(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ペロノスポラ(Peronospora)耐性ホウレンソウ
(51)【国際特許分類】
A01H 5/00 20180101AFI20241120BHJP
A01H 1/02 20060101ALI20241120BHJP
A01H 6/02 20180101ALI20241120BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20241120BHJP
C12Q 1/6895 20180101ALI20241120BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241120BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20241120BHJP
【FI】
A01H5/00 Z
A01H1/02 Z ZNA
A01H6/02
A01H5/10
C12Q1/6895 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533244
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022084413
(87)【国際公開番号】W WO2023104715
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ロコスー アノマ アクヴィ
(72)【発明者】
【氏名】デ ランゲ ミシェル
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA07
4B063QA13
4B063QQ04
4B063QQ42
4B063QR62
4B063QR73
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX01
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を示すホウレンソウ植物に関する。本発明は、前記植物の種子及び部位、例えば葉及び頭状花にも関する。本発明は、このような種子及び植物を作成及び使用する方法にさらに関する。本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する前記耐性に関連する遺伝子配列及び前記遺伝子配列に関連する分子マーカーにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する定性的耐性及び優性耐性を付与する遺伝子移入配列を含む、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)植物、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物であって、前記遺伝子移入配列は、3番染色体に位置し、且つ配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型を含み;
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する前記植物の前記耐性は、前記遺伝子移入配列を欠いているS.オレラセア(S.oleracea)植物と比べて増強されている、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)植物。
【請求項2】
前記遺伝子移入配列は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;及び/又は
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型
の1つ以上においてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型をさらに含む、請求項1に記載の植物。
【請求項3】
前記遺伝子移入配列は、a)~j)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又はすべてにおいて前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む、請求項2に記載の植物。
【請求項4】
前記遺伝子移入配列は、c)~j)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上又はすべてにおいて前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む、請求項2又は3に記載の植物。
【請求項5】
前記遺伝子移入配列は、以下のSNPマーカーの組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
のいずれかにおいて前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の植物。
【請求項6】
前記遺伝子移入配列は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を付与する、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物。
【請求項7】
前記遺伝子移入配列についてヘテロ接合体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の植物。
【請求項8】
前記遺伝子移入配列についてホモ接合体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の植物。
【請求項9】
前記遺伝子移入配列は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%同一であり、且つ前記示されたSNPマーカー遺伝子型を含む配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の植物。
【請求項10】
・前記SNPマーカー1のA遺伝子型は、配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号2のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー2のA遺伝子型は、配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号7のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー3のA遺伝子型は、配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号12のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー4のG遺伝子型は、配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号17のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー5のC遺伝子型は、配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号22のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー6のA遺伝子型は、配列番号26のフォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号27のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー7のT遺伝子型は、配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号32のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー8のA遺伝子型は、配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号37のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー9のG遺伝子型は、配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号42のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー10のA遺伝子型は、配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号47のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;及び
・前記SNPマーカー11のG遺伝子型は、配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号52のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得る、請求項1~9のいずれか一項に記載の植物。
【請求項11】
前記遺伝子移入配列は、それぞれ寄託番号NCIMB 43893及び寄託番号NCIMB 44060でNCIMBに寄託されたS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487及びS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の代表的な種子であるS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472に含まれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の植物。
【請求項12】
近交系、二ゲノム性半数体又は雑種植物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の植物。
【請求項13】
それぞれ寄託番号NCIMB 43893及び寄託番号NCIMB 44060でNCIMBに寄託されたS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487及びS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の代表的な種子であるスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の植物。
【請求項14】
請求項13に記載の植物のF1子孫植物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の植物を生成する種子。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の植物の植物部位。
【請求項17】
ホウレンソウ種子を生成する方法であって、請求項15に記載の種子からホウレンソウ植物を栽培するステップと、前記植物にさらなるホウレンソウ種子を生成させるステップとを含む方法。
【請求項18】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物を生成する方法であって、
・請求項1~14のいずれか一項に記載の第1のS.オレラセア(S.oleracea)植物を、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する前記遺伝子移入配列を欠いている第2のホウレンソウ植物と交配させて、子孫植物を生成するステップと;
・ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する前記遺伝子移入配列を含む子孫植物を選択するステップであって、SNPマーカー11~1、任意にSNPマーカー11~3によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を前記植物において検出するステップを含む、ステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記選択するステップは、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有する植物を生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上又はすべてにおける前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
c)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又はすべてにおける前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
・前記選択された子孫を自殖させるか、又は前記選択された子孫植物を別のホウレンソウ植物と交配させて、さらなる子孫を生成するステップ
をさらに含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
さらなる子孫植物は、さらに2~10世代にわたって選択され、且つ自殖及び/又は交配される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するF1ハイブリッドホウレンソウ植物を生成する方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の植物である近交系S.オレラセア(S.oleracea)植物を異なる近交系S.オレラセア(S.oleracea)植物と交配させて、F1ハイブリッド子孫植物を生成するステップを含む方法。
【請求項25】
前記異なる近交系S.オレラセア(S.oleracea)植物は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を付与する前記遺伝子移入配列を含まず、任意に、前記異なる近交系S.オレラセア(S.oleracea)植物は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に感受性である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
SNPマーカー11~1、任意にSNPマーカー11~3によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を前記F1ハイブリッド子孫植物において検出するステップをさらに含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を前記F1ハイブリッド子孫植物において検出するステップをさらに含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
a)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上又はすべて、任意にc)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又はすべてにおける前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物を同定する方法であって、SNPマーカー11~1、任意にSNPマーカー11~3によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を前記植物において検出するステップを含む方法。
【請求項30】
以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物を同定する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
a)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上又はすべて、任意にc)~k)の前記SNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又はすべてにおける前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上のSNPマーカーにおいて前記耐性関連遺伝子型を含むホウレンソウ植物を選択するステップと、前記選択されたホウレンソウ植物を第2のホウレンソウ植物と交配させて、前記1つ以上のSNPマーカーにおいて前記耐性関連遺伝子型を含み、且つペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有する子孫ホウレンソウ植物を生成するステップとをさらに含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
以下のSNPマーカーの組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
のいずれかにおける前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
生成又は同定される前記ホウレンソウ植物は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を有する、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記植物は、前記遺伝子移入配列についてヘテロ接合体である、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記植物は、前記遺伝子移入配列についてホモ接合体である、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%同一であり、且つ前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列の存在又は非存在を検出するステップを含む、請求項18~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
・前記SNPマーカー1のA遺伝子型は、配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号2のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー2のA遺伝子型は、配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号7のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー3のA遺伝子型は、配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号12のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー4のG遺伝子型は、配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号17のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー5のC遺伝子型は、配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号22のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー6のA遺伝子型は、配列番号26のフォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号27のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー7のT遺伝子型は、配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号32のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー8のA遺伝子型は、配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号37のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー9のG遺伝子型は、配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号42のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・前記SNPマーカー10のA遺伝子型は、配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号47のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;及び
・前記SNPマーカー11のG遺伝子型は、配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号52のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得る、請求項18~37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の情報
本出願は、参照によりその開示が全体として本明細書に組み込まれる、2021年12月7日に出願された欧州特許出願公開第21212976.1号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を示す新規ホウレンソウ植物に関する。本発明は、前記植物の種子及び部位、例えば葉にも関する。本発明は、このような種子及び植物を作成及び使用する方法にさらに関する。本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する前記耐性に関連する新規遺伝子配列及び前記新規遺伝子配列に関連する分子マーカーにも関する。
【背景技術】
【0003】
植物病原体は、重要な作物に対して甚大な被害をもたらし、食品の供給及び植物材料に依存する他の産業の両方に対して広く影響を伴う顕著な農業上の損失をもたらすことが知られている。そのため、作物の生産に対する農業有害生物の発生及び/又は影響を低減させる必要性が長年にわたって存在する。
【0004】
このような病原体の例は、真菌ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)であり、この真菌は、ホウレンソウにおいて、この作物で最も経済的に重要な病気の1つであるべと病を引き起こす。P.エフサ(P.effusa)は、世界中で発生し、栽培ホウレンソウ(スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea))の収量及び品質の両方に影響を与える重大な問題となっている。
【0005】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)は、偏性病原体であり、比較的原始的な真菌のクラスである卵菌群に属する。この群の他のメンバーは、例えば、ピシウム(Pythium)及びフィトフソラ(Phytophthora)である。高湿度条件は、P.エフサ(P.effusa)の胞子嚢発生に好都合であり、風雨によって拡散し、広範囲に感染する可能性がある。病原体の有性生殖は、卵胞子形成をもたらし、卵胞子は、環境(例えば、土壌)又は種子中で生き延び得る。
【0006】
感染したホウレンソウ植物のP.エフサ(P.effusa)によって引き起こされるべと病の症状には、葉における黄色の不規則な萎黄病損傷が含まれるが、このようなホウレンソウは、販売することができない。P.エフサ(P.effusa)の管理は、主に、新しい耐性ホウレンソウ品種の開発及び導入並びに輪作、植物の残骸の除去及び葉の水分の削減などの農業慣行によるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
真菌性病原体ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する新規の耐性、特にこの真菌性病原体に対する広域耐性の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、「ADQ」及び「ADZ」と表されるペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を含む新規なホウレンソウ植物並びにその一部及び種子を提供することにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する追加及び改善された耐性の必要性に対処する。ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質の一方又は両方を含むホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)並びにその一部及び種子を同定及び生成するための核酸マーカーも提供される。本発明のADQ及びADZペロノスポラ(Peronospora)耐性は、野生スピナシア・トルケスタニカ(Spinacia turkestanica)起源及びS.オレラセア(S.oleracea)起源のペロノスポラ(Peronospora)耐性を組み合わせたものであり、著しいリンケージドラッグも有害な表現型(例えば、萎縮症)も伴うことなく、両方の起源の十分な耐性スペクトルを維持する染色体の小さい領域に局在する。3番染色体上に位置するADQ及びADZペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列は、優性性質であり;従って、配列の1つのコピーは、ペロノスポラ(Peronospora)耐性表現型を提供し、これは、本来、定性的であり、単一遺伝子的に分離する。
【0009】
全体として、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性ホウレンソウ植物の特性は、ペロノスポラ(Peronospora)で汚染された畑においてホウレンソウの品種を栽培する際の経済的及び商業的効率を高めるための新規な解決策をホウレンソウ栽培者に提供する。
【0010】
第1の実施形態では、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する定性的耐性及び優性耐性を付与する遺伝子移入配列を含むペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)耐性ホウレンソウ植物(例えば、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)植物などの栽培ホウレンソウ植物)を提供し、前記遺伝子移入配列は、3番染色体上に位置し、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する植物の耐性は、前記遺伝子移入配列を欠いている対照S.オレラセア(S.oleracea)植物と比べて増強されている。任意に、前記遺伝子移入配列は、配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型(すなわち耐性関連遺伝子型)を含む。
【0011】
さらなる実施形態では、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する定性的耐性及び優性耐性を付与する遺伝子移入配列を含む、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物(例えば、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)植物などの栽培ホウレンソウ植物)を提供し、前記遺伝子移入配列は、3番染色体上に位置し、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する植物の耐性は、前記遺伝子移入配列を欠いている対照S.オレラセア(S.oleracea)植物と比べて増強されている。任意に、前記遺伝子移入配列は、配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型を含む。
【0012】
実施形態では、遺伝子移入配列は、任意に、配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型に加えて、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;及び/又は
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型
の1つ以上においてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型/対立遺伝子を含む。
【0013】
実施形態では、遺伝子移入配列は、任意の組み合わせのc)~j)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上、任意にc)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む。実施形態では、遺伝子移入配列は、任意の組み合わせのa)~j)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又は9つ以上、任意にa)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む。
【0014】
遺伝子移入配列は、SNPマーカー11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び/又は1において耐性関連遺伝子型の任意の組み合わせを含み得る。実施形態では、遺伝子移入配列は、以下のSNPマーカーの組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
のいずれかにおいて耐性関連遺伝子型を含む。
【0015】
実施形態では、遺伝子移入配列は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%以上同一であり、且つ示されたペロノスポラ(Peronospora)耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列を含む。
【0016】
実施形態では、本発明に係る植物は、栽培植物である。
【0017】
この植物は、遺伝子移入配列についてヘテロ接合体又はホモ接合体であり得る。
【0018】
実施形態では、遺伝子移入配列は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を付与する。
【0019】
実施形態では、遺伝子移入配列は、それぞれ寄託番号NCIMB 43893及び寄託番号NCIMB 44060でNCIMBに寄託されたS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487及びS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の代表的な種子であるS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472に含まれるようなものである。
【0020】
実施形態では、本発明の植物は、近交系、二ゲノム性半数体又は雑種植物であり得る。一般に、本発明の植物は、2倍体である。
【0021】
さらなる態様として、本発明は、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の植物及びそれらのF1子孫植物を提供する。
【0022】
さらなる実施形態は、これらに限定されないが、遺伝子移入配列を含む、植物の葉、茎、根、花若しくは花部、芽、配偶体、胞子体、花粉、葯、小胞子、卵細胞、接合子、胚芽、成長領域、カルス組織、種子、挿木、細胞若しくは組織培養物又はいずれかの他の部位若しくは生成物を含む、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物から得られる植物部位、器官又は組織を提供する。実施形態では、植物部位、器官又は組織は、特にホウレンソウの葉を生成するホウレンソウ植物に成長する場合、本発明に係るペロノスポラ(Peronospora)に対する耐性を示す。
【0023】
さらに、本発明に係る植物を生成する種子が提供される。
【0024】
なおさらに、本発明に係る植物によって生成される種子が提供される。
【0025】
別の実施形態では、ホウレンソウの葉を生成及び収穫するための本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物、植物部位又は種子の使用が考えられる。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係るホウレンソウ植物、植物部位(例えば、葉)又は種子の使用に関し、さらに本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性を有するホウレンソウ植物、植物部位又は種子の生成に関する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの実施形態に係るホウレンソウ植物、植物部位又は種子の使用に関し、このホウレンソウ植物、植物部位又は種子は、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472又はその子孫若しくは祖先である。
【0028】
さらに別の態様として、本発明は、ホウレンソウ種子(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)種子)を生成する方法を提供し、この方法は、本発明に係る種子からホウレンソウ植物を栽培し、植物にさらなるホウレンソウ種子を生成させるステップと、任意に、さらなるホウレンソウ種子を採取するステップとを含む。
【0029】
なおさらなる態様として、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性(例えば、対照植物と比べて)を有するホウレンソウ植物を生成する方法を提供し、この方法は、
・本発明に係る第1のS.オレラセア(S.oleracea)植物を、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する前記遺伝子移入配列を欠いている第2のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させて、子孫植物を生成するステップと;
・ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する前記遺伝子移入配列を含む子孫植物を選択するステップと
を含む。
【0030】
実施形態では、前記選択するステップは、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、例えば、表3、4及び5に示されるように、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0031】
任意に、前記選択するステップは、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有する植物を生成する。
【0032】
任意に、この方法は、
・選択された子孫を自殖させるか、又は選択された子孫植物を別のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させて、さらなる子孫を生成するステップ
をさらに含む。実施形態では、さらなる子孫は、さらに2~10世代以上にわたって選択され、且つ自殖/交配される。
【0033】
さらに別の態様として、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性(例えば、対照ホウレンソウ植物と比べて)を有するF1ハイブリッドホウレンソウ植物を生成する方法を提供し、この方法は、本発明のいずれかの実施形態に係る植物である近交系ホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を異なる近交系ホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させて、F1ハイブリッド子孫植物を生成するステップを含む。実施形態では、異なる近交系ホウレンソウ植物は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を付与する遺伝子移入配列を含まず、且つ任意にペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に感受性である。
【0034】
代表的な実施形態では、F1ハイブリッドホウレンソウ植物を生成する方法は、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップをさらに含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的リストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0035】
任意に、この方法は、F1ハイブリッド子孫植物において、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップと;
任意に、1つ以上のSNPマーカーにおける遺伝子型の存在に基づいて植物を選択するステップと
を含む。
【0036】
さらに別の態様では、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性(例えば、対照ホウレンソウ植物と比べて)を有する(ホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を同定する方法を提供し、前記方法は、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的リストを検出するステップを含み得る。
【0037】
実施形態では、この方法は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物を同定する。
【0038】
実施形態では、前記方法は、1つ以上のSNPマーカーにおいて前記耐性関連遺伝子型を含むホウレンソウ植物を選択するステップと、選択されたホウレンソウ植物を第2のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させて、1つ以上のSNPマーカーにおいて前記耐性関連遺伝子型を含み、且つペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有する子孫ホウレンソウ植物を生成するステップとをさらに含む。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、ペロノスポラPeronosporaに対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物、植物部位(例えば、葉)又は種子を提供する方法に関し、前記方法は、
・本発明のいずれかの実施形態に係る第1のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を欠いている第2のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させるステップと;
・子孫のホウレンソウ植物を得るステップと;
・任意に、前記子孫植物がペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を示すことを特徴とする前記子孫の植物を選択するステップと
を含む。
【0040】
実施形態では、前記選択するステップは、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、選択するステップは、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、選択するステップは、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的リストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0041】
実施形態では、前記選択するステップは、任意の組み合わせの上記a)~k)に記載の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。
【0042】
前述の実施形態によれば、任意に、第1のホウレンソウ植物は、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の植物又はその子孫若しくは祖先である。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を含むホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を同定する方法に関し、前記方法は、
a)ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質に係るホウレンソウ(例えば、S.オレラセア(S.oleracea))分離集団を提供するステップと;
b)ペロノスポラ(Peronospora)に対する耐性を示す植物の分離集団をスクリーニングするステップであって、前記耐性形質は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列の存在によって同定され得る、ステップと;
c)分離集団から植物を選択するステップであって、前記植物は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を含む、ステップと
を含む。
【0044】
任意に、本発明の遺伝子移入配列の存在を同定するステップは、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的リストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0045】
実施形態では、本発明の遺伝子移入配列の存在を特定するステップは、任意の組み合わせの上記a)~k)に記載の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。
【0046】
実施形態では、この方法は、任意の組み合わせのc)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上又は8つ以上、任意に、c)~k)のマーカーのすべてにおけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。
【0047】
実施形態では、この方法は、任意の組み合わせのa)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又は10以上、任意にa)~k)のマーカーのすべてにおけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。
【0048】
代表的な実施形態では、この方法は、以下のSNPマーカーの組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
のいずれかにおけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。
【0049】
実施形態では、この方法は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一であり、且つ示されたペロノスポラ(Peronospora)耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列の存在を検出するステップを含む。
【0050】
実施形態では、作り出される、選択される又は同定されるホウレンソウ植物は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18耐性を有する。
【0051】
さらなる代表的な実施形態では、
・SNPマーカー1のA遺伝子型は、配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号2のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー2のA遺伝子型は、配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号7のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー3のA遺伝子型は、配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号12のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー4のG遺伝子型は、配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号17のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー5のC遺伝子型は、配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号22のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー6のA遺伝子型は、配列番号26フォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号27のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー7のT遺伝子型は、配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号32のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー8のA遺伝子型は、配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号37のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー9のG遺伝子型は、配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号42のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー10のA遺伝子型は、配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号47のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;及び
・SNPマーカー11のG遺伝子型は、配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号52のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得る。
【0052】
本発明のこれら及び他の態様を以下の本発明の記載でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
この記載は、本発明を実施し得るすべての異なる方法又は本発明に追加され得るすべての特徴の詳細なカタログとなることを意図されない。例えば、一実施形態に関して例示されている特徴は、他の実施形態に組み込まれ得、また特定の実施形態に関して例示されている特徴は、その実施形態から削除され得る。そのため、本発明では、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で既定されているいずれかの特徴又は特徴の組み合わせが除外又は省略され得ることが予期されている。加えて、本明細書で示唆されている種々の実施形態に対する数多くの変形形態及び追加形態は、本開示の観点から当業者に明らかであり、本発明から逸脱するものではない。従って、以下の記載では、本発明のいくつかの特定の実施形態を例示することが意図され、そのすべての順列、組み合わせ及び変形形態を網羅的に既定することを意図されない。
【0054】
本明細書で引用されているすべての刊行物、特許出願、特許及び他の文献は、参考文献が提示されている文章及び/又は段落に関連する教示について、その全体が参照により援用される。
【0055】
本明細書で提供されるヌクレオチド配列は、左から右に5’から3’の方向に示されており、米国特許法施行規則第1.821~1.825条及び世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25に規定されているようなヌクレオチド塩基を表す標準的なコードを用いて表されている(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びグアニン(G))。
【0056】
アミノ酸は、同様に、WIPO標準ST.25を用いて表記されており、例えばアラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;1)、ロイシン(Leu;L)、リシン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロライン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)及びバリン(Val;V)である。
【0057】
文脈に他の記載がない限り、本明細書に記載されている本発明の種々の特徴は、いずれかの組み合わせで使用可能であることが特に意図される。さらに、本発明では、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で規定されているいずれかの特徴又は特徴の組み合わせは、除外又は省略が可能であることも予期されている。例示のために、本明細書中で組成物がコンポーネントA、B及びCを含むと規定されている場合、A、B若しくはCのいずれか又はこれらの組み合わせを単独又はいずれかの組み合わせで省略及び放棄し得ることが特に意図される。
【0058】
定義
本出願の範囲内で使用される技術用語及び表現は、一般に、本明細書で以下に特に示されない場合、植物の育種の関連する技術分野でそれらに一般的に適用される意味を与えられるべきである。
【0059】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「植物」への言及は、1つ又は複数の植物を含む。
【0060】
本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、値又は質量の量、重量、時間、体積、濃度若しくは割合等に言及している場合、特定の量からの、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%及びいくつかの実施形態では±0.1%の変動値を含むことを意味している。
【0061】
本明細書で用いられる場合、「ホウレンソウ」植物とは、ホウレンソウ(Spinacia)属のいずれかの植物を指し、特にこれらに限定されないが、栽培種S.オレラセア(S.oleracea)及び野生ホウレンソウ種S・トルケスタニカ(S.turkestanica)及びS.テトランドラ(S.tetrandra)が挙げられる。実施形態では、ホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)である。実施形態では、ホウレンソウ植物が栽培される。
【0062】
「栽培ホウレンソウ」植物は、本発明の範囲内において、もはや自然の状態ではなく、人間の手によって農業用途及び/又は人間による消費のために開発及び栽培植物化された植物を指し、野生ホウレンソウ種及びS・トルケスタニカ(S.turkestanica)寄託番号CGN080741などの寄託植物は除外されると理解される。実施形態では、栽培ホウレンソウ植物は、雑種植物である。代わりに又は追加的に、栽培ホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)植物である。S.オレラセア(S.oleracea)植物と野生ホウレンソウとの種間交配に関連して、前記種間交配の子孫植物は、前記子孫植物がS.オレラセア(S.oleracea)植物に対して少なくとも2回戻し交配された場合、「栽培ホウレンソウ」植物とみなされる。
【0063】
「対立遺伝子」は、本発明の範囲内において、遺伝子又は他の遺伝要素の代替型又は異型を指すものと理解される。このような代替型又は異型は、一塩基多型、挿入、反転、転座若しくは欠失の結果であり得るか、又は例えば化学的若しくは構造的修飾、転写調節若しくは翻訳後修飾/調節によって引き起こされる遺伝子調節の結果であり得る。二倍体細胞又は生物において、所与の遺伝子又は遺伝要素の2つの対立遺伝子は、典型的に、相同染色体の対上の対応する遺伝子座を占有する。
【0064】
「ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)」は、ホウレンソウにべと病を引き起こす卵菌である。本明細書で用いられる場合、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)及びペロノスポラ(Peronospora)という用語は、文脈に他の記載がない限り、互換的に使用される。
【0065】
本明細書で用いられる場合、「耐性(resistance)」及び「耐性(resistant)」(及び同様の用語)という用語は、同様の環境条件下及び病原体による圧力下で感受性の植物と比べた場合、特定の病原体及び/又は病原体により引き起こされる損傷の成長及び発生を制限する植物の能力を指す。耐性は、定性的又は定量的であり得る。実施形態では、「耐性」植物は、特定の病原体に対して示す症状が低減されるか、実質的に皆無であるか又はさらに皆無である。いくつかの実施形態では、「耐性」植物は、いくつかの症状を示すが、許容可能な収量で市場性の高い産物をもたらすことが可能であり、例えば病原体が不在である場合の収量及び/又は成長と比べて収量が低くてもよく、及び/又は植物が発育不全であり得る。実施形態では、本発明に係るホウレンソウ植物は、IWGP(ペロノスポラに関する国際作業部会)に従って特徴付けられ且つ分類されるペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対して少なくとも耐性である。実施形態では、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性ホウレンソウ植物は、例えば、ペロノスポラ(Peronospora)レースPe:1-18のいずれかが播種された場合、例えば以下の実施例1に定義されているテスト条件といった標準的なテスト条件下において、胞子形成をまったく又はほとんど伴うことなく、壊死をまったく又はほとんど示さない。実施形態では、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性は、優性である。実施形態では、ペロノスポラ(Peronospora)耐性は、定性的である。実施形態では、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性は、単性遺伝を示す。
【0066】
「増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性」(及び同様の用語)という用語は、本明細書では、植物が、少なくとも1種のペロノスポラ(Peronospora)レース又は分離株(例えば、スチューデントの検定を用いて、例えばp<0.1、p<0.05又はp<0.01で、本発明の遺伝子移入配列を含まない対照ホウレンソウ植物と比べたペロノスポラ(Peronospora)耐性の統計的に顕著な向上)に対してより耐性であり、且つ/又は本発明の遺伝子移入配列を含まない対照ホウレンソウ植物と比べて幅広い範囲のペロノスポラ(Peronospora)耐性を有する(例えば、1種以上の追加のペロノスポラ(Peronospora)レース/分離株に対する耐性を有する)ことを意味すると理解される。実施形態では、「増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性」は、植物が既に耐性を有する1種以上のペロノスポラ(Peronospora)レース又は分離株に対する追加の耐性の提供を指し(すなわち耐性のスタッキング)、それにより前記遺伝子移入配列(すなわち耐性管理の形態として)を伴わない植物と比べてペロノスポラ(Peronospora)耐性が破られるリスクが低下する。
【0067】
「対照ホウレンソウ植物」は、本発明の範囲内において、本発明のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea))と同一の種であるホウレンソウ植物を意味すると理解されるが、対照ホウレンソウ植物は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列を含まない。実施形態では、対照ホウレンソウ植物は、本発明のホウレンソウ植物と同一の遺伝的背景を有し、且つ任意に、同一の植物品種に属する植物であるが、本発明の遺伝子移入配列を含まない。植物品種は、植物新品種保護国際同盟(UPOV)の定義に従って本書で理解される。従って、この実施形態によれば、対照ホウレンソウ植物は、準同質遺伝子系統、近交系系統又は雑種であり得るが、ただし、対照植物がペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列を含まないことを除き、本発明のホウレンソウ植物と同一の遺伝的背景を有する。一般に、対照ホウレンソウ植物は、本発明の植物と同一の期間及び同一の環境条件下で栽培される。
【0068】
「形質」という用語は、特徴又は表現型(例えば、ペロノスポラ(Peronospora)耐性などの病害耐性)を指す。形質は、優性若しくは劣勢であるか、又は部分若しくは不完全優性で遺伝し得る。本発明に関連して、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性は、優性形質である。本発明のホウレンソウ植物は、従って、形質に対してホモ接合体又はヘテロ接合体であり得る。さらに、形質は、単遺伝子的若しくは多遺伝子的に遺伝し得るか、又は1つ以上遺伝子と環境との相互作用に起因し得る。本発明に関連して、3番染色体に位置するペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列は、単性遺伝を示し、且つペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を付与するのに十分である。
【0069】
「雑種」、「雑種植物」及び「雑種子孫」という用語は、遺伝的に異なる親から生まれた個体(例えば、遺伝的にヘテロ接合体又はほぼヘテロ接合体の個体)、例えば、2つの近交系の交配の結果を指す。
【0070】
「近交系」という用語は、遺伝的にホモ接合性又はほぼホモ接合性の集団を指す。近交系は、例えば、兄弟/姉妹育種若しくは自殖のいくつかの周期を通して又は二ゲノム性半数体生成によって得られる。
【0071】
「二ゲノム性半数体系統」という用語は、別の培養物から生成される安定した近交系を指す。特定の培地及び特定の環境下で栽培されたいくつかの花粉粒(半数体)は、n個の染色体を含む胚を発達させ得る。次に、これらの半数体の胚の染色体は、「倍化」されて2媒体(2n)植物を生成する。これらの胚の子孫は、「二ゲノム性半数体」と呼ばれ、本質的にもはや分離しない(すなわち安定している)。
【0072】
「栽培品種」又は「品種」という用語は、天然の品種と区別される、園芸のために作られる品種を指す。本発明のある実施形態では、栽培品種又は品種は、市販されている。
【0073】
「遺伝的に固定される」という用語は、遺伝要素を通常含有しない植物のゲノム中に安定的に組み込まれた遺伝要素を指す。遺伝的に固定される場合、遺伝要素は、有性交配によって容易且つ予測可能な形式で他の植物に伝達され得る。
【0074】
「植物」又は「植物部位」という用語は、本明細書では、本発明に係る植物から得られる植物部位、器官又は組織を指し、特に限定されないが、葉、茎、根、花若しくは花部、果実、苗条、配偶体、胞子体、花粉、葯、小胞子、卵細胞、接合子、胚芽、成長領域、カルス組織、種子、挿木、細胞若しくは組織培養物(カルス培養物を含む)又は植物のいずれかの他の部位若しくは生産物を含む。実施形態では、植物部位は、本発明の遺伝子移入配列を含む。実施形態では、植物部位は、特に、ホウレンソウの葉をもたらす植物に成長したとき、本発明に係るペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を示す。
【0075】
「植物」は、任意の発達段階における植物である。
【0076】
植物「種子」は、本発明の実施形態にいずれかに記載の植物へと成長する種子である。
【0077】
「植物細胞」は、プロトプラスト及び細胞壁を含む植物の構造的及び生理的単位である。植物細胞は、単離された単一の細胞若しくは培養された細胞の形態であり得るか、又は例えば植物組織、植物器官若しくは植物全体などの高度に組織化された単位の一部としてのものであり得る。
【0078】
「植物細胞培養物」は、例えば、プロトプラスト、植物組織中の細胞、花粉、花粉管、胚株、胚嚢、接合子及び様々な発達段階における胚などの植物単位の培養物を意味する。
【0079】
「植物器官」は、根、茎、葉、花芽又は胚など、明確で視覚的に構造化された植物の分化した部分である。
【0080】
本明細書で使用される際、「植物組織」は、構造的及び機能的単位へと組織化された植物細胞の群を意味する。植物中又は培養物中の任意の植物組織が含まれる。この用語は、限定はされないが、植物全体、植物器官、植物種子、組織培養物並びに構造的及び/又は機能的単位へと組織化された植物細胞の任意の群を含む。上に列挙されるか又はこの定義によって包含される任意の特定のタイプの植物組織と併せた又はそれを伴わないこの用語の使用は、任意の他のタイプの植物組織を除外することが意図されない。
【0081】
「加工食品」は、本発明の範囲内において、その自然の状態から変化された食品を意味すると理解される。食品の加工に用いられる方法としては、これらに限定されないが、切断、スライス、ダイシング、研磨、缶詰め、冷凍、冷蔵、脱水、加熱及び防腐処理並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
「生鮮カット市場」は、本発明の範囲内において、市場における最低限にのみ加工された野菜を意味すると理解される。
【0083】
本明細書で用いられる場合、「マーカー対立遺伝子」又は「マーカー遺伝子座の対立遺伝子」(及び類似の用語)という用語は、表現型形質の変異性に寄与する1つ以上の遺伝的に関連する遺伝子座(例えば、ペロノスポラ(Peronospora)耐性遺伝子座)の存在を探し出し且つ/又は指し示すマーカーとして用いられる多型遺伝子座における対立遺伝子(本明細書で定義されているとおり)を指す。
【0084】
本明細書で用いられる場合、「マーカー遺伝子座」は、固体のゲノムに存在し、且つ形質に寄与する遺伝子又はいずれかの他の遺伝的決定基若しくは因子を含み得る関心のある1つ以上の遺伝子座に遺伝的に関連するヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含む染色体における領域を指す。「マーカー遺伝子座」は、プローブとして用いられる核酸配列などのゲノム配列に相補的ポリヌクレオチド配列を含む染色体における領域も指す。マーカー遺伝子座は、例えば、表現型形質の発現をコードするか又はそれに寄与する連鎖遺伝子座といった第2の連鎖遺伝子座の存在を追跡するために用いることが可能である。例えば、マーカー遺伝子座は、遺伝的又は物理的にマーカー遺伝子座に関連付けられる量的形質遺伝子座(QTL)又は遺伝子などの遺伝子座における対立遺伝子の分離を監視するために用いることが可能である。
【0085】
本明細書で使用される際、「育種」という用語及びその文法的変化形は、子孫の個体を生成する任意のプロセスを指す。育種は、有性若しくは無性又はそれらの任意の組い合わせであり得る。例示的な非限定的な育種のタイプは、交配、自殖、倍加半数体の生成及びそれらの組み合わせを含む。
【0086】
本明細書で使用される際、「確立された育種集団」という語句は、育種計画、例えば商業的育種計画で親によって生成され、且つ/又は親として使用される潜在的育種パートナーの集合を指す。確立された育種集団のメンバーは、典型的に、遺伝子的に及び/又は表現型的に十分に特性決定されている。例えば、対象とするいくつかの表現型形質は、例えば、異なる環境条件下、複数の場所及び/又は異なる時間で評価され得る。代わりに又は加えて、表現型形質の発現に関連する1つ又は複数の遺伝子座が同定され得、育種集団のメンバーの1つ又は複数は、1つ又は複数の遺伝子座及び1つ又は複数の遺伝子座に関連する1つ又は複数の遺伝子マーカーに関して遺伝子型を決定され得る。
【0087】
本明細書で使用される際、「二倍体」植物という用語は、2組の染色体を有する植物を指し、典型的に、1つは、その2つの親のそれぞれからのものである。しかしながら、ある実施形態では、二倍体植物は、例えば、植物が自殖して植物の次の世代を生成する場合、同じ単一の生物からその「母親」及び「父親」の染色体の組を受け継ぎ得ることが理解される。実施形態では、本発明の植物(及びその一部)は、2倍体植物である。
【0088】
「ホモ接合」とは、本発明の範囲内において、相同染色体における1つ以上の対応する遺伝子座における同様の対立遺伝子を指すと理解される。
【0089】
「ヘテロ接合」とは、本発明の範囲内において、相同染色体における1つ以上の対応する遺伝子座における異なる対立遺伝子を指すと理解される。
【0090】
「優勢な」対立遺伝子は、本発明の範囲内において、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する場合に表現型を決定する対立遺伝子を指すと理解される。
【0091】
「劣勢」対立遺伝子は、ホモ接合状態で存在する場合のみに表現型を決定する対立遺伝子を指す。
【0092】
「戻し交配」は、本発明の範囲内において、雑種の子孫が元の親の一方(反復親)と繰り返し交配されるプロセスを指すものと理解される。異なる反復親が後の戻し交配で使用され得る。
【0093】
「遺伝子座」は、本発明の範囲内において、遺伝子又は形質に寄与する任意の他の遺伝要素若しくは因子を含む染色体上の領域を指すものと理解される。
【0094】
「遺伝的連鎖」は、本発明の範囲内において、遺伝子座間での組換え率により計測される(センチモルガン、cM)、同一の染色体における近接した遺伝子の位置による遺伝における2つ以上の異なる遺伝的要素の会合を指すと理解される。
【0095】
本発明の目的のために、「共分離」という用語は、形質に対する対立遺伝子及びマーカーに対する対立遺伝子が、同一の染色体で物理的に近接しているために一緒に伝達される傾向にあり(すなわち物理的に近接しているためにこれらの間での組換えが減少する)、同一の染色体におけるこれらの近接性の結果として、対立遺伝子の非無作為な関連性がもたらされる状況を指す。「関連する」という用語は、同等の意味で使用可能である。
【0096】
本明細書で用いられる場合、「定量的/定性的形質遺伝子座における遺伝的構造」という用語は、関心のある表現型形質に統計的に相間し、且つ関心のある表現型形質の根底にある遺伝学的基礎を表すゲノム領域を指す。
【0097】
本明細書で使用される際、「遺伝子マーカー」又は「分子マーカー」という語句は、対象とする1つ又は複数の遺伝子座に関連する個体のゲノムの特徴(例えば、個体のゲノムに存在するヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列)を指す。ある実施形態では、遺伝子マーカーは、文脈に応じて、対象とする集団で多型であるか、又は多型によって占有される遺伝子座である。遺伝子/分子マーカーとしては、多くの他の例の中でも、例えば一塩基多型(SNP)、インデル(すなわち挿入/欠失)、単純反復配列(SSR)、制限酵素断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、多様性アレイ技術(DArT)マーカー及び増幅断片長多型(AFLP)が挙げられる。遺伝子/分子マーカーは、例えば、表現型形質の変動性に寄与する染色体上の対立遺伝子を含有する遺伝子座の位置を特定するのに使用され得る。「遺伝子マーカー」又は「分子マーカー」という語句は、プローブとして使用される核酸の配列などのゲノム配列と相補的なポリヌクレオチド配列も指し得る。実施形態では、遺伝子/分子マーカーは、それが関連する遺伝子座内又は遺伝子座外にある(すなわちそれぞれ遺伝子内又は遺伝子外の)染色体上の位置に物理的に位置し得る。
【0098】
本明細書で使用される際、「遺伝子型」という用語は、細胞又は生物の遺伝子構成を指す。個体の一連の遺伝子マーカーに対する遺伝子型は、個体のハプロタイプに存在する1つ又は複数の遺伝子マーカー遺伝子座に対する特定の対立遺伝子を含む。当技術分野で公知であるように、遺伝子型は、遺伝子座が関連しているか若しくは関連していないか、及び/又は連鎖しているか若しくは連鎖していないかにかかわらず、単一の遺伝子座又は複数の遺伝子座に関連し得る。ある実施形態では、個体の遺伝子型は、1つ又は複数の遺伝子が、対象とする表現型(例えば、本明細書に定義される量的形質)の発現に関与するという点で関連する1つ又は複数の遺伝子に関連する。従って、ある実施形態では、遺伝子型は、1つ又は複数の遺伝子座における個体内に存在する1つ又は複数の対立遺伝子を含む。ある実施形態では、遺伝子型は、ハプロタイプ(本明細書でも定義される)に関して発現される。
【0099】
本明細書で使用される際、「遺伝資源」という用語は、集団又は他の個体群(例えば、種)の遺伝子型の全体を指す。「遺伝資源」という用語は、植物材料、例えば様々な対立遺伝子のレポジトリとして機能する植物の群も指し得る。「適合された遺伝資源」という語句は、例えば、所与の環境的又は地理的領域に対して遺伝子的優位性が証明された植物材料を指す一方、「非適合遺伝資源」、「原遺伝資源」及び「外来遺伝資源」という語句は、例えば、所与の環境的又は地理的領域に対して遺伝的価値が未知であるか又は証明されていない植物材料を指す。従って、「非適合遺伝資源」という語句は、ある実施形態では、確立された育種集団の一部ではなく、確立された育種集団のメンバーに対する公知の関係を有さない植物材料を指す。
【0100】
「ハプロタイプ」は、複数の遺伝子座、すなわち対立遺伝子の組み合わせにおける個々の遺伝子型である。典型的には、ハプロタイプを定義する遺伝子座は、物理的及び遺伝的に関連しており、すなわち同一の染色体セグメントに沿った複数の遺伝子座である。
【0101】
本明細書で用いられる場合、「遺伝子移入」、「遺伝子移入」及び「遺伝子移入」(及びその文法的変形)という用語は、遺伝的背景の一方から他方への、所望の対立遺伝子又は1つの遺伝子座若しくは複数の遺伝子座を含有する所望の対立遺伝子の自然及び人工的な伝達の両方を指す。例えば、特定の遺伝子座における所望の対立遺伝子は2つの親間の性的交配を介した少なくとも1つの子孫に伝達可能であり、親の少なくとも一方は、所望の対立遺伝子をそのゲノムに有する(「ドナー」親)。代わりに、例えば、対立遺伝子の伝達は、例えば、融合原形質体中の2つのドナーゲノム間の組換えによって生じることが可能であり、ドナー原形質体の少なくとも一方が所望の対立遺伝子をそのゲノムに有する。所望の対立遺伝子を含む子孫を反復親と反復戻し交配させて、所望の遺伝的背景を有し、且つ所望の対立遺伝子について選択された系統を形成することが可能であり、結果として、所望の対立遺伝子は所望の遺伝的背景に固定化される。例えば、増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性に関連するマーカーは、ドナー親から遺伝子移入配列を含まない反復親に遺伝子移入され得る。得られる子孫は、任意に、反復親に反復戻し交配が可能であり、子孫が反復親の背景にペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する遺伝子移入配列を有するまで選択が可能である。
【0102】
本明細書で用いられる場合、「連鎖」という用語及びその文法的変形は、対立遺伝子が、同一の染色体における異なる遺伝子座で、伝達が独立していた場合に意図せずに想定されるより高頻度で分離する傾向を指し、いくつかの実施形態では物理的近接性の結果である。
【0103】
本明細書で使用される際、「核酸」という語句は、ヌクレオチドのポリマー(例えば、典型的なDNA、cDNA又はRNAポリマー)、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、2’-O-メチル化オリゴヌクレオチドなど、生物学的RNA又はDNAに典型的ではない塩基を含むオリゴヌクレオチド)などを含む、ヌクレオチドの鎖に対応し得るモノマー単位の任意の物理的鎖を指す。ある実施形態では、核酸は、一本鎖、二本鎖、複数鎖又はそれらの組み合わせであり得る。特に示されない限り、本開示の主題の特定の核酸配列は、任意に、明示的に示される任意の配列に加えて相補的な配列を含み、且つ/又はそれをコードする(すなわち二本鎖である)。
【0104】
本明細書で使用される際、「複数」という用語は、2つ以上を指す。従って、「複数の個体」は、少なくとも2つの個体を指す。ある実施形態では、複数という用語は、全体の半分超を指す。例えば、ある実施形態では、「複数の集団」は、その集団のメンバーの半分超を指す。用語「複数の」のこれらの使用は、文脈に応じて当業者に明らかであろう。
【0105】
本明細書で使用される際、「子孫」という用語は、特定の交配(自殖を含む)の子孫を指す。典型的に、子孫は、2つの個体の育種から生じるが、いくつかの種(特にいくつかの植物及び雌雄同体の動物)は、自殖し得る(すなわち同じ植物が雄性及び雌性配偶子の両方のドナーとしての役割を果たす)。子孫は、任意の世代、例えばF1、F2又は任意の次世代のものであり得る。
【0106】
本明細書で使用される際、「質的形質」という語句は、主要な表現型効果を示す1つ又はいくつかの遺伝子によって制御される表現型形質を指す。このため、質的形質は、典型的に単純に遺伝する。植物における例としては、これらに限定されないが、花の色及び例えば本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性などの数々の既知の病害耐性が挙げられる。
【0107】
本明細書で用いられる場合、「定量的形質」という語句は、数値的に記載(すなわち定量化又は数量化)可能な表現型形質を指す。定量的形質は、典型的には、個体群の個々間に連続的な変異を示し;すなわち、表現型形質の数値の差異は、わずかであり、相互に段階的である。多くの場合、定量的表現型形質の個体群における頻度分布は、ベル形状の曲線を示す(すなわち2つの極値間で正規分布を示す)。「定量的形質」は、典型的には、環境と相互作用する遺伝子座の結果であるか、又は互いに相互作用し且つ/若しくは環境と相互作用する複数の遺伝子座の結果である。定量的形質の例としては、植物の高さ及び収量が挙げられる。
【0108】
本明細書で用いられる場合、「定量的形質遺伝子座」(QTL)及び「マーカー形質関連」という用語は、遺伝マーカーと、関心のある形質の表現型に影響を与える染色体領域及び/又は遺伝子との間の関連性を指す。典型的には、これは、例えば文献で公開されている1つ以上の方法に基づいて統計的に決定される。
【0109】
定量的形質遺伝子座又は質的形質遺伝子座は、表現型形質に異なる影響を与える少なくとも2つの対立遺伝子を有する染色体領域及び/又は遺伝的遺伝子座であり得る。
【0110】
「レシピエント植物」という用語は、本明細書では、関心のある形質(例えば、ペロノスポラ(Peronospora)耐性)に係る遺伝子移入配列を含むドナー植物から得られたDNAを受け取る植物を示すために用いられる。前記「レシピエント植物」は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性に対する1つ以上のネイティブ又は遺伝子移入配列を既に含んでも又は含まなくてもよく、この場合、この用語は、追加の遺伝子移入配列を受け取る植物を示す。
【0111】
「天然の遺伝的背景」という用語は、本明細書では、関心のある遺伝子配列の本来の遺伝的背景を示すために用いられる。このような遺伝的背景は、例えば、野生系統種のゲノムであり得る。逆に、例えば野生のホウレンソウ種から別のホウレンソウ種(例えば、S.オレラセア(S.oleracea))への遺伝子配列の移入を含む、例えば育種を介したDNAの移入を伴う方法では、この遺伝子配列は、その天然遺伝的背景にないことになる。
【0112】
「ドナー植物」は、本発明の範囲内において、増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性に対する少なくとも1つの配列を提供する(すなわちレシピエント植物に遺伝子移入される)植物を意味すると理解される。
【0113】
「マーカーによる選択」は、本発明の範囲内において、例えば植物由来の1つ又は複数の核酸を検出する遺伝子マーカーの使用を指すものと理解され、選択的育種計画でそれらの植物が使用(又は回避)され得るように、核酸は、望ましい(又は望ましくない)形質を付与する対立遺伝子を有する植物を同定するように所望の形質に関連している。
【0114】
DNA中の単一部位における変異である一塩基多型(SNP)は、ゲノムの変異の最もよく見られるタイプである。SNPは、ゲノム(又は他の共有配列)中の一塩基(A、T、C又はG)が生物学的種のメンバー間又は個体の対合染色体間で異なるときに起こるDNA配列の変異である。例えば、異なる個体由来の2つの配列決定されたDNA断片、AAGCCTAと、AAGCTTAとは、一塩基の相違を含む。この場合、2つの対立遺伝子:C及びTがある。SNPアレイの基本原理は、DNAマイクロアレイと同じである。SNPアレイの3つの構成要素は、核酸配列(例えば、増幅配列又は標的)を含むアレイ、1つ又は複数の標識された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ及びハイブリダイゼーションシグナルを記録し、それを解釈する検出システムである。所望の対立遺伝子の有無は、例えば、二本鎖DNA色素又は蛍光レポータープローブ法を用いるリアルタイムPCRにより判定され得る。
【0115】
「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」は、本発明の範囲内において、ゲノムのDNAの特定の領域又はサブセットを比較的大量に生成し、それにより、それらの領域に基づく様々な分析を可能にする方法を指すものと理解される。
【0116】
「PCRプライマー」は、本発明の範囲内において、DNAの特定領域のPCR増幅で使用される一本鎖DNAの比較的短い断片を指すものと理解される。
【0117】
「表現型」は、本発明の範囲内において、遺伝的に制御される形質の区別できる特性を指すものと理解される。
【0118】
本明細書で使用される際、「表現型形質」という語句は、そのゲノム、プロテオーム及び/又はメタボロームと環境との相互作用から生じる個体の外見又は他の検出可能な特性を指す。
【0119】
「多型」は、本発明の範囲内において、2つ以上の異なる形態の遺伝子、遺伝子マーカー若しくは遺伝した形質又は例えば選択的スプライシング、選択的開始又は停止コドン、DNAメチル化などによって得ることができる遺伝子産物の集団の存在を指すものと理解される。
【0120】
本明細書で使用される際、「プローブ」は、特定の標的分子又は細胞構造を認識しそれに結合することができ、従って標的分子又は構造の検出を可能にする原子又は分子の群を指す。実施形態では、「プローブ」は、分子ハイブリダイゼーションによって相補的な配列の存在を検出し、且つ任意にそれを定量化するのに使用され得る標識されたDNA又はRNA配列を指す。
【0121】
本明細書で用いられる場合、本開示の主題に関連して、「性的交配」及び「性的生殖」という語句は、子孫をもたらす配偶子の融合を指す(例えば、植物における受粉による種子の生成など、受精による)。「性的交配」又は「交雑」は、いくつかの実施形態では、一の固体と他の固体との受精(例えば、植物における他家受粉)である。
【0122】
「選択的育種」は、本発明の範囲内において、望ましい形質を有するか又はそれを示す植物を親として用いる育種プログラムを指すと理解される。
【0123】
「自殖」という用語は、いくつかの実施形態では、自家受精又は自家受粉による種子の生成を指し、すなわち、花粉及び胚珠は、同一の植物に由来する。
【0124】
本明細書で用いられる場合、「ハイブリダイズする」という用語は、従来のハイブリダイゼーション条件、例えば、5×SSPE、1%のSDS、1×デンハート溶液が溶液として使用されるハイブリダイゼーション条件及び/又はハイブリダイゼーション温度が35℃~70℃、例えば65℃であるハイブリダイゼーション条件を指す。ハイブリダイゼーション後、任意に、まず2×SSC、1%のSDSを用いて、続いて0.2×SSCを用いて、35℃~75℃の温度、特に45℃~65℃であるが、特に59℃の温度で洗浄が行われる(SSPE、SSC及びデンハート溶液の定義に関しては、Sambrook et al.Molecular Cloning:a Laboratory Manual.Cold Spring Harbor,N.Y.:Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001を参照されたい)。例えば、Sambrook et al(上記)に記載される高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を使用することができる。特定の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、ハイブリダイゼーション及び洗浄が上で示されるように65℃で行われる場合に生じる。非ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件、例えば45℃で行われるハイブリダイゼーション及び洗浄は、あまり好ましくなく、35℃ではさらに好ましくない。
【0125】
本発明によれば、「前記位置Xに対応する位置」という用語(Xは、本出願中のそれぞれの文脈で見出されるいずれかの数字である)は、後述される配列番号におけるそれぞれの位置を含むのみならず、本発明の遺伝子配列をコードするいずれかの配列も含み、基準配列番号とのアライメント後、それぞれの位置は、異なるが、基準配列番号について示されたものに対応する数字を有し得る。遺伝子配列のアライメントは、当業者に公知の種々のアライメントツールを適用することにより行うことが可能である。
【0126】
サザン及びノーザンハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブリダイゼーション実験に関する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存的であり、異なる環境パラメータ下で異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範囲にわたる指針は、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”Elsevier,New Yorkに見られる。一般に、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、規定のイオン強度及びpHで特定の配列について熱的融点より約5℃低くなるように選択される。典型的に、「ストリンジェントな条件」下において、プローブは、その標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にハイブリダイズしない。
【0127】
「熱的融点」は、(規定のイオン強度及びpHで)標的配列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブの溶融温度(Tm)に等しくなるように選択される。サザン又はノーザンブロットでフィルタ上に100個を超える相補的残基を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、42℃で、1mgのヘパリンを含む50%のホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションは、一晩行われる。高度にストリンジェントな洗浄条件の例は、約15分間にわたって72℃で0.15MのNaClである。ストリンジェントな洗浄条件の例は、15分間にわたって65℃で0.2倍のSSC洗浄である(SSC緩衝液の説明については、Sambrook,et al、前出を参照されたい)。多くの場合、高ストリンジェンシー洗浄前に、バックグラウンドプローブシグナルを除去するための低ストリンジェンシー洗浄が行われる。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二重鎖に対する中程度ストリンジェンシー洗浄の例は、15分間にわたって45℃で1倍のSSCである。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二重鎖に対する低ストリンジェンシー洗浄の例は、15分間にわたって40℃で4~6倍のSSCである。短いプローブ(例えば、約10~50個のヌクレオチド)の場合、ストリンジェントな条件は、典型的に、pH7.0~8.3で約1.0M未満のNaイオンの塩濃度、典型的に約0.01~1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)を含み、温度は、典型的に、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成され得る。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイで無関係のプローブについて観察されるものの2倍(又はそれを超える)の信号対雑音比は、特定のハイブリダイゼーションの検出を示す。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一である場合、依然として実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが、遺伝子コードによって許容される最大のコドンの縮退を用いて形成される場合に生じる。
【0128】
植物、種子、生成物。
第1の実施形態では、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する定性的耐性及び優性耐性を付与する遺伝子移入配列を含む、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物(例えば、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)植物)が提供され、前記遺伝子移入配列は、3番染色体に位置する。実施形態では、植物は、配列番号55(すなわち耐性関連遺伝子型/対立遺伝子)のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型を含み;前記植物のペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性は、前記遺伝子移入配列を欠いているS.オレラセア(S.oleracea)植物(例えば、対照植物)と比べて向上している。実施形態では、耐性は、定性的耐性である。実施形態では、耐性は、優性耐性である。実施形態では、耐性は、単性遺伝を示す。実施形態では、遺伝子移入配列は、それぞれ寄託番号NCIMB 43893及びNCIMB寄託番号NCIMB 44060でNCIMBに寄託されたS.オレラセア(S.oleracea)21BNL002487の代表的な種子であるS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472に含まれる。
【0129】
実施形態では、本発明の植物は、栽培植物であり、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物である。
【0130】
実施形態では、前記遺伝子移入配列は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を付与する。
【0131】
実施形態では、植物は、有害な農学的表現型を有しておらず、例えば、植物は、萎縮症を示さない。
【0132】
実施形態では、遺伝子移入配列は、表3に示される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又は10以上のSNPマーカーを含み、それぞれは、表3~5に示されている耐性遺伝子型を任意の組み合わせで有する(各SNPマーカー対立遺伝子は、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在し得る)。任意に、遺伝子移入配列は、表3に示されるすべてのSNPマーカー(各SNPマーカー対立遺伝子は、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在し得る)を含み、それぞれは、表3~5に示されている耐性遺伝子型を有する。
【0133】
実施形態では、遺伝子移入配列は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;及び/又は
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型
の1つ以上においてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型をさらに含む。
【0134】
実施形態では、植物は、任意の組み合わせの上記のc)~j)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上、任意にc)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含み、各マーカー対立遺伝子は、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。さらなる代表的な実施形態では、植物は、上記のa)~j)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又は9つ以上、任意に任意の組み合わせのa)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含み、各マーカー対立遺伝子は、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0135】
本明細書に開示のSNPマーカーにおける遺伝子型は、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって決定することができる。代表的な実施形態では、表4及び5に例示されるように、
・SNPマーカー1のA遺伝子型は、配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号2のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー2のA遺伝子型は、配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号7のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー3のA遺伝子型は、配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号12のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー4のG遺伝子型は、配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号17のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー5のC遺伝子型は、配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号22のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー6のA遺伝子型は、配列番号26のフォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号27のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー7のT遺伝子型は、配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号32のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー8のA遺伝子型は、配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号37のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー9のG遺伝子型は、配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号42のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー10のA遺伝子型は、配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号47のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;及び
・SNPマーカー11のG遺伝子型は、配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号52のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得る。
【0136】
代表的な実施形態では、本発明の植物は、少なくとも以下のSNPマーカー(個々のマーカーは、任意に、ヘテロ接合型又はホモ接合型で存在する)の組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
においてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含む。
【0137】
代表的な実施形態では、遺伝子移入配列は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上若しくは11すべて又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であり、且つ示された耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列を含む。前述の配列のそれぞれは、任意に、ヘテロ接合型又はホモ接合型で存在し得る。
【0138】
さらなる実施形態では、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係る植物を提供し、前記植物は、前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列の少なくとも1つのコピー(例えば、ヘテロ接合体又はホモ接合体である)を含む。実施形態では、植物は、上記のa)~j)のSNPマーカー11の少なくとも1つ及び/又は前記SNPマーカーの1つ以上(マーカーが植物に存在する場合)における耐性関連遺伝子型に係るヘテロ接合性である。
【0139】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの実施形態に係る植物を提供し、前記植物は、前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列の2つのコピー((例えば、前記植物はホモ接合体である)を含む。実施形態では、植物は、SNPマーカー11及びa)~j)の前記1つ以上のSNPマーカーのすべてにおける耐性関連遺伝子型に係るホモ接合体である(マーカーが植物中に存在する場合)。
【0140】
さらなる実施形態では、本発明の植物は、近交系、二ゲノム性半数体又は雑種植物である。
【0141】
実施形態では、本発明は、寄託されたスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の植物及びそのF1子孫植物を提供する。
【0142】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明に係る植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を生成する種子を提供する。
【0143】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明に係る植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)によって生成される種子を提供する。
【0144】
さらなる実施形態では、本発明のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)は、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係るホウレンソウ植物であり、S.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472又はその子孫若しくは祖先は、前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列の供給源である。
【0145】
さらなる実施形態では、本発明のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)は、先行する実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物であり、前記植物は、S.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472又はその子孫若しくは祖先を、前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を含まないホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させることによって得られる。
【0146】
本発明は、これらに限定されないが、植物の葉、茎、根、花若しくは花部、芽、配偶体、胞子体、花粉、葯、小胞子、卵細胞、接合子、胚芽、成長領域、カルス組織、種子、挿木、細胞若しくは組織培養物又は植物のいずれかの他の部位、細胞、器官若しくは組織を含む、先行する実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)から得られる植物部位、細胞、器官又は組織をさらに包含する。実施形態では、植物部位、細胞、器官又は組織は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する遺伝子移入配列を含む。実施形態では、植物部位、細胞、器官又は組織は、特に植物を生成するために成長させる場合、本発明に係るペロノスポラ(Peronospora)に対する耐性を示す。
【0147】
本発明は、ホウレンソウの葉を生成するため、任意に、ホウレンソウの葉を収穫するための本発明のいずれかの実施形態に係るホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)、植物部位又は種子の使用をさらに提供する。
【0148】
別の態様では、本発明は、本発明のいずれかの実施形態に係るホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)、植物部位又は種子の使用に関し、このホウレンソウ植物、植物部位又は種子は、S.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472植物、植物部位若しくは種子又はその子孫若しくは祖先である。
【0149】
さらなる態様では、本発明は、圃場、温室又はビニールハウスに播種するための、本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)、植物部位又は種子の使用に関する。
【0150】
実施形態では、本発明に係る植物は、雄性不稔である。
【0151】
実施形態では、本発明に係る植物は、成熟したホウレンソウの葉(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)の葉)を成長させる。
【0152】
本発明は、本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)によって形成されるホウレンソウの葉をさらに提供する。
【0153】
本発明は、本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物に成長するホウレンソウ種子、特に栽培ホウレンソウ種子(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)の種子)にも関する。
【0154】
本発明は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を、前記ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質を含まない別のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)に導入(例えば、遺伝子移入)するための、実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物の使用にさらに関する。
【0155】
遺伝子配列、マーカー
本発明は、ホウレンソウ植物におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性形質の発現を誘導又は制御する遺伝子配列にさらに関する。さらなる実施形態では、本発明の遺伝子配列は、3番染色体上に位置する。本発明のさらなる実施形態では、遺伝子配列は、S.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487若しくはS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472の遺伝的背景を有するドナー植物又はその子孫若しくは祖先から得ることができ、且つ前記遺伝子配列を含む。
【0156】
さらなる実施形態では、本発明の遺伝子配列は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質と共分離する1つ以上のマーカー遺伝子座に遺伝的又は物理的に連結されている(例えば、表3のマーカー遺伝子座及び表3及び5に示される耐性関連遺伝子型を参照されたい)。
【0157】
別の実施形態では、本発明の前記遺伝子配列は、例えば、任意の組み合わせの表3のSNPマーカーの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上若しくは10以上又は表3のSNPマーカーのすべてにおいて、表3~5に示される、示された耐性遺伝子型/対立遺伝子を有する、表3に記載されるような1つ以上のSNPマーカーの存在によって特徴付けられる。
【0158】
実施形態では、本発明の遺伝子配列は、配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型を含む。
【0159】
実施形態では、遺伝子配列は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;及び/又は
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型
の1つ以上におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型をさらに含む。
【0160】
実施形態では、遺伝子配列は、任意の組み合わせの上記のc)~j)のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つ以上、任意にc)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0161】
さらなる代表的な実施形態では、遺伝子配列は、任意の組み合わせの上記のa)~j)のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上又は9つ以上、任意にa)~j)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型を含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0162】
代表的な実施形態では、本発明の遺伝子配列は、少なくとも以下のSNPマーカーの組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
において耐性関連遺伝子型を含む。
【0163】
実施形態では、遺伝子配列は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/又は配列番号55の1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上若しくは11すべて又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であり、且つ示された耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列を含む。
【0164】
本発明のSNPマーカーにおける示された遺伝子型は、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって決定することができる。例示的ではあるが非限定的な実施形態では、表4及び5に例示されるように、
・SNPマーカー1のA遺伝子型は、配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号2のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー2のA遺伝子型は、配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号7のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー3のA遺伝子型は、配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号12のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー4のG遺伝子型は、配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号17のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によるPCRで同定され得;
・SNPマーカー5のC遺伝子型は、配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号22のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー6のA遺伝子型は、配列番号26のフォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号27のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー7のT遺伝子型は、配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号32のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー8のA遺伝子型は、配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号37のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー9のG遺伝子型は、配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号42のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;
・SNPマーカー10のA遺伝子型は、配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号47のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得;及び
・SNPマーカー11のG遺伝子型は、配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマーのオリゴヌクレオチドプライマーの対並びに配列番号52のプローブを伴う核酸フラグメントの増幅によってPCRで同定され得る。
【0165】
さらなる実施形態では、本発明は、ホウレンソウ植物、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物における本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座の(例えば、遺伝子型決定による)検出のためのキットを開示し、前記キットは、以下から選択される少なくとも1つのPCRオリゴヌクレオチドプライマーの対及びプローブを含む:
・配列番号1のフォワードプライマー及び配列番号4のリバースプライマー並びに配列番号2のプローブ;
・配列番号6のフォワードプライマー及び配列番号9のリバースプライマー並びに配列番号7のプローブ;
・配列番号11のフォワードプライマー及び配列番号14のリバースプライマー並びに配列番号12のプローブ;
・配列番号16のフォワードプライマー及び配列番号19のリバースプライマー並びに配列番号17のプローブ;
・配列番号21のフォワードプライマー及び配列番号24のリバースプライマー並びに配列番号22のプローブ;
・配列番号26のフォワードプライマー及び配列番号29のリバースプライマー並びに配列番号27のプローブ;
・配列番号31のフォワードプライマー及び配列番号34のリバースプライマー並びに配列番号32のプローブ;
・配列番号36のフォワードプライマー及び配列番号39のリバースプライマー並びに配列番号37のプローブ;
・配列番号41のフォワードプライマー及び配列番号44のリバースプライマー並びに配列番号42のプローブ;
・配列番号46のフォワードプライマー及び配列番号49のリバースプライマー並びに配列番号47のプローブ;及び
・配列番号51のフォワードプライマー及び配列番号54のリバースプライマー並びに配列番号52のプローブ。
【0166】
本発明は、ホウレンソウ植物、特に栽培ホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座の診断的選択及び/又は遺伝子型決定のための本発明に係るSNPマーカーの使用も開示する。
【0167】
本発明は、ホウレンソウ植物、特に栽培ホウレンソウ植物、より具体的には本発明に係るS.オレラセア(S.oleracea)植物において、ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座の存在を同定し、且つ/又はホウレンソウ植物、特に栽培ホウレンソウ植物、特に本発明に係る、本明細書に記載のS.オレラセア(S.oleracea)植物におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座の遺伝子移入を監視するための、これらのSNPマーカーのいくつか又はすべての使用をさらに開示する。
【0168】
本発明は、本明細書に開示の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー:配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号16、配列番号19、配列番号21、配列番号24、配列番号26、配列番号29、配列番号31、配列番号34、配列番号36、配列番号39、配列番号41、配列番号44、配列番号46、配列番号49、配列番号51及び/又は配列番号54の使用を伴い、且つ配列番号2、配列番号7、配列番号12、配列番号17、配列番号22、配列番号27、配列番号32、配列番号37、配列番号42、配列番号47及び/又は配列番号52のプローブ(表4及び5を参照されたい)それぞれと反応させるPCR反応で得られるポリヌクレオチド(増幅産物)をさらに開示する。本発明は、配列番号1及び配列番号4;配列番号6及び配列番号9;配列番号11及び配列番号14;配列番号16及び配列番号19;配列番号21及び配列番号24;配列番号26及び配列番号29;配列番号31及び配列番号34;配列番号36及び配列番号39;配列番号41及び配列番号44;配列番号46及び配列番号49;並びに/又は配列番号51及び配列番号54から選択されるPCRオリゴヌクレオチドプライマーの対を用いて、配列番号2、配列番号7、配列番号12、配列番号17、配列番号22、配列番号27、配列番号32、配列番号37、配列番号42、配列番号47及び/又は配列番号52のプローブそれぞれと反応させるPCR反応で得られるポリヌクレオチド(増幅産物)も提供する。
【0169】
前記増幅産物のヌクレオチド配列と少なくとも80%、特に少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%、特に少なくとも96%、特に少なくとも97%、特に少なくとも98%、特に少なくとも99%のヌクレオチド配列と同一性を有するポリヌクレオチド及び/又は上記PCR反応で得られる前記増幅産物のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドも本明細書で企図される。
【0170】
実施形態では、増幅産物は、同一のプライマー/プライマー対を使用する場合、S.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472又はその子孫若しくは祖先から入手可能である増幅産物に対応し、前記増幅産物は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を含むか、又はこの遺伝子移入配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である。
【0171】
本発明に係るものであって、本明細書に記載の増幅産物は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座の同定に使用可能である新規プライマー及び/又はプローブの生成又は開発に使用可能である。本発明は、従って、一実施形態では、本発明に係るものであって、本明細書に記載の増幅産物から及び当技術分野で公知である方法によって開発された派生マーカー、特に派生プライマー又はプローブにさらに関し、この派生マーカーは、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性形質遺伝子座に遺伝的に関連付けられている。
【0172】
育種方法。
本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性が(例えば、対照と比べて)増強されたホウレンソウ植物を生成する方法も提供する。実施形態では、この方法は、
・本発明に係る第1のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物)(例えば、「ドナー」植物)を、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)(例えば、「レシピエント」植物)に対する耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列を欠いている第2のホウレンソウ植物と交配させて、子孫植物を生成するステップと;
・ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する前記遺伝子移入配列を含む子孫植物を選択するステップと
を含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有する植物を生成する。
【0173】
任意に、第2のホウレンソウ植物は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1~18の1つ以上に感受性である。実施形態では、第1のホウレンソウ植物は、栽培ホウレンソウ植物である。実施形態では、第1のホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)植物である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、栽培ホウレンソウ植物である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)植物である。
【0174】
代表的な実施形態によれば、この方法は、任意に、
・選択された子孫植物を自殖させるか、又は選択された子孫を別のホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)と交配させて、さらなる子孫を生成するステップ
をさらに含み得る。実施形態では、さらなる子孫は、さらに2~10世代にわたって選択され、且つ自殖/交配(戻し交配を含む)され、任意に、本発明に係るペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する遺伝子移入配列を含む近交系列を生成する。
【0175】
さらなる実施形態では、本発明は、ステップa)の第1のホウレンソウ植物が、本発明の遺伝子移入配列を含むS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487又はS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002472又はその子孫若しくはその祖先である、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの方法に関する。任意に、この実施形態によれば、第2のホウレンソウ植物は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列を含まない。
【0176】
例示的な実施形態では、前記選択するステップは、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップ(例えば、遺伝子型決定)を含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3~5に示されているSNPマーカーの非限定的なリストにおいて、耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0177】
実施形態では、前記選択するステップは、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型、及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。
【0178】
実施形態では、選択するステップは、任意の組み合わせの上記のc)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上又は8つ以上、任意にc)~k)のSNPマーカーのすべてにおけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0179】
さらなる代表的な実施形態では、選択するステップは、任意の組み合わせの上記のa)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又は10以上、任意にa)~k)のSNPマーカーのすべてにおけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0180】
実施形態では、この方法は、SNPマーカー11及び8、7、6、5、4及び/又は3の1つ以上におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11並びに2及び1の一方又は両方におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11及び3におけるペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。この方法は、示された耐性遺伝子型(対立遺伝子)を有する、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3~5に示されているSNPマーカーの非限定的なリストにおいて、ペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップをさらに含み得る。
【0181】
本発明に係る方法の実施形態では、この方法は、少なくとも以下のSNPマーカー(個々のマーカーは、任意に、ヘテロ接合型又はホモ接合型で存在する)の組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
における耐性関連遺伝子型(例えば、表3~5に記載されるような)の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。
【0182】
本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性(例えば、対照植物と比べて)を有するF1ハイブリッドホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物)を生成する方法も提供する。実施形態では、この方法は、本発明の近交系(2倍体を含む)ホウレンソウ植物を異なる近交系ホウレンソウ植物と交配してF1ハイブリッド子孫を生成するステップを含む。この方法によれば、第2のホウレンソウ植物は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する遺伝子移入配列を含んでも又は含まなくてもよい。第2のホウレンソウ植物が本発明の遺伝子移入配列を含まない実施形態では、異なる近交系ホウレンソウ植物は、任意に、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPE:1-18の1つ以上に感受性である。
【0183】
実施形態では、第1のホウレンソウ植物は、栽培ホウレンソウ植物である。実施形態では、第1のホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)植物である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、栽培ホウレンソウ植物である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)植物である。
【0184】
実施形態では、増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性を有するF1ハイブリッドホウレンソウ植物を生成する方法は、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップをさらに含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非限定的なリストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0185】
任意に、増強されたペロノスポラ(Peronospora)耐性を有するF1ハイブリッドホウレンソウ植物を生成する方法は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップをさらに含む。
【0186】
本発明の育種方法のいずれかにおいて、方法は、任意に、植物、子孫又はF1雑種植物を、ペロノスポラ(Peronospora)、例えば、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18の1つ以上に対する耐性についてテストするステップをさらに含む。実施形態では、植物、子孫又はF1雑種は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を有する。
【0187】
1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む本発明の育種方法のいずれかによれば、方法は、植物から核酸試料(例えば、DNA試料、任意に、ゲノムDNA試料)を提供する又は得るステップと、核酸試料中の耐性関連遺伝子型(複数可)の存在を検出するステップとを含み得る。
【0188】
選択方法
本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強した耐性を有し、且つ本発明の遺伝子移入配列の少なくとも1つのコピーを有するホウレンソウ植物(例えば、植物は、ヘテロ接合体又はホモ接合体である)を同定する方法も企図する。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非限定的なリストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0189】
例示的実施形態では、この方法は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含み、それにより、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する増強された耐性を有するホウレンソウ植物を同定する。
【0190】
実施形態では、植物は、栽培植物(例えば、栽培S.オレラセア(S.oleracea))である。
【0191】
実施形態では、この方法は、1つ以上のSNPマーカーにおいて前記耐性関連遺伝子型を含むホウレンソウ植物を選択するステップと、選択されたホウレンソウ植物を第2のホウレンソウ植物と交配させて、1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型を含み、且つペロノスポラ(Peronospora)耐性を有する(例えば、ヘテロ接合又はホモ接合状態でペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列を含む)子孫ホウレンソウ植物を生成するステップとをさらに含む。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、選択されたホウレンソウ植物とは異なる。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、S.オレラセア(S.oleracea)である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する遺伝子移入配列を含まず、且つ任意にペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18の1つ以上に感受性である。実施形態では、第2のホウレンソウ植物は、前記遺伝子移入配列を含む。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を含む、ホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物)を同定する方法に関し、前記方法は、以下のステップ:
・ペロノスポラ(Peronospora)耐性形質に係るホウレンソウ植物分離集団を提供するステップと;
・ペロノスポラ(Peronospora)に対する耐性を示すメンバーに係る分離集団をスクリーニングするステップであって、前記形質は、本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列の存在によって同定され得る、ステップと
を含む。
【0193】
任意に、遺伝子移入配列の存在を決定するステップは、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的なリストにおける耐性関連遺伝子型を検出するステップを含み得る。
【0194】
実施形態では、遺伝子移入配列の存在を決定するステップは、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップと;
・本発明のペロノスポラ(Peronospora)耐性付与遺伝子移入配列を含む分離集団のメンバーを選択するステップと
を含む。
【0195】
1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む本発明の選択方法のいずれかにおいて、方法は、植物から核酸試料(例えば、DNA試料、任意に、ゲノムDNA試料)を提供する又は得るステップと、核酸試料中の耐性関連遺伝子型(複数可)の存在を検出するステップとを含み得る。
【0196】
別の態様として、本発明は、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する耐性を示すホウレンソウ植物(例えば、S.オレラセア(S.oleracea)植物、任意に栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物)の遺伝子型を評価する方法をさらに提供し、前記方法は、
・前記植物から核酸試料(例えば、DNA、任意に、ゲノムDNA)を提供するステップと、
・前記核酸試料において、SNPマーカー11~8、7、6、5、4又は3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のSNPマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在又は非存在を検出するステップと
を含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~2又は1(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在又は非存在を検出するステップを含む。実施形態では、この方法は、SNPマーカー11~3(両端を含む)によって定義される染色体区間内の1つ以上のマーカーにおける耐性関連遺伝子型の存在又は非存在を検出するステップを含む。この方法は、染色体区間内のマーカーの任意の組み合わせ、例えば表3、4及び5に示されているSNPマーカーの非網羅的リストにおける耐性関連遺伝子型の存在又は非存在を検出するステップを含み得、それにより、ホウレンソウ植物のA遺伝子型を評価する。
【0197】
実施形態では、この方法は、以下のSNPマーカー:
a)配列番号5のSNPマーカー1に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
b)配列番号10のSNPマーカー2に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
c)配列番号15のSNPマーカー3に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
d)配列番号20のSNPマーカー4に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
e)配列番号25のSNPマーカー5に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のC遺伝子型;
f)配列番号30のSNPマーカー6に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
g)配列番号35のSNPマーカー7に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のT遺伝子型;
h)配列番号40のSNPマーカー8に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;
i)配列番号45のSNPマーカー9に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型;
j)配列番号50のSNPマーカー10に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のA遺伝子型;及び/又は
k)配列番号55のSNPマーカー11に係るヘテロ接合又はホモ接合状態のG遺伝子型
の1つ以上における耐性関連遺伝子型の存在又は非存在を検出するステップを含む。
【0198】
実施形態では、植物を同定、選択又は遺伝子型決定する本発明の方法は、任意の組み合わせの上記のc)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上又は8つ以上、任意にc)~k)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップをさらに含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0199】
さらなる代表的な実施形態では、この方法は、任意の組み合わせのa)~k)のSNPマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又は10以上、任意に上記のa)~k)のSNPマーカーのすべてにおいてペロノスポラ(Peronospora)耐性関連遺伝子型の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップをさらに含み、各マーカーは、任意に、ヘテロ接合又はホモ接合状態で存在する。
【0200】
植物を同定、選択又は遺伝子型決定する前述の方法の実施形態では、この方法は、以下のSNPマーカー(個々のマーカーは、任意に、ヘテロ接合型又はホモ接合型で存在する)の組み合わせ:
i.11及び1;
ii.11及び2;
iii.11及び3;
iv.11及び4;
v.11及び5;
vi.11及び6;
vii.11及び7;
viii.11及び8;
ix.11、10、9及び8;
x.11、10、9、8及び7;
xi.11、10、9、8、7及び6;
xii.11、10、9、8、7、6及び5;
xiii.11、10、9、8、7、6、5及び4;
xiv.11、10、9、8、7、6、5、4及び3;
xv.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び2;
xvi.11、10、9、8、7、6、5、4、3及び1;又は
xvii.11、10、9、8、7、6、5、4、3、2及び1
の少なくとも1つにおける耐性関連遺伝子型(例えば、表3~5に記載されている)の存在を(例えば、遺伝子型決定によって)検出するステップを含む。
【0201】
実施形態では、本発明の方法は、植物が、ペロノスポラ(Peronospora)耐性を付与する本発明の遺伝子移入配列についてヘテロ接合体であるか又はホモ接合体であるかを決定するステップを含む。
【0202】
代表的な実施形態では、本発明の方法は、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25、配列番号30、配列番号35、配列番号40、配列番号45、配列番号50及び/若しくは配列番号55の1つ以上又は前述の配列の1つ以上と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一であり、且つ示された耐性関連SNPマーカー遺伝子型を含む配列の存在を決定するステップを含む。
【0203】
実施形態では、本発明の方法は、ペロノスポラ(Peronospora)、例えば、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18の1つ以上に対する耐性について、同定又は遺伝子型決定された植物をテストするステップをさらに含む。実施形態では、植物は、少なくともペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)レースPe:1-18に対する耐性を有する。
【0204】
使用
本発明は、ペロノスポラ(Peronospora)耐性ホウレンソウ植物、種子及び/又は葉を生成するために、ホウレンソウ植物を栽培するための本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物から入手可能であるペロノスポラ(Peronospora)耐性繁殖材料の使用にも関する。ペロノスポラ(Peronospora)耐性は、標準的なアッセイ、例えば、後述する実施例1に記載のアッセイで評価され得る。
【0205】
実施形態では、本発明は、ホウレンソウ種子を生成する方法を提供し、この方法は、本発明のいずれかの実施形態に係る種子からホウレンソウ植物を栽培するステップと、植物にさらなるホウレンソウ種子を生成させるステップと、任意に、種子を収集するステップとを含む。
【0206】
本発明は、ホウレンソウの葉を生成するための、本発明の実施形態のいずれかに係るホウレンソウ植物から入手可能であるペロノスポラ(Peronospora)耐性繁殖材料の使用にも関する。
【0207】
種子寄託情報
本出願人は、2021年11月23日に、NCIMB寄託番号NCIMB43893で、NCIMB(NCIMB Limited,Ferguson Building,Craibstone Estate,Bucksburn,Aberdeen AB21 9YA,Scotland)に対して少なくとも625粒のスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL487の種子の寄託を行った。本出願人は、2022年10月21日に、NCIMB寄託番号NCIMB44060で、NCIMBに対して少なくとも625粒のスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002472の種子の寄託を行った。
【0208】
本出願人は、専門家の解決策を選択し、本特許の付与の告示が公告されるまで、又は本出願が拒絶されるか、取り下げられるか若しくはみなし取り下げとされた場合、出願日から20年間にわたり、EPC規則32(1)若しくは対応する他の国々の法規若しくは条約(専門家証人条項)に従い、寄託した材料は専門家のみに公開されることを要求する。
【0209】
これらのスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002487及びスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)系統21BNL002472の寄託物は、30年間若しくは直近の請求から5年間又は特許の有効期間のいずれかの長い期間公的寄託機関であるNCIMB寄託機関に維持され、この期間中に寄託された種子のいずれかが生育不能になった場合には交換が行われる。また、本出願人は、サンプルの発芽力の表示の提供を含む、米国特許法施行規則第1.801~1.809条によるすべての要件を満たしている。本出願の継続中、長官への請求によりこれらの寄託の入手が可能となる。本品種に特許が発行された際には、NCIMBに対する寄託系統の少なくとも625粒の種子の寄託の入手が提供されることにより、本品種は、取消不可能且つ無制限に公開される。本出願人は、NCIMBからの寄託された材料の利用可能性について制限をするものではないが、しかしながら、本出願人は、商業上の生物学的材料の移送又はその輸送に係る法律によって課せられる制限のいずれかを適用外とする権限を有さない。本出願人は、本特許若しくは任意の他の特許又はいずれかの植物品種保護権(例えば、米国植物品種保護法(7米連邦法規集2321以降を参照されたい)において付与された権限に係るいかなる侵害に対しても権利放棄しない。
【0210】
ここで、本発明を以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、本発明に係る特許請求の範囲を限定するものではなく、むしろ一定の実施形態の例示であることを意図するものであることを当業者は理解するであろう。本発明の他の実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施され得、この範囲は、本開示及び添付の特許請求の範囲により定義される。
【実施例】
【0211】
実施例1.ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する病害テスト
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)病害テストは、高湿度の気候チャンバ中で行われる。日長は16時間であり、日中の気温は18℃であり、相対湿度(RH)は約85%である。夜間の気温は15℃であり、RHは約100%である。テストの播種前に、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)病原体の胞子を、特定の分離株に感受性の品種で増殖させる。耐性に対する病害テストは、種々のスピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)分離株及びレースを用いて行う。
【0212】
ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)分離株は、IWGP(International Working Group on Peronospora;表1を参照されたい)によって定義された異なるセットで特徴付けられ且つ分類される。
【0213】
【0214】
テスト材料の播種前に、胞子を伴う葉を収穫し、胞子を葉から水ですすぐ。胞子懸濁液の濃度を100,000胞子/mlに調節する。胞子懸濁液を1週齢の植物(子葉上)に噴霧する。播種から7~10日間後、観察/選択を行うことが可能である。普通、感受性の植物の子葉は胞子で完全に覆われている。用いられるペロノスポラ(Peronospora)分離株に応じて、耐性植物の子葉は、壊死を示さないか又は低いレベルで示すであろう。
【0215】
実施例2.野生ホウレンソウ由来のペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)耐性を栽培S.オレラセア(S.oleracea)に導入する戦略
本発明者らは、野生スピナシア・トルケスタニカ(Spinacia turkestanica)寄託番号KK016(CGN080741)が、ペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対する広範な耐性を有すると判断した。この野生スピナシア・トルケスタニカ(Spinacia turkestanica)供給源由来のペロノスポラ(Peronospora)耐性を、固定されたペロノスポラ(Peronospora)耐性を有する栽培S.オレラセア(S.oleracea)植物に導入し、続いて戻し交配させ、次いで、S.オレラセア(S.oleracea)遺伝的背景に耐性を自己固定させた。耐性の根底にある遺伝的要素は、3番染色体上で緊密に関連しており、一連のペロノスポラ(Peronospora)単離株及び分子マーカーに対する耐性スペクトルの評価を使用して、所望の耐性対立遺伝子を組み合わせた組換え事象を同定した。
【0216】
結果として得られた系統は、市販の雌性S.オレラセア(S.oleracea)親系統と交配させた。この系統のF3種子を、系統21BNL002487と指定し、2021年11月23日に、寄託番号NCIMB 43893でNCIMBに寄託した。このF3系統は、P.エフサ(P.effusa)耐性については固定されているが(すなわちホモ接合体)、それ以外には多くの遺伝子座で依然として分離している。
【0217】
2つの耐性供給源は、相補的であり、以下の表2に示すように、組み合わせてペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)に対するより広い耐性スペクトルを提供する。いずれの耐性も、優性(ヘテロ接合体とホモ接合体の両方で観察される高い耐性)として特徴付けられ、本質的に定性的であり、且つ単一遺伝子の分離を示す。
【0218】
【0219】
まず、BC5(戻し交配5)の生成を行い、分子マーカーを使用して、両方の所望の耐性を保持している3番染色体上のより小さい遺伝子移入を同定した。選択プロセスは、野生のホウレンソウの遺伝学からのリンケージドラッグ及び望ましくない表現型を最小限に抑え、且つ耐性を組み合わせた場合に頻繁に観察される萎縮症及びその他の負の農学的表現型をさらに回避すると同時に、完全な耐性スペクトルを保持するように慎重な評価を行う必要があった。
【0220】
最終的に、耐性は、350kB未満の領域に局在し、「ADQ」と命名した。このADQ耐性は、両方の親供給源からの定性的なペロノスポラ(Peronospora)耐性の完全なスペクトル(上の表2を参照されたい)を維持し、野生ホウレンソウの親からのリンケージドラッグ及び萎縮症などの他の有害な表現型を回避すると同時に、ホモ接合体及びヘテロ接合体の両方の植物でPe:1-18に対する保護を与える。
【0221】
実施例3.ADQペロノスポラ(Peronospora)耐性のマッピング及び遺伝子型決定
アッセイの開発
ステップ1:フィンガープリンティング:遺伝子移入の同定
フィンガープリンティング研究に基づいて、ADQ耐性の位置の最初の推定値は、連鎖群3の119MB間隔であった。
【0222】
ステップ2:ADQ関連ハプロタイプSNP
ADQ遺伝子移入における耐性戻し交配系統と反復親との間で対立遺伝子状態が異なるステップ1の変形を選択し、SNPを検出するためのTaqman(商標)PCRアッセイに変換した。
【0223】
マーカー11は、ADQペロノスポラ(Peronospora)耐性と強く関連し、且つマーカー11の耐性関連遺伝子型(表3~5を参照されたい)は、特にペロノスポラ(Peronospora)耐性スペクトルと組み合わせた場合、本質的に診断に用いられる。実施形態では、例えば、ペロノスポラ(Peronospora)耐性スペクトルにおいて及び/又はより多くの遺伝的背景にわたって表現型データが存在しない場合、ADQペロノスポラ(Peronospora)耐性の存在を予測する精度を高めるために、任意に、表3の追加のマーカーにおける耐性関連遺伝子型(表3~5を参照されたい)の存在を、特にマーカー11~3によって定義される染色体区間に沿って評価することができる。マーカー2及び1は、マーカー11~3によって定義される間隔内のマーカーよりも物理的にはるかに離れており(例えば、表4の物理的位置を参照されたい)、従って、マーカー11~3並びにマーカー2及び1によって定義される染色体区間間により多くの組換えが期待される。
【0224】
従って、表3のマーカーの1つ以上を使用して、ADQペロノスポラ(Peronospora)耐性を含むホウレンソウ植物を同定し、新たな系統への遺伝子移入に係る耐性を追跡することなどができる。例えば、マーカー11は、単独で又はマーカー1~10の1つ以上と共に使用することができる。
【0225】
【0226】
ADQペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)耐性に関連するSNPマーカーの物理的位置並びにこれらのSNPを検出するためのPCRプライマー/プローブを以下の表4に示す。すべての物理的位置は、Hulse-Kempらによって公表されたspinach-Viroflay_v3基準ゲノム(Plant Genome. 2021;14:e20101)に対して記録されている。
【0227】
【0228】
上記の情報を以下の表5にまとめる。
【0229】
【0230】
実施例4.ADZペロノスポラ(Peronospora)耐性
異なる培養物S.オレラセア(S.oleracea)系統を反復親として使用したが、ADQ(実施例2)について上述したのと同様のアプローチに従って、「ADZ」と命名した第2の組換えを、同じ野生スピナシア・トルケスタニカ(Spinacia turkestanica)供給源(寄託番号KK016(CGN080741)から生成した。しかしながら、ADQ及びADZの反復親のいずれも、同じ固定されたペロノスポラ・エフサ(Peronospora effusa)耐性を有している。
【0231】
ADZは、リンケージドラッグ又は他の有害な表現型(例えば、萎縮症)を伴わずに、テストしたすべての分離株に対するADQと同じ耐性スペクトル(例えば、ホモ接合体及びヘテロ接合体植物におけるPe:1-18に対する優性耐性、定性的耐性)を有し、且つADQと同じハプロタイプ(実施例3で上述)をさらに有する。マーカー11は、本質的に、ADQ耐性及びADZ耐性の両方についての診断用であり、任意にマーカー1~10の1つ以上を使用して、ADZペロノスポラ(Peronospora)耐性を含むホウレンソウ植物を同定し、新たな系統への遺伝子移入に係る耐性を追跡することなどもできる。
【0232】
ADZ組換えを含むS.オレラセア(S.oleracea)系統21BNL002487を、2022年10月21日に、寄託番号NCIMB 44060でNCIMBに寄託した。この系統は、P.エフサ(P.effusa)耐性については固定されているが(すなわちホモ接合体)、それ以外には多くの遺伝子座で依然として分離している。
【0233】
一定の実施形態の特定詳細を参照して本発明を記載したが、このような詳細は、特許請求される本発明の範囲に対する限定としてみなされることを意図されない。
【配列表】
【国際調査報告】