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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】シリンジ内のストッパ配置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20241120BHJP
   A61M 5/28 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61M5/315
A61M5/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532243
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022051598
(87)【国際公開番号】W WO2023102153
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,789
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファリャヒアンビジャン,ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】アッバース,シャーミーン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】パドマクマール,ビカシュニ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェフリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミスマー,ワエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066HH11
(57)【要約】
薬物製品が充填されたシリンジバレルにプランジャを配置する方法。本方法は、ストッパをシリンジバレルの長手方向軸線と整列させることを含む。シリンジバレルは、近位端と、遠位端と、リザーバとを含む。薬物製品は、遠位端にあるリザーバ内に配置されている。本方法は、シリンジバレルのリザーバに真空圧を印加することを含む。本方法は、プランジャロッドを用いてストッパをシリンジバレルのリザーバ内に第1の深さまで押し込むことを含む。本方法は、ストッパを第1の深さまで押した後にプランジャロッドをシリンジバレルのリザーバから除去することを含む。ストッパは、シリンジバレルのリザーバ内の圧力差に応じて、第1の深さとは異なる第2の深さまで移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物製品が部分的に充填されたシリンジバレルにストッパを配置する方法であって、
前記ストッパを前記シリンジバレルの長手方向軸線と整列させることであって、前記シリンジバレルは、近位端と、遠位端と、リザーバとを含み、前記薬物製品は、前記シリンジバレルの前記遠位端にある前記リザーバの遠位端内に配置されている、ことと、
前記シリンジバレルの前記リザーバに真空圧を印加することであって、前記真空圧は、約70mBar~約85mBarの範囲内である、ことと、
プランジャロッドを用いて前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバ内に第1の深さまで押し込み、それにより前記ストッパの両側に圧力差を生じさせることであって、前記第1の深さは、前記リザーバの前記遠位端から約20mm~約40mmの範囲内である、ことと、
前記ストッパを前記第1の深さまで押した後に前記ストッパから前記プランジャロッドを離し、それにより前記ストッパの両側に前記圧力差を生じさせて、前記ストッパを前記第1の深さとは異なる第2の深さまで変位させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ストッパを押すことは、前記プランジャロッドを前記シリンジバレルの前記リザーバに挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記真空圧を印加することは、前記プランジャロッドを用いて前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバ内に押し込むことに少なくとも部分的に一致する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ストッパを押すことは、前記ストッパを前記遠位端から約23mm~32mmの範囲内の距離まで前記シリンジバレル内に押し込むことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ストッパを押すことは、前記シリンジバレルに前記真空圧を印加した後に前記ストッパを押すことを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記ストッパを押すことは、前記ストッパを前記リザーバの前記遠位端から約30mm~約35mmの範囲内の距離まで前記シリンジバレル内に押し込むことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ストッパを整列させることは、前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバに挿入する前に、前記ストッパを前記シリンジバレルの前記近位端の近傍に配置することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ストッパを整列させることは、前記シリンジバレルの前記近位端の近傍にあるグリップを用いて前記ストッパを圧縮することと、前記圧縮されたストッパを、前記プランジャロッドを用い、前記グリップを通して前記バレルの前記リザーバに押し込むことを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記真空圧を印加することは、前記シリンジバレル内の前記薬物製品の上方のヘッドスペースを排気することと、前記シリンジバレルの前記近位端に真空を印加することとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プランジャロッドを前記シリンジバレルの前記リザーバから除去することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
薬物製品が部分的に充填されたシリンジバレルにストッパを配置する方法であって、
前記ストッパを前記シリンジバレルの長手方向軸線と整列させることであって、前記シリンジバレルは、近位端と、遠位端と、リザーバとを含み、前記薬物製品は、前記シリンジバレルの前記遠位端にある前記リザーバの遠位端内に配置されている、ことと、
前記シリンジバレルの前記リザーバに真空圧を印加することと、
プランジャロッドを用いて前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバ内に第1の深さまで押し込み、それにより前記ストッパの両側に圧力差を生じさせることであって、前記プランジャロッドは、前記シリンジバレルの前記リザーバ内に延びる、ことと、
前記ストッパを前記第1の深さまで押した後に前記ストッパから前記プランジャロッドを離し、それにより前記ストッパの両側に前記圧力差を生じさせて、前記ストッパを前記第1の深さとは異なる第2の深さまで変位させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記シリンジバレルに前記真空圧を印加することは、約70mBar~約85mBarの範囲内の圧力を印加することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ストッパを押すことは、前記ストッパを前記リザーバの前記遠位端から約20mm~約40mmの範囲内の距離まで前記シリンジバレル内に押し込むことを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記真空圧を印加することは、前記プランジャロッドを用いて前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバ内に押し込むことに少なくとも部分的に一致する、請求項11~13に記載の方法。
【請求項15】
前記ストッパを押すことは、前記シリンジバレルに前記真空圧を印加した後に前記ストッパを押すことを含む、請求項11~13に記載の方法。
【請求項16】
前記ストッパを押すことは、前記ストッパを前記リザーバの前記遠位端から約23mm~32mmの範囲内の距離まで前記シリンジバレル内に押し込むことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ストッパを押すことは、前記ストッパを前記リザーバの前記遠位端から約30mm~約35mmの範囲内の距離まで前記シリンジバレル内に押し込むことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ストッパを整列させることは、前記ストッパを前記シリンジバレルの前記リザーバに挿入する前に、前記ストッパを前記シリンジバレルの前記近位端の近傍に配置することを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ストッパを整列させることは、前記シリンジバレルの前記近位端の近傍にあるグリップを用いて前記ストッパを圧縮することと、前記圧縮されたストッパを、前記プランジャロッドを用い、前記グリップを通して前記バレルの前記リザーバに押し込むこととを含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記真空圧を印加することは、前記シリンジバレル内の前記薬物製品の上方のヘッドスペースを排気することと、前記シリンジバレルの前記近位端に真空を印加することとを含む、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記プランジャロッドを前記シリンジバレルの前記リザーバから除去することを更に含む、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2021年12月3日に出願された米国仮特許出願第63/285,789号明細書に対する優先権を主張するものであり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、シリンジ内にストッパを配置する方法に関し、より具体的には、少ない薬物製品充填量を有するシリンジ内にストッパを配置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリンジは、患者に薬物製品を投与するために使用される医療送達デバイスである。シリンジは、多くの場合、設定用量の薬物製品がその中に予め提供されているプレフィルド形態、又は薬剤の投与が望まれる時に最終使用者によってバイアル若しくはその他の薬剤の供給源から充填されるようになっている空の状態のいずれかで市販されている。例示的なシリンジ10が図1に示されており、薬物製品をリザーバ13内に保持するように適合されたバレル11を含む。バレル11は、近位端11Aと、遠位端11Bと、フランジ部12と、近位端11Aと遠位端11Bとの間に延びるキャビティ又はリザーバ13とを含む。バレル11の遠位端11Bは、バレル11内に収容された薬剤を送達するために、多くの場合、先の尖った針カニューレ若しくは尖ったところのない端部を持つカニューレなどの従来の穿孔要素を含む及び/又はこれらと嵌合するように構成されている。例えば、シリンジバレル遠位端11Bは、ルアーロック構成要素を含み得る。穿孔要素は、鋼、プラスチック、又は任意の他の適切な材料で作製され得る。プランジャロッドは、シリンジバレル11の開放近位端11Aを通して挿入され得、バレル11の内壁11C内に実質的に流体密に取り付けられたエラストマー状又はゴム状のストッパ要素とのプランジャロッドの係合により、使用者は、プランジャに手動力を加え、穿孔要素を通して薬剤を送達することができる。シリンジバレル近位端11Aは、プランジャロッド及びストッパ構成要素を受け入れるために開放されている。フランジ12は、多くの場合、使用者によるデバイスの操作を容易にするための指置きの形態としてシリンジバレル11の開放遠位端11Aの周りに提供される。
【0004】
薬剤の完全性及び患者の安全性の両方のために、シリンジ10の構成要素を十分に滅菌することが望ましい場合がある。外部滅菌は、例えば、プレフィルドシリンジが充填され、完全に組み立てられ、その最終パッケージの少なくともいくつかの部分に入れられた後に行われる。しかしながら、滅菌中、ストッパは、バレル11のリザーバ13内で初期位置から最終位置まで移動する可能性がある。典型的なプレフィルドシリンジでは、リザーバ13の大部分に薬物製品が充填されており、ストッパが移動するための余地はほとんど残されていない。しかしながら、少ない薬物製品充填量を有する(即ち、リザーバ13の大部分が空の)シリンジでは、ストッパはバレル11内の更に下方に配置され、滅菌プロセス中にストッパが移動するための余地がより多く残される。したがって、シリンジ10のバレル11内のストッパの初期配置は、プランジャが許容最終位置に移動することを確実にするために、滅菌プロセス中の移動を考慮したものであり得る。
【0005】
プレフィルドシリンジ10内におけるストッパ配置の既知の方法は、ロッドの挿入又は機械的配置、真空アシスト(「VA」)配置、及び真空圧縮(「VC」)配置を含む。しかしながら、これらの方法のそれぞれは、少ない薬物製品充填量を有するシリンジバレルの内部深くにストッパを配置する場合、独自の固有の課題に直面する。機械的なストッパ配置(例えば、プランジャロッド挿入)は、望ましくない結果に直面する。なぜなら、この方法では、構成要素を各シリンジバレルに挿入し、そこから除去する機械的要件のために、打栓が起こり得る速度が遅くなり、それによりラインのスループットが減少するからである。更に、いくつかの場合では、ストッパの機械的な挿入は、ストッパ自体の強制的な変形を引き起こす可能性がある。VA法及びVC法では、シリンジバレル11に印加される真空により、薬物製品の上方のヘッドスペースが除去され、リザーバ13へのストッパ配置を駆動する。特に、ストッパは、シリンジバレル11内でフランジ12に部分的に配置され、バレル11内の真空圧が、ストッパの最終深さへの移動を駆動する。VA法はまた、ストッパをバレル11内に挿入する前にストッパを圧縮することを含み、この結果、ストッパリブの間に薬物製品が入り、プランジャの変形が生じる。VC法ではストッパリブ内に薬物製品は入らない可能性があるが、VC法は、はるかに遅く、プレフィルドシリンジを大量に処理する場合には実用的ではない。VA法及びVC法の両方において、圧力差に依存してストッパをリザーバ13内の深くに配置すると、ストッパ配置のばらつきが生じ、したがって、工程能力スコアが不良になり、移動時間が長くなる。典型的には、ストッパは12~24時間後に最終位置に達するため、プレフィルドシリンジが使用に適するかどうかを判断するプロセスが遅れる。その結果、これらの方法は、プランジャ変形、ストッパ又はプランジャリブ間の薬物製品、ストッパが目標配置範囲外に移動する高い比率のために、容認できないプレフィルドシリンジの不良率につながり、それによってプレフィルドシリンジ不良率が増加する。これらの不良は、充填位置とは異なる滅菌位置で発生することが多く、したがって、非効率及び無駄につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
提案される、少ない薬物製品充填量を有するシリンジにストッパを配置する手法は、既知の真空アシスト技術及び真空圧縮技術を機械的な挿入構成要素で補うことにより、ストッパをプレフィルドシリンジ内の許容範囲内に配置するより予測可能で正確な結果を伴う。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、薬物製品が部分的に充填されたシリンジバレルにストッパを配置する方法は、ストッパをシリンジバレルの長手方向軸線と整列させることを含み得る。シリンジバレルは、近位端と、遠位端と、リザーバとを含み得る。薬物製品は、シリンジバレルの遠位端にあるリザーバの遠位端内に配置され得る。本方法は、シリンジバレルのリザーバに真空圧を印加することを含み得る。真空圧は、約70mBar~約85mBarの範囲内であり得る。本方法は、プランジャロッドを用いてストッパをシリンジバレルのリザーバ内に第1の深さまで押し込み、それによってストッパの両側に圧力差を生じさせることを更に含み得る。第1の深さは、リザーバの遠位端から約20mm~約40mmの範囲内であり得る。更に、本方法は、ストッパを第1の深さまで押した後にストッパからプランジャロッドを離し、それによりストッパの両側に圧力差を生じさせて、ストッパを第1の深さとは異なる第2の深さまで変位させることを含み得る。
【0008】
本開示の第2の態様によれば、薬物製品が部分的に充填されたシリンジバレルにストッパを配置する方法は、ストッパをシリンジバレルの長手方向軸線と整列させることを含み得る。シリンジバレルは、近位端と、遠位端と、リザーバとを含み得る。薬物製品は、シリンジバレルの遠位端にあるリザーバの遠位端内に配置され得る。本方法は、シリンジバレルのリザーバに真空圧を印加することと、プランジャロッドを用いてストッパをシリンジバレルのリザーバ内に第1の深さまで押し込み、それによりストッパの両側に圧力差を生じさせることとを含み得る。プランジャロッドは、シリンジバレルのリザーバ内に延び得る。更に、本方法は、ストッパを第1の深さまで押した後にストッパからプランジャロッドを離し、それによりストッパの両側に圧力差を生じさせて、ストッパを第1の深さとは異なる第2の深さまで変位させることを含み得る。
【0009】
更に、前述の第1及び第2の態様のいずれか1つ以上によれば、シリンジバレルにストッパを配置する方法は、以下の形態のいずれか1つ以上を含み得る。
【0010】
1つの形態では、ストッパを押すことは、プランジャロッドをシリンジバレルのリザーバに挿入することを含み得る。
【0011】
別の形態では、真空圧を印加することは、プランジャロッドを用いてストッパをシリンジバレルのリザーバ内に押し込むことに少なくとも部分的に一致し得る。
【0012】
更に別の形態では、ストッパを押すことは、ストッパを遠位端から約23mm~32mmの範囲内の距離までシリンジバレル内に押し込むことを含み得る。
【0013】
いくつかの形態では、ストッパを押すことは、シリンジバレルに真空圧を印加した後にストッパを押すことを含み得る。
【0014】
他の形態では、ストッパを押すことは、ストッパをリザーバの遠位端から約30mm~約35mmの範囲内の距離までシリンジバレル内に押し込むことを含み得る。
【0015】
別の形態では、ストッパを整列させることは、ストッパをシリンジバレルのリザーバに挿入する前に、ストッパをシリンジバレルの近位端の近傍に配置することを含み得る。
【0016】
1つの形態では、ストッパを整列させることは、シリンジバレルの近位端の近傍にあるグリップを用いてストッパを圧縮することと、圧縮されたストッパを、プランジャロッドを用い、グリップを通してバレルのリザーバに押し込むこととを含み得る。
【0017】
いくつかの形態では、真空圧を印加することは、シリンジバレル内の薬物製品の上方のヘッドスペースを排気することと、シリンジバレルの近位端に真空を印加することとを含み得る。
【0018】
他の形態では、本方法は、プランジャロッドをシリンジバレルのリザーバから除去することを含み得る。
【0019】
更に別の形態では、シリンジバレルに真空圧を印加することは、約70mBar~約85mBarの範囲内の圧力を印加することを含み得る。
【0020】
1つの形態では、ストッパを押すことは、ストッパをリザーバの遠位端から約20mm~約40mmの範囲内の距離までシリンジバレル内に押し込むことを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】既知のシリンジの斜視図である。
図2】本開示の教示による、少ない薬物製品充填量を有する図1のシリンジにストッパを配置する方法を表すフローチャートである。
図3】初期位置にあるストッパを示す、本開示の教示による、ストッパ挿入アセンブリ及び少ない薬物製品充填量を有するプレフィルドシリンジの概略図である。
図4】部分挿入位置にあるストッパを示す、図3のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図5】第1の深さにあるストッパを示す、図3のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図6】プランジャロッドがシリンジから除去された、第1の深さにあるストッパを示す、図3のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図7】最終深さ位置にあるストッパを示す、図3のシリンジである。
図8】初期位置にあるストッパを示す、本開示の教示による、異なるストッパ挿入アセンブリ及び少ない薬物製品充填量を有するプレフィルドシリンジの概略図である。
図9】部分挿入位置にあるストッパを示す、図8のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図10】第1の深さにあるストッパを示す、図8のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図11】プランジャロッドがシリンジから除去された、第1の深さにあるストッパを示す、図8のストッパ挿入アセンブリ及びシリンジである。
図12】最終深さ位置にあるストッパを示す、図8のシリンジである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の少ない薬物製品充填量を有するシリンジバレルにストッパを配置する例示的な方法100が、図2のフローチャートに示されている。例示的な方法100は、従来の打栓方法と比較してより高い工程能力値(「PPK」)、より低い不良率、及びより速いスループットをもたらす可能性がある。図2の方法は、図3図7に示される真空アシスト(「VA」)及び機械的な挿入技術を含む一段階プロセス、並びに図8図12に示される真空圧縮(「VC」)及び機械的な挿入技術を含む二段階プロセスによって実施され得る。一段階プロセス及び二段階プロセスは両方とも、真空及び機械的な方法を利用して、少ない薬物製品充填量を有するプレフィルドシリンジ内の目標深さまでストッパを駆動させる。
【0023】
一般的に言えば、一段階プロセス及び二段階プロセスは両方とも、図2の方法100の工程に従って実行され得る。方法100は、図1のシリンジなどのシリンジ10のリザーバ13の内部深くにストッパを配置するために、真空圧と機械的なロッド挿入技術を統合したものである。方法100の第1の工程110は、ストッパをシリンジバレル11の長手方向軸線Aと整列させることを含み、方法の第2の工程120は、シリンジバレル11のリザーバ13に真空圧を印加することを含む。シリンジバレル11に真空圧を印加することに続いて又はそれと同時に、方法100は、ストッパを、プランジャロッドを用い、シリンジバレル11の近位端11Aの開口部を通して押す工程130を含む。プランジャロッドは、開口部11Aを通ってリザーバ13内に延び、リザーバ13の近位端(即ち、フランジ12の近傍)から約20mm~約40mmの範囲内の第1の深さにストッパを配置する。最後に、方法100は、プランジャロッドをシリンジバレル11から除去する工程140を含み、それにより、シリンジバレル11のリザーバ13内の圧力差に応じて、ストッパを第1の深さとは異なる第2の最終深さまで移動させる。いくつかの実施形態では、プランジャロッドは、シリンジとは別個のものであり、説明したように、ストッパをシリンジバレル内に配置するために使用されるアセンブリデバイス(例えば、挿入アセンブリシステム)の構成要素であり得る。そのような実施形態では、プランジャロッドは、シリンジを含む最終製品の一部ではなく、むしろ、シリンジ及びストッパが更なる処理及び/又は使用のためにプランジャロッドから分離され得るように、ストッパを配置後にシリンジから完全に除去される。他の実施形態では、プランジャロッドは、例えばプレフィルドシリンジ又は他の注入器などのシリンジも含む最終製品の1つの構成要素を構成し得る。
【0024】
図3図8では、ストッパをシリンジバレル内の目標深さに配置する一段階プロセスは、少ない薬物製品充填量18を有するプレフィルドシリンジ10においてストッパ挿入アセンブリ14を動作させることを含む。まず図3を参照すると、ストッパ30をプレフィルドシリンジ10のシリンジバレル11と整列させる方法100の最初の工程110が示されている。プレフィルドシリンジ10には、リザーバ13の遠位端22に、深さPにメニスカスを有して配置された薬物製品18が部分的に充填されている。ストッパ挿入アセンブリ14は、ストッパ30をシリンジバレル11の開放近位端11Aの上方に保持し、ストッパ30をシリンジ10の長手方向軸線Aと整列させるグリップ26又はバイスを含む。グリップ26は、充填機械などの機械又は自動化システムの一部であってもよい。グリップ26は、ストッパ30を初期位置で圧縮してシリンジバレル11へのストッパ30の挿入を容易にする角度付きシュート34を含む。
【0025】
図4及び図5に示される一段階プロセスでは、真空圧を印加する工程120とストッパ30をシリンジバレル11に押し込む工程130は、一緒に又は部分的に一緒に実施される。グリップ26は、シリンジ10のフランジ12に係合し、アセンブリ14のプランジャロッド38がストッパ30を、シュート34、近位端11Aを通してバレル11のリザーバ13に遠位方向に押し込むにつれて、リザーバ13の薬物製品18の上方のヘッドスペースに真空を引く。シリンジバレル11のリザーバ13は、約70mBar~約85mBarの範囲内の真空圧を受け、プランジャロッド38の遠位挿入を支援する。図5では、プランジャロッド38は、シリンジバレル11のリザーバ13内に延び、ストッパ30を薬物製品18のメニスカスPの上方の、及びリザーバ13の遠位端22から約23mm~約32mmの範囲内の第1の深さD1に配置する。図示の例では、ストッパ挿入アセンブリ14は、真空を印加する工程とストッパ30をシリンジバレル11に押し込む工程の両方を実施する。具体的には、真空は、充填機械に取り付けられた関連の打栓バーを通して引かれる。真空ラインがバーに取り付けられており、真空ベローズがシリンジバレル11に接触している間にバー及び関連のシリンジバレル11内の空気を除去することによって吸引が達成される。打栓(例えば、工程130)時に真空がバー及び取り付けられたシリンジバレル11を通して能動的に引かれていない場合、シリンジバレル11内の圧縮空気がストッパの配置を押し返し、ストッパが所定位置から飛び出すことになる可能性がある。これを回避するために、シリンジバレル11内に真空を設けて、短時間の間、シリンジバレル11内の圧力と平衡させる。しかしながら、他の例では、真空を引く工程とストッパ30を押す工程は、異なるアセンブリ又は機構によって逐次的又は同時に実施されてもよい。図6では、プランジャロッド38及びストッパ挿入アセンブリ14のグリップ26はシリンジバレル11から離れ、プランジャロッド38は、近位方向に移動し、シリンジバレル11から出て、ストッパ30を深さD1に残す。薬物製品18とストッパ30との間に残った真空圧により、ストッパ30を図7に示すような最終深さD2まで駆動させる。最終深さD2は、約30mm~35mmの範囲内である。ストッパ30は、シリンジバレル11内で最終深さD2に達すると、その初期サイズに弛緩する。特に、方法100は、プランジャロッド深さパラメータがリザーバ13の遠位端22から約25.9mm、及び真空圧パラメータが約80mBarである場合、ストッパ30を0.5mLのテルモシリンジのリザーバの遠位端22から34.1±0.27mmの最終深さD2に配置することになる。
【0026】
図3図7に示すような、ストッパを少ない薬物製品充填量を有するプレフィルドシリンジ内に配置する一段階法は、現行の打栓方法、特にVA法に比べて多くの利点を提供する。例えば、一段階プロセスは、最終ストッパ位置のばらつきを低減し、それによってより均一且つ予測可能な結果を提供し、滅菌後のプレフィルドシリンジの不良品が少なくなる。機械的な挿入と真空アシスト技術との組み合わせにより、リザーバ内に、例えばVA法と比べて低い圧力差を提供する。その結果、ストッパ30は、最終深さに達するまでと比べてわずかしか移動せず、最小限の深さのばらつき及び目標範囲内におけるより予測可能な配置につながる。更に、プランジャロッド挿入アセンブリ24により、プランジャロッド38は、ストッパ30を最終深さD2のより近くまで駆動し、初期深さD1から最終深さD2へのストッパ30の移動時間がVA法と比べて大幅に減少する。更に、本明細書中に記載される一段階法は、以下の表1に示すように、ストッパリブ内における液体の潜在的リスクを低下させる。
【0027】
ここで図9図12を参照すると、ストッパをシリンジバレル内の目標深さに配置する二段階プロセスは、少ない薬物製品充填量18を有するプレフィルドシリンジ10においてストッパ挿入アセンブリ54を動作させることを含む。図8は、ストッパ30をシリンジバレル11と整列させる方法100の最初の工程110を示す。プレフィルドシリンジ10には、リザーバ13内に、深さPにメニスカスを有して配置された薬物製品18が部分的に充填されている。0.5mLのシリンジを使用する1つの例では、深さPは、約0.15mL~約0.2mLの範囲内である。ストッパ挿入アセンブリ54は、ストッパ30をシリンジバレル11の開放近位端11Aの上方に保持し、ストッパ30をシリンジ10の長手方向軸線Aと整列させるグリップ56又はバイスを含む。グリップ56は、充填機械などの機械又は自動化システムの一部であってもよい。
【0028】
二段階プロセスでは、方法100は、ストッパ30をシリンジバレル11に押し込む工程130の前に、リザーバ11に真空圧を印加する工程120を含む。図8では、ストッパ挿入アセンブリ54のグリップ56は、シリンジ10のフランジ12に係合し、リザーバ13から真空を引き、それによってシリンジバレル11からヘッドスペースを除去する。約70mBar~約85mBarの範囲内の真空圧を印加することで、図9に示すような、シリンジバレル11を通したプランジャロッド68の遠位挿入を支援する。換言すれば、シリンジバレル11は、挿入アセンブリ54のプランジャロッド68によってストッパ30を遠位方向に押し込む工程130を実施すると加圧される。プランジャロッド68は、シリンジバレル11の内壁と密封係合され、ストッパ30をグリップ56及びシリンジバレル11の開放近位端11Aを通して駆動する。図10では、プランジャロッド58は、シリンジバレル11のリザーバ13内に延び、ストッパ30を薬物製品18のメニスカスの上方の、及びリザーバ13の遠位端22から約30mm~約35mmの範囲内の第1の深さD1に押す。図示の例では、ストッパ挿入アセンブリ54は、真空を引く工程とストッパ30をプランジャロッド68で押す工程を実施する。しかしながら、他の例では、真空を引く工程とストッパ30を押す工程は、異なるアセンブリ又は機構によって実施されてもよい。
【0029】
図11では、プランジャロッド68及びストッパ挿入アセンブリ54のグリップ56はシリンジバレル11から離れ、プランジャロッド68は、近位方向に移動し、シリンジバレル11から出る。薬物製品18とストッパ30との間に残った真空圧により、ストッパ30を図12示すような最終深さD2まで駆動させる。最終深さD2は、約30mm~35mmの範囲内である。特に、方法100は、プランジャロッド深さパラメータがリザーバ13の遠位端22から約34.4mm、及び真空圧パラメータが約80mBarである場合、ストッパ30をリザーバ13の遠位端22から34.6±0.14mmの最終深さD2に配置することになる。
【0030】
図9図12に示すような、ストッパを少ない薬物製品充填量を有するプレフィルドシリンジ内に配置する二段階法は、現行の打栓方法、特にVC法に比べて多くの利点を提供する。例えば、二段階プロセスは、最終ストッパ位置のばらつきを低減し、それによってより均一且つ予測可能な結果を提供し、滅菌後のプレフィルドシリンジの不良品が少なくなる。機械的な挿入と真空圧縮技術との組み合わせにより、リザーバ内に、例えばVC法と比べて低い圧力差を提供する。その結果、ストッパ30は、最終深さD2に達するまでと比べてわずかしか移動しない。更に、プランジャロッド挿入アセンブリ54により、プランジャロッド68は、ストッパ30を最終深さD2のより近くまで駆動し、最終深さへのストッパの移動時間が大幅に減少する。更に、本明細書中に記載される二段階法は、以下の表1に示すように、プランジャ変形のリスクを低下させる。
【0031】
以下の表1は、既知の方法(例えば、VA及びVC)と本明細書中に記載の方法(例えば、一段階即ちVA+ロッド挿入方法及び二段階即ちVC+ロッド挿入方法)とを比較したものであり、本明細書中に記載の方法の性能の向上がもたらされる。具体的には、それぞれ図3図8及び図9図12に示される一段階法及び二段階法では、より大きいPPK値及びライン速度並びにより低いプランジャ移動速度、変形、及び最終深さのばらつきが得られる。
【0032】
【表1】
【0033】
上記の表1に示すように、本明細書中に開示される一段階法及び二段階法は、最終深さの標準偏差の向上をもたらす。例えば、VA法では、最終プランジャ深さは、本明細書中に開示される一段階法の約34.6±0.14mmと比べると、約34.8±0.35mmである。この標準偏差は、VC+ロッド挿入方法の方が小さいが、欠陥率はVCのみの方が高い。
【0034】
プランジャ配置プロセスの性能を支配するいくつかの要因、即ち、プランジャ位置のばらつき、プランジャ変形/欠陥率、及び充填及び打栓ライン速度(即ち、単位時間あたりのシリンジ充填及びプランジャ押し込み(plungered)数)がある。上記の表1に示すように、本明細書中に開示される一段階法のPPK値は、VA法と比較して向上している。例えば、VA法では、PPK値は3.17である一方、本明細書中に開示される一段階法では、PPK値は3.7となった。VCのみの方法はより大きなPPKを示すが、より良好な性能は、VC+ロッド挿入によって達成され得る。表1に示した各方法(VCのみを除く)について、800本のシリンジを充填し、栓をした。VCのみの方法に関しては、欠陥率が非常に高く、大きなサンプルサイズが得られなかった。
【0035】
更に、VA+ロッド挿入方法のライン速度は、打栓ロッドをシリンジに物理的に挿入するために必要な時間の結果、減少した。例えば、ボトルの上にボトルキャップを手動で配置することは、各ボトルキャップをボトルの首部に手動で押し込むことよりも大幅に迅速である可能性がある。ロッド非挿入手法の速度に合うようにプロセスを高速化することにより、急速な動作ペース及び迅速な動きが原因で欠陥又は機械エラーが導入される確率が高くなる可能性がある。理想的な条件下では、スループットの増加に達するためには、より速い作業ライン速度が有益である可能性がある。プランジャ深さ移動が速くなる一方で、ライン速度は、欠陥及び機械エラーを回避するために、遅くなる可能性がある。
【0036】
重要なことに、本明細書中に開示される、開示の一段階法及び二段階法は、大幅に速いストッパ移動時間をもたらす。典型的には、ストッパは、VA法又はVC法を使用すると、12~24時間後に最終深さに達する。これに比べ、ストッパは、本明細書中に開示される一段階法及び二段階法を使用すると、5~20分で最終深さに達する。プランジャ深さ測定は、打栓の20分後に行われ、結果は、プランジャが目標深さの99%に達したことを示す。
【0037】
ストッパ変形及びストッパリブ間の薬物製品に起因する不良品も大幅に減少した。例えば、VAのみの方法では、プレフィルドシリンジの1.2%がストッパリブ内に液体を有し、VCのみの方法では、プレフィルドシリンジの4.2%がプランジャ変形に至った。ストッパリブ内の液体及びプランジャ変形に起因する不良品は、機械的な挿入構成要素を各真空プロセスと統合した場合、比較的減少した。例えば、機械的な挿入をVAと組み合わせた場合、ストッパリブ内の液体の例は、プレフィルドシリンジの0.6%に減少した。更に、機械的な挿入をVCと組み合わせた場合、プランジャ変形は、プレフィルドシリンジの0.1%未満に減少した。変形の発生率は減少し、ストッパの主リブの「屈曲」の深刻度もあまり顕著でなくなった。
【0038】
以下の表2では、本明細書中に記載される一段階法と二段階法が比較される。表に示すように、これらの方法を使用する際のプランジャ配置の適切な「レシピ」を決定する場合、他の要因が考慮され得る。例えば、挿入ロッド速度、曝気時間、並びに真空開始ストッパ時間及び圧力は、より正確な結果を得るために変更され得る。挿入ロッド速度とは、ロッドが物理的に移動する速度を指す。挿入位置対最終プランジャ深さは、シリンジバレル内の真空力の平衡によって異なり得る。一例として、ストッパがシリンジバレルの上部のすぐ内側に物理的に配置されているがシリンジの内部に強い真空力が印加された場合、ストッパは、圧力が平衡する際に、初期配置段階を越えてシリンジ内のより深くに移動する傾向がある。
【0039】
【表2】
【0040】
一段階プロセス又は二段階プロセスのいずれかであり得る図2のストッパ配置方法100は、真空及び機械的な配置方法を使用して、薬物製品を含むシリンジバレル11の内部深くにストッパを配置する。例えば、シリンジ10は、0.5mLのテルモシリンジであり得る。しかしながら、本明細書中に記載される方法100は、シリンジバレルリザーバの容積の半分未満を占める薬物製品が充填された様々なシリンジサイズ(例えば、1mLシリンジ、2.25mLシリンジ、5mLカートリッジ等)において有用であり得る。
【0041】
上記の説明は、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー均等品を含むが、それらに限定されない薬物を更に含むことができ、又はそれらと共に使用することができる。薬物という用語は、本明細書で使用される場合、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な薬剤、栄養補助食品、サプリメント、生物製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的均等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子、及びジェネリック薬剤を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用することができる。非治療的な注入可能材料も含まれる。薬物は、液体形態であってもよく、凍結乾燥形態であってもよく、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の薬物の例示的なリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0042】
薬物は、リザーバ内に収容される。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬物が充填又は予め充填される一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又はプレフィルドシリンジであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよい、又はそれらと共にデバイスを使用することができる。このようなG-CSF製剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、UDENYCA(登録商標)(ペグフィルグラスチム-cbqv)、Ziextenzo(登録商標)(LA-EP2006;ペグフィルグラスチム-bmez)、又はFULPHILA(ペグフィルグラスチム-bmez)が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよい、又はこれ共に使用されてもよい。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用される場合、「赤血球造血刺激タンパク質」は、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによって、エリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン並びにこれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、下記で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質等;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば145c7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;HGF/SFを標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異性抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質等;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、エリスロポエチン[30-アスパラギン、32-トレオニン、87-バリン、88-アスパラギン、90-トレオニン]、ダルベポエチンアルファ、新規赤血球産生刺激タンパク質(NESP)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Kanjinti(商標)(トラスツズマブ-anns)抗HER2モノクローナル抗体、Herceptin(登録商標)のバイオシミラー、又は乳癌又は胃癌の治療用のトラスツズマブを含有する別の製品、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、RANKリガンドに対する免疫グロブリンG2ヒトモノクローナル抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP IIb/IIia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Mvasi(商標)(ベバシズマブ-awwb)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、145c7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1のFcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗クロストリジウム・ディフィシル毒素A及び毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-198)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0046】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、BPS 804(Novartis)、Evenity(商標)(ロモソズマブ-aqqg)、閉経後の骨粗鬆症及び/又は骨折治癒の治療のためのロモソズマブを含有する別の製品などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、並びに他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)、を収容し得る、又はこれらと共に使用され得る。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容し得る、又はこれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むが、それらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療のためのIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填され得る、又はそれらと共にデバイスを使用することができる。いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Aimovig(登録商標)(エレヌマブ-aooe)、抗ヒトCGRP-R(カルシトニン遺伝子関連ペプチド1型受容体)又は片頭痛の治療のためのエレヌマブを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。エレヌマブ並びにヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子等が挙げられるが、これらに限定されないCGRP受容体の拮抗的抗体も本開示の薬物送達デバイスを用いて送達され得る。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)等が挙げられるが、これらに限定されない二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))分子が、本開示の薬物送達デバイス内で、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が、本開示の薬物送達デバイス内で、又はこれと共に使用される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Avsola(商標)(インフリキシマブ-axxq)、抗TNFαモノクローナル抗体、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)(Janssen Biotech,Inc.)のバイオシミラー、又は自己免疫疾患の治療用のインフリキシマブを含有する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、(2S)-N-((S)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イルカルバモイル)-2-フェニルエチル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-4-メチルペンタンアミド又は多発性骨髄腫の治療のためのカルフィルゾミブを含有する別の製品を収容し得る、又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Otezla(登録商標)(アプレミラスト)、N-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミド、若しくは様々な炎症性疾患の治療のためのアプレミラストを含有する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Parsabiv(商標)(エテルカルセチドHCl、KAI-4169)又は血液透析を受ける慢性腎臓病(KD)の患者などの二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)の治療のためのエテルカルセチドHClを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 798(リツキシマブ)、Rituxan(登録商標)/MabThera(商標)のバイオシミラー候補、若しくは抗CD20モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、非抗体VEGF拮抗薬などのVEGF拮抗薬及び/又はアフリベルセプトなどのVEGFトラップ(IgG1のFcドメインに縮合した、VEGFR1からのIgドメイン2及びVEGFR2からのIgドメイン3)を収容し得る、又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 959(エクリズマブ)、Soliris(登録商標)のバイオシミラー候補又は補体タンパク質C5に特異的に結合するモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ICOSL及びBAFF活性を同時に遮断する新しい二重特異性抗体-ペプチドコンジュゲートであるロジバフスプアルファ(旧AMG 570)を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、心臓の収縮機構を直接的に標的化するオメカムチブメカルビル、小分子選択的心筋ミオシン活性化因子若しくはミオトロープ又は小分子選択的心筋ミオシン活性化因子を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ソトラシブ(旧AMG510として知られる)、KRASG12C小分子阻害剤、又はKRASG12C小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の作用を阻害するテゼペルマブ、ヒトモノクローナル抗体又はTSLPの作用を阻害するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、インターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体であるAMG 714又はインターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Lp(a)としても知られるリポタンパク質(a)を減らすAMG 890、低分子干渉RNA(siRNA)又はリポタンパク質(a)を減らす低分子干渉RNA(siRNA)を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 654(ヒトIgG1カッパ抗体)、Stelara(登録商標)のバイオシミラー候補若しくはヒトIgG1カッパ抗体を含有し、且つ/又はヒトサイトカインインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに結合する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Amjevita(商標)又はAmgevita(商標)(旧ABP501)(モノクローナル抗体抗TNFヒトIgG1)、Humira(登録商標)のバイオシミラー候補、又はヒトモノクローナル抗体抗TNFヒトIgG1を包含する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 160、又は半減期延長(HLE)抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119、又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 133、又は胃抑制ポリペプチド受容体(GIPR)アンタゴニスト及びGLP-1Rアゴニストを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 171、又は増殖分化因子15(GDF15)類似体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 176、又は骨髄細胞白血病1(MCL-1)の小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 199、又は半減期延長(HLE)二重特異性T細胞エンゲージャーコンストラクト(BiTE(登録商標))を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 256、又はプログラム細胞死-1(PD-1)陽性細胞においてインターロイキン21(IL-21)経路を選択的に活性化するように設計された抗PD-1×IL21ムテイン及び/若しくはIL-21受容体アゴニストを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 330、又は抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 404、又は固形腫瘍を有する患者のための治療として調査されているヒト抗プログラム細胞死-1(PD-1)モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 427、又は半減期延長(HLE)抗fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 430、又は抗Jagged-1モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 506又は固形腫瘍のための治療として研究されている多重特異性FAP×4-1BB標的化DARPin(登録商標)生物製剤を含有する別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 509、又は二価T細胞エンゲージャーを含有し及びXmAb(登録商標)2+1技術を使用して設計される別の製品を収容し得る、又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 562、又は半減期延長(HLE)CD19×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、エファバリューキンアルファ(旧AMG 592)又はIL-2ムテインFc融合タンパク質を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、
AMG 596、又はCD3×上皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)分子を含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 673、又は半減期延長(HLE)抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 701、又は半減期延長(HLE)抗B細胞成熟抗原(BCMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 757、又は半減期延長(HLE)抗デルタ様リガンド3(DLL3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 910、又は半減期延長(HLE)上皮細胞タイトジャンクション構成タンパク質クローディン18.2×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る、又はそれと共に使用され得る。
【0047】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び方法を例示的な実施形態の観点から説明してきたが、これらは、例示的な実施形態に限定されない。詳細な説明は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現行の技術又は本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、様々な代替実施形態を実施することができるが、このような実施形態は、本明細書に開示された本発明を定義する特許請求の範囲内に依然として含まれる。
【0048】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対する多様な修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得ることと、そうした修正形態、変更形態及び組み合わせが本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
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【国際調査報告】