(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-25
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテルの挿入アセンブリのための封止モジュール及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535635
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 US2022052884
(87)【国際公開番号】W WO2023114324
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA24
4C267BB04
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG04
4C267HH08
4C267HH20
(57)【要約】
封止モジュールを有する迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを含み得る。アクセスガイドワイヤの近位部分は、RICCの一次ルーメン内に配置される。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、イントロデューサ針の針シャフト内に、その針スロットを通って配置される。カプラのカプラハウジングは、封止モジュールの封止モジュールキャビティを含む。封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートは、封止モジュールキャビティ内に挿入される。封止モジュールインサートは、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。方法は、上記のRICCを患者の血管内腔内に挿入することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)挿入アセンブリであって、
一次ルーメンを含むRICCと、
長手方向針スロットを有する針シャフトを含むイントロデューサ針と、
前記RICCの前記一次ルーメン内に配置される近位部分と、前記針スロットを通って前記針シャフト内に配置される遠位部分と、を有するアクセスガイドワイヤと、
前記RICC及び前記イントロデューサ針を互いに結合するカプラであって、
封止モジュールの封止モジュールキャビティを含むカプラハウジングと、
前記封止モジュールキャビティ内に挿入される前記封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートであって、前記RICC挿入アセンブリの1つ以上の状態において、前記封止モジュールインサートが前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、前記イントロデューサ針の近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている、封止モジュールインサートと、を含むカプラと、
を備える、RICC挿入アセンブリ。
【請求項2】
前記封止モジュールインサートは、イントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路を含み、前記封止モジュールインサートが前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、前記イントロデューサ針通路が、前記イントロデューサ針の前記近位部分の周りを封止するように構成され、前記アクセスガイドワイヤ通路が、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを封止するように構成されている、請求項1に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項3】
前記イントロデューサ針通路は、前記イントロデューサ針通路の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフを備え、それによって、前記イントロデューサ針通路の近位端部分及び遠位端部分のみが、前記封止モジュールインサートが前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに前記イントロデューサ針の前記近位部分の周りを封止するように構成されている、請求項2に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項4】
前記アクセスガイドワイヤ通路は、前記アクセスガイドワイヤ通路の少なくとも近位部分に内部リリーフを備え、それによって、前記アクセスガイドワイヤ通路の近位端部分のみが、前記封止モジュールインサートが前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを封止するように構成されている、請求項2または3に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項5】
前記アクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、前記イントロデューサ針通路の中間部分に接続し、それによって、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分が前記針スロットを通って前記針シャフト内に配置されることが可能となる、請求項2から4のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項6】
前記封止モジュールインサートは、前記アクセスガイドワイヤ通路と前記イントロデューサ針通路との間に、前記イントロデューサ針が前記イントロデューサ針通路を通って前記RICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、前記アクセスガイドワイヤが前記アクセスガイドワイヤ通路から前記イントロデューサ針通路内に脱出することを可能にするように構成されている、部分長の長手方向スリットを含む、請求項2から5のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項7】
前記封止モジュールインサートは、前記イントロデューサ針通路と前記封止モジュールインサートの外面との間に、前記イントロデューサ針が前記イントロデューサ針通路を通って前記RICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、前記アクセスガイドワイヤが前記イントロデューサ針通路から脱出することを可能にするように構成されている、全長の長手方向スリットを含む、請求項2から6のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項8】
前記封止モジュールインサート内の前記全長の長手方向スリットは、前記カプラハウジングの長手方向カプラハウジングスロットに開口しており、前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサ針が前記イントロデューサ針通路を通って前記RICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから脱出することを可能にするように構成されている、請求項7に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項9】
前記封止モジュールインサートは、前記封止モジュールインサートと前記カプラハウジングとの間に前記封止モジュールインサート内の前記全長の長手方向スリットと同一の広がりをもつ外部リリーフを備え、前記外部リリーフは、前記アクセスガイドワイヤを前記全長の長手方向スリット内に拘束することなく、前記アクセスガイドワイヤが前記イントロデューサ針通路から脱出することを可能にするように構成されている、請求項8に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項10】
前記封止モジュールインサートは、前記封止モジュールキャビティ内で半径方向に圧縮される、請求項1から9のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項11】
前記封止モジュールインサートは、前記封止モジュールインサートの近位側に位置するフォロアによって、前記封止モジュールキャビティ内で軸線方向に圧縮され、前記封止モジュールキャビティ内での前記封止モジュールインサートの軸線方向圧縮は、次に、前記封止モジュールキャビティ内で前記封止モジュールインサートを半径方向に圧縮する、請求項1から10のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項12】
前記フォロアは、前記カプラハウジングの針ハブレセプタクル内に取り外し可能に配置された、前記イントロデューサ針の針ハブの遠位部分であり、前記針ハブは、シリンジを前記イントロデューサ針に流体接続するためのルアーコネクタを含む近位部分を有する、請求項11に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項13】
前記カプラは、前記針ハブを前記針ハブレセプタクル内でロックするように構成された針ハブロックを備え、前記針ハブロックの一対のロックボタンは、前記カプラの両側面に配置され、前記イントロデューサ針を前記カプラから前記イントロデューサ針通路を通って引き抜くために前記ロックボタンが前記カプラに押し込まれたときに、前記針ハブをロック解除するように構成されている、請求項12に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項14】
前記イントロデューサ針は、前記針シャフトを覆うシースを更に含み、前記シースは、その下に前記針スロットを封止し、前記針スロットは、前記針シャフトの近位部分から遠位の針先端部まで延びている、請求項12に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項15】
前記封止モジュールは、シース開口部の遠位端の下に位置する前記針スロット内に配置されたブレードを備え、前記ブレードは、前記イントロデューサ針が前記カプラから前記イントロデューサ針通路を通って引き抜かれる際に、前記シースを前記針シャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を備え、それによって、前記アクセスガイドワイヤが前記針スロットを経由して前記針シャフトから脱出することが可能となる、請求項14に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項16】
前記ブレードは、前記封止モジュールインサートにオーバーモールドされ、それによって前記ブレードは前記封止モジュールインサートに一体化される、請求項15に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項17】
前記ブレードは、ブレードモジュールのブレードホルダから延びており、前記ブレードモジュールは、前記封止モジュールインサートの封止モジュールインサートキャビティ内に配置される、請求項15に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項18】
前記アクセスガイドワイヤの近位端は、前記カプラハウジングに旋回可能に結合されたスイベルアームに結合され、それによって、前記針シャフト内に配置された前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分とともに、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICCは、少なくとも前記RICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、前記ループ上に配置される、請求項1から17のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項19】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)挿入アセンブリであって、
RICCと、イントロデューサ針と、前記RICC及び前記イントロデューサ針を互いに結合するカプラと、少なくとも前記RICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、前記RICC内及び前記イントロデューサ針内の双方に配置されるアクセスガイドワイヤと、を備え、
前記RICCは、
カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの近位部分に結合されたカテーテルハブと、
1つ以上の延長脚部であって、前記1つ以上の延長脚部のうちの各延長脚部は、その遠位部分によって前記カテーテルハブに結合される、1つ以上の延長脚部と、
1つ以上の延長脚部コネクタであって、前記1つ以上の延長脚部コネクタのうちの各延長脚部コネクタは、前記1つ以上の延長脚部のうちの1つの延長脚部の近位部分の上に位置する、1つ以上の延長脚部コネクタと、を含み、
前記イントロデューサ針は、
針シャフトであって、前記針シャフトの近位部分から遠位針先端部を通って延びる長手方向針スロットを含む、針シャフトと、
前記針シャフトを覆うシースであって、前記シースの近位部分にシース開口部を含む、シースと、
前記針シャフトの前記近位部分及び前記シースの前記近位部分を覆う針ハブと、を含み、
前記カプラは、
カプラハウジングであって、
封止モジュールの封止モジュールキャビティと、
前記封止モジュールキャビティの近位側に位置する針ハブレセプタクルであって、前記針ハブは、前記針ハブレセプタクル内に挿入される、針ハブレセプタクルと、を含む、カプラハウジングと、
前記封止モジュールキャビティ内に挿入される、前記封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートと、
前記カプラハウジングに結合された延長アームであって、前記延長アームは、前記1つ以上の延長脚部コネクタのうちの1つの延長脚部コネクタに接続される延長アームコネクタを含む、延長アームと、を含み、
前記アクセスガイドワイヤは、
前記延長アームコネクタに結合される近位端と、
前記RICCの一次ルーメンに沿って延びる近位部分と、
前記RICCの前記一次ルーメンに沿って、前記RICCの遠位端から、前記針ハブを覆う前記封止モジュール内に入り、前記シース開口部及び前記針スロットの双方を通って前記針シャフト内に入り、前記イントロデューサ針の針ルーメンに沿って延びる、遠位部分と、
前記針先端部のすぐ近位側の前記針ルーメン内に配置され、それにより前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記ループ上には前記RICCが配置される、遠位端であって、前記封止モジュールインサートは、前記封止モジュールインサートが前記針ハブによって前記封止モジュールキャビティ内で圧縮された状態で、前記イントロデューサ針の近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の双方の周りを別々に封止する、遠位端と、を含む、RICC挿入アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテルの挿入アセンブリのための封止モジュール及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中心静脈カテーテル(「CVC:central venous catheter」)は一般的に、セルディンガー法によって患者に導入され、患者の血管系を通して前進させられる。セルディンガー法は、多くのステップ及び医療デバイス(例えば、針、メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ダイレータ、CVC等)を利用する。セルディンガー法は有効であるが、多くのステップに時間がかかり、多くの医療デバイスの取り扱いが厄介であるため、前述の両方が患者の外傷につながる可能性がある。加えて、セルディンガー法の間に交換する必要がある医療デバイスが多いことに起因して、接触汚染の可能性が比較的高い。したがって、CVC等のカテーテルを患者に導入し、患者の血管系を通してカテーテルを前進させることに関与するステップ及び医療デバイスの数を減らす必要がある。
【0003】
本明細書で開示されるのは、迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC:rapidly insertable central catheter」)の挿入アセンブリ及び上記に対処する方法である。特に、本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリは、RICC挿入アセンブリの異なる構成要素をその中に封止するための封止モジュールを含む。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、いくつかの実施形態において、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを備えるRICC挿入アセンブリが開示される。イントロデューサ針は、長手方向針スロットを有する針シャフトを備える。アクセスガイドワイヤは、近位部分及び遠位部分を有する。アクセスガイドワイヤの近位部分は、RICCの一次ルーメン内に配置される。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、針スロットを通って針シャフト内に配置される。カプラは、カプラハウジングを備える。カプラハウジングは、封止モジュールの封止モジュールキャビティを含む。封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートは、封止モジュールキャビティ内に挿入される。封止モジュールインサートは、RICC挿入アセンブリの1つ以上の状態において、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、イントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路を含む。イントロデューサ針通路は、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分の周りを封止するように構成されている。加えて、アクセスガイドワイヤ通路は、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを封止するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、イントロデューサ針通路は、イントロデューサ針通路の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフを備える。イントロデューサ針通路の近位部分と遠位部分との間の内部リリーフによって、イントロデューサ針通路の近位端部分及び遠位端部分のみが、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときにイントロデューサ針の近位部分の周りを封止するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤ通路は、アクセスガイドワイヤ通路の少なくとも近位部分に内部リリーフを備える。アクセスガイドワイヤ通路の近位部分の内部リリーフによって、アクセスガイドワイヤ通路の近位端部分のみが、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときにアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを封止するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、イントロデューサ針通路の中間部分に接続する。アクセスガイドワイヤ通路をイントロデューサ針通路に接続することにより、アクセスガイドワイヤの遠位部分が針スロットを通って針シャフト内に配置されることが可能となる。
【0009】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、アクセスガイドワイヤ通路とイントロデューサ針通路との間に部分長の長手方向スリットを含む。部分長の長手方向スリットは、イントロデューサ針がイントロデューサ針通路を通ってRICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤがアクセスガイドワイヤ通路からイントロデューサ針通路内に脱出することを可能にするように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、イントロデューサ針通路と封止モジュールインサートの外面との間に全長の長手方向スリットを含む。全長の長手方向スリットは、イントロデューサ針がイントロデューサ針通路を通ってRICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤがイントロデューサ針通路から脱出することを可能にするように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサート内の全長の長手方向スリットは、カプラハウジングの長手方向カプラハウジングスロットに開口している。カプラハウジングスロットは、イントロデューサ針がイントロデューサ針通路を通ってRICC挿入アセンブリから引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤがカプラハウジングから脱出することを可能にするように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、封止モジュールインサートとカプラハウジングとの間に封止モジュールインサート内の全長の長手方向スリットと同一の広がりをもつ外部リリーフを備える。外部リリーフは、アクセスガイドワイヤを全長の長手方向スリット内に拘束することなく、アクセスガイドワイヤがイントロデューサ針通路から脱出することを可能にするように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、封止モジュールキャビティ内で半径方向に圧縮される。
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサートは、封止モジュールインサートの近位側に位置するフォロア(follower)によって、封止モジュールキャビティ内で軸線方向に圧縮される。封止モジュールキャビティ内での封止モジュールインサートの軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ内で封止モジュールインサートを半径方向に圧縮する。
【0014】
いくつかの実施形態において、フォロアは、カプラハウジングの針ハブレセプタクル内に取り外し可能に配置された、イントロデューサ針の針ハブの遠位部分である。針ハブは、シリンジをイントロデューサ針に流体接続するためのルアーコネクタを含む近位部分を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、カプラは、針ハブを針ハブレセプタクル内でロックするように構成された針ハブロックを備える。針ハブロックの一対のロックボタンは、カプラの両側面に配置されている。一対のロックボタンは、カプラからイントロデューサ針通路を通ってイントロデューサ針を引き抜くためにロックボタンがカプラに押し込まれたときに、針ハブをロック解除するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針は、針シャフトを覆うシースを更に含み、シースは、その下に針スロットを封止する。針スロットは、針シャフトの近位部分から遠位の針先端部まで延びている。
【0017】
いくつかの実施形態において、封止モジュールは、シース開口部の遠位端の下に位置する針スロット内に配置されたブレードを備える。ブレードは、イントロデューサ針がカプラからイントロデューサ針通路を通って引き抜かれる際に、シースを針シャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を備える。イントロデューサ針がカプラから引き抜かれる際にシースを針シャフトから切り離すことにより、アクセスガイドワイヤが針スロットを経由して針シャフトから脱出することが可能となる。
【0018】
いくつかの実施形態において、ブレードは、封止モジュールインサートにオーバーモールドされ、それによりブレードは封止モジュールインサートに一体化される。
いくつかの実施形態において、ブレードは、ブレードモジュールのブレードホルダから延びている。ブレードモジュールは、封止モジュールインサートの封止モジュールインサートキャビティ内に配置される。
【0019】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤの近位端は、カプラハウジングに旋回可能に結合されたスイベルアームに結合される。アクセスガイドワイヤの近位端をスイベルアームに結合することにより、針シャフト内に配置されたアクセスガイドワイヤの遠位部分とともに、アクセスガイドワイヤにループを形成する。RICCは、少なくともRICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、ループ上に配置される。
【0020】
また、本明細書では、いくつかの実施形態において、RICCと、イントロデューサ針と、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラと、少なくともRICC挿入アセンブリの動作準備完了状態においてRICC内及びイントロデューサ針内の双方に配置されるアクセスガイドワイヤとを備えるRICC挿入アセンブリが開示される。RICCは、カテーテルチューブ、カテーテルチューブの近位部分に結合されたカテーテルハブ、1つ以上の延長脚部、及び1つ以上の延長脚部コネクタを備える。1つ以上の延長脚部のうちの各延長脚部は、その遠位部分によってカテーテルハブに結合される。1つ以上の延長脚部コネクタのうちの各延長脚部コネクタは、1つ以上の延長脚部のうちの1つの延長脚部の近位部分の上に位置する。イントロデューサ針は、針シャフトと、針シャフトを覆うシースと、針シャフトの近位部分及びシースの近位部分を覆う針ハブとを備える。針シャフトは、針シャフトの近位部分から遠位針先端部を通って延びる長手方向針スロットを備える。シースは、シースの近位部分にシース開口部を備える。カプラは、カプラハウジングと、カプラハウジングに結合された延長アームとを備える。カプラハウジングは、封止モジュールの封止モジュールキャビティと、封止モジュールキャビティの近位側に位置する針ハブレセプタクルとを備える。封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートは、封止モジュールキャビティ内に挿入され、針ハブは、針ハブレセプタクル内に挿入される。延長アームは、1つ以上の延長脚部コネクタのうちの1つの延長脚部コネクタに接続される延長アームコネクタを備える。アクセスガイドワイヤは、近位端を有する近位部分と、遠位端を有する遠位部分とを備える。アクセスガイドワイヤの近位端は、延長アームコネクタに結合される。アクセスガイドワイヤの近位部分は、RICCの一次ルーメンに沿って延びる。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、RICCの一次ルーメンに沿って延び、RICCの遠位端から、針ハブを覆う封止モジュール内に入り、シース開口部及び針スロットの双方を通って針シャフト内に入り、イントロデューサ針の針ルーメンに沿って延びる。アクセスガイドワイヤの遠位端は、針先端部のすぐ近位側の針ルーメン内に配置され、それによりアクセスガイドワイヤにループを形成し、ループ上にはRICCが配置される。封止モジュールインサートは、封止モジュールインサートが針ハブによって封止モジュールキャビティ内で圧縮された状態で、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の双方の周りを別々に封止する。
【0021】
また、本明細書では、RICCを患者の血管内腔内に挿入する方法も開示される。本方法は、いくつかの実施形態において、挿入アセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、RICC前進ステップとを含む。挿入アセンブリ取得ステップは、任意で既にその動作準備完了状態にある、RICC挿入アセンブリを取得することを含む。RICC挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを備える。少なくともカプラハウジングの封止モジュールキャビティと封止モジュールキャビティ内に配置されたエラストマー系封止モジュールインサートとの間で形成されたカプラの封止モジュールは、少なくともRICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止する。針経路確立ステップは、イントロデューサ針で皮膚領域から血管内腔への針経路を確立することを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤの遠位部分を、封止モジュール及びイントロデューサ針の針シャフトの長手方向針スロットの双方を通って前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップにおいて、アクセスガイドワイヤの遠位端は、針シャフトの針先端部のすぐ近位側のイントロデューサ針内の位置から血管内腔内に前進させられる。RICC前進ステップは、RICCのカテーテルチューブをアクセスガイドワイヤ上で血管内腔内に前進させ、それによりRICCを血管内腔内に挿入することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、封止モジュールインサート内のアクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、封止モジュールインサート内のイントロデューサ針通路の中間部分に接続する。アクセスガイドワイヤ通路の遠位端をイントロデューサ針通路の中間部分に接続することにより、アクセスガイドワイヤの遠位部分が針シャフトの針スロットを通って針シャフト内に配置されることが可能となる。
【0023】
いくつかの実施形態において、本方法は、イントロデューサ針引き抜きステップをさらに含む。イントロデューサ針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤを血管内腔内の適所に残して、イントロデューサ針をカプラから引き抜くことを含む。イントロデューサ針引き抜きステップは、イントロデューサ針の針ハブをカプラハウジングの針ハブレセプタクルから取り外し、それにより封止モジュールインサートに対する軸線方向圧縮及び半径方向圧縮の双方を除去し、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の封止を解除する。イントロデューサ針引き抜きステップは、カテーテルチューブをアクセスガイドワイヤ上で血管内腔内に前進させるRICC前進ステップの前に実施される。
【0024】
いくつかの実施形態において、本方法は、ロック解除ステップをさらに含む。ロック解除ステップは、カプラの両側面に配置された針ハブロックの一対のロックボタンをカプラ内に押し込んで、針ハブをロック解除することを含む。ロック解除ステップは、イントロデューサ針をカプラから引き抜くイントロデューサ針引き抜きステップの前に実施される。
【0025】
いくつかの実施形態において、イントロデューサ針をカプラから引き抜くイントロデューサ針引き抜きステップは、イントロデューサ針の針スロット封止シースを針シャフトから切り離すことを含む。封止モジュールは、シースを針シャフトから切り離すための遠位向きのブレード縁部とともに、シースのシース開口部の遠位端の下に位置する針スロット内に配置されたブレードを備える。
【0026】
いくつかの実施形態では、針シャフトからシースを切り離すことは、アクセスガイドワイヤが針スロットを経由して針シャフトから脱出することを可能にする。
いくつかの実施形態では、カプラハウジングの長手方向カプラハウジングスロットは、カプラからイントロデューサ針を引き抜くイントロデューサ針引き抜きステップの後、アクセスガイドワイヤがカプラハウジングから脱出することを可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態において、針経路確立ステップは、イントロデューサ針又はイントロデューサ針に流体的に接続されたシリンジ内に血液が逆流することを確実にし、それによって針経路が血管内腔内に延びていることを確認することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法は、血液吸引ステップを更に含む。血液吸引ステップは、カプラからイントロデューサ針を引き抜くイントロデューサ針引き抜きステップの前に、針経路が血管内腔内に延びていることを確認するために、シリンジを用いて血液を吸引することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法は、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップを更に含む。アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブを血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法は、操縦ガイドワイヤ前進ステップと、追加のRICC前進ステップと、操縦ガイドワイヤ引き抜きステップとを更に含む。操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICCの一次ルーメンを経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。別のRICC前進ステップは、カテーテルチューブの遠位部分を、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓の上大静脈(「SVC」)の下部1/3にまで血管内腔内に更に前進させることを含む。操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブを残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0031】
本明細書で提供される構想の、これらの特徴及び他の特徴は、そのような構想の特定の実施形態をより詳細に説明する、添付図面及び以下の説明を考慮することで、当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリの上面図。
【
図2】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリの斜視図。
【
図3】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリの下面図。
【
図4】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのカプラの破断図。
【
図5】いくつかの実施形態による、カプラの別の破断図。
【
図6】いくつかの実施形態による、カプラのさらに別の破断図。
【
図7】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのカプラ、カプラの封止モジュール、及びイントロデューサ針の長手方向断面図。
【
図8】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのカプラ、カプラの封止モジュール、イントロデューサ針、及びアクセスガイドワイヤの長手方向断面図。
【
図9】いくつかの実施形態による、封止モジュールの封止モジュールインサートの近位端の斜視図。
【
図10】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートの遠位端の斜視図。
【
図11】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートの長手方向断面図。
【
図12】いくつかの実施形態による、カプラのカプラハウジングの封止モジュールキャビティ内での封止モジュールインサートの半径方向圧縮を示す図。
【
図13】いくつかの実施形態による、針ハブによる封止モジュールキャビティ内での封止モジュールインサートの軸線方向圧縮を通じた、封止モジュールキャビティ内での封止モジュールインサートの半径方向圧縮を示す図。
【
図14】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートのイントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路に内部リリーフを有した、別の封止モジュールインサートの長手方向断面図。
【
図15】いくつかの実施形態による、封止モジュールの遠位部分の横断面図。
【
図16】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートとカプラハウジングとの間に外部リリーフを有する、封止モジュールの遠位部分の横断面図。
【
図17】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートとカプラハウジングとの間に外部リリーフを有する、カプラ及びその封止モジュールの遠位部分の横断面図。
【
図18】いくつかの実施形態による、第1の形状を有する封止モジュールインサートを示す図。
【
図19】いくつかの実施形態による、第2の形状を有する封止モジュールインサートを示す図。
【
図20】いくつかの実施形態による、第3の形状を有する封止モジュールインサートを示す図。
【
図21】いくつかの実施形態による、カプラハウジングの封止モジュールキャビティ内に配置された第4の形状を有する封止モジュールインサートを示す図。
【
図22】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の上面図。
【
図23】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針のシースを示す図。
【
図24】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の針シャフトを示す図。
【
図25】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのRICCを示す図。
【
図26】いくつかの実施形態による、RICCのカテーテルチューブの遠位部分の詳細図。
【
図27】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の横断面図。
【
図28】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の別の横断面図。
【
図29】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の長手方向断面図。
【
図30】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリを使用する方法の針経路確立ステップを示す図。
【
図31】いくつかの実施形態による方法の血液吸引ステップを示す図。
【
図32】いくつかの実施形態による方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップを示す図。
【
図33】いくつかの実施形態による方法のイントロデューサ針引き抜きステップを示す図。
【
図34】いくつかの実施形態による方法のRICC前進ステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書で開示される特定の実施形態は、本明細書で提供される構想の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、任意選択で、本明細書で開示されるいくつかの他の実施形態のうちのいずれかの特徴と組み合わせるか、又はそれと置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0034】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、これらの用語は、本明細書で提供される構想の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1の、第2の、第3の等)は、概して、特徴又はステップの群における異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用されるものであり、連続性の限定又は数値的限定をもたらすものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。加えて、前述のいずれの特徴又はステップも、特に断らない限り、1つ以上の特徴又はステップを更に含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等のラベルは、便宜上使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を含意することを意図するものではない。代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないことを明確に示していない限り、複数形を含む。
【0035】
「近位」に関して、例えばカテーテルの、「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの部分を含む。同様に、例えばカテーテルの、「近位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えばカテーテルの、「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかし、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0036】
「遠位」に関して、例えばカテーテルの、「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの部分を含む。同様に、例えばカテーテルの、「遠位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えばカテーテルの、「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかし、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0037】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
セルディンガー法に関して上述したように、多くのステップに時間がかかり、多くの医療デバイスの取り扱いが厄介であるため、前述の両方が患者の外傷につながる可能性がある。加えて、セルディンガー法の間に交換する必要がある医療デバイスが多いことに起因して、接触汚染の可能性が比較的高い。したがって、CVC等のカテーテルを患者に導入し、患者の血管系を通してカテーテルを前進させることに関与するステップ及び医療デバイスの数を減らす必要がある。
【0038】
本明細書では、上記に対処するRICCの挿入アセンブリ及び方法が開示される。とりわけ、本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリは、RICC挿入アセンブリの様々な構成要素を該アセンブリにおいて封止するための封止モジュールを備える。例えば、RICC挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを備えることができる。アクセスガイドワイヤの近位部分は、RICCの一次ルーメン内に配置される。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、イントロデューサ針の針シャフト内にその針スロットを通って配置される。カプラのカプラハウジングは、封止モジュールの封止モジュールキャビティを含む。封止モジュールのエラストマー系封止モジュールインサートは、封止モジュールキャビティ内に挿入される。封止モジュールインサートは、封止モジュールインサートが封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。
【0039】
本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリ及び方法の前述の特徴並びに他の特徴は、RICC挿入アセンブリ及び方法の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。しかしながら、RICC挿入アセンブリのRICCは、本明細書に開示されるもののようなカテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得るカテーテルの1つのタイプにすぎないことを理解されたい。実際に、末梢挿入中心静脈カテーテル(「PICC(peripherally inserted central catheter)」)、透析カテーテル等もまた、カテーテル挿入アセンブリ及び方法に組み込まれることができる。
【0040】
RICC挿入アセンブリ
図1~
図3は、いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリ100を示す。
示されるように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサ針104と、アクセスガイドワイヤ106と、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてRICC102、イントロデューサ針104、及びアクセスガイドワイヤ106を一緒に結合するカプラ108とを含む。特に、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、カプラ108に結合され、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、以下に記載されるように、イントロデューサ針104の針ルーメン158内に配置される。これは、RICC102がRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106に、その上にRICC102が配置されるループを形成し、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0041】
RICC挿入アセンブリ100は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてイントロデューサ針104に流体的に結合されたシリンジ110をさらに備えることができる。以下に記載されるように、シース142は、針シャフト140の針スロット148を封止する。特に、シース142は、封止モジュール180の外側で針スロット148を封止する。封止モジュール180は、次に、針スロット148に対して開口するシース142のシース開口部162を覆って封止する。封止モジュール180はまた、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態において、封止モジュールインサート202が封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りも封止する。このような封止により、シリンジ110が後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引できるようになる。
【0042】
図25は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のRICC102を示す。
示されるように、RICC102は、カテーテルチューブ112と、カテーテルハブ114と、1つ以上の延長脚部116と、1つ以上の延長脚部コネクタ118とを含む。
【0043】
図26~
図29は、いくつかの実施形態による、RICC102のカテーテルチューブ112の様々な図を示す。
カテーテルチューブ112は、カテーテルチューブ112の遠位部分の第1のセクション120と、第1のセクション120の近位にあるカテーテルチューブ112の遠位部分の第2のセクション122と、カテーテルチューブ112の第1のセクション120と第2のセクション122との間のテーパ状接合部124とを含む。
【0044】
カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、接合部124の遠位にある第1のセクション120の遠位部分の外径から第1のセクション120の遠位端の外径まで比較的短いテーパを有するカテーテル先端部126を含む。カテーテル先端部126のテーパは、イントロデューサ針104によって確立された針経路の周りにある組織を、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の遠位部分の外径まで即時に拡張するように構成されている。また、
図29に最もよく示されるように、カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、近位部分を含み、この近位部分は、接合部124の遠位部分の穴内に配置されており、かつ溶剤接合、接着剤接合、又は熱溶接等によってその穴に固定的に結合されている。
【0045】
カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第2のセクション122の遠位端から第2のセクション122の近位端までのその長さにわたって一定の外径を含む。カテーテルチューブ112の第2のセクション122の一定の直径は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120及び接合部124による任意の拡張後の、針経路及び標的血管系内への円滑な挿入のために構成されている。カテーテルチューブ112の第2のセクション122の遠位端は、平坦面を有し、この平坦面は、接合部124の平坦面近位端と同一平面上にあり、溶剤接合、接着剤接合、又は熱溶接等によってその近位端に固定的に結合されている。
【0046】
接合部124は、接合部124の近位端から接合部124の遠位端まで、その長さにわたってテーパを含む。接合部124のテーパは、針経路の周りにある組織を、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の近位部分の外径からカテーテルチューブ112の第2のセクション122の外径まで、即時に拡張するように構成されている。接合部124の反ルーメン側表面は、カテーテルチューブ112が針経路に挿入されるときに皮膚に引っ掛かる縁部を生じることなく、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の反ルーメン側表面からカテーテルチューブ112の第2のセクション122の反ルーメン側表面へ滑らかに移行する。縁部が最小限ないし無視できる程度であることに加えて、縁部は、カテーテルチューブ112を形成するポリマー材料のうち溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これにより、カテーテルチューブ112の第1のセクション120から接合部124への移行、及び接合部124からカテーテルチューブ112の第2のセクション122への移行が滑らかになる。特に、接合部124は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さにほぼ相当する長さ、又はカテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さと第2のセクション122の露出部分の長さとの間の長さを有する。このように、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さは、接合部124の長さよりも短く、最大で接合部124の長さにほぼ相当する。
【0047】
カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、第1のデュロメータを有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタン)から形成される。カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2のポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、別のポリウレタン、又はシリコーン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、第1のデュロメータを有する第1のポリウレタンから形成することができ、カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2の異なるポリウレタン(例えば、同じ又は異なるジイソシアネート若しくはトリイソシアネートが、異なるジオール又はトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、同じ又は異なるジオール若しくはトリオールと反応したもの、同じジイソシアネート又はトリイソシアネートが、異なる条件下又は異なる添加物を有する同じジオール又はトリオールと反応したもの等)から形成することができる。実際、ポリウレタンは、室温では相対的に剛性であるが、生体内では体温でより可撓性になり得、これにより血管壁への刺激並びに静脈炎が低減されるという点で、カテーテルチューブ112に好都合である。ポリウレタンはまた、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低くなり得るという点でも好都合である。接合部124は、第1のデュロメータよりも小さく、かつ第2のデュロメータに比べて、大きいか、ほぼ等しいか、又は小さい第3のデュロメータを有する第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料(例えば、更に別のポリウレタン)から形成される。
【0048】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ、及び第3のポリマー材料の第3のデュロメータは、異なるスケールによるもの(例えば、タイプA又はタイプD)であってもよいことを理解されたい。この理解により、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ又は第3のポリマー材料の第3のデュロメータは、第2のデュロメータ又は第3のデュロメータが第1のデュロメータよりも小さい場合に、絶対値的には、第1のポリマー材料の第1のデュロメータよりも小さくない可能性がある。実際に、第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料の硬度は、やはり第1のポリマー材料の硬度よりも低い場合がある。それぞれ0~100の範囲である異なるスケールが、同様の硬度を有する材料の群における別々の材料を特徴付けるように設計されているためである。
【0049】
上述したカテーテルチューブ112の第1のセクション120、カテーテルチューブ112の第2のセクション122、及びカテーテルチューブ112の第1のセクション120と第2のセクション122との間の接合部124によれば、カテーテルチューブ112は、後述するイントロデューサ針104によって確立された針経路内に挿入されたときに、カテーテルチューブ112の座屈を防止するのに十分なカラム強度を有する。また、任意選択でアクセスガイドワイヤ106と組み合わせた、カテーテルチューブ112のカラム強度は、別個の拡張器を用いて針経路周りの組織又は血管系のいかなる血管も予め拡張することなく、患者の血管系を通してカテーテルチューブを前進させるときに、カテーテルチューブ112の座屈を防止するのにも十分である。
【0050】
カテーテルチューブ112及びそのカテーテル先端部126の付加的な構成が考えられ、これらの構成には、単一材料のカテーテルチューブ、カテーテルチューブ112の中間部分若しくはさらにカテーテルチューブ112の近位部分の外径からカテーテル先端部126におけるカテーテルチューブ112の内径まで単一のテーパを有するテーパ付きカテーテルチューブ、本明細書で開示されたものとは異なるテーパ付きカテーテル先端部、又はさらに平らなカテーテル先端部が含まれることを理解されたい。
【0051】
カテーテルチューブ112は、カテーテルチューブ112を通って延びている1つ以上のカテーテルチューブルーメンを含む。しかしながら、通常、マルチルーメンRICC(例えば、2ルーメンRICC、3ルーメンRICC、4ルーメンRICC、5ルーメンRICC、6ルーメンRICC等)において、カテーテルチューブ112の近位端からカテーテルチューブ112の遠位端まで延びているカテーテルチューブルーメンは1つだけである(
図26~
図29を参照)。実際、カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、
図27及び
図29に示されるように、通常、そこを通る単一のルーメンを含む。
【0052】
カテーテルハブ114は、カテーテルチューブ112の近位部分に結合される。カテーテルハブ114は、1つ以上のカテーテルチューブルーメンに数が対応する1つ以上のカテーテルハブルーメンを含む。1つ以上のカテーテルハブルーメンは、カテーテルハブ114の近位端からカテーテルハブ114の遠位端までカテーテルハブ114の全体を通って延びている。
【0053】
1つ以上の延長脚部116の各延長脚部が、その遠位部分によってカテーテルハブ114に結合されている。1つ以上の延長脚部116はそれぞれ、1つ以上の延長脚部ルーメンを含み、この延長脚部ルーメンの数は、1つ以上のカテーテルハブルーメンの数に対応する。1つ以上の延長脚部ルーメンの各延長脚部ルーメンは、延長脚部の近位端から延長脚部の遠位端まで延長脚部全体を通って延びている。
【0054】
1つ以上の延長脚部コネクタ118の各延長脚部コネクタは、1つ以上の延長脚部116のうちの1つの延長脚部の近位部分の上にある。例えば、1つ以上の延長脚部コネクタ118の各延長脚部コネクタは、1つ以上の延長脚部116のうちの1つの延長脚部の近位部分上のルアーコネクタとすることができる。そのような延長脚部コネクタを通して、対応する延長脚部及びその延長脚部ルーメンは、別の医療デバイス及びそのルーメンに接続されることができる。しかしながら、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態では、少なくとも1つの延長脚部コネクタ(たとえば、RICC102の一次ルーメン128の一部を含む延長脚部コネクタ)は、カプラ108のスイベルアーム182のスイベルアームコネクタ194に接続されて、その上のアクセスガイドワイヤ106及びRICC102にループを形成する。
【0055】
示されるように、RICC102は、3つのルーメンのセットを含む3ルーメンRICCである。しかしながら、RICC102は、上述したような3つのルーメンのセットに限定されない。3つのルーメンのセットは、3つのカテーテルチューブルーメン、3つのカテーテルハブルーメン、及び3つの延長脚部ルーメンの流体接続された部分から形成される、一次ルーメン128、二次ルーメン130、三次ルーメン132を含む。一次ルーメン128は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の遠位端に一次ルーメン開口134を有し、一次ルーメン開口134は、カテーテルチューブ112の遠位端及びRICC102の遠位端に対応する。二次ルーメン130は、カテーテルチューブ112の遠位部分の側面に二次ルーメン開口136を有する。三次ルーメン132は、二次ルーメン開口136の近位にあるカテーテルチューブ112の遠位部分の側面に三次ルーメン開口138を有する。
【0056】
図7、
図8、
図22~
図24は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のイントロデューサ針104の様々な図を示す。
示されるように、イントロデューサ針104は、針シャフト140と、針シャフト140を覆うシース142と、針シャフト140の近位部分及びシース142の近位部分の両方を覆うイントロデューサ針104の近位部分内の針ハブ144とを含む。少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、針シャフト140及びシース142は、針ハブ144から、封止モジュール180を通って、カプラハウジング178の遠位端から外に延びている。
【0057】
針シャフト140は、針シャフト140の遠位部分の針先端部146と、針シャフト140の近位部分から針先端部146まで延びている長手方向針スロット148とを含む。
針先端部146は、先端部ベベル152と、先端部ベベル152の近位の一次ベベル154とを有するベベル150を含む。先端部ベベル152の先端部ベベル角度は、一次ベベル154の一次ベベル角度よりも大きく、それにより、ベベル150に針先端部146にわたって滑らかな移行をもたらす。したがって、そのような針先端部は、後述する方法の針経路確立ステップに従って、皮膚の領域から患者の血管内腔内までの針経路を確立するように構成されている。
【0058】
針スロット148は、針シャフト140の近位部分から針先端部146まで延び、それによって、針シャフト140を通る針ルーメンとは対照的に、針シャフト140の長さの大部分に沿って針チャネル156を形成する。針スロット148は、アクセスガイドワイヤ106の外径に従って寸法決めされた幅を有し、これにより、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップが実行されるときに、アクセスガイドワイヤ106が、針シャフト140の近位部分から針先端部146まで通過することが可能になる。
【0059】
針シャフト140が上記の針スロット148を含む一方で、イントロデューサ針104は針ルーメン158を含むが、針ルーメン158は、針シャフト140と針シャフト140を覆うシース142との組合せから生じることを理解されたい。実際、針シャフト140を覆うシース142は、その下に位置する針スロット148を封止して、イントロデューサ針104の針ルーメン158を形成し、シリンジ110が後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引できるようにする。
【0060】
シース142は、シース142の遠位部分のシース先端部160と、シース142の近位部分の側面にシース開口部162とを含む。
シース先端部160は、シース142の遠位部分の外径からシース142の遠位端の外径までの比較的短いテーパを含み、後者は、針シャフト140の遠位部分の外径に相当する。テーパは、針先端部146の一次ベベル154の一次ベベル角度よりも小さいテーパ角度を有し、このテーパ角度は、針先端部146の先端部ベベル152の先端部ベベル角度よりも小さい。このようなテーパを含むシース先端部160は、後述する方法の針経路確立ステップのために、針先端部146からシース本体への滑らかな移行を提供するように構成されている。
【0061】
シース開口部162は、針シャフト140の針スロット148に対して開いており、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部162を通過して針スロット148内に入ることを可能にする。したがって、シース開口部162は、針スロット148の幅にほぼ相当する幅を有し、針スロットは、アクセスガイドワイヤ106の直径に従ってサイズ決めされる。シース開口部162はまた、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部162を通過して針スロット148内に入ることを可能にすると同時に、封止モジュール180のブレード192をシース開口部162の遠位端の下に収容するのに十分な長さを有する。特に、針シャフト140を覆うシース142は、シース開口部162の下を除いて、その下の針スロット148を封止する。しかしながら、封止モジュール180は、針シャフト140及びシース142の近位部分をその中に封止することによって、シース開口部162によって露出される針スロット148を覆って封止し、それによって、シリンジ110が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0062】
シース142又はそのシース本体は、後述する方法の針経路確立ステップに従って、患者の皮膚の領域から血管内腔へのイントロデューサ針104の滑らかで一貫した挿入を容易にするように構成されたポリマー材料から形成される。加えて、ポリマー材料は、後述する方法の血液吸引ステップが行われるとき、針シャフト140の針スロット148の中へのシース142の圧潰に耐えるのに十分なシース142の厚さにおける機械的特性を有する一方で、特に、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップに従って、針シャフト140からシース142を切断することも容易にする。そのようなポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はポリテトラフルオロエチレンを含むことができるが、それらに限定されない。
【0063】
針ハブ144は、針ハブ144の遠位部分にアクセスガイドワイヤチャネル164と、針ハブ144の近位部分に針ハブコネクタ166とを含む。
針ハブ144のアクセスガイドワイヤチャネル164は、アクセスガイドワイヤ106が針ハブ144の上を通過し、アクセスガイドワイヤ106を封止モジュール180のアクセスガイドワイヤ通路190内に導くことを可能にするように構成されている。アクセスガイドワイヤチャネル164は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がアクセスガイドワイヤチャネル164内に位置するように開いている。有利には、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップに従って、イントロデューサ針104がRICC挿入アセンブリ100から引き抜かれるときに、開いたアクセスガイドワイヤチャネル164は、アクセスガイドワイヤ106が定位置に留まることを可能にする。
【0064】
とりわけ、アクセスガイドワイヤチャネル164を含む針ハブ144の遠位部分は、後述する封止モジュール180のフォロアとして構成され得る。フォロアを含む針ハブ144は、カプラハウジング178の針ハブレセプタクル200内に取り外し可能に配置されるように構成されている。以下に記載するように、フォロアは、針ハブ144が針ハブレセプタクル200内に配置されると、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を軸線方向に圧縮する。封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202の軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を半径方向に圧縮する。
【0065】
針ハブコネクタ166は、針ハブ穴168と、針ハブコネクタ166の周りの任意選択の針ハブフランジ170とを含む。
針ハブコネクタ166の針ハブ穴168は、イントロデューサ針104をシリンジ110に流体接続するために、シリンジ110のシリンジ先端部172をその中に受け入れるように構成されている。実際、針ハブ穴168は、その中にシリンジ先端部172を受け入れるように構成されたルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、そのシリンジ先端部172は、ルアーテーパを用いて相補的に構成され得る。
【0066】
針ハブコネクタ166の針ハブフランジ170は、シリンジ110のシリンジ先端部172の周りのねじ山付きカラー176の雌ねじ174と螺合するように構成されている。シリンジ110のねじ山付きカラー176は任意選択であるが、針ハブフランジ170は、有利には、両方が存在する場合、ねじ山付きカラー176の雌ねじ174とのいわゆるルアーロック式接続を提供する。これにより、イントロデューサ針104とシリンジ110との不用意な分離に対する安全性が、別様のルアースリップ型接続によって提供される安全性よりも高くなる。
【0067】
図4~
図8は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のカプラ108の様々な図を示す。
図示したように、カプラ108は、カプラハウジング178、封止モジュール180、及びカプラハウジング178に旋回可能に(swivelably)結合されたスイベルアーム182を備える。
【0068】
カプラハウジング178は、RICC挿入アセンブリ100を用いて、左利きによる静脈穿刺の場合には左手で、又は右利きによる静脈穿刺の場合には右手で、アンダーハンドで(例えば、包み込まれて)又はオーバーハンドで快適に保持されるように構成された卵形の本体を形成するように互いに結合された、2つの成形半体を備える。そのような静脈穿刺をさらに容易にするために、2つの成形半体の各半体の外側は、図示されるように、把持を強化する弓状隆起184などでテクスチャ加工され得る。2つの成形半体の各半体の内側は、図示したように、2つの成形半体が互いに結合されたときに、封止モジュールキャビティ198と、封止モジュールキャビティ198の近位側に針ハブレセプタクル200とを形成する、凹部を備える(
図4~
図8参照。これらの図は、封止モジュールキャビティ198を形成する2つの成形半体のうちの一方の成形半体の凹部に配置された封止モジュールインサート202を含む。
図4~
図8はまた、針ハブレセプタクル200を形成する2つの成形半体のうちの上記成形半体の別の凹部に配置されたイントロデューサ針104の針ハブ144も含む)。加えて、2つの成形半体の各半体は、針ハブロックの一対のロックボタン188のうちの対応するロックボタンのためのロックボタン貫通孔を含む(対応する一対のロックボタン貫通孔を通って延びる一対のロックボタン188については
図3を参照)。とりわけ、カプラハウジング178は、2つの成形半体の間に形成された長手方向のカプラハウジングスロット186を備える。カプラハウジングスロット186は、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップでイントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング178から脱出することを可能にするように構成されている。上記にかかわらず、カプラハウジング178は、1ピース、上記の成形半体とは異なる2ピース、又は3ピース以上から製造され得ることを理解されたい。加えて、ロックボタン188は、
図3に示したものとは異なる形状及び位置で構成され得、任意で針ハブロックをロック及びロック解除するための異なる構成で構成され得る。針ハブロックもまた、レバー、異なるロック、又はスイッチなどの他の手段を通じて実現され得る。
【0069】
封止モジュールキャビティ198は、内部に封止モジュールインサート202を保持するように構成されている。実際、封止モジュールキャビティ198は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態又は1つ以上の動作状態などのRICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態において、内部に配置された封止モジュールインサート202を含む。とりわけ、封止モジュールキャビティ198は、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップでイントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたときに、後述する封止モジュールインサート202がアクセスガイドワイヤ106の脱出のために弛緩し分離することを可能にするために十分な空間を有するようにさらに構成されている。
【0070】
針ハブレセプタクル200は、内部にイントロデューサ針104の針ハブ144を保持するように構成されている。実際、針ハブレセプタクル200は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、内部に挿入された針ハブ144を含む。とりわけ、針ハブ144を針ハブレセプタクル200内でロックするように構成された針ハブロックが、針ハブレセプタクル200の周りに配置されている。針ハブロックの一対のロックボタン188(例えば、ばね式ロックボタン)は、カプラ108の両側面に、詳細にはカプラハウジング178の2つの成形半体のロックボタン貫通孔内に、一対のロックボタン188の各ロックボタンがカプラ108のそのそれぞれの側でカプラハウジング178を通って延びるように、配置されている。ロックボタン188は、カプラ108からイントロデューサ針104を引き抜くためにロックボタン188がカプラ108に押し込まれたときに、針ハブ144をロック解除するように構成されている。針ハブ144の遠位部分が封止モジュール180のフォロアとして構成されている場合、ロックボタン188をロック解除すると、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を圧縮している軸線方向圧縮が直ちに解放され得る。これにより、封止モジュールインサート202が、カプラ108からイントロデューサ針104を引き抜くために弛緩することが可能となる。またこれにより、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップでイントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたときに、アクセスガイドワイヤ106の脱出のために、封止モジュールが分離することも可能となる。
【0071】
図9~
図11、
図14、及び
図18~
図20は、いくつかの実施形態による、封止モジュール180のエラストマー系(例えばシリコーン)封止モジュールインサート202の様々な図を示す。
図12、
図13、及び
図15~
図17は、いくつかの実施形態による、カプラハウジング178の封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールを示す。
【0072】
図示したように、封止モジュールインサート202は、カプラハウジング178の封止モジュールキャビティ198内に配置されるか、又は他の方法で挿入され、そこで封止モジュールインサート202は圧縮されて、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りを封止することができる。実際、封止モジュールインサート202は、封止モジュールキャビティ198内で半径方向に圧縮されるか、又は封止モジュールキャビティ198内で軸線方向及び半径方向の双方に圧縮されて、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りを封止することができる。上記によるイントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りの封止により、シリンジ110は、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することができる。
【0073】
半径方向圧縮の例では、封止モジュールインサート202は、
図12に示すように、封止モジュールキャビティ198内でカプラハウジング178自体によって半径方向に圧縮され得る。このような実施形態を限定することなく、カプラハウジング178の2つの半体は、カプラハウジング178の2つの半体の間に形成された、カプラハウジングスロット186の反対側のヒンジによって二枚貝のように互いに結合され得る。カプラハウジングスロット186にわたる1つ以上のクランプは、カプラハウジング178の2つの半体をともに保持し、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を半径方向に圧縮するのに十分な圧力を加え、封止モジュールインサート202をイントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106のまわりに封止するために、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてクランプされ得る。1つ以上のクランプは、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の動作状態においてクランプを解除されて、半径方向圧縮を緩和し、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたときにアクセスガイドワイヤ106が後述するスリット206,208を通って脱出するために、封止モジュールインサート202が弛緩することを可能にし得る。
【0074】
半径方向及び軸線方向の双方での圧縮の例では、封止モジュールインサート202は、
図13及び
図21に示すように、封止モジュールインサート202の近位側に位置する封止モジュール180のフォロアによって、封止モジュールキャビティ198内で軸線方向及び半径方向の双方に圧縮され得る。このような実施形態を限定することなく、フォロアは、針ハブ144の遠位部分であり得、この遠位部分は、針ハブ144がRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態などにおいて針ハブレセプタクル200内に配置されると、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を軸線方向に圧縮する。封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202の軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を半径方向に圧縮し、それにより封止モジュールインサート202をイントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りに封止する。針ハブ144及び、したがって封止モジュール180のフォロアは、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の動作状態において針ハブレセプタクルから取り外されて、軸線方向圧縮及び半径方向圧縮の双方を緩和し、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたときにアクセスガイドワイヤ106が後述するスリット206,208を通って脱出するために、封止モジュールインサート202が弛緩することを可能にし得る。
【0075】
封止モジュールインサート202、及び封止モジュールインサート202が配置される封止モジュールキャビティ198は、多くの対応する形状のいずれを有することもできる。一例では、封止モジュールインサート202は、円筒状の形状に形成され得、封止モジュールキャビティ198は、内部に封止モジュールインサート202を配置するために対応した形状に形成され得る。
図9、
図10、及び
図18に加えて、このような封止モジュールインサートは、
図12において、針ハブ144又はそのフォロアがない状態で示されており、これは、封止モジュールインサート202は、このような実施形態ではカプラハウジング178自体によって封止モジュールキャビティ198内で半径方向に圧縮され得るためである。別の例では、封止モジュールインサート202は、テーパ付きの円筒状の形状に形成され得、封止モジュールキャビティ198は、内部に封止モジュールインサート202を配置するために対応した形状に形成され得る。このような封止モジュールインサートは、
図13及び
図21に示されているが、
図13の封止モジュールインサート202のテーパ部分は、遠位方向に先細になっており、これに対して
図21の封止モジュールインサート202のテーパ部分は、近位方向に先細になっている。このような実施形態において封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を軸線方向に圧縮することができる針ハブ144又はそのフォロアは、封止モジュールキャビティ198内の封止モジュールインサート202を軸線方向に圧縮するために対応した形状に形成され得る。少なくとも封止モジュールインサート202のさらなる例は、
図19及び
図20に示されており、封止モジュールインサート202は、カプラハウジング178のような卵形であるか、又は卵形の封止モジュールインサート202の錐台である。後述する通路190,204及びスリット206,208は、少なくとも封止モジュールインサート202の形状に従って変化する可能性があることを理解されたい。
【0076】
封止モジュールインサート202は一対の通路190,204を備え、それにより、封止モジュールインサート202は、封止モジュールインサート202がRICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態(例えばRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態又は1つ以上の動作状態)において封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。実際、封止モジュールインサート202の通路190,204は、イントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路190を含む。イントロデューサ針通路204は、封止モジュールインサート202が封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分の周りを封止するように構成されており、アクセスガイドワイヤ通路190は、封止モジュールインサート202が封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止するように構成されている。上記によるイントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りの封止により、シリンジ110は、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することができる。
【0077】
封止モジュールインサート202の近位端及び遠位端の双方を通過するイントロデューサ針通路204とは対照的に、アクセスガイドワイヤ通路190は、封止モジュールインサート202の近位端を通過する。アクセスガイドワイヤ通路190の遠位端は、イントロデューサ針通路204の中間部分に接続し、それによりアクセスガイドワイヤ106の遠位部分が針スロット148を通って針シャフト140内に配置されることを可能にする。実際、アクセスガイドワイヤ通路190は、アクセスガイドワイヤ106を、針ハブ144のアクセスガイドワイヤチャネル164からシース142のシース開口部162及びその下に位置する針シャフト140の針スロット148の双方の中に導くように構成されており、そのため、アクセスガイドワイヤ106は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106の遠位端が針先端部146のすぐ近位側に位置した状態で、イントロデューサ針104内に配置され得る。
【0078】
封止モジュールインサート202は、一対のスリット206,208を含み、それにより、封止モジュールインサート202は、カプラハウジング178の封止モジュールキャビティ198内で弛緩させたときに少なくとも部分的に分離するように構成されている。スリット206,208は、RICC挿入アセンブリ100からイントロデューサ針104を除去するために後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップを実施するとき、イントロデューサ針104が封止モジュールインサート202の少なくともイントロデューサ針通路204から引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤ106がアクセスガイドワイヤ通路190及びイントロデューサ針通路204の双方から脱出することを可能にする。実際、封止モジュールインサート202内のスリット206,208は、部分長の長手方向スリット206と全長の長手方向スリット208とを含み、部分長の長手方向スリット206は、封止モジュールインサート202の全長よりも短いスリット長を有し、全長の長手方向スリット208は、封止モジュールインサート202の長さと等しいスリット長を有する。部分長の長手方向スリット206は、アクセスガイドワイヤ通路190とイントロデューサ針通路204との間にあり、イントロデューサ針104がイントロデューサ針通路204を通ってRICC挿入アセンブリ100から引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤ106がアクセスガイドワイヤ通路190からイントロデューサ針通路204内に脱出することを可能にする。全長の長手方向スリット208は、イントロデューサ針通路204と封止モジュールインサート202の外面との間にあり、イントロデューサ針104がイントロデューサ針通路204を通ってRICC挿入アセンブリ100から引き抜かれた後、続いて、アクセスガイドワイヤ106がイントロデューサ針通路204から脱出することを可能にする。とりわけ、全長の長手方向スリット208は、カプラハウジング178のカプラハウジングスロット186に開口しており、これは、上述したように、イントロデューサ針104がイントロデューサ針通路204を通ってRICC挿入アセンブリ100から引き抜かれた後、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング178から脱出することを可能にするように構成されている。
【0079】
図14は、いくつかの実施形態による、封止モジュールインサート202のイントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路190内に内部リリーフ210及び212を有する封止モジュールインサート202の長手方向断面を示す。
【0080】
示されるように、封止モジュールインサート202のイントロデューサ針通路204は、イントロデューサ針通路204の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフ210を含むことができ、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいてカプラ108及びその封止モジュール180から引き抜かれるときのイントロデューサ針104に対する摩擦を低減する。追加的に又は代替的に、アクセスガイドワイヤ通路190は、アクセスガイドワイヤ通路190の少なくとも近位部分に内部リリーフ212を含むことができ、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップにおいて、カプラ108及びその封止モジュール180内に前進させられるときに、アクセスガイドワイヤ106に対する摩擦を低減する。イントロデューサ針通路204の近位部分と遠位部分との間の内部リリーフ210により、イントロデューサ針通路204の近位端及び遠位端を含むイントロデューサ針通路204の近位端部分及び遠位端部分のみが、封止モジュールインサート202が封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分の周りを封止するように構成されている。アクセスガイドワイヤ通路190の近位部分内の内部リリーフ212により、アクセスガイドワイヤ通路190の近位端を含むアクセスガイドワイヤ通路190の近位端部分のみが、封止モジュールインサート202が封止モジュールキャビティ198内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止するように構成されている。特に、内部リリーフ210及び212は、それぞれ、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106に対するイントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路190の摩擦をそれぞれ低減するように構成されているが、摩擦を低減するために、追加的又は代替的に、封止モジュールインサート202に潤滑剤を使用することができる。
【0081】
図16及び
図17は、いくつかの実施形態による、封止モジュールインサート202とカプラハウジング178との間に外部リリーフがある、封止モジュール180の少なくとも遠位部分の横断面図を示す。
【0082】
図示したように、封止モジュールインサート202は、封止モジュールインサート202とカプラハウジング178との間に外部リリーフ214を備えることができ、外部リリーフ214は、封止モジュールインサート202内の全長の長手方向スリット208よりも短い長さから全長の長手方向スリット208と同一の広がりをもつ長さまでを有する。外部リリーフ214は、アクセスガイドワイヤ106を全長の長手方向スリット208内に拘束することなく、アクセスガイドワイヤ106がイントロデューサ針通路204から脱出することを可能にするように構成されている。
【0083】
図17はまた、いくつかの実施形態による、封止モジュール180のブレードモジュール216の横断面図を示す。
図5~
図8は、いくつかの実施形態による、ブレードモジュール216の他の図を示す。
【0084】
図示したように、ブレードモジュール216は、封止モジュールインサート202の封止モジュールインサートキャビティ218内に配置され、ブレードモジュール216のブレード192はブレードモジュール216のブレードホルダ220から延びている。しかしながら、上記にかかわらず、ブレード192を代わりに封止モジュールインサート202にオーバーモールドすることができ、それにより、ブレードモジュール216を封止モジュールインサートキャビティ218内に配置する代わりに、ブレード192を封止モジュールインサート202に一体化させることができる。いずれにしても、ブレード192又はそのブレード先端部は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、シース開口部162の遠位端の下に位置する針スロット148内に配置される。ブレード192は、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいて、イントロデューサ針104がイントロデューサ針通路204を通ってカプラ108から引き抜かれる際に、シース142を針シャフト140から切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部222を備える。イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれる際にシース142を針シャフト140から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106が針スロット148を経由して針シャフト140から脱出することが可能となる。
【0085】
スイベルアーム182は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において1つ以上の延長脚部コネクタ118のうちの1つの延長脚部コネクタに接続される、スイベルアームコネクタ194を備える。図示していないが、スイベルアームコネクタ194は、スイベルアームコネクタ194内にアクセスガイドワイヤ取付点を含み、アクセスガイドワイヤ取付点には、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106の近位端が取り付けられる。アクセスガイドワイヤ106の遠位端がイントロデューサ針104の針ルーメン158内に配置されていることと相まって、上述したアクセスガイドワイヤ106のループが形成される。有利には、スイベルアーム182は、RICC挿入アセンブリ100で左利きによる静脈穿刺及び右利きによる静脈穿刺の双方に対応するために、ループ又は少なくともそのRICC102の1つ以上の延長脚部116を、RICC挿入アセンブリ100の左手側(sinistral side)とRICC挿入アセンブリ100の右手側(dextral side)との間で反転させるように構成されている。実際、スイベルアーム182は、RICC挿入アセンブリ100で左利きの静脈穿刺に対応するためには、ループを
図1に示したRICC挿入アセンブリ100の左手側からRICC挿入アセンブリ100の右手側に反転させるように構成されている。同様に、スイベルアーム182は、RICC挿入アセンブリ100で右利きによる静脈穿刺に対応するためには、ループをRICC挿入アセンブリ100の右手側からRICC挿入アセンブリ100の左手側に反転させるように構成されている。上記にかかわらず、スイベルアーム182は、1つ以上の延長脚部コネクタ118の上記延長脚部コネクタ及びアクセスガイドワイヤ106の近位端を接続するための延長アームの一例にすぎないことを理解されたい。実際には、スイベルアーム182以外の延長アームの他の形態が考えられ、これには固定位置アームが含まれ、その場合、1つ以上の延長脚部コネクタ118の延長脚部コネクタ及びアクセスガイドワイヤ106の近位端は、RICC挿入アセンブリ100の患者に面する側、RICC挿入アセンブリ100の臨床医に面する側のRICC挿入アセンブリ100の患者に面する側と反対側、RICC挿入アセンブリ100の左手側、又はRICC挿入アセンブリ100の右手側の固定位置に位置し得る。
【0086】
図1,
図2及び
図8は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のアクセスガイドワイヤ106の様々な図を示す。
アクセスガイドワイヤ106は、近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、スイベルアーム182、特に、スイベルアーム182のスイベルアームコネクタ194内のアクセスガイドワイヤ取付点に結合されている。加えて、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、RICC102の一次ルーメン128に沿って延びている。アクセスガイドワイヤ106の遠位部分はまた、RICC102の一次ルーメン128に沿って延びているが、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は更に、RICC102の遠位端から、アクセスガイドワイヤチャネル164によって針ハブ144の上の封止モジュール180内へと延び、シース142のシース開口部162及び針シャフト140の針スロット148との両方を通って針シャフト140内に入り、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてイントロデューサ針104の針ルーメン158に沿って延びている。
図8に示されるように、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、針ルーメン158内で針先端部146のすぐ近位に配置される。再び、アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてアクセスガイドワイヤ106に、その上にRICC102が配置されるループを形成し、それによって、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0087】
アクセスガイドワイヤ106は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分にガイドワイヤ先端部196を含むことができ、ガイドワイヤ先端部は、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成された「J」字形状をとる。そのようなガイドワイヤ先端部は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において真っ直ぐな状態をとり、RICC挿入アセンブリ100の展開状態においてガイドワイヤ先端部196が針先端部146を越えて前進させられる(例えば、血管内腔内に前進させられる)ときに湾曲状態をとる。
【0088】
アクセスガイドワイヤ106はまた、裸ワイヤ部分と、裸ワイヤ部分の遠位にあるか、裸ワイヤ部分の近位にあるか、又はその両方にある巻きワイヤ部分とを含むことができる。図示されていないが、存在する場合、裸ワイヤ部分は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、封止モジュール180のアクセスガイドワイヤ通路190を通って遠位方向に延びており、それにより、封止モジュール180がアクセスガイドワイヤ106の裸ワイヤ部分の周りに流体密封封止を形成する。特に、前述の裸ワイヤ部分は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106の平坦な巻き又は接地された巻き部分であってもよく、平坦な巻き部分は、丸線ワイヤの代わりにテープの巻線を含み、接地された巻き部分は、巻線を平坦にするように接地された丸線ワイヤの巻線を含む。
【0089】
方法
図30~
図34は、いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリ100を使用する方法の様々なステップを示す。
【0090】
図示されるように、RICC挿入アセンブリ100の方法は、RICC102を患者の血管内腔内に挿入するための方法を含む。そのような方法は、挿入アセンブリ取得ステップ、針経路確立ステップ、血液吸引ステップ、アクセスガイドワイヤ前進ステップ、ロック解除ステップ、イントロデューサ針引き抜きステップ、RICC前進ステップ、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップ、操縦ガイドワイヤ前進ステップ、別のRICC前進ステップ、及び操縦ガイドワイヤ引き抜きステップから選択される1つ以上のステップを含む。
【0091】
RICC挿入アセンブリ100が、挿入アセンブリ取得ステップにおいてそれを取得したときに動作準備完了状態にない場合、RICC挿入アセンブリ100は、後続のステップのためにそれを動作準備完了状態にするように調整され得る。
【0092】
上述したように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサ針104と、アクセスガイドワイヤ106と、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてRICC102及びイントロデューサ針104を互いに結合するカプラ108とを備える。繰り返しになるが、少なくともカプラハウジング178の封止モジュールキャビティ198と封止モジュールキャビティ198内に配置された封止モジュールインサート202との間で形成される、カプラ108の封止モジュール180は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを別々に封止する。封止モジュール180内において、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は、針スロット148を通って針シャフト140内に配置される。これは、アクセスガイドワイヤ通路190の遠位端と、封止モジュールインサート202内のイントロデューサ針通路204の中間部分との間の接続によって達成される。
【0093】
図30は、いくつかの実施形態による方法の針経路確立ステップを示す。
針経路確立ステップは、イントロデューサ針104を用いて皮膚の領域から血管内腔への針経路を確立することを含む。針経路確立ステップはまた、血液が、イントロデューサ針104(例えば、イントロデューサ針104の針ハブ144)、イントロデューサ針104に流体接続されたシリンジ110(例えば、シリンジ先端部172、シリンジ110のバレル、若しくはその両方)、又はイントロデューサ針104及びシリンジ110の両方の中に逆流することを確実にし、それによって、針経路が血管管腔の中に延びていることを確認することを含むことができる。血液逆流を強化するために、針経路を確立しながら、シリンジ110を用いてわずかな真空を引くことができる。
【0094】
図31は、いくつかの実施形態による方法の血液吸引ステップを示す。
血液吸引ステップは、イントロデューサ針引き抜きステップにおいてカプラ108からイントロデューサ針104を引き抜く前に、シリンジ110を用いて血液を吸引して、針経路が血管内腔内に延びていることを確認することを含む。また、針シャフト140の上のシース142は、その下の針シャフト140の針スロット148を封止する。特に、シース142は、封止モジュール180の外側で針スロット148を封止する。封止モジュール180は、次に、シース142のシース開口部162を覆って封止し、シース開口部162は、アクセスガイドワイヤ106が、封止モジュールインサート202のアクセスガイドワイヤ通路190から、針スロット148を経由して針シャフト140の中へ通過することを可能にする。封止モジュール180はまた、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止する。このような封止により、血液吸引ステップにおいてシリンジ110が血液を吸引することが可能である。
【0095】
図32は、いくつかの実施形態による方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップを示す。
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、封止モジュール180及び針シャフト140の針スロット148の両方を通って、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分を前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップにおいて、アクセスガイドワイヤ106の遠位端が、針シャフト140の針先端部146のすぐ近位であるイントロデューサ針104内のその初期位置から血管内腔内に前進させられる。
【0096】
ロック解除ステップは、針ハブロックの一対のロックボタン188をカプラ108に押し込んで、針ハブ144をロック解除することを含み、ロックボタン188はカプラ108の両側面に配置されている。ロック解除ステップは、イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くイントロデューサ針引き抜きステップの前に実施される。
【0097】
図33は、いくつかの実施形態による方法のイントロデューサ針引き抜きステップを示す。
イントロデューサ針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を血管内腔内の適所に残して、イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くことを含む。イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くことによって、イントロデューサ針104の針ハブ144をカプラハウジング178の針ハブレセプタクル200から取り外し、それにより封止モジュールインサート202に対する軸線方向圧縮及び半径方向圧縮の双方を除去し、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の封止を解除する。イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くことはまた、イントロデューサ針104の針スロット封止シース142を針シャフト140から切り離すことも含む。上述したように、封止モジュール180は、シース142を針シャフト140から切り離すための遠位向きのブレード縁部222を有する、シース142のシース開口部162の遠位端の下に位置する針スロット148内に配置されたブレード192を備える。シース142を針シャフト140から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106が針スロット148を経由して針シャフト140から脱出することが可能となる。加えて、カプラハウジング178のカプラハウジングスロット186により、イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜いた後、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング178から脱出することが可能となる(例えば、
図34を参照。この図では、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分はカプラ108から完全に脱出しており、アクセスガイドワイヤ106の近位端はスイベルアームコネクタ194内のアクセスガイドワイヤ取付点に依然として取り付けられている)。とりわけ、イントロデューサ針引き抜きステップは、カテーテルチューブ112をアクセスガイドワイヤ106上で血管内腔内に前進させるRICC前進ステップの前に実施される。
【0098】
図34は、いくつかの実施形態による方法のRICC前進ステップを示す。
RICC前進ステップは、RICC102のカテーテルチューブ112をアクセスガイドワイヤ106の上で血管内腔内へ前進させることによって、RICC102を血管内腔内へ挿入することを含む。
【0099】
アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブ112を血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤ106を引き抜くことを含む。
操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICC102の一次ルーメン128を経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させ、患者の心臓のSVCの下部1/3まで操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。
【0100】
別のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ112の遠位部分を、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓のSVCの下部1/3まで血管内腔内に更に前進させることを含む。
操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブ112を残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0101】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される構想の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される構想の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】