって、コイル部150において非重畳領域OA上に配置される非重畳コイルパターンXCPは、X軸方向に貫通ホールTHの左右側のそれぞれに配置された第1~第N非重畳コイルパターンXCP1~XCPnを含むことができる。
【0081】
ここで、ボディー部114、119の第1方向に互いに反対側に位置する両側端部が貫通ホールTHの第1方向に互いに反対側に位置する端部と垂直方向に重畳するように配置された状態で非重畳領域OAを定義したが、これに限定されるものではない。
【0082】
他の実施例によれば、ボディー部114、119の第1方向に互いに反対側に位置する両側端部が第1幅a1に形成される第1方向に互いに反対側に位置する第1非重畳コイルパターンXCP1と垂直方向に重畳するように配置された状態で非重畳領域を定義することもできる。この場合、前述した非重畳コイルパターンXCPのうち第2幅a2に形成される第2非重畳コイルパターンXCP2が内足ILに最も隣接した非重畳コイルパターンXCPになり得る。
【0083】
一方、複数の非重畳コイルパターンXCPは、第1方向から第2方向に折り曲げられる折曲部BAを含むことができる。コイル155は4個の折曲部BAを備えた四角形に配置され得る。本実施例では4個の折曲部BAを備えた四角形のコイル155を示すが、これに限定されるものではない。
【0084】
4個の折曲部BAのうちのいずれか一つは非重畳コイルパターンXCPの幅を変更させる変幅部VAであり得る。変幅部VAは互いに異なる幅を有する部分であり、重畳コイルパターンCPと連結された一側の幅から一側の反対側の他側の幅に幅が変更される地点である。
【0085】
ここで、変幅部VAから始まって同じ幅を有する非重畳コイルパターンXCP及び重畳コイルパターンCPが内足ILを一回ターンするパターンを通称して「ターンパータンTPP」と定義する。
【0086】
図面で、複数のターンパータンTPPxのそれぞれは、貫通ホールTHを通って第2方向に平行な仮想の第1基準線CL1を基準に第1方向に互いに対向する一対の非重畳コイルパターンXCPxと、貫通ホールTHを通って第1方向に平行な第2基準線CL2を基準に第2方向に互いに対向する一対の重畳コイルパターンCPxと、を含むものとして表示する。ここで、xは正の整数であり、1=x=Nである。
【0087】
このように、ターン部TPは、非重畳領域OA上に配置される複数の非重畳コイルパターンXCPと、重畳領域OVA上に配置される複数の重畳コイルパターンCPと、からなり得る。ターン部TPは、変曲部VAを中心に幅が互いに異なるように配置されるN個のターンパータンTPPを含むことができる。
【0088】
例えば、複数のターンパータンTPPのうちで第1ターンパータンTPP1は、重畳領域OVA上に配置された始点Sから非重畳領域OA上に配置される第1変幅部VA1である終点まで第1幅a1に形成され得る。
【0089】
複数のターンパータンTPPのうちで第2ターンパータンTPP2は、第1ターンパータンTPP1と一体型に形成され得る。第2ターンパータンTPP2は、第1幅a1よりも厚い幅を有する第2幅a2に形成され得る。第2幅a2に形成された第2ターンパータンTPP2は第1変幅部VA1である始点から重畳領域OVAの第2重畳コイルパターンCP2を経て非重畳領域OAの第2非重畳コイルパターンXCP2まで延びながら第2変幅部VA2である終点まで配置され得る。
【0090】
また、第3ターンパータンTPP3は第2ターンパータンTPP2と一体型に形成され、第2幅a2よりも厚い幅を有する第3幅a3に形成され得る。第3幅a3に形成された第3ターンパータンTPP3は、第2変幅部VA2である始点から重畳領域OVAの第3重畳コイルパターンCP3を経て非重畳領域OAの第3非重畳コイルパターンXCP3まで延びて第3変幅部VA3である終点まで配置され得る。
【0091】
そして、第4ターンパータンTPP4から第N-1ターンパータンTPPn-1は前述したものと同様に配置され得る。
【0092】
外足OLに最も隣接した第NターンパータンTPPnは第N-1幅an-1よりも厚い幅を有する第N幅anに形成され、第N-1変幅部VAn-1である始点から引出部WPまで配置され得る。このように、ターンパータンTPPは、ターン部TP上に配置された第1~NターンパータンTPP1~TPPnを含むことができる。
【0093】
ここで、一実施例によるインダクタ100は、折曲部BAの一部を変幅部VAに形成することにより、ターンパータンTPPの幅が変更されるにもかかわらず、ターンパータンTPP1~TPPnの間の離隔間隔dを一定に維持することができる。
【0094】
一方、引出部WPは第NターンパータンTPPnから延び、引出パターンWPPが配置される領域である。
【0095】
引出パターンWPPは、第NターンパータンTPPnと一体型に形成され、引出部WPに延びる引出線WPLと、引出線WPLの端部に配置される引出パッドWPDと、を含む。
【0096】
引出線WPLは第N幅anで配置される第NターンパータンTPPnから延びるので、第NターンパータンTPPnと同じ幅に形成され得る。しかし、これに限定されるものではなく、場合によっては、第NターンパータンTPPnと異なる幅に形成され得る。そして、引出パッドWPDは引出線WPLよりも厚い幅に形成され得る。
【0097】
このように、一実施例によるインダクタ100は、制限された空間で内足ILから外足OLに行くほど漸進的に重畳コイルパターンCPの幅を増加させてインダクタ100の重畳コイルパターンCPのターン数を増加させることができる。このように、ターン数が増加する場合、インダクタンスが増加してDCバイアス性能を改善することができ、抵抗が最大の最外郭の第NコイルパターンCPnの幅を増加させることにより、インダクタ100の全体抵抗を低下させて発熱を最少化することができる。
【0098】
図5は実施例によるコイルパターンの幅増加量を示すグラフである。
【0099】
図5の(a)は重畳コイルパターンCPの幅が線形的に増加することを示すグラフであり、図5の(b)は重畳コイルパターンCPの幅が非線形的に増加することを示すグラフである。ここで、重畳コイルパターンCPの幅はターンパータンTPPの幅によって決定されるので、ターンパータンTPPを中心に説明する。
【0100】
ここで、グラフに表示されたQ1は内足ILの中心部を示し、Q2は外足OLの中心部を示す。すなわち、Q1はY軸上での内足ILの中心の位置を示し、Q2はY軸上での外足OLの中心の位置を示す。ここで、外足OLとは第1外足部OL1又は第2外足部OL2を示す。言い換えれば、内足ILと第1外足部OL1又は内足ILと第2外足部OL2に配置される重畳コイルパターンCPは互いに対称に配置されるので、容易な理解のために、いずれか一方を説明する。
【0101】
図5の(a)の場合は前述した図4の場合を示すグラフである。前述したように、内足ILの中心から外足OLに近づくほど漸進的に重畳コイルパターンCPの幅a及び非重畳コイルパターンXCPの幅aが線形的に増加するようにターンパータンTPPの幅を配置することができる。具体的には、変幅部VAを中心にそれぞれのターンごとに重畳コイルパターンCPの幅及び非重畳コイルパターンXCPの幅が線形的に増加するようにターンパータンTPPの幅を形成させることができる。
【0102】
図5の(b)の場合は、内足ILから外足OLに近づくほどターンパータンTPPの幅aが増加するが、選択的には、ターンパータンTPPの幅aを一部区間で同一に配置し、一定の区間を過ぎた後にはまたターンパータンTPPの幅aが増加するように配置することができる。すなわち、変幅部VAを中心にそれぞれのターンごとに重畳コイルパターンCPの幅及び非重畳コイルパターンXCPの幅が非線形的に増加するようにターンパータンTPPの幅を形成することができる。
【0103】
前述した図5の(a)及び図5の(b)で、ターンパータンTPPは隣接したターンパータンTPPに対して幅が5%~15%の増加率を有するように配置することができる。したがって、複数の重畳コイルパターンCPのそれぞれが水平方向(Y軸方向)に増加する幅の範囲は5%~15%であり得る。
【0104】
前述した図5の(a)の場合によってターンパータンTPP幅の増加率が10%に相当する場合を例として説明すると、第1ターンパータンTPP1の幅a1が1.5mmの場合、第1変幅部VA1からは第2ターンパータンTPP2の幅a2はY軸方向に幅が増加した1.65mmの幅に配置され得る。したがって、第2ターンパータンTPP2のうちで重畳領域OVA上に配置される第2重畳コイルパターンCP2の幅a2は1.65mmの幅に配置され得る。
【0105】
そして、第3ターンパータンTPP3は、第2変幅部VA2からY軸方向に幅が増加した1.815mmの幅に配置され得る。したがって、第3ターンパータンTPP3のうちで重畳領域OVA上に配置される第3重畳コイルパターンCP3の幅a3は1.815mmの幅に配置され得る。
【0106】
第4ターンパータンTPP4は、第3変幅部VA3から1.9965mm、およそ2mmの幅に配置され得る。したがって、第4ターンパータンTPP4のうちで重畳領域OVA上に配置される第4コイルパターンCP4の幅a4は2mmの幅に配置され得る。
【0107】
前述した図5の(b)の場合によってコイルパターンの幅の増加率が10%に相当する場合を例として説明すると、一定の区間で同じ幅を有するターンパータンTPPが配置され、ターンパータンTPPをまた増加させて配置する場合、前述したように、以前のターンパータンTPPの幅aから10%を増加させたターンパータンTPPを配置することができる。
【0108】
したがって、ターンパータンTPPのうちで重畳領域OVA上に配置される重畳コイルパターンCPは、一定の区間で幅が一定した複数の重畳コイルパターンCPと、幅が増加する重畳コイルパターンCPと、を含むことにより、重畳コイルパターンCPの幅は非線形的な増加率を有するように配置することもできる。
【0109】
このように、実施例によるインダクタ100は、制限された空間で内足ILから外足OLに行くほど漸進的に重畳コイルパターンCPの幅を増加させてインダクタ100の重畳コイルパターンCPのターン数を増加させることができる。このように、ターン数が増加する場合、インダクタンスが増加してDCバイアス性能を改善することができ、抵抗が最大の最外郭の第NコイルパターンCPnの幅を増加させることにより、インダクタ100の全体抵抗を低下させて発熱を最小化することができる。
【0110】
図6は他の実施例によるインダクタのコイルパターンを示す平面図である。
【0111】
重複説明を回避し、容易な説明のために、図6を説明するときに図1図4を引用して説明する。
【0112】
図6を参照すると、他の実施例によるインダクタは、一実施例によるインダクタ100と異なる離隔間隔を有するコイル部110を有する。
【0113】
コイル部110は、ターン部TP上に配置される複数のターンパータンTPPを含み、ターンパータンTPPは、重畳領域OVA上に配置される重畳コイルパターンCPと、非重畳領域OA上に配置される非重畳コイルパターンXCPと、を含む。
【0114】
重畳領域OVAで互いに隣接する複数の重畳コイルパターンCPは同一の離隔間隔である第1離隔間隔d1で離隔して配置され得る。第1離隔間隔d1は前述した図3での離隔間隔dと同じ間隔であり得る。
【0115】
非重畳領域OAで互いに隣接した複数の非重畳コイルパターンXCPは相異なる離隔間隔で離隔して配置され得る。
【0116】
例えば、非重畳領域OA上で外足OLに最も隣接した第N-1非重畳コイルパターンXCPn-1と第N非重畳コイルパターンXCPnとは第n離隔間隔dnで離隔して配置され得る。第n離隔間隔dnは第1離隔間隔d1と同じ離隔間隔であり得る。そして、第N-2非重畳コイルパターンXCPn-2と第N-1非重畳コイルパターンXCPn-1とは第n-1離隔間隔dn-1で離隔して配置され得る。
【0117】
ここで、第n離隔間隔dn及び第n-1離隔間隔dn-1は、非重畳コイルパターンXCPの幅増加率に比例して5%~15%の増加率を有することができる。
【0118】
結局、内足ILに隣接した第2非重畳コイルパターンXCP2と第3非重畳コイルパターンXCP3とは第3離隔間隔d3で離隔して配置され、第1非重畳コイルパターンXCP1と第2非重畳コイルパターンXCP2とは第2離隔間隔d2で離隔して配置され得る。ここで、第3離隔間隔d3の幅は第2離隔間隔d2の増加率に比例して5%~15%の増加率を有することができる。
【0119】
離隔間隔は外足OLから内足ILに行くほど漸進的に増加し、内足ILに最も隣接した離隔間隔が最も広くなり得る。
【0120】
このように、非重畳領域OA上で複数の非重畳コイルパターンXCPの間の離隔間隔を互いに異なるように配置して、非重畳コイルパターンXCPの間の離隔間隔が内足ILに近づくほど漸進的に広くなるので、非重畳領域OAでターンパータンTPPの製造工程が容易であり、追加的な構造物を容易に設置することができる。
【0121】
図7(a)及び(b)はさらに他の実施例によるコイル部の平面図及び断面図をそれぞれ示す。
【0122】
重複説明を回避し、容易な説明のために、図7を説明するときに図1図4を引用して説明する。
【0123】
さらに他の実施例によるコイル部150は、コア基板152の一面にターン部TP(以下、「第1ターン部TP1」と言う)が配置され、垂直方向に一面の反対側の他面にもターン部TP(以下、「第2ターン部TP2」と言う)が配置され得る。
【0124】
ターン部TPに配置されるターンパータンTPP、及びターンパータンTPPに含まれるコイルパターンCP及び非コイルパターンXCPの関係は前述したので省略する。
【0125】
第1ターン部TP1はコア基板152の上面に配置される上部コイルであり、上側内足レッグ部UILを中心に螺旋形に配置される複数の上部ターンパータンUTPPを含む。
【0126】
第2ターン部TP2は上面の反対側の下面で下側内足レッグ部LILを中心に螺旋形に配置される下部コイルであり、複数の下部ターンパータンLTPPを含む。
【0127】
また、コイル基板152の上部及び下部のそれぞれに引出部WPが配置される。引出部WPを区分するために、上部に配置される引出部を上側引出部UWPと言い、下部に配置される引出部を下側引出部LWPと言う。
【0128】
上側引出部UWPには上部引出線UWPL及び上部引出パッドUWPDが配置され、下側引出部LWPには下部引出線LWPL及び下部引出パッドLWPDが配置され得る。
【0129】
第1ターン部TP1と第2ターン部TP2とはビアパターンVPを介して連結されることができる。
【0130】
第1ターン部TP1と第2ターン部TP2とを連結するために、コイル基板152の一部を厚さ方向に貫通させたビアホールVHを配置することができる。ビアホールVHには、ビアホールVHを満たし、第1ターン部TP1及び第2ターン部TP2にそれぞれ連結されたビアパターンVPが埋め込まれ得る。したがって、第1ターン部TP1と第2ターン部TP2とはビアパターンVPを介して電気的に連結されることができる。
【0131】
本実施例では、第1ターン部TP1及び第2ターン部TP2の始点Sに相当する地点にビアパターンVPを形成することを例として示すが、これに限定されるものではない。
【0132】
例えば、内足ILに隣接した非重畳コイルパターンXCPに多数のビアホールVHをさらに備えることもできる。内足ILに隣接して配置される複数のビアホールVHを提供する理由は、コア部110で取り囲まれる内足ILの周辺での電流密度が外足OLの周辺での電流密度よりも高く、電流密度の上昇は抵抗の上昇を引き起こすので、相対的に多くのビアホールVHを配置して抵抗値を低めることができるからである。他の例として、ビアホールVH及びビアパターンVPは、重畳領域OVA又は非重畳領域OAに群集するように配置してターンパータンの抵抗値を低めることもできる。
【0133】
このように、一つのコイル基板152の上下にそれぞれ重畳コイルパターンCPを配置することにより、インダクタ100のインダクタンスを増加させることができ、DCバイアス性能を改善することができる。
【0134】
図8は実施例によるインダクタの断面図である。
【0135】
ここで、図8図1のI-I’についての断面図であり、重複説明を回避し、容易な説明のために、図8を説明するときに図1図5を引用して説明する。
【0136】
図8を参照すると、実施例によるインダクタ100は、内足IL(R0)から第1地点R1まで配置される複数の重畳コイルパターンCPのそれぞれのターン数は複数の重畳コイルパターンCPの総ターン数Tの半分を超える。内足IL(R0)から第1地点R1までの距離は内足ILと外足OLとの間に位置する複数の重畳コイルパターンCPの幅の総和の半分である。これは次の数学式1の通りである。
【0137】
【数1】
【0138】
akのkはコイルパターンの幅であり(1=k=n)、Tは総ターン数である。
【0139】
具体的には、決まった領域に対して、複数の重畳コイルパターンCPが配置されることにより、ターン数が増加することができる。すなわち、インダクタンスが増加することができる。インダクタンスはターン数の二乗に比例し、内足ILの断面大きさによって増加するので、決まった空間内にターン数の二乗に比例してインダクタンスが増加することができる。
【0140】
さらに、上側内足レッグ部UILと下側内足レッグ部LILとの間に形成された第1ギャップG1又は上側外足レッグ部UOLと下側外足レッグ部LOLとの間に形成された第2ギャップG2のうちの少なくとも一つを形成することによってDCバイアス性能を改善することができる。
【0141】
よって、実施例によるインダクタ100は、制限された空間内で内足ILから外足OLに行くほど漸進的に重畳コイルパターンCPの幅を増加させてインダクタ100の重畳コイルパターンCPのターン数を増加させることができる。このように、ターン数が増加する場合、インダクタンスが増加してDCバイアス性能を改善することができ、抵抗が最大の最外郭の第NコイルパターンCPnの幅を増加させることにより、インダクタ100の全体抵抗を低下させて発熱を最小化することができる。
【0142】
図9は実施例によるインダクタのインダクタンスに対するDCバイアスの変化量を示すグラフである。
【0143】
重複説明を回避し、容易な説明のために、図9を説明するときに図1図4及び図8を引用して説明する。
【0144】
図9を参照すると、実施例によるインダクタを同じ幅のコイルパターンを有する比較例のインダクタと比較した。
【0145】
実施例及び比較例によるインダクタは、コイル基板の上部及び下部にそれぞれ6ターンのコイルパターンを配置して総ターン数が12ターンであるインダクタを形成することができる。
【0146】
そして、比較例では、重畳コイルパターンCPの幅を一定に2mmに構成し、実施例の場合は、図4に示すように、第1重畳コイルパターンCP1~第6重畳コイルパターンCP6を有するように構成した。ここで、実施例の重畳コイルパターンCPは、第1重畳コイルパターンCP1の幅を1.5mmに構成し、第2重畳コイルパターンCP2は第1重畳コイルパターンCP1に比べて10%の幅が増加した1.65mmに構成し、第3重畳コイルパターンCP3は1.82mmに、第4重畳コイルパターンCP4は2.0mmに、第5重畳コイルパターンCPは52.2mmに、第6重畳コイルパターンCP6は2.42mmに構成した。
【0147】
以下の表1はギャップ量の変化による比較例及び実施例のインダクタンス及びDCバイアスの測定値を示す。ここで、ギャップは外足OLのギャップ量G2である。図9は表1の変化量をグラフで示す。
【0148】
【表1】
【0149】
インダクタンスは比較例よりも実施例で増加したことが現れた。その理由は次のようである。
【0150】
比較例及び実施例の場合、総ターン数T及び内足ILの断面積が同一であるので、インダクタンスを変化させる因子は磁路長のみである。磁路長はインダクタンスに反比例するので、小さければ小さいほどインダクタンスを増加させることができる。具体的には、比較例の場合、磁路長は、コイルパターンの幅がいずれも2mmであり、6個で構成されるので、12mmである。言い換えれば、比較例は、内足からY軸方向に12mmの磁路長を有する。
【0151】
一方、実施例の場合、前述したように、1.5mm~2.42mmに構成された6個のコイルパターンの幅を有するので、これらの総和は11.59mmである。言い換えれば、実施例は、内足ILからY軸方向に11.59mmの磁路長を有する。したがって、実施例の場合、比較例よりも磁路長が短いので、インダクタンスが全般的に増加したことが現れた。
【0152】
そして、ギャップ量においては、450mmであるときまではDCバイアス差を示さないが、ギャップ量が610mm以上からDCバイアスが増加することが現れた。
【0153】
したがって、比較例及び実施例が同じサイズであると仮定すれば、同じ空間で磁路長は同一であるので、総ターン数の増加によってインダクタンスが増加し、増加したインダクタンスでギャップ量を調節することによってDCバイアス性能を改善することができる。
【0154】
以上で実施例を中心に説明したが、これは単に例示であるだけで、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲内で以上で例示しなかった様々の変形及び応用が可能であることが分かるであろう。例えば、実施例に具体的に示した各構成要素は変形して実施することができるものである。そして、このような変形及び応用に係る相違点は添付の特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0155】
100 インダクタ
110 コア部
【0156】
150 コイル部
CP 重畳コイルパターン
【0157】
XCP 非重畳コイルパターン
IL 内足
【0158】
OL 外足
OVA 重畳領域
【0159】
OA 非重畳領域
VA 変幅部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】