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特表2024-544043複数の液体食品を製造するための食品加工システムの構成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】複数の液体食品を製造するための食品加工システムの構成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241120BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525141
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022078827
(87)【国際公開番号】W WO2023072656
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21205678.2
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】キーレン、レイフ
(72)【発明者】
【氏名】レスマン、リサ
(72)【発明者】
【氏名】ゲデンリード、リサ
(72)【発明者】
【氏名】マグヌソン、ティナ
(72)【発明者】
【氏名】ウバイド、モハマド
【テーマコード(参考)】
3C100
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA21
3C100BB01
3C100BB11
3C100EE14
5L050CC04
(57)【要約】
複数の食品(102a、102b)を製造するために食品加工システム(100)を構成するためのコンピュータ実装方法(400)が開示される。この方法(400)は、レシピデータベース(114)から、食品(102a、102b)の数にリンクされた食品加工ステップ(116)を取得すること(402)、前記食品加工ステップ(116)に基づいて、実行スキーム(120)を生成する(404)こと、実行スキーム(120)を仮想食品加工システム(200)上で実行すること(406)であって、前記仮想食品加工システム(200)は、前記食品加工システム(100)に対応し、仮想食品加工システム(200)で実行された実行から仮想プロセス出力データセット(122)を受信すること(408)を備える。前記仮想プロセス出力データセット(122)の受託(124)を受信した場合(410)、前記実行スキーム(120)に従って前記食品加工システムが構成されるように、前記実行スキーム(120)を前記食品加工システム(100)にアップロードする(412)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品(102a、102b)を製造するために食品加工システム(100)を構成するためのコンピュータ実装方法(400)であって、
前記食品加工システム(100)は、食品加工コンポーネント(104a~e)、貯蔵ユニット(106a~c)、ノード(108a~b)及び輸送要素(110a~g)を備え、前記食品加工システム(100)内の少なくとも2つのプロセス経路(PP1、PP2)が設けられ、
当該方法(400)は、
レシピデータベース(114)から、食品(102a、102b)の数にリンクされた食品加工ステップ(116)を取得すること(402)、
前記食品加工ステップ(116)に基づいて、実行スキーム(120)を生成する(404)ことであって、前記実行スキーム(120)は、前記食品加工ステップ(116)のタイムテーブル(300)と、前記食品加工コンポーネント(104a~e)と前記食品加工ステップ(116)との間のリンクテーブル(302)と、前記食品加工コンポーネント(104a~e)、前記貯蔵ユニット(106a~b)及び前記ノード(108a~b)の設定(304)とを備え、
前記実行スキーム(120)を仮想食品加工システム(200)上で実行すること(406)であって、前記仮想食品加工システム(200)は、前記食品加工システム(100)に対応し、仮想食品加工コンポーネント(104a~e)、仮想記憶装置(206a~b)、仮想ノード(208a~b)及び仮想輸送要素(210a~g)を備え、
前記仮想食品加工システム(200)で実行された実行から仮想プロセス出力データセット(122)を受信すること(408)、
前記仮想プロセス出力データセット(122)の受託(124)を受信した場合(410)、前記実行スキーム(120)に従って前記食品加工システムが構成されるように、前記実行スキーム(120)を前記食品加工システム(100)にアップロード(412)すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記食品加工システム(100)が、少なくとも2つのプロセス経路(PP1、PP2)の間で共有される第1のサブシステム群(132、138)と、少なくとも2つのプロセス経路(PP1、PP2)に対して別個のサブシステムが設けられる第2のサブシステム群(134、136)で形成される少なくとも2つのサブシステム(132、134、136、138)を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
仮想プロセス出力データセット(122)を閾値と比較する(414)こと、
をさらに備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記実行スキーム(120)を生成するステップ(404)の前に、一つ又は複数の仮想食品加工コンポーネント(204a~e)を追加又は削除すること(416)、
をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記実行スキーム(120)を生成するステップ(404)の前に、定置洗浄(CIP)ステップを追加又は削除すること(418)、
をさらに備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記実行スキーム(120)を生成するステップ(404)の前に、メンテナンス・ステップを追加又は削除すること(420)、
をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記実行スキーム(120)を生成するステップ(404)の前に、複数の食品(102a、102b)を製造する順序を変更すること(422)、
をさらに備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記実行スキーム(120)が、生ごみ重視の実行スキーム、電気エネルギー重視の実行スキーム、機械故障リスク重視の実行スキーム、最小生産時間重視の実行スキーム、又は洗浄時間重視の実行スキームを備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レシピデータベース(114)は、レシピクラウド(128)に通信可能に接続され、さらに他のレシピデータベースに接続される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
実行スキームデータベース(118)は、実行スキームクラウド(130)と通信可能に接続され、さらに他の実行スキームデータベースと接続される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記食品加工ステップ(116)に基づいて、少なくとも1つの代替実行スキーム(121)を生成すること(424)、
前記仮想食品加工システム(200)上で前記少なくとも1つの代替実行スキーム(121)を実行すること(426)、
前記仮想食品加工システム(200)で実行された実行から、少なくとも1つの代替仮想プロセス出力データセット(123)を取り込むこと(428)、
前記少なくとも1つの代替仮想プロセス出力データセット(123)のうちの1つの代替受け入れ(125)が受信された場合(430)、
前記少なくとも1つの代替実行スキーム(121)のうちの1つを、前記少なくとも1つの代替実行スキーム(121)のうちのこの1つに従って構成されるように、前記食品加工システム(100)にアップロードされる実行スキーム(120)とすること(432)、
をさらに備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサ(140)を備えるデータ処理システム(119)。
【請求項13】
前記データ処理システム(119)は、レシピデータベース(114)及び/又は実行スキームデータベース(118)に通信可能に接続されたデータ処理装置(111)を備える、
請求項12に記載のデータ処理システム(119)。
【請求項14】
前記レシピデータベース(114)は、他のデータ処理システムのレシピデータベースと通信可能に接続されたレシピクラウド(128)と通信可能に接続されており、及び/又は、前記実行スキームデータベース(118)は、他のデータ処理システムの実行スキームデータベースと通信可能に接続された実行スキームクラウド(130)と通信可能に接続されている、
請求項13に記載のデータ処理システム(119)
【請求項15】
プログラムがデータ処理システム(119)によって実行されると、データ処理システムに請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、自動化ソリューションに対する食品メーカーの関心は高まっている。これには多くの理由がある。その理由の一つは、適切な自動化システムによって、食品の安全性が保証されるためである。例えば、酪農場では、高品質の食品加工機器と組み合わせて適切に調整された自動化ソリューションにより、牛乳の各バッチが適切に加熱され、細菌、胞子、その他の不要な微生物が死滅することが保証される。もう一つの理由は、最初の理由と関連しているが、品質の安定性が保証されることである。例えば、酪農場では、自動化システムを導入することで、食品の安全性が保証されると同時に、食品の匂いや味にばらつきがないか、あるいは少なくともわずかな誤差しかないことが保証される。食品の安全性と一貫した製品品質を保証できることは、多くの食品メーカーにとって重要なことである。
【0002】
一貫した適切な製品品質を達成すると同時に、食品の安全性を保証するために作られた自動化システムはよく知られている。また、さまざまな食品を生産する食品生産システム用の自動化システムがあることも知られている。例えば、ヨーグルト、牛乳、クリームなどを製造する食品製造システムにも、現在の自動化システムを使用することができる。複数の製品を次々と生産するための自動化システムがあっても、改善の余地はある。
【0003】
例えば、さまざまな食品の生産される順序は重要である。その理由の一つは、複数の製品の製造順序が、例えば食品廃棄に影響を与えるからである。例えば、プレーンミルクの前にフレーバーミルクを製造すると、一般的に、フレーバーミルクの前にプレーンミルクを製造するよりも多くの食品廃棄物が発生する。その理由は、プレーンミルクの前にフレーバーミルクを製造する場合、プレーンミルクに風味が付かないようにするため、プレーンミルクを製造する前に食品製造システムを洗浄する必要があるからである。逆に、プレーンミルクをフレーバーミルクより先に製造する場合は、同じように洗浄する必要はない。食品製造の洗浄は、食品廃棄物、水の使用、場合によっては洗浄剤の使用につながるため、食品を製造する順番は、コストと環境フットプリント(environmental footprint)の両方に直接影響する。
【0004】
生産のスケジューリング、すなわち将来のタイムスロットでシステムをどのように構成するかを決定する際に考慮すべきもう一つの要因は、メンテナンスや清掃を可能な限り効率的に行う方法である。複数のプロセス経路を持つことで、例えば、システムの別の部分が食品生産に使用されるのと同時に、システムの一部を洗浄することが可能になる。
【0005】
上で説明したように、複数のプロセス経路を備える食品製造システムを有することには、十分な理由がある。しかし、汎用性が高まることの欠点は、システムがより複雑になり、時にはオペレーターにとって見過ごすことが難しくなることである。その結果、スケジューリングが非効率的な方法で行われ、光熱費の非効率的な使用、食品廃棄物の増加、生産時間の長期化を招く可能性がある。
【0006】
以上のことから、安全で効率的な食品生産を保証するために、現在、いくつかの自動化システムが利用可能であるにもかかわらず、複雑なマルチプロセス経路の食品生産システムの効率をさらに向上させるために使用できる自動化システムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の従来技術で特定された限界の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、複数の食品を連続的に、かつ並列的なプロセス経路で製造するように作られた複雑な食品加工システムを効率的に構成するための方法及びシステムを提供することが目的である。
【0008】
第1の態様によれば、複数の食品を製造するために食品加工システムを構成するためのコンピュータ実装方法が提供され、食品加工システムは、食品加工コンポーネント、貯蔵ユニット、ノード及び輸送要素を備え、食品加工システムにおける少なくとも2つのプロセス経路が提供される。本方法は、レシピデータベースから食品の数にリンクされた食品加工ステップを取得すること、食品加工ステップに基づいて実行スキームを生成することであって、実行スキームが、食品加工ステップのタイムテーブルと、食品加工コンポーネントと食品加工ステップとの間のリンクテーブルと、食品加工コンポーネント、貯蔵ユニット及びノードの設定とを備え、仮想食品加工システム上で実行スキームを実行することであって、仮想食品加工システムは、食品加工システムに対応し、仮想食品加工コンポーネント、仮想ストレージユニット、仮想ノード、及び仮想輸送要素を備え、仮想食品加工システムで実行された実行から仮想プロセス出力データセットを受信し、仮想プロセス出力データセットの受け入れを受信した場合、実行スキームに従って食品加工システムが構成されるように、実行スキームを食品加工システムにアップロードすること、を備える。
【0009】
実行スキームのアップロードは、この文脈で広く解釈されるべきである。実行スキームが食品加工システムから離れたサーバで決定される場合、実行スキームはサーバから食品加工システムに転送され、すなわち食品加工システムにアップロードされる。しかし、上記のステップを実行するように構成されたデータ処理装置を食品加工システムに備えることも同様に可能である。この後者の例では、アップロードするステップは、食品加工システムが実行スキームに従って構成されるように、実行スキームを食品加工システムの異なる構成要素に提供すること、すなわち、実行スキーム又は実行スキームの関連部分を食品加工システムの個々の構成要素にアップロードすることであると解釈される。上記に基づき、「実行スキームに従って構成されるように、実行スキームを食品加工システムにアップロードする」ステップは、「実行スキームに従って食品加工システムを構成する」と置き換えることができる。
【0010】
仮想食品加工システムを持つことの利点は、現実の食品加工システムで実施する前に、仮想環境で実行中のスキームを試すことができることである。これは一般的な利点であるが、特に、異なる食品を次々と生産し、また、少なくとも一部が並行する複数のプロセス経路を備えた食品加工システムにとっては利点である。このような複雑な食品加工システムは見過ごすことが難しく、実際の食品加工システムに実行スキームが実装される前に、実行スキームの悪影響が特定されない危険性がある。
【0011】
例えばモノのインターネット(IoT)技術や機械学習(ML)技術を利用することで、異なる食品加工システム間で情報や学習を共有することは、有益と判断された実行スキームが効率的に広まるという点で有利である。しかし、他の食品加工システムで作られた情報や学習を利用することはリスクも伴うため、このリスクを低減するためにさまざまな対策が講じられたとしても、現実世界での実装を行う前に、仮想食品加工システムで実行スキームを試すことが有益であり得る。オペレーターやその他の関係者が、どのように運航計画を設定するかについてアイデアを出す場合も同様である。現実世界のシステムで新しいアイデアを試すためには相当なコストがかかるため、新しいアイデアが試されず、その結果、環境への影響を削減する方法の機会が失われる恐れがある。
【0012】
処理される食品が液状食品である場合、プロセス経路は流路であってもよい。また、プロセス経路が流路として開始し、非流路として終了することも可能である。例えば、液体状のホエイを乾燥させてホエイパウダーにする食品加工システムでは、食品加工システムの最初のステップでは液体食品を扱い、乾燥ステップ後の後工程では非液体食品を扱ってもよい。
【0013】
上記で言及した食品は、脂肪含量、色、粘度などの多数の特徴によって定義される複雑な食品であってもよい。レシピデータベースから食品にリンクされた食品加工ステップを取得する際に、これらの異なる特徴を考慮してもよい。別の言い方をすれば、例として、多数の常温の白乳製品が存在し、それぞれが異なる特徴を有している可能性がある。その結果、異なる常温の白乳製品が異なる食品加工ステップにリンクされる可能性がある。このように複雑な食品を有することによって、全体的なスケジューリングの複雑さが増し、その結果、仮想食品加工システムを有する利点が増す。
【0014】
食品加工システムは、少なくとも2つのプロセス経路間で共有される第1のサブシステム群と、少なくとも2つのプロセス経路に対して別個のサブシステムが設けられる第2のサブシステム群で形成される少なくとも2つのサブシステムを備えてもよい。
【0015】
本方法は、仮想プロセス出力データセットを閾値と比較することをさらに含んでもよい。
【0016】
閾値と比較することの利点は、自動又は手動で、あまり興味のない実行スキームを簡単に破棄できることである。閾値は、例えば、電気エネルギー使用量、蒸気消費量などの現在の値であってもよい。
【0017】
本方法は、実行スキームを生成するステップに先立って、1つ又は複数の仮想食品加工コンポーネントを追加又は削除するステップをさらに含んでもよい。
【0018】
複雑な食品加工システムにおいて、例えば別のタンクを追加する場合や、2つの小さなタンクを1つの大きなタンクに置き換える場合の影響を理解することは、しばしば困難である。実行スキームが生成され、仮想食品加工システム上でテストされる前に変更を加える可能性があることで、そのような影響を簡単に調査することができる。さまざまな食品加工コンポーネントの仮想レプリカを利用できるようにすることで、仮想食品加工システムに新しい食品加工コンポーネントを簡単に追加できる。
【0019】
本方法は、実行スキームを生成するステップの前に、定置洗浄(CIP)ステップを追加又は削除することをさらに備えてもよい。
【0020】
洗浄は、食品の安全性と製品の品質を保証するために必要なものである。しかし、洗浄の頻度や量が多すぎると、環境への影響が必要以上に大きくなる。既存のCIP装置を別の方法で使用する、又はCIP装置を追加又は削除してCIPステップを追加又は削除できる可能性を持ち、洗浄手順を適応させることで、食品加工システムの環境への影響を改善したツールが利用可能になる。
【0021】
この方法は、実行スキームを生成するステップの前に、メンテナンス・ステップを追加又は削除することをさらに備えてもよい。
【0022】
例えば、食品加工システムにおいて摩耗部品を頻繁に交換すると、食品生産者のコストが増大するだけでなく、環境フットプリントも増大する。逆に、摩耗部品の交換頻度が低すぎると、機械が故障し、食品廃棄物やダウンタイムが発生する可能性がある。仮想食品加工システムで実行スキームが生成されテストされる前に、オペレーターによる洗浄ルーチンや、機械的オーバーホールの形のサービス・ステップを含むメンテナンス・ステップを追加又は削除する可能性を提供することによって、よりコスト効率の高い食品生産と、より環境に優しい食品生産をもたらすメンテナンスのバランスを見つけることが可能になる。
【0023】
本方法は、実行スキームを生成するステップの前に、複数の食品を製造する順序を変更するステップをさらに含んでもよい。
【0024】
食品を製造する順序は、コストと環境の両方に影響を与える。例えば、上記で説明したように、順序を変えることで、例えば、フレーバーミルクの前にプレーンミルクを製造する代わりに、その逆を行うことで、洗浄の必要性が減り、コストと環境への影響を低減することができる。順序の変更は、さまざまな方法で行ってもよい。例えば、異なるステップをグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を介してオペレーターに提供し、オペレーターが行うドラッグ・アンド・ドロップ操作によって順序を変更してもよい。
【0025】
実行スキームは、生ごみ重視の実行スキーム、電気エネルギー重視の実行スキーム、機械故障リスク重視の実行スキーム、最小生産時間重視の実行スキーム、又は洗浄時間重視の実行スキームを備えてもよい。
【0026】
上記で説明したように、オペレーター又は食品生産システムの操作に携わる他の人によって変更が行われてもよいが、この目的のために作られたアルゴリズムを使用することによって、実行スキームを自動的に設定してもよい。実行スキームを生成するアルゴリズムへの入力として、オペレーターは、どのような要素を優先させるかについての入力を提供してもよい。例えば、原料価格が大幅に上昇した場合、オペレーターは生ゴミに焦点を当てた実行スキームを要求してもよい。このようなスキームの生成は、例えば、生ごみの削減が、洗浄の必要性の増加及び/又は追加の蒸気消費の代償として行われるように構成されてもよい。
【0027】
最小生産時間重視の実行スキームは、生産時間をできるだけ短縮するように適合させた実行スキーム、すなわち生産時間を最優先する実行スキームである。
【0028】
レシピデータベースは、レシピクラウドに通信可能に接続され、さらに他のレシピデータベースに接続されてもよい。
【0029】
実行スキームデータベースは、実行スキームクラウドに通信可能に接続され、さらに他の実行スキームデータベースに接続されてもよい。
【0030】
本方法は、食品加工ステップに基づいて少なくとも1つの代替実行スキームを生成すること、仮想食品加工システム上で少なくとも1つの代替実行スキームを実行することと、仮想食品加工システムで実行された実行から少なくとも1つの代替仮想プロセス出力データセットをキャプチャすることと、少なくとも1つの代替仮想プロセス出力データセットのうちの1つの代替受け入れが受信された場合に、少なくとも1つの代替実行スキームのうちの1つを、これが少なくとも1つの代替実行スキームのうちの1つに従って構成されるように食品加工システムにアップロードされる実行スキームとすることと、をさらに含んでもよい。
【0031】
上記で説明したように、複数の実行スキームが生成される可能性があり、仮想食品加工システムでどの選択肢を選択して実行するかを決定する前に、複数の選択肢から選択するようユーザーに提供される可能性がある。多くの選択肢を提供することの利点は、オペレーターが行った具体的な要求には沿わないかもしれないが、それでも他の同様の食品加工システムから得られた学習に基づいて、良い選択肢である可能性が非常に高い選択肢をユーザーに提供できることである。
【0032】
実行スキームという言葉は広く解釈されるべきであり、実際の設備に限定する必要はない。例えば、人件費、利用可能な保管スペース、利用可能な人員などの要素も、実行スキームの基礎として使用してもよい。一例として、夜勤の間、利用可能なオペレーターが少ない場合、より多くのオペレーターが利用可能な日勤の間に使用される実行スキームと比較して、異なる実行スキームが使用されてもよい。この文脈では、実行スキームは、運用戦略として理解され得る。
【0033】
第2の態様によれば、第1の態様の方法を実行するように構成されたプロセッサを含むデータ処理システムが提供される。
【0034】
この第2の態様には、第1の態様を参照して上に示したのと同じ利点が適用される。
【0035】
データ処理システムは、レシピデータベース及び/又は実行スキームデータベースと通信可能に接続されたデータ処理装置を備えてもよい。
【0036】
レシピデータベースは、他のデータ処理システムのレシピデータベースと通信可能に接続されたレシピクラウドと通信可能に接続され、及び/又は、実行スキームデータベースは、他のデータ処理システムの実行スキームデータベースと通信可能に接続された実行スキームクラウドと通信可能に接続される。
【0037】
第3の態様によれば、プログラムがデータ処理システムによって実行されると、データ処理システムに第1の態様による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0038】
この第3の態様には、第1の態様に関して上に示したのと同じ利点が適用される。
【0039】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】食品加工システム、仮想食品加工システム、及び仮想食品加工システムを使用して食品加工システムを構成するように配置されたデータ処理システムを概略的に示す図である。
図2】一例として、実行スキーム方式をさらに詳細に示す図である。
図3】食品加工システムを構成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、一例として食品加工システム100が概略的に示されている。この特定の例では、複数の異なる食品102a、102bを製造することができ、本明細書では、サイズの異なる2つのブリック形状のパッケージが例示される。食品加工システム100は、食品加工コンポーネント104a~e、貯蔵ユニット106a~c、ノード108a~b及び輸送要素110a~gを備えることができる。図示されているように、食品加工コンポーネント104a~e、貯蔵ユニット106a~c、ノード108a~b及び搬送要素110a~gは、複数のプロセス経路PP1、PP2が形成されるように配置することができる。異なるプロセス経路を有することにより、食品加工システム100によって多種多様な異なる製品を製造することができるという汎用性が得られるだけでなく、例えば、システム100の一部がメンテナンスの対象であっても食品製造を継続できる。食品102a~bが液体食品の場合、貯蔵ユニット106a~cはタンクであり、ノード108a~bはバルブであり、輸送要素110a~gはパイプであってもよい。
【0043】
プロセッサ140を備えるデータ処理装置111は、食品102a、102bを製造するシステム100を構成するために使用することができる。このような構成のためのプロセスは、要求112が受信されることから開始することができる。この要求は、ユーザインターフェースを介して受信してもよく、データ処理装置111がサーバである場合には、クライアントから要求112を受信することによって受信してもよい。要求112には、様々な形式の様々な種類の情報が含んでもよく、要求から、どの食品を製造するのかを読み取ることができる。
【0044】
要求112が受信されると、レシピデータベース114に、修正なし又は修正ありで送信される。レシピデータベース114は、様々な食品の製造方法に関する情報を含むことができる。例えば、この情報は、製品をどの温度でどの程度の時間加熱するか、製品をどの程度分離するか、食品をどの程度の圧力で均質化するか、どのタイプの包装材料を使用するか、どのタイプのストローを適用するか等に関する情報だけでなく、製品に関連する異なる条件パラメータ、例えば、製品が悪影響を受けることなくタンク内にどの程度の時間保存できるか等に関する情報を含んでもよい。この情報は、本明細書では食品加工ステップ116と呼ばれ、要求112に応答して、食品加工ステップ116がレシピデータベース114からデータ処理装置111に送信される。
【0045】
食品加工ステップ116、すなわち食品がどのように製造されるかの情報を得ると、これらのステップは実行スキームデータベース118に送信される。要求112に関しては、食品加工ステップ116は、修正なしで送信されるか、修正ありで送信されるかのいずれかである。図示されているように、食品加工ステップ116は、レシピデータベース114からデータ処理装置111を経由して、実行スキームデータベース118に送信することができる。図示されていないが、別の選択肢として、食品加工ステップ116をレシピデータベース114から実行スキームデータベース118に直接送信させることもできる。データ処理装置111を中間体として持つ利点は、2つのデータベースが直接通信しないことである。これはデータの完全性の観点から有益であり得る。例えば、レシピデータベース114は企業内で共有され、一方、実行スキームデータベース118は食品加工機器サプライヤー等から提供され、多くの企業間で共有されるデータベースであってもよい。また、データ処理装置111、レシピデータベース114、及び実行スキームデータベース118を異なるユニットとして図示し、本明細書ではこれらをまとめてデータ処理システム119と呼ぶが、他の実装も可能である。例えば、データ処理装置111とレシピデータベース114とを同一のサーバで構成し、実行スキームデータベース118を別のサーバで構成することもできる。また、3つすべてを1つの同じサーバに置くことも可能である。さらに、サーバファームを利用し、適切なハードウェアの選択を外部に委ねることもできる。
【0046】
実行スキームデータベース118に送信された食品加工ステップ116に応答して、実行スキーム120がデータ処理装置111によって受信される。図2に示されるように、実行スキーム120は、食品加工ステップのタイムテーブル300、食品加工ステップと食品加工コンポーネント104a~eとの間のリンクテーブル302、及び食品加工コンポーネント104a~eの設定304を備えてもよい。
【0047】
実行スキーム120は、その後、食品加工システム100のデジタルレプリカ又は別の言い方をすればデジタルツインである仮想食品加工システム200に送信することができる。食品加工システム100と同様に、仮想食品加工システム200は、食品加工システム100によって生産された食品102a~bに対応する仮想食品202a~bを生産することができる。さらに、仮想食品加工システム200は、仮想食品加工コンポーネント204a~e、仮想貯蔵ユニット206~ac、仮想ノード208a~b、及び仮想輸送要素210a~gを備えることができる。仮想食品加工システム200で受信されると、実行スキーム120が実行される。仮想食品加工システム200における実行スキーム120の実行からの出力として、仮想プロセス出力データセット122が生成される。このデータセットは、仮想食品加工システム200における実行スキーム120の実行に関連する任意の情報で構成することができる。仮想食品加工システム200は、食品加工システム100のデジタルレプリカ、又は少なくとも実質的にデジタルレプリカであるため、仮想プロセス出力データ122は、仮想食品加工システム200だけでなく、食品加工システム100、すなわち非仮想食品加工システムにも関連する情報を提供する。仮想食品加工システム200は、食品加工システム100と並行して構築してもよい。例えば、新たな食品加工コンポーネントが食品加工システム100に追加された場合、この食品加工コンポーネントのデジタルレプリカも、仮想食品加工システム200が食品加工システム100と並行してアップグレードできるように、食品加工機器プロバイダから提供され得る。実行スキームデータベース118を多くの食品製造業者間で共有させることにより、特定の食品加工コンポーネントのデジタルレプリカと食品加工コンポーネント自体との間のあらゆる逸脱を、例えば機械学習アルゴリズム又は膨大な量のデータを処理するのに適した他の任意のアルゴリズムを使用して特定し得る。
【0048】
仮想プロセス出力データ122は、電気エネルギー使用量、水使用量、食品廃棄物、包装材料廃棄物、洗浄剤使用量、メンテナンスの必要性、洗浄によるダウンタイム、メンテナンスによるダウンタイムなど、食品加工システム100と同様に、仮想食品加工システム100から抽出され得る任意の情報を備えてもよい。実行スキーム120の効果を理解するには、一般的な理解で十分な場合もあるため、このような場合、仮想食品加工システム200は、食品加工システム100の簡略版であってもよい。効果として、これらの場合、仮想プロセスデータセット122は、食品加工システム100から抽出可能な情報のサブセットを備えてもよい。
【0049】
さらに、仮想プロセス出力データ122は、異なる食品加工コンポーネント、貯蔵ユニットなどに対する経時的な電気エネルギー使用量、蒸気使用量などを備えてもよい。時間的側面を含むことにより、オペレーターは、食品加工システム100において実行スキーム120を使用することの効果をよりよく理解することができる。
【0050】
実行スキーム120に加えて、代替実行スキーム121も生成することができる。実行スキーム120と同様に、代替実行スキーム121を仮想処理システム200に入力し、その見返りとして代替仮想プロセス出力データセット123を受け取ることができる。仮想処理システム200上で2つの実行スキームを実行させることの利点は、オペレーターに1つだけでなく2つの異なる選択肢を提供できることである。1つの代替実行スキームが評価されることが図示されているとしても、1つ以上の代替実行スキームも可能であり、すなわち、2つ以上のオプションがオペレーターに提供され得る。
【0051】
オペレーターが、実行スキーム120にリンクされた仮想プロセス出力データセット122を受入れ可能と判断した場合、受託124を受け取ることができる。同様にして、代替の仮想プロセス出力データセット123が受け入れ可能と判断された場合、代替の受諾125を受け取ることができる。食品加工システム100にアップロードされる実行スキーム120は1つだけであるため、仮想プロセス出力データセット122又は代替仮想プロセス出力データセット123のいずれかが受け入れられることになる。
【0052】
仮想プロセスデータセット122が受け入れられず、代替の仮想プロセスデータセット123が提供され、これも受け入れられない場合、拒否126を受け取ることができる。
【0053】
上述したように、レシピデータベース118は、レシピクラウド128によって例示される他のレシピデータベース、及び最適な設定が提供され得ることを確認するための1つ又はいくつかの参照レシピデータベースに接続されてもよい。このようにレシピデータベース118がレシピクラウド128に接続されることによって、例えば、食品加工機器を最適に設定する方法に関してなされた学習が迅速かつ容易に分配されることを提供する。例えば、食品安全リスクや食品品質の劣化を伴わずに、特定の製品の保持時間を短縮できることが判明した場合、この情報は、参照レシピデータベースの1つから、レシピクラウド128を介して接続されたレシピデータベース114に、容易かつ迅速に配信され得る。
【0054】
同様の方法で、実行スキームデータベース118は、例えば、実行スキーム生成に関連する新たに発見された洞察を容易に配布できるように、実行スキームクラウド130に接続されてもよい。
【0055】
図示されるように、食品加工システム100は、多数のサブシステム、第1のサブシステム132、第2のサブシステム134、第3のサブシステム136、及び第4のサブシステム138を備える。図示されているこの特定の例では、第1のサブシステム132及び第4のサブシステム138は、本明細書では第1のグループと呼ばれ、第1のプロセスパスPP1及び第2のプロセスパスPP2によって共有され得る。第1のグループとは異なり、第2のグループを形成する第2のサブシステム134及び第3のサブシステム136は、第1及び第2のプロセスパスPP1、PP2によって別々に使用される。この特定の例では、第1のプロセスパスPP1は第2のサブシステム134を使用し、第2のプロセスパスPP2は第3のサブシステム136を使用している。これらのサブシステムは、仮想第1サブシステム232、仮想第2サブシステム234、仮想第3サブシステム236及び仮想第4サブシステム238が設けられた仮想食品加工システム200にも反映される。
【0056】
実行スキームに従って食品加工システム100をアップロードして構成した後、センサデータを捕捉するために食品加工システム100にセンサーを設けてもよい。このセンサデータは、フィードバックの目的で使用されてもよい。食品加工システム100からの実際の出力が、仮想プロセス出力データセット122、すなわち仮想加工システム200によって行われた予測出力と一致しないことをセンサデータが示す場合、この実際の出力は、仮想食品加工システム200を改良するために使用されてもよい。逸脱が深刻な場合、すなわち実際の出力が仮想出力データセット122と著しく異なる場合、デバッグを開始するための通知を発行してもよい。さらに、深刻な逸脱が発見された場合、深刻な逸脱の理由が特定され修正されるまで、仮想食品加工システム200を閉鎖してもよい。
【0057】
上述したように、実行スキームは実際の設備に限定される必要はなく、利用可能な保管スペースなどの要素も実行スキームの一部を構成し得る。このように、仮想食品加工システム200にアクセスすることで、保管スペースの利用可能性が重要な要素となる様々な選択肢を評価することが可能となる。例えば、保管スペースの利用可能性が考慮される場合、切り替えが少なく、運用コストは低いが、保管スペースの需要が高い、すなわち保管に広い面積が必要な大規模バッチ生産を含む第1の選択肢と、切り替えが多く、運用コストは高いが、保管スペースの需要が低い小規模バッチ生産を含む第2の選択肢とを比較することができる。運用コスト、保管コスト、さらには、第1の選択肢に従って在庫を多く保つことの効果である、より高い市場サービスレベルの利点に応じて、異なる結果が達成される可能性がある。このように、実行スキームを実際の設備に限定するのではなく、保管スペースなどの要素も考慮することで、食品加工システム100の構成の改善を達成することができる。
【0058】
図3は、一例として、食品加工システム100を構成する方法400を示すフローチャートである。
【0059】
第1のステップ402では、食品102a、102bにリンクされた食品加工ステップ116をレシピデータベース114から検索する。上述したように、このステップは、食品102a~bに関する情報とともに要求112がレシピデータベース114に送信されることをトリガーとしてもよい。
【0060】
第2のステップ404では、食品加工ステップ116に基づいて実行スキーム120を生成する。
【0061】
第3のステップ406では、実行スキーム120を仮想食品加工システム200上で実行する。
【0062】
第4のステップ408では、仮想食品加工システム200における実行スキーム120の実行から生成された仮想出力データセット122を受信する。
【0063】
第5のステップ410において、仮想出力データセット122が受け入れられた場合、すなわち、実行スキーム120に従って食品加工システム100を実行することが適切であると判断された場合、第6のステップ412において、実行スキーム120が食品加工システム100にアップロードされる。
【0064】
オプションとして、第7のステップ414において、仮想データ出力セット122を閾値と比較してもよい。閾値は、例えば環境目標に沿った企業固有の閾値としてもよい。別の選択肢として、閾値を食品加工システムの現在の値として設定させることもできる。この後者の場合、仮想食品加工システム200上でテストされた実行スキーム120が改善をもたらすかどうか、また、生産時間、利用度、電気エネルギー使用量、食品廃棄物など複数の値が提供された場合、どのような方法で実行スキーム120が現在の実行スキームを改善するかを比較によって明らかにする。
【0065】
任意で、第8のステップ416において、仮想食品加工システム200内の仮想食品加工コンポーネントを追加又は削除してもよい。このように仮想食品加工システム200を変更することにより、食品加工システム100への影響を、実世界の加工システムで実施する前に、仮想環境でテストしてもよい。
【0066】
オプションとして、第9のステップ418において、CIPステップを追加又は削除してもよい。この可能性を持つことで、異なるCIPセットアップを、実施前に仮想環境でテストすることができる。CIPステップには、既存のCIP装置をどのように使用するか含んでもよく、CIP装置を追加又は削除することを含んでもよい。
【0067】
オプションとして、第10のステップ420において、メンテナンス・ステップを追加又は削除してもよい。仮想食品加工システム200は、食品加工システム100のデジタルレプリカであるため、仮想食品加工システム200にアクセスできる場合、異なるメンテナンス間隔及び異なるメンテナンスプログラムをテストし、評価してもよい。
【0068】
オプションとして、第11ステップ422において、食品を製造する順序を変更してもよい。この順序を変更する可能性を持つことにより、実際の食品製造のためにどの順序を選択するかを決定する前に、異なる順序を評価してもよい。
【0069】
オプションとして、上記と同様に、第12のステップ424で代替の実行スキーム121を生成してもよい。1つの代替の実行スキーム又は複数の代替の実行スキームであってもよい代替の実行スキーム121を生成した後、第13のステップ426において、これを仮想処理システム200において実行してもよい。仮想食品加工システム200上で実行された実行からの代替の仮想プロセス出力データセット123は、第14のステップ428で取り込んでもよい。第15のステップ430において代替の仮想プロセス出力データセット123の代替の受諾125が受け取られた場合、第16のステップ432において、代替の実行スキーム121が、食品加工システム100が代替の実行スキーム121に従って構成されるように、食品加工システム100にアップロードされる実行スキーム120とされる。
【0070】
オプションとして、第1のステップ402に続いて実行され得る第17のステップ434において、食品にリンクされた注文が受信されてもよい。異なる期間、例えば日単位、週単位、月単位、年単位で生産されるべき異なる製品のいつ、どれだけの量に関する情報を提供し得る注文に基づいて、食品加工システム100の予測される利用可能性、予測される利用可能な貯蔵スペース等に基づいて、注文をどのように分割するかを決定することができる。オーダーをサブオーダーに分割した後、異なるサブオーダーのための実行スキームを決定してもよい。
【0071】
上記のステップはある順序で示されているが、他の順序であってもよい。
【0072】
上記では液体食品を例に挙げたが、上記に示した原理及び開示は、そのような液体食品に限定されるものではなく、粉末製造、チーズ製造、アイスクリーム製造など、他の種類の食品にも適用することができる。さらに、本原理は、連続生産とバッチ生産の両方に、またディスクリート製品(discrete products)と非ディスクリート製品(non-discrete products)の両方に適用してもよい。
【0073】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】