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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】セラミックプリントヒューズ製造物
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/046 20060101AFI20241120BHJP
   H01H 85/08 20060101ALI20241120BHJP
   H01H 69/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01H85/046
H01H85/08
H01H69/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531703
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022025535
(87)【国際公開番号】W WO2023099029
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】17/538,438
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】テンカライ ナラヤナン,ヴェンカット ラマン
(72)【発明者】
【氏名】ホルキー,ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,ロバート スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】トゥルブロウスキー,ジョン
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA04
5G502BB01
5G502BB03
5G502BB13
5G502BB15
5G502BC03
5G502BD03
5G502JJ01
(57)【要約】
プリントヒューズ製造物が提供される。プリントヒューズは、低熱伝導率セラミック基板と、基板上にプリントされた可融要素とを含む。基板上にプリントされた可融要素は、増加したプリントされた厚さの部分によってそれぞれ分離された、可融要素の可融動作のための弱い部分を画定する、減少したプリントされた厚さの一連の部分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;及び
前記基板上にプリントされた可融要素であって、前記可融要素は、増加したプリントされた厚さの部分によってそれぞれ分離された減少したプリントされた厚さの一連の部分を含み、前記減少したプリントされた厚さの部分は、前記可融要素の可融動作のための弱い部分を画定する、可融要素;
を有する、
プリントヒューズ製造物。
【請求項2】
前記可融要素は銀を含む、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項3】
前記弱い部分は約10ミクロンの厚さを有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項4】
前記基板は約1.2mmの厚さを有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項5】
前記弱い部分のみの下にある第1の誘電体層をさらに有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項6】
前記第1の誘電体層はガラスである、
請求項5に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項7】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は、約12ミクロンの厚さを有する、
請求項5に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項8】
前記基板は低熱伝導率基板である、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項9】
前記低熱伝導率基板は実質的に24W/m/K未満の熱伝導率を有する、
請求項8に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項10】
前記低熱伝導率基板は約5W/m/K以下の熱伝導率を有する、
請求項9に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項11】
前記基板はステアタイトである、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項12】
前記基板はフォルステライトである、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項13】
前記基板は、長さ寸法及び幅寸法を有し、前記弱い部分は、前記基板の前記幅寸法よりも実質的に小さい幅寸法で延びる、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項14】
前記弱い部分の各々は、前記幅寸法において各々が約5mm以下である分離された複数の部分として前記幅寸法に延びる、
請求項13に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項15】
前記分離された複数の部分は、前記長さ寸法において約1mm延びる、
請求項14に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項16】
消弧フィラー材料が、前記分離された複数の部分の間に延びる、
請求項15に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項17】
前記弱い部分は、前記ヒューズの定格電流の800%である電流に対して約20ms以下の融解時間で開く、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項18】
前記弱い部分は、前記ヒューズの定格電流の800%である電流に対して約10ms以下の融解時間で開く、
請求項17に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項19】
前記ヒューズは、少なくとも300Vの定格電圧を有する、
請求項18に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項20】
前記ヒューズは、400Aの定格電流を有する、
請求項19に記載のプリントヒューズ製造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、概して電気回路保護ヒューズに関し、より具体的には、電動車両(EV)の高電圧直流(DC)電力システム用のセラミック基板上のプリントヒューズ製造物(printed fuse fabrications)に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズは、電気回路に対する損失の大きい損傷を防止するための過電流及び短絡保護デバイスとして広く使用されている。ヒューズ端子は、典型的には、電力源又は電源と、電気回路に配置された電気コンポーネント又はコンポーネントの組合せとの間の電気接続を形成する。ヒューズ端子間には、1つ又は複数の可融(fusible)リンク若しくは可融要素、又はヒューズ素子アセンブリが接続されており、ヒューズを流れる電流が所定の制限を超えると、可融要素が溶融し、ヒューズを介して1つ又は複数の回路を開き、電気コンポーネントの損傷を防止する。
【0003】
高電圧直流電力システムは、ヒューズパッケージの小型化及び軽量化がますます要求される市場において、ヒューズ製造業者に特別な課題をもたらす。少ない物理的空間での高電圧大電流用途において、所望のヒューズ開放時間(fuse opening times)を実現し、ますます厳しいアークエネルギーを管理することは、達成することが困難である。比較的極端な周期的電流負荷を伴う特定のタイプのDC電力システムは、ヒューズの早期故障をもたらす傾向があるという更なる課題を課す。EV電力システムの文脈において、早期ヒューズ故障は本質的に問題であり、改善が望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
非限定的かつ非網羅的な実施形態が、以下の図を参照して説明され、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図面全体を通じて同様の部分を指す。
【0005】
図1】電力システムにおいて生成される例示的な過渡電流パルスプロファイルを示す。
【0006】
図2A】既知の電力ヒューズの斜視図である。
【0007】
図2B図2Aに示される電力ヒューズのヒューズ素子アセンブリの斜視図である。
【0008】
図2C図2Bに示されるヒューズ素子アセンブリの弱い部分の概略図である。
【0009】
図2D】負荷電流サイクリング事象下における図2Bに示されるヒューズ素子アセンブリの弱い部分を示す概略図である。
【0010】
図2E】負荷電流サイクリング事象後に故障する図2Bに示されるヒューズ素子アセンブリの弱い部分を示す概略図である。
【0011】
図3】例示的な電力ヒューズの部分斜視図である。
【0012】
図4】例示的なヒューズ素子アセンブリの一部の断面拡大図である。
【0013】
図5】導体を弱い部分に取り付ける概略図である。
【0014】
図6】ヒューズ素子アセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
【0015】
図7図6に示すヒューズ素子アセンブリを含む電力ヒューズの代替実施形態である。
【0016】
図8】弱い部分を覆う第2の誘電体層の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電動車両技術における最近の進歩は、ヒューズ製造業者に特有の課題を提示している。電動車両製造業者は、従来の車両用配電システムよりもはるかに高い電圧で動作する配電システムのための可融回路保護を求めていると同時に、電動車両の仕様及び需要を満たすためにより小さなヒューズを求めている。
【0018】
従来の内燃エンジンを動力源とする車両用の電力システムは、比較的低い電圧、典型的には約48VDC以下で動作する。しかしながら、本明細書において電動車両(EV)と呼ばれる電動車両のための電力システムは、はるかに高い電圧で動作する。EVの比較的高い電圧システム(例えば、200VDC以上)は、一般に、バッテリが電源からより多くのエネルギーを貯蔵し、内燃エンジンで使用される12ボルト(V)又は24Vでエネルギーを貯蔵する従来のバッテリ及びより最近の48V電力システムよりも低い損失(例えば、熱損失)で車両の電気モータにより多くのエネルギーを提供することを可能にする。
【0019】
EVの相手先ブランド製造業者(OEM)は、全バッテリ電動車両(BEV)、ハイブリッド電動車両(HEV)及びプラグインハイブリッド電動車両(PHEV)において電気負荷を保護するために回路保護ヒューズを使用する。各EVタイプにわたって、EV製造業者は、所有コストを削減しながら、充電1回あたりのEV走行距離を最大化しようとしている。これらの目標を達成することは、EVシステムのエネルギー貯蔵と電力供給に加えて、電力システムに搭載される車両コンポーネントのサイズ、体積、質量に依存する。より小型でより軽い車両は、より大型でより重い車両よりも、これらの要求をより効果的に満たす。そのため、すべてのEVコンポーネントは、現在、潜在的なサイズ、重量、コスト削減について精査されている。
【0020】
一般的に、より大きなコンポーネントは、関連する材料コストが高くなる傾向があり、EVの全体的なサイズを大きくしたり、縮小する車両体積の中で過度のスペースを占有したりする傾向があり、1回のバッテリ充電当たりの車両走行距離を直接減少させる大きな質量を導入する傾向がある。しかし、既知の高電圧回路保護ヒューズは、比較的大きく、比較的重いコンポーネントである。歴史的に、そして正当な理由から、回路保護ヒューズは、低電圧システムとは対照的に、高電圧電力システムの要求を満たすためにサイズを大きくする傾向がある。そのため、高電圧EV電力システムを保護するために必要な既存のヒューズは、従来の内燃エンジン動力車両の低電圧電力システムを保護するために必要な既存のヒューズよりもはるかに大きい。回路保護性能を犠牲にすることなく、EV製造業者のニーズを満たすために、より小型でより軽い高電圧電源ヒューズが望まれている。
【0021】
最先端のEVの電力システムは、450VDC以上の高電圧で動作し得る。増加した電力システム電圧は、望ましくは、バッテリ充電当たりより多くの電力をEVに供給する。しかしながら、このような高電圧電力システムにおける電気ヒューズの動作条件は、低電圧システムよりもはるかに厳しい。具体的には、ヒューズが開くときの電気アーク放電条件に関する仕様は、特に、電気ヒューズのサイズの縮小に対する業界の選好と相まって、高電圧電力システムに対して満たすことが特に困難である可能性がある。また、最新技術のEVによって電力ヒューズに課される電流サイクル負荷は、従来のヒューズ素子(fuse element)の早期故障につながる可能性のある機械的歪み及び摩耗を課す傾向がある。既知の電力ヒューズは、現在、最新技術のEV用途の高電圧回路でEV OEMが使用するために利用可能であるが、EV用の高電圧電力システムの要件を満たすことができる従来の電力ヒューズのサイズ及び重量は、コストは言うまでもなく、新しいEVに実装するには非現実的に高い。
【0022】
ヒューズ素子が高電圧で動作するときに許容可能な遮断性能を提供しながら、最新技術のEV電力システムの高電流及び高バッテリ電圧を処理することができる比較的小さな電力ヒューズを提供することは、控えめに言っても困難である。最近、ヒューズの動作における増加したアークエネルギー量を処理することができ、所望の回路保護性能を提供することができるEV電力システムに使用するために、より小さなパッケージサイズでより高い電流能力を有するヒューズ及びヒューズ素子を改善する努力がなされている。このような改善されたヒューズは、アークバリア材料及びシリケートフィラー材料(silicated filler materials)の特定の適用と並行して接続されたスタンピングされて成形された(stamped and formed)ヒューズ素子を含む。しかしながら、ヒューズ素子を形成するためのスタンピング(stamping)工程は、EV電力システムにおいて極端な熱サイクルにさらされると、ヒューズ素子を早期の機械的故障に対して脆弱にする。これは、当技術分野においてヒューズ疲労と呼ばれることがある。
【0023】
セラミック材料基板上のプリント(プリントされた)ヒューズ製造物が、電動車両における最新技術のDC電力システムの特定のニーズを満たすために新たな関心を集めている。セラミック基板上にヒューズ素子をプリントすることにより、EV電力システムの負荷サイクルにおける熱機械的疲労、及び自立(freestanding)金属ヒューズ素子内のスタンピング又はパンチング工程を介して代替的に形成されるヒューズ素子において望ましくない形で発生することが分かっているヒューズの関連する妨害動作を有利に回避することができる。プリントヒューズ素子と自立導体材料との組み合わせが提案され、EV電力システム用途に対してある程度の成功を収めている。例えば、米国特許第11,087,943号を参照されたい。これらは、熱機械的サイクルに起因するヒューズ疲労に影響されない方法でEV電力システムにおいて確実に実行することができるが、回路保護性能を損なうことなく、より小さく、より複雑でないヒューズ素子が望まれる。したがって、当該技術分野における長年の及び満たされていないニーズを満たすために、改善が必要である。
【0024】
本発明を最大限に理解するために、以下に、電力ヒューズに関する最新技術及びEV電力システムの用途において提示される課題についての議論を示し、その後に、既存のヒューズ解決策の欠点を克服する本発明の例示的な実施形態を示す。EV用途及びヒューズの特定のタイプ及び定格に関連して説明されるが、本開示の利点は、EV用途又は説明される特定の定格に必ずしも限定されない。むしろ、本開示の利点は、多くの異なる電力システム用途により広く生じると考えられ、本明細書で説明されるものと同様又は異なる定格を有する異なるタイプのヒューズを構築するために、部分的又は全体的に実施することもできる。方法の態様は、以下の議論において、部分的に明らかであり、部分的に明示的である。
【0025】
図1は、従来の電力ヒューズ、特に、スタンピングされた弱い部分を含むその中のヒューズ素子を、負荷電流サイクル疲労に影響を受けやすい状態にすることができるEV電力システム用途における例示的な電流駆動プロファイル100を示す。電流は図1の縦軸に沿って示され、横軸に沿って時間が示されている。典型的なEV電力システム用途において、電力ヒューズは、電気故障状態から電気負荷への損傷を防止するための回路保護デバイスとして使用される。電力システムは、500Vを超える電圧及び/又は150アンペア(A)を超える電流で動作し得る。図1の例を考慮すると、EV電力システムは、比較的短い時間にわたる電流負荷の大きな見かけ上ランダムな変動、例えば、-250Aから150Aの間を経験する。電流の見かけ上ランダムな変動は、EV車両の運転者の行動、交通状況、及び/又は道路状況に基づく見かけ上ランダムな運転習慣によって引き起こされるシーケンスにおいて、様々な大きさの電流パルスを生成する。これは、EV駆動モータ、一次駆動バッテリ、及びシステムに含まれる任意の保護電力ヒューズに、実質的に無限の電流負荷サイクルを作り出す。
【0026】
このようなランダムな電流負荷条件は、図1の電流パルスプロファイルに例示されており、EVの加速(バッテリの消耗に対応)とEVの減速(回生バッテリ充電に対応)の両方に対して、本質的に周期的である。この電流の周期的な負荷は、ジュール効果加熱プロセスによって、ヒューズ素子、より具体的には、電力ヒューズ内のヒューズ素子アセンブリの弱い部分に熱サイクル応力(thermal cycling stress)を与える。このヒューズ素子の熱サイクル負荷は、特にヒューズ素子の弱い部分に機械的な膨張及び収縮サイクルを与える。ヒューズ素子の弱い部分のこの繰り返しの機械的な周期的な負荷は、時間の経過とともに弱い部分を破壊のポイントに損傷する蓄積する歪み(accumulating strain)を与える。本説明の目的のために、この熱機械的プロセス及び現象は、本明細書ではヒューズ疲労と呼ばれる。以下にさらに説明するように、ヒューズ疲労は、主に、ヒューズが駆動プロファイルに耐えるときのクリープ歪みに起因する。ヒューズ素子の弱い部分で発生する熱が、ヒューズ疲労の開始につながる主要なメカニズムである。
【0027】
図2Aは、EV電力システムで使用するために提案される例示的な高電圧電力ヒューズ200を示す。電力ヒューズ200は、ハウジング202と、ライン(line)及び負荷側回路に接続するように構成された端子ブレード204,206と、エンドプレート226,228に設けられた端子接触ブロック222,224を介して端子ブレード204,206間の電気的接続を完了するヒューズ素子アセンブリ208とを含む。所定の電流条件にさらされると、ヒューズ素子アセンブリ208の少なくとも一部が溶融、分解、又はその他の方法で構造的に破損し、端子ブレード204,206間の回路経路を開く。したがって、負荷側回路は、ライン側回路から電気的に絶縁され、電気的故障状態が発生したときに負荷側回路コンポーネントを損傷から保護する。
【0028】
図2Bは、電力ヒューズ200のヒューズ素子アセンブリ208をさらに詳細に示す。ヒューズ素子アセンブリ208は、概して、導電性材料の自立ストリップから、傾斜部分242,244によって接続された一連の同一平面(co-planar)部分240に形成される。傾斜部分242,244は、平面部分240から平面外に形成される又は曲げられる。
【0029】
図示の例では、平面部分240は、当技術分野では弱い部分と呼ばれる断面積が減少した複数の部分を画定する。弱い部分241は、平面部分240の開口部によって画定される。弱い部分241は、隣接する開口部間の平面部分240の狭い部分に対応する。弱い部分241の断面積が減少すると、電流がヒューズ素子アセンブリ208を流れるときに、ヒューズ素子アセンブリ208の残りの部分よりも高い熱集中が発生する。
【0030】
ヒューズ素子アセンブリ208の弱い部分241は、通常、金属スタンピング又はパンチング工程によって製造される。しかし、弱い部分241を形成するためのそのようなスタンピング又はパンチングされたヒューズ素子は、上述の種類の周期的電流負荷を有するEV用途には不利であることが分かっている。そのようなスタンピング又はパンチングされたヒューズ素子の設計は、望ましくないことに、ヒューズ素子の弱い部分241に機械的歪み及び応力をもたらし、その結果、寿命が短くなる傾向がある。この短いヒューズ寿命は、弱い部分241におけるヒューズ素子の熱機械的疲労サイクルから生じる厄介なヒューズ動作の形で現れる。
【0031】
図2Cは、開口部252が金属板250にパンチングされた後の金属板250の断面図を示す。パンチング又はスタンピング工程の後、微小引き裂き(micro tears)254が開口部252の境界256に沿って生じる。
【0032】
図2D及び図2Eに示すように、ヒューズ素子アセンブリ208の弱い部分241は、繰り返しの高電流パルス及び周期的電流事象(図2D)を経験し、これは、粒界破壊とその後の亀裂の伝播からの金属疲労と、弱い部分241におけるヒューズ素子アセンブリ208の故障につながる(図2E)。ヒューズ素子アセンブリ208の機械的拘束(mechanical constraints)は、スタンピングされたヒューズ素子の設計及び製造に固有のものであり、これは、残念ながら、繰り返しの負荷電流サイクル中に弱い部分241の面内座屈を促進することが分かっている。この面内座屈は、隣接する金属粒子間で分離又は滑りが生じる金属粒界への損傷の結果である。弱い部分241のこのような座屈は、時間の経過とともに生じ、過渡電流パルスが大きいほど加速され、より顕著になる。過渡電流パルスの加熱-冷却デルタ(heating-cooling delta)が大きいほど、機械的影響が大きくなり、したがって、弱い部分241の面内座屈変形が大きくなる。
【0033】
過渡電流パルスの加熱効果によって引き起こされる金属の繰り返しの物理的機械的操作は、次に、金属ヒューズ素子の粒子構造の変化を引き起こす。これらの機械的操作は、金属を加工すること(working)と呼ばれることがある。金属の加工は、隣接する粒子が隣接する粒子に強く拘束される粒界の強化を引き起こす。金属の過剰加工は、粒界の破壊をもたらし、粒子が互いにすべり、すべり帯又はすべり面と呼ばれるものを引き起こす。この粒子間のすべりと分離は、電流パルスの加熱効果を増加させることによって疲労プロセスを加速する電気抵抗の局所的な増加をもたらす。すべり帯の形成は、疲労亀裂が最初に発生する場所である。
【0034】
理解されるように、ヒューズ素子アセンブリ208を形成するために金属をスタンピング又はパンチングする製造方法は、弱い部分241を形成するスタンピング工程は、せん断及び引き裂きの機械的工程であるため、ヒューズ素子の弱い部分241のすべてのスタンピングされた縁部に局所的なすべり帯を発生させる。この引き裂き工程は、多くのすべり帯領域を有する弱い部分241にプレストレスを与える。すべり帯及び疲労亀裂は、熱効果による上述の座屈と相まって、最終的には、電気的故障状態とは無関係な弱い部分241の早期の構造的故障につながる。電力システムにおける問題のある電気的状態に関係しないこのような早期故障モードは、ヒューズの妨害動作と呼ばれることがある。ヒューズに接続された回路は、一度ヒューズ素子が故障すると、ヒューズが交換されるまで動作可能にならないため、このような妨害動作を回避することは、EV電力システムにおいて、EV製造業者及び消費者の両方の観点から非常に望ましい。実際、EV車両及びその電力システムへの関心が高まっていることを考えると、ヒューズ疲労の影響は、車両設計における負の重要品質特性(Critical to Quality)(CTQ)属性とみなされる。
【0035】
図3は、ハウジング308内の素子アセンブリ302を含む代替電力ヒューズ300を示しており、端子ブレード304,306は、電力ヒューズ300をライン及び負荷側回路に接続するように構成されている。ヒューズ素子アセンブリ302の電気的接続は、エンドプレート332,334及び端子ブレード304,306に設けられた端子接触ブロック322,324を介して完了する。所定の電流条件にさらされると、ヒューズ素子アセンブリ302の少なくとも一部が溶融、分解、又はその他の方法で構造的に破損し、端子ブレード304,306間の回路経路を開く。したがって、負荷側回路はライン側回路から電気的に絶縁され、電気的故障状態が発生したときに負荷側回路コンポーネントを損傷から保護する。
【0036】
ヒューズ疲労問題に対処するために、各ヒューズ素子アセンブリ302は、基板310と、基板上にプリントされた複数の弱い部分312と、基板310に組み立てられて基板と相互接続する別個に設けられた自立導体314とを含む。詳細については、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第11,087,943号を参照されたい。有利なことに、ヒューズ素子アセンブリ302は、構造のどこにもスタンピング又はパンチングされた弱い部分(又は関連する材料プロセスの引き裂き又は剪断)を含まず、したがって、電力ヒューズ200は、スタンピング又はパンチングされた弱い部分に関連するヒューズ疲労問題の影響を受けない。したがって、電力ヒューズ300は、電力ヒューズ200よりもEV電力システム用途に適しているが、ヒューズの製造は比較的複雑である。より単純だが信頼性の高いヒューズの製造が望まれている。
【0037】
電力ヒューズ300は、基板310上の弱い部分を画定するプリントヒューズ素子と、プリント素子ではないが同様にパンチング又はスタンピングされた特徴を含まない金属導体314との組み合わせによって、ハイブリッドアプローチと呼ばれることがある。導体314は、ヒューズクリア時間(fuse clearing times)を改善し、また、EVの高電圧、大電流DC電力システムにおけるアークエネルギーのクリアを支援する。非ハイブリッド構造(すなわち、基板上にプリントされた要素のみを含むもの)において所望のヒューズクリア時間を達成することが望まれている。
【0038】
しかしながら、本発明者らは、非ハイブリッド構造におけるヒューズの開放時間が、EV電力システムでは許容できないほど高い可能性があることを認識している。例えば、EV電力システム用途において、800%過電流に対する所望の開放時間は約20msであるが、500VDC動作システムにおいて400Aを処理することができる既存の非ハイブリッドヒューズ構造において実験的に観察された値は、300msと高い。さらに、既知の非ハイブリッドプリントヒューズ構造は、一般に、EV電力システムのような高電圧、大電流DC電力システムにおけるヒューズの動作においてアークエネルギーを含むことができない。
【0039】
非ハイブリッドプリントヒューズ素子及びそのようなヒューズ素子を製造する方法の例示的な実施形態を以下に説明するが、それらは、スタンピング又はパンチングの製造プロセスからの弱い部分における歪み損傷を有利に回避し、一方、EV電力システム用途のための所望の開放時間及び効果的な消弧(arc extinguishing)メカニズムを提供する。例示的な実施形態における弱い部分は、付加プリントプロセス(additive printing processes)を介して平面基板上に直接形成され、パンチング又はスタンピングプロセスからの材料の微小引き裂きを回避する。ヒューズ素子全体は、上述したハイブリッド解決策の個別に設けられた導体要素を必要とすることなく、基板上に形成される。したがって、個別に設けられた導体要素に関連する製造コスト及び組立工程が回避される。
【0040】
図4及び5は、上述した電力ヒューズ200及び300におけるヒューズ素子の欠陥を克服するために提案された、ヒューズ素子アセンブリ400のプリント製造物の例示的な実施形態を示す。
【0041】
図示された例におけるプリントヒューズ製造物は、基板405と、基板の表面上の一連の連続してプリントされた金属層410とを含む。連続してプリントされた層は、利用されるパターンの層によって提供される異なる厚さの金属材料によりヒューズ素子として動作可能なパターン化された金属化部分を基板上に提供する。意図された実施形態における基板405は、既知のセラミック材料から製造されるが、金属層は、銀又は当該技術分野で知られた別の金属又は金属合金であり得る。金属層は、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金であり得る。金属層は、互いに分離された厚い部分415及び薄い部分420を形成するようにプリントされる。厚い部分415は薄い部分420よりも多数の層を有し、薄い部分420は、基板405上の厚い部分415によって分離された3つの離間した薄い部分420を含む図示された例における薄い部分420に対応する様々な位置で基板上の回路経路を開くための、縮小された断面積の弱い部分として機能する。図5に示すように、ガラスなどの誘電体層425が、弱い部分を画定する薄い部分420の下の基板上にプリントされてもよい。薄い部分420及び厚い部分415を画定する金属化層は、概して、図4及び5の例における基板405の表面全体をカバーし、薄い部分420は、厚い部分415の間に連続的に延びる。すなわち、薄い部分420は、図4及び5に示すように、基板の全幅にわたって厚い部分415の間の領域全体をカバーする。
【0042】
本発明者らは、EV電力システムにおけるプリントヒューズ素子400の動作の成功(又は失敗)が、基板材料と、所望の開放時間及びアーク抑制の考慮事項とのバランスがとれた基板405の熱伝導率とに依存することを発見した。これは、調整しなければならない複雑な一連の問題を提示する。
【0043】
ヒューズ素子400の弱い部分のプリントされた厚さを変化させることは、ヒューズの開放時間を調整することができる。一般に、薄い弱い部分は、厚い弱い部分よりも速く開放するが、プリントプロセスは、図4及び図5に示される連続的な弱い部分でいくつかの所望の開放時間を達成するための限られた能力を示すことができる。
【0044】
基板405の熱伝導率もまた、弱い部分におけるヒューズ素子400の開放時間に影響する。一般に、基板405のより高い熱伝導率は、弱い部分から熱を引き出し、弱い部分における開放時間を増加させるが、基板405のより低い熱伝導率は、弱い部分自体に熱をより効率的に集中させ、弱い部分における開放時間を減少させる。
【0045】
基板材料、またその導電率は、さらに、アーク放電条件に影響を及ぼす。より高い熱伝導率を有するある種のセラミック基板材料(例えば酸化アルミナ)は、アーク放電エネルギー(具体的には、アーク放電によって生成される熱)に曝されると壊れ(break down)、電気的なアーク放電を望ましくなく長引かせる可能性のある要素を放出することがあり、一方、より低い熱伝導率(例えば、フォルステライト及びステアタイト)の基板は、それほど速く壊れることがなく、電気的なアーク放電に寄与する要素を放出せず、したがって、アーク放電バーンアウト時間(arcing burnout time)を短縮する可能性がある。そのため、電気的なアーク放電は、より高い導電率の基板よりも、より低い導電率の基板でより速くバーンアウトする。
【0046】
図5に示す誘電体層425は、また、弱い部分の動作における基板405への熱伝達に影響を与える可能性があり、基板405の破壊部分(breakdown point)に影響を与える可能性があり、したがって、アーク放電管理の観点から考慮すべき事項であり得る。
【0047】
様々な材料特性を有する多くの基板材料が入手可能であることが認識されている。例えば、アルミナ酸化物(Al2O3)基板材料は、約8ワット/メートル-ケルビン(W/(m・K))~約32W/(m・K)の範囲であることが知られている。対照的に、フォルステライト基板材料は、約5W/(m・K)の熱伝導率を有することが知られており、ステアタイト基板材料は、約2~約3W/(m・K)の熱伝導率を有することが知られている。本発明の目的のために、約2~14W/(m・K)の範囲の熱伝導率が、上述のようなより高い電圧、より高い電流のDC電力システムに対して好ましい。しかし、比較のために、実験は、約24W/(m・K)の熱伝導率を有する基板が、EV電力システム用途に対して許容できないレベルまで開放時間を延長する傾向があることを示した。
【0048】
図6は、EV電力システム動作のためのさらなる強化を含む、プリントヒューズ素子アセンブリ600の別の例示的な実施形態を示す。ヒューズ素子アセンブリ600は、増加したプリントされた厚さ及び減少したプリントされた厚さのパターン化された部分のプリントされた層で金属化された基板615を含む。金属層が、プリントされた増加した及び減少したプリントされた部分でプリントされる場合、減少したプリントされた厚さは、基板615上にプリントされた可融要素605の可融動作のための弱い部分を画定する。いくつかの実施形態では、基板615は、約1.2mmまでの増加したプリントされた厚さと、約10ミクロンまでの弱い部分を画定する減少したプリントされた厚さとを有する。
【0049】
図4及び5に示される連続的な弱い部分とは異なり、弱い部分は、弱い部分の下の基板及び/又は誘電体層の一部のみをカバーし、厚い部分の間の領域の一部のみをカバーする個別のセグメントに延びる。図示の例では、画定された弱い部分は、基板幅寸法640より実質的に小さい幅寸法と、基板長さ寸法635に等しい長さ寸法とで延びる。いくつかの実施形態では、画定された弱い部分は、約5mmまでの幅寸法と、約1mmの長さ寸法とで延びる。
【0050】
図示の例示的な実施形態では、ヒューズ素子アセンブリ600は、消弧フィラー(arc extinguishing filler)610によって少なくとも部分的に囲まれ得る。消弧フィラー610は、画定された弱い部分の間に延び得る。消弧フィラー610の材料は、比較的高い熱伝導及び吸収能力を有するように選択される。画定された弱い部分が所定の電流条件で融解すると、アーク放電が、開始し、画定された弱い部分及び基板615から効率的な冷却及びより迅速な消失のために周囲の消弧フィラー610に移動する。
【0051】
いくつかの実施形態では、基板615上にプリントされた可融要素605は、銀を含む。基板615は、低熱伝導率基板である。いくつかの実施形態では、基板615は、実質的に24W/(m・K)未満の熱伝導率を有し得る。他の実施形態では、基板615は、約5W/(m・K)以下の熱伝導率を有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、基板615は、酸化アルミナとは対照的に、ステアタイト又はフォルステライトであってもよい。マグネシウムベースの基板として、ステアタイト及びフォルステライトは、アルミナ、アルミニウムベースの基板よりも多くのエネルギーを吸収する。より大きなエネルギー吸収は、金属疲労を回避するために、ヒューズ素子アセンブリ600が受ける高電流パルスの間、基板615の寿命を延ばすために望ましい。増加したエネルギー吸収に加えて、ステアタイト及びフォルステライトは、アルミナのような金属酸化物とは対照的に、ケイ酸塩であり、ヒューズ素子アセンブリ600の金属疲労を回避するために、ステアタイト及びフォルステライトに増加したアーク抑制能力を提供する。
【0053】
さらに、ステアタイト及びフォルステライトは、アルミナ酸化物と比較して、減少した熱伝導率、ステアタイトでは3W/m/K、フォルステライトでは5W/m/Kを有する。減少した熱伝導率は、基板615が溶融し、アークをクエンチする速度を増加させ、ヒューズ素子アセンブリ600の溶融時間を減少させるために望ましい。アルミナに対する代替基板材料は、300VDCの800%で300msの溶融時間を短縮することが望ましい。ステアタイトのようなより低い熱伝導率を備える代替基板材料の使用は、800アンペア値に到達するのに必要な時間の量を短縮する。基板615に厚さ0.6mmのアルミナを使用した160msの溶融時間とは対照的に、厚さ0.6mmのステアタイトを使用して16ms、厚さ0.7mmのフォルステライトを使用して3.3msの減少した溶融時間が達成され得る。
【0054】
さらに、ステアタイト及びフォルステライトは、可融要素605をプリントするために使用される金属の室温における熱膨張係数に近い室温における熱膨張係数を有する。基板615とプリントされた可融要素605との間の熱膨張係数の減少した差は、金属疲労を回避するために、基板615の寿命を延ばすために望ましい。
【0055】
図7は、ヒューズ素子アセンブリ600を含む電力ヒューズ700の代替実施形態を示す。ヒューズ素子600は、消弧フィラーがヒューズ素子アセンブリの少なくとも一部を囲むように配置されることができるように、弱い部分の上に取り付けられた同一平面コネクタ部分と、基板の上に延びる斜めに延びる部分とを有する導体を含み、それによって、ヒューズ素子アセンブリが所定の電流条件で開いた後に発生するアークを効果的に消滅させる。消弧フィラーは、石英砂を含み得る。
【0056】
図7に示す代替実施形態はオプションであり、示されるコンポーネントによって限定されない。例えば、電力ヒューズ700は、代替ハウジング、代替構造、及び/又は1より多いヒューズ素子を含み得る。
【0057】
図8は、代替ヒューズ素子アセンブリ800の一部として、弱い部分810上の第2の誘電体層を示す。誘電体層815は、基板805上の第1の誘電体層と、弱い部分810上の第2の誘電体層とを含む。誘電体層815は、弱い部分の動作において基板への熱伝達に影響を与える可能性があり、基板の破壊部分に影響を与える可能性があり、したがって、アーク放電管理の観点から考慮すべきである。代替のヒューズ素子アセンブリ800は、ヒューズ素子アセンブリ600の代わりに、電力ヒューズ700に使用することができる。
【0058】
本開示の利益及び利点は、開示された例示的な実施形態に関して十分に説明されたと考えられる。
【0059】
電力ヒューズ及びヒューズ素子アセンブリの様々な実施形態及びその製造方法が本明細書に記載されており、それらは、スタンピングされた弱い部分開口部なしで基板上に形成された複数の弱い部分を含み、それによって、過渡的な負荷電流サイクル事象にさらされたときにヒューズ素子アセンブリの熱機械的疲労歪みを回避する。さらに、ヒューズアセンブリは、弱い部分に取り付けられた同一平面上のコネクタ部分と、消弧フィラーがヒューズ素子アセンブリの少なくとも一部を囲むように配置されることができるように基板の上に延びる斜めに延びる部分とを有する導体を含み、それによって、ヒューズ素子アセンブリが所定の電流条件で開いた後に発生するアークを効果的に消滅させる。
【0060】
コンポーネント、アセンブリ及びシステムの例示的な実施形態が記載されているが、コンポーネント、アセンブリ及びシステムの変形は同様の利点及び効果を達成することが可能である。具体的には、コンポーネント及びアセンブリの形状及びジオメトリ(geometry)、ならびにアセンブリ内のコンポーネントの相対的な位置は、記載された発明の概念から逸脱することなく、記載及び図示されたものから変更されてもよい。また、特定の実施形態では、記載されたアセンブリ内の特定のコンポーネントは、特定のタイプのヒューズ又は特定の設置のニーズに対応するために省略されてもよいが、ヒューズの必要な性能及び機能性を依然として提供する。
【0061】
プリント(プリントされた)ヒューズの実施形態が開示されている。プリントヒューズは、基板と、基板上にプリントされた可融要素とを含む。基板上にプリントされた可融要素は、増加したプリントされた厚さの部分によってそれぞれ分離された、可融要素の可融動作のための弱い部分を画定する、減少したプリントされた厚さの一連の部分を含む。
【0062】
オプションで、プリントヒューズは、基板の幅寸法よりも実質的に小さい幅寸法及び基板の長さ寸法に等しい長さ寸法で延びる、約10ミクロンの厚さの画定された弱い部分をさらに含む。画定された弱い部分の幅寸法は、約5mm以下であり得、長さ寸法は、約1mmであり得る。消弧フィラーは、画定された弱い部分の間に延び得る。画定された弱い部分は、プリントヒューズの定格電流の800%である電流に対して、約20ms以下の融解時間で開く。画定された弱い部分は、プリントヒューズの定格電流の800%である電流に対して、約10ms以下の融解時間で開き得る。
【0063】
オプションで、プリントヒューズは、実質的に24W/m/K未満の熱伝導率を有する、約1.2mmの厚さの低熱伝導率材料の基板をさらに含む。基板の熱伝導率は、約5W/m/K以下であってもよい。プリントヒューズは、弱い部分のみの下にある第1の誘電体層と、弱い部分のみの上を覆う第2の誘電体層とをさらに含む。第1及び第2の誘電体層は、約12ミクロンの厚さのガラスである。
【0064】
オプションで、プリントヒューズは、銀の可融要素及びステアタイト又はフォルステライトの基板をさらに含む。プリントヒューズは、少なくとも300Vの定格電圧及び400Aの定格電流を有する。
【0065】
この書面による説明は、例を使用して、ベストモードを含む本発明を開示し、また、任意の装置又はシステムを作製及び使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む、当業者が本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の字句と相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の字句と実質的な相違がない均等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;及び
前記基板上にプリントされた可融要素であって、前記可融要素は、増加したプリントされた厚さの部分によってそれぞれ分離された減少したプリントされた厚さの一連の部分を含み、前記減少したプリントされた厚さの部分は、前記可融要素の可融動作のための弱い部分を画定する、可融要素;
を有する、
プリントヒューズ製造物。
【請求項2】
前記可融要素は銀を含み、前記基板はステアタイト又はフォルステライトである、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項3】
前記弱い部分は約10ミクロンの厚さを有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項4】
前記基板は約1.2mmの厚さを有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項5】
前記弱い部分のみの下にある第1の誘電体層をさらに有する、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項6】
前記第1の誘電体層はガラスであり、前記第1の誘電体層は、約12ミクロンの厚さを有する、
請求項5に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項7】
前記基板は低熱伝導率基板である、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項8】
前記低熱伝導率基板は実質的に24W/m/K未満の熱伝導率を有する、
請求項に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項9】
前記低熱伝導率基板は約5W/m/K以下の熱伝導率を有する、
請求項に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項10】
前記基板は、長さ寸法及び幅寸法を有し、前記弱い部分は、前記基板の前記幅寸法よりも実質的に小さい幅寸法で延びる、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項11】
前記弱い部分の各々は、前記幅寸法において各々が約5mm以下である分離された複数の部分として前記幅寸法に延びる、
請求項10に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項12】
前記分離された複数の部分は、前記長さ寸法において約1mm延び
消弧フィラー材料が、前記分離された複数の部分の間に延びる、
請求項11に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項13】
前記弱い部分は、前記ヒューズの定格電流の800%である電流に対して約20ms以下の融解時間で開く、
請求項1に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項14】
前記弱い部分は、前記ヒューズの定格電流の800%である電流に対して約10ms以下の融解時間で開く、
請求項13に記載のプリントヒューズ製造物。
【請求項15】
前記ヒューズは、少なくとも300Vの定格電圧を有し、
前記ヒューズは、400Aの定格電流を有する、
請求項14に記載のプリントヒューズ製造物。
【国際調査報告】