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特表2024-543745被験者の身体の輪郭に合わせた形状を有するトランスデューサアレイ、およびトランスデューサアレイの形状および配置を決定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-25
(54)【発明の名称】被験者の身体の輪郭に合わせた形状を有するトランスデューサアレイ、およびトランスデューサアレイの形状および配置を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20241118BHJP
   A61N 1/40 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535515
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2022062164
(87)【国際公開番号】W WO2023111863
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,523
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/080,306
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダージャ・ウェンデル
(72)【発明者】
【氏名】ウンヒ・ハン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053BB34
4C053LL20
(57)【要約】
腫瘍治療場を被験者の身体に送達するためのトランスデューサ装置であって、基板と、前記基板上に配置された電極アレイであって、前記アレイの面が被験者の身体に対向して被験者の身体上に配置されるように構成された、電極アレイと、を含み、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、前記アレイの境界の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの凹縁を有し、前記基板の2つの対向する側面の間に開口部を画定し、前記開口部に電極が存在せず、また、前記基板は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、環状の表面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍治療場を被験者の身体に送達するためのトランスデューサ装置であって、
基板と、
前記基板上に配置された電極アレイであって、前記電極アレイの面が前記被験者の身体に対向して前記被験者の身体上に位置するように構成された、電極アレイと、を含み、
前記電極アレイの面と垂直な方向から見たとき、
前記基板は、前記電極アレイの境界の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの凹縁を有し、
前記少なくとも1つの凹縁は、前記基板の2つの対向する側面の間に開口部を画定し、
前記開口部には前記電極が存在せず、また、
前記基板は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の表面を有する、トランスデューサ装置。
【請求項2】
前記電極アレイの面と垂直な方向から見たとき、
前記基板は、略C字形の表面を有し、
前記基板の対向する両面は、湾曲している、請求項1に記載のトランスデューサ装置。
【請求項3】
前記電極アレイの面と垂直な方向から見たとき、
前記基板は、略U字形または丸みを帯びたV字形の表面を有し、また
前記基板の2つの対向する側面辺は、略直線であり、略平行な方向に延びているか、または、平行であることから45°未満ずれている、請求項1に記載のトランスデューサ装置。
【請求項4】
前記電極アレイの面と垂直な方向から見たとき、
前記基板は、略環状の表面を有し、
前記少なくとも1つの凹縁は、前記基板によってすべての側面が境界付けられた内部開口部を画定し、また
前記基板は、前記内部開口部が形成された略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面を有する、請求項1に記載のトランスデューサ装置。
【請求項5】
前記略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面は、前記基板の外側境界から前記内部開口部まで延びるスリットを有し、前記環状形状に少なくとも一時的な開口部を可能にする、請求項4に記載のトランスデューサ装置。
【請求項6】
前記電極アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、波形縁を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項7】
解剖学的特徴またはデバイスを備えた少なくとも1つのエリアを回避しながら、腫瘍治療場を被験者の身体に印加するためのアセンブリであって、
複数の電極を含む第1トランスデューサアレイであって、前記被験者の身体の輪郭に合わせて柔軟である第1表面を有し、
前記第1表面と垂直な方向から見たとき、
前記第1表面は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状であり、C字形、U字形、または丸みを帯びたV字形の場合、前記第1表面の2つの対向する部分は互いに間隔を空けて配置され、前記第1表面の凹縁によって互いに接続され、環状の場合、前記凹縁は、前記第1表面によってすべての側面が境界付けられた内部開口部を画定する、第1トランスデューサアレイと、
複数の電極を含む第2トランスデューサアレイであって、前記被験者の身体に合わせて柔軟である第2表面を有し、前記第2表面は、前記第1表面と同一若しくは鏡像形状、あるいは異なる形状を有する、第2トランスデューサアレイと、を含む、アセンブリ。
【請求項8】
前記第2表面と垂直な方向から見たとき、前記第2表面は、矩形、角を丸くした略矩形、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形である、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1トランスデューサアレイの前記第1表面は、略C字形、U字形、または丸みを帯びたV字形であり、前記第1表面の2つの対向する部分は、化学療法ポートを有する被験者の身体上の第1位置を跨ぐように離間されるように適合され、かつ、前記第1トランスデューサアレイの電極は前記化学療法ポートの上に配設されていない、請求項7または8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1トランスデューサアレイの前記第1表面は、略環状の形状であり、前記内部開口部が化学療法ポートを有する被験者の身体上の第1位置と一致するように被験者の身体上に位置するように適合され、かつ、前記第1トランスデューサアレイの電極は前記化学療法ポートの上に配設されていない、請求項7または8に記載のアセンブリ。
【請求項11】
腫瘍治療場を印加するために被験者の身体上へのトランスデューサ形状および配置を決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数の前記プロセッサによってアクセス可能なメモリと、を含み、前記メモリは、1つまたは複数の前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータに方法を実行させるための命令を記憶しており、前記方法は、
前記被験者の身体内の標的領域を決定して腫瘍治療場を印加するステップと、
前記被験者の身体内の標的領域を通る電場分布の1つまたは複数のシミュレーションに基づいて、第1トランスデューサを配置するための前記被験者の身体上の第1位置を選択し、第2トランスデューサを配置するための前記被験者の身体上の第2位置を選択するステップと、
前記被験者の身体上に前記トランスデューサアレイの少なくとも一部が配置されることを回避するための少なくとも1つのエリアを決定するステップであって、前記回避すべき少なくとも1つのエリアは、前記被験者の身体の解剖学的特徴または被験者の身体内に配置されたデバイスに対応する、ステップと、
前記第1位置および前記被験者の身体上の前記回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、前記第1トランスデューサの第1トランスデューサ形状を選択するステップと、
前記第2位置および前記被験者の身体上の前記回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、前記第2トランスデューサの第2トランスデューサ形状を選択するステップであって、前記第2トランスデューサ形状は、前記第1トランスデューサ形状と同一若しくは鏡像形状、あるいは異なる形状である、ステップと、
前記第1トランスデューサ形状、前記第1位置、前記第2トランスデューサ形状、および前記第2位置をユーザーに出力するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記第1トランスデューサ形状は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の形状を含む、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
回避すべき少なくとも1つのエリアは、前記被験者の身体の乳房、前記被験者の身体の乳首、前記被験者の身体の耳、前記被験者の身体の眼、前記被験者の身体の手術痕、前記被験者の身体の病変、前記被験者の身体の脇の下、または前記被験者の身体内に配置された化学療法ポートの少なくとも1つを含む、請求項11または12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記第1トランスデューサが前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部を覆い、前記第1位置に配置されるのを回避するために、
前記被験者の身体の前記第1位置において前記第1トランスデューサ形状を有する前記第1トランスデューサの向きを決定するステップをさらに含む、請求項11、12または13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記第1位置または前記第2位置のいずれかが、前記回避すべき少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重なるか否かを決定するステップと、
対応する前記第1位置または第2位置が前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重ならないと判定した場合、前記第1トランスデューサまたは前記第2トランスデューサのいずれかに対してデフォルトのトランスデューサ形状を選択するステップと、
対応する前記第1位置または第2位置が前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重なると判定した場合、前記第1トランスデューサまたは前記第2トランスデューサのいずれかに対してデフォルトのトランスデューサ形状以外の形状を選択するステップと、をさらに含む、請求項11、12または13に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年12月13日に出願された米国特許出願第18/080,306号および2021年12月14日に出願された米国特許出願第63/289,523号に対する優先権を主張し、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療場(TT場)は、中間周波数範囲内の低強度交流電場であり、米国特許第7、565、205号に記載されているように、腫瘍を治療するために使用され得る。TT場は、患者の身体にトランスデューサを配置し、トランスデューサ間に交流電圧を印加することによって、標的領域に非侵襲的に誘導される。従来、TT場を生成するために用いられるトランスデューサは、複数のセラミックディスクを含む。各セラミックディスクの片面は患者の皮膚に接して配置され、各ディスクのもう一方の面には導電性の裏地が付いている。電気信号がこの導電性バッキングに印加され、これらの信号はセラミックディスクを介して患者の体内に容量結合される。従来のトランスデューサ設計には、直線の行と列(例えば、3×3のアレイ)が互いに並べられており、接着剤を介して被験者の身体に取り付けられたセラミックディスクの矩形のアレイが含まれている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様は、腫瘍治療場を被験者の身体に送達するためのトランスデューサ装置を対象とする。トランスデューサ装置は、基板と、基板上に配置された電極アレイと、を含む。アレイは、アレイの面が被験者の身体に対向して被験者の身体上に位置するように構成されている。アレイの面と垂直な方向から見たとき、基板は、アレイの境界の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの凹縁を有し、少なくとも1つの凹縁は、基板の2つの対向する側面の間に開口部を画定し、開口部には電極が存在せず、基板は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の表面を有する。
【0004】
本発明の上記態様は例示であり、本発明の他の態様および変形例は、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】被験者の胴体に配置されたトランスデューサの例を示す。
図1B】被験者の胴体に配置されたトランスデューサの例を示す。
図2A】被験者の胴体に配置されたトランスデューサの例を示す。
図2B】被験者の胴体に配置されたトランスデューサの例を示す。
図3】被験者の頭に配置されたトランスデューサの例を示す。
図4A】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4B】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4C】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4D】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4E】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4F】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図4G】トランスデューサ装置上の電極要素のアレイの例示的なレイアウトを示す。
図5A】各種トランスデューサの構造例を示す断面図である。
図5B】各種トランスデューサの構造例を示す断面図である。
図6】1対のトランスデューサの構成例を示す。
図7】TT場を印加するためのトランスデューサの被験者の身体上の位置および形状を決定するための装置の一例を示す。
図8】TT場を印加するために被験者の身体上でトランスデューサ形状および配置を決定する例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用する場合、「略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の表面」を有する基板とは、「略C字形、略U字形、略丸みを帯びたV字形、または略環状の表面」を有する基板を意味する。いずれの場合も、「略」という用語には、記載された形状として一般に認識され、機能的に同等の形状が含まれる。例えば、「略U字」とは、丸みを帯びた平底U字を含み、「略C字」とは、丸みを帯びた直縁C字を含む。U字形の2つの対向する側面、つまりアームは完全に平行である必要はなく、真っ直ぐである必要もない。さらに、本明細書に記載されたように、基板の環状形状(例えば、円形、楕円形、卵形、曲面形、扁円形等)(少なくとも1つの凹縁は基板によってすべての側面が境界付けられる内部開口部を画定する)には、少なくとも一時的に内部開口部へのアクセスを可能にするスリット(基板の外側境界から内部開口部まで)が含まれていてもよい。
【0007】
本願は、1つまたは複数の癌を治療するために被験者の身体にTT場を印加するために使用される例示的なトランスデューサ装置について説明する。本願はまた、被験者の身体にTT場を印加するために、被験者の身体上のトランスデューサアレイの形状および配置を決定する例示的な方法についても説明する。
【0008】
被験者の身体にTT場を印加するために使用されるトランスデューサには、基板上で一緒に結合された複数の電極要素が含まれており、たとえば基板の裏面の接着剤や別途塗布された接着剤を介して被験者の身体の所望の位置に取り付けられている。従来のトランスデューサは、トランスデューサ上に配置され、被験者の身体にTT場を印加するために使用されるセラミック電極要素の数を最大化するように、比較的大きな矩形の平面を持っている。ただし、平らな矩形のデザインでは、被験者の体の多くの部分に輪郭を合わせるためのトランスデューサの柔軟性が制限される。加えて、電極要素によって被験者の身体上のエリアを回避する場合、実践者は、所望のTT場を印加するために被験者の身体の最適ではない位置にトランスデューサを配置する必要があった。
【0009】
本発明者らは、験者の体の輪郭に快適にフィットするためのより大きな柔軟性を備えたトランスデューサの必要性が存在することを認識した。加えて、本発明者らは、被験者の身体上で回避すべき特定の解剖学的特徴、化学療法ポート、および/または他のエリアに容易にフィットできるトランスデューサの必要性があることを認識した。被験者の体の輪郭に効果的に合わせると同時に、覆われたままにする必要があるエリアや不快感を引き起こすエリアを回避できるトランスデューサは、被験者の身体の最適な位置に配置できる。その結果、トランスデューサは、被験者の身体内の関心領域(腫瘍など)を標的にするための理想的な位置とパワーレベルで、被験者の身体を通じてTT場を誘導することができ、それによって患者の転帰を改善することができる。
【0010】
開示されたトランスデューサ装置は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、環状の表面を有する。開示されたトランスデューサ装置は、再構成したり、次善の位置に配置したりすることなく、被験者の身体の解剖学的形状に容易に輪郭に合わせてもよい。開示されたトランスデューサ装置の形状は、不快感を与えることなく、乳房、耳、化学療法ポート、手術痕、皮膚病変、またはトランスデューサの配置が困難な被験者の身体上の任意の他の形状のエリアなどのエリアの周囲にトランスデューサを配置するためのより大きな柔軟性と連続性を提供する。加えて、独特の形状のトランスデューサ装置は、開示された方法に従ってトランスデューサ配置計画ソフトウェアによって事前に選択されてもよい。例えば、トランスデューサの特定の位置と形状を一緒に選択することで、被験者の身体内の関心領域に最大量のTT場を印加するための改良されたトランスデューサレイアウトを提供してもよい。
【0011】
図1Aおよび図1Bは、被験者の胴体の位置に配置されたトランスデューサの例を示す。
【0012】
図1Aは、被験者の右胸部の前部に配置されたトランスデューサ100と、被験者の左大腿部の前部に配置されたトランスデューサ102と、を示す。図1Bは、被験者の背中上部の左側に位置する第3トランスデューサ104と、被験者の右大腿部の裏側に位置する第4トランスデューサ106と、を示す。トランスデューサ100、102、104、106は、被験者の輪郭に合わせて柔軟な表面上に配置された複数の電極をそれぞれ含むトランスデューサアレイである。
【0013】
同様に、図2Aおよび図2Bは、被験者の胴体の位置に配置されたトランスデューサの別の例を示す。図2Aは、被験者の右胸部の前部に配置されたトランスデューサ200と、被験者の左大腿部の前部に配置されたトランスデューサ202と、を示す。図2Bは、被験者の背中上部の左側に位置する第3トランスデューサ204と、被験者の右大腿部の裏側に位置する第4トランスデューサ206と、を示す。トランスデューサ200、202、204、206は、被験者の身体の輪郭に合わせて柔軟な表面に配置された複数の電極をそれぞれ含むトランスデューサアレイである。
【0014】
被験者の胴体に配置されたトランスデューサ(図1A図2Bに示す)は、被験者の胸部または腹部の腫瘍にTT場を適用することができる。トランスデューサは、図1A図2Bの位置以外にも、被験者の胴体上の様々な位置の組み合わせに配置してもよい。
【0015】
図1A図1Bおよび図2A図2Bは両方とも、解剖学的特徴または装置を有する少なくとも1つのエリアを回避しながら、TT場を被験者の身体に印加するためのアセンブリを示す。例えば、図1Aでは、トランスデューサ100の表面は、被験者の身体の乳首108を回避しながら、被験者の身体の乳房の輪郭に合わせるように略U字形である。他の例では、トランスデューサ100の表面は、被験者の身体乳首108を回避しながら、乳房の輪郭に合わせるように、略C字形、丸みを帯びたV字形、環状の形状であってもよい。
【0016】
他の例として、図2Aでは、トランスデューサ200の表面は、被験者の身体上の化学療法ポート208を回避するように形状を形成している。特に、トランスデューサ200の表面は、略環状の形状であり、トランスデューサ200の内部開口部210が化学療法ポート208を有する被験者の身体上の位置と一致するように、被験者の身体上に位置するように適合されている。他の例では、トランスデューサ200の表面は、略C字形、U字形、または丸みを帯びたV字形であってもよく、化学療法ポート208を有する被験者の身体上の位置に、トランスデューサ表面の2つの対向する部分が間隔をあけて配置するように適合されていてもよい。両方の例において、トランスデューサ200の電極は化学療法ポート208の上に配置されていない。化学療法ポート208は、多くの場合、被験者がTT場治療を受ける前に被験者の身体内に挿入される。本明細書に開示されたトランスデューサは、被験者の化学療法ポート208に干渉したり影響を受けたりすることなく、被験者の胸部または腹部の関心領域にTT場を印加することを可能にしてもよい。
【0017】
図1に戻ると、他の1つまたは複数のトランスデューサ102、104、106は、トランスデューサ100と異なる形状を有していてもよい。図示するように、アセンブリの第2トランスデューサ102、第3トランスデューサ104、第4トランスデューサ106は、例えば、第1トランスデューサ100とは異なる形状を有する。いくつかの実施形態では、第2トランスデューサ102、第3トランスデューサ104、第4トランスデューサ106は、互いに同一または略類似の形状を有していてもよい。図示するように、トランスデューサ102、104、106の少なくとも一方の表面は、略凸形状を有していてもよい。より具体的には、トランスデューサ102、104、106の少なくとも一方の表面は、矩形、角を丸くした略矩形(図示するように)、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形であってもよい。図2A図2Bに示すトランスデューサ202、204、206は、図1A図1Bに示すトランスデューサ102、104、106と同様の形状を有する。
【0018】
他の実施形態では、他のトランスデューサ102、104、106のうちの1つまたは複数は、図1のトランスデューサ100の形状や鏡像形状が同じ表面であってもよい。例えば、2つのトランスデューサは、両乳首を回避しながら被験者の身体の両方の乳房の輪郭に合わせるために、同じ略U字形を有してもよい。同様に、他のトランスデューサ202、204、206のうちの1つまたは複数は、図2Aおよび図2Bのトランスデューサ200と比較して、同一形状若しくは鏡像形状の表面を有していてもよい。
【0019】
図3は、被験者の身体の頭に配置されたトランスデューサの例を示す。図3は、トランスデューサ300、302、および304が様々な位置および/または向きで配置される被験者の頭部の一例を示す。トランスデューサ300、302、および304は、被験者の輪郭に合わせて柔軟な表面に配置された複数の電極をそれぞれ含むトランスデューサアレイである。被験者の頭部のこの図には示されていないが、第4トランスデューサは、被験者の頭部の第1トランスデューサ300とは反対側に配置されてもよい。被験者の頭部に配置されたトランスデューサ(図3に示す)は、被験者の脳の領域内の腫瘍にTT場を適用することができる。トランスデューサは、図3の位置以外にも、被験者の頭部上の様々な他の位置の組み合わせに配置してもよい。
【0020】
図3は、解剖学的特徴またはデバイスを含む少なくとも1つのエリアを回避しながら、被験者の身体にTT場を印加するためのアセンブリを示す。例えば、図3において、トランスデューサ300の表面は、被験者の身体の耳306を回避しながら、被験者の頭部の輪郭に合わせる略C字形である。他の例では、トランスデューサ300の表面は、被験者の耳306を回避しながら被験者の頭部に合わせるために、略U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の形状であってもよい。
【0021】
他の1つまたは複数のトランスデューサ302、304は、トランスデューサ300と異なる形状を有していてもよい。図示するように、アセンブリの第2トランスデューサ302および第3トランスデューサ304は、例えば、第1トランスデューサ300とは異なる形状を有する。いくつかの実施形態では、第2トランスデューサ(302)、第3トランスデューサ(304)、および第4トランスデューサ(図示しない)は、互いに同一または実質的に類似した形状を有していてもよい。トランスデューサ302、304の少なくとも一方の表面は、略凸形状を有していてもよい。より具体的には、トランスデューサ302、304の少なくとも一方の表面は、角を丸くした矩形、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形であってもよい。図示するように、少なくとも一方のトランスデューサ302、304の表面は、波形縁を有していてもよい。
【0022】
他の実施形態では、1つまたは複数のトランスデューサ302、304、または第4トランスデューサ(図示しない)は、図3のトランスデューサ300と同一形状若しくは鏡像形状の表面を有していてもよい。例えば、第1トランスデューサ300と反対側に配置された第4トランスデューサは、被験者の他方の耳を回避しながら被験者の頭部の輪郭に合わせるためのトランスデューサ300のC字形を鏡像にしてもよい。
【0023】
本明細書で開示されているように、被験者の身体上の少なくとも1つのエリアを回避するために、様々な形状のトランスデューサを使用してもよい。トランスデューサは、例えば、略C字形、略U字形、略丸みを帯びたV字形、または略環状のトランスデューサを含んでもよい。加えて、前記トランスデューサは、例えば、被験者の身体の乳房、被験者の身体の乳首、被験者の身体の耳、被験者の身体の眼、被験者の身体の手術痕または皮膚病変、被験者の身体の脇の下、または被験者の身体内に配置された化学療法ポートなど、被験者の身体上の1つまたは複数の回避すべきエリアに対して相対的に被験者の身体上に配置されてもよい。
【0024】
図4A図4Gは、開示によるトランスデューサ装置の例を示す。図4A図4Gのそれぞれにおいて、トランスデューサ装置(例えば、400A、400B、400C、400D、400E、400F、400G)は、基板(例えば、402A、402B、402C、402D、402E、402F、402G)と、基板(402A~402G)上の電極アレイ(例えば、404A、404B、404C、404D、404E、404F、404G)と、を含む。電極アレイ(404A~404G)は、アレイの面が被験者の身体に対向して被験者の身体上に位置するように構成されている。図4A図4Gは、電極アレイ(404A~404G)のこの面と垂直な方向から見たトランスデューサ装置(400A~400G)を示す図である。全ての実施形態では、電極の形状は任意であってもよい。また、いずれの実施形態でも、電極は、全て同一形状であってもよく、他の電極とのサイズおよび/または形状が異なる1つまたは複数であってもよい。図4A図4Gのそれぞれにおいて、基板(402A~402G)は、アレイの境界の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの凹縁(例えば、406A、406B、406C、406D、406E、406F、406G)を有する。少なくとも1つの凹縁(406A~406G)は、基板(402A~402G)の2つの対向する側面(例えば、410A/412A、410B/412B、410C/412C、410D/412D、410E/412E、410F/412F、410G/412G)の間に開口部(例えば、408A、408B、408C、408D、408E、408F、408G)を画定してもよい。図4A図4Gの開口部(408A~408G)には電極(404A~404G)が存在しない。加えて、開口部(408A~408G)にはヒドロゲルまたは接着剤が存在しなくてもよい。トランスデューサ400A~400Gは、開口部(408A~408G)が被験者の身体上の回避エリアに位置するように被験者の身体上に配置されてもよい。
【0025】
本明細書の図では基板の形状が完全な曲線と直線を使用して示されているが、略C字形、略U字形、略丸みを帯びたV字形、および略環状という用語には、そのようなすべての一般的な形状が含まれることを理解されたい。基板の形状は、不規則な曲線、異なる曲率半径の一連の直線または円弧から形成された曲線、波状縁(例えば、1つまたは複数の個別の電極形状の輪郭をトレースする)、または非平行なエッジを使用して形成されてもよい。また、さらに、開口部を画定する基板輪郭(例えば、U字形、丸みを帯びたV字形、C字形などのアーム)形の2つのアームの端部は、丸くても(例えば、図4A図4B図4C、および図4Eに示すように湾曲している)真っ直ぐでもよい(例えば、図4Fおよび図4Gに示すような平坦な曲線)。
【0026】
図4Aは、表面が略U字形の基板402Aを示す図である。完全なU字形の場合、内側の凹面境界は完全に湾曲した円弧を持ち、2つのアームの各内側縁境界がまっすぐになってU字形を形成する前に、ちょうど円の半分を表す(各アームは平行位置から0度ずれている)。U字形は、任意の曲率半径を含んでいてもよいので、U字形の大きさは任意であってもよい。いくつかの実施形態では、基板402Aの2つの対向する側面410A、412Aは、略直線であり、略平行な方向(例えば、各アームが平行位置から2度以下ずれている)に延びていてもよい。いくつかの実施形態では、基板402Aの2つの対向する側面410A、412Aは、略直線であり、略平行な方向(例えば、各アームが平行位置から20度以下ずれている)に延びていてもよい。このような実施形態では、両アームは、互いにわずかに向かって位置していてもよいし、互いにわずかに離れて位置していてもよい。アームが互いに向かって整列する実施形態(図示せず)では、アームは重なり合わないことがあるが、わずかな開口部を残してほぼ一体になってもよい。特に、基板が可撓性材料から形成される場合、後者の構成により、既に身体に設置されている化学療法ポートの周りを操作し、位置決めしながら、トランスデューサ装置を身体に取り付けてもよい。2つのアームが互いに離れて整列する実施形態(図示せず)では、この形状は丸みを帯びたV字形として見るようにしてもよい。いくつかの実施形態では、丸みを帯びたV字形の基板402Aの2つの対向する側面410A、412Aは、略直線であり、互いに離間していてもよい(例えば、各アームが平行位置から45度未満であるが、20度以上ずれている)。図4Aは、開口部408Aと反対の側面410A/412Aとの空間配置を示している。具体的には、基板402Aの2つの対向する側面410Aおよび412Aを通り、外側基板境界416から対向する外側基板境界418まで、開口部408Aを横切る直線414が引かれる。開口部408Aを挟んで線414に沿った距離420は、基板402Aの対向する側面410A、412Aの一方を挟んで線414に沿った距離422の少なくとも25%であってもよい。いくつかの実施形態では、開口部408Aを挟んだ距離420は、対向する側面410A、412Aの一方を挟んだ距離422の50%以上であってもよい。いくつかの実施形態では、開口部408Aを挟んだ距離420は、対向する側面410A、412Aの一方を挟んだ距離422の100%以上であってもよい。この開口部(408)と反対の側面(410/412)との空間配置は、図4のトランスデューサ装置においても同様であってもよい。いずれの場合も、線414に沿った距離420は、開口部408を横切る最も広い部分で取得される。
【0027】
図4Bは、平底のU字形表面を有する略U字形の基板402Bを示しており、基板402Bの2つの対向する側面(アーム)410Bおよび412Bは、互いにわずかに向かって整列している。他の実施形態では、略U字形の基板402Bは、平底のU字形の面を有し、基板402Bの2つの対向する辺(アーム)410B、412Bは互いに平行に並んでいる。他の実施形態では、略U字形基板402Bは、平底のU字形面を有し、上述した丸みを帯びたU字形の実施形態で説明したように、基板402Bの対向する両側(アーム)410B、412Bは、互いにわずかに離間して位置合わせされている。
【0028】
図4Cは、略C字形の表面を有する基板402Cを示す。すなわち、基板402Cの2つの対向する側面410C、412Cは、湾曲してもよい。C字形の範囲は、半円から2本のアームがほぼ結合する点までの範囲であってもよく、非常に小さな開口部が残る。上述したように、C字形の両端は丸みを帯びていてもよく、直線状であってもよい。両端がほぼつながっていて直線的な縁を持つ極限状態で、トランスデューサに間隙またはスリットが形成され、すでに身体上の所定の位置にある化学療法ポートの周りで操作および位置決めしながら、トランスデューサ装置を身体に取り付けることが可能になる。
【0029】
図4Dは、略環状の表面を有する基板402Dを示す。すなわち、少なくとも1つの凹縁406Dは、基板402Dによってすべての側面が境界付けられる内部開口部408Dを形成する。基板402Dは、内部開口部408Dが形成された略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面を有していてもよい。いくつかの実施形態では、内部開口部408D(図4Dに円形として示される)は、基板の形状に合わせた略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面を有してもよい。図4Dは、内部開口部408Dが形成された円形表面を有する実施形態を示す。このドーナツ型アレイ(円形)は、身体にすでに設置されている化学療法ポートに取り付けられてもよい。狭いスリット(基板の外部境界から内部開口部408まで)を許容することにより、内部開口部への少なくとも一時的なアクセスが可能となり、化学療法ポートの周りで操作および位置決めする際に、トランスデューサ装置を身体に取り付けることが容易になってもよい。楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面を有するトランスデューサも同様に機能してもよい。例えば、楕円形のトランスデューサは、外科的傷跡や皮膚病変を覆わないように、より適切な開口部を提供してもよい。
【0030】
図4Eは、不規則な形状の表面を有する別の基板402Eを示す。図4Eに示すように、基板402Dの凹凸形状の表面は略U字形であり、基板402Eは、波形縁を有する。波形縁は、本明細書に開示された他のトランスデューサ形状(例えば、C字形、V字形、環状)として使用されてもよい。基板上に存在する電極形状の任意の面では、凹凸形状の面を用いてもよい。例えば、基板402Dの凹凸形状の表面は、1つまたは複数の個々の電極形状の輪郭をトレースしたことによって生じる周囲(または周囲の拡大版)と一致してもよい(または、ほぼ一致してもよい)。
【0031】
図4は、略U字形の表面を有する基板402Fおよび402Gのさらなる実施形態を示す。図4Fおよび図4Gの両方に示すように、開口部を形成するU字基板の対向する両側(アーム)の端部は、直線(平らな曲線)であってもよい。U字形のアームは、任意の幅および/または長さであってもよく、実際には、所定の基板の2つのアームは同一である必要はない。また、図示するように、どのような実施形態でも、電極は、任意のサイズ、形状、および数であってもよく、基板上で同じであっても異なっていてもよい。簡単にするために、図4A図4Eの電極は円形の電極として示されている。特に、基板の所与の形状に対する電極の形状は、電極の利用可能性に基づいて選択してもよく、または基板の表面形状の充填を最適化したいという要望に基づいて選択してもよい。例えば、図4GのU字形基板に示す丸みを帯びた三角形電極を、図4Dに示す円形基板で利用する唯一の電極形状として、円形基板表面の電極表面積の密度を高めてもよい。
【0032】
トランスデューサの構造は、複数の形態をとってもよい。図5Aでは、トランスデューサ500Aは、基板504A上に配置された複数の電極要素502Aを有する。基板504Aは、トランスデューサ500Aを被験者の身体に取り付けるように構成されている。基板504Aに適した材料としては、例えば、布、発泡体、可撓性プラスチック、および/または導電性医療用ゲルが挙げられる。トランスデューサ500Aは、基板504Aを介して(例えば、粘着性の裏当ておよび/または導電性医療用ゲルを介して)被験者の身体に貼り付けられ得る。トランスデューサは、導電性または非導電性であってもよい。図5Bは、トランスデューサ500Bの構造の別の例を示す。この例では、トランスデューサ500Bは、基板なしで互いに電気的および機械的に接続された複数の電極要素502Bを含む。一例では、電極要素502Bは、導電性ワイヤ506Bを介して互いに接続される。
【0033】
トランスデューサ500Aおよび500Bは、それぞれ、実質的に平坦な電極要素502Aおよび502Bのアレイを含んでもよい。電極要素のアレイは、容量的に結合されていてもよい。一例では、電極要素502Aおよび502Bは、複数の平坦な導体上に配置された非セラミック誘電体材料である。平坦な導体上に配置される非セラミック誘電体材料としては、プリント基板上のパッド上に配置された高分子フィルムや平坦な金属片上に配置された高分子フィルムが挙げられる。他の例では、電極要素502A、502Bはセラミック要素である。
【0034】
図6は、1対のトランスデューサ602および604の構成例を示す。この例では、装置600は、トランスデューサ602、604を含む。第1トランスデューサ602は、基板608上に配置され、導電性配線610を介して互いに電気的および機械的に接続された13個の電極要素606を含む。同様に、第2トランスデューサ604は、基板614上に配置され、導電性配線616を介して互いに電気的および機械的に接続された14個の電極要素612を含む。基板614は、図示のように略U字形、C字形、丸みを帯びたV字形、環状の形状であってもよい。図6では基板614の輪郭が直線と鋭い頂点で示されているが、輪郭は、例えば図4Aまたは図4Bのように湾曲していてもよい。2つの基板608、614は、同一であってもよいし、鏡像であってもよいし、異なる形状であってもよい。トランスデューサ602および604は、交流電圧発生器618およびコントローラ620に接続されてもよい。交流電圧発生器618は、トランスデューサ602、604に結合され、トランスデューサ602に第1電圧を与え、トランスデューサ604に第2電圧を与えてもよい。トランスデューサ602および604は、交流電圧発生器618およびコントローラ620に接続されてもよい。コントローラ620は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリを含んでもよい。
【0035】
図7は、TT場を印加するためのトランスデューサの位置および形状を決定するための例示的な装置を示す。この例では、装置700は、1つまたは複数のプロセッサ702、メモリ704、および1つまたは複数の出力デバイス706を含む。メモリ704は、リンク708を介して1つまたは複数のプロセッサ702によってアクセス可能であるため、1つまたは複数のプロセッサ702は、メモリ704から情報を読み取り、メモリ704に情報を書き込むことができる。メモリ704は、1つまたは複数のプロセッサ702によって実行されると、装置700に本明細書に開示される1つまたは複数の方法を実行させる命令を記憶する。1つまたは複数のプロセッサ702は、入力710(例えば、画像データのユーザ入力)を受信し、入力710に基づいて、出力デバイス706によって出力される、ユーザーに対してトランスデューサの形状および/または位置の1つまたは複数の推奨を行ってもよい。
【0036】
図8は、TT場を適用するために被験者の身体上のトランスデューサの形状および配置を決定する例示的な方法800を示すフローチャートである。図示するように、方法800は、ステップS802から、被験者内の標的領域を決定することから始めてもよい。これは、例えば、被験者の身体内の標的領域のおおよその位置および/または3D体積を決定するために、1つまたは複数の画像データ(例えば、磁気共鳴画像(MRI)データ、コンピュータ断層撮影(CT)データなど)を解析することによって達成されてもよい。
【0037】
ステップS804において、方法800は、被験者の身体内の標的領域を通る電場分布の1つ以上のシミュレーションに基づいて、第1トランスデューサを配置するための被験者の身体上の第1位置と、第2トランスデューサを配置するための被験者の身体上の第2位置と、を決定することを含む。これには、たとえば、被験者の身体に関連付けられた画像データに基づいて、被験者の身体の標的領域を通る予想される電場分布の1つまたは複数のシミュレーション(シミュレーションアルゴリズムを使用)を実行することが含まれてもよい。より具体的には、この決定は、考えられる異なるトランスデューサ位置ペアのシミュレーションを比較し、予想される電場分布に基づいてトランスデューサ位置ペアをランク付け/推奨することによって行ってもよい。
【0038】
ステップS806において、方法800は、被験者の身体上にトランスデューサアレイを配置するために避けるべき少なくとも1つのエリアを決定することを含む。回避すべき少なくとも1つのエリアは、上記のように、被験者の身体の解剖学的特徴または被験者の身体内に位置する装置に対応してもよい。回避すべき少なくとも1つのエリアは、例えば、被験者の身体の画像データに含まれる1つまたは複数の画像に描かれたランドマーク(例えば、解剖学的特徴および/またはデバイス)を識別する画像処理モジュールを介して決定されてもよい。画像処理モジュールは、1つまたは複数の物体識別および/または追跡アルゴリズムを使用して、1つまたは複数のランドマークの位置を決定/検出してもよい。別の例では、回避すべき少なくとも1つのエリアは、例えば、被験者の身体内の化学療法ポートの存在および/またはおおよその位置の表示、身体測定値(例えば、乳房サイズの測定値)、その他を含むユーザー入力に基づいて特定されてもよい。
【0039】
ステップS808において、方法800は、第1位置および被験者の身体上の回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、第1トランスデューサの第1トランスデューサ形状を選択することを含む。同様に、ステップS810において、方法800は、第2位置および被験者の身体上の回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、第2トランスデューサの第2トランスデューサ形状を選択することを含む。第2トランスデューサ形状は、第1トランスデューサ形状と同一の形状であってもよいし、第1トランスデューサ形状とは異なる形状であってもよい。
【0040】
第1トランスデューサ形状の選択には、例えば、ステップS812において、第1位置が少なくとも1つの回避エリアの少なくとも一部と重なるか否かを判定することが含まれてもよい。同様に、第2トランスデューサ形状の選択には、ステップS814において、第2位置が少なくとも1つの回避エリアの少なくとも一部と重なるか否かを判定することが含まれてもよい。第1位置または第2位置のいずれかが、少なくとも1つの回避エリアの少なくとも一部と重ならないと判定した場合(「NO」)、対応する第1トランスデューサ(S808)または第2トランスデューサに対してデフォルトのトランスデューサ形状816を選択してもよい(S810)。デフォルトのトランスデューサ形状816は、矩形、角を丸くした略矩形、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形であってもよい。第1位置または第2位置のいずれかが、少なくとも1つの回避エリアの少なくとも一部と重なると判定した場合(YES)、対応する第1トランスデューサ(S808)または第2トランスデューサに対して、デフォルト形状816以外の形状818を選択してもよい(S810)。他の形状818は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、環状の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、方法800は、例えば、被験者の体の同じ位置に配置されたデフォルト形状のトランスデューサと比較した、回避すべき少なくとも1つのエリアの重複部分の相対的なサイズおよび位置などの要因に基づいて、特定の他の形状818を選択するステップを含んでもよい。
【0041】
一例では、ステップS820において、方法800は、第1トランスデューサが少なくとも1つのエリアの少なくとも一部を覆い、第1位置に配置されるのを回避するために、被験者の身体の第1位置において第1トランスデューサ形状を有する第1トランスデューサの向きを決定することをさらに含んでもよい。同様に、ステップS822において、方法800は、第2トランスデューサが少なくとも1つのエリアの少なくとも一部を覆い、被検者の第2位置に配置されることを避けるために、被験者の身体の第2位置において第2トランスデューサ形状を有する第2トランスデューサの向きを決定することをさらに含んでもよい。
【0042】
ステップS824において、方法800は、推奨される第1トランスデューサ形状、第1位置、第2トランスデューサ形状、および第2位置を(例えば、ユーザインターフェース上の出力を介して)ユーザーに出力するステップを含む。ステップS824は、第1トランスデューサおよび第2トランスデューサの一方または両方の推奨される向きをユーザーに出力することを含んでもよい。出力は、トランスデューサアレイの配置に関する視覚的な通知の形式であってもよい。すなわち、1つまたは複数のトランスデューサアレイの1つまたは複数の推奨配置位置と、1つまたは複数の回避すべきエリアと、をユーザーに表示してもよい。この通知は、1)被験者の身体上の避けるべき1つまたは複数のエリアを避けるため、および2)標的領域に適用される最適化された電場を受信するために、トランスデューサアレイを配置する場所をユーザーに視覚的に指示してもよい
【0043】
本発明は、以下のような他の例示的な実施形態を含み、これらの例示的な実施形態(またはその一部)を任意の組み合わせで構成して実施形態を定義してもよい。
【0044】
例示的な実施形態1:腫瘍治療場を被験者の身体に送達するためのトランスデューサ装置であって、基板と、前記基板上に配置された電極のアレイであって、前記アレイの面が前記被験者の身体に対向して前記被験者の身体上に位置するように構成された、電極のアレイと、を含み、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、前記アレイの境界の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの凹縁を有し、前記少なくとも1つの凹縁は、前記基板の2つの対向する側面の間に開口部を画定し、前記開口部には前記電極が存在せず、また、前記基板は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の表面を有する。
【0045】
例示的な実施形態2:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、略C字形の表面を有し、前記基板の対向する両面は、湾曲している。
【0046】
例示的な実施形態3:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、略U字形または丸みを帯びたV字形の表面を有し、また前記基板の2つの対向する側面辺は、略直線であり、略平行な方向に延びているか、または、平行であることから45°未満ずれている。
【0047】
例示的な実施形態4:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、略環状の表面を有し、前記少なくとも1つの凹縁は、前記基板によってすべての側面が境界付けられた内部開口部を画定し、また前記基板は、前記内部開口部が形成された略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面を有する。
【0048】
例示的な実施形態5:例示的な実施形態4に係るトランスデューサ装置であって、前記略円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形の表面は、前記基板の外側境界から前記内側開口部まで延びるスリットを有し、前記環状形状に少なくとも一時的な開口部を可能にする。
【0049】
例示的な実施形態6:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、アレイの面と垂直な方向から見たとき、基板の2つの対向する側面を通って、外側基板境界から対向する外側基板境界まで開口部を横切る直線を引くとき、開口部を横切る線に沿った距離は、基板の対向する側面の一方を横切る線に沿った距離の少なくとも25%である。
【0050】
例示的な実施形態7:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記アレイの面と垂直な方向から見たとき、前記基板は、波形縁を有する。
【0051】
例示的な実施形態8:解剖学的特徴またはデバイスを備えた少なくとも1つのエリアを回避しながら、腫瘍治療場を被験者の身体に印加するためのアセンブリであって、複数の電極を含む第1トランスデューサアレイであって、前記被験者の身体の輪郭に合わせて柔軟である第1表面を有し、前記第1表面と垂直な方向から見たとき、前記第1表面は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状であり、C字形、U字形、または丸みを帯びたV字形の場合、前記第1表面の2つの対向する部分は互いに間隔を空けて配置され、前記第1表面の凹縁によって互いに接続され、環状の場合、前記凹縁は、前記第1表面によってすべての側面が境界付けられた内部開口部を画定する、第1トランスデューサアレイと、複数の電極を含む第2トランスデューサアレイであって、前記被験者の身体に合わせて柔軟である第2表面を有し、前記第2表面は、前記第1表面と同一若しくは鏡像形状、あるいは異なる形状を有する、第2トランスデューサアレイと、を含む。
【0052】
例示的な実施形態9:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、第2表面と垂直な方向から見たとき、第2表面は略凸形状を有する。
【0053】
例示的な実施形態10:例示的な実施形態9に係るアセンブリであって、前記第2表面と垂直な方向から見たとき、前記第2表面は、矩形、角を丸くした略矩形、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形である。
【0054】
例示的な実施形態11:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、第1表面と垂直な方向から見たとき、第1表面は不規則な形状を有する。
【0055】
例示的な実施形態12:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、前記第1トランスデューサアレイの前記第1表面は、略C字形、U字形、または丸みを帯びたV字形であり、前記第1表面の2つの対向する部分は、化学療法ポートを有する被験者の身体上の第1位置を跨ぐように離間されるように適合され、かつ、前記第1トランスデューサアレイの電極は前記化学療法ポートの上に配設されていない。
【0056】
例示的な実施形態13:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、前記第1トランスデューサアレイの前記第1表面は、略環状であり、前記内部開口部が化学療法ポートを有する被験者の身体上の第1位置と一致するように被験者の身体上に位置するように適合され、かつ、前記第1トランスデューサアレイの電極は前記化学療法ポートの上に配設されていない。
【0057】
例示的な実施形態14:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、複数の電極を含む第3トランスデューサアレイであって、被験者の輪郭に合わせて柔軟である第3面を有し、第3面は第1表面とは異なる形状を有する、第3トランスデューサアレイと、複数の電極を含む前記第4トランスデューサアレイであって、前記被験者の輪郭に合わせて柔軟である第4表面を有し、第4表面は前記第1表面とは異なる形状を有する、第4トランスデューサアレイと、をさらに含む。
【0058】
例示的な実施形態15:前記腫瘍治療場を印加するために被験者の身体上へのトランスデューサ形状および配置を決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数の前記プロセッサによってアクセス可能なメモリと、を含み、前記メモリは、1つまたは複数の前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータに方法を実行させるための命令を記憶しており、前記方法は、前記被験者の身体内の標的領域を決定して腫瘍治療場を印加するステップと、前記被験者の身体内の標的領域を通る電場分布の1つまたは複数のシミュレーションに基づいて、第1トランスデューサを配置するための前記被験者の身体上の第1位置を選択し、第2トランスデューサを配置するための前記被験者の身体上の第2位置を選択するステップと、前記被験者の身体上に前記トランスデューサアレイの少なくとも一部が配置されることを回避するための少なくとも1つのエリアを決定するステップであって、前記回避すべき少なくとも1つのエリアは、前記被験者の身体の解剖学的特徴または被験者の身体内に配置されたデバイスに対応する、ステップと、前記第1位置および前記被験者の身体上の前記回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、前記第1トランスデューサの第1トランスデューサ形状を選択するステップと、前記第2位置および前記被験者の身体上の前記回避すべき少なくとも1つのエリアに基づいて、前記第2トランスデューサの第2トランスデューサ形状を選択するステップであって、前記第2トランスデューサ形状は、前記第1トランスデューサ形状と同一若しくは鏡像形状、あるいは異なる形状である、ステップと、前記第1トランスデューサ形状、前記第1位置、前記第2トランスデューサ形状、および前記第2位置をユーザーに出力するステップと、を含む。
【0059】
例示的な実施形態16:例示的な実施形態15に係るコンピュータ実装方法であって、前記第1トランスデューサ形状は、略C字形、U字形、丸みを帯びたV字形、または環状の形状を含む。
【0060】
例示的な実施形態17:例示的な実施形態16に係るコンピュータ実装方法であって、第2トランスデューサ形状は、矩形、角を丸くした矩形、略矩形、円形、楕円形、卵形、曲面形、または扁円形である。
【0061】
例示的な実施形態18:例示的な実施形態15に係るコンピュータ実装方法であって、回避すべき少なくとも1つのエリアは、前記被験者の身体の乳房、前記被験者の身体の乳首、前記被験者の身体の耳、前記被験者の身体の眼、前記被験者の身体の手術痕、前記被験者の身体の病変、前記被験者の身体の脇の下、または前記被験者の身体内に配置された化学療法ポートの少なくとも1つを含む。
【0062】
例示的な実施形態19:例示的な実施形態15に係るコンピュータ実装方法であって、前記第1トランスデューサが前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部を覆い、前記第1位置に配置されるのを回避するために、前記被験者の身体の前記第1位置において前記第1トランスデューサ形状を有する前記第1トランスデューサの向きを決定するステップをさらに含む
【0063】
例示的な実施形態20:例示的な実施形態15に係るコンピュータ実装方法であって、前記第1位置または前記第2位置のいずれかが、前記回避すべき少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重なるかどうかを決定するステップと、対応する前記第1位置または第2位置が前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重ならないと判定した場合、前記第1トランスデューサまたは前記第2トランスデューサのいずれかに対してデフォルトのトランスデューサ形状を選択するステップと、対応する前記第1位置または第2位置が前記少なくとも1つのエリアの少なくとも一部と重ならないと判定した場合、前記第1トランスデューサまたは前記第2トランスデューサのいずれかに対してデフォルトのトランスデューサ形状を選択するステップと、をさらに含む。
【0064】
例示的な実施形態21:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記基板の表面積は、約20cm~600cmである。この大きさのトランスデューサ装置は、被験者の身体の胴体に設けられてもよい。
【0065】
例示的な実施形態22:例示的な実施形態1に係るトランスデューサ装置であって、前記基板の表面積は、約20cm~300cmである。この大きさのトランスデューサ装置を被験者の頭部に設けられてもよい。
【0066】
例示的な実施形態23:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、第1表面および第2表面の一方または両方は、波状縁を有する。
【0067】
例示的な実施形態24:例示的な実施形態8に係るアセンブリであって、第1トランスデューサアレイおよび第2トランスデューサアレイに結合するように構成され、第1トランスデューサアレイに第1電圧を与え、第2トランスデューサアレイに第2電圧を与えることが可能な電圧発生器をさらに含む。
【0068】
本開示の任意の見出しまたは任意の部分で示される実施形態は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、同じまたは他の見出しまたは本開示の他の部分で示される実施形態と組み合わせてもよい。例えば、限定ではないが、所与の実施形態について従属請求項形式で説明された実施形態(例えば、独立請求項形式で説明された所与の実施形態)は、他の実施形態(独立請求項形式または従属請求項形式で説明された)と組み合わせてもよい。
【0069】
請求項に定義された本発明の範囲を逸脱することなく、記載された実施形態の多くの修正、変更、および変更が可能である。本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、以下の請求項の言語によって定義される全ての範囲およびそれらの均等物を有することが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】