(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】組織穿刺のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20241120BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20241120BHJP
A61B 18/16 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B18/14
A61B18/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532285
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2022083542
(87)【国際公開番号】W WO2023099421
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クーン、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】リョン、ジャッキー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF43
4C160FF49
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK20
4C160KK32
4C160KK36
4C160KK38
4C160MM34
(57)【要約】
組織穿刺のためのシステムは、無線周波数発生器(RF発生器)と、RF穿刺装置と、少なくとも第1の体内接地電極(IG電極)とを含む。RF発生器は、RF出力ポート及び接地リターンポートを含む。RF穿刺装置は、シャフト及び先端を有する細長部材を含む。先端は、患者の体内の標的部位に隣接して配置可能な体内RF穿刺電極を含み、シャフトは、体内RF穿刺電極に電気的に接続されるとともにRF発生器から体内RF電極にRFエネルギーを送達するようにRF出力ポートに電気的に接続可能な第1の導電体を含む。IG電極は、標的部位に近接して患者の体内に配置可能であり、電流をRF発生器に戻すための接地リターンポートに電気的に接続可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織穿刺のためのシステムであって、
無線周波数出力ポート(RF出力ポート)及び接地リターンポートを備える無線周波数発生器(RF発生器)を備え、
シャフト及び先端を有する細長部材を備えるRF穿刺装置を備え、前記先端は、患者の体内の標的部位に隣接して配置可能な体内RF穿刺電極からなり、かつ、前記シャフトは、前記体内RF穿刺電極に電気的に接続されるとともに前記RF発生器から前記体内RF電極にRFエネルギーを送達するための前記RF出力ポートに電気的に接続可能な第1の導電体を備え、
前記標的部位に近接して前記患者の体内に配置可能である少なくとも第1の体内接地電極を備え、前記第1の体内接地電極は、電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
組織穿刺のためのシステム。
【請求項2】
前記第1の体内接地電極を備える体内アクセサリを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記体内アクセサリはシースを備え、当該シースを介して前記RF穿刺装置が前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように前進可能であり、前記シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンと、を備え、
前記第1の体内接地電極は、前記シース遠位部分において前記シース側壁に固定され、前記シースは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記体内アクセサリは拡張器を備え、前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように当該拡張器を介して前記RF穿刺装置が前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記第1の体内接地電極は、前記拡張器遠位部分において前記拡張器側壁に固定され、前記拡張器は、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記体内アクセサリは診断カテーテルを備え、該診断カテーテルは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにカテーテル遠位端を画定するカテーテル遠位部分と、前記カテーテル遠位部分の反対側にあるとともにカテーテル近位端を画定するカテーテル近位部分と、前記カテーテル遠位端と前記カテーテル近位端との間に延びるカテーテル側壁とを有し、
前記第1の体内接地電極は、前記カテーテル遠位部分において前記カテーテル側壁に固定され、前記カテーテルは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記RF穿刺装置は、前記第1の体内接地電極を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャフトは、前記体内接地電極に電気的に接続され、前記電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である接地リターンワイヤを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは拡張器を備え、前記RF穿刺電極を前記標的部位に配置するように前記RF穿刺装置が当該拡張器を通って前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記拡張器遠位部分において、前記拡張器側壁は、前記拡張器側壁を通って前記拡張器の外面から前記拡張器ルーメンまで半径方向に延びる第1の窓を備え、
前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられるとき、前記第1の体内接地電極は、前記第1の窓と位置合わせされる、
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記RF穿刺装置は、第2の体内接地電極を更に備える、請求項6から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムはシースを更に備え、該シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンとを有し、
前記RF穿刺装置及び前記拡張器は、前記拡張器遠位部分を前記シース遠位端から突出して配置するとともに前記RF穿刺電極を前記拡張器遠位端及び前記シース遠位端から突出して前記標的部位に配置するように、前記シースルーメンを通って前進可能であり、
前記シース遠位部分において、前記シース側壁は、前記シース側壁を通って前記シースの外面から前記シースルーメンまで半径方向に延びる第2の窓を備え、
前記拡張器が前記シースを通して前進させられるとともに前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられて前記RF穿刺電極を前記標的部位に配置した場合に、前記第2の体内接地電極が前記第2の窓と位置合わせされる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の体内接地電極は、前記RF穿刺電極よりも大きい表面積を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の体内接地電極は、第1のリング電極からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の体内接地電極を電気解剖学的マッピング電極(EAM電極)として使用するように、前記第1の体内接地電極が電気的に接続可能である電気解剖学的マッピングシステム(EAMシステム)を更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
スイッチングデバイスを更に備え、
前記RF穿刺電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記RF出力ポートに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記EAMシステムに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチングデバイスは、前記第1の体内接地電極が、所与のタイミングで前記接地リターンポート及び前記EAMシステムのうちの1つのみに電気的に接続されることを可能にするように構成される、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
組織穿刺のためのシステムであって、
無線周波数出力ポート(RF出力ポート)及び接地リターンポートを備える無線周波数発生器(RF発生器)を備え、
シャフト及び先端を有する細長部材を備えるRF穿刺装置を備え、前記先端は、患者の体内の標的部位に隣接して配置可能な体内RF穿刺電極からなり、かつ、前記シャフトは、前記体内RF穿刺電極に電気的に接続されるとともに前記RF発生器から前記体内RF電極にRFエネルギーを送達するための前記RF出力ポートに電気的に接続可能な第1の導電体を備え、
前記標的部位に近接して前記患者の体内に配置可能である少なくとも第1の体内接地電極を備え、前記第1の体内接地電極は、電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
組織穿刺のためのシステム。
【請求項17】
前記第1の体内接地電極を備える体内アクセサリを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記体内アクセサリはシースを備え、当該シースを介して前記RF穿刺装置が前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように前進可能であり、前記シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンと、を備え、
前記第1の体内接地電極は、前記シース遠位部分において前記シース側壁に固定され、前記シースは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記体内アクセサリは拡張器を備え、前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように当該拡張器を介して前記RF穿刺装置が前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記第1の体内接地電極は、前記拡張器遠位部分において前記拡張器側壁に固定され、前記拡張器は、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記体内アクセサリは診断カテーテルを備え、該診断カテーテルは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにカテーテル遠位端を画定するカテーテル遠位部分と、前記カテーテル遠位部分の反対側にあるとともにカテーテル近位端を画定するカテーテル近位部分と、前記カテーテル遠位端と前記カテーテル近位端との間に延びるカテーテル側壁とを有し、
前記第1の体内接地電極は、前記カテーテル遠位部分において前記カテーテル側壁に固定され、前記カテーテルは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記RF穿刺装置は、前記第1の体内接地電極を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記シャフトは、前記体内接地電極に電気的に接続され、前記電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である接地リターンワイヤを備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムは拡張器を備え、前記RF穿刺電極を前記標的部位に配置するように前記RF穿刺装置が当該拡張器を通って前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記拡張器遠位部分において、前記拡張器側壁は、前記拡張器側壁を通って前記拡張器の外面から前記拡張器ルーメンまで半径方向に延びる第1の窓を備え、
前記標的部位に前記RF穿刺電極を配置するように前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられるとき、前記第1の体内接地電極は、前記第1の窓と位置合わせされる、
請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムはシースを更に備え、該シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンとを有し、
前記RF穿刺装置及び前記拡張器は、前記拡張器遠位部分を前記シース遠位端から突出して配置するとともに前記RF穿刺電極を前記拡張器遠位端及び前記シース遠位端から突出して前記標的部位に配置するように、前記シースルーメンを通って前進可能であり、
前記シース遠位部分において、前記シース側壁は、前記シース側壁を通って前記シースの外面から前記シースルーメンまで半径方向に延びる第2の窓を備え、
前記拡張器が前記シースを通して前進させられるとともに前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられて前記RF穿刺電極を前記標的部位に配置した場合に、前記第2の体内接地電極が前記第2の窓と位置合わせされる、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の体内接地電極を電気解剖学的マッピング電極(EAM電極)として使用するように、前記第1の体内接地電極が電気的に接続可能であるEAMシステムを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項26】
スイッチングデバイスを更に備え、
前記RF穿刺電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記RF出力ポートに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記EAMシステムに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記スイッチングデバイスは、前記第1の体内接地電極が、所与のタイミングで前記接地リターンポート及び前記EAMシステムのうちの1つのみに電気的に接続されることを可能にするように構成される、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、組織穿刺に関連する医療処置に関する。より具体的には、本明細書は、無線周波数エネルギーを使用する組織穿刺のためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
以下の概要は、詳細な説明の様々な態様を読者に紹介することを意図するものであり、いかなる発明をも定義又は限定するものではない。
組織穿刺のためのシステムが開示される。いくつかの態様によれば、組織穿刺のためのシステムは、無線周波数出力ポート(RF出力ポート)及び接地リターンポートを有する無線周波数発生器(RF発生器)を含む。システムは、シャフト及び先端を有する細長部材を含むRF穿刺装置を更に含む。先端は、患者の体内の標的部位に隣接して配置可能な体内RF穿刺電極を含み、シャフトは、体内RF穿刺電極に電気的に接続されるとともにRF発生器から体内RF電極にRFエネルギーを送達するようにRF出力ポートに電気的に接続可能な第1の導電体を含む。システムは、標的部位に近接して患者の体内に配置可能な少なくとも第1の体内接地電極を更に含む。第1の体内接地電極は、電流をRF発生器に戻すための接地リターンポートに電気的に接続可能である。
【0003】
いくつかの例では、システムは、第1の体内接地電極を含む体内アクセサリを更に含む。
いくつかの例では、体内アクセサリは、標的部位にRF穿刺電極を配置するようにRF穿刺装置がそれを通って前進可能なシースを含む。シースは、標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、シース遠位端とシース近位端との間に延びるシース側壁と、シース側壁によって画定されるとともにシース遠位端とシース近位端との間に延びるシースルーメンとを有することができる。第1の体内接地電極は、シース遠位部分においてシース側壁に固定することができ、シースは、接地リターンポートに第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に含むことができる。第1の体内接地電極は、シース側壁の周囲に円周方向に延びる第1のリング電極を含むことができる。
【0004】
いくつかの例では、体内アクセサリは、標的部位にRF穿刺電極を配置するようにRF穿刺装置が前進可能な拡張器を含む。拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、拡張器遠位端と拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、拡張器側壁によって画定されるとともに拡張器遠位端と拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを含むことができる。第1の体内接地電極は、拡張器遠位部分において拡張器側壁に固定することができ、拡張器は、接地リターンポートに第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に含むことができる。第1の体内接地電極は、拡張器側壁の周囲に円周方向に延びる第1のリング電極を含むことができる。
【0005】
いくつかの例では、体内アクセサリは、標的部位に近接して配置可能であるとともにカテーテル遠位端を画定するカテーテル遠位部分と、カテーテル遠位部分の反対側にあるとともにカテーテル近位端を画定するカテーテル近位部分と、カテーテル遠位端とカテーテル近位端との間に延びるカテーテル側壁とを有する診断カテーテルを含む。第1の体内接地電極は、カテーテル遠位部分においてカテーテル側壁に固定することができ、カテーテルは、接地リターンポートに第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に含むことができる。
【0006】
いくつかの例では、RF穿刺装置は、第1の体内接地電極を含む。シャフトは、体内接地電極に電気的に接続され、電流をRF発生器に戻すための接地リターンポートに電気的に接続可能である接地リターンワイヤを含むことができる。第1の体内接地電極は、シャフト上に受容される第1のリング電極を含むことができる。
【0007】
いくつかの例では、システムは、標的部位にRF穿刺電極を配置するようにRF穿刺装置がそれを通って前進可能な拡張器を更に含むことができる。拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、拡張器遠位端と拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、拡張器側壁によって画定されるとともに拡張器遠位端と拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを含むことができる。拡張器遠位部分において、拡張器側壁は、拡張器の外面から拡張器ルーメンまで拡張器側壁を通って半径方向に延びる第1の窓を含むことができる。標的部位にRF穿刺電極を配置するようにRF穿刺装置が拡張器を通して前進させられるとき、第1の体内接地電極は、第1の窓と位置合わせされ得る。
【0008】
いくつかの例では、RF穿刺装置は、第2の体内接地電極を更に含む。システムは、標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、シース遠位端とシース近位端との間に延びるシース側壁と、シース側壁によって画定されるとともにシース遠位端とシース近位端との間に延びるシースルーメンとを有するシースを更に含むことができる。RF穿刺装置及び拡張器は、シースルーメンを通して前進可能であり、拡張器遠位部分をシース遠位端から突出して配置し、RF穿刺電極を拡張器遠位端及びシース遠位端から突出して標的部位に配置することができる。シース遠位部分において、シース側壁は、シース側壁を通ってシースの外面からシースルーメンまで半径方向に延びる第2の窓を含むことができる。拡張器がシースを通して前進させられるとともにRF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられて前記RF穿刺電極を標的部位に配置した場合に、第2の体内接地電極を第2の窓と位置合わせすることができる。
【0009】
いくつかの例では、第1の体内接地電極は、RF穿刺電極よりも大きい表面積を有する。
いくつかの例では、システムは、第1の体内接地電極をEAM電極として使用するために第1の体内接地電極が電気的に接続可能である電気解剖学的マッピングシステム(EAMシステム)を更に含む。
【0010】
いくつかの例では、システムはスイッチングデバイスを更に含む。RF穿刺電極は、スイッチングデバイスを介してRF出力ポートに電気的に接続可能であり得る。第1の体内接地電極は、スイッチングデバイスを介してEAMシステムに電気的に接続可能であり、スイッチングデバイスを介して接地リターンポートに電気的に接続可能であり得る。スイッチングデバイスは、第1の体内接地電極が所与のタイミングで接地リターンポート及びEAMシステムのうちの1つのみに電気的に接続されることを可能にするように構成され得る。
【0011】
組織穿刺のための方法が開示される。いくつかの態様によれば、組織穿刺のための方法は、(a)高周波(RF)穿刺装置を患者の体内の標的部位に向かって前進させ、RF穿刺装置の体内RF穿刺電極を標的部位に接触させて配置することと、(b)第1の体内接地電極を患者の体内に前進させ、前記第1の体内接地電極を標的部位に近接して離間して配置することと、(c)RFエネルギーをRF発生器のRF出力ポートからRF穿刺電極に送達して、標的部位を穿刺することと、(d)電流を第1の体内接地電極に戻し、電流を第1の体内接地電極からRF発生器の接地リターンポートに送達することと、を含む。
【0012】
いくつかの例では、ステップ(a)において、体内RF穿刺電極は、標的部位の第1の側に配置され、ステップ(b)において、第1の体内接地電極は、標的部位の第1の側に配置される。
【0013】
いくつかの例では、ステップ(a)において、体内RF穿刺電極が体腔内に配置され、ステップ(b)において、第1の体内接地電極が体腔内に配置される。体腔は、右心房であり得る。
【0014】
いくつかの例では、ステップ(b)は、シースを患者の体内に前進させることを含む。シースの遠位部分は、第1の体内接地電極を含むことができる。ステップ(a)は、シースを通してRF穿刺装置を前進させることを含むことができる。
【0015】
いくつかの例では、ステップ(b)は、拡張器を患者の体内に前進させることを含む。拡張器の遠位部分は、第1の体内接地電極を含むことができる。ステップ(a)は、拡張器を通してRF穿刺装置を前進させることを含むことができる。
【0016】
いくつかの例では、ステップ(b)は、診断カテーテルを患者の体内に前進させることを含む。診断カテーテルの遠位部分は、第1の体内接地電極を含むことができる。
いくつかの例では、RF穿刺装置の遠位部分は、第1の体内接地電極を含み、ステップ(a)及びステップ(b)は、RF穿刺装置を前進させることによって同時に実行される。
【0017】
いくつかの例では、本方法は、ステップ(c)及び(d)の前又は後に、第1の体内接地電極を電気解剖学的マッピングシステムに接続し、電気解剖学的マッピングのために第1の体内接地電極を使用することを更に含む。
【0018】
いくつかの例では、方法は、ステップ(c)及び(d)の前又は後に、RF穿刺電極を電気解剖学的マッピングシステムに接続することと、電気解剖学的マッピングのためにRF穿刺電極を使用することとを更に含む。
【0019】
添付の図面は、本開示の物品、方法、及び装置を例示するためのものであり、限定することを意図するものではない。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】RF発生器、RF穿刺装置、拡張器、及びシースを含む、組織穿刺のための例示的システムの斜視図。
【
図4】
図1のシステムのシースの遠位部分を通る断面図。
【
図6】別の例示的な拡張器の遠位部分を通る断面図。
【
図7】
図6の拡張器が組織穿刺のためのシステムにおいて使用されている様子を示す概略図。
【
図8】使用中の組織穿刺用の別の例示的なシステムの斜視図。
【
図9】別の例示的なRF穿刺装置の遠位部分を通る断面図。
【
図10】組織穿刺のためのシステムにおいて使用されている
図9のRF穿刺装置を示す概略図。
【
図11】組織穿刺のための別のシステムにおいて使用されている
図9のRF穿刺装置を示す概略図。
【
図12】RF発生器、RF穿刺装置、拡張器、シース、電気解剖学的マッピングシステム(EAMシステム)、及びスイッチングデバイスを含む、組織穿刺のための例示的なシステムの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求される主題の実施形態の実施例を提供するために、様々な装置、プロセス、又は構成が以下で説明される。以下で説明される実施例は、いずれの請求項をも限定するものではなく、いずれの請求項も、以下で説明されるものとは異なるプロセス、装置、又は構成を包含し得る。特許請求の範囲は、以下で説明されるいずれか1つの装置、プロセス、若しくは構成の特徴の全てを有する、装置若しくはプロセス若しくは構成に、又は、以下で説明される複数若しくは全ての装置、プロセス、若しくは構成に共通の特徴に限定されるものではない。以下で説明される装置、プロセス、又は構成は、本特許出願の発行によって付与される、いずれの排他的権利の実施形態でもない可能性がある。以下で説明され、本特許出願の発行によって排他的権利が付与されないいずれの主題も、別の保護文書、例えば、継続特許出願の主題である場合があり、本出願人、本発明者、又は特許権者は、本明細書におけるその開示によって、そのようないずれの主題も破棄、放棄、又は公衆に解放することを意図するものではない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「体内」という用語は、人体内で行われる処置、又は人体内で使用される若しくは使用が意図される装置(若しくはその要素)を指す。本明細書に説明されるシステム及び装置による心房穿孔は、体内処置の一例である。本明細書に記載される穿刺電極及び接地電極は、体内要素の例である。
【0023】
概して、本明細書に開示されるのは、組織穿刺のための装置、システム、方法である。本方法は、概して、RF穿刺装置の無線周波数穿刺電極(RF穿刺電極)を標的組織(例えば、心房中隔)に対して配置することと、エネルギーをRF発生器からRF穿刺電極に送達し、標的組織を穿刺することに関連する。そのような処置は、例えば、医療処置として行うことができ、あるいは、後続の医療処置のために左心房へのアクセスを得るために行うことができる。本明細書に開示される方法では、体内接地電極(IG電極)が、電流をRF発生器に戻すために使用される。IG電極は、RF穿刺電極に近接するが、RF穿刺電極及び標的組織の両方から離間されて、患者の身体内に配置することができる。例えば、IG電極は、右心房内で、RF穿刺電極の近位に配置され得る。以下に更に詳細に説明するように、これは、例えば、IG電極をRF穿刺装置自体に組み込むことによって、又はRF穿刺装置を前進させるシース、RF穿刺装置を前進させる拡張器、若しくは医療処置において同時に使用される診断カテーテルなどの体内アクセサリに組み込むことによって達成することができる。
【0024】
RF穿刺電極に近接して配置可能であるIG電極を提供することは、電気エネルギーが電気回路を完成させるために身体を通して長い距離を移動する必要がないため、安全性を向上させることができる。従って、漏れ電流に関連するリスク(例えば、生理学的応答、神経刺激、火傷、及び他の電子機器との干渉)が低減される。更に、RF穿刺電極に近接して配置可能なIG電極を提供することによって、組織穿刺のために比較的少量の電力/電流を使用することができると考えられる。これにより、RF穿刺電極を比較的小さくすることができ、RF穿刺装置が比較的薄い絶縁層を有することができ、その結果、RF穿刺装置の直径を比較的小さくすることができる。小径RF穿刺装置は、比較的非外傷性とすることができ、付加的用途を有し得る(例えば、冠血管内の診断ワイヤとして付加的用途を有し得る)。この実施形態では、電流の方向は後方に移動する。換言すれば、電流の方向は、RF穿刺電極から近位IG電極に移動する。
【0025】
代替の実施形態では、アセンブリは、RFエネルギーを送達する近位電極(複数可)を有するように構築され得、一方、最遠位電極は、接地として構成され得る。この実施形態では、電流の方向は、近位RF電極(複数可)から遠位接地電極に移動するにつれて反転される。換言すれば、電流の方向は順方向(近位から遠位)に移動する。いくつかの状況では、この電流方向の反転は、電流密度場がここでは組織から離れてではなく組織に向かって印加されるので、組織を穿刺するためにより効果的であり得る。
【0026】
ここで
図1を参照すると、組織穿刺用の例示的なシステム100が示されている。示されるように、システム100は、RF発生器102と、RF穿刺装置104と、シース106と、拡張器108とを含む。
【0027】
図1を引き続き参照すると、示される例では、RF発生器102は、RF穿刺装置104が電気的に接続可能であるRF出力ポート110と、接地電極(以下で更に詳細に説明される)が電気的に接続可能である接地リターンポート112とを含む。RF発生器は市販されており、本明細書では詳細に説明しない。1つのそのような例は、Baylis Medical社(カナダ国、モントリオール市)から「RFP-100A RF Puncture Generator」という名称で入手可能である。
【0028】
図2及び
図3を参照すると、図示の例では、RF穿刺装置104は、シャフト116及び先端118を有する細長部材114と、ハブ120とを含む。先端118はシャフト116の遠位端にあり、ハブ120はシャフト116の近位端にある。先端118は、患者の体内の標的部位(例えば心房中隔)に隣接して配置可能なRF穿刺電極122(本明細書では体内RF穿刺電極とも呼ばれる)を含む。シャフト116は、導電体124と、導電体124上の電気絶縁材料126の層とを含む。導電体124は、その遠位端においてRF穿刺電極122に電気的に接続され、更に、RFエネルギーをRF発生器102からRF穿刺電極122に送達するために、(例えば、ハブ120及びケーブルを介して)RF出力ポート110に電気的に接続可能である。
【0029】
図1に戻って参照すると、RF穿刺装置104は、シース106及び拡張器108を介して前進可能であり、RF穿刺電極122を標的部位に配置する。拡張器108は、Baylis Medical社から入手可能なものなどの任意の好適な拡張器であってもよく、本明細書では詳細に説明しない。図示の例では、シース106は、標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端130を画定するシース遠位部分128と、シース遠位部分128の反対側にあり、シース近位端134を画定するシース近位部分132と、シース遠位端130とシース近位端134との間に延びるシース側壁136と、シース側壁136によって画定されるとともにシース遠位端130とシース近位端134との間に延びるシースルーメン138(
図4に示す)とを含む。
【0030】
図4を参照すると、図示の例では、シース106は、1組のIG電極すなわち、第1のIG電極140、第2のIG電極142、第3のIG電極144、及び第4のIG電極146を含む。IG電極140~146は、標的部位に近接して患者の体内に配置可能であり、電流をRF発生器102に戻すために、RF発生器102の接地リターンポート112(
図4には図示せず)に電気的に接続可能である。図示の例では、IG電極140~146は、シース遠位部分128においてシース側壁136に固定され(例えば、接着剤及び/又は摩擦によって)、シース106の周りに円周方向に延びるリング電極の形態である。シース106は、IG電極140~146を接地リターンポート112に電気的に接続するための接地リターンワイヤ148を更に含む。簡略化のために、単一の接地リターンワイヤ148のみが示されているが、IG電極はそれぞれ、それに関連付けられた別個の接地リターンワイヤを有し得る。
【0031】
使用中のIG電極140~146の加熱を最小化又は低減するために、IG電極140~146は、比較的大きい表面積(すなわち、RF穿刺電極122の表面積よりも大きい表面積)を有し得る。
【0032】
IG140~146電極は、例えば、白金イリジウム合金から製造することができる。
図示の例では、シース106は、4つのIG接地電極を含む。代替例では、単一のIG接地電極など、別の数のIG接地電極が使用され得る。しかしながら、複数のIG電極の使用は、IG電極が組織と接触している場合、損傷形成のリスクを低減し得る。
【0033】
図示の例では、IG接地電極140~146は、シース106の周囲に延びるリング電極である。代替例では、IG電極は別の形状であってもよい。例えば、IG電極は、組織に接触するリスクを低減するために、シース106の凹面側のみに配置され得る。
【0034】
更なる例では、IG電極140~146が組織に接触するリスクを低減又は最小化するために、保護ケージがIG電極140~146の周りに設けられてもよい。
更なる例において、RF発生器102は、IG電極140~146が非標的組織に接触することによる組織損傷のリスクを低減するようにプログラムされ得る。例えば、RF発生器102は、接地回路のインピーダンスを決定し、IG電極140~146のうちの1つ以上が組織と接触していることをインピーダンスが示す場合に停止するように構成され得る。
【0035】
代替の実施形態では、シースの電極140~146は、RFエネルギーを送達するように構成され得、一方、穿刺装置の電極122は、接地として構成され得る。
ここで
図5を参照すると、使用時に、RF穿刺装置104、シース106、及び拡張器108は、患者の体内の標的部位に向かって前進させることができる。図示の例では、標的部位は心房中隔(AS)であり、RF穿刺装置104、シース106、及び拡張器108は、任意選択で、最初にシース106を前進させ、次いで拡張器108及びRF穿刺装置104を、シース106を介して前進させることによって、大腿静脈(図示せず)を経由して心房中隔に向かって前進させることができる。
図5に示されるように、RF穿刺装置104のRF穿刺電極122は、標的部位と接触して配置することができる。更に、IG電極140~146は、標的部位に近接し、かつ標的部位から離間して配置することができる。図示の例では、IG電極140~146は、RF穿刺装置104の近位において、右心房(RA)内に配置される。次いで、RF発生器102(
図5には図示せず)を作動させることができ、RFエネルギーをRF発生器102のRF出力ポート110からRF穿刺電極122に送達して、標的部位を穿刺することができる。次いで、電流は、IG電極140~146に戻され、IG電極140~146からRF発生器102の接地リターンポート112に送達され得る。リターン電流は、
図5において点線で概略的に示されている。RF穿刺電極122が心房中隔を通過すると、RFエネルギーの送達を停止することができ、次いで、拡張器108を穿孔に通して前進させて穿刺を拡張することができる。次いで、シース106を穿孔に通して前進させることができ、医療処置の残りの部分を実行することができる。
【0036】
特に、図示の例では、RF穿刺電極122及びIG電極140~146は、標的部位の同じ側に、同じ体腔(すなわち、右心房)内に配置される。
近位に配置された電極140~146がRFエネルギーを送達するように構成される代替的な実施形態では、遠位に配置された電極122は、
図5で説明したものとは反対の逆方向の電流を生成する。換言すれば、電流の方向は前方(近位から遠位)に移動する。
【0037】
ここで
図6及び
図7を参照すると、IG電極が拡張器608に組み込まれている代替システムが示されている。
図6において、
図1~
図5の特徴と同様の特徴は、500だけ増加した同様の参照番号で参照される。
【0038】
図6を参照すると、拡張器608は、拡張器遠位端652に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分650と、拡張器遠位部分650の反対側にあり、拡張器近位端(図示せず)を画定する拡張器近位部分(図示せず)とを含む。拡張器側壁654は、拡張器遠位端652と拡張器近位端との間に延びる。拡張器ルーメン656は、拡張器側壁654によって画定されるとともに拡張器遠位端652と拡張器近位端との間に延びる。IG電極640は、拡張器遠位部分650内の拡張器側壁654に固定され(例えば、接着剤、摩擦、又は埋め込みを使用して)、接地リターンワイヤ648は、IG電極640をRF発生器(図示せず)の接地リターンポートに電気的に接続するために提供される。
【0039】
図6の例では、IG電極640は、拡張器側壁654の周りに円周方向に延びるリング電極である。代替例では、IG電極は、別の形状であってもよく、別様に配置され得る。例えば、拡張器は、構造的なハイポチューブを含んでもよく、ハイポチューブの電気的に露出した部分は、IG電極を形成してもよい。更に、
図6の例では、拡張器608は単一のIG電極640のみを含む。代替例では、拡張器608は、別の数のIG電極を含んでもよい。
【0040】
図7を参照すると、使用時、RF穿刺装置604、シース606、及び拡張器608は、患者の身体内の標的部位に向かって前進させることができる。図示の例では、標的部位は心房中隔(AS)であり、RF穿刺装置604、シース606、及び拡張器608は、任意選択で、最初にシース606を前進させ、次いで拡張器608及びRF穿刺装置604を、シース606を介して前進させることによって、大腿静脈(図示せず)を経由して心房中隔に向かって前進させることができる。
図7に示されるように、RF穿刺装置604のRF穿刺電極622は、標的部位と接触して配置することができる。更に、IG電極640は、標的部位に近接し、かつ、標的部位から離間して配置され得る。図示の例では、IG電極640は、右心房(RA)内で、RF穿刺電極622の近位に配置される。次いで、RF発生器(
図7には図示せず)を作動させることができ、RFエネルギーをRF発生器のRF出力ポートからRF穿刺電極622に送達して、標的部位を穿刺することができる。電流は、次いで、IG電極640に戻され、IG電極640からRF発生器の接地リターンポートに送達することができる。リターン電流は、
図7において点線で概略的に示されている。RF穿刺電極622が心房中隔を通過すると、RFエネルギーの送達を停止することができ、次いで、拡張器608を穿孔に通して前進させて、穿刺を拡張することができる。次に、シース606を穿孔に通して前進させることができる。
【0041】
代替的な実施形態では、拡張器電極640は、RFエネルギーを送達するように構成され、電極622は、接地電極として構成される。この実施形態では、電流の方向は、
図7記載されたものと比較して逆である。換言すれば、電流は、順方向に近位から遠位に移動する。
【0042】
ここで
図8を参照すると、IG電極が診断カテーテル858に組み込まれている代替システムが示されている。
図8において、
図1~
図5の特徴と同様の特徴は、700だけ増加した同様の参照番号で参照される。
【0043】
図8に示すように、RF発生器(図示せず)の接地リターンポートに電気的に接続された1組のIG電極840(そのうちの2つのみに符号が付されている)を含む診断カテーテル858が提供される。使用時、診断カテーテル858は、例えば、心臓の冠状静脈洞(CS)内に、IG電極840が心房中隔(AS)に近接した状態で配置することができる。RF穿刺装置804、シース806、及び拡張器808は、患者の身体内の標的部位に向かって前進させることができ、標的部位は、示される実施例では、心房中隔である。RF穿刺装置804、シース806、及び拡張器808は、大腿静脈(図示せず)を介して心房中隔に向かって前進させることができ、任意選択で、最初にシース806を前進させ、次いで拡張器808及びRF穿刺装置804をシース806に通して前進させることによって、前進させることができる。RF穿刺装置804のRF穿刺電極822は、標的部位と接触して配置することができる。次いで、RF発生器(
図8には図示せず)を作動させることができ、RFエネルギーをRF発生器のRF出力ポートからRF穿刺電極822に送達して、標的部位を穿刺することができる。電流は、次いで、IG電極840に戻され、IG電極840からRF発生器の接地リターンポートに送達することができる。リターン電流は、
図8において点線で概略的に示されている。RF穿刺電極822が心房を通過すると、RFエネルギーの送達を停止することができ、次いで、拡張器808を穿孔に通して前進させて、穿刺を拡張することができる。次に、シース806を穿孔に通して前進させることができる。
【0044】
ここで
図9及び
図10を参照すると、IG電極がRF穿刺装置904自体に組み込まれている代替システムが示されている。
図8及び
図9において、
図1~
図5の特徴と同様の特徴は、800を加えた同様の参照番号で参照される。
【0045】
最初に
図9を参照すると、示される例では、RF穿刺装置904は、第1のIG電極940及び第2のIG電極942を含み、これらは、シャフト916上に受容され、RF穿刺電極922から近位に離間されたリング電極の形態である。シャフト916は、IG電極940、942に電気的に接続され、電流をRF発生器(
図9及び
図10には図示せず)に戻すための接地リターンポートに電気的に接続可能である接地リターンワイヤ948を更に含む。
【0046】
図10を参照すると、RF穿刺装置904、シース906、及び拡張器908は、患者の身体内の標的部位に向かって前進させることができる。図示の例では、標的部位は心房中隔(AS)であり、RF穿刺装置904、シース906、及び拡張器908は、任意選択で、最初にシース906を前進させ、次いで拡張器908及びRF穿刺装置904をシース906に通して前進させることによって、大腿静脈(図示せず)を介して心房中隔に向かって前進させることができる。代替として、RF穿刺装置904、シース906、及び拡張器908は、上方に又は他のアプローチを介して心房中隔に向かって前進させられてもよい。
図9に示されるように、RF穿刺装置904のRF穿刺電極922は、標的部位と接触して配置することができる。更に、IG電極940、942は、拡張器908及びシース906から突き出してIG電極940、942を前進させることによって露出させることができる。次いで、RF発生器(
図10には図示せず)を作動させることができ、RFエネルギーをRF発生器のRF出力ポートからRF穿刺電極922に送達して、標的部位を穿刺することができる。電流は、次いで、IG電極940、942に戻され、IG電極940、942からRF発生器の接地リターンポートに送達することができる。リターン電流は、
図10において点線で概略的に示されている。RF穿刺電極922が心房中隔を通過すると、RFエネルギーの送達を停止することができ、次いで、拡張器908を穿孔に通して前進させて、穿刺を拡張することができる。次に、シース906を穿孔に通して前進させることができる。
【0047】
ここで
図11を参照すると、
図9のRF穿刺装置904が代替の拡張器1108及び代替のシース1106とともに使用される例が示されている。拡張器1108は、拡張器の外面からルーメン1156まで拡張器側壁1154を通って半径方向に延びる、第1の窓1160及び第2の窓(図示せず)を含む。シース1106は、シース1106の外面からシース1106のルーメンまでシース側壁1136を通って半径方向に延びる第3の窓1162を含む。拡張器1108がシース1106内に
図11に示す位置まで挿入されると、第2の窓は第3の窓1162と位置合わせされる。更に、RF穿刺装置904が拡張器1108内に
図11に示す位置まで挿入されると、第1のIG電極940(
図11では見えない)が第1の窓1160と位置合わせされ、第2のIG電極942(
図11では見えない)が第2の窓及び第3の窓1162と位置合わせされ、その結果、IG電極940、942が電気的に露出される。
【0048】
代替の実施形態では、近位に位置する電極940、942、640は、RFエネルギーを送達するように構成され、電極922は、接地電極として構成される。この実施形態では、電流の方向は、
図9~
図11に記載されたものと比較して逆である。換言すれば、電流は、順方向に近位から遠位に移動する。
【0049】
ここで
図12を参照すると、システムの代替例が示されている。
図12において、
図1~
図5の特徴と同様の特徴は、1100だけ増加した同様の参照番号で参照される。
システム1200は、
図1のシステムと同様であり、RF発生器1202と、RF穿刺電極1222を含むRF穿刺装置1204と、1組のIG電極1240(そのうちの1つのみに符号が付されている)を含むシース1206と、拡張器1208とを含む。しかしながら、システムは、電気解剖学的マッピングシステム(EAMシステム)1264及びスイッチングデバイス1266を更に含む。いくつかの実施形態では、スイッチングデバイス1266は、発生器1202に統合されている。IG電極1240は、EAM電極としてIG電極1240を二次的に使用するために、EAMシステム1264に電気的に接続可能である。特に、RF穿刺電極1222は、スイッチングデバイス1266を介してRF出力ポート1210に電気的に接続可能である。更に、IG電極1240は、スイッチングデバイス1266を介してEAMシステム1264及び接地リターンポート1212の両方に電気的に接続可能である。しかしながら、スイッチングデバイス1266は、システム1200がEAMモード又は穿刺モードのいずれかで使用されることを可能にするために、IG電極1240が所与のタイミングで接地リターンポート1212及びEAMシステム1264のうちの1つのみに電気的に接続されることを可能にするように構成される。IG電極をEAMシステム1264及び接地リターンポート1212に接続するために、シース1206内に別個のワイヤを設けることができる。代替の実施形態では、RF穿刺電極1222は、スイッチングデバイス1266を介して、EAMシステム1264及びRF出力ポート1210の両方に電気的に接続可能である。
【0050】
スイッチングデバイス1266は、任意選択で、二次装置(例えば、接地パッド)がIG電極1240ではなく接地電極として使用されることを可能にするように更に構成され得る。
【0051】
図12のスイッチングデバイス1266及びEAMシステム1264は、追加的に又は代替的に、
図1~
図11に示すシステムと共に使用することができる。
上記の例のいずれにおいても、IG電極を含む装置(例えば、拡張器、シース、RF穿刺装置、又は診断カテーテル)に、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)を組み込むことができる。
【0052】
上記の実施形態のいずれにおいても、別個の装置が、処置全体を通してリターン電極を備える穿刺アセンブリ(すなわち、穿刺装置及び/又は拡張器及び/又はシース)とともに使用され得る。例えば、接地として機能するように構成された電極(又は複数の電極)を備える別個のカテーテルが、処置中に体内に配置され得る。
【0053】
上記の説明は、1つ以上のプロセス、装置、又は構成の実施例を提供しているが、他のプロセス、装置、又は構成も、添付の特許請求の範囲内であり得る点が理解されるであろう。
【0054】
いずれかの先行技術又は他の技術に関して、(本特許、又は、いずれかの親、兄弟、若しくは子を含めた、いずれかの関連特許出願若しくは特許において)以前に為された補正、特徴付け、又は他の主張が、本出願の本開示によってサポートされるいずれかの主題の放棄と解釈される可能性がある限りにおいて、本出願人は、そのような放棄を取り消し、撤回するものである。本出願人はまた、いずれかの親、兄弟、若しくは子を含めた、いずれかの関連特許出願又は特許において以前に検討された、いずれかの先行技術を再検討する必要があり得る点を、謹んで提言するものである。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織穿刺のためのシステムであって、
RF出力ポート及び接地リターンポートを備える
RF発生器を備え、
シャフト及び先端を有する細長部材を備えるRF穿刺装置を備え、前記先端は、患者の体内の標的部位に隣接して配置可能な体内RF穿刺電極からなり、かつ、前記シャフトは、前記体内RF穿刺電極に電気的に接続されるとともに前記RF発生器から前記体内RF
穿刺電極にRFエネルギーを送達するための前記RF出力ポートに電気的に接続可能な第1の導電体を備え、
前記標的部位に近接して前記患者の体内に配置可能である少なくとも第1の体内接地電極を備え、前記第1の体内接地電極は、電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
組織穿刺のためのシステム。
【請求項2】
前記第1の体内接地電極を備える体内アクセサリを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記体内アクセサリはシースを備え、当該シースを介して前記RF穿刺装置が前記標的部位に前記
体内RF穿刺電極を配置するように前進可能であり、前記シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンと、を備え、
前記第1の体内接地電極は、前記シース遠位部分において前記シース側壁に固定され、前記シースは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記体内アクセサリは拡張器を備え、前記標的部位に前記
体内RF穿刺電極を配置するように当該拡張器を介して前記RF穿刺装置が前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記第1の体内接地電極は、前記拡張器遠位部分において前記拡張器側壁に固定され、前記拡張器は、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記体内アクセサリは診断カテーテルを備え、該診断カテーテルは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにカテーテル遠位端を画定するカテーテル遠位部分と、前記カテーテル遠位部分の反対側にあるとともにカテーテル近位端を画定するカテーテル近位部分と、前記カテーテル遠位端と前記カテーテル近位端との間に延びるカテーテル側壁とを有し、
前記第1の体内接地電極は、前記カテーテル遠位部分において前記カテーテル側壁に固定され、前記
診断カテーテルは、前記接地リターンポートに前記第1の体内接地電極を電気的に接続するための接地リターンワイヤを更に備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記RF穿刺装置は、前記第1の体内接地電極を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャフトは、前記体内接地電極に電気的に接続され、前記電流を前記RF発生器に戻すための前記接地リターンポートに電気的に接続可能である接地リターンワイヤを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは拡張器を備え、前記
体内RF穿刺電極を前記標的部位に配置するように前記RF穿刺装置が当該拡張器を通って前進可能であり、前記拡張器は、拡張器遠位端に向かって直径が先細になる拡張器遠位部分と、前記拡張器遠位部分の反対側にあるとともに拡張器近位端を画定する拡張器近位部分と、前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器側壁と、前記拡張器側壁によって画定されるとともに前記拡張器遠位端と前記拡張器近位端との間に延びる拡張器ルーメンとを備え、
前記拡張器遠位部分において、前記拡張器側壁は、前記拡張器側壁を通って前記拡張器の外面から前記拡張器ルーメンまで半径方向に延びる第1の窓を備え、
前記標的部位に前記
体内RF穿刺電極を配置するように前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられるとき、前記第1の体内接地電極は、前記第1の窓と位置合わせされる、
請求項
6に記載のシステム。
【請求項9】
前記RF穿刺装置は、第2の体内接地電極を更に備える、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムはシースを更に備え、該シースは、前記標的部位に近接して配置可能であるとともにシース遠位端を画定するシース遠位部分と、前記シース遠位部分の反対側にあるとともにシース近位端を画定するシース近位部分と、前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシース側壁と、前記シース側壁によって画定されるとともに前記シース遠位端と前記シース近位端との間に延びるシースルーメンとを有し、
前記RF穿刺装置及び前記拡張器は、前記拡張器遠位部分を前記シース遠位端から突出して配置するとともに前記
体内RF穿刺電極を前記拡張器遠位端及び前記シース遠位端から突出して前記標的部位に配置するように、前記シースルーメンを通って前進可能であり、
前記シース遠位部分において、前記シース側壁は、前記シース側壁を通って前記シースの外面から前記シースルーメンまで半径方向に延びる第2の窓を備え、
前記拡張器が前記シースを通して前進させられるとともに前記RF穿刺装置が前記拡張器を通して前進させられて前記
体内RF穿刺電極を前記標的部位に配置した場合に、前記第2の体内接地電極が前記第2の窓と位置合わせされる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の体内接地電極は、前記
体内RF穿刺電極よりも大きい表面積を有する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の体内接地電極は、第1のリング電極からなる、請求項
1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の体内接地電極を電気解剖学的マッピング電極(EAM電極)として使用するように、前記第1の体内接地電極が電気的に接続可能である
EAMシステムを更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
スイッチングデバイスを更に備え、
前記
体内RF穿刺電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記RF出力ポートに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記EAMシステムに電気的に接続可能であり、
前記第1の体内接地電極は、前記スイッチングデバイスを介して前記接地リターンポートに電気的に接続可能である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチングデバイスは、前記第1の体内接地電極が、所与のタイミングで前記接地リターンポート及び前記EAMシステムのうちの1つのみに電気的に接続されることを可能にするように構成される、請求項
14に記載のシステム。
【国際調査報告】